説明

ダクトの接続方法、ダクトの接続構造およびクリップ装着用治具

【課題】 本発明は、アングルフランジを用いたダクトの接続方法および接続構造に関し、ダクトと天井等の構造物との間隙が小さい時にもダクトの接続を容易,確実に行うことを目的とする。また、この方法に使用されるクリップ装着用治具を提供することを目的とする。
【解決手段】 四角形状の一対のダクトの接続部にそれぞれ固定される四角環状の外アングルフランジをパッキンを介して締結するダクトの接続方法において、少なくとも前記一対の外アングルフランジの対向する一辺を外側に向けて折曲して折曲部を形成し、一対の前記折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、前記折曲部に沿って前記フランジ用クリップを移動させて前記一辺の外アングルフランジを前記フランジ用クリップにより締結することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクトの接続方法および接続構造に係わり、特に、アングルフランジを用いたダクトの接続方法および接続構造に関する。また、この方法に使用されるクリップ装着用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アングルフランジを用いたダクトの接続構造として、例えば、特開2000−257945号公報に開示されるものが知られている。
図19は、外アングルフランジを用いた従来のダクトの接続構造を示している。このダクトの接続構造では、四角形状の一対のダクト1の接続部に、それぞれ四角環状の外アングルフランジ2がリベット3により固定されている。そして、外アングルフランジ2のフランジ部2aを、パッキン4を介してボルト5とナット6により締結することにより一対のダクト1が接続される。
【0003】
なお、従来、共板フランジダクトを連結するクリップとして、例えば、特開平8−121422号公報に開示されるものが知られている。
【特許文献1】特開2000−257945号公報
【特許文献2】特開平8−121422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図19に示した従来のダクトの接続構造では、図20に示すように、例えば設置スペースの関係から、ダクト1を天井7等の構造物の近傍に設置する必要が生じた時には、ダクト1と天井7等の構造物との間隙Lが小さくなり、この間隙Lに手を入れて全てのボルト5とナット6とを完全に締結することが困難になるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、ダクトと天井等の構造物との間隙が小さい時にもダクトの接続を容易,確実に行うことができるダクトの接続方法および接続構造を提供することを目的とする。また、この方法に使用されるクリップ装着用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1のダクトの接続方法は、四角形状の一対のダクトの接続部にそれぞれ固定される四角環状の外アングルフランジをパッキンを介して締結するダクトの接続方法において、少なくとも前記一対の外アングルフランジの対向する一辺を外側に向けて折曲して折曲部を形成し、一対の前記折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、前記折曲部に沿って前記フランジ用クリップを移動させて前記一辺の外アングルフランジを前記フランジ用クリップにより締結することを特徴とする。
【0006】
請求項2のダクトの接続方法は、請求項1記載のダクトの接続方法において、前記折曲部が、前記一対の外アングルフランジの対向する一辺にのみ形成されていることを特徴とする。
請求項3のダクトの接続構造は、四角形状の一対のダクトの接続部にそれぞれ固定される四角環状の外アングルフランジをパッキンを介して締結してなるダクトの接続構造において、少なくとも前記一対の外アングルフランジの対向する一辺を外側に向けて折曲して折曲部を形成し、一対の前記折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、前記折曲部に沿って前記フランジ用クリップを移動させて前記一辺の外アングルフランジを前記フランジ用クリップにより締結してなることを特徴とする。
【0007】
請求項4のダクトの接続構造は、請求項3記載のダクトの接続構造において、前記折曲部が、前記一対の外アングルフランジの対向する一辺にのみ形成されていることを特徴とする。
請求項5のダクトの接続構造は、請求項4記載のダクトの接続構造において、前記外アングルフランジは、4本のアングル部材を溶接して形成され、前記一辺のアングル部材は、前記フランジ用クリップの移動方向に平行に他の2辺のアングル部材に溶接されていることを特徴とする。
【0008】
請求項6のクリップ装着用治具は、フランジ用クリップの端面に当接される押込部材と、前記押込部材が一端に固定される長尺状の振動伝達棒と、前記振動伝達棒の他端に連結され前記振動伝達棒に軸長方向の振動を付与する振動付与手段とを有することを特徴とする。
請求項7のクリップ装着用治具は、請求項6記載のクリップ装着用治具において、前記フランジ用クリップは、対向配置され外側に折曲される一対の折曲部の端部に沿って移動することにより前記一対の折曲部に装着され、前記押込部材は、前記押込部材を前記折曲部に沿って案内する案内手段を有することを特徴とする。
【0009】
請求項8のクリップ装着用治具は、請求項7記載のクリップ装着用治具において、前記フランジ用クリップは、前記一対の折曲部の端部から突出する突出部を有し、前記押込部材は、前記突出部の端面に当接されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のダクトの接続方法では、少なくとも一対の外アングルフランジの対向する一辺に形成される一対の折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、折曲部に沿ってフランジ用クリップを移動させて一辺の外アングルフランジをフランジ用クリップにより締結するようにしたので、ダクトと天井等の構造物との間隙が小さい時にもダクトの接続を容易,確実に行うことができる。
【0011】
請求項2のダクトの接続方法では、一対の外アングルフランジの対向する一辺にのみ折曲部が形成され、この一辺のみがフランジ用クリップにより締結される。従って、他の三辺をボルトとナットあるいはリベット等により強固に締結することが可能になり、ダクトを強固に締結することができる。
請求項3のダクトの接続構造では、少なくとも一対の外アングルフランジの対向する一辺に形成される一対の折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、折曲部に沿ってフランジ用クリップを移動させて一辺の外アングルフランジをフランジ用クリップにより締結したので、ダクトと天井等の構造物との間隙が小さい時にもダクトの接続を容易,確実に行うことができる。
【0012】
請求項4のダクトの接続構造では、一対の外アングルフランジの対向する一辺にのみ折曲部が形成され、この一辺のみがフランジ用クリップにより締結される。従って、他の三辺をボルトとナットあるいはリベット等により強固に締結することが可能になり、ダクトを強固に締結することができる。
請求項5のダクトの接続構造では、折曲部が形成される一辺のアングル部材を、フランジ用クリップの移動方向に平行に他の2辺のアングル部材に溶接したので、溶接部にフランジ用クリップが接触することがなくなり、フランジ用クリップを円滑に移動することができる。
【0013】
請求項6のクリップ装着用治具では、振動付与手段により振動伝達棒を介して押込部材に振動を伝達し、押込部材の振動によりフランジ用クリップを打圧するようにしたので、フランジ用クリップを容易,確実に装着することができる。
請求項7のクリップ装着用治具では、案内手段により押込部材を折曲部に沿って案内するようにしたので、フランジ用クリップの端面の所定位置を常に安定して打圧することができる。
【0014】
請求項8のクリップ装着用治具では、フランジ用クリップに形成される突出部の端面を押込部材により打圧するようにしたので、押込部材によりフランジ用クリップの端面を確実に打圧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態を示している。この実施形態では、本発明が空調用のダクトに適用される。
この実施形態では、図1に示すように、四角形状の一対のダクト11の接続部に、それぞれ四角環状の外アングルフランジ13が固定されている。
【0016】
外アングルフランジ13のフランジ部13aには、上辺を除く残りの3辺にボルト穴13bが所定間隔を置いて形成されている。そして、外アングルフランジ13は、上辺を除く残りの3辺のみにおいて、ボルト15とナット17により締結されている。
外アングルフランジ13の上辺のフランジ部13aは、外側に向けて折曲され、折曲部13cが形成されている。そして、この一対の折曲部13cの上端部にフランジ用クリップ19が装着され、上辺のフランジ部13aの締結が行われる。この実施形態では、折曲部13cの端部には、フランジ用クリップ19の装着を容易にするために切欠部13eが形成されている。
【0017】
図2は、この実施形態のダクトの接続構造の詳細を示している。
ダクト11の外周には、外アングルフランジ13の取付部13dが嵌合されている。この取付部13dは、ダクト11の外周の4辺においてリベット21によりダクト11に固定されている。外アングルフランジ13のフランジ部13aの間には、パッキン23が配置されている。このパッキン23は、図3に示すように、外アングルフランジ13のフランジ部13aに沿って四角環状に形成されている。そして、外アングルフランジ13のフランジ部13aは、上辺を除いた3辺のみにおいてボルト15とナット17により締結されている。
【0018】
この実施形態では、外アングルフランジ13の上辺のフランジ部13aに形成される折曲部13cにフランジ用クリップ19が装着されている。このフランジ用クリップ19は、図3に示したように、折曲部13cの長手方向に所定間隔を置いて装着されている。
外アングルフランジ13は、図3に示したように、4本のアングル部材A1,A2,A3,A4を溶接Wして形成されている。そして、折曲部13cが形成されるアングル部材A1は、折曲部13cの長手方向に平行に他の2辺のアングル部材A2,A4に溶接Wされている。なお、この実施形態では、フランジ用クリップ19には、市販の共板フランジ用のクリップが使用され、このクリップに合わせて折曲部13cが折曲される。
【0019】
この実施形態では、ダクト11の接続部側の端部は、図2に示したように外側に折曲され外側フランジ11aが形成されている。この外側フランジ11aは、外アングルフランジ13の間に位置され、フランジ部13aに当接されている。そして、図3に示したように、外側フランジ11aの角部がシール剤25によりシールされている。
上述したダクトの接続構造では、一対のダクト11の接続が以下述べるようにして行われる。
【0020】
(1)先ず、予め折曲部13cが形成された外アングルフランジ13のフランジ部13aの所定の位置にパッキン23を貼着する。
(2)次に、ダクト11の接続部に固定される外アングルフランジ13のフランジ部13aを、上辺を除く3辺においてダクト11の外側からボルト15とナット17により締結する。
【0021】
(3)次に、図3に示したように、フランジ用クリップ19を、折曲部13cの長手方向に所定間隔を置いて装着する。この装着は、図1に示したように、フランジ用クリップ19をフランジ部13aの端部の切欠部13eに位置させ、折曲部13cに沿ってフランジ用クリップ19を移動させることにより行われる。この実施形態では、フランジ用クリップ19の移動には、断面コ字状をした長尺状の治具27が使用される。この治具27の先端をフランジ用クリップ19の端面の両側に当接して、治具27の後端を小槌29により叩くことにより、治具27とともにフランジ用クリップ19が折曲部13cに沿って移動される。この作業を繰り返すことにより複数のフランジ用クリップ19が折曲部13cに装着される。
【0022】
上述したダクトの接続構造では、外アングルフランジ13を上辺を除いた3辺のみにおいてダクト11の外側から締結するとともに、上辺の外アングルフランジ13を外側に向けて折曲して折曲部13cを形成し、一対の折曲部13cの端部にフランジ用クリップ19を装着し、折曲部13cに沿ってフランジ用クリップ19を移動させて上辺の外アングルフランジ13をフランジ用クリップ19により締結したので、図2および図3に示したように、ダクト11と天井31との間隙Lが小さい時にもダクト11の接続を容易,確実に行うことができる。
【0023】
また、折曲部13cが形成される上辺のアングル部材A1を、フランジ用クリップ19の移動方向に平行に他の2辺のアングル部材A2,A4に溶接Wしたので、溶接部にフランジ用クリップ19が接触することがなくなり、フランジ用クリップ19を円滑に移動することができる。
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態を示している。
【0024】
なお、この実施形態において第1の実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態では、建屋33内の空間35の上隅部にダクト11が敷設される。ダクト11の横幅は例えば120cm、縦幅は例えば50cmとされている。また、天井31からダクト11の上面までの距離は例えば10cmとされている。そして、外アングルフランジ13の上辺に形成される一対の折曲部13cがフランジ用クリップ37により締結される。一対の折曲部13cへのフランジ用クリップ37の装着は、台車39上の作業者41が操作するクリップ装着用治具43を用いて行われる。
【0025】
図5はクリップ装着用治具43の詳細を示している。
このクリップ装着用治具43は押込部材45を有している。押込部材45は、フランジ用クリップ37の端面に当接される押込部47と、押込部47を支持する支持部49を有している。支持部49には振動伝達棒51の一端が螺合され、押込部材45が振動伝達棒51に固定されている。振動伝達棒51の他端には、振動工具53が連結されている。振動工具53には例えば削岩機が使用される。振動工具53の操作部53aを指により操作してモータ(不図示)を作動することにより振動工具53の取付部53bが振動し、取付部53bに連結される振動伝達棒51に軸長方向の振動が付与される。そして押込部材45が振動する。
【0026】
図6は押込部材45の詳細を示している。
押込部47は四角形状の板状をしており、その下部には、押込部材45を一対の外アングルフランジ13の折曲部13cに沿って案内する案内凹部47aが形成されている。案内凹部47aの上方には円柱状の支持部49の一端が例えば溶接55により固定されている。支持部49の他端には螺子穴49aが形成されており、この螺子穴49aに振動伝達棒51に形成される螺子部51aが螺合されている。
【0027】
図7は振動伝達棒51の振動工具53の取付部53b側の詳細を示している。
振動伝達棒51の端部には連結部51bが例えば溶接により固定されている。連結部51bは例えば6角柱状をしており、振動工具53の取付部53bに形成される取付穴53cに嵌挿可能とされている。なお、この実施形態では、振動工具53には既製の削岩機が使用され、連結部51bの形状がこの削岩機の取付部53cに連結可能な形状とされている。
【0028】
図8は一対の外アングルフランジ13の折曲部13cにフランジ用クリップ37を装着している状態を示している。
フランジ用クリップ37は一対の折曲部13cと反対側に突出する三角状の突出部37aを有している。突出部37aの両側には挟持部37bが形成されている。この挟持部37bは折曲部13cに干渉しない角度で内側に向けて折曲されている。一対の挟持部37bの根元部37cの間隔は、一対の折曲部13cの先端の間隔より多少小さくされている。押込部材45の押込部47に形成される案内凹部47aは、一対の折曲部13cの外側を囲む逆三角形形状とされ、押込部材45が折曲部13cに沿って案内される。押込部材45の支持部49は案内凹部47aの上方に固定されている。そして、この支持部49に重なる位置にフランジ用クリップ37の突出部37aが位置されている。これにより、フランジ用クリップ37の突出部37aおよび挟持部37bを確実に打圧することができる。
【0029】
この実施形態では、一対の外アングルフランジ13の折曲部13cへのフランジ用クリップ37の装着が以下述べるようにして行われる。
(1)先ず、図9に示すように、一対の外アングルフランジ13に対向して形成される一対の折曲部13cに、フランジ用クリップ37をハンマー57により打ち込む。このフランジ用クリップ37の打ち込みは、図10に示すように、フランジ用クリップ37の後端37dが一対の折曲部13cの後端より例えば2〜3cm程度内側になるまで行う。
【0030】
(2)次に、図11に示すように、クリップ装着用治具43の押込部材45を一対の折曲部13cの後端に位置させ、押込部材45の押込部47に形成される案内凹部47aを一対の折曲部13cに嵌合する。そして、クリップ装着用治具43を先方に移動すると押込部47がフランジ用クリップ37に当接し、図8に示したような状態になる。この状態から振動工具53を作動すると押込部材45が振動しフランジ用クリップ37の端面を打圧する。そして、打圧しながらクリップ装着用治具43を一対の折曲部13cに沿って移動すると図12に示すようにフランジ用クリップ37が一対の折曲部13cの所定の位置まで移動する。
【0031】
(3)この操作を繰り返すことにより、図13に示すように、一対の折曲部13cに複数のフランジ用クリップ37を所定間隔を置いて装着する。
なお、改修工事等でダクト11を取り外す時には、図14に示すように、クリップ装着用治具43によりフランジ用クリップ37を先端側に移動し、一対の折曲部13cの先端からフランジ用クリップ37を離脱することによりフランジ用クリップ37を取り外すことが可能になる。これにより、フランジ用クリップ37を別途制作した治具により手前側に引き抜くという困難な作業を無くすことができる。
【0032】
この実施形態では、振動工具53により振動伝達棒51を介して押込部材45に振動を伝達し、押込部材45の振動によりフランジ用クリップ37を打圧するようにしたので、フランジ用クリップ37に安定した打圧を容易に加えることが可能になり、安全に短時間での施工を行うことができる。また、フランジ用クリップ37の真横に振動伝達棒51を位置させることができるため、天井31面すれすれの作業が可能になる。
【0033】
そして、押込部材45の押込部47に形成される案内凹部47aにより押込部材45を折曲部13cに沿って案内するようにしたので、フランジ用クリップ37の突出部37aの端面を常に安定して打圧することができる。また、突出部37aの端面に平均して打圧が作用するため、フランジ用クリップ37の端面が打圧により変形することを確実に防止することができる。また、押込部材45が折曲部13cから離脱することがないため、天井31等を損傷することを確実に防止することができる。
【0034】
そして、フランジ用クリップ37に形成される三角形状の突出部37aの端面を押込部材45の押込部47により打圧するようにしたので、押込部材45によりフランジ用クリップ37の端面を強固かつ確実に打圧することができる。
(第2の実施形態の変形例1)
第2の実施形態では、クリップ装着用治具43の振動伝達棒51の長さを長くして、振動伝達棒51の長さを変えることなくフランジ用クリップ37を所定間隔を置いて一対の折曲部13cに装着した例について説明したが、図15に示すように振動伝達棒51の長さを変えてフランジ用クリップ37を装着するようにしても良い。
【0035】
図15では、フランジ用クリップ37の装着位置に応じて、長さの異なる振動伝達棒51A,51B,51C,51Dが用意されている。そして、先ず、図15の(a)に示すように、長さの最も長い振動伝達棒51Aを使用してフランジ用クリップ37が先端側の所定位置に装着される。そして、図15の(b)、(c)、(d)に示すように、順次長さの短い振動伝達棒51B,51C,51Dを使用してフランジ用クリップ37の装着が行われる。
【0036】
このようにすることにより、フランジ用クリップ37を所定位置に確実に装着することができる。
(第2の実施形態の変形例2)
第2の実施形態では、フランジ用クリップ37を所定間隔を置いて一対の折曲部13cに装着した例について説明したが、図16に示すようにフランジ用クリップ37を連続して装着するようにしても良い。
【0037】
図16では、先ず、図16の(a)に示すように、長さの比較的短い振動伝達棒51Eを使用してフランジ用クリップ37が手前側の所定位置に装着される。そして、図16の(b)、(c)、(d)に示すように、順次フランジ用クリップ37を手前側に装着することにより先方のフランジ用クリップ37が移動し、フランジ用クリップ37が連続して装着される。
【0038】
このようにすることにより、長さの比較的短い振動伝達棒51Eのみによりフランジ用クリップ37を装着することができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
【0039】
(1)上述した実施形態では、外アングルフランジ13の一辺にのみ折曲部13cを設け、この折曲部13cをフランジ用クリップ19,37により締結した例について説明したが、例えば図17に示すように、外アングルフランジ13の二辺に折曲部13c,13fを設け、この二辺の折曲部13c,13fをフランジ用クリップ19,37により締結しても良い。また、例えば図18に示すように、外アングルフランジ13の四辺に折曲部13c,13f,13g,13hを設け、この四辺の折曲部13c,13f,13g,13hをフランジ用クリップ19,37により締結しても良い。
【0040】
(2)上述した実施形態では、外アングルフランジ13の折曲部13cに複数のフランジ用クリップ19,37を装着して外アングルフランジ13を締結した例について説明したが、長さの長い1本のフランジ用クリップ19,37により外アングルフランジ13を締結しても良い。
(3)上述した実施形態では、ダクト11と天井31との間隙が小さい時に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、例えば、ダクト11と壁面あるいは床面等の構造物との間隙が小さい時にも適用することができる。そして、壁面側との間隔が小さい時には、ダクト11の壁面側にフランジ用クリップを設け、床面側との間隔が小さい時には、ダクト11の床面側にフランジ用クリップを設ければ良い。
【0041】
(4)上述した実施形態において、フランジ用クリップ19,37の外アングルフランジ13との当接面に潤滑剤を塗布、あるいは、フッ素樹脂加工を行うことによりフランジ用クリップ19,37の移動をより円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のダクトの接続構造の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のダクトの接続構造を示す横断面図である。
【図3】図1のダクトの接続構造を示す正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【図5】図4のクリップ装着用治具を示す説明図である。
【図6】図4の押込部材の詳細を示す説明図である。
【図7】図4の振動伝達棒の振動工具側の詳細を示す説明図である。
【図8】図4の押込部材を一対の折曲部に取り付けた状態を示す説明図である。
【図9】フランジ用クリップを打ち込んでいる状態を示す説明図である。
【図10】打ち込み後のフランジ用クリップの位置を示す説明図である。
【図11】一対の折曲部にクリップ装着用治具の押込部材を取り付けた状態を示す説明図である。
【図12】一対の折曲部にフランジ用クリップを装着した状態を示す説明図である。
【図13】一対の折曲部にフランジ用クリップを装着した状態を示す説明図である。
【図14】フランジ用クリップの取り外し方法を示す説明図である。
【図15】第2の実施形態の変形例を示す説明図である。
【図16】第2の実施形態の変形例を示す説明図である。
【図17】外アングルフランジの二辺に折曲部を形成した例を示す説明図である。
【図18】外アングルフランジの四辺に折曲部を形成した例を示す説明図である。
【図19】外アングルフランジを用いた従来のダクトの接続構造を示す説明図である。
【図20】従来のダクトの接続構造の問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
11 ダクト
11a 外側フランジ
13 外アングルフランジ
13a フランジ部
13b ボルト穴
13c,13f,13g,13h 折曲部
15 ボルト
17 ナット
19,37 フランジ用クリップ
21 リベット
13d 取付部
23 パッキン
25 シール剤
27 治具
37a 突出部
43 クリップ装着用治具
45 押込部材
47 押込部
47a 案内凹部
51 振動伝達棒
53 振動工具
A1,A2,A3,A4 アングル部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の一対のダクトの接続部にそれぞれ固定される四角環状の外アングルフランジをパッキンを介して締結するダクトの接続方法において、
少なくとも前記一対の外アングルフランジの対向する一辺を外側に向けて折曲して折曲部を形成し、一対の前記折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、前記折曲部に沿って前記フランジ用クリップを移動させて前記一辺の外アングルフランジを前記フランジ用クリップにより締結することを特徴とするダクトの接続方法。
【請求項2】
請求項1記載のダクトの接続方法において、
前記折曲部が、前記一対の外アングルフランジの対向する一辺にのみ形成されていることを特徴とするダクトの接続方法。
【請求項3】
四角形状の一対のダクトの接続部にそれぞれ固定される四角環状の外アングルフランジをパッキンを介して締結してなるダクトの接続構造において、
少なくとも前記一対の外アングルフランジの対向する一辺を外側に向けて折曲して折曲部を形成し、一対の前記折曲部の端部にフランジ用クリップを装着し、前記折曲部に沿って前記フランジ用クリップを移動させて前記一辺の外アングルフランジを前記フランジ用クリップにより締結してなることを特徴とするダクトの接続構造。
【請求項4】
請求項3記載のダクトの接続構造において、
前記折曲部が、前記一対の外アングルフランジの対向する一辺にのみ形成されていることを特徴とするダクトの接続構造。
【請求項5】
請求項4記載のダクトの接続構造において、
前記外アングルフランジは、4本のアングル部材を溶接して形成され、前記一辺のアングル部材は、前記フランジ用クリップの移動方向に平行に他の2辺のアングル部材に溶接されていることを特徴とするダクトの接続構造。
【請求項6】
フランジ用クリップの端面に当接される押込部材と、
前記押込部材が一端に固定される長尺状の振動伝達棒と、
前記振動伝達棒の他端に連結され前記振動伝達棒に軸長方向の振動を付与する振動付与手段と、
を有することを特徴とするクリップ装着用治具。
【請求項7】
請求項6記載のクリップ装着用治具において、
前記フランジ用クリップは、対向配置され外側に折曲される一対の折曲部の端部に沿って移動することにより前記一対の折曲部に装着され、
前記押込部材は、前記押込部材を前記折曲部に沿って案内する案内手段を有することを特徴とするクリップ装着用治具。
【請求項8】
請求項7記載のクリップ装着用治具において、
前記フランジ用クリップは、前記一対の折曲部の端部から突出する突出部を有し、
前記押込部材は、前記突出部の端面に当接されることを特徴とするクリップ装着用治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−90692(P2006−90692A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35930(P2005−35930)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】