説明

ダクト接合部のシール構造

【課題】ダクトに接続される熱交換器のメンテナンス性及びシール性を向上することができるダクト接合部のシール構造を提供する。
【解決手段】
一方のダクト20の端部に設けられた第一フランジ部21と、一方のダクト20に対して回動可能に接合された他方のダクト10の端部に設けられ、第一フランジ部21に対向して配置される第二フランジ部11と、第一フランジ部21に設けられ、第二フランジ部11と対向しない一側に形成された第一傾斜部22と、第二フランジ部11に設けられ、第一フランジ部21と対向しない一側に形成された第二傾斜部12と、傾斜部12,22に接してダクト10,20を接合するクランプ30と、フランジ部11,21とクランプ30との間に介装された環状のシール50と、シール50の座としてシール50とクランプ30との間に介装されたワッシャー40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を圧送するダクトの接合部のシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、バス等の車両では、車体後部にエンジンルームが設けられ、このエンジンルーム内にエンジン,エンジン冷却水を冷却するラジエータ,クラッチ及びトランスミッション等が配設される。過給器が装備される場合、圧縮された高温吸気の放熱を行なうチャージエアクーラもエンジンルームに配設される。
特にバス等の車両では、車両における乗員のスペースを確保すべくエンジンルームの空間は限られた狭い空間となっている。このため、できるだけ無駄のない配置とすべくラジエータとチャージエアクーラとを冷却風の流れに沿って直列に配設したものがある。例えば、これらのラジエータ,チャージエアクーラの熱交換器は、車両に設けられた開口部の内側に配設されるとともに、冷却ファンで車両外方から冷却風を吸い込み、その冷却風をこれらの熱交換器のコアへ通して冷却を行なう。なお、特許文献1,2には、ラジエータとチャージエアクーラとを冷却風の流れに沿って直列に配設する技術が示されている。
【0003】
冷媒や吸入空気といった流体の熱交換器による冷却は、この流体を熱交換器のコアを通過させて熱交換させることで行なわれる。熱交換器のコアには、高温の冷却すべき流体が圧送される上流側のダクトと、熱交換して冷却された流体を圧送する下流側のダクトとが接続される。そのため、ダクトの接合部から流体が漏れないようにシールすることが一般的である。
【0004】
そこで、ダクト同士を接合する場合に、この接合部の外周にパッキンを巻き付け、このパッキンを金属クランプにより締付けることで、ダクトの接合部をシールする技術が、特許文献3に示されている。
なお、この技術では、ダクトの端部のフランジ部を矩形の凸部に形成し、矩形の凸部の円筒外周面にパッキンを圧接することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010−505692号公報
【特許文献2】特開2008−302734号公報
【特許文献3】特許3468812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両外部から塵や粉塵が混入した外気を冷却風として吸い込み続けると、熱交換器のコアが目詰まりして冷却効率が低下するおそれがある。そのため、定期的に熱交換器のコアを清掃する等のメンテナンスが必要となる。
ただし、特許文献1,2において冷却風下流側の熱交換器へアクセスするためには、冷却風上流の熱交換器を取り外さなければならず、メンテナンス効率が悪化してしまう。ここで、熱交換器自体を支持する締結部材等を取り外すだけでは、熱交換器を取り外すことができない。すなわち、ダクトが熱交換器に接続されているため、このダクトも取り外さなければ熱交換器は取り外すことができない。
【0007】
そこで、冷却風下流側の熱交換器のメンテナンスをする場合、冷却風下流側の熱交換器へのアクセスを良くしメンテナンス性を向上するために、冷却風上流側の熱交換器を開閉自在にすることが考えられる。
例えば、チャージエアクーラに接続されるダクトを分割して接合し、メンテナンス時には、ダクト接合部の締結力を緩めることで可動するダクトに接続された熱交換器を開閉自在とし、流体が圧送される通常運転時には、接合部をシールして締結することが考えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献3のようにダクト接合部をシールする場合、ダクトの端部に形成されたフランジ部が矩形の凸部であるため、クランプの締結力がダクト同士を互いに接合面に対して垂直に近接する方向へと作用せず、特に、流体が圧送されるダクト同士の接合においてはシール性に不安が残る。
本発明は、かかる課題に鑑み創案されたものであり、ダクトに接続される熱交換器のメンテナンス性及びシール性を向上することができるダクト接合部のシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のダクト接合部のシール構造は、一方のダクトの端部に設けられた第一フランジ部と、前記一方のダクトに対して回動可能に接合された他方のダクトの端部に設けられ、前記第一フランジ部に対向して配置される第二フランジ部と、前記第一フランジ部に設けられ、前記第二フランジ部と対向しない一側に形成された第一傾斜部と、前記第二フランジ部に設けられ、前記第一フランジ部と対向しない一側に形成された第二傾斜部と、前記第一傾斜部と前記第二傾斜部とに接して前記一方のダクトと前記他方のダクトとを接合するクランプと、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部と前記クランプとの間に介装された環状のシールと、前記シールの座として前記シールと前記クランプとの間に介装されたワッシャーとを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、前記一方のダクトと前記他方のダクトとが接合されて接するフランジ面が、互いに対応する形状の凹凸部を有することが好ましい。
また、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部が、前記シールが圧接する凹部を具備することが好ましい。
また、前記シールが、前記ワッシャーと一体に接着されていることが好ましい。
【0011】
また、前記ワッシャーが、切断された環の両端を重合してなる形状に形成され、前記シールが、途切れた環状に形成されることが好ましい。
また、重合する前記ワッシャーの両端の板厚が、両端以外の部位の板厚よりも小さいことが好ましい。
また、前記シールが、環状であってもよい。
【0012】
また、前記クランプが、前記第一傾斜部及び前記第二傾斜部に接する複数の断面V字部と、前記断面V字部がそれぞれ隣り合う間に形成される切れ目部とを有し、前記ワッシャーは、前記切れ目部に掛止される突起部が形成されていることが好ましい。
また、前記一方のダクト及び前記他方のダクトが、熱交換器に接続され、前記熱交換器へ気体が流入する流入側に接続された前記ダクトを接合する上流側クランプに介装される上流側シールが、前記熱交換器から気体が流出する流出側に接続された前記ダクトを接合する下流側クランプに介装された下流側シールよりも耐熱性の高い材質からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のダクト接合部のシール構造によれば、クランプは第1傾斜部及び第2傾斜部に接して一方のダクトと他方のダクトとを接合するため、クランプを締結することで一方のダクトと他方のダクトとを近接する力が同時に作用し、ダクト接合部を確実にシールすることができる。
クランプと第1及び第2フランジ部との間にはシール及びワッシャーが介装されるため、フランジ面にシールを介装することなくダクト接合部を確実にシールすることができる。
【0014】
また、クランプを緩めると、一方のダクトと他方のダクトとを近接させる力が作用しておらず、他方のダクトは一方のダクトに対して回動することができる。
互いに対応する凹凸部がガイドとして機能し、他方のダクトが一方のダクトに対して安定して回動することができる。
回動時に摺接するフランジ面にシールを介装することなく、フランジ面の凹凸部がダクト接合部をシールすることができる。
【0015】
シールが圧接される凹部が形成されているため、シールを安定して介装することができ、安定して確実にシールすることができる。汎用のOリングをシールとして用いることもできる。
ワッシャーとシールとは一体に接着されているため、クランプを緩めてもフランジ部にシールのみ貼り付くことを防止することができる。これにより、メンテナンス性を向上することができる。
【0016】
ワッシャーの端部が重合する途切れた環状であれば、全周に亘って安定してシールの座として機能することができ、シール性を向上することができる。一方又は他方のダクトを取り外すことなくシール及びワッシャーの装着や交換することができ、ダクト接合部のメンテナンス性が向上する。
シールが環状であれば、接合部の全周に亘って安定してシールすることができる。環状の汎用シールを用いることができる。
【0017】
クランプが切れ目部を有し、ワッシャーには突起部が形成されているため、途切れた環状のワッシャー及びシールであっても、クランプの締結力の大きい箇所にワッシャー及びシールの途切れた箇所(通常であれば、シール性能のボトルネックとなる箇所)を設定することで、ダクト全周に亘るシール性能のバラツキを抑制することができ、シールを確実にすることができる。
【0018】
ワッシャーの重合する端部が徐々に薄く形成されることで、ワッシャーの厚みのばらつきを抑えることができ、全周に亘って安定してシールすることができる。
上流側クランプに介装される上流側シールは、下流側クランプに介装された下流側シールよりも耐熱性の高い材質からなるシールであるため、熱負荷に応じたシールを適宜配設することとなり、例えば、上流側及び下流側シールの交換頻度のバラツキを抑制し、メンテナンス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかるダクト接合部の要部を拡大して模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるダクト接合部を締結するクランプを示す図であり、(a)はクランプの斜視図,(b)はクランプの正面図,(c)は(b)のA断面を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるダクト接合部が適用される熱交換器及びその周辺構造を模式的に示す図であり、(a)は上面図,(b)車外方向からのチャージエアクーラの正面図,(c)車体前方からの側面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるクランプの締結力分布を模式的に示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるクランプの変形例を示す正面図であり、(a)はクロージャ単式V字部3ピース型クランプ,(b)はクイックレリーズクロージャ単式V字部2ピース型クランプ,(c)はクロージャ複式V字部2ピース型クランプを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるシール及びワッシャーの変形例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
〔1.エンジンルームの構成〕
図1〜図6は、本発明の一実施形態にかかるダクト接合部のシール構造を説明するもので、図1はダクト接合部の要部を拡大して模式的に示す断面図、図2(a)〜(c)はダクト接合部を締結するクランプを示す図、図3(a)〜(c)はダクト接合部が適用される熱交換器及びその周辺構成を模式的に示す図、図4はクランプの締結力分布を模式的に示す図、図5(a)〜(c)はクランプの変形例を示す正面図、図6はシール及びワッシャーの変形例を示す図表である。
なお、図3(a)の紙面右が車両前方,紙面下が車外方向、(b)の紙面手前が車外方向,紙面右が車両前方、(c)の紙面手前が車両前方,右方向車内方向である。
【0021】
本発明のダクト接合部は、例えば、車体後部にエンジンルームが設けられたバス等に適用される。図3(a)に示すように、このバスの車両後部の側面9bには開口部9が設けられ、開口部9の内部にエンジンルームが形成される。開口部9は、外気を冷却風としてエンジンルームに導入するための外気取込口として機能する。なお、冷却風を取り込むためのスリット,通気口等が穿孔されたリッド9aをこの開口部9に取り付けてもよい。例えば、開口部9の外縁をなす側面9bに対してリッド9aを回動自在に軸支させ、開口部9を開閉自在とすることが考えられる。この場合、エンジンルーム内のメンテナンス時にリッド9aを開放すれば、メンテナンス作業者は車外からエンジンルーム内の各種装置にアクセスすることが可能となる。
【0022】
エンジンルーム内には、車外から車内方向に向かう順に、チャージエアクーラ1,ラジエータ2,冷却ファン3,冷却ファン3を支持するリテーナ4,エンジンEが配置される。なお、その他のシュラウド,クラッチ,トランスミッション,過給機等の装置については図示及び説明を省略する。
チャージエアクーラ1は、過給器で加圧された高温の吸気(流体)を冷却する熱交換器であり、ラジエータ2は、エンジン冷却水を冷却する熱交換器である。
【0023】
チャージエアクーラ1及びラジエータ2はそれぞれ、バスの側面9bと平行に配置される。つまり、チャージエアクーラ1は、ラジエータ2に対向した状態で開口部9の正面に設置される。したがって、開口部9から導入される冷却風は、チャージエアクーラ1及びラジエータ2に対して垂直に流通する。
チャージエアクーラ1には、図3(b)に示すように、多数の放熱フィンが形成された冷却コア1Aが設けられる。放熱フィンの内部には冷却対象である吸気が流通し、放熱フィンの外部には冷却風が流通する。吸気と冷却風との間の熱交換は冷却コア1Aでなされる。また、チャージエアクーラ1は、冷却コア1Aの下方側部に上流側タンク10A(他方のダクト)を有し、冷却コア1Aの上方側部に下流側タンク10B(他方のダクト)を有している。
【0024】
上流側タンク10Aは、過給器へと繋がる上流側ダクト20Aに対してクランプ30で接続された部位である。過給器から導入される吸気は、上流側タンク10Aで冷却コア1Aの各放熱フィンに対して分配される。
下流側タンク10Bは、エンジンE側へと繋がる下流側ダクト20Bに対してクランプ30で接続された部位である。冷却コア1Aを通過して冷却された吸気は下流側タンク10B内で合流し、図示しないスロットルバルブ,インテークマニホールドを経てエンジンシリンダへと導入される。
【0025】
ラジエータ2には、チャージエアクーラ1と同様に、冷却コア(図示省略)が設けられる。ラジエータ2の冷却コアは、エンジン冷却水と冷却風との間で熱交換を行う。また、ラジエータ2は、支持フレーム5に対してナットボルト等の適宜の締結部材で締結固定され、支持される。なお、支持フレーム5はエンジンルームの床面及び上面に固定された部材である。
【0026】
冷却ファン3は、外気を冷却風としてエンジンルーム内へ取り込む吸い込み式の軸流ファンである。エンジンEはこの冷却ファン3よりも冷却風の下流側に配置され、一方、チャージエアクーラ1及びラジエータ2は冷却ファン3よりも上流側に配置される。
リテーナ4は、冷却ファン3を支持する。
図示しないシュラウドは、冷却風の流路を制限する整流板として機能する。
【0027】
支持フレーム5はチャージエアクーラ1も支持する。すなわち、上流側タンク10Aに設けられた上流側支持部19Aにボルトナット等の適宜の締結部材を適用することで、支持フレーム5の下方車外側の側部と上流側支持部19Aと締結し、上流側支持部19Aが設けられた上流側タンク10Aを有するチャージエアクーラ1を支持する。同様に、支持フレーム5は、下流側タンク10Bに設けられた下流側支持部19Bを介して、支持フレーム5の上方車外側の側部と下流側支持部19Bとが締結されて、下流側支持部19Bが設けられた下流側タンク10Bを有するチャージエアクーラ1を支持する。なお、チャージエアクーラ1は、これらの支持部19A,19Bと後述する接合部100とにより全体を支持される。
【0028】
支持フレーム5はダクト20A,20Bも支持する。すなわち、上流側ダクト20Aに設けられた上流側ダクト支持部29Aにボルトナット等の適宜の締結部材を適用することで、支持フレーム5の車両前方側の側部と上流側ダクト支持部29Aが設けられた上流側ダクト20Aとを締結して支持する。同様に、支持フレーム5は、支持フレーム5の車両前方側の側部と下流側ダクト支持部29Bが設けられた下流側ダクト20Bとを締結して支持する。
【0029】
これらの上流側タンク10A及び上流側ダクト20A並びに下流側タンク10B及び上流側ダクト20Bは、接合部100で接合される。すなわち、別体として形成されている各タンク10A,10B及び各ダクト20A,20Bは、接合部100で接合されて、吸気をチャージエアクーラ1のコア1A又はスロットルバルブへと圧送するように構成される。
【0030】
〔2.接合部の構成〕
接合部100は、クランプ30,ワッシャー40及びシール50により接合される部分及びその周縁である。なお、この接合部100の構成は、上流側タンク10A及び上流側ダクト20Aであっても、下流側タンク10B及び上流側ダクト20Bであっても同様の構成であるため、上流側タンク10A及び下流側タンク10Bを単にタンク10とし、上流側ダクト20A及び下流側ダクト20Bを単にダクト20として説明する。なお、タンク10及びダクト20は適宜の金属材料からなり、例えばアルミニウムを材質とする。
【0031】
図1に示すように、接合部100は、タンク10及びダクト20とクランプ30との間にワッシャー40及びシール50が介装される。なお、図1の接合部100は、クランプ30が締結されたタンク10及びダクト20の接合時を示しており、鉛直方向は紙面左右方向である。
【0032】
〔2−1.クランプ〕
図2に示すように、クランプ30は、カバーバンド31,V字部(断面V字部)32及びクロージャ33から構成される。これらのクランプ30の構成要素31,32,33は適宜の金属から形成される。例えば、カバーバンド31及びV字部32はステンレス鋼を材質とすることができ、クロージャ33はステンレス鋼,亜鉛メッキ軟鋼を材質とすることができる。
【0033】
クロージャ33は、クランプ30の締結力を発生させるものである。このクロージャ33は第1軸受331と、第2軸受332と、座部333と、ボルト334とを有している。
ボルト334は、その頭部を座部333に係止される。座部333は中空に形成され、ボルト334を挿通される。なお、ボルト334は、その他のボルト,ナット等の適宜の締結部材を用いてもよい。
【0034】
第1軸受331は、座部333に隣接して設けられ、座部333が係止するボルト3334の頭部から作用する軸力を支持する。
第2軸受332はボルト334が螺装される。つまり、ボルト334の頭部から作用する軸力の反力を支持する。カバーバンド31は、クランプ30の締結力をV字部32へ伝達するものである。このカバーバンド31はクランプ30の外周に設けられ、カバーバンド31の内周にはV字部32が設けられる。これらのカバーバンド31及びV字部32は、リベット加工,溶接等により互いに固定されている。
【0035】
カバーバンド31の一端には、クロージャ33の第1軸受331が軸支され、カバーバンド31の他端には第2軸受332が軸支されている。すなわち、クロージャ33のボルト334を締めこむと、カバーバンド31の一端に設けられた第1軸受331および他端に設けられた第2軸受332が近接する方向に軸力が作用する。
V字部32は、カバーバンド31から伝達された締結力を締結する部材へ伝達するものである。このV字部32は、図2(b)の矢視Aの断面図である(c)に示すように、その断面がV字に形成されている。V字部32は、第1側部32a,底部32c,第2側部32b,ハット部32dから構成されている。V字部32は、底部32cを中心に左右対称に形成されている。すなわち、第1側部32a及び第2側部32bはカバーバンド31に対して同じ角度θだけ傾いている。なお、この角度は、後述するタンクランプ12及びダクトランプ22の傾斜の角度θと略同じとなるように設定される。
【0036】
V字部32は、クランプ30のカバーバンド31の内周面に固定されており、周方向に分割されて複数設けられる。例えば、図2(b)に示すように、第1V字部321,第2V字部322,第3V字部323の3つのV字部32が設けられている。これらの各V字部321,322,323の間にはV字部が連続していない部分である切れ目部35が設けられている。例えば、第1V字部321及び第2V字部322の間に切れ目部35が設けられ、同様に第2V字部322及び第3V字部323の間,第1V字部321及び第3V字部323の間にも切れ目部35が設けられている。
【0037】
切れ目部35の円周方向の寸法Wは、クロージャ33を締めると小さく(円周方向に短く)なり、緩めると大きく(円周方向に長く)なる。ただし、クロージャ33を最大限締めても、切れ目部35は無くならない。つまり、何れの各V字部321,322,323同士が接することは無いように、切れ目部35は形成されている。
クロージャ33を締めこんでクランプ40によりタンク10及びダクト20を締結する場合、図4に示すように、クランプ30から内向き(半径方向)に作用する締結力の分布39は、クランプ30の中心点Cに対してカバーバンド31の端部とほぼ90度をなす位置で最大となり、カバーバンド31の端部及びカバーバンド31の端部から時計回りに180度移動した位置で最小となる。すなわち、カバーバンド31の端部から時計回り及び反時計回りに90度近傍に近づくにつれ締結力が大きくなり、この90度近傍から180度に近づくにつれ締結力が小さくなる。
【0038】
〔2−2.タンク及びダクト〕
図1に接合部100の断面を拡大して示す。タンク10の端部には、つば状の縁が円筒の全周に亘るタンクフランジ11が形成され、同様に、ダクト20の端部にはつば状の縁が円筒の全周に亘るダクトフランジ21が形成される。
これらのタンクフランジ11及びダクトフランジ21が接合する面であるタンク接合面15(フランジ面)及びダクト接合面25(フランジ面)には、互いに対応する凹凸部16,26が形成されている。この凹凸部16,26は全周に亘って同じ形状となっている。すなわち、クランプ30を緩めた場合、ダクト支持部29A,29Bにより固定されたダクト20に対してタンク10が回動できるように構成される。
【0039】
これらの接合面15,25は水平に形成されており、タンク10を介してチャージエアクーラ1の一部又は全体を支持する。
タンクフランジ11は、タンクランプ(第2傾斜部)12,タンク頂面13も有している。
タンクランプ12は、タンク10の端部のつば状の縁が、タンク10がその端部に向けて延在する方向に対し傾斜して立ち上がる部分である。この傾斜角度θはクランプ30の第1側部32aのカバーバンド31に対する角度θと略同じとなるように設定される。
【0040】
タンク頂面13は、タンクランプ12とタンク接合面15との間に形成されるタンク10の円筒外面であり、タンク凹部14を有している。
タンク凹部14は、タンク頂面13のタンク接合面15側に接して形成された凹部であり、タンク頂面13の一部又は全部に形成される。タンク凹部14の接合面15,25に対して垂直方向の断面形状は、例えば、1/4楕円弧としてもよいし、タンク頂面13及びタンク凹部14を滑らかに連続する曲線形状としてもよい。
【0041】
同様に、ダクトフランジ21はダクトランプ(第1傾斜部)22,ダクト頂面23を有している。ダクトランプ22は、ダクト20の端部のつば状の縁が、ダクト20がその端部に向けて延在する方向に対し傾斜して立ち上がる部分である。この傾斜角度θはクランプ30の第2側部32bのカバーバンド31に対する角度θと略同じとなるように設定される。つまり、ダクトランプ22は、接合面15,25に対してタンクランプ12と左右対称に形成されている。
【0042】
ダクト頂面23は、ダクトランプ22とダクト接合面25との間に形成されるダクト20の円筒外面であり、ダクト凹部24を有している。これらのダクト頂面23及びダクト凹部24は、接合面15,25に対してタンク頂面13及びタンク凹部14と左右対称に形成される。
接合面15,25が接した状態で、これらのタンク凹部14およびダクト凹部24は滑らかに連続するように形成される。
【0043】
また、タンクランプ12及びダクトランプ22は、クランプ30のV字部32と接している。つまり、タンクランプ12はV字部32の第1側部32aと接し、ダクトランプ22は第2側部32bと接している。なお、V字部32のハット部32dはフランジ11,21にもどこにも接しない。
【0044】
〔2−3.ワッシャー及びシール〕
タンクフランジ11及びダクトフランジ21とクランプ30との間にはワッシャー40及びシール50が介装される。すなわち、クランプ30のV字部32の底部32cとワッシャー40とが隣接し、ワッシャー40とシール50とが隣接し、シール50とタンク凹部14及びダクト凹部24とが隣接する。ワッシャー40とシール50とは隣接するとともに、一体に形成されている。シール50をワッシャー40に射出成形して加硫接着することで一体に形成してもよく、単にシール40とワッシャー50とを接着剤等により接着して一体に形成してもよい。
【0045】
一体に接着されたワッシャー40及びシール50の円周方向垂直の断面の長さ(厚み)は、タンク10及びダクト20の接合時のV字部32の底部32cと凹部14,24又は頂面13,23との円周方向垂直の断面の長さよりもシール50の弾性変形分だけ長く設定される。
ワッシャー40は、例えば図6の(5)に示すように断面矩形の平らな板が環状に形成されたものである。なお、図6(5)〜(8)に示すワッシャー40は、クランプ30の締結時の形状を示している。
【0046】
ワッシャー40は、内周面である内面41,外周面である外面42及び端部43を有している。
図6(5)に示すように、ワッシャー40は締結力が外周から作用するとその直径が縮小して端部43が重合して連続した環状となるように形成されている。一方、締結力が作用していない場合、ランドルト環のように切れ目の入った環状となり、締結力が外周から作用していないワッシャー40の外寸は締結力の作用しているワッシャー40の外寸よりも大きい。すなわち、ワッシャー40に対して外周からの締結力が作用しなくなると、ワッシャー40の復元力で拡径するように形成されている。
【0047】
また、ワッシャー40の切れ目に隣接する端部43は、その板厚が端部43以外の部位の板厚よりも小さく形成され、例えば、徐々に薄くなるように形成されている。つまり、端部43を重合させると内面41が円筒面状に連続するとともに、外面42が円筒面状に連続するように形成されている。これらの内面41及び外面42が連続する場合(クランプ30により締結される場合)、内面41と外面42との半径の差であるワッシャー40の厚みは全周に亘って等しくなるように形成されている。
【0048】
シール50は、例えば図6(1)に示すように断面O型の環状に形成されたものである。このシール50aはO型底部51aと、O型頂部52aとを有している。なお、図6(1)〜(4)に示すシール50は、ゴム等の弾性材料からなり、切れ目の入った環状に形成されたものである。シール50の底部51の長手方向の長さはワッシャー40の内面41の長手方向の長さと略等しく形成され、シール50の切れ目の入ったシール端部とワッシャー40の端部43とは対応して一体形成される。シール50の切れ目の形状は、平面であっても曲面であってもこれらの組み合わせでもよい。
【0049】
O型底部51aは、タンク10及びダクト20の接合時にワッシャー40の内面41と圧接する部分であり、O型頂部52aは、タンク10及びダクト20の接合時に凹部14,24と圧接する部分である。なお、図1に示すシール50は、シール50aを用いている。
【0050】
〔3.作用・効果〕
本発明の一実施形態にかかるダクト接合部のシール構造は上述のように構成されるため、以下のような作用・効果を奏する。
【0051】
例えばメンテナンス時に、チャージエアクーラ1を回動させるためには、まず、支持部19A,19Bに適用された締結部材を取り外す。このとき、チャージエアクーラ1は、タンク10のタンク接合面15を介してダクト接合面25に支持されている。
つぎに、ダクト接合部100のクランプ30をそれぞれ緩める。すなわち、クランプ30のクロージャ33のボルトやレバー等を緩める。
【0052】
クランプ30を緩めることにより、タンク10とダクト20とを近接する力が作用しなくなるとともに、クランプ30の締結時には圧接されて弾性変形していたシール50が復元し、凹部14,24にも力が作用しなくなる。また、外周からの締結力が作用しなくなったワッシャー40は復元して拡径するとともに、ワッシャー40と一体に接着されたシール50もワッシャー40の拡径に伴って凹部14,24から離れる。ただし、このとき接合面15,25に形成された凹凸部16,26によりタンク10はダクト20から外れることがない。なお、通常運転時には、上記の逆の手順でチャージエアクーラ1を固定する。
【0053】
したがって、接合面15,25のみによりチャージエアクーラ1が支持されている場合に、チャージエアクーラ1を回動することができる。すなわち、タンク10を介して回動可能に支持されたチャージエアクーラ1を開閉することができる。これにより、チャージエアクーラ1の直列車内側に対向して配設されたラジエータ2へのアクセスすることができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0054】
また、クランプ30が締結される通常運転時において、クランプ30のV字部32は、V字部32に対応した傾斜で形成された第1傾斜部22及び第2傾斜部12に接して(メタルタッチにより)タンク10とダクト20とを接合するため、クランプ30を締結することでタンク10とダクト20とを近接する力が同時に作用し、ダクト接合部100をシールすることができる。
【0055】
クランプ30とフランジ11,21との間にはワッシャー40及びシール50が介装されるため、ダクト接合部100をより確実にシールすることができる。回動時に摺接する接合面15,25にシール50を介装することなく、高圧の吸気を冷却するチャージエアクーラ1においても確実にシールすることができる。チャージエアクーラ1の開閉作業により接合部15,25が磨耗してシール性が低下しても、シール性を確保することができる。例えば、過給器の過給圧がより高圧化しても、チャージエアクーラ1を開閉する構造とすることができる。
【0056】
接合面15,25には互いに対応する凹凸部16,26が全周に亘って形成されるため、タンク10が回動するガイドとして機能し、タンク10がダクト20に対して安定して回動することができる。
シール50が圧接される凹部14,24が形成されているため、シール50を安定して介装することができ、安定して確実にシールすることができる。
【0057】
ワッシャー40とシール50とは一体に接着されているため、クランプ30を緩めると、ワッシャー40は復元して拡径するとともに、一体に接着されたシール50もワッシャー40の拡径に伴って凹部14,24から離れるため、フランジ11,21にシール50のみ貼り付くことを防止することができる。これにより、メンテナンス性を向上することができる。
【0058】
ワッシャー40の端部43が重合する途切れた環状であれるため、全周に亘って安定してシール50の座として機能することができ、シール性を向上することができる。タンク10又はダクト20を取り外すことなくシール50及びワッシャー40の装着や交換することができ、メンテナンス性が向上する。
ワッシャー40の重合する端部43が徐々に薄く形成されることで、ワッシャー40の厚みのばらつきを抑えることができ、全周に亘って安定してシールすることができる。
【0059】
車外から車内方向に吸気を冷却するチャージエアクーラ1,吸気よりも熱容量の大きい冷却水を冷却するラジエータ2の順に配設されるため、熱交換効率よく吸気および冷却水を冷却することができる。
ワッシャー40,シール50が熱劣化,経年劣化等しても、ワッシャー40,シール50を交換するとこで、タンク10に接続されたチャージエアクーラ1及びダクト20を交換することなくシール性能を回復することができる、これにより、ランニングコストを低減することができる。
【0060】
〔変形例〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
〔クランプの変形例〕
クランプ30は図2に示すものに限られず、クランプ30の変形例として、図5(a)〜(c)に示すものを用いてもよい。
【0061】
図5(a)は、図2(a)に示すクランプ30とはクロージャ33aについてのみ異なり、クロージャ33aのボルトはクロージャ33のボルトと比して傾斜して設けられている。クロージャ33aのボルトの工具係合部とカバーバンド31aとが離れており、クロージャ33aの締結時に工具を適用しやすいように形成される。
図5(b)のクランプ30bは、2つのV字部321b,322bを有し、カバーバンド311b,312bが略半周ずつ2つに形成されている。カバーバンド311bにはV字部321bが固定され、カバーバンド312bにはV字部322bが固定される。2つのV字部321b,322bの間には、切れ目部35bが2箇所形成される。
【0062】
クランプ30bは、これらのカバーバンド311b,312bを接続し回動可能に支持するカバーバンド支持部311をさらに備えて形成されている。
また、クランプ30bのクロージャ33bはレバーを備え、速やかに締結及び緩めることができように構成されている。
図5(c)のクランプ30cは、2つのV字部321c,322cを有し、カバーバンド311c,312cが略半周ずつ2つに形成されている。カバーバンド311cにはV字部321cが固定され、カバーバンド312cにはV字部322cが固定される。2つのV字部321c,322cの間には、切れ目部35cが2箇所形成される。
【0063】
また、2つのクロージャ33cを有し、クロージャ33cのそれぞれの構成は、図2(a)に示すクロージャ33と同様の構成である。クロージャ33cを完全に緩めれば、クランプ30cは2つに分離するため、クランプ30cに介装されるワッシャー40及びシール50へのアクセスがしやすくなる。
【0064】
〔シール及びワッシャーの変形例〕
シール50は、図6(1)に示すものに限られず、シール50の変形例として、図6(2)〜(4)に示すものを用いてもよい。また、ワッシャー40は、図6(5)に示すものに限られず、ワッシャー40の変形例として、図6(6)〜(8)に示すものを用いてもよい。つまり、図6(1)〜(4)に示すシール50a〜50dと図6(5)〜(8)に示すワッシャー40とを適宜組み合わせて用いることができる。
【0065】
図6(2)に示すシール50bは断面△型であって、△型底部51bと△型頂部52bとを有している。△型底部51bはシール50bの断面三角形の一辺に沿った部分であり、△型頂部52bは断面三角形の△型底部51bでない二辺の接する頂点周縁である。なお、△型底部51bの長手方向に対して直角な長さ(幅)は、一体成形されるワッシャー40の内面41の円周方向の幅と略同じ寸法とすることができる。
【0066】
図6(3)に示すシール50cは断面がU字であって、スプリングバック型底部51cとスプリングバック型頂部52bとを有している。
図6(4)に示すシール50dは断面が横長楕円であって、平型底部51cと平型頂部52bとを有している。
図6(6)に示すワッシャー40は突起部45を有する構成以外は図6(5)のワッシャー40と同じ構成である。突起部45は、端部43の一方の外面に形成され、円周外方に突出している。この突起部45の円周方向の長さは、クランプ30を最大限締めこんだ場合の切れ目部35の円周方向の長さよりも短く形成されている。また、この突起部45の内面41から外面42の方向へ突出する長さは、切れ目部35の深さ即ちカバーバンド31の半径とV字部32のハット部32dの半径との差よりも小さく形成されている。
【0067】
図6(7)に示すワッシャー40は、断面U字の板が環状に形成されたものである。このワッシャー40は、内周面である内面41,外周面である外面42及び端部43を有している。このワッシャー40は、好ましくは図6(3)に示すシール50cと一体成形される。
図6(8)に示すワッシャー40は、突起部45の位置が図6(5)のワッシャー40と異なる以外は同じ構成である。ここでは突起部45は端部43ではない外面に形成される。突起部45は、例えば端部43から90度回転した位置に形成される。
【0068】
これによれば、クランプ30が切れ目部35を有し、ワッシャー40には突起部45が形成されていれば、途切れた環状のワッシャー40及びシール50であっても、クランプ30の締結力の大きいクロージャ33から90度近傍にワッシャー40及びシール50の途切れた箇所を設定することで、ダクト全周に亘るシール性能のバラツキを抑制することができ、シールをより確実にすることができる。
【0069】
また、上述の実施形態では、シール50は途切れた環状のものを示したが、単に環状の切れ目の無いシール50を用いてもよい。
これによれば、シール50が環状であれば、接合部100の全周に亘って安定してシールすることができる。汎用の環状シールを用いることができる。
【0070】
〔その他〕
なお、上述の実施形態及びその変形例では、接合部100の構成は、上流側タンク10A及び下流側タンク10Bを単にタンク10とし、上流側ダクト20A及び下流側ダクト20Bを単にダクト20として説明したが、上流側と下流側と構成を変えてもよい。すなわち、過給器により導入されて冷却すべき吸気が圧送される上流側タンク10A及び上流側ダクト20Aの接合部に用いられる上流側シール40Aは、チャージエアクーラ1のコア1Aで冷却された吸気が圧送される下流側タンク10B及び下流側ダクト20Bの接合部に用いられる下流側シール40Bよりも耐熱性の高い材質からなるものとしてもよい。
【0071】
これによると、上流側クランプに介装される上流側シール40Aは、下流側クランプに介装された下流側シール40Bよりも耐熱性の高い材質からなるため、熱負荷に応じたシール40A,40Bを適宜配設することとなり、例えば、シール40A,40Bの交換頻度のバラツキを抑制し、メンテナンス性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のダクト接合部のシール構造は、気体を圧送するダクト接合部のみならず、液体,粉流体等の種々の流体を圧送するダクト接合部にも適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 チャージエアクーラ(熱交換器)
1A コア
2 ラジエータ(熱交換器)
3 冷却ファン
4 リテーナ
5 支持フレーム
8 リッド
9 開口部
10 タンク(他方のダクト)
10A 上流側タンク
10B 下流側タンク
11 タンクフランジ(第2フランジ部)
12 タンクランプ(第2傾斜部)
13 タンク頂面
14 タンク凹部(凹部)
15 タンク接合面(フランジ面)
16 凹凸部(凹凸部)
19A 上流側支持部
19B 下流側支持部
20 ダクト(一方のダクト)
20A 上流側ダクト
20B 下流側ダクト
21 ダクトフランジ(第1フランジ部)
22 ダクトランプ(第1傾斜部)
23 ダクト頂面
24 ダクト凹部(凹部)
25 ダクト接合面(フランジ面)
26 凹凸部(凹凸部)
29A 上流側ダクト支持部
29B 下流側ダクト支持部
30 クランプ
31 カバーバンド
32 V字部(断面V字部)
32a 第1側部
32b 第2側部
32c 底部
32d ハット部
33 クロージャ
35 切れ目部
39 締結力分布
40 ワッシャー
41 内面
42 外面
43 端部
45 突起部
50 シール
51 シール底部
52 シール頂部
100 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のダクトの端部に設けられた第一フランジ部と、
前記一方のダクトに対して回動可能に接合された他方のダクトの端部に設けられ、前記第一フランジ部に対向して配置される第二フランジ部と、
前記第一フランジ部に設けられ、前記第二フランジ部と対向しない一側に形成された第一傾斜部と、
前記第二フランジ部に設けられ、前記第一フランジ部と対向しない一側に形成された第二傾斜部と、
前記第一傾斜部と前記第二傾斜部とに接して前記一方のダクトと前記他方のダクトとを接合するクランプと、
前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部と前記クランプとの間に介装された環状のシールと、
前記シールの座として前記シールと前記クランプとの間に介装されたワッシャーと
を備えたことを特徴とするダクト接合部のシール構造。
【請求項2】
前記一方のダクトと前記他方のダクトとが接合されて接するフランジ面が、互いに対応する形状の凹凸部を有する
ことを特徴とする請求項1記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項3】
前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部が、前記シールが圧接する凹部を具備する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項4】
前記シールが、前記ワッシャーと一体に接着されている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項5】
前記ワッシャーが、切断された環の両端を重合してなる形状に形成され、
前記シールが、途切れた環状に形成される
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項6】
重合する前記ワッシャーの両端の板厚が、両端以外の部位の板厚よりも小さい
ことを特徴とする請求項5記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項7】
前記シールが、環状である
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項8】
前記クランプが、
前記第一傾斜部及び前記第二傾斜部に接する複数の断面V字部と、
前記断面V字部がそれぞれ隣り合う間に形成される切れ目部とを有し、
前記ワッシャーは、前記切れ目部に掛止される突起部が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のダクト接合部のシール構造。
【請求項9】
前記一方のダクト及び前記他方のダクトが、熱交換器に接続され、
前記熱交換器へ気体が流入する流入側に接続された前記ダクトを接合する上流側クランプに介装される上流側シールが、前記熱交換器から気体が流出する流出側に接続された前記ダクトを接合する下流側クランプに介装された下流側シールよりも耐熱性の高い材質からなる
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のダクト接合部のシール構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−132491(P2012−132491A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283531(P2010−283531)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】