ダストモニタ
【課題】 使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、また、長期間にわたり交換不要にして、運用コスト低減を実現するような集塵体交換機能を有するダストモニタを提供する。
【解決手段】
線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るかという線量条件を調べて集塵体ユニット80を交換する時期と判定し、交換時期と判定された場合に集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニット80を検出ユニットの集塵体ユニット設置位置へ移動させるように検出ユニット40および交換ユニット90を制御するダストモニタとした。
【解決手段】
線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るかという線量条件を調べて集塵体ユニット80を交換する時期と判定し、交換時期と判定された場合に集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニット80を検出ユニットの集塵体ユニット設置位置へ移動させるように検出ユニット40および交換ユニット90を制御するダストモニタとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を集塵する集塵体を交換し、長期間にわたり塵埃についての各種モニタリングを行う集塵体交換機能を有するダストモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を集塵する目的は各種存在し、塵埃除去による空気清浄化目的のものが一般的であるが、これ以外にも、例えば大気中の塵埃量の計測を行うという計測目的のものなどがある。このような計測の一具体例として、放射性の塵埃(以下放射線ダストという)を集塵して放射線を検出する計測が知られている。このような計測における塵埃捕集について以下説明する。
【0003】
例えば、原子力施設及び大学・研究所などの放射性同位元素取扱施設では、この施設内の空気を集塵用フィルタに通過させ、空気中に含まれる放射線ダストを捕集して放射線の計測を行うダストモニタが使用される。このダストモニタは、具体的には、放射性同位元素取扱施設内の空気中に存在する放射線ダストの空気中濃度を測定し、放射線業務従事者の被曝を管理するために用いられる。以下、ダストモニタについて概略説明する。
【0004】
図29は従来技術のダストモニタ200の検出ユニットの構成図、図30は検出器の説明図で、図30(a)は要部構成図、図30(b)は計数値−波高電圧線特性図である。このダストモニタ300は、図29で示すように、吸入口310、検出器320、検出器ホルダ330、集塵用フィルタ340、集塵ケース350、フィルタ取換扉360、排気ポンプ370、排出口380を備え、放射線ダストからの放射線の線量を検出器320により検出するものである。
【0005】
排気ポンプ370により負圧が形成されると、放射性同位元素取扱施設の空気は、吸入口310を経て集塵ケース350内に流入し、集塵用フィルタ340を通過して排出口380から排出される。検出器ホルダ330に固定された検出器320は、この集塵用フィルタ340が捕集した放射線ダストから放射される放射線を検出し、線量を計数する。検出器320は、例えば、図30(a)で示すように、半導体検出素子321、増幅部322、波高弁別部323、中央処理部(CPU:Central Proccessing Unit)324を備えている。この中央処理部324はカウンタ機能を有している。
【0006】
半導体検出素子321は、放射線ダスト400からの放射線の検出に応じて検出信号を出力する。
増幅部322は、この検出信号を所定ゲインで増幅し、検出信号の振幅電圧(波高)を適宜調節する。
波高弁別部323は、詳しくはディスクリミネータ回路であり、分圧抵抗323a,323bで決定される検出基準波高電圧をコンパレータ323cに入力し、検出信号から検出基準波高電圧を上回るような信号を弁別してパルス信号として出力する。この波高弁別により、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドによるノイズ(以下バックグラウンドノイズという)は除去される。
中央処理部324はこのようなバックグラウンドノイズが除去されたパルス信号を計数するカウンタとして機能する。これにより放射線の線量が計数され、計数値を表す線量データを生成出力する。この線量データは通信線を介してコンピュータ等で構成される他の中央処理部へ送信されて各種処理が行われる。
【0007】
この線量データの内容について説明する。放射線ダストは放射性核種を含む。この放射性核種は人工放射性核種と天然放射性核種に分けられる。天然放射性核種は今なお存在する半減期の長いものとその放射性を持つ娘核種であり、人工放射性核種は人工により作り出され、自然にはほとんど絶滅している半減期の短い核種のことを指している。
このような検出器320では、仮に波高弁別部323がないと図30(b)の計数値−波高電圧線特性図で示すように、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズも含む多数の計数値がカウンタから出力される。これは自然界に存在する天然の放射性物質すなわち自然核種からの放射線の線量も含むものとなる。
しかしながら、波高弁別部323の弁別により、検出基準波高電圧を上回る電圧の信号については検出対象としてパルス信号として出力するが、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズは検出対象外となって除去するため、放射性物質取扱施設から漏洩する波高の高い人工放射性核種から放射される放射線の線量のみを検出できる。
【0008】
図29に戻るが、このようなダストモニタ300では、所定期間経過した後に集塵用フィルタ340が取換えられる。この集塵用フィルタ340は、カートリッジ形式として取扱いが容易に構成されており、取換えはフィルタ取換扉360を開けて、古い集塵用フィルタ340を取り除いた後に新しい集塵用フィルタ340を載置し、フィルタ取換扉360を閉めることにより行われる。
従来技術のダストモニタ300はこのようなものであった。
【0009】
また、このようなダストモニタの従来技術例として、例えば特許文献1(発明の名称:放射線ダストモニタ)が開示されている。
この放射線ダストモニタも、図29で示したダストモニタ300と同様に、通気ユニット内に設置されたフィルタ(ろ紙)に放射線ダストを集塵させて、フィルタ(ろ紙)に対向するように配置された検出器が放射線を検出するというものである。
【0010】
さらにまた、他の従来技術例として、例えば特許文献2(発明の名称:放射線ダストモニタ及び放射線ダストモニタ用濾紙リサイクル可否判定装置)が開示されている。
この放射線ダストモニタは、供給プーリから長尺帯状の濾紙を繰り出す方式を採用しており、濾紙の交換等の手間を低減させるものである。
【0011】
【特許文献1】特開2002−277552号公報 (段落番号0022〜0025,図1)
【特許文献2】特開2003−315461号公報 (段落番号0029,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ダストモニタでは、精度良い計測を行うため未使用の集塵用フィルタへと頻繁に取換えられるものであり、図29で示した従来技術や特許文献1の従来技術のように単体の集塵用フィルタを検出位置に配置する単体方式では頻繁に集塵用フィルタを取換え、また、特許文献2の従来技術のように長尺帯状の濾紙を連続挿入する連続方式ではフィルタ交換の自動化を実現している。そして何れのダストモニタでもダスト捕集・計測した後の集塵用フィルタが放射能汚染されているか否かを選別し、汚染されている場合には放射能汚染物質として処分し、または、放射能汚染されていない場合は通常の廃棄物として処分している。
【0013】
しかしながら、単体方式では集塵用フィルタを決められた時間毎に交換して廃棄していたため、手間を要する上に、ごみを省力化できなかった。
また、連続方式では長尺の濾紙を使用するため交換に手間を要しない点では良いが、この濾紙の一部にでも放射能汚染があれば全て放射能汚染されているとして廃棄するか、または、ごみ処分時に再度分別作業するか、が必要であり、廃棄時の手間の削減やごみの省力化の点で改善する余地があった。
【0014】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、また、長期間にわたり交換不要にして、運用コスト低減を実現するような集塵体交換機能を有するダストモニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出ユニットと、
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させた集塵面と、を有する集塵体と、この集塵体を保持するユニットベースとを有する集塵体ユニットと、
検出ユニットの検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体の集塵面と有感面とが対向するように検出ユニットに取付けられ、イオン化放射線ダストから有感面に放射される放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出部と、
複数の集塵体ユニットを搭載し、検出ユニットの集塵体ユニット設置位置にある集塵体ユニットを他の集塵体ユニットに交換する交換ユニットと、
放射線検出部から出力された検出信号に基づいて線量データを生成し、また、交換ユニットの駆動制御を行う制御・信号処理ユニットと、
を備え、検出ユニットの検出空間内で集塵体の集塵面に空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気路を通じて排気することで、放射線のモニタリングを行うダストモニタであって、
前記制御・信号処理ユニットは、
線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るかという線量条件を調べる手段と、
この線量条件を満たす場合に集塵体ユニットを交換する時期と判定する手段と、
交換時期と判定された場合に電極への電圧の印加を停止する手段と、
集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置へ移動させるように交換ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る発明のダストモニタは、
請求項1に記載のダストモニタにおいて、
集塵体ユニットを交換ユニットから排出する排出ユニットを備え、
この排出ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
交換必要と判定された集塵体ユニットを排出ユニットの集塵体ユニット排出位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
集塵体ユニット排出位置にある交換が必要と判定された集塵体ユニットを交換ユニットから排出するように排出ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項3に係る発明のダストモニタは、
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
交換必要な集塵体ユニットが排出された交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給する供給ユニットを備え、
この供給ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
集塵体ユニット載置部が供給ユニットの集塵体ユニット供給位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給するように供給ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項4に係る発明のダストモニタは、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記検出ユニットは、集塵体ユニットの上流側にあって放射線検出器が設置される検出ユニット本体と、集塵体ユニットの下流側にある排気ケースと、排気ケースを上下動させる上下駆動部と、を備え、
前記交換ユニットは、回動可能に支持されるとともに集塵体ユニットが配置される複数の孔による集塵体ユニット載置部が形成されたターンテーブルと、ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット載置部を移動させる位置割出部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
検出ユニットからの集塵体ユニット取り外し時にあっては排気ケースを下降させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部のみで支持する状態となるように検出ユニットの上下駆動部を制御し、ターンテーブルを回動させて検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に新たな集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
検出ユニットへの集塵体ユニット取付け時にあってはターンテーブルを回動させて新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御し、排気ケースを上昇させて検出ユニット本体と排気ケースとで挟持して集塵体ユニットを封止固定させるように検出ユニットの上下駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項5に係る発明のダストモニタは、
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
排出ユニットは、上下方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部に搭載された集塵体ユニットを押し上げる押し上げ部と、押し上げ部を上下方向に駆動する押し上げ部駆動部と、水平方向に移動可能に構成されて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットを掃き出すロッドと、ロッドを水平方向に駆動するロッド駆動部と、排出された集塵体ユニットを収容するストッカと、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット排出位置に集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
押し上げ部を上昇させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部から押し上げるように排出ユニットの押し上げ部駆動部を制御する手段と、
ロッドを移動させて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットをストッカへ掃き出すように排出ユニットのロッド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項6に係る発明のダストモニタは、
請求項3に記載のダストモニタにおいて、
供給ユニットは、新たな集塵体ユニットを収容するストッカと、水平方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ集塵体ユニットを押し出すハンドと、ハンドを水平方向に駆動するハンド駆動部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット供給位置にターンテーブルの集塵体ユニット載置部を位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
ハンドを押し出してストッカにある一の集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ装填するように供給ユニットのハンド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項7に係る発明のダストモニタは、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路内に外周電極を備え、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項8に係る発明のダストモニタは、
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路は、絶縁ベース部に排気孔として一体に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明によれば、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、また、長期間にわたり交換不要にして、運用コスト低減を実現するような集塵体交換機能を有するダストモニタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
続いて、本発明を実施するための最良の形態のダストモニタについて、以下に図を参照しつつ一括して説明する。
図1は本形態のダストモニタ1の構成図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。図2は本形態のダストモニタの検出系の構成説明図である。図3は本形態のダストモニタ1の検出時の検出ユニットの断面図である。
このダストモニタ1は、例えば放射性同位元素取扱施設などにおいて、室内の空気中に含まれる放射線ダストを集塵して、放射線ダストの空気中濃度を測定する装置である。この図1(a),(b)では主に機械系構成を示すものであり、大別して、圧送ポンプ10、イオン化部20、イオン生成部30、検出ユニット40、放射線検出器50、排気口60、ベース部70、複数の集塵体ユニット80、交換ユニット90、操作表示ユニット100を備えている。
【0025】
また、このダストモニタ1は、図2で示すような検出系構成を備えるものであり、圧送ポンプ10、イオン化部20、イオン生成部30、検出ユニット40、放射線検出器50、高圧電源部110、検出器用ドライバ120、電源部130、制御・信号処理ユニット140、電源部150、情報解析部160を備えている。なお、図2でしめすダストモニタ1は、各構成がそれぞれ分かれて図示されているが、これは構成を解りやすく説明するためであり、実際はこれらが図1のダストモニタ1に一体に組み込まれた装置として使用される。
【0026】
ここに空気系は、図1,図2で示す圧送ポンプ10、イオン化部20、検出ユニット40や、図1でのみ示す排気口60により構成される。
また、イオン生成系は、図1,図2で示すイオン生成部30や、図2でのみ示す高圧電源部110により構成される。
また、放射線検出系は、図1,図2で示す検出ユニット40、放射線検出器50や、図2でのみ示す検出器用ドライバ120、制御・信号処理ユニット140、情報解析部160により構成される。
【0027】
続いて各部の構成について説明する。
図2で示すように、圧送ポンプ10は、例えばシロッコ式ポンプであり、吸入口11と吐出口12とを備える。吸入口11は、図示しないが、例えば、放射性同位元素取扱施設の施設内空気を排気する排気口に接続されたり、また、放射性同位元素取扱施設の施設内にそのまま配置される。なお、空気に含まれる汚染物質を除去するような汚染除去手段を吸入口11の上流側に配置しても良い。吐出口12は、イオン化部20の流入口に接続される。
この圧送ポンプ10は、空気系の最上流に位置し、放射線ダストを含む空気を吸引してイオン化部20および検出ユニット40へ空気を加圧送出する。
【0028】
イオン化部20は、圧送ポンプ10から圧送される空気が流れる流路であるイオン化空間をその内部に備えるものである。イオン化部20の外側にイオン生成部30が取付けられている。イオン化部20は、圧送ポンプ10の下流側に配置される。
【0029】
イオン生成部30は、イオンを生成し、イオン化部20のイオン化空間内にこのイオンを照射するイオナイザであり、図示しない放電針を多数備える。本形態のイオン生成部30では、プラスの高電圧が印加された放電針がプラスイオンを生成してイオン化空間内をイオン化された雰囲気とし、イオン化空間を通過する放射線ダストにプラスイオンを付着させることで正極に帯電させてイオン化放射線ダストとする。なお、本形態では説明の具体化のためプラスイオンを生成するものとして以下説明するが、後述のようにマイナスイオンを生成することも可能である。
【0030】
なお、本形態では図1で,図2示すような長尺のイオン化空間を有するイオン化部20とし、さらに空気の流れ方向に放電針を多数並べて配置したイオン生成部30としており、イオン化空間内を流れる放射線ダストが、放電針付近のプラスイオン濃度が高い領域を放電針の数だけ通過するようにしているため、放射線ダストが確実にイオン化されるように配慮している。なお、イオン化生成部30から十分なプラスイオンが生成されて確実にイオン化放射線ダストが生成されるならばイオン化部20やイオン化生成部30は長尺でなくとも良い。
【0031】
検出ユニット40は、塵埃を捕集して放射線ダストの空気中濃度を測定するためのユニットであり、イオン化部20の下流に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が流入する。この検出ユニット40は、図3で示すように、流入口41、検出ユニット本体42、リニアスライダ43、排気ケース44、排出口45(図1参照)、上下駆動部46(図1参照)、シール部47を備えている。
【0032】
流入口41は、図1,図3で示すように、イオン化部20の開口と接続され、イオン化空間と検出空間とを連通させている。
検出ユニット本体42は、図3で示すように、その内部に検出空間が形成されている。検出ユニット本体42の下側は開口が形成されており、その開口端にシール部(例えばOリング)47が取付けられている。また、その検出空間内に放射線検出器50の有感面(図3中の最下面)が配置されている。ここに、検出ユニット本体42は、絶縁材にて構成され、放射線検出器50と集塵体82とに対して絶縁が確保されている。
【0033】
リニアスライダ43は、図1で示すように排気ケース44が矢印A方向(上下方向)に移動できるように支持している。
排気ケース44は、その内部に排気流路が形成され、上側に開口が形成される。この開口端にはシール部(例えばOリング)47が取付けられている。この排気ケース44も不要な電界を形成しないようにするため合成樹脂等の絶縁体にて形成されている。なお、排気ケース44の排気流路内には電源供給部170が設けられている。電源供給部170は、電線171、接続部172を備え、排気流路内を通じて接続部172に高電圧が供給されている。
【0034】
排出口45は、図1で示すように、排気ケース44に形成された開口であり、図示しない流路が接続される。この図示しない流路を経て排気口60まで流路が形成される。なお、排気ケース44が上下動するためフレキシブルなチューブ等で接続される。
上下駆動部46(図1参照)は、排気ケース44が矢印A方向(上下方向)に駆動する機能を有している。
シール部47(図3参照)は、先に述べたように例えばOリングなどであり、シール機能を有している。このシール部47も不要な電界を形成しないようにするため絶縁体ゴムなどにて形成されている。
【0035】
図1に戻るが、放射線検出器50は、集塵体82に捕集されたイオン化放射線ダストの放射線についての線量データを出力している。
この放射線検出器50は、図3でも示すように、直下に設置した集塵体82に集塵されているイオン化放射線ダストの放射線を測定する検出器であり、放射線が特定の物質に入射するとき、その放射線エネルギーが吸収されて光のエネルギーに変換するシンチレータと、僅かな光を電気信号に変換・増幅する光電子増倍管を組み合わせたものである。この電気信号は、検出器用ドライバ120(図2参照)へ出力される。
【0036】
なお、イオンにより発生するノイズに対するノイズ処理を行うことを条件に、先に図30(a)を用いて説明した半導体検出素子としても良い。この場合、例えば、半導体検出素子321・増幅部322が半導体検出器50として、波高弁別部323が検出器用ドライバ120として、また、中央処理部324が制御・信号処理ユニット140として機能するものである。
【0037】
排気口60は、図1で示すように、検出ユニット40内の集塵体82の排気孔823を通過した空気を排気する。排気口60は、放射性同位元素取扱施設の施設外へ空気を排気する吐出口に接続されたり、また、放射線ダストが集塵除去されている清浄な空気であるため放射性同位元素取扱施設の施設内へそのまま排気しても良い。
ベース部70は、ダストモニタ1を構成する各構成が設置される。
【0038】
集塵体ユニット80は、図3で示すように、ユニットベース81と、集塵体82と、を備える。ユニットベース81は、円筒体の開口端付近に略円環状のフランジを形成してなるものである。このユニットベース81も不要な電界を形成しないようにするため合成樹脂等の絶縁体にて形成されている。ユニットベース81における円筒体のフランジ側開口は段付き孔であって段部を有し、集塵体82がフランジ側開口に接着固定されると、集塵体82の周縁が段部に載置されて孔内に嵌め込まれるというホルダ方式を採用している。
【0039】
集塵体82は、ユニットベース81の円筒内に配置される。気密性を確保するため図3で示すようにシール部47と接するように集塵体82がフランジ部側上端に位置する。
電線83は、集塵体82の電極822(図4参照)に接続される。
接続部84は、電線83に接続され、後述するが排気ケース44側の接続部172と接続されて集塵体82の電極822に高電圧が供給される。
【0040】
さて、集塵体82は、イオン化ダストを捕集する機能を有している。この集塵体82についてさらに詳細に説明する。図4は集塵体の説明図であり、図4(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図4(b)はA−A線断面図、図4(c)は裏面を示す図である。
集塵体82は、絶縁ベース部821、電極822、排気孔823を備える。
絶縁ベース部821は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体82の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であるが、広いバンドギャップを有するため、電気的には絶縁体としてもふるまう。この誘電体の例として、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂なども用いることができる。なお、誘電体を用いる理由については後述する。絶縁ベース部821の例として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板であり、さらに集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0041】
電極822は、例えば、薄板状や箔状であり、通常電極として用いる材料(銅等)により形成されるものであり、図4(c)で示すように絶縁ベース部821と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図4(a)で示す点線の円は、この電極822と同一径の円であり、後述する原理により形成される集塵面である。
【0042】
排気孔823は、本発明の排気路の一具体例であって、電極822の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
この集塵体82による集塵原理については後述する。
【0043】
なお、他の集塵体の構成として上記の絶縁ベース部821にFR−4(3層)ガラスエポキシ樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、電極部を中間に配置して電極部を劣化しないようにしても良い。
また、他の集塵体の構成として上記絶縁ベース部821にテフロン(登録商標)(3層)樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、表面のテフロンコーティングにより、表面強度は非常に高いクリーニング(再利用)性能を持たせるようにしても良い。
集塵体82はこのようなものである。
【0044】
交換ユニット90は、図1(a),(b)で示すように、ターンテーブル91、支持部92、位置割出部93を備えている。
ターンテーブル91は円板であり、集塵体ユニット82が配置される複数の孔による集塵体ユニット載置部94(図21,図22等参照)が形成されている。
支持部92は、円板であるターンテーブル91の中心を軸支することで回転可能に支持する。
位置割出部93は、ターンテーブル91を回転(図1(a)の矢印B方向)させて集塵体ユニット載置部94を移動させる。
【0045】
操作ユニット100は、図1で示すように、操作部101、表示部102を備えている。操作部101を通じて検出開始等の操作の入力がされ、また、表示部102を通じて検出結果の出力がなされる。
【0046】
高圧電源部110は、図2で示すように、商用電源からDC±5,000Vのプラス高電圧およびマイナス高電圧を生成する機能を備え、商用電源から生成したプラス高電圧を、イオン化生成部30の放電針に印加し、また、商用電源から生成したマイナス高電圧を、電源供給部170、接続部84および電線83を介して、集塵体82の電極822に印加する。
【0047】
検出器用ドライバ120は、放射線検出器50の光電子増倍管へ駆動電力を供給したり、また、光電子増倍管から出力された電気信号を入力し、信号処理を行う。詳しくは、この電気信号に対して信号増幅やノイズ除去を行ってTTL信号出力による検出信号を生成して、制御・信号処理ユニット140へ出力する。放射線検出器50および検出器用ドライバ120は、本発明の放射線検出部の一具体例となる。
【0048】
電源部130は、商用電源から生成した電源電圧を、検出器用ドライバ120へ供給する定電圧電源である。
制御・信号処理ユニット140は、図5のダストモニタの回路ブロック図で示すように、操作部101、表示部102、圧送ポンプ10、位置割出部93、上下駆動部46、高圧電源部110、検出器用ドライバ120、および、情報解析部160がそれぞれ接続されている。
信号処理系では、検出器用ドライバ120、情報解析部160が該当し、検出器用ドライバ120から出力された検出信号を入力し、デジタルの線量データに変換して、情報解析部160へ出力する。
残る各部は制御駆動系を構成する。制御・駆動の詳細については後述する。
【0049】
電源部150は、商用電源から生成した電源電圧を、制御・信号処理ユニット140へ供給する定電圧電源である。
情報解析部160は、検出データを入力し、所望の解析を行ってグラフ形式(例えば、図10,図11の特性図参照)や帳票形式にまとめて出力する。また、データを保存する機能も有する。
【0050】
続いて、本発明のダストモニタ1の動作について説明する。このダストモニタは交換動作とモニタリング動作とを交互に行うこととなる。ダストモニタ1は交換動作を行って新しい集塵体ユニット80を設置し、モニタリング動作を行って放射線を検出し、集塵体ユニット80が所定条件に達したような場合に交換動作を行うというものであり、これら動作は一連の動作であるが、これらを続けて説明すると説明が長くなるため別途分けて説明する。
【0051】
まず、集塵体、および、この集塵体を用いるモニタリング動作について図を参照しつつ説明する。図6は、空気系の説明図である。
まず、図6で示すように、コンプレッサ式の圧送ポンプ10は、放射線ダストを含む空気を吸引して下流にあるイオン化部20へ送る。この吸気量は例えば最大40(Nl/min)程度である。イオン化部20のイオン化空間および検出ユニット40の検出空間は圧送される圧縮空気により高圧となる。このため、集塵体842の排気孔823(図3,図4参照)から下流側へ空気が排気される。排気された空気は排気ケース44、排出口45、図示しない排気流路および排気口60を経てダストモニタ1の外へ放出されることとなる。
【0052】
続いて、イオン生成系について図を参照しつつ説明する。図7はイオン生成系の説明図である。イオン生成部30は、放電針にプラス高電圧を印加し、直流コロナ放電により、プラスイオンを発生させる。プラス高電圧が高いほどプラスイオンの生成量が増加するが、あまり高いとアーク放電現象が発生するため、アーク放電を起こさない最高電圧であるDC+5,000Vを印加する。
イオン生成部30の放電針からコロナ放電させてプラスイオンが照射され、イオン化空間内の雰囲気をプラスイオン化させる。この雰囲気を放射線ダストが通過すると、プラスイオンが放射線ダストに付着して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成する。図7で示すように複数の放電針近傍のイオン高濃度領域を通過するため、イオン化放射線ダストが確実に生成される。
【0053】
そして、イオン化放射線ダストが検出ユニット40内の検出空間内に到達する。図3で示すように、モニタリング動作時の検出ユニット40は、排気ケース44が下側から押し上げられて、集塵体ユニット80が検出ユニット本体42の開口部と、排気ケース44の開口部と、に挟まれている。この際、集塵体82の配置後の検出ユニット本体42は、図3で示すような位置関係となる。集塵体82の上側の集塵面と、この集塵面に対向する面である放射線検出器50の有感面と、の距離が約10mmになるように構成されている。なお、集塵体82と検出ユニット本体42の開口部とに、また、集塵体82と排気ケース44の開口部とに、それぞれシール部47を配置して接続箇所で隙間がないように塞いで気密を保持している。また、接続部84,172が圧接して電気的に接続されている。このような構造であるため、排気ケース44が下降すれば、拘束が解除され、集塵体82は横方向にスライドして交換できる。
【0054】
図3で示すように、集塵体82まで到着し、イオン化放射線ダストが集塵体82に吸引されて捕集される。そして捕集後に残る空気は排気孔823を通じて排気される。そして集塵面のイオン化放射線ダストから放射される放射線を、放射線検出器50が検出してダストモニタリングが行われる。
【0055】
続いて、ダストモニタにおける捕集原理について重点的に説明する。先の図3で示すようにイオン化部20のイオン化空間を通過したイオン化放射線ダストが、検出ユニット本体42内の検出空間に流入する。集塵体82の電極822はDC−5000Vのマイナス高電圧が印加されており、プラスに帯電したイオン化放射線ダストを、集塵体82の集塵面上に吸引蓄積させる。なお、DC−5000Vを下回る低電圧では、絶縁ベース部821の絶縁破壊によりリーク(高電圧での放電現象)が発生するおそれがあるため、DC−5000Vを最下限としている。
【0056】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。図8は集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図8(a)は集塵を説明する説明図、図8(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
先に説明したように、絶縁ベース部821は誘電体である。図8(a)で示すように電極822にマイナス高電圧を印加すると電界が形成される。誘電体に電界をかけると電荷は移動するのではなく、誘電体を構成する粒子は局所的に変位し、正負の電荷の重心の位置が僅かにずれる。この結果、粒子は電気双極子の集団を構成し、電界の方向に並ぶ誘電分極が起こる。この誘電分極により、電界方向(矢印C方向)では内部の隣り合う双極子の電荷が打ち消され、見かけ上では絶縁ベース部821の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部821の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
【0057】
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
仮に導電体のみの集塵体とするとイオンが吸収されるため、イオン化放射線ダストが直ちに通常の放射線ダストとなって、集塵できないが、本形態のように誘電体を介在させたため、イオン化放射線ダストに付着するイオンを吸収するという事態は回避される。
【0058】
なお、本発明の集塵体を利用するダストモニタ1では、従来技術のような空気が通流する微細孔を有する集塵フィルタを用いないため空気を通流させる排気孔を設けているが、従来技術のように集塵体の下流側を負圧にするのではなく、集塵体の上流側を正圧に加圧する点も特徴となっている。この点について図を参照しつつ説明する。図9は、ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図9(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図9(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【0059】
従来技術では、図29で示すように、集塵用フィルタ350の下流側を排気ポンプ370により負圧にして下流側へ吸引することで送風していた。
このような従来技術の送風原理を本発明の集塵体に採用すると、図9(a)で示すように、流れやすい排気孔823へ空気が集中して流れて、集塵面上に空気が流れない滞留領域が形成され、イオン化放射線ダストが集塵面に到達せずに排気孔823を介して排気され、集塵が効率的に行われないという問題があることが本発明者により知見された。そこで、従来の負圧吸引方式での捕集でなく、圧送方式を採用した。これにより、図9(b)で示すように、集塵体82に空気を吹き付けることとなり、集塵体82の全面に放射線ダストが吹き付けられてプラスのイオン化放射線ダストが集塵体82の集塵面に吸引される。このため、イオン化放射線ダストが確実に捕集される。
【0060】
続いて、このような集塵原理による集塵能力について図を説明する。図10は集塵体と従来技術の集塵用フィルタとによる線量データを比較する時間−線量データ特性図である。従来技術の集塵用フィルタの線量データを100%とした場合の集塵体82の線量データは約12%を示す。集塵効率は必ずしも従来技術に達してはいないが、集塵時の捕集効率ファクタ(λ)を決めて線量データ×λにより実際の線量データに略一致させる補正を行うことで、実際の計数率に近づけることができる。この処理は制御・信号処理ユニット140や情報解析部160で行われる。
【0061】
また、ダストモニタ1は放射性同位元素取扱施設内の各種装置から空気中へ漏洩した放射性物質の監視を目的としており、その対象は人工放射性物質(人工核種)である。一方、大気中にはラドン,トロン等天然の放射性物質(天然核種)が含まれており、建屋のコンクリート等からも同様の天然核種が空気中に遊離する。例えば放射性同位元素取扱施設内へも建屋換気空調系を介して外気を取り入れており、また建屋構築のコンクリートからも天然核種が供給されるため、施設内の空気は常に天然核種を含んでいる。このような放射性同位元素取扱施設内の空気に含まれる天然放射性物質であるダスト状のラドン子孫核種及びトロン子孫核種があり、これらも集塵体82にダスト状の子孫核種として捕集されることとなる。これらの自然放射能の半減期は比較的短く、充分な期間、例えば、1週間経過時には放射能が低くなるため、天然核種の自然放射能の影響は無視できるようになる。一方人工核種は、放射能が高い。このことから、集塵体82が捕集した放射線ダストからの放射線の線量が予め定められた境界線量を上回るならば、人工核種が検出されたとして異常を検知することとなり、線量データの補正により、本来検出したい人工核種の放射線を確実に検出できる。
【0062】
続いて、集塵体のクリーニングについて図を参照しつつ説明する。図11はクリーニングを説明する時間−線量データ特性図である。集塵体82をクリーニングする場合、電極822に印加されたマイナス高電圧(DC−5000V)を切って単に0Vとして吸引力をなくしたり、または、+aVとしてイオン化放射線ダストに斥力を与える。これにより、図8(b)で示すように集塵体82に付着したイオン化放射線ダストを離脱させ、排気孔823から排気させる。このようなクリーニング時の動作は、図11で示すようにマイナス高電圧印加時に増加した線量データが、印加を終了したときに直ぐに低下する点からも、クリーニングが有効に機能していることが明らかである。
【0063】
続いて放射線検出器50における線量の検出動作について説明する。
放射線検出器50は、先に説明したように、電気信号を出力し、検出器用ドライバ120が検出処理により検出信号を制御・信号処理ユニット140へ出力し、制御・信号処理ユニット140で線量データを生成する。
制御・信号処理ユニット140は線量データに基づいてデータ処理を行い、表示部102に線量を表示させる。また、必要に応じて表示・音声アラーム等により、空気中濃度が急激に上昇した異常状態を検出したことを報知する機能を有するようにしてもよい。
【0064】
以上本形態のダストモニタ1のモニタリング動作について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体82の電極822にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して吸引力により集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体82の電極822にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0065】
また、本形態では集塵体82に排気孔823を設けたものであったが、例えば、図4で示した集塵体から排気孔をなくし、代わりに図3で示した検出ユニット本体42に捕集後の空気を排気させる通路である排気路を形成するような構成としても良い。この場合、多数枚数が必要になる集塵体の構造が簡単になり、運用面での低コスト化が見込めるという利点もある。
【0066】
また、本形態では集塵体82の電極822に高電圧を印加するため、集塵体ユニット側の接続部84と、排気ケース44側の接続部172と、を圧接して接続する方式を採用していたが、接続部84,172に代えて、電気的に接続されるコネクタを形成し、集塵体ユニット82を、集塵体ユニット載置部に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造としても良い。
【0067】
続いて交換動作について図を参照しつつ説明する。
まず、交換時期の判定手法について説明する。集塵体が長期間にわたり集塵を行うと、図10で示すように捕集された放射線ダストの増加につれて線量データが増加していき、放射線ダストからの放射線の線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るならば、これ以上の集塵は不可能であるとする捕集限界に到達したことが判定できる。例えば、図10で示すような線量データが所定値a(集塵限界線量データ)を一定時間以上にわたり保持しつづけたならば、これ以上の捕集は無理と判断できる。この場合に集塵体は交換時期が到来したと判定するものである。
【0068】
続いて制御・信号処理ユニット140による交換判定処理フローについて説明する。図12は、集塵体ユニット80の交換時期判定処理のフローチャートである。
図2で示すように制御・信号処理ユニット140には、検出器用ドライバ120から検出信号が入力されて線量データを生成している。まず、制御・信号処理ユニット140は線量データを生成し(図12のステップS1)、線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るか否かを判断する(図12のステップS2)。線量データが集塵限界線量データを上回らないならば(図12のステップS2でNO)、集塵体ユニット80がまだ放射線ダストを集塵可能であると判定し(図12のステップS3)、判定処理を終了する。一方線量データが集塵限界線量データを上回るならば(図12のステップS2でYES)、集塵体ユニット80がもう放射線ダストを集塵不可能であると判定し(図12のステップS4)、交換処理を行った上で(図12のステップS5)判定処理を終了する。
【0069】
このような判定は、検出ユニット40内で使用中の集塵体ユニット80に対して定期的に行われる。集塵体ユニット80を検出ユニット40内の集塵体ユニット設置位置に設置してから所定期間経過毎に繰り返し判定するようにして、線量条件を満たす間は使用を続けることができる。放射線ダストは多量ではないため、一個の集塵体ユニット80を設置してから長期間にわたり使用できるため、効率的に利用することができる。
そして、線量条件を満たさなくなったと判断したならば、この集塵体ユニット80は交換時期が到来した旨の表示や音声警報を出力して、電極822に対して0Vまたは+aVの電圧を掛けてクリーニングを行って予め除塵した上で交換されることとなる。
このような判定手法は適宜選択される。
【0070】
続いて交換ユニット90について説明する。交換ユニット90は、複数の集塵体ユニット80を搭載し、検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置にある交換時期が到来した集塵体ユニット80を新たな集塵体ユニット80に交換するものであり、制御・信号処理ユニット140は検出ユニット40および交換ユニット90を制御し、交換時期が到来した集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置へ移動させる。この交換ユニット90が集塵体ユニット80の交換を自動的に行うことで放射線業務従事者の操作によらずに長期間にわたり自動的に稼働させることができる。
【0071】
続いて、検出ユニット40と連動する交換ユニット90による交換について図を参照しつつ説明する。図13は集塵体ユニット80が集塵体ユニット設置位置に取付けられたときの検出ユニット40の説明図、図14は集塵体ユニット80が集塵体ユニット設置位置から解放されたときの検出ユニット40の説明図、図15は使用中の検出ユニット40の説明図である。
【0072】
検出ユニット40からの集塵体ユニット80の取り外し前は図13で示すように排気ケース44が上昇した状態であるが、制御・信号処理ユニット140が上下駆動部46のモータや減速機を駆動するように制御することで、図14で示すように、排気ケース44を下降させ(図14の矢印D方向)、集塵体ユニット80をターンテーブル91の孔である集塵体ユニット載置部94(図22,図23参照)のみで支持した状態とする。集塵体ユニット80は、図3からも明らかなように、ユニットベース81の外周面にフランジ部が形成されて多段になされており、上側の段で集塵体ユニット載置部94の周縁部と当接して落下しないようになっている。
さて、交換時期と判定された場合にまず電極822への電圧の印加を停止する。
【0073】
続いて図14で示すように排気ケース44が下降した状態で、制御・信号処理ユニット140が位置割出部93のモータや減速機を駆動するように制御することでターンテーブル91を回動させて、新たな集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置に位置させる。続いて、検出ユニット40への集塵体ユニット80の取付け時にあっては制御・信号処理ユニット140が上下駆動部46のモータや減速機を駆動するように制御し、図15で示すように排気ケース44を上昇させて(図15の矢印E方向)検出ユニット本体42と排気ケース44とで集塵体ユニット80を挟持し、集塵体ユニット80を封止固定させる。この際、検出ユニット本体42側のシール47と排気ケース44側のシール47とで、集塵体ユニット80を挟み込むため空気が漏れることがない。
そして、図5で示すように制御・信号処理ユニット140は、圧送ポンプ10や高圧電源部110を動作させて集塵を開始することとなる。交換はこのように行われる。
本形態のダストモニタ1はこのようになる。
【0074】
続いて他の形態について図を参照しつつ説明する。図16は他の形態のダストモニタ1’の構成図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は断面図である。先の形態と比較すると新たにパージ機能を持たせるためのクリーニングユニット180が追加されている点が相違する。この追加されたクリーニングユニット180の構成およびパージ機能について説明し、他は同じ符号を付すとともに同じ構成を有し、また、同じ処理を行うものとして重複する説明を省略する。
クリーニングユニット180はさらに第1バルブ181、第2バルブ182、パージ用フィルタ183を備えている。これらは、上記した検出ユニット40に追加される構成である。また、排気流路の経路上に真空ポンプ190が接続される。
【0075】
パージ機能は検出ユニット40の検出ユニット本体42の検出空間および排気ケース44等の排気流路内を充分な真空状態として流路内を真空乾燥させ、これら空間や流路内の水分(湿気)を除去して各部を保護するものである。
このようなエアパージについて概略説明する。まず、第1バルブ181を電動・手動により閉成してイオン化部20のイオン化空間からの空気の流入を停止する。そして第2バルブ182を電動・手動により開成してパージ用フィルタ183を通過させてダストを含まず充分に乾燥した空気を小量流入可能にする。このような状態で吸引ポンプ190により真空引きを行ってエアパージを行う。エアパージ終了後に、第2バルブ182を閉成するとともに第1バルブ181を開成して先に説明した検出を開始することとなる。なお、エアパージは定期的に行うようにしても良い。
このように構成したダストモニタ1’では、検出ユニット40の保護機能を高めることができる。
【0076】
続いて変形した他の形態について図を参照しつつ説明する。図17は他の形態のダストモニタ2の構成図であり、図17(a)は平面図、図17(b)は断面図である。図18は他の形態のダストモニタ2の回路ブロック図である。図1〜図15を用いて説明した先の形態の構成に加え、さらに、連続自動交換機能を付与するため、排出ユニット200、供給ユニット210が追加されている点が相違する。この追加された排出ユニット200、供給ユニット210、およびこれらユニットの構成・動作についてのみ説明し、他は同じ符号を付すとともに同じ構成・処理を行うものとして重複する説明を省略する。
【0077】
排出ユニット200は、集塵体ユニット80を交換ユニット90から排出するものであり、制御・信号処理ユニット140は、交換時期と判定された集塵体ユニット80を排出ユニット200の集塵体ユニット排出位置まで移動するように交換ユニット90を制御し、集塵体ユニット排出位置にある交換時期の集塵体ユニット80を交換ユニット90から排出するように排出ユニット200を制御するというものである。
【0078】
このような排出ユニット200は、図17(a),(b)で示すように、水平方向に移動可能に構成されて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニット80を掃き出すロッド201と、ロッド201を水平方向に駆動するロッド駆動部202と、排出された集塵体ユニット80を廃棄集塵体ユニット204として収容するストッカ203と、を備える。さらに、図19,20,21で示すように、ターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94に搭載された集塵体ユニット80を押し上げる押し上げ部206と、押し上げ部206を上下方向に移動可能に支持するリニアスライダ205と、押し上げ部206を上下方向に駆動する押し上げ部駆動部207と、を備える。
また、図18の回路ブロック図で示すように、制御・信号処理ユニット140に、操作部101、表示部102、高圧電源部110、情報解析部160、検出器用ドライバ120、上下駆動部46、位置割出部93、ロッド駆動部202、ハンド駆動部212、圧送ポンプ10が接続されている。
【0079】
続いて、検出ユニット40や交換ユニット90と連動する排出ユニット200による排出について図を参照しつつ説明する。図19は集塵体ユニット80の押し上げ前の状態の説明図で、図19(a)は要部平面図、図19(b)は要部断面図である。図20は集塵体ユニット80の押し上げ後の状態の説明図で、図20(a)は要部平面図、図20(b)は要部断面図である。図21は集塵体ユニット80の排出の説明図で、図21(a)は要部平面図、図21(b)は要部断面図である。
検出ユニット40により集塵体ユニット80が交換時期にあると判断されたものとする。制御・信号処理ユニット140は、図14のように排気ケース44を下降させ、続いて、位置割出部93を制御してターンテーブル91を回動(図19(a)の矢印F方向)させ、図19(a)で示すように集塵体ユニット排出位置に交換対象の集塵体ユニット80を位置させる。
【0080】
そして、制御・信号処理ユニット140は、押し上げ部駆動部207を制御して押し上げ部206を上昇(図20(b)の矢印G方向)させ、図20(b)で示すように、集塵体ユニット80をターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94から押し上げる。押し上げ終了したときの押し上げ部206の頂上部はターンテーブル91とほぼ同一高さとなっており、集塵体ユニット80が水平移動可能となっている。
【0081】
制御・信号処理ユニット140は、ロッド駆動部202を制御してロッド201の移動を開始し、図21で示すように、水平方向(図21(a)の矢印H方向)に集塵体ユニット80を掃き出し、集塵体ユニット排出位置からストッカ203まで移動させる。これにより、ストッカ203の中に集塵体ユニット80が落とされて廃棄集塵体ユニット204となり、排出が完了する。そして、押し上げ部206を下降させてターンテーブル91を回転できるようにしておく。このターンテーブル91には孔である集塵体ユニット載置部94が残る。
【0082】
続いて供給ユニット210について説明する。
供給ユニット210は、交換により集塵体ユニット80が排出された交換ユニット90の集塵体ユニット載置部94に新たな集塵体ユニット80を供給するものであり、制御・信号処理ユニット140が交換ユニット90を制御して集塵体ユニット載置部94を供給ユニット200の集塵体ユニット供給位置まで移動させ、続いて供給ユニット200を制御して交換ユニット90の集塵体ユニット載置部94に新たな集塵体ユニット80を供給するというものである。
【0083】
このような供給ユニット200は、図17(a),(b)で示すように、未使用の集塵体ユニット80を複数重ねている供給集塵体ユニット214を収容するストッカ211と、水平方向に移動可能に支持されてターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94へ集塵体ユニット80を押し出すハンド213と、ハンド213を水平方向に駆動するハンド駆動部212と、を備える。
また、回路ブロックは、先の図18のうち、制御・信号処理ユニット140、ハンド駆動部212を用いる。
【0084】
続いて、交換ユニット90と連動する供給ユニット210による供給について図を参照しつつ説明する。図22は集塵体ユニット80の供給前の状態の説明図で、図22(a)は要部平面図、図22(b)は要部断面図である。図23は集塵体ユニット80の供給途中の状態の説明図で、図23(a)は要部平面図、図23(b)は要部断面図である。図24は集塵体ユニット80の供給時の状態の説明図で、図24(a)は要部平面図、図24(b)は要部断面図である。図25は集塵体ユニット80の供給完了後の状態の説明図で、図25(a)は要部平面図、図25(b)は要部断面図である。
検出ユニット40により集塵体ユニット80が交換時期と判断され、排出されたものとする。
【0085】
制御・信号処理ユニット140は、図14で示すように排気ケース44を下降させ、続いて、交換ユニット90の位置割出部93を制御してターンテーブル91を回動(図22(a)の矢印i方向)させて、図22(a),(b)で示すように、集塵体ユニット供給位置にターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94を位置させる。
【0086】
制御・信号処理ユニット140は、ハンド駆動部212を制御して、図23(a),(b)で示すようにハンド213を前側(図23(a),(b)の矢印j方向)押し出してストッカ211にある供給集塵体ユニット214のうち最も下側にある一の集塵体ユニット80を、ターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94側へ移動させ、図24(a),(b)で示すように集塵体ユニット載置部94に落とし込んで装填する。これにより供給が終了する。そして、制御・信号処理ユニット140は、ハンド駆動部212を制御して、図25(a),(b)で示すようにハンド213を後側(図25(b)の矢印k方向)に戻すとともにストッカ211にある供給集塵体ユニット214の次の集塵体ユニット80を下側に落として、次の供給を待つ状態となる。
【0087】
続いて、これら排出・供給を考慮した交換の制御・信号処理ユニット140による処理フローについて説明する。図26は、集塵体ユニット80の交換判定処理のフローチャートである。
制御・信号処理ユニット140は検出器用ドライバ120から送信された検出信号から線量データを生成し(図26のステップS11)、線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るか否かを判断する(図26のステップS12)。線量データが集塵限界線量データを上回らないならば(図26のステップS12でNO)、交換不要と判定し(図26のステップS13)交換処理を終了する。一方、線量データが集塵限界線量データを上回るならば(図26のステップS12でYES)、交換が必要であると判定し(図26のステップS14)、交換処理を行う。
【0088】
交換時期と判定された集塵体ユニット80を排出するため、ターンテーブル91を回転させて排出ユニット200の集塵体ユニット排出位置まで移動させ(図26のステップS15)、排出ユニット200により、上記した動作により集塵体ユニット80を廃棄する(図26のステップS16)。そしてターンテーブル91を回転させて供給ユニット200の集塵体ユニット供給位置まで移動させ(図26のステップS17)、供給ユニット200により、上記した動作により新たな集塵体ユニット80を供給する(図26のステップS18)。なお、ステップS17,S18はただちに行う必要はなく、検出ユニット40・排出ユニット200による集塵体ユニット2を廃棄した後でも、検出ユニット40への設置を優先させるとターンテーブル91が直ぐに移動できず時間を掛けて移動していく。そこで供給ユニット210の集塵体ユニット供給位置に来るまで供給を待機しておき、供給ユニット210の集塵体ユニット供給位置に集塵体ユニット載置部94が来た時点で供給するようしても良い。この場合、集塵体ユニット載置部94が長期間開いているが、ダストモニタ2自体が防塵カバー(図示せず)等で覆われており、塵埃等が入り込むおそれがない。
【0089】
続いて変形した形態について図を参照しつつ説明する。図27は他の形態のダストモニタ2’の構成図であり、図27(a)は平面図、図27(b)は断面図である。先の図17〜図26を用いて説明した形態と比較して、パージ機能を持たせたクリーニングユニット180が検出ユニット40に追加され、吸引用の吸引ポンプ190を搭載している点が相違する。なお、この追加された構成およびパージ機能については先に説明したものと同じであり、同じ符号を付すとともに同じ構成・処理を行うものとして重複する説明を省略する。
ダストモニタ2’をこのような構成としても良い。
【0090】
続いて他の形態について図を参照しつつ説明する。図28は他の形態の集塵体の説明図であり、図28(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図28(b)はB−B線断面図、図28(c)は裏面を示す図である。本形態では、先の形態の集塵体82に代えて、集塵体85とし、この集塵体85の特に外周電極にプラス電圧を印加して、外周電極の正極から受けるクーロンの斥力(プラスとプラスとが互いに反発し合う力)を作用させて、イオン化放射線性ダストが排気孔を通過させないようにするとともに、引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線性ダストを集塵させるものである。
【0091】
集塵体85は、絶縁ベース部851、電極852、排気孔853、外周電極854を備える。
絶縁ベース部851は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であり、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂などを用いることができる。なお、本形態では材質として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板で、集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0092】
電極852は、例えば、板体や箔などであって通常電極として用いる材料(銅など)により形成されるものであり、図13(c)で示すように絶縁ベース部851と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図13(a)で示す点線の円は、この電極852と同一径の円の集塵面である。
【0093】
排気孔853は、電極852の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
外周電極854は、図28(b)に示すように、排気孔853を覆う導電体(例えば銅箔など)である。
【0094】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。
先に説明したように、絶縁ベース部851は誘電体であり、電極852にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加すると電界が形成され、誘電分極により、絶縁ベース部851の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部851の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
さらに、外周電極854にはプラス電圧(DC+aV)を印加した状態とし、プラスイオン化されたイオン化放射線ダストが排気孔853を通過しようとすると、斥力が加わるため通過しにくくなっており、この斥力に加え、集塵面の引力により、イオン化放射線ダストが集塵面に集塵される。このように構成しても良い。
【0095】
以上、図28を用いて本形態の改良した集塵体について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極854にプラス電圧(+aV)を加えるとともに集塵体85の電極852にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極854にマイナス電圧(−aV)を加えるとともに集塵体85の電極852にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0096】
また、本形態では集塵体85に排気孔853および外周電極854を設けたものであったが、例えば、図13で示した集塵体85から排気孔853および外周電極854をなくし、代わりに図3で示した検出ユニット本体42に捕集後の空気を排気させる流路である排気路と、この流路の開口部付近および流路内部に外周電極を形成するような構成としても良い。この場合、多数の枚数が必要となる集塵体85に排気孔が不要になって構造が簡単になるという利点もある。
また、本形態では集塵体82の電極822に高電圧を印加するため、集塵体ユニット側の接続部84と、排気ケース44側の接続部172と、を圧接して接続する方式を採用していたが、接続部84,172に代えて、電気的に接続されるコネクタを形成し、集塵体ユニット82を、集塵体ユニット載置部に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造としても良い。
【0097】
また、本形態では集塵体85の電極852および外周電極854に高電圧を印加するため、集塵体ユニット側の接続部と、排気ケース44側の接続部と、を圧接して接続する方式を採用していたが、これら接続部に代えて、電気的に接続される二個のコネクタを形成し、集塵体ユニット85を、集塵体ユニット載置部に載置するときにこれら二個のコネクタを結合して電源を供給する構造としても良い。
【0098】
以上本発明の各種形態について説明した。
なお、本形態では集塵装置の具体例としてダストモニタを挙げて説明したが、ダストモニタに限定する趣旨ではなく、例えば、放射性同位元素取扱施設から排気した空気を全て通過させるような大型の集塵装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの構成図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの検出系の構成説明図である。
【図3】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの検出時の検出ユニットの断面図である。
【図4】集塵体の説明図であり、図4(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図4(b)はA−A線断面図、図4(c)は裏面を示す図である。
【図5】ダストモニタの回路ブロック図である。
【図6】空気系の説明図である。
【図7】イオン生成系の説明図である。
【図8】集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図8(a)は集塵を説明する説明図、図8(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
【図9】ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図9(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図9(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【図10】集塵体と従来技術の集塵体ユニットとによる線量データを比較する時間−線量データ特性図である。
【図11】クリーニングを説明する時間−線量データ特性図である。
【図12】集塵体ユニットの交換時期判定処理のフローチャートである。
【図13】集塵体ユニットが集塵体ユニット設置位置に取付けられたときの検出ユニットの説明図である。
【図14】集塵体ユニットが集塵体ユニット設置位置から解放されたときの検出ユニットの説明図である。
【図15】使用中の検出ユニットの説明図である。
【図16】他の形態のダストモニタ1’の構成図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は断面図である。
【図17】他の形態のダストモニタの構成図であり、図17(a)は平面図、図17(b)は断面図である。
【図18】他の形態のダストモニタの回路ブロック図である。
【図19】集塵体ユニットの押し上げ前の状態の説明図で、図19(a)は要部平面図、図19(b)は要部断面図である。
【図20】集塵体ユニットの押し上げ後の状態の説明図で、図11(a)は要部平面図、図11(b)は要部断面図である。
【図21】集塵体ユニットの排出の説明図で、図12(a)は要部平面図、図12(b)は要部断面図である。
【図22】集塵体ユニットの供給前の状態の説明図で、図22(a)は要部平面図、図22(b)は要部断面図である。
【図23】集塵体ユニットの供給途中の状態の説明図で、図23(a)は要部平面図、図23(b)は要部断面図である。
【図24】集塵体ユニットの供給時の状態の説明図で、図24(a)は要部平面図、図24(b)は要部断面図である。
【図25】集塵体ユニットの供給完了後の状態の説明図で、図25(a)は要部平面図、図25(b)は要部断面図である。
【図26】集塵体ユニットの交換判定処理のフローチャートである。
【図27】他の形態のダストモニタの構成図であり、図27(a)は平面図、図27(b)は断面図である。
【図28】他の形態の集塵体の説明図であり、図28(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図28(b)はB−B線断面図、図28(c)は裏面を示す図である。
【図29】従来技術のダストモニタの検出ユニットの構成図である。
【図30】検出器の説明図で、図30(a)は要部構成図、図30(b)は計数値−波高電圧線特性図である。
【符号の説明】
【0100】
1,1’,2,2’:ダストモニタ
10:圧送ポンプ
11:吸入口
12:吐出口
20:イオン化部
30:イオン生成部
40:検出ユニット
41:流入口
42:検出ユニット本体
43:リニアスライダ
44:排気ケース
45:排出口
46:上下駆動部
47:シール部
50:放射線検出器
60:排気口
70:ベース部
80:集塵体ユニット
81:ユニットベース
82:集塵体
821:絶縁ベース部
822:電極
823:排気孔
83:電線
84:接続部
85:集塵体
851:絶縁ベース部
852:電極
853:排気孔
854:外周電極
90:交換ユニット
91:ターンテーブル
92:支持部
93:位置割出部
100:操作表示ユニット
101:操作部
102:表示部
110:高圧電源部
120:検出器用ドライバ
130:電源部
140:制御・信号処理ユニット
150:電源部
160:情報解析部
170:電源供給部
171:電線
172:接続部
180:クリーニングユニット
181:第1バルブ
182:第2バルブ
183:パージ用フィルタ
190:吸引ポンプ
200:排出ユニット
201:ロッド
202:ロッド駆動部
203:ストッカ
204:廃棄集塵体ユニット
205:リニアスライダ
206:押し上げ部
207:押し上げ部駆動部
210:供給ユニット
211:ストッカ
212:ハンド駆動部
213:ハンド
214:供給集塵体ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を集塵する集塵体を交換し、長期間にわたり塵埃についての各種モニタリングを行う集塵体交換機能を有するダストモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を集塵する目的は各種存在し、塵埃除去による空気清浄化目的のものが一般的であるが、これ以外にも、例えば大気中の塵埃量の計測を行うという計測目的のものなどがある。このような計測の一具体例として、放射性の塵埃(以下放射線ダストという)を集塵して放射線を検出する計測が知られている。このような計測における塵埃捕集について以下説明する。
【0003】
例えば、原子力施設及び大学・研究所などの放射性同位元素取扱施設では、この施設内の空気を集塵用フィルタに通過させ、空気中に含まれる放射線ダストを捕集して放射線の計測を行うダストモニタが使用される。このダストモニタは、具体的には、放射性同位元素取扱施設内の空気中に存在する放射線ダストの空気中濃度を測定し、放射線業務従事者の被曝を管理するために用いられる。以下、ダストモニタについて概略説明する。
【0004】
図29は従来技術のダストモニタ200の検出ユニットの構成図、図30は検出器の説明図で、図30(a)は要部構成図、図30(b)は計数値−波高電圧線特性図である。このダストモニタ300は、図29で示すように、吸入口310、検出器320、検出器ホルダ330、集塵用フィルタ340、集塵ケース350、フィルタ取換扉360、排気ポンプ370、排出口380を備え、放射線ダストからの放射線の線量を検出器320により検出するものである。
【0005】
排気ポンプ370により負圧が形成されると、放射性同位元素取扱施設の空気は、吸入口310を経て集塵ケース350内に流入し、集塵用フィルタ340を通過して排出口380から排出される。検出器ホルダ330に固定された検出器320は、この集塵用フィルタ340が捕集した放射線ダストから放射される放射線を検出し、線量を計数する。検出器320は、例えば、図30(a)で示すように、半導体検出素子321、増幅部322、波高弁別部323、中央処理部(CPU:Central Proccessing Unit)324を備えている。この中央処理部324はカウンタ機能を有している。
【0006】
半導体検出素子321は、放射線ダスト400からの放射線の検出に応じて検出信号を出力する。
増幅部322は、この検出信号を所定ゲインで増幅し、検出信号の振幅電圧(波高)を適宜調節する。
波高弁別部323は、詳しくはディスクリミネータ回路であり、分圧抵抗323a,323bで決定される検出基準波高電圧をコンパレータ323cに入力し、検出信号から検出基準波高電圧を上回るような信号を弁別してパルス信号として出力する。この波高弁別により、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドによるノイズ(以下バックグラウンドノイズという)は除去される。
中央処理部324はこのようなバックグラウンドノイズが除去されたパルス信号を計数するカウンタとして機能する。これにより放射線の線量が計数され、計数値を表す線量データを生成出力する。この線量データは通信線を介してコンピュータ等で構成される他の中央処理部へ送信されて各種処理が行われる。
【0007】
この線量データの内容について説明する。放射線ダストは放射性核種を含む。この放射性核種は人工放射性核種と天然放射性核種に分けられる。天然放射性核種は今なお存在する半減期の長いものとその放射性を持つ娘核種であり、人工放射性核種は人工により作り出され、自然にはほとんど絶滅している半減期の短い核種のことを指している。
このような検出器320では、仮に波高弁別部323がないと図30(b)の計数値−波高電圧線特性図で示すように、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズも含む多数の計数値がカウンタから出力される。これは自然界に存在する天然の放射性物質すなわち自然核種からの放射線の線量も含むものとなる。
しかしながら、波高弁別部323の弁別により、検出基準波高電圧を上回る電圧の信号については検出対象としてパルス信号として出力するが、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズは検出対象外となって除去するため、放射性物質取扱施設から漏洩する波高の高い人工放射性核種から放射される放射線の線量のみを検出できる。
【0008】
図29に戻るが、このようなダストモニタ300では、所定期間経過した後に集塵用フィルタ340が取換えられる。この集塵用フィルタ340は、カートリッジ形式として取扱いが容易に構成されており、取換えはフィルタ取換扉360を開けて、古い集塵用フィルタ340を取り除いた後に新しい集塵用フィルタ340を載置し、フィルタ取換扉360を閉めることにより行われる。
従来技術のダストモニタ300はこのようなものであった。
【0009】
また、このようなダストモニタの従来技術例として、例えば特許文献1(発明の名称:放射線ダストモニタ)が開示されている。
この放射線ダストモニタも、図29で示したダストモニタ300と同様に、通気ユニット内に設置されたフィルタ(ろ紙)に放射線ダストを集塵させて、フィルタ(ろ紙)に対向するように配置された検出器が放射線を検出するというものである。
【0010】
さらにまた、他の従来技術例として、例えば特許文献2(発明の名称:放射線ダストモニタ及び放射線ダストモニタ用濾紙リサイクル可否判定装置)が開示されている。
この放射線ダストモニタは、供給プーリから長尺帯状の濾紙を繰り出す方式を採用しており、濾紙の交換等の手間を低減させるものである。
【0011】
【特許文献1】特開2002−277552号公報 (段落番号0022〜0025,図1)
【特許文献2】特開2003−315461号公報 (段落番号0029,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ダストモニタでは、精度良い計測を行うため未使用の集塵用フィルタへと頻繁に取換えられるものであり、図29で示した従来技術や特許文献1の従来技術のように単体の集塵用フィルタを検出位置に配置する単体方式では頻繁に集塵用フィルタを取換え、また、特許文献2の従来技術のように長尺帯状の濾紙を連続挿入する連続方式ではフィルタ交換の自動化を実現している。そして何れのダストモニタでもダスト捕集・計測した後の集塵用フィルタが放射能汚染されているか否かを選別し、汚染されている場合には放射能汚染物質として処分し、または、放射能汚染されていない場合は通常の廃棄物として処分している。
【0013】
しかしながら、単体方式では集塵用フィルタを決められた時間毎に交換して廃棄していたため、手間を要する上に、ごみを省力化できなかった。
また、連続方式では長尺の濾紙を使用するため交換に手間を要しない点では良いが、この濾紙の一部にでも放射能汚染があれば全て放射能汚染されているとして廃棄するか、または、ごみ処分時に再度分別作業するか、が必要であり、廃棄時の手間の削減やごみの省力化の点で改善する余地があった。
【0014】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、また、長期間にわたり交換不要にして、運用コスト低減を実現するような集塵体交換機能を有するダストモニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出ユニットと、
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させた集塵面と、を有する集塵体と、この集塵体を保持するユニットベースとを有する集塵体ユニットと、
検出ユニットの検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体の集塵面と有感面とが対向するように検出ユニットに取付けられ、イオン化放射線ダストから有感面に放射される放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出部と、
複数の集塵体ユニットを搭載し、検出ユニットの集塵体ユニット設置位置にある集塵体ユニットを他の集塵体ユニットに交換する交換ユニットと、
放射線検出部から出力された検出信号に基づいて線量データを生成し、また、交換ユニットの駆動制御を行う制御・信号処理ユニットと、
を備え、検出ユニットの検出空間内で集塵体の集塵面に空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気路を通じて排気することで、放射線のモニタリングを行うダストモニタであって、
前記制御・信号処理ユニットは、
線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るかという線量条件を調べる手段と、
この線量条件を満たす場合に集塵体ユニットを交換する時期と判定する手段と、
交換時期と判定された場合に電極への電圧の印加を停止する手段と、
集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置へ移動させるように交換ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る発明のダストモニタは、
請求項1に記載のダストモニタにおいて、
集塵体ユニットを交換ユニットから排出する排出ユニットを備え、
この排出ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
交換必要と判定された集塵体ユニットを排出ユニットの集塵体ユニット排出位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
集塵体ユニット排出位置にある交換が必要と判定された集塵体ユニットを交換ユニットから排出するように排出ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項3に係る発明のダストモニタは、
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
交換必要な集塵体ユニットが排出された交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給する供給ユニットを備え、
この供給ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
集塵体ユニット載置部が供給ユニットの集塵体ユニット供給位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給するように供給ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項4に係る発明のダストモニタは、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記検出ユニットは、集塵体ユニットの上流側にあって放射線検出器が設置される検出ユニット本体と、集塵体ユニットの下流側にある排気ケースと、排気ケースを上下動させる上下駆動部と、を備え、
前記交換ユニットは、回動可能に支持されるとともに集塵体ユニットが配置される複数の孔による集塵体ユニット載置部が形成されたターンテーブルと、ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット載置部を移動させる位置割出部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
検出ユニットからの集塵体ユニット取り外し時にあっては排気ケースを下降させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部のみで支持する状態となるように検出ユニットの上下駆動部を制御し、ターンテーブルを回動させて検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に新たな集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
検出ユニットへの集塵体ユニット取付け時にあってはターンテーブルを回動させて新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御し、排気ケースを上昇させて検出ユニット本体と排気ケースとで挟持して集塵体ユニットを封止固定させるように検出ユニットの上下駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項5に係る発明のダストモニタは、
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
排出ユニットは、上下方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部に搭載された集塵体ユニットを押し上げる押し上げ部と、押し上げ部を上下方向に駆動する押し上げ部駆動部と、水平方向に移動可能に構成されて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットを掃き出すロッドと、ロッドを水平方向に駆動するロッド駆動部と、排出された集塵体ユニットを収容するストッカと、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット排出位置に集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
押し上げ部を上昇させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部から押し上げるように排出ユニットの押し上げ部駆動部を制御する手段と、
ロッドを移動させて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットをストッカへ掃き出すように排出ユニットのロッド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項6に係る発明のダストモニタは、
請求項3に記載のダストモニタにおいて、
供給ユニットは、新たな集塵体ユニットを収容するストッカと、水平方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ集塵体ユニットを押し出すハンドと、ハンドを水平方向に駆動するハンド駆動部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット供給位置にターンテーブルの集塵体ユニット載置部を位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
ハンドを押し出してストッカにある一の集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ装填するように供給ユニットのハンド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項7に係る発明のダストモニタは、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路内に外周電極を備え、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項8に係る発明のダストモニタは、
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路は、絶縁ベース部に排気孔として一体に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明によれば、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、また、長期間にわたり交換不要にして、運用コスト低減を実現するような集塵体交換機能を有するダストモニタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
続いて、本発明を実施するための最良の形態のダストモニタについて、以下に図を参照しつつ一括して説明する。
図1は本形態のダストモニタ1の構成図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。図2は本形態のダストモニタの検出系の構成説明図である。図3は本形態のダストモニタ1の検出時の検出ユニットの断面図である。
このダストモニタ1は、例えば放射性同位元素取扱施設などにおいて、室内の空気中に含まれる放射線ダストを集塵して、放射線ダストの空気中濃度を測定する装置である。この図1(a),(b)では主に機械系構成を示すものであり、大別して、圧送ポンプ10、イオン化部20、イオン生成部30、検出ユニット40、放射線検出器50、排気口60、ベース部70、複数の集塵体ユニット80、交換ユニット90、操作表示ユニット100を備えている。
【0025】
また、このダストモニタ1は、図2で示すような検出系構成を備えるものであり、圧送ポンプ10、イオン化部20、イオン生成部30、検出ユニット40、放射線検出器50、高圧電源部110、検出器用ドライバ120、電源部130、制御・信号処理ユニット140、電源部150、情報解析部160を備えている。なお、図2でしめすダストモニタ1は、各構成がそれぞれ分かれて図示されているが、これは構成を解りやすく説明するためであり、実際はこれらが図1のダストモニタ1に一体に組み込まれた装置として使用される。
【0026】
ここに空気系は、図1,図2で示す圧送ポンプ10、イオン化部20、検出ユニット40や、図1でのみ示す排気口60により構成される。
また、イオン生成系は、図1,図2で示すイオン生成部30や、図2でのみ示す高圧電源部110により構成される。
また、放射線検出系は、図1,図2で示す検出ユニット40、放射線検出器50や、図2でのみ示す検出器用ドライバ120、制御・信号処理ユニット140、情報解析部160により構成される。
【0027】
続いて各部の構成について説明する。
図2で示すように、圧送ポンプ10は、例えばシロッコ式ポンプであり、吸入口11と吐出口12とを備える。吸入口11は、図示しないが、例えば、放射性同位元素取扱施設の施設内空気を排気する排気口に接続されたり、また、放射性同位元素取扱施設の施設内にそのまま配置される。なお、空気に含まれる汚染物質を除去するような汚染除去手段を吸入口11の上流側に配置しても良い。吐出口12は、イオン化部20の流入口に接続される。
この圧送ポンプ10は、空気系の最上流に位置し、放射線ダストを含む空気を吸引してイオン化部20および検出ユニット40へ空気を加圧送出する。
【0028】
イオン化部20は、圧送ポンプ10から圧送される空気が流れる流路であるイオン化空間をその内部に備えるものである。イオン化部20の外側にイオン生成部30が取付けられている。イオン化部20は、圧送ポンプ10の下流側に配置される。
【0029】
イオン生成部30は、イオンを生成し、イオン化部20のイオン化空間内にこのイオンを照射するイオナイザであり、図示しない放電針を多数備える。本形態のイオン生成部30では、プラスの高電圧が印加された放電針がプラスイオンを生成してイオン化空間内をイオン化された雰囲気とし、イオン化空間を通過する放射線ダストにプラスイオンを付着させることで正極に帯電させてイオン化放射線ダストとする。なお、本形態では説明の具体化のためプラスイオンを生成するものとして以下説明するが、後述のようにマイナスイオンを生成することも可能である。
【0030】
なお、本形態では図1で,図2示すような長尺のイオン化空間を有するイオン化部20とし、さらに空気の流れ方向に放電針を多数並べて配置したイオン生成部30としており、イオン化空間内を流れる放射線ダストが、放電針付近のプラスイオン濃度が高い領域を放電針の数だけ通過するようにしているため、放射線ダストが確実にイオン化されるように配慮している。なお、イオン化生成部30から十分なプラスイオンが生成されて確実にイオン化放射線ダストが生成されるならばイオン化部20やイオン化生成部30は長尺でなくとも良い。
【0031】
検出ユニット40は、塵埃を捕集して放射線ダストの空気中濃度を測定するためのユニットであり、イオン化部20の下流に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が流入する。この検出ユニット40は、図3で示すように、流入口41、検出ユニット本体42、リニアスライダ43、排気ケース44、排出口45(図1参照)、上下駆動部46(図1参照)、シール部47を備えている。
【0032】
流入口41は、図1,図3で示すように、イオン化部20の開口と接続され、イオン化空間と検出空間とを連通させている。
検出ユニット本体42は、図3で示すように、その内部に検出空間が形成されている。検出ユニット本体42の下側は開口が形成されており、その開口端にシール部(例えばOリング)47が取付けられている。また、その検出空間内に放射線検出器50の有感面(図3中の最下面)が配置されている。ここに、検出ユニット本体42は、絶縁材にて構成され、放射線検出器50と集塵体82とに対して絶縁が確保されている。
【0033】
リニアスライダ43は、図1で示すように排気ケース44が矢印A方向(上下方向)に移動できるように支持している。
排気ケース44は、その内部に排気流路が形成され、上側に開口が形成される。この開口端にはシール部(例えばOリング)47が取付けられている。この排気ケース44も不要な電界を形成しないようにするため合成樹脂等の絶縁体にて形成されている。なお、排気ケース44の排気流路内には電源供給部170が設けられている。電源供給部170は、電線171、接続部172を備え、排気流路内を通じて接続部172に高電圧が供給されている。
【0034】
排出口45は、図1で示すように、排気ケース44に形成された開口であり、図示しない流路が接続される。この図示しない流路を経て排気口60まで流路が形成される。なお、排気ケース44が上下動するためフレキシブルなチューブ等で接続される。
上下駆動部46(図1参照)は、排気ケース44が矢印A方向(上下方向)に駆動する機能を有している。
シール部47(図3参照)は、先に述べたように例えばOリングなどであり、シール機能を有している。このシール部47も不要な電界を形成しないようにするため絶縁体ゴムなどにて形成されている。
【0035】
図1に戻るが、放射線検出器50は、集塵体82に捕集されたイオン化放射線ダストの放射線についての線量データを出力している。
この放射線検出器50は、図3でも示すように、直下に設置した集塵体82に集塵されているイオン化放射線ダストの放射線を測定する検出器であり、放射線が特定の物質に入射するとき、その放射線エネルギーが吸収されて光のエネルギーに変換するシンチレータと、僅かな光を電気信号に変換・増幅する光電子増倍管を組み合わせたものである。この電気信号は、検出器用ドライバ120(図2参照)へ出力される。
【0036】
なお、イオンにより発生するノイズに対するノイズ処理を行うことを条件に、先に図30(a)を用いて説明した半導体検出素子としても良い。この場合、例えば、半導体検出素子321・増幅部322が半導体検出器50として、波高弁別部323が検出器用ドライバ120として、また、中央処理部324が制御・信号処理ユニット140として機能するものである。
【0037】
排気口60は、図1で示すように、検出ユニット40内の集塵体82の排気孔823を通過した空気を排気する。排気口60は、放射性同位元素取扱施設の施設外へ空気を排気する吐出口に接続されたり、また、放射線ダストが集塵除去されている清浄な空気であるため放射性同位元素取扱施設の施設内へそのまま排気しても良い。
ベース部70は、ダストモニタ1を構成する各構成が設置される。
【0038】
集塵体ユニット80は、図3で示すように、ユニットベース81と、集塵体82と、を備える。ユニットベース81は、円筒体の開口端付近に略円環状のフランジを形成してなるものである。このユニットベース81も不要な電界を形成しないようにするため合成樹脂等の絶縁体にて形成されている。ユニットベース81における円筒体のフランジ側開口は段付き孔であって段部を有し、集塵体82がフランジ側開口に接着固定されると、集塵体82の周縁が段部に載置されて孔内に嵌め込まれるというホルダ方式を採用している。
【0039】
集塵体82は、ユニットベース81の円筒内に配置される。気密性を確保するため図3で示すようにシール部47と接するように集塵体82がフランジ部側上端に位置する。
電線83は、集塵体82の電極822(図4参照)に接続される。
接続部84は、電線83に接続され、後述するが排気ケース44側の接続部172と接続されて集塵体82の電極822に高電圧が供給される。
【0040】
さて、集塵体82は、イオン化ダストを捕集する機能を有している。この集塵体82についてさらに詳細に説明する。図4は集塵体の説明図であり、図4(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図4(b)はA−A線断面図、図4(c)は裏面を示す図である。
集塵体82は、絶縁ベース部821、電極822、排気孔823を備える。
絶縁ベース部821は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体82の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であるが、広いバンドギャップを有するため、電気的には絶縁体としてもふるまう。この誘電体の例として、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂なども用いることができる。なお、誘電体を用いる理由については後述する。絶縁ベース部821の例として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板であり、さらに集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0041】
電極822は、例えば、薄板状や箔状であり、通常電極として用いる材料(銅等)により形成されるものであり、図4(c)で示すように絶縁ベース部821と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図4(a)で示す点線の円は、この電極822と同一径の円であり、後述する原理により形成される集塵面である。
【0042】
排気孔823は、本発明の排気路の一具体例であって、電極822の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
この集塵体82による集塵原理については後述する。
【0043】
なお、他の集塵体の構成として上記の絶縁ベース部821にFR−4(3層)ガラスエポキシ樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、電極部を中間に配置して電極部を劣化しないようにしても良い。
また、他の集塵体の構成として上記絶縁ベース部821にテフロン(登録商標)(3層)樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、表面のテフロンコーティングにより、表面強度は非常に高いクリーニング(再利用)性能を持たせるようにしても良い。
集塵体82はこのようなものである。
【0044】
交換ユニット90は、図1(a),(b)で示すように、ターンテーブル91、支持部92、位置割出部93を備えている。
ターンテーブル91は円板であり、集塵体ユニット82が配置される複数の孔による集塵体ユニット載置部94(図21,図22等参照)が形成されている。
支持部92は、円板であるターンテーブル91の中心を軸支することで回転可能に支持する。
位置割出部93は、ターンテーブル91を回転(図1(a)の矢印B方向)させて集塵体ユニット載置部94を移動させる。
【0045】
操作ユニット100は、図1で示すように、操作部101、表示部102を備えている。操作部101を通じて検出開始等の操作の入力がされ、また、表示部102を通じて検出結果の出力がなされる。
【0046】
高圧電源部110は、図2で示すように、商用電源からDC±5,000Vのプラス高電圧およびマイナス高電圧を生成する機能を備え、商用電源から生成したプラス高電圧を、イオン化生成部30の放電針に印加し、また、商用電源から生成したマイナス高電圧を、電源供給部170、接続部84および電線83を介して、集塵体82の電極822に印加する。
【0047】
検出器用ドライバ120は、放射線検出器50の光電子増倍管へ駆動電力を供給したり、また、光電子増倍管から出力された電気信号を入力し、信号処理を行う。詳しくは、この電気信号に対して信号増幅やノイズ除去を行ってTTL信号出力による検出信号を生成して、制御・信号処理ユニット140へ出力する。放射線検出器50および検出器用ドライバ120は、本発明の放射線検出部の一具体例となる。
【0048】
電源部130は、商用電源から生成した電源電圧を、検出器用ドライバ120へ供給する定電圧電源である。
制御・信号処理ユニット140は、図5のダストモニタの回路ブロック図で示すように、操作部101、表示部102、圧送ポンプ10、位置割出部93、上下駆動部46、高圧電源部110、検出器用ドライバ120、および、情報解析部160がそれぞれ接続されている。
信号処理系では、検出器用ドライバ120、情報解析部160が該当し、検出器用ドライバ120から出力された検出信号を入力し、デジタルの線量データに変換して、情報解析部160へ出力する。
残る各部は制御駆動系を構成する。制御・駆動の詳細については後述する。
【0049】
電源部150は、商用電源から生成した電源電圧を、制御・信号処理ユニット140へ供給する定電圧電源である。
情報解析部160は、検出データを入力し、所望の解析を行ってグラフ形式(例えば、図10,図11の特性図参照)や帳票形式にまとめて出力する。また、データを保存する機能も有する。
【0050】
続いて、本発明のダストモニタ1の動作について説明する。このダストモニタは交換動作とモニタリング動作とを交互に行うこととなる。ダストモニタ1は交換動作を行って新しい集塵体ユニット80を設置し、モニタリング動作を行って放射線を検出し、集塵体ユニット80が所定条件に達したような場合に交換動作を行うというものであり、これら動作は一連の動作であるが、これらを続けて説明すると説明が長くなるため別途分けて説明する。
【0051】
まず、集塵体、および、この集塵体を用いるモニタリング動作について図を参照しつつ説明する。図6は、空気系の説明図である。
まず、図6で示すように、コンプレッサ式の圧送ポンプ10は、放射線ダストを含む空気を吸引して下流にあるイオン化部20へ送る。この吸気量は例えば最大40(Nl/min)程度である。イオン化部20のイオン化空間および検出ユニット40の検出空間は圧送される圧縮空気により高圧となる。このため、集塵体842の排気孔823(図3,図4参照)から下流側へ空気が排気される。排気された空気は排気ケース44、排出口45、図示しない排気流路および排気口60を経てダストモニタ1の外へ放出されることとなる。
【0052】
続いて、イオン生成系について図を参照しつつ説明する。図7はイオン生成系の説明図である。イオン生成部30は、放電針にプラス高電圧を印加し、直流コロナ放電により、プラスイオンを発生させる。プラス高電圧が高いほどプラスイオンの生成量が増加するが、あまり高いとアーク放電現象が発生するため、アーク放電を起こさない最高電圧であるDC+5,000Vを印加する。
イオン生成部30の放電針からコロナ放電させてプラスイオンが照射され、イオン化空間内の雰囲気をプラスイオン化させる。この雰囲気を放射線ダストが通過すると、プラスイオンが放射線ダストに付着して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成する。図7で示すように複数の放電針近傍のイオン高濃度領域を通過するため、イオン化放射線ダストが確実に生成される。
【0053】
そして、イオン化放射線ダストが検出ユニット40内の検出空間内に到達する。図3で示すように、モニタリング動作時の検出ユニット40は、排気ケース44が下側から押し上げられて、集塵体ユニット80が検出ユニット本体42の開口部と、排気ケース44の開口部と、に挟まれている。この際、集塵体82の配置後の検出ユニット本体42は、図3で示すような位置関係となる。集塵体82の上側の集塵面と、この集塵面に対向する面である放射線検出器50の有感面と、の距離が約10mmになるように構成されている。なお、集塵体82と検出ユニット本体42の開口部とに、また、集塵体82と排気ケース44の開口部とに、それぞれシール部47を配置して接続箇所で隙間がないように塞いで気密を保持している。また、接続部84,172が圧接して電気的に接続されている。このような構造であるため、排気ケース44が下降すれば、拘束が解除され、集塵体82は横方向にスライドして交換できる。
【0054】
図3で示すように、集塵体82まで到着し、イオン化放射線ダストが集塵体82に吸引されて捕集される。そして捕集後に残る空気は排気孔823を通じて排気される。そして集塵面のイオン化放射線ダストから放射される放射線を、放射線検出器50が検出してダストモニタリングが行われる。
【0055】
続いて、ダストモニタにおける捕集原理について重点的に説明する。先の図3で示すようにイオン化部20のイオン化空間を通過したイオン化放射線ダストが、検出ユニット本体42内の検出空間に流入する。集塵体82の電極822はDC−5000Vのマイナス高電圧が印加されており、プラスに帯電したイオン化放射線ダストを、集塵体82の集塵面上に吸引蓄積させる。なお、DC−5000Vを下回る低電圧では、絶縁ベース部821の絶縁破壊によりリーク(高電圧での放電現象)が発生するおそれがあるため、DC−5000Vを最下限としている。
【0056】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。図8は集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図8(a)は集塵を説明する説明図、図8(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
先に説明したように、絶縁ベース部821は誘電体である。図8(a)で示すように電極822にマイナス高電圧を印加すると電界が形成される。誘電体に電界をかけると電荷は移動するのではなく、誘電体を構成する粒子は局所的に変位し、正負の電荷の重心の位置が僅かにずれる。この結果、粒子は電気双極子の集団を構成し、電界の方向に並ぶ誘電分極が起こる。この誘電分極により、電界方向(矢印C方向)では内部の隣り合う双極子の電荷が打ち消され、見かけ上では絶縁ベース部821の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部821の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
【0057】
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
仮に導電体のみの集塵体とするとイオンが吸収されるため、イオン化放射線ダストが直ちに通常の放射線ダストとなって、集塵できないが、本形態のように誘電体を介在させたため、イオン化放射線ダストに付着するイオンを吸収するという事態は回避される。
【0058】
なお、本発明の集塵体を利用するダストモニタ1では、従来技術のような空気が通流する微細孔を有する集塵フィルタを用いないため空気を通流させる排気孔を設けているが、従来技術のように集塵体の下流側を負圧にするのではなく、集塵体の上流側を正圧に加圧する点も特徴となっている。この点について図を参照しつつ説明する。図9は、ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図9(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図9(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【0059】
従来技術では、図29で示すように、集塵用フィルタ350の下流側を排気ポンプ370により負圧にして下流側へ吸引することで送風していた。
このような従来技術の送風原理を本発明の集塵体に採用すると、図9(a)で示すように、流れやすい排気孔823へ空気が集中して流れて、集塵面上に空気が流れない滞留領域が形成され、イオン化放射線ダストが集塵面に到達せずに排気孔823を介して排気され、集塵が効率的に行われないという問題があることが本発明者により知見された。そこで、従来の負圧吸引方式での捕集でなく、圧送方式を採用した。これにより、図9(b)で示すように、集塵体82に空気を吹き付けることとなり、集塵体82の全面に放射線ダストが吹き付けられてプラスのイオン化放射線ダストが集塵体82の集塵面に吸引される。このため、イオン化放射線ダストが確実に捕集される。
【0060】
続いて、このような集塵原理による集塵能力について図を説明する。図10は集塵体と従来技術の集塵用フィルタとによる線量データを比較する時間−線量データ特性図である。従来技術の集塵用フィルタの線量データを100%とした場合の集塵体82の線量データは約12%を示す。集塵効率は必ずしも従来技術に達してはいないが、集塵時の捕集効率ファクタ(λ)を決めて線量データ×λにより実際の線量データに略一致させる補正を行うことで、実際の計数率に近づけることができる。この処理は制御・信号処理ユニット140や情報解析部160で行われる。
【0061】
また、ダストモニタ1は放射性同位元素取扱施設内の各種装置から空気中へ漏洩した放射性物質の監視を目的としており、その対象は人工放射性物質(人工核種)である。一方、大気中にはラドン,トロン等天然の放射性物質(天然核種)が含まれており、建屋のコンクリート等からも同様の天然核種が空気中に遊離する。例えば放射性同位元素取扱施設内へも建屋換気空調系を介して外気を取り入れており、また建屋構築のコンクリートからも天然核種が供給されるため、施設内の空気は常に天然核種を含んでいる。このような放射性同位元素取扱施設内の空気に含まれる天然放射性物質であるダスト状のラドン子孫核種及びトロン子孫核種があり、これらも集塵体82にダスト状の子孫核種として捕集されることとなる。これらの自然放射能の半減期は比較的短く、充分な期間、例えば、1週間経過時には放射能が低くなるため、天然核種の自然放射能の影響は無視できるようになる。一方人工核種は、放射能が高い。このことから、集塵体82が捕集した放射線ダストからの放射線の線量が予め定められた境界線量を上回るならば、人工核種が検出されたとして異常を検知することとなり、線量データの補正により、本来検出したい人工核種の放射線を確実に検出できる。
【0062】
続いて、集塵体のクリーニングについて図を参照しつつ説明する。図11はクリーニングを説明する時間−線量データ特性図である。集塵体82をクリーニングする場合、電極822に印加されたマイナス高電圧(DC−5000V)を切って単に0Vとして吸引力をなくしたり、または、+aVとしてイオン化放射線ダストに斥力を与える。これにより、図8(b)で示すように集塵体82に付着したイオン化放射線ダストを離脱させ、排気孔823から排気させる。このようなクリーニング時の動作は、図11で示すようにマイナス高電圧印加時に増加した線量データが、印加を終了したときに直ぐに低下する点からも、クリーニングが有効に機能していることが明らかである。
【0063】
続いて放射線検出器50における線量の検出動作について説明する。
放射線検出器50は、先に説明したように、電気信号を出力し、検出器用ドライバ120が検出処理により検出信号を制御・信号処理ユニット140へ出力し、制御・信号処理ユニット140で線量データを生成する。
制御・信号処理ユニット140は線量データに基づいてデータ処理を行い、表示部102に線量を表示させる。また、必要に応じて表示・音声アラーム等により、空気中濃度が急激に上昇した異常状態を検出したことを報知する機能を有するようにしてもよい。
【0064】
以上本形態のダストモニタ1のモニタリング動作について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体82の電極822にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して吸引力により集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体82の電極822にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0065】
また、本形態では集塵体82に排気孔823を設けたものであったが、例えば、図4で示した集塵体から排気孔をなくし、代わりに図3で示した検出ユニット本体42に捕集後の空気を排気させる通路である排気路を形成するような構成としても良い。この場合、多数枚数が必要になる集塵体の構造が簡単になり、運用面での低コスト化が見込めるという利点もある。
【0066】
また、本形態では集塵体82の電極822に高電圧を印加するため、集塵体ユニット側の接続部84と、排気ケース44側の接続部172と、を圧接して接続する方式を採用していたが、接続部84,172に代えて、電気的に接続されるコネクタを形成し、集塵体ユニット82を、集塵体ユニット載置部に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造としても良い。
【0067】
続いて交換動作について図を参照しつつ説明する。
まず、交換時期の判定手法について説明する。集塵体が長期間にわたり集塵を行うと、図10で示すように捕集された放射線ダストの増加につれて線量データが増加していき、放射線ダストからの放射線の線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るならば、これ以上の集塵は不可能であるとする捕集限界に到達したことが判定できる。例えば、図10で示すような線量データが所定値a(集塵限界線量データ)を一定時間以上にわたり保持しつづけたならば、これ以上の捕集は無理と判断できる。この場合に集塵体は交換時期が到来したと判定するものである。
【0068】
続いて制御・信号処理ユニット140による交換判定処理フローについて説明する。図12は、集塵体ユニット80の交換時期判定処理のフローチャートである。
図2で示すように制御・信号処理ユニット140には、検出器用ドライバ120から検出信号が入力されて線量データを生成している。まず、制御・信号処理ユニット140は線量データを生成し(図12のステップS1)、線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るか否かを判断する(図12のステップS2)。線量データが集塵限界線量データを上回らないならば(図12のステップS2でNO)、集塵体ユニット80がまだ放射線ダストを集塵可能であると判定し(図12のステップS3)、判定処理を終了する。一方線量データが集塵限界線量データを上回るならば(図12のステップS2でYES)、集塵体ユニット80がもう放射線ダストを集塵不可能であると判定し(図12のステップS4)、交換処理を行った上で(図12のステップS5)判定処理を終了する。
【0069】
このような判定は、検出ユニット40内で使用中の集塵体ユニット80に対して定期的に行われる。集塵体ユニット80を検出ユニット40内の集塵体ユニット設置位置に設置してから所定期間経過毎に繰り返し判定するようにして、線量条件を満たす間は使用を続けることができる。放射線ダストは多量ではないため、一個の集塵体ユニット80を設置してから長期間にわたり使用できるため、効率的に利用することができる。
そして、線量条件を満たさなくなったと判断したならば、この集塵体ユニット80は交換時期が到来した旨の表示や音声警報を出力して、電極822に対して0Vまたは+aVの電圧を掛けてクリーニングを行って予め除塵した上で交換されることとなる。
このような判定手法は適宜選択される。
【0070】
続いて交換ユニット90について説明する。交換ユニット90は、複数の集塵体ユニット80を搭載し、検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置にある交換時期が到来した集塵体ユニット80を新たな集塵体ユニット80に交換するものであり、制御・信号処理ユニット140は検出ユニット40および交換ユニット90を制御し、交換時期が到来した集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置へ移動させる。この交換ユニット90が集塵体ユニット80の交換を自動的に行うことで放射線業務従事者の操作によらずに長期間にわたり自動的に稼働させることができる。
【0071】
続いて、検出ユニット40と連動する交換ユニット90による交換について図を参照しつつ説明する。図13は集塵体ユニット80が集塵体ユニット設置位置に取付けられたときの検出ユニット40の説明図、図14は集塵体ユニット80が集塵体ユニット設置位置から解放されたときの検出ユニット40の説明図、図15は使用中の検出ユニット40の説明図である。
【0072】
検出ユニット40からの集塵体ユニット80の取り外し前は図13で示すように排気ケース44が上昇した状態であるが、制御・信号処理ユニット140が上下駆動部46のモータや減速機を駆動するように制御することで、図14で示すように、排気ケース44を下降させ(図14の矢印D方向)、集塵体ユニット80をターンテーブル91の孔である集塵体ユニット載置部94(図22,図23参照)のみで支持した状態とする。集塵体ユニット80は、図3からも明らかなように、ユニットベース81の外周面にフランジ部が形成されて多段になされており、上側の段で集塵体ユニット載置部94の周縁部と当接して落下しないようになっている。
さて、交換時期と判定された場合にまず電極822への電圧の印加を停止する。
【0073】
続いて図14で示すように排気ケース44が下降した状態で、制御・信号処理ユニット140が位置割出部93のモータや減速機を駆動するように制御することでターンテーブル91を回動させて、新たな集塵体ユニット80を検出ユニット40の集塵体ユニット設置位置に位置させる。続いて、検出ユニット40への集塵体ユニット80の取付け時にあっては制御・信号処理ユニット140が上下駆動部46のモータや減速機を駆動するように制御し、図15で示すように排気ケース44を上昇させて(図15の矢印E方向)検出ユニット本体42と排気ケース44とで集塵体ユニット80を挟持し、集塵体ユニット80を封止固定させる。この際、検出ユニット本体42側のシール47と排気ケース44側のシール47とで、集塵体ユニット80を挟み込むため空気が漏れることがない。
そして、図5で示すように制御・信号処理ユニット140は、圧送ポンプ10や高圧電源部110を動作させて集塵を開始することとなる。交換はこのように行われる。
本形態のダストモニタ1はこのようになる。
【0074】
続いて他の形態について図を参照しつつ説明する。図16は他の形態のダストモニタ1’の構成図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は断面図である。先の形態と比較すると新たにパージ機能を持たせるためのクリーニングユニット180が追加されている点が相違する。この追加されたクリーニングユニット180の構成およびパージ機能について説明し、他は同じ符号を付すとともに同じ構成を有し、また、同じ処理を行うものとして重複する説明を省略する。
クリーニングユニット180はさらに第1バルブ181、第2バルブ182、パージ用フィルタ183を備えている。これらは、上記した検出ユニット40に追加される構成である。また、排気流路の経路上に真空ポンプ190が接続される。
【0075】
パージ機能は検出ユニット40の検出ユニット本体42の検出空間および排気ケース44等の排気流路内を充分な真空状態として流路内を真空乾燥させ、これら空間や流路内の水分(湿気)を除去して各部を保護するものである。
このようなエアパージについて概略説明する。まず、第1バルブ181を電動・手動により閉成してイオン化部20のイオン化空間からの空気の流入を停止する。そして第2バルブ182を電動・手動により開成してパージ用フィルタ183を通過させてダストを含まず充分に乾燥した空気を小量流入可能にする。このような状態で吸引ポンプ190により真空引きを行ってエアパージを行う。エアパージ終了後に、第2バルブ182を閉成するとともに第1バルブ181を開成して先に説明した検出を開始することとなる。なお、エアパージは定期的に行うようにしても良い。
このように構成したダストモニタ1’では、検出ユニット40の保護機能を高めることができる。
【0076】
続いて変形した他の形態について図を参照しつつ説明する。図17は他の形態のダストモニタ2の構成図であり、図17(a)は平面図、図17(b)は断面図である。図18は他の形態のダストモニタ2の回路ブロック図である。図1〜図15を用いて説明した先の形態の構成に加え、さらに、連続自動交換機能を付与するため、排出ユニット200、供給ユニット210が追加されている点が相違する。この追加された排出ユニット200、供給ユニット210、およびこれらユニットの構成・動作についてのみ説明し、他は同じ符号を付すとともに同じ構成・処理を行うものとして重複する説明を省略する。
【0077】
排出ユニット200は、集塵体ユニット80を交換ユニット90から排出するものであり、制御・信号処理ユニット140は、交換時期と判定された集塵体ユニット80を排出ユニット200の集塵体ユニット排出位置まで移動するように交換ユニット90を制御し、集塵体ユニット排出位置にある交換時期の集塵体ユニット80を交換ユニット90から排出するように排出ユニット200を制御するというものである。
【0078】
このような排出ユニット200は、図17(a),(b)で示すように、水平方向に移動可能に構成されて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニット80を掃き出すロッド201と、ロッド201を水平方向に駆動するロッド駆動部202と、排出された集塵体ユニット80を廃棄集塵体ユニット204として収容するストッカ203と、を備える。さらに、図19,20,21で示すように、ターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94に搭載された集塵体ユニット80を押し上げる押し上げ部206と、押し上げ部206を上下方向に移動可能に支持するリニアスライダ205と、押し上げ部206を上下方向に駆動する押し上げ部駆動部207と、を備える。
また、図18の回路ブロック図で示すように、制御・信号処理ユニット140に、操作部101、表示部102、高圧電源部110、情報解析部160、検出器用ドライバ120、上下駆動部46、位置割出部93、ロッド駆動部202、ハンド駆動部212、圧送ポンプ10が接続されている。
【0079】
続いて、検出ユニット40や交換ユニット90と連動する排出ユニット200による排出について図を参照しつつ説明する。図19は集塵体ユニット80の押し上げ前の状態の説明図で、図19(a)は要部平面図、図19(b)は要部断面図である。図20は集塵体ユニット80の押し上げ後の状態の説明図で、図20(a)は要部平面図、図20(b)は要部断面図である。図21は集塵体ユニット80の排出の説明図で、図21(a)は要部平面図、図21(b)は要部断面図である。
検出ユニット40により集塵体ユニット80が交換時期にあると判断されたものとする。制御・信号処理ユニット140は、図14のように排気ケース44を下降させ、続いて、位置割出部93を制御してターンテーブル91を回動(図19(a)の矢印F方向)させ、図19(a)で示すように集塵体ユニット排出位置に交換対象の集塵体ユニット80を位置させる。
【0080】
そして、制御・信号処理ユニット140は、押し上げ部駆動部207を制御して押し上げ部206を上昇(図20(b)の矢印G方向)させ、図20(b)で示すように、集塵体ユニット80をターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94から押し上げる。押し上げ終了したときの押し上げ部206の頂上部はターンテーブル91とほぼ同一高さとなっており、集塵体ユニット80が水平移動可能となっている。
【0081】
制御・信号処理ユニット140は、ロッド駆動部202を制御してロッド201の移動を開始し、図21で示すように、水平方向(図21(a)の矢印H方向)に集塵体ユニット80を掃き出し、集塵体ユニット排出位置からストッカ203まで移動させる。これにより、ストッカ203の中に集塵体ユニット80が落とされて廃棄集塵体ユニット204となり、排出が完了する。そして、押し上げ部206を下降させてターンテーブル91を回転できるようにしておく。このターンテーブル91には孔である集塵体ユニット載置部94が残る。
【0082】
続いて供給ユニット210について説明する。
供給ユニット210は、交換により集塵体ユニット80が排出された交換ユニット90の集塵体ユニット載置部94に新たな集塵体ユニット80を供給するものであり、制御・信号処理ユニット140が交換ユニット90を制御して集塵体ユニット載置部94を供給ユニット200の集塵体ユニット供給位置まで移動させ、続いて供給ユニット200を制御して交換ユニット90の集塵体ユニット載置部94に新たな集塵体ユニット80を供給するというものである。
【0083】
このような供給ユニット200は、図17(a),(b)で示すように、未使用の集塵体ユニット80を複数重ねている供給集塵体ユニット214を収容するストッカ211と、水平方向に移動可能に支持されてターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94へ集塵体ユニット80を押し出すハンド213と、ハンド213を水平方向に駆動するハンド駆動部212と、を備える。
また、回路ブロックは、先の図18のうち、制御・信号処理ユニット140、ハンド駆動部212を用いる。
【0084】
続いて、交換ユニット90と連動する供給ユニット210による供給について図を参照しつつ説明する。図22は集塵体ユニット80の供給前の状態の説明図で、図22(a)は要部平面図、図22(b)は要部断面図である。図23は集塵体ユニット80の供給途中の状態の説明図で、図23(a)は要部平面図、図23(b)は要部断面図である。図24は集塵体ユニット80の供給時の状態の説明図で、図24(a)は要部平面図、図24(b)は要部断面図である。図25は集塵体ユニット80の供給完了後の状態の説明図で、図25(a)は要部平面図、図25(b)は要部断面図である。
検出ユニット40により集塵体ユニット80が交換時期と判断され、排出されたものとする。
【0085】
制御・信号処理ユニット140は、図14で示すように排気ケース44を下降させ、続いて、交換ユニット90の位置割出部93を制御してターンテーブル91を回動(図22(a)の矢印i方向)させて、図22(a),(b)で示すように、集塵体ユニット供給位置にターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94を位置させる。
【0086】
制御・信号処理ユニット140は、ハンド駆動部212を制御して、図23(a),(b)で示すようにハンド213を前側(図23(a),(b)の矢印j方向)押し出してストッカ211にある供給集塵体ユニット214のうち最も下側にある一の集塵体ユニット80を、ターンテーブル91の集塵体ユニット載置部94側へ移動させ、図24(a),(b)で示すように集塵体ユニット載置部94に落とし込んで装填する。これにより供給が終了する。そして、制御・信号処理ユニット140は、ハンド駆動部212を制御して、図25(a),(b)で示すようにハンド213を後側(図25(b)の矢印k方向)に戻すとともにストッカ211にある供給集塵体ユニット214の次の集塵体ユニット80を下側に落として、次の供給を待つ状態となる。
【0087】
続いて、これら排出・供給を考慮した交換の制御・信号処理ユニット140による処理フローについて説明する。図26は、集塵体ユニット80の交換判定処理のフローチャートである。
制御・信号処理ユニット140は検出器用ドライバ120から送信された検出信号から線量データを生成し(図26のステップS11)、線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るか否かを判断する(図26のステップS12)。線量データが集塵限界線量データを上回らないならば(図26のステップS12でNO)、交換不要と判定し(図26のステップS13)交換処理を終了する。一方、線量データが集塵限界線量データを上回るならば(図26のステップS12でYES)、交換が必要であると判定し(図26のステップS14)、交換処理を行う。
【0088】
交換時期と判定された集塵体ユニット80を排出するため、ターンテーブル91を回転させて排出ユニット200の集塵体ユニット排出位置まで移動させ(図26のステップS15)、排出ユニット200により、上記した動作により集塵体ユニット80を廃棄する(図26のステップS16)。そしてターンテーブル91を回転させて供給ユニット200の集塵体ユニット供給位置まで移動させ(図26のステップS17)、供給ユニット200により、上記した動作により新たな集塵体ユニット80を供給する(図26のステップS18)。なお、ステップS17,S18はただちに行う必要はなく、検出ユニット40・排出ユニット200による集塵体ユニット2を廃棄した後でも、検出ユニット40への設置を優先させるとターンテーブル91が直ぐに移動できず時間を掛けて移動していく。そこで供給ユニット210の集塵体ユニット供給位置に来るまで供給を待機しておき、供給ユニット210の集塵体ユニット供給位置に集塵体ユニット載置部94が来た時点で供給するようしても良い。この場合、集塵体ユニット載置部94が長期間開いているが、ダストモニタ2自体が防塵カバー(図示せず)等で覆われており、塵埃等が入り込むおそれがない。
【0089】
続いて変形した形態について図を参照しつつ説明する。図27は他の形態のダストモニタ2’の構成図であり、図27(a)は平面図、図27(b)は断面図である。先の図17〜図26を用いて説明した形態と比較して、パージ機能を持たせたクリーニングユニット180が検出ユニット40に追加され、吸引用の吸引ポンプ190を搭載している点が相違する。なお、この追加された構成およびパージ機能については先に説明したものと同じであり、同じ符号を付すとともに同じ構成・処理を行うものとして重複する説明を省略する。
ダストモニタ2’をこのような構成としても良い。
【0090】
続いて他の形態について図を参照しつつ説明する。図28は他の形態の集塵体の説明図であり、図28(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図28(b)はB−B線断面図、図28(c)は裏面を示す図である。本形態では、先の形態の集塵体82に代えて、集塵体85とし、この集塵体85の特に外周電極にプラス電圧を印加して、外周電極の正極から受けるクーロンの斥力(プラスとプラスとが互いに反発し合う力)を作用させて、イオン化放射線性ダストが排気孔を通過させないようにするとともに、引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線性ダストを集塵させるものである。
【0091】
集塵体85は、絶縁ベース部851、電極852、排気孔853、外周電極854を備える。
絶縁ベース部851は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であり、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂などを用いることができる。なお、本形態では材質として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板で、集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0092】
電極852は、例えば、板体や箔などであって通常電極として用いる材料(銅など)により形成されるものであり、図13(c)で示すように絶縁ベース部851と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図13(a)で示す点線の円は、この電極852と同一径の円の集塵面である。
【0093】
排気孔853は、電極852の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
外周電極854は、図28(b)に示すように、排気孔853を覆う導電体(例えば銅箔など)である。
【0094】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。
先に説明したように、絶縁ベース部851は誘電体であり、電極852にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加すると電界が形成され、誘電分極により、絶縁ベース部851の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部851の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
さらに、外周電極854にはプラス電圧(DC+aV)を印加した状態とし、プラスイオン化されたイオン化放射線ダストが排気孔853を通過しようとすると、斥力が加わるため通過しにくくなっており、この斥力に加え、集塵面の引力により、イオン化放射線ダストが集塵面に集塵される。このように構成しても良い。
【0095】
以上、図28を用いて本形態の改良した集塵体について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極854にプラス電圧(+aV)を加えるとともに集塵体85の電極852にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極854にマイナス電圧(−aV)を加えるとともに集塵体85の電極852にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0096】
また、本形態では集塵体85に排気孔853および外周電極854を設けたものであったが、例えば、図13で示した集塵体85から排気孔853および外周電極854をなくし、代わりに図3で示した検出ユニット本体42に捕集後の空気を排気させる流路である排気路と、この流路の開口部付近および流路内部に外周電極を形成するような構成としても良い。この場合、多数の枚数が必要となる集塵体85に排気孔が不要になって構造が簡単になるという利点もある。
また、本形態では集塵体82の電極822に高電圧を印加するため、集塵体ユニット側の接続部84と、排気ケース44側の接続部172と、を圧接して接続する方式を採用していたが、接続部84,172に代えて、電気的に接続されるコネクタを形成し、集塵体ユニット82を、集塵体ユニット載置部に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造としても良い。
【0097】
また、本形態では集塵体85の電極852および外周電極854に高電圧を印加するため、集塵体ユニット側の接続部と、排気ケース44側の接続部と、を圧接して接続する方式を採用していたが、これら接続部に代えて、電気的に接続される二個のコネクタを形成し、集塵体ユニット85を、集塵体ユニット載置部に載置するときにこれら二個のコネクタを結合して電源を供給する構造としても良い。
【0098】
以上本発明の各種形態について説明した。
なお、本形態では集塵装置の具体例としてダストモニタを挙げて説明したが、ダストモニタに限定する趣旨ではなく、例えば、放射性同位元素取扱施設から排気した空気を全て通過させるような大型の集塵装置に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの構成図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの検出系の構成説明図である。
【図3】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの検出時の検出ユニットの断面図である。
【図4】集塵体の説明図であり、図4(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図4(b)はA−A線断面図、図4(c)は裏面を示す図である。
【図5】ダストモニタの回路ブロック図である。
【図6】空気系の説明図である。
【図7】イオン生成系の説明図である。
【図8】集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図8(a)は集塵を説明する説明図、図8(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
【図9】ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図9(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図9(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【図10】集塵体と従来技術の集塵体ユニットとによる線量データを比較する時間−線量データ特性図である。
【図11】クリーニングを説明する時間−線量データ特性図である。
【図12】集塵体ユニットの交換時期判定処理のフローチャートである。
【図13】集塵体ユニットが集塵体ユニット設置位置に取付けられたときの検出ユニットの説明図である。
【図14】集塵体ユニットが集塵体ユニット設置位置から解放されたときの検出ユニットの説明図である。
【図15】使用中の検出ユニットの説明図である。
【図16】他の形態のダストモニタ1’の構成図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は断面図である。
【図17】他の形態のダストモニタの構成図であり、図17(a)は平面図、図17(b)は断面図である。
【図18】他の形態のダストモニタの回路ブロック図である。
【図19】集塵体ユニットの押し上げ前の状態の説明図で、図19(a)は要部平面図、図19(b)は要部断面図である。
【図20】集塵体ユニットの押し上げ後の状態の説明図で、図11(a)は要部平面図、図11(b)は要部断面図である。
【図21】集塵体ユニットの排出の説明図で、図12(a)は要部平面図、図12(b)は要部断面図である。
【図22】集塵体ユニットの供給前の状態の説明図で、図22(a)は要部平面図、図22(b)は要部断面図である。
【図23】集塵体ユニットの供給途中の状態の説明図で、図23(a)は要部平面図、図23(b)は要部断面図である。
【図24】集塵体ユニットの供給時の状態の説明図で、図24(a)は要部平面図、図24(b)は要部断面図である。
【図25】集塵体ユニットの供給完了後の状態の説明図で、図25(a)は要部平面図、図25(b)は要部断面図である。
【図26】集塵体ユニットの交換判定処理のフローチャートである。
【図27】他の形態のダストモニタの構成図であり、図27(a)は平面図、図27(b)は断面図である。
【図28】他の形態の集塵体の説明図であり、図28(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図28(b)はB−B線断面図、図28(c)は裏面を示す図である。
【図29】従来技術のダストモニタの検出ユニットの構成図である。
【図30】検出器の説明図で、図30(a)は要部構成図、図30(b)は計数値−波高電圧線特性図である。
【符号の説明】
【0100】
1,1’,2,2’:ダストモニタ
10:圧送ポンプ
11:吸入口
12:吐出口
20:イオン化部
30:イオン生成部
40:検出ユニット
41:流入口
42:検出ユニット本体
43:リニアスライダ
44:排気ケース
45:排出口
46:上下駆動部
47:シール部
50:放射線検出器
60:排気口
70:ベース部
80:集塵体ユニット
81:ユニットベース
82:集塵体
821:絶縁ベース部
822:電極
823:排気孔
83:電線
84:接続部
85:集塵体
851:絶縁ベース部
852:電極
853:排気孔
854:外周電極
90:交換ユニット
91:ターンテーブル
92:支持部
93:位置割出部
100:操作表示ユニット
101:操作部
102:表示部
110:高圧電源部
120:検出器用ドライバ
130:電源部
140:制御・信号処理ユニット
150:電源部
160:情報解析部
170:電源供給部
171:電線
172:接続部
180:クリーニングユニット
181:第1バルブ
182:第2バルブ
183:パージ用フィルタ
190:吸引ポンプ
200:排出ユニット
201:ロッド
202:ロッド駆動部
203:ストッカ
204:廃棄集塵体ユニット
205:リニアスライダ
206:押し上げ部
207:押し上げ部駆動部
210:供給ユニット
211:ストッカ
212:ハンド駆動部
213:ハンド
214:供給集塵体ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出ユニットと、
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させた集塵面と、を有する集塵体と、この集塵体を保持するユニットベースとを有する集塵体ユニットと、
検出ユニットの検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体の集塵面と有感面とが対向するように検出ユニットに取付けられ、イオン化放射線ダストから有感面に放射される放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出部と、
複数の集塵体ユニットを搭載し、検出ユニットの集塵体ユニット設置位置にある集塵体ユニットを他の集塵体ユニットに交換する交換ユニットと、
放射線検出部から出力された検出信号に基づいて線量データを生成し、また、交換ユニットの駆動制御を行う制御・信号処理ユニットと、
を備え、検出ユニットの検出空間内で集塵体の集塵面に空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気路を通じて排気することで、放射線のモニタリングを行うダストモニタであって、
前記制御・信号処理ユニットは、
線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るかという線量条件を調べる手段と、
この線量条件を満たす場合に集塵体ユニットを交換する時期と判定する手段と、
交換時期と判定された場合に電極への電圧の印加を停止する手段と、
集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置へ移動させるように交換ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項2】
請求項1に記載のダストモニタにおいて、
集塵体ユニットを交換ユニットから排出する排出ユニットを備え、
この排出ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
交換必要と判定された集塵体ユニットを排出ユニットの集塵体ユニット排出位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
集塵体ユニット排出位置にある交換が必要と判定された集塵体ユニットを交換ユニットから排出するように排出ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項3】
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
交換必要な集塵体ユニットが排出された交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給する供給ユニットを備え、
この供給ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
集塵体ユニット載置部が供給ユニットの集塵体ユニット供給位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給するように供給ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記検出ユニットは、集塵体ユニットの上流側にあって放射線検出器が設置される検出ユニット本体と、集塵体ユニットの下流側にある排気ケースと、排気ケースを上下動させる上下駆動部と、を備え、
前記交換ユニットは、回動可能に支持されるとともに集塵体ユニットが配置される複数の孔による集塵体ユニット載置部が形成されたターンテーブルと、ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット載置部を移動させる位置割出部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
検出ユニットからの集塵体ユニット取り外し時にあっては排気ケースを下降させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部のみで支持する状態となるように検出ユニットの上下駆動部を制御し、ターンテーブルを回動させて検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に新たな集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
検出ユニットへの集塵体ユニット取付け時にあってはターンテーブルを回動させて新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御し、排気ケースを上昇させて検出ユニット本体と排気ケースとで挟持して集塵体ユニットを封止固定させるように検出ユニットの上下駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項5】
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
排出ユニットは、上下方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部に搭載された集塵体ユニットを押し上げる押し上げ部と、押し上げ部を上下方向に駆動する押し上げ部駆動部と、水平方向に移動可能に構成されて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットを掃き出すロッドと、ロッドを水平方向に駆動するロッド駆動部と、排出された集塵体ユニットを収容するストッカと、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット排出位置に集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
押し上げ部を上昇させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部から押し上げるように排出ユニットの押し上げ部駆動部を制御する手段と、
ロッドを移動させて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットをストッカへ掃き出すように排出ユニットのロッド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項6】
請求項3に記載のダストモニタにおいて、
供給ユニットは、新たな集塵体ユニットを収容するストッカと、水平方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ集塵体ユニットを押し出すハンドと、ハンドを水平方向に駆動するハンド駆動部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット供給位置にターンテーブルの集塵体ユニット載置部を位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
ハンドを押し出してストッカにある一の集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ装填するように供給ユニットのハンド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路内に外周電極を備え、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とするダストモニタ。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路は、絶縁ベース部に排気孔として一体に形成されることを特徴とするダストモニタ。
【請求項1】
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出ユニットと、
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させた集塵面と、を有する集塵体と、この集塵体を保持するユニットベースとを有する集塵体ユニットと、
検出ユニットの検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体の集塵面と有感面とが対向するように検出ユニットに取付けられ、イオン化放射線ダストから有感面に放射される放射線を検出して検出信号を出力する放射線検出部と、
複数の集塵体ユニットを搭載し、検出ユニットの集塵体ユニット設置位置にある集塵体ユニットを他の集塵体ユニットに交換する交換ユニットと、
放射線検出部から出力された検出信号に基づいて線量データを生成し、また、交換ユニットの駆動制御を行う制御・信号処理ユニットと、
を備え、検出ユニットの検出空間内で集塵体の集塵面に空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気路を通じて排気することで、放射線のモニタリングを行うダストモニタであって、
前記制御・信号処理ユニットは、
線量データが予め定められた集塵限界線量データを上回るかという線量条件を調べる手段と、
この線量条件を満たす場合に集塵体ユニットを交換する時期と判定する手段と、
交換時期と判定された場合に電極への電圧の印加を停止する手段と、
集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置から他の位置に移動させるとともに、新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置へ移動させるように交換ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項2】
請求項1に記載のダストモニタにおいて、
集塵体ユニットを交換ユニットから排出する排出ユニットを備え、
この排出ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
交換必要と判定された集塵体ユニットを排出ユニットの集塵体ユニット排出位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
集塵体ユニット排出位置にある交換が必要と判定された集塵体ユニットを交換ユニットから排出するように排出ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項3】
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
交換必要な集塵体ユニットが排出された交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給する供給ユニットを備え、
この供給ユニットの駆動制御も行うようになされた前記制御・信号処理ユニットは、
集塵体ユニット載置部が供給ユニットの集塵体ユニット供給位置まで移動するように交換ユニットを制御する手段と、
交換ユニットの集塵体ユニット載置部に新たな集塵体ユニットを供給するように供給ユニットを制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記検出ユニットは、集塵体ユニットの上流側にあって放射線検出器が設置される検出ユニット本体と、集塵体ユニットの下流側にある排気ケースと、排気ケースを上下動させる上下駆動部と、を備え、
前記交換ユニットは、回動可能に支持されるとともに集塵体ユニットが配置される複数の孔による集塵体ユニット載置部が形成されたターンテーブルと、ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット載置部を移動させる位置割出部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
検出ユニットからの集塵体ユニット取り外し時にあっては排気ケースを下降させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部のみで支持する状態となるように検出ユニットの上下駆動部を制御し、ターンテーブルを回動させて検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に新たな集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
検出ユニットへの集塵体ユニット取付け時にあってはターンテーブルを回動させて新たな集塵体ユニットを検出ユニットの集塵体ユニット設置位置に位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御し、排気ケースを上昇させて検出ユニット本体と排気ケースとで挟持して集塵体ユニットを封止固定させるように検出ユニットの上下駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項5】
請求項2に記載のダストモニタにおいて、
排出ユニットは、上下方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部に搭載された集塵体ユニットを押し上げる押し上げ部と、押し上げ部を上下方向に駆動する押し上げ部駆動部と、水平方向に移動可能に構成されて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットを掃き出すロッドと、ロッドを水平方向に駆動するロッド駆動部と、排出された集塵体ユニットを収容するストッカと、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット排出位置に集塵体ユニットを位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
押し上げ部を上昇させて集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部から押し上げるように排出ユニットの押し上げ部駆動部を制御する手段と、
ロッドを移動させて集塵体ユニット排出位置にある集塵体ユニットをストッカへ掃き出すように排出ユニットのロッド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項6】
請求項3に記載のダストモニタにおいて、
供給ユニットは、新たな集塵体ユニットを収容するストッカと、水平方向に移動可能に支持されてターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ集塵体ユニットを押し出すハンドと、ハンドを水平方向に駆動するハンド駆動部と、を備え、
前記制御・信号処理ユニットは、
ターンテーブルを回動させて集塵体ユニット供給位置にターンテーブルの集塵体ユニット載置部を位置させるように交換ユニットの位置割出部を制御する手段と、
ハンドを押し出してストッカにある一の集塵体ユニットをターンテーブルの集塵体ユニット載置部へ装填するように供給ユニットのハンド駆動部を制御する手段と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路内に外周電極を備え、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とするダストモニタ。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路は、絶縁ベース部に排気孔として一体に形成されることを特徴とするダストモニタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2006−329852(P2006−329852A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155101(P2005−155101)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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