説明

チェーンコンベヤ

【課題】 破損されやすい欠点をなくするように設計され、特に、安価で、かつ容易に実現されるチェーンコンベヤを提供すること。
【解決手段】 チェーンコンベヤは、多数のヒンジ結合されたリンク(34)を繋ぐことによって形成された、運搬面(7)を有するエンドレスコンベヤベルト(6)を有している。また、チェーンコンベヤは、回転軸(19;21)を中心として回転する少なくとも1つのプーリ(23)を有している。コンベヤベルト(6)は、運搬面(7)と直交するコンベヤベルトの側面(35)をプーリ(23)の側面(36)と接触させて、その縁が、プーリ(23)の周囲に巻き付く。プーリ(23)の側面(36)は、プーリ(23)の側面(23)とコンベヤベルト(6)の側面(35)との間の接触が、コンベヤベルト(6)の引張り力の作用線(38)と実質的に一直線に並ぶ接触点(37)において生じるように、形成されていることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンコンベヤに関する。
【0002】
本発明は、可変容量式紙巻タバコ貯蔵装置に有利に用いることができる。以下、単なる例示にすぎないが、可変容量式紙巻タバコ貯蔵装置を例にして、本発明を説明する。
【背景技術】
【0003】
紙巻タバコの包装において、可変容量式紙巻タバコ貯蔵装置は、製造される紙巻タバコの数と包装される紙巻タバコの数との間の差を補償するために、紙巻タバコ製造機械と包装機械との間に介在される。
【0004】
FIFO(先入れ先出し)可変容量式紙巻タバコ貯蔵装置のいくつかの例が、欧州特許第738478B1号明細書、米国特許第5,413,213号明細書、国際公開第9944446A1号パンフレット、及び国際公開第03026988A1号パンフレットに記載されている。上記の文献に記載されている形式の貯蔵装置は、紙巻タバコが走行する経路に沿って直列に配置される搬入ステーション及び搬出ステーションと、運搬分岐路と戻り分岐路とを有するエンドレスチェーンコンベヤと、運搬分岐路の長さと戻り分岐路の長さを相補的に調整する調整装置と、を備えている。チェーンコンベヤは、多数のヒンジ結合されたコンベヤ部材を繋ぐことによって形成される。このチェーンコンベヤは、運搬分岐路に沿って、その縁が固定ドラムと可動ドラムの周囲に巻き付き、多数の巻回を有する垂直コイルを形成する。
【0005】
前述の形式の紙巻タバコ貯蔵装置では、チェーンコンベヤは、比較的頻繁に破損を受けやすく、この破損は、破損したコンベヤ部材を簡単に取り替えることによって、安価で、かつ容易に修復されるが、数多くの紙巻タバコが貯蔵装置から脱落し、その結果、紙巻タバコ製造システムの停止が比較的長くなり、また、通常、貯蔵装置における数多くの紙巻タバコの損傷が生じるという深刻な結果をもたらす、ことが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記の欠点をなくすように設計され、特に、安価で、かつ容易に実現されるチェーンコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、添付の特許請求項に記載のチェーンコンベヤが、提供される。
【0008】
以下、一例として、本発明の制限されない実施形態を、添付の図面に基づいて、説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1における番号1は、紙巻タバコ2用の搬入ステーション3と搬出ステーション4とを備える、紙巻タバコ2用の可変容量式貯蔵装置を総称的に示している。搬入ステーション3と搬出ステーション4は、紙巻タバコ2が走行する経路に沿って、直列に配列されている。さらに具体的には、貯蔵装置1は、FIFO可変容量式紙巻タバコ貯蔵装置、すなわち、可変数の紙巻タバコ2を貯蔵する貯蔵装置である。貯蔵装置では、搬入ステーション3を通って貯蔵装置1に最初に入る紙巻タバコが、搬出ステーション4に最初に供給される。
【0010】
貯蔵装置1には、搬入ステーション3に配置されると共に製造機械(図示せず)の出口に接続された搬入コンベヤ(図示せず)によって、ひと塊に並べられた多数の紙巻タバコ2が次々と供給される。貯蔵装置1は、これらの紙巻タバコ2を、搬出ステーション4に配置されると共に包装機械(図示せず)の入口に接続された搬出コンベヤ(図示せず)に送給する。
【0011】
貯蔵装置1は、エンドレスコンベヤベルト6を有するチェーンコンベヤ5を備え、このエンドレスコンベヤベルト6は、貯蔵装置1内を走行する紙巻タバコ2を支持する運搬面7を有している。チェーンコンベヤ5は、運搬分岐路8を備えている。運搬分岐路8は、搬入コンベヤ及び搬出コンベヤと一緒に、製造機械と包装機械との間の紙巻タバコ2の経路を画成し、搬入ステーション3における搬入プーリ9から搬出ステーション4における搬出プーリ10に延在し、紙巻タバコ2を搬入ステーション3から搬出ステーション4に運搬する。チェーンコンベヤ5は、搬出プーリ10から搬入プーリ9に延在する戻り分岐路11も備えている。
【0012】
貯蔵装置1は、貯蔵装置1の貯蔵容量を調整するために、運搬分岐路8の長さと戻り分岐路11の長さとを相補的に調整する調整ユニット12を備えている。調整ユニット12は、運搬分岐路8と関連する調整装置13と、戻り分岐路11と関連する補償装置14とを備えている。
【0013】
調整装置13は、平行6面体状の箱体15によって画成された固定フレームを備えている。箱体の上面は、搬入ステーション3と搬出ステーション4との間に延在する直線レール16を有している。直線レール16には、垂直軸19を有する可動ドラム18を支持するスライド17が取り付けられている。直線レール16は、固定ドラム20も支持している。固定ドラム20は、直線レール16に固く接続され、垂直軸21を有し、搬入ステーション3の近くに配置されている。
【0014】
図4に示すように、各ドラム18,20は、角に固定された(angularly fixed)、垂直方向の(a vertical)中心シャフト22を備え、この中心シャフト22には、等間隔で離間したプーリ23が取り付けられている。各プーリ23は、中心シャフト22の軸方向の定位置に空転可能に取り付けられた中心ハブ24と、中心シャフト22及び関連するハブ24と同軸に配置され、チェーンコンベヤ5を支持する外側リム25と、を備える。
【0015】
補償装置14は、箱体15の内側、すなわち、調整装置13の下方に全体が収容されている。さらに具体的には、図2に示すように、補償装置14は、1対の固定ドラム26を備えている。固定ドラム26は、同軸に配置され、それぞれの水平軸27を有し、レール16の固定ドラム20のある側に固く接続されている。補償装置14は、1対の可動ドラム28も備えている。可動ドラム28は、同軸に配置され、それぞれの水平軸29を有し、レール16の底部に沿って走行するスライド30に取り付けられている。さらに具体的に、直線レール16は、(図4にさらに明確に示されている)四角形の箱断面によって画成されているが、この箱断面の上部が、ドラム20を支持すると共にスライド17を介してドラム18を支持し、この箱断面の下部が、固定ドラム26を定位置に支持すると共にスライド30を介して可動ドラム28を支持している。
【0016】
図3,4に示すように、ドラム26,28は、それぞれの軸27,29をレール16と直交させて、レール16の両側に配置されている。各ドラム26,28は、個々のシャフト31と、多数のプーリ32とを備えている。これらのプーリ32は、シャフト31に沿って等間隔で離間され、シャフト31に空転可能に取り付けられ、それぞれ、チェーンコンベヤ5の幅と略等しいが、小さくはない幅の外溝を有している。スライド30は、2つの可動ドラム28に加えて、プーリ33を支持している。このプーリ33は、レール16を跨いで空転可能に取り付けられ、垂直軸を中心として自在に回転する。このプーリ33によって、チェーンコンベヤ5は、レール16の片側の可動ドラム28からレール16の他の側の可動ドラム28に渡ることができる。さらに具体的には、レール16の片側の可動ドラム28からレール16の他の側の可動ドラム28にチェーンコンベヤ5が渡るのは、チェーンコンベヤ5の縁がプーリ33の周囲に巻き付くことによって、可能にされる。
【0017】
運搬分岐路8に沿って、チェーンコンベヤ5は、2つのドラム18,20の周囲に下方に向かって巻き付き、多数の巻回を有する垂直コイルを形成し、これらの巻回は、各々、2つの対応するプーリ23によって支持される。この運搬分岐路8では、チェーンコンベヤ5は、運搬面7を上に向け、コイルの全体にわたって、ドラム18,20に対して縁を向け、プーリ23のリム25に水平に載置される。戻り分岐路11では、チェーンコンベヤ5は、ドラム26,28の周囲に巻き付き、多数の巻回を有する水平コイルを形成し、これらの巻回は、各々、2つの対応するプーリ32によって支持される。
【0018】
図5に示すように、コンベヤベルト6は、運搬面7と直交する回転軸を中心として互いに回動するように、多数のリンク34(図5には1つしか示されていない)を互いにヒンジ結合させて繋ぐことによって、形成される。一例として、各リンク34は、米国特許第4,893,709号明細書に記載されている形式であってもよい。コンベヤベルト6は、運搬面7と直交する2つの背中合わせの側面35を有している。さらに具体的には、コンベヤベルト6の各側面35は、各プーリ23を取り囲み、垂直方向にも案内されるように、C字形状を有している。
【0019】
前述したように、コンベヤベルト6は、運搬面7と直交する側面35をプーリ23の側面36と接触させて、その縁が、各プーリ23の周囲に巻付く。プーリ23の側面36は、プーリ23の側面36とコンベヤベルト6の側面35との間の接触が、コンベヤベルト6の引張り力の作用線38と一直線に並ぶ接触点37において生じるように、形作られている。換言すれば、接触点37は、プーリ23の側面36の尖頭部の先端であり、これによって、プーリ23の側面36とコンベヤベルト6の側面35との間の接触は、安定し、かつ接触点37でのみ生じる。
【0020】
プーリ23の側面36は、回転軸19,21と直交する中心線39に関して非対称の形状を有している。その結果、接触点37は、中心線39から運搬面7の方にある距離を置いて、すなわち、中心線39と運搬面7との間の中間位置に、配置される。換言すれば、プーリ23の側面36は、中心線39から運搬面7の方にある距離を隔てた位置(接触点37に対応する位置)において、最大直径を有している。
【0021】
接触点37が、コンベヤベルト6の引張り力の作用線38と一直線に並ぶ場合、コンベヤベルト6の引張り力とコンベヤベルト6に作用する遠心力が一直線上にあるので、捩じれトルクを生じることがない。逆に、接触点37がコンベヤベルト6の引張り力の作用線38と一直線に並んでいない場合、コンベヤベルト6の引張り力とコンベヤベルト6に作用する遠心力は、一直線にないので、捩じれトルクが生じ、コンベヤベルト6をプーリ23に対して垂直方向に押す傾向にあり、これによって、プーリ23の側面36とコンベヤベルト6の側面35との間の摩擦力を増大させる。プーリ23の側面36とコンベヤベルト6の側面35との間の摩擦力が増大すると、コンベヤベルト6の磨耗が増大し、これによって、コンベヤベルト6の稼動寿命が短くなる傾向にある。
【0022】
好ましい実施形態では、固定された球面ガイド40が、各プーリ23の周囲に配置される。この球面ガイド40は、プーリ23と係合する側面35と反対側の側面35と係合する。
【0023】
試験によって、前述のチェーンコンベヤ5は、極めて長期間にわたって用いられても、低い破損率を有し、それは、コンベヤベルト6のプーリ23に対する摩擦力を著しく低減させることによって、達成されることが明らかにされている。また、試験によって、コンベヤベルト6のプーリ23に対する摩擦力が、従来の設計手法と比較して、わずかに半分しか生じないことも、明らかにされている。
【0024】
勿論、前述のチェーンコンベヤ5は、紙巻タバコ2以外を運搬するのに用いられてもよく、及び/又は貯蔵装置1以外の装置に用いられてもよい。例えば、前述のチェーンコンベヤ5は、フィルタ部分、紙巻タバコのパケット、製菓、又は製造業又は金属加工業の半製品を運搬するのに用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるチェーンコンベヤを特徴付ける可変容量式貯蔵装置の斜視図である。
【図2】明確にするために、一部を省略した図1の貯蔵装置の斜視図である。
【図3】図1の貯蔵装置の細部の拡大平面図である。
【図4】図1の貯蔵装置の拡大正面断面図である。
【図5】図4の細部の拡大図である。
【符号の説明】
【0026】
1 貯蔵装置
2 紙巻タバコ
3 搬入ステーション
4 搬出ステーション
5 チェーンコンベヤ
6 エンドレスコンベヤベルト
7 搬送面
8 運搬分岐路
9 搬入プーリ
10 搬出プーリ
11 戻り分岐路
12 調整ユニット
13 調整装置
14 補償装置
15 箱体
16 直線レール
17 スライド
18 可動ドラム
19 垂直軸
20 固定ドラム
21 垂直軸
22 中心シャフト
23 プーリ
24 中心ハブ
25 外側リム
26 固定ドラム
27 水平軸
28 可動ドラム
29 水平軸
30 スライド
31 シャフト
32 プーリ
33 プーリ
34 リンク
35 側面
36 側面
37 接触点
38 力の作用線
39 中心線
40 球面ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬面(7)を有するエンドレスコンベヤベルト(6)と、
少なくとも1つのプーリ(23)であって、該プーリ(23)は、回転軸(19、21)を中心として回転し、前記コンベヤベルト(6)の前記運搬面(7)と直交する前記コンベヤベルトの側面(35)を、前記プーリ(23)の側面(36)と接触させて、その縁が、該プーリ(23)の周囲に巻き付く、プーリ(23)と、
を備えるチェーンコンベヤであって、
前記プーリ(23)の前記側面(36)と前記コンベヤベルト(6)の前記側面(35)との間の接触が前記コンベヤベルト(6)の引張り力の作用線(38)と一直線に並ぶ接触点(37)において生じるように、前記プーリ(23)の前記側面(36)が、形成されていることを特徴とするチェーンコンベヤ。
【請求項2】
前記コンベヤベルト(6)の前記側面(35)は、前記プーリ(23)を取り囲んで、垂直方向にも案内されるように、C字形状を有することを特徴とする請求項1に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項3】
前記接触点(37)は、前記プーリ(23)の前記側面(36)の尖頭部の先端であることを特徴とする請求項1または2に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項4】
前記プーリ(23)の前記側面(36)は、前記回転軸(19、21)と直交する中心線(39)に関して非対称的な形状を有し、これによって、前記接触点(37)は、前記中心線から前記運搬面(7)の方に、ある距離を隔てて配置されることを特徴とする請求項1または2、あるいは3に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項5】
前記コンベヤベルト(6)は、前記運搬面(7)と直交する回転軸を中心として互いに回動するように、互いにヒンジ連結された多数のリンク(34)を繋ぐことによって、形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項6】
前記コンベヤベルト(6)は、前記運搬面(7)と直交する2つの対向する側面(35)を有し、前記コンベヤベルト(6)の前記側面(35)の各々は、C字形状を有し、固定された球状のガイド(40)が、前記プーリ(23)の周囲に配置され、前記プーリ(23)と係合する前記コンベヤベルトの前記側面(35)と反対側の前記コンベヤベルト(6)の前記側面(35)と係合することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項7】
前記チェーンコンベヤ(5)は、搬入ステーション(3)と搬出ステーション(4)との間に延在する運搬分岐路(8)と、前記搬出ステーション(4)と前記搬入ステーション(3)との間に延在する戻り分岐路(11)と、を備え、調整手段(12)が、前記運搬分岐路(8)の長さと前記戻り分岐路(11)の長さとを相補的に調整するために設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項8】
前記運搬分岐路(8)は、少なくとも1対の第1ドラム(18、20)の周囲に少なくとも1つの第1のコイルを形成し、前記1対の第1ドラム(18、20)の各々は、多数の前記プーリ(23)を有することを特徴とする請求項7に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項9】
前記第1ドラム(18、20)の各々は、垂直方向に傾斜して固定された中心シャフト(22)を備え、該中心シャフト(22)に、前記プーリ(23)が等間隔で離間して配列されることを特徴とする請求項8に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項10】
前記プーリ(23)の各々は、前記シャフト(22)の軸方向の定位置に空転可能に取り付けられたハブ(24)と、前記シャフト(22)及び該当するハブ(24)と同軸に配置され、前記チェーンコンベヤ(5)を支持する外側リム(25)と、を備えることを特徴とする請求項9に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項11】
前記戻り分岐路(11)は、前記第1ドラム(18、20)と直角をなす少なくとも1対の第2ドラム(26、28)の周囲に少なくとも1つの第2のコイルを形成することを特徴とする請求項8または9、あるいは10に記載のチェーンコンベヤ。
【請求項12】
請求項1〜11に記載の前記チェーンコンベヤ(5)を備える可変容量貯蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−217189(P2007−217189A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−37397(P2007−37397)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(592033493)ジ・ディ・ソシエタ・ペル・アチオニ (38)
【氏名又は名称原語表記】G.D S.p.A.