説明

ダスト放射線モニタ

【課題】サンプリング空気の流量を一定にして吸引ポンプ5に負荷が加わらないようにする。
【解決手段】サンプリング空気を吸入する吸引ポンプと、吸入されるサンプリング空気の通路となるサンプリングライン2と、サンプリングラインに設けられ吸入されるサンプリング空気中の放射線ダストを捕集する集塵部1と、サンプリングラインに流れるサンプリング空気の流量を検出する流量検出手段3と、サンプリングラインに接続されポンプバイパスライン7と、ポンプバイパスラインに設けられポンプバイパスラインの流量を調整するポンプバイパスライン流量調整手段8と、流量検出手段からの流量信号によりポンプバイパスライン流量調整手段9を制御する制御手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性ダストから放出される放射線を計測するダスト放射線モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力施設の空間中に存在する放射性ダストの種類及び濃度等を監視するためにダスト放射線モニタが設けられている。
【0003】
従来のダスト放射線モニタのダストサンプラ構成図を図2に示す。ダスト放射線モニタに吸気されたサンプリング空気は、放射線ダストを捕集するろ紙集塵部1のろ紙を通り、さらに通路となるサンプリングライン2を通ってサンプリングライン2に流れる流量を検出する流量検出器3、サンプリングライン2に流れる流量を調整する流量調整弁4を経て吸引ポンプ5により排気される。制御部6は、流量検出器3からの流量信号により流量調整弁4を制御する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−86877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サンプリング空気の流量は、ろ紙集塵部1において圧力損失が増大し流量が低下するため、最大圧損時に規定流量を流すことができる所要動力の高い吸引ポンプ5を用いて、サンプリングライン2に設けた流量検出器3からの信号を元に、流量調整弁4の弁開度を調節し(開き)、流量の低下を防いでいる。そのため、最大圧損時に至る状態までは弁開度を絞らなければならず、それによってポンプ吸引圧力が低下し吸引ポンプ8に負荷が加わるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、サンプリング空気の流量を一定にして吸引ポンプに負荷が加わらないようにするダスト放射線モニタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明のダスト放射線モニタは、サンプリング空気を吸入する吸引ポンプと、吸入されるサンプリング空気の通路となるサンプリングラインと、前記サンプリングラインに設けられ吸入されるサンプリング空気中の放射線ダストを捕集する集塵部と、前記サンプリングラインに流れるサンプリング空気の流量を検出する流量検出手段と、前記サンプリングラインに接続されポンプバイパスラインと、前記ポンプバイパスラインに設けられ前記ポンプバイパスラインの流量を調整するポンプバイパスライン流量調整手段と、前記流量検出手段からの流量信号により前記ポンプバイパスライン流量調整手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サンプリング空気の流量を一定にすることができ、吸引ポンプに負荷が加わらないようにできるので、吸引ポンプの保守性の向上を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明によるダスト放射線モニタの実施の形態を図面によって説明する。図1は、本発明によるダスト放射線モニタの実施の形態を示すダストサンプラ構成図である。ダスト放射線モニタに吸気されたサンプリング空気は、放射線ダストを捕集するろ紙集塵部1のろ紙を通り、さらに通路となるサンプリングライン2を通ってサンプリングライン2に流れる流量若しくは圧力を検出する流量検出器3を経て吸引ポンプ5により排気される。また、サンプリングライン2にはポンプバイパスライン7が接続されており、ポンプバイパスラインにはポンプバイパスラインの流量を調整するポンプバイパスライン流量調整弁8が設けられている。制御部9は、流量検出器3からの流量信号若しくは圧力信号により吸引ポンプ5とポンプバイパスライン流量調整弁8を制御する。
【0009】
吸引ポンプ5を駆動させることによって、ガスをサンプリングし、ろ紙集塵部1にサンプリング空気中の放射線ダストを吸着させ、その放射線ダスト中の放射能を測定する。ろ紙交換時にはろ紙が巻き取られ、新たなろ紙が供給される。ろ紙交換時には、サンプリングライン2に設けられた三方弁(図示せず)でバイパスライン(図示せず)に切り替えて吸引ポンプ5は吸入を行う。
【0010】
集塵を開始し時間が経つにつれて、ろ紙へのダスト沈着によりろ紙に目詰まりが発生し、ろ紙集塵部1での圧力損失が上昇していく。これによりポンプ吸引圧力が低下する。また、集塵を終え、ろ紙を巻取り交換する際に、三方弁によりバイパスラインに切り替えるときにも圧力変動が発生し、ポンプ吸引圧力が変動する。よって、流量検出器3により流量若しくは圧力を検出し、その流量信号および圧力信号を元に制御部9にて演算を行い、吸引ポンプ5及びポンプバイパスライン流量調整弁8へ操作信号を送り吸引ポンプ5へのサンプリング空気の流量が設定流量となるように流量を制御する。このとき制御部9では、検出した流量信号若しくは圧力信号と設定流量値若しくは設定圧力値との差分をとり、PID制御をすることにより、吸引ポンプ5、ポンプバイパスライン流量調整弁8のどちらか一方もしくは両方に操作信号を与える。操作信号を受けると、吸引ポンプ8においてはインバータによりポンプ回転数を調節することにより流量を制御し、ポンプバイパスライン流量調整弁8においては弁開度を調節することにより流量を制御する。吸引ポンプ5、ポンプバイパス流量調整弁8をどのように操作するかは、流量信号若しくは圧力信号と設定値との差分量によって最適な操作を決定する。例えば差分量が大きい場合には吸引ポンプ5を操作することにより、また、差分が小さく、操作量も小さい場合には、ポンプバイパスライン流量調整弁8を操作することにより制御を行う。
【0011】
このように、ポンプバイパスライン流量調整弁8において弁開度を調節して流量を制御することにより、吸引ポンプ5における流量若しくは圧力を一定にすることができるので吸引ポンプ5への負荷を抑えることができる。また、ろ紙集塵部1における流量若しくは圧力も一定にできるので放射線検出器の感度を満足させることができる。さらに、サンプリングラインにおける圧力損失を抑えることもできる。
【0012】
また、吸引ポンプ5においてインバータによりポンプ回転数を調節して流量を制御することにより、圧力損失を考慮せずに済み、ポンプ負荷を小さくすることができる。
【0013】
これらにより、従来よりもポンプのコストダウンや保守性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態によるダスト放射線モニタのダストサンプラ構成図。
【図2】従来のダスト放射線モニタのダストサンプラ構成図。
【符号の説明】
【0015】
1…ろ紙集塵部
2…サンプリングライン
3…流量検出器
4…流量調整弁
5…吸引ポンプ
6、9…制御部
7…ポンプバイパスライン
8…ポンプバイパスライン流量調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング空気を吸入する吸引ポンプと、
吸入されるサンプリング空気の通路となるサンプリングラインと、
前記サンプリングラインに設けられ吸入されるサンプリング空気中の放射線ダストを捕集する集塵部と、
前記サンプリングラインに流れるサンプリング空気の流量を検出する流量検出手段と、
前記サンプリングラインに接続されポンプバイパスラインと、
前記ポンプバイパスラインに設けられ前記ポンプバイパスラインの流量を調整するポンプバイパスライン流量調整手段と、
前記流量検出手段からの流量信号により前記ポンプバイパスライン流量調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするダスト放射線モニタ。
【請求項2】
サンプリング空気を吸入する吸引ポンプと、
吸入されるサンプリング空気の通路となるサンプリングラインと、
前記サンプリングラインに設けられ吸入されるサンプリング空気中の放射性ダストを捕集する集塵部と、
前記サンプリングラインに流れるサンプリング空気の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記サンプリングラインに接続されポンプバイパスラインと、
前記ポンプバイパスラインに設けられ前記ポンプバイパスラインの流量を調整するポンプバイパスライン流量調整手段と、
前記圧力検出手段からの圧力信号により前記ポンプバイパスライン流量調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするダスト放射線モニタ。
【請求項3】
前記制御部は、前記吸引ポンプの回転数を制御することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のダスト放射線モニタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記ポンプバイパスライン流量調整手段による制御と前記吸引ポンプによる制御とを切り替えることを特徴とする請求項3記載のダスト放射線モニタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−78586(P2007−78586A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268986(P2005−268986)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】