説明

ダイカッターおよびその製造方法

【課題】エッチングしたり、DLC層を形成したりする際の加工特性を有効に利用して切れ味が良く耐久性に優れた刃部を有するダイカッターおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】機械加工された刃を有するダイカッター1の刃先部11に、物理的イオンエッチングを行うエッチング工程と、DLC層を形成するコーティング工程とを、交互に複数回行うダイカッター1の製造方法。上記製法により得られるダイカッター1であって、刃先幅5μmに機械加工された刃を有するダイカッター1の刃先部11が刃先角度90〜120度、刃先幅0.1μm、初期切り込み荷重1.15N/mm刃長以下となされたものである(ただし、初期切り込み荷重は、0.3mm厚のJIS K 6732相当の軟質塩化ビニルシートを切断した際の単位刃長当たりの荷重とする。)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刃先にDLC層などのコーティング加工を被覆したダイカッターと、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイカッター(特に1対の、基材に対し線接触する型とカウンタープレートにより構成される形状打ち抜き部品の一体成型型刃型部)に求められる資質としては、シャープな切れ味を発現させるための刃先部の先鋭化度があり、一般的には段階的なフライス加工や研削加工などの機械切削加工により処理される。
【0003】
また、従来より、このような機械切削加工以外で刃の切れ味や耐久性を向上させる方法として、刃の先端部をドライエッチングにより削除したり、さらにDLC層を形成したりする剃刀刃の製造方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−340672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の機械切削加工の場合、限りなく刃先幅を細くしようとすると、それに比例して加工段階を増やしたり、工具交換頻度を多くする作業が必然的に付き纏う。更に、型の輪郭長が長ければ長いほど、前述作業の管理は難しいものとなり、比例してコストと時間を要することとなる。
【0006】
そのため、上記従来の剃刀刃の製造方法のように、エッチングやDLC層の形成技術をダイカッターに適用することが考えられる。しかし、ダイカッターは、剃刀刃のように基材面に沿って、基材の端部に刃先が形成されたものとは異なり、基材面から突出するように刃先部が設けられたものであるため、単に上記従来のエッチングやDLC層の形成技術を適用しても切れ味が良く耐久性に優れた刃を有するダイカッターを構成することはできない。
【0007】
本発明は、係る実情に鑑みてなされたものであって、エッチングしたり、コーティング層を形成したりする際の加工特性を有効に利用して切れ味が良く耐久性に優れた刃先部を有するダイカッターおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明のダイカッターの製造方法は、機械加工された刃を有するダイカッターの刃先部に、物理的イオンエッチングを行うエッチング工程と、コーティング層を形成するコーティング工程とを、交互に複数回行うものである。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明のダイカッターは、上記製造方法により得られる、刃先幅5μmに機械加工された刃を有するダイカッターの刃先部に、DLC層が形成されてなるダイカッターであって、このDLC層は、イオンエッチング工程とDLC層の形成工程とを交互に複数回繰り返すことによって、刃先角度90〜120度、刃先幅0.1μm、初期切り込み荷重1.15N/mm刃長以下となされたものである。
(ただし、初期切り込み荷重は、0.3mm厚のJIS K 6732相当の軟質塩化ビニルシートを切断した際の単位刃長当たりの荷重とする。)
【0010】
図1に示すように、ダイカッター1は、十分な面積及び体積を持った鋼板製の基材10の平面上に鋼製の刃先部11が僅かに突出した状態を形成して構成されている。基材の厚みが1mm以下のように薄い場合、もしくは面積が小さい場合は十分な面積および体積を持った保持具の上に基材10を設ける。エッチング工程は、この基材10の平面と対面する位置から刃先部11の突出方向と対向してイオンエッチングを行う。これにより、ダイカッター1は、刃先部11においても稜線方向からのみのイオンエッチングが可能となり、同時にエッチング時に生じる熱が基材10中へ拡散して刃先部11の局部昇温を抑制することができる。通常、DLCのような炭素膜を形成した刃先部11の場合は、約摂氏300度付近以上から膜の炭化が起こり始め、膜自体が不安定になりやすいが、上述条件を満たせば体積が少なく熱容量の小さな基材であっても、このように基材10の平面と対面する位置から刃先部11の突出方向と対向してイオンエッチングを行うに際して、刃先部11の熱を基材10中に拡散させることが可能となり、安定したエッチングを可能とすることができる。
【0011】
エッチング工程において、エッチングガスはアルゴンなどの希ガスを選択し、物理的エッチングが支配的に行われる状態を作り出す。これは、物理的エッチングの入射角依存性を利用するためで、化学的エッチングでは物理的エッチングほどのエッチングレートの角度依存差が出にくいからである。すなわち、図2に示すように、物理的なエッチングを行う状態においては、刃先部11では刃先最先端平面11aよりも斜面11bでのエッチングの速度が優位となる。このとき斜面11bは最も加工優位な斜度αに収束していくことになり、最終的に最先端部において45〜60度の斜度αを両側面にもつ刃先部11、すなわち刃先角度が90〜120度の刃先部11が形成されることになる。また、条件によりこのエッチングの後の刃先部11は極めて細く制御可能である。
【0012】
この際、エッチング工程を行う前の、基材から突出された刃先部の形状については、一般的に金属のフライス及び研削加工などの機械加工したものや、その後に各種コーティングを施したものを使用することができる。図3に示すように、機械加工した刃先部11では、刃先部11の究極的な先鋭化は事実上不可能であり、数万倍レベルで拡大観察すれば平面部111や曲面部112若しくは複雑な塑性変形部113,114で構成されていることが判る。また、これら刃先部11にコーティング2を施した刃先部115では、断面には、コーティング厚以上の曲率半径を持った円弧状の膜が被覆されることとなる。したがって、このような刃先部11の周辺には事実上様々な角度を持った面が存在することになる。しかし、様々な角度の面を有する刃先部11であっても、上記したように、物理的エッチングによるエンチングレートの入射角度依存性を利用することで、最終的に最先端部において45〜60度の斜度を両側面にもつ刃先部11、すなわち刃先角度が90〜120度の刃先部11を形成することができる。
【0013】
コーティング工程は、スパッタ成膜法を使用することが望ましい。このコーティング工程は、上記エッチング工程と同様に、基材平面と対面する位置から刃先部の突出方向と対向してコーティングを行う。固層から固層への物理吸着が主体となるスパッタ成膜法においては、原料ガスから成膜されるプラズマCVD法などとの比較で、尖鋭形状に対しては、斜面より垂直に衝突する刃先最先端平面の方が堆積速度が高いことにより、やや先太りした形状に仕上がるためである。
【0014】
したがって、コーティング工程とエッチング工程とを交互に行うと、図4に示すように、コーティング工程では、斜面11より垂直に衝突する正面の最先端平面11aの方が堆積速度が高い状態でコーティング層2が形成されるのに対し、エッチング工程では、斜面12のエッチング速度が優位となり、45〜60度の斜度を両側面に持つ刃先部11が形成される。したがって、これらコーティング工程とエッチング工程とを交互に複数回繰り返すことによって、刃先部11の先鋭度を高めることができる。
【0015】
その後、上記したコーティング工程とエッチング工程とを交互に複数回繰り返すことにより、刃先部の先鋭化を図ることができる。
【0016】
この際、コーティング工程でコーテンィグしたコーティング層を、エッチング工程でエッチングし、これらを繰り返してコーティング層を積層しながら刃先部を先鋭化して行くものであるため、コーティング工程によるコーティング層の積層厚は、エッチング工程によりエッチングされる削減厚よりも大きくなるようにしなければならない。
【0017】
一度のコーティング工程後に一度のエッチング工程を行うことを一回の繰り返し単位として、何回繰り返すかは、最初の刃先部の形状に強く依存する。また、刃先部の幅10μm以下、もしくは刃先部の曲率半径5μm以下であれば繰り返し回数を増やす程に先鋭化傾向に向かう。
【0018】
また、一回の繰り返しで積層される成膜厚を小さく設定する、つまり、コーティング層を薄く積層して、それをエッチング工程で薄く削減し、薄いコーティング層を積層していく程、先鋭化先端付近での直線性を増すことができる。
【0019】
なお、刃先幅10μm以上もしくは曲率半径5μm以上であっても、ある程度までは繰り返し回数を増やして成膜厚を増加させれば上述したように先鋭化した刃先部形状に仕上げることができる。
【0020】
このようにして製造されたダイカッターによると、型全体の全刃先部を同様に調製できるために、抜き加工において抜けむらが起こりにくくなる。また、このことにより初期での型に係る調整時間が短縮できる。加工中においても既存型ほど加圧する必要が無く、抜き型に起因する抜け不良や下紙の破断が抑えられる。また、加工負荷を抑えられることにより加工エミッションが低減され省電力が期待できる。
【0021】
被加工基材(高分子フィルム材料等)の切断面状態を極めて傷の少ない状態で加工できる。また、切断部付近での圧縮および引っ張りによる塑性変形も抑制できることから、特に光学特性用途などでは歩留まりの向上が見込まれる。
【0022】
さらに、コーティング層としてタングステンドーピング水素DLC単層膜を形成した場合には、優れた摺動磨耗耐性が得られる。また、エッチング工程とコーティグ工程とを交互に複数回行う際、コーティング工程によって形成されるコーティング層は、異なったものにしてもよい。例えば、図5に示すように、刃先部11にクロム・タングステン系の下地処理層2aを被覆した後、タングステンドーピング水素DLC単層膜2bを形成し、その最上層に機能化水素DLC単層膜2cをさらに被覆したものにおいては、その側面部の水素DLC単層膜2cが磨耗して下層のタングステンドーピング水素DLC単層膜2bが露出することにより、以降の磨耗侵食を止めることが可能となる。この時刃先部11に位置する水素DLC単層膜2cについては、楔形状刃物の特性により比較的摺動磨耗が起こりにくいために側面部に比べると緩やかな磨耗となり先鋭状は長く維持できることとなる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によると、今までには無い優れた切れ味と耐久性とを兼ね備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るダイカッターの製造方法におけるエッチング工程時の説明図である。
【図2】本発明に係るダイカッターの製造方法におけるエッチング工程時の刃先部のエッチング状態の経時的変化を説明する概略説明図である。
【図3】本発明に係るダイカッターの製造方法において、機械加工された各種刃先部をエッチング工程でエッチングする状態を説明する概略説明図である。
【図4】本発明に係るダイカッターの製造方法において各種刃先部にコーティング工程とエッチング工程とを交互に繰り返してダイカッターを製造する工程を説明する概略説明図である。
【図5】本発明に係るダイカッターの刃先部の一例を示す断面模式図である。
【図6】(a)は本発明に係る実施例1のダイカッターの刃先部の平面電子顕微鏡写真、(b)は同ダイカッターの刃先部の断面電子顕微鏡写真、(c)は比較例2のダイカッターの刃先部の平面電子顕微鏡写真、(d)は同比較例2のダイカッターの刃先部の断面電子顕微鏡写真である。
【図7】(a)は実施例1に係るダイカッターの切り込み荷重とストロークとの関係を示すグラフ、(b)は同比較例1に係るダイカッターの切り込み荷重とストロークとの関係を示すグラフ、(c)は同比較例2に係るダイカッターの切り込み荷重とストロークとの関係を示すグラフである。
【図8】(a)は実施例1に係るダイカッターによる軟質塩化ビニルシートの切断面を示すCCDデジタルマイクロスコープ写真、(b)は同比較例1に係るダイカッターによる軟質塩化ビニルシートの切断面を示すCCDデジタルマイクロスコープ写真、(c)は同比較例2に係るダイカッターによる軟質塩化ビニルシートの切断面を示すCCDデジタルマイクロスコープ写真である。
【図9】(a)は実施例1に係るダイカッターによる切断前の刃先部の平面電子顕微鏡写真、(b)は同側面の電子顕微鏡写真、(c)は同ダイカッターによって白コートアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート基材を5万回切断後の刃先部の平面電子顕微鏡写真、(d)は同側面の電子顕微鏡写真である。
【図10】(a)は比較例2に係るダイカッターによる切断前の刃先部の平面電子顕微鏡写真、(b)は同側面の電子顕微鏡写真、(c)は同ダイカッターによって白コートアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート基材を5万回切断後の刃先部の平面電子顕微鏡写真、(d)は同側面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(実施例1、比較例1)
ステンレス鋼の焼入れ鋼材を、湿式フォトエッチング加工とフライス加工の組み合わせ加工により、高さ0.6mm、厚み0.8mm、刃先角度50度、刃先幅5μmのレールブレード状に成形加工された刃先部を持つ一体成形刃型の試験材を用意した。
【0027】
イオンエッチング時に、保持冶具に対する一様な平行平面シースに刃先部がマクロ的に取り込まれた状態、すなわち、刃先部に沿ったシースが出来ない状態となるように、上記試験材を保持冶具に貼り付けた。
【0028】
UBMスパッタ成膜装置にて、上記試験材にクロム・タングステン系の下地処理0.2μmを施した上にタングステンドーピング水素DLC単層膜0.3μmを成膜した。
【0029】
さらに、その上に水素DLC単層膜0.1μmを成膜してからアルゴンイオンエッチングで0.05μm加工する作業を10回繰り返して水素DLC単層膜0.5μmを成膜した。
【0030】
得られた試験刃の刃先部の断面形状は、図6(a)(b)に示すように、最先端部付近のみが角度90〜120度で先端幅としては約0.1μm以下の曲率半径で、その下部では角度50度に移行する劣鋭屋根形状の切れ刃に仕上がっていた。
【0031】
この試験刃で0.3mm厚の軟質塩化ビニルシート(アキレス株式会社製JIS K 6732相当品:商品名「アキレスタイプC+」)の基材を切断し、その切断荷重を測定するとともに、切断面を観察した。切断荷重は4回測定し、うち安定域にある中2回を代表値とした。結果を図7(a)および図8(a)に示す。
【0032】
なお、効果をより把握しやすくするために、試験材にUBMスパッタ成膜装置にて、クロム・タングステン系の下地処理0.2μmを施しただけの試験刃を用意し、両者を比較した。下地処理を施しただけの試験刃の結果は、図7(b)および図8(b)に示す。
【0033】
その結果、本発明に係る試験刃は、初期切り込み荷重100N(1.15N/mm刃長)で、荷重を加え初めてから切断完了するまで、略全域でストロークに比例して荷重が加えられて基材の切断が進行する、つまり基材の厚み全体に対して略同じ切れ味で試験刃が切り込まれていることが確認できた。また、それを証明するように、基材の切断面はムラ無く綺麗に切断されていることが確認できた。これに対して、クロム・タングステン系の下地処理0.2μmを施しただけの試験刃の場合は、初期切り込み荷重が260N(3.00N/mm刃長)で、荷重を加え初めてから切断開始されるまで、0.1mm以上のストロークが必要となり、ある程度の切り込み荷重が加わらないと切断開始されない。また、ある程度の高い切り込み荷重が加わった状態、すなわち基材が1/3以上圧縮された状態から切断が行われるため、基材の切断面にはムラを生じている。
【0034】
また、切断前の試験刃の表面および側面と、白コートアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート基材(リンテック株式会社製酸化チタン系顔料含有基材:商品名「FN PET50シロコート」)を5万回切断した後の試験刃の表面および側面を比較した。結果を図9に示す。
【0035】
その結果、本発明に係る試験刃は、若干磨耗しているが、試験前との比較でそれほど変化は無く、刃高減少もほとんど確認することが出来なかった。
【0036】
(比較例2)
ステンレス鋼の焼入れ鋼材を、湿式フォトエッチング加工とフライス加工の組み合わせ加工により、高さ0.6mm、厚み0.8mm、刃先角度50度、刃先幅5μmのレールブレード状に成形加工された刃先を持つ一体成形刃型の試験材を用意した。
【0037】
イオンエッチング時に、保持冶具に対する一様な平行平面シースに刃先部がマクロ的に取り込まれた状態、すなわち、刃先部凹凸に沿ったシースが出来ない状態となるように、上記試験材を保持冶具に貼り付けた。
【0038】
UBMスパッタ成膜装置にて、上記試験材にクロム・タングステン系の下地処理0.2μmを施した上にタングステンドーピング水素DLC単層膜0.5μmを成膜した。
【0039】
得られた試験刃の刃先部の断面形状は、図6(c)(d)に示すように、先端幅が約1.0μm以上の曲率半径のドーム状で、その下部では角度50度の切れ刃に仕上がっていた。
【0040】
この試験刃で同じ0.3mm厚の軟質塩化ビニルシート(アキレス株式会社製JIS K 6732相当品:商品名「アキレスタイプC+」)の基材を切断し、その切断荷重を測定するとともに、切断面を観察した。切断荷重は4回測定し、うち安定域にある中2回を代表値とした。結果を図7(c)および図8(c)に示す。
【0041】
その結果、初期切り込み荷重は上記比較例1の場合と略同じ250N(2.89N/mm刃長)で、荷重を加え初めてから切断開始されるまで、0.1mm以上のストロークが必要となり、ある程度の切り込み荷重が加わらないと切断開始されない。また、ある程度の高い切り込み荷重が加わった状態、すなわち基材が1/3以上圧縮された状態から切断が行われるため、基材の切断面にはムラを生じている。
【0042】
また、切断前の試験刃の表面および側面と、白コートアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート基材(リンテック株式会社製酸化チタン系顔料含有基材:商品名「FN PET50シロコート」)を5万回切断した後の試験刃の表面および側面を比較した。結果を図10に示す。
【0043】
その結果、試験刃は、かなり磨耗が進行しており、約20μmの刃高減少が確認された。また、磨耗進行とともに先端付近の鈍角化が進行しており、切断不良を助長している。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るダイカッターは、各種の面状およびシート状の基材を切断加工する際に好適に使用される。
【符号の説明】
【0045】
1 ダイカッター
10 基材
11 刃先部
11a 先端平滑部
11b 斜面
2 コーティング層
2a 下地処理層(コーティング層)
2b タングステンドーピング水素DLC単層膜(コーティング層)
2c 機能化水素DLC単層膜(コーティング層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工された刃を有するダイカッターの刃先部に、物理的イオンエッチングを行うエッチング工程と、DLC層を形成するコーティング工程とを、交互に複数回行うことを特徴とするダイカッターの製造方法。
【請求項2】
刃先幅5μmに機械加工された刃を有するダイカッターの刃先部に、DLC層が形成されてなるダイカッターであって、このDLC層は、イオンエッチング工程とDLC層の形成工程とを交互に複数回繰り返すことによって、刃先角度90〜120度、刃先幅0.1μm、初期切り込み荷重1.15N/mm刃長以下となされたことを特徴とするダイカッター。
(ただし、初期切り込み荷重は、0.3mm厚のJIS K 6732相当の軟質塩化ビニルシートを切断した際の単位刃長当たりの荷重とする。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−173225(P2011−173225A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40621(P2010−40621)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度 経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業(液晶用特殊シート材高精度打抜き用次世代皮膜コーテッド金型の開発)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(391002568)株式会社塚谷刃物製作所 (14)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【Fターム(参考)】