説明

ターボ機械に入る空気流を調和するためのシステム

【課題】吸気型機械に入る空気流を調和するためのシステムを提供する。
【解決手段】吸気型機械に入る空気流の物理的特性を調節する空気調和システム(ACS)(200)はモジュール(205)を有し、該モジュールは、周囲状態が所定の範囲内にある場合に空気流の物理的特性を調節するように構成され、且つ空気流へ流体を吹き付ける複数のノズル(235)を含んでいる非媒体型調和システム(230)と、空気流の物理的特性を調節して吸気型機械の追加出力を供給するように構成され、且つ直接交換媒体(220)及び流体分配マニホルド(210)を含んでいる媒体型調和システム(260)とを有する。非媒体型及び媒体型調和システムへ供給される流体が露点温度よりも高い場合、ACSは蒸発システムとして機能し、また露点温度よりも低い場合は、チリング・システムとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、吸気型機械(air-breathing machine) に入る空気流に関するものであり、より具体的には、吸気型機械の入口システムに入る空気流を調和するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸気型機械は、多種多様な用途で用いられるエネルギを発生及び/又は変換する。このような機械は、熱交換機、吸気型ターボ機械(例えば、限定するものではないが、ガスタービン、航空機エンジン、航空機転用エンジン)などの形態を持つことができる。以下の記載では主にガスタービンに関連させて説明を行うが、記載される概念はガスタービンに制限されない。
【0003】
ガスタービンは、典型的には、入口システム、圧縮機部分、燃焼器部分、タービン部分及び排気部分を含む。ガスタービンは次のように動作することができる。先ず、入口システムがガスタービンの周囲環境から空気流を受け取る。次いで、圧縮機部分が空気流を圧縮する。次いで、圧縮された空気流が燃焼器部分へ流れ、そこで燃料と混合されて燃焼することができる。次いで、燃焼プロセスによりガス状混合物が生じ、該混合物がタービン部分を駆動する。次いで、タービン部分がガス状混合物のエネルギをトルクの形態の機械的エネルギへ変換する。次いで、該トルクが、通例、発電機、機械的駆動装置又は同様な装置を駆動するために使用される。
【0004】
ガスタービン性能は、通常、出力、熱効率及び/又は熱消費率によって決定される。流入する空気流の温度及び湿度が、ガスタービン性能に有意な影響を与える。一般に、ガスタービンは、空気流の温度が高くなるにつれて効率が悪くなる。
【0005】
入口空気流温度を下げるために様々なシステムが利用されている。これらのシステムの主要な目標は、空気流温度及び/又は湿度が高くなっている周囲条件の下でガスタービン性能を増大させることである。この目標を達成しようとするこれらのシステムの試みは、圧縮機部分に入る前に空気流を調和することである。調和(conditioning)は、空気流の少なくとも1つの物理的特性を調節するプロセスと見なすことができる。物理的特性としては、限定するものではないが、湿球温度、乾球温度、湿度及び密度が挙げられる。空気流の物理的特性を調節すると、ガスタービンの性能が改善される効果が得られるはずである。
【0006】
これらのシステムの既知の幾つかの例としては、蒸発冷却器、機械式チリング(chilling)装置、吸収式チリング装置、熱エネルギ・システムなどが挙げられる。これらのシステムは、ガスタービンの周りの様々な位置に設置することができる。
【0007】
ガスタービンに入る空気流を調和するための既知のシステムには幾つかの問題がある。既知のシステムは、設置に伴う経費を正当化するほどの利益がない。蒸発冷却システムの使用は、高温多湿状態が目立つ地域で制限されることがある。既知のチリング・システムはコイルを必要とし、これはチリング・システムの費用を付加的にかなり大きくする。既知のガスタービン・パワープラントによっては、蒸発冷却システム及びチリング・システムの両方を採り入れている。この場合、これらのシステムの別々の構造は、余分な設置時間やガスタービンの近くの設置場所を必要とすると共に、運転及び点検保守費用も増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7343746号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の理由により、入口空気流を調和するための新規で改良されたシステムが要望されている。該システムは、高温多湿の地域での動作可能性をより大きくすることができると共に、高温の乾燥した地域でも効率よく動作するようにすべきである。該システムはまた、蒸発冷却及びチリング能力を備えることのできる単一の構造を提供すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態では、吸気型機械に入る空気流を調和するためのシステムを提供し、本システムは、吸気型機械に入る空気流の物理的特性を調節するように構成された空気調和システム(ACS;air conditioning system )(200)を有する。ACS(200)はモジュール(205)を有し、該モジュール(205)は、周囲状態が所定の範囲内にある場合に空気流の物理的特性を調節するように構成された非媒体型(non-media) 調和システム(230)であって、空気流へ流体を吹き付けるのに適した複数のノズル(235)を含む非媒体型調和システム(230)と、空気流の物理的特性を調節して吸気型機械の追加出力を供給するように構成された媒体型(media) 調和システム(260)であって、直接交換媒体(220)及び流体分配マニホルド(210)を含む媒体型調和システム(260)とを有する。非媒体型調和システム(230)へ及び媒体型調和システム(260)へ供給される流体がほぼ露点温度よりも高い場合には、ACS(200)は直接蒸発モードで動作し、また非媒体型調和システム(230)へ及び媒体型調和システム(260)へ供給される流体がほぼ露点温度よりも低い場合には、ACS(200)は直接チリング・モードで動作する。
【0011】
本発明のこれらの及び他の特徴、側面及び利点は、添付図面を参照した以下の詳しい説明を読むことによってより良く理解されよう。図面では、全図を通じて同様な部品を同様な参照符号で表している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が機能することのできる環境を例示する概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従った空気調和システムのモジュールを例示する概略立面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従った空気調和システムの概要を例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施形態についての以下の詳しい説明では添付の図面を参照する。図面は本発明の特定の実施形態を例示する。異なる構造及び動作を持つ他の実施形態も本発明の範囲から逸脱しない。
【0014】
本書では、或る特定の用語を便宜のためにのみ使用することができ、また該用語は本発明を制限するものとして考えるべきでない。例えば、「よりも上方」、「よりも下方」、「頂部」、「底部」、「上側」、「下側」、「左」、「前」、「右」、「水平」、「垂直」、「上流」、「下流」、「前方」及び「後方」のような用語は、単に図に示されている構成を記述するに過ぎない。事実、様々な構成要素は任意の方向に配置構成することができ、従って、用語は特別に指定しなければこのような変化を含むものとして理解されたい。
【0015】
本書において、単数形で表され且つ数を特記していない要素及び段階は、特に明記していない限り、複数の要素及び段階を排除するものではないことを理解されたい。更に、本発明の「一実施態様」と云う場合、これは、その記載した特徴を同様に取り入れている更に別の実施態様を排除することを意図してはいない。
【0016】
本発明の一実施形態は、例えば、限定するものではないが、ガスタービンなどのような吸気型機械に入る空気流を調和するための空気調和システム(ACS)を提供する。記載されているとき、「調和」とは、空気流の少なくとも1つの物理的特性を調節するプロセスと見なすことができる。物理的特性としては、湿球温度、乾球温度、相対湿度、密度などを挙げることができる。本発明の一実施形態では、ACSの主要な構成要素(複数)は単一の構造内に配置することができ、この単一の構造はモジュールと見なすことができる。ACSの用途に応じて、複数のモジュールを吸気型機械上に物理的に及び/又は動作上で一体化することができる。以下の記載では、ガスタービンと一体化したACSの限定ではない実施形態について説明を行う。
【0017】
本発明の一実施形態では、非媒体型調和システム及び媒体型調和システム(その各々を図2及び図3に例示する)を有するACSを提供することができる。一実施形態のACSは、蒸発システム・モード又はチリング・システム・モードのいずれかで動作する融通性を提供することができる。この場合、非媒体型調和システムへ及び媒体型調和システムへ供給される流体が露点温度よりも高いとき、ACSは蒸発システムとして働くことができる。同様に、非媒体型調和システムへ及び媒体型調和システムへ供給される流体が露点温度よりも低いとき、ACSはチリング・システムとして働くことができる。
【0018】
次いで図面について説明すると、幾つかの図にわたって様々な参照数字は同様な要素を表しているが、図1は、本発明の一実施形態が動作することのできる環境を例示する概略図である。図1は、典型的にはガスタービンの圧縮機145と一体化される入口システム100を例示する。入口システム100の典型的な構成の概要を以下に説明する。本発明は入口システム100の他の構成(図面に示していない)にも用いることができる。
【0019】
入口システム100は、圧縮機145によって引き込まれた気流(大きな矢印で表す)を通す。空気流は通常、ガスタービンが動作する環境から流入する。最初は、空気流は、雨、雪、雹などのような気象要素が圧縮機145に入るのを防止することができる耐候用フード105の周りを流れる。次いで、空気流は入口フィルタ・ハウジング110を通って流れることができ、入口フィルタ・ハウジング110は空気流から異物及びごみを除去する。次いで、空気流はACS200を通って流れることができ、ACS200は空気流の物理的特性を調和することができる。次いで、空気流は遷移部材120及び入口ダクト125を通って流れることができ、これらの要素は空気流の速度及び圧力を調節することができる。次いで、空気流は消音器部分130を通って流れることができる。次いで、空気流は入口抽気加熱システム135を通って流れることができ、入口抽気加熱システム135は、使用されたとき、圧縮機145に入る前に空気流温度を上昇させる。ごみ除去用網140又は同様なものを入口ダクト125の下流に配置することができ、これは一般にごみが圧縮機145に入るのを防止することができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に従った空気調和システム200のモジュール205を例示する概略立面図である。図2は、本発明の一実施形態がモジュール205に関して空気調和システム200の主要な構成要素を持つことを例示している。図2はまた、本発明の一実施形態が複数のモジュール205を一体化できるようにするやり方を例示しており、複数のモジュール205の全ては入口システム100内に収容することができる。図2には、3つの同様なモジュール205が積み重ねた構成で例示されている。読者の便宜のために、冗長な構成要素/要素の番号の使用は制限している。例えば、限定するものではないが、構成要素/要素番号210は、流体分配マニホルドを表すが、頂部のモジュール205についてのみ示されている。底部の2つのモジュール205もまた、図2に例示されているように、同じ流体分配マニホルドを持つ。
【0021】
本発明の一実施形態では、ACS200の主要な構成要素はモジュール205内に配置することができる。これらの構成要素として、非媒体型調和システム230、媒体型調和システム260及びミスト除去装置225の構成要素を含むことができる。動作時において、モジュール205は、ヘッダ275から流体(例えば、限定するものではないが、水、冷却剤 又はそれらの組合せ)を受けることができる。ヘッダ275は、ACS200の動作モードに応じて、非チルド流体供給装置240又はチルド流体供給装置265から流体を受け取ることができる。次いで、ヘッダ275は、第3の弁300へ及び/又はモジュール205へ直接に流体を放出することができる。
【0022】
非媒体型調和システム230は一実施形態では複数のスプレー・ノズル235(図2に略図で示す)を備えることができる。これらのスプレー・ノズル235は、媒体型調和システム260に係合する前に空気流を予備調整するように作用することができる。この予備調整は、直接交換媒体220を出て行く空気流の温度分布をほぼ一様に設定しようとするものである。スプレー・ノズル235は、空気流が圧縮機145の入口に入る前に実質的に蒸発することのできる大きさの液滴を生成することができる。本発明の一実施形態では、スプレー・ノズル235は約0.1インチ〜約0.25インチのノズル寸法を持つことができる。ここで、流体システム圧力は約150ポンド/平方インチ未満とすることができる。
【0023】
一実施形態のモジュール205内に収容される媒体型調和システム260の構成要素として、流体分配マニホルド210と、流体分配パッド215と、直接交換媒体220と、チルド流体供給装置265とを含むことができる。流体分配マニホルド210は直接交換媒体220の上方に配置して、チルド流体供給装置265から流体を受け取ることができる。流体分配マニホルド210は、シャワーヘッドに類似した多ノズル構造の形態、又は同様な形態を持つことができる。
【0024】
直接交換媒体220は、一般に、空気流の物理的特性(例えば、限定するものではないが、乾球温度など)を調節するために流体を利用する熱交換器として機能する。本質的に、一実施形態の直接交換媒体220は、流れている空気流に流体を直接に接触させることができる。流体の温度がより低ければ、乾球温度を低下させることができ、及び/又は空気流の別の物理的特性を調節することができる。
【0025】
一実施形態の直接交換媒体220は、媒体型の熱交換器の形態を有することができる。この形態の直接交換媒体220は一般に、直接接触熱交換プロセスを提供し、該プロセスは、コイル型の熱交換器と比べて熱伝達抵抗を最小にすることができる。また更に、この実施形態の直接交換媒体220は、例えば、限定するものではないが、ナイロン、プラスチック、炭素繊維、セルロース材料、合成ポリマー、金属、又はそれらの組合せのような、波形交差溝付き材料から生成することができる。これにより、コイル型の熱交換器を形成するために通常用いられている比較的高価な銅の管及びアルミニウムのフィンを必要としないで済むと云う利益が得られる。この実施形態の直接交換媒体220は、熱伝達表面区域を形成するために使用される材料の量及び種類を低減することができ、その結果、費用及び重量をかなり低減することができる。
【0026】
代替実施形態の媒体型調和システム260は、流体分配パッド215を有することができる。ここで、流体分配マニホルド210が流体分配パッド215全体にわたって流体を分配する。流体分配パッド215は、流体を直接交換媒体220へ配達するように作用する。これは、確実に直接交換媒体220を適切に湿潤させるのに役立つことができる。図2に例示されているように、流体分配パッド215は流体分配マニホルド210の真下に且つ直接交換媒体220の真上に配置することができる。
【0027】
一実施形態の流体分配パッド215は、直接交換媒体220の上に空気流を導くために様々な大きさの流れ制限手段を含むことができる。この特徴は、流体分配パッド215に関連した流量を最適化できるようにすることができる。例えば、限定するものではないが、ACS200の一用途では、直接交換媒体220の第1の半部により多量の流体を必要とすることがある。この場合、流体分配パッド215は、直接交換媒体220の第1の半部に流体を送り出す部分に設ける複数の孔を、直接交換媒体220の第2の半部に流体を送り出す部分に設ける複数の孔よりも大きさが大きくなるようにすることができる。
【0028】
モジュール205はまた、ミスト除去装置225を有することができる。ミスト除去装置225は一般に、非媒体型調和システム230及び/又は媒体型調和システム260の動作に起因して空気流に巻き込まれることのある流体の幾分かを除去するように作用する。図2に例示されているように、一実施形態のモジュール205では、ミスト除去装置225は非媒体型調和システム230及び媒体型調和システム260の下流に配置される。
【0029】
図2はまた、ACS200の複数のモジュール205を単一の入口システム100内に一体化することのできるやり方を例示している。図2は、3つの独立の非媒体型調和システム230がヘッダ275からの共通の非チルド流体供給装置及び共通の収集タンク250を持つことのできる態様を例示する。図2はまた、3つの独立の媒体型調和システム260がまたヘッダ275からの共通のチルド流体供給装置及び流体戻り路245を持つことのでき、且つそれらの全てが非媒体型調和システム230と収集タンク250を共用する態様を例示する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に従った空気調和システム200の概要を例示する概略図である。図3はACS200の構成要素を例示しており、その中にはモジュール205内に配置されないものも含まれている。以下に説明されるように、それらの構成要素は、第1の調和回路255及び/又は第2の調和回路280の一部であってよい。第1の調和回路255は、直接蒸発冷却モードで動作するACS200を表すことができる。この場合、第1の調和回路は、非チルド流体供給装置240と、非媒体型調和システム230と、媒体型調和システム260と、収集タンク250と、流体戻り路245(これは、ポンプ270に接続することができる)と、第1の弁290(これは、三方弁で構成することができる)と、第3の弁300とを有することができる。第1の調和回路255はまた、補給流体供給装置305及び補給流体供給弁310も有することができ、これらは共同して、蒸発プロセス中に消費された流体を第1の調和回路255に補充するように動作することができる。
【0031】
第2の調和回路280は、直接チリング・モードで動作するACS200を表すことができる。第2の調和回路280か、チルド流体供給装置265と、非媒体型調和システム230と、媒体型調和システム260と、収集タンク250と、流体戻り路245と、ポンプ270と、第1の弁290と、供給源285と、第2の弁295と、第3の弁300とを有することができる。
【0032】
使用の際、ACS200は少なくとも2つの動作モード、すなわち、主に第1の調和回路255を使用することのできる蒸発冷却モードと、主に第2の調和回路280を使用することのできるチリング・モードを有することができる。前に述べたように、一実施形態のACS200は、蒸発システム・モード又はチリング・システム・モードのいずれかで動作する融通性を提供することができる。この場合、非媒体型調和システム230へ及び媒体型調和システム260へ供給される流体が露点温度よりも高いとき、ACS200は蒸発冷却システムとして機能することができる。同様に、非媒体型調和システム230へ及び媒体型調和システム260へ供給される流体が露点温度よりも低いとき、ACS200はチリング・システムとして機能することができる。
【0033】
以下に一実施形態のACS200の動作の概要を説明する。ここで説明する実施形態は、流体分配パッド215を含むものである。流体分配パッド215を含んでいない他の実施形態のACS200は、同様な動作方法に従うことができる。
【0034】
蒸発冷却モードにおけるACS200は、限定するものではないが、以下の段階を有することができる。非媒体型調和システム230及び媒体型調和システム260(それらの一部は、モジュール205内に設けることができる)が、非チルド流体供給装置240から供給することのできる流体を、ヘッダ275を介してほぼ同時に受け取ることができる。次いで、空気流がモジュール205を通って流れているとき、スプレー・ノズル235が空気流に前記流体を吹き付けることができる。次いで、空気流が下流へ流れるにつれて、流体分配パッド215が、そのとき直接交換媒体220を通って流れている空気流に直接に流体を分配することができる。次いで、流体の一部分が収集タンク250へ流出することができる。
【0035】
次いで、流体戻り路245が収集タンク250内の流体の幾分かをポンプ270の入口へ送り出すことができる。更にまた、補給流体供給装置305及び補給流体供給弁310が、ポンプ270の入口へ補給流体を供給するように動作することができる。次いで、ポンプ270の出口から第1の弁290へ向けて流体を移動させることができる。第1の弁290は、三方弁である場合、ポンプ270からの流体を第1の調和回路255内に流れさせることができる。
【0036】
空気流は、非媒体型調和システム230及び直接交換媒体220を通った後、下流のミスト除去装置225へ流れることができる。同時に、補給流体供給装置305が補給流体供給弁310を介して第1の調和回路255へ補給流体を供給することができる。前に述べたように、補給流体は一般に、蒸発プロセス中に消費された流体を補充するように作用する。
【0037】
本発明の一実施形態では、第1の調和回路255は流体を垂直及び水平方向から空気流に吹き付けることができる。この場合、第1の調和回路255が動作しているとき、第3の弁300を開くことができる。
【0038】
チリング・モードの動作は、限定するものではないが、以下の段階を有することができる。非媒体型調和システム230及び媒体型調和システム260(それらの一部は、モジュール205内に設けることができる)が、チルド流体供給装置265から供給することのできる流体を、ヘッダ275を介してほぼ同時に受け取ることができる。次いで、空気流がモジュール205を通って流れているとき、スプレー・ノズル235が空気流に前記流体を吹き付けることができる。次いで、流体分配パッド215が、直接交換媒体220を通って流れている空気流に流体を係合させることができる。次いで、流体の一部分が収集タンク250内へ流出することができる。次いで、流体戻り路245が収集タンク250内の流体の幾分かをポンプ270の入口へ送り出すことができる。次いで、ポンプ270の出口から第1の弁290へ向けて流体を移動させることができる。ここで、第1の弁290は、ポンプ270からの流体を第2の調和回路280内に流れさせることができる。追加の流体が必要とされる場合、供給源285がまた第2の調和回路280へ流体を供給することができる。供給源285は、必要な流量及び圧力の流体を送り出すことの可能な任意の供給装置で構成することができる。例えば、限定するものではないが、供給源285は、蓄熱システム、貯蔵タンク、冷却流体システム又は同様な装置の内の少なくとも1つを有することができる。空気流は、直接交換媒体220を通った後、下流のミスト除去装置225へ流れることができる。
【0039】
本発明の一実施形態では、ノズルを通って流れる流体の流量を増大させることにより、ACS200の構成要素に対して洗浄機能を遂行することができる。この特徴は、ACS200の動作効率及び有効性を維持するのに役立つことができる。例えば、限定するものではないが、洗浄機能は直接交換媒体220を洗浄することができる。
【0040】
記載されているように、本発明の様々な実施形態は、既知のシステムに比して複数の利益及び利点をユーザーに提供する。本発明の一実施形態は、空気調和システム200に直接交換媒体220を使用しているため、より広範な用途及び利用法を提供することができる。温度レベルに応じて、空気流の調和は、a)流体の温度が空気流の湿球温度以上である場合に、純粋な蒸発プロセスを介して、或いはb)流体の温度が空気流の湿球温度より実質的に低い場合に、チリング・プロセスにおいて生じることができる。本発明の様々な実施形態は、流体の温度を調整することによって調和の範囲を制御する融通性を提供することができる。
【0041】
本発明の一実施形態は、動力発生の際に直接蒸発冷却と直接チリングとの選択肢を与えることによって、ガスタービン運転経費に対する融通性をより広げることができる。本発明の一実施形態は、既知のチリング装置のコイル・ユニットに比べて費用対効果を改善し、実装費用を低減し、圧力降下を低くし、他の構造的利益をもたらすことができる。
【0042】
本発明をその少数の実施形態についてのみかなり詳しく図示し説明したが、当業者には、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、特に上記の教示を踏まえて、開示した実施形態に対して様々な修正、省略及び追加を行うことができるので、本発明が該実施形態に制限されるものでは無いことが理解されよう。従って、このような全ての修正、省略及び追加は、特許請求の範囲の記載によって規定されるような本発明の精神及び範囲内に含むことができるものとして保護されるものとする。
【符号の説明】
【0043】
100 入口システム
105 耐候用フード
110 入口フィルタ・ハウジング
120 遷移部材
125 入口ダクト
130 消音器部分
135 入口抽気加熱システム
140 ごみ除去用網
145 圧縮機
200 空気調和システム
205 モジュール
210 流体分配マニホルド
215 流体分配パッド
220 直接交換媒体
225 ミスト除去装置
230 非媒体型調和システム
235 スプレー・ノズル
240 非チルド流体供給装置
245 流体戻り路
250 収集タンク
255 第1の調和回路
260 媒体型調和システム
265 チルド流体供給装置
270 ポンプ
275 ヘッダ
280 第2の調和回路
285 チルド流体 供給源
290 第1の弁
295 第2の弁
300 第3の弁
305 補給流体供給装置
310 補給流体供給弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気型機械に入る空気流を調和するためのシステムであって、
当該システムは、吸気型機械に入る空気流の物理的特性を調節するように構成された空気調和システム(ACS)(200)を有し、前記ACS(200)はモジュール(205)を有しており、前記モジュール(205)は、
周囲状態が所定の範囲内にある場合に空気流の物理的特性を調節するように構成された非媒体型調和システム(230)であって、空気流へ流体を吹き付けるのに適した複数のノズル(235)を含む非媒体型調和システム(230)と、
空気流の物理的特性を調節して前記吸気型機械の追加出力を供給するように構成された媒体型調和システム(260)であって、直接交換媒体(220)及び流体分配マニホルド(210)を含む媒体型調和システム(260)と、
を有しており、
前記非媒体型調和システム(230)へ及び前記媒体型調和システム(260)へ供給される流体がほぼ露点温度よりも高い場合には、前記ACS(200)が直接蒸発モードで動作し、また前記非媒体型調和システム(230)へ及び前記媒体型調和システム(260)へ供給される流体がほぼ露点温度よりも低い場合には、前記ACS(200)が直接チリング・モードで動作すること、
を特徴とするシステム。
【請求項2】
前記空気調和システム(200)の前記モジュール(205)は、前記吸気型機械の入口システム(100)内に配置され、前記入口システム(100)は、耐候用フード(105)、入口フィルタ・ハウジング(110)、遷移部材(120)、入口ダクト(125)及び入口抽気加熱部分(135)の内の少なくとも1つを有している、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記モジュール(205)内の構成要素の構成は、前記入口フィルタ・ハウジング(110)の下流に配置された前記非媒体型調和システム(230)と、前記非媒体型調和システム(230)の下流に配置された前記直接交換媒体(220)と、前記直接交換媒体(220)の上方に配置された流体分配パッド(215)と、前記流体分配パッド(215)の上方に配置された前記流体分配マニホルド(210)と、前記直接交換媒体(220)の下流に配置されたミスト除去装置(225)とを有している、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
第1の調和回路(255)が、流体を前記複数のノズル(235)、前記流体分配マニホルド(210)、流体分配パッド(215)及び前記直接交換媒体(220)へ供給するための非チルド流体供給装置(240)と、供給された流体の一部分を収集するためのタンク(250)とを有している、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
第2の調和回路(280)が、供給源から前記複数のノズル(235)、前記流体分配マニホルド(210)及び流体分配パッド(215)へ流体を送るように構成されたチルド流体供給装置(265)と、前記複数のノズル(235)、前記流体分配マニホルド(210)及び記流体分配パッド(215)によって散布された流体の一部分をタンク(250)へ送る流体戻り路(245)とを有している、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記直接交換媒体(220)は、プラスチック、ナイロン、炭素繊維、セルロース、合成ポリマー、金属、又はそれらの組合せを有する材料で構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記非媒体型調和システム(230)の前記複数のノズル(235)を出る流体のシステム圧力が約150ポンド/平方インチ未満である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記複数のノズルの各々のノズル寸法が約0.1インチ〜約0.25インチである、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記流体が、水、冷却剤、又はそれらの組合せを有しており、また前記供給源が、蓄熱システム、貯蔵タンク、及び冷却水システムの内の少なくとも1つを有している、請求項5記載のシステム。
【請求項10】
前記ACS(200)の少なくとも1つの構成要素に対して洗浄機能を遂行させるように、前記複数のノズル(235)を通って流れる流体の流量を増大させる、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−281559(P2010−281559A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119976(P2010−119976)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】