説明

ダイアフラム型フラッシュ洗浄装置用の二重のバイパス

【課題】部品点数が少なく、保守、組立が容易なダイヤフラム型フラッシュバルブを提供する。
【解決手段】ダイアフラム116は少なくとも2つのバイパスのオリフィス206を備えている。ダイアフラム116の各バイパスのオリフィス206は、これに関連するバイパスを有している。このバイパスを貫通する通路を含む各バイパスは、ダイアフラム116の下方の入口チャンバとダイアフラム116の上方の制御チャンバとの連通を可能にしている。ダイアフラム116は、またフラッシュバルブシステムの補助バルブ機構に密閉手段を配置して供給する機能を統合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願の相互参照)
本出願は、2007年8月8日に出願された米国仮特許出願第60/954,749号を基礎として優先権を主張するものであり、この優先権の基礎とする出願は、参照することによって本出願に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、一般的にはバルブの分野に関し、より詳細には、一般的に水洗トイレなどで用いられるダイアフラム型フラッシュ洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のフラッシュ洗浄装置には、2つの部品から構成されるダイアフラム円板部組立体が設けられている。ここで用いられるダイアフラムのプレートは、一般的には、(支持用の)金属製のコアを含んだゴム部品となっている。このようなダイアフラムは、バイパスを用いることによってフラッシュ洗浄装置を通る主要な(一次的な)水流を制御するような機能を有している。安全弁台座は、ダイアフラムに係合する別部品となっている。従来の装置では安全弁台座は、一般的には、金属のベースの周りにゴム成型された追加的な部品となっている。
【0004】
フラッシュの容積を低くした設備が必要とされて普及してきているため、より限られたバラツキで各フラッシュを放出するように構成されたフラッシュ洗浄装置が必要とされている。このことによって、フラッシュのプロファイル(1フラッシュ当たりの全容積と時間当たりの容積との両方)を厳密に制御するための部品に対しては、より厳密な制御を施すことが必要となる。
【発明の開示】
【0005】
本発明の一実施形態では、フラッシュバルブの組立てにおける部品点数を削減することによって、低コストで、保守容易で、かつ組立容易となる利益がもたらされる。本発明のダイアフラムは、1つの態様では複数のバイパスを備え、もう1つの態様では安全弁台座とともに一体化された単一のダイアフラムを備え、さらにもう1つの態様では保持具を用いることによってダイアフラムのキット部品を密閉するために改善した機構を備えている。
【0006】
本発明の一実施形態では、水入口および水出口を有するフラッシュバルブ本体であって、水入口がフラッシュバルブ本体の側部に配置され、水出口が前記フラッシュバルブ本体の底部に配置される、フラッシュバルブ本体を備えているフラッシュバルブシステムに関する。このフラッシュバルブシステムは、さらに中空の通路を有し、フラッシュバルブ本体内に配置され、かつ水を水入口から水出口に進ませるための垂直な経路を形成するバレルと、水入口および水出口の間をシールの形成によって連通させて入口チャンバを画成している、バレルのスカート部およびフラッシュバルブ本体とを備えている。中空の通路から入口チャンバを密閉し、ダイアフラムの上方に制御チャンバを画成し、ダイアフラムがバレルの上端部に配置されている。ダイアフラムは、上面、下面および側面を有し、また中央開口部を有し、さらにダイアフラムを貫通する複数のバイパス開口部を備えている。これら複数のバイアス開口部の各々はバイパスを保持するように構成され、バイパスには入口チャンバから圧力を平衡状態にすることを可能にするための制御チャンバまでの通路が設けられている。安全弁保持リングは、中央開口部を取り囲むとともにダイアフラムの上面から延設されている。安全弁保持リングは、安全弁保持リングの内側表面から中央開口部に向かって突出する複数の安全弁突起部を備えている。安全弁台座は上面に配置され、また安全弁台座は安全弁保持リングと中央開口部との間に配置されている。安全弁は、ダイアフラム上に配置され、バルブステムを備えており、バルブステムは、安全弁から下方に延びて、ダイアフラムを貫通するとともに、ガイドを越えて延設されている。ガイドは、ダイアフラムに接続されて、ダイアフラムから下方に向かってバレル内に延設されており、ガイドは中央開口部と連通する略円筒形状の中空管となっている。
【0007】
フラッシュバルブ・ダイアフラムキットの形式のもう1つの実施形態では、このキットは、実質的にダイアフラムの高さより大きなダイアフラムの半径を有し、上面、底面および側面を有する略円板形状となっているダイアフラムを備えている。このダイアフラムは、ダイアフラムを貫通して略中央に位置する中央開口部を有し、ダイアフラムにはこのダイアフラムを貫通する通路を含む複数のバイパス開口部が配置されている。このキットは、さらに複数のバイパスを備え、各バイパス開口部には、バイパス開口部に対応して構成されるとともにバイパス開口部内で保持されることを可能としながら着脱可能に構成されるバイパスが設けられている。安全弁保持リングは、中央開口部を取り囲むとともにダイアフラムの上面から延設されている。安全弁保持リングは、安全弁保持リングの内側表面から中央開口部に向かって突出する複数の安全弁ガイドを備えている。安全弁保持リングと中央開口部との間に位置する安全弁台座は上面に配置されている。ダイアフラムの中央開口部に着脱可能に構成される保持具は、ダイアフラムをガイドに取り付け、ダイアフラムの上面に係合可能なフランジを備えている。安全弁台座に取付け可能で、少なくとも部分的に安全弁保持リングによって保持される安全弁は、ダイアフラムから保持具およびガイドを貫通して延設されるバルブステムを備えている。
【0008】
フラッシュバルブ用のダイアフラム組立体を構成する、さらにもう1つの実施形態では、ダイアフラム組立体は、実質的にダイアフラムの高さより大きなダイアフラムの半径を有し、上面、底面および側面を有する略円筒形状のダイアフラムを備えている。このダイアフラムは、ダイアフラムを貫通して略中央に位置する中央開口部を備えている。ダイアフラムにはこのダイアフラムを貫通する通路を含む複数のバイパス開口部が配置されている。バイパス開口部に対応して構成されるとともにバイパス開口部内で保持されることを可能としながら着脱可能に構成されるバイパスを有する各バイパス開口部には、複数のバイパスが含まれている。安全弁保持リングは、中央開口部を取り囲むとともにダイアフラムの上面から延設されている。安全弁保持リングは、安全弁保持リングの内側表面から中央開口部に向かって突出する複数の安全弁ガイドを備えている。安全弁保持リングと中央開口部との間に位置する安全弁台座が上面に配置されている。
【0009】
本発明は、以降十分に説明され、添付の図面に示され、以下に説明され、かつ特に添付の特許請求の範囲にて指摘されるように一定の特徴と部品の組合せとを含み、細部における種々の変更が本発明の精神から逸脱せずに、本発明の利点のいかなるものも犠牲にすることなく可能であることが理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
単一のバイパスオリフィスと多数の組立キット部品とを有するダイアフラム型フラッシュ洗浄装置は、参照することにより本明細書に組み込まれる米国特許第6,616,119号、同第5,967,182号、同第5,887,848号、同第5,490,659号、同第5,213,305号、および同第5,332,192号によって教示されるように、周知となっている。本発明は、ダイアフラム・フラッシュバルブを利用するすべての設備に関連した用途を含むものであり、従来のような容積の設備を含むものである。しかしながら、ここで説明されるダイアフラム組立体が高効率小便器(「HEU」:High Efficiency Urnals)および高効率トイレ(「HET」:High Efficiency Toilets)と呼ばれる水の消費を削減した設備のために十分な利点を有することは認められるべきである。しかしながら、本発明のように改善されたダイアフラムが、同様に様々な容積のフラッシュ洗浄装置の1フラッシュ当たりにおける性能を改善可能であり、かつフラッシュの容積の低い設備を改善することに特定されるものでないことは理解されるべきである。
【0011】
本願の明細書で説明されるダイアフラム組立体は様々なフラッシュバルブにおいて使用され得るが、図1は、本願の明細書で説明されるダイアフラム組立体110を用いたフラッシュバルブシステム100を示している。図1に示されるように、本発明のフラッシュバルブは、入口102と出口104とを有するフラッシュバルブ101を含むものである。ダイアフラム組立体110は、入口102と出口104とを分離し、入口102と出口104との間の流れを調整するように配置されている。
【0012】
続けて図1を参照すると、バレル105は入口102と出口104との間の経路を形成している。典型的なものでは、フラッシュバルブ本体101は、幅寸より大きくなるように、垂直(長手方向)軸114に沿って延設されている。標準的なフラッシュバルブ本体では、一般に、フラッシュバルブシステム100の水平(横)軸115と略平行な側部からフラッシュバルブ本体101に水が入るように、(図1に示されるように)側部の入口が利用されている。また、図1に示されるように出口104は、典型的にはフラッシュバルブ本体101の「底部」に配置されている。入口102と出口104との間の経路を形成するバレル105は、一般的にはフラッシュバルブシステム100の垂直軸114に略平行に配置されている。
【0013】
一実施形態では、入口102は入口チャンバ103に水を送り込むように構成され、入口チャンバ103は、バレル105を取り囲むとともに、そのバレル(ひいては出口104)との連通をダイアフラム組立体110によって制御するように構成されている。ダイアフラム組立体110は、入口102から出口104を通る水の流れを制御するために、バレル105上に配置されている。ダイアフラム組立体110が「開いている」とき、すなわちダイアフラム組立体110がダイアフラム台座106から引き上げられているとき、入口チャンバ103からの水は、バレル105の最上部(の上)を流れて、バレル105の内部に入り、出口104に流れることとなる。
【0014】
ダイアフラム組立体110の一実施形態ではダイアフラム組立体110は、柔軟なダイアフラム116を含んでいる。一実施形態では、ダイアフラム116は、ダイアフラム116の高さ(厚さ)より実質的に大きいダイアフラム116の外径を有し、上面116aと下面116bと側面または外周面116cとを有する略円板形状を含んでいる。ダイアフラム116は、その外周面116cの周りで固定されている。一実施形態ではダイアフラムの外周面116cはバルブ本体101に固定されている。ダイアフラム116は、バレル105の最上部であるダイアフラム台座106上に配置されている。ダイアフラム116がダイアフラム台座106上に配置されると、水が入口102から入口チャンバ103を経由してバレル105の内部に(そして、これに続いて出口104を経由して外に)進むことを防止するためのシールが形成されることとなる。
【0015】
ダイアフラム組立体110の動作は、入口チャンバ103と制御チャンバ107との間の圧力の釣合いによって制御されることとなる。制御チャンバ107は、ダイアフラム組立体110の上方で、かつ入口チャンバ103と対向して、フラッシュバルブ本体101の内部空間の一部として画成されて、(典型的には水供給ライン(図示せず)自体の中の水の圧力によって)制御チャンバ107の圧力が入口チャンバ103からの圧力とは反対にダイアフラム116に作用することとなる。従って、入口チャンバ103の圧力はダイアフラム116をダイアフラム台座106から押し離すように作用し、制御チャンバ107の圧力はダイアフラム116をダイアフラム台座106に押し付けるように作用することとなる。
【0016】
図1、図2および図4に示されるように、ある実施形態ではダイアフラム組立体110は円板部109を備えており、円板部109は、ダイアフラムに一体に構成され、かつ安全弁台座117を形成している。ダイアフラム組立体110は中央開口部108を備えている。本実施形態では、安全弁組立体119は安全弁ヘッド121を備えており、安全弁ヘッド121は中央開口部108の上方で、かつ安全弁台座117上に着座している。安全弁ヘッド121は安全弁ステム122を備えており、安全弁ステム122は、ダイアフラム116とガイド120とを貫通するように安全弁ヘッドから延設している。ガイド120は、ダイアフラム116から出口104に向かって下方に延設されるとともに、バレル105内に配置されている。一実施形態では、ガイド120は保持具112を介してダイアフラム組立体110に取り付けられており、保持具112は、例えばガイド120の内側部分のねじ山に対応し、かつダイアフラム116を保持するためのフランジ111を有するねじ山付きねじに構成されてもよい。本実施形態では、安全弁ステム122は保持具112を貫通して延設され、安全弁ヘッド121は保持具112の上に着座している。ダイアフラム116は上述のようにダイアフラム台座106においてシールを形成し、ガイド120はダイアフラム116から下方に向かってバレル105を貫通しながら延設されている。ガイド120は、圧力チャンバ107からバレル105までの通路を画成するように、ダイアフラム116の開口部108と位置合わせされている。
【0017】
図1を参照すると、上述のように安全弁ヘッド121は、バレル105から制御チャンバ107を制御可能に密閉するため、ダイアフラム116の開口部108内に配置されている。安全弁ヘッド121は、シールを形成するように安全弁台座117においてダイアフラム116上に着座している。また、安全弁ヘッド121はバルブステム122を備えており、バルブステム122は、ハンドル125と連通するプランジャー124に係合する点までガイド120を貫通して下方に向かって延設されている。バルブステム122は、安全弁ヘッド121を安全弁台座117から退かせることなく、垂直軸114に沿って限定された距離だけ動くことができるように構成されている。バルブステム122は、ガイド120内に配置され、バルブステム122の下端部122aは、下端部122aの動きがバルブステム122を旋回させて安全弁ヘッド121に力を作用させるように未結合の状態となっている。
【0018】
一実施形態(図1に最もよく示されている)では、バレル105の上部において、補充ヘッド130がバレル105とガイド120との間でガイド120の周りに配置されている。補充ヘッド130は中央開口部221を備えており、中央開口部221は補充ヘッド130をガイド120の周りに配置することを可能にするように構成されている。ガイド120は補充ヘッド保持フランジ129を備えており、補充ヘッドフランジ129は補充ヘッド130をダイアフラム116に固定するように構成されている。このようにして補充ヘッド130は、フラッシュバルブシステム100の作動前には、バレル105とガイド120とダイアフラム116とによって外側を取り囲まれている。フラッシュバルブシステム100が作動すると、補充ヘッド130は、ガイド120とダイアフラム116とによって取り囲まれるが入口チャンバ103に実質的に露出されるように、ガイド120(およびダイアフラム116の中心部分)とともに垂直軸114に沿って上昇することとなる。このようにしてダイアフラム116はダイアフラム116の下の環状通路127を開放するアップストローク(上昇行程)を続けるため、補充ヘッド130も上昇することとなる。補充ヘッド130は、ダイアフラム116のアップストロークによって開始される入口チャンバ103からバレル105を経由して、最終的には出口104に達するように水を流すことを可能している。補充ヘッド130の形状は水の流路を決定することとなる。
【0019】
ハンドル125の作動は、プランジャー124を滑らせ、このプランジャーがバルブステム122の下端部に係合して、バルブステム122を旋回させて、その結果、安全弁ヘッド121を作動させて(典型的には安全弁ヘッド121を傾けて)、ダイアフラム116上の安全弁ヘッド121と安全弁台座117との間のシールを開放することになる。安全弁ヘッド121を傾けることは、ダイアフラム組立体110の上方の制御チャンバ107内における圧力を発散させることとなる。制御チャンバ107内の圧力の解放はダイアフラム台座106に対するダイアフラム116のシールを解放し、水が入口チャンバ103(入口102を経由して補充される)からバレル105のダイアフラム台座106上の環状通路127を通過してバレル105の内部に流入することを可能にする。ダイアフラム116のダイアフラム台座を退かすことは、多くの場合にダイアフラム116の「アップストローク」と呼ばれ、ダイアフラム116を再び着座させるための下方への動きは「ダウンストローク」と呼ばれ、全サイクルはダイアフラム116の「ストローク」と呼ばれている。ダイアフラム116のストロークは、入口102からの水によって絶えず満たされた状態である入口チャンバ103からバレル105に水を流入させて、最終的にはバレル105を経由して出口104に水を流す「フラッシュ」を行なう時間を決定することとなる。
【0020】
一実施形態では、図2に示されるようにダイアフラム116はキットの一部として設けられている。フラッシュ洗浄装置のダイアフラムキットは、ダイアフラム116と、安全弁機構119と、ダイアフラムガイド120と、場合によっては、補充リング(図示せず)と、保持具112と、補充ヘッド130とを備えているとよい。本発明のダイアフラムキットは、1つの態様では複数のバイパス206を備え、もう1つの態様では一体化された安全弁台座117を有する単一のダイアフラム116を(円板部109)備え、さらにもう1つの態様では保持具112を用いることによってダイアフラムキットの構成要素を密閉するように改善された機構を備えている。
【0021】
図2および図4は、ダイアフラム組立体110の構造の一実施形態を最もよく示している。ダイアフラム組立体110はダイアフラム116を備えており、ダイアフラム116は安全弁ステム122の通過を可能にするための上述のような中央開口部108を有している。一実施形態では中央開口部108は、ガイド120に係合する保持具112を収容することに対応している。上述のように、一実施形態ではダイアフラム116は剛体の円板部109を備えており、剛体の円板部109の周りにはダイアフラム116が成型されている(図1および図4に断面で最もよく図示されている)。円板部109上の材料は、安全弁台座122として機能することとなる。ダイアフラム116には、また、各々1つのバイパス206を受容するための少なくとも2つのバイパス開口部205が設けられている。代替の実施形態では、少なくとも3個のバイパス開口部205が設けられている。各バイパス206には、バイパス206を貫通する通路207が設けられている。
【0022】
ダイアフラム116内の少なくとも2つのバイパス開口部205は、制御チャンバ107を入口チャンバ103と連通させるように構成されている。バイパス開口部205は、バイパス206を収容することに適応している。バイパス206には、バイパス206を貫通する通路207を有するハウジングが設けられている。各バイパス206は、ダイアフラム116内のバイパス開口部205に嵌合するように形成されている。様々なフラッシュのプロファイルを設けるために、様々なサイズの通路207(通路直径)が利用可能であることは認められるべきである。バイパス開口部205は、ダイアフラム116の中央開口部108から十分に間隔を空けて配置されており、そのため、ダイアフラム116が上方に撓むとき、フラッシュのサイクル中にも圧力チャンバに十分な水流が供給されることとなる。バイパス開口部205は、ダイアフラム116の外周面116cから十分に間隔を空けて配置され、またダイアフラム116の中央開口部108からも十分に間隔を空けて配置されることが構造的に好ましいことも認められる。
【0023】
一実施形態では、多数のバイパス開口部205が等間隔で配置されている。開口部205の等間隔の配置は、単一バイパス開口部または不均等な間隔で配置された多数の開口部によるものよりも、制御チャンバ107内への水(および圧力)のより均一な流入を(開口部205内に配置されたバイパス本体206を介しての)もたらすこととなる。単一バイパスの欠点は、入口102に関連するダイアフラム116内で固定された開口部の角度方向にある。バルブ本体101内の局所圧力と、フラッシュ洗浄装置本体環形内の入口102および入口チャンバ103内の水の流れとは、フラッシュ洗浄装置の性能に影響を与える可能性がある。このことによって、組立て時と、ダイアフラム116の寿命全体に渡る期間とで、慎重な位置合わせが必要となる。制御チャンバ107内への不均一な水流と制御チャンバ107の加圧とは、ダイアフラム116の不均一な撓みを生じさせ、その結果、ダイアフラム116の摩耗の増加と有効寿命の短縮化とを招く可能性がある。
【0024】
バイパス開口部205は、制御チャンバ107と入口チャンバ103との間を連通させている。従って、安全弁ヘッド121と安全弁ステム122とに連通するバイパスオリフィス206は、圧力チャンバ107の圧力を制御し、今度は圧力チャンバ107が、ダイアフラム116の位置を制御して、ダイアフラム116とダイアフラム台座106との間の環状通路を通る水流を制御することとなる。このようにして制御チャンバ107内におおけるダイアフラム116の上方の流体(およびあるいくつかの実施形態では空気)圧力は、フラッシュ動作後のダイアフラム台座106上でダイアフラム組立体110を閉じて保持するための圧力を維持している。フラッシュバルブが閉じる前に、バイパス通路207はダイアフラム116を通り抜ける特定の速度の流体を流すことを可能にするようにサイズ決めされている。2つ以上のバイパス206を有する実施形態では、バイパスを貫通する通路207は全体としてダイアフラム116を通り抜ける特定の速度の流体を流すことを可能にするように設計されている。
【0025】
ある特定の実施形態では図2に示されるように、多数のバイパス206を有するダイアフラム116は、より良好な性能のフラッシュ洗浄装置ダイアフラムキット組立体110を改善するために提供されている。
【0026】
上述のように図4に示された一実施形態では、本発明のダイアフラム116は単一の、または一体化された構成要素であり、このような構成要素は安全弁ヘッド121のための安全弁台座117を含んでいる。この一体化された構成要素は、従来のツーピース設計に特有であった実質的な変動性を除去することによって、全フラッシュ体積と時間当たりの容積とについて改善された制御をもたらすこととなる。一実施形態では、ダイアフラム116は、外側部分225を形成するためにエラストマー材料でオーバーモールドされた、例えば金属で構成された、例えば円板部109を備えている。一実施形態では、この円板部109は、中央開口部108を取り囲む一方で、単に安全弁保持リング214まで延設され、これに対してエラストマー材料は、円板部109と安全弁保持リング214とをコーティングし、またダイアフラム116のバイパス開口部を含むように拡張された周辺部分を形成している。図4に示された一実施形態では、安全弁保持リング214と円板部109とは両方とも、同じ剛体の材料から形成されており、外側部分225を形成するためにエラストマー材料でオーバーモールドされている。
【0027】
使用時に安全弁ヘッド121と当接する安全弁保持リング214は、一実施形態ではダイアフラムのコアと同じ材料である剛体のコア材料によって裏打ちされており、そのため、安全弁ヘッド121を保持するためのより補完的な空洞が設けられることとなる。また、従来のゴムだけを用いた設計では、時間と共に押付けにより形状が崩れる傾向にあるため、この剛性の増加によって性能の改善という結果がもたらされることとなる。ダイアフラム116と安全弁台座117とは、また円板部とは反対にダイアフラム116から延設される接続片を有する実施形態を含んでいる。この接続片の外側部分には、フラッシュバルブとの係合を可能にするために、ねじ山が形成されてもよい。一実施形態では、接続片は、ダイアフラム/円板部の一体化部品(ダイアフラム116)の金属部分を有する単一の金属部品を形成している。代替の実施形態では、ダイアフラム/円板部の一体化部品(ダイアフラム116)は保持具112などの別の接続部品によってキットに取り付けられている。この接続部品は、プラスチック材料などのダイアフラム/円板部の一体化部品(ダイアフラム116)からの金属またはエラストマーのいずれとも異なる材料で作られてもよい。このような材料の選択は、製造におけるより厳しいコスト管理を可能にする。さらに、別の接続部品の使用によって、例えばパンチプレスで製造され得る部品などのダイアフラム/円板部の一体化部品(ダイアフラム116)で使用される単純な金属部分を用いることが可能となり、さらに製造プロセスにおける厳しいコスト管理が可能になる。
【0028】
図2および図3を参照すると、リリーフバルブ保持リング214は、一実施形態では、複数の突起部213を備えており、複数の突起部213は、リリーフバルブ台座117の上方に配置される安全弁ヘッドを中央に位置決めするように構成されている。一実施形態では、少なくとも6個の突起部213が設けられている。これらの突起部213は、安全弁保持リング214と安全弁ヘッド121との間において、ぴったりとした嵌合をもたらすこととなる。上部の制御チャンバから水が流れ出ることを可能にするために、リリーフバルブヘッドを十分に傾けることを可能にするように安全弁保持リング214と安全弁ヘッド121との間に間隔を維持することが必要となる。この領域に十分な間隔がない場合、ユーザがフラッシュサイクルを作動させると、安全弁が正しく機能しないこととなる。逆に、間隔が大きすぎること、すなわち、これらの間隔に関して不十分な突起部または不十分なサイズの突起部によって、この着座のための領域内で安全弁ヘッド121が、大き過ぎる「遊び」を有するという結果を招くこととなる。この遊びによって、フラッシュ洗浄装置が不正確な機能するという結果を招くこととなる。円板部109をダイアフラム116と一体化することによって、またダイアフラム116の最上部と円板部109の底部との間における、言い換えれば大きくて信頼できない密閉領域が除去されることとなる。
【0029】
続けて図4を参照すると突起部213には、安全弁保持リング214の上側部分と内側部分とに位置する角部が設けられている。一実施形態では突起部の左側角部は角張った形状230を有するが、右側角部は湾曲した形状231を有している。角張った角部は係合用の自動工具または手動工具のいずれかのためにエッジを設けることによって、安全弁保持リング214が、ダイアフラムをフラッシュ洗浄装置に固定することを可能にしている。これに対して湾曲した角部は、反対の効果を有し、工場出荷時の取付け状態からダイアフラム116を取外すことをより困難にしている。このようにして一実施形態では、等間隔に配置された突起部213の各々が第1の端部を備え、第1の端部は隣接する突起部213の第2の端部に近接しており、第1の端部または第2の端部の一方に角張った形状230を設けるとともに、他方に湾曲した形状231を設けた複数の等間隔の突起部213が設けられている。
【0030】
安全弁保持リング214の外側部分には、一実施形態では、ダイアフラム116の中央に向かって傾斜するように僅かに傾斜または湾曲した下部が設けられている。このことは、圧力に応じて動くための十分な空間をエラストマーのダイアフラム116に与えることによって、時間とともに改善された部品寿命と性能とをもたらすこととなる。これに対して従来のダイアフラムは、平坦な底面と環状の角張ったエッジとを呈する円板部に固定されている。繰り返し動作と圧力条件とに関して、これらの表面に対するダイアフラム116の相互作用は、摩耗および脆弱な性能という結果を招くこととなっている。従来の組立体では、また2つの部品の間に漏洩の可能性のある面部を構成することとなる台座とダイアフラムという2つの別部品を備えている。一体化された台座およびダイアフラム116では、このような密閉領域と不完全に組み立てられた部品によって生じる漏洩の可能性とを除去している。
【0031】
本発明の実施形態の上記の説明は、例示と説明のために提示されてきた。これは網羅的であることも、本発明を開示された正確な形態に限定することも、意図されておらず、また修正と変更は上記の教示を考慮に入れれば可能であり、あるいは本発明の実施から取得され得る。これらの実施形態は、考えられる特定の用途に適するように、当業者が種々の実施形態で、また種々の修正によって本発明を利用することを可能にするように本発明の原理とその実際的応用とを説明するために選択されて説明された。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来のフラッシュバルブの断面図である。
【図2】フラッシュバルブ・ダイアフラム組立体の分解図である。
【図3】フラッシュバルブ・ダイアフラムの上面図である。
【図4】ダイアフラムと安全弁とガイドとを備えるダイアフラム組立体の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアフラムと、安全弁台座を含む円板部と、安全弁とを備えており、前記ダイアフラムが、上面と下面と側面とを含む略円筒形状を有しており、前記ダイアフラムの外周が、前記ダイアフラムの高さより実質的に大きく形成され、前記ダイアフラムが、前記ダイアフラムを貫通するとともに略中央に配置される中央開口部を備えている、フラッシュバルブ用のダイアフラム組立体であって、
前記ダイアフラム内に配置されるとともに、前記ダイアフラムを貫通する通路を有する複数のバイパス開口部と、
複数のバイパス開口部の各々に対応して構成されるとともに、保持されることを可能としながら着脱可能に構成される複数のバイパスとを備え、
前記ダイアフラムと前記安全弁台座とが、前記バイパス開口部に外接するとともに前記ダイアフラムの上面から延設される安全弁保持リングと一緒に一体に形成され、
前記安全弁保持リングが、前記安全弁保持リングの内側表面から前記中央開口部に向かって突出する複数の安全弁突起部を備えており、
前記安全弁台座が、前記上面に配置され、かつ前記安全弁保持リングと前記中央開口部との間に配置されている、ダイアフラム組立体。
【請求項2】
前記一体に形成されたダイアフラムおよび円板部が、剛体のコア部分と柔軟な外側部分とを備えている、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項3】
前記安全弁保持リングと前記ダイアフラムとが単一の構造体となっている、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項4】
前記安全弁保持リングと前記ダイアフラムとが柔軟な材料によってコーティングされた金属製の剛体のコア部分を備えている、請求項3に記載のダイアフラム組立体。
【請求項5】
前記安全弁保持リングが湾曲した外側下部を有し、前記湾曲した外側下部が凸形状となるように前記中央開口部に向かって湾曲している、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項6】
前記複数のバイパス開口部が等間隔で配置されている、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項7】
前記複数のバイパス開口部が少なくとも3個のバイパス開口部から構成されている、請求項6に記載のダイアフラム組立体。
【請求項8】
各バイパスが前記複数のバイパス開口部の1つとスナップ嵌合可能に構成されている、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項9】
前記安全弁突起部は等間隔に配置される複数の突起部から構成されている、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項10】
前記等間隔で配置される突起部の各々は第1の端部を有し、前記第1の端部は隣接する突起部の第2の端部に近接しており、前記第1の端部および前記第2の端部の一方は角張った形状を有し、他方は湾曲した形状を有している、請求項1に記載のダイアフラム組立体。
【請求項11】
水入口および水出口を有するフラッシュバルブ本体であって、前記水入口が前記フラッシュバルブ本体の側部に配置され、前記水出口が前記フラッシュバルブ本体の底部に配置される、フラッシュバルブ本体と、
中空の通路を有し、前記フラッシュバルブ本体内に配置され、かつ水を前記水入口から前記水出口に進ませるための垂直な経路を形成するバレルと、
前記水入口および前記水出口の間を密閉するように連通させて入口チャンバを画成する、前記バレルのスカート部および前記フラッシュバルブ本体と、
前記バレルの上端部に配置され、前記中空の通路から前記入口チャンバを密閉し、ダイアフラムの上方に制御チャンバを画成し、上面、下面および側面を有し、かつ中央開口部を有するダイアフラムと、
前記ダイアフラムに配置され、かつバルブステムを有する安全弁であって、前記バルブステムが、安全弁から下方に向かって前記ダイアフラムを通りながらガイド内に延設されるとともに、前記ガイドを超えて延設されており、前記ガイドが、前記ダイアフラムに接続され、前記ダイアフラムから下方に向かって前記バレル内に延設され、かつ前記中央開口部と連通する略円筒形状の中空管になっている、安全弁と、
前記ダイアフラムに設けられる複数のバイパス開口部であって、複数のバイパス開口部の各々がバイパスを保持するように構成され、前記バイパスには前記入口チャンバから圧力を平衡状態にすることを可能にするための制御チャンバまでの通路が設けられている、複数のバイパス開口部と、
前記中央開口部を取り囲むとともに前記ダイアフラムの上面から延設される安全弁保持リングであって、安全弁保持リングの内側表面から前記中央開口部に向かって突出する複数の安全弁突起部を有する安全弁保持リングと、
前記上面に配置され、かつ前記安全弁保持リングおよび前記中央開口部の間に配置される安全弁台座とを備えている、フラッシュバルブシステム。
【請求項12】
前記複数のバイパス開口部が等間隔に配置されている、請求項11に記載のフラッシュバルブシステム。
【請求項13】
前記複数のバイパス開口部が少なくとも3個のバイパス開口部から構成されている、請求項12に記載のフラッシュバルブシステム。
【請求項14】
各バイパスが前記複数のバイパス開口部の1つにスナップ嵌合可能に構成されている、請求項11に記載のフラッシュバルブシステム。
【請求項15】
前記安全弁突起部が等間隔で配置される複数の突起部から構成されている、請求項11に記載のフラッシュバルブシステム。
【請求項16】
前記等間隔で配置される突起部の各々は第1の端部を有し、前記第1の端部は隣接する突起部の第2の端部に近接しており、前記第1の端部および前記第2の端部の一方は角張った形状を有し、他方は湾曲した形状を有している、請求項11に記載のフラッシュバルブシステム。
【請求項17】
前記安全弁保持リングが湾曲した外側下部を有し、前記湾曲した外側下部が凸形状となるように前記中央開口部に向かって湾曲している、請求項11に記載のフラッシュバルブシステム。
【請求項18】
上面、下面および側面を含む略円板形状を有するダイアフラムであって、ダイアフラムの高さより実質的に大きなダイアフラムの半径を有し、ダイアフラムを貫通して略中央に配置された中央開口部を有するダイアフラムと、
前記ダイアフラム内に設けられ、かつ前記ダイアフラムを貫通する通路を有する複数のバイパス開口部と、
複数のバイパス開口部の各々に対応して構成されるとともに、保持されることを可能としながら着脱可能に構成される複数のバイパスと、
前記中央開口部を取り囲むとともに前記ダイアフラムの上面から延設される安全弁保持リングと、
前記上面に配置されるとともに、前記安全弁保持リングおよび前記中央開口部の間に配置される安全弁台座と、
前記安全弁保持リングの内側表面から前記中央開口部に向かって突出するように、前記安全弁保持リングに設けられる複数の安全弁ガイドと、
前記ダイアフラムの前記中央開口部に着脱可能に構成され、前記ダイアフラムの上面に係合可能なフランジを有し、かつ前記ダイアフラムを前記安全弁ガイドに取外し可能に取り付けるための保持具と、
前記ダイアフラムから離れるように前記保持具および前記安全弁ガイドを貫通して延びるバルブステムを有する安全弁であって、前記安全弁台座に取付け可能で、かつ安全弁保持リングによって少なくとも部分的に保持される安全弁とを備えているフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。
【請求項19】
前記複数のバイパス開口部の各々が等間隔に配置されている、請求項18に記載のフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。
【請求項20】
前記複数のバイパス開口部が少なくとも3個のバイパス開口部から構成されている、請求項19に記載のフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。
【請求項21】
各バイパスは前記複数のバイパス開口部の1つにスナップ嵌合可能に構成されている、請求項18に記載のフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。
【請求項22】
前記安全弁突起部は複数の等間隔に配置される突起部から構成されている、請求項18に記載のフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。
【請求項23】
前記等間隔で配置される突起部の各々は第1の端部を有し、前記第1の端部は隣接する突起部の第2の端部に近接しており、前記第1の端部および前記第2の端部の一方は角張った形状を有し、他方は湾曲した形状を有している、請求項18に記載のフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。
【請求項24】
前記安全弁保持リングが湾曲した外側下部を有し、前記湾曲した外側下部が凸形状となるように前記中央開口部に向かって湾曲している、請求項18に記載のフラッシュバルブ・ダイアフラムキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−114842(P2009−114842A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−191013(P2008−191013)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(592022660)スローン バルブ カンパニー (5)
【Fターム(参考)】