ダウンホール内の熱特性を測定するシステム及び方法
【課題】ダウンホール内での動的な熱測定によって地下構造の熱特性を導出する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】地層熱特性を導出することによって、炭化水素含有地層の特性を明らかにするために、能動的な加熱及び/又は冷却デバイス並びに温度センサを利用する、地下地層のための時間変動する温度を現場で測定する方法及びシステム。
【解決手段】地層熱特性を導出することによって、炭化水素含有地層の特性を明らかにするために、能動的な加熱及び/又は冷却デバイス並びに温度センサを利用する、地下地層のための時間変動する温度を現場で測定する方法及びシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダウンホール内での動的な熱測定によって地下構造の熱特性を導出する方法及びシステムに関する。詳細には、本発明は、現場にある能動的な冷却及び/又は加熱デバイスを利用して、石油/ガス含有構造、水飽和地層、ガス水化物含有岩盤及び堆積物のような、地層内の局所的なダウンホール温度に擾乱を引き起こし、地層の特性を明らかにするためにその熱応答データを測定することに関する。
【0002】
本特許出願は、2005年2月28に出願され、全ての目的を果たすためにそのまま参照して本明細書に援用される、Masafumi Fukuhara及びKasumi Fujiiを発明人とする米国仮特許出願第60/657,207号(代理人整理番号第26.027US PSP号)に対して、米国特許法第119条のもとに優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
温度及び/又は圧力条件が平衡状態の境界を横切るとき、ガス水和物のような、いくつかの自然発生する資源が解離又は結合するか、それ以外の影響を及ぼされる。その挙動に関するパラメータを理解することは、資源、たとえばエネルギー資源としてのガス水和物及び重油を効率的に探査及び開発するために重要である。この場合に、熱測定は、地下構造の特性を静的に明らかにする場合だけでなく、動的に明らかにする際にも重要な要素のうちの1つである。
【0004】
地下地層の熱伝導率、熱容量及び熱拡散率のような熱特性を推定するための従来の方法は、いくつかの地下深度の場所において、受動的に温度をモニタし、定常的な熱流量、或いは掘削及び/又は泥水循環などによる熱擾乱からの緩和を仮定して、収集されたデータを解釈することを含む。従来のシステムでは、生産試験又は掘削/循環操作によって引き起こされる温度変化が測定される。いくつかの仮定に基づいて熱特性が推定されるので、上記の受動的な測定方法では、地下構造の推定された熱特性の中に、大きな不確かさが残される。
【0005】
一方、試験所では、能動的な熱特性の測定も試みられており、これらの目的のための装置も市販されている。しかしながら、試験所で利用される能動的な測定方法を現場での地下地層の測定に適用することは、数多くの技術的な課題及び運搬上の問題を抱えている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の背景、及び地下地層の熱特性を明らかにすることに関する分野において知られている他の要因の結果として、本出願人は、異なる熱特性を有する区域では地下構造の熱応答時間が異なるはずであるという原理に基づいて、能動的に地下の熱特性を測定するための方法及びシステムを発見した。この場合に、本発明は、地下地層の特性を明らかにするために受動的にモニタするのとは対照的に、能動的な加熱及び/又は冷却、すなわち地下地層内に既知の信号を送出することによって引き起こされる既知の温度擾乱又は刺激を利用することを企図する。
【0007】
本出願人は、本明細書に開示される動的な測定方法が、ガス水和物含有地層及び/又は重油含有地層のような地下構造の現場での能動的な測定に特に適用できることに気が付いている。
【0008】
本出願人はさらに、熱特性を現場で明らかにすることが、地下地層の特性を明らかにするための重要な要素のうちの1つであることに気が付いている。
【0009】
また本出願人は、炭化水素含有地層及び堆積物のような、ダウンホール構造の熱特性を収集することが、天然資源を開発及び生産するために地下構造を処理するための効率的なシステム及び方法を設計する際に非常に有益であることにも気が付いている。
【0010】
本発明は、温度の時間変動、すなわち時間とともに変化している熱応答を動的に測定し、中でも本明細書において考慮される石油、ガス、メタン水和物、水のような沈積物を含む、たとえば岩盤、堆積物及びそのような他の地下地層を地層分析するために静的な熱特性を導出することを企図する。この場合に、地層の特性を明らかにすることは、その地層の1つ又は複数の熱特性に基づいて、1つ又は複数の問題解決に繋がる成果、たとえば、中でも本発明の教示に基づいて実現できる、炭化水素を熱処理するための地層内の炭化水素の特性、その地層を正確に記述するための地層の1つ又は複数の物理的パラメータ、その地層を横切る作業用井戸の永続的なモニタリングのうちの1つ又は複数に関連する、問題解決に繋がる成果を提供することを含むことができる。
【0011】
本出願人は、局在して配列された、及び/又は分散して配列された加熱器及び/又は冷却器並びに1つ又は複数のセンサを、調査中の地下地層のための局所的な温度データの時間変動を収集するように構成することに基づいて、アルゴリズムに基づく関係を都合良く利用して、熱導電率のような熱特性を導出することができることに気が付いた。
【0012】
本発明の一実施形態では、ペルチエデバイスのような局在する冷却デバイス、及び/又はたとえば、ファイバセンサの周囲にある金属製及び/又はプラスチック製或いは類似の管に電流を流すことによって構成される抵抗加熱器のような加熱デバイスとともに、ファイバセンサを有する分散形温度検出(DTS)ダウンホールシステムを温度センサとして利用することができる。本発明の他の実施形態では、その構成は、抵抗温度検出器(RTD)又はファイバブラッググレーティングセンサのような局在する精密温度計と、冷却デバイス及び加熱デバイスの温度制御を実現するべく適切に設定される電源とを備えることができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、地下地層の特性を明らかにするために地層の1つ或いは複数の熱特性を導出する1つの方法は、熱擾乱ダウンホールを作り出すこと、温度の時間変動に基づいて、その地層のための熱応答データを収集すること、及び、その地層の熱応答データに基づいて、その地層の熱特性を導出することを含む。本発明の別の態様によれば、地下地層の熱特性を導出するためのシステムは、対象となる所定のエリア内に熱擾乱ダウンホールを作り出すように設定される加熱デバイス及び冷却デバイスのうちの少なくとも一方と、熱応答データを収集し、ダウンホール温度の時間変動に基づいて、地層の熱特性を導出するように設定される検出システムとを備える。
【0014】
本発明のさらに別の利点及び新規の特徴は、以下に記載される説明において述べられることになるか、或いは本明細書の内容を読むことによって、又は本発明を実施することによって、当業者が理解することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に記載される手段を通して達成することができる。
【0015】
添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を示しており、本明細書の一部である。以下に記載される説明とともに、それらの図面は本発明の原理を例示し、説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面全体を通して、同じ参照番号は、必ずしも同じではないが、類似の素子を指示する。本発明は種々の変更形態及び代替形態で実現できるが、図面においては、例示する目的から具体的な実施形態が示されており、本明細書において詳細に説明されるであろう。しかしながら、本発明が開示される特定の形態に限定されることを意図していないことは理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような、本発明の範囲内に入る全ての変更形態、等価形態及び代替形態を含むことを意図している。
【0017】
本発明の例示的な実施形態及び態様が以下に説明される。明確にするべく、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴が説明されるとは限らない。任意のそのような実際の実施形態の開発時に、実施態様によって異なることになる、システム関連及び業務関連の制約に従うことなどの開発者特有の目標を達成するべく、数多くの実施態様特有の判断が行われなければならないことは、当然理解されよう。さらに、そのような開発の努力は複雑であり、時間がかかる場合もあるが、それにもかかわらず、本明細書の開示の利益を享受する当業者にとっては、型にはまった仕事になるものと理解されたい。
【0018】
ガス水和物及び重油のような炭化水素を含む、地層流体の安定性は、圧力(P)及び温度(T)の変動の影響を受けやすい。この場合に、ガス水和物は、圧力及び/又は温度条件が平衡状態の境界を横切るときに、解離又は結合する。先に説明されたように、熱伝導率、熱拡散率、熱容量などの地下地層の熱特性を収集ための従来の方法は、試験所における岩芯分析と、いくつかの地下の場所における受動的な温度測定とを含む。たとえば、水和物含有区域の岩芯分析の場合、ダウンホール内で見られた条件と同じ条件を試験所において保持することは、多くの場合に難しい。得られたデータは、水和物の動的な解離/結合過程に起因する岩芯形成条件、異なる圧力下における圧縮要因の差、及び場合によっては、ある特定の深度の間隔から抜け落ちる岩芯サンプルによって左右される。いくつかの地下の場所における受動的な測定の場合、得られたデータは、定常的な熱流量、及び掘削及び/又は泥水循環による熱擾乱からの緩和のような特定の仮定のもとで解釈されるので、不確かさが増す。さらに、水和物含有区域内の細かい熱測定は行われていない。
【0019】
本発明は、冷却器及び/又は加熱器デバイスのような熱源で能動的に既知の熱擾乱を引き起こし、ターゲット区域ダウンホールの熱応答、すなわち時間変動温度データをモニタすることにより、地層熱特性をその場で評価するための熱特性測定方法を利用することを企図する。この場合に、本発明は、1つ又は複数の地層エリアの温度を測定することを企図し、そのエリアでは、所定の時間にわたって熱擾乱が引き起こされ、その地層の熱応答を判定してよい。温度測定のための所定の時間は、温度測定のために望ましいか、又は必要とされる時間を判定する数ある要因の中でも、地層特性、試錐孔流体、用いられるシステムの構成などの周囲条件による。さらに、温度測定のための所定の時間は、本発明の目的を果たすべく、その地層の十分な熱応答データが収集されるような、その地層の能動的な加熱又は冷却時間、及び能動的な加熱又は冷却後の適当な時間を含むことができる。
【0020】
調査中の地層の1つ或いは複数のエリア内の熱擾乱を保持するべく、熱擾乱は、局所的、すなわち対象となる局所的なエリア内の加熱又は冷却にすることができる。本発明は、所定の時間にわたって、地層内に動的な熱擾乱を引き起こすべく、その地層を能動的に加熱又は冷却し、その地層の熱応答を判定できることにすることを企図する。対象となる1つ又は複数のエリアを能動的に加熱又は冷却するための1つ又は複数の所定の時間は、加熱又は冷却するための十分な時間を判定する数ある要因の中でも、地層特性、試錐孔流体、システムの構成などの周囲条件による。
【0021】
本明細書に記載されるように、熱特性を測定するための本発明の測定方法の一実施形態は熱線法に基づくが、他の方法も本発明の範囲内にある。この場合に、本発明はさらに、長さが対称であり、且つ/又は無限であるという熱線法の仮定を用いない、炭化水素含有地層の1つ或いは複数の熱特性を測定するためのシステム及び方法を企図する。
【0022】
無限のライン加熱器、及び無限媒体内の加熱器上にある温度センサでの温度緩和から、周囲媒体のための熱特性が導出される。熱伝導率及び温度の関係が式1に示される。たとえば、対数時間(ln(t))の勾配及び温度上昇(T−T0)から、熱伝導率λが導出される。
【0023】
【数1】
【0024】
上記の方法は、現場でのダウンホール測定条件に適用することができる。図1に示されるように、本発明の一実施形態による動的なシステム10は、金属製及び/又はプラスチック製又は他の類似の管20のような細長い加熱器12と、地下地層16の井戸18内に配置される温度センサ14のアレイ、たとえば光ファイバセンサとを備える。金属製及び/又はプラスチック製の管のような管20は、以下にさらに詳細に説明されるように、センサを保護する、又は加熱を分散するなどの他の目的で、センサ14の周囲に配置することができる。地層の熱特性が異なる場合の、加熱及び冷却中の温度緩和の挙動、すなわち熱応答の予想される差が図1のグラフに示される。ここでは、本発明を説明するに、熱伝導率測定が用いられる。しかしながら、本発明は、熱拡散率及び熱容量のような他の熱特性の測定も含む。
【0025】
通常は、試錐孔流体が、試錐孔内の加熱器20及びセンサ14の直ぐ周りに存在するであろう。しかしながら、本発明は、流体対流効果を一次近似として最小限に抑えることを企図する。
【0026】
本発明によるシステムの一実施形態では、図1に示される構成のための分散形温度検出(DTS)システムとして、光ファイバセンサケーブルを用いることができる。DTSシステムは油田での用途において知られており、本明細書では詳細には説明されないであろう。そのようなDTS構成は、井戸に沿って連続的な温度測定を提供する(図1を参照)。ファイバセンサケーブルは温度情報を提供するように構成することができ、ケーブルの金属製及び/又はプラスチック製或いは他の類似の管が、その管に電流を加えることによって加熱器として構成できることが有利である。
【0027】
本出願人は、本発明の動的な測定方法及びシステムを評価するために実験を行った。図2A及び図2Bは、本発明のモデルにおいて用いられたセンサケーブルレイアウトのそれぞれ平面図及び断面図を示す。円筒形の容器22が砂24で満たされ、センサケーブル12が容器22の中心に配置され、砂24で埋められる。砂の熱伝導率が実験的に導出された。センサケーブル12は、ファイバセンサ14と鋼管20とを含み、その鋼管の外側にプラスチック製の鞘を配置した。管20を加熱するための入力電力が、図2Aに示されるように、管20の両端に加えられた。
【0028】
砂の熱伝導率は、市販の装置で予め測定され、0.22ワット/メートル/ケルビン「W/m/K]であることがわかった。
【0029】
図3は、図2A及び図2Bの実験的なレイアウトを示しており、径方向に、プラスチック製の鞘を備えるケーブル(層1)、砂(層2)及び空気(層3)の均質な層が仮定される。図4は、径方向距離に対してプロットされた、以下の式2において表される、計算による熱抵抗を示す。その熱抵抗及び式1の勾配(〜1/λ)は、熱伝達過程において、時間及び径方向距離において定性的に類似の傾向を有するものと仮定される。
【0030】
【数2】
【0031】
図5は、4.7ワット/メートル[W/m]で加熱中に測定された温度データを示す。黒色の破線によって示されるように、直線を認めることができる。この結果対時間は、図4のモデル化された熱抵抗曲線対径方向距離に概ね類似の応答を示す。そのデータは時間に関して平滑化され、すなわち窓を動かして多項式に当てはまるようにされた後に、dT/d(ln(t))の導関数(式1の勾配1/4/pi/λ)が計算された。見掛け上の熱伝導率λが求められ、図6にプロットされた。図6において灰色の破線によって示されるように、概ね平坦な部分の値から、熱伝導率は0.22W/m/Kと推定された。モデル化された結果は、砂において予め求められた0.22W/m/Kの熱伝導率と概ね一致することを示す。
【0032】
したがって、実験的なレイアウト及びモデル化を通して、本出願人は、本発明の方法及びシステムを用いて、予備試験の結果として砂の熱伝導率を導出した。
【0033】
本出願人はさらに、数値的なモデル化を通して、本発明のモデルが現場でのダウンホール条件に当てはまることを評価した。実用的な状況が仮定され、センサケーブルが井戸内に配置されるパイプ/外被によって支持された(図7を参照)。プラスチック製の鞘がセンサケーブルを覆う。実用的な入力電力で、必要な温度上昇、すなわち地層熱特性を評価するために必要とされる温度上昇のための測定持続時間が評価された。先に説明されたように、能動的な加熱のための所定の時間はいくつかの要因による。
【0034】
表1は数値的なモデル化において用いられるパラメータを示す。図7は、加熱後のある時点での、加熱器を備える井戸の断面の場合の温度場のコンピュータシミュレーションを示す。図8及び図9はそれぞれ、30cm及び10cmの井戸直径の場合の加熱中の加熱器での温度上昇(ΔT)対時間を示すグラフである。図8及び図9の桃色の線は、地層熱伝導率(λf)が3W/m/Kであるときを示しており、青色の線は、2W/m/Kの伝導率を示す。赤色の線は、{ΔT(=3)−ΔT(λf=2)}/ΔT(λf=3)の相対的な上昇を示す。その結果は、熱エネルギー消費が流体の体積に関係するので、異なる熱特性間で温度の挙動を区別するためには、井戸サイズが小さいほど好ましいことを示唆する。しかしながら、10cmの直径を有する孔の場合であっても、10%の相対的な温度上昇を達成するのに、3日以上かかる。必要な測定持続時間を短縮するために、図10及び図11は、パイプのための材料の影響に焦点を合わせたモデル化を示す。図10は金属から形成されるパイプの場合のものであり、図11はプラスチック製のパイプの場合のものである。いずれの場合でも、井戸直径は18cmである。プラスチック製のパイプの場合、10%の相対的な温度上昇が数時間以内に達成されるのに対して、金属製のパイプは20時間かかった。プラスチック製のパイプは、井戸内の断熱材として機能し、熱を実効的に地層に伝達する。プラスチック製のパイプを用いることにより、ダウンホール環境における温度変化、したがって熱伝導率を測定するための本発明の技術が改善される。
【0035】
数値的なモデル化によって、いくつかの仮定された条件で、本発明の方法がダウンホールの用途に適していることが確認された。
【0036】
【表1】
【0037】
本出願人の実験及びモデル化の結果によって、本発明による現場でのダウンホール熱伝導率測定が適用できることが確認された。流体の影響、適当なケーブル及び加熱器設計などの要因を評価したが,予備段階の実験は、約10%の許容誤差範囲内で、周囲の媒体内での熱特性の測定に本発明が適用できることを示した。
【0038】
本発明の一実施形態では、加熱デバイスは、金属管内に電流を注入することによって地下構造内に熱を発生させるべく、たとえば光ファイバセンサを包囲する絶縁された金属管を利用する加熱器を含むことができる。この場合、金属管は、プラスチック及びガラスのような、適当な絶縁性材料の鞘に入れることができる。たとえば、地下地層内のターゲットの深度を局所的に加熱することが好ましい、又は望ましい状況では、ターゲット深度において、抵抗率が高い絶縁された金属管内に電流を注入することができる(図12Aを参照)。この場合に、局所的に加熱するために必要とされるような適当な抵抗率を有する管を利用することができる。管内の異なる抵抗率は、その管のために異なる材料を用いることにより達成することができる。別法では、異なる抵抗率を有する加熱器管とともに、又はそれとは無関係に、異なる加熱器密度、たとえば、ファイバケーブル周囲の異なる巻線数を利用することができる。
【0039】
図12A〜図12Dは、本発明による地下地層の熱特性を動的に測定するためのいくつかの実施形態の概略図である。図12Aは、分散形温度検出(DTS)システム12を有するシステム10を示しており、たとえば、試錐孔18内に試錐孔流体を有する地下地層16内に光ファイバセンサ14及び金属管20が配置される。光ファイバセンサ14は薄い金属管20内にあるので、金属管20は、たとえば、金属管20を通して表面からパルス状又はAC/DC電流を送出することにより、発熱又は冷却デバイスとして用いることができる。図12A〜図12Dに概略的に示されるように、適当な電子回路並びに処理及び制御能力を設けることができる。この場合に、図12Aの構成は、井戸18及び地層構造16の所定の部分に沿って、分散された温度変化を与える。
【0040】
図12Aの構成は、さらに別の装置を用いることなく、井戸内に設置することができる既存の油田装置を利用することなどの種々の利点を有する。図示される構成は、地層の熱特性を判定するべく、対象となる1つ又は複数のエリアにおいて、均質で、分散された発熱と分散された温度出力とを提供する。しかしながら、特定の要求に基づく、いくつかの状況では、図12Aの実施形態によって、熱漏れが生じる、すなわち地下地層のターゲット以外のエリア内に不要な熱が生成される可能性がある。さらに、DTSハードウェアに特有である深度分解能又は空間感度に制限があることに起因して、収集されたデータは、層状の区域の平均化された応答になるであろう。
【0041】
図12Bは、その中に井戸18を有する地層16の選択された所定の部分を加熱するために、局在する加熱器26を備えるDTSシステム12を有するシステム10の一実施形態を提供する。局在する発熱デバイスを備えるDTS12を有する図12Bの実施形態は、図12Aの分散形の発熱構成が井戸内に十分な熱擾乱を引き起こさない状況において用いることができる。その表面から、すなわち井戸18内の電源装置から電流を送出することができる。図12Aの実施形態と同様に、井戸18に沿った温度を、センサ14によってモニタすることができる。図12Bの実施形態では、局在する加熱器26が、1つ又は複数の区域において効率的に動作し、必要に応じて、又は所望により、地層16内に熱を発生させる。この場合に、より多くの選択的な、ターゲットとなる温度変動を生成することができる。図12Bは、DTS空間分解能を網羅するだけの十分に長い加熱器長を含む、図示される実施形態のために必要とされるさらに別の構成を示す。
【0042】
図12Cは、局在する加熱器26と、この実施形態では、局在する高精度温度センサ28とを備えるDTSシステム12を有する1つのシステム10のさらに別の実施形態を示す。図12Cの実施形態では、局在する温度センサ28は、上記の他の実施形態において説明されるように、センサケーブル14及び局在する発熱デバイス26とともに用いることができる。この場合に、DTSシステム12が温度及び/又は深度において十分に高い分解能を与えない場合には、図12Cのシステム10は、所望により、又は必要に応じて、1つ又は複数の局在する加熱器26とともに、ファイバブラッググレーティング(FBG)センサ及び抵抗温度検出器(RTD)センサのような1つ又は複数の局在する温度センサ28を組み合わせて用いることにより、適当な空間及び/又は温度分解能を与えることができる。この実施形態では、局在するセンサ28及びセンサケーブル14を用いて、温度変動をモニタすることができる。
【0043】
図12Cに示されるような局在する加熱器を用いて、対象となる1つ又は複数の所定の区域において、十分なターゲットとなる発熱を与えることができる。この場合に、図12Cの実施形態に示されるように、局在する加熱器及びセンサを用いることにより、より高い深度分解能を獲得することができるが、そのシステムを設置するために、図12Aに示される構成の他に別の構成が必要とされる場合もある。
【0044】
図12Dは、たとえば、1つ又は複数の管において抵抗率が異なる、分散された金属及び/又はプラスチック製、或いは他の類似の管発熱器20と、地層16の井戸18内に配置される局在する高精度温度センサ28とを有する、温度を動的に測定するためのシステム10のさらに別の実施形態を示す。図12Dの実施形態では、DTSシステムが温度及び/又は深度において十分に高い分解能を与えることができない状況において、絶縁された金属管発熱器20のような分散した加熱器を、局在する高精度温度センサ28と組み合わせて用いることができる。この場合に、井戸18の深度にわたって、FBG及び/又はRTDセンサのような、局在する温度センサ28とともに、加熱器20を配設することができる。DTSシステム内のケーブルセンサのようなセンサ(図示せず)を、所望により、又は必要に応じて、図12Dのシステム10と組み合わせることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、炭化水素、二酸化炭素及び/又は水含有井戸のような井戸内にある能動的な発熱デバイスを用いて、動的な温度測定値を収集することができる。本発明は、メタン水和物含有地層及び重油含有地層において適用できるものと考えられる。本明細書において用いられるときに、「重油」は、開発及び採掘するために熱特性を知ることが望ましく、及び/又は必要とされる、重油、タールサンド、ビチューメン、油砂などの粘性のある油層を指している。説明の都合上、本明細書では、本発明のいくつかの実施形態は、発熱デバイスによる熱擾乱/刺激で説明される。しかしながら、本発明は、地層の熱特性を明らかにするべく、冷却器、たとえばペルチエタイプのデバイスを用いて、地下地層の温度に擾乱を与えることも企図する。この場合に、本発明によれば、地下構造の探査及び/又は開発を目的とし、その構造の熱特性を現場で明らかにすることを含む或る範囲の試みに対して、本明細書に開示される方法及びシステムを幅広く適用できるものと考えられる。
【0046】
これまでの説明は、本発明、及びその実施態様のいくつかの例を示し、説明するためにのみ提供されてきた。それは、本発明を包括的に述べることや、本発明を開示されるのと全く同じ形態に限定することは意図していない。上記の教示に鑑みて、数多くの変更及び変形が可能である。
【0047】
本発明の原理及びその実用的な適用形態を最もわかりやすく説明するために、好ましい態様が選択され、説明された。これまでの説明は、当業者が、種々の実施形態及び態様において、さらに、企図される特定の用途に相応しいような種々の変更形態で、本発明を最大限に利用できることを意図している。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 利益を得るために本発明を用いることができる1つの例示的な状況の概略図、及び異なる熱特性を有する層の予想される温度の動き、すなわち熱応答を示すグラフである。
【図2A】 本発明による、実験システムにおいて用いられたセンサケーブル−加熱器構成の概略的な平面図である。
【図2B】 本発明による、実験システムにおいて用いられたセンサケーブル−加熱器構成の概略的な断面図である。
【図3】 層1が加熱器として構成されるプラスチック製の鞘を備えるセンサケーブルを表し、層2が砂を表し、層3が空気を表し、Lがケーブル長を表す、図2A及び図2Bの実験構成のためのモデルの概略図である。
【図4】 図3のモデルのための、計算による熱抵抗対径方向距離のグラフである。
【図5】 加熱中の砂の温度上昇を表すグラフである。
【図6】 灰色の破線が砂の推定された見掛け上の熱伝導率を示す、見掛け上の熱伝導率の推定値対時間の予備試験の結果を表すグラフである。
【図7】 センサケーブルが支持パイプである外被の外側に配置される、井戸の断面のための熱伝達のコンピュータシミュレーションの図である。
【図8】 30cmの井戸直径の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図9】 10cmの井戸直径の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図10】 金属製の外被を用いる井戸の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図11】 プラスチック製の外被を用いる井戸の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図12A】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【図12B】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【図12C】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【図12D】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダウンホール内での動的な熱測定によって地下構造の熱特性を導出する方法及びシステムに関する。詳細には、本発明は、現場にある能動的な冷却及び/又は加熱デバイスを利用して、石油/ガス含有構造、水飽和地層、ガス水化物含有岩盤及び堆積物のような、地層内の局所的なダウンホール温度に擾乱を引き起こし、地層の特性を明らかにするためにその熱応答データを測定することに関する。
【0002】
本特許出願は、2005年2月28に出願され、全ての目的を果たすためにそのまま参照して本明細書に援用される、Masafumi Fukuhara及びKasumi Fujiiを発明人とする米国仮特許出願第60/657,207号(代理人整理番号第26.027US PSP号)に対して、米国特許法第119条のもとに優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
温度及び/又は圧力条件が平衡状態の境界を横切るとき、ガス水和物のような、いくつかの自然発生する資源が解離又は結合するか、それ以外の影響を及ぼされる。その挙動に関するパラメータを理解することは、資源、たとえばエネルギー資源としてのガス水和物及び重油を効率的に探査及び開発するために重要である。この場合に、熱測定は、地下構造の特性を静的に明らかにする場合だけでなく、動的に明らかにする際にも重要な要素のうちの1つである。
【0004】
地下地層の熱伝導率、熱容量及び熱拡散率のような熱特性を推定するための従来の方法は、いくつかの地下深度の場所において、受動的に温度をモニタし、定常的な熱流量、或いは掘削及び/又は泥水循環などによる熱擾乱からの緩和を仮定して、収集されたデータを解釈することを含む。従来のシステムでは、生産試験又は掘削/循環操作によって引き起こされる温度変化が測定される。いくつかの仮定に基づいて熱特性が推定されるので、上記の受動的な測定方法では、地下構造の推定された熱特性の中に、大きな不確かさが残される。
【0005】
一方、試験所では、能動的な熱特性の測定も試みられており、これらの目的のための装置も市販されている。しかしながら、試験所で利用される能動的な測定方法を現場での地下地層の測定に適用することは、数多くの技術的な課題及び運搬上の問題を抱えている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の背景、及び地下地層の熱特性を明らかにすることに関する分野において知られている他の要因の結果として、本出願人は、異なる熱特性を有する区域では地下構造の熱応答時間が異なるはずであるという原理に基づいて、能動的に地下の熱特性を測定するための方法及びシステムを発見した。この場合に、本発明は、地下地層の特性を明らかにするために受動的にモニタするのとは対照的に、能動的な加熱及び/又は冷却、すなわち地下地層内に既知の信号を送出することによって引き起こされる既知の温度擾乱又は刺激を利用することを企図する。
【0007】
本出願人は、本明細書に開示される動的な測定方法が、ガス水和物含有地層及び/又は重油含有地層のような地下構造の現場での能動的な測定に特に適用できることに気が付いている。
【0008】
本出願人はさらに、熱特性を現場で明らかにすることが、地下地層の特性を明らかにするための重要な要素のうちの1つであることに気が付いている。
【0009】
また本出願人は、炭化水素含有地層及び堆積物のような、ダウンホール構造の熱特性を収集することが、天然資源を開発及び生産するために地下構造を処理するための効率的なシステム及び方法を設計する際に非常に有益であることにも気が付いている。
【0010】
本発明は、温度の時間変動、すなわち時間とともに変化している熱応答を動的に測定し、中でも本明細書において考慮される石油、ガス、メタン水和物、水のような沈積物を含む、たとえば岩盤、堆積物及びそのような他の地下地層を地層分析するために静的な熱特性を導出することを企図する。この場合に、地層の特性を明らかにすることは、その地層の1つ又は複数の熱特性に基づいて、1つ又は複数の問題解決に繋がる成果、たとえば、中でも本発明の教示に基づいて実現できる、炭化水素を熱処理するための地層内の炭化水素の特性、その地層を正確に記述するための地層の1つ又は複数の物理的パラメータ、その地層を横切る作業用井戸の永続的なモニタリングのうちの1つ又は複数に関連する、問題解決に繋がる成果を提供することを含むことができる。
【0011】
本出願人は、局在して配列された、及び/又は分散して配列された加熱器及び/又は冷却器並びに1つ又は複数のセンサを、調査中の地下地層のための局所的な温度データの時間変動を収集するように構成することに基づいて、アルゴリズムに基づく関係を都合良く利用して、熱導電率のような熱特性を導出することができることに気が付いた。
【0012】
本発明の一実施形態では、ペルチエデバイスのような局在する冷却デバイス、及び/又はたとえば、ファイバセンサの周囲にある金属製及び/又はプラスチック製或いは類似の管に電流を流すことによって構成される抵抗加熱器のような加熱デバイスとともに、ファイバセンサを有する分散形温度検出(DTS)ダウンホールシステムを温度センサとして利用することができる。本発明の他の実施形態では、その構成は、抵抗温度検出器(RTD)又はファイバブラッググレーティングセンサのような局在する精密温度計と、冷却デバイス及び加熱デバイスの温度制御を実現するべく適切に設定される電源とを備えることができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、地下地層の特性を明らかにするために地層の1つ或いは複数の熱特性を導出する1つの方法は、熱擾乱ダウンホールを作り出すこと、温度の時間変動に基づいて、その地層のための熱応答データを収集すること、及び、その地層の熱応答データに基づいて、その地層の熱特性を導出することを含む。本発明の別の態様によれば、地下地層の熱特性を導出するためのシステムは、対象となる所定のエリア内に熱擾乱ダウンホールを作り出すように設定される加熱デバイス及び冷却デバイスのうちの少なくとも一方と、熱応答データを収集し、ダウンホール温度の時間変動に基づいて、地層の熱特性を導出するように設定される検出システムとを備える。
【0014】
本発明のさらに別の利点及び新規の特徴は、以下に記載される説明において述べられることになるか、或いは本明細書の内容を読むことによって、又は本発明を実施することによって、当業者が理解することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲に記載される手段を通して達成することができる。
【0015】
添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を示しており、本明細書の一部である。以下に記載される説明とともに、それらの図面は本発明の原理を例示し、説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面全体を通して、同じ参照番号は、必ずしも同じではないが、類似の素子を指示する。本発明は種々の変更形態及び代替形態で実現できるが、図面においては、例示する目的から具体的な実施形態が示されており、本明細書において詳細に説明されるであろう。しかしながら、本発明が開示される特定の形態に限定されることを意図していないことは理解されたい。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような、本発明の範囲内に入る全ての変更形態、等価形態及び代替形態を含むことを意図している。
【0017】
本発明の例示的な実施形態及び態様が以下に説明される。明確にするべく、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴が説明されるとは限らない。任意のそのような実際の実施形態の開発時に、実施態様によって異なることになる、システム関連及び業務関連の制約に従うことなどの開発者特有の目標を達成するべく、数多くの実施態様特有の判断が行われなければならないことは、当然理解されよう。さらに、そのような開発の努力は複雑であり、時間がかかる場合もあるが、それにもかかわらず、本明細書の開示の利益を享受する当業者にとっては、型にはまった仕事になるものと理解されたい。
【0018】
ガス水和物及び重油のような炭化水素を含む、地層流体の安定性は、圧力(P)及び温度(T)の変動の影響を受けやすい。この場合に、ガス水和物は、圧力及び/又は温度条件が平衡状態の境界を横切るときに、解離又は結合する。先に説明されたように、熱伝導率、熱拡散率、熱容量などの地下地層の熱特性を収集ための従来の方法は、試験所における岩芯分析と、いくつかの地下の場所における受動的な温度測定とを含む。たとえば、水和物含有区域の岩芯分析の場合、ダウンホール内で見られた条件と同じ条件を試験所において保持することは、多くの場合に難しい。得られたデータは、水和物の動的な解離/結合過程に起因する岩芯形成条件、異なる圧力下における圧縮要因の差、及び場合によっては、ある特定の深度の間隔から抜け落ちる岩芯サンプルによって左右される。いくつかの地下の場所における受動的な測定の場合、得られたデータは、定常的な熱流量、及び掘削及び/又は泥水循環による熱擾乱からの緩和のような特定の仮定のもとで解釈されるので、不確かさが増す。さらに、水和物含有区域内の細かい熱測定は行われていない。
【0019】
本発明は、冷却器及び/又は加熱器デバイスのような熱源で能動的に既知の熱擾乱を引き起こし、ターゲット区域ダウンホールの熱応答、すなわち時間変動温度データをモニタすることにより、地層熱特性をその場で評価するための熱特性測定方法を利用することを企図する。この場合に、本発明は、1つ又は複数の地層エリアの温度を測定することを企図し、そのエリアでは、所定の時間にわたって熱擾乱が引き起こされ、その地層の熱応答を判定してよい。温度測定のための所定の時間は、温度測定のために望ましいか、又は必要とされる時間を判定する数ある要因の中でも、地層特性、試錐孔流体、用いられるシステムの構成などの周囲条件による。さらに、温度測定のための所定の時間は、本発明の目的を果たすべく、その地層の十分な熱応答データが収集されるような、その地層の能動的な加熱又は冷却時間、及び能動的な加熱又は冷却後の適当な時間を含むことができる。
【0020】
調査中の地層の1つ或いは複数のエリア内の熱擾乱を保持するべく、熱擾乱は、局所的、すなわち対象となる局所的なエリア内の加熱又は冷却にすることができる。本発明は、所定の時間にわたって、地層内に動的な熱擾乱を引き起こすべく、その地層を能動的に加熱又は冷却し、その地層の熱応答を判定できることにすることを企図する。対象となる1つ又は複数のエリアを能動的に加熱又は冷却するための1つ又は複数の所定の時間は、加熱又は冷却するための十分な時間を判定する数ある要因の中でも、地層特性、試錐孔流体、システムの構成などの周囲条件による。
【0021】
本明細書に記載されるように、熱特性を測定するための本発明の測定方法の一実施形態は熱線法に基づくが、他の方法も本発明の範囲内にある。この場合に、本発明はさらに、長さが対称であり、且つ/又は無限であるという熱線法の仮定を用いない、炭化水素含有地層の1つ或いは複数の熱特性を測定するためのシステム及び方法を企図する。
【0022】
無限のライン加熱器、及び無限媒体内の加熱器上にある温度センサでの温度緩和から、周囲媒体のための熱特性が導出される。熱伝導率及び温度の関係が式1に示される。たとえば、対数時間(ln(t))の勾配及び温度上昇(T−T0)から、熱伝導率λが導出される。
【0023】
【数1】
【0024】
上記の方法は、現場でのダウンホール測定条件に適用することができる。図1に示されるように、本発明の一実施形態による動的なシステム10は、金属製及び/又はプラスチック製又は他の類似の管20のような細長い加熱器12と、地下地層16の井戸18内に配置される温度センサ14のアレイ、たとえば光ファイバセンサとを備える。金属製及び/又はプラスチック製の管のような管20は、以下にさらに詳細に説明されるように、センサを保護する、又は加熱を分散するなどの他の目的で、センサ14の周囲に配置することができる。地層の熱特性が異なる場合の、加熱及び冷却中の温度緩和の挙動、すなわち熱応答の予想される差が図1のグラフに示される。ここでは、本発明を説明するに、熱伝導率測定が用いられる。しかしながら、本発明は、熱拡散率及び熱容量のような他の熱特性の測定も含む。
【0025】
通常は、試錐孔流体が、試錐孔内の加熱器20及びセンサ14の直ぐ周りに存在するであろう。しかしながら、本発明は、流体対流効果を一次近似として最小限に抑えることを企図する。
【0026】
本発明によるシステムの一実施形態では、図1に示される構成のための分散形温度検出(DTS)システムとして、光ファイバセンサケーブルを用いることができる。DTSシステムは油田での用途において知られており、本明細書では詳細には説明されないであろう。そのようなDTS構成は、井戸に沿って連続的な温度測定を提供する(図1を参照)。ファイバセンサケーブルは温度情報を提供するように構成することができ、ケーブルの金属製及び/又はプラスチック製或いは他の類似の管が、その管に電流を加えることによって加熱器として構成できることが有利である。
【0027】
本出願人は、本発明の動的な測定方法及びシステムを評価するために実験を行った。図2A及び図2Bは、本発明のモデルにおいて用いられたセンサケーブルレイアウトのそれぞれ平面図及び断面図を示す。円筒形の容器22が砂24で満たされ、センサケーブル12が容器22の中心に配置され、砂24で埋められる。砂の熱伝導率が実験的に導出された。センサケーブル12は、ファイバセンサ14と鋼管20とを含み、その鋼管の外側にプラスチック製の鞘を配置した。管20を加熱するための入力電力が、図2Aに示されるように、管20の両端に加えられた。
【0028】
砂の熱伝導率は、市販の装置で予め測定され、0.22ワット/メートル/ケルビン「W/m/K]であることがわかった。
【0029】
図3は、図2A及び図2Bの実験的なレイアウトを示しており、径方向に、プラスチック製の鞘を備えるケーブル(層1)、砂(層2)及び空気(層3)の均質な層が仮定される。図4は、径方向距離に対してプロットされた、以下の式2において表される、計算による熱抵抗を示す。その熱抵抗及び式1の勾配(〜1/λ)は、熱伝達過程において、時間及び径方向距離において定性的に類似の傾向を有するものと仮定される。
【0030】
【数2】
【0031】
図5は、4.7ワット/メートル[W/m]で加熱中に測定された温度データを示す。黒色の破線によって示されるように、直線を認めることができる。この結果対時間は、図4のモデル化された熱抵抗曲線対径方向距離に概ね類似の応答を示す。そのデータは時間に関して平滑化され、すなわち窓を動かして多項式に当てはまるようにされた後に、dT/d(ln(t))の導関数(式1の勾配1/4/pi/λ)が計算された。見掛け上の熱伝導率λが求められ、図6にプロットされた。図6において灰色の破線によって示されるように、概ね平坦な部分の値から、熱伝導率は0.22W/m/Kと推定された。モデル化された結果は、砂において予め求められた0.22W/m/Kの熱伝導率と概ね一致することを示す。
【0032】
したがって、実験的なレイアウト及びモデル化を通して、本出願人は、本発明の方法及びシステムを用いて、予備試験の結果として砂の熱伝導率を導出した。
【0033】
本出願人はさらに、数値的なモデル化を通して、本発明のモデルが現場でのダウンホール条件に当てはまることを評価した。実用的な状況が仮定され、センサケーブルが井戸内に配置されるパイプ/外被によって支持された(図7を参照)。プラスチック製の鞘がセンサケーブルを覆う。実用的な入力電力で、必要な温度上昇、すなわち地層熱特性を評価するために必要とされる温度上昇のための測定持続時間が評価された。先に説明されたように、能動的な加熱のための所定の時間はいくつかの要因による。
【0034】
表1は数値的なモデル化において用いられるパラメータを示す。図7は、加熱後のある時点での、加熱器を備える井戸の断面の場合の温度場のコンピュータシミュレーションを示す。図8及び図9はそれぞれ、30cm及び10cmの井戸直径の場合の加熱中の加熱器での温度上昇(ΔT)対時間を示すグラフである。図8及び図9の桃色の線は、地層熱伝導率(λf)が3W/m/Kであるときを示しており、青色の線は、2W/m/Kの伝導率を示す。赤色の線は、{ΔT(=3)−ΔT(λf=2)}/ΔT(λf=3)の相対的な上昇を示す。その結果は、熱エネルギー消費が流体の体積に関係するので、異なる熱特性間で温度の挙動を区別するためには、井戸サイズが小さいほど好ましいことを示唆する。しかしながら、10cmの直径を有する孔の場合であっても、10%の相対的な温度上昇を達成するのに、3日以上かかる。必要な測定持続時間を短縮するために、図10及び図11は、パイプのための材料の影響に焦点を合わせたモデル化を示す。図10は金属から形成されるパイプの場合のものであり、図11はプラスチック製のパイプの場合のものである。いずれの場合でも、井戸直径は18cmである。プラスチック製のパイプの場合、10%の相対的な温度上昇が数時間以内に達成されるのに対して、金属製のパイプは20時間かかった。プラスチック製のパイプは、井戸内の断熱材として機能し、熱を実効的に地層に伝達する。プラスチック製のパイプを用いることにより、ダウンホール環境における温度変化、したがって熱伝導率を測定するための本発明の技術が改善される。
【0035】
数値的なモデル化によって、いくつかの仮定された条件で、本発明の方法がダウンホールの用途に適していることが確認された。
【0036】
【表1】
【0037】
本出願人の実験及びモデル化の結果によって、本発明による現場でのダウンホール熱伝導率測定が適用できることが確認された。流体の影響、適当なケーブル及び加熱器設計などの要因を評価したが,予備段階の実験は、約10%の許容誤差範囲内で、周囲の媒体内での熱特性の測定に本発明が適用できることを示した。
【0038】
本発明の一実施形態では、加熱デバイスは、金属管内に電流を注入することによって地下構造内に熱を発生させるべく、たとえば光ファイバセンサを包囲する絶縁された金属管を利用する加熱器を含むことができる。この場合、金属管は、プラスチック及びガラスのような、適当な絶縁性材料の鞘に入れることができる。たとえば、地下地層内のターゲットの深度を局所的に加熱することが好ましい、又は望ましい状況では、ターゲット深度において、抵抗率が高い絶縁された金属管内に電流を注入することができる(図12Aを参照)。この場合に、局所的に加熱するために必要とされるような適当な抵抗率を有する管を利用することができる。管内の異なる抵抗率は、その管のために異なる材料を用いることにより達成することができる。別法では、異なる抵抗率を有する加熱器管とともに、又はそれとは無関係に、異なる加熱器密度、たとえば、ファイバケーブル周囲の異なる巻線数を利用することができる。
【0039】
図12A〜図12Dは、本発明による地下地層の熱特性を動的に測定するためのいくつかの実施形態の概略図である。図12Aは、分散形温度検出(DTS)システム12を有するシステム10を示しており、たとえば、試錐孔18内に試錐孔流体を有する地下地層16内に光ファイバセンサ14及び金属管20が配置される。光ファイバセンサ14は薄い金属管20内にあるので、金属管20は、たとえば、金属管20を通して表面からパルス状又はAC/DC電流を送出することにより、発熱又は冷却デバイスとして用いることができる。図12A〜図12Dに概略的に示されるように、適当な電子回路並びに処理及び制御能力を設けることができる。この場合に、図12Aの構成は、井戸18及び地層構造16の所定の部分に沿って、分散された温度変化を与える。
【0040】
図12Aの構成は、さらに別の装置を用いることなく、井戸内に設置することができる既存の油田装置を利用することなどの種々の利点を有する。図示される構成は、地層の熱特性を判定するべく、対象となる1つ又は複数のエリアにおいて、均質で、分散された発熱と分散された温度出力とを提供する。しかしながら、特定の要求に基づく、いくつかの状況では、図12Aの実施形態によって、熱漏れが生じる、すなわち地下地層のターゲット以外のエリア内に不要な熱が生成される可能性がある。さらに、DTSハードウェアに特有である深度分解能又は空間感度に制限があることに起因して、収集されたデータは、層状の区域の平均化された応答になるであろう。
【0041】
図12Bは、その中に井戸18を有する地層16の選択された所定の部分を加熱するために、局在する加熱器26を備えるDTSシステム12を有するシステム10の一実施形態を提供する。局在する発熱デバイスを備えるDTS12を有する図12Bの実施形態は、図12Aの分散形の発熱構成が井戸内に十分な熱擾乱を引き起こさない状況において用いることができる。その表面から、すなわち井戸18内の電源装置から電流を送出することができる。図12Aの実施形態と同様に、井戸18に沿った温度を、センサ14によってモニタすることができる。図12Bの実施形態では、局在する加熱器26が、1つ又は複数の区域において効率的に動作し、必要に応じて、又は所望により、地層16内に熱を発生させる。この場合に、より多くの選択的な、ターゲットとなる温度変動を生成することができる。図12Bは、DTS空間分解能を網羅するだけの十分に長い加熱器長を含む、図示される実施形態のために必要とされるさらに別の構成を示す。
【0042】
図12Cは、局在する加熱器26と、この実施形態では、局在する高精度温度センサ28とを備えるDTSシステム12を有する1つのシステム10のさらに別の実施形態を示す。図12Cの実施形態では、局在する温度センサ28は、上記の他の実施形態において説明されるように、センサケーブル14及び局在する発熱デバイス26とともに用いることができる。この場合に、DTSシステム12が温度及び/又は深度において十分に高い分解能を与えない場合には、図12Cのシステム10は、所望により、又は必要に応じて、1つ又は複数の局在する加熱器26とともに、ファイバブラッググレーティング(FBG)センサ及び抵抗温度検出器(RTD)センサのような1つ又は複数の局在する温度センサ28を組み合わせて用いることにより、適当な空間及び/又は温度分解能を与えることができる。この実施形態では、局在するセンサ28及びセンサケーブル14を用いて、温度変動をモニタすることができる。
【0043】
図12Cに示されるような局在する加熱器を用いて、対象となる1つ又は複数の所定の区域において、十分なターゲットとなる発熱を与えることができる。この場合に、図12Cの実施形態に示されるように、局在する加熱器及びセンサを用いることにより、より高い深度分解能を獲得することができるが、そのシステムを設置するために、図12Aに示される構成の他に別の構成が必要とされる場合もある。
【0044】
図12Dは、たとえば、1つ又は複数の管において抵抗率が異なる、分散された金属及び/又はプラスチック製、或いは他の類似の管発熱器20と、地層16の井戸18内に配置される局在する高精度温度センサ28とを有する、温度を動的に測定するためのシステム10のさらに別の実施形態を示す。図12Dの実施形態では、DTSシステムが温度及び/又は深度において十分に高い分解能を与えることができない状況において、絶縁された金属管発熱器20のような分散した加熱器を、局在する高精度温度センサ28と組み合わせて用いることができる。この場合に、井戸18の深度にわたって、FBG及び/又はRTDセンサのような、局在する温度センサ28とともに、加熱器20を配設することができる。DTSシステム内のケーブルセンサのようなセンサ(図示せず)を、所望により、又は必要に応じて、図12Dのシステム10と組み合わせることができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、炭化水素、二酸化炭素及び/又は水含有井戸のような井戸内にある能動的な発熱デバイスを用いて、動的な温度測定値を収集することができる。本発明は、メタン水和物含有地層及び重油含有地層において適用できるものと考えられる。本明細書において用いられるときに、「重油」は、開発及び採掘するために熱特性を知ることが望ましく、及び/又は必要とされる、重油、タールサンド、ビチューメン、油砂などの粘性のある油層を指している。説明の都合上、本明細書では、本発明のいくつかの実施形態は、発熱デバイスによる熱擾乱/刺激で説明される。しかしながら、本発明は、地層の熱特性を明らかにするべく、冷却器、たとえばペルチエタイプのデバイスを用いて、地下地層の温度に擾乱を与えることも企図する。この場合に、本発明によれば、地下構造の探査及び/又は開発を目的とし、その構造の熱特性を現場で明らかにすることを含む或る範囲の試みに対して、本明細書に開示される方法及びシステムを幅広く適用できるものと考えられる。
【0046】
これまでの説明は、本発明、及びその実施態様のいくつかの例を示し、説明するためにのみ提供されてきた。それは、本発明を包括的に述べることや、本発明を開示されるのと全く同じ形態に限定することは意図していない。上記の教示に鑑みて、数多くの変更及び変形が可能である。
【0047】
本発明の原理及びその実用的な適用形態を最もわかりやすく説明するために、好ましい態様が選択され、説明された。これまでの説明は、当業者が、種々の実施形態及び態様において、さらに、企図される特定の用途に相応しいような種々の変更形態で、本発明を最大限に利用できることを意図している。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】 利益を得るために本発明を用いることができる1つの例示的な状況の概略図、及び異なる熱特性を有する層の予想される温度の動き、すなわち熱応答を示すグラフである。
【図2A】 本発明による、実験システムにおいて用いられたセンサケーブル−加熱器構成の概略的な平面図である。
【図2B】 本発明による、実験システムにおいて用いられたセンサケーブル−加熱器構成の概略的な断面図である。
【図3】 層1が加熱器として構成されるプラスチック製の鞘を備えるセンサケーブルを表し、層2が砂を表し、層3が空気を表し、Lがケーブル長を表す、図2A及び図2Bの実験構成のためのモデルの概略図である。
【図4】 図3のモデルのための、計算による熱抵抗対径方向距離のグラフである。
【図5】 加熱中の砂の温度上昇を表すグラフである。
【図6】 灰色の破線が砂の推定された見掛け上の熱伝導率を示す、見掛け上の熱伝導率の推定値対時間の予備試験の結果を表すグラフである。
【図7】 センサケーブルが支持パイプである外被の外側に配置される、井戸の断面のための熱伝達のコンピュータシミュレーションの図である。
【図8】 30cmの井戸直径の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図9】 10cmの井戸直径の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図10】 金属製の外被を用いる井戸の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図11】 プラスチック製の外被を用いる井戸の場合の温度に対する地層熱伝導率(λf)の影響を表すグラフである。
【図12A】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【図12B】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【図12C】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【図12D】 本発明による、地下構造の熱特性を導出するための例示的なシステムの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素含有地層の特性を明らかにするために、該地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法であって、
対象となる所定のエリア内に熱擾乱ダウンホールを作り出すこと、
前記対象となるエリアの温度の時間変動に基づいて、熱応答データを収集すること、及び
前記地層の前記熱応答データに基づいて、前記地層の熱特性を導出することを含む、炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項2】
前記熱応答データを収集することは、前記対象となるエリアの温度を所定の時間にわたって測定することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項3】
前記熱擾乱ダウンホールを作り出すことは、前記対象となるエリアを能動的に加熱することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項4】
前記熱擾乱ダウンホールを作り出すことは、前記対象となるエリアを能動的に冷却することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項5】
前記熱擾乱ダウンホールを作り出すことは、前記対象となるエリアを能動的に分散して加熱又は冷却することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項6】
前記熱応答データを収集することは、前記ダウンホール内に1つ又は複数の温度センサを配置することによって前記データを収集することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項7】
前記熱応答データを収集することは、温度変化のダウンホール分散形検出によって前記データを収集することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項8】
前記熱応答データを収集することは、温度変化をダウンホール内で局所的に検出することによって前記データを収集することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項9】
前記熱応答データを収集することは、前記対象となるエリア内の温度変化のダウンホール検出を含み、前記熱応答データは局所的な温度データの時間変動を含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項10】
熱特性を導出することは、前記地層の熱伝導率を判定するべく、前記局所的な温度データの時間変動をプロセッサに与えることを含む、請求項9に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項11】
熱特性を導出することは、前記地層の熱伝導率、熱拡散率及び熱容量のうちの1つ又は複数を判定することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項12】
前記地層の前記熱特性に基づいて、1つ或いは複数の問題解決に繋がる成果(answer products)を与えることにより、前記地層の特性を明らかにすることをさらに含み、前記問題解決に繋がる成果は、
前記地層内の炭化水素を熱処理するための前記炭化水素の特性、
前記地層を正確に記述するための前記地層の1つ又は複数の物理的なパラメータ、及び
前記地層を横切る作業用井戸の永続的なモニタリングのうちの1つ又は複数に関連する、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項13】
前記地層の前記熱応答データに基づいて前記地層の前記熱特性を導出するために熱線法を用いることをさらに含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項14】
前記熱特性は前記地層の熱伝導率を含む、請求項13に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項15】
炭化水素含有地層の特性を明らかにするために、該地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステムであって、
対象となる所定のエリア内に熱擾乱ダウンホールを作り出すように構成される加熱デバイス及び冷却デバイスのうちの少なくとも1つと、
前記ダウンホールの熱応答データを収集し、前記対象となるエリアの温度の時間変動に基づいて前記地層の少なくとも1つの熱特性を導出するように構成される検出システムとを備える、炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項16】
前記検出システムは、前記ダウンホール内に配置される少なくとも1つの温度センサと、局所的な温度データの時間変動に基づいて前記地層の熱特性を導出するように設定されるプロセッサとを備える、請求項15に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項17】
前記地層の前記熱特性は、前記地層の熱伝導率、熱拡散率及び熱容量のうちの1つ又は複数を含む、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項18】
前記加熱デバイス及び冷却デバイスのうちの少なくとも1つは、前記対象となる所定のエリアを能動的に分散して加熱するように設定される加熱器、及び前記対象となる所定のエリアを能動的に局所的に加熱するように設定される加熱器のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項19】
前記温度センサは温度変化をダウンホール分散形検出するように設定される、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項20】
前記温度センサは温度変化をダウンホール内で局所的に検出するように設定される、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項21】
前記加熱デバイス及び冷却デバイス並びに前記検出システムは、分散形温度検出(DTS)システム、抵抗加熱器、ファイバブラッググレーティングセンサ及び抵抗温度検出器(RTD)のうちの1つ又は複数を含む、請求項15に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項22】
前記抵抗加熱器は、前記地層をダウンホール内で局所的に加熱するように設定される、抵抗が異なる管を含む、請求項21に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項23】
前記抵抗加熱器は、プラスチック製の管及び絶縁された金属管のうちの1つ又は複数を含む、請求項21に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項24】
前記加熱デバイスは前記DTSシステムの外側の管を含む、請求項21に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項25】
前記検出システムは、前記対象となる所定のエリア内の温度変化をダウンホール検出するように設定されるセンサを含み、前記熱応答データは局所的な温度データの時間変動を含む、請求項15に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項26】
前記局所的な温度データの時間変動に基づいて前記地層の熱伝導率を判定するように設定されるプロセッサをさらに備える、請求項25に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、メタン水和物含有地層及び重油含有地層のうちの少なくとも一方の熱伝導率を判定するように設定される、請求項26に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項1】
炭化水素含有地層の特性を明らかにするために、該地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法であって、
対象となる所定のエリア内に熱擾乱ダウンホールを作り出すこと、
前記対象となるエリアの温度の時間変動に基づいて、熱応答データを収集すること、及び
前記地層の前記熱応答データに基づいて、前記地層の熱特性を導出することを含む、炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項2】
前記熱応答データを収集することは、前記対象となるエリアの温度を所定の時間にわたって測定することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項3】
前記熱擾乱ダウンホールを作り出すことは、前記対象となるエリアを能動的に加熱することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項4】
前記熱擾乱ダウンホールを作り出すことは、前記対象となるエリアを能動的に冷却することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項5】
前記熱擾乱ダウンホールを作り出すことは、前記対象となるエリアを能動的に分散して加熱又は冷却することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項6】
前記熱応答データを収集することは、前記ダウンホール内に1つ又は複数の温度センサを配置することによって前記データを収集することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項7】
前記熱応答データを収集することは、温度変化のダウンホール分散形検出によって前記データを収集することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項8】
前記熱応答データを収集することは、温度変化をダウンホール内で局所的に検出することによって前記データを収集することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項9】
前記熱応答データを収集することは、前記対象となるエリア内の温度変化のダウンホール検出を含み、前記熱応答データは局所的な温度データの時間変動を含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項10】
熱特性を導出することは、前記地層の熱伝導率を判定するべく、前記局所的な温度データの時間変動をプロセッサに与えることを含む、請求項9に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項11】
熱特性を導出することは、前記地層の熱伝導率、熱拡散率及び熱容量のうちの1つ又は複数を判定することを含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項12】
前記地層の前記熱特性に基づいて、1つ或いは複数の問題解決に繋がる成果(answer products)を与えることにより、前記地層の特性を明らかにすることをさらに含み、前記問題解決に繋がる成果は、
前記地層内の炭化水素を熱処理するための前記炭化水素の特性、
前記地層を正確に記述するための前記地層の1つ又は複数の物理的なパラメータ、及び
前記地層を横切る作業用井戸の永続的なモニタリングのうちの1つ又は複数に関連する、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項13】
前記地層の前記熱応答データに基づいて前記地層の前記熱特性を導出するために熱線法を用いることをさらに含む、請求項1に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項14】
前記熱特性は前記地層の熱伝導率を含む、請求項13に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出する方法。
【請求項15】
炭化水素含有地層の特性を明らかにするために、該地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステムであって、
対象となる所定のエリア内に熱擾乱ダウンホールを作り出すように構成される加熱デバイス及び冷却デバイスのうちの少なくとも1つと、
前記ダウンホールの熱応答データを収集し、前記対象となるエリアの温度の時間変動に基づいて前記地層の少なくとも1つの熱特性を導出するように構成される検出システムとを備える、炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項16】
前記検出システムは、前記ダウンホール内に配置される少なくとも1つの温度センサと、局所的な温度データの時間変動に基づいて前記地層の熱特性を導出するように設定されるプロセッサとを備える、請求項15に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項17】
前記地層の前記熱特性は、前記地層の熱伝導率、熱拡散率及び熱容量のうちの1つ又は複数を含む、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項18】
前記加熱デバイス及び冷却デバイスのうちの少なくとも1つは、前記対象となる所定のエリアを能動的に分散して加熱するように設定される加熱器、及び前記対象となる所定のエリアを能動的に局所的に加熱するように設定される加熱器のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項19】
前記温度センサは温度変化をダウンホール分散形検出するように設定される、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項20】
前記温度センサは温度変化をダウンホール内で局所的に検出するように設定される、請求項16に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項21】
前記加熱デバイス及び冷却デバイス並びに前記検出システムは、分散形温度検出(DTS)システム、抵抗加熱器、ファイバブラッググレーティングセンサ及び抵抗温度検出器(RTD)のうちの1つ又は複数を含む、請求項15に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項22】
前記抵抗加熱器は、前記地層をダウンホール内で局所的に加熱するように設定される、抵抗が異なる管を含む、請求項21に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項23】
前記抵抗加熱器は、プラスチック製の管及び絶縁された金属管のうちの1つ又は複数を含む、請求項21に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項24】
前記加熱デバイスは前記DTSシステムの外側の管を含む、請求項21に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項25】
前記検出システムは、前記対象となる所定のエリア内の温度変化をダウンホール検出するように設定されるセンサを含み、前記熱応答データは局所的な温度データの時間変動を含む、請求項15に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項26】
前記局所的な温度データの時間変動に基づいて前記地層の熱伝導率を判定するように設定されるプロセッサをさらに備える、請求項25に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、メタン水和物含有地層及び重油含有地層のうちの少なくとも一方の熱伝導率を判定するように設定される、請求項26に記載の炭化水素含有地層の1つ又は複数の熱特性を導出するためのシステム。
【図1】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【公開番号】特開2006−267096(P2006−267096A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−51099(P2006−51099)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506068313)シュルンベルジュ ホ−ルディングス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51099(P2006−51099)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(506068313)シュルンベルジュ ホ−ルディングス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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