説明

ターボエキスパンダ用のコンパクト入口案内ベーン

【課題】コンパクト入口案内ベーンシステムを製作しかつコンパクト入口案内ベーンシステムを作動させるのに必要な力を軽減するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】それに限定されないが、作動ロッド、作動リング、クランクロッド、クランク並びに関連するコネクタ及びブッシュを含む入口案内ベーンシステムの構成要素は、同一面内に組立てられる。この点に関して、力がアクチュエータロッドに適用されかつ入口案内ベーンシステム構成要素を通して伝達された時に、力は単一面内で作用する。さらに、面は、作動リングの回転軸中心上に中心合せされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題の実施形態は、総括的には方法及び装置に関し、より具体的には、より小さい適用力でターボ機械の入口案内ベーンをより正確に制御するための機構及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は一般的に、該ターボ機械の作動条件に基づいて調整される内部回転構成要素、例えば典型的には入口案内ベーン(IGV)を有する。自動システムでは、入口案内ベーンを調整するのに、アクチュエータリングに結合されて固定ピンによって該リング上で回転駆動される四バー機構又はスロット付きノズルを作動させるアクチュエータロッドに取付けられたアクチュエータの使用を必要とする。利用可能な入口案内ベーン解決法では、従来技術の図1に示すようなベーンを調整するようになった入口案内ベーン制御構成要素は、異なる平行面内に配置される。例えば、図1を見ると四バー機構108は、ベーン106の面及び作動リング104の面間の面上に位置して、アクチュエータロッドが作動リング104上のピン102に結合される。別の実施例では、従来技術の図2は、異なる面内でベーン206を作動させるアクチュエータ208、作動リング204及びレバーを備えたスロット付きノズル駆動入口案内ベーン組立体を図示している。
【0003】
現在利用可能な設計では、作動時に受ける幾つかの問題が生じる。四バーシステムに関して、ベーンを作動させるために適用される力は、アクチュエータリング及び四バー機構とは異なる面内に位置しかつ従って作動ロッド、作動リング及び四バー機構間のブッシュ並びに結合ポイントに関して非対称に適用される。従って、作動リングを回転させるのに必要な力を増大させるにつれて、作動ロッド上に曲げ力が生じかつ結合構成要素の無理な変形が生じる。同様に、図2に示すようなスロット付きノズルシステムは、作動力要求量、ジャミング及び乱調の増大を招く案内リングフレッティングを生じる。両方の機構の場合に、望ましい特性はまた、質量の減少及び入口案内ベーンシステムを作動させるのに必要な力の軽減の両方を生じる入口案内ベーンシステムのよりコンパクトな設計を含むことになる。参考文献として本明細書に組入れた米国特許出願番号第12/415,417号には、従来技術の入口案内ベーンシステムの構造及び作動の詳細説明を提示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0247287A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、前述の問題及び欠点を回避する装置及び方法を提供することは望ましいと言える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの例示的な実施形態によると、第1のコネクタが作動リングの回転軸中心上にアクチュエータロッドを配置するように該アクチュエータロッドを結合するようになった該第1のコネクタを備えた該作動リングを含む入口案内ベーン作動装置を提供する。次に本実施形態では、複数の第2のコネクタにそれぞれ結合された第1の端部を備えた複数のクランクロッドが、作動リングの回転軸中心上に位置決めされる。本例示的な実施形態を引き続き説明すると、第3のコネクタをその各々が備えた複数のクランクが、その各々が第3のコネクタを備えた複数のクランクが、該第3のコネクタが作動リングの回転軸中心上に位置決めされるようにそれぞれ複数のクランクロッドの第2の端部に結合されかつノズルと関連するベーンにそれぞれ結合される。
【0007】
別の例示的な実施形態によると、ターボ機械に組入れた入口案内ベーンシステムを含む該ターボ機械を提供する。本例示的な実施形態を引き続き説明すると、入口案内ベーンシステムは、第1のコネクタが作動リングの回転軸中心上にアクチュエータロッドが配置されるように該アクチュエータロッドを結合するようになった該第1のコネクタを備えた作動リングを含む。次に本例示的な実施形態では、第1の端部を備えた複数のクランクロッドが、作動リングの回転軸中心上に位置決めされた複数の第2のコネクタにそれぞれ結合される。本例示的な実施形態を引き続き説明すると、第3のコネクタをその各々が備えた複数のクランクが、該第3のコネクタが作動リングの回転軸中心上に位置決めされるようにそれぞれ複数のクランクロッドの第2の端部に結合されかつノズルと関連するベーンにそれぞれ結合される。
【0008】
別の例示的な実施形態によると、ターボ機械と関連する入口案内ベーンシステムを製作するための方法を提供する。本方法は、ターボ機械と関連する作動リングにアクチュエータロッドの第1の端部を結合するステップを含む。本例示的な実施形態を引き続き説明すると、本実施形態は、アクチュエータロッドが作動リングの回転軸中心上に中心合せされるようにターボ機械と関連する該作動リングに該アクチュエータロッドの第1の端部を結合するステップを含む。次に本例示的な実施形態を引き続き説明すると、本実施形態は、複数のクランクロッドが作動リングの回転軸中心上に中心合せされるように該複数のクランクロッドの各々の第1の端部をそれぞれ該作動リング上の複数のコネクタに結合するステップを含む。さらに、本例示的な実施形態を引き続き説明すると、本実施形態は、複数のクランクが作動リングの回転軸中心上に中心合せされるように複数のクランクロッドの各々の第2の端部にそれぞれ該複数のクランクを結合しかつターボ機械と関連する複数のベーンにそれぞれ結合するステップを含む。
【0009】
本明細書に組入れかつその一部を構成する添付図面は、1つ又はそれ以上の実施形態を示しかつその説明と共にそれら実施形態を説明している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】異なる面内に作動構成要素を備えたターボ機械用の四バー入口案内ベーンシステムの従来技術の例示的な実施形態。
【図2】異なる面内に作動構成要素を備えたターボ機械用のスロット付きノズル入口案内ベーンシステムの従来技術の例示的な実施形態。
【図3】同一面内に作動構成要素を備えたターボ機械用のコンパクト単一面入口案内ベーンシステムの例示的な実施形態。
【図4】例示的な実施形態によるターボ機械と一体形になった単一面入口案内ベーンシステムを作動させるためのステップを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態の以下の説明は、添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は同一の又は類似の要素を表す。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではなくて、代わりに本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって定められる。簡単にするために、以下の実施形態は、それに限定されないが圧縮機及びエキスパンダを含むターボ機械の用語及び構造に関して説明する。ターボ機械は一般的に、ケーシング、回転シャフト、回転シャフトに取付けられたロータ、ケーシングに取付けられたステータ、作動流体がターボ機械に流入するのを可能にする結合部及び作動流体がターボ機械から流出するのを可能にする結合部を含む。
【0012】
「1つの実施形態」又は「ある実施形態」に対する明細書全体にわたる参照符号は、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造又は特性が、開示した主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、明細書全体にわたる様々な箇所での「1つの実施形態」における又は「ある実施形態」におけるという文言の表現は、同じ実施形態を説明するのに必ずしも必要ではない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又はそれ以上の実施形態においてあらゆる好適な方法で組合せることができる。
【0013】
図3に示すように、例示的な実施形態は、コンパクト入口案内ベーンシステム300を図示している。例示的な実施形態の1つの態様では、作動ロッド302は、作動リング308の軸方向幅に関して該作動リング308の中心点において作動リング308に結合される。例示的な実施形態は、作動リング308から半径方向外向きに延びる2つのブラケット304を図示している。作動リング308の各端縁部には1つのブラケット304を設けて、作動リング上に中心合せした位置に配置された作動ロッドを結合するための該ブラケット304間の空間を形成する。例示的な実施形態では、作動ロッド302及び各ブラケット304の孔を通してピンを固定して、該作動ロッド302が該ブラケット304に対して回転するのを可能にすることに注目されたい。
【0014】
この例示的な実施形態を引き続き説明すると、作動ロッド302はアクチュエータによって移動される時に、作動リング308上に中心合せされた力が該作動ロッド302によって該作動リング308に適用されかつ作動リング308は作動ロッド302の移動の方向に基づいて時計方向又は反時計方向のいずれかに回転する。例示的な実施形態の別の態様では、作動リング308の回転は、一方の端部上の該作動リング308及び他方の端部上の典型的なクランク306に結合されたクランクロッド310を移動させる。例示的な実施形態では、作動ロッド302のような典型的なクランクロッド310が、作動リング308の軸方向幅に関して該作動リング308上に中心合せされることに注目されたい。
【0015】
さらに、例示的な実施形態では、クランク306が作動ロッド302用の作動リング308の結合ポイントについて前述したのと同様の設計のロッド310用の結合ポイントを有し、クランクロッド310上の作動リング308及びクランク306上のクランクロッド310によって作用する力が作動リング308の軸方向中心面内に位置することに注目されたい。言い換えると、クランク306は典型的なスプライン継手314により典型的なノズルベーン312に結合され、かつクランク306が回転するとノズルベーン312が流体通路における所望の位置に調整される。
【0016】
従って、例示的な実施形態は、作動ロッド302に対して力を適用するステップと、その全てが作動リング308の軸方向中心における同一軸方向面内に位置決めされてノズルベーン312を所望の位置に調整する回転力となる異なる制御及びてこ機構を通してこの力を伝達するステップとを含む。単一軸方向面力適用設計に基づいて、多数の軸方向面を通して分散配置された機構にわたり適用力を伝達することと関連する結合ポイント及びそれらのブッシュ上の曲げ力が減少するので、ノズルベーン312における所望の移動を発生しかつノズルベーン固着の機会を減少させるためにより小さい力が必要となる。
【0017】
次に図4を参照して、入口案内ベーンシステムを製作する例示的な方法の実施例を説明する。図4は、作動ロッドの不整合を回避することができるので、限定としてではなく実施例として結合ポイントと関連する摩擦及び拘束損失を減少させかつ付加的な制御精度を改善することができるように入口案内ベーンシステムの構成要素を結合するための例示的な方法の実施形態のステップを示す。例示的な方法の実施形態は、アクチュエータロッド302を作動リング308に結合するステップ402を含む。例示的な方法の実施形態の1つの態様では、作動リング308は、2つの対称的形成ブラケット304間へのアクウチュエータロッド302の結合を可能にする結合ポイントを有する。例示的な方法の実施形態を引き続き説明すると、ピン及びブッシュ機構が1つのブラケット304、アクチュエータロッド302及び次にその他のブラケット304を貫通して挿入される。例示的な方法の実施形態の別の態様では、対称的ブラケット304によって表した取付け位置は、作動リング308の回転軸方向中心に対応する面内にアクチュエータロッド302を位置決めする。
【0018】
次に例示的な方法の実施形態のステップ404において、複数のクランクロッド310の各々の一方の端部が作動リング308上の結合部にそれぞれ結合される。例示的な方法の実施形態では、作動リング308が回転するとクランクロッド310が結合ポイントの周りで回転することができることに注目されたい。例示的な方法の実施形態の別の態様では、作動リング308上の結合ポイントによって表した取付け位置は、作動リング308の回転軸方向中心に対応する面内にクランクロッド310を位置決めする。
【0019】
例示的な方法の実施形態のステップ406を引き続き説明すると、複数のクランク306が、複数のクランクロッド310の第2の端部にそれぞれ結合される。例示的な方法の実施形態では、作動リング308が回転すると、クランクロッド310がそれぞれのクランク上の結合ポイントの周りで回転することができることに注目されたい。複数のクランク306はまた、ターボ機械と関連する複数のベーン312にそれぞれ結合される。例示的な方法の実施形態のさらに別の態様では、クランクロッド上の結合ポイントによって表した取付け位置は、作動リング308の回転軸方向中心に対応する面内にクランク306を位置決めする。
【0020】
この開示した例示的な実施形態は、アクチュエータをターボ機械内に一体形にしかつターボ機械にわたるプロセス流体圧力勾配に基づいてアクチュエータを作動させるための装置及び方法を開示している。この説明は、本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本例示的な実施形態は、特許請求の範囲によって定められた本発明の技術思想及び技術的範囲内に含まれる変形例、改良例及び均等物を保護することを意図している。さらに、例示的な実施形態の詳細な説明では、特許請求した発明の包括的理解を得るために多くの具体的な詳細を記載している。しかしながら、当業者は様々な実施形態がそのような具体的な詳細なしに実施することができることを理解するであろう。
【0021】
この例示的な実施形態の特徴及び要素は特定の組合せにおける実施形態として説明しているが、各特徴又は要素は、実施形態のその他の特徴及び要素を備えないで単独で或いは本明細書に開示したその他の特徴及び要素を備えるか又は備えないで様々な組合せとして使用することができる。本明細書の記載は、最良の形態を含む実施例を使用して本発明を開示しまた当業者があらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用しまたあらゆる組込み方法を実施するような本発明の実施を可能にする。本発明の特許可能範囲は、特許請求の範囲によって定められかつ当業者が起想するその他の実施例を含むことができる。そのような実施例は、それらが特許請求の範囲の文言とは異ならない構成要素を有する場合又はそれらが特許請求の範囲の文言に記載された要素と等価の構成要素を含む場合に特許請求の範囲の技術的範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0022】
100 入口案内ベーンシステム
102 ピン
104 作動リング
106 ベーン
108 四バー機構
200 入口案内ベーンシステム
202 ピン
204 作動リング
206 ベーン
208 アクチュエータ
300 コンパクト入口案内ベーンシステム
302 作動ロッド
304 ブラケット
306 クランク
308 作動リング
310 クランクロッド
312 ノズルベーン
314 スプライン継手
400 フローチャート
402 ステップ
404 ステップ
406 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口案内ベーン作動装置であって、
第1のコネクタがその回転軸中心上にアクチュエータロッドを配置するように該アクチュエータロッドを結合するようになった該第1のコネクタを備えた作動リングと、
前記作動リングの回転軸中心上に位置決めされた複数の第2のコネクタにそれぞれ結合された第1の端部を備えた複数のクランクロッドと、
第3のコネクタが前記作動リングの回転軸中心上に位置決めされるようにそれぞれ前記複数のクランクロッドの第2の端部に結合されかつノズルと関連するベーンにそれぞれ結合された該第3のコネクタをその各々が備えた複数のクランクと、を含む、
装置。
【請求項2】
前記クランクがスプライン継手で前記ベーンに結合される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記スプライン継手がブッシュによって中心合せされる、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記作動リング、複数のクランクロッド及び複数のクランクが、単一面四バー機構である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記作動リングが、前記アクチュエータロッドと関連する動きの方向に基づいて、前記回転軸中心の周りで時計方向又は反時計方向のいずれかに回転する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
該装置が、前記四バー機構の構成要素が2つ又はそれ以上の回転軸面にわたって分散配置された装置よりも寸法的に小さい、請求項4記載の装置。
【請求項7】
該装置を作動させるのに必要な力が、前記四バー機構の構成要素が2つ又はそれ以上の回転軸面にわたって分散配置された装置を作動させるのに必要な力よりも小さい、請求項4記載の装置。
【請求項8】
前記第1の端部上の前記第1のコネクタ及び前記複数のクランクロッドの第2の端部上の前記第2のコネクタが、それぞれ複数のブッシュによって中心合せされる、請求項1記載の装置。
【請求項9】
ターボ機械であって、
該ターボ機械の構成要素を収納するようになったケーシングと、
前記ケーシングと関連する回転シャフト上に取付けられた複数のロータと、
前記ケーシング内に取付けられた複数のステータと、
作動流体の導入を可能にする入口結合部と、
入口案内ベーン作動装置と、
を含み、前記入口案内ベーン作動装置が、
第1のコネクタが作動リングの回転軸中心上にアクチュエータロッドが配置されるように該アクチュエータロッドを結合するようになった該第1のコネクタを備えた作動リングと、
前記作動リングの回転軸中心上に位置決めされた複数の第2のコネクタにそれぞれ結合された第1の端部を備えた複数のクランクロッドと、
第3のコネクタが前記作動リングの回転軸中心上に位置決めされるようにそれぞれ前記複数のクランクロッドの第2の端部に結合されかつノズルと関連するベーンにそれぞれ結合された該第3のコネクタをその各々が備えた複数のクランクと、を含む、
ターボ機械。
【請求項10】
ターボ機械と関連する入口案内ベーンシステムを製作するための方法であって、
アクチュエータロッドが作動リングの回転軸中心上に中心合せされるように前記ターボ機械と関連する該アクチュエータロッドの第1の端部をターボ機械に結合するステップと、
複数のクランクロッドが前記作動リングの回転軸中心上に中心合せされるように該複数のクランクロッドの各々の第1の端部をそれぞれ該作動リング上の複数のコネクタに結合するステップと、
前記ターボ機械と関連する複数のクランクが前記作動リングの回転軸中心上に中心合せされるように該複数のクランクをそれぞれ前記複数のクランクロッドの各々の第2の端部に結合させかつ複数のベーンにそれぞれ結合するステップと、を含む、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53622(P2013−53622A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187144(P2012−187144)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(505347503)ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ (112)
【Fターム(参考)】