説明

ダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニット、ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパの取付構造

【課題】 車両用シートに生じる振動を広い周波数領域で減衰することができるダイナミックダンパ、ダイナミックダンパを備えるダイナミックダンパユニット、ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパの取付構造を提供すること。
【解決手段】 車両用シートのシートフレーム200には、アクティブダイナミックダンパ(ACD)50が取り付けられている。ACD50は、コイルに流れる電流の向きを変更することで、固定子の軸心方向に可動子を往復動作させることができる。よって、シートフレーム200に生じる振動に応じて可動子を動作させることができるので、車両用シートに生じる振動を広い周波数領域で減衰することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニット、ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパの取付構造に関し、特に、車両用シートに生じる振動を広い周波数領域で減衰することができるダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニット、ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両においては、エンジンや回転軸等から発生する有害振動を低減するために、種々のダイナミックダンパが使用されている。このダイナミックダンパは、問題となる有害振動のピーク周波数に合わせてその共振周波数をチューニングしておくことにより、その有害振動を効果的に低減できるものである。
【0003】
近年においては、車両に搭載されるシートは多様化し、また剛性不足等が原因となってシート振動の問題が発生していることから、例えば特許文献1に記載されるように、車両用シートにもダイナミックダンパが使用されつつある。
【0004】
図21はその具体例を示したもので、車両用シート300と、シートバック301に取り付けられたダイナミックダンパ302とを示す図である。ダイナミックダンパ302は図22に詳しく示しているように質量の大きい1つの塊であるマス部材303と、上下各一対のゴム状弾性体から構成される防振基体304とを有している。ダイナミックダンパ302によれば、マス部材303と防振基体304とにより構成される振動系の共振作動によって、車両のシートバック301に発生する有害振動を抑制する構造となっている。
【特許文献1】特開2004−245314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなダイナミックダンパは、マス部材の重さと防振基体の弾性力とから決められる共振周波数に対応した振動であれば、車両用シートに生じる振動を減衰することができるが、共振周波数に対応していない振動が生じた場合には、振動を減衰することができない。
【0006】
また、車両用シートに生じる振動は、自動車の走行状態などにより随時変化するので、マス部材と防振基体との構成では、その変化する全ての振動に対応させることができないという問題点があった。
【0007】
さらに、マス部材及び防振基体は、製作コストの低減化から大量生産されるので、マス部材の質量にばらつきが生じると共に防振基体の弾性力にもばらつきが生じる。一般的に共振周波数は、マス部材の質量と防振基体の弾性力とで決定される。よって、マス部材の質量と防振基体の弾性力とのいずれか一方にばらつきがあるだけで、ダイナミックダンパの共振周波数が異なり、車両用シートに生じる振動を減衰することが困難であるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、車両用シートに生じる振動を広い周波数領域で減衰することができるダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニット、ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパの取付構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を解決するために請求項1記載のダイナミックダンパは、車両用シートのシートフレームに取り付けられるものであり、前記シートフレームに固着され、少なくとも一部に磁性体を備える固定子と、前記固定子に沿って1軸方向に往復動作可能に配設され、前記固定子の磁性体に対応する位置に円筒状の磁極部が形成されると共に受面を有する可動子と、前記可動子の磁極部に巻回され、電流が流れることで励磁されるコイルと、前記シートフレームに取り付けられる取付部を有すると共に前記可動子に設けられる受面に対向する支持面を有するブラケットと、前記可動子と前記ブラケットとを連結すると共にゴム状弾性体から形成される防振基体とを備え、前記受面と前記支持面は、前記固定子の軸心方向である第1方向に対し傾斜し且つ前記第1方向と前記第1方向と直交する第2方向とに垂直な第3方向とに対し平行であって、前記第1方向から見たときに重なり部分を有し、前記防振基体が、前記受面と前記支持面とを連結した状態で、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成され、前記コイルに電流が流され励磁されることで発生する起磁力により、前記可動子が前記固定子に対して往復動作することで前記車両用シートに生じる振動を減衰する。
【0010】
この請求項1記載のダイナミックダンパによれば、コイルに電流が流れると、コイルが励磁されて磁極部に起磁力が生じ、その起磁力の作用により可動子が固定子に対して1の方向に動作する。コイルに流れる電流の方向を変えると、磁極部に発生する起磁力の向きが変わり、1の方向に対して反対方向に可動子が動作する。また、前記シートフレームに取り付けられるので、コイルに流れる電流の方向を調整することで、車両用シートに生じる振動を減衰させるように可動子を往復動作させることができる。
【0011】
請求項2記載のダイナミックダンパは、請求項1記載のダイナミックダンパにおいて、前記可動子に設けられる受面と前記ブラケットに設けられる支持面とは互いに平行である。
【0012】
請求項3記載のダイナミックダンパは、請求項1又は2に記載のダイナミックダンパにおいて、前記可動子の磁極部は、少なくとも一対の永久磁石を備え、前記一対の永久磁石は、前記第1方向に異なる磁極が並んで形成されると共に、前記第2方向に磁極の並びを逆にして配設され、前記一対の永久磁石の間に発生する起磁力と、前記コイルが励磁されることで発生する起磁力との組み合わせにより前記可動子が前記固定子に対して往復動作して、前記車両用シートに生じる振動を減衰する。
【0013】
請求項4記載のダイナミックダンパは、請求項3記載のダイナミックダンパにおいて、
前記可動子の磁極部は、前記第2方向において前記固定子を挟むように形成され、前記一対の永久磁石は、前記第2方向線上に磁極の並びを逆にして配設されている。
【0014】
請求項5記載のダイナミックダンパは、請求項1から4のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記可動子と前記固定子とを連結すると共に弾性体から構成される連結部材を備え、前記連結部材により前記可動子と前記固定子とが連結された状態で、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成される。
【0015】
請求項6記載のダイナミックダンパは、請求項5記載のダイナミックダンパにおいて、前記連結部材は板バネで構成され、前記可動子の往復動作方向における前記可動子の両端に配設されている。
【0016】
請求項7記載のダイナミックダンパは、請求項5又は6に記載のダイナミックダンパにおいて、前記可動子は、前記可動子の往復動作方向の両端面に、前記固定子の前記連結部材の取付位置に対応する位置まで立設される側壁と、前記側壁に前記連結部材を固定するために設けられ、前記固定子の軸心に対して対称配置されるネジ部とを備え、前記連結部材は、前記固定子と前記連結部材のネジ部とに螺着されることで固定される。
【0017】
請求項8記載のダイナミックダンパは、請求項7記載のダイナミックダンパにおいて、前記連結部材は、前記固定子との連結部を中心に対称形成された2つの環状部が一体に形成されている。
【0018】
請求項9記載のダイナミックダンパは、請求項7又は8に記載のダイナミックダンパにおいて、前記連結部材が前記固定子と前記側壁のネジ部とに固定された状態において、前記連結部材と前記側壁との間には、前記コイルに電流が流されていない状態から前記コイルに電流が流されて、前記固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ前記可動子が動作した場合の動作距離より広い間隙が形成されている。
【0019】
請求項10記載のダイナミックダンパは、請求項3又は4に記載のダイナミックダンパにおいて、前記固定子と前記可動子との対向面を連結すると共に少なくとも一部が弾性材で構成された第2連結部材を備え、前記第2連結部材により前記可動子と前記固定子とが連結された状態で、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成される。
【0020】
請求項11記載のダイナミックダンパは、請求項10記載のダイナミックダンパにおいて、前記第2連結部材は、前記第2方向において前記固定子を挟んで形成された前記可動子の磁極部のうち、一方の前記磁極部と前記固定子とを連結する第3連結部材と、他方の前記磁極部と前記固定子とを連結する第4連結部材とを備え、前記第3連結部材と第4連結部材とは、前記固定子の軸心方向視において、前記固定子の軸心に対して点対称に配設されている。
【0021】
請求項12記載のダイナミックダンパは、請求項10記載のダイナミックダンパにおいて、前記第2連結部材は、前記第1方向において、前記固定子の磁性体の長さ又は前記固定子の磁極部の長さとで短い方の長さ以上に形成されると共に、前記固定子の軸心方向視において、前記固定子の磁性体の全外壁を囲むよう形成されている。
【0022】
請求項13記載のダイナミックダンパは、請求項10から12のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記一対の永久磁石は、前記第2方向において前記固定子を挟んで形成された前記可動子の磁極部のうち、一方の前記磁極部の前記固定子と対向する面に一方の前記永久磁石が配設されると共に、他方の前記磁極部の前記固定子と対向する面に他方の永久磁石が配設され、前記第2連結部材は、前記固定子の磁性体に連結されゴム状弾性体からなる弾性部材と、前記弾性部材に連結され樹脂材料からなる樹脂部材とを備えており、前記固定子の磁性体に前記弾性部材が連結されると共に、前記弾性部材に前記樹脂部材が連結され、前記弾性部材と前記樹脂部材とが前記固定子に対して一体に連結された状態で、前記樹脂部材が前記一対の永久磁石間に圧入されて組み付けられている。
【0023】
請求項14記載のダイナミックダンパは、請求項13記載のダイナミックダンパにおいて、前記固定子の磁性体は円柱状に形成されると共に、前記樹脂部材は円柱状に形成された前記磁性体の外周を囲むよう筒状に形成され、前記固定子の軸心と前記樹脂部材の軸心とが同一軸心上にあり、前記一対の永久磁石は、前記固定子の軸心方向視において、前記樹脂部材との当接面が円弧状に形成されると共に、前記樹脂部材の外周の曲率半径は、前記一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されている。
【0024】
請求項15記載のダイナミックダンパは、請求項1から14のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記コイルは、前記シートフレームに対して固定されると共に、前記シートフレームに固定された状態で前記可動子との間に、前記第1方向における前記可動子の可動範囲より広い可動許容範囲を有する大きさに形成されている。
【0025】
請求項16記載のダイナミックダンパは、請求項1から14のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記コイルは、前記可動子に対して固定されると共に、前記可動子に固定された状態で、前記コイルと前記シートフレームとの間には、前記コイルに電流が流されていない状態から前記コイルに電流が流されて、前記固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ前記可動子が動作した場合の動作距離より広い間隙が形成される。
【0026】
請求項17記載のダイナミックダンパは、請求項1から16のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記ブラケットは、互いに分離独立した第1ブラケットと第2ブラケットとを備え、前記第1ブラケットは、前記第1方向において前記可動子に離隔して対向する第1ブラケットに設けられた規制部を有し、前記第2ブラケットは、前記第1方向において前記可動子に離隔して対向する第2ブラケットに設けられた規制部を有し、前記第2方向において前記第1ブラケットに設けられた規制部と前記第2ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有する。
【0027】
請求項18記載のダイナミックダンパは、請求項17記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとが同一の形状に形成されている。
【0028】
請求項19記載のダイナミックダンパは、請求項17又は18に記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットに設けられた規制部は、前記第2方向において前記第1ブラケットに設けられた規制部と前記コイルとの間に間隙を有し、前記第2ブラケットに設けられた規制部は、前記第2方向において前記第2ブラケットに設けられた規制部と前記コイルとの間に間隙を有する。
【0029】
請求項20記載のダイナミックダンパは、請求項19記載のダイナミックダンパにおいて、前記可動子と前記第1ブラケットに設けられた規制部との対向面の少なくとも一方がゴム状弾性体により表面を被覆され、前記可動子と前記第2ブラケットに設けられた規制部との対向面の少なくとも一方がゴム状弾性体により表面を被覆される。
【0030】
請求項21記載のダイナミックダンパは、請求項17から20のいずれかに記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは、前記シートフレームに設けられた少なくとも一対のシートフレーム側嵌合部と嵌合する少なくとも一対のブラケット側嵌合部を有し、前記少なくとも一対のブラケット側嵌合部は、前記第2方向に平行な可動子の中心線と前記第3方向に平行な可動子の中心線との交点を基準として互いに点対称位置に配設されている。
【0031】
請求項22記載のダイナミックダンパは、請求項21記載のダイナミックダンパにおいて、前記ブラケット側嵌合部は突起で構成され、前記シートフレームに設けられたシートフレーム側嵌合部は前記ブラケット側嵌合部と嵌合する窪みで構成される。
【0032】
請求項23記載のダイナミックダンパは、請求項21又は22に記載のダイナミックダンパにおいて、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを前記シートフレームに取り付けて固定するための固定部材が挿入される少なくとも一対の貫通孔を有し、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対の貫通孔は、前記交点を基準として互いに点対称位置に配設されている。
【0033】
請求項24記載のダイナミックダンパユニットは、請求項1から23のいずれかに記載のダイナミックダンパと、前記ダイナミックダンパが取り付けられた前記車両用シートに生じる振動に基づく情報を検出する振動情報検出手段と、前記振動情報検出手段により検出された情報に応じて少なくとも前記コイルに流れる電流の方向を制御する制御手段とを備え、前記車両用シートに生じる振動が減衰する方向に前記可動子を往復動作させ得るように構成されている。
【0034】
請求項25記載のダイナミックダンパユニットは、請求項24記載のダイナミックダンパユニットにおいて、前記制御手段は、少なくとも前記コイルに流れる電流の方向と前記コイルへの通電時間との関係が定められた出力パターンを予め記憶する記憶手段と、前記振動情報検出手段により検出された振動情報に基づき、前記記憶手段から対応する出力パターンを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された出力パターンに応じて前記コイルに出力を行う出力手段とを備えている。
【0035】
この請求項25記載のダイナミックダンパユニットによれば、振動情報検出手段により検出された車両用シートの振動情報に基づき、選択手段により記憶手段から対応する出力パターンが選択される。その選択された出力パターンに応じて、出力手段によりコイルに出力が行われる。よって、制御手段は、車両用シートに生じる振動の振動情報に基づきコイルに流れる電流を制御できるので、実際の状態に応じて可動子を動作させることができる。
【0036】
請求項26記載のダイナミックダンパの製造方法は、車両用シートのシートフレームに固着され、少なくとも一部の外周部に磁性体を備える固定子と、前記固定子の軸心方向において前記固定子の磁性体に対応する位置に配設されると共に、前記軸心方向と直交する第2方向において前記固定子を挟むように形成される磁極部と、前記固定子を挟むように形成された磁極部のうち一方の前記磁極部の固定子と対向する面に一方の永久磁石が配設されると共に、他方の前記磁極部の前記固定子と対向する面に他方の永久磁石が配設される一対の永久磁石とを有し、前記固定子に沿って1軸方向に往復動作可能に配設された可動子と、前記可動子の磁極部に巻回され、電流が流れることで励磁されるコイルと、前記固定子の磁性体に連結されゴム状弾性材からなる弾性部材と前記弾性部材に連結され樹脂材料からなる樹脂部材とを有し、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成されるように、前記固定子の磁性体と前記可動子の磁極部とを連結する第2連結部材とを備えたダイナミックダンパの製造方法であり、前記固定子の磁性体と前記樹脂部材との間に前記弾性部材を加硫接着して、前記磁性体と前記樹脂部材との間が前記弾性部材により連結された第1組付体を形成する連結工程と、前記連結工程により形成された前記第1組付体を、前記樹脂部材が前記可動子の一対の永久磁石と当接するように前記一対の永久磁石間に圧入して、前記樹脂部材と前記永久磁石とが固着された第2組付体を形成する圧入工程と、前記圧入工程により形成された前記第2組付体の前記固定子を前記シートフレームに対して螺着して、前記固定子が前記シートフレームに固着された第3組付体を形成する固着工程とを備えている。
【0037】
この請求項26記載のダイナミックダンパの製造方法によれば、固定子の磁性体と樹脂部材との間に弾性部材が加硫接着されることで、弾性部材と樹脂部材とが固定子に一体に連結された第1組付体が形成される。その第1組付体は、可動子の永久磁石に樹脂部材が当接するように永久磁石間に圧入されることで、樹脂部材と可動子の永久磁石とが固着された第2組付体が形成される。その第2組付体の固定子とシートフレームとが螺着されることで、固定子がシートフレームに固着された第3組付体が形成される。その第3組付体がダイナミックダンパである。
【0038】
請求項27記載のダイナミックダンパの製造方法は、請求項26記載のダイナミックダンパの製造方法において、前記連結工程において、前記弾性部材が加硫接着される前記固定子の磁性体と前記樹脂部材とは、前記固定子の磁性体が円柱状に形成されると共に、円柱状に形成された前記磁性体の外周を囲むように前記樹脂部材が筒状に形成され、前記連結工程は、前記固定子の軸心と前記樹脂部材の軸心とが同一軸心上となるように、前記固定子の磁性体と前記樹脂部材とを前記弾性部材により連結し、前記圧入工程により前記樹脂部材が圧入された場合に、筒状に形成された前記樹脂部材と当接する前記一対の永久磁石は、前記固定子の軸心方向視において、前記樹脂部材との当接面が円弧状に形成されると共に、前記圧入工程により前記一対の永久磁石間に圧入される前記樹脂部材の外周の曲率半径は、前記一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されている。
【0039】
ここで、請求項1から27のいずれかにおいて、固定子の軸心方向は、可動子が固定子に対して1の方向に往復動作するよう構成されているので、可動子の往復動作方向と同一方向となる。
【0040】
請求項28記載のダイナミックダンパの取付構造は、車両用シートのシートフレームに固着され、少なくとも一部に磁性体を備える固定子と、前記固定子に沿って1軸方向に往復動作可能に配設され、前記固定子の磁性体に対応する位置に円筒状の磁極部が形成された可動子と、前記可動子の磁極部に巻回され、電流が流れることで励磁されるコイルと、前記シートフレームに取り付けられる取付部を有するブラケットとを備えるダイナミックダンパを、前記シートフレームに取り付けるための取付構造であり、前記ブラケットは、前記固定子の軸心方向である第1方向と直交する第2方向における一方に連結される第1ブラケットと前記可動子の前記第2方向における他方に連結される第2ブラケットとから構成され、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対のブラケット側嵌合部と、前記シートフレームに設けられ、前記少なくとも一対のブラケット側嵌合部と嵌合するシートフレーム側嵌合部とを備え、前記少なくとも一対のブラケット側嵌合部は、前記第2方向に平行な可動子の中心線と前記第1方向と前記第2方向とに垂直な第3方向に平行な可動子の中心線との交点を基準として互いに点対称位置に配置されている。
【0041】
請求項29記載のダイナミックダンパの取付構造は、請求項28記載のダイナミックダンパの取付構造において、前記ブラケット側嵌合部は突起で構成され、前記シートフレームに設けられたシートフレーム側嵌合部は、前記ブラケット側嵌合部と嵌合する窪みで構成されている。
【0042】
請求項30記載のダイナミックダンパの取付構造は、請求項28又は29に記載のダイナミックダンパの取付構造において、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとに設けられ、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを前記シートフレームに取り付けて固定するための固定部材が挿通される少なくとも一対の貫通孔と、前記シートフレームに設けられ、前記貫通孔に挿通され前記固定部材が挿通される少なくとも一対の取付孔とを備え、前記少なくとも一対の貫通孔は、前記交点を基準として互いに点対称位置に配置されている。
【発明の効果】
【0043】
請求項1記載のダイナミックダンパによれば、コイルに流れる電流の方向を変えることで可動子の動作方向を変えることができるので、車両用シートに生じる振動が減衰するように可動子を動作させることができる。よって、車両用シートに生じる振動を減衰することができるという効果がある。
【0044】
また、コイルに流れる電流値の大きさやコイルに通電する時間を、コイルに流れる電流の方向と合わせて調整すれば、可動子の動作方向や動作速度などを容易に調整することができるので、ダイナミックダンパの防振効果を向上することができるという効果がある。
【0045】
さらに、防振基体が可動子とブラケットとを連結し、そのブラケットがシートフレームに取り付けられるので、可動子をマス部材とすることができ、コイルに電流を流すことで可動子の往復動作を行うことなく、従来のダイナミックダンパと同様の効果を得ることができる。即ち、質量となるマス部材を別に設けなくても良い。よって、ダイナミックダンパ自体が大型化することを低減することができると共に製作コストを低減することができるという効果がある。
【0046】
また、固定子がシートフレームに固着されると共に、防振基体により可動子がブラケットに保持されるので、固定子と可動子との位置関係がずれることを低減することができる。可動子は、固定子に対して往復動作するので、斜め方向に可動子が動作すると、可動子と固定子とが衝突して故障の原因となったり、正確な防振を行えないことがある。しかし、可動子をブラケットに対して保持することで、上記弊害の発生を低減することができるという効果がある。
【0047】
さらに、防振基体を備えると、可動子が往復動作するための抵抗力が増すが、可動子をブラケットに確実に保持することができる。よって、正確に且つ効率よく可動子を動作させると共に、故障の発生を低減することができるという効果がある。
【0048】
また、防振基体により可動子とブラケットとが連結された状態で、可動子とシートフレームとの間に間隙が形成されるので、可動子がシートフレームに対して浮いた状態となる。よって、可動子が往復動作する場合に干渉する抵抗力(摩擦)が少なくなる。従って、可動子を効率よく動作させることができるという効果がある。
【0049】
さらに、受面と支持面とは、第3方向に対し平行なので、ブラケットに対する可動子の第3方向への相対変位により、受面と支持面とに連結された防振基体には剪断変形が及ぼされる。一方、受面と支持面とは、第1方向に対し傾斜しその第1方向から見たときに重なり部分を有するので、ブラケットに対する可動子の第1方向への相対変位により、受面と支持面とに連結された防振基体には圧縮又は引張り変形が及ぼされる。したがって、第3方向における防振基体のばね定数に対する、第1方向における防振基体のばね定数の比を大きくすることができる。その結果、第3方向の共振周波数を所定の周波数域にチューニングしつつ、第1方向の共振周波数を、第3方向の共振周波数よりも大きな周波数域にチューニングすることが可能となる。よって、第1方向における振動と、第1方向の振動とは周波数が異なる第3方向における振動とを同時に低減することができるという効果がある。
【0050】
請求項2記載のダイナミックダンパによれば、請求項1記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、可動子に設けられる受面とブラケットに設けられる支持面とは互いに平行であるので、ブラケットに対し可動子が相対変位される際に、防振基体におけるひずみの分布が不均一となって、部分的にひずみが集中することが抑制できるので、耐久性が確保されるという効果がある。
【0051】
請求項3記載のダイナミックダンパによれば、請求項1又は2に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、磁極部に少なくとも一対の永久磁石が備えられ、その永久磁石は、第2方向に磁極の並びを逆にして配設されているので、一対の永久磁石の間に起磁力が発生する。また、その一対の永久磁石は、第1方向に異なる磁極が並んでいるので、発生する起磁力の向きが相反する方向となる。よって、コイルが励磁されることで発生する起磁力を、永久磁石間で発生する起磁力と同じ方向にすれば可動子を動作させる駆動力を大きくすることができると共に、永久磁石間で発生する起磁力と反対方向にすれば駆動力を相殺することができる。従って、コイルに流れる電流の方向を変更して2つの起磁力の組み合わせを変更することにより、可動子の往復動作をスムーズに行うことができるという効果がある。
【0052】
請求項4記載のダイナミックダンパによれば、請求項3記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、磁極部が第2方向において固定子を挟むよう形成され、一対の永久磁石が第2方向線上に磁極の並びを逆にして配設されているので、磁極部間の距離と一対の永久磁石間の距離とがそれぞれ短くなる。よって、発生する各起磁力が大きくなり駆動力が大きくなるので、所定の駆動力を発生させるためのダイナミックダンパを小型化できるという効果がある。
【0053】
請求項5記載のダイナミックダンパによれば、請求項1から4のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、連結部材により可動子と固定子とが連結された状態で、可動子とシートフレームとの間に間隙が形成されるので、可動子がシートフレームに対して浮いた状態となる。よって、可動子が往復動作する場合に干渉する抵抗力(摩擦)が少なくなる。従って、可動子を効率よく動作させることができるという効果がある。
【0054】
請求項6記載のダイナミックダンパによれば、請求項5記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、連結部材が板バネで構成され、可動子の往復動作方向の両端に配設されているので、ダイナミックダンパの往復動作方向の厚みが厚くなることを低減することができる。よって、ダイナミックダンパ自体が大型化することを低減することができるという効果がある。
【0055】
また、可動子の両端に連結部材が配設されているので、往復動作方向の2箇所で可動子と固定子とを連結している。よって、1箇所で可動子と固定子とを連結する場合に比較して、可動子の動作方向のずれを低減することができる。よって、さらに正確に且つ効率よく可動子を動作させると共に、故障の発生を低減することができるという効果がある。
【0056】
請求項7記載のダイナミックダンパによれば、請求項5又は6に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、連結部材は、固定子と側壁のネジ部とに螺着されることで固定される。また、その固定子とネジ部とは、可動子の往復動作方向における位置が同等であると共に、ネジ部が固定子の軸心に対して対称配置されているので、固定子とネジ部とが直線上に位置する。よって、連結部材に作用する力の支点が直線上に等間隔に位置するので、連結部材の一部に極端に力がかかることを低減でき、連結部材が破損してしまうことを低減することができるという効果がある。
【0057】
請求項8記載のダイナミックダンパによれば、請求項7記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、固定子との連結部を中心に対称形成された2つの環状部が一体になり板バネが形成されているので、板バネが複数の部材から形成される場合に比較して、組み付けの作業性を向上することができるという効果がある。
【0058】
また、2つの環状部により板バネが形成されているので、環状を有さない平板状の板バネに比べて、板バネの面積を少なくすることができる。よって、板バネの重量を軽くすることができ、ダイナミックダンパの軽量化を図ることができるという効果がある。
【0059】
請求項9記載のダイナミックダンパによれば、請求項7又は8に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、連結部材と側壁との間に、コイルに電流が流されていない状態からコイルに電流が流されて、固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ可動子が動作した場合の動作距離より広い間隙が形成されているので、可動子が往復動作をしたとしても、可動子が板バネと接触して動作の妨げになることを低減することができる。よって、可動子をスムーズに動作させることができるという効果がある。
【0060】
請求項10記載のダイナミックダンパによれば、請求項3又は4に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、可動子と固定子との対向面が少なくとも一部が弾性材で構成された第2連結部材により連結されるので、可動子と固定子との間に異物(粉塵など)が侵入することを低減することができる。可動子と固定子との間に異物が侵入すると、その異物が可動子の動作抵抗となり、動作不良となったり故障の原因となる。しかし、本発明では、可動子と固定子との対向面を第2連結部材により連結することで、可動子と固定子との間に異物が侵入することを低減できるので、動作不良の発生や故障の発生を低減することができるという効果がある。
【0061】
また、可動子と固定子との対向面が第2連結部材により連結されると、第2方向における可動子と固定子との間の間隙が、その第2方向における第2連結部材の厚みとなり、一定の距離を維持することができる。可動子は、固定子に対して往復動作するので、可動子が軸心方向からずれて斜め方向に動作すると、可動子と固定子とが衝突して故障の原因となったり正確な防振を行えない場合がある。しかし、第2連結部材により可動子と固定子との対向面を連結することにより、可動子と固定子との間の間隙を一定に維持できるので、可動子が斜め方向に動作することを低減でき、故障の発生を低減できると共に正確な防振を行うことができるという効果がある。
【0062】
さらに、第2連結部材により可動子と固定子とが連結された状態で、可動子とシートフレームとの間に間隙が形成されるので、可動子がシートフレームに対して浮いた状態となる。よって、可動子が往復動作する場合に干渉する抵抗力(摩擦)が少なくなる。従って、可動子を効率よく動作させることができるという効果がある。
【0063】
請求項11記載のダイナミックダンパによれば、請求項10記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、固定子の軸心方向視において、第3連結部材と第4連結部材とが固定子の軸心に対して点対称に配設されているので、第3及び第4連結部材による可動子の支持を固定子の周方向に均一とすることができる。よって、可動子が軸心方向に対して斜め方向にずれて動作することを低減でき、可動子と固定子とが衝突して故障することを低減できると共に、正確な防振を行うことができるという効果がある。
【0064】
また、可動子と固定子との対向面を連結する第2連結部材を、固定子の軸心方向視において、固定子の全外壁を囲んでないので、配設される第2連結部材を少なくすることができる。よって、ダイナミックダンパを軽量化できると共に、製作コストを低減することができるという効果がある。
【0065】
請求項12記載のダイナミックダンパによれば、請求項10記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第1方向において、固定子の磁性体の長さ又は可動子の磁極部の長さのうちの短い方の長さ以上に第2連結部材が形成されているので、可動子の磁性体と固定子の磁極部との軸心方向における対向面(間隙)が第2連結部材により埋められる。また、固定子の軸心方向視において、固定子の磁性体の全外壁を囲むように第2連結部材が形成されているので、第2方向における固定子の磁性体と可動子の磁極部との対向面も第2連結部材により埋められる。即ち、固定子の磁性体と可動子の磁極部との対向面は、第2連結部材により埋められ間隙が形成されないので、固定子の磁性体と可動子の磁極部との間に異物が侵入することを確実に防止することができるという効果がある。
【0066】
また、第2連結部材が固定子の全外壁を囲むように形成されているので、固定子の所定位置にのみ第2連結部材を形成する場合に比較して、固定子の軸心方向視における第2連結部材の位置調整をしなくて良い。軸心方向視における第2連結部材の位置は、可動子を固定子に対してスムーズに往復動作させるために、固定子の軸心方向視において、軸心に対して点対称に配設することが好ましい。これは、可動子が軸心方向からずれて動作することを低減するためである。しかし、固定子の軸心方向視において、軸心に対して第2連結部材を点対称に配設することは、その第2連結部材の位置調整の作業が困難となり複雑な製作工程となってしまう。本発明では、固定子の磁性体の全外壁を第2連結部材が囲むので、固定子の周方向のどの位置においても、第2連結部材を軸心に対して点対称にすることができる。よって、可動子をスムーズに効率良く動作させることができると共に、固定子の磁性体と可動子の磁極部との対向面を第2連結部材により連結する製作工程を簡略化することができるという効果がある。
【0067】
請求項13記載のダイナミックダンパによれば、請求項10から12のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、樹脂部材と弾性部材とが固定子に一体に連結され、その固定子に一体に連結された樹脂部材が一対の永久磁石間に圧入されてダイナミックダンパが組み付けられる。ゴム状の弾性材による連結方法の1つには加硫接着があるが、加硫接着は樹脂や金属に比べて永久磁石との接着が困難である。そのため、固定子の磁性体と一対の永久磁石とを弾性部材により直接加硫接着しようとした場合、接着不良による不良品の発生率が高くなる。しかし、固定子の磁極部と樹脂部材との間を弾性部材により連結するので、接着不良による不良品の発生を低減しつつ、加硫接着により固定子の磁極部と樹脂部材とを接着することができるという効果がある。
【0068】
また、固定子の磁性体と可動子の永久磁石とを直接加硫接着する場合には、固定子と可動子とを配置可能な金型が必要となるので、その金型が大型になると共にその構造が複雑となり、金型製作のコストが高くなってしまう。しかし、固定子の磁性体と樹脂部材とが加硫接着されるので、固定子と樹脂部材とを配置可能な金型でよくなり、固定子と可動子とを配置する金型に比べて小規模にできると共に構造を簡略化できる。よって、金型製作のコストを低減することができるという効果がある。
【0069】
さらに、樹脂部材と弾性部材とを固定子に一体に連結した後に、樹脂部材を永久磁石間に圧入することで組み付けられるので、単純な組み付け工程によりダイナミックダンパの組み付けを行うことができるという効果がある。
【0070】
また、磁極部の固定子と対向する面に、一対の永久磁石が配設されているので、一対の永久磁石間の距離が短くなる。永久磁石の磁力は、その永久磁石間の距離が短くなることに比例して大きくなるので、磁極部の固定子と対向する面に配設することで、永久磁石間に生じる磁力を大きくすることができるという効果がある。
【0071】
請求項14記載のダイナミックダンパによれば、請求項13記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、樹脂部材の外周の曲率半径が一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されている。例えば、樹脂部材の外周の曲率半径より永久磁石の円弧の曲率半径の方が大きいと、樹脂部材を一対の永久磁石間に圧入しても樹脂部材と一対の永久磁石とを固着できないし、樹脂部材と永久磁石との当接面が平面で形成されていると、樹脂部材を永久磁石間に圧入する際に、固定子が傾いた状態で圧入されたり、圧入位置がずれてしまうこともある。しかし、樹脂部材の外周の曲率半径が一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されているので、樹脂部材を永久磁石間に圧入する場合に、樹脂部材は、永久磁石の円弧に沿って圧入されることとなり、固定子が傾いたり圧入位置がずれてしまうことを低減することができると共に、樹脂部材と一対の永久磁石とを確実に固着することができるという効果がある。
【0072】
また、円柱状に形成された固定子の軸心と、筒状に形成された樹脂部材の軸心とが同一軸心上にあるので、圧入する際の固定子の回転方向を位置決めしなくて良い。よって、固定子の圧入位置を正確に位置決めしなくても圧入作業が行えるので、製作工程を簡略化できるという効果がある。
【0073】
さらに、固定子の永久磁石が円弧状に形成されているので、永久磁石が平板で形成されているものに比較して、小スペースで大きな永久磁石を配設することができる。よって、永久磁石の磁力を確保しつつダイナミックダンパの小型化が図れるという効果がある。
【0074】
請求項15記載のダイナミックダンパによれば、請求項1から14のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、コイルがシートフレームに固定されているので、可動子が往復動作したとしても、コイルに接続される電線が切断されることを低減することができるという効果がある。
【0075】
また、コイルの大きさは、可動子の可動範囲より可動許容範囲が大きくなるよう形成されているので、可動子がコイルに接触することがない。よって、ダイナミックダンパの故障を低減することができるという効果がある。
【0076】
請求項16記載のダイナミックダンパによれば、請求項1から14のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、コイルが可動子に固定されているので、コイルと可動子とを別々にシートフレームに取り付ける必要がなく、ダイナミックダンパの取り付け工程を簡略化することができるという効果がある。
【0077】
また、マス部材の質量が必要な時にコイルの質量が合算されるため、ダイナミックダンパ自体が大型化することを低減することができるという効果がある。
【0078】
さらに、コイルとシートフレームとの間には、コイルに電流が流されていない状態からコイルに電流が流されて固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ可動子が動作した場合の動作距離よりも広い間隙が形成されているので、可動子が往復動作をしたとしても、可動子がコイルと接触して動作の妨げになることを低減することができる。よって、可動子をスムーズに動作させることができるという効果がある。
【0079】
請求項17記載のダイナミックダンパによれば、請求項1から16のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第1方向の振動入力により可動子がブラケットに対し第1方向に相対変位すると、可動子が第1ブラケットに設けられた規制部及び第2ブラケットに設けられた規制部に当たり相対変位量が規制される。
【0080】
また、可動子が第1ブラケットに設けられた規制部及び第2ブラケットに設けられた規制部に当たると打音が発生する場合があるが、第2方向において第1ブラケットに設けられた規制部と第2ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有しているので、打音の音色を聴感上の不快感の低い音色に変化させることができるという効果がある。
【0081】
さらに、第1ブラケットに設けられた規制部と第2ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有さない一体的なものである場合に比較して、可動子に対向する規制部全体の面積が小さくなるので、打音の音量が低減し、聴感上の不快感を抑制できるという効果がある。
【0082】
請求項18記載のダイナミックダンパによれば、請求項17記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第1ブラケットと第2ブラケットとが同一の形状に形成されているので、ブラケットの種類が半減して安価であるとともに管理が容易であるという効果がある。
【0083】
請求項19記載のダイナミックダンパによれば、請求項17又は18に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第1ブラケットに設けられた規制部及び第2ブラケットに設けられた規制部は、第2方向においてブラケットに設けられた規制部とコイルとの間に間隙を有しているので、コイルに対向する範囲までブラケットに設けられた規制部が配設されている場合に比較して、第1方向にダイナミックダンパ自体が大型化することを低減することができるという効果がある。すなわち、コイルに対向する範囲までブラケットに設けられた規制部が配設されている場合においては、コイルに対向するブラケットに設けられた規制部は、振動入力時にマス部材となる可動子が第1方向に相対変位するための間隙と、コイルに電流が流されていない状態からコイルに電流が流されて可動子が第1方向に動作した場合の動作距離よりも広い間隙とが形成されている必要があるため、第1方向にダイナミックダンパ自体が大型化してしまうことを防止することができる。
【0084】
請求項20記載のダイナミックダンパによれば、請求項19記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、可動子と第1ブラケットに設けられた規制部との対向面の少なくとも一方がゴム状弾性体により表面を被覆され、可動子と第2ブラケットに設けられた規制部との対向面の少なくとも一方がゴム状弾性体により表面を被覆される。よって、マス部材となる可動子がブラケットに対し第1方向に相対変位して、相対変位量が規制される振動入力時でも、衝撃を和らげて打音を緩和すると共に可動子の動作不良や故障の発生を低減することができるという効果がある。
【0085】
請求項21記載のダイナミックダンパによれば、請求項17から20のいずれかに記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第1ブラケットと第2ブラケットとは、シートフレームに設けられた少なくとも一対のシートフレーム側嵌合部と嵌合する少なくとも一対のブラケット側嵌合部を有しているので、一対のブラケット側嵌合部と一対のシートフレーム側嵌合部との勘合により、シートフレームに対し第1ブラケットと第2ブラケットとが位置決めされ、さらに位置決め後においては、第1ブラケットと第2ブラケットとがシートフレームに対し移動することが抑制される。第1ブラケットと第2ブラケットとは、共に防振基体を介して可動子に連結されているので、車両用シートに振動が入力され、可動子と防振基体とにより構成される振動系が共振すると、その影響を受けて、防振基体から振動が加えられる。ここで、第1ブラケットと第2ブラケットとが互いに分離している場合には、ブラケットが一体に構成されている場合に比較して、防振基体からの振動の影響を受け易く、それぞれに回動及び揺動などのがたつきが発生し易い。したがって、一対のシートフレーム側嵌合部と勘合する一対のブラケット側嵌合部を第1ブラケットと第2ブラケットとに設け、シートフレームに対する第1ブラケットと第2ブラケットとの移動を抑制することにより、第1ブラケットと第2ブラケットとが互いに分離している場合においても、振動入力時における回動又は揺動などのがたつきの発生が抑制されるという効果がある。
【0086】
ここで、可動子の第2方向における一方に連結される第1ブラケットと可動子の第2方向における他方に連結される第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対のブラケット側嵌合部は、第2方向に平行な可動子の中心線と第3方向に平行な可動子の中心線との交点を基準として互いに点対称位置に配置されているので、ダイナミックダンパに第2方向及び第3方向の方向性を生じさせない。よって、ダイナミックダンパをシートフレームへ取り付ける際には、ダイナミックダンパの第2方向及び第3方向における方向性を確認する必要が無く、取り付け作業が容易になるという効果がある。
【0087】
請求項22記載のダイナミックダンパによれば、請求項21記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、ブラケット側嵌合部は突起で構成され、シートフレームに設けられたシートフレーム側嵌合部はブラケット側嵌合部と嵌合する窪みで構成されるので、ブラケット側嵌合部を構成する突起の移動がシートフレーム側嵌合部を構成する窪みの内面によって規制され、シートフレームの面に沿った方向における移動が抑制される。よって、シートフレームに対する第1ブラケットと第2ブラケットとの移動が確実に抑制されるので、取り付け作業がより容易になるという効果がある。
【0088】
また、第1ブラケットと第2ブラケットとがシートフレームに対し取付位置にある状態では、シートフレームに対する第1ブラケットと第2ブラケットとの回動又は揺動が確実に抑制されるという効果がある。
【0089】
請求項23記載のダイナミックダンパによれば、請求項21又は22に記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、第1ブラケットと第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対の貫通孔は、交点を基準として互いに点対称位置に配置されているので、ダイナミックダンパをシートフレームへ取り付ける際には、ダイナミックダンパの第2方向及び第3方向における方向性を確認する必要が無く、取り付け作業が容易となるという効果がある。
【0090】
請求項24記載のダイナミックダンパユニットによれば、振動情報検出手段により検出された車両用ートの振動に基づく情報に応じて、少なくともコイルに流れる電流の方向が決定される。よって、制御手段により車両用シートの振動状態に応じて可動子の動作方向を調整できるので、正確な防振を行うことができるという効果がある。
【0091】
請求項25記載のダイナミックダンパユニットによれば、請求項24記載のダイナミックダンパの奏する効果に加え、車両用シートの振動情報に基づきコイルに流れる電流を制御手段が制御し、実際の状態に応じて可動子を動作させることができるので、防振効果をさらに向上させることができるという効果がある。
【0092】
請求項26記載のダイナミックダンパの製造方法は、連結工程において、固定子の磁性体と樹脂部材とに弾性部材を加硫接着して磁性体と樹脂部材との連結を行う。加硫接着は、樹脂や金属に比べて永久磁石との接着が困難であるので、固定子の磁性体と永久磁石とを弾性部材により直接加硫接着しようとした場合、接着不良による不良品の発生率が高くなる。本発明の連結工程は、固定子の磁極部と樹脂部材との間を弾性部材により加硫接着するので、磁極部と樹脂部材とを確実に連結することができ、接着不良による不良品の発生を低減することができるという効果がある。
【0093】
また、固定子の磁性体と可動子の永久磁石とを直接加硫接着する場合には、固定子と可動子とを配置可能な金型が必要となるので、その金型が大型になると共にその構造が複雑となり、金型製作のコストが高くなってしまう。しかし、固定子の磁性体と樹脂部材とが加硫接着されるので、固定子と樹脂部材とを配置可能な金型でよくなり、固定子と可動子とを配置する金型に比べて小規模にできると共に構造を簡略化できる。よって、連結工程により用いられる金型製作のコストを低減することができるという効果がある。
【0094】
さらに、樹脂部材と弾性部材とを固定子に一体に連結した後に、樹脂部材を一対の永久磁石間に圧入することで、樹脂部材と可動子の磁極部との固着が行えるので、ダイナミックダンパの製作工程の1つを、単純な圧入工程とすることができるという効果がある。
【0095】
請求項27記載のダイナミックダンパの製造方法によれば、請求項26記載のダイナミックダンパの製造方法の奏する効果に加え、樹脂部材の外周の曲率半径が一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されている。例えば、樹脂部材の外周の曲率半径より永久磁石の円弧の曲率半径の方が大きいと、樹脂部材を一対の永久磁石間に圧入しても樹脂部材と一対の永久磁石とを固着できないし、樹脂部材と永久磁石との当接面が平面で形成されていると、樹脂部材を永久磁石間に圧入する際に、固定子が傾いた状態で圧入されたり、圧入位置がずれてしまうこともある。しかし、樹脂部材の外周の曲率半径を一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されているので、樹脂部材を永久磁石間に圧入する場合に、樹脂部材は、永久磁石の円弧に沿って圧入されることになり、固定子が傾いたり圧入位置がずれてしまうことを低減することができると共に、樹脂部材と一対の永久磁石とを確実に固着することができる。よって、圧入工程により不良品の発生を低減することができるという効果がある。
【0096】
また、円柱状に形成された固定子の軸心と、筒状に形成された樹脂部材の軸心とが同一軸心上にあるので、圧入する際の固定子の回転方向を位置決めしなくて良い。よって、固定子の圧入位置を正確に位置決めしなくても圧入が行えるので、圧入工程を簡略化できるという効果がある。
【0097】
請求項28記載のダイナミックダンパの取付構造によれば、第1ブラケットと第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対のブラケット側嵌合部と、シートフレームに設けられ少なくとも一対のブラケット側嵌合部と嵌合するシートフレーム側嵌合部とを備えているので、一対のブラケット側嵌合部と一対のシートフレーム側嵌合部との勘合により、シートフレームに対し第1ブラケットと第2ブラケットとが位置決めされ、さらに位置決め後においては、第1ブラケットと第2ブラケットとがシートフレームに対し移動することが抑制される。
【0098】
ここで、第2方向における一方に連結される第1ブラケットと可動子の第2方向における他方に連結される第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対のブラケット側嵌合部は、第2方向に平行な可動子の中心線と第3方向に平行な可動子の中心線との交点を基準として互いに点対称位置に配置されているので、ダイナミックダンパに第2方向及び第3方向の方向性を生じさせない。よって、ダイナミックダンパをシートフレームへ取り付ける際には、ダイナミックダンパの第2方向及び第3方向における方向性を確認する必要が無く、取り付け作業が容易となるという効果がある。
【0099】
請求項29記載のダイナミックダンパの取付構造によれば、請求項28記載のダイナミックダンパの取付構造の奏する効果に加え、ブラケット側嵌合部は突起で構成され、シートフレームに設けられたシートフレーム側嵌合部はブラケット側嵌合部と嵌合する窪みで構成されるので、ブラケット側嵌合部を構成する突起の移動がシートフレーム側嵌合部を構成する窪みの内面によって規制され、シートフレームの面に沿った方向における移動が抑制される。よって、シートフレームに対する第1ブラケットと第2ブラケットとの移動が確実に抑制されるので、取り付け作業がより容易になるという効果がある。
【0100】
請求項30記載のダイナミックダンパの取付構造によれば、請求項28又は29に記載のダイナミックダンパの取付構造の奏する効果に加え、第1ブラケットと第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対の貫通孔は、交点を基準として互いに点対称位置に配置されているので、ダイナミックダンパをシートフレームへ取り付ける際には、ダイナミックダンパの第2方向及び第3方向における方向性を確認する必要が無く、取り付け作業が容易となるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態のアクティブダイナミックダンパ(以下「ACD」と称す)1の取り付け状態を概略的に示した斜視図である。
【0102】
なお、第1実施形態では、ACD1として、FF型自動車(以下「自動車」と略す)のエンジン10を支持するフレーム13に取り付けられたACDについて説明する。
【0103】
まず、ACD1の取り付け状態について説明する。ACD1の周辺には、自動車の駆動力を発生するエンジン10と、そのエンジン10にボルト11a,11b,11cにより取り付けられる取付金具11と、その取付金具11にボルト12aにより取り付けられるエンジンマウント12と、そのエンジンマウント12がボルト12b,12c,12d,12eにより取り付けられるフレーム13と、そのフレーム13に配設される加速度センサ14とが備えられている。ACD1は、ボルト1a,1bによりフレーム13に取り付けられる。
【0104】
なお、加速度センサ14は、フレーム13が振動する場合の加速度を計測するものであり、ACD1は、その加速度センサ14により計測される加速度に基づきフレーム13の振動を減衰させるものである。この加速度センサ14は、ACD1の近傍に配設されており正確な防振を行うことができるよう構成されている。
【0105】
また、エンジンマウント12は、例えば、エンジン10を支持固定しつつ、そのエンジン10から発生する振動をフレーム13へ伝達させないよう構成された液封入式の防振装置である。即ち、エンジンマウント12は、エンジン10により発生した振動をフレーム13へ伝わることを防振している。このエンジンマウント12は、エンジン10側に取り付けられる第1取付具と、フレーム13側に取り付けられる筒状の第2取付具と、第1取付具と第2取付具とを連結しゴム状弾性材から構成される防振基体とを主に備えて構成されている。
【0106】
次に、図2及び図3を参照して、ACD1の詳細な構造について説明する。図2は、ACD1の外観を示した斜視図である。図3は、ACD1がフレーム13に取り付けられた状態での、図2のIII−III線におけるACD1とフレーム13との断面図である。
【0107】
ACD1は、フレーム13にボルト1a,1bにより取り付けられるベース板20と、そのベース板20に、基端部がナット21により螺着されベース板20に対して固定される略円柱状の固定子22と、その固定子22の軸心方向Aにおける略中間部に固着される磁性体23と、固定子22の外周を囲むと共に固定子22の軸心方向Aに往復動作可能な可動子24と、可動子24の一部であり固定子22を挟んでその固定子22側に相対的に突出した磁極部25と、その磁極部25を巻回すると共にベース板20に固定されるコイル26と、可動子24及びベース板20の間を連結する防振基体27とを備えている。
【0108】
磁性体23は、電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数の略円盤状の金属23aを積層して構成されている。可動子24は、同様に電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数の略環状(磁極部25を形成する相対的に突出した突出部を備える)の金属24aを積層して構成されている。
【0109】
防振基体27は、ゴム状弾性材料から構成され、可動子24の4つの側壁のうち対向する2つの側壁とベース板20とをそれぞれ加硫接着により連結している。なお、第1実施形態では、防振基体27を可動子24の2つの対向する側壁とベース板20とを連結するものとしたが、可動子24のベース板20との対向面全てを連結するものとしても良い。また、防振を行うために必要となる弾性力に応じて、材質(例えば、ゴム硬度)及び大きさ(例えば、厚み及び幅)を変えるものとしても良い。
【0110】
可動子24の磁極部25の先端(固定子22の磁性体23との対向面)には、円弧状の一対の永久磁石28が配設されている。永久磁石28の磁極(S極及びN極)は、固定子22の軸心方向Aに隣り合って異極を成して構成されている(図6又は図7参照)。
【0111】
図3の紙面左側の永久磁石28は、ベース板20側の磁性体23と対向する面側がN極となると共にその反対面側(磁極部25側)がS極となる永久磁石28aと、ベース板20から離れた方(図3上側)の磁性体23と対向する面側がS極となると共にその反対面側(磁極部25側)がN極となる永久磁極28bとを備えている。
【0112】
一方、図3の紙面右側の永久磁石28は、ベース板20側の磁性体23と対向する面側がS極となると共に反対面側(磁極部25側)がN極となる磁極28bと、ベース板20から離れた方(図3上側)の磁性体23と対向する面側がN極となる共に反対面側(磁極部25側)がS極となる永久磁極28aとを備えている。
【0113】
よって、軸心方向Aに対して略直交する方向(図3矢印B方向)において対向配設された永久磁石28は、その矢印B方向に磁極が逆になるよう配設されている。従って、一対の永久磁石28の間には、上下で相反する方向の起磁力が発生する。なお、このように永久磁石28が配設されると、磁性体23及び磁極部25は、永久磁石28のN極と対向する側がN極に帯磁すると共に永久磁石28のS極と対向する側がS極に帯磁する(図6又は図7参照)。
【0114】
コイル26は互いに電気的に導通しており、一方向の電流が流される。また、コイル26は磁極部25を巻回しているので、コイル26に電流が流されるとコイル26の周りに磁界が形成され、その結果、一対の永久磁石28間を磁束が通り起磁力が発生する。なお、コイル26は、ベース板20に固定されているので、可動子24が往復動作したとしても、コイル26に結線された配線が断線することを低減できる。
【0115】
また、コイル26は、軸心方向Aにおいて可動子24の動作許容範囲t1(図3参照)を有する大きさに形成されている。これは、コイル26がベース板20に固定されているのに対して、可動子24が軸心方向Aに動作するためであり、その可動子24の動作範囲t2(図3参照)を確保するための間隙である。
【0116】
ここで、図4を参照して、コイル26に接続される電気回路図について説明する。図4は、ACD1の電気的な接続を示した電気回路図である。なお、ACD1は、概略的に示されており、コイル26が簡易的な導線で示されている。
【0117】
制御部30は、コイル26に流される電流の方向を制御するものである。制御部30には、演算装置であるCPU31と、CPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されたROM32と、そのROM32内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM33とが搭載されている。
【0118】
また、制御部30の入力側には、加速度センサ14とエンジン回転数検出センサ40とが接続されている。加速度センサ14からは、フレーム13が振動した場合の加速度が検出されその信号が入力される。エンジン回転数検出センサ40からは、エンジン10の回転数が検出されその信号が入力される。
【0119】
制御部30の出力側には、コイル26に電流を流すアンプ41が接続されている。アンプ41は、制御部30からの指示を受信すると、その指示に応じて電流の方向を変えたり、通電の切り替え(オン/オフ)を行ったりするものである。
【0120】
なお、ROM32には、アンプ41への出力パターンが設定されたテーブルが予め記憶されている。このテーブルは、エンジン回転数検出センサ40から入力されるエンジン回転数と、加速度センサ14から入力される加速度とに応じた出力パターンが設定されている。また、アンプ41への出力は、コイル26に流れる電流の方向や通電時間などの情報である。
【0121】
アンプ41は、コイル26の両端と接続されており、コイル26に電流を流すものである。また、制御部30からの指示に応じて、コイル26へ流れる電流をオン/オフ(通電時間の調整)したり、電流の流れる方向を変更したりする。
【0122】
また、図4には、白抜き矢印が示されており、その白抜き矢印の方向が一対の永久磁石28間に発生する起磁力の向きを示している。即ち、永久磁石28の間は、永久磁石28aから永久磁極28bの方向へ起磁力が発生するので、その方向は図4の上下で相反する方向にある(図4上側に右側から左側への起磁力が発生し、図4下側に左側から右側への起磁力が発生する)。
【0123】
次に、図5から図7を参照して、制御部30により制御されるACD1の動作について説明する。図5は、制御部30のCPU31により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。図6は、コイル26に電流を正方向に流した場合のACD1の作用を示した説明図である。図7は、コイル26に電流を負方向に流した場合のACD1の作用を示した説明図である。
【0124】
なお、図6及び図7のコイル26の断面において、「×」と「・」が示されているが、これは電流の流れる方向を示している。即ち、図6であれば、上側から紙面垂直方向奥側を通り下側に電流が流されている。第1実施形態では、この場合を正方向に電流が流されているものとする。一方、図7であれば、下側から紙面垂直方向奥側を通り上側に電流が流され、負方向に電流が流されているものとする。
【0125】
また、磁極部25の断面における「×」と「・」は、コイル26に電流が流された場合に発生する磁束の向きを示している。即ち、図6であれば、左側から紙面垂直方向奥側(及び図示しない紙面垂直方向手前側)の可動子24を通り右側へ流れ、右側から永久磁石28間を通り左側に磁束が流れる。一方、図7であれば、右側から紙面垂直方向奧側(及び図示しない紙面垂直方向手前側)の可動子24を通り左側へ流れ、左側から永久磁石28間を通り右側に磁束が流れる。
【0126】
図5に示したメイン処理は、電源投入時のリセットにより起動される。電源投入とは、図示しないキーが操作されてACC(各装置への電源供給が行われた)状態にされた場合と、ONされてエンジン10が始動開始した場合の両方の状態を意味する。電源が投入されると、電源投入に伴う初期設定処理(図示せず)を実行する。この初期設定処理において、ROM32に記憶された情報(プログラムや出力パターンのテーブルなど)が読み出され、RAM33に記憶される。
【0127】
メイン処理は、まず、エンジン10が始動しているか否かを判別する(S101)。エンジン10が始動していなければ(S101:No)、自動車が停止していることになりエンジン10による振動がフレーム13に伝わらないので、フレーム13の振動を防振するためのS102〜S104の処理を行わずにS105の処理へ移行する。
【0128】
一方、S101の処理でエンジン10が始動していると判別すると(S101:Yes)、エンジン回転数検出センサ40と加速度センサ14とからの情報を取得する(S102)。加速度センサ14からの情報は、フレーム13が振動した場合の加速度が入力される。エンジン回転数検出センサ40からの情報は、エンジン10の回転数が入力される。
【0129】
S102の処理で各入力情報(エンジン回転数と加速度)の取得が終わると、その取得された入力情報に応じた出力パターンが選択される(S103)。この出力パターンの選択は、上述したROM32に予め記憶された出力パターンのテーブルから適宜選択されるものである。
【0130】
その後、出力パターンに基づきアンプ41に指示をし(S104)、その他の処理を実行する(S105)。その他の処理は、自動車を走行させるための各処理などであるが、ACD1の制御ではないため詳細な説明は省略する。
【0131】
ここで、S104の処理でアンプ41に指示がなされ、アンプ41がコイル26に正方向または負方向に電流を流した場合のACD1の動作について、図6及び図7を参照して説明する。
【0132】
図6に示すように、コイル26に正方向の電流を流すと、コイル26の周りに2点鎖線矢印の方向に磁界が発生し、その結果永久磁石28の間を磁束が通り、起磁力が矢印C方向に発生する。この場合、上側の永久磁石28の起磁力の向き(図6上側の白抜き矢印、右側から左側方向)と、コイル26に電流が流されることで発生する起磁力の向き(図6矢印C)とが同一方向となり、磁束が合成されて起磁力が強まる。
【0133】
一方、下側の永久磁石28の起磁力の向き(図6下側の白抜き矢印、左側から右側方向)とコイル26に電流が流されることで発生する起磁力の向き(図6矢印C)とが反対になって、両者の起磁力が相殺されて弱まる。その結果、固定子22が図6上側の永久磁石28間に引きつけられる力が働き、固定子22が固定されていることから可動子24に下方向への力(図6黒塗りの矢印)が作用し、可動子24が下方向に動作する。
【0134】
図7に示すように、コイル26に負方向の電流を流すと、コイル26の周りに2点鎖線矢印の方向に磁界が発生し、その結果永久磁石28の間を磁束が通り、起磁力が矢印D方向に発生する。この場合、下側の永久磁石28の起磁力の向き(図7下側の白抜き矢印、左側から右側方向)と、コイル26に電流が流されることで発生する起磁力の向き(図7矢印D)とが同一方向となり、磁束が合成されて起磁力が強まる。
【0135】
一方、上側の永久磁石28の起磁力の向き(図7上側の白抜き矢印、右側から左側方向)とコイル26に電流が流されることで発生する起磁力の向き(図7矢印D)とが反対になって、両者の起磁力が相殺されて弱まる。その結果、固定子22が図7下側の永久磁石28間に引きつけられる力が働き、固定子22が固定されていることから可動子24に上方向への力(図7黒塗りの矢印)が作用し、可動子24が上方向に動作する。
【0136】
以上、説明したように、コイル26に流れる電流の向きを変更することで、可動子24を上下(1軸)方向に往復動作させることができる。また、制御装置30により、可動子24の動作方向が制御される。即ち、制御部30は、加速度センサ14により検出された加速度からフレーム13の振動した方向や振動の大きさを知ることができ、そのフレーム13の振動を相殺する方向に可動子24を動作させることができる。よって、フレーム13の振動に応じて防振することができる。従って、自動車の車内に振動が伝わることを低減でき、運転者に不快感を与えることを低減することができる。
【0137】
また、フレーム13の振動に基づく入力だけでなく、エンジン回転数検出センサ40からエンジン10の回転数が入力され、その回転数とフレーム13の振動とに基づき、可動子24の動作を制御している。これにより、エンジン10の回転数に対応して発生する振動を予測可能となるので、正確な防振を行うことができる。
【0138】
特に、フレーム13に伝達される共振周波数が歪んだ波形(正弦波でない波形)である場合では、1方向のみ動作するアクチュエータや制御部を備えないダイナミックダンパでは、正確に防振することが困難となる。しかし、ACD1が可動子24の往復動作方向に動作可能であると共に、エンジン回転数検出センサ40及び加速度センサ14の入力に応じて往復動作を制御部30で制御できるので、共振周波数が歪んだ波形であったとしても、その振動を防振することができる。さらに、可動子24の動作を電流値の大きさに応じて変化させることができるので、ソレノイドなどを用いるアクチュエータと比較して、滑らかな動作をさせることができる。
【0139】
また、可動子24が重りの代わりとなるので、別にマス部材を備える必要がない。さらに、一対の永久磁石28が軸心方向Aに異なる磁極が隣り合って配設されると共に、矢印B方向に磁極が逆になるよう配設され、コイル26に電流を流すことでその一対の永久磁石28の間に起磁力を発生させる構成であるので、複数のコイルや永久磁石を備えなくても可動子24を往復動作させることができる。よって、ACD1自体を小型化できると共に製作コストを低減することができる。
【0140】
また、可動子24、固定子22、コイル26、防振基体27が予めベース板20に取り付けられた状態となるので、ベース板20をフレーム13に取り付けるだけでACD1の取り付け工程が終わる。よって、ACD1の取り付け工程を簡略化することができる。
【0141】
次に、図8から図12を参照して、第2実施形態の車両用シートに取り付けられるACD50について説明する。第1実施形態のACD1は、エンジン10を支持するフレーム13に取り付けられる構成としたが、第2実施形態のACD50は、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられる。さらに、第1実施形態のACD1は、ベース板20に防振基体27を介して可動子24が連結される構成としたが、これに対して、第2実施形態のACD50は、シートフレーム200に取り付けられるブラケット51にゴム状弾性体から形成される防振基体52を介して可動子53が連結される構成となっている。
【0142】
また、第1実施形態のACD1は、固定子22とコイル26とがベース板20に固定される構成としたが、これに対して、第2実施形態のACD50は、固定子22とコイル26とがシートフレーム200に直接固定される構成となっている。なお、ACD50のシートフレーム200への取付位置については図21に示す従来の取付位置と同様であるため、図示を省略する。また、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0143】
図8は、第2実施形態におけるACD50の底面図であり、図9はACD50の側面図であり、図10はACD50の上面図である。
【0144】
なお、以下、図8及び図10に示す平面視において、可動子53の長方形状の面の短手方向(長手方向と直交する方向、図8左右方向)をX方向と称し、長手方向(図8上下方向)をZ方向と称する。また、X方向及びZ方向に垂直な方向(図8の紙面垂直方向)をY方向と称する(図9参照)。ACD50は、X方向が車両の左右方向に相当し、Y方向が車両の前後方向に相当し、Z方向が車両の上下方向に相当するように、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられる。なお、X方向が請求項に記載した第3方向に相当し、Y方向が請求項に記載した第1方向に相当し、Z方向が請求項に記載した第2方向に相当するものである。
【0145】
可動子53は、図8に示すように、被覆ゴム層54により表面を被覆され、所定の質量を有する。また、図9に示すように、Y方向に垂直な一対の幅広面55と、その一対の幅広面55間を接続する側面部56を有する。側面部56は、一対の幅広面55に対して垂直な側面56aと、一方の幅広面55のZ方向における両端側から突出し、X方向に平行でY方向に対して傾斜する傾斜部56bとを有する。傾斜部56bには、防振基体52の一端が連結される受面57が設けられる。なお、第1実施形態と同様に、可動子53は可動子53の一部であり固定子22を挟んでその固定子22側に相対的に突出した磁極部25を備えている。
【0146】
ブラケット51は、図9に示すように、互いに分離独立して可動子53に連結される第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとから構成される。ここで「互いに分離独立」とは、互いの表面が非接触である状態をいう。なお、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとは互いに同一形状を有し、図8に示すように、ACD50において、可動子53のZ方向両側に互いに対称的に連結される。また、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとは、それぞれ第1方向規制板58と、立上部59と、取付部60とを一体的に有する。
【0147】
第1方向規制板58は、可動子53の一方の幅広面55に対しY方向に離隔して対向し、Y方向に垂直な板状の部材である。また、図9及び図10に示すように、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58と第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58において、それぞれの間には間隙Gが設けられている。
【0148】
また、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58は、可動子53の一方の幅広面55のZ方向における一端部に対向し、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58は、可動子53の一方の幅広面55のZ方向における他端部に対向する。第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設けられた第1方向規制板58により、Y方向における可動子53のブラケット51に対する相対変位量が規制される。
【0149】
さらに、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙t4を有し、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙t4を有している。よって、コイル26に対向する範囲まで第1方向規制板58が配設されている場合に比較して、Y方向にACDが大型化してしまうことを防止することができる。
【0150】
立上部59は、第1方向規制板58の端部から可動子53の側面部56の垂直な側面56aに沿って立ち上がる部材である。また、立上部59は、第1方向規制板58側の端部であって、X方向に平行且つY方向に対し傾斜する支持壁部59aと、第1方向規制板58と反対側の端部であってX方向及びY方向に平行な連結板59bとからなる。支持壁部59aには、防振基体52の他端が連結される支持面59cが設けられる(図9参照)。立上部59により、Z方向における可動子53のブラケット51に対する相対変位量が規制される。
【0151】
取付部60は、立上部59の第1方向規制板58とは反対側の端部から延出され、貫通孔61と、回動防止ピン62とが形成されている。図12を参照して後述するように、第1ブラケット51a及び第2ブラケット51bは、貫通孔61に挿通される固定ボルト201aとナット201bとにより、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられる。
【0152】
ここで、図10に示すように、一対の貫通孔61及び一対の回動防止ピン62は、Z方向に平行な可動子53の中心線lzとX方向に平行な可動子53の中心線lxとの交点Oを基準として互いに対称位置となるように、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設けられている。なお、貫通孔61と回動防止ピン62とのさらなる構成については、図12を参照して後に詳細に説明する。
【0153】
また、第2実施形態では、被覆ゴム層54が可動子53とブラケット51とに被着されて、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58と第1方向規制板58に対向する可動子53の一方の幅広面55とを、さらに、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58と第1方向規制板58に対向する可動子53の一方の幅広面55とを被覆していると共に、この被覆ゴム層54と一体的に防振基体52が形成されている。すなわち、被覆ゴム層54と防振基体52とは、所定の成形金型の成形キャビティに可動子53とブラケット51を位置決めセットした状態で該成形キャビティにゴム材料を射出充填し、加硫することによって成形されており、かかる加硫成形と同時に可動子53とブラケット51とに対して加硫接着されている。
【0154】
防振基体52は、可動子53に設けられる受面57とブラケット51に設けられる支持面59cとの間を連結するものである。なお、ACD50は、シートフレーム200と可動子53との間に、間隙t3が形成されるように構成されている(図12参照)。ACD50は、可動子53と防振基体52とからなる振動系の共振周波数を、車両用シートに発生する有害振動のピーク周波数に合わせてチューニングしておくことにより、車両用シートに発生する有害振動を効果的に低減できるものである。
【0155】
振動系の共振周波数において、X方向の共振周波数fxは、防振基体52のX方向のバネ定数kxと可動子53の質量mとに基づいてチューニングされ、Y方向の共振周波数fyは、防振基体52のY方向のバネ定数kyと可動子53の質量mとに基づいてチューニングされる。可動子53の質量mは共通であるため、X方向の共振周波数fxに比較してY方向の共振周波数fyを大とするためには、防振基体52のX方向のバネ定数kxに対するY方向のバネ定数kyの比を高くする必要がある。
【0156】
防振基体52が連結される受面57と支持面59cはX方向に平行なので、ブラケット51に対して可動子53がX方向へ相対変位させられると、防振基体52には剪断変形が及ぼされる。一方、受面57と支持面59cはY方向に対し傾斜し、Y方向から見たときに受面57と支持面59cが重なり部分Lを有するように防振基体52が連結される(図9参照)。したがって、ブラケット51に対して可動子53がY方向へ相対変位させられると、受面57と支持面59cとに連結された防振基体52には圧縮または引張り変形が及ぼされる。
【0157】
よって、防振基体52のX方向のバネ定数kxに対する、Y方向のバネ定数kyの比が大となる。その結果、可動子53と防振基体52とからなる振動系において、X方向の共振周波数を所定の周波数域にチューニングしつつ、そのX方向の共振周波数よりも大きな周波域にY方向の共振周波数をチューニングすることが可能となる。
【0158】
例えば、車両用シートおいてX方向に発生する有害振動のピーク周波数が19Hzであり、Y方向に発生する有害振動のピーク周波数が29Hzである場合、X方向に対するY方向のピーク周波数の比が約1.5倍なので、防振基体52のバネ比(ky/kx)を約1.5とすることにより、可動子53と防振基体52とからなる振動系の共振周波数を、X方向に19Hz、Y方向に29Hzとなるようにチューニングする。これにより、ACD50は、X方向に発生する所定の周波数域の有害振動と、そのX方向の共振周波数よりも大きな周波数域のY方向に発生する有害振動とを同時に低減することができる。
【0159】
また、可動子53に設けられる受面57とブラケット51に設けられる支持面59cとは互いに平行に構成される。これにより、ブラケット51に対し可動子53が相対変位される際に、防振基体52におけるひずみの分布が不均一となって部分的にひずみが集中することが抑制できるので、耐久性が確保される。
【0160】
また、受面57が可動子53の側面部56(傾斜部56b)に設けられ、支持面59cは可動子53の側面部56に向かって立ち上がる立上部59の第1方向規制板58側の端部に設けられているので、ACD50がY方向に大型化するのを抑制することができる。
【0161】
すなわち、第2実施形態のACD50のように、防振基体52のバネ定数kxに対するY方向のバネ定数kyの比を大きくするためには、例えば、可動子53の幅広面55と、その幅広面55に対向しY方向に垂直な第1方向規制板58との間に防振基体52を連結することが考えられる。しかしながら、このように構成すると、可動子53の幅広面55とブラケット51の第1方向規制板58との間に防振基体52を介在させるための大きな間隙を設ける必要があるため、ACD50がY方向(車両の前後方向)に大型化することが避けられず、車両用シートに取り付けるものとして好ましくない。
【0162】
これに対し、第2実施形態のACD50によれば、可動子53の側面部56に設けられた受面57と、その側面部56に向かって立ち上がる立上部59に設けられた支持面59cとの間に防振基体52を介在させているので、ACD50がY方向(車両の前後方向)に大型化するのを抑制できるのである。
【0163】
また、ブラケット51において、第1方向規制板58と取付部60との間に設けられる立上部59を有効に利用し、立上部59の第1方向規制板58側の端部を、Y方向に対し傾斜させ且つX方向に平行とすることにより支持面59c(支持壁部59a)が設けられているので、支持面59cを設けるために新たなスペースや部材を要せず、ACD50をコンパクト且つコスト的に有利とすることができる。
【0164】
次に、図11を参照して、Y方向に対する受面57の角度θと、防振基体52のバネ定数kとの関係について説明する。図11(a)は、可動子53の側面部56を拡大して示す図であって、受面57がY方向に対し角度θ1で傾斜する状態を示す図である。図11(b)は、可動子53の側面部56を拡大して示す図であって、受面57がY方向に対し角度θ2(θ2>θ1)で傾斜する状態を示す図である。
【0165】
図11に示すように、受面57及び支持面59cのY方向に対する角度θが大となるほど、Y方向における防振基体52の弾性変形において、圧縮または引張り成分の割合が大となるので、Y方向のバネ定数kyがX方向のバネ定数kxに比して高くなる。すなわち、受面57と支持面59cをX方向に平行に保ちつつ、Y方向に対する角度θのみを調整することにより、X方向のバネ定数kxは変えずに、Y方向のバネ定数kyのみを可変とすることができる。
【0166】
したがって、第2実施形態のACD50のチューニングに際しては、まず、X方向の共振周波数fxが所望の周波数となるように、防振基体52の容積や剛性が選択される。その後、受面57及び支持面59cをX方向に平行に保ちつつ、Y方向に対する角度θのみを調整することで、X方向の共振周波数fxは変えずに、Y方向の共振周波数fyを所望の周波数にチューニングすることができる。
【0167】
次に、図12を参照して、第2実施形態のACD50の取付構造について説明する。図12は、車両用シートのシートフレーム200と、シートフレーム200に取り付けられたACD50とのX方向に垂直な断面を示す断面図である。
【0168】
図12に示すように、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとにはそれぞれY方向に貫通する貫通孔61が設けられている。第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設けられた一対の貫通孔61には、これら第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとをシートフレーム200に取り付けて固定するための固定ボルト201aが挿通される。一方、シートフレーム200には、貫通孔61に挿通された固定ボルト201aが挿通される一対の取付孔202が設けられる。
【0169】
上記貫通孔61及び取付孔202に挿通された固定ボルト201aには、シートフレーム200の裏面側においてナット201bが螺着される。これにより、第1ブラケット51a及び第2ブラケット51bとシートフレーム200とが締結される。
【0170】
また、図12に示すように、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとがシートフレーム200に対し取付位置にある状態において、その第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとのシートフレーム200に対向する面には、後述する窪み部63と嵌合する突起である回動防止ピン62がそれぞれ設けられる。
【0171】
一方、シートフレーム200には、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bがそのシートフレーム200に対し取付位置にある状態で、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとにそれぞれ設けられた一対の回動防止ピン62と嵌合する一対の窪み部64が予め設けられている。
【0172】
上述のように構成されたACD50の第1ブラケット51a及び第2ブラケット51bを車両用シートのシートフレーム200に取り付ける際には、固定ボルト201aとナット201bとによる締結に先立って、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設けられた一対の回動防止ピン62を、シートフレーム200に予め設けられた窪み部64に嵌合させる。
【0173】
これにより、車両用シートのシートフレーム200に対する取付位置にACD50の第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとを容易に位置決めすることができる。さらに、位置決め後においては、回動防止ピン62の移動が窪み部64の内面によって規制され、シートフレーム200の面に沿った方向における移動が抑制されるので、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとが、シートフレーム200に対し回動または揺動することが確実に抑制される。よって、位置決めされた状態において、貫通孔61及び取付孔202に固定ボルト201aを挿通し、その固定ボルト201aにナット201bを螺着する作業を安定的に行うことができる。よって、取り付け作業が容易になる。
【0174】
ここで、図8から図10を参照して説明したように、可動子53のZ方向両側に互いに対称的に連結された第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設けられた一対の回動防止ピン62とは、Z方向に平行な可動子53の中心線lzとX方向に平行な可動子53の中心線lxとの交点Oを基準として互いに対称位置に配置されているので、ACD50にZ方向及びX方向の方向性を生じさせない。よって、ACD50の取付時において、一対の回動防止ピン62をシートフレーム200に予め設けられた窪み部64に嵌合させる際には、ACD50のZ方向及びX方向における方向性を確認する必要がないので、取り付け作業がより容易となる。
【0175】
これに対し、従来の取付構造においては、回動防止ピンがZ方向については対称位置であって、X方向については同位置に設けられていたので(図22参照)、回動防止ピンのために左右の組付方向性が発生していた。その結果、取り付け時において、シートフレームに予め設けられた窪み部に一対の回動防止ピンを嵌合させる際には、左右の組付方向性を逐一確認して配置しなければならないので、取り付け作業が煩雑となっていた。
【0176】
また、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設けられた一対の貫通孔61は、交点Oを基準として互いに対称位置に配置されているので、回動防止ピン62と同様に、ACD50にZ方向及びX方向の方向性を生じさせない。よって、ACD50をシートフレーム200へ取り付ける際には、ACD50のZ方向及びX方向における方向性を確認する必要がなく、取り付け作業が容易となる。
【0177】
また、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bには、共に防振基体52を介して可動子53に連結されているので、車両用シートに振動が入力され、可動子53と防振基体52とにより構成される振動系が共振すると、その影響を受けて、防振基体52から振動が加えられる。ここで、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとが互いに分離している場合、第1ブラケット51a及び第2ブラケット51bは、それぞれ固定ボルト201aとナット201bにより一箇所において締結されているだけである。よって、ブラケットが一体に構成されている場合に比較して、防振基体52からの振動の影響を受け易く、固定ボルト201aの軸心回りの回動及び揺動などのがたつきが発生し易い。
【0178】
したがって、シートフレーム200に設けられた一対の窪み部64と嵌合する一対の回動防止ピン62を第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに設け、シートフレーム200に対する第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとの移動を抑制することにより、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとが互いに分離している場合においても、振動入力時における回動または揺動などのがたつきの発生が抑制される。
【0179】
また、入力される振動が特に大きい場合には、可動子53が大きく振動して第1方向規制板58に当たり打音が発生することがあるが、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58と第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58において、それぞれの間には間隙Gが設けられているので、打音の音色を聴感上の不快感の低い音色に変化させることができる。
【0180】
また、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58は、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58との間に間隙Gを有するので、第1方向規制部が、間隙を有さない一体的なものである場合に比較して、第1方向規制部全体の面積が小さい。よって、可動子53が第1方向規制板58に当たったときに発生する打音の音量が低減し、聴感上の不快感を抑制できる。
【0181】
また、一対の回動防止ピン62は、交点Oを基準として互いに対称位置となるように第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとに配置されるものであるので、第1ブラケット51aと第2ブラケット51bとして互いに同一形状のものを用いることができ、ブラケットの種類が半減して安価であるとともに管理が容易である。
【0182】
以上、説明したように、第2実施形態のACD50は、ブラケット51と可動子53とが防振基体52により連結されており、可動子53とシートフレーム200との間に間隙t3が形成されているので、可動子53が往復動作をする場合に干渉する抵抗(摩擦)が少なくなる。よって、可動子53を効率良くスムーズに動作させることができるので、車両用シートに振動が生じた場合に、その振動に応じて可動子53をスムーズに動作させて効率良く防振することができる。従って、車両用シートに生じる振動を減衰することができる。
【0183】
また、加速度センサ14をACD50が取り付けられたシートフレーム200に取り付けると、制御部30による制御が第1実施形態と同様となるので、加速度センサ14により検出された加速度からシートフレーム200の振動方向や振動の大きさを知ることができ、そのシートフレーム200の振動を減衰させる方向に可動子53を動作させることができる。よって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0184】
次に、第3実施形態のACD70について説明する。第2実施形態のACD50は、コイル26がシートフレーム200に直接固定される構成としたが、これに対して、第3実施形態のACD70は、コイル26が可動子53に固定される構成となっている。なお、ACD70のシートフレーム200への取付位置については図21に示す従来の取付位置と同様であるため、図示を省略する。また、第3実施形態のACD70は、コイル26の固定方法のみが第2実施形態のACD50に異なる構成であるので、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略し、さらに、図8から図12を参照してその図示を省略する。
【0185】
ACD70は、コイル26が可動子53の磁極部25の周りに巻回されると共に可動子53に固定されている。よって、ACD70をシートフレーム200に取り付ける場合、コイル26と可動子53とを別々に取り付ける必要がなく、組み付け作業を簡略化することができる。また、共振周波数のチューニングにおいて、コイル26の質量が可動子53の質量に合算されるため、大きな質量が必要な場合においてもACDが大型化することを抑制できるのである。
【0186】
また、可動子53が固定子22の軸心方向に往復動作すると、その動作に伴ってコイル26が固定子22の軸心方向に往復動作するが、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて、可動子53が固定子22の軸心方向のうちいずれか一方へ動作した場合の動作距離t6より、コイル26とシートフレーム200との間に形成される間隙t7の方が広く構成されている。よって、可動子53が往復動作して、コイル26が往復動作した場合に、シートフレーム200がコイル26と接触することがないため、可動子53の動作をスムーズに行うことができる。
【0187】
さらに、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙を有し、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙を有している。よって、コイル26に対向する範囲まで第1方向規制板58が配設されている場合に比較して、コイル26に対向する第1方向規制板58は、振動入力時に可動子53がY方向に相対変位するための間隙と、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて可動子53がY方向に動作した場合の動作距離よりも広い間隙とが形成されている必要があるため、Y方向にACDが大型化してしまうことを防止することができる。
【0188】
次に、図13から図15を参照して、第4実施形態のACD80について説明する。第2実施形態のACD50は、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられるブラケット51にゴム状弾性体から形成される防振基体52を介して可動子53が連結される構成としたが、これに対して、第4実施形態のACD80は、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられるブラケット51にゴム状弾性体から形成される防振基体52を介して可動子81が連結されると共に固定子82に板バネ83を介して可動子81が連結される構成となっている。なお、ACD80のシートフレーム200への取付位置については図21に示す従来の取付位置と同様であるため、図示を省略する。また、第4実施形態のACD80は、板バネ83の構成が第2実施形態のACD50に追加された構成であるので、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0189】
図13は、第4実施形態におけるACD80の上面図であり、図14はACD80の側面図であり、図15は車両用シートのシートフレーム200と、シートフレーム200に取り付けられたACD80とのX方向に垂直な断面を示す断面図である。
【0190】
なお、以下、図13から図15における矢印の方向については、第2実施形態で記載した方向と同一のためその説明を省略する。同様に、車両搭載時の方向及び請求項記載に相当する方向についても、第2実施形態で記載した方向と同一のためその説明を省略する。
【0191】
図13に示すように、ACD80は、シートフレーム200に固定される固定子82と、その固定子82に固着される磁性体23と、固定子82の軸心方向E(図15参照)に往復動作する可動子81と、その可動子81の一部であり固定子82を挟んでその固定子82側に相対的に突出した磁極部25と、その磁極部25の周りに巻回されると共にシートフレーム200に固定されるコイル26と、可動子81と固定子82との間を連結する板バネ83とを主に備えている。
【0192】
図15に示すように、固定子82は、磁性体23が固着される軸部82aと、その軸部82aより小径に形成されると共に固定子82の両先端部に形成される小径部82b,82cとで構成されている。よって、固定子82は、軸部82aと小径部82b,82cとの径の差により段差面82b1,82c1が形成される。
【0193】
固定子82は、小径部82c(及び段差面82c1)がシートフレーム200側(図15左側)になると共に、小径部82b(及び段差面82b1)がシートフレーム200側に対して反対側(図15右側)になるようシートフレーム200に固定されている。また、小径部82b,82cは、板バネ83をナット84b,84cにより挟持するためのネジ溝が螺刻されている。さらに、小径部82cは、板バネ83を挟持するだけでなく、シートフレーム200にも螺着されるので、そのシートフレーム200に螺着するのに必要な長さ分、小径部82bより長く形成されている。
【0194】
可動子81は、第2実施形態の可動子と略同一形状に形成されているが、第4実施形態の可動子81は切欠部81aを有している。切欠部81aは、図14に示すように、X方向において可動子81の側端部に形成され、Z方向においてコイル26に間隙を有し且つブラケット51に設けられた第1方向規制板58に対向する可動子81の対向面に間隙を有する位置に形成される。
【0195】
また、切欠部81aはブラケットの取付部60,60を結ぶ直線の軸対称位置に形成され且つ固定子82の軸心の点対称位置に形成される。つまり、切欠部81aは可動子81に4箇所形成されている。
【0196】
さらに、可動子81は、磁性体23に向かって磁極部25が突出して形成されている。また、図15に示すように、磁極部25の磁性体23との対向面には、第1実施形態と同様に、軸心方向Eに異極(永久磁石28a(S極),28b(N極))をなすと共に軸心方向Eと略直交する方向に異極(永久磁石28a(S極),28b(N極))をなすよう永久磁石28がそれぞれ配設されている。
【0197】
図14及び図15に示すように、可動子81の上下方向(軸心方向E)における外縁部分には、その上下方向両側にそれぞれ立設された側壁85が備えられている。上下方向両側の側壁85は、Z方向においてブラケットの取付部60,60を結ぶ直線上で、コイル26に間隙を有し且つブラケット51に設けられた第1方向規制板58に対向する可動子81の対向面に間隙を有する位置に上下方向に突起したネジ部86と、可動子81の切欠部81aにはまり込むように、上下対向する側壁85方向に延びた延設部87とを備えている。ネジ部86は、板バネ83をネジ88で螺着して固定するためにネジ溝(図示せず)が螺刻されている。また、ネジ部86は、固定子82の軸心に対して対称配置されているので、図13に示す上面視において、固定子82とネジ部86(ネジ部86のネジ溝)とが略直線上に位置している。
【0198】
延設部87は、可動子81と上下方向両側の側壁85とを一体に固定するために、一方の側壁85の延設部87(図14右側の側壁85)にネジ89を挿通する挿通孔(図示せず)が形成されると共に、他方の側壁85の延設部87(図14左側の側壁85)にネジ89が螺着されるネジ溝(図示せず)が螺刻されている。よって、上下方向両側の側壁85は、ネジ89が一方の延設部87の挿通孔に挿通され、他方の延設部87のネジ溝に螺着されることで、可動子81を挟んだ状態で強固に固定される。
【0199】
また、上下方向両側の側壁85は、可動子81の切欠部81aが形成された4箇所と延設部87とを容易に位置決めすることができる。さらに、位置決め後においては、延設部87の移動が可動子81の切欠部81aの内面によって規制され、側壁85のX方向、Z方向における移動が抑制されるので、側壁85が可動子81に対し揺動することが確実に抑制される。よって、位置決めされた状態において、上下方向両側の側壁85をネジ89で螺着する作業を安定的に行うことができる。よって、取り付け作業が容易になる。なお、挿通孔が形成された延設部87(図14右側の側壁85)には、ネジ89の頭部を収納可能な凹状の座ぐり部87aが形成されている。よって、ネジ89の頭部が側壁85の端面から板バネ83方向に突出して、板バネ83に干渉することを防止している。
【0200】
図14に示すように、可動子81の往復動作方向の両端には、板バネ83が配設されている。また、図13に示すように、板バネ83は、2つの略環状を有して一体に構成されている。その環状は、固定子82の軸心方向E視において、側壁85の外縁に沿った形状の外縁部83aと、その外縁部83aから固定子82方向に湾曲して延設された湾曲部83bとで構成されている。板バネ83は、環状に形成されているので、軸心方向E視において可動子81の全体を閉塞する平板状の板バネを用いる場合に比較して、板バネ83の重量を軽量化することができる。また、板バネ83が一体に形成されているので、複数の板バネを取り付ける場合に比較して、組み付け作業を簡略化することができる。
【0201】
シートフレーム200側の反対側(図15右側)に配設される板バネ83は、固定子82の段差面82b1とナット84bとの間に挟持されると共に、側壁85のネジ部86とネジ88との間に挟持されて固定されている。なお、ネジ部86と板バネ83との間には、中空状に形成された中空部材90が挟持されており、板バネ83の軸心方向Eにおける位置が水平になるように構成されている。
【0202】
板バネ83の固定は、具体的には、小径部82bに板バネ83のネジ孔(図示せず)を挿通し、その後、小径部82bにナット84bを螺着する。また、側壁85と板バネ83との間に中空部材90を配置し、ネジ88を板バネ83のネジ孔(図示せず)と中空部材90の中空部に挿通し、ネジ部86のネジ溝に螺着する。よって、板バネ83と側壁85との間には、中空部材90の厚み分の間隙t5(図15参照)が形成される。
【0203】
シートフレーム200側(図15左側)の板バネ83は、シートフレーム200側の反対側に配設された板バネ83と同様に、ネジ部86とネジ88及び固定子82の小径部82cとナット84cとにより固定される。
【0204】
なお、上述したように、固定子82の軸心方向Eにおいて、板バネ83の固定位置が水平になると共に、軸心方向Eと直交する方向において、固定子82とネジ部86とが直線上に等間隔に位置するので、板バネ83が弾性変形した場合に、その弾性力が作用する支点が等間隔となる。よって、板バネ83の一部分にのみ極端に力がかかることがないので、板バネ83の破損を低減することができる。
【0205】
ここで、可動子81とシートフレーム200との位置関係について説明する。図15に示すように、可動子81とシートフレーム200との間には間隙t3が形成されている。この間隙t3は、ナット84cの厚みと略同等に形成されている。
【0206】
固定子82とシートフレーム200との固定は、板バネ83により固定子82と可動子81とを連結した後に、シートフレーム200のネジ孔(図示せず)に固定子82の小径部82cを挿通し、その小径部82cにナット84aを螺着することで行われる。ナット84aの螺着は、ナット84cがシートフレーム200に当接する位置までナット84aを締め付けることで行われる。
【0207】
よって、板バネ83が固定子82の段差面82b1,82c1とが当接するよう固定されるので、固定子82と可動子81との軸心方向Eにおける固定位置が決められ、ナット84cがシートフレーム200と当接するよう固定されるので、固定子82とシートフレーム200との軸心方向Eにおける位置が決められる。従って、固定子82と可動子81との位置及びシートフレーム200と可動子81との位置(間隙t3)が、組み付け工程において製品毎にばらつくことを低減できるので、大量に生産された場合であっても、製品の信頼性が低下することを防止できる。
【0208】
次に、板バネ83の動作について説明する。可動子81が固定子82の軸心方向Eに往復動作すると、その動作に伴って板バネ83が軸心方向Eに弾性変形する。なお、図15に示すように、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて、可動子81が軸心方向Eのうちいずれか一方へ動作した場合の動作距離t6より、側壁85と板バネ83との間に形成される間隙t5の方が広く構成されている。よって、可動子81が往復動作して、板バネ83が弾性変形した場合に、側壁85が板バネ83と接触することがない。また、第1実施形態で説明したように、コイル26と可動子81との間に形成される動作許容範囲t1と可動子81の動作範囲t2とは、t2<t1の関係となるので、可動子81がコイル26に接触することもない。よって、可動子81の動作をスムーズに行うことができる。
【0209】
以上、説明したように、第4実施形態のACD80は、可動子81と固定子82とが板バネ83により連結されており、可動子81とシートフレーム200との間に間隙t3が形成されているので、可動子81が往復動作をする場合に干渉する抵抗(摩擦)が少なくなる。よって、可動子81を効率良くスムーズに動作させることができるので、車両用シートに振動が生じた場合に、その振動に応じて可動子81をスムーズに動作させて効率良く防振することができる。従って、車両用シートに生じる振動を減衰することができる。
【0210】
また、板バネ83は、可動子81の往復動作方向の対向する端面に配設されているので、例えば、一方側のみに板バネ83を配設する場合に比較して、可動子81が往復動作方向から斜め方向にずれて動作することを低減することができる。よって、可動子81が固定子82と衝突して、ACD80が破損してしまうことを低減することができる。
【0211】
また、加速度センサ14をACD80が取り付けられたシートフレーム200に取り付けると、制御部30による制御が第1実施形態と同様となるので、加速度センサ14により検出された加速度からシートフレーム200の振動方向や振動の大きさを知ることができ、そのシートフレーム200の振動を減衰させる方向に可動子81を動作させることができる。よって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0212】
次に、第5実施形態のACD100について説明する。第4実施形態のACD80は、コイル26がシートフレーム200に直接固定される構成としたが、これに対して、第5実施形態のACD100は、コイル26が可動子81に固定される構成となっている。なお、ACD100のシートフレーム200への取付位置については図21に示す従来の取付位置と同様であるため、図示を省略する。また、第5実施形態のACD100は、コイル26の固定方法のみが第4実施形態のACD80に異なる構成であるので、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略し、さらに、図13から図15を参照してその図示を省略する。
【0213】
ACD100は、コイル26が可動子81の磁極部25の周りに巻回されると共に可動子81に固定されている。よって、ACD100をシートフレーム200に取り付ける場合、コイル26と可動子81とを別々に取り付ける必要がなく、組み付け作業を簡略化することができる。また、共振周波数のチューニングにおいて、コイル26の質量が可動子81の質量に合算されるため、大きな質量が必要な場合においてもACDが大型化することを抑制できるのである。
【0214】
また、可動子81が固定子82の軸心方向に往復動作すると、その動作に伴ってコイル26が固定子82の軸心方向に往復動作するが、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて、可動子81が固定子82の軸心方向のうちいずれか一方へ動作した場合の動作距離t6より、コイル26とシートフレーム200との間に形成される間隙t7の方が広く構成されている。よって、可動子81が往復動作して、コイル26が往復動作した場合に、シートフレーム200がコイル26と接触することがないため、可動子81の動作をスムーズに行うことができる。
【0215】
さらに、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙を有し、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙を有している。よって、コイル26に対向する範囲まで第1方向規制板58が配設されている場合に比較して、コイル26に対向する第1方向規制板58は、振動入力時に可動子81がY方向に相対変位するための間隙と、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて可動子81がY方向に動作した場合の動作距離よりも広い間隙とが形成されている必要があるため、Y方向にACDが大型化してしまうことを防止することができる。
【0216】
次に、図16から図18を参照して、第6実施形態のACD110について説明する。第2実施形態のACD50は、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられるブラケット51にゴム状弾性体から形成される防振基体52を介して可動子53が連結される構成としたが、これに対して、第6実施形態のACD110は、車両用シートのシートフレーム200に取り付けられるブラケット51にゴム状弾性体から形成される防振基体52を介して可動子53が連結されると共に固定子22に連結部111を介して可動子53が連結される構成となっている。なお、ACD110のシートフレーム200への取付位置については図21に示す従来の取付位置と同様であるため、図示を省略する。また、第6実施形態のACD110は、連結部111の構成が第2実施形態のACD50に追加された構成であるので、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0217】
図16は、第6実施形態におけるACD110の上面図であり、図17はACD110の側面図であり、図18は車両用シートのシートフレーム200と、シートフレーム200に取り付けられたACD110とのX方向に垂直な断面を示す断面図である。
【0218】
なお、以下、図16から図18における矢印の方向については、第2実施形態で記載した方向と同一のためその説明を省略する。同様に、車両搭載時の方向及び請求項記載に相当する方向についても、第2実施形態で記載した方向と同一のためその説明を省略する。
【0219】
図16に示すように、ACD110は、可動子53の磁極部25と固定子22の磁性体23との当接面を連結する連結部111を主に備えている。なお、ACD110は、シートフレーム200と可動子53との間に、間隙t3が形成されるように構成されている(図18参照)。
【0220】
連結部111は、固定子22の磁性体23に連結され、ゴム状弾性材からなる弾性部111aと、その弾性部111aの外周面に連結され、樹脂材からなる樹脂部111bとを備えている。連結部111は、図18に示すように、固定子22の軸心方向Fにおいて、磁性体23の長さと略同等の長さに形成されている。また、連結部111は、図16に示すように、固定子22の軸心方向F視において、磁性体23の全外周を囲むように形成されている。また、弾性部111a及び樹脂部111bは、固定子22の磁性体23の径方向の厚みが略均一に形成されている。よって、連結部111の軸心は、固定子22の軸心と同一軸心上となる。即ち、固定子22、磁性体23、連結部111は、径方向の厚みが全て略均一に形成されている。
【0221】
なお、第6実施形態のACD110は、固定子22の磁性体23と樹脂部111bとの連結を、弾性部111aが加硫接着されることで行われる。この磁性体23と樹脂部111bとの連結工程は、磁性体23が固着された状態の固定子22と樹脂部111bとを、専用に製作された金型内に所定間隔を空けて配置し、磁性体23と樹脂部111bとの間隙に半生状(又は液状)のゴム状弾性材を流し込み、冷却することで連結が行われる。
【0222】
図18に示すように、永久磁石28は、樹脂部111bとの当接面が円弧状に形成されているので、連結部111は、固定子22の磁性体23と可動子53の磁極部25との対向面を間隙なく連結している。よって、磁性体23と磁極部25との間に異物が侵入することがないので、対向面内に異物が侵入することで、可動子53が動作不良を起こしたり、故障したりすることを防止できる。さらに、永久磁石28は、円弧状に形成されることにより、平板の永久磁石を配設した場合に比較して、小スペースで大きな永久磁石を配設することができる。よって、永久磁石28の磁力を確保しつつ小型化を図ることができるのである。
【0223】
次に、図19を参照して、ACD110の製造工程について説明する。図19は、ACD110の製造工程を説明する図であり、図19(a)は、固定子22に連結部111が一体に連結された状態を示した斜視図であり、図19(b)は、固定子22と可動子53との圧入工程を説明するための図であり、図19(c)は、固定子22とシートフレーム200と固着工程を説明するための図である。
【0224】
まず、ACD110の製造工程は、固定子22と連結部111とを一体に連結する連結工程を行う。この連結工程は、上述したように、例えば、加硫接着により行われる。この固定子22と連結部111とが一体に連結された状態が、図19(a)の状態である。なお、連結部111の樹脂部111bの外径は、図19(b)に示すようにL1であり、その曲率半径は、R1(図示せず)となる。
【0225】
次に、連結部111が一体に連結された固定子22を、可動子53の磁極部25間に圧入する圧入工程について説明する。可動子53は、予め、電磁鋼板等の磁性金属よりなる多数(磁極部25を形成する相対的に突出した突出部を備える)の金属を積層し、その磁極部25の対向する面にそれぞれ永久磁石28を配設する。なお、対向配置された永久磁石28の円弧により形成される内径は、図19(b)に示すようにL2であり、その曲率半径はR2(図示せず)となる。
【0226】
ここで、樹脂部111bの直径L1(曲率半径R1)と永久磁石28間の直径L2(曲率半径R2)とは、略同等に形成されており、固定子22を可動子53に圧入した場合、樹脂部111aの外周面と永久磁石28の対向面とがそれぞれ当接する。なお、圧入工程では、樹脂部111bと永久磁石28とを固着するので、直径L2の方が直径L1より若干小さくなるよう構成されている。
【0227】
圧入工程としては、例えば、圧入機(図示せず)のベース側に可動子53をセットし、圧入機の圧入側に連結部111が一体に連結された固定子22をセットする。圧入機のベース側は、対向する永久磁石28間の空間内に突起した凸部が形成されており、圧入された固定子22が凸部に当接して、軸心方向Fの位置調整が行われる。よって、一般的な圧入機を使用することで、固定子22と可動子53との固着を行えるので、固定子22の磁性体23と可動子53の磁極部25との間をゴム状弾性材により加硫接着する場合に比較して、製作工程を簡略化することができる。
【0228】
また、固定子22の磁性体23と可動子53の磁極部25との間をゴム状弾性材により加硫接着する場合には、金型の構造が複雑になると共に大型になり、金型の製作コストが高くなってしまうが、上述した圧入工程により固着を行うので、大型で且つ複雑な構造の金型が必要なくなり、製作コストを低減することができる。
【0229】
なお、上述したように、固定子22、磁性体23、連結部111が、固定子22の軸心から径方向に全てが略均一に形成されているので、圧入工程において、固定子22の周方向の位置決めをする必要がない。従って、後述する樹脂部111bを可動子53の磁極部25間に圧入する際の圧入工程を簡略化することができる。
【0230】
次に、樹脂部111bと永久磁石28とが固着された状態の固定子22をシートフレーム200に固着する固着工程について説明する。固着工程は、固定子22の先端をシートフレーム200に穿設された孔に挿通し、ナット21を螺着することで行われる。この際、シートフレーム200と可動子53との間には、軸心方向Fにおいて、間隙t3(図18参照)が形成される。なお、固定子22とシートフレーム200との固着工程の前後の工程で、コイル26がシートフレーム200に固定される。
【0231】
以上の工程により、ACD110が製作される。
【0232】
以上、説明したように、第6実施形態のACD110は、可動子53の磁極部25と固定子22の磁性体23との対向面が連結部111により連結されており、可動子53とシートフレーム200との間に間隙t3が形成されているので、可動子53が往復動作をする場合に干渉する抵抗(摩擦)が少なくなる。よって、可動子53を効率良くスムーズに動作させることができるので、車両用シートに振動が生じた場合に、その振動に応じて可動子53をスムーズに動作させて効率良く防振することができる。
【0233】
また、連結部111により、固定子22の磁性体23と可動子53の磁極部25との対向面の間に間隙が形成されないので、その間隙内に異物が侵入して可動子53の動作不良や故障などが発生することを防止することができる。
【0234】
次に、第7実施形態のACD120について説明する。第6実施形態のACD110は、コイル26がシートフレーム200に直接固定される構成としたが、これに対して、第7実施形態のACD120は、コイル26が可動子53に固定される構成となっている。なお、ACD120のシートフレーム200への取付位置については図21に示す従来の取付位置と同様であるため、図示を省略する。また、第7実施形態のACD120は、コイル26の固定方法のみが第6実施形態のACD110に異なる構成であるので、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略し、さらに、図16から図19を参照してその図示を省略する。
【0235】
ACD120は、コイル26が可動子53の磁極部25の周りに巻回されると共に可動子53に固定されている。よって、ACD120をシートフレーム200に取り付ける場合、コイル26と可動子53とを別々に取り付ける必要がなく、組み付け作業を簡略化することができる。また、共振周波数のチューニングにおいて、コイル26の質量が可動子53の質量に合算されるため、大きな質量が必要な場合においてもACD120が大型化することを抑制できるのである。
【0236】
また、可動子53が固定子22の軸心方向に往復動作すると、その動作に伴ってコイル26が固定子22の軸心方向に往復動作するが、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて、可動子53が固定子22の軸心方向のうちいずれか一方へ動作した場合の動作距離t6より、コイル26とシートフレーム200との間に形成される間隙t7の方が広く構成されている。よって、可動子53が往復動作して、コイル26が往復動作した場合に、シートフレーム200がコイル26と接触することがないため、可動子53の動作をスムーズに行うことができる。
【0237】
さらに、第1ブラケット51aに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙を有し、第2ブラケット51bに設けられた第1方向規制板58は、Z方向においてコイル26との間に間隙を有している。よって、コイル26に対向する範囲まで第1方向規制板58が配設されている場合に比較して、コイル26に対向する第1方向規制板58は、振動入力時に可動子53がY方向に相対変位するための間隙と、コイル26に電流が流されていない状態からコイル26に電流が流されて可動子53がY方向に動作した場合の動作距離よりも広い間隙とが形成されている必要があるため、Y方向にACDが大型化してしまうことを防止することができる。
【0238】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0239】
例えば、上記第2実施形態では、ブラケット側嵌合部が突起(回動防止ピン62)で構成され、シートフレーム側嵌合部が窪み(窪み部64)で構成されていたが、逆にブラケット側嵌合部が窪みで構成され、支持部側嵌合部が突起で構成されてもよい。
【0240】
また、可動子53が受面57を構成するための傾斜部56bを一体的に備えたが、矩形状の可動子の側面に受面部材が別体に取り付けられて構成されてもよい。この場合、受面部材のみを取り替えることにより、受面57のY方向に対する角度θを変更して、共振周波数をチューニングすることができる。一方、矩形状の可動子は共通して用いることができるので、コスト的に有利である。
【0241】
さらに、固定子22、コイル26、ブラケット51が直接シートフレーム200に取り付けられる構成としたが、固定子22、コイル26、ブラケット51を予めシートフレーム取付部材に取り付けておき、そのシートフレーム取付部材をシートフレーム200に取り付ける構成としてもよい。この場合、シートフレーム取付部材をシートフレーム200に取り付けるだけで取り付け作業が終わり、取り付け作業を簡略化することができる。
【0242】
また、上記第6及び第7実施形態では、固定子22の周方向の全てを連結部111が囲むよう構成したが、可動子53の磁極部25に対応した部分にのみ連結部を配設するものとしても良い。即ち、連結部は、固定子22の軸心方向F視において、固定子22の軸心に対して点対称に配設される。この構成とすれば、連結部が固定子22の軸心に対して点対称に配設されているので、可動子53の連結部による支持を固定子22の周方向に略均一とすることができる。よって、可動子53が軸心方向Fに対して斜め方向にずれて動作することを低減でき、可動子53と固定子22とが衝突して故障することを低減できると共に、正確な防振を行うことができる。
【0243】
さらに、連結部を固定子22の軸心方向F視において、固定子22の軸心に対して点対称に配設すると、可動子53を固定子22に対して保持するための弾性力、及び、可動子53が固定子22に対して動作するための弾性力の作用点が、固定子22の軸心に対して点対称となる。ここで、例えば、連結部の弾性力の作用点が固定子22の軸心に対して点対称以外(非対称)となると、固定子22の軸心方向F視において、2つの連結部の弾性力が作用する作用点と軸心とを通る線が一直線上にならない。そのため、可動子53が動作すると、軸心方向Fに対して斜め方向にずれて動作してしまい、可動子53と固定子22とが衝突して故障の原因となったり正確な防振を行えない場合がある。
【0244】
しかし、連結部の弾性力の作用点が軸心に対して点対称に位置すると(即ち、軸心方向F視において、2つの連結部の弾性力が作用する作用点と軸心とが一直線上にある)、軸心に対して斜め方向に可動子が動作することを低減でき、故障の発生を低減できると共に正確な防振を行うことができる。
【0245】
さらに、上記第3、第5及び第7実施形態ではコイル26が可動子53,81に固定される構成としたが、コイル26を磁極部25の周りに直接巻き付ける構成としても良い。
【0246】
また、上記各実施形態では、ACDを車両用シートのシートバックに取り付けるものとしたが、車両用シートの座席に取り付けるものとしても良い(図20参照)。
【0247】
さらに、上記各実施形態では、加速度センサ14により検出される加速度に基づき出力パターンを選択するものとしたが、加速度から他の情報を設定し、複数の情報から出力パターンを選択するものとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】本発明の第1実施形態におけるアクティブダイナミックダンパの取り付け状態を概略的に示した斜視図である。
【図2】アクティブダイナミックダンパの外観を示した斜視図である。
【図3】図2のIII−III線におけるアクティブダイナミックダンパとフレームとの断面図である。
【図4】アクティブダイナミックダンパの電気的な接続を示した電気回路図である。
【図5】制御部のCPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
【図6】コイルに電流を正方向に流した場合のアクティブダイナミックダンパの作用を示した説明図である。
【図7】コイルに電流を負方向に流した場合のアクティブダイナミックダンパの作用を示した説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態におけるアクティブダイナミックダンパの底面図である。
【図9】図8に示すアクティブダイナミックダンパの側面図である。
【図10】図8に示すアクティブダイナミックダンパの上面図である。
【図11】(a)は、可動子の側面部を拡大して示す図であって、受面がY方向に対し角度θ1で傾斜する状態を示す図であり、(b)は、可動子の側面部を拡大して示す図であって、受面がY方向に対し角度θ2で傾斜する状態を示す図である。
【図12】シートフレームと、シートフレームに取り付けられた図8に示すアクティブダイナミックダンパとのX方向に垂直な断面を示す断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態におけるアクティブダイナミックダンパの上面図である。
【図14】図13に示すアクティブダイナミックダンパの側面図である。
【図15】シートフレームと、シートフレームに取り付けられた図13に示すアクティブダイナミックダンパとのX方向に垂直な断面を示す断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態におけるアクティブダイナミックダンパの上面図である。
【図17】図16に示すアクティブダイナミックダンパの側面図である。
【図18】シートフレームと、シートフレームに取り付けられた図16に示すアクティブダイナミックダンパとのX方向に垂直な断面を示す断面図である。
【図19】本発明の第6実施形態におけるアクティブダイナミックダンパの製造工程を説明する図であり、(a)は、固定子に連結部が一体に連結された状態を示した斜視図であり、(b)は、固定子と可動子との圧入工程を説明するための図であり、(c)は、固定子とシートフレームとの固着工程を説明するための図である。
【図20】本発明の各実施形態におけるアクティブダイナミックダンパが車両用シートの座席に取り付けられた状態を示す図である。
【図21】従来のダイナミックダンパが車両用シートのシートバックに取り付けられた状態を示す図である。
【図22】従来のダイナミックダンパを示す図であり(a)はダイナミックダンパの底面図であり、(b)はダイナミックダンパの側面図である。
【符号の説明】
【0249】
1,50,70,80,100,110,120
アクティブダイナミックダンパ(ACD、ダイナミックダンパ、ダイナミックダンパユニットの一部)
14 加速度センサ(振動情報検出手段)
20 ベース板(シートフレーム)
22,82 固定子
23 磁性体
24,53,81 可動子
25 磁極部
26 コイル
27,52 防振基体
28 永久磁石
30 制御部(制御手段の一部)
32 ROM(記憶手段)
41 アンプ(制御手段の一部)
51 ブラケット
51a 第1ブラケット
51b 第2ブラケット
54 被覆ゴム層(ゴム状弾性体)
57 受面
58 第1方向規制板(規制部)
59c 支持面
60 取付部
61 貫通孔
62 回動防止ピン(ブラケット側嵌合部、突起)
64 窪み部(シートフレーム側嵌合部、窪み)
83 板バネ(連結部材)
83a 外縁部(環状部の一部)
83b 湾曲部(環状部の一部)
85 側壁
86 ネジ部
111 連結部(第2連結部材、第3連結部材、第4連結部材)
111a 弾性部(弾性部材)
111b 樹脂部(樹脂部材)
200 シートフレーム(車両用シート)
201a 固定ボルト(固定部材)
A,E,F 軸心方向(固定子の軸心方向、可動子の往復動作方向、第1方向)
B 軸心方向に対して略直交する方向(第2方向)
C,D 起磁力の方向
G 間隙(第1ブラケットに設けられた規制部と第2ブラケットに設けられた規制部との間の間隙)
L 重なり部分
lx X方向に平行な可動子の中心線(第3方向に平行な可動子の中心線)
lz Z方向に平行な可動子の中心線(第2方向に平行な可動子の中心線)
O 交点
R1 曲率半径(樹脂部材の外周の曲率半径)
R2 曲率半径(永久磁石の円弧の曲率半径)
t1 動作許容範囲(可動子の可動範囲より広い可動許容範囲)
t2 動作範囲(可動子の可動範囲)
t3 間隙(可動子とシートフレームとの間の間隙)
t4 間隙(ブラケットに設けられた規制部とコイルとの間隙)
t5 間隙(固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ可動子が動作した場合の動作距離より広い間隙)
t6 動作距離(固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ可動子が動作した場合の動作距離)
t7 間隙(コイルとシートフレームとの間の間隙)
X X方向(第3方向)
Y Y方向(第1方向)
Z Z方向(第2方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのシートフレームに取り付けられるダイナミックダンパにおいて、
前記シートフレームに固着され、少なくとも一部に磁性体を備える固定子と、
前記固定子に沿って1軸方向に往復動作可能に配設され、前記固定子の磁性体に対応する位置に円筒状の磁極部が形成されると共に受面を有する可動子と、
前記可動子の磁極部に巻回され、電流が流れることで励磁されるコイルと、
前記シートフレームに取り付けられる取付部を有すると共に前記可動子に設けられる受面に対向する支持面を有するブラケットと、
前記可動子と前記ブラケットとを連結すると共にゴム状弾性体から形成される防振基体とを備え、
前記受面と前記支持面は、前記固定子の軸心方向である第1方向に対し傾斜し且つ前記第1方向と前記第1方向と直交する第2方向とに垂直な第3方向とに対し平行であって、前記第1方向から見たときに重なり部分を有し、
前記防振基体が、前記受面と前記支持面とを連結した状態で、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成され、
前記コイルに電流が流され励磁されることで発生する起磁力により、前記可動子が前記固定子に対して往復動作することで前記車両用シートに生じる振動を減衰することを特徴とするダイナミックダンパ。
【請求項2】
前記可動子に設けられる受面と前記ブラケットに設けられる支持面とは互いに平行であることを特徴とする請求項1記載のダイナミックダンパ。
【請求項3】
前記可動子の磁極部は、少なくとも一対の永久磁石を備え、
前記一対の永久磁石は、前記第1方向に異なる磁極が並んで形成されると共に、前記第2方向に磁極の並びを逆にして配設され、
前記一対の永久磁石の間に発生する起磁力と、前記コイルが励磁されることで発生する起磁力との組み合わせにより前記可動子が前記固定子に対して往復動作して、前記車両用シートに生じる振動を減衰することを特徴とする請求項1又は2に記載のダイナミックダンパ。
【請求項4】
前記可動子の磁極部は、前記第2方向において前記固定子を挟むように形成され、前記一対の永久磁石は、前記第2方向線上に磁極の並びを逆にして配設されていることを特徴とする請求項3記載のダイナミックダンパ。
【請求項5】
前記可動子と前記固定子とを連結すると共に弾性体から構成される連結部材を備え、
前記連結部材により前記可動子と前記固定子とが連結された状態で、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
【請求項6】
前記連結部材は板バネで構成され、前記可動子の往復動作方向における前記可動子の両端に配設されていることを特徴とする請求項5記載のダイナミックダンパ。
【請求項7】
前記可動子は、前記可動子の往復動作方向の両端面に、前記固定子の前記連結部材の取付位置に対応する位置まで立設される側壁と、
前記側壁に前記連結部材を固定するために設けられ、前記固定子の軸心に対して対称配置されるネジ部とを備え、
前記連結部材は、前記固定子と前記連結部材のネジ部とに螺着されることで固定されることを特徴とする請求項5又は6に記載のダイナミックダンパ。
【請求項8】
前記連結部材は、前記固定子との連結部を中心に対称形成された2つの環状部が一体に形成されていることを特徴とする請求項7記載のダイナミックダンパ。
【請求項9】
前記連結部材が前記固定子と前記側壁のネジ部とに固定された状態において、前記連結部材と前記側壁との間には、前記コイルに電流が流されていない状態から前記コイルに電流が流されて、前記固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ前記可動子が動作した場合の動作距離より広い間隙が形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載のダイナミックダンパ。
【請求項10】
前記固定子と前記可動子との対向面を連結すると共に少なくとも一部が弾性材で構成された第2連結部材を備え、
前記第2連結部材により前記可動子と前記固定子とが連結された状態で、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成されることを特徴とする請求項3又は4に記載のダイナミックダンパ。
【請求項11】
前記第2連結部材は、前記第2方向において前記固定子を挟んで形成された前記可動子の磁極部のうち、一方の前記磁極部と前記固定子とを連結する第3連結部材と、
他方の前記磁極部と前記固定子とを連結する第4連結部材とを備え、
前記第3連結部材と前記第4連結部材とは、前記固定子の軸心方向視において、前記固定子の軸心に対して点対称に配設されていることを特徴とする請求項10記載のダイナミックダンパ。
【請求項12】
前記第2連結部材は、前記第1方向において、前記固定子の磁性体の長さ又は前記固定子の磁極部の長さとで短い方の長さ以上に形成されると共に、前記固定子の軸心方向視において、前記固定子の磁性体の全外壁を囲むよう形成されていることを特徴とする請求項10記載のダイナミックダンパ。
【請求項13】
前記一対の永久磁石は、前記第2方向において前記固定子を挟んで形成された前記可動子の磁極部のうち、一方の前記磁極部の前記固定子と対向する面に一方の前記永久磁石が配設されると共に、他方の前記磁極部の前記固定子と対向する面に他方の永久磁石が配設され、
前記第2連結部材は、前記固定子の磁性体に連結されゴム状弾性体からなる弾性部材と、
前記弾性部材に連結され樹脂材料からなる樹脂部材とを備えており、
前記固定子の磁性体に前記弾性部材が連結されると共に、前記弾性部材に前記樹脂部材が連結され、前記弾性部材と前記樹脂部材とが前記固定子に対して一体に連結された状態で、前記樹脂部材が前記一対の永久磁石間に圧入されて組み付けられていることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
【請求項14】
前記固定子の磁性体は円柱状に形成されると共に、前記樹脂部材は円柱状に形成された前記磁性体の外周を囲むよう筒状に形成され、前記固定子の軸心と前記樹脂部材の軸心とが同一軸心上にあり、
前記一対の永久磁石は、前記固定子の軸心方向視において、前記樹脂部材との当接面が円弧状に形成されると共に、前記樹脂部材の外周の曲率半径は、前記一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されていることを特徴とする請求項13記載のダイナミックダンパ。
【請求項15】
前記コイルは、前記シートフレームに対して固定されると共に、前記シートフレームに固定された状態で前記可動子との間に、前記第1方向における前記可動子の可動範囲より広い可動許容範囲を有する大きさに形成されていることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
【請求項16】
前記コイルは、前記可動子に対して固定されると共に、前記可動子に固定された状態で、前記コイルと前記シートフレームとの間には、前記コイルに電流が流されていない状態から前記コイルに電流が流されて、前記固定子の軸心方向のうちいずれか一方へ前記可動子が動作した場合の動作距離より広い間隙が形成されることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
【請求項17】
前記ブラケットは、互いに分離独立した第1ブラケットと第2ブラケットとを備え、
前記第1ブラケットは、前記第1方向において前記可動子に離隔して対向する第1ブラケットに設けられた規制部を有し、
前記第2ブラケットは、前記第1方向において前記可動子に離隔して対向する第2ブラケットに設けられた規制部を有し、
前記第2方向において前記第1ブラケットに設けられた規制部と前記第2ブラケットに設けられた規制部との間に間隙を有することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
【請求項18】
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとが同一の形状に形成されていること特徴とする請求項17記載のダイナミックダンパ。
【請求項19】
前記第1ブラケットに設けられた規制部は、前記第2方向において前記第1ブラケットに設けられた規制部と前記コイルとの間に間隙を有し、
前記第2ブラケットに設けられた規制部は、前記第2方向において前記第2ブラケットに設けられた規制部と前記コイルとの間に間隙を有することを特徴とする請求項17又は18に記載のダイナミックダンパ。
【請求項20】
前記可動子と前記第1ブラケットに設けられた規制部との対向面の少なくとも一方がゴム状弾性体により表面を被覆され、
前記可動子と前記第2ブラケットに設けられた規制部との対向面の少なくとも一方がゴム状弾性体により表面を被覆されることを特徴とする請求項19記載のダイナミックダンパ。
【請求項21】
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは、前記シートフレームに設けられた少なくとも一対のシートフレーム側嵌合部と嵌合する少なくとも一対のブラケット側嵌合部を有し、
前記少なくとも一対のブラケット側嵌合部は、前記第2方向に平行な可動子の中心線と前記第3方向に平行な可動子の中心線との交点を基準として互いに点対称位置に配設されていることを特徴とする請求項17から20のいずれかに記載のダイナミックダンパ。
【請求項22】
前記ブラケット側嵌合部は突起で構成され、前記シートフレームに設けられたシートフレーム側嵌合部は前記ブラケット側嵌合部と嵌合する窪みで構成されることを特徴とする請求項21記載のダイナミックダンパ。
【請求項23】
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを前記シートフレームに取り付けて固定するための固定部材が挿入される少なくとも一対の貫通孔を有し、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対の貫通孔は、前記交点を基準として互いに点対称位置に配設されていることを特徴とする請求項21又は22に記載のダイナミックダンパ。
【請求項24】
請求項1から23のいずれかに記載のダイナミックダンパと、
前記ダイナミックダンパが取り付けられた前記車両用シートに生じる振動に基づく情報を検出する振動情報検出手段と、
前記振動情報検出手段により検出された情報に応じて少なくとも前記コイルに流れる電流の方向を制御する制御手段とを備え、
前記車両用シートに生じる振動が減衰する方向に前記可動子を往復動作させ得るように構成されていることを特徴とするダイナミックダンパユニット。
【請求項25】
前記制御手段は、
少なくとも前記コイルに流れる電流の方向と前記コイルへの通電時間との関係が定められた出力パターンを予め記憶する記憶手段と、
前記振動情報検出手段により検出された振動情報に基づき、前記記憶手段から対応する出力パターンを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された出力パターンに応じて前記コイルに出力を行う出力手段とを備えていることを特徴とする請求項24記載のダイナミックダンパユニット。
【請求項26】
車両用シートのシートフレームに固着され、少なくとも一部の外周部に磁性体を備える固定子と、前記固定子の軸心方向において前記固定子の磁性体に対応する位置に配設されると共に、前記固定子の軸心方向と直交する第2方向において前記固定子を挟むように形成される磁極部と、前記固定子を挟むように形成された磁極部のうち一方の前記磁極部の固定子と対向する面に一方の永久磁石が配設されると共に、他方の前記磁極部の前記固定子と対向する面に他方の永久磁石が配設される一対の永久磁石とを有し、前記固定子に沿って1軸方向に往復動作可能に配設された可動子と、前記可動子の磁極部に巻回され、電流が流れることで励磁されるコイルと、前記固定子の磁性体に連結されゴム状弾性材からなる弾性部材と前記弾性部材に連結され樹脂材料からなる樹脂部材とを有し、前記可動子と前記シートフレームとの間に間隙が形成されるように、前記固定子の磁性体と前記可動子の磁極部とを連結する第2連結部材とを備えたダイナミックダンパの製造方法において、
前記固定子の磁性体と前記樹脂部材との間に前記弾性部材を加硫接着して、前記磁性体と前記樹脂部材との間が前記弾性部材により連結された第1組付体を形成する連結工程と、
前記連結工程により形成された前記第1組付体を、前記樹脂部材が前記可動子の一対の永久磁石と当接するように前記一対の永久磁石間に圧入して、前記樹脂部材と前記永久磁石とが固着された第2組付体を形成する圧入工程と、
前記圧入工程により形成された前記第2組付体の前記固定子を前記シートフレームに対して螺着して、前記固定子が前記シートフレームに固着された第3組付体を形成する固着工程とを備えていることを特徴とするダイナミックダンパの製造方法。
【請求項27】
前記連結工程において、前記弾性部材が加硫接着される前記固定子の磁性体と前記樹脂部材とは、前記固定子の磁性体が円柱状に形成されると共に、円柱状に形成された前記磁性体の外周を囲むように前記樹脂部材が筒状に形成され、
前記連結工程は、前記固定子の軸心と前記樹脂部材の軸心とが同一軸心上となるように、前記固定子の磁性体と前記樹脂部材とを前記弾性部材により連結し、
前記圧入工程により前記樹脂部材が圧入された場合に、筒状に形成された前記樹脂部材と当接する前記一対の永久磁石は、前記固定子の軸心方向視において、前記樹脂部材との当接面が円弧状に形成されると共に、前記圧入工程により前記一対の永久磁石間に圧入される前記樹脂部材の外周の曲率半径は、前記一対の永久磁石の円弧の曲率半径以上に形成されていることを特徴とする請求項26記載のダイナミックダンパの製造方法。
【請求項28】
車両用シートのシートフレームに固着され、少なくとも一部に磁性体を備える固定子と、前記固定子に沿って1軸方向に往復動作可能に配設され、前記固定子の磁性体に対応する位置に円筒状の磁極部が形成された可動子と、前記可動子の磁極部に巻回され、電流が流れることで励磁されるコイルと、前記シートフレームに取り付けられるブラケットとを備えるダイナミックダンパの取付構造において、
前記ブラケットは、前記固定子の軸心方向である第1方向と直交する第2方向における一方に連結される第1ブラケットと前記可動子の前記第2方向における他方に連結される第2ブラケットとから構成され、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとに設けられた少なくとも一対のブラケット側嵌合部と、
前記シートフレームに設けられ、前記少なくとも一対のブラケット側嵌合部と嵌合するシートフレーム側嵌合部とを備え、
前記少なくとも一対のブラケット側嵌合部は、前記第2方向に平行な可動子の中心線と前記第1方向と前記第2方向とに垂直な第3方向に平行な可動子の中心線との交点を基準として互いに点対称位置に配置されていることを特徴とするダイナミックダンパの取付構造。
【請求項29】
前記ブラケット側嵌合部は突起で構成され、前記シートフレームに設けられたシートフレーム側嵌合部は、前記ブラケット側嵌合部と嵌合する窪みで構成されていることを特徴とする請求項28記載のダイナミックダンパの取付構造。
【請求項30】
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとに設けられ、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとを前記シートフレームに取り付けて固定するための固定部材が挿通される少なくとも一対の貫通孔と、
前記シートフレームに設けられ、前記貫通孔に挿通され前記固定部材が挿通される少なくとも一対の取付孔とを備え、
前記少なくとも一対の貫通孔は、前記交点を基準として互いに点対称位置に配置されていることを特徴とする請求項28又は29に記載のダイナミックダンパの取付構造。
























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−298353(P2006−298353A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237378(P2005−237378)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】