ダスト等捕捉装置
【課題】軽量、安価で、ダスト捕獲用ネットの交換が容易なダスト等捕捉装置を提供する。
【解決手段】基台3に、ダスト捕捉用の粘着剤(図示せず)を有するシート状のネット10とネット10の片面に貼着された剥離紙11をロール状に巻いて形成されたネットロール12と、ネットロール12を収納する収納部13と、ネット10を張架するローラー下・上7、8と、ローラー下・上7、8に張架されたネット10を巻き取る巻取り手段14とを備え、巻取り手段14の動作に連動して、剥離紙11をネット10より剥離するもので、ネット10の交換時には、巻取り手段14で使用済みのネット10を巻き取るだけで、粘着剤を有するネット10の新しい部分を外部に露出させることができ、煩雑なネット10の運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で軽量化がはかれるので大掛かりな設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【解決手段】基台3に、ダスト捕捉用の粘着剤(図示せず)を有するシート状のネット10とネット10の片面に貼着された剥離紙11をロール状に巻いて形成されたネットロール12と、ネットロール12を収納する収納部13と、ネット10を張架するローラー下・上7、8と、ローラー下・上7、8に張架されたネット10を巻き取る巻取り手段14とを備え、巻取り手段14の動作に連動して、剥離紙11をネット10より剥離するもので、ネット10の交換時には、巻取り手段14で使用済みのネット10を巻き取るだけで、粘着剤を有するネット10の新しい部分を外部に露出させることができ、煩雑なネット10の運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で軽量化がはかれるので大掛かりな設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、機器、家具等の塗装工場、食品加工場、精密機械製造工場、電気部品製造工場等で生じる粉塵、塗料ミスト等のダストを除去するダスト等捕捉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工場内でのダストの除去方法として、広い合成樹脂製シートを、工場の壁に取り付けたり、床に敷いた上、刷毛又はローラー等でダストを捕捉する粘着剤を塗布する方法があった(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような方法の場合、広い合成樹脂製シートを壁や床に取り付けた後に、粘着剤を塗布するため非常に手間がかかった。このような問題を解決するために、所望幅を有するフレキシブルなシート状基材の片面に粘着剤を塗布し、この粘着剤を覆う剥離シートを貼着したダスト等吸着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような剥離シートを貼着したダスト等吸着シートは、製造元の工場から使用現場まで運搬する上ですこぶる便利であり、かつ使用現場では、剥離シートを剥すのみでただちに使用することができるという長所を有している。
【0003】
しかしながら、このような剥離シートを貼着したダスト等吸着シートは、使用時に、シートの全面に貼られた剥離シートを剥離する必要があるので、剥離の容易性を考えると、粘着剤の粘着力を強力にすることができず、それにより、ダストの吸着性も悪かった。
【0004】
なお、剥離シートに、例えばシリコン系の剥離剤を使用すると、剥離性が改善されるが、シリコン系の剥離剤を使用すると、自動車塗装においてはその塗装面に、塗料が弾かれたような現象が生じ、不良品となるため、自動車塗装工場においては使用することができず、非シリコン系に限定されるという厄介な条件が存在する。
【0005】
また、工場内のダスト等は、空気の流れにしたがって工場内を浮遊し、やがてダスト等粘着シートに付着するものであるが、上記のようなダスト等吸着シートの基材には、通気口が存在しないため、ダスト等の浮遊が阻害され、ダスト等粘着シートに対するダスト等の捕捉量が少ないという問題がある。つまり、粘着シートを工場の床に用いる場合には良好な性能を発揮するが、カーテン状に上から下方に垂下せしめて使用する点では十分な満足が得られないのであった。
【0006】
これらの問題を解決するものとして、通気性の良いネットに粘着剤を塗布し、それに剥離シートを貼着して形成したダスト等の吸着用ネットを、現場で、使用箇所に応じた寸法に裁断し、それをカーテン状に垂下した後、貼着した剥離シートを除去し、粘着剤を露出させて使用するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、工場内の天井部にすでに設けられているクレーンガーターに、油圧シリンダーで支持したリールを取り付け、そのリールから引き下げる塵取りスクリーンに薬液槽から消毒洗浄液を噴霧して、クレーンガーターを自走させながら、工場空間の浮遊塵埃を塵取りスクリーンに吸着除去するようにしたダスト等捕捉装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献3に記載された従来の平板状の吸着用ネットでダスト除去を行う方法では、ダストが付着した吸着用ネットを交換するときは、古い吸着用ネットを壁などから取り外し、新しい吸着用ネットを裁断し、壁に吊るし、剥離シートを剥がさなければならず、吸着用ネットの現場への搬入・搬出、吸着用ネットの交換、吸着用ネットの裁断、付け替えなど都度非常に複雑な作業が必要となるといった課題があった。
【0009】
また、上記特許文献4に記載された従来のダスト等捕捉装置の構成では、クレーンガーターが無い工場では使用することができず、仮に高額のクレーンガーターを新たに設置して、同装置を取り付けたとしても、塵取りスクリーンは、クレーンガーターのレール方向でのみ移動可能なため、他方向(例えば、クレーンガーターのレール方向と直交する方向など)に移動できないため、同方向で浮遊する粉塵が除去できず、ダスト捕捉性能が悪いという課題があった。また、ダスト等捕捉装置も大掛かりになり設備投資費用が高額で、また、ダスト等捕捉装置の本体部分が工場の天井部にあるので、塵取りスクリーンの取り付け、薬液槽への洗浄液の補充などのメンテナンスが困難になるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、安価な構成で、工場内での運搬、設置、メンテナンスが容易で、しかもダスト除去性能に優れたダスト等捕捉装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【特許文献1】特開昭63−93372号公報
【特許文献2】特開2000−61227号公報
【特許文献3】特開2002−233800号公報
【特許文献4】特開平9−66211号公報
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明のダスト等捕捉装置は、基台に、ダスト捕捉用の粘着剤を有するシート状のネットと前記ネットの片面に貼着された剥離紙をロール状に巻いて形成されたネットロールと、前記ネットロールを収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段とを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記剥離紙を前記ネットより剥離するもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、粘着剤を有するネットの新しい部分を外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【0013】
また、本発明のダスト等捕捉装置は、基台に、シート状のネットをロール状に巻いた状態で収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段と、ダスト捕捉用の粘着剤を収納する粘着剤ケースとを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、ネットの新しい部分に粘着剤を付着させながら外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。また、同じネットを利用しながら、工場内の粉塵の種類や量に応じて最適な粘着剤、量を選定でき、しかも剥離紙が不要なので安価に構成することができる。さらに、乾燥前に滴下する液剤を粘着剤ケースで受けるようにすれば、周囲の汚染を防止することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のダスト等捕捉装置は、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要で、使用勝手がよく、また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので、設備投資コストを大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、基台に、ダスト捕捉用の粘着剤を有するシート状のネットと前記ネットの片面に貼着された剥離紙をロール状に巻いて形成されたネットロールと、前記ネットロールを収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段とを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記剥離紙を前記ネットより剥離するもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、粘着剤を有するネットの新しい部分を外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明のネットに付着させる液剤を収納する液剤ケースを設けたもので、液剤として粘着剤を使用すれば、使用環境やダストの種類に応じて、ネットに付着する粘着剤の量を増やしたり、乾燥前に滴下する液剤を液剤ケースで受けるようにすれば、周囲が汚染されるのを防止することができる。又、必要に応じて芳香剤などを含む液剤を使用すれば、工場内の空気に香りを与え快適な作業環境を作ることができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の巻取り手段で、ネットと剥離紙の両方を巻き取るようにしたもので、構成が簡素化されてさらに安価に構成できると共に、巻き取り作業やその準備作業も容易になる。
【0018】
第4の発明は、基台に、シート状のネットをロール状に巻いた状態で収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段と、ダスト捕捉用の粘着剤を収納する粘着剤ケースとを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、ネットの新しい部分に粘着剤を付着させながら外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。また、同じネットを利用しながら、工場内の粉塵の種類や量に応じて最適な粘着剤、量を選定でき、しかも剥離紙が不要なので安価に構成することができる。さらに、乾燥前に滴下する液剤を粘着剤ケースで受けるようにすれば周囲の汚染を防止することもできる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれかひとつの発明のネットを張架するローラー間のピッチを調節可能にしたもので、ネットを、工場内の天井や障害物までの高さに合わせて最適な高さに簡単に調整できるので、ネットを無駄にすることが無く、使用勝手が良い。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれかひとつの発明の基台の底面に走行車輪を設けたもので、ダスト等捕捉装置を工場内で自由に移動させることができるようになるので、ダスト等の捕捉性能が向上する。
【0021】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
図1(a)は、本発明の第1の実施例におけるダスト等捕捉装置の全体斜視図、(b)は、同ダスト等捕捉装置の支柱嵌合部の拡大断面図、図2は、同ダスト等捕捉装置のネットロールの部分拡大断面図である。
【0023】
図1、2において、本実施例におけるダスト等捕捉装置1は、底面に回転自在の走行車輪2を取り付けた基台3と、基台3に間を置いて立設され上部に高さ調整穴4aを有する一対の支柱A4と、同じく基台3に間を置いて立設され、支柱A4と対向するように配された一対の支柱B5と、下方の長手方向に複数の高さ調整穴6aを有すると共に、支柱A4の上端に摺動自在に外挿される一対の支柱C6と、一対の支柱A4間の下部に回転自在に支持されたローラー下7と、一対の支柱C6間の上部に回転自在に支持されたローラー上8と、位置的にローラー上8とローラー下7との間に位置し、一対の支柱A4間に、互いに間を置いて回転自在に支持された一対のローラー中9と、一対の支柱B5間の下方に配され、シート状のネット10と剥離紙11の2層からなるネットロール12を回転自在に収納する収納部13と、一対の支柱B5間の上部に設けられ、ネット10と剥離紙11を巻き取る巻取り手段14と、ネット10から剥離紙11を剥離させるための剥離部材15から構成されている。
【0024】
14aは、巻取り手段14を手で回転するためのハンドルであるが、このハンドル14aの代わりに、巻取り手段14の側面に指穴(図示せず)を設け、そこに指を差し込んで巻取り手段14を回転させるようにしても良い。
【0025】
ネット10は、ネット基材10aと、このネット基材10aに付着されダストを捕捉する粘着剤10bから構成され、ネット基材10aは、不織布、織布、編布等でネット状、すなわち網目状に形成されてあるか、あるいは、長繊維、もしくは、短繊維にて平板状の不織布でフィルタ状に形成されている。
【0026】
また、ネット基材10aは、上記以外でも、特に図示しないが、パンチングによる通気性を有する貫通穴が形成されてある形態、複数の帯状、あるいは糸状に形成された形態、さらには、シート状の合成樹脂発泡体も採用してもよい。
【0027】
粘着剤10bは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂などからなりネット基材10aに塗布、吹き付け、含浸等の手段で付着される。
【0028】
剥離紙11は、シート状で、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、PETフィルム、OPPフィルムなどからなるシート状基材11aと、シート状基材11aに付着されフッ素、ワックス、オレフィン樹脂などからなる剥離層11bから構成されている。
【0029】
剥離部材15は、棒状で表面にフッ素をコーティングした樹脂又は金属材料から形成されている。
【0030】
16は、ローラー上8を所定の高さで保持するためのピンで、図1(b)に示すように、支柱A4上で支柱C6を、ローラー上8が希望の高さになるように上又は下方向に摺動させ、支柱A4の高さ調整穴4aと支柱C6の高さ調整穴6aを合わせ、そこにピン16を差し込むことにより、ローラー上8が所定の高さで保持される。
【0031】
次に、本実施例におけるダスト等捕捉装置1の使用方法について説明する。
【0032】
最初に、本実施例におけるダスト等捕捉装置1を設置する工場内の天井、又は天井に配設された各種配管類(図示せず)などの障害物までの高さを考慮して、ローラー上8が最適な高さになるように、支柱C6を上下させて調整したうえで、ピン16でそれを固定する。
【0033】
次に、ネットロール12を、収納部13に収納し、ネット10及び剥離紙11のそれぞれの端部を、収納部13に設けた開口部13aから引きずり出す。次に、ネット10から剥離紙11を剥がし、その剥離紙11を巻取り手段14に巻きつけながら、ネット10を、図1に示すように、下側のローラー中9、ローラー下7、ローラー上8、上側のローラー中9に順に張架し、最後に巻取り手段14に巻きつける。
【0034】
本実施例では、ネット10のネット基材10aがネット状、すなわち網目状あるいは、フィルター状になっているので、それに付着された粘着剤10bは、ネット基材10aに含浸して、そのネット基材10aの両面で粘着剤10bが露出している。すなわち、粘着剤10bは、ネット10の剥離紙11が貼着されていた側と反対側の面(以下、「反剥離紙側面」という)にも現れ、その面で空気中に浮遊するダストを捕捉することができる。
【0035】
そして、ネット10の表面がダストで汚れ、ダストの捕捉性能が劣化してきたら、ハンドル14aを回して、巻取り手段14で、ネット10の新しい面が上側のローラー中9に達するまで、ネット10を巻き取る。このとき、剥離紙11も同時に、巻取り手段14で巻き取られるので、操作が極めて容易である。
【0036】
以上のように、本実施例によれば、ネット10を交換したい時は、巻取り手段14で使用済みのネット10を巻き取るだけで、その動作に連動して剥離紙11が剥がれ、粘着剤10bを有するネット10の新しい部分を外部に露出させることができるので、煩雑なネット10の運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【0037】
また、同一の巻取り手段14で、ネット10と剥離紙11の両方を巻き取るようにしたので、構成が簡素化されて安価に構成できると共に、巻き取り作業やその準備作業も容易になる。
【0038】
さらに、ネット10を張架するローラー下7とローラー上8とのピッチを、支柱C6を上げ下げして調節可能にしているので、ネット10を、工場内の天井(図示せず)や、天井に取り付けられた各種配管などの障害物(図示せず)までの高さに合わせて最適な高さに簡単に調整できるので、ネット10を無駄にすることが無く、使用勝手が良い。
【0039】
又、収納部13、ローラー下7、ローラー上8、巻取り手段14を設置した基台3の底面に走行車輪2を設けているので、ダスト等捕捉装置を工場内で自由に移動させることができるようになり、ダスト等捕捉装置の設置が容易になると共に、ダスト等の捕捉性能が大幅に向上する。
【0040】
(実施例2)
図3(a)は、本発明の第2の実施例におけるダスト等捕捉装置の斜視図、(b)は、同ダスト等捕捉装置の要部断面図である。なお、上記第1の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
本実施例におけるダスト等捕捉装置19は、粘着剤および剥離紙のないネットをローラーに張架し、それを巻き取りながら粘着剤ケースに収納された粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたもので、他の構成は、上記第1の実施例と同じである。
【0042】
図3において、20は、液状で、第1の実施例における粘着剤10bと同じ材料からなる粘着剤21を収納する粘着剤ケースで、同粘着剤ケース20の底部に、ローラー下7が配されている。22は、粘着剤ケース20に設けられ、ゴムなどの弾性材料からなり、先端がネット10の表面に当接して、粘着剤ケース20内の粘着剤21の乾燥を防止すると共に、ネット10に粘着剤21が余分に付着するのを防止するための摺接片である。
【0043】
摺接片22の反ネット10側の端部のそれぞれは、粘着剤ケース20に回動自在に設けられており、必要に応じて開けられるようになっている。
【0044】
次に、本実施例におけるダスト等捕捉装置19の使用方法について説明する。
【0045】
最初に、上記第1の実施例と同様に、ダスト等捕捉装置19を設置する工場内の天井、又は天井に配設された各種配管類(図示せず)などの障害物までの高さを考慮して、ローラー上8が最適な高さになるように調整したうえで、支柱C6をピン16で固定する。
【0046】
次に、ロール状に巻いたネット10を、収納部13に収納し、ネット10の端部を収納部13に設けた開口部13aから引きずり出し、図3に示すように、下側のローラー中9、ローラー下7、ローラー上8、上側のローラー中9に順に張架し、最後に巻取り手段14に巻きつける。
【0047】
そして、一方の摺接片23を開けて、粘着剤21を、ローラー下7が十分浸漬する深さまで、粘着剤ケース20に投入し、ハンドル14aをまわして、巻取り手段14で、ネット10の粘着剤21が付着した部分がローラー上8に達するまで巻き取る。これで、空中に浮遊するダスト捕獲の準備は完了する。
【0048】
そして、ネット10の表面がダストで汚れ、ダストの捕捉性能が劣化してきたら、ハンドル14aを回して、ネット10の新たに粘着剤21が付着した部分が上側のローラー中9に達するまで、巻取り手段14でネット10を巻き取るようにする。
【0049】
以上のように、本実施例によれば、ネット10を交換するときは、巻取り手段14で使用済みのネット10を巻き取るだけで、ネット10の新しい部分に粘着剤21を付着させながら外部に露出させることができるので、煩雑なネット10の運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。また、同じネット10を利用しながら、工場内の粉塵の種類や量に応じて最適な粘着剤、やその量を選定でき、しかも剥離紙が不要なので安価に構成することができる。
【0050】
さらに、本実施例では、ローラー下7が、粘着剤ケース20内に収められているので、万一、ネット10に余分に付着した粘着剤21が乾燥前に滴下するようなことがあっても、それが、粘着剤ケース20で受けられるので、周囲が汚れるのを防止することができる。
【0051】
なお、上記粘着剤ケース20を、特に図示しないが、液剤を収納する液剤ケースとして、上記第1の実施例におけるダスト等捕捉装置に付加してもよい。勿論液剤ケースの設置位置は、第2の実施例における粘着剤ケース20と同じにする。
【0052】
このようにして、例えば、液剤として粘着剤を使用すれば、使用環境やダストの種類に応じて、ネット10に予め付着していた粘着剤10bにさらに粘着剤を付着させてその量を増やすことができる。又、必要に応じて芳香剤などを含む液剤を使用すれば、工場内の空気に香りを与え快適な作業環境を作ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るダスト等捕捉装置は、軽量、安価で、ダスト捕獲用ネットの交換が容易なもので、粉塵やミストの除去が不可欠な塗装工場、食品加工場、精密機械製造工場、電気部品製造工場等で広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)本発明の第1の実施例におけるダスト等捕捉装置の全体斜視図(b)同ダスト等捕捉装置の支柱嵌合部の拡大断面図
【図2】同ダスト等捕捉装置のネットロールの部分拡大断面図
【図3】(a)本発明の第2の実施例におけるダスト等捕捉装置の斜視図、(b)同ダスト等捕捉装置の要部断面図
【符号の説明】
【0055】
1、19 ダスト等捕捉装置
2 走行車輪
3 基台
4 支柱A
5 支柱B
6 支柱C
7 ローラー下(ローラー)
8 ローラー上(ローラー)
9 ローラー中(ローラー)
10 ネット
10a ネット基材
10b 粘着剤
11 剥離紙
11a シート基材
12 ネットロール
13 収納部
14 巻取り手段
15 剥離部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、機器、家具等の塗装工場、食品加工場、精密機械製造工場、電気部品製造工場等で生じる粉塵、塗料ミスト等のダストを除去するダスト等捕捉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の工場内でのダストの除去方法として、広い合成樹脂製シートを、工場の壁に取り付けたり、床に敷いた上、刷毛又はローラー等でダストを捕捉する粘着剤を塗布する方法があった(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような方法の場合、広い合成樹脂製シートを壁や床に取り付けた後に、粘着剤を塗布するため非常に手間がかかった。このような問題を解決するために、所望幅を有するフレキシブルなシート状基材の片面に粘着剤を塗布し、この粘着剤を覆う剥離シートを貼着したダスト等吸着シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような剥離シートを貼着したダスト等吸着シートは、製造元の工場から使用現場まで運搬する上ですこぶる便利であり、かつ使用現場では、剥離シートを剥すのみでただちに使用することができるという長所を有している。
【0003】
しかしながら、このような剥離シートを貼着したダスト等吸着シートは、使用時に、シートの全面に貼られた剥離シートを剥離する必要があるので、剥離の容易性を考えると、粘着剤の粘着力を強力にすることができず、それにより、ダストの吸着性も悪かった。
【0004】
なお、剥離シートに、例えばシリコン系の剥離剤を使用すると、剥離性が改善されるが、シリコン系の剥離剤を使用すると、自動車塗装においてはその塗装面に、塗料が弾かれたような現象が生じ、不良品となるため、自動車塗装工場においては使用することができず、非シリコン系に限定されるという厄介な条件が存在する。
【0005】
また、工場内のダスト等は、空気の流れにしたがって工場内を浮遊し、やがてダスト等粘着シートに付着するものであるが、上記のようなダスト等吸着シートの基材には、通気口が存在しないため、ダスト等の浮遊が阻害され、ダスト等粘着シートに対するダスト等の捕捉量が少ないという問題がある。つまり、粘着シートを工場の床に用いる場合には良好な性能を発揮するが、カーテン状に上から下方に垂下せしめて使用する点では十分な満足が得られないのであった。
【0006】
これらの問題を解決するものとして、通気性の良いネットに粘着剤を塗布し、それに剥離シートを貼着して形成したダスト等の吸着用ネットを、現場で、使用箇所に応じた寸法に裁断し、それをカーテン状に垂下した後、貼着した剥離シートを除去し、粘着剤を露出させて使用するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、工場内の天井部にすでに設けられているクレーンガーターに、油圧シリンダーで支持したリールを取り付け、そのリールから引き下げる塵取りスクリーンに薬液槽から消毒洗浄液を噴霧して、クレーンガーターを自走させながら、工場空間の浮遊塵埃を塵取りスクリーンに吸着除去するようにしたダスト等捕捉装置も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献3に記載された従来の平板状の吸着用ネットでダスト除去を行う方法では、ダストが付着した吸着用ネットを交換するときは、古い吸着用ネットを壁などから取り外し、新しい吸着用ネットを裁断し、壁に吊るし、剥離シートを剥がさなければならず、吸着用ネットの現場への搬入・搬出、吸着用ネットの交換、吸着用ネットの裁断、付け替えなど都度非常に複雑な作業が必要となるといった課題があった。
【0009】
また、上記特許文献4に記載された従来のダスト等捕捉装置の構成では、クレーンガーターが無い工場では使用することができず、仮に高額のクレーンガーターを新たに設置して、同装置を取り付けたとしても、塵取りスクリーンは、クレーンガーターのレール方向でのみ移動可能なため、他方向(例えば、クレーンガーターのレール方向と直交する方向など)に移動できないため、同方向で浮遊する粉塵が除去できず、ダスト捕捉性能が悪いという課題があった。また、ダスト等捕捉装置も大掛かりになり設備投資費用が高額で、また、ダスト等捕捉装置の本体部分が工場の天井部にあるので、塵取りスクリーンの取り付け、薬液槽への洗浄液の補充などのメンテナンスが困難になるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、安価な構成で、工場内での運搬、設置、メンテナンスが容易で、しかもダスト除去性能に優れたダスト等捕捉装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【特許文献1】特開昭63−93372号公報
【特許文献2】特開2000−61227号公報
【特許文献3】特開2002−233800号公報
【特許文献4】特開平9−66211号公報
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明のダスト等捕捉装置は、基台に、ダスト捕捉用の粘着剤を有するシート状のネットと前記ネットの片面に貼着された剥離紙をロール状に巻いて形成されたネットロールと、前記ネットロールを収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段とを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記剥離紙を前記ネットより剥離するもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、粘着剤を有するネットの新しい部分を外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【0013】
また、本発明のダスト等捕捉装置は、基台に、シート状のネットをロール状に巻いた状態で収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段と、ダスト捕捉用の粘着剤を収納する粘着剤ケースとを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、ネットの新しい部分に粘着剤を付着させながら外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。また、同じネットを利用しながら、工場内の粉塵の種類や量に応じて最適な粘着剤、量を選定でき、しかも剥離紙が不要なので安価に構成することができる。さらに、乾燥前に滴下する液剤を粘着剤ケースで受けるようにすれば、周囲の汚染を防止することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のダスト等捕捉装置は、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要で、使用勝手がよく、また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので、設備投資コストを大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、基台に、ダスト捕捉用の粘着剤を有するシート状のネットと前記ネットの片面に貼着された剥離紙をロール状に巻いて形成されたネットロールと、前記ネットロールを収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段とを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記剥離紙を前記ネットより剥離するもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、粘着剤を有するネットの新しい部分を外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明のネットに付着させる液剤を収納する液剤ケースを設けたもので、液剤として粘着剤を使用すれば、使用環境やダストの種類に応じて、ネットに付着する粘着剤の量を増やしたり、乾燥前に滴下する液剤を液剤ケースで受けるようにすれば、周囲が汚染されるのを防止することができる。又、必要に応じて芳香剤などを含む液剤を使用すれば、工場内の空気に香りを与え快適な作業環境を作ることができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の巻取り手段で、ネットと剥離紙の両方を巻き取るようにしたもので、構成が簡素化されてさらに安価に構成できると共に、巻き取り作業やその準備作業も容易になる。
【0018】
第4の発明は、基台に、シート状のネットをロール状に巻いた状態で収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段と、ダスト捕捉用の粘着剤を収納する粘着剤ケースとを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたもので、ネットを交換するときは、巻取り手段で使用済みのネットを巻き取るだけで、ネットの新しい部分に粘着剤を付着させながら外部に露出させることができるので、煩雑なネットの運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。また、同じネットを利用しながら、工場内の粉塵の種類や量に応じて最適な粘着剤、量を選定でき、しかも剥離紙が不要なので安価に構成することができる。さらに、乾燥前に滴下する液剤を粘着剤ケースで受けるようにすれば周囲の汚染を防止することもできる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれかひとつの発明のネットを張架するローラー間のピッチを調節可能にしたもので、ネットを、工場内の天井や障害物までの高さに合わせて最適な高さに簡単に調整できるので、ネットを無駄にすることが無く、使用勝手が良い。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれかひとつの発明の基台の底面に走行車輪を設けたもので、ダスト等捕捉装置を工場内で自由に移動させることができるようになるので、ダスト等の捕捉性能が向上する。
【0021】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施例1)
図1(a)は、本発明の第1の実施例におけるダスト等捕捉装置の全体斜視図、(b)は、同ダスト等捕捉装置の支柱嵌合部の拡大断面図、図2は、同ダスト等捕捉装置のネットロールの部分拡大断面図である。
【0023】
図1、2において、本実施例におけるダスト等捕捉装置1は、底面に回転自在の走行車輪2を取り付けた基台3と、基台3に間を置いて立設され上部に高さ調整穴4aを有する一対の支柱A4と、同じく基台3に間を置いて立設され、支柱A4と対向するように配された一対の支柱B5と、下方の長手方向に複数の高さ調整穴6aを有すると共に、支柱A4の上端に摺動自在に外挿される一対の支柱C6と、一対の支柱A4間の下部に回転自在に支持されたローラー下7と、一対の支柱C6間の上部に回転自在に支持されたローラー上8と、位置的にローラー上8とローラー下7との間に位置し、一対の支柱A4間に、互いに間を置いて回転自在に支持された一対のローラー中9と、一対の支柱B5間の下方に配され、シート状のネット10と剥離紙11の2層からなるネットロール12を回転自在に収納する収納部13と、一対の支柱B5間の上部に設けられ、ネット10と剥離紙11を巻き取る巻取り手段14と、ネット10から剥離紙11を剥離させるための剥離部材15から構成されている。
【0024】
14aは、巻取り手段14を手で回転するためのハンドルであるが、このハンドル14aの代わりに、巻取り手段14の側面に指穴(図示せず)を設け、そこに指を差し込んで巻取り手段14を回転させるようにしても良い。
【0025】
ネット10は、ネット基材10aと、このネット基材10aに付着されダストを捕捉する粘着剤10bから構成され、ネット基材10aは、不織布、織布、編布等でネット状、すなわち網目状に形成されてあるか、あるいは、長繊維、もしくは、短繊維にて平板状の不織布でフィルタ状に形成されている。
【0026】
また、ネット基材10aは、上記以外でも、特に図示しないが、パンチングによる通気性を有する貫通穴が形成されてある形態、複数の帯状、あるいは糸状に形成された形態、さらには、シート状の合成樹脂発泡体も採用してもよい。
【0027】
粘着剤10bは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂などからなりネット基材10aに塗布、吹き付け、含浸等の手段で付着される。
【0028】
剥離紙11は、シート状で、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、PETフィルム、OPPフィルムなどからなるシート状基材11aと、シート状基材11aに付着されフッ素、ワックス、オレフィン樹脂などからなる剥離層11bから構成されている。
【0029】
剥離部材15は、棒状で表面にフッ素をコーティングした樹脂又は金属材料から形成されている。
【0030】
16は、ローラー上8を所定の高さで保持するためのピンで、図1(b)に示すように、支柱A4上で支柱C6を、ローラー上8が希望の高さになるように上又は下方向に摺動させ、支柱A4の高さ調整穴4aと支柱C6の高さ調整穴6aを合わせ、そこにピン16を差し込むことにより、ローラー上8が所定の高さで保持される。
【0031】
次に、本実施例におけるダスト等捕捉装置1の使用方法について説明する。
【0032】
最初に、本実施例におけるダスト等捕捉装置1を設置する工場内の天井、又は天井に配設された各種配管類(図示せず)などの障害物までの高さを考慮して、ローラー上8が最適な高さになるように、支柱C6を上下させて調整したうえで、ピン16でそれを固定する。
【0033】
次に、ネットロール12を、収納部13に収納し、ネット10及び剥離紙11のそれぞれの端部を、収納部13に設けた開口部13aから引きずり出す。次に、ネット10から剥離紙11を剥がし、その剥離紙11を巻取り手段14に巻きつけながら、ネット10を、図1に示すように、下側のローラー中9、ローラー下7、ローラー上8、上側のローラー中9に順に張架し、最後に巻取り手段14に巻きつける。
【0034】
本実施例では、ネット10のネット基材10aがネット状、すなわち網目状あるいは、フィルター状になっているので、それに付着された粘着剤10bは、ネット基材10aに含浸して、そのネット基材10aの両面で粘着剤10bが露出している。すなわち、粘着剤10bは、ネット10の剥離紙11が貼着されていた側と反対側の面(以下、「反剥離紙側面」という)にも現れ、その面で空気中に浮遊するダストを捕捉することができる。
【0035】
そして、ネット10の表面がダストで汚れ、ダストの捕捉性能が劣化してきたら、ハンドル14aを回して、巻取り手段14で、ネット10の新しい面が上側のローラー中9に達するまで、ネット10を巻き取る。このとき、剥離紙11も同時に、巻取り手段14で巻き取られるので、操作が極めて容易である。
【0036】
以上のように、本実施例によれば、ネット10を交換したい時は、巻取り手段14で使用済みのネット10を巻き取るだけで、その動作に連動して剥離紙11が剥がれ、粘着剤10bを有するネット10の新しい部分を外部に露出させることができるので、煩雑なネット10の運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。
【0037】
また、同一の巻取り手段14で、ネット10と剥離紙11の両方を巻き取るようにしたので、構成が簡素化されて安価に構成できると共に、巻き取り作業やその準備作業も容易になる。
【0038】
さらに、ネット10を張架するローラー下7とローラー上8とのピッチを、支柱C6を上げ下げして調節可能にしているので、ネット10を、工場内の天井(図示せず)や、天井に取り付けられた各種配管などの障害物(図示せず)までの高さに合わせて最適な高さに簡単に調整できるので、ネット10を無駄にすることが無く、使用勝手が良い。
【0039】
又、収納部13、ローラー下7、ローラー上8、巻取り手段14を設置した基台3の底面に走行車輪2を設けているので、ダスト等捕捉装置を工場内で自由に移動させることができるようになり、ダスト等捕捉装置の設置が容易になると共に、ダスト等の捕捉性能が大幅に向上する。
【0040】
(実施例2)
図3(a)は、本発明の第2の実施例におけるダスト等捕捉装置の斜視図、(b)は、同ダスト等捕捉装置の要部断面図である。なお、上記第1の実施例と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
本実施例におけるダスト等捕捉装置19は、粘着剤および剥離紙のないネットをローラーに張架し、それを巻き取りながら粘着剤ケースに収納された粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたもので、他の構成は、上記第1の実施例と同じである。
【0042】
図3において、20は、液状で、第1の実施例における粘着剤10bと同じ材料からなる粘着剤21を収納する粘着剤ケースで、同粘着剤ケース20の底部に、ローラー下7が配されている。22は、粘着剤ケース20に設けられ、ゴムなどの弾性材料からなり、先端がネット10の表面に当接して、粘着剤ケース20内の粘着剤21の乾燥を防止すると共に、ネット10に粘着剤21が余分に付着するのを防止するための摺接片である。
【0043】
摺接片22の反ネット10側の端部のそれぞれは、粘着剤ケース20に回動自在に設けられており、必要に応じて開けられるようになっている。
【0044】
次に、本実施例におけるダスト等捕捉装置19の使用方法について説明する。
【0045】
最初に、上記第1の実施例と同様に、ダスト等捕捉装置19を設置する工場内の天井、又は天井に配設された各種配管類(図示せず)などの障害物までの高さを考慮して、ローラー上8が最適な高さになるように調整したうえで、支柱C6をピン16で固定する。
【0046】
次に、ロール状に巻いたネット10を、収納部13に収納し、ネット10の端部を収納部13に設けた開口部13aから引きずり出し、図3に示すように、下側のローラー中9、ローラー下7、ローラー上8、上側のローラー中9に順に張架し、最後に巻取り手段14に巻きつける。
【0047】
そして、一方の摺接片23を開けて、粘着剤21を、ローラー下7が十分浸漬する深さまで、粘着剤ケース20に投入し、ハンドル14aをまわして、巻取り手段14で、ネット10の粘着剤21が付着した部分がローラー上8に達するまで巻き取る。これで、空中に浮遊するダスト捕獲の準備は完了する。
【0048】
そして、ネット10の表面がダストで汚れ、ダストの捕捉性能が劣化してきたら、ハンドル14aを回して、ネット10の新たに粘着剤21が付着した部分が上側のローラー中9に達するまで、巻取り手段14でネット10を巻き取るようにする。
【0049】
以上のように、本実施例によれば、ネット10を交換するときは、巻取り手段14で使用済みのネット10を巻き取るだけで、ネット10の新しい部分に粘着剤21を付着させながら外部に露出させることができるので、煩雑なネット10の運搬作業や付け替え作業が不要になり、使用勝手がよい。また、構成が簡素で、軽量化がはかれるので油圧シリンダーや、クレーンガーターなどの設備が不要になり、設備投資コストを大幅に低減できる。また、同じネット10を利用しながら、工場内の粉塵の種類や量に応じて最適な粘着剤、やその量を選定でき、しかも剥離紙が不要なので安価に構成することができる。
【0050】
さらに、本実施例では、ローラー下7が、粘着剤ケース20内に収められているので、万一、ネット10に余分に付着した粘着剤21が乾燥前に滴下するようなことがあっても、それが、粘着剤ケース20で受けられるので、周囲が汚れるのを防止することができる。
【0051】
なお、上記粘着剤ケース20を、特に図示しないが、液剤を収納する液剤ケースとして、上記第1の実施例におけるダスト等捕捉装置に付加してもよい。勿論液剤ケースの設置位置は、第2の実施例における粘着剤ケース20と同じにする。
【0052】
このようにして、例えば、液剤として粘着剤を使用すれば、使用環境やダストの種類に応じて、ネット10に予め付着していた粘着剤10bにさらに粘着剤を付着させてその量を増やすことができる。又、必要に応じて芳香剤などを含む液剤を使用すれば、工場内の空気に香りを与え快適な作業環境を作ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係るダスト等捕捉装置は、軽量、安価で、ダスト捕獲用ネットの交換が容易なもので、粉塵やミストの除去が不可欠な塗装工場、食品加工場、精密機械製造工場、電気部品製造工場等で広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)本発明の第1の実施例におけるダスト等捕捉装置の全体斜視図(b)同ダスト等捕捉装置の支柱嵌合部の拡大断面図
【図2】同ダスト等捕捉装置のネットロールの部分拡大断面図
【図3】(a)本発明の第2の実施例におけるダスト等捕捉装置の斜視図、(b)同ダスト等捕捉装置の要部断面図
【符号の説明】
【0055】
1、19 ダスト等捕捉装置
2 走行車輪
3 基台
4 支柱A
5 支柱B
6 支柱C
7 ローラー下(ローラー)
8 ローラー上(ローラー)
9 ローラー中(ローラー)
10 ネット
10a ネット基材
10b 粘着剤
11 剥離紙
11a シート基材
12 ネットロール
13 収納部
14 巻取り手段
15 剥離部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に、ダスト捕捉用の粘着剤を有するシート状のネットと前記ネットの片面に貼着された剥離紙をロール状に巻いて形成されたネットロールと、前記ネットロールを収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段とを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記剥離紙を前記ネットより剥離するダスト等捕捉装置。
【請求項2】
ネットに付着させる液剤を収納する液剤ケースを設けた請求項1に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項3】
同一の巻取り手段で、ネットと剥離紙の両方を巻き取るようにした請求項1又は2に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項4】
基台に、シート状のネットをロール状に巻いた状態で収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段と、ダスト捕捉用の粘着剤を収納する粘着剤ケースとを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたダスト等捕捉装置。
【請求項5】
ネットを張架するローラー間のピッチを調節可能にした請求項1〜4のいずれか1項に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項6】
基台の底面に走行車輪を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項1】
基台に、ダスト捕捉用の粘着剤を有するシート状のネットと前記ネットの片面に貼着された剥離紙をロール状に巻いて形成されたネットロールと、前記ネットロールを収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段とを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記剥離紙を前記ネットより剥離するダスト等捕捉装置。
【請求項2】
ネットに付着させる液剤を収納する液剤ケースを設けた請求項1に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項3】
同一の巻取り手段で、ネットと剥離紙の両方を巻き取るようにした請求項1又は2に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項4】
基台に、シート状のネットをロール状に巻いた状態で収納する収納部と、前記ネットを張架するローラーと、前記ローラーに張架された前記ネットを巻き取る巻取り手段と、ダスト捕捉用の粘着剤を収納する粘着剤ケースとを備え、前記巻取り手段の動作に連動して、前記粘着剤を前記ネットに付着させるようにしたダスト等捕捉装置。
【請求項5】
ネットを張架するローラー間のピッチを調節可能にした請求項1〜4のいずれか1項に記載のダスト等捕捉装置。
【請求項6】
基台の底面に走行車輪を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載のダスト等捕捉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2008−49313(P2008−49313A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230482(P2006−230482)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】
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