説明

ダブルパターニングリソグラフィプロセスでレジストアライメントマークを形成する装置および方法

【課題】ダブルパターニングプロセス中に基板の位置合わせをする方法を説明する。
【解決手段】少なくとも1つのアライメントマークを含む第1のレジスト層を基板上に形成する。この第1のレジスト層を現像した後、第1のレジスト層の上に第2のレジスト層を堆積し、それによって平坦な上部面を残す(すなわちトポグラフィがない)。第2のレジスト層を適切にベークすることによって、対称アライメントマークを第2のレジスト層内に、第1のレジスト層内のアライメントマークからのオフセットエラーなく、またはほとんどなく形成する。第2のレジスト内に形成されるアライメントマークの対称性は、第1および第2のレジスト層のそれぞれの厚さ、被覆プロセスパラメータ、およびベーキングプロセスパラメータを適切に調整することによって向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の諸実施形態は、一般にはリソグラフィに関し、より具体的には、ダブルパターニングプロセスなどのリソグラフィパターニングプロセスでアライメントターゲットを改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、基板上、通常は基板のターゲット部分上に、所望のパターンを付ける機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造で使用することができる。その場合、パターニングデバイス、あるいはマスクまたはレチクルと呼ばれるものを使用してICの個々の層上に形成されるべき回路パターンを生成することができる。このパターンは基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、1つのダイ、またはいくつかのダイを含む)上に転写することができる。パターンの転写は、一般に、基板上に形成されたレジスト材料(レジスト)の層上への結像により行われる。一般に、単一の基板は、連続的にパターニングされる、網状の隣り合うターゲット部分を含むことになる。既知のリソグラフィ装置は、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することによって各ターゲット部分が照射されるいわゆるステッパと、放射ビームにより所与の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンし、一方、この方向と平行または反平行に基板を同期スキャンすることによって各ターゲット部分が照射されるいわゆるスキャナとを含む。基板上にパターンをインプリントすることによってパターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] ICチップの製造には、多数の層を製作することが伴う。各層内において、マルチパターニングまたはダブルパターニングを用いて、従来のパターニングプロセスを用いて実現可能なものよりも小さなクリティカルディメンションを有するパターンを生成することができる。ダブルパターニングを実施するいくつかの異なる方法がある。これらのうち最初のものは、リソグラフィ−エッチ−リソグラフィ−エッチ(LELE)として知られ、このLELEでは、第1のパターンを露光しエッチングする。次に、この第1のパターンのフィーチャ間のスペースにフィーチャを配置して、第2のパターンを露光する。次いで、第2のパターンのフィーチャを基板にエッチングする。したがって、最小リソグラフィピッチよりも小さい寸法のパターンを生成することができる。類似の別のダブルパターニング技術は、リソグラフィ−フリーズ−リソグラフィ−エッチ(LFLE)として知られている。レジストにパターンを露光し、次に、それを通常では化学固定によって「凍結」する。次に、やはり第2のパターンを、新たに堆積したレジスト層に露光することができ、次いで、両方のパターンを基板にエッチングする。もう1つのダブルパターニング法は、スペーサ法として知られている。スペーサ法では、犠牲テンプレートを下に置き、この犠牲テンプレートの両側に隣接してスペーサを配置する。次に、テンプレートを除去して、得られたパターンを基板にエッチングする。
【0004】
[0004] LELEまたはLFLEを用いると、第1のリソグラフィ工程によるフィーチャに対して、第2のリソグラフィ工程中でのフィーチャの配置にエラーが起こる可能性がある。しかし、ダブルパターニングの利点を最大にするには、アライメントエラーなく、またはほとんどなく第1のリソグラフィ工程と第2のリソグラフィ工程を位置合わせすることが絶対必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本発明の諸実施形態は一般に、ダブルパターニングプロセスなどのリソグラフィパターニングプロセスでアライメントマークを改善することに関する。
【0006】
[0006] 本発明の一実施形態では、ダブルパターニングプロセスを用いる半導体製造方法を提示する。この方法は、基板を第1のレジスト層で被覆すること、およびその後に第1のレジスト層を露光し現像して、1つまたは複数のアライメントマークを含む第1のパターンを形成することを含む。第1のレジスト層を凍結した後、第1のリソグラフィパターンを第2のレジスト層で被覆することによって、第1のレジスト層を平坦化する。第2のレジスト層をソフトベークすることによって、第2のレジスト層の収縮効果を利用して、第1のレジスト層内の1つまたは複数のアライメントマークに基づいたアライメントマークトポグラフィを得ることができる。次に、このようなアライメントマークトポグラフィを使用して、ほとんどアライメントエラーなくアライメント信号の生成をサポートすることができる。
【0007】
[0007] 一実施形態では、第2のレジスト層の被覆工程およびベーク工程は、対称的なアライメントマークトポグラフィが得られるように調整される。このような調整には、1つまたは複数のレジストポリマー濃度、レジスト粘度、スピンコート持続時間、スピンコーティング速度、スピン速度傾斜率、ソフトベーク持続時間およびベーク温度のパラメータを選択することが含まれる。別の実施形態では、マークバイアスおよび/またはマークセグメント化がレジスト層の厚さに基づいて調整されて、アライメントマークトポグラフィおよびアライメント信号が設定される。別の実施形態では、第1のレジスト層と第2のレジスト層の厚さが互いに制御される。
【0008】
[0008] 本発明はまた、第1のレジスト層で被覆された基板と、第1のレジスト層内に形成された1つまたは複数のアライメントマークと、第1のレジスト層を被覆する第2のレジスト層とを含む製造物にも関する。第1のレジスト層は、第1のリソグラフィパターンを第2のレジスト層で被覆することによって平坦化される。第2のレジスト層をソフトベークすることによって、第2のレジスト層の収縮効果を利用して、1つまたは複数の第1のアライメントマークに基づいたアライメントマークトポグラフィを製造物上に形成することができる。次に、このようなアライメントマークトポグラフィを使用して、後続の製造物のダブルパターニング加工においてほとんどアライメントエラーなく、アライメント信号の生成をサポートすることができる。
【0009】
[0009] 本発明はまた、半導体デバイスをリソグラフィで製造するシステムにも関する。このシステムは、ダブルパターニングプロセスにおいてアライメントマークを読み取るための特定の波長のアライメントビームを供給する照明源を含む。このシステムはまた、1つまたは複数の第1のアライメントマークを含む第1のレジスト層の上に第2のレジスト層を被覆した後で形成されたアライメントマークを検出する光学アライメントシステムも含む。結果として得られるアライメントマークは、第2のレジスト層のソフトベーキング、および第2のレジスト層の収縮特性により得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[0010] 上記の概要は、本発明の態様の多くを示しているがすべてではない。本発明の他の態様は、本発明の様々な「実施形態」についての説明を図面の参照と併せ読むことによって、本発明に関係する分野の当業者には明らかになるはずである。以下の実施形態を示す際には、本発明を限定としてではなく例として説明する。図で、同じ参照数字は同様の要素を指す。
【図1A】[0011]本発明の一実施形態による、反射型リソグラフィ装置を示す図である。
【図1B】本発明の一実施形態による、透過型リソグラフィ装置を示す図である。
【図2A】[0012]製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図2B】製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図2C】製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図2D】製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図2E】製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図2F】製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図2G】製品領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図3A】[0013]アライメントマーク領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図3B】アライメントマーク領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図3C】アライメントマーク領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図3D】アライメントマーク領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)ダブルパターニングプロセスの例示的な一工程を概略的に示す図である。
【図4A】[0014]ダブルパターニングプロセスにおいて凍結レジストマークにより限定されたコントラスト問題を示す図である。
【図4B】ダブルパターニングプロセスにおいて凍結レジストマークにより限定されたコントラスト問題を示す図である。
【図5A】[0015]ダブルパターニングプロセスのスピンコーティングプロセスにおけるアライメントマークの非コンフォーマル断面を示す図である。
【図5B】ダブルパターニングプロセスのスピンコーティングプロセスにおけるアライメントマークの非コンフォーマル断面を示す図である。
【図5C】ダブルパターニングプロセスのスピンコーティングプロセスにおけるアライメントマークの非コンフォーマル断面を示す図である。
【図6】[0016]ソフトベーク中のレジスト層厚の変化をモンテカルロシミュレーションした結果を示す図である。
【図7A】[0017]本発明の一実施形態による、対称アライメントマークを形成するプロセスを概略的に示す図である。
【図7B】本発明の一実施形態による、対称アライメントマークを形成するプロセスを概略的に示す図である。
【図7C】本発明の一実施形態による、対称アライメントマークを形成するプロセスを概略的に示す図である。
【図8A】[0018]本発明の一実施形態による、対称アライメントマークについてシミュレーションされたアライメント信号を概略的に示す図である。
【図8B】本発明の一実施形態による、対称アライメントマークについてシミュレーションされたプロセス誘発アライメントエラーを概略的に示す図である。
【図9A】[0019]本発明の一実施形態による、マークバイアスを概略的に示す図である。
【図9B】本発明の一実施形態による、マークバイアスを概略的に示す図である。
【図10】[0020]本発明による製造方法の一実施形態を示す流れ図を概略的に示す図である。
【0011】
[0021] 本発明の特徴および利点は、以下に記載される詳細な説明をこれらの図面と併せ読めば、より明らかになろう。これらの図面においては、全体にわたって、同様の参照符号が、対応する要素を識別する。図面においては、同様の参照番号は、概して、同一の、機能的に類似の、および/または、構造的に類似の要素を示す。ある要素が初めて示される図面は、対応する参照番号における左端の数字(または左端の複数位の数字)により示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0022] 本明細書には、本発明の特徴を組み込んだ1つまたは複数の実施形態が開示されている。開示されている1つまたは複数の実施形態は、単に本発明の実例を示したものにすぎない。本発明の範囲は、開示されている1つまたは複数の実施形態に限定されない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されている。
【0013】
[0023] 記載の実施形態(複数可)、および本明細書で参照する「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「例示の実施形態(an example embodiment)」などは、その記載の実施形態(複数可)が、特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、必ずしも全ての実施形態がそうした特定の特徴、構造、または特性を含むというわけではない。さらに、こうした語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性をある実施形態と関連させて記載する場合、かかる特徴、構造、または特性を他の実施形態と関連させて実施することは、明示的に記載されているか否かに関わらず、当業者の知識の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0014】
[0024] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組合せとして実装されてもよい。さらに、本発明の実施形態は、機械読取可能媒体に記憶された命令として実施されてもよく、この命令は、1つまたは複数のプロセッサによって読み込まれ、実行され得る。機械読取可能媒体は、機械(例えばコンピュータデバイス)によって読取り可能な形態の情報を記憶または伝達するための任意の機構を含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気式、光学式、音響式、または他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、および他のものを含んでもよい。さらに、本明細書においては、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が、特定の動作を実行するものとして説明される場合がある。しかし、そのような説明は、もっぱら便宜上のものであり、そのような動作は、実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する、コンピュータデバイス、プロセッサ、制御装置、または他のデバイスにより実現されることを理解されたい。
【0015】
[0025] しかし、そのような実施形態をさらに詳細に説明する前に、本発明の実施形態を実施し得る例示の一環境を提示することが有益である。
【0016】
[0026] 図1Aおよび図1Bは、それぞれリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’を概略的に示す。リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’はそれぞれ、放射ビームB(例えばDUV放射またはEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、または動的パターニングデバイス)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続されるサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、基板Wを正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続される基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTとを含む。リソグラフィ装置100および100’は、基板Wのターゲット部分(例えば1つまたは複数のダイを備える)C上へパターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを投影するように構成された投影システムPSも有する。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは反射性であり、リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSは透過性である。
【0017】
[0027] この照明システムILは、放射Bを導くか、形作るか、または制御するために、屈折、反射、磁気、電磁気、静電気など様々なタイプの光学コンポーネント、または他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらの任意の組合せを含んでもよい。
【0018】
[0028] サポート構造MTは、パターニングデバイスMAの配向、リソグラフィ装置100および100’の設計、および、例えばパターニングデバイスMAが真空環境中で保持されるかどうかなど他の条件に左右される形でパターニングデバイスMAを保持する。サポート構造MTは、パターニングデバイスMAを保持するために、機械的、真空、静電気、または他のクランプ技法を用いてもよい。サポート構造MTは、例えばフレームまたはテーブルでよく、必要に応じて固定式かまたは可動式でもよい。サポート構造MTは、パターニングデバイスが、例えば投影システムPSに対して確実に所望位置にあるようにすることができる。
【0019】
[0029] 用語「パターニングデバイス」MAは、基板Wのターゲット部分C内にパターンを作成するなど、その横断面内にパターンを備えた放射ビームBを与えるために使用され得るあらゆるデバイスを指すものと広義に解釈されたい。放射ビームBに与えられたパターンは、集積回路などのターゲット部分Cに作成されるデバイス内の特定の機能の層に対応することができる。
【0020】
[0030] パターニングデバイスMAは(図1Bのリソグラフィ装置100’のように)透過性でも(図1Aのリソグラフィ装置100のように)反射性でもよい。パターニングデバイスMAの例には、レチクル、マスク、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、マスクタイプとして、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなど、ならびに様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例は、入ってくる放射ビームを様々な方向に反射するように個々に傾斜させることができる小さなミラーのマトリクス構成を使用する。傾けられたミラーが、ミラーマトリクスによって反射される放射ビームB内にパターンを与える。
【0021】
[0031] 用語「投影システム」PSは、用いられる露光放射あるいは液浸液の使用または真空の使用など他の要因に適切なものとして、屈折システム、反射システム、反射屈折システム、磁気システム、電磁気システム、および静電気光学システムあるいはそれらの任意の組合せを含むあらゆるタイプの投影システムを包含することができる。他の気体が多量の放射または電子を吸収し過ぎる恐れがあるので、EUVまたは電子ビーム放射向けに真空環境が用いられてもよい。したがって、真空壁および真空ポンプの支援によって、ビーム通路の全体に真空環境が与えられてもよい。
【0022】
[0032] リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は、2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)WTを有するタイプでもよい。そのような「マルチステージ」マシンでは、追加の基板テーブルWTが並行して使用され得るが、あるいは1つまたは複数のテーブルが露光に使用されている間に、1つまたは複数の他の基板テーブルWT上で準備ステップが行われ得る。
【0023】
[0033] 図1Aおよび図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えばこの放射源SOがエキシマレーザであるとき、放射源SOとリソグラフィ装置100、100’は別体でもよい。そのような例では、放射源SOがリソグラフィ装置100または100’の一部を形成するとは見なされず、放射ビームBは、放射源SOから照明器ILまで、例えば適当な方向づけミラーおよび/またはビーム拡大器を備えるビームデリバリシステムBD(図1B)を用いて通される。他の例では、例えば放射源SOが水銀灯であるとき、放射源SOはリソグラフィ装置100、100’の一体型部分でもよい。放射源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDも一緒に、放射システムと呼ばれてもよい。
【0024】
[0034] 照明器ILは、放射ビームの角度強度分布の調節のためにアジャスタAD(図1B)を備えてもよい。一般に、少なくともイルミネータの瞳面内強度分布の外側および/または内側半径範囲(一般にそれぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)は調整され得る。さらに、照明器ILは、積分器INおよびコンデンサCOなど様々な他の構成要素(図1B)を備えてもよい。イルミネータILは、その断面内の所望の均一性および強度分布を得るために放射ビームBを調節するように使用されてもよい。
【0025】
[0035] 図1Aを参照すると、放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射し、パターニングデバイスMAによってパターニングされる。リソグラフィ装置100では、放射ビームBは、パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSは、放射ビームBを基板Wのターゲット部分Cの上に集束する。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)の補助により、基板テーブルWTを正確に動かして、例えば放射ビームBの経路内の別々のターゲット部分Cを位置決めすることができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAと基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0026】
[0036] 図1Bを参照すると、放射ビームBは、支持構造体(例えばマスクテーブルMT)上に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)上に入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。放射ビームBは、マスクMAを横切って、基板Wのターゲット部分Cの上にビームを集束させる投影システムPSを通過する。基板テーブルWTは、第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば干渉計デバイス、リニアエンコーダまたは容量センサ)を用いて、例えば放射ビームBの経路内へ個別のターゲット部分Cを位置決めするように正確に移動され得る。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(図1Bには明示的に図示されていない)が、例えばマスクライブラリからの機械的検索の後、またはスキャン中に、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めするのに使用され得る。
【0027】
[0037] 一般に、マスクテーブルMTの動作は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使用して実現することができる。同様に、基板テーブルWTの動作は、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現することができる。ステッパの場合には(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTがショートストロークアクチュエータのみに接続されてよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を用いて整列され得る。図示された基板アライメントマーク(けがき線アライメントマークとして既知である)は専用ターゲット部分を占めるが、ターゲット部分の間のスペースに配置されてもよい。同様に、マスクMA上に複数のダイが与えられる状況では、マスクアライメントマークはダイ間に配置されてもよい。
【0028】
[0038] リソグラフィ装置100および100’は、以下のモードのうち少なくとも1つで使用され得る。
1.ステップモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTは基本的に静止状態に保たれ、一方、放射ビームBに与えられたパターン全体がターゲット部分Cの上に一度に投影される(すなわち単一の静止露光)。次いで、別のターゲット部分Cが露光され得るように、基板テーブルWTがX方向および/またはY方向に移動される。
2.スキャンモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTと基板テーブルWTが同期してスキャンされ、一方、放射ビームBに与えられたパターンがターゲット部分Cの上に投影される(すなわち単一の動的露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性および像反転特性によって決定され得る。
3.別のモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態に保たれ、基板テーブルWTが移動またはスキャンされ、その一方で放射ビームBに与えられたパターンがターゲット部分Cの上に投影される。パルス放射源SOが使用されてよく、プログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの各動作の後に、またはスキャン中連続した放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、本明細書で言及されたタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクなしリソグラフィに容易に適用され得る。
【0029】
[0039] 述べられている使用モードの組合せおよび/または変形、またはまったく異なる使用モードを使用することもできる。
【0030】
[0040] ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に対して本説明に特定の参照がなされてもよいが、本明細書に説明されたリソグラフィ装置が、磁気ドメインメモリ、平面パネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなど向けの集積光学システム、誘導パターンおよび検出パターンの製造など他の用途を有し得ることを理解されたい。熟練工なら、そのような代替用途の文脈では、本明細書における用語「ウェーハ」または「ダイ」のいかなる使用も、それぞれ、より一般的な用語「基板」または「ターゲット部分」と同義なものと見なすことができることを理解するであろう。本明細書で言及する基板は、露光前または露光後に、例えばトラック(一般に基板にレジストの層を与え、露出したレジストを現像するツール)、メトロロジーツールおよび/またはインスペクションツール内で処理されてもよい。適用可能であれば、本開示は、そのようなものおよび他の基板処理ツールに適用されてもよい。その上、基板は、例えば多層ICを作成するために複数回処理されてよく、そのため、本明細書に用いられる用語の基板は、既に複数の処理層を含む基板も意味することができる。
【0031】
[0041] さらなる実施形態では、リソグラフ装置100は超紫外線(EUV)源を含み、このEUV源は、EUVリソグラフィ用のEUV放射ビームを発生するように構成されている。一般に、EUV源は放射システム内に構成され(下記参照)、対応する照明システムは、EUV源のEUV放射ビームを調節するように構成される。
【0032】
[0042] 本明細書で述べられている実施形態では、文脈で許される場合、「レンズ」という用語は、屈折光学コンポーネント、反射光学コンポーネント、磁気光学コンポーネント、電磁光学コンポーネントおよび静電光学コンポーネントを始めとする様々なタイプの光学コンポーネントのうちの任意の1つまたは組合せを意味している。
【0033】
[0043] さらに、本明細書で使用する「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)放射(例えば365nm、248nm、193nm、157nmまたは126nmの波長λを有する)、および超紫外線(EUVまたは軟X線)放射(例えば5〜20nmの範囲の、例えば13.5nmの波長を有する)、または5nm未満で作用する硬X線を含むすべての種類の電磁放射、ならびにイオンビームまたは電子ビームなどの粒子ビームを包含する。一般に、約780〜3000nmの間(またはそれ以上)の波長を有する放射は、赤外線放射と考えられる。紫外線とは、波長が約100〜400nmの放射を指す。リソグラフィの範囲では、それが、水銀放電ランプで生成されるG線436nm、H線405nm、および/またはI線365nmの波長にも通常適用される。真空紫外線またはVUV(すなわち空気で吸収されるUV)とは、約100〜200nmの波長を有する放射を指す。遠紫外線(DUV)とは、一般に126nm〜428nmの範囲の波長を有する放射を指し、一実施形態では、エキシマレーザが、リソグラフィ装置内で使用されるDUV放射を発生することができる。例えば5〜20nmの範囲の波長を有する放射とは、少なくとも一部が5〜20nmの範囲にある特定の波長帯域を有する放射のことを言っていると理解されたい。
【0034】
[0044] 光学リソグラフィの解像度の改善は、ダブルパターニング技術(DPT)によって実現することができる。このダブルパターニング技術では、2つの異なるマスクによる2つの露光工程と、これら2つの露光の間の1つまたは複数の加工工程とを、各工程が最終パターンの一部を形成するように用いる。このように、結果として得られる最終フィーチャは、露光工程を1つだけ用いることに比べて、より小さくまたは高密度に製作することができる。ウェーハを2回露光し、第2のパターンが第1のパターンの間に間隙をおいて露光されることによって、露光されるフィーチャの周波数すなわち密度が2倍になる。いくつかのタイプのダブルパターニング技術が、スペーサ技術およびリソ−プロセス−リソ−エッチ技術(LPLE)を含めて存在する。リソ−プロセス−リソ−エッチ技術(LPLE)の一例には、リソ−エッチ−リソ−エッチ技術がある。リソ−プロセス−リソ−エッチ技術の別の例としては、リソ−フリーズ−リソ−エッチ(LFLE)技術がある。
【0035】
[0045] リソ−プロセス−リソ−エッチ(LPLE)技術では、第1の層の露光部をレジスト内で現像し処理、例えば「凍結」、する。次に、ウェーハを第2のレジストで被覆し、その後に第2の露光を続ける。この技術の利点は、ウェーハがリソクラスタ内に残ることである。したがって、第1の露光と第2の露光の間の時間は、最小限に短縮することができる。加えて、LPLE技術では、必要とされるエッチング工程は1つだけである。コストのかかる第2のエッチング工程がなくなり、これは、最終製品コストを低減する助けになる。
【0036】
[0046] 図2は、製品領域でのLFLEプロセスの例示的な諸工程を示す。図2Aは、複数のウェーハ層からなる初期のスタックを描いており、第1のレジスト層202が、底部反射防止膜(BARC)の層204とハードマスク層(HM)206と製品層208と基板210の最上部に堆積されている。図2Bは、第1のダブルパターニング工程(DPT1)を描いており、マスク212が第1のレジスト層202の露光に使用され、その後に露光パターンの現像が続いている。図2Cは、凍結材料の層214の被覆およびベーキングを描いている。被覆は、遠心力により材料の拡散を可能にするスピンコータまたはデバイスを含む様々な手段によって実施することができる。ベーキングは、ホットプレート、オーブンまたは他の熱源を含む様々な手段によって実施することができる。当業者には明らかになるように、被覆およびベーキング用の他のツールを使用することもできる。図2Dは、未反応の過剰な凍結材料214を除去したものを描いている。図2Eは、第2のレジスト層216の被覆を示している。図2Fは、第2のダブルパターニング工程(DPT2)を描いており、マスク218が第2のレジスト層216の露光に使用され、その後に露光パターンの現像が続いている。図2Gは、エッチング工程の後のウェーハを示す。
【0037】
[0047] 最終パターンが2つの露光工程(DPT1およびDPT2)で画定されるので、第1の露光(DPT1)に対する第2の露光(DPT2)の位置合わせは、得られる最終パターンに関して非常に重要である。すなわち、2つの露光の間(DPT1に対するDPT2)の位置合わせが重要である。LPLEプロセスが層n(ただし、ゲート層、接点層またはバックエンドオブライン(BEOL)層などでn≧2)に適用される場合、以前に加工された層の1つに由来するアライメントマークを使用するウェーハ位置合わせ方式を確立することができる。以前に加工された層を使用することは、しばしば間接位置合わせと呼ばれる。しかし、以前のアライメントマークを使用することができても、これは最適の位置合わせ方式にはなりえない。2つのダブルパターニング層の満足のいく位置合わせ(すなわちDPT1に対するDPT2の位置合わせ)には、直接位置合わせ方式が望まれる。対象となるダブルパターニング層が層#1(すなわちSTIまたは活性領域層)である場合には、利用すべき以前のアライメントマークがなく、したがって、アライメントマークは第1のDPT工程(DPT1)で、すなわち加工または「凍結」されたレジスト内で、画定されなければならない。これらの「凍結」アライメントマークは、第1のパターンと同じプロセスで形成される。この手法は、コストのかかる追加のリソグラフィプロセスおよびエッチングプロセスの各工程を必要とするので、アライメントマーク専用のいわゆるゼロ層を生成するのに好ましい。
【0038】
[0048] 図3は、アライメントマーク領域内のリソフリーズリソエッチ(LFLE)プロセスの例示的な諸工程を凍結レジストマークの形成を含めて示す。図3Aは、複数のウェーハ層からなる初期のスタックを描いており、第1のレジスト層302が、底部反射防止膜(BARC)の層304とハードマスク(HM)層306と製品層308と基板310の最上部に堆積されている。図3Bは、第1のダブルパターニング工程(DPT1)を描いており、この工程でレジストマークが第1のレジスト層302内に画定される。図3Cは、第1のレジスト層302内の第1のレジストマークの凍結(すなわち、凍結材料による被覆、ベーキング、および未反応の過剰な凍結材料の除去)を描いている。図3Dは、第2のダブルパターニング工程(DPT2)の位置合わせおよびパターニングの前の、第2のレジスト層312の被覆を示す。
【0039】
[0049] しかし、LFLEプロセスが単純であるにもかかわらず、少なくとも2つの問題が、ダブルパターニングプロセスの第1のリソグラフィ工程で画定される「凍結」レジストマークによって生じる。図4は、第1のレジスト層302と第2のレジスト層312の間のコントラストが限定される第1の問題を示す。具体的には、図4Aに示されるように、第1のレジスト層302(DPT1)内の凍結レジストマークが第2のレジスト層312(DPT2)によって平坦化される。第1のレジスト層(DPT1)および第2のレジスト層(DPT2)の各光学的特性が類似しているので、2つの層の間のコントラストが限定されて、図4Bに示されるように、アライメント信号が非常に劣化することになる。したがって、平坦化された凍結マークは一般に、位置合わせの目的に使用することができない。
【0040】
[0050] 図5は、第2の問題を示す。図5Aに示されるように、第2のレジスト層312(DPT2)は、スピンコーティングプロセス中にアライメントマークの上に非コンフォーマルの断面を形成する。結果として得られたマークトポグラフィにより、アライメントエラーが、生成されたアライメント信号に基づいた図5Bのシミュレーションに示され、様々な波長について図5Cに示されたように生じる。これは、第2のレジスト層312(DPT2)の、アライメントエラーおよびオーバーレイエラーになるマーク非対称性を生じさせるスピンコーティングによって引き起こされる。より具体的には、第2のレジスト層312(DPT2)の非対称スピンコーティングが、ウェーハ拡大(変倍)およびウェーハ回転を引き起こし、このため、ウェーハ全体にわたって、またウェーハ間で不利な相違をもたらす。
【0041】
[0051] 本発明の諸実施形態では、加工されたレジストアライメントマーク、例えば「凍結」レジストアライメントマークを、2つの工程を用いて形成することによって上記の問題に対処する。第1の工程では、マーク非対称性が生じないように、第2のレジスト層312(DPT2)のスピンコーティングの後で平坦化マーク外形を作る。第2の工程では、第2のレジスト層312(DPT2)の「ソフトベーク」工程中に、前に図5で示されたような非対称性がないマークトポグラフィを得る。第2のレジスト層312(DPT2)のソフトベーク工程中に、第2のレジスト層312(DPT2)の厚さは、溶剤蒸発およびレジスト収縮により減少する。この厚さ減少は、以下で論じるように、マークの近傍で最大になる。
【0042】
[0052] 図6は、溶剤蒸発およびレジスト収縮によるソフトベーク(塗布後ベーク(post-application bake)すなわちPAB)中のレジスト層厚の変化をモンテカルロシミュレーションした結果をグラフで提示する。ソフトベーク前のレジスト層厚が厚いほど、収縮が大きくなる。ソフトベーク前では第2のレジスト層312(DPT2)のマーク溝内の厚さは、マークのためにより厚くなっている。結果として、ソフトベーク中に生じる第2のレジスト層312(DPT2)の収縮は、より大きくなる。したがって、第2のレジスト層312(DPT2)内のマークトポグラフィが形成される。
【0043】
[0053] 図7は、対称アライメントマークを形成するプロセスを示す。図7Aは、複数のウェーハ層からなるスタックを描いており、第2のレジスト層712が第1のレジスト層702の上に堆積されている。第1のレジスト層702は、底部反射防止膜(BARC)の層704とハードマスク(HM)層706の最上部に堆積される。HM層706は、製品層708と基板710の上に堆積される。アライメントマークは、第1のレジスト層702内で加工される。加えて、アライメントマークは、第2のレジスト層712(DPT2)のスピンコーティング中に平坦化される。図7Bは、第2のレジスト層712のソフトベーク工程(PAB)を描いており、この工程では、第2のレジスト層712の溶媒蒸発および収縮効果を利用する。最後に、図7Cは、第2のレジスト層712のソフトベーク工程により得られた対称アライメントマークトポグラフィを描いている。この後、位置合わせの目的に対称アライメントマークを使用する、ダブルパターニングプロセスの第2のパターニング工程が着手される。
【0044】
[0054] 図8は、シミュレーションされたアライメント信号(WQ)と、上述のソフトベーク工程で形成された、20nmの凹部を有する対称アライメントマークのプロセス誘発アライメントエラーとを示す。このようなアライメントマークは、満足のいくアライメント信号(WQ)を生成し、プロセス誘発アライメントエラーは最小になる。図8は、これらの特性を緑(532nm)、赤(632nm)、近赤外(780nm)、および遠赤外(850nm)の範囲の様々なアライメント波長について示す。図8Aは、これらのアライメント波長について、深度の関数としてのアライメント信号(WQ)を示す。図8Bは、同じこれらのアライメント波長について、深度の関数としてのアライメントエラーを示す。図8Bで示すように、対称アライメントマークにより、アライメントエラーが各波長にわたって実質上なくなる。
【0045】
[0055] 本発明の様々な実施形態の有用性を最大限にするためには、少なくとも3つのプロセス調整を用いることができる。まず第一に、第2のレジスト層712(DPT2)の2つの加工工程(すなわち、被覆およびベーク)の調整を、溶媒含有量(ポリマー濃度)、レジスト粘度、スピンコート持続時間、スピンコーティング速度、スピン速度傾斜率、ソフトベーク持続時間および温度パラメータの選択によって実施することができる。第2のレジスト層712(DPT2)の最終厚さが変化しないようにしながら、これらのパラメータを慎重に選択すると、ソフトベークプロセス中に対称アライメントマークを形成することができる。
【0046】
[0056] 第二に、マークバイアスおよび/またはマークサブセグメント化を用いることができる。例えば、アライメントマークセグメントのサイズは、改善された平坦化により、第2のレジスト層712(DPT2)のソフトベーク中にマークトポグラフィが生成されることになるように、第1のレジスト層702(DPT1)と第2のレジスト層712(DPT2)の厚さに適合させることができる。図9は、マークバイアスの一例を示す。マークバイアスが、標準アライメントマークのデューティサイクルの変化をもたらすが、ここでデューティサイクルは、スペースサイズとピッチの比を計算することによって決定されて、一般に百分率で表される。図9Aは、50%デューティサイクルを示し、図9Bは、50%を越えるデューティサイクルを示す。アライメントマークのデューティサイクルを、対応するレジスト層厚について慎重に選択することによって、位置合わせにおけるさらなる改善を実現することができる。
【0047】
[0057] 第三に、第1のレジスト層702(DPT1)および第2のレジスト層712(DPT2)の各厚さを調整して、改善されたマークトポグラフィを第2のレジスト層712(DPT2)のソフトベーク工程で得ることができる。例えば、第2のレジスト層712(DPT2)の被覆の前に、いくつかの加工工程が第1のレジスト層702(DPT1)の最終厚さに影響を及ぼす。これらの加工工程には、第1のレジスト層702(DPT1)のベーキング、露光および現像が含まれる。これらのプロセス工程を慎重に選択することによって、アライメントマークの改善されたトポグラフィを第2のレジスト層712(DPT2)のソフトベーク中に得ることができる。
【0048】
[0058] 最後に、上記の3つのプロセス調整、すなわちマークバイアスおよび/またはサブセグメント化、第1のレジスト層702および第2のレジスト層712の調整、ならびに第2のレジスト層712(DPT2)加工工程調整は、同時に用いることができる。これらの改良を一緒に適用すると、ダブルパターニングプロセスでのマークトポグラフィのいっそう大きな改善がもたらされる。このような改善により、コストおよび時間がかかる追加の加工工程を避けながら、高いアライメント精度が得られる。
【0049】
[0059] 図10は、本発明の一実施形態による例示的な方法1000の流れ図である。例えば、方法1000を用いて、ダブルパターニングプロセスにおける位置合わせを行うことができる。例えば、方法1000は、前に図1Aおよび図1Bで示した1つまたは複数のシステムを使用して実施することができる。
【0050】
[0060] このプロセスは、工程1010から始まる。工程1010で、基板を第1のレジスト層で被覆する。工程1020で、第1のレジスト層をパターン付き放射ビームを用いて露光して、1つまたは複数の第1のアライメントマークを有する第1のリソグラフィパターンを形成し、次に現像する。パターン付き放射ビームは、例えば、図1Aおよび図1Bに示したように、放射源SOおよびマスクMAによって供給される。工程1030で、第1のリソグラフィパターンを有する第1のレジスト層を凍結する。工程1040で、凍結した第1のリソグラフィパターンを第2のレジスト層で被覆する。工程1050で、第2のレジスト層をベークして、第1のアライメントマークに基づいた1つまたは複数の第2のアライメントマークを形成する。工程1060で、1つまたは複数の第2のアライメントマークを使用して、第1の露光工程(DPT1)で露光したパターンに対する第2の露光工程(DPT2)の位置合わせをする。工程1070で、方法1000が終了する。「1つまたは複数の第2のアライメントマーク」という語は、これらのマークが第2の露光工程(DPT2)中に形成されることを意味しないことに注意されたい。そうではなく、「1つまたは複数の第2のアライメントマーク」は、第2の露光工程(DPT2)の前に形成される。
【0051】
[0061] 以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、説明されている方法以外の方法で実践することも可能であることは理解されよう。例えば、本発明の実施形態は、上で開示した方法を記述した1つまたは複数の機械読取可能命令シーケンスを含んだコンピュータプログラムの形態を取ることができ、あるいはこのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(たとえば半導体記憶装置、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態を取ることができる。さらに、機械読取可能命令は、複数のコンピュータプログラムの中で具体化することも可能である。これらの複数のコンピュータプログラムは、1つまたは複数の異なる記憶装置および/またはデータ記憶媒体に記憶させることができる。そのようなコンピュータプログラムは、上述の方法を実施するための装置と共に使用することも、その装置の一部またはすべてを制御するために使用することもできる。
【0052】
(終わりに)
[0062] 「発明を実施するための形態」のセクションは、特許請求の範囲を解釈するために用いられることが意図され、「発明の概要」および「要約」のセクションは、特許請求の範囲を解釈するために用いられることが意図されないことを理解されたい。「発明の概要」および「要約」のセクションは、本発明者(または複数の本発明者)によって企図される本発明の、1つまたは複数の、しかし全てのではない、例示の実施形態を示し得るものであり、したがって、本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる意味においても限定するようには意図されない。
【0053】
[0063] 特定の諸機能およびそれらの関係の実装形態を示す機能的構成ブロックを用いて、本発明が上記で説明されてきた。これらの機能的構成ブロックの境界は、説明に好都合なように本明細書で便宜的に定義されたものである。特定の諸機能およびそれらの関係が適切に実行される限り、代替の境界を定義することができる。
【0054】
[0064] 前述の特定の実施形態の説明により、本発明の一般的なコンセプトから逸脱することなく、不適当な実験を伴うことなく、他者が当技術の範囲内の知識を応用することによって種々の用途に対してそのような特定の実施形態を容易に修正および/または適合化することが可能となる程度まで、本発明の一般的性質が十分に明らかになろう。したがって、そのような適合化および修正は、本明細書において提示される教示および指示に基づいて、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内に含まれるように意図される。本明細書における用語または術語は、当業者が本教示および指示に照らして本明細書の用語または術語を解釈し得るように、説明するためのものであり、限定するためのものではないことを理解されたい。
【0055】
[0065] 本発明の幅および範囲は、上述の例示の実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ、規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に第1のレジスト層で第1の被覆をするステップと、
前記第1のレジスト層をパターン付き放射ビームを用いて露光するステップと、
前記露光した第1のレジスト層を現像して、1つまたは複数の第1のアライメントマークを有する第1のリソグラフィパターンを形成するステップと、
前記第1のリソグラフィパターンを凍結するステップと、
前記凍結した第1のリソグラフィパターンに第2のレジスト層で第2の被覆をするステップと、
前記第2のレジスト層を硬化させて、前記1つまたは複数の第1のアライメントマークに基づいた1つまたは複数の第2のアライメントマークを形成するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記第2のレジスト層が粘性およびポリマー特性によって特徴付けられ、前記第2の被覆をするステップがスピンコート持続時間、スピンコーティング速度、およびスピン速度傾斜率によって特徴付けられ、前記硬化させるステップが、ベーク持続時間およびベーク温度によって特徴付けられ、前記硬化させるステップが、1つまたは複数の粘性、ポリマー特性、スピンコート持続時間、スピンコーティング速度、スピン速度傾斜率、ベーク持続時間およびベーク温度の間の関係に基づいて、1つまたは複数の対称的な第2のアライメントマークを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記第2のアライメントマーク内のフィーチャサイズが、前記第1の厚さと前記第2の厚さの間の関係に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さに基づき、前記第1のアライメントマークのサブセグメント化が一部に用いられて、前記1つまたは複数の第2のアライメントマークを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記硬化させるステップが、前記第1の厚さと前記第2の厚さの間の関係に基づいて、1つまたは複数の対称的な第2のアライメントマーカを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
基板と、
前記基板を被覆する第1のレジスト層と、
前記第1のレジスト層内に形成された第1のリソグラフィパターンとを備える製造物であって、前記第1のリソグラフィパターンが、1つまたは複数の第1のアライメントマークと、
前記第1のレジスト層上の第2のレジスト層と、
前記第2のレジスト層をベークすることによって前記第2のレジスト層内に形成された1つまたは複数の第2のアライメントマークとを含み、前記1つまたは複数の第2のアライメントマークが、前記1つまたは複数の第1のアライメントマークに基づいており、前記第1のリソグラフィパターンに対する前記第2のレジスト層のリソグラフィパターニングの位置合わせをサポートするのに使用される、製造物。
【請求項7】
前記1つまたは複数の第2のアライメントマークが対称的である、請求項6に記載の製造物。
【請求項8】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記第2のアライメントマーク内のフィーチャサイズが、前記第1の厚さと前記第2の厚さの間の関係に基づく、請求項6に記載の製造物。
【請求項9】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さに基づいて、前記第1のアライメントマークのサブセグメント化が一部に用いられて、前記1つまたは複数の第2のアライメントマークを形成する、請求項6に記載の製造物。
【請求項10】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、1つまたは複数の対称的な第2のアライメントマーカが、前記第1の厚さと前記第2の厚さの間の関係に基づく、請求項6に記載の製造物。
【請求項11】
放射ビームを供給するように構成された照明源と、
前記放射ビームを受光するように配置された加工基板とを備えるリソグラフィシステムであって、前記加工基板が
基板と、
前記基板を被覆する第1のレジスト層と、
前記第1のレジスト層内に形成された、1つまたは複数の第1のアライメントマークを含む第1のリソグラフィパターンと、
前記第1のレジスト層を被覆する第2のレジスト層と、
前記第2のレジスト層をベークすることによって前記第2のレジスト層内に形成された1つまたは複数の第2のアライメントマークとを含み、前記1つまたは複数の第2のアライメントマークが、前記1つまたは複数の第1のアライメントマークに基づいており、前記第1のリソグラフィパターンに対する前記第2のレジスト層のリソグラフィパターニングの位置合わせをサポートするのに使用される、リソグラフィシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の第2のアライメントマークが対称的である、請求項11に記載のリソグラフィシステム。
【請求項13】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記第2のアライメントマーク内のフィーチャサイズが、前記第1の厚さと前記第2の厚さの間の関係に基づく、請求項11に記載のリソグラフィシステム。
【請求項14】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、前記第1の厚さおよび前記第2の厚さに基づいて、前記第1のアライメントマークのサブセグメント化が一部に用いられて、前記1つまたは複数の第2のアライメントマークを形成する、請求項11に記載のリソグラフィシステム。
【請求項15】
前記第1のレジスト層が第1の厚さによって特徴付けられ、前記第2のレジスト層が第2の厚さによって特徴付けられ、1つまたは複数の対称的な第2のアライメントマーカが、前記第1の厚さと前記第2の厚さの間の関係に基づく、請求項11に記載のリソグラフィシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−278434(P2010−278434A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−116832(P2010−116832)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【出願人】(503195263)エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. (232)
【Fターム(参考)】