説明

チェックポイントキナーゼの阻害剤

本発明は、CHK1活性を阻害する縮合イミダゾールを含む化合物を提供する。本発明は、このような阻害的化合物を含む組成物、及び癌の治療を必要とする患者に、前記化合物を投与することによってCHK1活性を阻害する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞周期のチェックポイントは、細胞周期の遷移の順序及びタイミングを調節する制御経路である。細胞周期のチェックポイントは、DNA複製及び染色体分離などの重要な現象が高い精度で完結されることを保証する。これらの細胞周期のチェックポイントの制御は、腫瘍細胞が多くの化学療法及び放射線照射に応答する様式の重要な決定要因である。多くの有効な癌療法は、DNAに損傷を引き起こすことによって機能するが、これらの因子に対する耐性は、なお、癌の治療における重大な制約となっている。薬物耐性の幾つかの機序のうち、重要な機序は、チェックポイント経路の重大な活性化の制御を通じて、細胞周期の進行を抑制することに起因する。これは、修復のための時間を与えるために細胞周期を停止させ、修復を促進するための遺伝子の転写を誘導することにより、即座の細胞死を回避する。例えば、G2チェックポイントでのチェックポイントの停止を無効にすることによって、DNA損傷によって誘導された腫瘍の細胞死を相乗的に増強し、耐性を回避することが可能であり得る。
【0002】
ヒトCHK1は、cdc2/サイクリンBの活性化を抑制し、有糸分裂を開始することに関与し得るホスファターゼcdc25のセリン216をリン酸化することによって細胞周期の停止を制御する上で役割を果たす。従って、CHK1の阻害は、DNA修復が完了する前に有糸分裂を開始し、これにより腫瘍の細胞死を引き起こすことによってDNA損傷因子を増強するはずである。
【0003】
CHK1(Chek1とも称される。)の阻害剤である新規化合物を提供することが、本発明の目的である。
【0004】
CHK1の阻害剤である新規化合物を含む医薬組成物を提供することも、本発明の目的である。
【0005】
CHK1活性のこのような阻害剤を投与することを含む、癌を治療するための方法を提供することも、本発明の目的である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、CHK1活性を阻害する縮合イミダゾールを含む化合物を提供する。本発明は、このような阻害的化合物を含む組成物、及び癌の治療を必要とする患者に、前記化合物を投与することによってCHK1活性を阻害する方法も提供する。
【0007】
本発明の化合物は、CHK1の活性の阻害において有用である。本発明の第一の実施形態において、CHK1活性の阻害剤は、式A
【0008】
【化5】

の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体によって表される。
【0009】
(式中:
aは、0又は1であり;bは、0又は1であり;mは、0、1又は2であり;nは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
環Zは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及び(C−C)シクロアルキルから選択され;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、Br、I、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、Br、I、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル、SH及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、Br、I、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル、SH、及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR、オキソ、CHO、(N=O)R、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル、SH又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
6aは、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、(C−C)アルキレン−S(O)、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキレン−アリール、(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H及び(C−C)アルキレン−COHから選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ及びN(Rから選択される最大3個の置換基で場合により置換されており;
及びRは、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR及びRは、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり;並びに
は、独立に、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)である。)
又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体によって表される。
【0010】
本発明の第二の実施形態において、CHK1活性の阻害剤は、式B
【0011】
【化6】

(他の全ての置換基及び変数は、第一の実施形態において定義されているとおりである。)
又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体によって表される。
【0012】
本発明の第三の実施形態において、CHK1活性の阻害剤は、式C
【0013】
【化7】

(他の全ての置換基及び変数は、第一の実施形態において定義されているとおりである。)又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体によって表される。
【0014】
本発明の第四の実施形態において、CHK1活性の阻害剤は、式D
【0015】
【化8】

(他の全ての置換基及び変数は、第一の実施形態において定義されているとおりである。)又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体によって表される。
【0016】
本発明の具体的な化合物には、
5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−4);
5−(3−アミノプロピル)−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−5);
5−(3−アミノプロピル)−8−ブロモ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−6);
3−(8−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン(2−8);及び
3−(9−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン(3−3)
又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体が含まれる。
【0017】
本発明の化合物のTFA塩には、
5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−4);
5−(3−アミノプロピル)−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−5);
5−(3−アミノプロピル)−8−ブロモ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−6);
3−(8−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン(2−8);及び
3−(9−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン(3−3)
又はそれらの立体異性体が含まれる。
【0018】
本発明の化合物は、(「E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley&Sons,New York,1994,pages 1119−1190」に記載されているように)不斉中心、キラル軸及びキラル平面を有することがあり、ラセミ体、ラセミ混合物及びそれぞれのジアステレオマーとして存在する場合があり、光学異性体を含む全ての可能な異性体及びこれらの混合物が、本発明に含まれる。さらに、本明細書に開示されている化合物は、互変異性体として存在することがあり、互変異性構造が一つだけ図示されている場合でも、本発明の範囲には、両方の互変異性形態が包含されるものとする。
【0019】
任意の可変因子(例えば、R、R、R6aなど)が任意の構成要素中に2回以上現れる場合、各出現時におけるその定義は、他のあらゆる出現と独立である。また、置換基及び可変因子の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物を与える場合にのみ許容される。置換基から環系に引かれた線は、表記の結合が置換可能な環原子の何れに付着してもよいことを表している。環系が二環式である場合、前記結合は、二環式部分の各環上の適切な原子の何れかに結合されるものとする。
【0020】
化学的に安定で、容易に利用可能な出発物質から、本分野において公知の技術及び以下に示されている方法によって、容易に合成できる化合物を提供するために、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは当業者によって選択され得ることが理解される。置換基自体が2個以上の基で置換されている場合、これらの複数の基は、安定な構造をもたらす限り、同一の炭素又は別異の炭素上に存在し得るものと理解される。「1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換された」という用語は、「少なくとも1つの置換基で場合により置換された」という用語と等価であると解釈すべきであり、このようなケースにおいて、好ましい実施形態は、0から3個の置換基を有する。
【0021】
1つ又はそれ以上のケイ素(Si)原子は、化学的に安定で、容易に利用可能な出発物質から、本分野において公知の技術によって、容易に合成できる化合物を提供するために、本発明の化合物中に当業者によって、1つ又はそれ以上の炭素原子の代わりに取り込まれ得ることが理解される。炭素とケイ素は、共有結合半径が異なるので、同等のC元素及びSi元素の結合を比較すると、結合距離の立体配置に差が生じる。これらの差は、炭素と比べて、ケイ素含有化合物のサイズと形状に僅かな変化をもたらす。当業者は、サイズと形状の差が、効力、溶解度、標的外活性の欠如、充填特性などに僅かな差又は劇的な差をもたらし得ることを理解する(Diass,J. O. et al.Organometallics (2006)5:1188−1198;Showell,G.A. et al.Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2006)16:2555−2558)。
【0022】
本明細書において使用される「アルキル」は、炭素原子の指定された数を有する、分枝及び直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むものとする。例えば、「C−C10アルキル」におけるような、C−C10は、直鎖又は分枝配置で、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素を有する基を含むものと定義される。例えば、「C−C10アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどを含む。
【0023】
「シクロアルキル」という用語は、炭素原子の指定された数を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」には、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
【0024】
「アルコキシ」は、酸素架橋を通じて結合された、炭素原子の表記の数を有する環状又は非環状アルキル基の何れかを表す。従って、「アルコキシ」は、上記アルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0025】
炭素原子の数が指定されていない場合、「アルケニル」という用語は、2から10個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する、直鎖、分枝又は環状の非芳香族炭化水素基を表す。好ましくは、1個の炭素−炭素二重結合が存在し、最大4個の非芳香族炭素−炭素二重結合が存在し得る。従って、「C−Cアルケニル」とは、2から6個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、2−メチルブテニル及びシクロヘキセニルが含まれる。前記アルケニル基の直鎖、分枝又は環状部分は、二重結合を含有することができ、置換されたアルケニル基が表記されている場合には、置換されることができる。
【0026】
「アルキニル」という用語は、2から10個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する、直鎖、分枝又は環状の炭化水素基を表す。最大3個の炭素−炭素三重結合が存在し得る。従って、「C−Cアルキニル」とは、2から6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基には、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどが含まれる。アルキニル基の直鎖、分枝又は環状部分は、三重結合を含有することができ、置換されたアルキニル基が表記されている場合には、置換されることができる。
【0027】
一部の例では、置換基は、(C−C)アルキレン−アリールなど、ゼロを含む炭素の範囲で定義され得る。アリールがフェニルである場合、この定義は、フェニル自体及び−CHPh、−CHCHPh、CH(CH)CHCH(CH)Phなどを含む。
【0028】
本明細書において使用される「アリール」とは、各環中に最大7個の原子を有し、少なくとも一つの環が芳香族である、あらゆる安定な単環式又は二環式炭素環を意味するものとする。このようなアリール要素の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アンスリル又はアセナフチルが含まれる。アリール置換基が二環式であり、一つの環が非芳香族である場合には、結合は芳香環を介するものと理解される。
【0029】
本明細書において使用されるヘテロアリールという用語は、各環中に最大7個の原子を有し、少なくとも1つの環が芳香族であり、並びにO、N及びSからなる群から選択される1から4個までの複素原子を含有する安定な単環式又は二環式環を表す。本定義の範囲に属するヘテロアリール基には、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが含まれる。以下の複素環の定義に関しては、「ヘテロアリール」は、あらゆる含窒素ヘテロアリールのNオキシド誘導体を含むものと理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、一つの環が非芳香族であり、又は複素原子を含有しない場合には、結合は、それぞれ、芳香環又は含複素原子環を介するものと理解される。
【0030】
当業者によって理解されるように、本明細書において使用される「ハロ」又は「ハロゲン」には、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)及びヨード(I)が含まれるものとする。
【0031】
本明細書において使用される「複素環」又は「ヘテロシクリル」という用語は、O、N及びSからなる群から選択される1から4個の複素原子を含有する3員から10員の芳香族又は非芳香族複素環を意味するものとし、二環式の基が含まれる。従って、「ヘテロシクリル」には、上記のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類縁体が含まれる。「ヘテロシクリル」のさらなる例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル及びテトラヒドロチエニル、並びにこれらのN−オキシドが含まれる。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介して、又は複素原子を介して行われ得る。
【0032】
特段の定義がなければ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル置換基は、非置換であり、又は非置換であり得る。例えば、(C−C)アルキルは、OH、オキソ、ハロゲン、アルコキシ、ジアルキルアミノ又はヘテロシクリル(モルホリニル、ピペリジニルなど)から選択される1、2又は3個の置換基で置換されて得る。この場合、一方の置換基がオキソであり、他方がOHであれば、以下のもの:−(C=O)CHCH(OH)CH、−(C=O)OH、−CH(OH)CHCH(O)などが定義に含まれる。
【0033】
ある種の例において、R及びRは、これらが結合している窒素とともに、各環中に3−7員を有し並びに前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成し、前記複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。このようにして形成され得る複素環の例には、以下のもの:
【0034】
【化9】

が含まれるが、複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されることを銘記されたい。
【0035】
式A及びBの一実施形態において、環Zは、
【0036】
【化10】

から選択される。
【0037】
式A及びBの別の実施形態において、環Zは、
【0038】
【化11】

から選択される。
【0039】
式A及びBの一実施形態において、環Zは、
【0040】
【化12】

から選択される。
【0041】
式Aの実施形態において、Rは、ハロ、(C−C)アルキル及び(C−C)アルコキシから選択され、前記アルキルは、場合によって、OH及びNHで置換される。
【0042】
式A及びBの別の実施形態において、nは、0、1、2、3又は4である。
【0043】
式A及びBの別の実施形態において、nは、0、1又は2である。
【0044】
式A及びBの別の実施形態において、nは、0又は1である。
【0045】
式A及びBの別の実施形態において、nは、0である。
【0046】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、CHである。
【0047】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、アリール、ハロ、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個又はそれ以上の置換基で場合により置換される。
【0048】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、アリール、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個又はそれ以上の置換基で場合により置換される。
【0049】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、ハロである。
【0050】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、(C−C)−NR’R’’から選択され、前記(C−C)は、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0051】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、プロピル−NR’R’’から選択され、前記プロピルは、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0052】
式A及びBの別の実施形態において、Rは、アリール、ハロ、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合によって置換され;並びにRは、(C−C)−NR’R’’から選択され、前記(C−C)は、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0053】
式Cの実施形態において、nは、0、1、2、3又は4である。
【0054】
式Cの実施形態において、nは0、1又は2である。
【0055】
式Cの別の実施形態において、nは0又は1である。
【0056】
式Cの別の実施形態において、nは0である。
【0057】
式Cの別の実施形態において、RはCHである。
【0058】
式Cの別の実施形態において、Rは、アリール、ハロ、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個又はそれ以上の置換基で場合により置換される。
【0059】
式Cの別の実施形態において、Rは、アリール、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個又はそれ以上の置換基で場合により置換される。
【0060】
式Cの別の実施形態において、Rは、ハロである。
【0061】
式Cの別の実施形態において、Rは、(C−C)−NR’R’’から選択され、前記(C−C)は、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルアルケニル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0062】
式Cの別の実施形態において、Rは、プロピル−NR’R’’から選択され、前記プロピルは、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルアルケニル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0063】
式Cの別の実施形態において、Rは、アリール、ハロ、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合によって置換され;並びにRは、(C−C)−NR’R’’から選択され、前記(C−C)は、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0064】
式Dの実施形態において、nは、0、1、2、3又は4である。
【0065】
式Dの実施形態において、nは0、1又は2である。
【0066】
式Dの別の実施形態において、nは0又は1である。
【0067】
式Dの別の実施形態において、nは0である。
【0068】
式Dの別の実施形態において、RはCHである。
【0069】
式Dの別の実施形態において、Rは、アリール、ハロ、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個又はそれ以上の置換基で場合により置換される。
【0070】
式Dの別の実施形態において、Rは、アリール、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1個又はそれ以上の置換基で場合により置換される。
【0071】
式Dの別の実施形態において、Rは、ハロである。
【0072】
式Dの別の実施形態において、Rは、(C−C)−NR’R’’から選択され、前記(C−C)は、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−Cアルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルアルケニル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0073】
式Dの別の実施形態において、Rは、プロピル−NR’R’’から選択され、前記プロピルは、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルアルケニル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。)
【0074】
式Dの別の実施形態において、Rは、アリール、ハロ、C−Cシクロアルキル及びヘテロシクリルから選択され、前記アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合によって置換され;並びにRは、(C−C)−NR’R’’から選択され、前記(C−C)は、1つ又はそれ以上のRで場合によって置換されており、並びに前記R’及びR’’は、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR’及びR’’は、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0075】
式A、B、C、及びDの別の実施形態において、R、R及びRは、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されている。
【0076】
式A、B、C及びDの別の実施形態において、Rは、H、ハロ及びO(C−C)アルキルから選択される。
【0077】
式Cの別の実施形態において、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、エチルアミン又はプロピルアミンであり、及びRは、ハロ又は−OMeである。
【0078】
式Dの別の実施形態において、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、エチルアミン又はプロピルアミンであり、及びRは、ハロ又は−OMeである。
【0079】
本発明には、式Aの化合物の遊離形態並びに医薬として許容されるそれらの塩及び立体異性体が含まれる。本明細書中に例示されている単離された具体的な化合物の幾つかは、アミン化合物のプロトン化された塩である。「遊離形態」という用語は、非塩形態のアミン化合物を表す。包含される医薬として許容される塩には、本明細書中に記載されている具体的な化合物に対して例示される単離された塩のみならず、式Aの化合物の遊離形態の、医薬として許容される典型的な全ての塩も含まれる。記載されている具体的な塩化合物の遊離形態は、本分野で公知の技術を用いて単離することができる。例えば、前記遊離形態は、希NaOH水溶液、炭酸カリウム、アンモニア及び炭酸水素ナトリウムなどの、適切な希塩基水溶液で前記塩を処理することによって、再生することができる。遊離形態は、極性溶媒中での溶解度など、ある種の物理特性が、それらの各塩形態と若干異なる場合があるが、酸塩及び塩基塩は、本発明の目的に対して、それらの各遊離形態とそれ以外の点で医薬的に等価である。
【0080】
本発明の化合物の医薬として許容される塩は、塩基性部分又は酸性部分を含有する本発明の化合物から、慣用の化学的方法によって合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって調製され、又は、遊離塩基を、適切な溶媒若しくは溶媒の様々な組み合わせ中で、所望の塩を形成する無機酸若しくは有機酸の化学量論的な量若しくは過剰量と反応させることによって調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機塩基又は有機塩基との反応によって形成される。
【0081】
従って、本発明の化合物の医薬として許容される塩には、塩基性の本発明の化合物を無機酸又は有機酸と反応させることによって形成される、本発明の化合物の無毒な慣用の塩が含まれる。例えば、無毒な慣用の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導される塩;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)などの有機酸から調製される塩が含まれる。
【0082】
本発明の化合物が酸性である場合には、適切な「医薬として許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、医薬として許容される無毒の塩基から調製される塩を表す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。医薬として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの、一級、二級及び三級アミン、天然に存在する置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
【0083】
上記医薬として許容される塩及びその他の典型的な医薬として許容される塩の調製は、「Berg et al.,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19」にさらに詳しく記載されている。
【0084】
生理的条件下では、化合物中の脱プロトン化された酸性部分(カルボキシル基など)は、陰イオンとなることができ、この電荷は、次いで、プロトン化又はアルキル化された塩基性部分(四級窒素原子など)の陽イオン電荷に対して内部的に打ち消され得るので、本発明の化合物は、内部塩又は双性イオンとなり得る可能性を秘めていることにも留意すべきである。
【0085】
用途
本明細書に記載されている化合物、組成物及び方法は、特に、癌の治療に有用と考えられる。本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌には、心臓:肉腫(血管肉腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、繊維腫、脂肪腫及び奇形腫;肺:気管支癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫、非小細胞肺;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(膵管腺癌、インシュリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、繊維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮癌、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞腫、繊維腫、繊維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝臓癌(肝細胞癌)、胆管腫、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、繊維肉腫、悪性繊維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(osteochronfroma)(骨軟骨腫(osteocartilaginous exostoses))、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液繊維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、シュワン腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺腫、ムチン性嚢胞腺癌、分類されていない癌腫]、顆粒膜細胞腫、セルトーリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、繊維肉腫、悪性黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫)、乳房;血液:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、あざ 形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚繊維腫、ケロイド、乾癬;並びに副腎:神経芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されるものではない。従って、本明細書で使用される「癌細胞」という用語には、上記症状の何れか一つに罹患した細胞が含まれる。
【0086】
本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌には、乳癌、前立腺癌、大腸癌、直腸結腸癌、肺癌、脳腫瘍、精巣癌、胃癌、卵巣癌、膵臓癌、皮膚癌、小腸癌、大腸癌、咽喉癌、頭部及び頸部癌、口腔癌、骨癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、甲状腺癌及び血液癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌には、乳癌、前立腺癌、大腸癌、卵巣癌、結腸直腸癌及び肺癌が含まれる。
【0088】
本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌には、乳癌、大腸癌、(結腸直腸癌)及び肺癌(非小細胞肺癌)が含まれる。
【0089】
本発明の化合物、組成物及び方法によって治療され得る癌には、リンパ腫及び白血病が含まれる。
【0090】
本発明の化合物は、癌を治療するのに有用である医薬を調製する上でも有用である。
【0091】
本発明の化合物は、単独で、又は、医薬組成物中の医薬として許容される担体、賦形剤若しくは希釈剤と組み合わせて、標準的な医薬慣行に従って、哺乳動物(ヒトを含む。)に投与され得る。本化合物は、経口的に、又は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸及び局所投与経路など、非経口的に投与することができる。
【0092】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性又は油性懸濁液剤、分散性散剤又は顆粒剤、エマルジョン、硬若しくは軟カプセル剤、又はシロップ剤若しくはエリキシル剤として、経口用途に適した形態とすることができる。経口で使用することが意図された組成物は、医薬組成物の製造の分野で公知の何れかの方法に従って調製することができ、このような組成物は、医薬として上品で、口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選択される1つ又はそれ以上の薬剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適切である、医薬として許容される無毒の賦形剤と混合された活性成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクとすることができる。錠剤は被覆されていなくてもよく、又は薬物の不快な味を隠すために、若しくは消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、これによってさらに長時間にわたる持続作用をもたらすために、公知の技術によって被覆することもできる。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの、味を隠す水溶性物質、又はエチルセルロース、酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延物質を使用し得る。
【0093】
経口用製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル剤、又は活性成分が、ポリエチレングリコールなどの水溶性担体若しくはオイル媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブオイルと混合されている軟質ゼラチンカプセル剤として与えることもできる。
【0094】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤と混合された活性物質を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアゴムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合産物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドの長鎖脂肪酸アルコールとの縮合産物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどのエチレンオキシドの脂肪酸由来部分エステル及びヘキシトールとの縮合産物、又はエチレンオキシドの脂肪酸由来部分エステル及びヘキシトール無水物との縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。水性懸濁液は、1つ又はそれ以上の防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル、1つ又はそれ以上の着色剤、1つ又はそれ以上の着香剤及びスクロース、サッカリン又はアスパルテームなどの1つ又はそれ以上の甘味剤も含有し得る。
【0095】
油性懸濁液は、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナッツ油、又は液体パラフィンなどの鉱物油中に活性成分を懸濁することによって調合され得る。油性懸濁液は、濃縮剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含有し得る。口当たりのよい経口調製物を提供するために、上述のものなどの甘味剤、及び着香剤を添加することができる。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール又はα−トコフェロールなどの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0096】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散可能な粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び1つ又はそれ以上の防腐剤と混合された活性な化合物を与える。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既述されたものが例として挙げられる。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤及び着色剤も存在し得る。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0097】
本発明の医薬組成物は、水中油エマルジョンの形態とすることもできる。油相は、植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、若しくは鉱物油、例えば、液体パラフィン、又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然のホスファチド、例えば、ダイズレシチン、及び脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレアート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。エマルジョンは、甘味料、着香剤、防腐剤及び抗酸化剤を含有することもできる。
【0098】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースとともに調合され得る。かかる製剤は、粘滑薬、防腐剤、着香剤及び着色剤並びに抗酸化剤を含有することもできる。
【0099】
前記医薬組成物は、無菌注射用水性液剤の形態とすることができる。使用され得る許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル溶液及び等張の塩化ナトリウム溶液がある。
【0100】
無菌注射用調製物は、活性成分が油相に溶解されている、無菌の注射用水中油ミクロエマルジョンとすることもできる。例えば、まず、ダイズ油及びレシチンの混合物中に活性成分を溶かすことができる。次いで、油溶液を水とグリセロール混合物中に導入し、処理を施して、ミクロエマルジョンを形成させる。
【0101】
注射可能な溶液又はミクロエマルジョンは、局所ボーラス注射によって、患者の血流中に導入することができる。あるいは、本発明の化合物の一定循環濃度を維持するように、溶液又はミクロエマルジョンを投与することが有利であり得る。このような一定濃度を維持するために、連続静脈内送達装置を使用し得る。このような装置の例は、Deltec CADD−PLUSTMモデル5400静脈内ポンプである。
【0102】
前記医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与のために、無菌注射用水性又は油性懸濁液の形態とすることができる。この懸濁液は、適切な上記分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、公知の方法に従って調合され得る。無菌の注射可能な調製物は、非経口的に許容される無毒の希釈剤又は溶媒中の無菌注射可能溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液とすることもできる。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として慣用される。この目的のために、合成モノグリセリド又はジグリセリドなどの、任意の無刺激性不揮発性油が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に用途を見出す。
【0103】
本発明の化合物は、薬物を直腸投与するために、坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温では液体であり、このため、直腸内で融解して薬物を放出し得る適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって調製することができる。かかる材料には、カカオバター、グリセリン化されたゼラチン、硬化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコールの混合物及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物が含まれる。
【0104】
局所に使用する場合は、本発明の化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、液剤又は懸濁液剤などが使用される。(本願では、局所適用は、洗口及びうがい薬を含むものとする。)。
【0105】
本発明の化合物は、適切な鼻内ビヒクル及び送達装置の局所使用を通じて、又は、当業者に周知の経皮パッチの形態を用いた、経皮経路を通じて、鼻内形態で投与することができる。経皮送達系の形態で投与するために、もちろん、投薬は、投薬計画を通じて、断続的に行われるのではなく、継続的に行われ得る。本発明の化合物は、カカオバター、グリセリン化されたゼラチン、硬化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物などの基剤を使用し、坐剤として送達することもできる。
【0106】
本発明の組成物が、ヒト患者に投与される場合、一日投薬量は、処方医によって決定されるのが通常であり、投薬量は、一般に、年齢、体重及び各患者の反応、並びに患者の症候の重度に応じて変動する。
【0107】
本発明の化合物を用いる投薬計画は、種類、種、年齢、体重、性別及び治療されている癌の種類;治療されるべき癌の重篤度(すなわち、段階);投与の経路;患者の腎機能及び肝機能;並びに使用される具体的な化合物又はその塩を含む様々な要因に従って選択することが可能である。通常の技術を有する医師又は獣医師は、疾病の進行を治療するために、例えば、予防し、抑制し(完全に又は部分的に)又は停止させるために必要とされる薬物の有効量を容易に決定及び処方することが可能である。
【0108】
例えば、本発明の化合物は、最大1000mgの合計一日用量で投与することが可能である。本発明の化合物は、1日1回(QD)投与し、又は1日2回(BID)及び1日3回(TID)など、1日複数回に分けて投与することが可能である。本発明の化合物は、最大1000mg、例えば、200mg、300mg、400mg、600mg、800mg又は1000mgの合計一日投薬量で投与することが可能であり、これは、1日1回の投薬で投与することが可能であり、又は、上述されているように、1日複数回の投薬に分割することが可能である。
【0109】
さらに、投与は、連続的(すなわち)又は断続的とすることが可能である。本明細書において使用される「断続的な」又は「断続的に」という用語は、規則的又は不規則的な間隔で、停止及び開始することを意味する。例えば、本発明の化合物の断続的な投与は、1日から6日/週の投与であり得、又は、本発明の化合物の断続的な投与は、サイクル(例えば、2から8週間連続して毎日投与した後、残りの期間は、最大1週間投与しない。)での投与を意味し得、又は、隔日での投与を意味し得る。
【0110】
さらに、本発明の化合物は、連続して数週間、上記スケジュールの何れかに従って投与され、その後に休止期間が続き得る。例えば、本発明の化合物は、2から8週、上記スケジュールの何れか1つに従って投与され、続いて、1週の休止期間が引き続き、又は週に3から5日間、100から500mgの用量で1日2回投与され得る。別の具体的な実施形態において、本発明の化合物は、連続して2週間、1日3回投与された、休止の1週が続き得る。
【0111】
本発明の化合物の具体的な投薬量及び投薬スケジュールの何れの1つ又はそれ以上も、併用治療において使用されるべき治療剤の何れの1つ又はそれ以上に対しても適用し得る(以下、本明細書において「第二の治療剤」と称される。)。
【0112】
さらに、この第二の治療剤の具体的な投薬量及び投薬スケジュールは、さらに変動することが可能であり、最適用量、投薬スケジュール及び投与経路は、使用されている具体的な第二の治療剤に基づいて決定される。
【0113】
もちろん、本発明の化合物の投与経路は、第二の治療剤の投与経路には依存しない。一実施形態において、本発明の化合物に対する投与は、経口投与である。別の実施形態において、本発明の化合物に対する投与は、静脈内投与である。従って、これらの実施形態において、本発明の化合物は、経口又は静脈内に投与され、第二の治療剤は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻内、リポソーム、吸入、経膣、眼内、カテーテル若しくはステントによる局所送達、皮下、脂肪内、動脈内、莢膜内又は徐放投薬形態で投与することが可能である。
【0114】
さらに、本発明の化合物及び第二の治療剤は、同じ投与様式によって投与され得る。すなわち、両剤は、例えば、経口、静脈内によって投与される。しかしながら、投与のある形式(例えば、経口)によって本発明の化合物を投与し、投与の別の様式(例えば、静脈内)又は本明細書に上記されている投与様式の他の何れか1つによって、第二の治療剤を投与することも本発明の範囲に属する。
【0115】
第一の治療手技、本発明の化合物の投与は、第二の治療手技(すなわち、第二の治療剤)の前、第二の治療剤での治療後に、第二の治療剤での治療と同時に、又はこれらの組み合わせにおいて、行うことが可能である例えば、総治療期間は、本発明の化合物に対して決定することが可能である。第二の治療剤は、本発明の化合物での治療の開始前に、又は本発明の化合物での治療後に投与することが可能である。さらに、抗癌治療は、本発明の化合物の投与の期間中に施すことが可能であるが、本発明の化合物の治療期間全体にわたって行われる必要はない。
【0116】
本発明の化合物は、治療剤、化学療法剤及び抗癌剤と組み合わせても有用である。本明細書に開示されている化合物と、治療剤、化学療法剤及び抗癌剤との組み合わせは、本発明の範囲に属する。このような薬剤の例は、「Cancer Principles and Practice of Oncology by V. T. Devita and S. Hellman (editors),6th edition (February 15,2001),Lippincott Williams & Wilkins Publishers」に見出すことができる。当業者であれば、関与する薬物と癌の具体的な特徴に基づいて、何れの薬剤の組み合わせが有用であるか識別できる。このような抗癌剤には、以下のもの、すなわち、エストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤及びその他の血管新生阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホナート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療剤、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤並びに細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤が含まれるが。本発明の化合物は、放射線療法とともに投与すると、特に有用である。
【0117】
「エストロゲン受容体調節物質」とは、機序を問わず、エストロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物をいう。エストロゲン受容体調節物質の例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラン、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン及びSH646が含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
「アンドロゲン受容体調節物質」とは、機序を問わず、アンドロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物をいう。アンドロゲン受容体調節物質の例には、フィナステリド及び他の5α−還元酵素阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール及び酢酸アビラテロンが含まれる。
【0119】
「レチノイド受容体調節物質」とは、機序を問わず、レチノイドの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物をいう。このようなレチノイド受容体調節物質の例には、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0120】
「細胞毒性/細胞抑制剤」とは、主として、細胞の機能を直接妨害することによって、細胞死を引き起こし、若しくは細胞増殖を阻害する化合物、又は、細胞の有糸分裂を阻害し、若しくは妨害する化合物をいい、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレート物質、低酸素状態で活性化される化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、増殖因子及びサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物反応修飾物質、ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体によって標的誘導された治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤及びオーロラキナーゼ阻害剤が含まれる。
【0121】
細胞毒性/細胞抑制剤の例には、セルテネフ(sertenef)、カケクチン(cachectin)、イフォスファミド(ifosfamide)、タソネルミン(tasonermin)、ロニダミン(lonidamine)、カルボプラチン(carboplatin)、アルトレタミン(altretamine)、プレドニムスチン(prednimustine)、ジブロモダルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン(ranimustine)、フォテムスチン(fotemustine)、ネダプラチン(nedaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、テモゾロミド(temozolomide)、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン(estramustine)、インプロスルファン・トシラート(improsulfan tosilate)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ニムスチン(nimustine)、ジブロスピジウム・クロリド(dibrospidium chloride)、プミテパ(pumitepa)、ロバプラチン(lobaplatin)、サトラプラチン(satraplatin)、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン(cisplatin)、イロフルベン(irofulven)、デキシフォスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)プラチナ(cis−aminedichloro(2−methyl−pyridine)platinum)、ベンジルグアニン(benzylguanine)、グルフォスファミド(glufosfamide)、GPX100,(トランス、トランス、トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−プラチナ(II)]ビス[ジアミン(クロロ)プラチナ(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素(arsenic trioxide)、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン(zorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、ビサントレン(bisantrene)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ピラルビシン(pirarubicin)、ピナファイド(pinafide)、バルルビシン(valrubicin)、アムルビシン(amrubicin)、アンチネオプラストン(antineoplaston)、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン(annamycin)、ガラルビシン(galarubicin)、エリナファイド(elinafide)、MEN10755、4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO 00/50032を参照。)、Rafキナーゼ阻害剤(Bay43−9006)及びmTOR阻害剤(WyethのCCI−779など)が含まれるが、これらに限定されない。
【0122】
低酸素状態で活性化される化合物の例は、チラパザミン(tirapazamine)である。
【0123】
プロテオソーム阻害剤の例には、ラクタシスチン及びMLN−341(Velcade)が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例には、パクリタキセル、ビンデシン硫酸、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン(3’,4’−didehydro−4’−deoxy−8’−norvincaleukoblastine)、ドセタキソール(docetaxol)、リゾキシン(rhizoxin)、ドラスタチン(dolastatin)、ミボブリン・イセチオナート(mivobulin isethionate)、オーリスタチン(auristatin)、セマドチン(cemadotin)、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン(vinflunine)、クリプトフィシン(cryptophycin)、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド(2,3,4,5,6−pentafluoro−N−(3−fluoro−4−methoxyphenyl)benzenesulfonamide)、無水ビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロピル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号及び6,288,237号を参照。)及びBMS188797が含まれる。一実施形態において、エポチロンは、微小管阻害剤/微小管安定化剤に含まれない。
【0125】
トポイソメラーゼ阻害剤の幾つかの例は、トポテカン(topotecan)、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン(irinotecan)、ルビテカン(rubitecan)、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−オキソ−ベンジリデン−チャルトレウシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[デ]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ラルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシホスファート、テニポシド、ソブゾキサン(sobuzoxane)、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331,N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロオキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−デ]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナ(dimesna)である。
【0126】
有糸分裂キネシン、特に、ヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、公報WO03/039460、WO03/050064、WO03/050122、WO03/049527、WO03/049679、WO03/049678、WO04/039774、WO03/079973、WO03/099211、WO03/105855、WO03/106417、WO04/037171、WO04/058148、WO04/058700、WO04/126699、WO05/018638、WO05/019206、WO05/019205、WO05/018547、WO05/017190、US2005/0176776に記載されている。一実施形態において、有糸分裂キネシンの阻害剤には、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤及びRab6−KIFLの阻害剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」の例には、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98及びスクリプタイドが含まれるが、これらに限定されない。他のヒストンデアセチラーゼ阻害剤に関するさらなる参考文献は、以下の参照文献;「Miller,T.A. et al. J. Med. Chem. 46(24):5097−5116 (2003)」に見出し得る。
【0128】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」には、オーロラキナーゼの阻害剤、Polo様キナーゼの阻害剤(PLK;特に、PLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤及びbub−R1の阻害剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。「オーロラキナーゼ阻害剤」の例は、VX−680である。
【0129】
「抗増殖剤」には、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001などのアンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、並びにエノシタビン(enocitabine)、カルモフール(carmofur)、テガフール(tegafur)、ペントスタチン(pentostatin)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、トリメトトレキサート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、カペシタビン(capecitabine)、ガロシタビン(galocitabine)、シタラビンオクオスファート(cytarabineocfosfate)、フォステアビンナトリウム水和物(fosteabine sodium hydrate)、ラルチトレキセド(raltitrexed)、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール(emitefur)、チアゾフリン(tiazofurin)、デシタビン(decitabine)、ノラトレキセド(nolatrexed)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ネルザラビン(nelzarabine)、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナシジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン(troxacitabine)、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン(alanosine)、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン(swainsonine)、ロメトレキソール(lometrexol)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾン及びトラスツズマブなどの代謝拮抗剤が含まれる。
【0130】
モノクローナル抗体で標的に誘導される治療剤の例には、癌細胞特異的又は標的細胞特異的モノクローナル抗体に結合された細胞毒性剤又は放射性同位体を有する治療剤が含まれる。例には、Bexxarが含まれる。
【0131】
「HMG−CoA還元酵素阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoA還元酵素の阻害剤を表す。使用され得るHMG−CoA還元酵素阻害剤の例には、ロバスタチン(lovastatin)(MEVACOR(R));米国特許第4,231,938号、第4,294,926号及び第4,319,039号を参照)、シンバスタチン(simvastatin)(ZOCOR(R));米国特許第4,444,784号、第4,820,850号及び第4,916,239号を参照)、プラバスタチン(pravastatin)(PRAVACHOL(R);米国特許第4,346,227号、第4,537,859号、第4,410,629号、第5,030,447号及び第5,180,589号を参照)、フルバスタチン(fluvastatin)(LESCOL(R);米国特許第5,354,772号、第4,911,165号、第4,929,437号、5,189,164号、第5,118,853号、第5,290,946号及び第5,356,896号を参照)、アトロバスタチン(atorvastatin)(LIPITOR(R);米国特許第5,273,995号、第4,681,893号、第5,489,691号及び第5,342,952号を参照)及びセリバスタチン(リバスタチン及びBAYCHOL(R)としても知られる。;米国特許第5,177,080号参照)が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法において使用され得る、これら及びその他のHMG−CoA還元酵素阻害剤の構造式は、「M. Yalpani,“Cholesterol Lowering Drugs”,Chemistry & Industry,pp. 85−89(5 February 1996)」の87ページ並びに米国特許第4,782,084号及び第4,885,314号に記載されている。本明細書において使用されるHMG−CoA還元酵素阻害剤という用語には、医薬として許容される全てのラクトン及び開環した酸の形態(すなわち、ラクトン環が開環されて、遊離酸を形成している。)並びにHMG−CoA還元酵素阻害活性を有する化合物の塩及びエステル形態が含まれ、従って、このような塩、エステル、開環した酸及びラクトン形態の使用は、本発明の範囲に含まれる。
【0132】
「プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤」は、ファルネシル−タンパク質転移酵素(FPTase)、ゲラニルゲラニル−タンパク質転移酵素I型(GGPTase−I)及びゲラニルゲラニル−タンパク質転移酵素II型(GGPTase−II、Rab GGPTaseとも称される。)などの、プレニル−タンパク質転移酵素の任意の一つ又は任意の組み合わせを阻害する化合物を表す。
【0133】
プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤の例には、以下の公報及び特許に記載されている。WO 96/30343、WO 97/18813、WO 97/21701、WO 97/23478、WO 97/38665、WO 98/28980、WO 98/29119、WO 95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公報 0 618 221、欧州特許公報 0 675 112、欧州特許公報 0 604 181、欧州特許公報 0 696 593、WO 94/19357、WO 95/08542、WO 95/11917、WO 95/12612、WO 95/12572、WO 95/10514、米国特許第5,661,152号、WO 95/10515、WO 95/10516、WO 95/24612、WO 95/34535、WO 95/25086、WO 96/05529、WO 96/06138、WO 96/06193、WO 96/16443、WO 96/21701、WO 96/21456、WO 96/22278、WO 96/24611、WO 96/24612、WO 96/05168、WO 96/05169、WO 96/00736、米国特許第5,571,792号、WO 96/17861、WO 96/33159、WO 96/34850、WO 96/34851、WO 96/30017、WO 96/30018、WO 96/30362、WO 96/30363、WO 96/31111、WO 96/31477、WO 96/31478、WO 96/31501、WO 97/00252、WO 97/03047、WO 97/03050、WO 97/04785、WO 97/02920、WO 97/17070、WO 97/23478、WO 97/26246、WO 97/30053、WO 97/44350、WO 98/02436、及び米国特許第5,532、359号。プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤の血管新生に対する役割の例については、「European J. of Cancer,Vol.35,No. 9,pp.1394−1401 (1999)」を参照されたい。
【0134】
「血管新生阻害剤」とは、機序を問わず、新しい血管の形成を阻害する化合物を表す。血管新生阻害剤の例には、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤などのチロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来、繊維芽細胞由来、又は血小板由来の増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリサルファート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)並びにセレコキシブ(celecoxib)及びロフェコキシブ(rofecoxib)のような選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含む。)(PNAS,Vol.89,p.7384(1992);JNCI,Vol.69,p.475(1982);Arch.Opthalmol.,Vol.108,p.573(1990);Anat.Rec.,Vol.238,p.68(1994);FEBS Letters,Vol.372,p.83 (1995);Clin,Orthop.Vol.313,p.76(1995);J.Mol.Endocrinol.,Vol.16,p.107 (1996);Jpn.J.Pharmacol.,Vol.75,p.105(1997);Cancer Res.,Vol.57,p.1625(1997);Cell,Vol.93,p.705(1998);Intl.J.Mol.Med.,Vol.2,p.715(1998);J.Biol.Chem.,Vol.274,p.9116(1999))、ステロイド系抗炎症薬(コルチコステロイド、鉱質コルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾンなど)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(Fernandez et al.,J. Lab. Clin. Med. 105:141−145(1985)を参照。)、及びVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology,Vol. 17,pp. 963−968(October 1999);Kim et al.,Nature,362,841−844(1993);WO 00/44777;及びWO 00/61186を参照。)が含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
血管新生を調節又は阻害し、本発明の化合物と併用され得る他の治療剤には、凝固系及び繊維素溶解系を調節又は阻害する治療剤が含まれる(Clin. Chem. La. Med.38:679−692(2000)の総説を参照。)。凝固経路及び繊維素溶解経路を調節又は阻害する、このような治療剤の例には、ヘパリン(Thromb. Haemost. 80:10−23(1998)参照)、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性トロンビン活性化可能繊維素溶解阻害剤[TAFIa]の別称でも知られる。)(Thrombosis Res. 101:329−354(2001)を参照)が含まれるが、これらに限定されない。TAFIa阻害剤は、米国特許出願60/310,927号号(2001年8月8日)及び米国出願60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0136】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」とは、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するタンパク質キナーゼを阻害することにより、DNA損傷剤に対して癌細胞を増感させる化合物を表す。このような薬剤には、ATR、ATM、CHK1及びCHK2キナーゼの阻害剤並びにcdk及びcdcキナーゼ阻害剤が含まれ、具体例としては、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(Cyclacel)及びBMS−387032が挙げられる。
【0137】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤」とは、RTKを阻害し、従って、腫瘍発生及び腫瘍進行に関与する機序を阻害する化合物を表す。このような薬剤には、c−Kit、Eph、PDGF、Flt3及びc−Metの阻害剤が含まれる。さらなる薬剤には、「Bume−Jensen and Hunter,Nature,411:355−365,2001」に記載されているようなRTKの阻害剤が含まれる。
【0138】
「細胞増殖及び生存シグナル伝達経路の阻害剤」とは、細胞表面受容体の下流にあるシグナル伝達カスケードを阻害する化合物を表す。このような薬剤には、セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤(WO 02/083064,WO 02/083139,WO 02/083140,US 2004−0116432,WO 02/083138,US 2004−0102360,WO 03/086404,WO 03/086279,WO 03/086394,WO 03/084473,WO 03/086403,WO 2004/041162,WO 2004/096131,WO 2004/096129,WO 2004/096135,WO 2004/096130,WO 2005/100356,WO 2005/100344,US 2005/029941,US 2005/44294,US 2005/43361,60/734188,60/652737,60/670469)に記載されているようなAktの阻害剤を含むが、これらに限定されない。)、Rafキナーゼの阻害剤(例えば、BAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、mTORの阻害剤(例えば、Wyeth CCI−779)及びPI3Kの阻害剤(例えば、LY294002)が含まれる。
【0139】
上述されているように、NSAIDとの組み合わせは、強力なCOX−2阻害剤であるNSAIDの使用に向けられる。本明細書において、細胞又はミクロソームアッセイによって評価された場合に、COX−2の阻害に対するIC50が1μM又はそれ未満であれば、NSAIDは強力である。
【0140】
本発明は、選択的COX−2阻害剤であるNSAIDとの組み合わせも包含する。本明細書において、COX−2の選択的阻害剤であるNSAIDとは、細胞又はミクロソームアッセイによって評価されたCOX−1のIC50に対するCOX−2のIC50の比によって測定した場合に、COX−1に対するCOX−2阻害の特異性が少なくとも100倍であるNSAIDとして定義される。このような化合物には、米国特許第5,474,995号、米国特許第5,861,419号、米国特許第6,001,843号、米国特許第6,020,343号、米国特許第5,409,944号、米国特許第5,436,265号、米国特許第5,536,752号、米国特許第5,550,142号、米国特許第5,604,260号、米国特許第5,698,584号、米国特許第5,710,140号、WO 94/15932、米国特許第5,344,991号、米国特許第5,134,142号、米国特許第5,380,738号、米国特許第5,393,790号、米国特許第5,466,823号、米国特許第5,633,272号及び米国特許第5,932,598号に開示されている化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない(全て、参照により、本明細書に組み込まれる。)。
【0141】
本発明の治療法において特に有用なCOX−2の阻害剤は、3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又は医薬として許容されるそれらの塩である。
【0142】
COX−2の特異的阻害剤として記載され、それ故、本発明において有用である化合物には、パレコキシブ、BEXTRA(R)及びCELEBREX(R)又は医薬として許容されるこれらの塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
血管新生阻害剤の他の例には、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバマート、アセチルジンアニリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1、2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースリン酸(sulfated mannopentaose phosphate)、7,7−(カルボニル−ビス−[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホナート)、及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
上で使用したように、「インテグリンブロッカー」とは、生理的リガンドのαβインテグリンへの結合を選択的に拮抗し、阻害し、又は打ち消す化合物、生理的リガンドのαβインテグリンへの結合を選択的に拮抗し、阻害し、又は打ち消す化合物、生理的リガンドのαβインテグリン及びαβインテグリンの両方への結合を拮抗し、阻害し、又は打ち消す化合物、並びに毛細血管の内皮細胞上に発現された特定のインテグリンの活性を拮抗し、阻害し、又は打ち消す化合物を表す。本用語は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンのアンタゴニストも表す。本用語は、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの任意の組み合わせのアンタゴニストも表す。
【0145】
チロシンキナーゼ阻害剤の幾つかの具体例には、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス−(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリナミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホナート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン及びEMD121974が含まれる。
【0146】
抗癌化合物以外の化合物との組み合わせも、本発明の方法に包含される。例えば、本明細書の特許請求の範囲に記載されている化合物の、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの組み合わせは、ある種の悪性腫瘍の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ及びδである。内皮細胞上へのPPAR−γの発現及び血管新生におけるその関与が、文献に報告されている(J. Cardiovasc. Pharmacol. 1998;31:909−913;J.Biol.Chem.1999;274:9116−9121;Invest. Ophthalmol Vis. Sci. 2000;41:2309−2317を参照。)。さらに最近になって、PPAR−γアゴニストが、VEGFに対する血管新生応答をインビトロで阻害することが示された;トログリタゾン及びロシグリタゾンのマレイン酸塩は何れも、マウスにおいて、網膜の新血管新生の発達を阻害する。(Arch. Ophthamol. 2001;119:709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例には、チアゾリジンジオン(DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾンなど)、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフロオロメチル−1,2−ベンズイソキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN 09/782,856に開示されている。)及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN 60/235,708及び60/244,697に開示されている。)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
本発明の別の実施形態は、癌の治療用遺伝子療法と組み合わせた、本明細書に開示されている化合物の使用である。癌を治療するための遺伝子戦略の総説については、Hallら(Am. J. Hum. Genet. 61:785−789,1997)及びKufeら(Cancer Medicine,5th Ed,pp 876−889,BC Decker,Hamilton 2000)を参照されたい。遺伝子療法は、あらゆる腫瘍抑圧遺伝子を送達するために使用することができる。このような遺伝子の例には、p53(組換えウイルスを介した遺伝子導入によって送達することができる(例えば、米国特許第6,069,134号を参照。)。)、uPA/uPARアンタゴニスト(“Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice,”Gene Therapy,August 1998;5(8):1105−13)」及びインターフェロンガンマ(J. Immunol. 2000;164:217−222)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
本発明の化合物は、固有の多剤耐性(MDR)、特に、輸送体タンパク質の高レベル発現を伴うMDRの阻害剤と組み合わせて、投与することもできる。このようなMDR阻害剤には、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853及びPSC833(valspodar)などの、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤が含まれる。
【0149】
本発明の化合物は、単独で又は放射線療法とともに、本発明の化合物を使用することによって生じ得る悪心又は嘔吐(急性、遅延、晩発及び先行嘔吐を含む。)を治療するための制吐剤とともに使用し得る。嘔吐を予防又は治療する場合、本発明の化合物は、他の制吐剤、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト(オンダンセトロン(ondansetron)、グラニセトロン(granisetron)、トロピセトロン(tropisetron)及びザチセトロン(zatisetron)など)、GABAB受容体アゴニスト(バクロフェンなど)、コルチコステロイド(Decadron(デキサメタゾンなど)、Kenalog、Aristocort、Nasalide、Preferid、Benecortenなど)又は米国特許第2,789,118号、第2,990,401号、第3,048,581号、第3,126,375号、第3,929,768号、第3,996,359号、第3,928,326号及び第3,749,712号に開示されているものなどこれら以外のもの、フェノチアジン(例えば、プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)などの抗ドーパミン作動薬、メトクロプラミド又はドロナビノールなど)とともに、使用し得る。別の実施形態では、本発明の化合物の投与時に生じ得る嘔吐を治療又は予防するために、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト及びコルチコステロイドから選択される制吐剤を用いた結合療法が開示される。
【0150】
本発明の化合物とともに使用するニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339号、第5,232、929号、第5,242,930号、第5,373,003号、第5,387,595号、第5,459,270号、第5,494,926号、第5,496,833号、第5,637,699号、第5,719,147号;欧州特許公開0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632及び0 776 893;PCT国際特許公開WO 90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942及び97/21702;並びに英国特許公開2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 168及び2 302 689に完全に記載されている。このような化合物の調製は、参照により本明細書に組み込まれる、上記特許及び公報に完全に記載されている。
【0151】
一実施形態において、本発明の化合物とともに使用するためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、米国特許第5,719,147号に記載されている2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又は医薬として許容されるこれらの塩から選択される。
【0152】
本発明の化合物は、貧血の治療において有用な薬剤とともに投与することもできる。このような貧血治療剤は、例えば、継続的な赤血球生成(eythropoiesis)受容体活性化因子(エポエチンαなど)である。
【0153】
本発明の化合物は、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与することもできる。このような好中球減少症治療剤は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)などの好中球の産生及び機能を制御する造血性増殖因子である。G−CSFの例には、フィルグラスチムが含まれる。
【0154】
また、本発明の化合物は、レバミソール、イソプリノシン及びZadaxinなどの、免疫増強薬とともに投与され得る。
【0155】
本発明の化合物は、生体異物、キニジン、チラミン、ケトコナゾール、テストステロン、キニーネ、メチラポン、カフェイン、フェネルジン、ドキソルビシン、トロレアンドマイシン、シクロベンザプリン、エリスロマイシン、コカイン、フラフィリン、シメチジン、デキストロメトルファン、リトナビル、インジナビル、アンプレナビル、ジルチアゼム、テルフェナジン、ベラパミル、コルチゾール、イトラコナゾール、ミベフラジル、ネファゾドン及びネルフィナビルなど、P450阻害剤と組み合わせて、癌を治療又は予防するのにも有用であり得る。
【0156】
本発明の化合物は、シクロスポリンA、PSC833、GF120918、クレモルフォルEL、フミトレモルギンC、Ko132、Ko134、イレッサ、イマトニブメシラート、EKI−785、C11033、ノボビオシン、ジエチルスチルベストロール、タモキシフェン、レスペルピン、VX−710、トリプロスタチンA,、フラボノイド、リトナビル、サキナビル、ネルフィナビル、オメプラゾール、キニジン、ベラパミル、テルファナジン、ケトコナゾール、ニフィデピン、FK506、アミオダロン、XR9576、インジナビル、アンプレナビル、コルチゾール、テストステロン、LY335979、OC144−093、エリスロマイシン、ビンクリスチン、ジゴキシン及びタリノロールなどのPgp及び/又はBCRP阻害剤と組み合わせて、癌を治療又は予防するためにも有用であり得る。
【0157】
本発明の化合物は、ビスホスホナート(ビスホスホナート、ジホスホナート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸を含むものと理解される。)とともに、骨癌を含む癌を治療又は予防するのにも有用であり得る。ビスホスホナートの例には、エチドロナート(Didronel)、パミドロナート(Aredia)、アレンドロナート(Fosamax)、リセドロナート(Actonel)、ゾレドロナート(Zometa)、イバンドロナート(Boniva)、インカドロナート又はシマドロナート、クロドロナート、EB−1053、ミノドロナート、ネリドロナート、ピリドロナート及びチルドロナート(医薬として許容される、これらの全ての塩、誘導体、水和物及び混合物が含まれる。)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
本発明の化合物は、アロマターゼ阻害剤と組み合わせて、乳癌を治療又は予防するためにも有用であり得る。アロマターゼ阻害剤の例には、アナストロゾール、レトロゾール及びエキセメスタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0159】
本発明の化合物は、siRNA治療剤と組み合わせて、乳癌を治療又は予防するためにも有用であり得る。
【0160】
本発明の化合物は、γ−セクレターゼ阻害剤及び/又はNOTCHシグナル伝達の阻害剤と組み合わせて投与することもできる。このような阻害剤には、WO01/90084、WO02/30912、WO01/70677、WO03/013506、WO02/36555、WO03/093252、WO03/093264、WO03/093251、WO03/093253、WO2004/039800、WO2004/039370、WO2005/030731、WO2005/014553、USSN10/957,251、WO2004/089911、WO02/081435、WO02/081433、WO03/018543、WO2004/031137、WO2004/031139、WO2004/031138、WO2004/101538、WO2004/101539及びWO02/47671に記載されている化合物が含まれる(LY−450139を含む。)。
【0161】
本発明の化合物は、PARP阻害剤と組み合わせて、癌を治療又は予防するためにも有用であり得る。
【0162】
本発明の化合物は、以下の治療剤と組み合わせて、癌を治療するのにも有用であり得る。アバレリックス(abarelix)(Plenaxis depot(R));アレデスロイキン(aldesleukin)(Prokine(R));アヅレスロイキン(Aldesleukin)(Proleukin(R));アレムツズマブ(Alemtuzumabb)(Campath(R));アリトレチノイン(alitretinoin)(Panretin(R));アロプリノール(allopurinol)(Zyloprim(R));アルトレタミン(altretamine)(Hexalen(R));アミフォスチン(amifostine)(Ethyol(R));アナストロゾール(anastrozole)(Arimidex(R));三酸化砒素(Trisenox(R));アスパラギナーゼ(asparaginase)(Elspar(R));アザシチジン(azacitidine)(Vidaza(R));ベバキュジマブ(bevacuzimab)(Avastin(R));ベキサロテンカプセル(bexarotene capsules)(Targretin(R));ベキサロテンゲル(bexarotene gel)(Targretin(R));ブレオマイシン(bleomycin)(Blenoxane(R));ボルテゾミブ(bortezomib)(Velcade(R));ブサルファン静脈内(busulfan intravenous)(Busulfex(R));ブサルファン経口(busulfan oral)(Myleran(R));カルステロン(calusterone)(Methosarb(R));キャペシタビン(capecitabine)(Xeloda(R));カルボプラチン(carboplatin)(Paraplatin(R));カルムスチン(carmustine)(BCNU(R),BiCNU(R));カルムスチン(carmustine)(Gliadel(R));Polifeprosan 20 Implant付きのカルムスチン(Gliadel Wafer(R));セレコキシブ(celecoxib)(Celebrex(R));セツキシマブ(cetuximab)(Erbitux(R));クロラムブシル(chlorambucil)(Leukeran(R));シスプラチン(cisplatin)(Platinol(R));クラドリビン(cladribine)(Leustatin(R),2−CdA(R));クロファラビン(clofarabine)(Clolar(R));シクロホスファミド(cyclophosphamide)(Cytoxan(R),Neosar(R));シクロホスファミド(Cytoxan Injection(R));シクロホスファミド(Cytoxan Tablet(R));シトラビン(Cytosar−U(R));シトラビンリポソーマル(cytarabine liposomal)(DepoCyt(R));ダカルバジン(dacarbazine)(DTIC−Dome(R));ダクチノマイシン(dactinomycin)、アクチノマイシン(actinomycin)D(Cosmegen(R));ダルベポエチンα(Darbepoetin alfa)(Aranesp(R));ダウノルビシン・リポソーマル(DanuoXome(R));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Daunorubicin(R));ダウノルビシン、ダウノマイシン(Cerubidine(R));デニロイキン・ジフチトックス(Denileukin diftitox)(Ontak(R));デキスラゾキサン(dexrazoxane)(Zinecard(R));ドセタキセル(docetaxel)(Taxotere(R));ドキソルビシン(doxorubicin)(Adriamycin PFS(R));ドキソルビシン(R)(Adriamycin(R),Rubex(R));ドキソルビシン(Adriamycin PFS Injection(R));ドキソルビシン・リポソーマル (Doxil(R));ドロモスタノロン・プロピオナート(dromostanolone propionate)(dromostanolone(R));ドロモスタノロン・プロピオナート(dromostanolone propionate)(masterone injection(R));エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution(R));エピルビシン(epirubicin)(Ellence(R));エポエチンα(epogen(R));エルロチニブ(erlotinib)(Tarceva(R));エストラムスチン(estramustine)(Emcyt(R));エトポシドホスファート(etoposide phosphate)(Etopophos(R));エトポシド(etoposide)、VP−16(Vepesid(R));エキセメスタン(exemestane)(Aromasin(R));フィルグラスチム(Filgrastim)(Neupogen(R));フロクスリジン(floxuridine)(動脈内)(FUDR(R));フルダラビン(Fludara(R));フルオロウラシル(fluorouracil)、5−FU(Adrucil(R));フルベストラント(fulvestrant)(Faslodex(R));ゲフィチニブ(gefitinib)(Iressa(R));ゲムシタビン(Gemzar(R));ゲムツズマブオゾガミシン(gemtuzumab ozogamicin)(Mylotarg(R));酢酸ゴセレリン(goserelin acetate)(Zoladex Implant(R));酢酸ゴセレリン(Zoladex(R));酢酸ヒストレリン(histrelin acetate)(Histrelin implant(R));ヒドロキシ尿素(Hydrea(R));イブリツモマブ・チウキセタン(Ibritumomab Tiuxetan)(Zevalin(R));イダルビシン(Idamycin(R));イホスファミド(ifosfamide)(IFEX(R));イマチニブ・メシラート(imatinib mesylate)(Gleevec(R));インターフェロンα2a(Roferon A(R));インターフェロン−2b(Intron A(R));イリノテカン(irinotecan)(Camptosar(R));レナリドミド(lenalidomide)(Revlimid(R));レトロゾール(Femara(R));ロイコボリン(leucovorin)(Wellcovorin(R),Leucovorin(R));酢酸リュープロリド(Leuprolide Acetate)(Eligard(R));レバミソール(levamisole)(Ergamisol(R));ロムスチン(lomustine)、CCNU (CeeBU(R));メクロレタミン(meclorethamine)、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)(Mustargen(R));酢酸メゲストロール(megestrol acetate)(Megace(R));メルファラン(melphalan)、L−PAM(Alkeran(R));メルカプトプリン(mercaptopurine)、6−MP(Purinethol(R));メスナ(mesna)(Mesnex(R));メスナ(mesna)(Mesnex tabs(R));メトトレキサート(methotrexate)(Methotrexate(R));メトクサレン(methoxsalen)(Uvadex(R));マイトトキシンC(mitomycin C)(Mutamycin(R));ミトタン(mitotane)(Lysodren(R));ミトキサントロン(mitoxantrone)(Novantrone(R));ナンドロロン・フェンプロピオナート(nandrolone phenpropionate)(Durabolin−50(R));ネララビン(nelarabine)(Arranon(R));ノフェツモマブ(Nofetumomab)(Verluma(R));オプレルベキン(Oprelvekin)(Neumega(R));オキサリプラチン(oxaliplatin)(Eloxatin(R));パクリタキセル(paclitaxel)(Paxene(R));パクリタキセル(paclitaxel)(Taxol(R));パクリタキセルタンパク質結合粒子(paclitaxel protein−bound particles)(Abraxane(R));パリフェルミン(palifermin)(Kepivance(R));パミドロナート(pamidronate)(Aredia(R));ペガデマーセ(pegademase)(Adagen (Pegademase Bovine)(R));ペガスパルガーセ(pegaspargase)(Oncaspar(R));pグフィルグラスチム(Pegfilgrastim)(Neulasta(R));ペメトレキセド二ナトリウム(pemetrexed disodium)(Alimta(R));ペントスタチン(pentostatin)(Nipent(R));ピポブロマン(pipobroman)(Vercyte(R));プリカマイシン(plicamycin)、ミトラマイシン(mithramycin)(Mithracin(R));ポルフィマー・ナトリウム(porfimer sodium)(Photofrin(R));プロカルバジン(procarbazine)(Matulane(R));キナクリン(quinacrine)(Atabrine(R));ラスブリカーゼ(Rasburicase)(Elitek(R));リツキシマブ(Rituximab)(Rituxan(R));サルグラモスチム(sargramostim)(Leukine(R));サルグラモスチム(Sargramostim)(Prokine(R));ソラフェニブ(Nexavar(R));ストレプトゾシン(streptozocin)(Zanosar(R));マレイン酸スニチニブ(sunitinib maleate)(Sutent(R)
;タルク(talc)(Sclerosol(R));タモキシフェン(Nolvadex(R));テモゾロミド(temozolomide)(Temodar(R));テニポシド(teniposide);VM−26(Vumon(R));テストラクトン(testolactone)(Teslac(R));チオグアニン(thioguanine)、6−TG(Thioguanine(R));チオテパ(thiotepa)(Thioplex(R));トポテカン(topotecan)(Hycamtin(R));トレミフェン(toremifene)(Fareston(R));トシツモマブ(Tositumomab)(Bexxar(R));トシツモマブ(Tositumomab)/I−131トシツモマブ(Bexxar(R));トラスツズマブ(Trastuzumab)(Herceptin(R));トレチノイン(tretinoin)、ATRA(Vesanoid(R));ウラシルマスタード(Uracil Mustard)(Uracil Mustard Capsules(R));バルルビシン(valrubicin)(Valstar(R));ブンブラスチン(vinblastine)(Velban(R));ビンクリスチン(vincristine)(Oncovin(R));ビノレルビン(vinorelbine)(Navelbine(R));及びゾレドロナート(zoledronate)(Zometa(R))。
【0163】
従って、本発明の範囲は、以下から選択される第二の化合物:エストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、固有多剤耐性の阻害剤、制吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強薬、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホナート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療剤、γ−セクレターゼ及び/又はNOTCH阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤並びに上に列記されている治療剤の何れかと組み合せた、本明細書の特許請求の範囲に記載された化合物の使用を包含する。
【0164】
本発明の化合物に関する「投与」及びその変形語(例えば、化合物を「投与する」)という用語は、化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要としている動物の系内に導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグを、1つ又はそれ以上の他の活性剤(例えば、細胞毒性剤など)とともに与える場合、「投与」及びその変形語は、それぞれ、化合物又はそのプロドラッグと他の薬剤の同時導入及び順次導入を含むものと理解される。
【0165】
本明細書において使用される「組成物」という用語は、特定量の指定された成分を含む製品、及び、特定量の指定された成分の組合せから、直接又は間接的に得られる全ての製品を包含するものとする。
【0166】
本明細書において使用される「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医によって求められている、組織、系、動物又はヒトでの生物的応答又は医薬的応答を惹起する活性化合物又は薬剤の量を意味する。
【0167】
「癌を治療する」又は「癌の治療」という用語は、癌性症状に罹患した哺乳動物に投与することを表し、並びに癌細胞を死滅させることによって癌性症状を緩和する効果に加えて、癌の増殖及び/又は転移の阻害をもたらす効果を表す。
【0168】
一実施形態において、第二の化合物として使用すべき血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来増殖因子の阻害剤、繊維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロンα、インターロイキン12、ペントサンポリサルファート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマグリロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1又はVEGFに対する抗体から選択される。一実施形態において、エストロゲン受容体調節物質は、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0169】
同じく、特許請求の範囲に含まれるのは、放射線療法と組み合わせて、及び/又はエストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、固有多剤耐性の阻害剤、制吐剤、貧血の治療に有用な薬剤、好中球減少症の治療に有用な薬剤、免疫増強薬、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホナート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ及び/又はNOTCH阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤並びに上に列記されている治療剤の何れかから選択される第二の化合物と組み合わせて、本発明の化合物の治療的有効量を投与することを含む、癌の治療方法である。
【0170】
本発明のさらに別の実施形態は、パクリタキセル又はトラスツズマブと組み合わせて、本発明の化合物の治療的有効量を投与することを含む、癌を治療する方法である。
【0171】
本発明は、さらに、COX−2阻害剤と組み合わせて、本発明の化合物の治療的有効量を投与することを含む、癌を治療又は予防する方法を包含する。
【0172】
本発明は、本発明の化合物の治療的有効量と、エストロゲン受容体調節物質、アンドロゲン受容体調節物質、レチノイド受容体調節物質、細胞毒性/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質転移酵素阻害剤、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、ビスホスホナート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療薬、γ−セクレターゼ及び/又はNOTCH阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤並びに上に列記されている治療剤から選択される第二の化合物を含む、癌を治療又は予防するのに有用な医薬組成物も包含する。
【0173】
特定されている全ての特許、公報及び係属中の特許出願は、参照により、本明細書中に組み込まれる。
【0174】
化学及び以下の実施例における記述で使用されている略号は、以下のとおりである。AcO(無水酢酸)、AcOH(酢酸)、AEBSF(p−アミノエチルベンゼンスルホニルフルオリド);BSA(ウシ血清アルブミン);BuLi(n−ブチルリチウム);CDCl(クロロホルム−d);CuI(ヨウ化銅);CuSO(硫酸銅);DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン);DCE(ジクロロエタン);DCM(ジクロロメタン);DEAD(アゾジカルボン酸ジエチル);DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMP(デスマーチンペルヨージナン);DMSO(ジメチルスルホキシド);DPPA(ジフェニルホスホリルアジド);DTT(ジチオスレイトール);EDTA(エチレン−ジアミン−四酢酸);EGTA(エチレン−グリコール−四酢酸);EtO(ジエチルエーテル);EtOAc(酢酸エチル);EtOH(エタノール);HOAc(酢酸);HPLC(高性能液体クロマトグラフィー);HRMS(高分解能質量分析);LAH(水素化アルミニウムリチウム);LCMS(液体クロマトグラフ−質量分析);LHMDS(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド);LRMS(低分解能質量分析);mCPBA(3−クロロペルオキシ化安息香酸);MeOH(メタノール);MP−B(CN)H(マクロ多孔性シアノ水素化ホウ素);NaHCO(重炭酸ナトリウム);NaSO(硫酸ナトリウム);Na(OAc)BH(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム);NHOAC(酢酸アンモニウム);NBS(N−ブロモスクシンアミノ);NMP(1−メチル−2−ピロリジノン);NMR(核磁気共鳴);PBS(リン酸緩衝化食塩水);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);Pd(dppf)([1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム);Pd(Ph(パラジウム(O)テトラキス−トリフェニルホスフィン);POCl(オキシ塩化リン);PS−DIEA(ポリスチレンジイソプロピルエチルアミン);PS−PPh(ポリスチレン−トリフェニルホスフィン);PTSA(p−トルエンスルホン酸);Pyr(ピリジン);Selectfluor(1−クロロメチル−4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート);TBAF(テトラブチルアンモニウムフルオリド);T−BuOH(tert−ブタノール);THF(テトラヒドロフラン);Tf(トリフルオロメタンスルホニル);TFA(トリフルオロ酢酸);及びTMSCH(トリメチルシリルジアゾメタン)。
【0175】
本発明の化合物は、文献において公知であり、又は実験操作において例示されている他の標準的な操作に加えて、以下の反応スキーム中に示されている反応を用いることによって調製され得る。従って、以下の例示的な反応スキームは、列記されている化合物によって、又は例示目的のために使用されている具体的なあらゆる置換基によって限定されない。反応スキーム中に示されている置換基の付番は、特許請求において使用されている付番と必ずしも呼応するものではなく、しばしば、明確にするために、本明細書中の上記式Aの定義の下で場合により複数の置換基が許容される場合でも、化合物に結合した単一の置換基が示されている。
【0176】
本発明の化合物を生成するために用いた反応は、反応スキームI−IIIに示されている反応を利用することによって調製される。
【0177】
反応スキームの概要
反応スキームIに示されているように、2−ハロアニリンは、塩化イミダゾリル酸と結合して、アニリド(A−1)を与えることができる。A−1は、炭酸セシウムの存在下で、ハロゲン化アルキルで処理されて、三級アミドA−2を与えることができる。パラジウム触媒された条件下で、マイクロ波によって補助されたA−2の環化の後、周囲温度で、TFAを用いて、BOC基を除去することによって、完全に合成されたイミダゾキノロンA−3を形成することが可能である。
【0178】
【化13】

【0179】
反応スキームIIは、t−BuLiによる脱プロトン化及び1−クロロ−2−ヨードエタンによる、得られた陰イオンの捕捉、次いで、TFAでのBoc基の除去を通じて、Boc保護された対応する2−アミノナフタレン誘導体(B−1)から、3−ヨード−2−アミノナフタレン(B−2)がどのように調製され得るかを示している。次いで、カップリング、アルキル化及び環化工程は、上述のように進行して、B−5によって表される化合物を与える。
【0180】
【化14】

【0181】
環縮合したアニリン(C−1、D−1、E−1)の求電子ヨウ素化は、スキームIIIに示されているように、o−置換されたヨードアニリン(C−2、D−2、E−2)を与えることが可能である。次いで、カップリング、アルキル化及び環化工程は、上述のように進行して、対応するA−3誘導体を与える。
【0182】
【化15】

【0183】
環縮合し、boc保護されたアニリン(F−1、G−1、H−1)のリチオ化及び2−クロロ−1−ヨードエタンによる、得られた陰イオンの捕捉は、スキームIVに示されているように、HClでのBoc脱保護の後に、o−置換されたヨードアニリン(C−2、D−2、E−2)を与えることが可能である。次いで、カップリング、アルキル化及び環化工程は、上述のように進行して、対応するA−3誘導体を与える。
【0184】
【化16】

【実施例】
【0185】
実施例
記載されている実施例は、本発明のさらなる理解を補助することを目的とする。使用されている具体的な材料、種及び条件は、本発明のさらなる例示を意図したものであり、本発明の合理的な範囲を限定するものではない。以下の表に図示されている化合物を合成する際に使用された試薬は、市販されているか、又は当業者によって容易に調製される。
【0186】
【化17】

【0187】
5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−4)
N−(2−ブロモ−4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキサミド(1−2)
ジクロロメタン(5mL)中の1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボン酸(350mg、2.78mmol、1当量)の溶液を、予め0℃まで冷却された塩化チオニル(8.00mL、109mmol、39.5当量)に、ゆっくり添加した。反応混合物を23℃まで加温し、20分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、CHCl及びピリジン(10mL)の混合物中に残留物を溶かした。撹拌された溶液に、2−ブロモ−4−クロロアニリン(1.15g、5.55mmol、2.0当量)を添加し、得られた混合物を、40℃で30分間加熱した。乾燥状態になるまで、反応混合物を濃縮し、逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCNグラジエントw/ 0.05%NHOH存在)によって残留物を精製して、灰白色の固体として、N−(2−ブロモ−4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキサミド(1−2)を得た。LRMSm/z(M+H)316.5実測値、316.0計算値。
【0188】
tert−ブチル3−{(2−ブロモ−4−クロロフェニル)[(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}プロピルカルバマート(1−3)
DMF(5mL)中のN−(2−ブロモ−4−クロロフェニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボキサミド(1−2)(110mg、0.350mmol、1当量)の溶液に、炭酸セシウム(615mg、1.89mmol、5.40当量)、続いて、3−(boc−アミノ)−プロピルブロミド(167mg、0.699mmol、2.00当量)を添加した。得られた混合物を、23℃、窒素下で2時間撹拌し、次いで、さらなる3−(boc−アミノ)−プロピルブロミド(83mg、0.35mmol、1.0当量)を添加し、撹拌を18時間継続した。不溶性物質を除去するために、反応混合物をろ過し、逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCNグラジエントw/ 0.05%NHOH存在)、続いて、カラムクロマトグラフィー(30分にわたって、100%ヘキサンから100%酢酸エチルグラジエント)によって精製して、無色のガラス状物質として、tert−ブチル3−{(2−ブロモ−4−クロロフェニル)[(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}プロピルカルバマート(1−3)を得た。LRMSm/z(M+H)473.7実測値、473.1計算値。
【0189】
5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−4)
DMF(3mL)中のtert−ブチル3−{(2−ブロモ−4−クロロフェニル)[(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}プロピルカルバマート(1−3)(72mg、0.150mmol、1当量)の溶液に、酢酸パラジウム(10mg、0.046mmol、0.30当量)及び固体の炭酸ナトリウム(32mg、0.38mmol、2.5当量)を添加した。計60分間(30分×2)、正常な吸光度で、マイクロ波中において、反応混合物を180℃で加熱した。不溶性物質を除去するために、反応混合物をろ過し、逆相液体クロマトグラフィー(HO/CHCNグラジエントw/ 0.05%NHOH存在)によって精製して、白色固体を得た。この固体を、CHCl及びTFA(4mL)の1:1混合物中に溶解し、得られた溶液を、10分間静置した。乾燥状態になるまで、反応混合物を濃縮し、1:1メタノール/ベンゼン(3×20mL)を用いた同時蒸発によって、残存するTFAを除去して、TFA塩(オレンジ色の固体)として、5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン(1−4)を得た。HNMR(300MHz,CDOD)δ8.35(s,1H),8.18(d,1H,J=2.4Hz),7.66(d,1H,J=9.2Hz),7.58(dd,1H,J=9.2,2.5Hz),4.52(t,2H,J=6.7Hz),4.18(s,3H),3.03(t,2H,J=7.2Hz),2.16(pentet,2H,J=7.0Hz)。LRMSm/z(M+H)291.6実測値、291.1計算値。
【0190】
表1中に示されている化合物は、反応スキーム及びスキーム1に従って合成された。化合物は、TFA塩として単離された。
【0191】
【表1】

【0192】
【化18】

【0193】
7−アミノ−2−ナフトール(2−2)
水(200mL)中の、ナフタレン−2,7−ジオール(2−1、15.2g、95.0mmol、1当量)、ホルムアミド(3.78mL、95.0mmol、1.00当量)及び亜硫酸ナトリウム(23.9g、190mmol、2.00当量)の溶液を、100℃で、18時間加熱した。23℃まで冷却した後、生じた沈殿をろ過によって集め、水(2×100mL)で洗浄した。エーテル(100mL)中に固体を溶解し、6Nの塩酸水溶液で洗浄した。固体の水酸化ナトリウム粒で、水層をpH13まで塩基性にして、エーテル(100mL)で洗浄した。水層をpH7まで酸性にし、酢酸エチル(3×100mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、黄褐色の固体として、7−アミノ−2−ナフトール(2−2)を得た。LRMSm/z(M+H)160.2実測値、160.1計算値。
【0194】
7−メトキシナフタレン−2−アミン(2−3)
0℃のDMF(30mL)中の水素化ナトリウム(524mg、20.7mmol、1.10当量)の溶液に、DMF(30mL)中の7−アミノ−2−ナフトール(2−2)(3.01g、18.9mmol、1当量)の溶液を、少しずつ添加した。添加後、気体の発生が止まるまで、反応物を撹拌した後、30分にわたって、硫酸ジメチル(1.80mL、18.9mmol、1.00当量)を滴加した。反応混合物を、0℃で2時間撹拌した。6N塩酸水溶液で、過剰のNaHを慎重に反応停止させ、得られた混合物を、エチルエーテルと水の間に分配した。固体の水酸化ナトリウム粒で水層を中和し、酢酸エチル(2×50mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、淡黄色の固体として、7−メトキシナフタレン−2−アミン(2−3)を得た。HNMR(300MHz,CDCl)δ7.57(dd,1H,J=8.5,1.8Hz),6.91から6.78(m,4H),3.89(s,3H),3.82(brs,2H)。LRMSm/z(M+H)174.2実測値、174.1計算値。
【0195】
tert−ブチル(7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−4)
THF(30mL)中の、7−メトキシナフタレン−2−アミン(2−3、1.00g、5.77mmol、1当量及びジ−t−ブチルジカルボナート(1.51g、6.93mmol、1.20当量)の溶液を、65℃で、16時間加熱し、次いで、冷却し、乾燥状態になるまで濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、40分にわたって、100%酢酸エチルまで徐々に増加)によって、残留物を精製して、茶色の固体として、tert−ブチル(7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−4)を得た。HNMR(300MHz,CDCl)δ7.95(brs,1H),7.67(d,IH,J=8.2Hz)7.63(d,1H,J=8.5Hz),7.13(dd,1H,/=8.5,2.1Hz),7.08(d,1H,/=2.4Hz),7.02(dd,1H,J=8.7,2.4Hz),6.60(brs,1H),3.89(s,3H),1.55(s,9H)。LRMSm/z(M+H) 274.2実測値、274.1計算値。
【0196】
tert−ブチル(3−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−5)及びtert−ブチル(1−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−6)
ペンタン中のt−BuLi(1.7M、5.16mL、8.78mmol、2.40当量)の溶液を、−10℃の無水ジエチルエーテル(200mL)中のtert−ブチル(7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−4、1.00g、3.66mmol、1当量)の溶液に、ゆっくり添加した。反応混合物を−10℃で撹拌するにつれて、得られた雲状の懸濁物(明るい黄色)は、30分にわたって、透明になった。次いで、2−クロロ−1−ヨードエタン(0.829mL、9.15mmol、2.50当量)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌した後、pH5のリン酸緩衝液(100mL)を添加した。生じた熱混合物を、塩水(200mL)と酢酸エチル(200mL)の間に分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、ヘキサン中の25%EtOAcまで徐々に増加)によって、残留物を精製し、それぞれ、1.5:1混合物(淡黄色の油)として、tert−ブチル(3−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−5)及びtert−ブチル(1−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−6)を得た。HNMR2−5(300MHz,CDCl)δ8.44(s,1H),8.21(s,1H),7.53(d,1H,J=8.8Hz),7.08(d,1H,J=2.4Hz),7.02(dd,1H,J=8.8,2.4Hz),7.01(s,1H),3.88(s,3H),1.57(s,9H)。
【0197】
3−ヨード−7−メトキシナフタレン−2−アミニウムクロリド(2−7)
0℃のEtOAc(200mL)中の、tert−ブチル(3−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−5)及びtert−ブチル(1−ヨード−7−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(2−6)の1.5:1混合物(1.8g、4.51mmol)の溶液を通じて、飽和するまで(約10分)、HCl気体を通気した。得られた混合物を、0℃で1.5時間撹拌し、白色の沈殿を得た。固体をろ過して、白色固体(HCl塩)として、専ら、3−ヨード−7−メトキシナフタレン−2−アミニウムクロリド(2−7)を得た。HNMR(300MHz,CDOD)δ8.48(s,1H),7.86(s,1H),7.78(d,1H,J=9.2Hz),7.28(d,1H,J=2.4Hz),7.25(dd,1H,7=8.8,2.4Hz),3.93(s,3H)。
反応スキーム及びスキーム1に記載されている方法を用いて、2−7から化合物2−8を調製した。化合物2−8を、TFA塩として単離した。
【0198】
【表2】

【0199】
【化19】

【0200】
tert−ブチル(6−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(3−2)
t−BuOH(150mL)中の、6−メトキシ−2−ナフトエ酸(3−1、10.0g、49.5mmol、1当量)及びトリエチルアミン(10.3mL、74.2mmol、1.50当量を、還流しながら、72時間加熱した。反応混合物を冷却し、ろ過した。ろ液を濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)と酢酸エチル(200mL)の間に残留物を分配した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、白色の固体として、tert−ブチル(6−メトキシ−2−ナフチル)カルバマート(3−2)を得た。HNMR(500MHz,CDCl)δ7.92(s,1H),7.68(d,1H,J=2.6Hz),7.67(d,1H,J=2.4Hz),7.33(dd,1H,J=8.8,2.4Hz),7.13(dd,1H,J=8.8,2.6Hz),7.09(d,1H,J=2.4Hz),6.58(s,1H),3.92(s,3H),1.56(s,9H)。
【0201】
反応スキーム並びにスキーム1及び2に記載されている方法を用いて、3−2から化合物3−3を調製した。化合物3−3を、TFA塩として単離した。
【0202】
【表3】

【0203】
実施例1から8
本発明の様々な特徴及び利点をさらに記すために、以下に、実施例が記載されている。本実施例は、本発明を実施するための有用な方法についても記載している。これらの実施例は、特許請求の範囲に記載されている発明を限定するものではない。
【0204】
実施例1
リアルタイムPCRを用いたCHK1sv1の同定
化合物阻害特性の測定を容易にするために、CHK1をコードするエキソン領域の「正常な」スプライシングのバリアントを同定することが望ましい。特に、CHK1のC末端制御ドメインの喪失をもたらす天然に存在するスプライシング変異を探索した。C末端の欠失は、CHK1に、より大きなキナーゼ活性を付与する(Chen et al.,2000,Cell 100:681−692;Katsuragi and Sagata,2004,Mol.Biol.Cell. 15:1680−1689)。エキソン2−8は触媒性キナーゼドメインをコードし、エキソン9はリンカー領域をコードする。SQ及びC末端制御ドメインは、エキソン10から13の中に存在する(Sanchez et al.,1997,277:1497−1501;Katsuragi and Sagata,2004,Mol.Biol.Cell.15:1680−1689)。ヒトCHK1mRNAの新規スプライスバリアントの存在を同定及び確認するために、リアルタイムPCR実験及びRT−PCRが使用されてきた。CHK1阻害ドメインのC末端切断をコードする天然に存在するスプライスバリアントが、化合物阻害特性の測定のために使用されるCHK1キナーゼアッセイで使用するために、同定され、クローニングされ、発現され、及び精製された。
【0205】
RT−PCR
RT−PCRに基づくアッセイを用いて、ヒト精巣から抽出されたRNAに対して、エキソン8から11に対応する領域中のCHK1mRNAの構造を決定した。ヒト精巣から単離された全RNAは、BD Biosciences Clontech (Palo Alto,CA)から取得した。CHK1中の基準エキソンコード配列(NM_001274)のエキソン8及びエキソン11中の配列に対して相補的なRT−PCRプライマーを選択した。CHK1mRNAのヌクレオチド配列に基づいて、CHK1エキソン8及びエキソン11プライマーセット(以降、CHK18−11プライマーセットという。)は、「基準」CHK1mRNA領域に相当する478塩基対アンプリコンを増幅すると予測された。CHK18−11プライマーセットは、エキソン9からエキソン11への選択的スプライシングを有する転写物中の300塩基対のアンプリコンを増幅すると予測された。CHK1エキソン8フォワードプライマーは、配列:5’ATCAGCAAGAATTACCATTCCAGACATC3’(配列番号1)を有し、CHK1エキソン11リバースプライマーは、配列:5’CATACAACTTTTCTTCCATTGATAGCCC3’(配列番号2)を有する。
【0206】
以下のサイクル条件を使用し、Qiagen,Inc.(Valencia,CA)、One−Step RT−PCRキットを用いて、ヒト精巣から得た全RNAを、一段階の逆転写PCR増幅プロトコールに供した。
1)50℃30分間;
2)95℃15分間;
3)35サイクル
94℃30秒間;
63.5℃40秒間;
72℃50秒間;次いで、
72℃10分間。
【0207】
RT−PCR増幅産物(アンプリコン)を、2%アガロースゲル上でサイズ分画した。250から350塩基対のアンプリコンに相当する選択された断片を、ゲルから手で抽出し、Qiagen Gel Extraction Kitを用いて精製した。精製されたアンプリコン断片は、CHK18−11プライマーセットで再増幅し、アガロースゲル上でこれらのアンプリコンをサイズ分画した。250から350塩基対のアンプリコンに相当する断片を、ゲルから手で抽出し、Qiagen Gel Extraction Kitを用いて精製した。CHK18−11プライマーセットを用いて、精製されたアンプリコン断片を、もう一度再増幅した。250から350塩基対のアンプリコンのアガロースゲル上でのサイズ分画及び手動抽出後、TOPOTAクローニングキット(Invitrogen,Carlsbad,CA)に添付の試薬及び指示書を用いて、精製されたアンプリコン断片(Qiagen Gel Extraction Kit)をInvitrogenpCR2.1ベクター中にクローニングした。次いで、400コロニー/プレートのプール中、15プレート上に、計6600のクローンを播種した。各プレートから得られたプールされた440コロニーからDNAを抽出し、リアルタイムPCRに対するテンプレートとして使用した。
【0208】
リアルタイムPCR/TAOman
CHK1基準タンパク質(NP 001265)に対する選択的にスプライシングされたイソフォームの存在を測定するために、リアルタイムPCRアッセイを使用した。
【0209】
CHK1sv1イソフォームを検出するために使用したTAQmanプライマー及びプローブを設計し、プレセット混合物として合成した(Applied Biosystems,Foster City,CA)。CHK1基準形態(配列番号3、4及び5)及びCHK1sv1イソフォーム(配列番号6、7及び8)を検出するために使用されたTAQmanプライマー及びプライマーの配列が配列1に示されている。スプライスジャンクション特異的プローブの5’末端を60FAM蛍光色素(FAM)で標識し、3’末端を非蛍光消光物質(NFQ)で標識した。TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、ヒト精巣cDNAに対してリアルタイムPCRを行った。TAQman反応は、以下のものを含有した。
【0210】
【表4】

【0211】
【表5】

【0212】
ABI Prism 7900HT Sequence Detection System (Applied Biosystems,Foster City,CA)上で、TAQman反応を行った。サーモサイクリング条件は、50℃2分間、95℃10分間並びに95℃15秒間及び60℃1分間の40サイクルであった。蛍光発光のデータ解析は、Sequence Detector Software(SDS)(Applied Biosystems,Foster City,CA)によって行った。
【0213】
TAQmanアッセイの結果は、15個のプレートのうち13個から得た、プールされたDNAが、選択的なエキソン9からエキソン11へのスプライスジャンクションに相当するクローンを有するように見受けられることを示した。細菌の宿主細胞を形質転換するために、これらの陽性プール(440コロニーに相当する。)の1つから得たDNAを使用した。55コロニー/プレートのプール中、計12プレート上に、クローンを播種した。12の各プレート上のコロニーを再度プールし、TAQmanアッセイに対して使用した。12個のプレートのうち1個から得た、プールされたDNAは、選択的なエキソン9からエキソン11へのスプライスジャンクションに相当するクローンを有するように見受けられた。TAQmanアッセイを用いて、この陽性プレート上の55個のコロニーを個別にスクリーニングし、1つのクローンが選択的なエキソン9からエキソン11へのスプライスジャンクションを有することが明らかとなった。次いで、CHK1エキソン8フォワードプライマー(配列番号1)及び配列5’TGCATCCAATTTGGTAAAGAATCG 3’(配列番号9)を有する異なるエキソン11リバースプライマーを用いて、各末端からこの陽性クローンの配列を決定した。
【0214】
クローンの配列分析によって、クローンの配列が、CHK1ヘテロ核RNAのエキソン9の、エキソン11への選択的スプライシング(すなわち、エキソン10のコード配列が完全に存在しない。)に対して予測された配列と一致することが明らかとなった。
【0215】
実施例2
CHK1sy1のクローニング
リアルタイムPCR、RT−PCR及び配列決定データは、正常なCHK1基準mRNA配列の他に、CHK1タンパク質をコードするNM_001274、NP 001265(CHK1mRNAの新規スプライスバリアント形態)も、精巣組織及びMOLT−4及びDaudi細胞株中に存在することを示す。
【0216】
酵母中での組換えによって媒介されたプラスミドの構築を用いて、実施例1において同定されたCHK1sv1スプライスバリアントを含むヌクレオチド配列を有するクローンを単離した。2つのプライマー対のセットを使用して、CHK1sv1のmRRNAコード配列全体を増幅及びクローニングした。CHK1sv1の場合には、リアルタイム定量的PCR分析によって、このスプライスバリアント形態の転写物が極めて低レベルで存在することが示された。CHK1sv1をクローニングするために、所望のエキソン9からエキソン11へのスプライスジャンクションを作製するように設計された80塩基対のリンカーを用いた、酵母中でのさらなる組換え工程によって、基準CHK1(NM 001274)のコード配列を含有するクローンを変化させた。
【0217】
CHK1sv1に対応する完全長クローンを単離するために、5’「フォワード」プライマー及び3’「リバース」プライマーを設計した。5’TTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGGAGTCATGGCAGTGCCCTTTGT3’(配列番号10)のヌクレオチド配列を有し、及びCHK1mRNAのエキソン2に対して相補的な配列(NM 001274)を有するように、5’「フォワード」CHK1sv1プライマーを設計した。5’TAGAAGGCACAGTCGAGGCTGATCAGCGGGTTTAAACTCATGCATCCAATTTGGTAAAGAATCG3’(配列番号11)のヌクレオチド配列を有し、及びCHK1mRNAのエキソン11に対して相補的な配列(NM_001274)を有するように、3’「リバース」CHK1sv1プライマーを設計した。プライマー配列の5’末端に位置する斜字体で記された40ヌクレオチドは、PCRアンプリコン中に取り込まれ、続いて行われる酵母中でのプラスミド組換え現象を促進する「尾部」である。これらのCHK1sv1「フォワード」及び「リバース」プライマーは、基準CHK1mRNA(NM_001274)のコード配列を増幅するものと予測され、次いで、CHK1sv1特異的配列を作製するために、その後の組換えクローニング工程において使用された。
【0218】
RT−PCR
逆転写(RT)及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の組み合わせを用いて、CHK1sv1cDNA配列をクローニングした。より具体的には、SuperscriptII製造業者の指示書に従って、SuperscriptII(Gibco/Invitrogen,Carlsbad,CA)及びオリゴd(T)プライマー(RESGEN/Invitrogen,Huntsville,AL)を用いて、MOLT−4細胞株mRNA約25ng(BD Biosciences Clontech,Palo Alto,CA)を逆転写した。PCRのために、完了したRT反応1μLを、水40μ、10×緩衝液5μL、dNTP1μL及びClontech(Palo Alto,CA)Advantage 2 PCRキット由来の酵素1μLに添加した。CHK1sv1に対するCHK1sv1「フォワード」及び「リバース」プライマー(配列番号10、11)を用いて、Gene Amp PCR System 9700(Applied Biosystems,Foster City,CA)中でPCRを行った。1分の最初の94℃変性後、94℃で30秒の変性に続いて、63.5℃での40秒のアニーリング及び72℃での50秒の合成を用いて、増幅の35サイクルを行った。PCRの35サイクルに続いて、72℃での10分の伸長を行った。次いで、50μLの反応を4℃まで冷却した。0.3μg/mLの臭化エチジウム(Fisher Biotech,Fair Lawn,NJ)で染色された1%アガロースInvitrogen、Ultrapure)ゲル上に、得られた反応産物10μLを走行させた。CHK1mRNA(約1243塩基対の産物)の場合に、PCRが予測されたサイズの産物を与えるかどうかを決定するために、ゲル中の核酸バンドを可視化し、UV光ボックス上で写真撮影した。キットに添付されているQIAquik PCR Purification Protocolに従い、QIAquik Gel extraction Kit (Qiagen,Valencia,CA)を用いて、MOLT−4細胞から得られる50μLのPCR反応の残りを精製した。中度の加熱で、約30分間、Universal Vacuum System 400(Savantから入手)に取り付けられたSpeed Vac Plus(SC110A、Savant、Holbrook、NYから入手)中で乾燥させることによって、約6μLになるまで、精製プロトコールから得られた産物約50μLを濃縮した。
【0219】
CHK1sy1完全長クローンのクローニング及び構築並びに酵母形質転換
Raymondら(2002,Genome Res.12:190−197)によって以前に記載されたものと同様の、シクロヘキシミドをベースとする対抗選択スキームを用いて、酵母中での相同的組換えクローニングによる完全長CHK1sv1クローンの構築を行った。
【0220】
CHK1sv1フォワード及びリバース「尾部」が付された、上述のプライマー及び発現ベクターを用いて作製された1243塩基対CHK1アンプリコン間の相同的組換えによる完全長のCHK1sv1完全長クローンの構築を、酵母中へのこれらの片の同時形質転換によって行った。80塩基対のオリゴヌクレオチドリンカーを有するその後の組換え工程は、CHK1sv1エキソン9からエキソン11へのスプライスジャンクションを作出した。以下のパラグラフに記載されている全ての酵母形質転換工程は、電気穿孔によって行われた(Raymond et al.,2002 Genome Res.12:190−197)。
【0221】
1243塩基対のCHK1精製されたアンプリコン1μgを、酵母株CMY1−5(Matα,URA3デルタ,CYH2)100μLの同時形質転換によって、SrfI消化されたpCMR11の100ng中に直接クローニングした。1μg/mLシクロヘキシミド(Sigma,St.Louis,MO)を含有するUra−欠失培地プレート上で、Ura、シクロヘキシミド耐性コロニーを選択した。標準的な酵母培地を使用した(Sherman,1991,Methods Enzymol.194:3−21)。CHK1クローンを含有する酵母細胞培養物から得た全DNAを使用して、E.コリをクロラムフェニコール(Sigma,St. Louis,MO)耐性へと形質転換し、「Hoffman and Winston(1987 Gene 57:267−72)」に記載されているように、組換えプラスミドの大量を調製した。2×LB培地2mL中に、プレートからコロニーを移した。これらの液体培養物を、37℃で一晩温置した。Qiagen (Valencia,CA)Qiaquik Spin Miniprepキットを用いて、これらの培養物からプラスミドDNAを抽出した。
【0222】
【表6】

【0223】
CHK1sv1クローンを構築するために、エキソン9からエキソン11の選択的スプライシングの領域を包含する表3(配列番号12、13)中に示された80塩基対のリンカー1μg及びBamHI消化されたCHK/pCMR11クローン100ngを使用して、シクロヘキシミド感受性酵母株100μLを同時形質転換した。リンカーとCHK1/pCMR11クローン間の重複するDNAは、多くの酵母形質転換体が、正しく構築された構築物を有することを示す。その後のE.コリの調製及び形質転換のために、Ura、シクロヘキシミド耐性コロニーを選択した。CHK1sv1クローン中のエキソン9からエキソン11への選択的スプライシングの存在を確認するための制限消化によって、E.コリから抽出されたプラスミドDNAを分析した。正体を確認するために、8つのCHK1sv1クローンの配列を決定し、適切な配列を有するクローンを、多重系でのタンパク質発現のために使用した。
【0224】
【表7】

【0225】
CHK1sy1ポリヌクレオチドの要約
CHK1sv1mRNA(配列番号14)のポリヌクレオチドコード配列は、基準CHK1タンパク質(NP 001265)と類似するが、基準CHK1mRNA(NM 001274)の完全長コード配列のエキソン10に対応する178塩基対領域によってコードされるアミノ酸を欠如するCHK1sv1タンパク質(配列番号15)をコードするオープンリーディングフレームを含有する。178塩基対領域の欠失は、基準CHK1タンパク質リーディングフレームと比較して、タンパク質翻訳リーディングフレームのシフトをもたらし、CHK1sv1に固有のカルボキシ末端ペプチド領域を作出する(配列番号15において、斜字体で記載されている。)。フレームシフトは、エキソン9/エキソン11スプライスジャンクションの下流に、未成熟の停止コドン29ヌクレオチドも作出する。従って、CHK1sv1タンパク質は、エキソン10によってコードされるアミノ酸領域に対応する内部59アミノ酸領域を欠失しており、基準CHK1(NP 001265)に比較して、未成熟な停止コドンの下流に存在するヌクレオチドによってコードされるアミノ酸も欠如している。エキソン10はCHK1のSQ/TQドメインをコードし、エキソン11から13は自己阻害領域をコードする(Sanchez et al.,1997,277:1497−1501;Katsuragi and Sagata,2004,Mol.Biol.Cell.15:1680−1689)。自己阻害領域の欠失はCHK1キナーゼドメインに恒常的活性を付与するが、SQ/TQドメインも除去されると、CHK1酵素活性は減少する(Ng et al.,2004,J. Biol.Chem. 279:8808−8819)。
【0226】
【表8】


【0227】
実施例3
CHK1sy1タンパク質の発現
バキュロウイルス遺伝子発現ベクター系は、安価且つ維持が容易であるタンパク質発現昆虫細胞を可能とする。産生されるタンパク質は、哺乳類細胞中のタンパク質ものと品質が類似している(Miller,1988,Biotechnology 10:457−465;Miller,1989,Bioessays 11:91−95)。昆虫細胞中でバキュロウイルス発現ベクターを用いるタンパク質発現法は本分野において公知であり、技術は、「O’Reilly et al.,Baculovirus Expression Vectors − A Laboratory Manual,W. H. Freeman and C0.,New York,1992 and Baculovirus Expression Vector System Instruction Manual,6th edition,Pharmingen,San Diego,1999. Cloning CHK1syl for Insect Cell Expression」中に論述されている。
【0228】
昆虫細胞発現のためのCHK1sv1のクローニング
CHK1sv1/バキュロウイルストランスファーベクター構築物を作製するために、表5に列記されているプライマー(配列番号16、17)を用いて、CHK1sv1のコード配列(配列番号14)を増幅するためのPCR用テンプレートとして、CHK1sv1/pCMR11クローン(実施例2参照)を使用した。配列番号16によって表されるプライマーは、ATG停止コドンのすぐ上流に位置する最適な翻訳開始配列及びアンプリコン中に取り込まれた状態となる上流のEcoRI制限部位を含有する。配列番号17によって表されるプライマーは、CHK1sv1コード配列のC末端に位置する6ヒスチジン残基をコードする配列及びCHK1sv1アンプリコン中に取り込まれた状態となるEagI制限部位を含有する。1%アガロースゲル上でCHK1sv1アンプリコンを走行させた。約994塩基対の産物であるCHK1sv1の場合には、予測されるサイズの選択されたアンプリコン断片は、ゲルから手で抽出し、Qiagen Gel Extraction Kitを用いて精製した。精製されたアンプリコン断片は、EcoRI及びEagIで消化した。EcoRI及びEagIで消化され、アルカリホスファターゼで脱リン酸化されたバキュロウイルストランスファーベクターpVL1393(Pharmingen,San Diego,CA)中に、EcoRI/EagI消化されたアンプリコンを連結した。次いで、E.コリ株DH5α中に、CHK1sv1/pVL1393構築物を形質転換した。正体を確認するために、アンピシリン耐性コロニーから選択された、抽出されたプラスミドDNAの配列を決定し、昆虫細胞中でのタンパク質発現のために、適切な配列を有するクローンを使用した。
【0229】
【表9】

【0230】
CHK1sv1の昆虫細胞発現
直鎖化されたAcNPV BaculoGold DNA(Pharmingen,San Diego,CA)とともに、CHK1sv1/pVL1393構築物をSF9昆虫細胞(Invitrogen,Carlsbad,CA)中に同時形質移入した。各組換えウイルスを、終点希釈によって選択した。高力価株を取得するために、ウイルスクローンを増幅した。CHK1sv1組換えタンパク質の産生を確認するための小規模SF9培養中でのタンパク質発現試験に、これらのウイルス株を使用した。CHK1sv1タンパク質発現用ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって、形質移入されたSF9細胞可溶化液を分析した。Commassie染色によって、又は抗CHK1抗体(G4抗体、Santa Cruz Biotechnology,Inc)を用いたウェスタンブロッティングによって、CHK1sv1タンパク質を可視化した。発現に基づいて、より大規模なCHK1sv1発現のために、各ウイルスを選択した。リットル規模での組換えタンパク質発現のために、Ex−cell401無血清培地(JRH Scientific,Lenexa,KS)中、27℃で、SF9懸濁培養物を増殖させ、0.3ウイルス/細胞の感染効率を用いて、組換えウイルス株に感染させた。感染されたSF9培養物を、ウイルス形質移入から72時間後に採集し、遠心によって沈降させた。−70℃で、沈降物を保存した。
【0231】
CHK1sy1組換えタンパク質の精製
1μMミクロシスチン(Sigma,St. Louis,MO)、10μMシペルメトリン(EMD Biosciences,San Diego,CA)及び無EDTAプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics,Mannheim,Germany)(1錠剤/50mL溶解緩衝液)を含有するB−PERタンパク質抽出試薬(Pierce,Rockford,IL)で、昆虫細胞沈降物を溶解した。タンパク質精製中の全ての操作は、4℃で行った。溶解緩衝液中に細胞を再懸濁し、45分間撹拌した。次いで、200U/mLの最終濃度になるように、DNAseI(Roche)を添加し、細胞懸濁液を、さらに30分間撹拌した。溶解された細胞懸濁液を、30,000gで、30分間遠心した。容器を傾けて溶解上清を採取し、30,000gで、30分間遠心した。清澄化された上清各10mLに対して、Talon金属アフィニティー樹脂1mL総容積(Clontech,Palo Alto,CA)を添加し、45分間、懸濁液を撹拌した。アフィニティー樹脂/可溶化液懸濁液を、5000gで3分間遠心した後、上清を廃棄した。樹脂の5×容積を用いて、緩衝液A(50μM Tris,pH 8.0;250mM NaCl)で、アフィニティー樹脂を4回洗浄した。緩衝液A中の2×スラリーとして、洗浄された樹脂を再懸濁し、クロマトグラフィーカラム中に充填した。樹脂が充填されたカラムを、緩衝液Aの6×総容積で洗浄した。緩衝液A中のイミダゾールの段階的グラジエントを用いて、CHK1sv1−Hisタグ付加されたタンパク質をカラムから溶出する。2×総用量画分中のイミダゾール濃度は、5、10、20、30、40、50及び60mMであった。Amicon Ultra 15 Centrifugal Filter Device、30,000 Nominal Molecular Weight Limit(Millipore,Billerica,MA)を用いて、溶出画分を濃縮した。濃縮された酵素画分を、グリセロール中に50%希釈し、−20℃で保存した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動後に、Commassie染色及び抗CHK1抗体(G4抗体、Santa Cruz Biotechnology,Inc)を用いたウェスタンブロッティングを使用して、CHK1sv1−Hisタグ化タンパク質の存在について画分を分析した。以下の節に記載されているキナーゼアッセイを用いて、カラム画分のCHK1sv1キナーゼ活性を測定した。
【0232】
実施例4
CHK1sv1キナーゼアッセイ
合成ペプチド基質を用いて、CHK1sv1活性をインビトロでアッセイした。均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイシステム(Park et al.,1999,Anal. Biochem. 269:94−104)を用いて、ホスホペプチド産物を定量した。反応混合物は、40μLの最終容積中に、40mM HEPES,pH 7.3;100mM NaCl;10mM MgCl;2mMジチオスレイトール;0.1% BSA;0.1mMATP;0.5μMペプチド基質;及び0.1nMCHK1sv1酵素を含有した。ペプチド基質は、アミノ酸配列アミノ末端−GGRARTSSFAEPG−カルボキシ末端(SynPep,Dublin CA)(配列番号18)を有し、N末端においてビオチン化される。22℃で30分間、キナーゼ反応を温置し、次いで、60μLの停止/検出緩衝液(40mMHEPES,pH 7.3;10mMEDTA;0.125%TritonX−100;1.25%BSA;250nMPhycoLink Streptavidin−AUophycocyanin(APC)抱合物(Prozyme,San Leandro,CA)で停止し、ユーロピウム−キレート(Perkin Elmer,Boston,MA)で、0.75nMGSK3α抗ホスホセリン抗体(Cell Signaling Technologies,Beverly,MA;Cat# 9338)で標識した。22℃で2時間、反応を平衡化させ、Discoveryプレートリーダー(Packard Biosciences)上で相対蛍光単位を読み取った。化合物のIC50を測定するために、上記反応において、阻害剤化合物をアッセイする。1nMから100μMの範囲にわたる半対数希釈系列中の各40μL反応物に、DMSO中に溶解された化合物1μLを添加した。化合物濃度の範囲にわたって、HTRF蛍光単位として読み取られた相対リン基質形成を測定し、4パラメータS字フィッティングを用いて、滴定曲線を作製した。
【0233】
上記アッセイにおいて、本発明の具体的な化合物を検査し、基質に対して50μM以下のIC50を有することを見出した。
【0234】
実施例5
細胞中でのCHK1自己リン酸化の阻害
DNA損傷に応答したCHK1自己リン酸化をモニターすることによって、阻害剤化合物が細胞中でCHK1を阻害する能力についてアッセイする。培地:10%ウシ胎児血清が補充されたRPMI1640、10mMHEPES;2mML−グルタミン;1×非必須アミノ酸;及びペニシリン−ストレプトマイシン中で、H1299細胞(ATCC,Manassas,VA)を増殖させる。T−75フラスコから得た細胞を、プールし、計数し、2mL培地中、200,000細胞/ウェルで、6ウェルの皿に播種し、温置する。DMSO中の化合物の連続希釈系列又はDMSO対照を、DMSO中の1000倍作業原液から得られた各ウェルに添加し、37℃で2時間温置する。2時間の温置期間後、PBS中の200倍作業原液から、全ての薬物処理された細胞(高用量ウェルの1つを除く。)及び1つのDMSO対照ウェルに、100nMカンプトテシン(EMD Biosciences,San Diego,CA)を添加する。カンプトテシンとの4時間の温置後、氷冷したPBSで、各ウェルを1回洗浄し、溶解緩衝液300μL(50mMTris(pH8.0)、150mMNaCl、50mMNaF、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸、0.1%SDS、0.5μMNaVO及びI×Protease Inhibitor Cocktail Complete−EDTAなし(Roche Diagnostics,Mannheim,Germany))を各ウェルに添加する。4℃で10から15分間、プレートを震盪させ、次いで、可溶化液を1.5mLの微小遠心管に移し、−80℃で凍結させる。氷上で可溶化液を融解し、15,000×gでの20分間の遠心によって清澄化し、上清を移して、管を空にする。
【0235】
5×試料負荷緩衝液5μLの添加、及び100℃での5分間の熱変性によって、ゲル電気泳動のために、試料(20μL)を調製する。Tris/グリシンSDS−ポリアクリルアミドゲル(10%)中で試料を電気泳動し、PVDF上にタンパク質を転写する。次いで、TBS中の3%BSA中で、ブロットを1時間ブロッキングし、ホスホ−Ser296CHK1に対する抗体を用いてプローブする(Cell Signaling Technologies − Cat #2346)。西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合された二次抗体(ヤギ抗ウサギ Jackson Labs−Cat#111−035−046)及び増強された化学発光(ECL−plus,Amersham,Piscataway,NJ)を用いて、結合された抗体を可視化する。62.5mMTrisHCl pH6.7、2%SDS及び100μMになるように2−メルカプトエタノール中、55℃で30分間温置することによって第一の抗体の組を除去した後、CHK1モノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc.,Cat# SC−8408)を用いて、総CHK1に対して、ブロットを再度プローブする。西洋ワサビペルオキシダーゼ(Amersham Biosciences,Piscataway,NJ,Cat#NA931)に結合されたヒツジ抗マウスIgG及び増強された化学発光(ECL−plus,Amersham)を用いて、CHK1モノクローナルを検出する。ECL露光されたフィルムを走査し、ImageQuantソフトウェアを用いて特異的バンドの強度を定量する。総CHK1に対して標準化されたホスホ−CHK1(Ser296)シグナルのレベルに対して、力価を評価し、IC50値を計算する。
【0236】
実施例6
チェックポイントエスケープアッセイにおける阻害剤の機能的活性
DNA損傷の停止
細胞中でのCHK1阻害剤の機能的活性を測定するために、化合物が、DNA損傷によって誘導された細胞周期の停止を抑制する能力についてアッセイする。本アッセイは、DNA損傷剤カンプトテシンによってもたらされた細胞周期停止後に、M期に入る細胞の量の指標として、細胞ホスホ−ヌクレオリンのレベルを測定する。
【0237】
10%ウシ胎児血清が補充されたRPMI640培地中に、5000細胞/ウェルの密度で、H1299細胞(ATCC,Manassas VA)を播種する。37℃、5%COでの24時間の温置後、200nMの最終濃度までカンプトテシンを添加し、16時間温置する。200nMカンプトテシン及び332nMノコドゾール(最終濃度:50ng/mL)を加えた増殖培地中の検査化合物連続希釈系列の等容量を添加し、37℃での温置を8時間継続する。ウェルから培地を取り出し、50μLの溶解緩衝液(20mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl、50mMNaF、1%TritonX−100、10%グリセロール、1×プロテイナーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics,Mannheim Germany)、1μl/mLDNアーゼI(Roche Diagnostics)、300μMオルトバナジン酸ナトリウム、1μMミクロシスチン(Sigma,St. Louis,MO)を添加する。溶解緩衝液を加えたプレートを、4℃で30分間震盪し、20分間凍結(−70℃)させる。IGEN Origen技術(BioVeris Corp.,Gaithersburg,MD)を用いて、細胞可溶化液中のホスホヌクレオリンのレベルを測定する。
【0238】
細胞可溶化液中のホスホヌクレオリンの検出
製造業者によって記載されたプロトコールを使用し、Origen Biotin−LC−NHS−Ester (BioVeris Corp.)を用いて、4E2抗ヌクレオリン抗体(Research Diagnostics Inc.,Flanders,NJ)をビオチン化した。製造業者によって記載されたプロトコールに従い、ルテニル化キット(ruthenylation kit)(BioVeris Corp.;cat#110034)を用いて、ヤギ抗マウス抗体(Jackson Immuno Research,West Grove,PA)をルテニル化した。細胞可溶化液(上記)25μLとともに、96ウェルプレートの各ウェルに、2μg/mLビオチン化4E2抗ヌクレオリン抗体及び0.4mg/mLストレプトアビジン被覆された常磁性Dyanbeads(BioVeris Corp.)を含有する抗体緩衝液25μL(リン酸緩衝化生理的食塩水pH7.2、1%ウシ胎児血清、0.5%Tween−20)を添加する。室温で1時間震盪しながら、抗体及び可溶化液を温置する。次に、抗体緩衝液(上記)50μLの容量で、可溶化液混合物の各ウェルに、抗ホスホヌクレオリンTG3抗体(Applied NeuroSolutions Inc.,Vernon Hills,IL)50ngを添加し、室温で30分間、温置を継続する。最後に、抗体緩衝液中のルテニル化されたヤギ抗マウス抗体の240ng/mL溶液25μLを、各ウェルに添加し、室温で3時間、温置を継続する。可溶化液抗体混合物を、BioVeris MシリーズM8分析機で読み取り、ホスホルヌクレオリンの化合物依存性増加に対するEC50を測定する。
【0239】
実施例7
他の生物学的アッセイ
CHK1発現及び精製:GIBCOTMInvitrogenから購入した標準的なバキュロウイルスベクター及び(Bac−to−Bac(R))昆虫細胞発現系を用いて、アミノ末端にグルタチオン転移酵素を有する融合タンパク質(GST−CHK1)として、組換えヒトCHK1を発現させることが可能である。製造業者によって記載された標準的な方法を使用し、グルタチオンセファロース(Amersham Biotech)を用いて、昆虫細胞中で発現された組換えタンパク質を精製することが可能である。
【0240】
CHK1蛍光偏光アッセイ:キナーゼ活性をモニターするための蛍光偏光を用いて、CHK1キナーゼ阻害剤を同定することができる。このアッセイは、10nMGST−CHK1を使用し、5mM2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES、pH6.5)、5mM塩化マグネシウム(MgCl)、0.05%Tween(R)−20、1μMアデノシン5’三リン酸(ATP)、2mM1,4−ジチオ−DL−スレイトール(DTT)、1μMペプチド基質(ビオチン−ILSRRPSYRKILND−遊離酸)(配列番号19)、10nMペプチド基質トレーサー(フルオレシン−GSRRP−pS−YRKI−遊離酸)(pS=リン酸化されたSerine)(配列番号20)、Cell Signalling Technologies (Beverly,MA)から購入した未精製マウス腹水から、ProteinGセファロース上で精製された60ng抗ホスホCREB(S133)マウスモノクローナルIgG、4%ジメチルスルホキシド(DMSO)及び30μM阻害剤化合物を含有する。室温で140分間、反応を温置し、25mMEDTA(pH8.0)の添加によって停止させる。停止された反応を、室温で120分間温置し、標準的なフルオレシン設定で、Molecular Devices/LJL Biosystems AnalystTMAD(Sunnyvale,CA)を用いて、蛍光偏光値を測定する。
【0241】
CHK1SPAろ過アッセイ:アッセイ(25μL)は、10nMGST−CHK11、10mMMES、2mMDTT、10mMMgCl、0.025%Tween(R)−20、1μMペプチド基質(ビオチン−ILSRRPSYRKILND−遊離酸)(配列番号19)、1μMATP、0.1μCi33P−γ−ATP(New England Nuclear,NEN)を含有し、室温で90分間反応させる。50mMEDTA、6.9mMATP、0.5mMシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズ(Amersham Biosciences)を含有するリン酸緩衝化生理的食塩水55μLを添加することによって、反応を停止させる。室温で10分間、ペプチド基質をビーズに結合させた後、PackardGF/B Unifilterプレート上でろ過し、リン酸緩衝化生理的食塩水で洗浄する。乾燥させたプレートを、TopsealTM(NEN)で密封し、33Pに対する標準的な設定で、Packard Topcount(R)シンチレーションカウンターを用いて、ペプチド基質に取り込まれた33P。
【0242】
CHK1FlashPlate(R)キナーゼアッセイ:アッセイ(25μL)は、8.7GST−CHK1、10mMMES、0.1mMエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA,pH8.0)、2mMDTT、0.05%Tween 20、3μMペプチド基質(ビオチン−ILSRRPSYRKILND−遊離酸)(配列番号19)、1μMATP、0.4μCi33P−γ−ATP(NEN)及び4%DMSOを含有する。室温で30分間、反応を温置し、50mMEDTA50μLで停止した。反応90μLを、ストレプトアビジンコートされたFlashPlates(R)(NEN)に転写し、室温で1時間温置する。0.01%Tween−20及び10mMピロリン酸ナトリウムを含有するリン酸緩衝化生理的食塩水でプレートを洗浄する。プレートを乾燥させ、TopsealTM(NEN)で密封し、標準的な条件で、Packard Topcount(R)NXTTMシンチレーションカウンターを用いて、ペプチド基質中に取り込まれた33Pの量を測定する。
【0243】
CHK1DELFIA(R)キナーゼアッセイ:アッセイ(25μL)は、25mMTris,pH8.5、20%グリセロール、50mM塩化ナトリウム(NaCl)、0.1Surfact−Amps(R)20、1μMペプチド基質(ビオチン−GLYRSPSMPEN−アミド)(配列番号21)、2mMDTT、4%DMSO、12.5μMATP、5mMMgClを含有する6.4mMGST−CHK1を使用し、室温で30分間反応させる。1%BSA、10mMTris、pH8.0、150mMNaCl及び100mMEDTAを含有する100μL停止緩衝液で反応を停止させる。30分の室温での温置中に、ビオチンペプチド基質を捕捉するために、停止された反応物(100μL)を、96ウェルのneutravidinプレート(Pierce)に移す。ウェルを洗浄し、Cell Signalling Technology(Beverly,MA)から得た21.5ng/mLの抗ホスホ−Ser216−Cdc25cウサギポリクローナル抗体及び292ng/mLユーロピウム標識された抗ウサギIgGを含有する100μLのPerkinElmer Wallac Assay Bufferと、室温で1時間反応させる。細胞を洗浄し、Enhancement Solution(100μL)(PerkinElmer Wallac)の添加によって、結合された抗体からユーロピウムを放出させ、製造業者の標準的な設定を使用し、Wallac Victor2TMを用いて検出する。
【0244】
本発明の化合物は、上記CHK1FlashPlate(R)キナーゼアッセイにおいて検査し得る。
【0245】
WSTアッセイ:72時間、線形増殖曲線を与える密度で、96ウェルの透明底プレートに、HT29、HCT116(5000細胞/ウェル)又は他の細胞を播種する(75μL)。適切な培地中、無菌条件下で細胞を培養し、HT29及びHCt116については、本培地は、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するMcCoyの5Aである。細胞の最初の播種後、17から24時間まで(この時点で、48時間以内に少なくとも80%の細胞の死滅を引き起こすことが可能な点まで、増加する濃度で、適切なDNA損傷剤(カンプトテシン、5−フルオロウラシル及びエトポシドが添加される。)、37℃、5%COで細胞を温置する。全てのDNA損傷剤及び化合物添加の最終容量は25μLである。アッセイは、最終1%未満のDMSOを含有する。DNA損傷剤の添加と同時に、細胞死滅の増強を観察するために、各DNA損傷剤滴定へ、CHK1阻害剤化合物を固定濃度で添加する。上記条件下での細胞の生存/細胞の死滅は、DNA損傷及びCHK1阻害剤化合物の添加から47時間後、及び37℃、5%COでの3.5時間又は2.5時間の温置後、製造業者に従ってWST試薬(Roche)の添加によって測定され、ここでは、OD450が測定される。
【0246】
本発明の化合物は、上記アッセイにおいて検査し得る。
【0247】
実施例8
他の生物学的アッセイ
本発明の化合物の生物学的活性を測定するために使用し得る他のアッセイには、以下の公報:WO04/080973号、WO02/070494号及びWO03/101444号に見出されるアッセイが含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式A
【化1】

の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体。
(式中:
aは、0又は1であり;bは、0又は1であり;mは、0、1又は2であり;nは、0、1、2、3、4、5又は6であり;
環Zは、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及び(C−C)シクロアルキルから選択され;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、ハロ、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、Br、I、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、Br、I、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル、SH及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、(C=O)−C10アルケニル、(C=O)−C10アルキニル、COH、Br、I、OH、O−Cペルフルオロアルキル、(C=O)NR、CN、(C=O)−Cシクロアルキル、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル、SH、及び(C=O)ヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、Rから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、(C=O)−C10アルキル、(C=O)アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、(C=O)ヘテロシクリル、COH、ハロ、CN、OH、O−Cペルフルオロアルキル、O(C=O)NR、オキソ、CHO、(N=O)R、S(O)NR、S(O)−(C−C10)アルキル、SH又は(C=O)−Cシクロアルキルであり、前記アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル及びシクロアルキルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
6aは、(C=O)(C−C10)アルキル、O(C−C)ペルフルオロアルキル、(C−C)アルキレン−S(O)、オキソ、OH、ハロ、CN、(C−C10)アルケニル、(C−C10)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキレン−アリール、(C−C)アルキレン−ヘテロシクリル、(C−C)アルキレン−N(R、C(O)R、(C−C)アルキレン−CO、C(O)H及び(C−C)アルキレン−COHから選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルは、R、OH、(C−C)アルコキシ、ハロゲン、COH、CN、O(C=O)C−Cアルキル、オキソ及びN(Rから選択される最大3個の置換基で場合により置換されており;
及びRは、H、(C=O)O−C10アルキル、(C=O)O−Cシクロアルキル、(C=O)Oアリール、(C=O)Oヘテロシクリル、C−C10アルキル、アリール、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ヘテロシクリル、C−Cシクロアルキル、SO及び(C=O)NRから独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルケニル及びアルキニルは、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており、又はR及びRは、これらが結合している窒素とともに、各環中に3から7員を有し及び前記窒素の他に、N、O及びSから選択される1個若しくは2個の追加の複素原子を場合により含有する単環式若しくは二環式複素環を形成することが可能であり、前記単環式若しくは二環式複素環は、R6aから選択される1つ又はそれ以上の置換基で場合により置換されており;
は、H、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり;並びに
は、独立に、H、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロシクリル、(C−C)シクロアルキル、(C=O)OC−Cアルキル、(C=O)C−Cアルキル又はS(O)である。)
【請求項2】
式Bの請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体。
【化2】

(他の全ての置換基及び変数は、請求項1に定義されているとおりである。)
【請求項3】
式Cの請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体。
【化3】

(他の全ての置換基及び変数は、請求項1に定義されているとおりである。)
【請求項4】
式Dの請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体。
【化4】

(他の全ての置換基及び変数は、請求項1に定義されているとおりである。)
【請求項5】
5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン;
5−(3−アミノプロピル)−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン;
5−(3−アミノプロピル)−8−ブロモ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン;
3−(8−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン;及び
3−(9−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン
から選択される請求項1に記載の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは立体異性体。
【請求項6】
5−(3−アミノプロピル)−8−クロロ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン;
5−(3−アミノプロピル)−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン;
5−(3−アミノプロピル)−8−ブロモ−3−メチル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−オン;
3−(8−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン;及び
3−(9−メトキシ−3−メチル−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−5H−ベンゾ[g]イミダゾ[4,5−c]キノリン−5−イル)プロパン−1−アミン:
から選択される請求項1に記載の化合物のTFA又はその立体異性体。
【請求項7】
医薬担体を含み、及び請求項1に記載の化合物の治療的有効量がその中に分散された医薬組成物。
【請求項8】
癌の治療又は予防を必要とする哺乳動物中の癌の治療又は予防において有用な医薬の調製のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物と医薬として許容される担体を組み合わせることによって作製される医薬組成物。

【公表番号】特表2009−502791(P2009−502791A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522885(P2008−522885)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/027787
【国際公開番号】WO2007/015837
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】