説明

タービン制御装置,その制御方法及びタービンシステム

【課題】
従来の制御では、テスト弁以外の弁の流量を組み合せた蒸気流量特性に基づいて弁を制御する場合、その為に弁テスト対象外の弁の組合せによる蒸気流量特性を求めておく必要がある。
【解決手段】
流量指令部からの要求流量信号を、一つのタービンの流体流量を調整する複数の制御弁の開度信号に変換して制御弁を制御するタービン制御装置において、前記複数の制御弁の一つの弁テストを実施中に、弁テスト対象弁とその他の制御弁の開度に基づいてタービンに流入する流量を算出する機能と、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する機能と、前記要求流量信号へ前記補正量を加算する機能を備えることを特徴とするタービン制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁の動作機能を確認する弁テスト時に生じるタービンに供給される流体流量の変動を制御する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンの制御は、一つのタービンが有する複数の制御弁を制御し、タービンに流入する流体流量を調整することによって制御される。タービンの流量を決める流量指令部からの要求流量信号を、複数の制御弁の開度信号に変換して制御弁を制御する。
【0003】
この複数の制御弁については、弁が故障していないか確認する為、タービンを動作させ流量を維持したまま、一つのタービンについて備えられた複数の制御弁のうちの一つの弁を開閉動作させることにより弁テストを行っている。この弁テストの際には、タービンの流量を変動させない様に補償することが必要である。
【0004】
特開平9−189204号公報には、予め弁テスト対象外の弁の組合せによる蒸気流量特性を求め、これらをそれぞれの補正開度指令設定手段に記憶させることにより、補正開度指令を算出する流量補償の技術(〔0027〕,〔0028〕,図3)が記載されている。これは、一つのタービンに4つの弁が備わっている場合、一つのテスト弁を補償する為にテスト弁以外の3つの弁の蒸気流量特性を別途作成し、他の弁をテストする場合や、テストの際の維持する流量によっても蒸気流量特性は異なるため、多数の蒸気流量特性を予め求める必要がある。
【0005】
【特許文献1】特開平9−189204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の弁テストでは、テスト弁以外の弁の流量を組み合せた蒸気流量特性に基づいて弁を制御することについては記載されているが、その為に弁テスト対象外の弁の組合せによる蒸気流量特性を求めておく必要がある。
【0007】
一つの蒸気流量特性に基づいた簡単な構成で、テスト弁の流量変動を補償することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の制御弁の一つの弁テストを実施中に、弁テスト対象弁とその他の制御弁の開度に基づいてタービンに流入する流量を算出し、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出し、流量指令部からの要求流量信号へ前記補正量を加算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
一つの蒸気流量特性に基づいた簡単な構成で、テスト弁の流量変動を補償できる制御を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下図面を用いて本発明を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の弁テスト要求流量補償回路を備えたタービン制御回路を示し、弁テスト要求流量補償回路1を追設したことを特徴とする。図においてタービンに流入する蒸気流量を調整する弁CV−A〜D(加減弁A〜D)が設けられているが、弁テスト時に一つの弁が閉方向に動作を開始することによって、タービンに供給される蒸気流量が変動する。本発明では追設した弁テスト要求流量補償回路1にて蒸気流量の変動を補償する。
【0012】
蒸気流量指令部6は、負荷とタービン回転速度によりCV蒸気要求流量信号29を求め、出力する。CV−A〜Dの各々に対して定められた関数f1(x)〜f4(x)10〜13は、CV蒸気要求流量信号29を開度指令値信号20〜23に変換する。弁のテスト時ではない通常運転時は、変換された開度指令値信号20〜23によりCV−A〜Dの各弁は制御される。テスト時には、テスト信号発生器9は、CV−A弁テストが開始されると、CV−Aを一定の速度で全閉位置まで閉方向に動作させる指令値をもつCV−Aの弁テスト信号28を出力する。弁テスト要求流量補償回路1は、CV−A〜D各弁の開度指令値信号に基づいてCV蒸気要求流量信号29に補正量を加え、変動を抑制する。
【0013】
弁テスト要求流量補償回路1は、ON信号発生器24,スイッチ5,関数f5(x)
8(x)14〜17,加算回路18,保持回路2,比較器3,減算器8,積分器4を有する。
【0014】
ON信号発生器24は、CV−Aの弁テスト信号28が0以外の指令値を入力した場合にON信号を出力し、そのON信号によって保持回路2とスイッチ5が動作する。
【0015】
スイッチ5は弁テスト要求流量補償回路1を動作させるためのスイッチである。
【0016】
関数f5(x)〜f8(x)14〜17は、弁開度指令値から各弁の蒸気流量信号へ変換し、各弁の蒸気流量をCV蒸気要求流量信号29に対する蒸気流量を算出するものである。詳細は後述する。
【0017】
加算回路18は、関数f5(x)〜f8(x)14〜17からの出力である各弁の蒸気流量信号を加算した総和流量を出力する。これは現在の制御弁蒸気流量信号30である。保持回路2は、発生器24のON信号によって動作し、弁テストを開始する前の各制御弁の蒸気流量信号を演算して得られる現在の制御弁蒸気流量信号30を保持する。
【0018】
比較器3は、保持された制御弁蒸気流量信号33(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)とを比較器3にて比較し、両信号が等しくない場合は積分器4へ信号を出力する。
【0019】
減算器8は、保持された制御弁蒸気流量信号33(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)との偏差を算出する。この制御弁蒸気流量信号33(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)の偏差34(ΔFn)は、テスト弁の変動分に対する補正量を表している。つまり、この偏差34(ΔFn)が0となる場合は、テスト弁の変動分に対して、テスト弁以外の制御弁による補償ができていることを表し、この偏差34(ΔFn)が0とならない場合は、テスト弁以外の弁の補償が不十分であり、テスト弁の変動分に対する補正量が残っていることを表す。
【0020】
積分器4は、比較器3から信号を入力した場合、つまり、制御弁蒸気流量信号33
(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)とが等しくない場合、減算器8により得られる両信号の偏差34(ΔFn)を、両信号が等しくなるまで積分演算し、それを補正量35(FS)としてCV蒸気要求流量信号29に加算する。
【0021】
この補正量35(FS)を加算されたCV蒸気要求流量信号29を、関数f1(x)
4(x)10〜13で各弁の開度信号に変換して制御弁を制御することで、テスト弁の変動流量に対してテスト弁以外の弁を制御する。一つのタービンに対する各弁の蒸気流量特性を一つ備えるだけの簡単な構成での制御ができ、テスト用に別途、テスト弁以外の他の弁の蒸気流量特性を求めることなく制御が可能である。
【0022】
図2の流量補償回路動作フローを説明する。
【0023】
ステップ1では、弁テスト開始によりスイッチがオンとなり、蒸気流量補償回路が機能し、テスト開始直前の制御弁蒸気流量を保持する。CV−A弁テストが開始されると、テスト信号発生器9により、CV−Aを一定の速度で全閉位置まで閉方向に動作させる指令値をもつCV−Aの弁テスト信号28が発せられ、この弁テストに用いられる弁テスト信号28が入ったCV−A制御回路は本来の開度指令値信号20とは無関係にCV−Aの弁テスト信号28の指令によりCV−Aを制御し、CV−A弁テストを実施する。同時に、CV−A弁テスト信号が0以外の指令値をもつ場合にON信号を発する発生器24を用い、そのON信号によって保持回路2が動作し、弁テストを開始する直前の各制御弁の弁開度を演算して得られる現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)が保持回路2に保持され、また弁テスト要求流量補償回路1を動作させるスイッチ5がオンされる。この保持回路2は、弁テストを開始する直前のCV蒸気要求流量信号29を保持する構成としても良い。この保持回路2により、テスト前の流量としてCV蒸気要求流量信号29又は現在の制御弁蒸気流量信号30が、保持された制御弁蒸気流量信号33(FH)として保持される。
【0024】
ステップ2,3では、保持された制御弁蒸気流量信号33(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)とを比較する。加減弁制御においては、負荷とタービン回転速度により求められるCV蒸気要求流量信号29をCV−A〜Dの各々に対して定められた関数f1(x)〜f4(x)10〜13にて開度指令値信号20〜23に変換し、弁制御を行う。各加減弁の開度指令値信号は関数f5(x)〜f8(x)14〜17により各制御弁からタービンに流入する蒸気流量信号に変換され、その総和を加算回路18にて求め、現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)を得る。テスト時にテスト信号28が入力されている場合の開度指令値信号20は、テスト信号発生器から送信される開度指令値信号を用いる。前記保持された制御弁蒸気流量信号33(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)とを比較器3にて比較する。
【0025】
ステップ4,5,7では、ステップ3で両信号が等しくない場合、減算器8により得られる両信号の偏差34(ΔFn)を、積分器4により両信号が等しくなるまで積分演算し(Step4,5)、それを補正量35(FS)としてCV蒸気要求流量信号29に加算する(Step7)。
【0026】
ステップ6,7では、比較器にて両信号が等しくなると、積分器4は前記積分演算を終了し、出力信号を積分器の(B)にフィードバックすることで補正量35を保持し、それをCV蒸気要求流量信号29に加算する(Step6,7)。
【0027】
比較器にて再び両信号が等しくなくなると(Step2,3)、偏差34を積分演算した値に、保持していた値を付加して出力し、それを補正量35としてCV蒸気要求流量信号
29に加算する(Step4,5,7)。
【0028】
CV−Aが全閉した後、CV−A弁テスト信号28がもつ指令値はCV−Aを一定の速度でテスト前の位置まで開方向に動作させるものとなり、CV−Aが開方向に動作をする場合も同様に弁テスト要求流量補償回路1では、上記の動作を繰り返し行う。
【0029】
ステップ8では、その後弁テスト信号28の指令値が0となると、CV−Aがテスト前の位置に復帰し、ON信号発生器24の出力がOFFとなることで、保持回路の動作、及びテスト弁要求流量補償回路のスイッチもOFFとなり、弁テストを終了する(Step8)。
【0030】
尚、理解を容易とする為、比較器3を記載したが、積分器4が常に前回の補正量と今回の偏差を積算するので、今回の偏差が0の場合も同様に前回の補正量を出力する為、判定器36は無くても良い。
【0031】
積分器4について詳細を説明する。積分器4は、偏差34(ΔFn)を積分演算している。これは、定常状態時のオフセット分に対する追従性を上げるものである。積分器4が無い場合、比例制御により補償し、定常状態となったときに、オフセット分が生じる。積分器4を設けることにより、このオフセット分を補正し目標値であるCV蒸気要求流量信号29へ追従させることができる。このオフセット分が微小であるとして補正する必要が無い場合は、積分器4は不要である。
【0032】
関数f1(x)〜f4(x)10〜13について詳細を説明する。関数f1(x)〜f4(x)10〜
13は、CV蒸気要求流量信号29を各弁の弁開度指令値へ変換するものである。その変換の一例を図4に示す。図4は、部分噴射方式における蒸気流量要求信号と弁開度との関係を示したものである。複数弁の制御弁が個々の非線形特性を備え、複数弁間で互いの弁流入量を補正し、総合的にタービン蒸気流量を決定する部分噴射方式においては、各弁単位で弁テスト時の補正量が大きく相違してしまう。例として、図4中に点線矢印で示す
T1点でCV−Aの弁テストを開始した場合、蒸気流量要求信号が増方向に変化しても
CV−C,Dは閉方向に動作する。各弁の開度とその開度での出力流量の関係は一対一に定まる。図4では、CV蒸気要求流量信号と各弁の開度を対応づけているが、この弁開度を流量に変換すれば、CV蒸気要求流量と各弁の流量が対応することとなる。
【0033】
関数f5(x)〜f8(x)14〜17について詳細を説明する。関数f5(x)〜f8(x)14〜
17は、弁開度指令値を各弁の蒸気流量信号へ変換する関数である。弁の開度とその開度での出力流量の関係は各弁の仕様として一対一に定まるので、各弁についての弁開度と流量の関係を予め定めたものを関数f5(x)〜f8(x)14〜17として設定する。
【0034】
図3に図4に示す特性をもつ弁テストを実施した際のテスト対象弁(CV−A)の開度,他弁(CV−B〜D)の開度,補正量,現在の制御弁蒸気要求流量,負荷の状態を示す。
【0035】
まず、T1にて弁テストを開始し、CV−Aが一定のレートで閉方向に動作を始める。このとき、その特性からCV−C,Dも同様に閉方向に動作するため、保持された制御弁蒸気要求流量信号と現在の制御弁蒸気要求流量信号との間に大きな偏差が生じ、CV−Cが開方向に動作を始めるT2まで補正量は速やかに増加する。T2にてCV−Cが開方向に動作を始めた為、補正量の増加は多少緩やかとなり、さらにCV−Dも開方向に動作を始めるT4を超えた後は、補正量が偏差に追従するため、補正量は一定に増加する。制御弁蒸気要求流量と負荷は、T3を超えたあたりでもとの状態にもどり、そのまま一定に推移する。
【0036】
T4にてCV−Aが全閉し、続いてT5からCV−Aはもとの開度まで一定のレートで開方向に動作を始める。このとき、各種状態は前記CV−Aが閉方向に動作する場合とは逆の変化を示し、CV−Aがテスト前の位置に戻った後、弁テストを終了する。
【0037】
図1の様に補償する際に、タービンの制御結果を表示する表示装置を設け、保持された制御弁蒸気流量信号33(FH)と現在の制御弁蒸気流量信号30(Fn)を表示し、これらを監視する制御システムとすれば、テスト前の流量に対する現在の弁全体としての総和流量の追従性を把握することができる。
【実施例2】
【0038】
図5に別の補償回路の例を示す。図1と異なる個所を説明する。
【0039】
保持回路2は、テスト前の流量を保持せず、テスト前の各テスト弁の開度信号を保持している。保持回路2が動作するのは、図1と同様にON信号発生器24による。
【0040】
減算器37は、テスト弁CV−Aについての減算器であり、保持回路2によりテスト前に保持された開度信号と、現在の開度信号である弁テスト信号28の開度信号を流量変換したのち、減算し、テスト時におけるCV−Aの変動流量40を算出する。
【0041】
減算器38は、テスト弁以外の弁についての減算器であり、保持回路2によりテスト前に保持された各弁の開度信号と、現在の各弁の開度信号を流量変換したのち、減算し、テスト時におけるCV−B〜Dの変動流量41を算出する。
【0042】
減算器39は、CV−Aの変動流量40とCV−B〜Dの変動流量41を減算することにより偏差34(ΔFn)を算出する。この偏差34が0で無い場合は、テスト弁のCV−Aの減少量に対して、CV−B〜Dの増加分が補償されておらず、この偏差34は補正量35としてCV蒸気要求流量信号29に加算される。この偏差34が0の場合は、テスト弁のCV−Aの減少量に対して、CV−B〜Dの増加分が補償されたので、補正は十分となったこととなる。
【0043】
この図では、テスト弁CV−Aについて記載したが、テスト弁CV−Bについてテストをする際には、減算器37に入力する信号をテスト弁CV−Bの信号に変え、減算器38に入力する信号も、テスト弁CV−B以外のCV−A,C,D弁について変更すれば良い。この変更は弁テスト信号に基づいて切替えることとすれば良い。
【0044】
図5の様に補償する際に、タービンの制御結果を表示する表示装置を設け、変動流量
40,41を表示し、これらを監視する制御システムとすればテスト弁の変動流量40に対する他の弁の変動流量41の追従性を把握することができる。
【0045】
また、図5においても、図1と同様に、積分器4を更に設け、定常状態のオフセット分に対する追従性を上げることができる。
【0046】
図1及び図5に記載した構成の共通するタービン制御装置として、流量指令部からの要求流量信号を、一つのタービンの流体流量を調整する複数の制御弁の開度信号に変換して制御弁を制御するタービン制御装置において、複数の制御弁の一つの弁テストを実施中に、弁テスト対象弁とその他の制御弁の開度信号に基づいてタービンに流入する流量を算出する機能と、算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する機能と、要求流量信号へ補正量を加算する機能を備えるタービン制御装置が挙げられる。これにより、一つの蒸気流量特性に基づいた簡単な構成での制御ができる。
【0047】
また、本発明のタービン制御装置をタービンに適用することで、テスト用に別途流量特性を求めることなく、一つの蒸気流量特性に基づいた簡単な構成でタービンを制御でき、弁の開度を用いて制御する為、タービン出力として実測される計測値に反映される前に、テスト弁の変動分を早期に補償でき、タービンの要求流量への追従性を向上することができる。
【0048】
尚、本例は発明を実施する最良の形態であり、従来使用されている蒸気圧力量,蒸気タービン内の発電機出力を補正量として更に加えても良い。
【0049】
また、上記実施例では、蒸気タービンについて説明したが、ガスタービン等の他の流体によるタービン制御についても適用できる。
【0050】
また、上記実施例では、開度指令値信号を用いているが、弁の開度を実測した開度信号を用いても良い。開度指令値信号を用いる方が弁の応答を介在しない分、追従性が良い。しかし、実測した弁の開度信号を用いる方が、実際のタービン出力に沿ったものとすることができる。これら両方を含んで開度信号とする。
【0051】
また、本発明の制御装置や補償回路等は、計算機にその機能を達成させる為のプログラムや、そのプログラムを記憶した記憶媒体とすることによっても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】弁テスト要求流量補償回路を備えたタービン制御回路の一実施例。
【図2】流量補償回路動作フロー図。
【図3】弁テスト実施時の動作状態。
【図4】部分噴射方式における蒸気流量要求信号と弁開度との関係。
【図5】弁テスト要求流量補償回路を備えたタービン制御回路の別の実施例。
【符号の説明】
【0053】
1…弁テスト要求流量補償回路、2…保持回路、3…比較器、4…積分器、5…スイッチ、6…蒸気流量指令部、7…加算器、8…減算器、9…テスト信号発生器、10〜13…関数f1(x)〜f4(x)、14〜17…関数f5(x)〜f8(x)、18…加算回路、20〜23…開度指令値信号、24…ON信号発生器、28…弁テスト信号、29…CV蒸気要求流量信号、30…現在の制御弁蒸気流量信号、31…リセット、33…保持された制御弁蒸気流量信号、34…偏差、35…補正量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量指令部からの要求流量信号を、一つのタービンの流体流量を調整する複数の制御弁の開度信号に変換して制御弁を制御するタービン制御装置において、前記複数の制御弁の一つの弁テストを実施中に、弁テスト対象弁とその他の制御弁の開度に基づいてタービンに流入する流量を算出する機能と、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する機能と、前記要求流量信号へ前記補正量を加算する機能を備えることを特徴とするタービン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタービン制御装置において、
前記要求流量信号へ前記補正量を加算する機能は、前記テスト弁の変動分に対する補正量を積分演算したものを補正量として前記要求流量信号へ加算する機能を有することを特徴とするタービン制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載のタービン制御装置において、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する機能は、前記弁テストに用いられる弁テスト信号が入力される前の蒸気流量信号を保持する保持回路と、前記算出した流量の総和の流量と前記保持した蒸気流量信号の差を補正量として算出する減算器とで構成されることを特徴とするタービン制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のタービン制御装置において、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する機能は、前記弁テストに用いられる弁テスト信号が入力される前の各弁の開度信号を保持する保持回路と、弁テスト対象弁についての前記算出した流量と弁テスト前の流量の偏差を算出する減算器と、その他の制御弁についての前記算出した流量と弁テスト前の流量の偏差を算出する減算器と、前記2つの偏差の差を補正量として算出する減算器とで構成されることを特徴とするタービン制御装置。
【請求項5】
一つのタービンの有する複数の制御弁のうちの、一つの弁をテストする制御弁のテスト方法において、弁テスト対象弁への開度信号を入力し、弁テスト対象弁とその他の制御弁の開度信号に基づいてタービンに流入する流量を算出し、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出し、前記要求流量信号へ前記補正量を加算し、前記補正量を加算された要求流量を前記複数の制御弁の開度信号に変換してテスト弁以外の弁を制御することを特徴とする制御弁のテスト方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御弁のテスト方法において、
前記要求流量信号へ前記補正量を加算する際は、前回算出した補正量と今回算出した補正量を加算したものを補正量として前記要求流量信号へ加算することを特徴とする制御弁のテスト方法。
【請求項7】
請求項5に記載の制御弁のテスト方法において、
前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する際は、前記弁テストを実施する際に入力される弁テスト信号が入力される直前の流量を保持し、前記算出した流量の総和の流量と前記保持した流量の差を補正量として算出することを特徴とする制御弁のテスト方法。
【請求項8】
請求項5に記載の制御弁のテスト方法において、前記算出した流量に基づいてテスト弁の変動分に対する補正量を算出する際は、前記弁テストを実施する際に入力される弁テスト信号が入力される直前の各弁の開度を保持し、弁テスト対象弁についての前記算出した流量と弁テスト前の流量の偏差を算出し、その他の制御弁についての前記算出した流量と弁テスト前の流量の偏差を算出し、前記2つの偏差の差を補正量として算出することを特徴とする制御弁のテスト方法。
【請求項9】
タービンと、一つのタービンの流体流量を調整する複数の制御弁を制御するタービン制御装置と、前記タービンの制御結果を表示する表示装置とを有するタービン制御システムにおいて、前記制御装置は、前記複数の制御弁の一つの弁テストを実施中に、弁テスト対象弁とその他の制御弁の開度信号に基づいてタービンに流入する流量を算出する機能と、前記算出した流量の総和流量を算出する機能と、前記表示装置に前記算出した総和流量とテスト前の流量とを表示する機能を有することを特徴とするタービン制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載のタービン制御システムにおいて、前記算出した流量の総和流量を算出する機能と、前記表示装置に前記算出した総和流量を表示する機能に代えて、弁テスト対象弁についての、前記算出した流量と弁テスト前の流量の偏差を算出する機能と、その他の制御弁についての、前記算出した流量と弁テスト前の流量の偏差を算出する機能と、前記2つの算出した偏差を表示する機能を有することを特徴とするタービン制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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