説明

ダイシングダイボンディングフィルム用粘着剤組成物

【課題】リン酸基及び/又はシラン基を有するアクリル系共重合体を含ませてリングフレームに対する粘着力を高め、優れたピックアップ成功率を有するダイシングダイボンディングフィルム用粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】アルキル基およびヒドロキシ基からなる群から選ばれる一つ以上と、リン酸基及びシラン基からなる群から選ばれる一つ以上とを有するアクリル系共重合体;及び硬化剤を含み、前記硬化剤は、アクリル系共重合体100質量部基準で3〜10質量部で含む粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングダイボンディングフィルム用粘着剤組成物に関するものである。より具体的には、本発明はリン酸基及び/又はシラン基を有するアクリル系共重合体を含み、リングフレーム(ring frame)に対する粘着力を高め、優れたピックアップ成功率を有するダイシングダイボンディングフィルム用粘着剤組成物を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程に使用されるダイシングダイボンディングフィルムは、紫外線照射が必要な光硬化型フィルムと紫外線照射を必要としない紫外線非照射型フィルムに分けられる。光硬化型フィルムは、光硬化前は優れた粘着力を有し切削工程に優れる。しかし、光硬化型フィルムは切削工程後のピックアップ工程を行うために紫外線を照射する工程を更に行わなければならないため、工程が増加する煩わしさがある。また、十分な紫外線エネルギーが供給されない場合は、ピックアップ工程で不良が発生し得る。
【0003】
それに対して紫外線非照射型フィルムは、紫外線照射工程を別に行わなければならないという煩わしさはない。しかし、従来のダイシングフィルムの場合は、リングフレームに対する接着力が弱いためリングフレームが付着する部分に接着力が強いフィルムを追加付着させなければならないという煩わしさがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、紫外線照射工程を更に行わなければならない半導体製造工程の煩わしさを減らし、紫外線非照射型ダイシングフィルム製造時に接着力が強いフィルムを更に付着させなければならないという問題点を解決できる、紫外線非照射型ダイシングダイボンディングフィルムを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の粘着剤組成物は、アルキル基およびヒドロキシ基からなる群から選ばれる一つ以上と、リン酸基及びシラン基からなる群から選ばれる一つ以上とを有するアクリル系共重合体;及び硬化剤を含むことができる。
【0006】
本発明のダイシングダイボンディングフィルムは、基材フィルム;前記基材フィルム上部に形成され、前記粘着剤組成物で形成された粘着層;及び前記粘着層上部に形成された接着層を含むことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、リン酸基及び/又はシラン基を有するアクリル系共重合体を含ませてリングフレームに対する粘着力を高め、優れたピックアップ成功率を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のダイシングダイボンディングフィルムの一具体例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のダイシングダイボンディングフィルム及びその上にラミネートされたリングフレームを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様である粘着剤組成物は、アルキル基およびヒドロキシ基からなる群から選ばれる一つ以上と、リン酸基及びシラン基からなる群から選ばれる一つ以上とを有するアクリル系共重合体;及び硬化剤を含むことができる。
【0010】
アクリル系共重合体
アクリル系共重合体は、アルキル基およびヒドロキシ基からなる群から選ばれる一つ以上と、リン酸基及びシラン基からなる群から選ばれる一つ以上とを有することができる。
【0011】
アクリル系共重合体において、アルキル基、ヒドロキシ基、リン酸基又はシラン基の配列順序は特に制限はなく、適切に変更できる。また、アクリル系共重合体において、アルキル基、ヒドロキシ基、リン酸基又はシラン基は、それぞれ連続的に配列することもできる。
【0012】
アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、及び一つ以上のリン酸基を有するアクリレート系単量体を共重合した共重合体であり得る。
【0013】
また、アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、及び一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体を共重合したベースバインダーに一つ以上のシラン基を有する化合物を反応させて製造できる。
【0014】
また、アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体及び一つ以上のシラン基を有するアクリレート系単量体を共重合した共重合体であり得る。
【0015】
ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は、ヒドロキシ基を有し、前記アルキル基を有するアクリレート系単量体、リン酸基を有するアクリレート系単量体又はシラン基を有するアクリレート系単量体と共重合できる単量体を意味し得る。例えば、前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシ(メタ)アクリレート、及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上を含み得るが、これらに制限されるのではない。このうち、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0016】
アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、エステル部分に炭素1〜20個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0017】
炭素数1〜20個のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、1−エチルノニル基、n−ドデシル基、1−メチルウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、1−メチルトリデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基が挙げられる。
【0018】
例えば、アルキル基を有するアクリレート系単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上を含み得るが、これらに制限されるのではない。このうち、特に2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】
リン酸基を有するアクリレート系単量体は、リン酸基を有し、前記ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体又はシラン基を有するアクリレート系単量体と共重合可能な単量体を意味し得る。
【0020】
本明細書において「リン酸基」は、−O−P(=O)(OH)又は−O−P(=O)(OR1)(OR2)(式で、R1及びR2は互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル又は炭素数6〜20のアリール基である)を意味し得る。好ましくは、R1及びR2は互いに独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基であり得る。
【0021】
炭素数1〜10のアルキル基は、上述の例示に含まれる。炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、オクタレニル基、as−インダセニル基、s−インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、アントラセニル基、メチルアントラセニル基、9,10−[1,2]ベンゼノアントラセニル基、フェナントリル基、1H−トリンデニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、クリセニル基、テトラフェニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基が挙げられる。
【0022】
リン酸基を有するアクリレート系単量体は、例えば、下記式1の構造を有することができる。
【0023】
【化1】

【0024】
前記式1中、Rは−H、−CH又は−(CH−CHで、nは0〜5の整数で、R1及びR2は互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、mは1〜10の整数である。
【0025】
例えば、リン酸基を有するアクリレート系単量体は、エチレングリコールホスフェート(メタ)アクリレートになり得るが、これに制限されない。
【0026】
本明細書において「シラン基」は、−Si(R1)(R2)(R3)を意味し得る(式で、R1、R2及びR3は互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基である)。好ましくは、R1、R2及びR3は、互いに独立して、炭素数1〜4のアルコキシ基であり得る。
【0027】
シラン基を有する化合物は、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体を共重合したベースバインダーのヒドロキシ基と反応して結合できる。シラン基を有する化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。また、シラン基を有する化合物は、シラン基を有するイソシアネートであってもよく、シラン基を有するイソシアネートはシラン基を含み、アクリレート系単量体と共重合可能なイソシアネート基を有する単量体を意味し得る。
【0028】
シラン基を有する化合物は、3−イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン及び3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる1種以上になり得るが、これに制限されない。好ましくは、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランであり得る。
【0029】
シラン基を有するアクリレート系単量体はシラン基を有し、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体又はアルキル基を有するアクリレート系単量体と共重合できる単量体を意味し得る。例えば、下記式2の構造を有し得る。
【0030】
【化2】

【0031】
前記式2中、Rは−H又は−(CH−CHで、nは0〜5の整数で、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、mは1〜10の整数である。
【0032】
好ましくは、R1、R2及びR3は、互いに独立して、炭素数1〜4のアルコキシ基であり得る。
【0033】
炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基の具体例は上述した通りである。炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−へキシルオキシ基、3−メチルペンタン−2−イルオキシ基、3−メチルペンタン−3−イルオキシ基、4−メチルペンチルオキシ基、4−メチルペンタン−2−イルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブタン−2−イルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、3−メチルヘキシルオキシ基、4−メチルヘキシルオキシ基、5−メチルヘキシルオキシ基、1−エチルペンチルオキシ基、1−(n−プロピル)ブチルオキシ基、1,1−ジメチルペンチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、1,1−ジエチルプロピルオキシ基、1,3,3−トリメチルブチルオキシ基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−メチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,4−ジメチルペンタン−3−イルオキシ基、1,1−ジメチルペンタン−1−イルオキシ基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イルオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イルオキシオキシ基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプチルオキシ基、5−メチルヘプチルオキシ基、2−メチルヘプタン−2−イルオキシ基、3−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−3−イルオキシ基、4−メチルヘプタン−4−イルオキシ基、1−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−プロピルペンチルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルヘキシルオキシ基、1,4−ジメチルヘキシルオキシ基、1,5−ジメチルヘキシルオキシ基、1−エチル−1−メチルペンチルオキシ基、1−エチル−4−メチルペンチルオキシ基、1,1,4−トリメチルペンチルオキシ基、2,4,4−トリメチルペンチルオキシ基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1,1,3,3−テトラメチルブチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、6−メチルオクチルオキシ基、1−エチルヘプチルオキシ基、1−(n−ブチル)ペンチルオキシ基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチルオキシ基、1,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1,1,5−トリメチルヘキシルオキシ基、2−メチルオクタン−3−イルオキシ基、n−デシルオキシ基が挙げられる。
【0034】
例えば、シラン基を有するアクリレート系単量体は、メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシランであり得る。
【0035】
リン酸基を有するアクリル系共重合体において、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は、アクリル系共重合体100質量部のうち10〜50質量部で含むことができる。ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体が前記範囲内であると、基材フィルムであるポリオレフィン系樹脂又はポリビニルクロリド系樹脂との付着力を高めることができ、イソシアネート系硬化剤との反応時にスムーズに反応できる。より好ましくは、20〜30質量部で含むことができる。
【0036】
リン酸基を有するアクリル系共重合体において、アルキル基を有するアクリレート系単量体は、アクリル系共重合体100質量部のうち50〜85質量部で含むことができる。アルキル基を有するアクリレート系単量体が前記範囲であると、初期粘着力を高く維持して、リングフレーム又は接着層との付着をよりスムーズに行うことができる。より好ましくは、60〜75質量部で含むことができる。
【0037】
リン酸基を有するアクリル系共重合体において、リン酸基を有するアクリレート系単量体は、アクリル系共重合体100質量部のうち0.5〜10質量部で含むことができる。リン酸基を有するアクリレート系単量体が前記範囲内であると、アクリル系共重合体の初期粘着力を高めることができ、リングフレームに対する付着力と共にピックアップ成功率を高めることができる。
【0038】
シラン基を有するアクリル系共重合体において、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は、アクリル系共重合体100質量部のうち20〜30質量部で含むことができる。ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体が前記範囲内であると、接着力を高めるイソシアネート基を有するシランと付加重合が可能であり、アクリルバインダー重合時にも、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体を前記含量で導入すると重合制御が容易である。好ましくは、25〜30質量部で含むことができる。
【0039】
シラン基を有するアクリル系共重合体において、アルキル基を有するアクリレート系単量体は、アクリル系共重合体100質量部のうち60〜77質量部で含むことができる。アルキル基を有するアクリレート系単量体が前記範囲内であると、十分な初期粘着力を得ることができ、高分子量を容易に得ることができる。好ましくは、60〜70質量部で含むことができる。
【0040】
シラン基を有するアクリル系共重合体において、シラン基を有する化合物又はシラン基を有するアクリレート系単量体は、アクリル系共重合体100質量部のうち3〜10質量部で含むことができる。シラン基を有する化合物又はシラン基を有するアクリレート系単量体が前記範囲内であると、アクリル系共重合体の初期粘着力を高めることができ、リングフレームに対する付着力と共にピックアップ成功率を高めることができる。好ましくは、5〜10質量部で含むことができる。
【0041】
アクリル系共重合体は、アルキル基、ヒドロキシ基、リン酸基及びシラン基以外に、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる1種以上をさらに有することができる。
【0042】
アクリル系共重合体において、アルキル基、ヒドロキシ基、リン酸基、シラン基、エポキシ基又はカルボキシ基の配列順序は特に制限はなく、適切に変更できる。また、アクリル系共重合体において、アルキル基、ヒドロキシ基、リン酸基、シラン基、エポキシ基又はカルボキシ基は、それぞれ連続的に配列できる。
【0043】
一実施形態において、アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のリン酸基を有するアクリレート系単量体及び一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物を共重合した共重合体であり得る。
【0044】
また、アクリル系共重合体は一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体及び一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物を共重合したベースバインダーにシラン基を有する化合物を反応させて製造できる。
【0045】
また、アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のシラン基を有するアクリレート系単量体及び一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物を共重合した共重合体であり得る。
【0046】
ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体、リン酸基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のシラン基を有するアクリレート系単量体及びシラン基を有する化合物は上述の通りである。
【0047】
エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は、例えば、下記式3の構造を有することができる。
【0048】
【化3】

【0049】
前記式3中、R3、R4、R5、R8、R9及びR10は、それぞれH、炭素数1〜12のアルキル基又は不飽和アルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリール基であり、Yは、エーテル基(−O−)、カルボキシ基(−O(C=O)−、−(C=O)O−)、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基又は炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリーレン基であり、前記Yがエーテル基(−O−)又はカルボキシ基(−O(C=O)−、−(C=O)O−)の場合、R6及びR7はそれぞれ独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、炭素数6〜14のアリーレン、又は炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリーレン基であり、Yが炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基又は炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリーレン基の場合、R6およびR7は単結合である。
【0050】
前記において、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルキレン基は、好ましくは炭素数1〜6アルキル基又はアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4アルキル基又はアルキレン基であり得る。
【0051】
前記において、炭素数6〜14のアリール基又は炭素数6〜14のアリーレン基は、好ましくは炭素数6〜10のアリール基又はアリーレン基であり得る。
【0052】
炭素数1〜12のアルキル基および炭素数6〜14のアリール基の具体例は、上述の例示に含まれる。
【0053】
炭素数1〜12の不飽和アルキル基としては、不飽和アルキル基としては、ビニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、ウンデセニル基等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、ウンデシニル基、プロパギル基、2−ブチンー1−イル基、3−ブチンー1−イル基などのアルキニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基が挙げられる。
【0054】
炭素数1〜12のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、i−プロピレン基、n−プロピレン基、i−ブチレン基、n−ブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ノネン基、またはn−デセン基などが挙げられる。
【0055】
炭素数6〜14のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基、フルオレニレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。
【0056】
例えば、エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は、グリシジル(メタ)クリレート、エポキシアルキルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリールグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル及びグリシジルイタコネートからなる群から選ばれる1種以上であり得る。
【0057】
アクリル系共重合体100質量部基準で、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は20〜30質量部、アルキル基を有するアクリレート系単量体は60〜75質量部、リン酸基を有するアクリレート系単量体は0.5〜3質量部及びエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は4.5〜7質量部で含むことができる。各成分が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。
【0058】
また、アクリル系共重合体100質量部基準で、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は20〜30質量部、アルキル基を有するアクリレート系単量体は50〜76質量部、シラン基を有する化合物は3〜10質量部及びエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は1〜10質量部で含むことができる。各成分が前記範囲内であると、エポキシを主成分とする接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0059】
他の実施形態において、アクリル系共重合体は一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のリン酸基を有するアクリレート系単量体及び一つ以上のカルボキシ基を有するアクリレート系単量体を共重合した共重合体であり得る。
【0060】
また、アクリル系共重合体は一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有する)アクリレート系単量体及び一つ以上のカルボキシ基を有するアクリレート系単量体を共重合したベースバインダーにシラン基を有する化合物を反応させて製造できる。
【0061】
ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体、リン酸基を有するアクリレート系単量体及びシラン基を有する化合物は上述の通りである。
【0062】
カルボキシ基を有するアクリレート系単量体は、下記式4又は5の構造を有し得る。
【0063】
【化4】

【0064】
式4中、Rは−H又は−(CH−CHであり、nは0〜5の整数であり、rは1〜10の整数である。
【0065】
【化5】

【0066】
式5中、Rは−H又は−(CH)−CHであり、nは0〜5の整数である。
【0067】
例えば、カルボキシ基を有するアクリレート系単量体は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸からなる群から選ばれる1種以上であり得る。
【0068】
アクリル系共重合体100質量部基準で、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は20〜30質量部、アルキル基を有するアクリレート系単量体は60〜75質量部、リン酸基を有するアクリレート系単量体は0.5〜3質量部及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体は0.5〜7質量部で含まれ得る。各成分が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。
【0069】
また、アクリル系共重合体100質量部基準で、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は20〜30質量部、アルキル基を有するアクリレート系単量体は50〜76質量部、シラン基を有する化合物は3〜10質量部、及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体は1〜10質量部で含むことができる。各成分が前記範囲内であると、カルボキシ基を有するモノマーを導入することにより、有機成分が主成分である接着層との付着力を高め、ソーイング工程時に発生し得るチップの飛散現象の制御に効果的である。
【0070】
また別の実施形態において、アクリル系共重合体は一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のリン酸基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及び一つ以上のカルボキシ基を有するアクリレート系単量体を共重合した共重合体であり得る。
【0071】
また、アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及び一つ以上のカルボキシ基を有するアクリレート系単量体を共重合したベースバインダーにシラン基を有する化合物を反応させて製造できる。
【0072】
ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体、リン酸基を有するアクリレート系単量体、シラン基を有する化合物、エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体は上述の通りである。
【0073】
アクリル系共重合体100質量部基準で、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は20〜30質量部、アルキル基を有するアクリレート系単量体は60〜75質量部、リン酸基を有するアクリレート系単量体は0.5〜3質量部、エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は4〜7質量部、及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体は0.5〜3質量部で含まれ得る。各成分が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。カルボキシ基とエポキシ基を同時に導入して付着力をより改善した。
【0074】
また、アクリル系共重合体100質量部基準で、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は20〜30質量部、アルキル基を有するアクリレート系単量体は50〜75質量部、シラン基を有する化合物は3〜10質量部、エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は1〜5質量部、及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体は1〜5質量部で含み得る。各成分が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0075】
一実施形態において、アクリル系共重合体は、下記式1、6及び7の単量体を共重合した共重合体であり得る。下記式1は、リン酸基を有するアクリレート系単量体、下記式6はアルキル基を有するアクリレート系単量体、下記式7はヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体である。
【0076】
【化6】

【0077】
式1中、Rは−H、−CH又は−(CH−CHであり、nは0〜5の整数で、R1及びR2は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、mは1〜10の整数である。
【0078】
【化7】

【0079】
式6中、Rは−H又は−(CH−CHであり、nは0〜5の整数で、pは0〜10の整数である。
【0080】
【化8】

【0081】
前記式7中、Rは−H又は−(CH−CHであり、nは0〜5の整数で、qは1〜10の整数である。
【0082】
例えば、アクリル系共重合体において、式1の単量体(リン酸基を有するアクリレート系単量体)、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体)及び式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体)は、0.5〜2:70〜75:24.5〜28のモル比率で共重合できる。モル比率が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。
【0083】
他の実施形態において、本発明のアクリル系共重合体は、前記式6(アルキル基を有するアクリレート系単量体)及び式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体)を共重合したベースバインダーに一つ以上のシラン基を有する化合物を反応させて製造されたものであり得る。シラン基を有する化合物は、前記式7のヒドロキシ基に結合される。
【0084】
また別の実施形態において、本発明のアクリル系共重合体は、前記一つ以上の式2の単量体(シラン基を有するアクリレート系単量体)、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体)及び式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体)を共重合した共重合体であり得る。例えば、アクリル系共重合体において、式2の単量体:式6の単量体:式7の単量体は、3〜5.5:65.5〜73:24〜29のモル比率で共重合できる。モル比率が前記範囲内であると、接着力を高めるイソシアネート基を有するシランと付加重合が可能で、アクリルバインダー重合時にも前記含量を導入すると重合制御が容易である。
【0085】
前記アクリル系共重合体には、前記式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物)、式4の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)及び式5の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)からなる群から選ばれる1種以上の単量体がさらに共重合され得る。
【0086】
例えば、アクリル系共重合体において、式1の単量体(リン酸基を有するアクリレート系単量体)、式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物)、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体)及び式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体)は、0.5〜2:4〜7:64〜73.5:22〜27のモル比率で共重合できる。モル比率が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。
【0087】
例えば、アクリル系共重合体において、式1の単量体(リン酸基を有するアクリレート系単量体)、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体)、式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体)及び式4又は5の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)は、0.5〜2.5:5〜8.5:82〜93.5:1〜7のモル比率で共重合できる。モル比率が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。
【0088】
例えば、アクリル系共重合体において、式1の単量体(リン酸基を有するアクリレート系単量体)、式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物)、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体)、式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体)及び式4の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)は、0.5〜2:4〜6.5:59〜73.5:21〜27:1〜5.5のモル比率で共重合できる。モル比率が前記範囲内であると、ソーイング工程で発生し得るリングフレームとの脱離現象を防ぐことができ、ピックアップ工程でスムーズなピックアップ性能を維持できるようになる。
【0089】
例えば、アクリル系共重合体において、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体):式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体):シラン基を有する化合物:式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物)は、62.5〜72:20〜23:3〜5.5:5〜9のモル比率で含むことができる。モル比率が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0090】
例えば、アクリル系共重合体において、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体):式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体):シラン基を有する化合物:式4又は5の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)は、59.4〜76:9〜27:3〜4.5:2〜9のモル比率で含むことができる。モル比率が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0091】
例えば、アクリル系共重合体において、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体):式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体):シラン基を有する化合物:式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物):式4の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)は、53.5〜67:18〜28:2〜5.5:1〜4.5:2〜8.5のモル比率で含むことができる。モル比率が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することによりソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0092】
例えば、アクリル系共重合体において、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体):式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体):式2の単量体(シラン基を有するアクリレート系単量体):式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物)は、62.5〜72:20〜23:3〜5.5:5〜9のモル比率で含むことができる。モル比率が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0093】
例えば、アクリル系共重合体において、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体):式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体):式2の単量体(シラン基を有するアクリレート系単量体):式4又は5の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)は、59.4〜76:9〜27:3〜4.5:2〜9のモル比率で含むことができる。モル比率が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0094】
例えば、アクリル系共重合体において、式6の単量体(アルキル基を有するアクリレート系単量体):式7の単量体(ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体):式2の単量体(シラン基を有するアクリレート系単量体):式3の単量体(不飽和エポキシ系化合物):式4の単量体(カルボキシ基を有するアクリレート系単量体)は、53.5〜67:18〜28:2〜5.5:1〜4.5:2〜8.5のモル比率で含むことができる。モル比率が前記範囲内であると、接着層との付着を増進することにより、ソーイング工程で発生し得るチップ飛散の防止により効果的である。
【0095】
上述の全てのアクリル系共重合体において前記単量体の配列順序は特に制限されず、同一の単量体が連続的に配列されることもある。
【0096】
アクリル系共重合体の重量平均分子量は、50万〜100万、好ましくは60万〜80万g/molになり得る。重量平均分子量が前記範囲内であると、ピックアップ性能及びフィルム形成能が優れるようになる。
【0097】
アクリル系共重合体の粘度は、25℃で4000〜100,000cps、より好ましくは4000〜6000cpsであり得る。粘度が前記範囲内であると、粘着フィルムコーティング工程でスムーズなコーティング工程性を表す。
【0098】
前記粘度は、Brookfield粘度計のDV−II+で500ml−nalgene bottle(73.8mm外径×169.8mm高さ)に400gを入れ、25℃で100rpm、Spindle No.#7で測定したものをいう。
【0099】
アクリル系共重合体又はアクリル系共重合体の製造のためのベースバインダーは、通常の共重合方法で製造できる。例えば、公知の乳化重合、懸濁重合、塊状重合等を含む公知の重合方法によって製造できる。重合のためにアゾビスイソブチロニトリル等を含む重合開始剤を使用することもできる。
【0100】
硬化剤
硬化剤は特に制限されないが、熱硬化剤であり得る。硬化剤は、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アジリジン系、メラミン系、アミン系、イミド系、カルボジイミド系及びアミド系からなる群から選ばれる1種以上であり得るが、これらに制限されるのではない。このうち、特にイソシアネート系硬化剤が好ましい。
【0101】
イソシアネート系硬化剤は当業者に知られている通常のものを使用できる。例えば、イソシアネート系硬化剤は、トリメチロールプロパントルエンジイソシアネート(TMP−adduct)、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートアダクト、トリメチロールプロパンのキシレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート及びメチレンビストリイソシアネートからなる群から選ばれる1種以上であり得る。
【0102】
硬化剤は、粘着剤組成物においてアクリル系共重合体100質量部基準で3〜10質量部で含むことができる。硬化剤の含有量が前記範囲内であると、適切な粘着力を有しピックアップ成功率を高めることができ、初期粘着力が高いためソーイング工程時に切断されたチップの飛散又はリングフレームの脱離現象が発生しない。好ましくは、アクリル系共重合体100質量部基準で5〜7質量部で含むことができる。
【0103】
本発明の粘着剤組成物は、下記の段階によって製造できる:
ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体、及びリン酸基を有するアクリレート系単量体及び/又はシラン基を有するアクリレート系単量体を共重合させ、アクリル系共重合体を製造する段階(第1段階);及び
前記アクリル系共重合体に硬化剤を添加する段階(第2段階)。
【0104】
第1段階
第1段階は、アクリル系共重合体を製造する段階であって、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体、及びリン酸基を有するアクリレート系単量体及び/又はシラン基を有するアクリレート系単量体を含む混合物に開始剤を添加して共重合することにより、アクリル系共重合体を製造できる。
【0105】
前記重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ターシャリー−ブチル−(2−エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、ターシャリー−アミル−(2−エチルヘキシル)モノパーオキシカーボネート、1,1−ジ(ターシャリー−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(ターシャリー−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、ターシャリー−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、1,1−ジ(ターシャリー−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、カリウムパースルフェート、ナトリウムパースルフェート、アンモニウムパースルフェート及びアゾ系水溶性開始剤からなる群から選ばれた1種又は2種以上であり得るが、これらに制限されるのではない。好ましくはアゾビスイソブチロニトリルを使用できる。
【0106】
前記重合開始剤は、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体100質量部に対して0.001〜2質量部で含むことができる。
【0107】
第1段階では、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体及びリン酸基を有するアクリレート系単量体を溶解できる溶剤を含み得る。溶剤としては、当業者に知られている通常のものを使用できるが、例えば、エチルアセテート等を使用できる。
【0108】
前記第1段階では、エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体からなる群から選ばれる1種以上をさらに含ませてアクリル系共重合体を製造できる。
【0109】
アクリル系共重合体を製造する際の重合温度と重合時間は適切に調節できる。例えば、重合温度65〜90℃で6〜10時間重合できる。
【0110】
第2段階
第2段階は、前記アクリル系共重合体に硬化剤を添加して最終の粘着剤組成物を製造する段階である。粘着剤組成物の製造は、通常の方法で行うことができる。例えば、溶媒の例を挙げると、メチルエチルケトンにアクリル系共重合体と硬化剤を添加し、25〜30℃で30〜60分間攪拌することにより製造できる。
【0111】
また、別の実施形態では、本発明の粘着剤組成物は、下記段階によって製造できる。
【0112】
1種以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体及び1種以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体を共重合してベースバインダーを製造し、シラン基を有する化合物を反応させてアクリル系共重合体を製造する段階(第1段階);及び
前記アクリル系共重合体に硬化剤を添加する段階(第2段階)。
【0113】
第1段階
第1段階は、アクリル系共重合体を製造する段階であり、1種以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体及び1種以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体を共重合してベースバインダーを製造し、シラン基を有する化合物を反応させてアクリル系共重合体を製造する。
【0114】
ベースバインダー製造において、重合開始剤は上述の通りである。
【0115】
前記重合開始剤は、前記アクリル系共重合体100質量部に対して0.001〜2質量部で含むことができる。
【0116】
ベースバインダーとシラン基を有する化合物を反応させるときは、無触媒又は触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、好ましくは、DBTDL(Dibutyltin dilaurate)を使用できるが、これに制限されるのではない。触媒は、ベースバインダー100質量部に対して0.001〜0.1質量部で含むことができる。
【0117】
第1段階では、ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、アルキル基を有するアクリレート系単量体及びシラン基を有する化合物を溶解させることができる溶剤をさらに使用できる。溶剤としては、当業者に知られている通常のものを使用できるが、例えば、エチルアセテート等を使用できる。
【0118】
前記第1段階では、エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及びカルボキシ基を有するアクリレート系単量体からなる群から選ばれる1種以上をさらに含ませてベースバインダーを製造できる。
【0119】
ベースバインダー製造において、重合温度と重合時間は適切に調節できる。例えば、重合温度65〜90℃で6〜10時間重合できる。
【0120】
ベースバインダーとシラン基を有する化合物の反応は、30〜50℃で6〜8時間行うことができる。
【0121】
第2段階
第2段階は、前記アクリル系共重合体に硬化剤を添加して最終の粘着剤組成物を製造する段階である。第2段階は上述の通りである。
【0122】
上述のようにして、本発明の粘着剤組成物が提供される。本発明の特長として、粘着剤組成物は光開始剤を含まないことが挙げられる。本発明の粘着剤組成物は、紫外線非照射型ダイシングダイボンディングフィルムにおいて、粘着層を形成するために使用される。従来、紫外線照射型ダイシングダイボンディングフィルムでは、粘着層と接着層の分離のために、粘着層を硬化させるために粘着層に光開始剤を含有させることが必要であった。それに対して、本発明の粘着剤組成物は、紫外線非照射型ダイシングダイボンディングフィルムの粘着層として使用でき、紫外線照射工程を必要としないため、光開始剤を含む必要がない。本発明では、紫外線照射工程を省略できることにより、より簡便に粘着剤組成物を製造できる。
【0123】
本発明の他の態様は、前記粘着剤組成物で形成されたダイシングダイボンディングフィルムを提供する。本発明の粘着剤組成物は、ダイシングダイボンディングフィルムにおいて粘着層を形成する。
【0124】
ダイシングダイボンディングフィルムは、基材フィルム;前記基材フィルムの上部に形成された粘着層;及び前記粘着層上部に形成された接着層を含み、前記粘着層は本発明の粘着剤組成物で形成できる。
【0125】
図1は、本発明のダイシングダイボンディングフィルムを示すものである。図1において、ダイシングダイボンディングフィルムは、基材フィルム1;前記基材フィルム1の上部に形成された粘着層2;及び前記粘着層2上部に形成された接着層3を含むことができる。
【0126】
基材フィルムは、ダイシング時にウエハが動かないように固定する役割をする粘着層を支持する。ダイシングが完了したら個別化されたチップをピックアップし易いようにするためにチップとチップ間の間隔を空ける工程であるエクスパンド工程が実施される。そこで、基材フィルムの素材としては、エクスバンド工程が可能となるように、常温で延伸が可能なフィルムを使用することが好ましい。
【0127】
基材フィルムとしては、様々な高分子フィルムが使用できるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、ポリブテン−1,エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン/スチレンブタジエンゴムの混合物、ポリビニルクロリド等のポリオレフィン系フィルムが主に使用できる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)等の高分子やポリウレタン、ポリアミド−ポリオール共重合体等の熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物を使用できる。基材フィルムの厚さは、伸張度の強さ、作業性等の面から、30〜300μm、好ましくは50〜200μmになり得る。
【0128】
基材フィルムに粘着層を形成させる方法は、粘着剤組成物を直接コーティングすることもでき、離型フィルム等に粘着層をコーティングしてから乾燥を完了し、転写方式によって転写させることもできる。全ての場合において、粘着層を形成させる塗布方法は、均一な塗膜層を形成させることができるものであれば、いずれでも制限はない。具体的には、主にバーコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、リバースロールコーティング、アプリケーターコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング等の方法が用いられている。粘着層の厚さは3〜40μm、好ましくは5〜30μmであり得る。
【0129】
粘着層−リングフレーム間の剥離力は、1〜3N/25mm、より好ましくは2.0〜2.5N/25mmになり得る。この範囲であれば、リングフレームに対して十分な接着力を示し、リングフレーム脱離が発生せず、ピックアップ成功率が向上する。
【0130】
図2は、本発明のダイシングダイボンディングフィルム及びその上にラミネートされたリングフレームを示すものである。リングフレーム4は、ダイシング工程においてダイシングダイボンディングフィルムの粘着層2の上にラミネートされる。
【0131】
接着層は、熱硬化型樹脂組成物でフィルム状に形成され、ウエハのグラインディングされた後面に優れた付着力を有さなければならない。接着層はフィルム形成能を有する高分子量のアクリル共重合体とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂及び硬化剤からなる。前記アクリル系共重合体は、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、及びアクリロニトリル等の共重合体であるアクリルゴムを例に挙げることができる。エポキシ樹脂は硬化して接着力を有するものであれば特に制限はないが、硬化反応をするためには官能基が2個以上でなければならないため、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を使用できる。硬化剤は接着層の製造において通常使用される硬化剤を使用できる。
【0132】
また、接着層はエポキシ樹脂を硬化させるための硬化促進剤を使用でき、例えば、イミダゾール系やアミン系等を使用できる。また、接着層はウエハとの付着力を増加させるためにシランカップリング剤を1種又は2種以上混合して使用できる。
【0133】
接着層のコーティング方式も均一な塗膜厚を形成できるものであれば特に制限されない。具体的には、上記した粘着層形成と同様の方法を挙げることができる。接着層のコーティング厚は好ましくは5〜100μmであり、10〜80μmがより好ましい。
【0134】
粘着層−接着層間の剥離力は0.05〜0.5N/25mmであり、好ましくは0.1〜0.25N/25mmになり得る。
【0135】
接着層は、接着層を外部異物から保護し、ロール状に巻き取り易くするために離型フィルムを更に含むことができる。 剥離力の範囲において、ダイシング工程後、ピックアップ成功率が優秀になり得る。
【0136】
ダイシングダイボンディングフィルムは、前記のように基材フィルム上に粘着層をコーティングし、再度粘着層上部に接着層が積層された構造になっている。接着層は、半導体チップが付いているため小さくダイシングした後、チップをピックアップする際に下部の粘着層と容易に剥離しチップ裏面に付着した状態でPCB基板やリードフレーム等の支持部材の表面にダイボンディングするように用いられる。
【0137】
以下、本発明の好ましい実施例により本発明の構成及び作用をより詳しく説明する。但し、これは本発明の好ましい例示として提示するものであり、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0138】
ここに記載されていない内容は、本技術分野の熟練者であれば十分に技術的に類推できるもののため、その説明は省略する。
【0139】
製造例1:アクリル系共重合体の製造
2Lの4口フラスコ反応容器にエチルアセテート245gを投入し、一方には還流冷却器を設置し、もう一方には温度計を設置し、また別の一方にはドロップ漏斗を設置した。フラスコ溶液の温度を還流温度74℃に高め、2−エチルヘキシルアクリレート372.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、エチレングリコールホスフェートメタクリレート10.8gの混合液513gと、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18g混合液を製造した。混合液をドロップ漏斗を使用して74℃で3時間滴加した。滴加時の攪拌速度は250rpmにし、滴加終了後、85℃で4時間反応物を熟成させた。エチルアセテート120g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを20分間投入し、85℃で4時間維持した。反応物の粘度及び固形分を測定し、反応を中止させてアクリル系共重合体(粘度:25℃で4000cps)を製造した。
【0140】
製造例2:アクリル系共重合体の製造
前記製造例1のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート372.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、グリシジルメタクリレート27g、エチレングリコールホスフェートメタクリレート10.8gの混合液540gと、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18g混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。前記製造例1と同様な方法でアクリル系共重合体(粘度:25℃で4500cps)を製造した。
【0141】
製造例3:アクリル系共重合体の製造
前記製造例1のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート383.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8gの混合液と、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18g混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。前記製造例1と同様な方法でアクリル系共重合体(粘度:25℃で3000cps)を製造した。
【0142】
製造例4:アクリル系共重合体の製造
前記製造例1のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート383.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、グリシジルメタクリレート27gの混合液と、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18gの混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。前記製造例1と同様な方法でアクリル系共重合体(粘度:25℃で3500cps)を製造した。
【0143】
製造例5:アクリル系共重合体の製造
前記製造例1のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート383.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、グリシジルメタクリレート27g、エチレングリコールホスフェートメタクリレート10.8g、アクリル酸10.8gの混合液と、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18g混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。前記製造例1と同様な方法でアクリル系共重合体(粘度:25℃で4800cps)を製造した。
【0144】
製造例6:アクリル系共重合体の製造
2Lの4口フラスコ反応容器にエチルアセテート245gを投入し、一方には還流冷却器を設置し、もう一方には温度計を設置し、また別の一方にはドロップ漏斗を設置した。フラスコ溶液の温度を還流温度74℃に高め、2−エチルヘキシルアクリレート345.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8gの混合液475.2gと、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18g混合液を製造した。混合液をドロップ漏斗を使用して74℃で3時間滴加した。滴加時の攪拌速度は250rpmにし、滴加終了後、85℃で4時間反応物を熟成させた。エチルアセテート120g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを20分間投入し、85℃で4時間維持した。反応物の粘度及び固形分を測定し、反応を中止させてアクリル系共重合体の製造のためのベースバインダーを製造した。40℃に冷却させ、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン37.8gとDBTDL100ppmを入れ、40℃で8時間反応させてアクリル系共重合体(粘度:25℃で4000cps)を製造した。前記粘度は、Brookfield粘度計であるDV−II+で500ml−nalgene bottle(73.8mm外径×169.8mm高さ)に400gを入れ、25℃で100rpm、Spindle No.#7で測定した。
【0145】
製造例7:アクリル系共重合体の製造
前記製造例6のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート345.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、グリシジルメタクリレート27gの混合液540gと、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18g混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。滴加時の攪拌速度は250rpmにし、滴加終了後、85℃で4時間反応物を熟成させた。エチルアセテート120g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを20分間投入し、85℃で4時間維持した。反応物の粘度及び固形分を測定し、反応を中止させてアクリル系共重合体の製造のためのベースバインダーを製造した。40℃に冷却させ、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン37.8gとDBTDL100ppmを入れ、40℃で8時間反応させてアクリル系共重合体(粘度:25℃で4500cps)を製造した。
【0146】
製造例8:アクリル系共重合体の製造
前記製造例6のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート383.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8gの混合液と、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18gの混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。前記製造例1と同様な方法でアクリル系共重合体樹脂(粘度:25℃で3000cps)を製造した。
【0147】
製造例9:アクリル系共重合体の製造
前記製造例6のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート345.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、グリシジルメタクリレート27gの混合液と、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18gの混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。前記製造例1と同様な方法でアクリル系共重合体(粘度:25℃で3500cps)を製造した。
【0148】
製造例10:アクリル系共重合体の製造
前記製造例6のフラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート383.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート64.8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート64.8g、アクリル酸27gの混合液と、トルエン120g、アゾビスイソブチロニトリル0.18gの混合液をドロップ漏斗を使用して滴加した。滴加時の攪拌速度は250rpmにし、滴加終了後、85℃で4時間反応物を熟成させた。エチルアセテート120g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを20分間投入し、85℃で4時間維持した。反応物の粘度及び固形分を測定し、反応を中止させてアクリル系共重合体の製造のためのベースバインダーを製造した。40℃に冷却させ、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン37.8gとDBTDL100ppmを入れ、40℃で8時間反応させてアクリル系共重合体(粘度:25℃で4800cps)を製造した。
【0149】
下記実施例と比較例で使用された各成分の具体的な仕様は次の通りである。
【0150】
1.アクリル系共重合体:製造例1〜10で製造された共重合体
2.硬化剤:イソシアネート系硬化剤であるトリメチロールプロパントルエンジイソシアネート(TMP−adduct type,AK−75,(株)エギョン化学)
実施例1〜6と比較例1〜4
メチルエチルケトン25質量部に、前記各成分を下記表1及び2に記載の含量(質量部)で添加し、25℃で1時間攪拌してダイシングダイボンディングフィルム用組成物を製造した。
【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
実験例:ダイシングダイボンディングフィルム組成物の物性測定
前記実施例と比較例で製造した粘着剤組成物を離型PETフィルムに8μmの厚さでコーティングした後、基材フィルムであるポリオレフィンフィルムに転写して25℃で3日間エージングした。エージングされた試料をチップと付着する接着層と合わせてダイシングダイボンディングフィルムを製造した。離型PETフィルム、接着層、粘着層及びポリオレフィンフィルムで構成された4層構造のフィルムを完成した。下記の物性を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0154】
接着層の製造:
1Lの円筒フラスコにアクリルゴムバインダー(SG−P3,Nagase chemtex 17%)69質量部、エポキシ樹脂(EPPN−501H(Nippon Kayaku 81%))13質量部、フェノール硬化剤(HF−1M(Meiwa,50%))7質量部、シラン添加剤(KBM−403(Shinetsu,100%))1質量部、硬化促進剤(TPP−K(HOKKO,100%))0.5質量部、充填剤(R−972(Degussa,100%))9.5質量部を添加し、シクロヘキサノンを加えて混合し、また高速攪拌棒を利用して30分間5000rpmで分散して組成物を製造した後、200メッシュフィルターを利用してろ過した。この接着剤組成物を、アプリケーターによって20um厚でToyobo TS−002(38um,50um離型PET)にコーティングしてフィルム状の接着層を製造し、100℃で20分間乾燥した後、常温で1日保管した。
【0155】
<物性の測定方法>
1.接着層と粘着層間の剥離力:剥離力測定は、韓国工業規格KS−A−01107(粘着テープ及び粘着シートの試験方法)の8項に従って測定した。前記実施例と比較例で製造されたダイシングダイボンディングフィルムを2kg荷重の圧縮ローラーを利用して300mm/分の速度で1回往復させて圧着した。圧着してから30分経過した後で、試験片の折った部分を180°に裏返して25mm剥がした後、引張強度試験機(Instron Series 1X/s Automated materials Tester−3343)の上側のクリップに試験片を置き、ダイ接着フィルムを下側のクリップに固定させ、300mm/分の引張速度で引張って剥がしたときの荷重を測定した。
【0156】
2.粘着層とリングフレーム(SUS)間の剥離力:剥離力測定は、韓国工業規格KS−A−01107(粘着テープ及び粘着シートの試験方法)の8項に従って試験した。リングフレーム(SUS)に粘着フィルム25mm、長さ250mmの試料を付けた後、2kg荷重の圧着ローラーを利用して300mm/minの速度で1回往復させて圧着した。圧着してから30分経過した後で、試験片の折った部分を180°に裏返して約25mm剥がした後、試験片を引張強度試験機の上側のクリップとリングフレーム(SUS)試験板の下側のクリップに固定し、300mm/minの引張速度で引張って剥がしたときの荷重を測定した。引張試験機はInstron Series lX/s Automated materials Tester−3343を使用した。
【0157】
3.粘着性(tackiness):前記のように製造した試片を利用してプローブタック測定機(probe tack tester:tacktoc−2000)で粘着性を測定した。測定方法は、ASTM D2979−71によって、きれいなプローブの端を10+0.1mm/秒の速度と9.79+1.01kPaの接触荷重で1.0+0.01秒間、試片の粘着層と接触させて剥がしたときに必要な最大力を測定した。
【0158】
4.ピックアップ成功率:前記のように製造されたダイシングダイボンディングフィルムからPETフィルムを除去し、ウエハをマウントして、ダイシング工程を経る。ウエハ中央部のチップ200個に対してダイボンダ装置(SDB−10M,メカトロニックス社)を利用してピックアップ成功率を測定した。
【0159】
5.リングフレーム脱離の有無:ウエハマウント工程が終わった後、直ぐにソーイング工程が行われる。これはICパッケージを組み立てるためにウエハを小片に切断する工程である。切断方法は、ダイシングソーを利用するか、或いはレーザーを利用する方法が用いられている。ダイシング工程中にシリコンウエハはダイシングテープに付けられるが、このテープは片側に接着成分があってウエハフレームに固定されるようにする。ウエハが小片に切断されたら、テープに残っている部分をダイと呼び、リードフレームやpcb基板に付けられる。ウエハ切断時に切り取られる部分はダイストリート(die street)と呼び、一般的に幅が75μm程度になる。ウエハ切断工程後、テープに残っているダイは、再度ダイボンダー(die bonder)、ダイソーター(die sorter)によって次の工程が進められる。このとき、ダイの大きさは一般的に0.5〜35mm程度になり、直線に加工されるため、長方形や正方形状になる。Disco社のダイシング設備を利用して評価した。前記脱離は、ウエハのソーイング時のリングフレームと粘着剤層との脱離を意味する。工程中に弱い粘着力によってリングフレームから剥がされる場合を脱離と評価した。
【0160】
6.脱離率(%):20個のウエハについて、ソーイング工程後の脱離有無をパーセントで表示した。脱離率は、20個のウエハのうち脱離が発生したウエハの比率を判定したものである。
【0161】
【表3】

【0162】
前記の表3に示されるように、本発明の粘着剤組成物を用いて形成した粘着層は、リングフレームに対する粘着力が高いためリングフレーム脱離が発生せず、ピックアップ成功率も高いことが分かる(実施例1〜6)。それに対してリン酸基を含む単量体を含まずに製造されたアクリル系共重合体を含む粘着剤組成物は、リングフレームの脱離が発生し、ピックアップ成功率も低いことが分かる(実施例1と比較例1参照,実施例2と比較例2参照)。また、シラン基を含む化合物を含まずに製造されたアクリル系共重合体を含む粘着剤組成物は、リングフレームの脱離が発生し、ピックアップ成功率も低いことが分かった(実施例6と比較例3参照,実施例7と比較例4参照)。
【符号の説明】
【0163】
1 基材フィルム、
2 粘着層、
3 接着層、
4 リングフレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基およびヒドロキシ基からなる群から選ばれる一つ以上と、リン酸基及びシラン基からなる群から選ばれる一つ以上とを有するアクリル系共重合体;及び硬化剤を含み、
前記硬化剤は、アクリル系共重合体100質量部基準で3〜10質量部で含む粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有する)アクリレート系単量体及び一つ以上のリン酸基を有するアクリレート系単量体を共重合した共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記リン酸基を有するアクリレート系単量体は、下記式1の構造を有することを特徴とする請求項2に記載の粘着剤組成物。
【化1】

(前記式で、Rは−H、−CH又は−(CH−CHで、nは0〜5の整数で、R1及びR2は互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で、mは1〜10の整数である)
【請求項4】
前記リン酸基を有する系単量体は、エチレングリコールホスフェート(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項3に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記リン酸基を有するアクリレート系単量体は、前記アクリル系共重合体100質量部のうち0.1〜10質量部で含まれることを特徴とする請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体と一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体を共重合したベースバインダー(base binder)に一つ以上のシラン基を有する化合物を反応させて製造され、
前記シラン基を有する化合物は、前記アクリル系共重合体100 質量部のうち3〜10質量部をで含むることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
前記シラン基を有する化合物は、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
前記アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体及び一つ以上のシラン基を有するアクリレート系単量体を重合した共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
前記シラン基を有するアクリレート系単量体は、下記式2の構造を有することを特徴とする請求項8に記載の粘着剤組成物。
【化2】

(前記式2中、Rは−H又は−(CH−CHであり、nは0〜5の整数であり、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数1〜10のアルコキシ基であり、mは1〜10の整数である)
【請求項10】
前記アクリル系共重合体は、前記シラン基を有するアクリレート系単量体:前記アルキル基を有するアクリレート系単量体:前記ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体を3〜5.5:65.5〜73:24〜29のモル比率で含むことを特徴とする請求項8に記載の粘着剤組成物。
【請求項11】
前記シラン基を有するアクリレート系単量体は、前記アクリル系共重合体100質量部のうち3〜10質量部で含まれることを特徴とする請求項8に記載の粘着剤組成物。
【請求項12】
前記ヒドロキシ基は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の(メタ)アクリレートに由来することを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項13】
前記アクリル系共重合体は、エポキシ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる1種以上をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項14】
前記アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のリン酸基を有するアクリレート系単量体;及び一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及び一つ以上のカルボキシ基を有するアクリレート系単量体からなる群から選ばれる1種以上を重合した共重合体であることを特徴とする請求項13に記載の粘着剤組成物。
【請求項15】
前記アクリル系共重合体は、一つ以上のヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体、一つ以上のアルキル基を有するアクリレート系単量体;一つ以上のシラン基を有するアクリレート系単量体;及び一つ以上のエポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物及び一つ以上のカルボキシ基を有するアクリレート系単量体からなる群から選ばれる1種以上を重合した共重合体であることを特徴とする請求項13に記載の粘着剤組成物。
【請求項16】
前記エポキシ基は、下記式3の構造を有する不飽和エポキシ系化合物から由来されることを特徴とする請求項13に記載の粘着剤組成物。
【化3】

(前記式3中、R3、R4、R5、R8、R9及びR10は、それぞれH、炭素数1〜12のアルキル基又は不飽和アルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリール基であり、Yはエーテル基(−O−)、カルボキシ基(−O(C=O)−、−(C=O)O−)、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基又は炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリーレン基であり、前記Yがエーテル基(−O−)又はカルボキシ基(−O(C=O)−、−(C=O)O−)の場合、R6及びR7は互いに独立して単結合、炭素数1〜12のアルキレン、炭素数6〜14のアリーレン、又は炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリーレン基であり、Yが炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜14のアリーレン基又は炭素数1〜12の飽和又は不飽和アルキル基で置換された炭素数6〜14のアリーレン基の場合、R6およびR7は単結合である)。
【請求項17】
前記エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物は、グリシジル(メタ)クリレート、エポキシアルキルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリールグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル及びグリシジルイタコネートからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項16に記載の粘着剤組成物。
【請求項18】
前記カルボキシ基を有するアクリレート系単量体は、下記式4又は5の構造を有することを特徴とする請求項14又は15に記載の粘着剤組成物。
【化4】

(前記式4中、Rは−H又は−(CH−CHであり、nは0〜5の整数であり、rは1〜10の整数である)
【化5】

(前記式5中、Rは−H又は−(CH)−CHであり、nは0〜5の整数である)
【請求項19】
前記硬化剤は、イソシアネート系硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項20】
前記硬化剤は、前記アクリル系共重合体100質量部基準で3〜10質量部で含まれることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項21】
前記粘着剤組成物は、光開始剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項22】
前記アクリル系共重合体の粘度は、25℃で4000〜6000cpsであることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項23】
前記アクリル系共重合体において、前記リン酸基を有するアクリレート系単量体:アルキル基を有するアクリレート系単量体:ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は、0.5〜2:70〜75:24.5〜28のモル比率で含まれることを特徴とする請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項24】
前記アクリル系共重合体において、前記リン酸基を有するアクリレート系単量体:エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物:アルキル基を有するアクリレート系単量体:ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体は、0.5〜2:4〜7:64〜73.5:22〜27のモル比率で含まれることを特徴とする請求項14に記載の粘着剤組成物。
【請求項25】
前記アクリル系共重合体において、前記リン酸基を有するアクリレート系単量体:アルキル基を有するアクリレート系単量体:ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体:カルボキシ基を有するアクリレート系単量体は、0.5〜2.5:5〜8.5:82〜93.5:1〜7のモル比率で含まれることを特徴とする請求項14に記載の粘着剤組成物。
【請求項26】
前記アクリル系共重合体において、前記リン酸基を有するアクリレート系単量体:エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物:アルキル基を有するアクリレート系単量体:ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体:カルボキシ基を有するアクリレート系単量体は、0.5〜2:4〜6.5:59〜73.5:21〜27:1〜5.5のモル比率で含まれることを特徴とする請求項14に記載の粘着剤組成物。
【請求項27】
前記アクリル系共重合体は、前記アルキル基を有するアクリレート系単量体:前記ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体:前記シラン基を有するアクリレート系単量体:前記エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物を62.5〜72:20〜23:3〜5.5:5〜9のモル比率で含むことを特徴とする請求項15に記載の粘着剤組成物。
【請求項28】
前記アクリル系共重合体は、前記アルキル基を有するアクリレート系単量体:前記ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体:前記シラン基を有するアクリレート系単量体:前記カルボキシ基を有するアクリレート系単量体を59.4〜76:9〜27:3〜4.5:2〜9のモル比率で含むことを特徴とする請求項15に記載の粘着剤組成物。
【請求項29】
前記アクリル系共重合体は、前記アルキル基を有するアクリレート系単量体:前記ヒドロキシ基を有するアクリレート系単量体:前記シラン基を有するアクリレート系単量体:前記エポキシ基がある不飽和エポキシ系化合物:前記カルボキシ基を有するアクリレート系単量体を53.5〜67:18〜28:2〜5.5:1〜4.5:2〜8.5のモル比率で含むことを特徴とする請求項15に記載の粘着剤組成物。
【請求項30】
基材フィルム;
前記基材フィルム上部に形成されており、請求項1に記載の粘着剤組成物で形成された粘着層;及び
前記粘着層上部に形成された接着層を含むダイシングダイボンディングフィルム。
【請求項31】
前記ダイシングダイボンディングフィルムは、前記粘着層と前記リングフレーム間の剥離力が1〜3N/25mmであることを特徴とする請求項30に記載のダイシングダイボンディングフィルム。
【請求項32】
前記ダイシングダイボンディングフィルムは、前記粘着層と前記接着層間の剥離力が0.05〜0.5N/25mmであることを特徴とする請求項30に記載のダイシングダイボンディングフィルム。
【請求項33】
請求項30に記載のダイシングダイボンディングフィルムを用いた半導体装置であって、前記ダイシングダイボンディングフィルムの接着層はウエハの一面に接着され、前記ダイシングダイボンディングフィルムの粘着層はリングフレームに固定される半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−140591(P2012−140591A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228950(P2011−228950)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】