タービンエンジン表面を腐食から保護するシステム
【課題】ガスタービンエンジン部品の表面を腐食から保護すること。
【解決手段】種々の実施形態によれば、システムは、流体流経路に曝される表面(215)を有し、第1の材料を含むタービンエンジン部品(212)と、表面(215)上に配置された犠牲アノード層(214)と、を備える。犠牲アノード層(214)は、第1の材料よりも電気化学的により活性の第2の材料を含み、該第2の材料が、優先的に腐食して第1の材料を腐食から保護するよう構成されている。
【解決手段】種々の実施形態によれば、システムは、流体流経路に曝される表面(215)を有し、第1の材料を含むタービンエンジン部品(212)と、表面(215)上に配置された犠牲アノード層(214)と、を備える。犠牲アノード層(214)は、第1の材料よりも電気化学的により活性の第2の材料を含み、該第2の材料が、優先的に腐食して第1の材料を腐食から保護するよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、タービンエンジンに関し、より詳細にはタービンエンジンの表面を腐食から保護することに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンは、流体流からエネルギーを抽出し、該エネルギーを有効な仕事に変換する。例えば、統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電プラントは、1つ又はそれ以上のタービンエンジンを含み、シンガスなどのガスを燃焼させてエネルギーを発生する。ガスの燃焼は、腐食成分を含有する可能性のある高温の排気ガスを生成する。ガスタービンエンジンの通常の作動状態の間、腐食成分が高温の排気ガスと接触してガスタービンエンジンの表面を腐食する可能性がある。ガスタービンエンジンの腐食した部品は、補修又は交換される場合がある。高温排気ガスと接触するガスタービンエンジンの部品は、腐食を低減するために耐食性合金で作ることができる。しかしながら、これらの合金は、高価で、及び/又はガスタービンエンジンの部品に製作するのが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】MTO Investigates New Cathodic Protection Systems Revolutionising Bridge Rehabilitation; Ontario's Transportation Technology Transfer Digest - February 2004 - Vol. 10, Issue 1; Ministry of Transportation Road Talk; http://www.mto. gov.on.ca/english/transtek/roadtalk/rtlO-1/; page 1 and 2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0005】
一実施形態では、システムは、流体流経路に曝される表面を有し且つ第1の材料を含むタービンエンジン部品と、該表面上に配置された犠牲アノード層とを備える。犠牲アノード層は、第1の材料よりも電気化学的により活性の第2の材料を含み、該第2の材料が、優先的に腐食して第1の材料を腐食から保護するよう構成されている。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、高温の凝縮燃焼ガスの流路に曝される表面を有し且つ第1の材料を含むガスタービンエンジンと、該表面上に配置される第2の材料を含むパターン形成されたアノード層とを備える。パターン形成されたアノード層は、高温凝縮燃焼ガスによって表面を腐食から防ぐよう構成されている。
【0007】
第3の実施形態では、システムは、高温凝縮燃焼ガスによって燃焼システムを腐食から防ぐよう構成されたパターン形成されたアノード層と、高温凝縮燃焼ガスと接触する参照電極と、該参照電極からのフィードバックに応答してパターン形成されたアノード層への電流を調整するよう構成されたコントローラとを備える。
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態によるガスタービンエンジンを導入したIGCC発電プラントのブロック図。
【図2】図1のガスタービンエンジンの一実施形態の長手方向軸線を通る断面図。
【図3】隆起したアノード層を備えたタービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図4】凹型アノード層を備えたタービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図5】2つのアノード層の一部が積み重ねられた、タービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図6】2つのアノード層の一部が交互して横並びにされた、タービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図7】中空円形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図8】菱形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図9】中実円形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図10】山形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図11】矩形ストリップとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図12】波形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図13】グリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図14】角度付きクロスメンバーを有するグリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図15】山形部を有するグリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図16】三角部を有するグリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図17】パターン形成されたアノード層への電流を制御するシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の部品について紹介する際、単数形で記載したものは、その部品が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した部品以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0012】
腐食とは、酸素などの酸化剤と反応する金属の電気化学的酸化を指すことができる。金属酸化物は元の金属と特性が同じではない可能性があるので、腐食した金属部品は交換又は補修を行う場合がある。IGCC発電プラントのガスタービンエンジンのような、タービンエンジンの状態は、少なくとも2つのタイプの腐食の一因となる可能性がある。蒸気タービン又は水力タービンなどの他のタービンにおいても同様の腐食機構が発生する可能性がある。最初に、水溶性腐食は、水媒体中に電気的に接続された2つの異なる金属の電位差に伴う電気化学的反応によって生じることができる。2つの異なる金属は、活性金属と貴金属と呼ぶことができる。貴金属のイオンは、活性金属のイオンよりも表面に強く結合している。加えて、貴金属及び活性金属は、互いに物理的に接触させることによって電気的に接続することができる。更に、一般に電解質とも呼ばれる水媒体の実施例は、限定ではないが、酸、塩基、又は塩の水溶液、高温の特定のガス、溶融塩、或いはこれらの組合せを含むことができる。具体的には、タービンエンジンにおける高温ガスは、凝縮してタービンエンジンの壁又は他の設備上に液体を形成することができる。
【0013】
水溶性腐食の電気化学的反応の間、活性金属からイオンが放出され、水媒体を通って流れて貴金属と結びつく。同時に、電子は、活性金属すなわちアノードから電気的接続を介して貴金属すなわちカソードに流れる。活性金属は、イオンを放出することにより、完全に使い果たされるまで腐食を継続することができる。対照的に、貴金属は影響を受けないか、又は活性金属よりも緩慢に腐食することができる。貴金属の実施例には、限定ではないが、銀、プラチナ、及び金が挙げられる。更に、活性金属又は卑金属の実施例には、限定ではないが、鉄、ニッケル、鉛、及び亜鉛が挙げられる。特定のガスタービンエンジンにおいて、水溶性腐食は、水の存在下での塩化アンモニウム(NH4Cl)のように、塩の存在下で2つの異なる金属が互いに接触している場合に生じる可能性がある。NH4Clは、ガスタービンエンジンの上流側のガス化装置における副生成物として生成することができ、水は、ガス化装置に蒸気を注入することによって導入することができる。
【0014】
他のガスタービンエンジンでは、2つの異なる金属が存在しない場合があるが、以下に示すプロセスによっても水溶性腐食が生じる可能性がある。ガスタービンエンジンの特定の金属表面はパッシベートすることができ、これは、金属に固有の状態下で更なる腐食に対する障壁層としての役割を果たす金属酸化物の薄層の形成を指す。パッシベーションを受けることができる金属の実施例には、限定ではないが、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せが挙げられる。水の存在下でNH4Clのような塩堆積物が不活性膜の破断した金属領域に形成されたときに、活性−不活性セルが生成される。貴金属又はカソードとして働く不活性膜の大きな領域と、アノードとして働く非パッシベート活性金属の小さな領域との間に電位が生じる。従って、単一の金属から作られたガスタービンエンジン部品であっても、水溶性腐食を受ける可能性がある。
【0015】
ガスタービンエンジンにおいて発生する可能性のある腐食の第2のタイプは、溶融塩腐食である。ガスタービンエンジンを通って流れる排気ガスは、十分に高温であるので、腐食性ガスとしてNH4Clが存在する可能性がある。NH4Clガス及び/又は他の腐食性ガスがガスタービンエンジンの低温表面と接触すると、ガスが凝縮して液体になる可能性があり、これは溶融塩とも呼ばれる。上述のように、ガスタービンエンジンの特定の金属表面はパッシベートされる可能性がある。残念なことに、保護金属酸化物層は、接触時に溶解して溶融塩層になる場合がある。すなわち、ガスタービンエンジンにおいて存在し得る何らかの酸素が溶解して溶融塩層になる場合があり、表面からの金属の損失を引き起こし、失なわれた保護層に代わる追加の金属酸化物を形成する。このプロセスの間、保護されていない金属波アノードとして働き、電子を放出して、カソードとして働く他の領域の金属に流れる。更に、このプロセスにより、溶融金属と接触する金属の更なる腐食が生じる可能性がある。溶融塩腐食は、高温であることが必要とされるので、通常は高温ガス経路又は燃焼ガス経路と呼ばれる、高温排気ガスと接触したガスタービンエンジンの表面に限定される。加えて、限定ではないが、ピッチング腐食、粒間腐食、隙間腐食、高温腐食、又はこれらの組合せなど、他のタイプの腐食がガスタービンエンジン又はタービンエンジンにおいて一般的に生じる可能性がある。
【0016】
以下で検討する特定の実施形態では、アノードは、水溶性腐食、溶融塩腐食、又は場合によってはタービンエンジンにおいて発生する可能性がある他のタイプの腐食の低減を助けるのに用いることができる。例えば、犠牲アノード層は、腐食から保護すべき金属表面と電気的に接触して配置することができる。具体的には、犠牲アノード層は、ガスタービンエンジン部品の金属表面よりも電気化学的により活性な金属から作られる。ガルバニ列と呼ばれる金属の序列は、特定の金属がアノード金属よりも電気化学的に活性が高いか又は低いかを判定するのに用いることができる。より貴金属であるほど、ガルバニ列の一方端近くに存在することができ、より活性金属であるほど、ガルバニ列の他方端近くに存在することができる。2つの金属は、電解質に浸漬され且つ電気的に接続されて、ガルバニ列の金属の順序が判定される。あまり貴でない金属はガルバニック腐食を生じる。更に、金属が貴であることの差違は、ガルバニック腐食の速度に影響し、これは電圧電位の差として測定することができる。従って、電圧電位の差が大きい2つの金属は、ガルバニ列において離れた位置に存在することができる。加えて、ガルバニック腐食の速度は、電解質により影響を受ける可能性がある。従って、ガルバニ列における金属の順序は、電解質に応じて異なる可能性がある。
【0017】
犠牲アノード層の金属は、ガスタービンエンジンの状態に基づいた適切なガルバニ列を用いて、ガスタービンエンジン部品に使用されている金属よりも電気化学的に活性の金属から選択される。従って、犠牲アノード層は、ガスタービンエンジン部品の金属よりも優先的に腐食する。犠牲アノード層に用いることができる金属の実施例には、限定ではないが、炭素鋼、アルミニウム、混合金属酸化物、又はこれらの組合せが挙げられる。混合金属酸化物は、チタン製基材を覆う白金族金属の混合物から作られた表面を有する犠牲アノード層と呼ぶことができる。白金族金属の混合物は導電性があり、チタンを活性化するので、犠牲アノード層として機能を果たす。加えて、優先的に腐食される犠牲アノード層に十分な推進力を提供するために、2つの金属間の電圧電位の差は、約0.1から1.5ボルト、0.2から1.0ボルト、又は0.3から0.5ボルトの間とすることができる。換言すると、犠牲アノード層の金属は、ガスタービンエンジン部品の金属よりも電気化学的に約10%、50%、500%、又は1,500%活性とすることができる。適切に選択されると、イオン及び電子は、犠牲アノード層が完全に使い果たされるまで、腐食条件下で十分な速度で犠牲アノード層からカソードとして働くガスタービンエンジン部品の金属へと流れる。この時点で、新しい犠牲アノード層が導入され、引き続きガスタービンエンジン部品を腐食から保護する。
【0018】
他の実施形態では、印加電流システムを用いて、金属を腐食から能動的に保護することができる。上記で検討した犠牲アノード層とは対照的に、印加電流システムのアノード層は使い果たされることがなく、或いは、ガスタービンエンジン部品の保護中は極めて緩慢に消費される。その代わりに、アノード層は、外部電源及び変圧整流器に接続され、アノード層と保護構造体との間に電位差をもたらす。電位差は、アノード層の表面における化学的酸化/還元反応によって水媒体からの電子をガスタービンエンジン部品の表面に印加又は移動させる。このため、適切に構成されたシステムではアノード層が使い果たされることはない。印加電流システムのアノード層が使い果たされることはないことから、該アノード層は、犠牲アノード層よりも小さくすることができる。アノード層からガスタービンエンジン部品に電子又は電流を付加すると、ガスタービンエンジンの金属が電子を放出して腐食されるのを防ぐことにより水溶性及び/又は溶融塩腐食を低減することができる。しかしながら、アノード層からの電子の流れが不十分である場合、ガスタービンエンジン部品の腐食が依然として生じる可能性がある。或いは、電子の流れが多すぎる場合、ガスタービンエンジン部品は、水素脆化により損傷を受ける可能性がある。一定の条件下では、電解質中に存在する水素イオンは、カソードにおいて水素原子に還元することができる。水素原子は、高張力鋼などの特定金属の粒状構造に浸透し、水素脆化を引き起こす可能性がある。従って、アノード層から電子の適正な流れが移動していることを判定する1つの方法は、ガスタービンエンジン内に参照電極を導入することである。参照電極を用いて、ガスタービンエンジン部品及び参照電極にわたる電位を監視し、信号をコントローラに送信して、参照電極及びガスタービンエンジン部品にわたる電位を許容範囲内に維持することができる。参照電極はまた、犠牲アノード層と共に用いて、該犠牲アノード層を交換するタイミングを示すことができる。
【0019】
犠牲アノード層又は印加電流システムの何れの場合においても、腐食保護システムの仕様を決定するための複数のステップを実施することができる。最初に、作動中にガスタービンエンジン部品に使用される金属の好適な防食電位が決定される。ポテンシオスタットを用いた実験室試験は、実際の作動中に測定できない場合に所要防食電位を予測するのに用いることができる。次に、ガスタービンエンジン部品の防食電流が決定される。防食電流は、保護すべき構造体の表面積、電解質流量、作動温度範囲、及び保護構造体の幾何形状の関数である。加えて、好適なアノードカバレッジ方式及び構成は、保護構造体の幾何形状及びアノードスローイングパワーに基づいて決定され、アノードスローイングパワーとは、構造体の凹部又は死角を保護するアノードの能力を指すことができる。次いで、防食電流よりも大きなアノード電流を得るのに好適なアノード表面積が決定される。アノードの表面積は、アノードの表面積及びアノード用に選択された材料の関数である。最後に、アノード材料の質量は、防食電流及び好適な供用時間の関数として決定される。この最後のステップは、通常はアノードが消費されないので、印加電流システムには適用されなくてもよい。これらの仕様が既知となると、腐食保護システムは、ガスタービンエンジン部品の腐食の低減を助けるよう構成することができる。
【0020】
上述の両方のシステムは、別個に説明されたが、ガスタービンエンジンの特定の実施形態では同時に用いることもできる。例えば、印加電流システムにおいて電流が利用可能でない場合、犠牲アノード層が引き続きガスタービンエンジン部品の表面を保護することができる。或いは、犠牲アノード層が完全に使い果たされた場合、印加電流システムが引き続き腐食の低減を助けることができる。他の実施形態では、犠牲アノード層又は印加電流システムを個別に導入し、複雑さ及び/又はコストを低減することができる。当初は、参照電極、電源、変圧整流器、及び/又はコントローラを使用しないので、犠牲アノード層を用いると、印加電流システムよりも安価で簡素にすることができる。しかしながら、犠牲アノード層は消費されるので、定期的に交換され、結果として継続的に交換コスト及び保守停止時間が生じる。
【0021】
犠牲アノード層及び印加電流システムの両方は、他の腐食保護方法よりも優れた幾つかの利点をもたらす。例えば、これらのシステムは、高価な耐腐食性合金を用いるよりも安価にすることができる。加えて、これらのシステムは、より効率的になる高圧高温でガスタービンエンジンを作動させることができる。低圧低温は腐食が低減されるが、効率も低下する可能性がある。最後に、これらのシステムは、ガスタービンエンジンにおいて低品質及び/又は安価な燃料を燃焼可能にすることができる。高品質の燃料は、腐食性ガスの含有が少ない可能性があるが、低品質燃料よりも高価である場合が多い。
【0022】
ここで図面に移ると、図1は、シンガスを生成し燃焼できるIGCCシステム100の一実施形態の図である。IGCCシステム100は、腐食を生じやすく、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護される表面を有するタービンエンジンの一実施形態を含むことができる。IGCCシステム100の他の要素は、固体又は液体とすることができる燃料源102を含むことができ、これはIGCCシステムのエネルギー源として利用できる。燃料源102は、石炭、石油コークス、オイル、バイオマス、木質系材料、農業廃棄物、タール、コークス炉ガス及びアスファルト、又は他の炭素含有物を含むことができる。
【0023】
燃料源102の燃料は、原材料調製ユニット104に送ることができる。原材料調製ユニット104は、例えば、燃料源102を細断、ミル加工、破砕、微粉砕、ブリケット、又はパレタイジングして原材料を生成することにより、該燃料源102のサイズ変更及び形状変更をすることができる。加えて、水又は他の好適な液体を原材料調製ユニット104において燃料源102に添加し、スラリー状原材料を生成することができる。他の実施形態では、燃料源に液体が添加されず、すなわち乾燥原材料を生じさせる。別の実施形態では、燃料源102が液体である場合には、原材料調製ユニット104を省くことができる。
【0024】
原材料は、原材料調製ユニット104からガス化装置106に送ることができる。ガス化装置106は、原材料をシンガス、例えば一酸化炭素(CO)と水素の組合せに転化することができる。この転化は、利用するガス化装置106のタイプに応じて、高圧(例えば、約20バールから85バール)及び高温(例えば、約700℃から1600℃)で蒸気及び酸素の制御された量に原材料を曝すことにより達成することができる。ガス化プロセスは、原材料が熱分解プロセスを受けることを含むことができ、これにより加熱される。ガス化装置106の内部温度は、原材料を生成するのに利用される燃料源102に応じて、熱分解プロセス中に約150℃から700℃の範囲にわたることができる。熱分解プロセス中の原材料の加熱は、固体物(例えば、チャー)と、残留ガス(例えば、CO、水素、及び窒素)とを生成することができる。熱分解プロセスによる原材料からの残留チャーは、元の原材料の重量の最大約30%の重さしかない可能性がある。
【0025】
熱分解プロセス中に生成される揮発性物質は液化としても知られ、ガス化装置106に酸素を導入することによって部分的に燃焼することができる。揮発性物質は、酸素と反応し、後続のガス化反応に熱を提供する燃焼反応においてCO2及びCOを形成することができる。燃焼反応により発生する温度は、約700℃から1600℃の範囲に及ぶ場合がある。次に、ガス化ステップ中に蒸気をガス化装置106に導入することができる。チャーは、CO2及び蒸気と反応し、約800℃から1100℃の範囲の温度でCOと水素を生成することができる。本質的に、ガス化装置は蒸気と酸素を利用して、原材料の一部を「燃焼」してCOを生成し、エネルギーを放出することができ、該エネルギーにより、原材料を水素と追加のCO2とに更に転化させる第2の反応を開始させる。
【0026】
このようにして、ガス化装置106は結果として得られるガスを製造する。この結果として得られるガスは、等分で約85%のCO及び水素、並びにCH4、HCl、HF、COS、NH3、HCN、及びH2S(原材料の硫黄含量に基づく)を含むことができる。この結果として得られるガスは、例えば、H2Sを含むので、未処理シンガスと呼ぶことができる。ガス化装置106はまた、湿潤灰物質とすることができる、スラグ108などの廃物を生成する場合がある。このスラグ108は、ガス化装置106から取り除かれ、例えば、道路基盤材料又は他の建築材料として処分することができる。未処理シンガスを清浄化するために、ガス清浄器110を利用することができる。一実施形態では、ガス清浄器110は、水性ガスシフト反応器とすることができる。ガス清浄器110は、未処理シンガスをスクラビング処理して、該未処理シンガスからHCl、HF、COS、HCN、及びH2Sを除去することができ、これは、硫黄処理装置112における硫黄111の分離を含むことができる。更に、ガス清浄器110は、水処理ユニット114により未処理シンガスから塩113を分離することができ、該水処理ユニット114は、浄水技術を利用して未処理シンガスから利用可能な塩113を生成することができる。続いて、ガス清浄器110からのガスは、処理済みシンガス(例えば、シンガスから硫黄111が除去された)と、微量の他の化学物質(例えば、NH3(アンモニア)及びCH4(メタン))を含むことができる。
【0027】
一部の実施形態では、ガス処理装置を利用して、アンモニア及びメタンなどの追加の残留ガス成分、並びに処理済みシンガスからメタノール又は何らかの残留化学物質を除去することができる。しかしながら、処理済みシンガスは、残留ガス成分(例えば、排ガス)を含む場合でも燃料として利用できるので、処理済みシンガスからの残留ガス成分の除去は任意選択である。現時点では、処理済みシンガスは、約3%のCO、約55%のH2、及び約40%のCO2を含むことができ、実質的にH2Sが取り去られている。
【0028】
一部の実施形態では、炭素捕捉システム116は、シンガスに含まれる炭素含有ガス(例えば、約80〜100又は90〜100容量%ピュアの二酸化炭素)を除去し処理することができる。炭素捕捉システム116はまた、圧縮機、清浄器、隔離又は増進回収用にCO2を供給するパイプライン、CO2貯蔵タンク、或いはこれらの何れかの組合せを含むことができる。捕捉された二酸化炭素は、二酸化炭素膨張器に移送することができ、該膨張器が二酸化炭素の温度を低下させ(例えば、約5〜100℃、又は約20〜30℃)、その結果、二酸化炭素がシステムに好適な冷却剤として使用可能になる。冷却された二酸化炭素(例えば、約20〜40℃、又は約30℃)は、その冷却要件に適合するようシステムを通って循環され、或いは、後続の段を通って膨張されて更に低温にすることができる。次に、硫黄含有成分と二酸化炭素の大部分とが除去された処理済みシンガスは、ガスタービンエンジン118の燃焼器120(例えば、燃焼室)に可燃性燃料として送ることができる。
【0029】
IGCCシステム100は更に、空気分離ユニット(ASU)122を含むことができる。ASU122は、例えば、蒸留技術によって空気を成分ガスに分離するよう動作することができる。ASU122は、補助空気圧縮機123により供給される空気から酸素を分離することができ、分離した酸素をガス化装置106に移送することができる。加えて、ASU122は、分離した窒素を希釈窒素(DGAN)圧縮機124に送ることができる。
【0030】
DGAN圧縮機124は、ASU122から受け取った窒素を少なくとも燃焼器120内の圧力に等しい圧力レベルにまで圧縮し、シンガスの適正燃焼を妨げないようにすることができる。従って、DGAN圧縮機124が適正レベルまで窒素を十分に圧縮すると、該DGAN圧縮機124は、圧縮窒素をガスタービンエンジン118の燃焼器120に送ることができる。窒素は、例えば、エミッション制御を向上させるための希釈剤として用いることができる。
【0031】
上述のように、圧縮窒素は、DGAN圧縮機124からガスタービンエンジン118の燃焼器120に送ることができる。ガスタービンエンジン118は、タービン130、駆動シャフト131、及び圧縮機132、並びに燃焼器120を含むことができる。燃焼器120は、シンガスなど、燃料ノズルから圧力を受けて注入することができる燃料を受け取ることができる。この燃料は、圧縮空気並びにDGAN圧縮機124からの圧縮窒素と混合されて、燃焼器120内で燃焼することができる。この燃焼は、高温の加圧された排気ガスを生成することができる。
【0032】
燃焼器120は、排気ガスをタービン130の排気出口に向けて配向することができる。その成分が凝縮して液体になることができる排気ガスと接触するガスタービンエンジン118の表面は、腐食を受けやすい可能性があり、従って、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護することができる。燃焼器120からの排気ガスがタービン130を通過すると、該排気ガスによって、タービン130のタービンブレードがガスタービンエンジン118の軸線に沿って駆動シャフト131を回転させる。図示のように、駆動シャフト131は、圧縮機132を含む、ガスタービンエンジン118の種々の部品に接続される。
【0033】
駆動シャフト131は、タービン130を圧縮機132に接続し、ロータを形成することができる。圧縮機132は、駆動シャフト131に結合されたブレードを含むことができる。従って、タービン130のタービンブレードが回転することにより、タービン130を圧縮機132に接続する駆動シャフト131が圧縮機132内でブレードを回転させることができる。圧縮機132におけるこのブレードの回転によって、圧縮機132は、該圧縮機132内の吸気口を介して受け取る空気を圧縮する。次いで、圧縮空気は、燃焼器120に送給されて燃料及び圧縮窒素と混合され、高効率の燃焼を可能にすることができる。駆動シャフト131はまた、負荷134に接続することができ、該負荷は、例えば、発電プラントにおいて電力を生成する発電機のような定置負荷とすることができる。実際に、負荷134は、ガスタービンエンジン118の回転出力により動力が供給される何れかの好適な装置とすることができる。
【0034】
IGCCシステム100はまた、蒸気タービンエンジン136及び排熱回収ボイラ(HRSG)システム138を含むことができる。蒸気タービンエンジン136及びHRSG138の表面は、腐食を受けやすい可能性があり、従って、同様に犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護することができる。蒸気タービンエンジン136は、第2の負荷140を駆動することができる。第2の負荷140はまた、電力を発生する発電機とすることができる。しかしながら、第1の負荷130及び第2の負荷140は共に、ガスタービンエンジン118及び蒸気タービンエンジン136によって駆動できる他のタイプの負荷であってもよい。加えて、ガスタービンエンジン118及び蒸気タービンエンジン136は、図示の実施形態で示すように、個別の負荷134及び140を駆動することができ、縦一列の形態で利用して単一のシャフトにより単一負荷を駆動することもできる。蒸気タービンエンジン136並びにガスタービンエンジン118の特定の構成は、実装時固有とすることができ、任意の組合せのセクションを含むことができる。
【0035】
本システム100はまた、HRSG138を含むことができる。ガスタービンエンジン118からの加熱した排気ガスは、HRSG138に運ばれ、水を加熱するのに使用され、更に蒸気タービンエンジン136を駆動するのに用いる蒸気を発生することができる。例えば、蒸気タービンエンジン136の低圧セクションからの排気は、凝縮器142内に配向することができる。凝縮器142は、冷却塔128を利用して加熱水を冷却水に換えることができる。冷却塔128は、凝縮器142に低温水を供給して、蒸気タービンエンジン136から凝縮器142に送られた蒸気の凝縮を助ける働きをする。凝縮器142からの凝縮液は次に、HRSG138内に配向することができる。この場合も同様に、ガスタービンエンジン118からの排気もまたHRSG138内に配向され、凝縮器142からの水を加熱して蒸気を発生させることができる。
【0036】
IGCCシステム100のような複合サイクルシステムでは、高温排気は、ガスタービンエンジン118からHRSG138に流れることができ、HRSG138において、高温排気を使用して高圧高温蒸気を発生させることができる。HRSG138によって発生した蒸気は次に、電力発生のために蒸気タービンエンジン136を通すことができる。加えて、発生した蒸気はまた、ガス化装置106のような蒸気を使用することができる他の何れかのプロセスに供給することができる。ガスタービンエンジン118の発電サイクルは、「トッピングサイクル」と呼ばれることが多く、他方、蒸気タービンエンジン136の発電サイクルは、「ボトミングサイクル」と呼ばれることが多い。これら2つのサイクルを図1に示すように組合せることによって、IGCCシステム100は両サイクルにおいてより大きな効率をもたらすことができる。具体的には、トッピングサイクルからの排熱を捕捉して、ボトミングサイクルにおいて使用するための蒸気を発生させるのに使用することができる。
【0037】
図2は、長手方向軸線162に沿った、図1のガスタービンエンジン118の一実施形態の側断面図である。上述のIGCCシステム100の部品として使用されることに加えて、ガスタービンエンジン118は、航空機、船舶、列車、発電システム、又はこれらの組合せにおいて位置付けることができる。ガスタービンエンジン118は、燃焼器セクション166内部に位置付けられる1つ又はそれ以上の燃料ノズル164を含む。幾つかの実施形態では、ガスタービンエンジン118は、環状配列で配置される複数の燃焼器120を含むことができる。更に、各燃焼器120は、環状又は他の配列で各燃焼器120のヘッド端部又はその近傍に取り付けられる複数のノズル164を含むことができる。
【0038】
図1に関して上述したように、空気は、空気吸入セクション168を通ってガスタービンエンジン118に流入することができ、圧縮機132により加圧することができる。理解されるように、圧縮機132は、順次的に配置される1つ又はそれ以上の圧縮機段を含むことができる。圧縮機132からの加圧空気は次いで、燃焼器セクション166に配向することができ、ここで加圧空気は燃料と混合することができる。例えば、燃料ノズル164は、燃料空気混合気を最適燃焼、エミッション、燃料消費量、及び出力において好適な比率で燃焼器120に噴射することができる。
【0039】
各燃焼器120は、1次燃焼領域172と2次燃焼領域174とを含むことができる。一般に、燃料ノズル164は、1次燃焼領域172の一部とすることができる。1次燃焼領域172内では、燃料空気混合気が燃焼し、高温加圧燃焼ガスを発生することができる。次いで、燃焼ガスは2次燃焼領域174に入り、ここで追加燃料を噴射して、燃料空気混合気を更に燃焼することができる。加圧燃焼ガスは、2次燃焼領域174から燃焼セクション166を出て、移行部品176を通ってタービン130に流れることができる。タービン130内では、加圧燃焼ガスは、タービン130内で半径方向に延びるブレード178を転回させ、排気ガスとして排気セクション180を通って流出する前に駆動シャフト131(図1)を回転させることができる。例えば、燃焼ガスは、順次的に配置された1つ又はそれ以上の圧縮機段を通って流れることができる。1次燃焼領域172、2次燃焼領域174、移行部品176、タービン130、及び排気セクション180全てが高温の凝縮燃焼ガスと接触することができるので、これらの領域における表面は、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護することができる。例えば、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムは、ガスタービンエンジン118を通る高温燃焼ガスの流路に沿った何れかの場所の定置又は可動部品に結合することができる。
【0040】
上記のことを考慮すると、図3は、ガスタービンエンジン構成部品212及びアノード層214を備え、該アノード層214は、表面215の上に隆起し、犠牲アノード層又は印加電流システムで使用するアノード層とすることができるシステム210の一実施形態の部分断面図である。図示の実施形態では、ガスタービンエンジン部品212は、高温排気ガスのように流体流路に曝される場合がある。ガスタービンエンジン部品212は、タービン燃焼器、燃料ノズル、タービンノズル、タービンシュラウド、タービンブレード、又は高温排気ガスに曝される何れかの表面を含むことができる。アノード層214は、ガスタービンエンジン部品212を保護するためにガスタービンエンジン部品212の表面215に結合することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、アノード層214は、接合面216においてガスタービンエンジン部品212の表面215に連続的に接着される。限定ではないが、プリンティング、スプレーコーティング、ブラッシング、電気化学的堆積、浸漬、フォトエッチング、スパッタリング、又はこれらの組合せなど、金属を共に取り付ける好適な方法を接合面216において用いることができる。例えば、金属の層は、ガスタービンエンジン部品212、及び金属層上に施工される別の層214のためパターンを有する一時的マスクに接合することができる。次いで、エッチング又はミル加工を用いて、パターン形成されたアノード層214を残して、不要な金属を除去することができる。従って、アノード層214は、ガスタービンエンジン部品212の表面215の上に高さ218だけ隆起する。例えば、高さ218は、約0.1と5mm、0.3と3mm、又は0.5と1mmmの間とすることができる。幾つかの実施形態では、アノード層214は幅220を有することができ、アノード層214の一部は、分離距離222だけ互いに離隔することができる。
【0042】
アノード層214は、犠牲アノード層として構成することができ、上述のようにガスタービンエンジン118の作動中に使い果たされる可能性がある。このことは、アノード層214に使用される金属が、ガスタービンエンジン部品212に使用される金属よりも電気化学的に活性であることに起因して生じる。従って、アノード層214は、優先的に腐食してガスタービンエンジン部品212を保護する。これに加えて、又は代替的に、印加電流システムを用いることができ、該アノード層214は、水媒体との酸化/還元反応により該水媒体から電子を提供し、使い果たされることなくガスタービンエンジン部品212の腐食の低減を助ける。以下で説明するように、アノード層214の一部は、互いに電気的に接続され、単一の変圧整流器がアノード層214の全ての接続部分に電流を加えることを可能にすることができる。
【0043】
図4は、ガスタービンエンジン部品212の表面215下に凹型のアノード層214によって保護されるガスタービンエンジン部品212を備えた、システム240の一実施形態の部分断面図を示す。図3に示す要素と共通する要素は、同じ参照符号で表記されている。図示の実施形態では、アノード層214の外側表面は、ガスタービンエンジン部品212の表面215と同一平面にある。従って、アノード層214の部分は、ガスタービンエンジン部品212の表面215から取り除かれた陥凹部に適合する。特定の実施形態では、凹型アノード層214を備えたこのような構成は、高温排気ガスがガスタービンエンジン部品212に沿って流れるための平滑な表面を提供する。ガスタービンエンジン118を通って流れるガスが高い流量であることに起因して、ガスタービンエンジン118の内面がガスの流れに対して低い抵抗をもたらすような空気力学的形状にされるのが望ましいとすることができる。従って、図4に示す凹型アノード層214は、空気力学的性能が望ましいガスタービンエンジン118の表面125上で使用することができる。加えて、他の実施形態では、犠牲アノード層が使い果たされたときには、これらはガス流の妨げとなる可能性があるので、犠牲アノード層の代わりに印加電流システムを用いることもできる。
【0044】
図5は、ガスタービンエンジン部品212及び2つの異なる犠牲アノード層を備えたシステム250の部分断面図である。図3に示す要素と共通する要素は、同じ参照符号で表記されている。具体的には、第1のアノード層252の一部は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に結合することができる。加えて、第2のアノード層254の一部は、接合面256にて第1のアノード層252に結合することができる。従って、第1及び第2のアノード層252及び254は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に対して垂直方向に積み重ねられる。金属を共に取り付ける好適な方法を接合面256にて用いて、第1及び第2のアノード層252及び254を合わせることができる。金属を共に取り付けるこのような方法の特定の実施例は、図3を参照して上記で検討された。加えて、第1及び第2のアノード層252及び254の電気的活性は異なる可能性がある。例えば、特定の実施形態では、第2のアノード層254の電気的活性は、第1のアノード層252の電気的活性よりも高くすることができる。このような実施形態では、第2のアノード層254は、第1のアノード層252及びガスタービンエンジン部品212の両方を保護するために優先的に腐食することができる。第2のアノード層254が完全に使い果たされた場合には、第1のアノード層252が優先的に腐食し、ガスタービンエンジン部品212を保護することができる。
【0045】
特定の実施形態では、第1及び第2のアノード層252及び254の電気的活性が異なる可能性があるので、第1及び第2のアノード層252及び254の表面積及び構成もまた異なる場合がある。具体的には、第1のアノード層252の一部は、第1の高さ258を有することができ、第2のアノード層254の一部は、第2の高さ260を有することができる。種々の実施形態では、第1及び第2の高さ258及び260は同じであっても又は異なっていてもよい。例えば、特定の実施形態では、第2のアノード層254は第1のアノード層252よりも速い速度で消費することができるので、第2の高さ260は、第1の高さ258よりも高くすることができる。更に、第1及び第2のアノード層252及び254の一部の幅220は、種々の実施形態では同じか又は異なることができる。加えて、幾つかの実施形態では、第1及び第2のアノード層252及び254の一方又は両方は、図4に示す凹型アノード層214と同様に凹型にされ、ガスタービンエンジン部品212に空気力学的表面を提供することができる。
【0046】
図6は、ガスタービンエンジン部品212及び横並びに交互する2つのアノード層の一部を備えた、システム270の一実施形態の部分断面図である。図5に示す要素と共通する要素は、同じ参照符号で表記されている。図示の実施形態では、第1のアノード層252及び第2のアノード層254の両方の一部は、接合面216にてガスタービンエンジン部品212の表面215に結合される。第1のアノード層252の一部は、第1の幅272を有することができ、第2のアノード層254の一部は、第2の幅274を有することができ、これらは図6に示すように異なることができる。図5に示すシステム250と同様に、第1及び第2のアノード層252及び254の一部の高さ、幅、及び/又は形状は、第1及び第2のアノード層252及び254の相対的電気化学活性に基づいて構成することができる。図6では交互するパターンで示していたが、第1及び第2のアノード層252及び254の一部は、異なるように構成することができる。例えば、一部の実施形態では、第1のアノード層252の一部は、ガスタービンエンジン部品212のある区域に共に位置付けることができ、第2のアノード層254の一部は、ガスタービンエンジン部品212の異なる区域に共に位置付けることができる。従って、電気化学的により活性の第2のアノード層254は、ガスタービンエンジン部品212の腐食の影響をより受けやすい区域に位置付けることができる。加えて、他の実施形態では、第1及び第2のアノード層252及び254は、ガスタービンエンジン部品212に対してより滑らかな表面を提供するような凹型にすることができる。更に、幾つかの実施形態では、分離距離222はゼロとすることができ、第1及び第2のアノード層252及び254の一部は、互いに接触することができる。加えて、分離距離222は、第1及び第2のアノード層252及び254の間で同じであってもよく、或いは、異なっていてもよい。
【0047】
ここで、図3から6又はその他の実施形態で使用できるアノード層の種々のパターンを参照すると、図7は、中空の円形(例えば、リング)で構成されたアノードシステム290の一実施形態の部分表面図を示している。何れかの図で示した要素と共通する図7から17の要素は、同じ参照符号で表記されている。図示の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の各部分は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に結合されたリング292を含む。種々の実施形態では、パターン形成されたアノード層214のリング292は、ガスタービンエンジン部品212の表面215において凹型にすることができ、及び/又はガスタービンエンジン部品212の表面215の上に位置付けることができる。リング292は、限定ではないが、プリンティング、スプレーコーティング、ブラッシング、電気化学的堆積、浸漬、フォトエッチング、スパッタリング、又はこれらの組合せを含む、種々の技術を用いてガスタービンエンジン部品212の表面215に取り付けることができる。図7に示すパターン形成されたアノード層214のリング292は、接続又は接触していないので、アノードシステム290は、犠牲アノードを使用し、印加電流システムを使用していない。他の実施形態では、リング292は、互いに接続することができ、印加電流システムとして用いるために電流源がパターン形成されたアノード層214に接続されている。リング292は、列及び行をなして示されているが、アノードシステム290のリング292は、他のパターンで、或いは別の実施形態では不規則なパターンで配列することができる。例えば、パターン形成されたアノード層214のリング292は、リング292の同心状配列など、1つ又はそれ以上の円形パターンで配列することができる。幾つかの実施形態では、アノードシステム290は、高温排気ガスと接触するガスタービン部品の表面215を覆うことができる。加えて、分散したパターン形成アノード層214を用いることにより、アノードのスローイングパワーは、保護されるガスタービンエンジン部品212の表面215にわたって均一に分配することができる。
【0048】
図8は、菱形部302で構成されたアノードシステム300の一実施形態の部分表面図を示している。図示の実施形態では、パターン形成アノード層214の一部は、菱形又は方形部302のような形状にされ、中空又は中実の何れであってもよい。このような形状は、曲線を有する形状よりも製作がより容易とすることができる。加えて、パターン形成アノード層214の菱形又は方形部302がガスタービンエンジン部品212の表面215において凹型にされた場合、直線は、曲線よりも切断がより容易とすることができる。他の態様において、図8に示すアノードシステム300は、図7のアノードシステム290と同様とすることができ、上記で挙げられたような技術を用いて、菱形又は方形部302をガスタービン部品212の表面215に取り付けることができる。この場合も同様に、菱形又は方形部302は、互いに接続されてもよく、又は接続されていなくてもよい。方形部302が接続された場合、アノードシステム300は、印加電流システムとして作動するため電流を供給する単一変圧整流器を含むことができる。方形部302が接続されていない場合、システム300は、犠牲アノードシステムとして作動することができる。
【0049】
図9は、中実の円形部312から構成されたアノードシステム310の一実施形態の部分表面図を示す。図示の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の中実の円形部312は、図7又は図8の何れかに示すリング215及び方形部302よりも小さい。パターン形成されたアノード層214の中実の各円形部312は、より大きな部分よりもガス流に対して低い抵抗をもたらすことができるので、このようなアノードシステム310は、ガスタービンエンジン部品212の空気力学的表面を提供するのを助けることができる。加えて、図9に示すパターン形成されたアノード層214の中実円形部312は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に沿った設置がより容易とすることができる。例えば、幾つかの実施形態では、小さなネジ孔をガスタービンエンジン部品212の表面215に設けることができ、パターン形成されたアノード層214の中実円形部312にネジ山を付けて、ガスタービンエンジン部品212の表面215における孔にネジ込むことができる。このようなネジ付き接続部は、他の方法よりも製作が容易であり、及び/又はより容易に設置することができる。他の態様では、図9に示すアノードシステム310は、前出のアノードシステムと同様とすることができる。具体的には、同様の技術を用いて、固体円形部312をガスタービンエンジン部品212の表面215に取り付けることができる。加えて、固体円形部312は、印加電流システムとして作動するよう接続され、或いは、犠牲アノードシステムとして作動するよう互いに対して離れることができる。
【0050】
図10は、中空又は中実とすることができる山形部312から構成されるアノードシステム320の一実施形態の部分表面図を示す。パターン形成されたアノード層214の山形部312は、該山形部312の方向でガスタービンエンジン部品212の表面215にわたって流れるガスに対して低い抵抗をもたらすことができる。印加電流システム又は犠牲アノードシステムとしての取り付け技術及び作動に関して、アノードシステム320の山形部312は上述のアノードシステムと同様である。
【0051】
図11は、中空又は中実とすることができる矩形ストリップ332から構成されるアノードシステム330の一実施形態の部分表面図を示す。アノードシステム330の構成は、ガスタービンエンジン部品212の空気力学的特性を改善することができる。例えば、幾つかの実施形態では、パターン形成されたアノード層214の矩形ストリップ332は、排気ガス流の方向と位置合わせすることができる。従って、パターン形成されたアノード層214の矩形ストリップ332は、排気ガスに対して小さな流れ抵抗をもたらすことができ、排気ガスを特定の方向に配向する助けとすることができる。加えて、アノードシステム330の矩形ストリップ332は、印加電流システム又は犠牲アノードシステムとしての取り付け技術及び作動に関して上述のアノードシステムと同様である。
【0052】
図12は、中実である波形部分342から構成されたアノードシステム340の一実施形態の部分表面図を示す。図示の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の波形部分342は、図11のアノードシステム330と同様に排気ガス流の方向と位置合わせすることができる。従って、アノードシステム340の構成は、ガスタービンエンジン部品212の空気力学特性を改善するのを助け、及び/又はガスタービンエンジン部品212の表面215に沿って排気ガスを配向する助けとすることができる。一部の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の波形部分342用の薄い凹型チャンネルは、幅広の形状よりもガスタービンエンジン部品212の表面215に切り込むのがより容易とすることができる。他の実施形態では、波形部分342用の直線状又はあまり曲線でないチャンネルは、製作がより容易とすることができる。他の点に関しては、アノードシステム340の波形部分342は、上記で検討したアノードシステムと同様である。
【0053】
図13から16は、印加電流システムに好適なアノードシステムの実施形態の部分表面図である。図13は、グリッド351を有するアノードシステム350の一実施形態の部分表面図を示す。幾つかの実施形態では、グリッド351は、プリント回路基板(PCB)を作製するのに用いる方法と同様のプリンティング方法によりガスタービンエンジン部品212の表面215に連続的に接着することができる。このような方法の実施例には、限定ではないが、シルクスクリーンプリンティング、写真製版、PCBミル加工、又はこれらの組合せが挙げられる。他の実施形態では、グリッド351に対応する開放部分を有する一時的マスクをガスタービンエンジン部品212の表面215に施工し、その上に金属をスプレーしてグリッド351を生成することができる。更に、システム350のグリッド351は、水平部材352と垂直部材354とを垂直配列で含む。或いは、部材352及び354は、互いに非垂直とすることができる。水平及び垂直部材352及び354は、システム350全体の電気的導通を提供する点356において相互接続される。垂直部材354は、第1の距離358だけ離間して配置され、水平部材352は、第2の距離360だけ離間して配置される。種々の実施形態では、距離358及び360は、同じであっても又は異なっていてもよい。加えて、規則的な水平及び垂直スペースで図示されているが、別の実施形態では、水平及び垂直部材352及び354は、異なる間隔又は不規則な間隔で離間してもよい。システム350の水平及び垂直部材352及び354は相互接続されているので、印加電流システムにおける変圧整流器の陰極は、システム350のグリッド351の少なくとも一部に接続することができる。印加電流システムにおける変圧整流器の正極は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に接続することができる。従って、電子は、グリッド351の表面において水媒体から電解質を通ってガスタービンエンジン部品212に流れることができる。
【0054】
図14は、部材352及び354間に角度付きクロスメンバー372を備えたグリッド371を有するアノードシステム370の一実施形態の部分表面図である。図示の実施形態では、角度付きクロスメンバー372は、システム370を通る追加の電気的経路を提供する。このような構成は、システム370に対してより均等に分散されたスローイングパワーを提供することができる。システム370の他の態様は、図13のシステム350と同様である。例えば、限定ではないが、プリンティング、スプレーコーティング、ブラッシング、電気化学的堆積、浸漬、フォトエッチング、スパッタリング、又はこれらの組合せなどの技術を用いて、ガスタービンエンジン部品212の表面215にグリッド371を取り付けることができる。
【0055】
図15は、山形部382を備えたグリッド381として構成されたアノードシステム380の一実施形態の部分表面図である。図示の実施形態では、山形部382は垂直部材と相互接続する。システム380のこのような構成は、ガスタービンエンジン部品212の表面215にわたって山形部382の方向で通過する排気ガスに対して空気力学上の利点を提供することができる。印加電流システムとしての取り付け技術及び作動に関して、アノードシステム380の山形部382は、アノードシステム350及び370と同様である。
【0056】
図16は、三角部392を備えたグリッド261としてパターン形成されたアノードシステム390の一実施形態の部分表面図である。図示の実施形態における三角部392は、交互する角度付きクロスメンバー372から形成される。図14のシステム370と同様に、このような構成は、システム390に対してより均等に分散されたスローイングパワーを提供することができる。システム390の他の態様は、上記で検討した印加電流システムと同様である。
【0057】
図17は、アノード層214への電流を調整するコントローラを含む、システム400の一実施形態の概略図を示す。印加電流システムの図示の実施形態では、電源402は、変圧整流器404に交流電流(AC)のような比較的一定の電流源を提供する。例えば、電源402は、変圧整流器404に高電圧3相ACを提供することができ、電圧をより低い電圧まで「漸減」し、ACを直流(DC)に変換することができる。変圧整流器404の正端子を第1の接続部406においてアノード層214に接続し、第2の接続部408においてガスタービンエンジン部品212に負端子を接続することによって、変圧整流器404は、アノード層214及びガスタービンエンジン部品212にわたって電位差を提供する。水媒体中の電気的接触及びイオン接触によるガスタービンエンジン部品212及びアノード層214の接続により電気化学的回路が完成する。従って、電子が、アノード層214表面において水媒体から電解質を通ってガスタービンエンジン部品212に流れる。しかしながら、電気化学的電流は、慣習により反対方向に流れるとされている。
【0058】
加えて、参照電極410は、システム400の変圧整流器404に接続することができる。参照電極410は、固定電位を表すことができ、該電位に対してガスタービンエンジン部品212の測定した電位を比較することができる。加えて、変圧整流器404は、参照電極410及びガスタービンエンジン部品212にわたる適正な防食電位を維持するためのコントローラとして機能することができる。防食電位は、上述のような実験室試験又は実際の作動測定値に基づいて決定することができる。例えば、幾つかの実施形態では、参照電極410は、変圧整流器404へのフィードバックによって、参照電極410及びガスタービンエンジン部品212にわたる測定電位が適正な防食電位よりも低いことを示すことができる。次いで、変圧整流器404は、アノード層214とガスタービンエンジン部品212との間の電位差を増大させることができ、アノード層214からガスタービンエンジン部品212への電流が増大するようにする。従って、参照電極410及び変圧整流器404を用いることにより、システム400は、変化する状態に応答して連続的に調整し、ガスタービンエンジン部品212の腐食低減を助けることができる。加えて、システム400は、印加電流システムを提示するが、犠牲アノードがガスタービンエンジン部品212に結合され、上述のような腐食保護のバックアップ方法として機能を果たすことができる。
【0059】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない部品を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な部品を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0060】
100:統合型ガス化複合サイクル(IGCC)システム
102:燃料源
104:原材料調製ユニット
106:ガス化装置
108:スラグ
110:ガス清浄器
111:硫黄
112:硫黄処理装置
113:塩
114:水処理ユニット
116:炭素捕捉システム
118:ガスタービンエンジン
120:燃焼器
122:空気分離ユニット(ASU)
123:補助空気圧縮機
124:希釈窒素(DGAN)圧縮機
128:冷却塔
130:タービン
131:駆動シャフト
132:圧縮機
134:負荷
136:蒸気タービンエンジン
138:排熱回収ボイラ(HRSG)システム
140:第2の負荷
142:凝縮器
162:長手方向軸線
164:燃料ノズル
166:燃焼セクション
168:空気吸入セクション
172:1次燃焼領域
174:2次燃焼領域
176:移行部品
178:ブレード
180:排気セクション
210:表面上に隆起したアノード層を備えるシステム
212:ガスタービンエンジン部品
214:アノード層
215:表面
216:接合部
218:高さ
220:幅
222:分離距離
240:表面下に凹型のアノード層を備えたシステム
250:2つの異なる犠牲アノード層を備えたシステム
252:第1のアノード層
254:第2のアノード層
256:接合部
258:第1の高さ
260:第2の高さ
270:交互する横並びの2つのアノード層の一部を備えたシステム
272:第1の幅
274:第2の幅
290:中空円形で構成されたアノードシステム
292:リング
300:菱形で構成されたアノードシステム
302:菱形部
310:中実円形で構成されたアノードシステム
312:中実円形部
320:山形で構成されたアノードシステム
321:山形部
330:矩形ストリップで構成されたアノードシステム
332:矩形ストリップ
340:波形部で構成されたアノードシステム
342:波形部
350:グリッドを有するアノードシステム
351:グリッド
352:水平部材
354:垂直部材
356:相互接続点
358:第1の距離
360:第2の距離
370:角度付きクロスメンバーを備えたグリッドを有するアノードシステム
371:角度付きクロスメンバーを備えたグリッド
372:角度付きクロスメンバー
380:山形部を有するグリッドとして構成されたアノードシステム
381:山形部を有するグリッド
382:山形部
390:三角部を有するグリッドとして構成されたアノードシステム
391:三角部を有するグリッド
392:三角部
400:アノード層への電流を調整するコントローラを含むシステム
402:電源
404:変圧整流器
406:第1の接続部
408:第2の接続部
410:参照電極
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、タービンエンジンに関し、より詳細にはタービンエンジンの表面を腐食から保護することに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンエンジンは、流体流からエネルギーを抽出し、該エネルギーを有効な仕事に変換する。例えば、統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電プラントは、1つ又はそれ以上のタービンエンジンを含み、シンガスなどのガスを燃焼させてエネルギーを発生する。ガスの燃焼は、腐食成分を含有する可能性のある高温の排気ガスを生成する。ガスタービンエンジンの通常の作動状態の間、腐食成分が高温の排気ガスと接触してガスタービンエンジンの表面を腐食する可能性がある。ガスタービンエンジンの腐食した部品は、補修又は交換される場合がある。高温排気ガスと接触するガスタービンエンジンの部品は、腐食を低減するために耐食性合金で作ることができる。しかしながら、これらの合金は、高価で、及び/又はガスタービンエンジンの部品に製作するのが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】MTO Investigates New Cathodic Protection Systems Revolutionising Bridge Rehabilitation; Ontario's Transportation Technology Transfer Digest - February 2004 - Vol. 10, Issue 1; Ministry of Transportation Road Talk; http://www.mto. gov.on.ca/english/transtek/roadtalk/rtlO-1/; page 1 and 2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0005】
一実施形態では、システムは、流体流経路に曝される表面を有し且つ第1の材料を含むタービンエンジン部品と、該表面上に配置された犠牲アノード層とを備える。犠牲アノード層は、第1の材料よりも電気化学的により活性の第2の材料を含み、該第2の材料が、優先的に腐食して第1の材料を腐食から保護するよう構成されている。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、高温の凝縮燃焼ガスの流路に曝される表面を有し且つ第1の材料を含むガスタービンエンジンと、該表面上に配置される第2の材料を含むパターン形成されたアノード層とを備える。パターン形成されたアノード層は、高温凝縮燃焼ガスによって表面を腐食から防ぐよう構成されている。
【0007】
第3の実施形態では、システムは、高温凝縮燃焼ガスによって燃焼システムを腐食から防ぐよう構成されたパターン形成されたアノード層と、高温凝縮燃焼ガスと接触する参照電極と、該参照電極からのフィードバックに応答してパターン形成されたアノード層への電流を調整するよう構成されたコントローラとを備える。
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態によるガスタービンエンジンを導入したIGCC発電プラントのブロック図。
【図2】図1のガスタービンエンジンの一実施形態の長手方向軸線を通る断面図。
【図3】隆起したアノード層を備えたタービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図4】凹型アノード層を備えたタービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図5】2つのアノード層の一部が積み重ねられた、タービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図6】2つのアノード層の一部が交互して横並びにされた、タービンエンジン部品の一実施形態の部分断面図。
【図7】中空円形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図8】菱形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図9】中実円形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図10】山形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図11】矩形ストリップとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図12】波形としてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図13】グリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図14】角度付きクロスメンバーを有するグリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図15】山形部を有するグリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図16】三角部を有するグリッドとしてパターン形成されたアノード層を備えるタービンエンジン部品の一実施形態の部分表面図。
【図17】パターン形成されたアノード層への電流を制御するシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の部品について紹介する際、単数形で記載したものは、その部品が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した部品以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0012】
腐食とは、酸素などの酸化剤と反応する金属の電気化学的酸化を指すことができる。金属酸化物は元の金属と特性が同じではない可能性があるので、腐食した金属部品は交換又は補修を行う場合がある。IGCC発電プラントのガスタービンエンジンのような、タービンエンジンの状態は、少なくとも2つのタイプの腐食の一因となる可能性がある。蒸気タービン又は水力タービンなどの他のタービンにおいても同様の腐食機構が発生する可能性がある。最初に、水溶性腐食は、水媒体中に電気的に接続された2つの異なる金属の電位差に伴う電気化学的反応によって生じることができる。2つの異なる金属は、活性金属と貴金属と呼ぶことができる。貴金属のイオンは、活性金属のイオンよりも表面に強く結合している。加えて、貴金属及び活性金属は、互いに物理的に接触させることによって電気的に接続することができる。更に、一般に電解質とも呼ばれる水媒体の実施例は、限定ではないが、酸、塩基、又は塩の水溶液、高温の特定のガス、溶融塩、或いはこれらの組合せを含むことができる。具体的には、タービンエンジンにおける高温ガスは、凝縮してタービンエンジンの壁又は他の設備上に液体を形成することができる。
【0013】
水溶性腐食の電気化学的反応の間、活性金属からイオンが放出され、水媒体を通って流れて貴金属と結びつく。同時に、電子は、活性金属すなわちアノードから電気的接続を介して貴金属すなわちカソードに流れる。活性金属は、イオンを放出することにより、完全に使い果たされるまで腐食を継続することができる。対照的に、貴金属は影響を受けないか、又は活性金属よりも緩慢に腐食することができる。貴金属の実施例には、限定ではないが、銀、プラチナ、及び金が挙げられる。更に、活性金属又は卑金属の実施例には、限定ではないが、鉄、ニッケル、鉛、及び亜鉛が挙げられる。特定のガスタービンエンジンにおいて、水溶性腐食は、水の存在下での塩化アンモニウム(NH4Cl)のように、塩の存在下で2つの異なる金属が互いに接触している場合に生じる可能性がある。NH4Clは、ガスタービンエンジンの上流側のガス化装置における副生成物として生成することができ、水は、ガス化装置に蒸気を注入することによって導入することができる。
【0014】
他のガスタービンエンジンでは、2つの異なる金属が存在しない場合があるが、以下に示すプロセスによっても水溶性腐食が生じる可能性がある。ガスタービンエンジンの特定の金属表面はパッシベートすることができ、これは、金属に固有の状態下で更なる腐食に対する障壁層としての役割を果たす金属酸化物の薄層の形成を指す。パッシベーションを受けることができる金属の実施例には、限定ではないが、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、又はこれらの組合せが挙げられる。水の存在下でNH4Clのような塩堆積物が不活性膜の破断した金属領域に形成されたときに、活性−不活性セルが生成される。貴金属又はカソードとして働く不活性膜の大きな領域と、アノードとして働く非パッシベート活性金属の小さな領域との間に電位が生じる。従って、単一の金属から作られたガスタービンエンジン部品であっても、水溶性腐食を受ける可能性がある。
【0015】
ガスタービンエンジンにおいて発生する可能性のある腐食の第2のタイプは、溶融塩腐食である。ガスタービンエンジンを通って流れる排気ガスは、十分に高温であるので、腐食性ガスとしてNH4Clが存在する可能性がある。NH4Clガス及び/又は他の腐食性ガスがガスタービンエンジンの低温表面と接触すると、ガスが凝縮して液体になる可能性があり、これは溶融塩とも呼ばれる。上述のように、ガスタービンエンジンの特定の金属表面はパッシベートされる可能性がある。残念なことに、保護金属酸化物層は、接触時に溶解して溶融塩層になる場合がある。すなわち、ガスタービンエンジンにおいて存在し得る何らかの酸素が溶解して溶融塩層になる場合があり、表面からの金属の損失を引き起こし、失なわれた保護層に代わる追加の金属酸化物を形成する。このプロセスの間、保護されていない金属波アノードとして働き、電子を放出して、カソードとして働く他の領域の金属に流れる。更に、このプロセスにより、溶融金属と接触する金属の更なる腐食が生じる可能性がある。溶融塩腐食は、高温であることが必要とされるので、通常は高温ガス経路又は燃焼ガス経路と呼ばれる、高温排気ガスと接触したガスタービンエンジンの表面に限定される。加えて、限定ではないが、ピッチング腐食、粒間腐食、隙間腐食、高温腐食、又はこれらの組合せなど、他のタイプの腐食がガスタービンエンジン又はタービンエンジンにおいて一般的に生じる可能性がある。
【0016】
以下で検討する特定の実施形態では、アノードは、水溶性腐食、溶融塩腐食、又は場合によってはタービンエンジンにおいて発生する可能性がある他のタイプの腐食の低減を助けるのに用いることができる。例えば、犠牲アノード層は、腐食から保護すべき金属表面と電気的に接触して配置することができる。具体的には、犠牲アノード層は、ガスタービンエンジン部品の金属表面よりも電気化学的により活性な金属から作られる。ガルバニ列と呼ばれる金属の序列は、特定の金属がアノード金属よりも電気化学的に活性が高いか又は低いかを判定するのに用いることができる。より貴金属であるほど、ガルバニ列の一方端近くに存在することができ、より活性金属であるほど、ガルバニ列の他方端近くに存在することができる。2つの金属は、電解質に浸漬され且つ電気的に接続されて、ガルバニ列の金属の順序が判定される。あまり貴でない金属はガルバニック腐食を生じる。更に、金属が貴であることの差違は、ガルバニック腐食の速度に影響し、これは電圧電位の差として測定することができる。従って、電圧電位の差が大きい2つの金属は、ガルバニ列において離れた位置に存在することができる。加えて、ガルバニック腐食の速度は、電解質により影響を受ける可能性がある。従って、ガルバニ列における金属の順序は、電解質に応じて異なる可能性がある。
【0017】
犠牲アノード層の金属は、ガスタービンエンジンの状態に基づいた適切なガルバニ列を用いて、ガスタービンエンジン部品に使用されている金属よりも電気化学的に活性の金属から選択される。従って、犠牲アノード層は、ガスタービンエンジン部品の金属よりも優先的に腐食する。犠牲アノード層に用いることができる金属の実施例には、限定ではないが、炭素鋼、アルミニウム、混合金属酸化物、又はこれらの組合せが挙げられる。混合金属酸化物は、チタン製基材を覆う白金族金属の混合物から作られた表面を有する犠牲アノード層と呼ぶことができる。白金族金属の混合物は導電性があり、チタンを活性化するので、犠牲アノード層として機能を果たす。加えて、優先的に腐食される犠牲アノード層に十分な推進力を提供するために、2つの金属間の電圧電位の差は、約0.1から1.5ボルト、0.2から1.0ボルト、又は0.3から0.5ボルトの間とすることができる。換言すると、犠牲アノード層の金属は、ガスタービンエンジン部品の金属よりも電気化学的に約10%、50%、500%、又は1,500%活性とすることができる。適切に選択されると、イオン及び電子は、犠牲アノード層が完全に使い果たされるまで、腐食条件下で十分な速度で犠牲アノード層からカソードとして働くガスタービンエンジン部品の金属へと流れる。この時点で、新しい犠牲アノード層が導入され、引き続きガスタービンエンジン部品を腐食から保護する。
【0018】
他の実施形態では、印加電流システムを用いて、金属を腐食から能動的に保護することができる。上記で検討した犠牲アノード層とは対照的に、印加電流システムのアノード層は使い果たされることがなく、或いは、ガスタービンエンジン部品の保護中は極めて緩慢に消費される。その代わりに、アノード層は、外部電源及び変圧整流器に接続され、アノード層と保護構造体との間に電位差をもたらす。電位差は、アノード層の表面における化学的酸化/還元反応によって水媒体からの電子をガスタービンエンジン部品の表面に印加又は移動させる。このため、適切に構成されたシステムではアノード層が使い果たされることはない。印加電流システムのアノード層が使い果たされることはないことから、該アノード層は、犠牲アノード層よりも小さくすることができる。アノード層からガスタービンエンジン部品に電子又は電流を付加すると、ガスタービンエンジンの金属が電子を放出して腐食されるのを防ぐことにより水溶性及び/又は溶融塩腐食を低減することができる。しかしながら、アノード層からの電子の流れが不十分である場合、ガスタービンエンジン部品の腐食が依然として生じる可能性がある。或いは、電子の流れが多すぎる場合、ガスタービンエンジン部品は、水素脆化により損傷を受ける可能性がある。一定の条件下では、電解質中に存在する水素イオンは、カソードにおいて水素原子に還元することができる。水素原子は、高張力鋼などの特定金属の粒状構造に浸透し、水素脆化を引き起こす可能性がある。従って、アノード層から電子の適正な流れが移動していることを判定する1つの方法は、ガスタービンエンジン内に参照電極を導入することである。参照電極を用いて、ガスタービンエンジン部品及び参照電極にわたる電位を監視し、信号をコントローラに送信して、参照電極及びガスタービンエンジン部品にわたる電位を許容範囲内に維持することができる。参照電極はまた、犠牲アノード層と共に用いて、該犠牲アノード層を交換するタイミングを示すことができる。
【0019】
犠牲アノード層又は印加電流システムの何れの場合においても、腐食保護システムの仕様を決定するための複数のステップを実施することができる。最初に、作動中にガスタービンエンジン部品に使用される金属の好適な防食電位が決定される。ポテンシオスタットを用いた実験室試験は、実際の作動中に測定できない場合に所要防食電位を予測するのに用いることができる。次に、ガスタービンエンジン部品の防食電流が決定される。防食電流は、保護すべき構造体の表面積、電解質流量、作動温度範囲、及び保護構造体の幾何形状の関数である。加えて、好適なアノードカバレッジ方式及び構成は、保護構造体の幾何形状及びアノードスローイングパワーに基づいて決定され、アノードスローイングパワーとは、構造体の凹部又は死角を保護するアノードの能力を指すことができる。次いで、防食電流よりも大きなアノード電流を得るのに好適なアノード表面積が決定される。アノードの表面積は、アノードの表面積及びアノード用に選択された材料の関数である。最後に、アノード材料の質量は、防食電流及び好適な供用時間の関数として決定される。この最後のステップは、通常はアノードが消費されないので、印加電流システムには適用されなくてもよい。これらの仕様が既知となると、腐食保護システムは、ガスタービンエンジン部品の腐食の低減を助けるよう構成することができる。
【0020】
上述の両方のシステムは、別個に説明されたが、ガスタービンエンジンの特定の実施形態では同時に用いることもできる。例えば、印加電流システムにおいて電流が利用可能でない場合、犠牲アノード層が引き続きガスタービンエンジン部品の表面を保護することができる。或いは、犠牲アノード層が完全に使い果たされた場合、印加電流システムが引き続き腐食の低減を助けることができる。他の実施形態では、犠牲アノード層又は印加電流システムを個別に導入し、複雑さ及び/又はコストを低減することができる。当初は、参照電極、電源、変圧整流器、及び/又はコントローラを使用しないので、犠牲アノード層を用いると、印加電流システムよりも安価で簡素にすることができる。しかしながら、犠牲アノード層は消費されるので、定期的に交換され、結果として継続的に交換コスト及び保守停止時間が生じる。
【0021】
犠牲アノード層及び印加電流システムの両方は、他の腐食保護方法よりも優れた幾つかの利点をもたらす。例えば、これらのシステムは、高価な耐腐食性合金を用いるよりも安価にすることができる。加えて、これらのシステムは、より効率的になる高圧高温でガスタービンエンジンを作動させることができる。低圧低温は腐食が低減されるが、効率も低下する可能性がある。最後に、これらのシステムは、ガスタービンエンジンにおいて低品質及び/又は安価な燃料を燃焼可能にすることができる。高品質の燃料は、腐食性ガスの含有が少ない可能性があるが、低品質燃料よりも高価である場合が多い。
【0022】
ここで図面に移ると、図1は、シンガスを生成し燃焼できるIGCCシステム100の一実施形態の図である。IGCCシステム100は、腐食を生じやすく、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護される表面を有するタービンエンジンの一実施形態を含むことができる。IGCCシステム100の他の要素は、固体又は液体とすることができる燃料源102を含むことができ、これはIGCCシステムのエネルギー源として利用できる。燃料源102は、石炭、石油コークス、オイル、バイオマス、木質系材料、農業廃棄物、タール、コークス炉ガス及びアスファルト、又は他の炭素含有物を含むことができる。
【0023】
燃料源102の燃料は、原材料調製ユニット104に送ることができる。原材料調製ユニット104は、例えば、燃料源102を細断、ミル加工、破砕、微粉砕、ブリケット、又はパレタイジングして原材料を生成することにより、該燃料源102のサイズ変更及び形状変更をすることができる。加えて、水又は他の好適な液体を原材料調製ユニット104において燃料源102に添加し、スラリー状原材料を生成することができる。他の実施形態では、燃料源に液体が添加されず、すなわち乾燥原材料を生じさせる。別の実施形態では、燃料源102が液体である場合には、原材料調製ユニット104を省くことができる。
【0024】
原材料は、原材料調製ユニット104からガス化装置106に送ることができる。ガス化装置106は、原材料をシンガス、例えば一酸化炭素(CO)と水素の組合せに転化することができる。この転化は、利用するガス化装置106のタイプに応じて、高圧(例えば、約20バールから85バール)及び高温(例えば、約700℃から1600℃)で蒸気及び酸素の制御された量に原材料を曝すことにより達成することができる。ガス化プロセスは、原材料が熱分解プロセスを受けることを含むことができ、これにより加熱される。ガス化装置106の内部温度は、原材料を生成するのに利用される燃料源102に応じて、熱分解プロセス中に約150℃から700℃の範囲にわたることができる。熱分解プロセス中の原材料の加熱は、固体物(例えば、チャー)と、残留ガス(例えば、CO、水素、及び窒素)とを生成することができる。熱分解プロセスによる原材料からの残留チャーは、元の原材料の重量の最大約30%の重さしかない可能性がある。
【0025】
熱分解プロセス中に生成される揮発性物質は液化としても知られ、ガス化装置106に酸素を導入することによって部分的に燃焼することができる。揮発性物質は、酸素と反応し、後続のガス化反応に熱を提供する燃焼反応においてCO2及びCOを形成することができる。燃焼反応により発生する温度は、約700℃から1600℃の範囲に及ぶ場合がある。次に、ガス化ステップ中に蒸気をガス化装置106に導入することができる。チャーは、CO2及び蒸気と反応し、約800℃から1100℃の範囲の温度でCOと水素を生成することができる。本質的に、ガス化装置は蒸気と酸素を利用して、原材料の一部を「燃焼」してCOを生成し、エネルギーを放出することができ、該エネルギーにより、原材料を水素と追加のCO2とに更に転化させる第2の反応を開始させる。
【0026】
このようにして、ガス化装置106は結果として得られるガスを製造する。この結果として得られるガスは、等分で約85%のCO及び水素、並びにCH4、HCl、HF、COS、NH3、HCN、及びH2S(原材料の硫黄含量に基づく)を含むことができる。この結果として得られるガスは、例えば、H2Sを含むので、未処理シンガスと呼ぶことができる。ガス化装置106はまた、湿潤灰物質とすることができる、スラグ108などの廃物を生成する場合がある。このスラグ108は、ガス化装置106から取り除かれ、例えば、道路基盤材料又は他の建築材料として処分することができる。未処理シンガスを清浄化するために、ガス清浄器110を利用することができる。一実施形態では、ガス清浄器110は、水性ガスシフト反応器とすることができる。ガス清浄器110は、未処理シンガスをスクラビング処理して、該未処理シンガスからHCl、HF、COS、HCN、及びH2Sを除去することができ、これは、硫黄処理装置112における硫黄111の分離を含むことができる。更に、ガス清浄器110は、水処理ユニット114により未処理シンガスから塩113を分離することができ、該水処理ユニット114は、浄水技術を利用して未処理シンガスから利用可能な塩113を生成することができる。続いて、ガス清浄器110からのガスは、処理済みシンガス(例えば、シンガスから硫黄111が除去された)と、微量の他の化学物質(例えば、NH3(アンモニア)及びCH4(メタン))を含むことができる。
【0027】
一部の実施形態では、ガス処理装置を利用して、アンモニア及びメタンなどの追加の残留ガス成分、並びに処理済みシンガスからメタノール又は何らかの残留化学物質を除去することができる。しかしながら、処理済みシンガスは、残留ガス成分(例えば、排ガス)を含む場合でも燃料として利用できるので、処理済みシンガスからの残留ガス成分の除去は任意選択である。現時点では、処理済みシンガスは、約3%のCO、約55%のH2、及び約40%のCO2を含むことができ、実質的にH2Sが取り去られている。
【0028】
一部の実施形態では、炭素捕捉システム116は、シンガスに含まれる炭素含有ガス(例えば、約80〜100又は90〜100容量%ピュアの二酸化炭素)を除去し処理することができる。炭素捕捉システム116はまた、圧縮機、清浄器、隔離又は増進回収用にCO2を供給するパイプライン、CO2貯蔵タンク、或いはこれらの何れかの組合せを含むことができる。捕捉された二酸化炭素は、二酸化炭素膨張器に移送することができ、該膨張器が二酸化炭素の温度を低下させ(例えば、約5〜100℃、又は約20〜30℃)、その結果、二酸化炭素がシステムに好適な冷却剤として使用可能になる。冷却された二酸化炭素(例えば、約20〜40℃、又は約30℃)は、その冷却要件に適合するようシステムを通って循環され、或いは、後続の段を通って膨張されて更に低温にすることができる。次に、硫黄含有成分と二酸化炭素の大部分とが除去された処理済みシンガスは、ガスタービンエンジン118の燃焼器120(例えば、燃焼室)に可燃性燃料として送ることができる。
【0029】
IGCCシステム100は更に、空気分離ユニット(ASU)122を含むことができる。ASU122は、例えば、蒸留技術によって空気を成分ガスに分離するよう動作することができる。ASU122は、補助空気圧縮機123により供給される空気から酸素を分離することができ、分離した酸素をガス化装置106に移送することができる。加えて、ASU122は、分離した窒素を希釈窒素(DGAN)圧縮機124に送ることができる。
【0030】
DGAN圧縮機124は、ASU122から受け取った窒素を少なくとも燃焼器120内の圧力に等しい圧力レベルにまで圧縮し、シンガスの適正燃焼を妨げないようにすることができる。従って、DGAN圧縮機124が適正レベルまで窒素を十分に圧縮すると、該DGAN圧縮機124は、圧縮窒素をガスタービンエンジン118の燃焼器120に送ることができる。窒素は、例えば、エミッション制御を向上させるための希釈剤として用いることができる。
【0031】
上述のように、圧縮窒素は、DGAN圧縮機124からガスタービンエンジン118の燃焼器120に送ることができる。ガスタービンエンジン118は、タービン130、駆動シャフト131、及び圧縮機132、並びに燃焼器120を含むことができる。燃焼器120は、シンガスなど、燃料ノズルから圧力を受けて注入することができる燃料を受け取ることができる。この燃料は、圧縮空気並びにDGAN圧縮機124からの圧縮窒素と混合されて、燃焼器120内で燃焼することができる。この燃焼は、高温の加圧された排気ガスを生成することができる。
【0032】
燃焼器120は、排気ガスをタービン130の排気出口に向けて配向することができる。その成分が凝縮して液体になることができる排気ガスと接触するガスタービンエンジン118の表面は、腐食を受けやすい可能性があり、従って、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護することができる。燃焼器120からの排気ガスがタービン130を通過すると、該排気ガスによって、タービン130のタービンブレードがガスタービンエンジン118の軸線に沿って駆動シャフト131を回転させる。図示のように、駆動シャフト131は、圧縮機132を含む、ガスタービンエンジン118の種々の部品に接続される。
【0033】
駆動シャフト131は、タービン130を圧縮機132に接続し、ロータを形成することができる。圧縮機132は、駆動シャフト131に結合されたブレードを含むことができる。従って、タービン130のタービンブレードが回転することにより、タービン130を圧縮機132に接続する駆動シャフト131が圧縮機132内でブレードを回転させることができる。圧縮機132におけるこのブレードの回転によって、圧縮機132は、該圧縮機132内の吸気口を介して受け取る空気を圧縮する。次いで、圧縮空気は、燃焼器120に送給されて燃料及び圧縮窒素と混合され、高効率の燃焼を可能にすることができる。駆動シャフト131はまた、負荷134に接続することができ、該負荷は、例えば、発電プラントにおいて電力を生成する発電機のような定置負荷とすることができる。実際に、負荷134は、ガスタービンエンジン118の回転出力により動力が供給される何れかの好適な装置とすることができる。
【0034】
IGCCシステム100はまた、蒸気タービンエンジン136及び排熱回収ボイラ(HRSG)システム138を含むことができる。蒸気タービンエンジン136及びHRSG138の表面は、腐食を受けやすい可能性があり、従って、同様に犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護することができる。蒸気タービンエンジン136は、第2の負荷140を駆動することができる。第2の負荷140はまた、電力を発生する発電機とすることができる。しかしながら、第1の負荷130及び第2の負荷140は共に、ガスタービンエンジン118及び蒸気タービンエンジン136によって駆動できる他のタイプの負荷であってもよい。加えて、ガスタービンエンジン118及び蒸気タービンエンジン136は、図示の実施形態で示すように、個別の負荷134及び140を駆動することができ、縦一列の形態で利用して単一のシャフトにより単一負荷を駆動することもできる。蒸気タービンエンジン136並びにガスタービンエンジン118の特定の構成は、実装時固有とすることができ、任意の組合せのセクションを含むことができる。
【0035】
本システム100はまた、HRSG138を含むことができる。ガスタービンエンジン118からの加熱した排気ガスは、HRSG138に運ばれ、水を加熱するのに使用され、更に蒸気タービンエンジン136を駆動するのに用いる蒸気を発生することができる。例えば、蒸気タービンエンジン136の低圧セクションからの排気は、凝縮器142内に配向することができる。凝縮器142は、冷却塔128を利用して加熱水を冷却水に換えることができる。冷却塔128は、凝縮器142に低温水を供給して、蒸気タービンエンジン136から凝縮器142に送られた蒸気の凝縮を助ける働きをする。凝縮器142からの凝縮液は次に、HRSG138内に配向することができる。この場合も同様に、ガスタービンエンジン118からの排気もまたHRSG138内に配向され、凝縮器142からの水を加熱して蒸気を発生させることができる。
【0036】
IGCCシステム100のような複合サイクルシステムでは、高温排気は、ガスタービンエンジン118からHRSG138に流れることができ、HRSG138において、高温排気を使用して高圧高温蒸気を発生させることができる。HRSG138によって発生した蒸気は次に、電力発生のために蒸気タービンエンジン136を通すことができる。加えて、発生した蒸気はまた、ガス化装置106のような蒸気を使用することができる他の何れかのプロセスに供給することができる。ガスタービンエンジン118の発電サイクルは、「トッピングサイクル」と呼ばれることが多く、他方、蒸気タービンエンジン136の発電サイクルは、「ボトミングサイクル」と呼ばれることが多い。これら2つのサイクルを図1に示すように組合せることによって、IGCCシステム100は両サイクルにおいてより大きな効率をもたらすことができる。具体的には、トッピングサイクルからの排熱を捕捉して、ボトミングサイクルにおいて使用するための蒸気を発生させるのに使用することができる。
【0037】
図2は、長手方向軸線162に沿った、図1のガスタービンエンジン118の一実施形態の側断面図である。上述のIGCCシステム100の部品として使用されることに加えて、ガスタービンエンジン118は、航空機、船舶、列車、発電システム、又はこれらの組合せにおいて位置付けることができる。ガスタービンエンジン118は、燃焼器セクション166内部に位置付けられる1つ又はそれ以上の燃料ノズル164を含む。幾つかの実施形態では、ガスタービンエンジン118は、環状配列で配置される複数の燃焼器120を含むことができる。更に、各燃焼器120は、環状又は他の配列で各燃焼器120のヘッド端部又はその近傍に取り付けられる複数のノズル164を含むことができる。
【0038】
図1に関して上述したように、空気は、空気吸入セクション168を通ってガスタービンエンジン118に流入することができ、圧縮機132により加圧することができる。理解されるように、圧縮機132は、順次的に配置される1つ又はそれ以上の圧縮機段を含むことができる。圧縮機132からの加圧空気は次いで、燃焼器セクション166に配向することができ、ここで加圧空気は燃料と混合することができる。例えば、燃料ノズル164は、燃料空気混合気を最適燃焼、エミッション、燃料消費量、及び出力において好適な比率で燃焼器120に噴射することができる。
【0039】
各燃焼器120は、1次燃焼領域172と2次燃焼領域174とを含むことができる。一般に、燃料ノズル164は、1次燃焼領域172の一部とすることができる。1次燃焼領域172内では、燃料空気混合気が燃焼し、高温加圧燃焼ガスを発生することができる。次いで、燃焼ガスは2次燃焼領域174に入り、ここで追加燃料を噴射して、燃料空気混合気を更に燃焼することができる。加圧燃焼ガスは、2次燃焼領域174から燃焼セクション166を出て、移行部品176を通ってタービン130に流れることができる。タービン130内では、加圧燃焼ガスは、タービン130内で半径方向に延びるブレード178を転回させ、排気ガスとして排気セクション180を通って流出する前に駆動シャフト131(図1)を回転させることができる。例えば、燃焼ガスは、順次的に配置された1つ又はそれ以上の圧縮機段を通って流れることができる。1次燃焼領域172、2次燃焼領域174、移行部品176、タービン130、及び排気セクション180全てが高温の凝縮燃焼ガスと接触することができるので、これらの領域における表面は、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムによって保護することができる。例えば、犠牲アノード層及び/又は印加電流システムは、ガスタービンエンジン118を通る高温燃焼ガスの流路に沿った何れかの場所の定置又は可動部品に結合することができる。
【0040】
上記のことを考慮すると、図3は、ガスタービンエンジン構成部品212及びアノード層214を備え、該アノード層214は、表面215の上に隆起し、犠牲アノード層又は印加電流システムで使用するアノード層とすることができるシステム210の一実施形態の部分断面図である。図示の実施形態では、ガスタービンエンジン部品212は、高温排気ガスのように流体流路に曝される場合がある。ガスタービンエンジン部品212は、タービン燃焼器、燃料ノズル、タービンノズル、タービンシュラウド、タービンブレード、又は高温排気ガスに曝される何れかの表面を含むことができる。アノード層214は、ガスタービンエンジン部品212を保護するためにガスタービンエンジン部品212の表面215に結合することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、アノード層214は、接合面216においてガスタービンエンジン部品212の表面215に連続的に接着される。限定ではないが、プリンティング、スプレーコーティング、ブラッシング、電気化学的堆積、浸漬、フォトエッチング、スパッタリング、又はこれらの組合せなど、金属を共に取り付ける好適な方法を接合面216において用いることができる。例えば、金属の層は、ガスタービンエンジン部品212、及び金属層上に施工される別の層214のためパターンを有する一時的マスクに接合することができる。次いで、エッチング又はミル加工を用いて、パターン形成されたアノード層214を残して、不要な金属を除去することができる。従って、アノード層214は、ガスタービンエンジン部品212の表面215の上に高さ218だけ隆起する。例えば、高さ218は、約0.1と5mm、0.3と3mm、又は0.5と1mmmの間とすることができる。幾つかの実施形態では、アノード層214は幅220を有することができ、アノード層214の一部は、分離距離222だけ互いに離隔することができる。
【0042】
アノード層214は、犠牲アノード層として構成することができ、上述のようにガスタービンエンジン118の作動中に使い果たされる可能性がある。このことは、アノード層214に使用される金属が、ガスタービンエンジン部品212に使用される金属よりも電気化学的に活性であることに起因して生じる。従って、アノード層214は、優先的に腐食してガスタービンエンジン部品212を保護する。これに加えて、又は代替的に、印加電流システムを用いることができ、該アノード層214は、水媒体との酸化/還元反応により該水媒体から電子を提供し、使い果たされることなくガスタービンエンジン部品212の腐食の低減を助ける。以下で説明するように、アノード層214の一部は、互いに電気的に接続され、単一の変圧整流器がアノード層214の全ての接続部分に電流を加えることを可能にすることができる。
【0043】
図4は、ガスタービンエンジン部品212の表面215下に凹型のアノード層214によって保護されるガスタービンエンジン部品212を備えた、システム240の一実施形態の部分断面図を示す。図3に示す要素と共通する要素は、同じ参照符号で表記されている。図示の実施形態では、アノード層214の外側表面は、ガスタービンエンジン部品212の表面215と同一平面にある。従って、アノード層214の部分は、ガスタービンエンジン部品212の表面215から取り除かれた陥凹部に適合する。特定の実施形態では、凹型アノード層214を備えたこのような構成は、高温排気ガスがガスタービンエンジン部品212に沿って流れるための平滑な表面を提供する。ガスタービンエンジン118を通って流れるガスが高い流量であることに起因して、ガスタービンエンジン118の内面がガスの流れに対して低い抵抗をもたらすような空気力学的形状にされるのが望ましいとすることができる。従って、図4に示す凹型アノード層214は、空気力学的性能が望ましいガスタービンエンジン118の表面125上で使用することができる。加えて、他の実施形態では、犠牲アノード層が使い果たされたときには、これらはガス流の妨げとなる可能性があるので、犠牲アノード層の代わりに印加電流システムを用いることもできる。
【0044】
図5は、ガスタービンエンジン部品212及び2つの異なる犠牲アノード層を備えたシステム250の部分断面図である。図3に示す要素と共通する要素は、同じ参照符号で表記されている。具体的には、第1のアノード層252の一部は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に結合することができる。加えて、第2のアノード層254の一部は、接合面256にて第1のアノード層252に結合することができる。従って、第1及び第2のアノード層252及び254は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に対して垂直方向に積み重ねられる。金属を共に取り付ける好適な方法を接合面256にて用いて、第1及び第2のアノード層252及び254を合わせることができる。金属を共に取り付けるこのような方法の特定の実施例は、図3を参照して上記で検討された。加えて、第1及び第2のアノード層252及び254の電気的活性は異なる可能性がある。例えば、特定の実施形態では、第2のアノード層254の電気的活性は、第1のアノード層252の電気的活性よりも高くすることができる。このような実施形態では、第2のアノード層254は、第1のアノード層252及びガスタービンエンジン部品212の両方を保護するために優先的に腐食することができる。第2のアノード層254が完全に使い果たされた場合には、第1のアノード層252が優先的に腐食し、ガスタービンエンジン部品212を保護することができる。
【0045】
特定の実施形態では、第1及び第2のアノード層252及び254の電気的活性が異なる可能性があるので、第1及び第2のアノード層252及び254の表面積及び構成もまた異なる場合がある。具体的には、第1のアノード層252の一部は、第1の高さ258を有することができ、第2のアノード層254の一部は、第2の高さ260を有することができる。種々の実施形態では、第1及び第2の高さ258及び260は同じであっても又は異なっていてもよい。例えば、特定の実施形態では、第2のアノード層254は第1のアノード層252よりも速い速度で消費することができるので、第2の高さ260は、第1の高さ258よりも高くすることができる。更に、第1及び第2のアノード層252及び254の一部の幅220は、種々の実施形態では同じか又は異なることができる。加えて、幾つかの実施形態では、第1及び第2のアノード層252及び254の一方又は両方は、図4に示す凹型アノード層214と同様に凹型にされ、ガスタービンエンジン部品212に空気力学的表面を提供することができる。
【0046】
図6は、ガスタービンエンジン部品212及び横並びに交互する2つのアノード層の一部を備えた、システム270の一実施形態の部分断面図である。図5に示す要素と共通する要素は、同じ参照符号で表記されている。図示の実施形態では、第1のアノード層252及び第2のアノード層254の両方の一部は、接合面216にてガスタービンエンジン部品212の表面215に結合される。第1のアノード層252の一部は、第1の幅272を有することができ、第2のアノード層254の一部は、第2の幅274を有することができ、これらは図6に示すように異なることができる。図5に示すシステム250と同様に、第1及び第2のアノード層252及び254の一部の高さ、幅、及び/又は形状は、第1及び第2のアノード層252及び254の相対的電気化学活性に基づいて構成することができる。図6では交互するパターンで示していたが、第1及び第2のアノード層252及び254の一部は、異なるように構成することができる。例えば、一部の実施形態では、第1のアノード層252の一部は、ガスタービンエンジン部品212のある区域に共に位置付けることができ、第2のアノード層254の一部は、ガスタービンエンジン部品212の異なる区域に共に位置付けることができる。従って、電気化学的により活性の第2のアノード層254は、ガスタービンエンジン部品212の腐食の影響をより受けやすい区域に位置付けることができる。加えて、他の実施形態では、第1及び第2のアノード層252及び254は、ガスタービンエンジン部品212に対してより滑らかな表面を提供するような凹型にすることができる。更に、幾つかの実施形態では、分離距離222はゼロとすることができ、第1及び第2のアノード層252及び254の一部は、互いに接触することができる。加えて、分離距離222は、第1及び第2のアノード層252及び254の間で同じであってもよく、或いは、異なっていてもよい。
【0047】
ここで、図3から6又はその他の実施形態で使用できるアノード層の種々のパターンを参照すると、図7は、中空の円形(例えば、リング)で構成されたアノードシステム290の一実施形態の部分表面図を示している。何れかの図で示した要素と共通する図7から17の要素は、同じ参照符号で表記されている。図示の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の各部分は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に結合されたリング292を含む。種々の実施形態では、パターン形成されたアノード層214のリング292は、ガスタービンエンジン部品212の表面215において凹型にすることができ、及び/又はガスタービンエンジン部品212の表面215の上に位置付けることができる。リング292は、限定ではないが、プリンティング、スプレーコーティング、ブラッシング、電気化学的堆積、浸漬、フォトエッチング、スパッタリング、又はこれらの組合せを含む、種々の技術を用いてガスタービンエンジン部品212の表面215に取り付けることができる。図7に示すパターン形成されたアノード層214のリング292は、接続又は接触していないので、アノードシステム290は、犠牲アノードを使用し、印加電流システムを使用していない。他の実施形態では、リング292は、互いに接続することができ、印加電流システムとして用いるために電流源がパターン形成されたアノード層214に接続されている。リング292は、列及び行をなして示されているが、アノードシステム290のリング292は、他のパターンで、或いは別の実施形態では不規則なパターンで配列することができる。例えば、パターン形成されたアノード層214のリング292は、リング292の同心状配列など、1つ又はそれ以上の円形パターンで配列することができる。幾つかの実施形態では、アノードシステム290は、高温排気ガスと接触するガスタービン部品の表面215を覆うことができる。加えて、分散したパターン形成アノード層214を用いることにより、アノードのスローイングパワーは、保護されるガスタービンエンジン部品212の表面215にわたって均一に分配することができる。
【0048】
図8は、菱形部302で構成されたアノードシステム300の一実施形態の部分表面図を示している。図示の実施形態では、パターン形成アノード層214の一部は、菱形又は方形部302のような形状にされ、中空又は中実の何れであってもよい。このような形状は、曲線を有する形状よりも製作がより容易とすることができる。加えて、パターン形成アノード層214の菱形又は方形部302がガスタービンエンジン部品212の表面215において凹型にされた場合、直線は、曲線よりも切断がより容易とすることができる。他の態様において、図8に示すアノードシステム300は、図7のアノードシステム290と同様とすることができ、上記で挙げられたような技術を用いて、菱形又は方形部302をガスタービン部品212の表面215に取り付けることができる。この場合も同様に、菱形又は方形部302は、互いに接続されてもよく、又は接続されていなくてもよい。方形部302が接続された場合、アノードシステム300は、印加電流システムとして作動するため電流を供給する単一変圧整流器を含むことができる。方形部302が接続されていない場合、システム300は、犠牲アノードシステムとして作動することができる。
【0049】
図9は、中実の円形部312から構成されたアノードシステム310の一実施形態の部分表面図を示す。図示の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の中実の円形部312は、図7又は図8の何れかに示すリング215及び方形部302よりも小さい。パターン形成されたアノード層214の中実の各円形部312は、より大きな部分よりもガス流に対して低い抵抗をもたらすことができるので、このようなアノードシステム310は、ガスタービンエンジン部品212の空気力学的表面を提供するのを助けることができる。加えて、図9に示すパターン形成されたアノード層214の中実円形部312は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に沿った設置がより容易とすることができる。例えば、幾つかの実施形態では、小さなネジ孔をガスタービンエンジン部品212の表面215に設けることができ、パターン形成されたアノード層214の中実円形部312にネジ山を付けて、ガスタービンエンジン部品212の表面215における孔にネジ込むことができる。このようなネジ付き接続部は、他の方法よりも製作が容易であり、及び/又はより容易に設置することができる。他の態様では、図9に示すアノードシステム310は、前出のアノードシステムと同様とすることができる。具体的には、同様の技術を用いて、固体円形部312をガスタービンエンジン部品212の表面215に取り付けることができる。加えて、固体円形部312は、印加電流システムとして作動するよう接続され、或いは、犠牲アノードシステムとして作動するよう互いに対して離れることができる。
【0050】
図10は、中空又は中実とすることができる山形部312から構成されるアノードシステム320の一実施形態の部分表面図を示す。パターン形成されたアノード層214の山形部312は、該山形部312の方向でガスタービンエンジン部品212の表面215にわたって流れるガスに対して低い抵抗をもたらすことができる。印加電流システム又は犠牲アノードシステムとしての取り付け技術及び作動に関して、アノードシステム320の山形部312は上述のアノードシステムと同様である。
【0051】
図11は、中空又は中実とすることができる矩形ストリップ332から構成されるアノードシステム330の一実施形態の部分表面図を示す。アノードシステム330の構成は、ガスタービンエンジン部品212の空気力学的特性を改善することができる。例えば、幾つかの実施形態では、パターン形成されたアノード層214の矩形ストリップ332は、排気ガス流の方向と位置合わせすることができる。従って、パターン形成されたアノード層214の矩形ストリップ332は、排気ガスに対して小さな流れ抵抗をもたらすことができ、排気ガスを特定の方向に配向する助けとすることができる。加えて、アノードシステム330の矩形ストリップ332は、印加電流システム又は犠牲アノードシステムとしての取り付け技術及び作動に関して上述のアノードシステムと同様である。
【0052】
図12は、中実である波形部分342から構成されたアノードシステム340の一実施形態の部分表面図を示す。図示の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の波形部分342は、図11のアノードシステム330と同様に排気ガス流の方向と位置合わせすることができる。従って、アノードシステム340の構成は、ガスタービンエンジン部品212の空気力学特性を改善するのを助け、及び/又はガスタービンエンジン部品212の表面215に沿って排気ガスを配向する助けとすることができる。一部の実施形態では、パターン形成されたアノード層214の波形部分342用の薄い凹型チャンネルは、幅広の形状よりもガスタービンエンジン部品212の表面215に切り込むのがより容易とすることができる。他の実施形態では、波形部分342用の直線状又はあまり曲線でないチャンネルは、製作がより容易とすることができる。他の点に関しては、アノードシステム340の波形部分342は、上記で検討したアノードシステムと同様である。
【0053】
図13から16は、印加電流システムに好適なアノードシステムの実施形態の部分表面図である。図13は、グリッド351を有するアノードシステム350の一実施形態の部分表面図を示す。幾つかの実施形態では、グリッド351は、プリント回路基板(PCB)を作製するのに用いる方法と同様のプリンティング方法によりガスタービンエンジン部品212の表面215に連続的に接着することができる。このような方法の実施例には、限定ではないが、シルクスクリーンプリンティング、写真製版、PCBミル加工、又はこれらの組合せが挙げられる。他の実施形態では、グリッド351に対応する開放部分を有する一時的マスクをガスタービンエンジン部品212の表面215に施工し、その上に金属をスプレーしてグリッド351を生成することができる。更に、システム350のグリッド351は、水平部材352と垂直部材354とを垂直配列で含む。或いは、部材352及び354は、互いに非垂直とすることができる。水平及び垂直部材352及び354は、システム350全体の電気的導通を提供する点356において相互接続される。垂直部材354は、第1の距離358だけ離間して配置され、水平部材352は、第2の距離360だけ離間して配置される。種々の実施形態では、距離358及び360は、同じであっても又は異なっていてもよい。加えて、規則的な水平及び垂直スペースで図示されているが、別の実施形態では、水平及び垂直部材352及び354は、異なる間隔又は不規則な間隔で離間してもよい。システム350の水平及び垂直部材352及び354は相互接続されているので、印加電流システムにおける変圧整流器の陰極は、システム350のグリッド351の少なくとも一部に接続することができる。印加電流システムにおける変圧整流器の正極は、ガスタービンエンジン部品212の表面215に接続することができる。従って、電子は、グリッド351の表面において水媒体から電解質を通ってガスタービンエンジン部品212に流れることができる。
【0054】
図14は、部材352及び354間に角度付きクロスメンバー372を備えたグリッド371を有するアノードシステム370の一実施形態の部分表面図である。図示の実施形態では、角度付きクロスメンバー372は、システム370を通る追加の電気的経路を提供する。このような構成は、システム370に対してより均等に分散されたスローイングパワーを提供することができる。システム370の他の態様は、図13のシステム350と同様である。例えば、限定ではないが、プリンティング、スプレーコーティング、ブラッシング、電気化学的堆積、浸漬、フォトエッチング、スパッタリング、又はこれらの組合せなどの技術を用いて、ガスタービンエンジン部品212の表面215にグリッド371を取り付けることができる。
【0055】
図15は、山形部382を備えたグリッド381として構成されたアノードシステム380の一実施形態の部分表面図である。図示の実施形態では、山形部382は垂直部材と相互接続する。システム380のこのような構成は、ガスタービンエンジン部品212の表面215にわたって山形部382の方向で通過する排気ガスに対して空気力学上の利点を提供することができる。印加電流システムとしての取り付け技術及び作動に関して、アノードシステム380の山形部382は、アノードシステム350及び370と同様である。
【0056】
図16は、三角部392を備えたグリッド261としてパターン形成されたアノードシステム390の一実施形態の部分表面図である。図示の実施形態における三角部392は、交互する角度付きクロスメンバー372から形成される。図14のシステム370と同様に、このような構成は、システム390に対してより均等に分散されたスローイングパワーを提供することができる。システム390の他の態様は、上記で検討した印加電流システムと同様である。
【0057】
図17は、アノード層214への電流を調整するコントローラを含む、システム400の一実施形態の概略図を示す。印加電流システムの図示の実施形態では、電源402は、変圧整流器404に交流電流(AC)のような比較的一定の電流源を提供する。例えば、電源402は、変圧整流器404に高電圧3相ACを提供することができ、電圧をより低い電圧まで「漸減」し、ACを直流(DC)に変換することができる。変圧整流器404の正端子を第1の接続部406においてアノード層214に接続し、第2の接続部408においてガスタービンエンジン部品212に負端子を接続することによって、変圧整流器404は、アノード層214及びガスタービンエンジン部品212にわたって電位差を提供する。水媒体中の電気的接触及びイオン接触によるガスタービンエンジン部品212及びアノード層214の接続により電気化学的回路が完成する。従って、電子が、アノード層214表面において水媒体から電解質を通ってガスタービンエンジン部品212に流れる。しかしながら、電気化学的電流は、慣習により反対方向に流れるとされている。
【0058】
加えて、参照電極410は、システム400の変圧整流器404に接続することができる。参照電極410は、固定電位を表すことができ、該電位に対してガスタービンエンジン部品212の測定した電位を比較することができる。加えて、変圧整流器404は、参照電極410及びガスタービンエンジン部品212にわたる適正な防食電位を維持するためのコントローラとして機能することができる。防食電位は、上述のような実験室試験又は実際の作動測定値に基づいて決定することができる。例えば、幾つかの実施形態では、参照電極410は、変圧整流器404へのフィードバックによって、参照電極410及びガスタービンエンジン部品212にわたる測定電位が適正な防食電位よりも低いことを示すことができる。次いで、変圧整流器404は、アノード層214とガスタービンエンジン部品212との間の電位差を増大させることができ、アノード層214からガスタービンエンジン部品212への電流が増大するようにする。従って、参照電極410及び変圧整流器404を用いることにより、システム400は、変化する状態に応答して連続的に調整し、ガスタービンエンジン部品212の腐食低減を助けることができる。加えて、システム400は、印加電流システムを提示するが、犠牲アノードがガスタービンエンジン部品212に結合され、上述のような腐食保護のバックアップ方法として機能を果たすことができる。
【0059】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない部品を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な部品を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0060】
100:統合型ガス化複合サイクル(IGCC)システム
102:燃料源
104:原材料調製ユニット
106:ガス化装置
108:スラグ
110:ガス清浄器
111:硫黄
112:硫黄処理装置
113:塩
114:水処理ユニット
116:炭素捕捉システム
118:ガスタービンエンジン
120:燃焼器
122:空気分離ユニット(ASU)
123:補助空気圧縮機
124:希釈窒素(DGAN)圧縮機
128:冷却塔
130:タービン
131:駆動シャフト
132:圧縮機
134:負荷
136:蒸気タービンエンジン
138:排熱回収ボイラ(HRSG)システム
140:第2の負荷
142:凝縮器
162:長手方向軸線
164:燃料ノズル
166:燃焼セクション
168:空気吸入セクション
172:1次燃焼領域
174:2次燃焼領域
176:移行部品
178:ブレード
180:排気セクション
210:表面上に隆起したアノード層を備えるシステム
212:ガスタービンエンジン部品
214:アノード層
215:表面
216:接合部
218:高さ
220:幅
222:分離距離
240:表面下に凹型のアノード層を備えたシステム
250:2つの異なる犠牲アノード層を備えたシステム
252:第1のアノード層
254:第2のアノード層
256:接合部
258:第1の高さ
260:第2の高さ
270:交互する横並びの2つのアノード層の一部を備えたシステム
272:第1の幅
274:第2の幅
290:中空円形で構成されたアノードシステム
292:リング
300:菱形で構成されたアノードシステム
302:菱形部
310:中実円形で構成されたアノードシステム
312:中実円形部
320:山形で構成されたアノードシステム
321:山形部
330:矩形ストリップで構成されたアノードシステム
332:矩形ストリップ
340:波形部で構成されたアノードシステム
342:波形部
350:グリッドを有するアノードシステム
351:グリッド
352:水平部材
354:垂直部材
356:相互接続点
358:第1の距離
360:第2の距離
370:角度付きクロスメンバーを備えたグリッドを有するアノードシステム
371:角度付きクロスメンバーを備えたグリッド
372:角度付きクロスメンバー
380:山形部を有するグリッドとして構成されたアノードシステム
381:山形部を有するグリッド
382:山形部
390:三角部を有するグリッドとして構成されたアノードシステム
391:三角部を有するグリッド
392:三角部
400:アノード層への電流を調整するコントローラを含むシステム
402:電源
404:変圧整流器
406:第1の接続部
408:第2の接続部
410:参照電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流経路に曝される表面(215)を有し、第1の材料を含むタービンエンジン部品(212)と、
前記表面(215)上に配置された犠牲アノード層(214)と
を備えるシステムであって、前記犠牲アノード層(214)が、前記第1の材料よりも電気化学的により活性の第2の材料を含み、該第2の材料が、優先的に腐食し前記第1の材料を腐食から保護するよう構成されている、システム。
【請求項2】
前記犠牲アノード層(214)が、前記第2の材料のパターン形成された層を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記パターン形成された層が、互いに接続された複数の犠牲アノード部分を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記パターン形成された層が、互いに接続されていない複数の犠牲アノード部分を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記パターン形成された層が、前記表面に連続的に接着されたパターン形成されたコーティングを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記犠牲アノード層(214)が、前記第1の材料及び前記第2の材料よりも電気化学的により活性の第3の材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の材料が、複数の第1の犠牲アノード部分の第1のパターンで配置され、前記第3の材料が、複数の第2の犠牲アノード部分の第2のパターンで配置され、前記第1及び第2の犠牲アノード部分が、横並びで、又は表面に対して重なって配置される、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の材料が、前記第1の材料よりも電気化学的活性が少なくとも約10%よりも大きい、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の材料が、炭素鋼、アルミニウム、混合金属酸化物、又はこれらの組合せを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記タービンエンジン部品(212)が、ガスタービン燃焼器(120)又はガスタービンエンジン(118)のガスタービンセクションの一部であり、前記流体流経路が燃焼ガス経路である、請求項1記載のシステム。
【請求項1】
流体流経路に曝される表面(215)を有し、第1の材料を含むタービンエンジン部品(212)と、
前記表面(215)上に配置された犠牲アノード層(214)と
を備えるシステムであって、前記犠牲アノード層(214)が、前記第1の材料よりも電気化学的により活性の第2の材料を含み、該第2の材料が、優先的に腐食し前記第1の材料を腐食から保護するよう構成されている、システム。
【請求項2】
前記犠牲アノード層(214)が、前記第2の材料のパターン形成された層を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記パターン形成された層が、互いに接続された複数の犠牲アノード部分を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記パターン形成された層が、互いに接続されていない複数の犠牲アノード部分を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記パターン形成された層が、前記表面に連続的に接着されたパターン形成されたコーティングを含む、請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記犠牲アノード層(214)が、前記第1の材料及び前記第2の材料よりも電気化学的により活性の第3の材料を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の材料が、複数の第1の犠牲アノード部分の第1のパターンで配置され、前記第3の材料が、複数の第2の犠牲アノード部分の第2のパターンで配置され、前記第1及び第2の犠牲アノード部分が、横並びで、又は表面に対して重なって配置される、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の材料が、前記第1の材料よりも電気化学的活性が少なくとも約10%よりも大きい、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の材料が、炭素鋼、アルミニウム、混合金属酸化物、又はこれらの組合せを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記タービンエンジン部品(212)が、ガスタービン燃焼器(120)又はガスタービンエンジン(118)のガスタービンセクションの一部であり、前記流体流経路が燃焼ガス経路である、請求項1記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−247255(P2011−247255A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110892(P2011−110892)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
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