説明

ターボ機械運転停止シーケンスの間に過速度防止システムをテストするための方法及びシステム

【課題】ターボ機械の過速度防止システムをテストする方法(200)及びシステム(300)を提供する。
【解決手段】本方法(200)は、単一の又は複数のシャフトを有することができるターボ機械上に過速度防止システムを設ける段階と、1つ又は複数のシャフトの速度が、運転停止値を超過しているか否かを判定する段階(210)、(215)、(220)、(225)と、ターボ機械の過速度トリップ値を変更する段階(245)と、過速度防止システムが、ターボ機械をトリップさせるように作動することになったか否かを判定する段階(250)とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械の保護システムに関し、より具体的には、ターボ機械の電子式過速度防止のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過速度状態は、ターボ機械におけるシャフトの(回転)速度が指定範囲を超過した後に発生する。過速度状態の間には、ターボ機械は一般的に、破滅的な損傷を引き起こす可能性がある厳しい機械的及び熱的応力を受ける。過速度防止システムは、過速度事象発生時に緊急運転停止(一般に、トリップと呼ばれる)を開始することによってターボ機械を保護する。
【0003】
過速度防止システムをテストするのに先立って、ターボ機械は、これ迄通例的には全速無負荷(FSNL)状態で運転されている。FSNLは、ターボ機械が通常運転速度にありかつ発電機、圧縮機又はこれらに類したもののような負荷にエネルギーを与えていない状態である。過速度テストは一般的に、ターボ機械の速度を手動で通常運転範囲以上に上昇させることを含む。例えば、一部のターボ機械オペレータは、過速度テストの間に、速度を通常運転速度の110%まで上昇させ、その後、過速度防止システムがタービンをトリップさせるようにしなければならない。
【0004】
現行の過速度テスト方法には、幾つかの問題点がある。シャフト速度を手動で調整することは、高い熱過渡状態を引き起こす。通常運転速度付近又は通常運転速度以上の速度でのターボ機械のトリップは、ターボ機械の構成要素に大きな機械的、電気的及び熱的応力を引き起こす可能性がある。これらの応力は、メインテナンス間隔を短縮させ、ターボ機械オペレータが、予定したよりも早い時点でメインテナンスのためにターボ機械を運転停止させることを必要とする。さらに、トリップ後には、ターボ機械の再始動が必要であり、このことがエネルギーの取出しを遅らせる。また、現行の過速度テスト方法は一般的に、ターボ機械をFSNLで運転することを必要とし、そのことは一般的に、収益は生み出さないが、燃料及び電気を消費する。これらの問題により、ターボ機械オペレータは、手動による速度調整、トリップ、FSNL運転及び過速度テストを回避しがちになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の理由から、高い熱過渡状態を引き起こすことになる運転速度でターボ機械をトリップさせることがない、過速度防止システムをテストするための方法及びシステムに対する必要性が存在する。この方法は、テストの間に自動的に速度を調整すべきであり、またテスト後にターボ機械の再始動を必要としないものであるべきである。さらに、この方法は、顕著なFSNL運転を必要としないものであるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によると、ターボ機械の過速度防止システムをテストする方法は、少なくとも1つのシャフトを含むターボ機械上に過速度防止システムを設ける段階と、少なくとも1つのシャフトの速度が、ターボ機械をトリップさせることができるターボ機械運転停止値を超過しているか否かを判定する段階と、ターボ機械の過速度トリップ値を変更する段階と、過速度防止システムが、ターボ機械をトリップさせるように作動することになったか否かを判定する段階とを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、ターボ機械の過速度防止システムをテストするためのシステムは、少なくとも1つのシャフトを含むターボ機械上に過速度防止システムを設けるための手段と、少なくとも1つのシャフトの速度が、ターボ機械をトリップさせることができるターボ機械運転停止値を超過しているか否かを判定するための手段と、過速度トリップ設定点を変更するための手段と、過速度防止システムが、ターボ機械をトリップさせるように作動することになったか否かを判定するための手段とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
当業者には分かるように、本発明は、方法、システム又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。従って、本発明は、全体としてハードウェアの実施形態、全体としてソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード、その他を含む)、又はソフトウェア態様とハードウェア態様とを組合せた実施形態の形態をとることができ、本明細書では、それら全ては全体的に「回路」、「モジュール」又は「システム」と呼ぶ。さらに、本発明は、媒体内に具現化したコンピュータ使用可能プログラムを有する、コンピュータ使用可能記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。
【0009】
あらゆる適当なコンピュータ読取可能媒体が、利用可能である。コンピュータ使用可能又はコンピュータ読取り可能媒体は、例えば、それに限定されないが、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線的又は半導体的なシステム、機器、装置又は伝播媒体とすることができる。コンピュータ読取り可能媒体のより具体的な実施例(全てを網羅しているわけではないが)には、以下のもの、すなわち1つ又はそれ以上のワイヤを有する電気的接続、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(ERROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯型コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、光学記憶装置、インターネット又はイントラネットを支えているもののような通信媒体、或いは磁気記憶装置が含まれることになる。コンピュータ使用可能又はコンピュータ読取り可能媒体は、その上にプログラムがプリントされる紙又はその他の適当な媒体とさえすることができ、その場合プログラムは、例えば紙又はその他の媒体の光学的走査によって電子的に取得し、次に必要に応じて適当な方式で編集、翻訳又はその他の処理を行い、次にコンピュータメモリ内に記憶することができることに注目されたい。本明細書に関連して、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読取り可能媒体は、命令実行システム、機器又は装置によって或いはそれらと共に使用するためのプログラムを収納、記憶、通信、伝播又は転送できるあらゆる媒体とすることができる。
【0010】
本発明の演算を実行するためのコンピュータプログラムコードは、ジャバ7、スモールトーク又はC++、或いはこれらに類したもののようなオブジェクト指向プログラミング言語で書くことができる。しかしながら、本発明の演算を実行するためのコンピュータプログラムコードはまた、Cプログラミング言語のような従来型の手続き形プログラミング言語又は同様な言語で書くことができる。プログラムコードは、全体をユーザコンピュータ上で、或いは独立型ソフトウェアパッケージとして一部をユーザコンピュータ上で、或いは一部をユーザコンピュータ上でかつ一部を遠隔コンピュータ上で、或いは全体を遠隔コンピュータ上で実行することができる。後者の場合は、遠隔コンピュータは、ローカルエリヤネットワーク(LAN)又はワイドエリヤネットワーク(WAN)を介してユーザコンピュータに接続することができ、或いは外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)接続することができる。
【0011】
本発明の実施形態による方法、機器(システム)及びコンピュータプログラム製品のフロー図及び/又はブロック図を参照しながら、以下において本発明を説明する。フロー図及び/又はブロック図の各ブロック並びにフロー図及び/又はブロック図におけるブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実行することができることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供してマシンを作り出して、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フロー図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定された機能/動作を実行するための手段を形成するようにすることができる。
【0012】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読取り可能メモリ内に記憶することができ、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置が特定の方式で機能するように指令することができるので、コンピュータ読取り可能メモリ内に記憶された命令は、フロー図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定された機能/動作を実行する命令手段を含む製品を作り出すようになる。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置上にロードして、一連の演算ステップをコンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置上で行ってコンピュータ実行処理を作り出すようにして、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置上で実行される命令が、フロー図及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロック内に指定された機能/動作を実行するためのステップを提供するようにすることができる。
【0013】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照する。異なる構造及び機能を有するその他の実施形態も、本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0014】
本発明の実施形態は、ターボ機械が運転停止シーケンスを受けている間にターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするソフトウェアアプリケーション及び処理の形態をとる。本発明は、燃焼ガスタービン、蒸気タービン、又はこれらに類したものを含む多くの形態のターボ機械に適用することができる。
【0015】
本発明は、燃焼停止過速度テストの開始に先立って少なくとも1つのテスト許容条件が満たされることを要することができる。これらの許容条件には、マスタ保護トリップ状態、発電機/被駆動負荷状態、燃焼停止状態、及び火炎検出器状態を含むことができる。
【0016】
図1A〜図1C(総合して図1)は、本発明の実施形態が作動する環境を示すスクリーンショットである。図1は、運転停止シーケンスを受けている燃焼ガスタービン(以後、タービンと呼ぶ)100を示している。図1は、タービン100の作動パラメータを含んでいる。これらのパラメータには、実タービン速度110(通常運転速度のパーセンテージとしての)、過速度トリップ設定点120(通常運転速度のパーセンテージとしての)、火炎検出器130及び発電機出力140が含まれる。図1はまた、停止/速度比弁152及び複数のガス制御弁154を有するガス燃料システム150を示している。
【0017】
特に図1Aを参照すると、この図は、実タービン速度110が100%であり、過速度トリップ設定点120が110%であり、火炎検出器130が火炎を表示し、また発電機出力140がゼロであることを示している。これらのパラメータは、タービン100がFSNL状態で運転していることを示唆している。
【0018】
燃焼停止が開始されかつテスト許容条件が満たされた後に、ユーザは、燃焼停止過速度テストを開始することができる。図1Bは、実タービン速度110が50%でありかつ火炎検出器130が火炎を表示している状態で、燃焼停止を受けているタービン100を示している。本発明は、ユーザが手動でテストを中止し、それによってタービン100の燃焼停止を再開することを可能にする。
【0019】
燃焼停止過速度テストは、過速度トリップ設定点120をタービン100の消炎速度付近の値に自動的に調整する。この場合、設定点120は、48%まで低下される。
【0020】
設定点120が変更された後に直ちに、過速度防止システムは、図1Cに示すように、タービン100をトリップさせるべきである。タービン100のトリップは、タービン100へのガス燃料流を迅速に停止させ、それによって火炎を消滅させる。図1Cは、停止/速度比弁152及び複数のガス制御弁154が閉鎖され、また火炎検出器130が火炎の存在を示していないことを示している。タービン100がトリップされた後に、過速度トリップ設定点120は、自動的に初期設定値にリセットされる。
【0021】
次に、図2A及び図2B(総合して図2)を参照すると、これらの図は、本発明の実施形態による、タービン運転停止シーケンスの間に過速度防止システムをテストする方法200を示すフロー図である。ステップ205において、燃焼停止が開始される。燃焼停止は、ターボ機械オペレータによって手動で或いは必要な特別機能を備えた制御システムによって自動的に開始することができる。
【0022】
ステップ210において、方法200は、少なくとも1つの燃焼停止過速度テスト許容条件が満たされているか否かを判定する。ユーザは、テストに不可欠な複数の許容条件を構成することができる。これらの許容条件は、テストに先立って特定のタービン運転状態を保証するために使用することができる。例えば、ユーザは、テストを開始するのに先立って、タービンがFSNL状態で又はそれに近い状態で運転していることを選ぶことができる。必要なテスト許容条件が満たされていない場合には、方法200はステップ235に進み、そうでない場合には、方法200はステップ215に進む。
【0023】
ステップ215において、燃焼停止過速度テストが選択される。ユーザは、ステップ210が満たされた後にテストを自動的に選択するように、方法200を構成することができる。タービンの運転が遠隔的に行われている場合には、ユーザは、この選択肢を望むことができる。別の実施形態では、ユーザは、手動でテストを選択することを選ぶことができ、これは、タービンの運転が局所的に行われている場合には、望ましいものとなる。
【0024】
方法200は、ステップ220に進み、このステップ220において、少なくとも1つのシャフトの実速度が燃焼器消炎速度を超過しているか否かが判定される。本発明は、単一のシャフト(一般に、ロータと呼ばれる)を有するタービン或いは2シャフトタービンを含む複数シャフトを有するタービンに適用することができる。実速度が消炎速度を超過している場合には、方法200はステップ225に進み、そうでない場合には、方法200はステップ235に進む。本発明は、ユーザが燃焼器消炎速度を判定するためのパラメータを構成することを可能にする。例えば、ユーザは、燃焼器消炎速度を制御定数として設定することができる。それに代えて、本発明は、燃焼器消炎速度をテストの間に自動的に決定される変数とすることを可能にする。
【0025】
方法200は、ステップ225において、ステップ210におけるテスト許容条件が維持されているか否かを判定する。操作事象により、テスト許容条件は状態が変化したものになる可能性がある。例えば、燃料システム供給問題により、過早消炎及びテスト許容条件の喪失が生じる可能性がある。テスト許容条件が維持されていない場合には、方法200はステップ235に進み、そうでない場合には、方法200はステップ230に進む。
【0026】
ステップ230において、ユーザは、手動でテストを中止することができる。ユーザは、操作的に又はその他の方法によって、テストを中止する理由を発見することができる。例えば、ユーザは、火炎検出器が火炎状態の信頼できる表示を行っていないということを発見することができ、火炎状態は、テストの重要な要件とすることができる。ユーザがテストを中止した場合には、方法200はステップ235に進み、そうでない場合には、方法200は、ステップ240に進む。
【0027】
ステップ235において、方法200はテストを中止する。テストが中止された後に、タービン運転は、以前の燃焼停止シーケンスに復帰する。ユーザは、テストが中止されたことの通知を提供するように、方法200を構成することができる。この通知は、それに限定されないが、音声信号、図形又は文章によるメッセージのような様々な形態の警報とすることができる。
【0028】
図2Bに示すステップ240において、過速度トリップ設定点は、燃焼停止トリップ設定点に変更される。燃焼停止トリップ設定点の値は、多様な機械的、作動的及び信頼性因子によって影響を受ける。これらの因子は、燃焼システム、運転条件及び燃料タイプに応じて変化する可能性がある。値は一般的に、特定の燃焼システムの自然消炎速度付近に設定され、それによってトリップに関連する熱過渡状態を最小にする。本発明は、ユーザが燃焼停止トリップ設定点値を入力し、それによって特定の状態に対する調整手段を提供するのを可能にする。それに代えて、本発明は、燃焼停止トリップ設定点のための値を自動的に生成しかつ入力するように構成することができる。
【0029】
過速度トリップ設定点を変更した後に、方法200は、ステップ245に進み、このステップ245において、タービンは、燃焼停止過速度トリップを受ける。トリップは、タービンの実速度が燃焼停止過速度トリップ設定点の近くになった後に起こる。
【0030】
方法200は、ステップ250において、緊急保護システムが正しく機能したか否かを判定する。燃焼タービンでは、緊急保護システムは一般に、燃焼システムへの燃料流を迅速に停止し、それによって燃焼を止めるように作動する。一般的に、緊急保護システムの構成要素が正しく作動したことを確認するために、データ記録手段が使用される。緊急保護システムが正しく機能した場合には、方法200はステップ255に進み、この場合には燃焼停止テストは成功し、また緊急保護システムが正しく機能しなかった場合には、方法200はステップ260に進み、この場合には燃焼停止テストは不成功となる。本発明は、緊急保護システムが正しく機能したか否かをユーザに報せる警報システムと統合することができる。
【0031】
本発明は、図2A及び図2Bにおける単一シャフト燃焼タービンに関して説明してきたが、本発明の特徴は、蒸気タービン及びこれに類したもののようなその他の形態のターボ機械にも同様に適用することができることは、当業者には分かるであろう。
【0032】
図3は、本発明の実施形態による、ターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするための例示的システム300のステップ図である。方法200の要素は、システム300として具現化しかつ該システム300によって実行することができる。システム300は、1つ又はそれ以上のユーザ又はクライアント通信装置302或いは同様なシステム又は装置(2つを図3に示している)を含むことができる。各通信装置302は、電子メッセージを送受信することができるコンピュータシステム、パーソナルデジタル端末、携帯電話又は同様な装置とすることができる。
【0033】
通信装置302は、システムメモリ304又はローカルファイルシステムを含むことができる。システムメモリ304は、読出し専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。ROMは、基本入出力システム(BIOS)を含むことができる。BIOSは、通信装置302の要素又は構成要素間での情報転送を助ける基本ル−チンを含むことができる。システムメモリ304は、通信装置302の動作全体を制御するオペレーティングシステム306を含むことができる。システムメモリ304はまた、ブラウザ308又はウエブブラウザを含むことができる。システムメモリ304はまた、ターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするデータ構造310又はコンピュータ実行可能コードを含むことができ、これらのデータ構造又はコードは、図2A及び図2Bの方法200と同様にすることができ或いは方法200の要素を含むことができる。システムメモリ304はさらに、テンプレートキャッシュメモリ312を含むことができ、このキャッシュメモリは、最新テストからのデータを自動的に記憶するために図2A及び図2Bの方法200と共に使用することができる。
【0034】
通信装置302はまた、該通信装置302のその他の構成要素の動作を制御するプロセッサ又は処理ユニット314を含むことができる。オペレーティングシステム306、ブラウザ308及びデータ構造310は、プロセッサ314上で動作可能とすることができる。プロセッサ314は、システムバス316によって通信装置302のメモリシステム304及びその他の構成要素に結合することができる。
【0035】
通信装置302はまた、複数の入力装置、出力装置又は組合せ入出力装置318を含むことができる。各入出力装置318は、入出力インタフェース(図3には図示せず)によってシステムバス316に結合することができる。入力装置、出力装置又は組合せ入出力(I/O)装置318は、ユーザが通信装置302を動作させかつ該通信装置302とインタフェースをとることを可能にし、またブラウザ308及びデータ構造310の動作を制御してターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするソフトウェアにアクセスし、これを動作させかつ制御することを可能にする。I/O装置318は、本明細書に記載した動作を行うキーボード及びコンピュータポインティング装置又はこれに類したものを含むことができる。
【0036】
I/O装置318はまた、ディスクドライブ、光学的又は機械的又は磁気的又は赤外線的入出力装置、モデム、或いはこれらに類したものを含むことができる。I/O装置318は、媒体320にアクセスするために使用することができる。媒体320は、通信装置302のようなシステムによって使用するための又は該システムと共に使用するためのコンピュータ読取り可能又はコンピュータ実行可能命令又はその他の情報を収納、記憶、通信又は転送することができる。
【0037】
通信装置302はまた、ディスプレイ又はモニタ322のようなその他の装置を含むか又はそのようなその他の装置に接続することができる。モニタ322は、ユーザが通信装置302とインタフェースをとることを可能にするために使用することができる。モニタ322は、ターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするために、図1A〜図1Cに示す概略図と同様な画像、図形又はこれらに類したものを表示し、これらの表示はデータ構造310によって生成することができる。
【0038】
通信装置302はまた、ハードディスクドライブ324を含むことができる。ハードドライブ324は、ハードドライブインタフェース(図3には図示せず)によってシステムバス316に結合することができる。ハードドライブ324はまた、ローカルファイルシステム又はシステムメモリ304の一部を形成することができる。プログラム、ソフトウェア及びデータは、通信装置302を動作させるために、システムメモリ304とハードドライブ324との間で転送及び交換することができる。
【0039】
通信装置302は、遠隔サーバ326と通信することができ、またネットワーク328を介してその他のサーバ又は通信装置302と同様なその他の通信装置にアクセスすることができる。システムバス316は、ネットワークインタフェース330によってネットワーク328に結合することができる。ネットワークインタフェース330は、ネットワーク328を結合するためのモデム、イーサネット(登録商標)カード、ルータ、ゲートウエイ又はこれらに類したものとすることができる。結合は、ワイヤ接続又は無線とすることができる。ネットワーク328は、インターネット、私用ネットワーク、イントラネット又はこれらに類したものとすることができる。
【0040】
サーバ326はまた、システムメモリ332を含むこともでき、システムメモリ332は、ファイルシステム、ROM、RAM及びこれらに類したものを含むことができる。システムメモリ332は、通信装置302内のオペレーティングシステム306と同様なオペレーティングシステム334を含むことができる。システムメモリ332はまた、ターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするデータ構造336を含むことができる。データ構造336は、ターボ機械の過速度防止システムを自動的にテストするための方法200に関して説明したものと同様なオペレーションを含むことができる。サーバシステムメモリ332はまた、その他のファイル338、アプリケーション、モジュール及びこれらに類したものを含むことができる。
【0041】
サーバ326はまた、該サーバ326内のその他の装置の動作を制御するプロセッサ342又は処理ユニットを含むことができる。サーバ326はまた、I/O装置344を含むことができる。I/O装置344は、通信装置302のI/O装置318と同様なものにすることができる。サーバ326はさらに、I/O装置344と共にサーバ326に対するインタフェースを行うモニタ又はこれに類したもののようなその他の装置346を含むことができる。サーバ326はまた、ハードディスクドライブ348を含むことができる。システムバス350は、サーバ326の様々な構成要素に接続することができる。ネットワークインタフェース352は、システムバス350を介してサーバ326をネットワーク328に結合することができる。
【0042】
図面におけるフロー図及びステップ図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実施形態のアーキテクチャ、機能性及び動作を示している。この点に関して、フロー図又はステップ図における各ステップは、指定した論理機能を実行するための1つ又はそれ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント又はコードの一部分を表すことができる。また、幾つかの別の実施形態では、ステップ内に記した機能は、図に記した順序とは異なる順序で行うことができることに注目されたい。例えば、連続して示した2つのステップは、実際には、それらに含まれた機能に応じて、実質的に同時的に実行することができ、或いは時にはこれらのステップは逆の順序で実行することができる。また、ブロック図及び/又はフロー図の各ステップ並びにブロック図及び/又はフロー図におけるステップの組合せは、指定した機能又は動作を行う専用ハードウェアベースのシステム、或いは専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組合せによって実行することができることも注目されたい。
【0043】
本明細書で使用する用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としたものであって、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、数詞のない一般的な表現は、そうではないことを文脈が明示しない限り、複数形も同様に含むことを意図している。さらに、本明細書で使用する場合の「含む」及び/又は「備えている」という用語は、そこに述べた特徴、数、ステップ、工程、要素及び/又は構成要素の存在を指定しているが、1つ又はそれ以上のその他の特徴、数、ステップ、工程、要素、構成要素、及び/又は群それらの存在又は追加を排除するものではないことを理解されたい。
【0044】
本明細書では特定の実施形態を示しかつ説明してきたが、同一の目的を達成するようにしたあらゆる構成が、示した特定の実施形態と置き換えることができること、また本発明が、他の環境において別の用途を有することが、当業者には明らかであろう。本出願は、本発明のあらゆる改造又は変更を保護することを意図している。提出した特許請求の範囲は、本発明の技術的範囲を本明細書に記載した特定の実施形態に限定することを全く意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1A〜図1Cは、本発明の実施形態が作動する環境を示す概略図である。
【図2A】本発明の実施形態による、ターボ機械運転停止シーケンスの間に過速度防止システムをテストする方法の実施例を示すフロー図である。
【図2B】本発明の実施形態による、ターボ機械運転停止シーケンスの間に過速度防止システムをテストする方法の実施例を示すフロー図である。
【図3】本発明の実施形態による、ターボ機械運転停止シーケンスの間に過速度防止システムをテストするための例示的システムのブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
100 ガスタービン
110 実タービン速度
120 過速度トリップ設定点
130 火炎検出器
140 発電機出力
150 ガス燃料システム
152 停止/速度比弁
154 複数のガス制御弁
300 システム
302 通信装置
304 システムメモリ
306 オペレーティングシステム
308 ブラウザ
310 データ構造
312 キャッシュメモリ
314 処理ユニット
316 システムバス
318 入出力装置
320 媒体
322 モニタ
324 ハードドライブ
326 サーバ
328 ネットワーク
330 ネットワークインタフェース
332 メモリ
334 オペレーティングシステム
336 データ構造
338 その他のファイル
342 プロセッサ
344 入出力装置
346 その他の装置
348 ハードディスクドライブ
350 システムバス
352 ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械の過速度防止システムをテストする方法(200)であって、
少なくとも1つのシャフトを含むターボ機械上に過速度防止システムを設ける段階と、
前記少なくとも1つのシャフトの速度が、前記ターボ機械をトリップさせることができるターボ機械運転停止値を超過しているか否かを判定する段階(220)と、
前記ターボ機械の過速度トリップ値を変更する段階(240)と、
前記過速度防止システムが、前記ターボ機械をトリップさせるように作動することになったか否かを判定する段階(250)と、
を含む方法(200)。
【請求項2】
前記ターボ機械が燃焼タービンであり、該方法が、
少なくとも1つの所定のテスト許容条件が満たされているか否かを判定する段階(210)と、
燃焼停止過速度テストを開始する段階(215)と、
前記少なくとも1つのシャフトの速度が消炎速度を超過していない場合には、前記燃焼停止過速度テストを中止する段階(220)、(235)と、
過速度トリップ設定点を燃焼停止トリップ設定点に変更する段階(240)と、
をさらに含む、請求項1記載の方法(200)。
【請求項3】
緊急保護システムが、少なくとも1つの燃焼タービン燃料システム(150)を制御する、請求項2記載の方法(200)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのテスト許容条件が維持されていない場合には、前記燃焼停止過速度テストを中止する段階(235)をさらに含む、請求項3記載の方法(200)。
【請求項5】
前記緊急保護システムが前記燃焼タービンの運転を制御したか否かを判定する段階(250)をさらに含む、請求項4記載の方法(200)。
【請求項6】
ターボ機械の過速度防止システムをテストするためのシステム(300)であって、
少なくとも1つのシャフトを含むターボ機械上に過速度防止システムを設けるための手段と、
前記少なくとも1つのシャフトの速度が、前記ターボ機械をトリップさせることができるターボ機械運転停止値を超過しているか否かを判定するための手段と、
過速度トリップ設定点(120)を変更するための手段と
前記過速度防止システムが、前記ターボ機械をトリップさせるように作動することになったか否かを判定するための手段と、
を含むシステム(300)。
【請求項7】
前記ターボ機械が燃焼タービンであり、該システムが、
少なくとも1つの所定のテスト許容条件が満たされているか否かを判定するための手段と、
燃焼停止過速度テストを開始するための手段と、
前記少なくとも1つのシャフトの速度が消炎速度を超過していない場合には、前記燃焼停止過速度テストを中止するための手段と、
過速度トリップ設定点を燃焼停止トリップ設定点に変更するための手段と、
をさらに含む、請求項6記載のシステム(300)。
【請求項8】
緊急保護システムが、少なくとも1つの燃焼タービン燃料システム(150)を制御する、請求項7記載のシステム(300)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのテスト許容条件が維持されていない場合には、前記燃焼停止過速度テストを中止するための手段をさらに含む、請求項8記載のシステム(300)。
【請求項10】
前記緊急保護システムが前記燃焼タービンの運転を制御したか否かを判定するための手段をさらに含む、請求項9記載のシステム(300)。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−151111(P2008−151111A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−267824(P2007−267824)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】