ダンパ
【課題】コンパクトなペダルユニットを実現可能で、かつ、ペダルユニットに容易に後付け可能なダンパを提供する。
【解決手段】ダンパ1は、軸心O1周り方向の相対的な回転により互いの傾斜カム面4132、5211同士をすべり接触させる一対のカム(スライドカム4、固定カム5)、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てるコイルスプリング3、これらの部品3〜5を収容するケース2、ケース2の外周面211から離れた位置で保持された金属製のシャフト7Aと、シャフト7Aに回転可能に挿入された樹脂製のローラ8等、を備えている。スライドカム4の軸心O1周りの回転運動がケース2に拘束されているため、スライドカム2は、ケース2の軸心O1周り方向の回転とともに、固定カム5に対してO1周り方向に相対的に回転する。
【解決手段】ダンパ1は、軸心O1周り方向の相対的な回転により互いの傾斜カム面4132、5211同士をすべり接触させる一対のカム(スライドカム4、固定カム5)、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てるコイルスプリング3、これらの部品3〜5を収容するケース2、ケース2の外周面211から離れた位置で保持された金属製のシャフト7Aと、シャフト7Aに回転可能に挿入された樹脂製のローラ8等、を備えている。スライドカム4の軸心O1周りの回転運動がケース2に拘束されているため、スライドカム2は、ケース2の軸心O1周り方向の回転とともに、固定カム5に対してO1周り方向に相対的に回転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より自然なペダル操作感を与えるダンパに係り、特に、既製のペダルユニットにも容易に取り付け可能なダンパの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対のカムを含むダンパのヒステリシス特性を利用して、アクセルペダルの踏み込みに適度な負荷を与えてアクセルペダルの踏み込みすぎを防止するとともに、アクセルペダルをほぼ一定の位置に保持しているときのドライバーの足にかかる負担を低減するアクセルペダルユニットが記載されている。
【0003】
このアクセルペダルユニットにおいては、アクセルペダルアームの回転が、リンク部材等からなる伝達機構を介してダンパの回転軸に伝達され、これにより、アクセルペダルアームの双方向の回転が制動される。具体的には、リンク部材の回転によりダンパの回転軸が回転するように、リンク部材の一端がダンパの回転軸が固定される。一方、アクセルペダルアームには、アクセルペダルアームの回転軸を挟んでアクセルペダルの反対側の端部に係合部材が固定され、この係合部材がリンク部材にスライド可能に保持される。これにより、アクセルペダルアームが回転すると、リンク部材を介して、アクセルペダルの回転方向に応じた回転方向にダンパの回転軸が回転し、ダンパのヒステリシス特性により、アクセルペダルの踏み込み時には適度な負荷が与えられ、アクセルペダルの復帰時には負荷が軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−12052号公報、図13〜図18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アクセルペダルユニット、ブレーキペダルユニット等の既製のペダルユニットについてもダンパを後付けしたいとの要求が生じることがある。しかし、既製のペダルユニットについては、スペース上または構造上の制約からダンパを後付することが困難であることが多い。例えば、既存のペダルユニットのペダルアームにおいてペダルと反対側の端部がペダルアームの回転軸の位置から十分延長されていない等、特許文献1に記載の伝達機構を取り付けるための手段が既存のペダルユニットのペダルアームに設けられていない場合には、特許文献1に記載のアクセルペダルユニットと同様な構造によりダンパを後付けすることが困難である。
【0006】
また、特許文献1に記載のアクセルペダルユニットのダンパを取り付ける場合、ダンパの回転軸とアクセルペダルアームとにリンク部材等の伝達機構を連結する必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存のペダルユニットに容易に取付け可能なダンパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明においては、ダンパのケースに、このケースを軸心周り方向に回転させる方向の力を受ける突出部を設ける。そして、このケースに収容された、軸心周り方向の相対的な回転によりトルクを発生する一対の部材のうち、一方の部材が、ケースの軸心周り方向の回転に連動して、他方の部材に対して軸心周り方向に相対的に回転するようにする。
【0009】
例えば、本発明は、軸心周り方向のトルクを発生させるダンパであって、
前記軸心周り方向に相対的に回転して、前記軸心周り方向にトルクを発生させる一対の部材を有するトルク発生機構と、
前記トルク発生機構が収容されたケースと、を備え、
前記ケースの外周面には、前記軸心周り方向に当該ケースを回転させる方向の力を受けるための突出部が設けられ、
前記一対の部材は、
一方の部材が、前記ケースの前記軸心周り方向の回転に連動して、他方の部材に対して前記軸心周り方向に相対的に回転する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ダンパのケースの外周面に、ダンパのケースを軸心周り方向に回転させる力を受けるための突出部が設けられているため、このダンパをペダルアームの下部側(ペダルアームを踏み込む方向側)に配置し、突出部と接触するジグをペダルアームの下面に取り付けることにより、既存のペダルアームユニットにダンパを容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るダンパ1の部品展開図である。
【図2】図2(A)および(B)は、初期状態(ブレーキペダルの踏み込み無しの状態)におけるダンパ1の左側面図および右側面図であり、図2(C)は、図2(A)のA−A断面図である。
【図3】図3(A)および(B)は、ケース2の左側面図および右側面図であり、図3(C)は、図3(A)のB−B断面図である。
【図4】図4(A)は、シャフト7Aの正面図であり、図4(B)および(C)は、ローラ8の正面図および側面図であり、図4(D)は、図4(B)のC−C断面図である。
【図5】図5(A)および(B)は、カバー6の正面図および背面図であり、図5(C)は、図5(A)のD−D断面図である。
【図6】図6(A)、(B)および(C)は、固定カム5の正面図、左側面図および右側面図であり、図6(D)は、図6(C)のE−E断面図であり、図6(E)は、ピッチ円523上におけるカム面521の輪郭形状を模式的に示した図である。
【図7】図7(A)、(B)および(C)は、スライドカム4の正面図、背面図および下面図であり、図7(D)は、図7(A)のF−F断面図であり、図7(E)は、ピッチ円414上におけるカム面413の輪郭形状を模式的に示した図である。
【図8】図8(A)は、本発明の他の実施の形態に係る固定カム5の右側面図であり、図8(B)は、コイルスプリング3の正面図である。
【図9】図9は、ブレーキペダルユニット12へのダンパ1の取付け構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
まず、本実施の形態に係るダンパ1の構造について説明する。なお、ここでは、自動車のブレーキペダルユニット12への後付けに適したダンパを例に挙げる。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係るダンパ1の部品展開図、図2(A)および(B)は、初期状態(ブレーキペダルの踏み込み無しの状態)におけるダンパ1の左側面図および右側面図、そして、図2(C)は、図2(A)のA−A断面図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係るダンパ1は、相対的な回転により互いの傾斜カム面4132、5211同士をすべり接触させる一対のカム(スライドカム4、固定カム5)と、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てる方向にスライドカム4を付勢するコイルスプリング3と、これらの部品3〜5を収容するケース2と、ケース2を封止する円板形のカバー6と、軸心O1周りの方向にケース2を回転させる方向の力を受けるための、ケース2の外周面211に設けられた突出部7と、を備えている。本実施の形態に係るダンパ1は、突出部7として、ケース2(ケース本体21)の外周面211から離れた位置で保持された金属製のシャフト7Aを備えており、さらに、シャフト7Aに回転可能に挿入された樹脂製のローラ8と、シャフト7Aに沿ったローラ8の移動を阻止する2本のフランジブッシュ10と、シャフト7Aを固定するためのEリング等の止め輪9と、を備えている。
【0016】
カバー6で封止されたケース2内において、スライドカム4および固定カム5は、共通の軸O1周りで互いのカム面413、521がかみ合うようにはめ合わされており、コイルスプリング3は、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てるように、スライドカム4の裏面(カム面413の反対側の面)とケース2の底面215との間に配置されている。ダンパ1の初期状態においては、スライドカム4の傾斜カム面4132が、コイルスプリング3の付勢によって、固定カム5の傾斜カム面5211に対して所定の位置(初期位置)に配置されるように、コイルスプリング3がプリロードされている。
【0017】
ここで、外部のダンパ固定シャフト11への連結により固定カム5の軸心O1周り方向の回転運動を拘束し、さらに、スライドカム4を軸心O1周りの所定の一方向αに回転させると、スライドカム4は、傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211上でスライドさせながら、固定カム5のカムガイド部51に沿って、固定カム5から遠ざかる方向に移動する。この間、コイルスプリング3はさらに圧縮され、スライドカム4の傾斜カム面4132が固定カム5の傾斜カム面5211により強く押し付けられて、両者間の摩擦抵抗が徐々に増大する。このため、スライドカム4の軸心O1周りの回転角度の増加とともに、スライドカム4に軸心O1周り方向γのトルクが徐々に増大する。
【0018】
ここで、スライドカム4の回転を一旦停止させると、スライドカム4の傾斜カム面4132が固定カム5の傾斜カム面5211上で静止する。このとき、コイルスプリング3が伸長しようとするのを防ぐ方向に摩擦抵抗が生じて、スライドカム4の軸心O1周り方向γのトルクが急激に減少する。
【0019】
さらに、スライドカム4を上記所定の一方向αの逆方向βに回転させると、スライドカム4は、傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211上でスライドさせながら、固定カム5のカムガイド部51に沿って、固定カム5の傾斜カム面5211に対する初期位置に向かって移動する。この間、コイルスプリング3が徐々に復帰してゆき、スライドカム4の傾斜カム面4132と固定カム5の傾斜カム面5211との間等の摩擦抵抗が徐々に減少する。このため、スライドカム4の軸心O1周りの回転角度の減少とともに、スライドカム4の軸心O1周り方向のトルクが徐々に減少する。
【0020】
このようなダンパ1は、ブレーキペダル124(図9参照)の踏み込みに適度な負荷を与えるとともに、ブレーキペダル124を一定の位置に保持している間の負荷を低減するヒステリシス発生機構(ヒスユニット)としての利用に適したヒステリシス特性を有しており、ブレーキペダルユニット12に取り付けた場合、自然なブレーキ力を発生させつつ、自然なペダル操作感を実現することができる。
【0021】
つぎに、ダンパ1を構成する部品2〜10について説明する。
【0022】
図3(A)および(B)は、ケース2の左側面図および右側面図であり、図3(C)は、図3(A)のB−B断面図である。
【0023】
図示するように、ケース2は、底付き円筒形状のケース本体21と、ケース本体21の外周面211から離れた位置でシャフト7Aを保持する2本のアーム部22と、を備えている。
【0024】
ケース本体21の開口部216にはカバー6が装着される。この開口部216の内周面には、カバー6の外周面61のネジ部62が締結されるネジ部217が形成されている。このネジ部217とカバー6の外周面61のネジ部62との締結により、カバー6は、ケース本体21内部に収容されたコイルスプリング3をプリロードしながら、ケース本体21の開口部216にはめ込まれる。また、ケース本体21の縁部には、開口部21に装着されたカバー6を固定するための複数の溶着用凹部218が、ケース本体21の軸心O1周りにほぼ等角度間隔で形成されている。
【0025】
ケース本体21の底面215の中央領域には、ケース本体21の軸心O1が通過する貫通穴214と、この貫通穴214の外周を囲む環状のスプリングガイド部219と、が形成されている。スプリングガイド部219は、ケース本体21内に挿入されたコイルスプリング3内にはめこまれ、コイルスプリング3の一方の端部31の位置を固定する。また、ダンパ1の組立て後、ブレーキペダルユニット12のブラケットに固定されたダンパ固定用シャフト11(図9参照)は、カバー6の貫通穴67から挿入され、固定カム5およびコイルスプリング3の内部を通過して、この貫通穴214からケース本体21の外部に突き出す。なお、ダンパ固定用シャフト11の抜け止めには、例えば止め輪等で用いられる。
【0026】
ケース本体21の内周面212には、ケース本体21の軸心O1方向に沿って3本の溝213が、ケース本体21の軸心O1周りにほぼ等角度の間隔で形成されている。これらの溝213の一端はケース本体21の開口部216周りの端面側に抜けており、スライドカム4がケース本体21の開口部216から挿入される際、これらの溝213内にスライドカム4の凸部42がスライド可能に挿入される。これにより、ケース2に対するスライドカム4の回転が拘束されるため、スライドカム4は、ケース2の回転とともにケース本体21の軸心O1周り方向に回転する。
【0027】
なお、本実施の形態ではケース本体21の内周面212に3本の溝213が等角度間隔で形成されているが、溝213の本数およびレイアウトは、使用するスライドカム4の凸部42の個数およびレイアウトに合わせて決定される。
【0028】
2本のアーム部22は、ケース本体21の軸心O1方向に並んで、ケース本体21の外周面211に一体的に形成されている。これらのアーム部22には、シャフト7Aが挿入される穴として、ケース本体21の外周面211から所定の高さH1の位置で対向する貫通穴221が形成されている。これらの貫通穴221により、シャフト7Aは、ケース本体21の軸心O1方向に沿って、ケース本体21の外周面211から所定の高さH1の位置で保持される。なお、後述するように、シャフト7Aが保持される高さH1は、シャフト7Aに挿入されたローラ8の外周面81がケース本体21の外周面211に接触しないように、ローラ8の半径よりも大きな寸法とされている。
【0029】
図4(A)は、シャフト7Aの正面図である。
【0030】
シャフト7Aは、ケース2の2本のアーム部22の外側面222(対向する内側面223の反対側の面)の間隔L1よりも長く、このため、2本のアーム部22の貫通穴221に挿入されたとき、その両端部71が2本のアーム部22の貫通穴221から外側面222側に突き出す。シャフト7Aの両端部71には周方向に溝72が形成されており、2つの止め輪9は、それぞれ、これらの溝72にはめ込まれて、2本のアーム部22の貫通穴221からのシャフト7Aの抜落を防止する。なお、本実施の形態においては、シャフト7Aの抜落防止用に止め輪9を用いているが、止め輪9の代わりに、例えばブッシュナット等の、シャフト7Aの抜落を防止する他の部品を用いてもよい。
【0031】
また、シャフト7Aの外周面には、ケース2の2本のアーム部22の内側面222の間に位置するノッチ73が形成されている。これにより、シャフト7Aには、断面積の小さな脆弱部が形成される。このノッチ73の寸法は、シャフト7Aが、予め定めた大きさの力を加えられたときに、このノッチ73において破断するように定められている。このような脆弱部をシャフト7Aに設けることによって、例えば、傾斜カム面4132、5211等の固着によりダンパ1の回転に不具合が生じたときであっても、ドライバーがブレーキペダル124を所定の大きさ以上の力で踏み込めば、シャフト7Aが、ブレーキペダルアーム125のジグ122およびローラ8を介して受ける力によって脆弱部であるノッチ73で破断するため、ブレーキペダルアーム125がブレーキペダル124の踏み込み方向に回転可能となる。このようなフェイルセーフが講じられているため、ダンパ1の回転に不具合が生じたときであっても、ドライバーは、ブレーキペダル124を踏み込むことができる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、シャフト7Aに脆弱部(ノッチ73)を形成しているが、2本のアーム部22の外側面223および内側面222等にノッチ等の脆弱部を形成しておき、アーム部22が、予め定めた大きさの力が加えられたときに、この脆弱部で破断するようにしてもよい。例えば、傾斜カム面4132、5211等の固着によりダンパ1の回転に不具合が生じても、このような脆弱部がアーム部22に設けられていれば、ドライバーがブレーキペダル124を所定の大きさ以上の力で踏み込むことにより、シャフト7Aを保持するアーム部22が、ブレーキペダルアーム125のジグ122からシャフト7Aを介して受ける力によって脆弱部で破断する。または、ダンパ固定用シャフト11にノッチ等の脆弱部を形成しておき、ダンパ固定用シャフト11が、予め定めた大きさの力で捩られたときに、この脆弱部で破断するようにしてもよい。例えば、傾斜カム面4132、5211等の固着によりダンパ1の回転に不具合が生じても、このような脆弱部がダンパ固定用シャフト11に設けられていれば、ドライバーがブレーキペダル124を所定の大きさ以上の力で踏み込めば、ダンパ固定用シャフト11の脆弱部が捩りで破断する。いずれの場合も、ダンパ固定用シャフト11に対してカバー6が回転自在となり、ドライバーは、ブレーキペダル124を踏み込むことができる。
【0033】
図4(B)および(C)は、ローラ8の正面図および側面図であり、図4(D)は、図4(B)のC−C断面図である。
【0034】
ローラ8は、シャフト7Aの外径R3よりも大きな内径r2を有する円筒形状を有している。シャフト7Aは、ローラ8内に挿入され、ローラ8を回転可能に保持する。この状態において、ローラ8は、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122と外周面81とのころがり接触によってシャフト7A周りに回転する。このように、ローラ8の外周面81が、ブレーキペダルアーム125に取り付けられるジグ122ところがり接触するため、異音発生防止のためにローラ8が樹脂で形成されていても、ローラ8の片減りによるガタの発生を防止することができる。
【0035】
ここで、ローラ8の半径(外径R2の1/2)は、アーム部22の貫通穴221の軸心O1からアーム部22の先端部224までの距離H2よりも大きく、かつ、アーム22の貫通穴221の軸心O1からケース本体21の外周面211までの距離H1よりも小さな寸法とされている。これにより、ローラ8の外周面81がアーム部22の先端部224から突き出るため(図2(C)参照)、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122とローラ8の外周面81とのころがり接触がアーム部22の先端部224によって妨げられず、また、シャフト7Aに保持されたローラ8の外周面81がケース本体21の外周面211に接触しないため(図2(C)参照)、ローラ8が、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122と外周面81のころがり接触によってスムーズに回転する。ローラ8の厚さtは、例えば、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられるジグ122の形状寸法に応じて定めればよい。
【0036】
なお、本実施の形態では、ケース本体21の外周面211からローラ8の外周面81を浮かせているが、ケース本体21の外周面211にローラ8の外周面81を接触させることにより、ケース本体21の外周面211とローラ8の外周面81との摩擦抵抗もダンパの制動力として利用してもよい。
【0037】
2本のフランジブッシュ10は、図2(C)に示したように、ローラ8とアーム部22との間隔S1に応じた長さの円筒部101と、円筒部101の一方の端部の外周面からはり出した円板状のフランジ102と、を備えている。円筒部101は、その内側にシャフト7Aを挿入できるように、シャフト7Aの外径R3よりも大きな内径を有するとともに、アーム部22の貫通穴221から抜け落ちないように、アーム部22の貫通穴221の内径r1よりも大きな外径を有している。そして、一方のフランジブッシュ10は、ローラ8の一方の側面82側にフランジ102を向けた状態でシャフト7Aが円筒部101内に挿入され、一方のアーム部22の内側面223とローラ8の一方の側面82とに間に配置される。他方のフランジブッシュ10は、ローラ8の他方の側面82側にフランジ102を向けた状態でシャフト7Aが円筒部101内に挿入され、他方のアーム部22の内側面223とローラ8の他方の側面82とに間に配置される。これにより、シャフト7A上において、ローラ8は、両側のフランジブッシュ10のフランジ102によって、シャフト7Aに沿った移動が阻止される。また、各フランジブッシュ10のフランジ102の外径R1は、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122とローラ8の外周面81との接触を妨げないように、ローラ8の外径R2よりも小さくなっている。
【0038】
図5(A)および(B)は、カバー6の正面図および背面図であり、図5(C)は、図5(A)のD−D断面図である。
【0039】
カバー6の外周面61には、ケース本体21の開口部216に形成されたネジ部217に締結されるネジ部62が形成されている。カバー6の一方の面(ケース本体21の外側に向けられる表面)64には、ケース本体21に対してカバー6を回転させる工具を挿入するための六角穴63が形成され、カバー6の他方の面(ケース本体21の内側に向けられる裏面)65には、固定カム5の底面54が接触する座面66が形成されている。カバー6の外周面61に形成されているネジ部62がケース本体21の開口部216に形成されているネジ部217に締結されることにより、固定カム5の底面54がカバー6の座面66によって押圧される。これにより、固定カム5およびスライドカム4がケース本体21内の初期位置まで押し込まれ、ケース本体21の底面215とスライドカム4との間のコイルスプリング3がプリロードされる。
【0040】
また、カバー6の中央領域には、ダンパ固定用シャフト11の外径よりも大きな内径r3を有する貫通穴67が形成されている。組み立てられたダンパ1において、ケース本体21の軸心O1は、この貫通穴67から、固定カム5の内部を介して、ケース本体21の底面215の貫通穴214を通過する(図2(C)参照)。ダンパ固定用シャフト11は、この貫通穴67から、固定カム5内を介してケース本体21の底面215の貫通穴214へと挿入される。
【0041】
図6(A)、(B)および(C)は、固定カム5の正面図、左側面図および右側面図であり、図6(D)は、図6(C)のE−E断面図であり、図6(E)は、ピッチ円523上におけるカム面521の輪郭形状を模式的に示した図である。
【0042】
図示するように、固定カム5は、小径部51と大径部52とが一体的に形成された段付き円筒形状を有している。小径部51は、スライドカム4の内径ガイドとしてスライドカム4内に挿入されるカムガイド部51であり、大径部52は、スライドカム4の傾斜カム面4132がスライドする傾斜カム面5211を有するカム部52である。
【0043】
前述したように、固定カム5の内部には、カバー6の貫通穴67を通過したダンパ固定用シャフト11が、一方の端面54側から他方の端面55側に挿入される。固定カム5の内周面53には、対向する平面531が形成され、ダンパ固定用シャフト11の先端側の外周面は、これら二平面531の間隔S2に応じた二面幅で二面取りされている。このため、固定カム5内にダンパ固定用シャフト11を挿入することによって、ダンパ固定用シャフト11に対する固定カム5の回転が阻止される。
【0044】
本実施の形態では、ダンパ固定用シャフト11と固定カム5との相対的な回転を阻止するため、ダンパ固定用シャフト11の先端部の外周面を二面取りし、固定カム5の内周面53に、対向する平面531を形成しているが、かならずしも、このようにする必要はない。ダンパ固定用シャフト11の先端部の外周面および固定カム5の内周面に、互いに干渉する面が含まれていればよい。例えば、ダンパ固定用シャフト11の先端部の断面形状および固定カム5の内周の輪郭形状が、ともに多角形であってもよい。また、図8(A)に示すように、ダンパ固定用シャフト11に1箇所以上の凹部111を形成し、この凹部111にはめこまれる凸部532を固定カム5の内周面53に形成してもよい。この場合、予め定めた大きさの力がブレーキペダルアーム125のジグ122からローラ8に加えられたときに、固定カム5の内周面53の凸部532がダンパ固定用シャフト11からの力によって破断するようにしておけば、固定カム5の内周面53の凸部532およびダンパ固定用シャフト11の凹部111を、固定カム5の回り止め機構としてだけなく、フェイルセーフ機構としても機能させることができる。
【0045】
カム部52のカム面521(カムガイド部51側の面)は、軸心O1周りのピッチ円523上で、軸心O1方向に凹凸を周期的に繰り返す。具体的には、このカム面521は、軸心O1周りにほぼ等角度間隔で、ピッチ円523に対して所定の角度θで傾斜した3か所の傾斜カム面5211が形成され、隣り合う傾斜カム面5211の間に、それぞれ、スライドカム4の傾斜カム面4132の初期位置を定める段差面5212が形成されている。
【0046】
図7(A)、(B)および(C)は、スライドカム4の正面図、背面図および側面図であり、図7(D)は、図7(A)のF−F断面図であり、図7(E)は、ピッチ円414上におけるカム面413の輪郭形状を模式的に示した図である。
【0047】
スライドカム4は、固定カム5のカムガイド部51がスライド可能に挿入される円筒形のカム部41と、カム部41の軸心O1に沿ってカム部41の外周面411に形成された凸部42と、を備えている。
【0048】
カム部41の内周には、カム部41の一方の端面(底面)412側に大径部4151を有する段付き穴415が形成されている。この大径部4151は、コイルスプリング3の一方の端部31を受けるガイド穴である。
【0049】
カム部41のカム面(他方の端面)413は、軸心O1周りのピッチ円414上で、軸心O1方向に凹凸を周期的に繰り返す。具体的には、このカム面413には、軸心O1周りにほぼ等角度間隔で、ピッチ円414に対して所定の角度θで傾斜した3か所の傾斜カム面4132が形成され、また、傾斜カム面4132毎に、傾斜カム面4132に続いて平坦面4134が形成され、さらに、固定カム5のカム面521内の段差面5212に接触する段差面4131が形成されている。
【0050】
カム部41のカム面413と固定カム5のカム面521とを向かい合わせた状態でカム部41の内部に固定カム5のカムガイド部51を挿入すると、固定カム5のカムガイド部51の先端55がカム部41の底面412側から突き出す。カム部41の底面412側から突き出したカムガイド部51にコイルスプリング3を挿入し、コイルスプリング3の一方の端部31をカム部41のスプリングガイド穴4151に収容する。このようにして組み立てられたコイルスプリング3、スライドカム4および固定カム5を、カムスライド4の凸部42をケース本体21の溝213に位置合わせしてから、コイルスプリング3の他方の端部32からケース本体21の開口部216に収容する。この状態で、ケース本体21の開口部216にカバー6がねじ込まれると、ケース本体21の底面215とカムスライド4のガイド穴4151の底面41511との間でコイルスプリング3がプリロードされる。これにより、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てる方向にスライドカム4が付勢され、それに伴うスライドカム4の回転により、スライドカム4のカム面413内の各段差面4131と固定カム5のカム面521内の段差面5212とが接触する。この位置が、固定カム5の傾斜カム面5211に対する傾斜カム面4132の初期位置を示す。
【0051】
図8(B)は、コイルスプリング3の正面図である。
【0052】
ケース本体21内において、コイルスプリング3の一方の端部31はスライドカム4のスプリングガイド穴4151の底面41511に接触し、他方の端部32はケース本体21の底面215に接触する(図2(C)参照)。このときのコイルスプリング3の両端部31、32の据わりをよくするため、図示するように、コイルスプリング3の両端部31、32は、研磨加工が施されたクローズドエンドとなっている。
【0053】
コイルスプリング3の自由長さL0は、ケース本体21の底面215からスライドカム4のスプリングガイド穴4151の底面41511までの距離よりも長い。このため、ブレーキペダルアーム125の初期位置において、コイルスプリング3は、ケース本体21の底面215とスライドカム4のスプリングガイド穴4151の底面41511とによってプリロードされている。
【0054】
つぎに、ブレーキペダルユニット12へのダンパ1の取付け構造について説明する
図9に、ブレーキペダルユニット12へのダンパ1の取付け構造を示す。
【0055】
ブレーキペダルユニット12のブレーキペダルアーム125は、ブレーキペダル124が踏み込まれると、回転軸121を支点として回転する。ブレーキペダル124の下面123には金属製のジグ122が取り付けられる。
【0056】
また、ブレーキペダルユニット12が固定されるブラケット(本実施形態では図示せず)には、ブレーキペダルアーム125の回転軸121とほぼ平行なダンパ固定用シャフト11が、ブレーキペダルアーム125の下部側に位置するように、ブレーキペダルアーム125の回転軸121の取付け位置から所定の間隔をおいて固定される。このダンパ固定用シャフト11が、ケース本体21内部の固定カム5の内部を通過するように、ケース6の貫通穴67からケース本体21の底面215に向けて挿入される。固定カム5の内周面53には、対向する平面531が形成され、ダンパ固定用シャフト11の先端側の外周面は、これら二平面531の間隔S2に応じた二面幅で二面取りされている。これにより、固定カム5の回転がダンパ固定用シャフト11に拘束され、ダンパ固定用シャフト11に対する固定カム5の回転が阻止される。
【0057】
このような配置により、ブレーキペダル124の踏み込みによりブレーキペダルアーム125が回転軸121周りの所定の一方向σに回転すると、ブレーキペダルアーム125の下面123のジグ122が、ローラ8の外周面81ところがり接触しながら、ローラ8を介して、シャフト7Aに、ケース本体21をダンパ固定用シャフト11周りの所定の一方向αに回転させる力を与える。これにより、ダンパ1のケース本体21がダンパ固定用シャフト11周りの所定の一方向αに回転する。一方、ブレーキペダル124が踏み込みから解放されると、スプリングコイル3の復元力により、ダンパ1のケース本体21がダンパ固定用シャフト11周りに、上記所定の方向αの逆方向βに回転し、ローラ8が、外周面81をブレーキペダルアーム125の下面123のジグ122ところがり接触させながら、ブレーキペダルアーム125を、上記所定の一方向σの逆方向ξに回転させる力を与える。
【0058】
このように、本実施の形態に係るダンパ1においては、スライドカム4の軸心O1周り方向の回転運動がケース本体21に拘束され、ケース本体21の外周面21に、ケース本体21を軸心O1周り方向に回転させるための力を外部から受けるシャフト7Aが設けられている。このため、ブレーキペダルアーム125の下面123にジグ122を固定しておけば、ブレーキペダルアーム125の揺動中に、このジグ122によりシャフト7Aが押される位置にダンパ1を取り付けることができる。すなわち、ダンパ1の軸心を、ブレーキペダルアーム125の回転軸からずらしてブレーキペダルアーム125の下部側におくことができるため、比較的スペースに余裕のあるブレーキペダルアーム125の下部空間にダンパ1を取り付けることができる。また、ブレーキペダルアーム125の下面123におけるジグ122の固定位置を調整すれば、ダンパ1の配置位置を柔軟に変更することができる。このように、ダンパ1の配置位置の自由度が高いため、既存のブレーキペダルユニット12への後付けに際してのスペース上の制約が少ない。
【0059】
また、本実施の形態に係るダンパ1は、ブレーキペダルアーム125の下面123に、シャフト7Aを押しながらローラ8の外周面81ところがり接触するジグ122を取り付ければ、どのようなタイプのブレーキペダルアーム125にも適応可能であるため、ブレーキペダルアーム125の形状を選ばない。また、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けるジグ122の形状を変えることによってダンパ1の回転範囲を調整することができるので、軸周りのトルクを簡単に調整することができる。このため、既存のブレーキペダルユニット12への後付けに汎用的に用いることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係るダンパ1は、不図示のブラケットに固定したダンパ固定用シャフト11への挿入によって取り付けることができ、ブレーキペダルアーム125にリンク部材等を連結する必要がない。このため、より簡単な操作で取り付けることができる。
【0061】
また、ケース本体2の外周にアーム部22が設けられているため、ケース本体22がコンパクトなままでも、アーム部22によって、ケース本体2の軸心O1からより離れた位置にシャフト7Aを保持することができるため、より小さな力でケース本体22を回転させることができる。このため、本実施の形態に係るダンパ1は、コンパクトでありながら、自然なブレーキ力を発生させつつ、自然なペダル操作感を実現することができる。
【0062】
なお、このような効果は、既存のブレーキペダルユニット12への後付けの場合だけでなく、ブレーキペダルユニット12内に組み込まれている場合にも達成される。
【0063】
以上、本実施の形態においては、自動車のブレーキペダルユニット12への後付けに適したダンパ1を例に挙げていたが、本発明は、自動車のアクセルペダルユニットに後付けされるダンパ、楽器、ゲーム機等のペダルユニットに後付けされるダンパとしても適用可能である。ただし、自動車のアクセルペダルユニットに後付けされるダンパに適用する場合には、上述の場合と異なり、例えば、アクセルペダルの踏み込み中にブレーキペダルも踏み込まれたとき等に、アクセルペダルアームを初期位置に復帰させるフェイルセーフ機構を採用する。
【0064】
また、本実施の形態においては、相対的に回転する一対のカム4、5の傾斜カム面4132、5211間等の摩擦抵抗を利用して回転を制動するダンパ1への適用例を挙げたが、本発明は、相対的に回転する部材を利用して回転を制動するダンパに広く適用可能である。この場合、カバー6に対する一方の部材の回転を拘束することによって、カバー6の回転とともに一方の部材が、他方の部材に対して回転するようにすればよい。
【0065】
また、本実施の形態においては、金属製のシャフト7Aに樹脂製のローラ8を回転可能に挿入しているが、金属製のシャフト7Aに樹脂製のローラ8を固定し、このシャフト7Aをケース2のアーム部22に回転可能に保持させてもよい。また、金属製のシャフト7Aおよび樹脂製のローラ8に代えて、樹脂製のシャフトをケース2のアーム部22に回転可能に保持させ、この樹脂製のシャフトの外周面に、ブレーキペダルアーム125の下面123に装着される金属製のジグ122を接触させてもよい。この場合、樹脂製のシャフトには、ジグ122を接触させるための大径部を設けてもよい。また、ブレーキペダルアーム125の下面123に装着されるジグ122が樹脂製または樹脂コーティングされている場合には、樹脂製のローラ8を用いずに、回転可能に保持された金属製のシャフト7Aの外周面にジグ122を直接接触させてもよいし、樹脂製のローラ8の代わりにボールベアリングをシャフト7Aに取付け、ボールベアリングをジグ122に接触させてもよい。
【0066】
また、本実施の形態においては、ケース2が、突出部7として、ケース2を回転させる方向の力を受けるためのシャフト7Aを保持しているが、必ずしも、このようにする必要はない。ケース2は、シャフト7Aに限らず、外周面211から離れた位置で、ケースを回転させる方向の力を受ける突出部7を有していればよく、例えば、それは、ケース2に一体成形等により配された突起部、ケース2に後付けされた係合部材等から形成された突起部であってもよい。
【0067】
また、本実施の形態においては、ブレーキペダルアーム125の下面123にジグ122を固定し、ブレーキペダルアーム12の揺動中に、このジグ122によりシャフト7Aが押されるようにしているが、ダンパ1をブレーキペダルアーム125とともに揺動させ、ブレーキペダルアーム125の下部側に配置したジグ等によりシャフト7Aが押されるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施の形態においては、スライドカム4を付勢するため、コイルスプリング3を用いているが、ゴム、コイルスプリング以外のバネ等の他の弾性体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:ダンパ、2:ケース、3:コイルスプリング、4:スライドカム、5:固定カム、6:カバー、7:突出部、7A:シャフト、8:ローラ、9:止め輪、10:フランジブッシュ、11:ダンパ固定用シャフト、12:ブレーキペダルユニット、21:ケース本体、22:アーム部、31,32:コイルスプリングの端部、41:カム部、42:凸部、51:カムガイド部(小径部)、52:カム部(大径部)、53:固定カムの内周面、54,55:固定カムの端面、61:カバーの外周面、62:ネジ部、63:六角穴、64:カバーの表面、65:カバーの裏面、66:固定カム用の座面、67:貫通穴、71:シャフトの両端部、72:溝、73:ノッチ、81:ローラの外周面、82:ローラの側面、101:フランジブッシュの円筒部、102:フランジブッシュのフランジ、111:ダンパ固定用シャフトの凹部、121:ブレーキペダルアームの回転軸、122:ジグ、123:ブレーキペダルアーム下面、124:ブレーキペダル、125:ブレーキペダルアーム、211:ケース本体の外周面、212:ケース本体の内周面、213:溝、214:貫通穴、215:ケース本体の底面、216:ケース本体の開口部、217:ネジ部、218:溶着用凹部、219:スプリングガイド部、221:アーム部の貫通穴、222,223:アーム部の側面、224:アーム部の先端部、411:カム部の外周面、412:カム部の底面、413:カム面、414:ピッチ円、415:段付き穴、521:カム面、523:ピッチ円、531:固定カム内周の対向面、532:固定カム内周の凸部、4131:段差面、4132:傾斜カム面、4134:平坦面、4151:スプリングガイド穴、5211:傾斜カム面、5212:段差面、
【技術分野】
【0001】
本発明は、より自然なペダル操作感を与えるダンパに係り、特に、既製のペダルユニットにも容易に取り付け可能なダンパの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対のカムを含むダンパのヒステリシス特性を利用して、アクセルペダルの踏み込みに適度な負荷を与えてアクセルペダルの踏み込みすぎを防止するとともに、アクセルペダルをほぼ一定の位置に保持しているときのドライバーの足にかかる負担を低減するアクセルペダルユニットが記載されている。
【0003】
このアクセルペダルユニットにおいては、アクセルペダルアームの回転が、リンク部材等からなる伝達機構を介してダンパの回転軸に伝達され、これにより、アクセルペダルアームの双方向の回転が制動される。具体的には、リンク部材の回転によりダンパの回転軸が回転するように、リンク部材の一端がダンパの回転軸が固定される。一方、アクセルペダルアームには、アクセルペダルアームの回転軸を挟んでアクセルペダルの反対側の端部に係合部材が固定され、この係合部材がリンク部材にスライド可能に保持される。これにより、アクセルペダルアームが回転すると、リンク部材を介して、アクセルペダルの回転方向に応じた回転方向にダンパの回転軸が回転し、ダンパのヒステリシス特性により、アクセルペダルの踏み込み時には適度な負荷が与えられ、アクセルペダルの復帰時には負荷が軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−12052号公報、図13〜図18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アクセルペダルユニット、ブレーキペダルユニット等の既製のペダルユニットについてもダンパを後付けしたいとの要求が生じることがある。しかし、既製のペダルユニットについては、スペース上または構造上の制約からダンパを後付することが困難であることが多い。例えば、既存のペダルユニットのペダルアームにおいてペダルと反対側の端部がペダルアームの回転軸の位置から十分延長されていない等、特許文献1に記載の伝達機構を取り付けるための手段が既存のペダルユニットのペダルアームに設けられていない場合には、特許文献1に記載のアクセルペダルユニットと同様な構造によりダンパを後付けすることが困難である。
【0006】
また、特許文献1に記載のアクセルペダルユニットのダンパを取り付ける場合、ダンパの回転軸とアクセルペダルアームとにリンク部材等の伝達機構を連結する必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存のペダルユニットに容易に取付け可能なダンパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明においては、ダンパのケースに、このケースを軸心周り方向に回転させる方向の力を受ける突出部を設ける。そして、このケースに収容された、軸心周り方向の相対的な回転によりトルクを発生する一対の部材のうち、一方の部材が、ケースの軸心周り方向の回転に連動して、他方の部材に対して軸心周り方向に相対的に回転するようにする。
【0009】
例えば、本発明は、軸心周り方向のトルクを発生させるダンパであって、
前記軸心周り方向に相対的に回転して、前記軸心周り方向にトルクを発生させる一対の部材を有するトルク発生機構と、
前記トルク発生機構が収容されたケースと、を備え、
前記ケースの外周面には、前記軸心周り方向に当該ケースを回転させる方向の力を受けるための突出部が設けられ、
前記一対の部材は、
一方の部材が、前記ケースの前記軸心周り方向の回転に連動して、他方の部材に対して前記軸心周り方向に相対的に回転する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ダンパのケースの外周面に、ダンパのケースを軸心周り方向に回転させる力を受けるための突出部が設けられているため、このダンパをペダルアームの下部側(ペダルアームを踏み込む方向側)に配置し、突出部と接触するジグをペダルアームの下面に取り付けることにより、既存のペダルアームユニットにダンパを容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るダンパ1の部品展開図である。
【図2】図2(A)および(B)は、初期状態(ブレーキペダルの踏み込み無しの状態)におけるダンパ1の左側面図および右側面図であり、図2(C)は、図2(A)のA−A断面図である。
【図3】図3(A)および(B)は、ケース2の左側面図および右側面図であり、図3(C)は、図3(A)のB−B断面図である。
【図4】図4(A)は、シャフト7Aの正面図であり、図4(B)および(C)は、ローラ8の正面図および側面図であり、図4(D)は、図4(B)のC−C断面図である。
【図5】図5(A)および(B)は、カバー6の正面図および背面図であり、図5(C)は、図5(A)のD−D断面図である。
【図6】図6(A)、(B)および(C)は、固定カム5の正面図、左側面図および右側面図であり、図6(D)は、図6(C)のE−E断面図であり、図6(E)は、ピッチ円523上におけるカム面521の輪郭形状を模式的に示した図である。
【図7】図7(A)、(B)および(C)は、スライドカム4の正面図、背面図および下面図であり、図7(D)は、図7(A)のF−F断面図であり、図7(E)は、ピッチ円414上におけるカム面413の輪郭形状を模式的に示した図である。
【図8】図8(A)は、本発明の他の実施の形態に係る固定カム5の右側面図であり、図8(B)は、コイルスプリング3の正面図である。
【図9】図9は、ブレーキペダルユニット12へのダンパ1の取付け構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
まず、本実施の形態に係るダンパ1の構造について説明する。なお、ここでは、自動車のブレーキペダルユニット12への後付けに適したダンパを例に挙げる。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係るダンパ1の部品展開図、図2(A)および(B)は、初期状態(ブレーキペダルの踏み込み無しの状態)におけるダンパ1の左側面図および右側面図、そして、図2(C)は、図2(A)のA−A断面図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係るダンパ1は、相対的な回転により互いの傾斜カム面4132、5211同士をすべり接触させる一対のカム(スライドカム4、固定カム5)と、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てる方向にスライドカム4を付勢するコイルスプリング3と、これらの部品3〜5を収容するケース2と、ケース2を封止する円板形のカバー6と、軸心O1周りの方向にケース2を回転させる方向の力を受けるための、ケース2の外周面211に設けられた突出部7と、を備えている。本実施の形態に係るダンパ1は、突出部7として、ケース2(ケース本体21)の外周面211から離れた位置で保持された金属製のシャフト7Aを備えており、さらに、シャフト7Aに回転可能に挿入された樹脂製のローラ8と、シャフト7Aに沿ったローラ8の移動を阻止する2本のフランジブッシュ10と、シャフト7Aを固定するためのEリング等の止め輪9と、を備えている。
【0016】
カバー6で封止されたケース2内において、スライドカム4および固定カム5は、共通の軸O1周りで互いのカム面413、521がかみ合うようにはめ合わされており、コイルスプリング3は、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てるように、スライドカム4の裏面(カム面413の反対側の面)とケース2の底面215との間に配置されている。ダンパ1の初期状態においては、スライドカム4の傾斜カム面4132が、コイルスプリング3の付勢によって、固定カム5の傾斜カム面5211に対して所定の位置(初期位置)に配置されるように、コイルスプリング3がプリロードされている。
【0017】
ここで、外部のダンパ固定シャフト11への連結により固定カム5の軸心O1周り方向の回転運動を拘束し、さらに、スライドカム4を軸心O1周りの所定の一方向αに回転させると、スライドカム4は、傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211上でスライドさせながら、固定カム5のカムガイド部51に沿って、固定カム5から遠ざかる方向に移動する。この間、コイルスプリング3はさらに圧縮され、スライドカム4の傾斜カム面4132が固定カム5の傾斜カム面5211により強く押し付けられて、両者間の摩擦抵抗が徐々に増大する。このため、スライドカム4の軸心O1周りの回転角度の増加とともに、スライドカム4に軸心O1周り方向γのトルクが徐々に増大する。
【0018】
ここで、スライドカム4の回転を一旦停止させると、スライドカム4の傾斜カム面4132が固定カム5の傾斜カム面5211上で静止する。このとき、コイルスプリング3が伸長しようとするのを防ぐ方向に摩擦抵抗が生じて、スライドカム4の軸心O1周り方向γのトルクが急激に減少する。
【0019】
さらに、スライドカム4を上記所定の一方向αの逆方向βに回転させると、スライドカム4は、傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211上でスライドさせながら、固定カム5のカムガイド部51に沿って、固定カム5の傾斜カム面5211に対する初期位置に向かって移動する。この間、コイルスプリング3が徐々に復帰してゆき、スライドカム4の傾斜カム面4132と固定カム5の傾斜カム面5211との間等の摩擦抵抗が徐々に減少する。このため、スライドカム4の軸心O1周りの回転角度の減少とともに、スライドカム4の軸心O1周り方向のトルクが徐々に減少する。
【0020】
このようなダンパ1は、ブレーキペダル124(図9参照)の踏み込みに適度な負荷を与えるとともに、ブレーキペダル124を一定の位置に保持している間の負荷を低減するヒステリシス発生機構(ヒスユニット)としての利用に適したヒステリシス特性を有しており、ブレーキペダルユニット12に取り付けた場合、自然なブレーキ力を発生させつつ、自然なペダル操作感を実現することができる。
【0021】
つぎに、ダンパ1を構成する部品2〜10について説明する。
【0022】
図3(A)および(B)は、ケース2の左側面図および右側面図であり、図3(C)は、図3(A)のB−B断面図である。
【0023】
図示するように、ケース2は、底付き円筒形状のケース本体21と、ケース本体21の外周面211から離れた位置でシャフト7Aを保持する2本のアーム部22と、を備えている。
【0024】
ケース本体21の開口部216にはカバー6が装着される。この開口部216の内周面には、カバー6の外周面61のネジ部62が締結されるネジ部217が形成されている。このネジ部217とカバー6の外周面61のネジ部62との締結により、カバー6は、ケース本体21内部に収容されたコイルスプリング3をプリロードしながら、ケース本体21の開口部216にはめ込まれる。また、ケース本体21の縁部には、開口部21に装着されたカバー6を固定するための複数の溶着用凹部218が、ケース本体21の軸心O1周りにほぼ等角度間隔で形成されている。
【0025】
ケース本体21の底面215の中央領域には、ケース本体21の軸心O1が通過する貫通穴214と、この貫通穴214の外周を囲む環状のスプリングガイド部219と、が形成されている。スプリングガイド部219は、ケース本体21内に挿入されたコイルスプリング3内にはめこまれ、コイルスプリング3の一方の端部31の位置を固定する。また、ダンパ1の組立て後、ブレーキペダルユニット12のブラケットに固定されたダンパ固定用シャフト11(図9参照)は、カバー6の貫通穴67から挿入され、固定カム5およびコイルスプリング3の内部を通過して、この貫通穴214からケース本体21の外部に突き出す。なお、ダンパ固定用シャフト11の抜け止めには、例えば止め輪等で用いられる。
【0026】
ケース本体21の内周面212には、ケース本体21の軸心O1方向に沿って3本の溝213が、ケース本体21の軸心O1周りにほぼ等角度の間隔で形成されている。これらの溝213の一端はケース本体21の開口部216周りの端面側に抜けており、スライドカム4がケース本体21の開口部216から挿入される際、これらの溝213内にスライドカム4の凸部42がスライド可能に挿入される。これにより、ケース2に対するスライドカム4の回転が拘束されるため、スライドカム4は、ケース2の回転とともにケース本体21の軸心O1周り方向に回転する。
【0027】
なお、本実施の形態ではケース本体21の内周面212に3本の溝213が等角度間隔で形成されているが、溝213の本数およびレイアウトは、使用するスライドカム4の凸部42の個数およびレイアウトに合わせて決定される。
【0028】
2本のアーム部22は、ケース本体21の軸心O1方向に並んで、ケース本体21の外周面211に一体的に形成されている。これらのアーム部22には、シャフト7Aが挿入される穴として、ケース本体21の外周面211から所定の高さH1の位置で対向する貫通穴221が形成されている。これらの貫通穴221により、シャフト7Aは、ケース本体21の軸心O1方向に沿って、ケース本体21の外周面211から所定の高さH1の位置で保持される。なお、後述するように、シャフト7Aが保持される高さH1は、シャフト7Aに挿入されたローラ8の外周面81がケース本体21の外周面211に接触しないように、ローラ8の半径よりも大きな寸法とされている。
【0029】
図4(A)は、シャフト7Aの正面図である。
【0030】
シャフト7Aは、ケース2の2本のアーム部22の外側面222(対向する内側面223の反対側の面)の間隔L1よりも長く、このため、2本のアーム部22の貫通穴221に挿入されたとき、その両端部71が2本のアーム部22の貫通穴221から外側面222側に突き出す。シャフト7Aの両端部71には周方向に溝72が形成されており、2つの止め輪9は、それぞれ、これらの溝72にはめ込まれて、2本のアーム部22の貫通穴221からのシャフト7Aの抜落を防止する。なお、本実施の形態においては、シャフト7Aの抜落防止用に止め輪9を用いているが、止め輪9の代わりに、例えばブッシュナット等の、シャフト7Aの抜落を防止する他の部品を用いてもよい。
【0031】
また、シャフト7Aの外周面には、ケース2の2本のアーム部22の内側面222の間に位置するノッチ73が形成されている。これにより、シャフト7Aには、断面積の小さな脆弱部が形成される。このノッチ73の寸法は、シャフト7Aが、予め定めた大きさの力を加えられたときに、このノッチ73において破断するように定められている。このような脆弱部をシャフト7Aに設けることによって、例えば、傾斜カム面4132、5211等の固着によりダンパ1の回転に不具合が生じたときであっても、ドライバーがブレーキペダル124を所定の大きさ以上の力で踏み込めば、シャフト7Aが、ブレーキペダルアーム125のジグ122およびローラ8を介して受ける力によって脆弱部であるノッチ73で破断するため、ブレーキペダルアーム125がブレーキペダル124の踏み込み方向に回転可能となる。このようなフェイルセーフが講じられているため、ダンパ1の回転に不具合が生じたときであっても、ドライバーは、ブレーキペダル124を踏み込むことができる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、シャフト7Aに脆弱部(ノッチ73)を形成しているが、2本のアーム部22の外側面223および内側面222等にノッチ等の脆弱部を形成しておき、アーム部22が、予め定めた大きさの力が加えられたときに、この脆弱部で破断するようにしてもよい。例えば、傾斜カム面4132、5211等の固着によりダンパ1の回転に不具合が生じても、このような脆弱部がアーム部22に設けられていれば、ドライバーがブレーキペダル124を所定の大きさ以上の力で踏み込むことにより、シャフト7Aを保持するアーム部22が、ブレーキペダルアーム125のジグ122からシャフト7Aを介して受ける力によって脆弱部で破断する。または、ダンパ固定用シャフト11にノッチ等の脆弱部を形成しておき、ダンパ固定用シャフト11が、予め定めた大きさの力で捩られたときに、この脆弱部で破断するようにしてもよい。例えば、傾斜カム面4132、5211等の固着によりダンパ1の回転に不具合が生じても、このような脆弱部がダンパ固定用シャフト11に設けられていれば、ドライバーがブレーキペダル124を所定の大きさ以上の力で踏み込めば、ダンパ固定用シャフト11の脆弱部が捩りで破断する。いずれの場合も、ダンパ固定用シャフト11に対してカバー6が回転自在となり、ドライバーは、ブレーキペダル124を踏み込むことができる。
【0033】
図4(B)および(C)は、ローラ8の正面図および側面図であり、図4(D)は、図4(B)のC−C断面図である。
【0034】
ローラ8は、シャフト7Aの外径R3よりも大きな内径r2を有する円筒形状を有している。シャフト7Aは、ローラ8内に挿入され、ローラ8を回転可能に保持する。この状態において、ローラ8は、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122と外周面81とのころがり接触によってシャフト7A周りに回転する。このように、ローラ8の外周面81が、ブレーキペダルアーム125に取り付けられるジグ122ところがり接触するため、異音発生防止のためにローラ8が樹脂で形成されていても、ローラ8の片減りによるガタの発生を防止することができる。
【0035】
ここで、ローラ8の半径(外径R2の1/2)は、アーム部22の貫通穴221の軸心O1からアーム部22の先端部224までの距離H2よりも大きく、かつ、アーム22の貫通穴221の軸心O1からケース本体21の外周面211までの距離H1よりも小さな寸法とされている。これにより、ローラ8の外周面81がアーム部22の先端部224から突き出るため(図2(C)参照)、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122とローラ8の外周面81とのころがり接触がアーム部22の先端部224によって妨げられず、また、シャフト7Aに保持されたローラ8の外周面81がケース本体21の外周面211に接触しないため(図2(C)参照)、ローラ8が、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122と外周面81のころがり接触によってスムーズに回転する。ローラ8の厚さtは、例えば、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられるジグ122の形状寸法に応じて定めればよい。
【0036】
なお、本実施の形態では、ケース本体21の外周面211からローラ8の外周面81を浮かせているが、ケース本体21の外周面211にローラ8の外周面81を接触させることにより、ケース本体21の外周面211とローラ8の外周面81との摩擦抵抗もダンパの制動力として利用してもよい。
【0037】
2本のフランジブッシュ10は、図2(C)に示したように、ローラ8とアーム部22との間隔S1に応じた長さの円筒部101と、円筒部101の一方の端部の外周面からはり出した円板状のフランジ102と、を備えている。円筒部101は、その内側にシャフト7Aを挿入できるように、シャフト7Aの外径R3よりも大きな内径を有するとともに、アーム部22の貫通穴221から抜け落ちないように、アーム部22の貫通穴221の内径r1よりも大きな外径を有している。そして、一方のフランジブッシュ10は、ローラ8の一方の側面82側にフランジ102を向けた状態でシャフト7Aが円筒部101内に挿入され、一方のアーム部22の内側面223とローラ8の一方の側面82とに間に配置される。他方のフランジブッシュ10は、ローラ8の他方の側面82側にフランジ102を向けた状態でシャフト7Aが円筒部101内に挿入され、他方のアーム部22の内側面223とローラ8の他方の側面82とに間に配置される。これにより、シャフト7A上において、ローラ8は、両側のフランジブッシュ10のフランジ102によって、シャフト7Aに沿った移動が阻止される。また、各フランジブッシュ10のフランジ102の外径R1は、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けられたジグ122とローラ8の外周面81との接触を妨げないように、ローラ8の外径R2よりも小さくなっている。
【0038】
図5(A)および(B)は、カバー6の正面図および背面図であり、図5(C)は、図5(A)のD−D断面図である。
【0039】
カバー6の外周面61には、ケース本体21の開口部216に形成されたネジ部217に締結されるネジ部62が形成されている。カバー6の一方の面(ケース本体21の外側に向けられる表面)64には、ケース本体21に対してカバー6を回転させる工具を挿入するための六角穴63が形成され、カバー6の他方の面(ケース本体21の内側に向けられる裏面)65には、固定カム5の底面54が接触する座面66が形成されている。カバー6の外周面61に形成されているネジ部62がケース本体21の開口部216に形成されているネジ部217に締結されることにより、固定カム5の底面54がカバー6の座面66によって押圧される。これにより、固定カム5およびスライドカム4がケース本体21内の初期位置まで押し込まれ、ケース本体21の底面215とスライドカム4との間のコイルスプリング3がプリロードされる。
【0040】
また、カバー6の中央領域には、ダンパ固定用シャフト11の外径よりも大きな内径r3を有する貫通穴67が形成されている。組み立てられたダンパ1において、ケース本体21の軸心O1は、この貫通穴67から、固定カム5の内部を介して、ケース本体21の底面215の貫通穴214を通過する(図2(C)参照)。ダンパ固定用シャフト11は、この貫通穴67から、固定カム5内を介してケース本体21の底面215の貫通穴214へと挿入される。
【0041】
図6(A)、(B)および(C)は、固定カム5の正面図、左側面図および右側面図であり、図6(D)は、図6(C)のE−E断面図であり、図6(E)は、ピッチ円523上におけるカム面521の輪郭形状を模式的に示した図である。
【0042】
図示するように、固定カム5は、小径部51と大径部52とが一体的に形成された段付き円筒形状を有している。小径部51は、スライドカム4の内径ガイドとしてスライドカム4内に挿入されるカムガイド部51であり、大径部52は、スライドカム4の傾斜カム面4132がスライドする傾斜カム面5211を有するカム部52である。
【0043】
前述したように、固定カム5の内部には、カバー6の貫通穴67を通過したダンパ固定用シャフト11が、一方の端面54側から他方の端面55側に挿入される。固定カム5の内周面53には、対向する平面531が形成され、ダンパ固定用シャフト11の先端側の外周面は、これら二平面531の間隔S2に応じた二面幅で二面取りされている。このため、固定カム5内にダンパ固定用シャフト11を挿入することによって、ダンパ固定用シャフト11に対する固定カム5の回転が阻止される。
【0044】
本実施の形態では、ダンパ固定用シャフト11と固定カム5との相対的な回転を阻止するため、ダンパ固定用シャフト11の先端部の外周面を二面取りし、固定カム5の内周面53に、対向する平面531を形成しているが、かならずしも、このようにする必要はない。ダンパ固定用シャフト11の先端部の外周面および固定カム5の内周面に、互いに干渉する面が含まれていればよい。例えば、ダンパ固定用シャフト11の先端部の断面形状および固定カム5の内周の輪郭形状が、ともに多角形であってもよい。また、図8(A)に示すように、ダンパ固定用シャフト11に1箇所以上の凹部111を形成し、この凹部111にはめこまれる凸部532を固定カム5の内周面53に形成してもよい。この場合、予め定めた大きさの力がブレーキペダルアーム125のジグ122からローラ8に加えられたときに、固定カム5の内周面53の凸部532がダンパ固定用シャフト11からの力によって破断するようにしておけば、固定カム5の内周面53の凸部532およびダンパ固定用シャフト11の凹部111を、固定カム5の回り止め機構としてだけなく、フェイルセーフ機構としても機能させることができる。
【0045】
カム部52のカム面521(カムガイド部51側の面)は、軸心O1周りのピッチ円523上で、軸心O1方向に凹凸を周期的に繰り返す。具体的には、このカム面521は、軸心O1周りにほぼ等角度間隔で、ピッチ円523に対して所定の角度θで傾斜した3か所の傾斜カム面5211が形成され、隣り合う傾斜カム面5211の間に、それぞれ、スライドカム4の傾斜カム面4132の初期位置を定める段差面5212が形成されている。
【0046】
図7(A)、(B)および(C)は、スライドカム4の正面図、背面図および側面図であり、図7(D)は、図7(A)のF−F断面図であり、図7(E)は、ピッチ円414上におけるカム面413の輪郭形状を模式的に示した図である。
【0047】
スライドカム4は、固定カム5のカムガイド部51がスライド可能に挿入される円筒形のカム部41と、カム部41の軸心O1に沿ってカム部41の外周面411に形成された凸部42と、を備えている。
【0048】
カム部41の内周には、カム部41の一方の端面(底面)412側に大径部4151を有する段付き穴415が形成されている。この大径部4151は、コイルスプリング3の一方の端部31を受けるガイド穴である。
【0049】
カム部41のカム面(他方の端面)413は、軸心O1周りのピッチ円414上で、軸心O1方向に凹凸を周期的に繰り返す。具体的には、このカム面413には、軸心O1周りにほぼ等角度間隔で、ピッチ円414に対して所定の角度θで傾斜した3か所の傾斜カム面4132が形成され、また、傾斜カム面4132毎に、傾斜カム面4132に続いて平坦面4134が形成され、さらに、固定カム5のカム面521内の段差面5212に接触する段差面4131が形成されている。
【0050】
カム部41のカム面413と固定カム5のカム面521とを向かい合わせた状態でカム部41の内部に固定カム5のカムガイド部51を挿入すると、固定カム5のカムガイド部51の先端55がカム部41の底面412側から突き出す。カム部41の底面412側から突き出したカムガイド部51にコイルスプリング3を挿入し、コイルスプリング3の一方の端部31をカム部41のスプリングガイド穴4151に収容する。このようにして組み立てられたコイルスプリング3、スライドカム4および固定カム5を、カムスライド4の凸部42をケース本体21の溝213に位置合わせしてから、コイルスプリング3の他方の端部32からケース本体21の開口部216に収容する。この状態で、ケース本体21の開口部216にカバー6がねじ込まれると、ケース本体21の底面215とカムスライド4のガイド穴4151の底面41511との間でコイルスプリング3がプリロードされる。これにより、スライドカム4の傾斜カム面4132を固定カム5の傾斜カム面5211に押し当てる方向にスライドカム4が付勢され、それに伴うスライドカム4の回転により、スライドカム4のカム面413内の各段差面4131と固定カム5のカム面521内の段差面5212とが接触する。この位置が、固定カム5の傾斜カム面5211に対する傾斜カム面4132の初期位置を示す。
【0051】
図8(B)は、コイルスプリング3の正面図である。
【0052】
ケース本体21内において、コイルスプリング3の一方の端部31はスライドカム4のスプリングガイド穴4151の底面41511に接触し、他方の端部32はケース本体21の底面215に接触する(図2(C)参照)。このときのコイルスプリング3の両端部31、32の据わりをよくするため、図示するように、コイルスプリング3の両端部31、32は、研磨加工が施されたクローズドエンドとなっている。
【0053】
コイルスプリング3の自由長さL0は、ケース本体21の底面215からスライドカム4のスプリングガイド穴4151の底面41511までの距離よりも長い。このため、ブレーキペダルアーム125の初期位置において、コイルスプリング3は、ケース本体21の底面215とスライドカム4のスプリングガイド穴4151の底面41511とによってプリロードされている。
【0054】
つぎに、ブレーキペダルユニット12へのダンパ1の取付け構造について説明する
図9に、ブレーキペダルユニット12へのダンパ1の取付け構造を示す。
【0055】
ブレーキペダルユニット12のブレーキペダルアーム125は、ブレーキペダル124が踏み込まれると、回転軸121を支点として回転する。ブレーキペダル124の下面123には金属製のジグ122が取り付けられる。
【0056】
また、ブレーキペダルユニット12が固定されるブラケット(本実施形態では図示せず)には、ブレーキペダルアーム125の回転軸121とほぼ平行なダンパ固定用シャフト11が、ブレーキペダルアーム125の下部側に位置するように、ブレーキペダルアーム125の回転軸121の取付け位置から所定の間隔をおいて固定される。このダンパ固定用シャフト11が、ケース本体21内部の固定カム5の内部を通過するように、ケース6の貫通穴67からケース本体21の底面215に向けて挿入される。固定カム5の内周面53には、対向する平面531が形成され、ダンパ固定用シャフト11の先端側の外周面は、これら二平面531の間隔S2に応じた二面幅で二面取りされている。これにより、固定カム5の回転がダンパ固定用シャフト11に拘束され、ダンパ固定用シャフト11に対する固定カム5の回転が阻止される。
【0057】
このような配置により、ブレーキペダル124の踏み込みによりブレーキペダルアーム125が回転軸121周りの所定の一方向σに回転すると、ブレーキペダルアーム125の下面123のジグ122が、ローラ8の外周面81ところがり接触しながら、ローラ8を介して、シャフト7Aに、ケース本体21をダンパ固定用シャフト11周りの所定の一方向αに回転させる力を与える。これにより、ダンパ1のケース本体21がダンパ固定用シャフト11周りの所定の一方向αに回転する。一方、ブレーキペダル124が踏み込みから解放されると、スプリングコイル3の復元力により、ダンパ1のケース本体21がダンパ固定用シャフト11周りに、上記所定の方向αの逆方向βに回転し、ローラ8が、外周面81をブレーキペダルアーム125の下面123のジグ122ところがり接触させながら、ブレーキペダルアーム125を、上記所定の一方向σの逆方向ξに回転させる力を与える。
【0058】
このように、本実施の形態に係るダンパ1においては、スライドカム4の軸心O1周り方向の回転運動がケース本体21に拘束され、ケース本体21の外周面21に、ケース本体21を軸心O1周り方向に回転させるための力を外部から受けるシャフト7Aが設けられている。このため、ブレーキペダルアーム125の下面123にジグ122を固定しておけば、ブレーキペダルアーム125の揺動中に、このジグ122によりシャフト7Aが押される位置にダンパ1を取り付けることができる。すなわち、ダンパ1の軸心を、ブレーキペダルアーム125の回転軸からずらしてブレーキペダルアーム125の下部側におくことができるため、比較的スペースに余裕のあるブレーキペダルアーム125の下部空間にダンパ1を取り付けることができる。また、ブレーキペダルアーム125の下面123におけるジグ122の固定位置を調整すれば、ダンパ1の配置位置を柔軟に変更することができる。このように、ダンパ1の配置位置の自由度が高いため、既存のブレーキペダルユニット12への後付けに際してのスペース上の制約が少ない。
【0059】
また、本実施の形態に係るダンパ1は、ブレーキペダルアーム125の下面123に、シャフト7Aを押しながらローラ8の外周面81ところがり接触するジグ122を取り付ければ、どのようなタイプのブレーキペダルアーム125にも適応可能であるため、ブレーキペダルアーム125の形状を選ばない。また、ブレーキペダルアーム125の下面123に取り付けるジグ122の形状を変えることによってダンパ1の回転範囲を調整することができるので、軸周りのトルクを簡単に調整することができる。このため、既存のブレーキペダルユニット12への後付けに汎用的に用いることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係るダンパ1は、不図示のブラケットに固定したダンパ固定用シャフト11への挿入によって取り付けることができ、ブレーキペダルアーム125にリンク部材等を連結する必要がない。このため、より簡単な操作で取り付けることができる。
【0061】
また、ケース本体2の外周にアーム部22が設けられているため、ケース本体22がコンパクトなままでも、アーム部22によって、ケース本体2の軸心O1からより離れた位置にシャフト7Aを保持することができるため、より小さな力でケース本体22を回転させることができる。このため、本実施の形態に係るダンパ1は、コンパクトでありながら、自然なブレーキ力を発生させつつ、自然なペダル操作感を実現することができる。
【0062】
なお、このような効果は、既存のブレーキペダルユニット12への後付けの場合だけでなく、ブレーキペダルユニット12内に組み込まれている場合にも達成される。
【0063】
以上、本実施の形態においては、自動車のブレーキペダルユニット12への後付けに適したダンパ1を例に挙げていたが、本発明は、自動車のアクセルペダルユニットに後付けされるダンパ、楽器、ゲーム機等のペダルユニットに後付けされるダンパとしても適用可能である。ただし、自動車のアクセルペダルユニットに後付けされるダンパに適用する場合には、上述の場合と異なり、例えば、アクセルペダルの踏み込み中にブレーキペダルも踏み込まれたとき等に、アクセルペダルアームを初期位置に復帰させるフェイルセーフ機構を採用する。
【0064】
また、本実施の形態においては、相対的に回転する一対のカム4、5の傾斜カム面4132、5211間等の摩擦抵抗を利用して回転を制動するダンパ1への適用例を挙げたが、本発明は、相対的に回転する部材を利用して回転を制動するダンパに広く適用可能である。この場合、カバー6に対する一方の部材の回転を拘束することによって、カバー6の回転とともに一方の部材が、他方の部材に対して回転するようにすればよい。
【0065】
また、本実施の形態においては、金属製のシャフト7Aに樹脂製のローラ8を回転可能に挿入しているが、金属製のシャフト7Aに樹脂製のローラ8を固定し、このシャフト7Aをケース2のアーム部22に回転可能に保持させてもよい。また、金属製のシャフト7Aおよび樹脂製のローラ8に代えて、樹脂製のシャフトをケース2のアーム部22に回転可能に保持させ、この樹脂製のシャフトの外周面に、ブレーキペダルアーム125の下面123に装着される金属製のジグ122を接触させてもよい。この場合、樹脂製のシャフトには、ジグ122を接触させるための大径部を設けてもよい。また、ブレーキペダルアーム125の下面123に装着されるジグ122が樹脂製または樹脂コーティングされている場合には、樹脂製のローラ8を用いずに、回転可能に保持された金属製のシャフト7Aの外周面にジグ122を直接接触させてもよいし、樹脂製のローラ8の代わりにボールベアリングをシャフト7Aに取付け、ボールベアリングをジグ122に接触させてもよい。
【0066】
また、本実施の形態においては、ケース2が、突出部7として、ケース2を回転させる方向の力を受けるためのシャフト7Aを保持しているが、必ずしも、このようにする必要はない。ケース2は、シャフト7Aに限らず、外周面211から離れた位置で、ケースを回転させる方向の力を受ける突出部7を有していればよく、例えば、それは、ケース2に一体成形等により配された突起部、ケース2に後付けされた係合部材等から形成された突起部であってもよい。
【0067】
また、本実施の形態においては、ブレーキペダルアーム125の下面123にジグ122を固定し、ブレーキペダルアーム12の揺動中に、このジグ122によりシャフト7Aが押されるようにしているが、ダンパ1をブレーキペダルアーム125とともに揺動させ、ブレーキペダルアーム125の下部側に配置したジグ等によりシャフト7Aが押されるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施の形態においては、スライドカム4を付勢するため、コイルスプリング3を用いているが、ゴム、コイルスプリング以外のバネ等の他の弾性体を用いてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:ダンパ、2:ケース、3:コイルスプリング、4:スライドカム、5:固定カム、6:カバー、7:突出部、7A:シャフト、8:ローラ、9:止め輪、10:フランジブッシュ、11:ダンパ固定用シャフト、12:ブレーキペダルユニット、21:ケース本体、22:アーム部、31,32:コイルスプリングの端部、41:カム部、42:凸部、51:カムガイド部(小径部)、52:カム部(大径部)、53:固定カムの内周面、54,55:固定カムの端面、61:カバーの外周面、62:ネジ部、63:六角穴、64:カバーの表面、65:カバーの裏面、66:固定カム用の座面、67:貫通穴、71:シャフトの両端部、72:溝、73:ノッチ、81:ローラの外周面、82:ローラの側面、101:フランジブッシュの円筒部、102:フランジブッシュのフランジ、111:ダンパ固定用シャフトの凹部、121:ブレーキペダルアームの回転軸、122:ジグ、123:ブレーキペダルアーム下面、124:ブレーキペダル、125:ブレーキペダルアーム、211:ケース本体の外周面、212:ケース本体の内周面、213:溝、214:貫通穴、215:ケース本体の底面、216:ケース本体の開口部、217:ネジ部、218:溶着用凹部、219:スプリングガイド部、221:アーム部の貫通穴、222,223:アーム部の側面、224:アーム部の先端部、411:カム部の外周面、412:カム部の底面、413:カム面、414:ピッチ円、415:段付き穴、521:カム面、523:ピッチ円、531:固定カム内周の対向面、532:固定カム内周の凸部、4131:段差面、4132:傾斜カム面、4134:平坦面、4151:スプリングガイド穴、5211:傾斜カム面、5212:段差面、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心周り方向のトルクを発生させるダンパであって、
前記軸心周り方向に相対的に回転して、前記心周り方向のトルクを発生させる一対の部材を有するトルク発生機構と、
前記トルク発生機構が収容されたケースと、を備え、
前記ケースの外周面には、前記軸心周り方向に当該ケースを回転させる方向の力を受けるための突出部が設けられ、
前記一対の部材は、
一方の部材が、前記ケースの前記軸心周りの回転に連動して、他方の部材に対して前記軸心周り方向に相対的に回転する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
請求項1記載のダンパであって、
前記突出部として、
前記ケースに取り付けられ、前記軸心周り方向に前記ケースを回転させる方向の力を受けるためのシャフトを備える
ことを特徴とするダンパ。
【請求項3】
請求項2に記載のダンパであって、
前記シャフトに対して回転可能に当該シャフトが挿入された回転体をさらに有し、
前記シャフトは、
前記軸心から前記ケースの外周面より離れた位置で、前記軸心方向に沿って配置されており、
前記回転体を介して前記軸周りに前記ケースを回転させる方向の力を受ける
ことを特徴とするダンパ。
【請求項4】
請求項2ないし3のいずれか一項に記載のダンパであって、
前記シャフトは、
所定以上の大きさで前記軸心周り方向に前記ケースを回転させる方向の力を受けた場合に破断する脆弱部を有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか一項に記載のダンパであって、
前記ケースは、前記シャフトを保持するアーム部を有し、
前記アーム部は、
前記シャフトが所定以上の大きさで前記軸心周り方向に前記ケースを回転させる方向の力を受けた場合に破断する脆弱部を有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のダンパであって、
前記他方の部材は、
前記軸の方向に起伏するカム面を有する固定カムであり、
前記一方の部材は、
前記固定カムに対する前記軸心周り方向の相対的な回転によって前記固定カムのカム面上をスライドするカム面を有し、当該スライドによって前記軸心方向に移動するスライドカムであり、
前記トルク発生機構は、
前記スライドカムのカム面を前記固定カムのカム面に押し当てる弾性体をさらに有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のダンパであって、
前記ケースは、円筒状の外形を有し、
前記回転体は、
外周面が前記ケースの外周面と転がり接触する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項1】
軸心周り方向のトルクを発生させるダンパであって、
前記軸心周り方向に相対的に回転して、前記心周り方向のトルクを発生させる一対の部材を有するトルク発生機構と、
前記トルク発生機構が収容されたケースと、を備え、
前記ケースの外周面には、前記軸心周り方向に当該ケースを回転させる方向の力を受けるための突出部が設けられ、
前記一対の部材は、
一方の部材が、前記ケースの前記軸心周りの回転に連動して、他方の部材に対して前記軸心周り方向に相対的に回転する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
請求項1記載のダンパであって、
前記突出部として、
前記ケースに取り付けられ、前記軸心周り方向に前記ケースを回転させる方向の力を受けるためのシャフトを備える
ことを特徴とするダンパ。
【請求項3】
請求項2に記載のダンパであって、
前記シャフトに対して回転可能に当該シャフトが挿入された回転体をさらに有し、
前記シャフトは、
前記軸心から前記ケースの外周面より離れた位置で、前記軸心方向に沿って配置されており、
前記回転体を介して前記軸周りに前記ケースを回転させる方向の力を受ける
ことを特徴とするダンパ。
【請求項4】
請求項2ないし3のいずれか一項に記載のダンパであって、
前記シャフトは、
所定以上の大きさで前記軸心周り方向に前記ケースを回転させる方向の力を受けた場合に破断する脆弱部を有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれか一項に記載のダンパであって、
前記ケースは、前記シャフトを保持するアーム部を有し、
前記アーム部は、
前記シャフトが所定以上の大きさで前記軸心周り方向に前記ケースを回転させる方向の力を受けた場合に破断する脆弱部を有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のダンパであって、
前記他方の部材は、
前記軸の方向に起伏するカム面を有する固定カムであり、
前記一方の部材は、
前記固定カムに対する前記軸心周り方向の相対的な回転によって前記固定カムのカム面上をスライドするカム面を有し、当該スライドによって前記軸心方向に移動するスライドカムであり、
前記トルク発生機構は、
前記スライドカムのカム面を前記固定カムのカム面に押し当てる弾性体をさらに有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のダンパであって、
前記ケースは、円筒状の外形を有し、
前記回転体は、
外周面が前記ケースの外周面と転がり接触する
ことを特徴とするダンパ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−53635(P2013−53635A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190176(P2011−190176)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】
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