説明

チアジアゾール置換クマリン誘導体及びロイコトリエン生合成阻害剤としてのその使用

【課題】アテローム性動脈硬化症治療薬、喘息治療薬、アレルギー治療薬、抗炎症薬及び細胞保護剤の提供。
【解決手段】ロイコトリエン生合成阻害剤である化合物(I):


[式中、XはO又はSであり、YはO、S−NR−CHR又は−NR−C(O)−、Aは5員芳香族複素環、6員芳香族複素環、ナフタレン又はヘテロ二環式芳香環系、フェニル及びベンジル]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロイコトリエン生合成の阻害剤として有用な新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン生合成の阻害は長年にわたって活発に進められてきた医薬研究分野である。ロイコトリエンは生体系でアラキドン酸から産生される1群の局所作用性ホルモンを構成する。ロイコトリエンは5−リポキシゲナーゼによるアラキドン酸の酵素酸化により誘導される強力な収縮及び炎症メディエーターである。ある種のロイコトリエン生合成阻害剤は5−リポキシゲナーゼ(5−LO)の阻害により作用することが知られている。
【0003】
主要なロイコトリエンはロイコトリエンB(略称LTB)、LTC、LTD及びLTEである。これらのロイコトリエンの生合成はまず酵素5−リポキシゲナーゼがアラキドン酸に作用してロイコトリエンA(LTA)と呼ばれるエポキシドを生成し、後続酵素段階により他のロイコトリエンに変換される。ロイコトリエンの生合成と代謝に関する更に詳細については著書Leukotrienes and Lipoxygenases,J.Rokach編,Elsevier,Amsterdam(1989)に記載されている。生体系におけるロイコトリエンの作用と各種疾患状態におけるそれらの関与についても上記Rokachの著書に記載されている。
【0004】
一般に、アレルギー性鼻炎、喘息及び炎症症状(例えば関節炎)の治療用として5−LO阻害剤が追求されてきた。5−LO阻害剤の1例は喘息治療用に指定されている市販薬ジロートン(ZYLOFT(登録商標))である。更に最近では、5−LOがアテローム発生プロセスの要因であるという報告もある(Mehrabian,M.ら,Circulation Research,2002 Jul 26,91(2):120−126参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
5−LO阻害に影響される症状の治療及び予防における治療薬の進歩は目覚ましいが、更に広い治療選択肢が必要である。本発明はロイコトリエン生合成を阻害するために有用な新規5−LO阻害剤を提供することによりこのような必要に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はロイコトリエン生合成阻害剤である式(Ia):
【0007】
【化6】

の化合物、その製造方法、並びに哺乳動物、特にヒトでこれらの化合物を使用するための方法及び医薬製剤に関する。
【0008】
式Iaの化合物はアテローム発生を遅延又は停止するための薬剤として有用である。従って、本発明は臨床症状が顕在化してからアテローム硬化性疾患の進行を停止又は遅延させることを含むアテローム性動脈硬化症の治療方法として、このような治療を必要とする患者に治療有効量の式Iaの化合物を投与することを含む方法を提供する。本発明は更にアテローム性動脈硬化症及びアテローム硬化性疾患イベントの発症の危険の予防又は低減方法として、アテローム性動脈硬化症を発症するか又はアテローム硬化性疾患イベントをもつ危険のある患者に予防有効量の式Iaの化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0009】
更に、本発明は喘息治療薬、アレルギー治療薬、抗炎症薬及び細胞保護剤としての式Iaの化合物の使用に関する。これらの化合物は狭心症、脳痙攣、糸球体腎炎、肝炎、内毒素血症、ブドウ膜炎、及び同種移植拒絶反応の治療にも有用である。本発明は上記治療を必要とする患者に治療有効量の式Iaの化合物を投与することを含む治療方法を提供する。
【0010】
本発明は更に式Iaの化合物と他の治療有効物質との併用を提供する。その他の態様は以下の詳細な記載に明示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の新規ロイコトリエン生合成阻害剤は構造式Ia:
【0012】
【化7】

[式中、
- - - は単結合及び二重結合から選択され;
「A」は
(a)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子とおよび(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(b)1個以上の炭素原子および1〜4個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(c)炭素原子とおよび1、2又は3個の窒素原子とを含む6員芳香環、
(d)ベンゾチエニル、インドリル、キノリニル及びナフタレニルから選択される二環式芳香環系、
(e)フェニル、並びに
(f)−CH−フェニルから構成される群から選択され;
Aは場合により、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル(例えば−CF)、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル(例えば−OCHF及び−OCF)、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から各々独立して選択される置換基でモノ又はジ置換されており;
Xは−O−及び−S−から選択され;
Yは
(a)−NR−CHR及び−NR−C(O)−(式中、Yにおける窒素は式Iaの5員複素環部分と結合しており、Yにおける炭素は式Iaの二環式複素環部分と結合している。);
(b)−S−、−S(O)−及び−S(O)−、並びに
(c)−O−から選択され;
は−H、−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択され;
は−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OC1−3アルキル及び−OC(O)−C1−3アルキルから構成される群から選択され;
は−H、−C1−6アルキル、1個以上のフルオロで置換された−C1−6アルキル(限定されないが、例えば−CFや−CFCF等の−C1−6ペルフルオロアルキル)、Rで置換された−C1−6アルキル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル、−C5−7シクロアルケニル及び−Zから構成される群から選択され;
は−H、−C1−6アルキル、1個以上のフルオロで置換された−C1−6アルキル(限定されないが、例えば−CFや−CFCF等の−C1−6ペルフルオロアルキル)、Rで置換された−C1−6アルキル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル、−C5−7シクロアルケニル及び−Zから構成される群から選択されるか;
又はRとRは一緒になってオキソを表し;
又はRとRはこれらが結合している炭素と一緒になって−C3−6シクロアルキル環及び−C5−7シクロアルケニル環から構成される群から選択される環を形成し、但し、RとRがこれらが結合している炭素と一緒になって−C5−7シクロアルケニル環を形成する場合には、環のC−1位に二重結合は存在せず;
又はR、R及びRはこれらが結合している炭素と一緒になって、
【0013】
【化8】

から選択されるシクロアルケニル環を形成し;
は不在であるか又は−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びハロから構成される群から選択される置換基であり;
は(a)−H、(b)−C1−4アルキル、(c)−C(O)C1−4アルキル、及び(d)場合により−C1−4アルキルで置換された−C(O)フェニルから構成される群から選択され;
は(a)−H、(b)−C1−4アルキル、(c)−C3−6シクロアルキル、(d)場合により−C1−4アルキル、−F及び−Clから構成される群から各々独立して選択される置換基でモノ又はジ置換されたフェニル、並びに(e)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子とおよび(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環から構成される群から選択され;
は−H及び−C1−4アルキルから構成される群から選択され;
は−COOR、−C(O)H、−CN、−CROH、−OR、−S−C1−6アルキル及び−S−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択され;
10は−H、−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及び−COORから構成される群から選択され;
11は−H、−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択され;
Zは
(a)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子とおよび(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(b)1個以上の炭素原子とおよび1〜4個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(c)炭素原子とおよび1、2又は3個の窒素原子とを含む6員芳香環、
(d)フェニル、並びに
(e)−CH−フェニル及び−CH−ジオキソラニルから構成される群から選択され、Zは場合により、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル(例えば−CF)、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から各々独立して選択される置換基でモノ又はジ置換されている。]の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物である。
【0014】
本発明の1態様は、構造式Ib:
【0015】
【化9】

[式中、
12は−H及び−Fから構成される群から選択され;
13は不在であり又は3位もしくは4位置換基であり、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル(例えば−CF)、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル(例えば−OCHF及び−OCF)、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から選択される]を有する式Iaの範囲内の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物である。本態様の1分類では、R13は−F、−OCF、−OCHF、−CN、−CH及び−OCHから構成される群から選択され、1亜分類では、R13は−Fである。
【0016】
本態様の別の分類は下記構造式I:
【0017】
【化10】

を有する式Ibの範囲内の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物であり、式I中に存在する変数は式Ibに定義した通りである。
【0018】
本発明の別の態様は構造式Ic:
【0019】
【化11】

[式中、
Yは−S−及び−O−から選択され;
12は−H及び−Fから構成される群から選択され;
13は不在であるか又は3位もしくは4位置換基であり、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル(例えば−CF)、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル(例えば−OCHF及び−OCF)、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から選択され;その他の変数は式Iaに定義した通りである。]を有する式Iaの範囲内の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物である。本態様の1分類では、R13は−F、−OCF、−OCHF、−CN、−CH及び−OCHから構成される群から選択され、1亜分類では、R13は−Fである。
【0020】
本発明の別の態様は、Aが
a)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子とおよび(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環、
b)1個以上の炭素原子とおよび1〜4個の窒素原子とを含む5員芳香環、
c)炭素原子とおよび1、2又は3個の窒素原子とを含む6員芳香環、並びに
d)フェニルから構成される群から選択され、
Aが置換されていない又は式Iaに記載したようにモノもしくはジ置換されている、式Iaの化合物である。本態様の1分類では、Aは、置換されていない又は式Iaに記載したようにモノもしくはジ置換されており、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル及びフェニル、特にチアゾリル、ピリジニル及びフェニルから構成される群から選択される。本態様の1亜分類では、Aは、場合により−F、−OCF、−OCHF、−CN、−CH及び−OCHから選択される置換基で3位又は4位を置換され、場合により−Fで2位を置換されたフェニルから選択される。より特定的には、Aは4−フルオロフェニルである。
【0021】
本発明の別の態様はXが−S−である式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。別の態様はXが−O−である式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。
【0022】
本発明の別の態様はYが−NR−CHR及び−NR−C(O)−から選択される式Iaの化合物である。本態様の1分類ではYは−NR−CHRであり、1亜分類ではYは−NR−CH−である。別の態様は、Yが−S−及び−O−から選択される式Iaの化合物である。
【0023】
本発明の別の態様は、- - - が二重結合である式Iaの化合物である。
【0024】
本発明の別の態様は、Rが−H及び−C1−6アルキルから選択される式Iaの化合物である。本態様の1分類では、Rは−H及び−CHから選択され、別の亜分類では、Rは−Hである。
【0025】
本発明の別の態様は、Rが−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OCH、及び−OC(O)CHから構成される群から選択される式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。本態様の1分類では、Rは−H及び−OHから選択され、より特定的には−OHである。
【0026】
本発明の別の態様は、Rが−H、−C1−6アルキル、1個以上のフルオロで置換された−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びフェニルから構成される群から選択される式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。本態様の1分類では、Rは−CH、−C、フルオロで置換された−C1−2アルキル(特に−CF及び−CFCF)、及びシクロプロピルから選択される。
【0027】
本発明の別の態様は、Rが−H、−C1−6アルキル、1個以上のフルオロで置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル、及び−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択される式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。本態様の1分類では、Rは−CH、−C、フルオロで置換された−C1−2アルキル(特に−CF及び−CFCF)、シクロプロピル及び−CHCOOC1−4アルキルから選択される。
【0028】
本発明の別の態様は、RとRが一緒になってオキソを表すか、又はRとRがこれらが結合している炭素と一緒になって−C3−6シクロアルキル環を表す式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。
【0029】
本発明の別の態様は、Rが−H、−CH、−F及び−Clから選択される式Ia、Ib及びIcの化合物である。本態様の1分類では、Rは−H及び−CHから選択される。
【0030】
本発明の別の態様は、Rが−H、−CH及び−COCHから構成される群から選択される式Ia、Ib及びIの化合物である。本態様の1分類では、Rは−Hである。
【0031】
本発明の別の態様は、Rが−H及び−C1−4アルキルから構成される群から選択される式Ia及びIbの化合物である。本態様の1亜分類では、Rは−Hである。
【0032】
本発明の別の態様は、Rが−Hである式Iaの化合物である。
【0033】
本発明の別の態様は、Rが−COOR、特に−COOC1−6アルキルである式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。
【0034】
本発明の別の態様は、R10が−H及び−C1−6アルキルから選択される式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。
【0035】
本発明の別の態様は、R11が−H及び−C1−6アルキルから選択される式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。
【0036】
本発明の別の態様は、Zが置換されていないか、又は式Iaに記載したようにモノもしくはジ置換されており、フェニル、ベンジル、ピリジニル、チアゾリル、ジオキソラニル及びテトラゾリルから構成される群から選択される式Ia、Ib、Ic及びIの化合物である。本態様の1分類では、Zは置換されていないか、又はモノもしくはジ置換されており、フェニル、ピリジニル及びチアゾリルから構成される群から選択される。
【0037】
本発明の化合物としては限定されないが、
4−ブロモ−N−{[4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]メチル}−N−{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}ベンズアミド;M+1=646及び648;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(イソプロピル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン;M+1=506;方法A及びDに従って製造;
7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=467;方法C及びAに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン;M+1=478;方法C及びA及びBに従って製造;
N−{[4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]メチル}−N−{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アセトアミド;M+1=506;方法B及びAに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(1−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=458;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=504;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=450;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(メチル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン;M+1=478;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=450;方法A及びBに従って製造;
3−{7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル}ベンゾニトリル;M+1=471;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=500;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=422;方法A及びBに従って製造;
(R)−6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=464;DMSO−d中R体:8.57(t,1H),7.68−7.63(m,2H),7.53(d,1H),7.42(apparent t,2H),7.26(s,1H),7.18(d,1H),6.53(s,1),4.55(d,2H),2.15−2.05(m,1H),2.01−1.94(m,1H),0.91(t,3H);方法A及びBに従って製造し、CHIRAL PAK ADで分離すると、後から溶出;
(S)−6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=464;アセトン−d中S体:7.70−7.65(m,2H),7.58−7.52(m,2H),7.39(apparent t,2H),7.23(d,1H),6.42(s,1H),6.10(br s,1H),4.73(d,2H),2.26−2.17(m,1H),2.14−2.03(m,1H),0.97(t,3H);方法A及びBに従って製造し、CHIRAL PAK ADで分離すると、先に溶出;
6−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=498;方法A及びBに従って製造;
6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;ラセミ体のM+1=482;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=444;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=442;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=410;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=408;方法A及びBに従って製造;
4−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=472;方法A及びBに従って製造;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=464(ラセミ);方法A及びBに従って製造;
(+)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=464;方法A及びBに従って製造し、CHIRAL PAK ADで分離すると、後から溶出;実施例7参照;
(−)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=464;方法A及びBに従って製造し、CHIRAL PAK ADで分離すると、先に溶出;実施例7参照;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2H−クロメン−2−オン;M+1=490;方法A及びBに従って製造;
6−クロロ−7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−フェニル−2H−クロメン−2−オン;M+1=440;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(3−メチルフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=420;方法C及びBに従って製造;
7−(1−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}エチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=438;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−フルオロプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=426;方法A及びBに従って製造;
7−{[(5−シクロブチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=392;方法A及びBに従って製造;
7−{[(5−シクロペンチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=406;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)クロマン−2−オン;M+1=426;方法A及びBに従って製造;
7−{[[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル](メチル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=438;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(3−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=424;方法A及びBに従って製造;
4−(2,4−ジフルオロフェニル)−7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;M−1=440;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(3−メトキシフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=436;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−メトキシフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=436;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−フェニル−2H−クロメン−2−オン;M+1=406;方法A及びBに従って製造;
7−[({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=448;方法A及びBに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=424;方法A及びBに従って製造;
N−[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−N−{[4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]メチル}アセトアミド;M+1=466;方法Aに従って製造;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=440;方法B及びDに従って製造;
7−{[(5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M−1=408;方法Bに従って製造;
7−({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}チオ)−4−ピリジン−3−イル−2H−クロメン−2−オン;M+1=450;方法C及びEに従って製造;
7−({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}チオ)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=467;方法C及びEに従って製造;
7−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]チオ}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;M+1=443;方法C及びEに従って製造;
並びに適切な場合には、医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物が挙げられる。
【0038】
本発明の化合物を表すために本明細書で使用する「式I」、「式Ia」、「式Ib」、「式Ic」又はここで用いられた他のいずれかの一般構造式の化合物として記載されている化合物を含む本発明の化合物は、医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物が可能な場合には、このような塩、エステル及び溶媒和物を含むこれらの構造式の各々の範囲に該当する化合物を含むものとする。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は医薬的に許容可能な非毒性塩基から製造される塩(例えばNaOHを使用して製造することができるナトリウム塩)を意味する。利用可能なヒドロキシ又はカルボン酸基の医薬的に許容可能なエステルも場合により形成することができる。医薬的に許容可能なエステルの例としては限定されないが、−C1−4アルキルとおよびフェニルおよびジメチルアミノ及びアセチルアミノで置換された−C1−4アルキルとが挙げられる。
【0039】
本明細書に記載する化合物には1個以上の不斉(キラル)中心を含むものもあり、従ってラセミ混合物や、エナンチオマーに富んだ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー及びジアステレオマー混合物を含む光学異性体として存在することができる。本発明はこのような可能な全エナンチオマー及びジアステレオマーに加え、そのラセミ形、分割形、純エナンチオマー形及び実質的純エナンチオマー形と医薬的に許容可能なその塩を含むものとする。更に、本発明の化合物の結晶形には多形として存在するものもあり、従って、このような多形も本発明に含むものとする。更に、本発明の化合物には水又は一般有機溶媒と溶媒和物を形成するものもある。このような溶媒和物と水和物も本発明の範囲に含むものとする。本明細書に記載する化合物にはオレフィン二重結合を含むものもある。本発明はE及びZ幾何異性体の両者を含む。
【0040】
本発明の化合物は例えば適切な溶媒(例えば塩化メチレン/ヘキサン又はEtOAc/ヘキサン)からの分別結晶法や、光学活性固定相を使用するキラルクロマトグラフィーによりその個々のジアステレオマーに分離することができる。絶対立体化学は必要に応じて既知立体配置の立体中心を含む試薬で結晶生成物又は結晶中間体を修飾し、X線結晶構造解析により決定することができる。あるいは、既知絶対立体配置の光学的に純粋な出発材料又は試薬を使用して立体特異的合成により本発明の化合物の任意立体異性体を得ることもできる。
【0041】
本明細書で使用する「アルキル」とは指定炭素原子数の分岐鎖及び直鎖両者の飽和脂肪族炭化水素基、例えばメチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(Pr)、n−ブチル(Bu)、n−ペンチル、n−ヘキシル、及びその異性体(例えばイソプロピル(i−Pr)、イソブチル(i−Bu)、secブチル(s−Bu)、tertブチル(t−Bu)、イソペンチル、イソヘキシル等)を意味する。「シクロアルキル」とは特定炭素原子数(例えば炭素原子数3、4、5又は6)の単環式飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用する「C2−6アルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をもつ直鎖又は分岐鎖2〜6炭素鎖を意味する。アルケニルの例としては限定されないが、ビニル(−CH=CH)、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が挙げられる。本明細書で使用する「C5−7シクロアルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をもつ環炭素原子数5〜7の非芳香族単環式環を意味する。
【0043】
上記変数の定義内で、RとRはそれらが結合している炭素と一緒になって環のC−1位に二重結合が存在しない−C5−7シクロアルケニル環を形成することができる。C−1位は本明細書に記載する一般構造式で母核オキサジアゾリル又はチアジアゾリル環と結合するシクロアルケニル環内の環炭素を意味する。この場合、C−1位はRとも結合する。RとRがそれらが結合している炭素と一緒になって3,4−シクロペンテニル環((a)参照)を形成する場合を例にとってこれを以下に例示する。
【0044】
【化12】

【0045】
「場合により置換された」なる用語は「置換されていない又は置換されている」ことを意味し、従って、本明細書に記載する一般構造式は特定された随意の置換基を含む化合物と、これらの随意の置換基を含まない化合物を含む。例えば、「場合により−C1−4アルキルで置換された−C(O)フェニル」なる用語は、−C(O)フェニルとおよび−C1−4アルキルで置換された−C(O)フェニルとを意味する。各変数は一般構造式の定義に出現する毎に独立して定義される。例えば、Rが−CROHであるとき、Rは出現毎に独立して選択され、各Rは同一でも異なっていてもよい。
【0046】
「置換された」なる用語の使用は特に指定しない限り、特定部分のモノ置換と多置換を含むものとする。モノ置換部分は1個の置換基をもち、多置換部分は2個以上の置換基をもち、前記部分の置換に利用可能な各炭素原子と窒素等のヘテロ原子が存在する場合にはこのようなヘテロ原子は独立して置換されていなくてもよいし、その結果として安定な構造が形成されるならばモノ置換又は多置換されていてもよい。例えば、「場合によりフルオロで置換された−C1−6アルキル」は−CH、−CHF、−CHF及び−CFを含む。
【0047】
「ハロ」又は「ハロゲン」なる用語は特に指定しない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。フルオロとクロロが好ましく、フルオロが最も好ましい。
【0048】
A及びZの定義内の5員芳香環の例としては限定されないが、以下の構造式:
【0049】
【化13】

により表されるチエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル及びテトラゾリルが挙げられる。
【0050】
A及びZの定義内の炭素と1、2又は3個の−N−から構成される6員芳香環の例としては限定されないが、以下の構造式:
【0051】
【化14】

により表されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びトリアジニルが挙げられる。
【0052】
本発明の化合物はロイコトリエンの生合成を阻害することができるので、ヒト対象でロイコトリエンにより誘導される症状を予防又は逆行させるために有用である。このロイコトリエンの哺乳動物生合成の阻害は、本発明の化合物とその医薬組成物が哺乳動物、特にヒトでアテローム性動脈硬化症を治療、予防、又は改善するために有用であることを示す。従って、本発明の化合物はこのような治療を必要とする患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することにより、アテローム性動脈硬化症の治療に使用することができる。本発明の別の側面はこのような治療を必要とする患者に予防有効量の本発明の化合物を投与することを含むアテローム性動脈硬化症の発症の危険の予防又は低減方法に関する。アテローム性動脈硬化症は大・中動脈壁の最下層にコレステロールと脂質を含むアテローム斑が沈着することを特徴とする。アテローム性動脈硬化症は該当医学分野に携わる医師により認識及び理解される血管疾患及び症状を含む。血管再建術後の再狭窄を含むアテローム硬化性心血管疾患、冠状動脈性心臓病(冠動脈疾患又は虚血性心疾患とも言う。)、多発梗塞性痴呆を含む脳血管疾患、及び勃起障害を含む末梢血管疾患はいずれもアテローム性動脈硬化症の臨床徴候であるため、「アテローム性動脈硬化症」及び「アテローム硬化性疾患」なる用語に含まれる。
【0053】
本発明の化合物は、冠状動脈性心臓病(CHD)イベント、脳血管イベント、及び/又は間欠性跛行の発生、又は潜在性がある場合にはその再発の危険を予防又は低減するために投与することができる。冠状動脈性心臓病イベントはCHD死、心筋梗塞(即ち、心臓発作)及び冠状血管再建術を含むものとする。脳血管イベントは虚血性又は出血性脳卒中(脳血管障害とも言う)及び一過性脳虚血発作を含むものとする。間欠性跛行は末梢血管疾患の臨床徴候である。本明細書で使用する「アテローム硬化性疾患イベント」なる用語は、冠状動脈性心臓病イベント、脳血管イベント及び間欠性跛行を含むものとする。非致死性アテローム硬化性疾患イベントを過去に1回以上経験した人はこのようなイベントの再発の可能性があるとみなす。
【0054】
従って、本発明はアテローム硬化性疾患イベントの初回又は2回目以降の発生の危険を予防又は低減するための方法として、このようなイベントの危険のある患者に予防有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法も提供する。患者は投与時に既にアテローム硬化性疾患をもつものでもよいし、発症する危険があるものでもよい。
【0055】
本発明の方法は新規アテローム病変又は斑形成を予防又は遅延させ、既存病変又は斑の進行を予防又は遅延させ、更に既存病変又は斑を逆行させるのに役立つ。従って、本発明の1側面はアテローム斑進行の停止又は遅延を含むアテローム性動脈硬化症進行の停止又は遅延方法として、このような治療を必要とする患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。本方法も治療開始時に存在するアテローム斑(即ち、「既存アテローム斑」)の進行の停止又は遅延と、アテローム性動脈硬化症をもつ患者における新規アテローム斑の形成の停止又は遅延を含む。
【0056】
本発明の別の側面は治療開始時に存在するアテローム斑の軽減を含むアテローム性動脈硬化症の軽減方法として、このような治療を必要とする患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0057】
本発明の別の側面はアテローム斑破裂の危険の予防又は低減方法として、このような治療を必要とする患者に予防有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。本発明の別の側面は狭心症及び/又は心筋虚血の治療、予防又は改善方法として、このような治療を必要とする患者に適宜治療有効量又は予防有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0058】
更に、本発明の化合物はロイコトリエン生合成阻害剤として作用するため、1)喘息、慢性気管支炎及び関連閉塞性気道疾患等の肺障害、2)アレルギー性鼻炎、接触性皮膚炎、アレルギー性結膜炎等のアレルギー及びアレルギー反応、3)関節炎や炎症性腸疾患等の炎症、4)疼痛、5)アトピー性湿疹等の皮膚障害、6)高血圧、血小板凝集等の心臓血管障害、7)免疫的又は化学的(シクロスポリン)病因により誘発される虚血に起因する腎不全、8)偏頭痛又は群発性頭痛、9)ブドウ膜炎等の眼症状、10)化学的、免疫的又は感染刺激に起因する肝炎、11)熱傷、内毒素血症等の外傷又はシヨック状態、12)同種移植拒絶反応、13)インターロイキンII及び腫瘍壊死因子等のサイトカインの治療投与に伴う副作用の予防、14)嚢胞性線維症、気管支炎及び他の小・大気道疾患等の慢性肺疾患、15)胆嚢炎、16)多発性硬化症、17)筋芽白血病細胞の増殖並びに18)座瘡の治療、予防又は改善に有用である。
【0059】
従って、本発明の化合物は、また糜爛性胃炎;糜爛性食道炎;下痢;脳痙攣;早産;自然流産;月経困難症;虚血;肝臓、膵臓、腎臓、又は心筋組織の有毒物質による損傷又は壊死;CClやD−ガラクトサミン等の肝毒性物質に起因する肝実質損傷;虚血性腎不全;疾患による肝損傷;胆汁酸塩による膵臓又は胃損傷;外傷又はストレスによる細胞損傷;並びにグリセロールによる腎不全等の哺乳動物(特にヒト)疾患状態を治療又は予防するために使用することができる。ロイコトリエン生合成阻害剤は腫瘍転移の抑制剤としても作用し、細胞保護作用を示す。
【0060】
化合物の細胞保護作用は、強力な刺激物の有毒作用(例えばアスピリン又はインドメタシンの潰瘍誘発作用)に対する胃腸粘膜の耐性の増加を確認することにより動物とヒトの両者において観察することができる。胃腸管に及ぼす非ステロイド性抗炎症薬の作用の低下に加え、動物試験によると、細胞保護化合物は強酸、強塩基、エタノール、高張食塩水等の経口投与により誘発される胃病変を予防する。これらのアッセイは(A)エタノールによる病変のアッセイおよび(B)インドメタシンによる潰瘍アッセイであり、EP140,684に記載されている。特に、本発明の化合物はロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))、エトリコキシブ(ARCOXIA(登録商標))、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))及びバルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))等のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と低用量アスピリンの併用投与に起因する胃糜爛を緩和するために有用であろう。
【0061】
更に、本発明の化合物は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に使用することもできる。S.Kilfeather,Chest,2002,vol 121,197に記載されているように、COPD患者の気道好中球増加症は炎症の要因であると考えられ、気道リモデリングに結び付けられる。好中球の存在の一因はLTBであり、本発明の化合物による治療を使用してCOPD患者の好中球性炎症を緩和できよう。
【0062】
更に、本発明の化合物はアルツハイマー病の治療にも使用することができる。Manev,H.and Manev,R.,“5−Lipoxygenase(ALOX5)and FLAP(ALOX5AP)gene polymorphisms as factors in vascular pathology and Alzheimer’s disease” Medical Hypotheses(2006)66,p.501−503参照。
【0063】
「患者」なる用語は症状の予防又は治療のために本発明の活性剤を使用する哺乳動物、特にヒトを意味する。患者への薬剤投与は自己投与と他者による患者への投与の両者を含む。患者は既存疾患又は症状の治療を必要とするものでもよいし、ロイコトリエン生合成の阻害に影響される疾患及び症状の危険を予防又は低減するために予防処置を必要とするものでもよい。
【0064】
「治療有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医学者により求められる組織、系、動物又はヒトに生物学的又は医学的応答を誘発する薬剤の量を意味する。「予防有効量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医学者により組織、系、動物又はヒトで予防することが求められる生物学的又は医学的イベントの発生の危険を予防又は低減する薬剤の量を意味する。
【0065】
本発明の化合物の予防又は治療用量の程度は当然のことながら、治療する症状の重篤度分類及び特定化合物とその投与経路により異なる。個々の患者の年齢、体重及び応答によっても異なる。一般に、喘息治療、炎症治療、アレルギー治療又はアテローム性動脈硬化症治療用及び一般に細胞保護以外の用途の1日用量範囲は約0.001mg〜約100mg/kg哺乳動物体重、好ましくは0.01mg〜約10mg/kg、最も好ましくは0.1〜1mg/kgを1回又は数回に分けて投与する。他方、場合によっては上記範囲外の用量を使用することが必要な場合もある。1例として、合計1日用量は限定されないが、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、200mg及び250mgから選択することができ、1日1回又は数回に分けて投与することができる。
【0066】
経口組成物を利用する場合には、喘息治療、炎症治療、アレルギー治療又はアテローム性動脈硬化症治療用に適切な用量範囲は、例えば本発明の化合物約0.01mg〜約100mg/kg体重/日、好ましくは約0.1mg〜約10mg/kgであり、細胞保護用には、本発明の化合物0.1mg〜約100mg(好ましくは約1mg〜約100mg、より好ましくは約10mg〜約100mg)/kg体重/日である。
【0067】
静脈内投与用組成物を利用する用途では、喘息治療、炎症治療、アテローム性動脈硬化症治療又はアレルギー治療用に適切な用量範囲は、本発明の化合物約0.001mg〜約25mg(好ましくは0.01mg〜約1mg)/kg体重/日であり、細胞保護用には、本発明の化合物0.1mg〜約100mg(好ましくは約1mg〜約100mg、より好ましくは約1mg〜約10mg)/kg体重/日である。
【0068】
眼疾患の治療には、適切な眼科用製剤中の本発明の化合物の0.001〜1重量%溶液又は懸濁液を含有する眼内投与用眼科用製剤を使用することができる。
【0069】
細胞保護剤としての本発明の化合物の的確な使用量は、特に損傷した細胞を治癒させるために投与するのか又は将来の損傷を回避するために投与するのか、損傷した細胞の種類(例えば胃腸潰瘍形成であるか、ネフローゼ性壊死であるか)及び病因の種類により異なる。将来の損傷の回避における本発明の化合物の使用の1例は単独ではこのような損傷の原因となり得るNSAID(例えば、インドメタシン)と本発明の化合物の併用投与であろう。このような使用には、NSAID投与の30分前から30分後までに本発明の化合物を投与する。NSAIDよりも前又はこれと同時に(例えば併用剤形で)投与することが好ましい。
【0070】
本発明の医薬組成物は、活性成分としての本発明の化合物および医薬的に許容可能なキャリヤーおよび場合により他の治療成分を含有する。哺乳動物、特にヒトに有効な用量の本発明の化合物を投与するのに適したいずれの投与経路をも使用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼内、肺、鼻腔内等の経路を使用することができる。剤形としては錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアゾール等が挙げられる。アテローム性動脈硬化症と関連疾患イベントの治療又は予防用としては、経口製剤が好ましい。
【0071】
これら組成物は、経口、直腸、局所、非経口(例えば皮下、筋肉内及び静脈内)、眼内(眼科薬)、肺(鼻腔内又は口腔吸入)又は鼻腔内投与に適した組成物があるが、所与の症例いずれにも、最適な経路は治療する症状の種類及び重篤度と活性成分の種類により異なる。これら組成物は単位剤形とすると簡便であり、製薬分野で周知のいずれかの方法により製造することができる。
【0072】
吸入投与のためには、本発明の化合物を加圧パック又はネブライザーからエアゾールスプレー形態で送達すると簡便である。製剤化可能な散剤としてこれらの化合物を送達してもよいし、通気粉末吸入装置を使用して粉末組成物を吸入してもよい。吸入に好ましい送達システムは定量吸入(MDI)エアゾールであり、弗化水素や炭化水素等の適切な噴射剤中の本発明の化合物の懸濁液又は溶液として製剤化することができる。
【0073】
本発明の化合物の適切な局所製剤としては経皮デバイス、エアゾール、クリーム、軟膏、ローション、撒布剤等が挙げられる。
【0074】
実際の使用においては、本発明の化合物は活性成分として慣用薬剤配合技術に従って医薬キャリヤーと混和することができる。このキャリヤーは投与に所望される製剤形態、例えば経口か非経口(例えば静脈内)かに応じて多様な形態をとることができる。経口剤形用組成物を製造する場合には、通常の医薬媒体の任意のものを使用することができ、例えば懸濁液、エリキシル剤及び溶液等の経口液体製剤の場合には例えば水、グリコール、油、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用することができ、例えば散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤の場合には澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを使用することができ、固体経口製剤のほうが液体製剤よりも好ましい。投与し易いという理由から錠剤とカプセルが最も有利な経口単位剤形であり、その場合には当然のことながら固体医薬キャリヤーを使用する。所望により、標準水性又は非水性技術により錠剤を被覆してもよい。
【0075】
上記一般剤形に加え、本発明の化合物はその開示内容を参考資料として本明細書に組込む米国特許第3,845,770号;3,916,899号;3,536,809号;3,598,123号;3,630,200号;4,008,719号;及び5,366,738号に記載されているもの等の制御放出手段及び/又は送達装置により投与することもできる。
【0076】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は規定量の活性成分を各々含有するカプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤等の分離単位形態、散剤もしくは顆粒剤、又は水性液体、非水性液体、水中油エマルションもしくは油中水液体エマルション中の溶液もしくは懸濁液の形態とすることができる。このような組成物は任意の製薬法により製造することができるが、どの方法も1種以上の必要成分を構成するキャリヤーと活性成分を混和する段階を含む。一般に、組成物は活性成分を液体キャリヤー又は微粉状固体キャリヤー又はその両者と均質混和した後に必要に応じて生成物を所望形態に成形することにより製造される。例えば、錠剤は場合により1種以上の補助成分を加えて圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠はさらさらした形態(例えば散剤や顆粒剤)の活性成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合し、適切な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠は粉末化合物を不活性液体希釈剤で湿潤させた混合物を適切な機械で成形することにより製造することができる。各錠剤、カシェ剤又はカプセル剤は活性成分約1mg〜約500mgを含有することが望ましい。本発明の化合物の代表的医薬剤形の例を以下に挙げる。
【0077】
【表1】

【0078】
本発明は、本発明の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを配合することを含む医薬組成物の製造方法も含む。本発明の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを配合することにより製造される医薬組成物も含む。
【0079】
治療有効量の本発明の化合物は、本明細書に記載する用量にて本明細書に記載するいずれかの症状を治療又は予防するために有用な医薬を製造するために、使用することができる。例えば、本発明の化合物は喘息、アレルギー及びアレルギー症状、炎症、COPD又は糜爛性胃炎の治療に有用な医薬を製造するために使用することができる。更に、この医薬はアテローム硬化性疾患の発症の危険を予防又は低減するため、臨床症状が顕在化してからアテローム硬化性疾患の進行を停止又は遅延させるため、更にアテローム硬化性疾患イベントの初回又は2回目以降の発生の危険を予防又は低減するためにも有用であり得る。本発明の化合物から構成される医薬は以下に記載するもの等の1種以上の追加の活性剤と併用して製造することもできる。
【0080】
1種以上の追加の活性剤を単一製剤で本発明の化合物と併用してもよいし、活性剤を同時又は順次投与可能な別個の製剤として併用活性剤を患者に投与してもよい。
【0081】
本発明の化合物に加え、本発明の医薬組成物は更にシクロオキシゲナーゼ阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、末梢性鎮痛剤(例えばゾメピラク、ジフルニサル)等の他の活性剤(即ち成分)を含有することができる。本発明の化合物と第2の活性成分の重量比は各成分の有効用量により異なる。一般に、各々の有効用量を使用する。従って、例えば本発明の化合物をNSAIDと併用する場合には、前記化合物とNSAIDの重量比は一般に約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200である。本発明の化合物と他の活性成分の併用も一般に上記範囲に含まれるが、各場合に各活性成分の有効用量を使用すべきである。
【0082】
NSAIDは、(1)プロピオン酸誘導体;(2)酢酸誘導体;(3)フェナム酸誘導体;(4)オキシカム;及び(5)ビフェニルカルボン酸誘導体の5群、又は医薬的に許容可能なその塩に分類することができる。
【0083】
使用することができるプロピオン酸誘導体としては、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸及びチオキサプロフェンが挙げられる。同様の鎮痛作用と抗炎症作用をもつ構造的に類縁のプロピオン酸誘導体もこの群に含むものとする。従って、本明細書に定義する「プロピオン酸誘導体」は、一般に直接又はカルボニル官能基を介して環系、好ましくは芳香環系に結合した遊離−CH(CH)COOH又は−CHCHCOOH基(場合により医薬的に許容可能な塩の基、例えば−CH(CH)COONa又は−CHCHCOONaの形態でもよい)をもつ非麻薬性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬である。
【0084】
使用することができる酢酸誘導体としては、好ましいNSAIDであるインドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オクスピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、及びゾメピラクが挙げられる。同様の鎮痛作用と抗炎症作用をもつ構造的に類縁の酢酸誘導体もこの群に含むものとする。従って、本明細書に定義する「酢酸誘導体」は、一般に環系、好ましくは芳香環系又はヘテロ芳香環系に直接結合した遊離−CHCOOH基(場合により医薬的に許容可能な塩の基、例えば−CHCOONaの形態でもよい)をもつ非麻薬性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬である。
【0085】
使用することができるフェナム酸誘導体としてはフルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸が挙げられる。同様の鎮痛作用と抗炎症作用をもつ構造的に類縁のフェナム酸誘導体もこの群に含むものとする。従って、本明細書に定義する「フェナム酸誘導体」は基本構造:
【0086】
【化15】

を含む非麻薬性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬であり、前記構造は各種置換基をもつことができ、遊離−COOH基は医薬的に許容可能な塩の基(例えば−COONa)の形態でもよい。
【0087】
使用することができるビフェニルカルボン酸誘導体としてはジフルニサル及びフルフェニサルが挙げられる。同様の鎮痛作用と抗炎症作用をもつ構造的に類縁のビフェニルカルボン酸もこの群に含むものとする。従って、本明細書に定義する「ビフェニルカルボン酸誘導体」は基本構造:
【0088】
【化16】

を含む非麻薬性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬であり、前記構造は各種置換基をもつことができ、遊離−COOH基は医薬的に許容可能な塩の基(例えば−COONa)の形態でもよい。
【0089】
本発明で使用することができるオキシカムとしては、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカムが挙げられる。同様の鎮痛作用と抗炎症作用をもつ構造的に類縁のオキシカムもこの群に含むものとする。従って、本明細書に定義する「オキシカム」は一般式:
【0090】
【化17】

(式中、Rはアリール又はヘテロアリール環系である)をもつ非麻薬性鎮痛薬/非ステロイド性抗炎症薬である。
【0091】
以下のNSAID:アンフェナクナトリウム、アミノプロフェン、アニトラザフェン、アントラフェニン、オーラノフィン、リジン酸ベンダザック、ベンジダミン、ベプロジン、ブロペラモール、ブフェゾラク、シンメタシン、シプロカゾン、クロキシマート、タジダミン、デボキサメト、デルメタシン、デトミジン、デキシンドプロフェン、ジアセレイン、ジ−フィサラミン、ジフェンピラミド、エモルファゾン、エンフェナム酸、エノリカム、エピリゾール、エテルサラート、エトドラク、エトフェナマート、ファネチゾールメシラート、フェンクロラク、フェンドサール、フェンフルミゾール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルプロカゾン、ホピルトリン、ホスホサール、フルクロプロフェン、グルカメタシン、グアイメサール、イブプロキサム、イソフェゾラク、イソニキシム、イソプロフェン、イソキシカム、レフェタミンHCl、レフルノミド、ロフェミゾール、ロナゾラクカルシウム、ロチファゾール、ロキソプロフェン、リジンクロニキシナート、メクロフェナム酸ナトリウム、メセクラゾン、ナブメトン、ニクチンドール、ニメスリド、オルパノキシン、オキサメタシン、オキサパドール、クエン酸ペリソキサール、ピメプロフェン、ピメタシン、ピプロキセン、ピラゾラク、ピルフェニドン、マレイン酸プログルメタシン、プロカゾン、ピリドキシプロフェン、スドキシカム、タルメタシン、タルニフルマート、テノキシカム、チアゾリノブタゾン、チエラビンB、チアラミドHCl、チフラミゾール、チメガジン、トルパドール、トリプタミド、及びウフェナマートも使用することができる。企業コード番号(例えばPharmaprojects参照)により指定される以下のNSAID:480156S、AA861、AD1590、AFP802、AFP860、AI77B、AP504、AU8001、BPPC、BW540C、CHINOIN 127、CN100、EB382、EL508、F1044、GV3658、ITF182、KCNTEI6090、KME4、LA2851、MR714、MR897、MY309、ONO3144、PR823、PV102、PV108、R830、RS2131、SCR152、SH440、SIR133、SPAS510、SQ27239、ST281、SY6001、TA60、TAI−901(4−ベンゾイル−1−インダンカルボン酸)、TVX2706、U60257、UR2301、及びWY41770も使用することができる。
【0092】
最後に、同様に使用可能なNSAIDとしてはサリチル酸塩(特にアセチルサリチル酸)及びフェニルブタゾン並びに医薬的に許容可能なその塩が挙げられる。
【0093】
インドメタシン以外に、他の好ましいNSAIDは、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチンである。本発明の化合物を含有する医薬組成物は更に、参照により本明細書に組込むEP138,481(1985年4月24日)、EP115,394(1984年8月8日)、EP136,893(1985年4月10日)、及びEP140,709(1985年5月8日)に開示されているようなロイコトリエン生合成阻害剤を添加していてもよい。
【0094】
本発明の化合物は、参照により本明細書に組込むEP106,565(1984年4月25日)及びEP104,885(1984年4月4日)に開示されているもの等のロイコトリエンアンタゴニストおよび参照により本明細書に組込むEP出願第56,172号(1982年7月21日)及び61,800号(1982年6月10日)並びに英国特許明細書第2,058,785号(1981年4月15日)に開示されているもの等の当分野で公知の他のロイコトリエンアンタゴニストと併用することもできる。
【0095】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は更に、第2の活性成分としてEP11,067(1980年5月28日)に開示されているもの等のプロスタグランジンアンタゴニストまたは米国特許第4,237,160号に開示されているもの等のトロンボキサンアンタゴニストを含み得る。これらの組成物は更に米国特許第4,325,961号に記載されているα−フルオロメチルヒスチジン等のヒスチジンデカルボキシラーゼ阻害剤を含有し得る。本発明の化合物はH又はH受容体アンタゴニスト(例えばアセタマゾール、EP40,696(1981年12月2日)に開示されているアミノチアジアゾール、米国特許第4,283,408号、4,362,736号、及び4,394,508号に開示されているもの等のベナドリル、シメチジン、ファモチジン、フラマミン、ヒスタジル、フェネルガン、ラニチジン、テルフェナジン等の化合物等)と有利に併用することもできる。この医薬組成物は更に、米国特許第4,255,431号に開示されているオメプラゾール等のK/H ATPアーゼ阻害剤を含有し得る。本発明の化合物は英国特許明細書第1,144,905号及び1,144,906号に記載されている1,3−ビス(2−カルボキシクロモン−5−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロパン及び類縁化合物等の殆どの細胞安定剤と有用に併用することもできる。別の有用な医薬組成物は、本発明の化合物をセロトニンアンタゴニスト(例えば、Nature,316,126−131(1985)に記載のセロトニンアンタゴニストであるメチルセルジド)と組み合わさって含有する。この段落に記載した各文献は参照により本明細書に組込む。
【0096】
他の有利な医薬組成物は、本発明の化合物を抗コリン作用薬(例えば臭化イプラトロピウム)、気管支拡張薬(例えばβアゴニストであるサルブタモール、メタプロテレノール、テルブタリン、フェノテロール等)、並びに喘息治療薬としてテオフィリン、テオフィリン酸コリン及びエンプロフィリン、カルシウムアンタゴニストであるニフェジピン、ジルチアゼム、ニトレンジピン、フェロジピン等、及びコルチコステロイドであるヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン等と組み合わさって含有する。
【0097】
更に、アテローム性動脈硬化症治療薬等の付加活性剤を本発明の化合物と併用することができる。付加活性剤はHMG−CoAレダクターゼ阻害剤等の脂質改変化合物でもよいし、他の医薬活性をもつ物質でもよいし、脂質改変作用と他の医薬活性の両者をもつ物質でもよい。この目的に有用なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例としてはそのラクトン化又はジヒドロキシ開環酸体のスタチンと医薬的に許容可能なその塩及びエステルが挙げられ、限定されないが、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標);米国特許第4,342,767号参照);シンバスタチン(ZOCOR(登録商標);米国特許第4,444,784号参照);ジヒドロキシ開環酸シンバスタチン、特にそのアンモニウム又はカルシウム塩;プラバスタチン、特にそのナトリウム塩(PRAVACHOL(登録商標);米国特許第4,346,227号参照);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(LESCOL(登録商標);米国特許第5,354,772号参照);アトルバスタチン、特にそのカルシウム塩(LIPITOR(登録商標);米国特許第5,273,995号参照);ニスババスタチン(別称NK−104)(PCT国際出願公開WO97/23200参照);及びロスバスタチン(CRESTOR(登録商標);米国特許第5,260,440号参照)が挙げられる。本発明の化合物と併用することができるその他の活性剤としては限定されないが、HMG−CoAシンターゼ阻害剤;米国特許第Re.37721号及び5,846,966号に記載されている1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンであるエゼチミブ(ZETIA(登録商標))等のコレステロール吸収抑制剤;例えばJTT−705(日本タバコ産業)やトルセトラピブ(Pfizer)等のコレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害剤;スクアレンエポキシダーゼ阻害剤;スクアレンシンテターゼ阻害剤(別称スクアレンシンターゼ阻害剤);ACAT−1又はACAT−2の選択的阻害剤とACAT−1及び−2のデュアル阻害剤を含むアシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;ミクロソームトリグリセリド転送蛋白(MTP)阻害剤;プロブコール;ナイアシン;胆汁酸抑制剤;LDL(低密度リポ蛋白)受容体インデューサー;血小板凝集抑制剤(例えば糖蛋白IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリン);ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト、例えば一般にグリタゾンと呼ばれる化合物(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン)及びチアゾリジンジオンとして知られる構造分類に含まれる化合物、加えてチアゾリジンジオン構造分類に含まれないPPARγアゴニスト;PPARαアゴニスト(例えばクロフィブレート、微粉状フェノフィブレートを含むフェノフィブレート、及びゲムフィブロジル);PPARデュアルα/γアゴニスト(例えばムラグリタザル);ビタミンB(別称ピリドキシン)とその医薬的に許容可能な塩(例えばHCl塩);ビタミンB12(別称シアノコバラミン);葉酸又はその医薬的に許容可能な塩もしくはエステル(例えばナトリウム塩及びメチルグルカミン塩);酸化防止ビタミン類(例えばビタミンC及びE並びにβカロテン);β遮断薬;アンギオテンシンIIアンタゴニスト(例えばロサルタン);アンギオテンシン変換酵素阻害剤(例えばエナラプリル及びカプトプリル);カルシウムチャネル遮断薬(例えばニフェジピン及びジルチアゼム);エンドテリンアンタゴニスト;ABC1遺伝子発現を増強する物質;阻害剤とアゴニストの両者を含むFXR及びLXRリガンド;ビスホスホネート化合物(例えばアレンドロン酸ナトリウム);並びにシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(例えばロフェコキシブ及びセレコキシブ)が挙げられる。
【0098】
本発明の化合物は以下のアッセイを使用してその哺乳動物ロイコトリエン生合成阻害活性を測定することにより試験することができる。本発明の代表的な化合物を試験した処、ロイコトリエン生合成阻害剤であることが判明し、大半は下記ヒト5−リポキシゲナーゼ酵素アッセイでIC50が4μM以下であり、このアッセイで試験した好ましい化合物はIC50が0.100μM以下であった。試験した代表的化合物は下記5−リポキシゲナーゼヒト全血アッセイでも5−LO阻害剤としての活性をもつことが判明し、大半はIC50が4μM以下であり、好ましい化合物はIC50が0.500μM以下であった。
【0099】
ヒト5−リポキシゲナーゼ酵素アッセイ
分光光度アッセイと酵素源として組換えヒト5−リポキシゲナーゼを使用して5−リポキシゲナーゼの活性を測定した。Percivalら(Eur.J.Biochem 210,109−117,1992)により記載されているようにヒト5−リポキシゲナーゼのコーディング配列を含む組換えバキュロウイルスrvH5LO(8−1)に感染させたSf9細胞からヒト5−リポキシゲナーゼを精製した。Riendeauら(Biochem.Pharmacol.38,2313−2321,1989)に記載されている手順を多少変更することにより、分光光度アッセイを使用して共役ジエン形成の最適速度(238nm吸光度)から酵素活性を測定した。インキュベーション混合物は25mMリン酸カリウム,pH7.5,0.1mM EDTA、0.3mM CaCl、24μg/mlホスファチジルコリン、0.1mM ATP、0.5mM DTT、20μMアラキドン酸(エタノール中100倍溶液から2μl)、阻害剤(DMSO中100倍溶液からの2μlアリコート)及び精製5−リポキシゲナーゼアリコートとした。精製5−リポキシゲナーゼを加えることにより反応を開始し、共役ジエン生成速度を5分間室温で追跡した。反応はCostar UVプレート(Cat.# 3635)で実施し、SOFTmax PROソフトウェアを使用して238nmの吸光度変化をMolecular Devices UV/VIS 96ウェル分光光度計(Spectra Max 190)で記録した。36秒間238nmの吸光度の増加の直線フィットにより最適反応速度から酵素活性を計算した。ジエン形成速度が遅い場合(<0.01吸光度単位/分)には、直線フィットを180秒間実施した。DMSOビヒクルを含有する対照(一般に0.001〜0.005吸光度単位/分)に対する反応速度の阻害百分率として結果を表す。
【0100】
5−リポキシゲナーゼヒト全血アッセイ
承諾済みボランティアから静脈穿刺により新鮮血液をヘパリン管に採血した。これらのボランティアは外観上炎症症状がなく、採血前少なくとも4日間非ステロイド性抗炎症薬の投与を服用していない。血液約10mlを遠心することにより各ボランティアの血液から血漿を分離した。カルシウムイオノフォアA23187(Sigma,St Louis,Mo,USA)のDMSO中50mMストック溶液を各ボランティアの血漿で40倍に希釈し、1.25mMワーキング溶液を得た。DMSO中、ビヒクル(DMSO)又は試験化合物0.5μlの存在下で各血液の250μlアリコートを37℃で15分間プレインキュベートした。その後、血漿又は1.25mMワーキング溶液(各実験で血液及び血漿は同一ボランティアに由来するものとした)5μlを加え、A23187最終濃度25μMとした。血液混合物を37℃で30分間インキュベートした後、4℃にて1500gで10分間遠心した。上清血漿を全サンプルから採取し、4℃で保存した。Assay Designs(Ann Arbor,MI,USA)製品であるLTB酵素イムノソルベントアッセイ(EIA)キットを製造業者の指示に従って使用して全上清血漿サンプルをロイコトリエンB(LTB)産生について試験した。
【0101】
本発明の化合物はいずれもその開示内容全体を参照により本明細書に組込む米国特許第5,552,437号及びPCT公開WO2004/108720(公開日2004年12月16日)に記載の方法を含む当分野で公知の一般合成手順を使用して製造することができる。以下の方法、反応スキーム及び実施例に概説する合成経路は例示の目的で記載する。一般スキームに「R」として示す基と溶媒、温度及び他の反応条件は当業者が選択又は変更することができる。官能基は保護又は他の官能基に変換することができる。例えば、アミノ基はKCOや窒素塩基等の弱塩基の存在下に塩化アシル又は酸無水物でアシル化することができる。エステルはグリニャール試薬又はアルキルリチウム試薬で第3級アルコールに変換することができる。
【0102】
本明細書で使用する略称の一部を以下に挙げる。Ac=アシル;AIBN=2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;BuLi=n−ブチルリチウム;CAN=硝酸アンモニウムセリウム;DAST=三弗化ジエチルアミノ硫黄;DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン;DCC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCM=ジクロロメタン;DME=エチレングリコールジメチルエーテル;DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;EtOH=エタノール;EtO=ジエチルエーテル;EtN=トリエチルアミン;EtOAc=酢酸エチル;h=時間;HOAc=酢酸;KHMDS=カリウムビス(トリメチルシリル)アミド;LAH=水素化アルミニウムリチウム;LDA=リチウムジイソプロピルアミド;m−CPBA=3−クロロペルオキシ安息香酸;MeOH=メタノール;NBS=N−ブロモスクシンイミド;NMO=4−メチルモルホリンN−オキシド;NMP=1−メチル−2−ピロリジノン;OTf=トリフルオロメタンスルホナート=トリフラート;O−THP=O−テトラヒドロピラン−2−イル;PPTS=p−トルエンスルホン酸ピリジニウム;rt=室温;TBAF=弗化テトラブチルアンモニウム;TfO=トリフル酸無水物;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;TMSCN=シアン化トリメチルシリル。
【0103】
オキサジアゾールは例えば、適切な出発材料を使用して以下の文献及びその引用文献に記載の手順に従って製造することができる:White,A.D.ら,J.Med.Chem.,(1996)39,4382;Futaki,K.,Tosa,S.,Chem.Pharm.Bull.(1960)8,908,Chem.Abstr(1966)64,3558a。
【0104】
チアジアゾールは例えば、適切な出発材料を使用して以下の文献及びその引用文献に記載の手順に従って製造することができる:Werber,G.,Buccheri,F.,Marino,M.L.,J.Hetero.Chem.(1975)12,581;Pandey,V.K.ら,Ind.J.Chem.Sect.B(2003)42,2583;Shaban,M.A.E.,Mostafa,M.A.,Nasr,A.Z.,Pharmazia(2003)58,6;Miyamoto,K.ら,Chem.Pharm.Bull.(1985)33,5126;Yokohama,S.ら,Chem.Pharm.Bull.(1992)40,2391;White,A.D.ら,J.Med.Chem.(1996)39,4382;Bartels−Keith,J.R.,Burgess,M.T.,Stevenson,J.M.,J.Org.Chem.(1977)42,3725。
【0105】
方法A(下記スキーム参照):化合物1は米国特許第5,552,437号及びWO2004/108720に記載の手順に従って製造される。過酸化ベンゾイル、AIBN又は光等のラジカル開始剤の存在下でCCl等の不活性溶媒中、NBSと加熱によりメチル基をモノ又はジブロモ2に変換する。モノブロモ化合物2をジオキサン等の溶媒中、約100℃で過剰のNMOによりアルデヒド8に完全に変換されるまで処理する。あるいは、2のジブロモアナログをジオキサン−水中、還流下にAgNOで短時間処理すると、アルデヒド8が得られた。アルデヒド8はNHOAcの熱HOAc溶液(水を加えてもよい)を使用して2のジブロモアナログからも得られる。
【0106】
化合物4はKCO等の弱塩基の存在下でDMF等の不活性溶媒中、2(モノブロモ)と3の混合物から室温で製造される。THF−水中、NHOH等の塩基でアセチルを除去すると、化合物5が得られる。DCM等の不活性溶媒中、緩塩基を介してアルキルハロゲン化物、脂肪族アシルハロゲン化物又は芳香族アシルハロゲン化物で遊離NHをN−アルキル、N−アルキロイル又はN−アリーロイルに変換する。
【0107】
エタノール等の水素化に適した溶媒中、炭素担持パラジウム等の触媒の存在下で加圧(40〜60psi)及び加熱(40〜60℃)下にクマリン5の二重結合を水素で単結合に還元する。水素化は任意シーケンスの任意時点で実施することができる。
【0108】
方法B(下記スキーム参照):トルエン等の共沸混合物を形成する溶媒中、PPTS等の酸触媒の存在下又は不在下でアルデヒド8とアミン9を同時に還流させると、イミン10が得られる。このイミンをエタノール又はメタノール中、NaBH等で遊離NH5に還元する。R=OHの場合には、イミン10を−78℃のDCM中、DASTで処理し、室温まで昇温させた後、NaBHのエタノール溶液に注入すると、フッ素化アナログ11が得られる。
【0109】
あるいは、イミン10をTHF又はエーテル中、−95〜−78℃でグリニャール試薬と反応させる。混合物を0℃まで昇温させ、NHClでクエンチすると、12が得られる。
【0110】
方法C(下記スキーム参照):クマリン13を80〜120℃のDMF又はNMP中、チオール14とKCO等の無機塩基で処理すると、化合物15が得られる。あるいは、チオール14をメタノール中、KOHで数分間処理し、溶媒を蒸発乾涸する。このカリウム塩にNMP中クマリン13を加え、混合物を80〜120℃まで加熱すると、15が得られる。クマリン16は60℃のCO雰囲気下でMeOH−DMSO(約1:2)中、トリエチルアミン等の塩基の存在下で完了するまで化合物13のパラジウム触媒反応から製造される。
【0111】
方法D(下記スキーム参照):17の−78℃THF溶液にBuLiとクロロトリメチルシランを順次加える。温度を−20℃まで上げ、再び−78℃まで冷却し、BuLiを加えた後にカルボニル基をもつ試薬を加えると18が得られる。
【0112】
方法E(下記スキーム参照):R−(メチルチオ)(チオキソ)酢酸20(式中、Rはアルキルである)(Z.Chem.1977,vol.17,366参照)とヒドラジンカルボジチオ酸カリウム塩19(J.Am.Chem.Soc.1983,105,2287参照)のEtOH溶液を一晩加熱還流する。冷却後、反応混合物をEtOで抽出し、溶媒を除去する。残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製すると、化合物21が得られる。
【0113】
【化18】

【0114】
【化19】

【0115】
【化20】

【0116】
【化21】

【0117】
【化22】

【0118】
7−ブロモ−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシクマリン25は下記方法Fに示すように製造することができる。25の製造方法は米国特許第5,552,437号の17〜18欄スキーム1(構造V参照)と58欄以下の「クマリンの製造(Preparation Of Coumarins)」の標題のセクションにも記載されている。ブロモフェノール22と塩化アセチルの混合物をジクロロメタン等の溶媒中でピリジン等の塩基の存在下に処理することにより22をアセチル化すると、対応する酢酸塩が得られ、塩化アルミニウム等のルイス酸を加えて原液のまま加熱すると、アシル誘導体23が得られる。23をまずベンゼン等の有機溶媒中で水素化ナトリウム等の無機塩基と反応させた後に、炭酸ジエチル等の炭酸塩を加えると、中間体24が得られる。次に、ジクロロメタン等の中性溶媒中、トリエチルアミン等のアミンの存在下でトリフルオロメタンスルホン酸無水物を使用して中間体24を対応するトリフラート25に変換する。
【0119】
【化23】

【実施例】
【0120】
(実施例1A)
7−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:4−ヒドロキシ−7−メチル−2H−クロメン−2−オン
【0121】
【化24】

【0122】
NaH(60g,1500mmol,60%)の80℃トルエン懸濁液にトルエン800mL中の1−(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタノン(100g,666mmol;別称2’−ヒドロキシ−4’−メチルアセトフェノン)を1時間加えた。次に、トルエン1000ml中の炭酸ジエチル(157g,1.3mol)を1時間滴下した。反応混合物を80℃で一晩放置した。室温まで冷却後、溶液をHCl(2N)1.6Lに注入した。形成された沈殿を濾過し、捕集し、MeOH(最少量)中で撹拌した。濾過後、標記化合物を一晩乾燥(55℃,高真空下)すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d):δ12.45(1H,s),7.58(1H,d),7.13(2H,m),6.53(1H,s)及び2.39(3H,s)。
【0123】
ステップ2:4−(4−フルオロフェニル)−7−メチル−2H−クロメン−2−オン
【0124】
【化25】

【0125】
4−ヒドロキシ−7−メチル−2H−クロメン−2−オン(50g,284mmol)とトリエチルアミン(48.8g,482mmol)の−30℃溶液にCHCl 120ml中のTfO(128.1g,454mmol)を非常にゆっくりと加えた(内部温度<−30℃)。30分間撹拌後に溶液を0℃まで昇温させ、NHClでクエンチした。CHClで抽出後、有機相をHO(3回)で洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を除去した。得られた固形分をヘキサン−エーテル(9/1)中で撹拌した。濾過後、トリフラート中間体を乾燥した。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.68(1H,d),7.37(2H,m),6.61(1H,s)及び2.52(3H,s)。
【0126】
THF500mL中のトリフラート(40g,130mmol)、p−フルオロフェニルボロン酸(21.8g,156mmol)、Pd(OAc)(0.87g,3.9mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(1.31g,4.7mmol)及びフッ化カリウム(24.9g,428mmol)の混合物を室温で一晩撹拌した。混合物をセライトで濾過し、溶媒を除去した。次にCHClを使用して粗生成物を小シリカゲルパッドで精製した。溶媒を除去し、得られた固形分にCHCl−ヘキサン(1/9)を加えて撹拌した。濾過後、生成物を乾燥すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.62(2H,m),7.39(3H,m),7.25(1H,s),7.15(1H,d),6.29(1H,s)及び2.45(3H,s)。
【0127】
ステップ3:7−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
【0128】
【化26】

【0129】
CCl 470mL中の4−(4−フルオロフェニル)−7−メチル−2H−クロメン−2−オン(24.0,94.3mmol)、NBS(18.5g,103.8mmol)及び過酸化ベンゾイル(1.14g,4.72mmol)の混合物を還流まで加熱した。溶液を一晩還流させた後、高温で濾過した。室温まで冷却してから溶媒を除去し、化合物をCHClに溶かし、ヘキサン−EtOAc(8/2)→(1/1)を使用して小シリカゲルパッドで精製した。溶媒を除去し、固形分にヘキサン−EtOAcを加えてトリチュレーションし、濾過すると、標記化合物が得られた。残留溶媒を除去すると、多少の出発材料で汚染された付加化合物とジブロモ化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.67(2H,m),7 55(1H,s),7.50(1H,d),7.40(3H,m),6.40(1H,s)及び4.75(2H,s)。
【0130】
(実施例1B)
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸メチル
【0131】
【化27】

【0132】
黄色い着色が残るまで(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸(3.0g,17.4mmol)のエーテル(60ml)溶液にジアゾメタンのエーテル溶液を加えた。次に反応混合物30分間室温で撹拌し、濃縮乾涸すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ5.67(s,1H),3.85(s,3H),1.57(s,3H)。
【0133】
ステップ2:(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノヒドラジド
【0134】
【化28】

【0135】
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸メチル(3.26g,19.0mmol)の溶液にヒドラジン1水和物(2.1ml)を加えた。混合物を130℃に90分間加熱し、室温まで冷却した、蒸発乾涸後、残渣を小シリカゲルベッドで精製(100%EtOAc)すると、標記化合物が得られた。
【0136】
ステップ3:(2S)−2−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール
【0137】
【化29】

【0138】
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノヒドラジド(3.0g,17.5mmol)の水(17mL)溶液に臭化シアン(1.87g,17.7mmol)と重炭酸カリウム(1.82g,18.1mmol)を加えた。白色沈殿が形成されるまで反応混合物を30分間室温で撹拌した。沈殿を濾過し、水洗後、エーテル−ヘキサン(1:1)混液を加えると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ6.57(bs,2H),6.20(bs,1H),1.80(s,3H)。
【0139】
ステップ4:4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド
【0140】
【化30】

【0141】
7−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オンは実施例1Aに記載したように製造することができ、その製造は米国特許第5,552,437号にも記載されている。ジオキサン110mL中の7−(ブロモメチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン(11.42g,34.3mmol)とNMO(13.9g,102.8mmol)を6時間加熱還流した。溶液を室温まで冷却し、溶媒を除去した。粗化合物をEtOAcで希釈し、NHCl水溶液、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ10.20(1H,s),7.95(1H,s),7.85(1H,m),7.68(3H,m),7.38(2H,m)及び6.51(1H,s)。
【0142】
ステップ5:4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン
【0143】
【化31】

【0144】
前段階のアルデヒド(210mg,0.78mmol)、(2S)−2−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(200mg,1.02mmol)及びPPTS(20mg,0.08mmol)のトルエン(2ml)溶液をディーン・スタークトラップで還流下に4時間加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮乾涸した。次に無水エタノール(2ml)を加え、混合物を0℃まで冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(30mg,0.78mmol)を加え、得られた混合物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物をNHCl水溶液とEtOAcに分配した。有機相をブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(クロロホルム−エタノール;95:5)で精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.65(m,2H),7.5(m,3H),7.39(m,3H),6.35(s,1H),6.22(s,1H),4.70(d,2H,J=6Hz),1.81(s,3H)。
【0145】
(実施例2)
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:3−ブロモ−4−メチルアニソール
【0146】
【化32】

【0147】
内部温度を25℃未満に維持しながら、5−メトキシ−2−メチルアニリン(5.00g,36.4mmol)の10℃水(144mL)懸濁液に濃HSO(56mL)を加えた。室温で1時間後に、混合物を3℃まで冷却し、内部温度を5℃未満に維持しながら亜硝酸ナトリウム(3.77g,54.7mmol)の水(20mL)溶液を30分間滴下した。3℃で1時間後に、黄色い不均質混合物を48%HBr水溶液(260mL)中のCuBr(52.0g,364mmol)の5℃溶液に注入した。暗色混合物を60℃に2時間加熱し、室温まで冷却し、EtO(3回)で抽出した(抽出過程で部分的に脱色するために固体Naを加えた)。有機相を合わせて1N NaOH(3回)、10%Na水溶液及びブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮すると、標記化合物がオレンジ色液体として得られ、それ以上精製せずに次段階で使用した。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.24(d,1H),7.14(d,1H),6.87(dd,1H),3.80(s,3H),2.31(s,3H)。
【0148】
ステップ2:(4−ブロモ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)(4−フルオロフェニル)メタノン
【0149】
【化33】

【0150】
塩化4−フルオロベンゾイル(1.40mL,11.9mmol)を室温でAlCl(1.73g,13.0mmol)の1,2−ジクロロエタン(30mL)懸濁液に滴下した。15分後に3−ブロモ−4−メチルアニソール(2.17g,10.8mmol)の1,2−ジクロロエタン(3mL)溶液を滴下した。得られた混合物を2時間撹拌し、氷水200mLに注入し、20分間撹拌し、CHCl(3回)で抽出した。有機相を合わせて5%NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン,5:95)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.86(m,2H),7.38(s,1H),7.31−7.26(m,3H),3.76(s,3H),2.39(s,3H)。
【0151】
ステップ3:(4−ブロモ−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(4−フルオロフェニル)メタノン
【0152】
【化34】

【0153】
(4−ブロモ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)(4−フルオロフェニル)メタノン(1.80g,5.57mmol)のCHCl(6mL)溶液をBBr(1.05mL,11.1mmol)の0℃同一溶媒(14mL)溶液に10分間加え、得られた混合物を0℃で撹拌した。1.5時間後に、反応混合物を氷水200mLに注入し、10分間激しく撹拌し、CHCl(3回)で抽出した。有機抽出相を合わせて水とブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮すると、標記化合物が得られた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ11.46(s,1H),7.88(m,2H),7.58(s,1H),7.37(m,2H),7.32(s,1H),2.34(s,3H)。
【0154】
ステップ4:7−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2H−クロメン−2−オン
【0155】
【化35】

【0156】
(4−ブロモ−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(4−フルオロフェニル)メタノン(1 61g,5.21mmol)と(トリフェニルホスホロアニリデン)酢酸メチル(2.26g,6.77mmol)をトルエン(15mL)還流下に24時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮した。得られた黄色い固形分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc−トルエン,0%→2%)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.70(s,1H),7.66(m,2H),7.46(s,1H),7.39(m,2H),6.39(s,1H),2.40(s,3H)。
【0157】
ステップ5:4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸メチル
【0158】
【化36】

【0159】
7−ブロモ−4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2H−クロメン−2−オン(0.990g,2.97mmol)とPd(dppf)Cl・CHCl(0.485g,0.594mmol)のMeOH(10mL)懸濁液にDMSO(17mL)とEtN(0.828mL,5.94mmol)を順次加えた。混合物を一酸化炭素雰囲気下で65℃に18時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(200mL)に注入し、CHCl(3回)で抽出した。有機抽出相を合わせて水とブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc−トルエン,3%→5%)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.85(s,1H),7.69(m,2H),7.44(s,1H),7.40(m,2H),6.47(s,1H),3.94(s,3H),2.54(s,3H)。
【0160】
ステップ6:4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸
【0161】
【化37】

【0162】
4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸メチル(0.722g,2.31mmol)のTHF(23mL)溶液に1N LiOH(11.6mL,11.6mmol)溶液を加え、混合物を65℃に16時間加熱した。室温に戻して混合物を1N HClで中和し、濃縮した。残渣にTHF(25mL)と2N HCl(50mL)を加えて16時間撹拌した。生成した沈殿を濾取し、水でリンスし、乾燥すると、標記化合物が得られ、それ以上精製せずに使用した。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ13.40(br s,1H),7.80(s,1H),7.64(m,2H),7.44(m,2H),7.32(s,1H),6.54(s,1H),2.48(s,3H)。
【0163】
ステップ7:4−(4−フルオロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−2H−クロメン−2−オン
【0164】
【化38】

【0165】
0℃THF(13mL)中、4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸(0.594g,1.99mmol)とEtN(1.11mL,7.96mmol)にクロロギ酸イソブチル(0.775mL,5.97mmol)を滴下した。1時間後に、新たに調製したNaBH(0.377g,9.96mmol)の水(10mL)溶液を迅速に加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、飽和NHClでクエンチし、EtOAc(3回)で抽出した。有機抽出相を合わせて1N HCl,5% NaHCO及びブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc−CHCl,30:70→35:65→40:60)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.65(m,2H),7.53(s,1H),7.38(m,2H),7.26(s,1H),6.30(s,1H),4.76(d,2H),4.55(t,1H),2.26(s,3H)。
【0166】
ステップ8:4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド
【0167】
【化39】

【0168】
CHCl(350mL)中、4−(4−フルオロフェニル)−7−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−2H−クロメン−2−オン(0.487g,1.71mmol)に活性化MnO(2.23g,25.7mmol)を加えて65時間室温で撹拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を濃縮すると、標記化合物が得られた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ10.40(s,1H),7.86(s,1H),7.70(m,2H),7.46(s,1H),7.42(m,2H),6.53(s,1H),2.66(s,3H)。
【0169】
ステップ9:4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン
【0170】
【化40】

【0171】
冷却器とディーン・スタークトラップを取り付けた丸底フラスコで4−(4−フルオロフェニル)−6−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド(0.357g,1.26mmol)と2−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール(0.32g,1.52mmol)をp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(32mg,0.126mmol)の存在下でトルエン(8mL)還流下に2時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、濃縮乾涸した。残渣をEtOH(6mL)に溶かし、0℃まで冷却し、NaBH(48.0mg,1.26mmol)を加えた。0℃で15分後に反応を飽和NHClでクエンチし、EtOAc(3回)で抽出した。有機抽出相を合わせて水とブラインで洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOH−CHCl,3%→4%)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.66(m,2H),7.46(br s,2H),7.39(m,2H),7.33(s,1H),6.32(s,1H),6.09(br s,1H),4.68(d,2H),2.41(s,3H),2.24(m,1H),2.10(m,1H),1.00(t,3H)。
【0172】
(実施例3)
7−(2−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミノ}エチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:3−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ペンタン−3−オール
【0173】
【化41】

【0174】
2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(市販品)(2.5g,24.72mmol)の−78℃THF(200mL,0.1M)溶液にまずn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(30.9mL,49.4mmol)を加え、15分後にクロロトリメチルシラン(6.27mL,49.4mmol)を加えた。温度を15分間で−20℃まで上げ、再び−78℃まで冷却した。更にn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(15.45mL,24.72mmol)を加え、15分後に3−ペンタノン(2.62mL,24.72mmol)を加えた。次に溶液を室温まで昇温させた(一晩)。反応混合物を飽和NHCl溶液でクエンチし、THFを減圧除去した。水相をEtOAc(3回)で抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮した。得られた粗残渣をカラムクロマトグラフィー(100%EtOAc)により精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ6.3(bs,2H),4.4(bs,1H),2 0−1.7(m,4H),0.9(t,6H)。
【0175】
ステップ2:7−(2−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミノ}エチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
【0176】
【化42】

【0177】
ベンゼン(2.5mL)中の3−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ペンタン−3−オール(0.129g,0.689mmol)、4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド(0.200g,0.746mmol)及び酢酸(7.94μL,0.138mmol)の混合物をディーン・スタークトラップで還流下に一晩撹拌した。冷却後、混合物をTHF(5mL)で希釈し、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.731g,3.45mmol)を加えた。次に混合物を45℃で3時間撹拌した。反応を飽和NaHCO溶液でクエンチし、EtOAcと水に分配した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc−MeOH,50:50:0→0:98:2)により精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ8.7(m,2H),7.5(s,1H),7.45(s,1H),7.4(m,3H),6.35(s,1H),4.75(s,2H),4.5(bs,1H),2.0−1.75(m,4H),0.9(t,6H)。
【0178】
(実施例4)
7−({[5−(1−エチル−1−フルオロプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
ステップ1a:3−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ペンタン−3−オール
【0179】
【化43】

【0180】
臭化エチルマグネシウム(200mmol)の0℃THF(300mL)溶液に5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボン酸エチル(8.00g,50.9mmol;Chemical Abstract,1966,64,3558a)のTHF懸濁液を加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、30分後にNHClでクエンチした。EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥した後、溶媒を除去した。こうして得られた粗生成物をトリチュレーションし、濾過し、乾燥すると、標記化合物が得られた。
【0181】
ステップ1b:3−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ペンタン−3−オール
【0182】
【化44】

【0183】
2−エチル−2−ヒドロキシブタン酸メチル(19.7g,134.7mol)とヒドラジン水和物(14mL)の混合物を130℃まで4時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、過剰の試薬を減圧除去すると、ヒドラジドが得られた。このヒドラジドとKHCO(13.8g,138mmol)を水150mLに加え、BrCN(13.8g,131mmol)を少量ずつ加えた。90分間撹拌後に白色固体を濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ6.20(bs,2H),4.25(s,1H),1.85(m,4H),0.88(t,6H)。
【0184】
ステップ2:7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
【0185】
【化45】

【0186】
トルエン5mL中の3−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)ペンタン−3−オール(0.446g,2.6mmol)と4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド(0.350g,1.3mmol)の混合物をディーン・スタークトラップで一晩還流させた。室温まで冷却後、溶媒を除去し、粗イミンを0℃エタノール(8ml)で希釈した。固体NaBH(49mg)を溶液に加え、30分間撹拌後にNHCl水溶液を加えて過剰の水素化物を分解した。EtOAc−ブラインで希釈後、有機相をMgSOで乾燥した。トルエン−EtOAc(2:8)を使用してシリカゲルで精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.67(m,2H),7.48(m,2H),7.37(m,3H),7.19(bt,1H),6.33(s,1H),4.66(m,2H),4.31(s,1H),1.85(m,4H),0.85(t,6H)。
【0187】
ステップ3:7−({[5−(1−エチル−1−フルオロプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
【0188】
【化46】

【0189】
前段階で得られたイミン(270mg,0.641mmol)のCHCl溶液を−78℃まで予め冷却しておいた三弗化(ジエチルアミノ)硫黄(100μL,0.77mmol)のCHCl溶液に加えた。溶液を−78℃で5分間撹拌し、室温まで昇温させた。室温で40分後、反応混合物をNaBH(0.20g,5.3mmol)のEtOH(10mL)溶液に迅速にデカントし、室温で5分間激しく撹拌した。反応混合物をEtOAcと飽和NHOAc/NaCl水溶液に分配した。相分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機相を合わせて無水MgSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(20−60%EtOAc/ヘキサン)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.60−7.67(m,2H),7.43−7.52(m,3H),7.34−7.40(m,3H),6.32(s,1H),4.68(d,2H),1.95−2.17(m,4H),0.91(t,6H)。
【0190】
(実施例5)
7−(1−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}エチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン
【0191】
【化47】

【0192】
実施例4,ステップ2に記載したように製造したイミン(0.159g,0.37mmol)の−90℃THF(5mL)溶液に臭化メチルマグネシウム(0.79mmol)を加えた。反応混合物を0℃まで昇温させ、NHClでクエンチした。EtOAcで抽出し、MgSOで乾燥し、蒸発させた後、トルエン−EtOAc(2:8)を使用して粗材料をシリカゲルで精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.66(m,2H),7.35−7.52(m,5H),7.19(d,1H),6.33(s,1H),4.95(m,1H),4.23(s,1H),1.72(m,4H),1.63(d,3H),0.80(m,6H)。
【0193】
(実施例6A)
7−ブロモ−4−ピリシン−3−イル−2H−クロメン−2−オンは以下のように製造することができる。
【0194】
【化48】

【0195】
市販の7−ヒドロキシ−4−(3−ピリジル)クマリン(1.48g,6.19mmol)とトリフェニルホスフィンジブロミド(5.22g,12.4mmol)を320〜350℃砂浴で1.5時間加熱する。冷却した固形分をエタノール(200ml)とシリカゲル(100g)に吸収させ、蒸発乾涸する。カラムクロマトグラフィー(トルエン/アセトン;80:20)に付すと、7−ブロモ−4−ピリジン−3−イル−2H−クロメン−2−オンが得られる。
【0196】
(実施例6B)
7−({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシル)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}チオ)−4−ピリジン−3−イル−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:(メチルチオ)(チオキソ)酢酸エチル
【0197】
【化49】

【0198】
DMF(100ml)中の硫黄(5.23g,163mmol)の混合物にトリエチルアミン(34.1ml,245mmol)とクロロ酢酸エチル(10g,81.6mmol)を加えた。3.5時間後にヨードメタン(5.59ml,89.8mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。EtO−水を加え、有機層を分離した。有機相を水(3回)、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、溶媒を除去すると、標記化合物が得られ、それ以上精製せずに次段階で使用した。H NMR(400MHz,アセトン−d):4.38(q,2H),2.72(s,3H),1.34(t,3H)。
【0199】
ステップ2:5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボン酸エチル
【0200】
【化50】

【0201】
(メチルチオ)(チオキソ)酢酸エチル(20.0g,122mmol)とカリウムヒドラジンカルボチオエート(R.S.Dragoら,JACS(1983)105,2287)(17.8g,122mmol)をエタノール(500ml)中で一晩還流させた。溶液を濃縮し、EtOAcを加えた。有機相を1M HCl、ブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲル(ヘキサン−アセトン,80:20)で精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):4.43(q,2H),1.38(t,3H)。
【0202】
ステップ3:ジシクロプロピル(5−メルカプト−1,3.4−チアジアゾール−2−イル)メタノール
【0203】
【化51】

【0204】
臭化シクロプロピルマグネシウム(37ml,0.5M/THF,18.4mmol)の0℃溶液に5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボン酸エチル(1g,5.3mmol)のTHF溶液をゆっくりと加えた。溶液の半量を加えたら、冷却浴を除去し、溶液の残量を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した後、NHCl水溶液EtOに分配した。層分離し、水相をEtOで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−アセトン,95:5)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):4.75(s,1H),1.39−1.26(m,2H),0.67−0.38(m,8H)。
【0205】
ステップ4:7−({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシル)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}チオ)−4−ピリジン−3−イル−2H−クロメン−2−オン
【0206】
【化52】

【0207】
KOH(0.089g,1.59mmol)をジシクロプロピル(5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)メタノール(0.363g,1.60mmol)の無水MeOH溶液に加えた。溶液が得られたら、反応混合物を濃縮乾涸した、次に無水トルエンを加え、混合物を再び濃縮乾涸した。残渣をNMPに溶かし、7−ブロモ−4−ピリジン−3−イル−2H−クロメン−2−オン(400mg,1.32mmol)を加え、得られた混合物を120℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、NHOAc水溶液とEtOAcに分配した。有機相をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラム(トルエン−アセトン,90:10→70:30)で精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.82(d,1H),8.72(s,1H),7.81(dt,1H),7.64(s,1H),7.58−7.50(m,1H),7.48−7.41(m,2H),6.46(s,1H),2.57(s,1H),1.40−1.31(m,2H),0.69−0.57(m,6H),0.50−0.44(m,1H)。
【0208】
(実施例7)
(+)及び(−)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)ブタン酸エチル
【0209】
【化53】

【0210】
トリフルオロピルビン酸エチル(129.0g,758mmol)の−78℃エーテル溶液に90分以内でエーテル(252mL)中3.0M EtMgBr溶液を滴下した。溶液を1時間かけて約−10℃まで昇温させ、飽和NHCl 2Lに注いだ。層分離し、水相をエーテル(3×500mL)で抽出した。有機相を合わせてMgSOで乾燥し、溶媒を除去した。50〜65℃(30mmHg)で蒸留すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ5.4(s,1H),4.35(q,2H),2.07(m,1H),1.83(m,1H),1.3(t,3H)及び0.93(t,3H)。
【0211】
ステップ2:2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)ブタノヒドラジド
【0212】
【化54】

【0213】
ステップ1のエチルエステル(50.04g,250mmol)とヒドラジン水和物(25.03g,50mmol)を80℃に18時間加熱した。過剰のヒドラジンを減圧除去し、EtOAc−ヘキサン(約3L)を使用してシリカゲルパッドで粗生成物を濾過すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ9.7(s,1H),6.10(s,1H),2.25(m,1H),1.85(m,1H)及び0.95(t,3H)。
【0214】
ステップ3:2−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール
【0215】
【化55】

【0216】
水275mL中、ステップ2のヒドラジド(34.07g,183mmol)にKHCO(18.33g,183mmol)とBrCN(19.39g,183mmol)を順次少量ずつ加えた。3時間後に固形分を濾過し、冷水で洗浄し、乾燥すると、標記化合物が得られた。抽出(エーテル−ヘキサン,1:1)により水相から付加化合物を回収することができた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ6.54(s,2H),6.01(s,1H),2.22(m,1H),2.08(m,1H)及び0.99(m,3H)。
【0217】
ステップ4:4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン
【0218】
【化56】

【0219】
10%PPTSを添加したトルエン(160mL)中、ステップ3のオキサジアゾール(14.41g,68.2mmol)と4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド(14.1g,52.5mmol)の混合物を還流まで加熱し、一晩還流させた。システムにディーン・スタークトラップを取り付けて水を捕集した。溶媒を除去し、得られた粗油状物(H NMR(400MHz,アセトン−d):δ9.33(1H,s,イミン))を0℃のEtOH(約75mL)で希釈した。この溶液にNaBH(1.9g)を少量ずつ加え、45分後にNHCl溶液で反応をクエンチした。混合物をNaClで飽和させ、EtOAc(3×200mL)で抽出した。有機相を合わせてMgSOで乾燥した。トルエン−EtOAc(55:45)を使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.65(m,2H),7.50(m,3H),7.38(m,3H),6.35(s,1H),6.06(s,1H),4.70(m,2H),2.21(m,1H),2.11(m,1H)及び0.98(t,3H)。
【0220】
ステップ5:4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの(+)及び(−)エナンチオマーのキラルHPLCカラム分離
【0221】
【化57】

【0222】
(±)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン(0.5〜0.6g)のEtOH−ヘキサン(30:70,約40mL)溶液をCHIRALPAK AD(登録商標)分取(5cm×50cm)HPLCカラムに注入した(EtOH/ヘキサン,30/70を溶離液とし、280nmでUV検出)。エナンチオマーを分離した処、(−)エナンチオマーは保持時間〜34分で溶出し、(+)エナンチオマーは保持時間〜49分で後から溶出した。
【0223】
(実施例8)
4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(メチル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(メチル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン
【0224】
【化58】

【0225】
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オンの(−)異性体(0.100g,0.22mmol)、ヨウ化メチル(2mL)及びKCO(0.061g,0.44mmol)を出発材料が消滅するまで50℃に加熱した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc−水で希釈した。有機層を分離し、乾燥し、溶媒を除去した。シリカゲル(トルエン−アセトン,8:2)で精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ7.68(m,2H),7.51(d,1H),7.48(s,1H),7.39(m,3H),6.49(s,1H),6.12(s,1H),4.8(q,2H),3.17(s,3H),2.26(m,1H),2.09(m,1H),1.02(t,3H)。
【0226】
(実施例9A)
7−ブロモ−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オンは以下のように製造することができる。
【0227】
【化59】

【0228】
ステップ1:7−ブロモ−4−(1−エトキシビニル)−2H−クロメン−2−オン
7−ブロモ−4−トリフルオロメタンスルホニルオキシクマリン(5.1g,13.7mmol)のジオキサン溶液にトリブチル(1−エトキシビニル)錫(4.8mL,14.2mmol)、(PhP)Pd(0.790g,0.7mmol)及びLiCl(1.74g,41mmol)を加える。混合物を4時間還流させ、冷却し、NHCl水溶液とEtOAcに分配する。層分離し、水相をEtOAcで抽出する。有機層を合わせてブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥する。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl/EtOAc;95:5)に付し、ヘキサン/EtO中でトリチュレーションすると、標記化合物が得られる。
【0229】
ステップ2:7−ブロモ−4−(ブロモアセチル)−2H−クロメン−2−オン
THFとHO中の7−ブロモ−4−(1−エトキシビニル)−2H−クロメン−2−オン(2.0g,6.8mmol)の溶液にN−ブロモスクシンイミド(1.3g,14.2mmol)を30分間撹拌下に加える。トルエンを加え、溶媒を蒸発させる。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc;80:20)に付すと、標記化合物が得られる。
【0230】
ステップ3:7−ブロモ−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン
7−ブロモ−4−(ブロモアセチル)−2H−クロメン−2−オン(0.605g,1.7mmol)のDMF溶液にチオアセトアミド(0.138g,1.8mmol)を加える。混合物を室温で24時間、100℃で一晩撹拌する。室温まで冷却してからNHCl水溶液とEtOAcに分配する。層分離し、水相をtOAcで抽出する。有機層を合わせてブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥する。溶媒を蒸発させ、残渣をヘキサン/EtO中でスウィッシュすると、標記化合物が得られる。
【0231】
(実施例9B)
7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン
ステップ1:4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸メチル
【0232】
【化60】

【0233】
DMSO(21ml)とメタノール(12ml)中の7−ブロモ−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン(1.17g,3.63mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.0mL,7.26mmol)と[Pd(dppf)Cl−CHCl(0.593g,0.73mmol)を加えた。反応混合物を一酸化炭素バルーン下に一晩65℃で撹拌した。室温まで冷却後、反応混合物をEtOAc−CHCl(9:1)で希釈し、水(3回)とブラインで洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、蒸発乾涸した。残渣をシリカゲル(ヘキサン−EtOAc,8:2)で精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ8.45(m,1H),8.12(s,1H),7.92(m,2H),6.80(s,1H),3.97(s,3H),2.85(s,3H)。
【0234】
ステップ2:4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸
【0235】
【化61】

【0236】
4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸メチル(1.0g,3.32mmol)のTHF(33ml)溶液に1M水酸化リチウム(16.6ml,16.6mmol)を加えた。反応混合物を65℃に90分間加熱し、室温まで冷却し、蒸発させた。次に2N HCl溶液を残渣に加え、混合物を1時間撹拌した。粉末を濾過すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,DMSO−d):δ8.37(m,1H),8.28(s,1H),7.87(m,2H),6.85(s,1H),2.80(s,3H)。
【0237】
ステップ3:7−(ヒドロキシメチル)−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン
【0238】
【化62】

【0239】
4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボン酸(0.692g,2.41mmol)の0℃THF(16ml)溶液にトリエチルアミン(1.3ml,9.63mmol)とクロロギ酸イソブチル(0.94ml,7.23mmol)を順次15分間加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、水(12ml)中、水素化ホウ素ナトリウム(0.456g,12.0mmol)を加えた。反応混合物を1時間0℃で撹拌し、NHCl溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾涸した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc,4:6→2:8)により精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ8.22(m,1H),8.05(s,1H),7.40(s,1H),7.35(m,1H),6.62(s,1H),4.80(m,2H),4.55(m,1H),2.82(s,3H)。
【0240】
ステップ4:4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド
【0241】
【化63】

【0242】
7−(ヒドロキシメチル)−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン(0.387g,1.42mmol)のCHCl(7ml)溶液にMnO(1.85g,21.2mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。更にMnO(1.85g,21.2mmol)を加え、3時間後に反応混合物をセライトで濾過し、蒸発乾涸し、CHCl−MeOH(9:1)中でトリチュレーションにより精製すると、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ10.12(s,1H),8.45(m,1H),8.31(s,1H),7.95(s,1H),7.85(m,1H),6.9(s,1H),2.80(s,3H)。
【0243】
ステップ5:7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン
【0244】
【化64】

【0245】
4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−カルボアルデヒド(0.200g,0.74mmol)と2−(5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−1,1,1−トリフルオロブタン−2−オール(0.202g,0.96mmol)のトルエン(2ml)溶液にPPTS(0.019g,0.07mmol)を加えた。反応混合物をディーン・スタークトラップで還流下に6時間加熱した。蒸発後、残渣をEtOH(2ml)で希釈し、0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(28mg,0.74mmol)を加えた。15分後に、飽和NHCl溶液で反応をクエンチし、EtOAcで抽出した後、水とブラインで洗浄した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム−エタノール,95:5)に付すと、標記化合物が得られた。H NMR(400MHz,アセトン−d):δ8.27(d,1H),8.09(s,1H),7.45(m,3H),6.66(s,1H),6.08(s,1H),4.7(d,2H),2.83(s,3H),2.22(m,1H),2.10(m,1H),0.98(m,3H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Ia:
【化1】

[式中、
- - - は単結合及び二重結合から選択され;
「A」は
(a)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子と、(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(b)1個以上の炭素原子と、1〜4個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(c)炭素原子と、1、2又は3個の窒素原子とを含む6員芳香環、
(d)ベンゾチエニル、インドリル、キノリニル及びナフタレニルから選択される二環式芳香環系、
(e)フェニル、並びに
(f)−CH−フェニルから構成される群から選択され;
Aは場合により、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から各々独立して選択される置換基でモノ又はジ置換されており;
Xは−O−及び−S−から選択され;
Yは
(a)−NR−CHR及び−NR−C(O)−(式中、Yにおける窒素は式Iaの5員複素環部分と結合しており、Yにおける炭素は式Iaの二環式複素環部分と結合している。);
(b)−S−並びに
(c)−O−から選択され;
は−H、−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択され;
は−H、−OH、−F、−C1−3アルキル、−OC1−3アルキル及び−OC(O)−C1−3アルキルから構成される群から選択され;
は−H、−C1−6アルキル、1個以上のフルオロで置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル、−C5−7シクロアルケニル及び−Zから構成される群から選択され;
は−H、−C1−6アルキル、1個以上のフルオロで置換された−C1−6アルキル、Rで置換された−C1−6アルキル、−C2−6アルケニル、−C3−6シクロアルキル、−C5−7シクロアルケニル及び−Zから構成される群から選択され;
又はRとRは一緒になってオキソを表し;
又はRとRはこれらが結合している炭素と一緒になって−C3−6シクロアルキル環及び−C5−7シクロアルケニル環から構成される群から選択される環を形成し、但し、RとRがこれらが結合している炭素と一緒になって−C5−7シクロアルケニル環を形成する場合には、環のC−1位に二重結合は存在せず;
又はR、R及びRはこれらが結合している炭素と一緒になって、
【化2】

から選択されるシクロアルケニル環を形成し;
は不在であるか又は−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及びハロから構成される群から選択される置換基であり;
は(a)−H、(b)−C1−4アルキル、(c)−C(O)C1−4アルキル、及び(d)場合により−C1−4アルキルで置換された−C(O)フェニルから構成される群から選択され;
は(a)−H、(b)−C1−4アルキル、(c)−C3−6シクロアルキル、(d)場合により−C1−4アルキル、−F及び−Clから構成される群から各々独立して選択される置換基でモノ又はジ置換されたフェニル、並びに(e)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子と、(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環から構成される群から選択され;
は−H及び−C1−4アルキルから構成される群から選択され;
は−COOR、−C(O)H、−CN、−CROH、−OR、−S−C1−6アルキル及び−S−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択され;
10は−H、−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル及び−COORから構成される群から選択され;
11は−H、−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルから構成される群から選択され;
Zは
(a)(i)1個以上の炭素原子と、(ii)酸素及び硫黄から選択される1個のヘテロ原子と、(iii)0、1、2又は3個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(b)1個以上の炭素原子と、1〜4個の窒素原子とを含む5員芳香環、
(c)炭素原子と、1、2又は3個の窒素原子とを含む6員芳香環、
(d)フェニル、並びに
(e)−CH−フェニル及び−CH−ジオキソラニルから構成される群から選択され、Zは場合により、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から各々独立して選択される置換基でモノ又はジ置換されている。]の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物、
但し、以下の化合物は、式Iaの化合物から除く;
7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−6−メチル−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
3−{7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2−オキソ−2H−クロメン−4−イル}ベンゾニトリル;
6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
(S)−6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
6−クロロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(3−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
(−)4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(メチル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン。
【請求項2】
構造式Ib:
【化3】

[式中、
12は−H及び−Fから構成される群から選択され;
13は不在であり又は3位もしくは4位置換基であり、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から選択される。]を有する請求項1に記載の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項3】
構造式I:
【化4】

を有する請求項2に記載の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項4】
構造式Ic:
【化5】

[式中、
Yは−S−及び−O−から選択され;
12は−H及び−Fから構成される群から選択され;
13は不在であるか又は3位もしくは4位置換基であり、(i)−F、(ii)−Cl、(iii)場合により1個以上のハロで置換された−C1−3アルキル、例えば−CF、(iv)場合により1個以上のハロで置換された−OC1−3アルキル、例えば−OCHF及び−OCF、(v)−OC3−6シクロアルキル、(vi)−CHOH、(vii)−COOR、(viii)−CN及び(ix)−NR1011から構成される群から選択される。]を有する請求項1に記載の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項5】
4−ブロモ−N−{[4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]メチル}−N−{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}ベンズアミド;
4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(イソプロピル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン;
N−{[4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]メチル}−N−{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アセトアミド;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(1−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)エチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−{[{5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}(メチル)アミノ]メチル}−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルエチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(1−ヒドロキシシクロペンチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;
(R)−6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−6−フルオロ−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
4−(4−フルオロフェニル)−7−({[5−(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチルプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
4−[3−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;
(+)−4−(4−フルオロフェニル)−7−[({5−[1−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチル)プロピル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−[3−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−2H−クロメン−2−オン;
6−クロロ−7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−フェニル−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(3−メチルフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−(1−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}エチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−フルオロプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−{[(5−シクロブチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−{[(5−シクロペンチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)クロマン−2−オン;
7−{[[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル](メチル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
4−(2,4−ジフルオロフェニル)−7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(3−メトキシフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−メトキシフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−フェニル−2H−クロメン−2−オン;
7−[({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル}アミノ)メチル]−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
N−[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−N−{[4−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル]メチル}アセトアミド;
7−({[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]アミノ}メチル)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−{[(5−tert−ブチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)アミノ]メチル}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}チオ)−4−ピリジン−3−イル−2H−クロメン−2−オン;
7−({5−[ジシクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}チオ)−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オン;
7−{[5−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]チオ}−4−(4−フルオロフェニル)−2H−クロメン−2−オンから構成される群から選択される請求項1に記載の化合物並びに医薬的に許容可能なその塩、エステル及び溶媒和物。
【請求項6】
治療有効量の請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーから構成される医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物と、脂質改変化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーとから構成される医薬組成物。

【公開番号】特開2008−101010(P2008−101010A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300093(P2007−300093)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【分割の表示】特願2008−502204(P2008−502204)の分割
【原出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】