説明

ダミーシールを備えた低圧水銀蒸気放電ランプ

低圧水銀蒸気放電ランプは、少なくとも2つの二重形ランプ部(1;2;3)を持ち、当該二重形ランプ部のそれぞれは第1の及び第2の管(11,21,31;12;22;32)を有する。第1の及び第2の管は、管相互接続手段(10;20;30)を介して、第1の端部分(11a,12a;21a、22a;31a,32a)で相互接続される。放電経路が、2つの電極(13;33)間の管を通じて形成される。各電極は、管(11;32)のうちの1つの第2の端部分(11b;32b)に設けられる。他の第2の端部分(12b;21b;22b;31b)は、それぞれの密封された端(12c;21c;22c;31c)を備えている。互いに隣接した二重形ランプ部(1,2;2,3)の管(12,21;22,31)を相互接続するためのブリッジ部(50;60)は、第2の端部分(12b,21b;22b,31b)の近くに設けられる。密封された端(21c)のうちの少なくとも1つは、それぞれの密封された端に直接設けられる排気管(71)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧水銀蒸気放電ランプに関する。特に、本発明はコンパクトな蛍光ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
水銀蒸気放電ランプにおいて、水銀は紫外(UV)光の(効率的な)生成のための主要な成分を構成する。ルミネセント材料を有するルミネセント層が、放電容器の内側壁に存在し、UVを他の波長に、例えば、日焼け目的(サンパネルランプ)のためにはUV−B及びUV−Aに、又は、一般照明目的のためには可視光に、変換することができる。従って、このような放電ランプは、蛍光ランプとも呼ばれる。代替的に、発生する紫外光は、殺菌ランプ(UVC)を製造するために用いられることができる。低圧水銀蒸気放電ランプの放電容器は、通常円形であり、細長くてコンパクトな実施例を有する。一般的に、コンパクトな蛍光ランプの管状放電容器は、比較的小さい直径を持つ一群の比較的短い直線部分を有し、これら直線部分は、ブリッジ部によって又は湾曲部を介して接続される。コンパクトな蛍光ランプは、通常、(一体型の)ランプキャップを備えている。一般的に、放電空間の放電を維持するための手段は、放電空間に構成される電極である。コンパクトな蛍光ランプにおいては、通常の白熱電球をコンパクトな蛍光ランプで更新することを促進するため、高さを短くする傾向がある。
【0003】
英国特許公開公報第2335538号は、低圧水銀蒸気放電ランプを製造する方法を開示する。この方法において、前もって製造された4つの二重形管は、これら二重形管が水平面において移動することができるように、少し離れて保持される。接続のための4つの部分が、同時に加熱され、二重形管のうちの2つは、同時に水平に移動してブリッジ部分を形成し、管アセンブリを生じる。更に、ブリッジ接続の後のアニ−ル及び管アセンブリのブリッジへの接続は、同時に実行される動作である。既知のコンパクトな蛍光ランプは、連続放電経路を形成するためにブリッジに接続された8つのガラス管を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の低圧水銀蒸気放電ランプの欠点は、放電経路が依然として比較的短いということである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の欠点を全体的に又は部分的に解消することを目的とする。本発明によれば、この目的のため、冒頭段落に記載された種類の低圧水銀蒸気放電ランプは、少なくとも2つの二重形ランプ部を有し、これら二重形ランプ部のそれぞれは第1の管及び第2の管を有し、前記第1の管及び前記第2の管は、管相互接続手段を介して前記各管の第1の端部分で相互接続され、2つの電極間の前記管を通じる放電経路が形成され、前記各電極は前記管のうちの1つの第2の端部分に設けられ、前記第2の端部分は前記第1の端部分の反対を向き、前記電極は前記放電ランプの最端に設けられ、前記管の他の第2の端部分が、それぞれ、密封された端を備え、互いに隣接した二重形ランプ部の管を相互接続するためのブリッジ部が、前記管の前記第2の端部分の近くに設けられ、前記密封された端のうちの少なくとも1つは、前記放電ランプの製造の間の排気及びガス供給のための排気管を備え、前記排気管は前記密封された端に直接設けられる。
【0006】
既知の低圧水銀蒸気放電ランプにおいては、電極を備えたステムが放電ランプの最端に挿入され、これにより、管を通じる放電経路を形成する。加えて、電極を持たない密封された端にも、ステムが設けられる。このようないわゆるダミーステムは、放電ランプの製造の間の排気及びガス供給のための排気管を備えている。しかし、放電ランプの管の中に突出するこれらのダミーステムの存在は、放電ランプを通じる放電経路の長さを低減する。本発明により、排気管を密封された端に直接設けることによって、ステムが避けられることができ、隣接した二重形ランプ部の管を互いに接続するためのブリッジ部が、管の他の第2の端部分の一層近くに設けられることができる。ブリッジ部が端部に一層近いので、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの管相互接続手段とブリッジ部との間の距離はより長く、放電経路の長さは増加される。
【0007】
本発明の手法によれば、増加された長さの放電経路を有する低圧水銀蒸気放電ランプが得られ、既知の放電ランプより小さい高さを有するが同じ光特性を有する低圧水銀蒸気放電ランプの製造を可能にする。
【0008】
本発明によれば、互いに隣接した二重形ランプ部の管を相互接続するためブリッジ部は、管の他の第2の端部分のより近くに設けられることができる。このために、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの好適な実施例は、排気管を備えた密封された端の付近に設けられるブリッジ部が、前記密封された端から距離dに位置し、ここでd≦10mmであることを特徴とする。
【0009】
好適には、ブリッジ部と放電ランプの密封された端との間の距離は、d≦7.5mmである。非常にコンパクトな低圧水銀蒸気放電ランプが実現されることができる。なぜなら、放電経路の長さは、相当に増加され、既知の放電ランプより小さい高さを有し、同じ光特性を有する低圧水銀蒸気放電ランプの製造を可能にするからである。
【0010】
本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの好適な実施例は、排気管が密封された部分に融合されることを特徴とする。排気管及び密封された端は、低圧水銀蒸気放電ランプの製造の間、加熱され、これにより、排気管と密封された端との間に直接接続が確立される。
【0011】
本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの好適な実施例は、二重形ランプ部のそれぞれが、電極又は排気管を備えることを特徴とする。電極は、好適には、ステム状構造の形で設けられる。排気管は、管の密封された端に直接設けられる。
【0012】
一般に、低圧水銀蒸気放電ランプの2つの実施例がある。管相互接続手段は、低圧水銀蒸気放電ランプの1つの実施例において、いわゆるブリッジ部分を有する。低圧水銀蒸気放電ランプの他の実施例において、管相互接続手段は、湾曲部を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のこれらの及び他の側面は、以下で説明される実施例を参照して説明され明らかにされる。
【0014】
図は、純粋に概略であり、縮尺通りに描かれていない。特に、幾つかの寸法は、明確さのため、大きく誇張された形で示されている。図中の類似した部品は、可能な限り同一参照番号により示されている。
【0015】
図1は、少なくとも2つの二重形ランプ部1;2;3を有する低圧水銀蒸気放電ランプを図式的に示す。二重形ランプ部1;2;3のそれぞれは、第1の管11;21;31及び第2の管12;22;32を有する。第1の管11;21;31及び第2の管12;22;32は、各管11、12;21、22;31、32の第1の端部分11a、12a;21a、22a;31a、32aで、管相互接続手段10;20;30を介して相互接続される。図1の例において、管相互接続手段10;20;30はいわゆる湾曲部を有する。図2は、図1に示される低圧水銀蒸気放電ランプの代替実施例を図式的に示す。図2の示された実施例において、管相互接続手段10;20;30はいわゆるブリッジ部分を有する。
【0016】
放電経路が、図1及び2に示される低圧水銀蒸気放電ランプの2つの電極13;33間の管11、12、21、22、31、32を通じて形成される。電極13、33のそれぞれは、第2の端部分11b;32bが、第1の端部分11a;31bとは反対を向くように、管11;32のうちの1つの第2の端部分11b;32bに設けられる。長い電極経路を得るために、電極13;33は、放電ランプの最端部に設けられる。
【0017】
図1及び2の例において、電極13;33は、端部11b;32bによって支持される。通常、電極13;33は、電子放出物質(この場合酸化バリウム物、酸化カルシウム及び酸化ストロンチウムの混合物)によってカバーされるタングステンの巻線である。それぞれの電極13;33の電流供給導体13a,13b;33a,33bは、端部11b;32bを通過して、放電ランプから外部まで出る。電流供給導体13a,13b;33a,33bは、放電ランプ中の水銀蒸気圧を調和させるため、アマルガム(図1に示されない)を備えていてもよい。
【0018】
管11、12、21、22、31、32によって形成される二重形ランプ部1;2;3は、水銀及び例えばアルゴンを有する不活性ガス混合物の充填を含む放電空間を気密に封入する。各管11、12、21、22、31、32の放電空間に面する側は、好適には保護層(図1に示されない)を備えている。各管11、12、21、22、31、32の放電空間に面する側は、加えて、ルミネセント層(図1に示されない)でコーティングされており、このルミネセント層は、励起された水銀の落下によって発生させられた紫外(UV)光を(全般的に)可視光に変換するルミネセント材料(例えば蛍光粉末)を含む。
【0019】
電極13;33を備えた第2の端部分11b;32b以外に、管12;21;22;31の他の第2の端部分12b;21b;22b;31bは、それぞれの密封された端12c;21c;22c;31cを備えている。互いに隣接した二重形ランプ部(参照番号1、2を有するもの及び参照番号2、3を有するもの)の管12、21;22、31を相互接続するためのブリッジ部50;60が、管12、21;22、31の前記第2の端部分12b、21b;22b;31bの付近に設けられる。加えて、密封された端21c;22cのうちの少なくとも1つは、放電ランプの製造の間の排気及びガス供給のための排気管71;72を備えている。排気管71;72は、密封された端21c;22cに直接設けられる。
【0020】
図1の例では、密封された端のうちのただ1つ21cが排気管71を備えており、これは、密封された端21cに直接設けられる。図2の例では、密封された端のうちの2つ21c;22cがそれぞれの排気管71;72を備えており、これらも密封された端21c;22cに直接設けられている。
【0021】
ステム状構造が、電極13;33を低圧水銀蒸気放電ランプに取り付けるために使用される。本発明によれば、ステム状構造は、排気管71;72が設けられた位置では避けられる。既知の低圧水銀蒸気放電ランプにおいては、ステムは、電極を持っていない密封された端においても設けられる。このようないわゆるダミーステムは、放電ランプの製造の間の排気及びガス供給のための排気管(「排出管」)を備えている。しかしながら、放電ランプの管の中に突出するこれらのダミーステムの存在は、放電ランプを通じる放電経路の長さを低減する。本発明によって、排気管71;72を密封された端21c;22cに直接設けることによって、ステムが避けられることができる。加えて、互いに隣接した二重形ランプ部1、2及び2、3の管12、21及び管22、31を相互接続するためのブリッジ部50;60は、それぞれ、管21;22の他の第2の端部分21b;22bに一層近く設けられることができる。ブリッジ部50;60が第2の端部分21b;22bに一層近いので、本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの管相互接続手段10;20;30とブリッジ部50;60との間の距離は、より長く、放電経路の長さは、相当に増加されることができる。
【0022】
本発明による放電ランプの製造業者が、既知の放電ランプにおけるのと同じ光特性(同じ光出力)を維持すると決定するならば、その製造業者は、放電ランプの寸法を低減することができ、特に、製造業者は低圧水銀蒸気放電ランプの高さを低減することができる。
【0023】
本発明の手段に鑑みて、互いに隣接した二重形ランプ部1,2;2、3の管12、21;22、31を相互接続するためのブリッジ部50;60は、管21;22の他の第2の端部分21b;22bに大幅により近く設けられることができる。好適には、排気管71;72を備えた密封された端21c;22cと付近に設けられたブリッジ部50;60との間の距離dは、d≦10mmである。距離dは、それぞれのブリッジ部50;60(図1及び2の破線を参照)の長手方向の軸に対して測定される。既知の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、ブリッジ部と放電ランプの密封された端との間の距離dは、10mmを大幅に上回り、通常15mmさえ上回る。好適には、距離d≦7.5mmである。
【0024】
本発明によれば、排気管71;72は、密封された部分21c;22cに融合される。図3−A、3−B及び3−Cは、本発明による放電ランプの製造のステップを図式的に示す。図3−Aにおいて、排気管71は、第2の端部分21bの密封された端21cの付近に持ってこられる(図3−Aの矢印を参照)。この第2の端部分21bは加熱され、排気管71は第2の端部分の弱められたガラスに押し入れられる(図3−Bの矢印を参照)。排気管71は密封された端21cに接触し、熱は、密封された端21cから排気管71に伝達される。排気管71の縁は、軟化して、第2の端部分21bの密封された端21cに融合する(図3−Bで図式的に示される)。次のステップとして、排気管71は、密封された端部21cが図3−Cに示される形状をとるまで、密封された端21cから引き離される(図3−Cの矢印を参照)。好適には、密封された端の「肩」のガラスの量は、低減される。
【0025】
上述の実施例は、本発明を制限するのではなく説明しているのであり、当業者は、添付の請求項の範囲から離れることなく代替の実施例を設計することができることに注意されたい。請求項において、括弧内に配置されたいかなる引用符号も当該請求項を制限するように解釈されてはならない。動詞「有する(comprise)」及びその活用形の使用は、請求項に記載された以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の前の冠詞「1つの(a又はan)」は、複数のこのような要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの個別素子を有するハードウェアにより、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実現されることができる。幾つかの手段を列挙している装置請求項において、複数のこれらの手段は、ハードウェアの全く同一のアイテムによって実現されることもできる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において記載されているという事実のみでは、これらの手段の組合せが有利に用いられることができないということを示すことにはならない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による低圧水銀蒸気放電ランプの実施例の断面図である。
【図2】図1に示す低圧水銀蒸気放電ランプの代替実施例を示す。
【図3−A】本発明による放電ランプの製造のステップを示す。
【図3−B】本発明による放電ランプの製造のステップを示す。
【図3−C】本発明による放電ランプの製造のステップを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧水銀蒸気放電ランプであって、
少なくとも2つの二重形ランプ部を有し、これら二重形ランプ部のそれぞれは第1の管及び第2の管を有し、
前記第1の管及び前記第2の管は、管相互接続手段を介して前記各管の第1の端部分で相互接続され、
2つの電極間の前記管を通じる放電経路が形成され、前記各電極は前記管のうちの1つの第2の端部分に設けられ、前記第2の端部分は前記第1の端部分の反対を向き、前記電極は前記放電ランプの最端に設けられ、
前記管の他の第2の端部分が、それぞれ、密封された端を備え、
互いに隣接した二重形ランプ部の管を相互接続するためのブリッジ部が、前記管の前記第2の端部分の近くに設けられ、
前記密封された端のうちの少なくとも1つは、前記放電ランプの製造の間の排気及びガス供給のための排気管を備え、
前記排気管は前記密封された端に直接設けられる、
低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記排気管を備えた前記密封された端の付近に設けられる前記ブリッジ部は、前記密封された端から距離dに位置し、d≦10mmであることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項3】
請求項2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記距離d≦7.5mmであることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記排気管は前記密封された部分に融合されることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記二重形ランプ部のそれぞれは、電極又は排気管を備えることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の低圧水銀蒸気放電ランプにおいて、前記管相互接続手段はブリッジ部分又は湾曲部であることを特徴とする低圧水銀蒸気放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−527472(P2006−527472A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516624(P2006−516624)
【出願日】平成16年5月28日(2004.5.28)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050801
【国際公開番号】WO2004/109744
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】