説明

タービン制御装置

【課題】分散電源増加に伴う集中電源の柔軟性及び制御性向上を目的とし系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替える場合においても制御対象となる加減弁制御の連続性を維持し、制御対象の発電出力と系統を安定に維持させる。
【解決手段】タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る調定率関数発生器と、負荷指令値を与える負荷設定器と、開度指令値と負荷指令値の加算信号をガバナ指令値としてタービン入口の蒸気加減弁の弁開度を制御するタービン制御装置において、タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る異なる調定率を与える複数の調定率関数発生器と、複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替器と、切替器による出力選択の前後での切替器出力の差を補正信号として記憶する補正信号記憶回路と、補正信号記憶回路の補正信号と負荷要求信号の和として負荷指令値を得る負荷設定器とを備え、切替器による出力選択の前後で前記ガバナ指令値の変動を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタービン制御装置に係り、特に複数の非線形速度調定率を有して、電力系統の運用状況に応じて切替使用するタービン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
系統並列運転中のタービンにおいて、加減弁の開度を制御するための重要な要素に速度調定率がある。一般には速度調定率を超える程度の回転数偏差が発生すると加減弁は全開または全閉する制御が行われ、反対に速度調定率を超えない程度の偏差の場合には加減弁は偏差に比例した開度となるような制御が行われている。
【0003】
係る制御に使用する速度調定率としては、従来から単一の速度調定率を備えているが、応答性が要求される状況、例えば負荷遮断時などの場合には、急速に加速及び減速することが難しく、火力発電プラントの制御にとり望ましいものでは無かった。つまり、単一の速度調定率として通常の系統並列運転時に好適な速度調定率に設定されていた場合には、この速度調定率のままで例えば負荷遮断時などの応答性が要求される状況に適合することが困難である。
【0004】
このため、複数の速度調定率または、非線形速度調定率関数を用いることが行われてきた。これにより、通常の系統並列運転時に好適な速度調定率と、負荷遮断時に好適な速度調定率を備えることができる。特許文献1では負荷遮断時において、火力発電プラントを安定に制御させるために速度調定率を負荷遮断時と系統並列運転時とに分け、それらを切り替える手段を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−25805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の電力系統では多数の分散電源が設置されるようになってきた。係る電力系統の構成変化に対し、火力発電プラントが果たすべき役割として特許文献1のように負荷遮断時において、火力発電プラントを安定に制御させることが一側面としてあるが、通常の系統並列運転状態においても分散電源の運転状態に応じて系統変動に貢献できるものとする必要がある。
【0007】
多数の分散電源を備えた電力系統において通常の系統並列運転を安定に行うことを考慮すると、火力発電プラントとして特許文献1のように、単一の非線形速度調定率関数を用いることは、系統変動における集中電源としての寄与など柔軟性が保てず安定した電力供給の面で望ましいものではない。
【0008】
これに対して、火力発電プラントとして単一の非線形速度調定率関数を備えるのではなく、複数の非線形速度調定率関数を備え、通常の系統並列運転状態の中でこれらを切り替えて使用することが考えられる。
【0009】
例えば分散電源からの発生電力が不安定な場合には、火力発電プラントとして大きな速度調定率を発生させる非線形速度調定率関数を使用して、火力発電プラントが分散電源からの発生電力の過不足を、積極的にかつ、迅速に補うように作動させることが考えられる。
【0010】
他方で、分散電源からの発生電力が安定な場合には、火力発電プラントとして比較的小さな速度調定率、または定格回転数近傍に不感帯を持たせた非線形速度調定率関数を用いることにより、火力発電プラントとしては一定の電力を安定に供給させることとし、系統を安定に維持することが考えられる。
【0011】
しかし、系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替えて運転した場合、切り替えた瞬間に速度調定率が不連続となることによるガバナ信号の急変と、これに伴う加減弁の開度の変化により、タービン回転数の変化とこれによる系統周波数の変化が生じ、系統を維持することが困難となる。
【0012】
本発明は、今後の分散電源増加に伴う集中電源の柔軟性及び制御性向上を目的とし系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替える場合においても制御対象となる加減弁制御の連続性を維持し、制御対象の発電出力と系統を安定に維持させるタービンの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では、タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る調定率関数発生器と、負荷指令値を与える負荷設定器と、開度指令値と負荷指令値の加算信号をガバナ指令値としてタービン入口の蒸気加減弁の弁開度を制御するタービン制御装置において、タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る異なる調定率を与える複数の調定率関数発生器と、複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替器と、切替器による出力選択の前後での切替器出力の差を補正信号として記憶する補正信号記憶回路と、補正信号記憶回路の補正信号と負荷要求信号の和として負荷指令値を得る負荷設定器とを備え、切替器による出力選択の前後で前記ガバナ指令値の変動を抑える。
【0014】
また、複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替操作をタービンの通常運転状態において実行する。
【0015】
また、発電機出力の目標値と、検出した発電機出力の差に応じて負荷要求指令を定める第1の制御回路と、発電機出力の目標値と負荷指令値とを用いて負荷要求指令を定める第2の制御回路とを備え、切替器による出力選択の前に第1の制御回路の出力を負荷要求指令に定め、切替器による出力選択の後に第2の制御回路の出力を負荷要求指令に定める。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明では、タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る調定率関数発生器と、負荷指令値を与える負荷設定器と、開度指令値と負荷指令値の加算信号をガバナ指令値としてタービン入口の蒸気加減弁の弁開度を制御するタービン制御装置において、タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る異なる調定率を与える複数の調定率関数発生器と、複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替器と、切替器による出力選択の前後での切替器出力の差を補正信号として記憶する補正信号記憶回路と、補正信号記憶回路の補正信号と負荷要求信号の和として負荷指令値を得る負荷設定器と、発電機出力の目標値と、検出した発電機出力の差に応じて負荷要求指令を定める第1の制御回路と、発電機出力の目標値と負荷指令値とを用いて負荷要求指令を定める第2の制御回路と、切替器による出力選択の前に第1の制御回路の出力を負荷要求指令に定め、切替器による出力選択の後に第2の制御回路の出力を負荷要求指令に定める。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、系統側要求による系統並列運転中に複数の速度調定率を任意に切り替えた場合でも、速度調定率関数の切替に伴う加減弁の突変を防止することが可能となり、電力系統の需給に応じた安定したプラント制御が実現でき、電力系統の安定な運用を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例によるタービン制御装置の構成を示す図。
【図2】関数選択器7の構成を示す図。
【図3】調定率関数発生器2の関数を示す図。
【図4】調定率関数発生器3の関数を示す図。
【図5】調定率関数発生器4の関数を示す図。
【図6】調定率関数発生器5の関数を示す図。
【図7】速度調定率関数2から3へ切替時の各信号を示す図。
【図8】速度調定率関数3から2へ切替時の各信号の変化を示す図。
【図9】本発明の第2の実施例によるタービン制御装置の構成を示す図。
【図10】第2の実施例のボイラ制御装置の回路構成の主要部を示す図。
【図11】第2の実施例で速度調定率関数2から3へ切替時の各信号を示す図。
【図12】第2の実施例で速度調定率関数3から2へ切替時の各信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本実施例におけるタービン制御装置の構成である。タービン制御装置201は、タービン30の蒸気導入部に設けられた例えば4組の蒸気加減弁25〜28の開度を制御する。開度調整された蒸気加減弁25〜28により、ボイラ20からタービン30へ導入される駆動蒸気量を調整する。発電機29は、タービン30により駆動される。
【0021】
タービン制御装置201は、回転数検出器31で検出したタービン回転数101を入力し、最終的に蒸気加減弁25〜28に対する開度指令信号110−113を与える。このために、タービン制御装置201は、定格回転数設定器1、調速指令計算回路202、負荷設定回路203、負荷制限器10、低値選択回路11及び加減弁開度指令器12〜15を備える。以下、各部の詳細回路構成とその動作について説明する。
【0022】
まず、調速指令計算回路202は、調定率関数発生器2〜5、切替器6、関数選択器7、及び選択信号発生回路8から構成されている。この速度調定率計算回路202は、タービン回転数101と定格回転数設定器1との差である回転数偏差102を入力としている。
【0023】
回転数偏差102は、図3から図6に例示する調定率関数発生器2〜5に入力される。図3から図6の調定率関数発生器2〜5の関数は、いずれも横軸に回転数偏差102(x[rpm])、縦軸に出力f(x)を示している。
【0024】
各調定率関数発生器の関数についてごく簡単に説明すると、図3の調定率関数発生器2の関数は、全領域で入力xに比例する出力f1(x)を与えるが、そのときのゲインは、例えば0.67とされている。
【0025】
図4の調定率関数発生器3の関数は、入力xが10[rpm]以内では出力せず、10[rpm]を超える領域では比例的に出力を与えるような出力f2(x)とされる。この関数では、回転数偏差102が±10[rpm]よりも小さい領域では不感帯とされており、速度制御を実行しない。
【0026】
図5、図6の調定率関数発生器4,5の関数は、全領域で入力xに対応して出力f3(x)、f4(x)を与えるが、回転数偏差102が±10[rpm]よりも小さい領域でのゲインが低く抑えられている。
【0027】
これらの関数は、通常の系統並列運転状態の中で適宜の条件に応じて切替使用される。例えば、回転数偏差102が発生したときに積極的に応答して電力系統の安定化に貢献させるガバナフリー運転を行うときには、図3の調定率関数発生器2の関数を選択するのがよい。また基底負荷運転を行うような場合には、図4の調定率関数発生器3の関数として回転数偏差102の変動には応答させないようにするのがよい。
【0028】
調速指令計算回路202の切替器6には、以上説明した図3から図6の調定率関数発生器2〜5の関数に速度偏差信号102を印加し得られた信号が与えられている。切替器6では、関数選択器7の出力によって複数の調定率関数発生器の出力の1つを選択し、これを開度指令値103とする。
【0029】
選択信号発生回路8は、通常の系統並列運転状態の中で適宜の条件に応じて調定率関数を変更するときに作動して出力を与える。関数選択器7は、選択信号発生回路8の出力により、切替器6を操作して新たに開度指令値103を決定すると共に、関数の切替過渡時における開度指令値103の変化分に応じた変動を抑止する為の補正信号104を出力する。
【0030】
図2は、関数選択器7の詳細な構成を示したものである。関数選択器7は、関数記憶回路71、補正信号演算回路72、及び前回選択関数記憶回路73からなる。関数選択器7には、回転数偏差信号102と選択信号発生回路8からの選択信号とが入力され、切替器6に切替信号を与え、後段の負荷設定回路203に補正信号を与える。
【0031】
関数記憶回路71は、調定率関数発生器2〜5の関数の1つを記憶するもので、選択信号発生回路8から得られる選択信号の意味する一つの調定率関数Knを記憶して補正信号演算回路72に出力する。この結果、関数記憶回路71には調定率関数切替後の新しい調定率関数が記憶されることになる。
【0032】
これに対し、前回選択関数記憶回路73は、1回前の切替信号発生回路8の出力により選択されていた調定率関数Koを記憶する。前回選択関数記憶回路73は、選択信号発生回路8の出力により、以前に選択されていた調定率関数Koを補正信号演算回路72に出力するとともに、補正信号演算回路72より出力された調定率関数Knを記憶する。
【0033】
補正信号演算回路72は、関数記憶回路71の出力Kn、前回選択関数記憶回路73の出力Ko及び回転数偏差102を用いて、前回選択関数記憶回路73に出力された関数の回転数偏差102における出力値と関数記憶回路71から出力された関数の回転数偏差102における出力値との差により生成された値を、補正信号104として出力する。また補正信号演算回路72は、前回選択関数記憶回路73へ今回選択された調定率関数Knを出力し、これを記憶することで次回切替時の前回選択関数として使用する。
【0034】
補正信号演算回路72の具体的な動作について具体的な数値で説明する。これは例えば、前回選択関数記憶回路73に記憶された関数Koが図6であり、新たに関数記憶回路71に記憶された関数Knが図3であって、回転数偏差102が10[rpm]であったとするなら、図6の関数Koから得られていた出力(3.35)と、図3の関数Knから得られる出力(6.7)の差としての出力(3.35)を補正信号演算回路72から補正信号104として出力することを意味する。
【0035】
調速指令計算回路202で求められた開度指令値103及び補正信号104は、次段の負荷設定回路203に与えられる。
【0036】
図1の負荷設定回路203は、補正信号記憶回路16、負荷設定器9、加算回路から構成される。このうち、補正信号記憶回路16は、関数切替の瞬間に生じたワンショットの補正信号104を記憶保持して負荷設定器9に与える。負荷設定器9は、プラント発電出力指令(負荷要求指令)121と、補正信号104の記憶値を入力し、負荷指令値105を出力する演算を行う。これは例えば先の例で、図6から図3に関数切替があったときに、差として与えられる出力(3.35)をワンショットの補正信号104として受け取り、プラント発電出力指令121に加算して負荷指令値105を与える。負荷設定回路203は、その後、開度指令値103と、負荷設定器9からの負荷指令値105の和として生成された値をガバナ指令値106として出力する。
【0037】
低値選択回路204は、ガバナ指令値106と負荷制限器10の出力のうちいずれか低い値を選択し、それを加減弁開度指令器12〜15へ出力する。
【0038】
加減弁開度指令器12〜15は、低値選択回路204の出力から加減弁開度指令110〜113を計算し、蒸気加減弁25〜28へ出力する。
【0039】
先にも説明したように、図3から図6は本実施例における各調定率関数発生器の関数を示したものである。いずれも図中xで示される回転数偏差102に応じて速度調定率f(x)(nは調定率関数の番号)を乗じた出力を与えるものである。
【0040】
次に図1、図2に示したタービン制御装置において、調定率関数発生器2の関数から調定率関数発生器3の関数への切替を行った場合における各部信号の変化を、図7のタイムチャートを用いて説明する。但し、定格回転数設定器1は、3000[rpm](系統周波数基準50[Hz])を定格とする信号を与えるものとする。
【0041】
この図は、図1の制御の流れの上流から下流に向かう各部の信号が、図7の下側から上側に向かって順次記載されている。各部の信号としては、タービン回転数101、調定率関数出力103、補正信号104、負荷設定信号105、ガバナ指令値106、加減弁開度指令110−113、発電機出力206を表示している。
【0042】
またこの図で、横軸に示した時刻t1以前は調定率関数2による定格回転数運転(3000[rpm])状態、時刻t1−t2間は調定率関数2によるタービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下した過渡状態、時刻t3以前は調定率関数2による速度低下(2990[rpm])運転状態、時刻t3以降は調定率関数3による切替過渡状態と、その後の調定率関数3による運転状態を示している。
【0043】
なお、時刻t1以前の運転状態では、タービン回転数101が定格の3000[rpm]にあり、その他の各部信号は安定的に一定を保っている。例えば、調定率関数出力103,補正信号104は0%を保持し、負荷設定信号105、ガバナ指令値106、加減弁開度指令110−113は50%を維持しているとする。
【0044】
以下時系列的に制御とその結果について説明する。まず、時刻t1から時刻t2にかけて、タービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下すると、このときに選択されていた調定率関数2により回転数偏差102に比例して開度指令値103が6.7%増大する。また、開度指令値103の増大分だけガバナ指令値106が増大(時刻t1で50.0%であったものが、時刻t2では6.7%増加して56.7%に増大)して、加減弁開度指令110〜113、しいては発電機出力206を増大させる。なおこのときには、切替が生じていないので、補正信号104に増減は生じない。
【0045】
時刻t2−t3間では、タービン回転数101がほぼ2990[rpm]で安定しており変動していないので、調定率関数2による安定した運転状態を継続する。この状態では、概ね開度指令値103が6.7%、ガバナ指令値106が56.7%を維持している。
【0046】
これに対し、時刻t3において、何らかの事情により図2の選択信号が変更され、調定率関数2から調定率関数3への切替が実行された。この場合に、図2回路では選択信号発生回路8の出力(選択信号)を受け、関数記憶回路71は新しい調定率関数3の出力を補正信号演算回路72へ出力する。同時に、前回選択関数記憶回路73は、従来の調定率関数2の出力を補正信号演算回路72へ出力する。補正信号演算回路72は、t3時点での回転数偏差102及び調定率関数2及び3から前述の如く演算を行い、補正信号演算回路72により生成された、関数切替の瞬間に生じたワンショットの補正信号104を出力する。
【0047】
この場合に、切替前の調定率関数2による開度指令値103が6.7%であったものが、切替後には調定率関数3による開度指令値103が0%になる。また、このことから、補正信号104としては6.7%に相当する信号が得られる。
【0048】
この結果、図1の負荷設定回路203の加算器の一方の入力である開度指令値103が6.7%だけ減少するのに対し、加算器の他方の入力である負荷設定信号105が6.7%だけ増加することになり、結果として加算器出力が変動しない。
【0049】
このようにして、負荷設定回路203は、補正信号104と負荷設定信号105との和により生成された値をガバナ指令値106として出力し、以後運転継続する。つまり、調定率関数の切替により発生した補正信号分104が、負荷設定器9の負荷設定信号105に反映される形で変化し、以後はガバナ指令値106としては変動することなく制御が続行される。このことは、系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替えて運転しても発電機出力に影響を与えないで切替可能であることを意味する。
【0050】
次に図1、図2に示したタービン制御装置において、調定率関数発生器3の関数から調定率関数発生器2の関数への切替を行った場合における各部信号の変化を、図8のタイムチャートを用いて説明する。但し、図8のチャートの記載や説明の前提は図7の場合と同じであるので、主要な相違点について説明する。
【0051】
この図で横軸に示した時刻t1以前は調定率関数3による定格回転数運転(3000[rpm])状態、時刻t1−t2間は調定率関数3によるタービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下した過渡状態、時刻t3以前は調定率関数3による速度低下(2990[rpm])運転状態、時刻t3以降は調定率関数2による切替過渡状態と、その後の調定率関数2による運転状態を示している。
【0052】
時刻t1以前の運転状態では、タービン回転数101が定格の3000[rpm]にあり、その他の各部信号は安定的に一定を保っている。例えば、調定率関数出力103,補正信号104は0%を保持し、負荷設定信号105、ガバナ指令値106、加減弁開度指令110−113は50%を維持しているとする。
【0053】
以下時系列的に制御とその結果について説明する。まず、時刻t1から時刻t2にかけて、タービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下するが、このときに選択されていた調定率関数3は、±10[rpm]の範囲内を不感帯としているために、速度偏差が発生しても出力は0%を維持し変化しない。なお、後で選択される調定率関数2の出力は、回転数偏差102に比例して6.7%程度の値になっているが、この状態では選択されていないので、図8では点線で記載している。このため、他の各部信号も時刻t3まで変化することなく、以前の状態を保持し続けている。
【0054】
これに対し、時刻t3において、何らかの事情により図2の選択信号が変更され、調定率関数3から調定率関数2への切替が実行された。この場合に、図2回路では選択信号発生回路8の出力(選択信号)を受け、関数記憶回路71は新しい調定率関数2の出力を補正信号演算回路72へ出力する。同時に、前回選択関数記憶回路73は、従来の調定率関数3の出力を補正信号演算回路72へ出力する。補正信号演算回路72は、t3時点での回転数偏差102及び前記調定率関数2及び3から前述の如く演算を行い、補正信号演算回路72により生成された、関数切替の瞬間に生じたワンショットの補正信号104を出力する。
【0055】
この場合に、切替前の調定率関数3による開度指令値103が0%であったものが、切替後には調定率関数2による開度指令値103が6.7%になる。また、このことから、補正信号104としては−6.7%に相当する信号が得られる。
【0056】
この結果、図1の負荷設定回路203の加算器の一方の入力である開度指令値103が6.7%だけ増加するのに対し、加算器の他方の入力である負荷設定信号105が6.7%だけ減少することになり、結果として加算器出力が変動しない。
【0057】
このようにして、負荷設定回路203は、補正信号104と負荷設定信号105との和により生成された値をガバナ指令値106として出力し、以後運転継続する。つまり、調定率関数の切替により発生した補正信号分104が、負荷設定器9の負荷設定信号105に反映される形で変化し、以後はガバナ指令値106としては変動することなく制御が続行される。このことは、系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替えて運転しても発電機出力に影響を与えないで切替可能であることを意味する。
【0058】
図9は、図1回路の変形実施例を示している。この事例では、タービン制御装置201とボイラ制御装置21を備え、いわゆるタービン追従制御を行っている。タービン追従制御の場合、ボイラ制御装置21は、中央給電指令所22から与えられた系統周波数指令124に応じて当該発電所が負担すべき電力量の目標信号を求め、この目標信号に応じてボイラ20を制御する。
【0059】
また、ボイラ制御装置21は、タービン制御装置201の負荷設定器9に与える負荷要求指令121を決定する。図10回路は、ボイラ制御装置21の回路構成のうち、ボイラ20を制御する回路部分の記述を省略して、負荷設定器9に与える負荷要求指令121を決定する回路部分のみを記載している。
【0060】
図10のボイラ制御装置21では、負荷設定器9に与える負荷要求指令121を決定するための2組の制御系統が切り替え使用されている。第1の制御系統は通常制御における発電機出力制御であり、第2の制御系統は調定率変更が生じたときの発電機出力制御である。
【0061】
まず、通常制御における発電機出力制御について説明する。ここでは、目標発電機出力設定器212が発電機出力の目標値P0を与えている。なお、この値は、中央給電指令所22から与えられた系統周波数指令124に応じて求められた当該発電所が負担すべき電力量の目標信号に相当する。この目標信号P0には発電機出力補正信号ΔP0が加算される。発電機出力補正信号ΔP0は、図9の開度指令値103を変換回路18で系統周波数制御偏差量Δfに変換し、さらに図10の周波数変動補正回路211において発電機出力に変換して求められたものである。従って、加算回路AD1の出力は、長周期の系統周波数指令124で定まる目標発電量P0に、タービンのガバナ制御での短周期の速度変化信号で定まる発電補正量ΔP0を加味した信号ということができる。
【0062】
通常制御における発電機出力制御は、加算回路AD1の出力を目標信号とし、タービン発電機出力122を帰還信号として偏差信号を加算回路AD2で求め、比例積分制御回路213により、負荷要求指令121を決定する。
【0063】
第2の制御系統である発電機出力制御は、調定率変動が生じたときのワンショットの補正信号104が与えられたときに、加算回路AD1の出力を目標信号とし、負荷指令値105を帰還信号とする偏差信号を比例積分制御回路213に入力して負荷要求指令121を決定する。
【0064】
図9、図10の以上の説明から推測できるように、この回路構成によれば負荷指令値105は、通常は第1の制御系統で定まる制御を実行し、調定率切り替えの過渡時にワンショットの補正信号104により開度指令値103の変動をキャンセルし、その後は第2の制御系統による発電機出力制御に滑らかに移行する。図9、図10の制御系統により以上の結果が得られることを図11、図12のタイムチャートを用いて説明する。
【0065】
図11は、図9のタービン制御装置において、調定率関数発生器2の関数から調定率関数発生器3の関数への切替を行った場合における各部信号の変化を示している。
但し、図11では、新たに系統周波数制御偏差量123と負荷要求指令121を追記しているが、そのほかのチャートの記載や説明の前提は図7などの場合と同じであるので、主要な相違点について説明する。
【0066】
この図で横軸に示した時刻t1以前は調定率関数2による定格回転数運転(3000[rpm])状態、時刻t1−t2間は調定率関数2によるタービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下した過渡状態、時刻t3以前は調定率関数2による速度低下(2990[rpm])運転状態、時刻t3以降は調定率関数3による切替過渡状態と、その後の調定率関数3による運転状態を示している。
【0067】
時刻t1以前の運転状態では、タービン回転数101が定格の3000[rpm]にあり、その他の各部信号は安定的に一定を保っている。例えば、調定率関数出力103,補正信号104は0%を保持し、負荷設定信号105、ガバナ指令値106、加減弁開度指令110−113は50%を維持しているとする。また系統周波数制御偏差量123は、その入力である調定率関数出力103が0%を保持しているため、0%とされている。また、ボイラ制御装置21が与える負荷要求指令121は、50%に保持されているものとする。
【0068】
以下時系列的に制御とその結果について説明する。まず、時刻t1から時刻t2にかけて、タービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下すると、このときに選択されていた調定率関数2により回転数偏差102に比例して開度指令値103が6.7%増大する。他方、ボイラ制御装置21においては、開度指令値103の変動を受けて系統周波数制御偏差量123が減少するが、この大きさは定格周波数(たとえば50Hz)に対して0.167Hz程度である。このため、これを受けて、比例積分制御回路213により負荷要求指令121を減少方向に制御するが、この大きさは調定率関数2からの変動分に比較すると十分に小さいため、制御系全体としては開度指令値103の増大分だけガバナ指令値106が増大(時刻t1で50.0%であったものが、時刻t2では6.7%増加して56.7%に増大)して、加減弁開度指令110〜113、しいては発電機出力206を増大させる。なおこのときには、切替が生じていないので、補正信号104に増減は生じない。
【0069】
時刻t2−t3間では、タービン回転数101がほぼ2990[rpm]程度で微小変動しており、調定率関数2による運転状態を継続する。この状態では、概ね開度指令値103が6.7%、ガバナ指令値106が56.7%を維持している。なお、系統周波数制御偏差量123は、その入力である調定率関数出力103に対応して変動している。
【0070】
これに対し、時刻t3において、何らかの事情により図2の選択信号が変更され、調定率関数2から調定率関数3への切替が実行された。この場合に、図2回路では選択信号発生回路8の出力(選択信号)を受け、関数記憶回路71は新しい調定率関数3の出力を補正信号演算回路72へ出力する。同時に、前回選択関数記憶回路73は、従来の調定率関数2の出力を補正信号演算回路72へ出力する。補正信号演算回路72は、t3時点での回転数偏差102及び調定率関数2及び3から前述の如く演算を行い、関数切替の瞬間に生じたワンショットの補正信号104を出力する。
【0071】
この場合に、切替前の調定率関数2による開度指令値103がほぼ6.7%であったものが、切替後には調定率関数3による開度指令値103が0%になる。また、このことから、補正信号104としては6.7%に相当する信号が得られる。
【0072】
この切り替えの前後において、図10で説明したようにボイラ制御装置21内の制御は、第1の制御系統で定まる制御(加算器AD1の出力を目標値、発電機出力122を帰還信号とする比例積分制御)から、第2の制御系統で定まる制御(加算器AD1の出力を目標値、負荷指令値105を帰還信号とする比例積分制御)に切り替わるが、比例積分制御回路213の積分時定数に従い、両制御系統の差分が収束される方向に時間変化する。
【0073】
従って、切り替えの瞬時における負荷指令値105の変化分は、ワンショットの補正信号の−6.7%相当の信号みであり、この結果ガバナ指令値106としては、ワンショットの補正信号104により開度指令値103の変動分をキャンセルし、切り替えの前後では変動しないことになる。
【0074】
なお、切り替え後の負荷指令値105の出力としては、図10の加算回路AD1の出力、つまり発電量目標信号が与えられることになる。このため、時刻t3前後では発電出力は変化せず、結果的にガバナ指令値106も変動しない。
【0075】
このようにして、負荷設定回路203は、補正信号104と負荷設定信号105との和により生成された値をガバナ指令値106として出力し、以後運転継続する。つまり、調定率関数の切替により発生した補正信号分104が、負荷設定器9の負荷設定信号105に反映される形で変化し、以後はガバナ指令値106としては変動することなく制御が続行される。このことは、系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替えて運転しても発電機出力に影響を与えないで切替可能であることを意味する。
【0076】
図12は、図9のタービン制御装置において、調定率関数発生器3の関数から調定率関数発生器2の関数への切替を行った場合における各部信号の変化を示している。
但し、図12では、新たに系統周波数制御偏差量123と負荷要求指令121を追記しているが、そのほかのチャートの記載や説明の前提は図7などの場合と同じであるので、主要な相違点について説明する。
【0077】
この図で横軸に示した時刻t1以前は調定率関数3による定格回転数運転(3000[rpm])状態、時刻t1−t2間は調定率関数3によるタービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下した過渡状態、時刻t3以前は調定率関数3による速度低下(2990[rpm])運転状態、時刻t3以降は調定率関数2による切替過渡状態と、その後の調定率関数3による運転状態を示している。
【0078】
時刻t1以前の運転状態では、タービン回転数101が定格の3000[rpm]にあり、その他の各部信号は安定的に一定を保っている。例えば、調定率関数出力103,補正信号104は0%を保持し、負荷設定信号105、ガバナ指令値106、加減弁開度指令110−113は50%を維持しているとする。また系統周波数制御偏差量123は、その入力である調定率関数出力103が0%を保持しているため、0%とされている。また、ボイラ制御装置21が与える負荷要求指令121は、50%に保持されているものとする。
【0079】
以下時系列的に制御とその結果について説明する。まず、時刻t1から時刻t2にかけて、タービン回転数101が3000[rpm]から2990[rpm]に10[rpm]低下すると、このときに選択されていた調定率関数3により回転数偏差102は10[rpm]であるが、開度指令値103としては0%を維持している。他方、ボイラ制御装置21においては、回転速度低下を受けて系統周波数制御偏差量123が減少するが、この大きさは定格周波数(たとえば50Hz)に対して0.167Hz程度である。これを受けて、比例積分制御回路213により負荷要求指令121を減少方向に制御する。また、これを受けて負荷設定信号105も減少する。
【0080】
時刻t2−t3間では、タービン回転数101がほぼ2990[rpm]程度で微小変動しているが、調定率関数3により、開度指令値103としては0%を維持している。但し、ボイラ制御装置21においては、回転速度低下を受けて系統周波数制御偏差量123が変動し、これを補正すべく負荷要求指令121、負荷設定信号105が調整されている。
【0081】
これに対し、時刻t3において、何らかの事情により図2の選択信号が変更され、調定率関数3から調定率関数2への切替が実行された。この場合に、図2回路では選択信号発生回路8の出力(選択信号)を受け、関数記憶回路71は新しい調定率関数3の出力を補正信号演算回路72へ出力する。同時に、前回選択関数記憶回路73は、従来の調定率関数2の出力を補正信号演算回路72へ出力する。補正信号演算回路72は、t3時点での回転数偏差102及び調定率関数2及び3から前述の如く演算を行い、関数切替の瞬間に生じたワンショットの補正信号104を出力する。
【0082】
この場合に、切替前の調定率関数3による開度指令値103がほぼ0%であったものが、切替後には調定率関数2による開度指令値103が6.7%になる。また、このことから、補正信号104としては−6.7%に相当する信号が得られる。
【0083】
この切り替えの前後において、図10で説明したようにボイラ制御装置21内の制御は、第1の制御系統で定まる制御(加算器AD1の出力を目標値、発電機出力122を帰還信号とする比例積分制御)から、第2の制御系統で定まる制御(加算器AD1の出力を目標値、負荷指令値105を帰還信号とする比例積分制御)に切り替わるが、比例積分制御回路213の積分時定数に従い、両制御系統の差分が収束される方向に時間変化する。
【0084】
従って、切り替えの瞬時における負荷指令値105の変化分は、ワンショットの補正信号の−6.7%相当の信号みであり、この結果ガバナ指令値106としては、ワンショットの補正信号104により開度指令値103の変動分をキャンセルし、切り替えの前後では変動しないことになる。
【0085】
なお、切り替え後の負荷指令値105の出力としては、図10の加算回路AD1の出力、つまり発電量目標信号が与えられることになる。このため、時刻t3前後では発電出力は変化せず、結果的にガバナ指令値106も変動しない。
【0086】
このようにして、負荷設定回路203は、補正信号104と負荷設定信号105との和により生成された値をガバナ指令値106として出力し、以後運転継続する。つまり、調定率関数の切替により発生した補正信号分104が、負荷設定器9の負荷設定信号105に反映される形で変化し、以後はガバナ指令値106としては変動することなく制御が続行される。このことは、系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替えて運転しても発電機出力に影響を与えないで切替可能であることを意味する。
【0087】
以上のように、本発明によれば、調定率関数の切替に伴うガバナ指令106の変化は発生せず、複数の非線形調定率を安定して切り替えることが可能となる。
【0088】
特に図9に示すように、ボイラ制御装置21と連動したプラント出力制御においては、中央給電指令22からの系統周波数追従指令124と、速度調定率関数2〜5に従うガバナ動作に対して、周波数を規定値(50/60[Hz])に維持するための機能もあり、タービン制御装置の系統周波数偏差(Δf)制御量123をボイラ制御系に組み合わせることで、タービンとボイラ間の系統周波数補正に関し整合性の取れたプラント出力制御が可能となる。
【0089】
なお、いずれの実施例でも調定率関数2と3の間での切替を行う際の例を挙げて説明したが、切替パターンはこれに限るものではなく、他の切替パターンにおいても前述した一連の動作により安定した切替が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、分散電源増加に伴う集中電源の柔軟性及び制御性向上を目的とし系統並列運転中に複数の速度調定率を切り替える場合に有用である。
【符号の説明】
【0091】
1:定格回転数設定器
2〜5:調定率関数発生器
6:切替器
7:関数選択器
8:選択信号発生回路
9:負荷設定器
10:負荷制限器
11:低値選択回路
12〜15:加減弁開度指令器
18:変換回路
20:ボイラ
21:ボイラ制御装置
22:中央給電指令
25〜28:蒸気加減弁
29:発電機
30:タービン
31:回転数検出器
71:関数記憶回路
72:補正信号演算回路
73:前回選択関数記憶回路
101:タービン回転数
102:回転数偏差
103:開度指令値
104:補正信号
105:負荷指令値
106:ガバナ指令値
110〜113:加減弁開度指令
121:負荷要求指令
122:タービン発電機出力
123:系統周波数制御偏差量(Δf)
124:系統周波数指令
201:タービン制御装置
202:調速指令計算回路
203:負荷設定回路
204:低値選択回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る調定率関数発生器と、負荷指令値を与える負荷設定器と、前記開度指令値と負荷指令値の加算信号をガバナ指令値としてタービン入口の蒸気加減弁の弁開度を制御するタービン制御装置において、
タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る異なる調定率を与える複数の前記調定率関数発生器と、該複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替器と、該切替器による出力選択の前後での切替器出力の差を補正信号として記憶する補正信号記憶回路と、該補正信号記憶回路の補正信号と負荷要求信号の和として前記の負荷指令値を得る前記の負荷設定器とを備え、前記切替器による出力選択の前後で前記ガバナ指令値の変動を抑えることを特徴とするタービン制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタービン制御装置において、
複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替操作をタービンの通常運転状態において実行することを特徴とするタービン制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のタービン制御装置において、
発電機出力の目標値と、検出した発電機出力の差に応じて前記負荷要求指令を定める第1の制御回路と、発電機出力の目標値と前記負荷指令値とを用いて前記負荷要求指令を定める第2の制御回路とを備え、前記切替器による出力選択の前に第1の制御回路の出力を前記負荷要求指令に定め、前記切替器による出力選択の後に第2の制御回路の出力を前記負荷要求指令に定めることを特徴とするタービン制御装置。
【請求項4】
タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る調定率関数発生器と、負荷指令値を与える負荷設定器と、前記開度指令値と負荷指令値の加算信号をガバナ指令値としてタービン入口の蒸気加減弁の弁開度を制御するタービン制御装置において、
タービン回転数偏差を入力として開度指令値を得る、異なる調定率を与える複数の前記調定率関数発生器と、該複数の調定率関数発生器の出力の一つを選択する切替器と、該切替器による出力選択の前後での切替器出力の差を補正信号として記憶する補正信号記憶回路と、該補正信号記憶回路の補正信号と負荷要求信号の和として前記の負荷指令値を得る前記の負荷設定器と、発電機出力の目標値と、検出した発電機出力の差に応じて前記負荷要求指令を定める第1の制御回路と、発電機出力の目標値と前記負荷指令値とを用いて前記負荷要求指令を定める第2の制御回路と、前記切替器による出力選択の前に第1の制御回路の出力を前記負荷要求指令に定め、前記切替器による出力選択の後ろに第2の制御回路の出力を前記負荷要求指令に定めることを特徴とするタービン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−246889(P2012−246889A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121328(P2011−121328)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】