説明

ダイエット用の経口摂取用組成物

【課題】 脂質の吸収が抑制され、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪を効果的に低減乃至増加を抑制することのできる経口摂取用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 β−ガラクトシルα−グルコシルβ−フラクトシドと脂質との配合割合が、質量比で1:2.5乃至1:100となる経口摂取用組成物により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−ガラクトシルα−グルコシルβ−フラクトシド(以下、「ラクトスクロース」という。)と脂質とを特定の割合で含有する、体脂肪の増加の抑制乃至体脂肪を低減し、体重増加の抑制乃至体重を低減するための経口摂取用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食生活や生活習慣の洋風化に伴い、高カロリー、高脂肪食を摂取する機会が増えて、肥満乃至標準体重を超過した過体重のヒトが増加している。なかでも、肥満に加えて、高血圧や高脂血症等の生活習慣病の因子を有する場合は、メタボリックシンドロームと呼ばれ、その状態が継続すると、心筋梗塞、脳卒中、II型糖尿病等の心血管性疾患を発症するリスクが増大するといわれており、これらを回避するためにも、体重をコントロールすることは、ますます重要になってきている。この、体重増加のなかでも生活習慣病やメタボリックシンドロームに関連して、特に問題となるのは、肥満と呼ばれる体脂肪の増加であり、とりわけ、内臓脂肪の増加が懸念されている。
【0003】
これを抑制及び/又は予防するために一般に栄養士によって提唱されている方法としては、低カロリー又は低脂肪養生法が知られている。また、ダイエットを目的とした、オリゴ糖配合の健康補助食品も多数提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、低カロリー食は風味が単調であるために長期間経つと、ヒトによっては拒絶される場合がある。また、健康補助食品にあっても、その味質や食感等に問題があり、これらを長期間継続することはできない場合等には、そのリバウンドがおこり、ダイエット開始前よりも、体脂肪の蓄積が進み、体重を増加させる結果となる場合があり、その効果が不十分であったり、健康に障害がでるなどの問題がある。
【0004】
一方、近年、整腸作用があることから、各種オリゴ糖が特定保健用食品の保健機能成分として日本の厚生労働省から承認を受けており、数多くの製品が市販されている。なかでも、ラクトスクロースは、味質がショ糖に近く、長期連用には好適なオリゴ糖で、ダイエットを目的とした食品にも、プレバィオティクスとしての利用が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。また、ラクトスクロースは、高脂肪食に配合してマウスに摂取させると、一日のラクトスクロースの摂取量が125g/kg・体重以上の摂取で、高脂肪食のみを摂取させたマウスに較べて、その体重の増加を抑制する効果があることやラットの脂肪組織の脂肪量の増加を抑制することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、非特許文献1などに記載された動物実験では、脂質の吸収や体重の増加の抑制に必要なラクトスクロースは、50kgの体重のヒトに換算すると、一日の摂取量が、1.5kg乃至6.25kg必要と計算され、そのカロリーから考えても、ヒトの一日の必要カロリーを遥かに超えているので、到底、ヒトのダイエットのために長期間連用できるような摂取量とはいえず、依然として、味質に優れ、長期間連用しても安全で、且つ、効果的に、脂質の吸収を抑制し、体脂肪や体重の増加を抑制乃至低減できる組成物の開発が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−290681号公報
【特許文献2】特開平11−75727号公報
【特許文献3】特開平10−179099号公報
【特許文献4】特表2006−527586号公報
【非特許文献1】Okuda Hiromichi(奥田拓道)等、『Journal of Traditional Medicines(ジャーナル オブ トラディショナル メディスンズ)』、第16巻、第66〜71頁、1999年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、脂質の吸収抑制効果、体脂肪の増加の抑制又は体脂肪の低減(以下、本明細書では、体脂肪の増加の抑制又は体脂肪の低減を併せて、「体脂肪の低減」という。)効果に優れ、脂肪の蓄積による体重の増加の抑制又は体脂肪の低減による体重の低減(以下、本明細書では、この体重の増加の抑制又は体重の低減を併せて、「体重の低減」という。)効果に優れた経口摂取用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために、糖質の利用について鋭意研究した結果、意外にも、ラクトスクロースと脂質含有飲食品とを別々に摂取したのでは、脂質の消化管からの吸収抑制(以下、本明細書では、脂質の消化管からの吸収抑制を、「脂質の吸収抑制」という。)は認められないにもかかわらず、ラクトスクロースと脂質とを特定の割合で含有する経口摂取用組成物を、ラクトスクロース量が特定の摂取量となるように摂取した場合にのみ、脂質の消化管からの吸収が効果的に阻害され、しかも、当該摂取用組成物を、一定量、長期間、経口的に摂取すると、効果的に体脂肪を低減することができ、その結果、体重を低減できることを見出して、本発明を完成した。即ち、本発明は、ラクトスクロース1質量部に対して、脂質を、2.5質量部乃至100質量部配合してなる経口摂取用組成物を提供することにより上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の経口摂取用組成物は経口摂取することにより、摂取したヒトの体脂肪を低減することにより体重を低減することができる。また、当該組成物に用いるラクトスクロースは、腸内細菌により、完全に資化されるので、安全性には全く問題がなく、また、ラクトスクロースは、整腸作用や免疫調節作用も有しているので、長期間摂取すれば、体脂肪低減効果以外の点でも、健康維持に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明でいう体脂肪とは、皮下脂肪や内臓脂肪のように体内の脂肪組織に蓄積された脂肪、肝臓等の臓器に蓄積された脂肪や、血清中性脂肪等の血液をはじめとする体液中に存在する脂肪をいい、単純脂質のみでなく、複合脂質や、コレステロールや脂肪酸等の脂質誘導体を含む。
【0010】
本発明でいう経口用組成物含まれる脂質とは、中性脂肪をはじめとする脂質をいい、脂質誘導体を含む。なお、本発明の経口摂取用組成物中の脂質の定量は、当該組成物やそれに含まれる脂質の種類に応じて、エーテル法、酸分解法などの方法を使用することができる。通常、本発明の経口摂取用組成物に含まれる脂質は、中性脂肪が大部分なので、エーテル法により定量すればよい。
【0011】
本発明の経口摂取用組成物に使用するラクトスクロースは、化学合成されたものであってもよく、発酵法、酵素法で製造したものであってもよい。ラクトスクロースは、本発明の効果を妨げない限り、必ずしも精製又は単離されたものを用いる必要はなく、未分離組成物としての形態、それらを部分精製、或いは、高度に精製したものであってもよいし、市販されているラクトスクロース含有糖質を使用してもよい。市販品としては、例えば、株式会社林原商事が販売している、ラクトスクロースを、固形分換算で約40質量%乃至約95質量%(以下、本明細書では特にことわらない限り質量%を「%」と表記する。)含有する「乳果オリゴ」(登録商標)シリーズを例示することができる。
【0012】
本発明で、ラクトスクロースを配合する経口摂取用組成物は、ラクトスクロースを配合することにより、本発明の所期の効果を発揮することのできる脂質含有経口摂取用組成物であれば特に制限はなく、通常、脂質含量が多いものの方が、その吸収阻害の点から望ましく、脂質含有量が当該組成物の総質量に対して、1%以上のものがより望ましく、5%以上のものがさらに望ましく、10%以上のものが特に望ましい。
【0013】
本発明の経口摂取用組成物におけるラクトスクロースと脂質との配合割合は、本発明の所期の作用効果が得られるのであれば、特に制限はなく、ラクトスクロースと脂質とが、質量比で1:2.5乃至100のものが用いられ、1:15乃至1:75のものが望ましく、1:15乃至50のものが特に、脂質の吸収抑制、体脂肪の低減及び/又は体重低減効果の点で優れている。
【0014】
本発明の経口摂取用組成物の成人1日当たりの摂取量は、所期の作用効果が得られるのであれば、特に制限はなく、通常、ラクトスクロースの摂取量として、1日当たり1g乃至6gが望ましく、2g乃至6gがより望ましく、2g乃至4gが特に望ましい。1g以下の摂取量では、体脂肪の低減乃至体重の低減効果が得られず、8g以上摂取すると、効果の増強は認められない。
【0015】
本発明の経口摂取用組成物は、必要に応じて、脂質吸収抑制成分、脂質代謝促進成分、糖吸収抑制成分及び糖代謝促進成分から選ばれる何れか1種又は2種以上と組み合わせることにより、相乗的或いは相加的な体脂肪の低減及び/又は体重の低減効果を増強することも有利に実施できる。
【0016】
脂質吸収抑制成分としては、サイリウム、プロアントシアニジン等の胆汁酸を排泄する作用を有する成分、ガロタンニン、ビワ葉等及びその抽出物等のリパーゼ阻害作用を有する成分を例示することができ、松樹皮抽出物といったプロアントシアニジンを多く含む植物抽出物を、プロアントシアニジンとして使用することも随意である。
【0017】
脂質代謝促進成分としては、リボフラビン類、茶カテキン類、異性化リノール酸、カフェイン、カプサイシン、カルニチン、コエンザイムQ10、α−リポ酸及びその誘導体、大豆ペプチド、分岐アミノ酸、フォスファチジルコリン、アリルスルフィド化合物、フォルスコリン、ベルゲニン、ケルセチン、アスチルビン、ヒドロキシクエン酸及びこれらの塩等を例示することができ、これら脂質代謝促進成分を含有する動・植物抽出物、例えば、茶、葛花、コレウスフォコリ、アカショウマ、黄杞、大豆、唐辛子、ソバ、ニンニク、タマネギ、コーヒー等の抽出物を、脂質代謝促進成分として用いることも随意である。
【0018】
糖の代謝促進成分を有する成分としては、チアミン類(例えばビタミンB)、ピリドキシン類、アミノ酸類(イソロイシン、ロイシン、バリン、セリン、プロリン、グリシン、アラニン及びスレオニン等)、クエン酸、リンゴ酸、モリブデン、リン、イオウ、クロム、カリウム、マンガン、カプサイシノイド、甘藷茎葉に含まれるトリカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸及びこれらの誘導体、ニンジンのサポニン等の成分自体や、これら成分を有する原料、さらに、同様の作用を有するレイシ、黒酢、大豆、菊芋、ビール酵母等を例示することができる。
【0019】
糖の消化吸収抑制成分としては、α−アミラーゼ阻害物質、α−グルコシダーゼ阻害物質等の糖分解酵素の阻害作用を有する成分を例示することができる。具体的には、水溶性食物繊維等の糖吸収抑制効果がある成分やそのような糖吸収抑制効果がある成分を挙げることができ、α−アミラーゼ阻害タンパク質を含む小麦やライ麦等、タンニンを含む大麦、茶、グァバ、ビワやその抽出物等を使用することも随意である。
【0020】
α−グルコシダーゼ阻害物質としては、例えば、1−デオキシノジリマイシン、サラシノール、1−デオキシノジリマイシンやこれらを含有するサラシア・レティキュラタ、コタラヒムや桑葉、ボタンピ、カシュウ、ゲットウ、アカメガシワ、クダモノトケイソウ及びストレリチア、阿仙薬、サッサフラス、イエロードック、メドウスィート等を例示することができる。さらには、例えば、ウンシュウミカン、ダイダイ、ハッサク、ナツミカン、イヨカン、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ユズ、ライム等の柑橘類に含まれるジヒドロカルコン化合物又はフラバノン配糖体、ウラジロガシ、オオボウシバナ、芍薬、チョウジ、ラフマ、ケイヒ、ユーカリ、エゾイシゲ、カモミール、シソ、ノイチゴ、トウチ、クローブ、ヒドロキシプロリン等やこれらの抽出物を使用することも随意である。
【0021】
また、糖の代謝促進成分又は糖の消化吸収抑制成分としては、糖質消化酵素の阻害効果がある物質を用いることも随意であり、具体的には、例えば、茶、グァバ、テンチャ、イチョウ葉、ブドウ種子や松樹皮抽出物等に含まれるポリフェノールや、マオウ、カリン、インゲン豆、ナンバンカラスウリ、カキ葉、プーアル茶、オトギリソウ、リンゴ、タラ、アカメガシワ、サンシュユ、トチュウ葉等を例示することができる。また、例えば、糖の吸収を抑制する成分、サポニン、コンズリトールA、グルマリン、食物繊維等が挙げることができる。特に、その作用の強いギムネマ・シルベスタ、ギムネマ・イノドラム、タラ、トンブリ等に含まれるサポニン、ギムネマ・シルベスタに含まれるコンズリトールA、グルマリンや、難消化性デキストリン、ガラクトマンナン、可溶性アルギン酸ナトリウム、イヌリン等の食物繊維を使用してもよい。
【0022】
本発明の経口摂取用組成物における、これら脂質吸収抑制成分、脂質代謝促進成分、糖吸収抑制成分及び/又は糖代謝促進成分との配合比は、ラクトスクロースによる本発明の所期の作用効果が得られるのであれば特に制限はない。例えば、本発明の経口用組成物100質量部に対して、脂質吸収抑制成分、脂質代謝促進成分、糖吸収抑制成分及び/又は糖代謝促進成分を合計で、1乃至25質量部、望ましくは2.5乃至20質量部、さらに望ましくは5乃至15質量部配合すればよい。
【0023】
本発明の経口摂取用組成物は、上記成分以外にも、本発明の作用効果を妨げない範囲で、酢酸及び環状糖質以外の、通常経口摂取用組成物に加えられる成分を任意に含有させることができる。例えば、ブドウ糖、果糖、グルコサミン、ラクトース、ショ糖、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロース、マルトオリゴ糖、デキストリン、水飴、環状四糖、環状五糖、サイクロデキストリン等の環状糖質等の糖類、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、還元水飴等の糖アルコール類、アスパルテーム、ステビア抽出物、スクラロース、アセスルファムK等の高甘味度甘味料、プルラン、カラギーナン、天然ガム類、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロースをはじめとする合成高分子ポリマー、コラーゲン、ゼラチン等の増粘剤や食物繊維の何れか1種又は2種以上を添加することができる。なかでも、環状四糖類は脂質代謝改善効果を有しているので、本発明の経口摂取用組成物と併用することにより、より効果的に、体脂肪を低減することができる。
【0024】
また、本発明の経口摂取用組成物には、上記以外にも、例えば、アデノシンやその誘導体、それらのモノフォスフェイト、ジフォスフェイト或いはトリフォスフェイトのような核酸関連物質、海洋深層水等のミネラル類、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、ナイアシン、B、B、B12C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチンやこれらの誘導体)、ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等)、セレン、キチン、キトサン、レシチン、ポリフェノール(ルチン・ヘスペリジン・ナリンジン等をはじめとするフラボノイド、これらの誘導体等)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテイン、クロシン等)、キサンチン誘導体、タンパク質又はペプチド(大豆タンパク、コラーゲン、エラスチン、シルク又はこれらの分解物等)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、これらの誘導体や塩類等)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩等)、リン脂質(フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン等)、スフィンゴ脂質及びその誘導体(スフィンゴミエリン、セラミド等)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリングルタチオン、メチルスルホニルメタン等)、リグナン類(セサミン等)、真珠粉末、根菜類(ショウガ等)、賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、崩壊剤、増量剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤、呈味剤、乳化剤、起泡剤、可溶化剤、分散剤、安定剤、pH調節剤、着色料、香料、甘味料、酸味料等から選ばれる何れか1種又は2種以上を含有させることも随意である。なかでも、ヘスペリジやその配糖体は、肝機能を改善作用及び脂質代謝改善作用を有しているので、経口摂取用組成物と併用することにより、より効果的に、体重及び体脂肪を低減することができる。これらのなかでも、ルチン、ヘスペリジン、ナリンジンは、特に脂質の低減作用が強いので、その併用が特に望ましい。
【0025】
また、本発明の経口摂取用組成物は、脂質含量が高く、脂質の吸収を抑制するためにはラクトスクロースと脂質とができるだけ均質に混合されていることが望ましいので、当該組成物の調製には、乳化剤を使用することで、ラクトスクロースの脂質吸収阻害をさらに増強することができる。この場合に使用する乳化剤としては、本発明の所期の効果が得られるのであれば特に制限はなく、飲食品の製造に使用されているものを使用すればよい。具体的には、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工澱粉、ソルビタン酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン等を例示することができる。これら乳化剤の本発明の経口摂取用組成物への配合量には特に制限はなく、通常、組成物の総質量に対して、0.01乃至10質量部、好ましくは、0.02乃至5質量部、より好ましくは0.05乃至2質量部の範囲で使用すればよい。
【0026】
本発明の経口摂取用組成物の製造方法に、特に、制限がなく、対象とする組成物を通常製造する方法で、製造し、有効成分のラクトスクロース或いはこれを含有する糖質を、対象とする組成物が完成するまでの工程で、或いは、完成品に対して、含有せしめればよい。その方法としては、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、起泡、逆ミセル化、浸透、晶出、散布、塗布、付着、噴霧、被覆(コーティング)、注入、浸漬、固化、担持等の公知の方法が適宜に選ばれる。なお、ラクトスクロースによる脂質の吸収抑制効果が十分発揮されるためには、組成物中で、ラクトスクロースと脂質とが、できるだけ均一に混合された形態で存在するのが望ましい。ラクトスクロースと脂質とが、分離した状態や別々に摂取したのでは、同時に摂取しても、ラクトスクロースの脂肪吸収抑制効果が低減されてしまう。
【0027】
本発明の経口摂取用組成物は、脂質含量の比較的多い油脂性組成物で、その効果を発揮しやすい。具体的には、例えば、マヨネーズ、ドレッシング、カレーのルウ、シチューの素、ポタージュスープなどの脂質含量の多いスープ類、粉末油脂、バタークリーム、生クリーム、チョコレート、アイスクリーム等の冷菓、ハンバーグ、コロッケ、春巻等の調理に油を使用する惣菜類等を例示することができる。
【0028】
また、ラクトスクロースは、長期連用する場合には、脂質吸収阻害以外の作用によっても、体脂肪の低減効果が期待できるので、通常は、上記のように、脂質と一定の配合割合で配合した経口摂取用組成物の形態で摂取することが望ましいが、ラクトスクロースを粉末、固状、顆粒、錠剤等の形状で、そのままで、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤等と混合して、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル剤等各種剤型で使用してもよい。この場合も、摂取する時期は、脂質を含む組成物と同時に摂取することが望ましい。
以下、実験に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
<実験1>
<ラクトスクロース経口摂取の脂質吸収に及ぼす影響>
ラクトスクロースの経口摂取が、脂質の吸収に及ぼす影響を調べる試験を以下のように行った。即ち、市販のコーンクリームポタージュスープ(名古屋製酪株式会社販売、商品名「コーンクリームスープポタージュ生クリーム仕込み」)200g(脂質4.7%、9.4g含有)に食塩不使用バター(雪印乳業株式会社販売)18.8g(脂質82.8%、15.6g含有)を溶解し、脂質とし25gを含有する脂肪食を調製した。この脂肪食に、ラクトスクロースが、表1に示す量となるように、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」、固形分77.1%、ラクトスクロース純度71.4%、スクロース含量12.3%)を、それぞれ混合して試験標品を調製した。対照として、試験標品に添加したラクトスクロース含有水飴に含まれるスクロースと同量の市販のスクロース(グラニュー糖)を添加し、さらに、マルトトリオース含有水飴(三和澱粉株式会社販売、商品名「オリゴトース」)を添加して、添加した全糖質の固形分が、試験標品に添加したラクトスクロース含有水飴と同じ固形分量になるように調製して、対照標品を調製した。
<試験方法>
絶食時の血清中性脂肪濃度の平均が39mg/dl乃至174mg/dlにある、通常は健常な日常生活を営んでいる成人男性ボランティア60人をそれぞれ10人ずつ、6つのグループに分けて、一晩絶食後、表1に示す、試験標品の何れかを、翌朝、一人当たり、コーンクリームポタージュスープとして200gを空腹時に摂取させ、摂取時(0時)、及び、摂取から4時間まで、1時間おきに血液を採取して、血清中性脂肪量を測定して各試験標品を摂取した10名の平均を求めた結果、及び、各測定時間における中性脂肪量から摂取時の中性脂肪量を減じて、試験標品に由来する脂質摂取により血中に移行した脂質量経時変化から、濃度曲線下面積値(mg/dl・時間)(以下、「AUC」と略記する。)を求めて、併せて表1に示す。また、この試験標品を摂取させた成人男性に、試験標品摂取1週間後に、試験標品に代えて、対照標品を摂取させた以外は、全く同一条件で、同様の試験を実施し、その結果を、併せて、表1に示す。なお、対照標品の摂取は、各試験標品を摂取した試験における、添加糖質としての固形分量が同一となる対照標品を摂取させた。また、以下の実験2乃至4と同様に、体重、体脂肪率の測定及び採血は、前日の9時以降絶食として翌朝空腹時に行い、血清中性脂肪量は、フリーのグリセロールの消去酵素法で測定した。
【0030】
【表1】

【0031】
表1から明らかなように、対照標品1乃至6を摂取させた場合には、何れも、血清中性脂肪が、摂取後1時間から増加し、摂取後2時間でピークとなり、その後は減少した。これに対して、試験標品1(ラクトスクロース0.5g摂取)を摂取させた場合には、血清中性脂肪濃度の増加は、対照標品を摂取した場合と、同じ挙動を示したものの、標品2乃至4(ラクトスクロース1g乃至6g摂取)を摂取させた場合には、摂取3及び4時間目の血清中性脂肪濃度が、対照標品或いは試験標品1を摂取させた場合に比して、顕著に低下した。これとは逆に、試験標品5又は6(ラクトスクロース8g又は25g摂取)を摂取させた場合には、摂取後1時間では、血清中性脂肪濃度が、対照標品或いは試験標品1を摂取させた場合に比して、低下したものの、摂取2乃至4時間では、対照標品或いは試験標品1を摂取させた場合に比して、顕著な増加が認められた。この傾向は、AUCからも明らかで、対照標品又は試験標品1を摂取させた場合には、ぼぼ同一の値を示すのに対して、試験標品2乃至4を摂取させた場合には、その値が対照標品又は試験標品1を摂取させた場合に比して、顕著に低下したものの、試験標品5又は6を摂取させた場合には、顕著な増加が認められた。また、試験標品2(ラクトスクロース1g摂取)を摂取させた場合よりも、試験標品3又は4(ラクトスクロース2g又は6g摂取)を摂取させた場合の方が、血清中性脂肪濃度の増加がより低かった。
【0032】
この結果は、脂質を含有する組成物と共にラクトスクロースを1g乃至6g摂取することにより、当該組成物中の脂質の吸収を抑制して、血中濃度の上昇を抑制することが可能であり、その抑制効果は、ラクトスクロースを2g乃至6g摂取で、より顕著となることを物語っている。また、脂質と共にラクトスクロースを8g以上摂取した場合には、脂質の吸収が促進される場合があることを物語っている。なお、具体的にデータは示さないが、実験1で調製した、脂肪食とラクトスクロース含有水飴又は、スクロースとマルトトリオース含有水飴とを、混合せずに、脂肪食を摂取直後に、これらの糖質を、実験1で摂取した量と等量摂取させた以外は、実験1と同様の方法でボランティアに摂取させたところ、何れの場合にも、血清中性脂肪濃度の増加量に差は認められなかったので、ラクトスクロースによる脂肪吸収抑制作用は、脂質とラクトスクロースとを、均質に混合した状態で摂取するとき効果的に発揮されると判断した。
【0033】
<実験2>
<脂質とラクトスクロースとの配合割合の脂肪吸収に及ぼす影響>
実験1で、ラクトスクロースと脂質を混合した組成物を経口摂取すると、脂質の吸収が抑制されて血中濃度の上昇が抑制されることが確認されたので、脂質とラクトスクロースとの配合割合の脂肪吸収に及ぼす影響を調べる試験を以下のように行った。即ち、実験1で調製した脂肪食に、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」、固形分77.1%、ラクトスクロース純度71.4%、スクロース含量12.3%)を混合して、ラクトスクロースと脂質とを表2に示す割合で配合し、脂質含量が25gとなるように摂取させた以外は、実験1と同様に、試験標品及びそれに対応する対照標品を調製した。血清中性脂肪の平均が45mg/dl乃至190mg/dlの範囲にある、通常は健常な日常生活を営んでいる成人男性ボランティア100名を10名ずつ10群に分けて、試験標品とそれに対応する対照標品とを、実験1と同様に、1週間の間隔で摂取させ、実験1と同様に、それぞれの標品を摂取したときの血清中性脂肪濃度増加分のAUCを求め、試験標品を摂取したときの血清中性脂肪濃度増加分のAUCを、対照標品を摂取したときのそれで除し100倍して、100から減じた値を、AUCの低減率(%)として、表2に併せて示す。
【0034】
【表2】

【0035】
表2から明らかなように、ラクトスクロースと脂質との質量比が1:150の試験標品を摂取した場合には、AUCの低減率は、0.9%となって、試験標品摂取による脂質の吸収効果は対照標品を摂取した場合とほとんど差が認められなかった。これに対して、ラクトスクロースと脂質との質量比が1:2.5乃至100の試験標品を摂取した場合には、AUCの低減率は、7.1%乃至31.2%となって、これらの試験標品を摂取した場合には、対照標品を摂取した場合に較べて、AUCが低減し、脂質の吸収抑制が認められた。このラクトスクロースによる脂質の吸収抑制効果は、試験標品中のラクトスクロースと脂質との質量比が、1:15乃至1:100のときに強くなり、1:15乃至1:75の場合に顕著にとなり、1:15乃至50で特に強かった。また、ラクトスクロースと脂質との質量比が1:0.5又は1の試験標品を摂取した場合には、AUCの低減率は、−1.1%又は2.5%となって、試験標品摂取による脂質の吸収効果は対照標品を摂取した場合とほとんど差が認められなかった。
【0036】
この結果は、ラクトスクロースと脂質との質量比が、1:2.5乃至100の割合で配合された経口摂取用組成物では、小腸における脂質の吸収が効果的に抑制され、血中濃度の上が抑制されることを物語っている。また、この吸収抑制効果の強さの点からは、経口摂取用組成物におけるラクトスクロースと脂質との質量比が、1:15乃至100の配合割合のときが望ましく、1:15乃至75が望ましく、1:15乃至50が特に望ましいことを物語っている。
【0037】
<実験3>
<ヒトの体重、体脂肪に及ぼすラクトスクロースの経口摂取の影響1>
実験1において、脂質とラクトスクロースの混合物を摂取すると、小腸での脂質の吸収が抑制されて血中濃度の上昇が抑制されることが、確認されたので、ラクトスクロースを長期に摂取した場合の、ヒトの体重、体脂肪に及ぼす影響を調べる試験を、以下のように行った。即ち、血清中性脂肪の平均が49mg/dl乃至233mg/dlの範囲にある、通常は健常な日常生活を営んでいる成人男性ボランティア40名を20名ずつに2群に分けて、20人にはラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」、固形分77.1%、ラクトスクロース純度71.4%、スクロース含量12.3%)を(試験標品)を、ラクトスクロースとして1回の摂取量が2gとなるように1日3回、毎食後、12週間摂取させた。対照として、他の20人には、試験標品と固形分量が等量となるように、市販のスクロース混合果糖ブドウ糖液糖(三和澱粉株式会社販売、商品名「コーンシュガー A−33」、対照標品)を、1日3回、毎食後、12週間摂取させた。試験標品又は対照標品摂取開始時(0週)、摂取開始4週、摂取開始8週、摂取開始12週で、各ボランティアの体重と、体脂肪の増減の指標としての体脂肪率とを測定し、各人の試験標品又は対照標品摂取開始時の体重又は体脂肪率で割り、100倍した数値から100を引いて、各人の体重(%)及び体脂肪率の減少率(%)を求め、その平均値を表3に併せて示す。さらに、試験標品又は対照標品摂取開始時、摂取開始4週、摂取開始8週、摂取開始12週で、被験者の血液を採取して、血清中性脂肪濃度を測定し、各人の試験標品又は対照標品摂取開始時の血清中性脂肪濃度で割り、100倍した数値から100を引いて、各人の血清中性脂肪低減率(%)を求め、その平均値を表3に併せて示す。また、試験中の飲食は特に制限せず、試験は二重盲検試験で行った。
【0038】
【表3】

【0039】
表3から明らかに、試験標品(ラクトスクロースを2g/回)を摂取したボランティアでは、摂取4週間目から経時的に体重、体脂肪率及び血清中性脂肪が低減し、その傾向は8週目から顕著となった。これに対して、対照標品を摂取したボランティアでは、体重、体脂肪率及び血清中性脂肪濃度は摂取の期間を通じてほとんど変動は認められなかった。この実験結果は、ラクトスクロースが、体脂肪、体重及び血清中性脂肪の低減効果を有していることを物語っている。
【0040】
<実験4>
<ヒトの体重、体脂肪に及ぼすラクトスクロースの経口摂取の影響2>
実験1において、脂質とラクトスクロースの混合物を摂取すると、小腸での脂質の吸収が抑制されて、血中濃度の上昇が抑制されることが確認され、実験3において、ラクトスクロースの長期摂取により、体脂肪及び体重が低減することが確認されたので、長期間、ラクトスクロースと飲食品とを別々に摂取させた場合と、ラクトスクロースを脂肪含有食品に0混合して摂取させた場合のヒトの体脂肪率及び体重に及ぼす影響を調べ
る試験を、以下のように行った。即ち、実験1で使用した市販のコーンクリームポター
ジュスープ(名古屋製酪株式会社販売、商品名「コーンクリームスープポタージュ生クリーム仕込み」)200g(脂質4.7%、9.4g含有)に食塩不使用バター(雪印乳業株式会社販売)3.5g(脂質82.8%、15.6g含有)を溶解し、脂質を12.5g含有する脂肪食を調製した。この脂肪食に、ラクトスクロースが、2gとなるように、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」固形分77.1%、ラクトスクロース純度71.4%、スクロース含量13.7%)を試験標品として混合して、試験脂肪食を調製した。脂肪食200gに、試験標品と固形分量が等量となるように、市販のスクロース混合果糖ブドウ糖液糖(三和澱粉株式会社販売、商品名「コーンシュガー A−33」)を対照標品として添加して対照脂肪食を調製した。実験3とは異なる、血清中性脂肪の平均が95.8±37.3mg/dlの範囲にある健常な80名のボランティアを20名ずつ4群に分け、20名には、試験脂肪食を、毎日、昼食時に、食事と一緒に、8週間摂取させた。他の20名には、対照脂肪食を毎日、昼食時に、食事と一緒に、8週間摂取させた。残りの40名には、対照標品も試験標品も含まない脂肪食200gを、毎日、昼食時に、食事と一緒に、8週間摂取させ、そのうちの20名には、食事後に、ラクトスクロースの摂取量が2gとなるように、試験標品を毎日8週間摂取させ、残りの20名には、食事後に、試験標品の摂取量と固形分量が同量となるように対照標品を、摂取させた。これら80名のボランティアの摂取開始時(0週)、摂取開始4週及び8週の体重、体脂肪率及び血清中性脂肪濃度を測定した。実験3と同様に、体重、体脂肪率及び血清中性脂肪の低減率を求めて、表4に示す。なお、試験期間を通じて、血清中性脂肪測定日の前日と測定日の朝食以外、飲食やその時期は特に制限しなかった。
【0041】
【表4】

【0042】
表4から明らかなよう、対照脂肪食を摂取した、或いは、脂肪食摂取後に対照標品を摂取したボランティアは、何れの場合も、摂取開始4週目で、体重、体脂肪及び血清中性脂肪が増加の傾向が認められ、摂取開始8週では顕著となった。これに対して、試験脂肪食を毎日摂取したボランティアでは、摂取開始4週目で、体重、体脂肪及び血清中性脂肪が減少の傾向が認められ、摂取開始8週では顕著となった。また、脂肪食摂取後試験標品を毎日摂取したボランティアでは、摂取開始4週目で、体重、体脂肪及び血清中性脂肪は、ほとんど変化がなく、摂取開始8週で体重、体脂肪及び血清中性脂肪の減少傾向が認められた。
【0043】
この結果は、ラクトスクロースを経口的に摂取させる場合には、脂質含有食品とラクトスクロースを別々に摂取するよりも、脂質含有食品に混合して摂取する方が、効率的に、脂質の摂取に起因する体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪を低減し、ひいては、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制し、それに起因する心管性疾患を予防乃至治療することができることを物語っている。
【0044】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に、何ら限定されることはない。
【実施例1】
【0045】
<体重低減用の組成物:ラクトアイス>
ラクトスクロース高含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」、固形分77.1%、ラクトスクロース純度77.4%)1質量部、ショ糖15.5質量部、ヤシ油4質量部、脱脂粉乳4質量部、安定剤0.3質量部、乳化剤0.3質量部、水72.9質量部を、70℃で混合し、12000rpmで10分間ホモジナイズした後、70℃で30分間殺菌し、冷却後、一昼夜静置した。これに、バニラエッセンス0.3質量部とスクラロース0.03質量部を混合し、冷凍した。オーバーラン45%とし、カップに取り分けて、−45℃で24時間冷却してラクトアイスを調製した。
【0046】
本品は、継続して摂取しても、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、ショ糖のみを使用したラクトアイスを摂取するよりも、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【実施例2】
【0047】
<体重低減用の組成物:サラダドレッシング>
水40.8質量部、蒸留ホワイトビネガー20質量部、植物油15質量部、ショ糖5質量部、食塩2質量部、ガーリックパウダー1質量部、タマネギパウダー0.7質量部、グランドホワイトペッパー0.1質量部、キサンタンガム0.2質量部、ソルビン酸カリウム0.1質量部、ラクトスクロース高含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」、固形分77.1%、ラクトスクロース純度77.4%)5質量部を混合してサラダドレッシングを調製した。
【0048】
本品は、継続して摂取しても、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、ショ糖のみを使用したドレッシングを摂取するよりも、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【実施例3】
【0049】
<体重低減用の組成物:クリーム>
シア分別脂(融点38℃)80部とナタネヤシ油(融点35℃)20部との混合油脂35質量部、大豆レシチン(HLB3)0.4質量部、モノグリセリン脂肪酸エステル
(HLB3)0.03質量部、ヘキサグリセリンペンタエステル(HLB4)0.15質量部、水60質量部、脱脂粉乳4質量部、燐酸のアルカリ金属塩0.1質量部を使用し、常法により、予備乳化を行い、70kg/cmの加圧条件で均質化後、145℃、数秒程度の超高温加熱滅菌処理し、70kg/cmの加圧条件にて再均質化した後、冷却し、約24時間エージングを行い起泡性乳化物を調製した。この起泡性乳化物100質量部に対して、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ550」、固形分76.2%、ラクトスクロース純度57.2%)3質量部、ショ糖3質量部を加えて、ケンウッドミキサーを使用して、2分45秒間ホイップして、オーバーラン75%のクリームを調製した。
【0050】
本品は、継続して摂取しても、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、ショ糖のみを使用したクリームを摂取するよりも、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【実施例4】
【0051】
<体重低減用の組成物:コーヒーホワイトナー>
食塩不使用バター(雪印乳業株式会社販売)108重量部とナタネ硬化油(融点25乃至28℃)342重量部を混合し、約75℃に加温した後、大豆レシチン7.2重量部及びショ糖脂肪酸エステル(HLB値1)4.5重量部をそれぞれ加えて溶解し、油相を調製した。別途、約75℃の温水1,100量部に脱脂粉乳58重量部、カゼインナトリウム81重量部、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ550」、固形分76.2%、ラクトスクロース純度57.2%)63重量部、ショ糖18重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB値14)2.7重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB値14)3.6重量部、第二燐酸カリウム3.6重量部及び第二燐酸ナトリウム5.4重量部をそれぞれ加えて溶解し、水相を調製した。その後、このようにして得られた油相と水相を使用して、常法により、コーヒーホワイトナーを調製した。
【0052】
本品は、継続して摂取しても、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【実施例5】
【0053】
<体重低減用の組成物:プリン>
全卵を泡立てないように撹拌し、その150質量部に、生鮮牛乳200質量部、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ400」、固形分73.5%、ラクトスクロース純度45.8%)15質量部、α,α−トレハロース高含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」)45質量部、グラニュー糖150質量部、生クリーム450質量部、水150質量部を加えてよく混合し、裏ごしする。これをプディング容器に、適量のカルメラを入れたものに流し込みヒートシールし、蒸し器に入れて20分間蒸し、冷却してプリンを調製した。
【0054】
本品は、継続して摂取すると、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、ショ糖等を使用したプリンを摂取するよりも、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【実施例6】
【0055】
<体重低減用の組成物:プリン>
全卵を泡立てないように撹拌し、その150質量部に、生鮮牛乳200質量部、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ400」、固形分73.5%、ラクトスクロース純度45.8%)15質量部、α,α−トレハロース高含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「ハローデックス」)45質量部、グラニュー糖150質量部、生クリーム450質量部、水150質量部を加えてよく混合し、裏ごしする。これをプディング容器に、適量のカルメラを入れたものに流し込みヒートシールし、蒸し器に入れて20分間蒸し、冷却してプリンを調製した。
【0056】
本品は、継続して摂取すると、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、ショ糖のみを使用したプリンを摂取するよりも、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【実施例7】
【0057】
<体重低減用の組成物:粉末油脂>
約55℃の温水1,000質量部を入れ、これに40質量部のコーンファイバー(日本食品化工株式会社販売、商品名「ニッショクセルエース」)及び330質量部のデキストリン(三和澱粉株式会社、商品名「サンデック」)、ラクトスクロース含有水飴(株式会社林原商事販売、商品名「乳果オリゴ700」、固形分77.1%、ラクトスクロース純度77.4%)30質量部を溶解させて水相部を調製した。次にこの水相部に600質量部のパーム油を少しずつ添加し、約75℃まで徐々に昇温した後、予備乳化処理を約20分間、行った。次いで、高圧式ホモジナイザー(三和機械株式会社販売)を用いて、圧力200kg/cmで均質化処理した後、スプレードライヤー(大河原化工機株式会社販売、型番「L−8型」)を使用して、195℃の熱風にて噴霧乾を行い、粉末組成物を得た。
【0058】
本品は、継続して摂取すると、脂質の吸収を抑制し、体重、体脂肪及び血清中性脂肪を低減する効果を有しているので、本品を使用した経口摂取用組成物は、メタボリックシンドロームや生活習慣病発症のリスクを低減したり、進行を抑制することができる。また、本品はこれらの作用効果を標榜して、脂質吸収が抑制される組成物、或いは、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪低減用の経口摂取用組成物として販売することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の経口摂取用組成物を摂取することにより、効果的に脂質の吸収が抑制され、しかも、体重、体脂肪及び/又は血清中性脂肪を低減することができ、メタボリックシンドローム等による生活習慣病の発症リスクの低減乃至治療に利用することができる。本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
β−ガラクトシルα−グルコシルβ−フラクトシド1質量部に対して脂質を、2.5質量部乃至100質量部を配合してなる体重の増加抑制乃至体重低減用の経口摂取用組成物。
【請求項2】
さらに、ヘスペリジン、ルチン、ナリンジン、アスコルビン酸及びこれらの配糖体から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の経口摂取用組成物。
【請求項3】
さらに、乳化剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の経口摂取用組成物。
【請求項4】
体重の増加抑制乃至体重の低減作用を有することを標榜してなる請求項1乃至3の何れかに記載の経口摂取用組成物。
【請求項5】
内臓脂肪の増加抑制剤及び/又は内臓脂肪の低減剤としての請求項1乃至4の何れかに記載の経口摂取用組成物。

【公開番号】特開2008−247858(P2008−247858A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93773(P2007−93773)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】