説明

ターゲット識別装置

【課題】DSC無線機を用いて特定のターゲットに対する効率的な呼び出しを可能にし、且つ、DSC無線機の負担を軽くしたAIS装置を提供する。
【解決手段】識別情報を含むAIS情報を受信する受信部と、受信部が受信したAIS情報を記憶する記憶部と、受信部が受信したAIS情報に基づき、ターゲットの標識を表示する表示部と、表示部に表示された1または複数の標識から1つの標識を選択する選択操作部と、DSC無線機を外部接続するインタフェース部と、選択操作部によって選択された標識で識別されるターゲットを呼出対象として指定する操作を受け付ける呼出指定操作部と、呼出指定操作部が操作されたとき、そのとき選択されている標識で識別されるターゲットの識別情報を前記通信機に転送する通信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、識別情報に基づく呼出機能を備えた通信機(たとえばDSC(Digital Selective Calling)無線機)と連携して、ターゲットの効率的な呼び出しを可能にしたターゲット識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶相互の衝突予防、船舶の動静を把握した管制の容易化のために、船舶自動識別装置(AIS(Automatic Identification System)装置)が実用化されている。船舶自動識別装置は、VHF帯の電波を用いて、自船のAIS情報(識別情報(MMSIコード)、船名、位置、針路、速力、目的地などを含む)を送信するとともに、他船が発信するAIS情報を受信する機能を備えている。
【0003】
また、船舶の安全通信のために、特に海外ではDSC無線機が普及している。DSC無線機は、VHF無線装置にデジタル通信による自動呼出機能(DSC機能)を付加したもので、船舶の遭難、緊急、安全通信等に用いることができる。
【0004】
DSC無線機を用いて特定の船舶を呼び出す場合、その船舶の識別情報であるMMSI(Maritime Mobile Service Identity)コードが必要である。そこで、該特定の他船が送信し、自船のAIS装置で受信されたAIS情報中のMMSIコードを用いて、該特定の他船を選択的に呼び出すことが提案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4203038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のDSC無線機は、全ての船舶のAIS情報を取り込んでソートし、ユーザによって選択されたAIS情報からMMSIコードを読み出して、呼び出しを行う装置である。一般的に無線通信機は、簡易な制御部(CPU)を搭載しているものが多く、このようなAIS情報の解析やソートを行うことは負担が過大であるという問題点がある。また、AIS装置から見て下流装置であるDSC無線機に全てのAIS情報を転送して、DSC無線機でソートや特定船舶(ターゲット)の指定を受け付けることは非効率的であった。
【0007】
この発明は、DSC無線機等の呼出機能を備えた通信機に対して、ユーザが選択したターゲット(船舶)の識別情報のみを呼び出し対象の識別情報として転送することで、特定のターゲットに対する効率的な呼び出しを可能にし、且つ、通信機の負担を軽くしたターゲット識別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ターゲットの識別情報を含むターゲット情報を受信する受信部と、前記受信部が受信したターゲット情報を記憶する記憶部と、前記受信部が受信したターゲット情報に基づき、前記ターゲットの標識を表示する表示部と、前記表示部に表示された1または複数の標識から1つの標識を選択する操作を受け付ける選択操作部と、前記識別情報を用いた選択呼出機能を備えた通信機を外部接続するインタフェース部と、前記選択操作部によって選択された標識で識別されるターゲットを呼出対象として指定する操作を受け付ける呼出指定操作部と、前記呼出指定操作部が操作されたとき、そのとき選択されている標識で識別されるターゲットの識別情報を前記通信機に転送する通信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明は、さらに、前記表示部が、前記ターゲットの標識の表示態様を、複数の異なる表示態様に切り換え可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記発明において、前記表示部が、前記識別情報を受信した全てのターゲットの標識を表示する第1の表示態様、および、前記識別情報を受信したターゲットを前記ターゲット情報に基づいて絞り込み、該絞り込みによって抽出されたターゲットの標識のみを表示する第2の表示態様で前記ターゲットの標識を表示可能であることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、上記発明において、前記ターゲット情報は、前記ターゲットの現在位置情報を含み、前記表示部は、前記ターゲットの現在位置情報に基づき、前記ターゲットの標識を自装置からの距離および方位に応じた位置に表示するプロッタ形式で表示し、前記選択操作部は、操作に応じて、自装置からの距離が近い順または遠い順に前記標識を選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ターゲット情報を受信したターゲットの標識を表示部に表示し、選択操作部で操作を受け付けるようにしたことで、ユーザが容易に特定のターゲットを選択することができる。選択されたターゲットの識別情報を、識別情報を用いた選択呼出機能を備えた通信機に転送することで、通信機に負担を掛けることなく、特定のターゲットの選択呼び出しが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施形態である船舶自動識別装置の正面パネルの外観図である。
【図2】同船舶自動識別装置の内部構造のブロック図である。
【図3】同船舶自動識別装置のディスプレイに表示される画面の遷移を示す図である。
【図4】同船舶自動識別装置のDSCキーがオンされたときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照してこの発明の実施形態である船舶自動識別装置(AIS装置)について説明する。図1は船舶自動識別装置の外観図、図2は船舶自動識別装置のブロック図である。図1、図2に示すように、船舶自動識別装置1は、DSC無線機2と接続されて他船呼出システムを構成している。
【0015】
船舶自動識別装置1は、VHF帯の電波を用いて、自船のAIS情報を送信するとともに、他船のAIS情報を受信する。AIS情報は、船名、MMSIコード、現在位置、進路、速度、仕向地、積載物等のデータからなる情報である。
【0016】
船舶自動識別装置1は、ディスプレイ30を備え、受信した他船のAIS情報をディスプレイ30に表示する。その表示態様は図3を参照して後述する。ユーザは、ディスプレイ30に表示されている他船のターゲットアイコンや表示欄を選択して、DSCキー35をオンすることにより、DSC無線機2に対して、その他船を呼び出すよう操作することができる。
【0017】
図1において、船舶自動識別装置1の正面パネルには、ディスプレイ30および複数のキースイッチ群31〜36が設けられている。ディスプレイ30は略正方形の液晶ディスプレイであり、正面パネルの中央より左にかけて設けられている。ディスプレイ30には、上述したように、付近を航行する他船の情報が種々の表示形態で表示される。正面パネル右側の上部には、確定(ENT)キー31(以下ENTキー31と呼ぶ)が設けられ、その上下に上下キー32、その左右に左右キー33が設けられている。また、正面パネル右側の中央部には、表示モード(DISP MODE)キー34、クリア(CLEAR)キー36を含むキースイッチ群が設けられ、その下にはDSCキー35を含むキースイッチ群が設けられている。上下キー32、左右キー33は、主としてディスプレイ30に表示されている項目を選択する場合に用いられ、ENTキー31は、主として選択内容を決定する操作に用いられる。表示モードキー34は、図3(A)〜(C)に示す他船のAIS情報の表示態様を切り換える場合に用いられる。DSCキー35は、選択された他船に対する呼出をDSC無線機2に指示する場合に操作されるキーである。また、クリアキー36は、そのときの動作や表示を終了して元の状態に戻すときに操作されるキーである。
【0018】
図2において、船舶自動識別装置1は、CPU10、記憶部11、表示部12、キー入力部13、外部機器インタフェース部14、GMSK変調復調部15、受信部16、受信チャンネル制御部17、送信チャンネル制御部18、送信部19、送受信切換部20およびGPS測位部21を備えている。送受信切換部16にはアンテナ25が接続されている。また、外部機器インタフェース14には上述したようにDSC無線機2が接続されている。
【0019】
CPU10は船舶自動識別装置1全体の動作を制御する。記憶部11は、自船のAIS情報を記憶するとともに、受信した他船のAIS情報を記憶する。また、記憶部11には、後述(図4参照)の通話チャンネルテーブルも記憶される。表示部12はディスプレイ30を含み、CPU10から入力された情報をディスプレイ30上に表示する。キー入力部13はキースイッチ群31〜36を含み、ユーザによるキー操作を検出してCPU10に入力する。外部機器インタフェース部14は、DSC無線機2とCPU10との通信を中継する。GPS測位部21は、GPSアンテナで受信したGPS衛星の電波に基づき自船の位置を測位する。測位された自船の位置情報は自船のAIS情報の一部として送信される。
【0020】
GMSK変調復調部15は、連続位相周波数偏移変調方式の一種であるGMSK(ガウス最小偏移変調:Gaussian minimum shift keying)により自船のAIS情報を変調するとともに、受信部16から入力された(GMSK変調された)他船のAIS情報を復調してCPU10に入力する。受信部16は受信した信号をGMSK変調復調部15に入力する。受信チャンネル制御部17は、受信部16の受信チャンネルを順次切り換える。これにより、受信部16は各チャンネルに送信されている他船のAIS情報を受信することができる。受信部16および受信チャンネル制御部17は、2系統並列に設けられており、並行してAISチャンネルを巡回して他船のAIS情報を受信する。なお、AISチャンネルは、160MHz付近のVHF帯に25KHz間隔で複数設定されている。
【0021】
送信チャンネル制御部18は、自船のAIS情報を送信する送信チャンネルを設定する。送信チャンネルは、受信部16の受信内容から空きチャンネルを探し、その空きチャンネルを送信チャンネルとすればよい。送信部19は、GMSK変調された自船のAIS情報を送信チャンネル制御部18によって設定されたチャンネルの周波数帯域に周波数シフトして送信する。送受信切換部20は、送信時には送信部19側にアンテナ25を切り換え、受信時には受信部16側にアンテナ25を切り換える。
【0022】
上記構成の船舶自動識別装置は、自船のAIS情報を送信、および、他船のAIS情報を受信する。受信した他船のAIS情報は、記憶部11に記憶されるとともに、ディスプレイ30に表示される。その表示態様は、たとえば、図3(A)〜(D)に示すような態様である。他船のAIS情報が表示されている状態で、ユーザが、上下キー32を用いていずれか1つのターゲットの標識(他船のアイコンまたは他船のAIS情報表示欄)を選択し、DSCキー35をオンすることにより、CPU10は、そのターゲットのMMSIコードおよび通話チャンネルを含むコマンドを作成し、DSC無線機2に対して送信する。このコマンドにより、DSC無線機2は、そのターゲット(他船:相手局)に対して呼出メッセージを送信する。DSC無線機2は、相手局と通信が成立すると、指定された通話チャンネルにチャンネルを移行してユーザの通話を可能にする。
【0023】
図3はディスプレイ30の表示例を示す図である。図3(A)〜(D)は、受信されたAIS情報の種々の表示態様を示す図である。また、図3(E)〜(G)は、DSCキー35が押された場合の表示態様の例を示す図である。
【0024】
図3(A)はプロッタ形式の表示例を示している。図3(B)は一覧リスト形式の表示例を示している。図3(C)は接近船舶リスト(デンジャーリスト)形式の表示例を示している。また、図3(D)は1つのターゲット(他船)のAIS情報の詳細表示画面の例を示している。これらの表示態様は表示モードキー34の操作によって順次切り換えられる。
【0025】
装置の電源がオンされると、デフォルトで図3(A)のプロッタ形式の画面が表示される。円の中心に表示されている▲の図形が自船を示すアイコンであり、円内に表示されている△図形が他船を示すターゲットアイコンである。この表示態様においては、ユーザが上下キー32を操作することにより、表示レンジを0.125海里〜24海里の範囲で切り換えることができる。また、ユーザが左右キー33を操作することにより、ターゲットアイコンを近い順または遠い順に順番に選択することができる。具体的には、ユーザが、右キー33Rを操作すると近い順にターゲットアイコンが選択され、左キー33Lを操作すると遠い順にターゲットアイコンが選択される。画面の中央左上に表示されている□形状の図形が現在選択されているターゲットアイコンを囲む図形であるターゲットボックス51である。ユーザの操作によってターゲットアイコンの選択が切り換えられると、このターゲットボックス51の表示位置も切り換えられる。
【0026】
いずれかのターゲットアイコンが選択されている状態で、ENTキー31がオンされると、表示態様は、そのターゲットアイコンで識別される他船のAIS情報の詳細表示画面(図3(D))に移行する。
【0027】
また、いずれかのターゲットアイコンが選択されている状態で、DSCキー35がオンされると、そのターゲットアイコンで識別される他船へDSC無線機2を用いて呼び出しを掛ける処理に移行し、ディスプレイ30の表示態様は、図3(E)に移行する。
【0028】
なお、表示モードキー34により表示態様が切り換えられたとき、および、上下キー32の操作により表示レンジが切り換えられたとき、ターゲットアイコンの選択が解除されどのターゲットアイコンも選択されていない状態になる。
【0029】
図3(B)は一覧リスト(TARGET LIST)形式の表示画面の例を示す図である。この画面では、現在AIS情報を受信している他船(ターゲット)の情報がリスト表示される。このリストには、AIS情報のうち、ターゲットのMMSIコードまたは船名、距離(RNG)、進行方向に対する方位(BRG)距離が表示される。AIS情報は近いターゲットのものから順に1行ずつ表示される。この1行ずつの表示エリアが、本発明のターゲットの標識となる。この一覧リストが表示されている状態で、ユーザが上下キー32を操作すると、ターゲット(AIS情報が表示されている行)が上下に順次選択される。
【0030】
図3(C)は接近船舶リスト(DNGER LIST)形式の表示画面の例を示す図である。接近船舶リストは、AIS情報を受信している他船(ターゲット)のうち、一定以内に接近する可能性のある船舶(デンジャラスターゲット)のみを抽出したリストである。たとえば、1時間以内(TCPA≦1h)に6海里以内(CPA≦6nm)をデンジャラスターゲットとして抽出・表示する。このリストには、AIS情報のうち、ターゲットのMMSIコードまたは船名、CPA、TCPAが、1船舶につき1行ずつ表示される。この1行ずつの表示エリアが、本発明のターゲットの標識となる。
【0031】
同図では、CPAが小さい順にAIS情報(行)がソートされているが、ユーザが右キー33Rを操作することにより、TCPAが小さい順にソートしなおすことができる。また、ユーザが左キー33Lを操作することにより、再度CPAが小さい順にソートしなおすこともできる。この接近船舶リストが表示されている状態で、ユーザが上下キー32を操作すると、ターゲット(AIS情報が表示されている行)が上下に順次選択される。
【0032】
図3(B)、(C)の表示態様において、いずれかのターゲットが選択されている状態で、ENTキー31がオンされると、表示態様は、そのターゲットアイコンで識別される他船のAIS情報の詳細表示画面(図3(D))に移行する。また、いずれかのターゲットが選択されている状態で、DSCキー35がオンされると、そのターゲットで識別される他船へDSC無線機2を用いて呼び出しを掛ける処理に移行し、ディスプレイ30の表示態様は、図3(E)に移行する。
【0033】
なお、表示モードキー34により表示態様が切り換えられたときには、ターゲットアイコンの選択が解除され、どのターゲットも選択されていない状態になる。
【0034】
図3(D)は詳細(DETAIL)表示画面の例を示す図である。詳細表示画面は、複数ページ(たとえば6ページ)からなり、この複数ページでAIS情報が全て表示される。詳細表示画面が表示されている状態で、ユーザが左右キー33を操作することにより、ディスプレイ30に表示させるページを切り換えることができる。
【0035】
また、詳細表示画面が表示されている状態で、DSCキー35がオンされると、現在詳細表示している他船へDSC無線機2を用いて呼び出しを掛ける処理に移行し、ディスプレイ30の表示態様は、図3(E)に移行する。
【0036】
なお、詳細画面が表示されている状態で、ユーザがクリアキー36を操作すると、詳細画面表示を終了して直前の表示態様(図3(A)〜(C))にもどる。
【0037】
図3(E)〜図3(G)の表示内容については、図4のフローチャートとともに説明する。
【0038】
図4(A)は、ユーザによるDSCキー35のオンに伴う呼出指示動作を示すフローチャートである。この処理では、常にDSCキー35がオンされるのを監視している(S1)。DSCキー35がオンされると(S1でYES)、現在ディスプレイ30上のターゲットがいずれか1つ選択されているかを判断する(S2)。ターゲットが選択されていれば(S2でYES)、S4に進む。ターゲットが選択されていなければ(S2でNO)、ターゲットが選択されていない旨の表示を一定時間表示したのち(S3)、ディスプレイ30の表示を元の画面(図3(A)〜(D))に復帰させてS1にもどる。
【0039】
S4では、ディスプレイ30に図3(E)のチャンネル選択画面を表示する。図3(E)のチャンネル選択画面には、通話チャンネルの候補が表示されている。ユーザは、このチャンネル選択画面に表示されているチャンネル番号を確認し、通話チャンネルがそのチャンネルでよければ再度DSCキー35をオンする。
【0040】
なお、DSC無線機2は、通常チャンネル16(156.8MHz)で相手局(ターゲット)を呼び出し、通信が成立すると自動的に通話チャンネルへ移動する。
【0041】
もしユーザが通話チャンネルを変更する場合には、上下キー32を操作する。記憶部11には図4(B)に示すような通話チャンネルテーブルが記憶されている。通話チャンネルテーブルは、所望の順序で通話チャンネル番号が書き込まれたものであり、予めユーザにより設定される。図3(E)の画面表示において、上下キー32が操作されるごとに、CPU10は、通話チャンネルをこのテーブルの記載順に上下させる。
【0042】
上下キー32の操作によって通話チャンネルが切り換えられると(S6でYES)、DSC無線機2に送信するコマンド(チャンネル番号)を変更するとともに、図3(E)のチャンネル選択画面の表示も変更して(S7)、S4にもどる。
【0043】
S5で再度DSCキー35がオンされると、ターゲットとして選択された船舶のMMSIコード、そのとき設定されている通話チャンネル番号を含む呼出コマンドを外部接続インタフェース14を介してDSC無線機2に送信し(S8)、ディスプレイ30に呼出中を示す画面(図3(F))を表示する(S9)。
【0044】
呼出コマンドの送信により、DSC無線機は、MMSIコードで識別される相手局に対して呼出メッセージを送信する。DSC2が相手局からの応答を受信し通信が成立すると、DSC無線機2から通信が成立した旨のメッセージが送られてくる(S10でYES)。そうすると、ディスプレイ30に通信が成立した旨を示す画面(図3(G))に切り換える。こののち、クリアキー36がオンされると(S12でYES)、ディスプレイ30の表示を元の態様(図3(A)〜(D))に戻して(S13)、S1にもどる。
【0045】
なお、図3(E)、(F)の表示にクリアキー36がオンされた場合には、DSC無線機2による呼出を中止し、ディスプレイ30の表示を元の態様(図3(A)〜(D))に戻してS1にもどる。
【0046】
以上の実施形態では、船舶をターゲットとするターゲット識別装置である船舶自動識別装置について説明したが、ターゲットは船舶に限定されない。また、ターゲット情報を取得するシステムは、AISに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 船舶自動識別装置
2 DSC無線機
30 ディスプレイ
31 ENTキー
32 上下キー
33 左右キー
34 表示モードキー
35 DSCキー
51 ターゲットボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの識別情報を含むターゲット情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信したターゲット情報を記憶する記憶部と、
前記受信部が受信したターゲット情報に基づき、前記ターゲットの標識を表示する表示部と、
前記表示部に表示された1または複数の標識から1つの標識を選択する操作を受け付ける選択操作部と、
前記識別情報を用いた選択呼出機能を備えた通信機を外部接続するインタフェース部と、
前記選択操作部によって選択された標識で識別されるターゲットを呼出対象として指定する操作を受け付ける呼出指定操作部と、
前記呼出指定操作部が操作されたとき、そのとき選択されている標識で識別されるターゲットの識別情報を前記通信機に転送する通信手段と、
を備えたターゲット識別装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記ターゲットの標識の表示態様を、複数の異なる表示態様に切り換え可能である請求項1に記載のターゲット識別装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記識別情報を受信した全てのターゲットの標識を表示する第1の表示態様、および、前記識別情報を受信したターゲットを前記ターゲット情報に基づいて絞り込み、該絞り込みによって抽出されたターゲットの標識のみを表示する第2の表示態様で前記ターゲットの標識を表示する請求項2に記載のターゲット識別装置。
【請求項4】
前記ターゲット情報は、前記ターゲットの現在位置情報を含み、
前記表示部は、前記ターゲットの現在位置情報に基づき、前記ターゲットの標識を自装置からの距離および方位に応じた位置に表示するプロッタ形式で表示し、
前記選択操作部は、操作に応じて、自装置からの距離が近い順または遠い順に前記標識を選択する
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のターゲット識別装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−175512(P2011−175512A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39853(P2010−39853)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】