説明

ダスト計

【課題】標準測定法に近い測定値を高精度に得ることができ、濾紙の詰まりを防いで圧力損失の低減を可能にしたダスト計を提供する。
【解決手段】試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙33A,33Bによりダストを捕集する二つの検出部A,Bを備え、一方の検出部、例えば検出部Aがダストを捕集している期間において、他方の検出部Bが、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作を順次実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に浮遊するダストの質量濃度を測定するダスト計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダスト濃度の測定方法として、JIS(Z8814)や米国EPAのFederal Register(Vol.62, No.138/appendix L)に規定されている標準測定法(手分析法)が知られている。
この標準測定法では、円形の濾紙上に試料大気中のダストを捕集し、精密天秤によって捕集前後の濾紙の質量の変化分を測定し、その変化分と試料大気の捕集積算流量とからダストの質量濃度(単位:〜mg/m)を算出している。また、この標準測定法では、ダストの捕集時間が24〜48時間と長時間であり、ダストの捕集前後に濾紙を温度20℃、湿度50%(調湿目標湿度,EPAでは35%であるが、本明細書中では50%とする。)の環境で調湿する点が特徴となっている。例えば、捕集時間が24時間であった場合には、24時間試料大気を流して捕集したときの質量濃度が測定値(24時間値)として得られる。
【0003】
一方、自動分析法の一つとして、β線吸収法を用いた測定方法(単にβ線吸収法という)も知られている。
このβ線吸収法では、試料大気をテープ状の濾紙に通過させて大気中のダストを濾紙上のスポットに捕集し、捕集前後の濾紙の質量の変化分をβ線厚み計(βゲージ)により測定すると共に、その質量の変化分と試料大気の捕集積算流量とからダストの質量濃度を算出している。
具体的には、特許文献1に開示されているように、浮遊粒子状物質が未捕集状態である最新の濾紙を通過させた場合のβ線強度Ioと、浮遊粒子状物質を捕集した状態の濾紙を通過させた場合のβ線強度Iと、浮遊粒子状物質の単位質量当たりのβ線吸収断面積kと、濾紙の単位捕集面積当たりの粒子の質量mと、全捕集面積Sと、積算吸引流量Vとを用いて、浮遊粒子状物質濃度Mは、次式のようになる。
M=(m/V)=(S/kV)ln(Io/I)
【0004】
β線吸収法は捕集時間や測定時間が短いために(測定時間は1時間の場合の例が多く、質量濃度の測定値は1時間値として得られる)、濾紙等の調湿を全く行わないか、あるいは行ったとしても簡易的な調湿処理であることに起因して、β線吸収法によるダスト濃度の測定値は、調湿を行う標準測定法の測定値に比べて1〜2割程度、高くなる傾向にある。
その理由としては、β線吸収法では標準測定法に比べて濾紙やダストに水分が過剰に吸着されているので、濾紙の質量が増加する傾向にあり、また、標準測定法では、ダストの捕集時間が長いためにその途中で揮発性ダストが飛散する結果、質量が減少することが考えられる。なお、試料大気の湿度が50%以下である場合には、β線吸収法によるダスト濃度の測定値が標準測定法に比べて低くなるが、両測定値の誤差は僅かであり、湿度が高いときの誤差に比べて問題視されていない。
【0005】
上記のようにβ線吸収法では、特に湿度が高い場合に標準測定法に対して測定値の誤差が大きくなるので、この誤差を低減するために、含有ダストがほぼゼロである乾燥空気や低湿度の調湿空気をダスト捕集後の濾紙に通過させるようにしたダスト計が、特許文献2によって公知となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−3090号公報(段落[0008]〜[0010],数1等)
【特許文献2】特開2005−114596号公報(段落[0009]〜[0013],図1〜図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載されたダスト計では乾燥または調湿時間が比較的短いため濾紙の湿度が50%以上になっている場合もあり、標準測定法に比べて十分な測定精度が得られないと共に、試料大気に乾燥空気を加えて圧送するための圧力損失が大きくなるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の解決課題は、標準測定法に近い測定値を高精度に得ることができ、また、濾紙の詰まりを防いで圧力損失の低減を可能にしたダスト計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙によりダストを捕集する二つの前記検出部を備え、
一方の検出部がダストを捕集している期間において、
他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作を順次実行するものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙によりダストを捕集する二つの前記検出部を備え、
一方の検出部がダストを捕集している期間において、
他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行し、その後、ダスト捕集前の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行するものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載したダスト計において、二つの検出部におけるダスト捕集時間を何れも1時間とし、請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載したダスト計において、二つの検出部におけるダスト捕集時間を何れも24時間とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載したダスト計において、ダスト捕集時間内の単位時間の始期及び終期にβ線計測動作を行って単位時間内のダストの質量濃度の測定値を単位時間値として求め、この単位時間値を試料大気の湿度検出値と調湿目標湿度との比や差を用いた補正係数により補正するものである。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項4または5に記載したダスト計において、ダスト捕集時間内の前記単位時間値の平均値と、前記ダスト捕集時間でのダストの質量濃度の測定値との比を湿度補正係数として求め、当該湿度補正係数を前記単位時間値に乗じて前記単位時間値を補正するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ダスト捕集の前後において調湿を行うため、濾紙を所定の湿度に保った状態でダストを捕集することができる。このため、標準測定法に比べて遜色のない高精度な測定値を得ることができる。
また、試料大気等に調湿空気を加えないため、圧力損失を低減することが可能である。
更に、一方の検出部によりダスト捕集を行っている間に他方の検出部により調湿やβ線計測を行うことが可能であるから、見かけ上のダスト捕集時間を長くして標準測定法に近い測定値が得られると共に、1時間値等の単位時間値を得たい場合には、湿度検出値や補正係数を用いた補正処理によって正確な速報値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。まず、図1は、本実施形態に係るダスト計の概略的な構成図であり、このダスト計は、β線吸収法によりダストの質量濃度を自動的に測定する二系統の検出部A,Bを備えている。
【0016】
すなわち、図1において、10は試料大気が導入される配管、20は試料大気の流路を切り替える流路切替器、11〜15は試料大気または調湿空気が流通する配管、A,Bは配管14,15の途中にそれぞれ配置され、かつ、β線源31及び検出部32を備えると共にダスト捕集用の濾紙33が供給される検出部、16〜19は試料大気または調湿空気が流通する配管、51は調湿空気が流通する配管、41は配管13の途中に配置された流路切替弁、42は配管14,16,17の連結部に配置された流路切替弁、43は配管15,16,18の連結部に配置された流路切替弁、H1は配管17に配置された第1の湿度センサ、H2は配管19に配置された第2の湿度センサ、P1は配管19に配置されたポンプ、fは配管51に配置された粗フィルタ、P2はポンプ、Dはドライヤ、Rはキャピラリ抵抗、Vはニードル弁、Fは高性能フィルタである。
なお、二系統の検出部A,Bには、図示されていない濾紙送り機構によってそれぞれ個別に濾紙33(33A,33B)が供給されるようになっている。また、ポンプP2、ドライヤD、ニードル弁Vの組合せにより、湿度50%の調湿空気を作り出す。
【0017】
次に、このダスト計の動作を、図2〜図5のフローと図6のタイムチャート1を参照しつつ説明する。ここで、図2〜図5のフローは、検出部A,Bが1時間でダストを捕集する場合のものであり、図6(a)はそのときの検出部A,Bの動作を示している。
【0018】
まず、図2は、検出部Aが濾紙の調湿を行い、検出部Bがダスト捕集を行う場合のフローを示している。なお、図2〜図5のフローでは、流路切替弁41〜43の開ポートを白抜きで表示してある。
図2のフローでは、流路切替弁41の検出部A側のポートを開き、ポンプP2を動作させ、ニードル弁Vを開き、調湿空気を配管51、流路切替弁41、配管13,14を介して検出部Aに導入し、濾紙33Aを調湿すると共に、流路切替弁42、湿度センサH1、配管17を介して排気する。なお、この時の湿度は湿度センサH1により監視されている。同時に、流路切替器20を配管12,15側に切り替えて検出部Bの濾紙33Bにより試料大気中のダストを捕集し、流路切替弁43、配管16、ポンプP1、配管19を介して排気する。このフローにおいて、検出部Aは、まだダストを捕集する前の状態にあり、検出部Bは、ダスト捕集を行っている状態にある。
このフローは、図6におけるフロー番号「図2」の部分であり、例えば図6(a)の期間T1に相当する。
【0019】
次に、図3は、ポンプP2を止めて検出部Aへの調湿空気の供給を停止した状態でダスト捕集前にβ線計測を行い、検出部Bは引き続き濾紙33Bにダスト捕集を行っている場合のフローである。
このフローは、図6におけるフロー番号「図3」の部分であり、例えば図6(a)の期間T2に相当する。
【0020】
図4は、ポンプP2を動作させ、流路切替弁41の検出部B側のポートを開き、調湿空気配管51、流路切替弁41、配管13,15を介して検出部Bに導入し、濾紙33Bを調湿すると共に、流路切替弁43、湿度センサH1、配管17を介して排気する。同時に、流路切替器20を配管11,14側に切り替えて検出部Aにより試料大気中のダストを濾紙33Aに捕集し、流路切替弁42、配管16、ポンプP1、配管19を介して排気する。すなわち、検出部A,Bが図2とは逆の動作を行っている状態である。
このフローは、図6におけるフロー番号「図4」の部分であり、例えば図6(a)の期間T3に相当する。
【0021】
図5は、ポンプP2を止めて検出部Bへの調湿空気の供給を停止した状態でダスト捕集後のβ線計測を行い、検出部Aは引き続き濾紙33Aにダストを捕集している場合のフローである。
このフローは、図6におけるフロー番号「図5」の部分であり、例えば図6(a)の期間T4に相当する。
期間T4が経過した時点で、検出部Bは紙送りを行って濾紙33Bの次のスポットにダストを捕集するように動作させる。
【0022】
また、図6(a)の期間T4の次の期間T5では、再び図4のフローを実行し、その後、期間T6,T7,T8では順次、図5,図2,図3のフローを実行する。そして、期間T8が経過した時点で、検出部Aはダスト捕集前後のβ線計測が終了するため、濾紙の質量の変化分と試料大気の捕集積算流量からダスト濃度を測定することができる。この時点で、検出部Aは紙送りを行って濾紙33Aの次のスポットにダストを捕集するように動作させる。
なお、この例において、検出部A側の濾紙33Aの同一スポットに対する一測定周期(期間T1〜T8の合計)は2時間であり、検出部Bでは、期間T5以降に、検出部Aにおける期間T1以降と同様の処理が実行される。
このように、検出部A,Bは、一定の時間遅れを持って、調湿→β線計測→ダスト捕集→調湿→ダスト捕集という動作を繰り返すことになる。
【0023】
上記の動作により、検出部A,Bでは、ダストの捕集前後に調湿を行うので、濾紙33A,33Bの湿度を標準測定法と同様の50%程度まで調湿することができ、標準測定法に対するダスト濃度の測定誤差を小さくすることができる。また、調湿空気や試料大気を同時に圧送しないので、圧力損失も少なくなる。
更に、ダストの捕集時間が短時間(1時間)であるため、揮発性ダストの飛散が少なく、測定精度が低下することもない。その反面、検出部A,Bが交互にダストを捕集することができ、見かけ上は一つの検出部が連続的かつ長時間にわたってダストを捕集することになるので、測定精度を向上させることができる。
【0024】
なお、図6(b)は、図2〜図5のフローを実行する一測定周期(期間T1〜T8の合計)を48時間とした場合のタイムチャートである。この場合のダスト捕集時間は、24時間である。
図6(b)における検出部A,Bの動作は、図6(a)と実質的に同一であり、異なるのは各期間T1〜T8のスケールが延びている点である。
【0025】
図6(b)のようなタイムチャートで測定する場合、標準測定法と同様に長時間のダスト捕集時間及び調湿時間を確保することができ、揮発性ダストの飛散量も標準測定法に近付けることができる。
【0026】
なお、この測定方法ではダスト捕集時間が24時間であり、例えば1時間ごとの測定値(1時間値)を得ることができない。
従って、1時間値を得たい場合には、図6(b)のダスト捕集期間において、単位時間を1時間としてその始期及び終期にβ線計測を行ってダストの質量濃度を測定し、この測定値を1時間値として求めることが考えられる。但し、この場合には濾紙の調湿が不十分であるから、図1の第2の湿度センサH2により試料大気の湿度を検出し、その湿度検出値と調湿目標湿度(例えば50%)との比や差を用いた補正係数(理論値あるいは実験値)により1時間値を補正すればよい。
【0027】
また、1時間値の精度を上げるための他の方法としては、図6(b)のタイムチャートによりダストを24時間捕集した時の測定値(24時間値)が確定した段階で、前記のように求めた1時間値を24時間分積算し、24で除して平均した値が24時間値に等しくなるように、以下の式によって湿度補正係数を求める。
24時間値=Σ(1時間値)/24×湿度補正係数
こうして求めた湿度補正係数を1時間値にそれぞれ乗算することにより、速報値としての1時間値の精度を高めることができる。
更に、上記の湿度補正係数を過去数日間にわたり演算して記憶しておき、その平均値を求めて1時間値に乗算しても良い。
なお、速報値として1時間値以外の2時間値、3時間値、……等の単位時間値を求めたい場合にも、1時間値と同様な測定処理、補正処理を行えば良い。
【0028】
次に、本実施形態における他の測定方法を、図7,図8のフロー及び図9のタイムチャート2を参照しつつ説明する。
前述した図2〜図6の測定方法では、β線計測を行う期間は調湿しないため、β線計測時に検出部A,Bが所望の湿度になっていない場合もある。このため、図7〜図9の測定方法では、β線計測時にも調湿するようにして測定精度を一層向上させるようにした。
【0029】
図9のタイムチャートは、図6と同様に検出部A,Bの動作を示したものであり、図9(a)はダスト捕集時間が1時間の場合、図9(b)はダスト捕集時間が24時間の場合である。
まず、図9(a)において、期間T11では、前述した図2と同様のフローを実行し、検出部Aが調湿を、検出部Bがダスト捕集を行う。
【0030】
次に、期間T12では、検出部Aが調湿及びβ線計測を同時に行い、検出部Bがダスト捕集を引き続き行う。この時のフローは図7に示す通りであり、調湿空気を配管51,流路切替弁41、配管13,14を介して検出部Aに供給することにより濾紙33Aを調湿し、流路切替弁42、湿度センサH1及び配管17を介して排気すると同時に、検出部Aにおいてダスト捕集前のβ線計測を行う。また、この間、流路切替器20を配管12側に切り替え、試料大気を配管12,15を介して検出部Bに供給することにより濾紙33Bにダスト捕集を行い、流路切替弁43、配管16、ポンプP1及び配管19を介して排気する。
【0031】
次いで、期間T13では、前述した図4と同様のフローを実行し、検出部Aがダスト捕集を、検出部Bが調湿を行う。
【0032】
期間T14では、期間T12と逆に、検出部Aがダスト捕集を引き続き行い、検出部Bが調湿及びβ線計測を同時に行う。
この時のフローは図8に示す通りであり、流路切替器20を配管11側に切り替え、試料大気を配管11,14を介して検出部Aに供給することにより濾紙33Aにダスト捕集を行い、流路切替弁42、配管16、ポンプP1及び配管19を介して排気する。この間、調湿空気を配管51,流路切替弁41、配管13,15を介して検出部Bに供給することにより濾紙33Bを調湿し、流路切替弁43、配管18、第1の湿度センサH及び配管17を介して排気すると同時に、検出部Bにおいてダスト捕集後のβ線計測を行う。
期間T14が経過した時点で、検出部Bは紙送りを行って濾紙33Bの次のスポットにダストを捕集するように動作させる。
【0033】
次の期間T15では、再び図4のフローを実行し、その後、期間T16,T17,T18では順次、図8,図2,図7のフローを実行する。そして、期間T18が経過した時点で、検出部Aはダスト捕集前後のβ線計測が終了するため、濾紙33Aの質量の変化分と試料大気の捕集積算流量からダスト濃度を測定することができる。この時点で、検出部Aは紙送りを行って濾紙33Aの次のスポットにダストを捕集するように動作させる。
なお、濾紙33A,33Bの同一スポットに対する一測定周期(期間T11〜T18の合計)は、この例でも2時間である。
【0034】
一方、検出部Bでは、期間T15以降に、検出部Aにおける期間T11以降と同様の動作を行う。
この測定方法において、検出部A,Bは、一定の時間遅れを持って、調湿→調湿及びβ線計測→ダスト捕集→調湿→調湿及びβ線計測という動作を繰り返すことになる。
【0035】
なお、図9(b)は、図6(b)と同様に、濾紙の同一スポットに対する一測定周期を48時間として測定する場合のタイムチャートであり、この場合のダスト捕集時間は、24時間である。
図9(b)における検出部A,Bの動作は、図9(a)と実質的に同一であり、異なるのは各期間T11〜T18のスケールが延びている点である。
図9(b)のようなタイムチャートで測定する場合、標準測定法と同様に長時間のダスト捕集時間を確保できると共に、調湿時間が長くなるので測定精度を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るダスト計の概略的な構成図である。
【図2】実施形態の動作を示すフロー図である。
【図3】実施形態の動作を示すフロー図である。
【図4】実施形態の動作を示すフロー図である。
【図5】実施形態の動作を示すフロー図である。
【図6】実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【図7】実施形態の動作を示すフロー図である。
【図8】実施形態の動作を示すフロー図である。
【図9】実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0037】
10〜19,51:配管
20:流路切替器
31:β線源
32:検出部
33,33A,33B:濾紙
41〜43:流路切替弁
f:粗フィルタ
F:高性能フィルタ
P1,P2:ポンプ
R:キャピラリ抵抗
H1,H2:湿度センサ
V:ニードル弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙によりダストを捕集する二つの前記検出部を備え、
一方の検出部がダストを捕集している期間において、
他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作、β線計測動作、ダスト捕集前の調湿動作、β線計測動作を順次実行することを特徴とするダスト計。
【請求項2】
試料大気が検出部に供給され、この検出部内の濾紙上のスポットにより試料大気中のダストを捕集すると共に、ダスト捕集前後の濾紙の質量変化をβ線吸収法により計測してダストの質量濃度を測定するダスト計において、
試料大気が交互に供給され、かつ、それぞれ個別に配置された濾紙によりダストを捕集する二つの前記検出部を備え、
一方の検出部がダストを捕集している期間において、
他方の検出部が、ダスト捕集後の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行し、その後、ダスト捕集前の調湿動作とβ線計測動作とを一部の期間、同時に実行することを特徴とするダスト計。
【請求項3】
請求項1または2に記載したダスト計において、
二つの検出部におけるダスト捕集時間を何れも1時間とすることを特徴とするダスト計。
【請求項4】
請求項1または2に記載したダスト計において、
二つの検出部におけるダスト捕集時間を何れも24時間とすることを特徴とするダスト計。
【請求項5】
請求項4に記載したダスト計において、
ダスト捕集時間内の単位時間の始期及び終期にβ線計測動作を行って単位時間内のダストの質量濃度の測定値を単位時間値として求め、この単位時間値を試料大気の湿度検出値と調湿目標湿度との比や差を用いた補正係数により補正することを特徴とするダスト計。
【請求項6】
請求項4または5に記載したダスト計において、
ダスト捕集時間内の前記単位時間値の平均値と、前記ダスト捕集時間でのダストの質量濃度の測定値との比を湿度補正係数として求め、当該湿度補正係数を前記単位時間値に乗じて前記単位時間値を補正することを特徴とするダスト計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−32225(P2010−32225A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191568(P2008−191568)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】