説明

チエノチオフェン化合物とその製造方法、及びチエノチオフェン共重合体の製造方法

【課題】半導体性を示し、アニオンでドープされた状態において高い導電性を有し、かつ大気曝露によって導電性が低下することなく大気安定性を有するチエノチオフェン共重合体のモノマー成分となるチエノチオフェン化合物を提供する。
【解決手段】チエノチオフェン化合物は、下記化学式(1)
【化1】


(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各−O−Rはそれぞれ同一又は異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基である)で示されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体や導電体の有機材料として有用なチエノチオフェン共重合体のモノマー成分として用いられる新規なチエノチオフェン化合物、及びチエノチオフェン共重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピロール、チオフェン、アニリン等のようにヘテロ原子が環内外に存する五員環構造又は六員環構造を有する化合物を重合したり、炭化水素系芳香環構造を有する化合物を重合したりして得られる重合体は、半導体性を有している。これらの重合体を有機半導体材料として有機電解トランジスタ、薄膜トランジスタ、電波による個体識別(RFID)等の様々な有機デバイスへの用途が検討されている。また、アニオンのようなドーパントでドープされたこれらの重合体は導電性を有しており、共存させるドーパントのドーピング量を調整することにより電気特性及び光学特性を適切にコントロールすることができるため、各種電極、エレクトロクロミック材料、各種センサー、一次電池、二次電池、固体電解コンデンサー、帯電防止剤等の様々な有機材料への用途が検討されている。
【0003】
従来技術において[3,4−b]チエノチオフェンを含むポリマー、特に[3,4−b]チエノチオフェンとアルキルチオフェンとを含むポリマーは耐酸化性を有する有機半導体として好適に用いられている。例えば、高キャリア移動度を示し、耐酸化性を有する活性層として用いられた薄膜トランジスタ(非特許文献1)や、p−型半導体として用いられた有機薄膜太陽電池(非特許文献2)が知られている。一方で、アニオンでドープされたこれらの重合体については、アニオンでドープされた[3,4−b]チエノチオフェンを含むポリマーが導電性を有することが知られているが(特許文献1)、導電性や安定性については言及されていない。このようなポリマーが、大気曝露によって導電性が大幅に低下することが報告されており(非特許文献3)、より高い導電性を有し、安定性の高い重合体が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−504379号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ネイチャー マテリアルズ(Nature Materials),2006年,第5巻,p.328
【非特許文献2】アプライド フィジカル レターズ(Applied Physics Letters),2009年,第92巻,p.113309
【非特許文献3】アドヴァンスト ファンクショナル マテリアルズ(Advanced Functional Materials),2009年,第19巻,p.1906
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、半導体性を示し、アニオンでドープされた状態において高い導電性を有し、かつ大気曝露によって導電性が低下することなく大気安定性を有するチエノチオフェン共重合体のモノマー成分となるチエノチオフェン化合物及びその製造方法、またそのチエノチオフェン化合物をモノマー成分として用いたチエノチオフェン共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたチエノチオフェン化合物は、下記化学式(1)
【化1】

(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各−O−Rはそれぞれ同一又は異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基である)で示されることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載のチエノチオフェン化合物は、請求項1に記載されたものであって、前記化学式(1)中、Rが下記化学式(2)
−〔(CHa−W〕−R ・・・(2)
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキルであり、Wは酸素原子又は硫黄原子であり、aは1〜5の正数であり、bは1〜30の正数である)で示されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のチエノチオフェン化合物は、請求項1に記載されたものであって、下記化学式(3)
【化2】

又は、下記化学式(4)
【化3】

で示されることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載のチエノチオフェン化合物の製造方法は、溶媒中、下記化学式(5)
【化4】

(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各Yはそれぞれ同一又は異なり、−Sn(R、−MgCl、−MgBr、−MgI、−ZnCl、−ZnBr、−ZnI、−B(OH)、−B(OR、及び−B(−OCH(CH)CH(CH)O−)から選ばれる置換基である(Rはアルキル基である))で示される化合物と、下記化学式(6)
【化5】

(式中、−O−Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基であり、Xはハロゲン原子である)で示される少なくとも1種類の化合物とを反応させ、下記化学式(1)
【化6】

(式中、各R及び−O−Rは前記と同じである)で示されるチエノチオフェン化合物を製造する方法である。
【0011】
請求項5に記載のチエノチオフェン共重合体の製造方法は、下記化学式(1)
【化7】

(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各−O−Rはそれぞれ同一又は異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基である)で示されるチエノチオフェン化合物を重合させて、下記化学式(7)
【化8】

(式中、各R及び−O−Rは前記と同じであり、nは最小でも2の正数である)で示される構成単位を有するチエノチオフェン共重合体を製造する方法である。
【0012】
請求項6に記載のチエノチオフェン共重合体の製造方法は、請求項5に記載されたものであって、溶媒中、前記チエノチオフェン化合物を、酸化剤の存在下で化学酸化重合させることにより、前記重合させることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載のチエノチオフェン共重合体の製造方法は、請求項5に記載されたものであって、溶媒中、前記チエノチオフェン化合物と電解質とを含有する混合物に、印加して電解重合させることにより、前記重合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のチエノチオフェン化合物は、チエノチオフェン共重合体のモノマー成分であり、半導体材料及び導電性材料となるチエノチオフェン共重合体の重合原料として用いることができる。
【0015】
本発明のチエノチオフェン化合物の製造方法によれば、チエノチオフェン化合物を簡便に収率良く製造することができる。
【0016】
本発明のチエノチオフェン共重合体の製造方法によれば、半導体性を有しており、また導電体として好適な重合体であって、アニオンでドープされた状態において高い導電性を示すことができるチエノチオフェン共重合体を簡便に歩留り良く得ることができる。このチエノチオフェン共重合体は、高い導電性を有し、大気曝露でも導電性が低下することなく大気安定性を示すことができ、半導体材料及び導電性材料として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0018】
本発明のチエノチオフェン化合物は、前記化学式(1)で示されるように、アルキルを含有する側鎖がエーテル結合を介して連結されているチオフェン環が、チエノチオフェン骨格に結合しているものである。
【0019】
前記化学式(1)における各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基から選ばれる何れかである。
【0020】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。
【0021】
置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エチトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルテトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
これらのかかる置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキレンオキシ基が挙げられる。
【0023】
前記化学式(1)における各−O−Rは、それぞれ同一又は異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基である。例えば、各−O−Rは、−Rを直鎖状若しくは分岐鎖状であって置換基で置換され若しくは無置換でC2p+1(p=1〜20)のようなアルキルとする前記の側鎖基、すなわち置換されていてもよいアルコキシル基であってもよく、このようなアルキルで末端がキャップされたポリアルキレングリコール基又はポリアルキレンチオグリコール基であってもよいというものである。好ましくは、Rが下記化学式(2)で示されるものである。
【0024】
−〔(CHa−W〕−R ・・・(2)
式(2)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキルであり、Wは酸素原子又は硫黄原子であり、aは1〜5の正数であり、bは1〜30の正数である。
【0025】
このアルキルとしては、Rで例示したものと同じものが挙げられ、また、かかる置換基としても、同様に同じものが挙げられる。
【0026】
本発明のチエノチオフェン化合物は、下記反応式(A)に示すように、前記化学式(5)で示される化合物と前記化学式(6)で示される化合物とを反応させることで得ることができる。
【0027】
【化9】

前記反応式(A)中、各R及び−O−Rは、それぞれ前記と同じであり、Xはハロゲン原子、各Yはそれぞれ同一又は異なり、−Sn(R、−MgCl、−MgBr、−MgI、−ZnCl、−ZnBr、−ZnI、−B(OH)、−B(OR、及び−B(−OCH(CH)CH(CH)O−)から選ばれる置換基である。ここで、Rはアルキル基である。
【0028】
前記反応式(A)としては、ケミカル レヴュー(Chemical Review),1995年,第95巻,p.2457に記載されているような鈴木・宮浦カップリング、アンゲヴァンテ ケミー インターナショナル エディッション(Angewante Chemie International Edition),1986年,第25巻,p.508に記載されているような右田・小杉・スティルカップリング、ピュア アンド アプライド ケミストリー(Pure andApplied Chemistry)1980年,第52巻,p.669に記載されているような熊田・玉尾カップリング、及びアカウンツ オブ ケミカル リサーチ(Accouts ofChemical Research)1982年,第15巻,p.340に記載されているような根岸カップリングを用いることができる。これらのカップリング反応は有機化学で周知されている。
【0029】
用いられる溶媒としては、特に限定されないが溶媒の存在下で行われることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族または脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、キシレン、エチルトルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、t一ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4一ジオキサン等のエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N一メチルー2一ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。前記溶媒は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。用いられる触媒としては、パラジウム触媒やニッケル触媒等の金属触媒が挙げられる。反応温度としては、特に限定されないが−50℃〜200℃が好ましい。反応時間としては、特に限定されないが1分〜48時間が好ましい。
【0030】
このようにして得られるチエノチオフェン化合物を重合原料となるモノマー成分として、前記化学式(7)で示される構成単位を有するチエノチオフェン共重合体を製造することができる。
【0031】
本発明のチエノチオフェン共重合体の製造方法は、下記反応式(B)に示すように、モノマー成分となる前記化学式(1)で示されるチエノチオフェン化合物を重合することで、前記化学式(7)で示される構成単位を有するチエノチオフェン共重合体を得るものである。
【0032】
【化10】

前記反応式(B)中、各R及び−O−Rは、それぞれ前記と同じであり、nは、最小でも2の正数である。
【0033】
チエノチオフェン化合物をモノマー成分として用いたチエノチオフェン共重合体の製造工程の一実施例を詳細に説明する。
【0034】
溶媒中において、重合原料となるモノマー成分と、酸化剤とを混合すると、その酸化剤によりモノマー成分から脱水素して、化学酸化により重合して、導電特性を有するチエノチオフェン共重合体を生成する。
【0035】
この化学酸化重合において、用いられる溶媒は、特に制限されず、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アセト二トリル、ベンゾニトリル、プロピレンカーボネート、ニトロメタン、テトロヒドロフラン、メタノール、水が挙げられる。
【0036】
用いられる酸化剤は、特に限定されないが、遷移金属塩であることが好ましい。遷移金属塩としては、例えば、塩化第二鉄(FeCl)、過塩素酸第二鉄(Fe(ClO)、鉄硫酸第二鉄(Fe(SO)、炭素数1〜16のアルコキシベンゼンスルホン酸鉄、炭素数1〜16のアルキルベンゼンスルホン酸鉄、ナフタレンスルホン酸鉄、フェノールスルホン酸鉄、スルホイソフタル酸鉄ジアルキルエステル、アルキルスルホン酸鉄、ナフタレンスルホン酸鉄、アルコキシナフタレンスルホン酸鉄、テトラリンスルホン酸鉄、炭素数1〜12のテトラリンスルホン酸鉄等の第二鉄塩や、これら前記化合物の鉄(III)塩の代わりにセリウム(IV)塩、銅(II)塩、マンガン(VII)塩、ルテニウム(III)塩になったもの等が挙げられる。前記酸化剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。混合して用いる場合にはドーパント作用を有する酸化剤同士、ドーパント作用を有さない酸化剤同士で混合して用いてもよく、ドーパント作用を有する1種以上の第二鉄塩とドーパント作用を有さない1種以上の第二鉄塩とを混合して用いてもよい。
【0037】
酸化剤の含有率は、好ましくは1000〜0.10mol/Lであり、より好ましくは、100〜1.0mol/Lである。
【0038】
反応温度としては、特に限定されないが−50℃〜200℃が好ましい。反応時間としては、特に限定されないが1分〜48時間が好ましい。添加剤として支持塩を用いてもよく、特に限定されないが、任意のカチオンと過塩素酸イオン、四フッ化ホウ素イオン、六フッ化リンイオン、ハロゲン原子イオン、六フッ化ヒ素イオン、六フッ化アンチモンイオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸イオン、ポリビニルスルホン酸といったアニオンの組み合わせからなる支持塩が挙げられる。
【0039】
また、別の製造方法として電気化学的に重合する電解重合が挙げられる。
【0040】
電解重合により重合させる際の具体的な方法として、重合原料となるモノマー成分を溶媒に溶解させた溶液か、これにさらに支持電解質を溶解させる等して電解液を作製し、この溶液又は電解液を介して電極間に電圧印加することにより、陽極酸化された重合物として、目的のチエノチオフェン共重合体を陽極上に得る方法が好適に採用される。
【0041】
このチエノチオフェン共重合体はフィルム状の形態にすることができる。このように、電解重合により、エレクトロクロミック表示素子を構成するための材料として好適なフィルムを形成することができ、エレクトロクロミック表示素子を高い生産性で製造することが可能となる。また、電解重合を採用することによりチエノチオフェン共重合体を含む層と電極とが一体となった部材を直接製造することができ、このような部材はそのままEC表示素子の構成部材として用いることができるため、EC表示素子の製造が容易となる利点も有する。
【0042】
電解重合において用いることができる溶媒としては、例えば、ニトロメタン、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、ニトロベンゼン、シアノベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0043】
電解液に用いる支持電解質としては、例えば、リチウムイオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン等アルカリ金属類のイオンや四級アンモニウムイオンといったカチオンと、過塩素酸イオン、四フッ化ホウ素イオン、六フッ化リンイオン、ハロゲン原子イオン、六フッ化ヒ素イオン、六フッ化アンチモンイオン、硫酸イオン、硫酸水素イオンといったアニオンの組み合わせからなる支持塩が挙げられる。また電解液としてはアルキルイミダゾリウム塩、アルキルピリジニウム塩等のイオン液体を用いることもできる。前記支持電解質は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
また電解液としては、前記溶媒と前記支持電解質からなる電解液が挙げられる。
【0045】
溶液又は電解液における前記化学式(1)で示されるモノマー成分の含有率としては、採用する重合反応条件等により適宜設定することができるが、好ましくは1000〜0.10mol/Lであり、より好ましくは、100〜1.0mol/Lである。
【0046】
また、電解液における支持電解質の含有率としては、好ましくは1000〜0.10mol/Lであり、より好ましくは、100〜1.0mol/Lである。
【0047】
電極材料としては、例えば、白金、金、ニッケル、ITO等が挙げられる。
【0048】
電圧印加する際の電圧としては、採用する重合反応条件等により適宜設定することができるが、好ましくは0.1〜1.5V(vs Ag/Ag)であり、より好ましくは0.3〜1.2V(vs Ag/Ag)である。電圧印加する際の温度は、好ましくは−50〜50℃であり、より好ましくは−30〜30℃である。
【0049】
反応温度としては、特に限定されないが−50℃〜200℃が好ましい。反応時間としては、特に限定されないが1分〜48時間が好ましい。
【0050】
得られたチエノチオフェン共重合体は、前記化学式(7)で示される構成単位を有し、その構成単位の繰返し数であるnが2以上のものである。また、チエノチオフェン共重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、200〜1,000,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常、200〜1,000,000である。なお、本発明において平均分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレンによる検量線から求めた値である。
【0051】
このチエノチオフェン共重合体の構造の結合配列は、チエノチオフェン化合物が、位置規則的にヘッド−テイル繰返構造として配列したものであってもよく、ヘッド−ヘッド繰返構造、及び/又はテイル−テイル繰返構造が配列したものであってもよい。
【0052】
チエノチオフェン共重合体は、半導体性を有しており、ドーパントが添加されることで高い導電性を示し、半導体材料及び導電性材料として用いることができる。ドーパントは、チエノチオフェン共重合体を酸化還元させることにより導電性を向上できるものであれば、特に制限はなく、公知である種々の電子供与性物質や電子吸引性物質を適宜選択し、用いることができる。なかでも、電子吸引性物質をドーパントとして用いることが好ましい。電子吸引性物質は、酸化され正の電荷を帯びた前記化学式(7)で示される構成単位を有するチエノチオフェン共重合体に対するカウンターアニオンとして機能する。
【0053】
ドーパントの具体例としては、PF、SbF、AsF等の5B族元素のハロゲン化アニオン、BF等の3B族元素のハロゲン化アニオン、I(I)、Br、Cl等のハロゲンアニオン、ClO等のハロゲン酸アニオン、AlCl、FeCl、SnCl等の金属ハロゲン化物アニオン、NOで示される硝酸アニオン、SO2−示される硫酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ナフタレンスルホン酸アニオン、CHSO3−、CFSO等の有機スルホン酸アニオン、CFCOO、CCOO等のカルボン酸アニオン、及び前記のアニオン種を主鎖又は側鎖に有する変性ポリマー等が挙げられる。
【0054】
これらのドーパントは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用して用いられてもよい。また、アニオンの添加方法については特に限定されず、例えば、所望のアニオンを適宜添加してもよいし、酸化剤により重合させる場合には、用いられる酸化剤由来のアニオンをそのまま用いることができる。また、電解化学的にドープさせる場合には、電解質由来のアニオンをそのまま用いることができる。
【0055】
ドーパントの添加量は、用いるドーパントにより任意に調整することができるが、チエノチオフェン共重合体100質量部に対し1〜1000質量部であると好ましい。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明の製造方法によるチエノチオフェン共重合体の合成及びその導電率の測定を実施例1〜2に示し、本発明の適用外の製造方法によるチエノチオフェン共重合体の合成及びその導電率を比較例に示す。
【0057】
(実施例1)
温度計及びジムロート冷却器を備えた100mL三つ口フラスコに、クロロベンゼン50mL、2,5−ビス(トリメチルスズ)−[3,2−b]チエノチオフェン466mg(1.00mmol)、2−ブロモ−3−ドデシルオキシチオフェン695mg(2.00mmol)、塩化リチウム42.4mg(1.00mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム18.3mg(0.0200mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン24.4mg(0.0800mmol)を加えた。反応容器を130℃に加熱した後、8時間攪拌した。反応終了後、トルエン200mL及び飽和食塩水200mLを加え、有機層と水層とを分離した。有機層を200mLの水で2回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮することにより、粗成生物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記化学式(3)で示されるチエノチオフェン化合物を302mg(0.449mmol,44.9%)得た。
【0058】
【化11】

【0059】
H−核磁気共鳴スペクトル法(NMR)により、理化学分析を行った。その結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz、CDCl、TMS)δ:7.39(2H,s)、7.06(2H,J=5.4Hz,d)、6.83(2H,5.4Hz,d)、4.10(4H,J=6.5Hz,t)、1.84(4H,m)、1.50−1.20(36H,m)、0.88(6H,m)
これらの理化学的データは、それの化学構造を支持する。
【0060】
ITO膜付ガラス板(表面抵抗値:10Ω/□)を陽極、白金線を陰極、銀/過塩素酸銀(10mMアセトニトリル溶液)を参照極として配置した電解槽に、10mM過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液5mL及び10mM過塩素酸テトラブチルアンモニウム/塩化メチレン溶液5mLを加え、前記化学式(3)で示されるチエノチオフェン化合物673mg(1.00mmol)を溶解させて、窒素置換を行った。この電解槽の各電極に、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタットHAB−151を接続した。ポテンショスタットモードにて(0.7V)の定電位で電圧印加し、電解重合を行ったところ、陽極上に黒色重合体であるチエノチオフェン共重合体が生成した。生成した膜を脱水アセトニトリルで洗浄後、乾燥させて導電率を四端子法で測定したところ、10S/cmであった。大気中に24時間放置した後再測定したところ、9S/cmであった。温度計を備えた50mL三つ口フラスコに得られたポリマー、ヒドラジン一水和物5mL、蒸留水5mLを加え、反応容器を25℃で1時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、蒸留水10mL、エタノール10mLで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を蒸留水100mLで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエヴァポレーターで濃縮することで脱ドープポリマーを得た。得られた脱ドープポリマーの数平均分子量(Mn)は2,100であった。なお、分子量は、テトラヒドロフランを溶離液とするGPC(東ソー(株)製;HLC−8020 EcoSEC)を用いて測定した。カラムは、東ソー(株)製のTSKgel Multipore HZの2本を直列に繋いだものを用いた。
【0061】
温度計を備えた200mL三つ口フラスコに、前記化学式(3)で示されるチエノチオフェン化合物673mg、過塩素酸第二鉄2.13g、アセトニトリル50mL及びクロロホルム50mLを加えた。反応容器を25℃で24時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、ポリマーであるチエノチオフェン共重合体を得た。生成したチエノチオフェン共重合体を乾燥させて導電率を四探針法で測定したところ、15S/cmであった。大気中に24時間放置した後再測定したところ、13S/cmであった。温度計を備えた50mL三つ口フラスコに得られたポリマー、ヒドラジン一水和物5mL、蒸留水5mLを加え、反応容器を25℃で1時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、蒸留水10mL、エタノール10mLで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を蒸留水100mLで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエヴァポレーターで濃縮することで脱ドープポリマーを得た。得られた脱ドープポリマーの数平均分子量(Mn)は2,000であった。
【0062】
(実施例2)
温度計及びジムロート冷却器を備えた100mL三つ口フラスコに、クロロベンゼン50mL、2,5−ビス(トリメチルスズ)−[3,2−b]チエノチオフェン466mg(1.00mmol)、2−ブロモ−3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)チオフェン562mg(2.00mmol)、塩化リチウム42.4mg(1.00mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム18.3mg(0.0200mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン24.4mg(0.0800mmol)を加えた。反応容器を130℃に加熱した後、8時間攪拌した。反応終了後、トルエン200mL及び飽和食塩水200mLを加え、有機層と水層とを分離した。有機層を200mLの水で2回、洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮することにより、粗成生物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記化学式(4)で示されるチエノチオフェン化合物を228mg(0.420mmol,42.0%)得た。
【0063】
【化12】

【0064】
H−NMRにより、理化学分析を行った。その結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz、CDCl、TMS)δ:7.38(2H,s)7.06(2H,J=5.7Hz,d)、6.87(2H,5.7Hz,d)、4.30(4H,m)、3.92(4H,m)、3.75(4H,m)、3.58(4H,m)、3.40(6H,s)
これらの理化学的データは、それの化学構造を支持する。
【0065】
ITO膜付ガラス板(表面抵抗値:10Ω/□)を陽極、白金線を陰極、銀/過塩素酸銀(10mMアセトニトリル溶液)を参照極として配置した電解槽に、10mM過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液10mLを加え、前記化学式(4)で示されるチエノチオフェン化合物、541mg(1.00mmol)を溶解させて、窒素置換を行った。この電解槽の各電極に、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタットHAB−151を接続した。ポテンショスタットモードにて(0.7V)の定電位で電圧印加し、電解重合を行ったところ、陽極上に黒色重合体であるチエノチオフェン共重合体が生成した。生成した膜を脱水アセトニトリルで洗浄後、乾燥させて導電率を四端子法で測定したところ、20S/cmであった。大気中に24時間放置した後再測定したところ、19S/cmであった。温度計を備えた50mL三つ口フラスコに得られたポリマー、ヒドラジン一水和物5mL、蒸留水5mLを加え、反応容器を25℃で1時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、蒸留水10mL、エタノール10mLで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を蒸留水100mLで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエヴァポレーターで濃縮することで脱ドープポリマーを得た。得られた脱ドープポリマーの数平均分子量(Mn)は2,000であった。
【0066】
温度計を備えた200mL三つ口フラスコに、前記化学式(4)で示されるチエノチオフェン化合物541mg、過塩素酸第二鉄2.13g、アセトニトリル100mLを加えた。反応容器を25℃で24時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、ポリマーであるチエノチオフェン共重合体を得た。生成したチエノチオフェン共重合体を乾燥させて導電率を四探針法で測定したところ、24S/cmであった。大気中に24時間放置した後再測定したところ、24S/cmであった。温度計を備えた50mL三つ口フラスコに得られたポリマー、ヒドラジン一水和物5mL、蒸留水5mLを加え、反応容器を25℃で1時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、蒸留水10mL、エタノール10mLで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を蒸留水100mLで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエヴァポレーターで濃縮することで脱ドープポリマーを得た。得られた脱ドープポリマーの数平均分子量(Mn)は2,400であった。
【0067】
(比較例)
温度計及びジムロート冷却器を備えた100mL三つ口フラスコに、クロロベンゼン50mL、2,5−ビス(トリメチルスズ)−[3,2−b]チエノチオフェン466mg(1.00mmol)、2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン663mg(2.00mmol)、塩化リチウム42.4mg(1.00mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム18.3mg(0.0200mmol)、トリ(o−トリル)ホスフィン24.4mg(0.0800mmol)を加えた。反応容器を130℃に加熱した後、8時間攪拌した。反応終了後、トルエン200mL及び飽和食塩水200mLを加え、有機層と水層を分離した。有機層を200mLの水で2回、洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮することにより、粗成生物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、下記化学式(8)で示される化合物を402mg(0.627mmol,62.7%)得た。
【0068】
【化13】

【0069】
H−NMRにより、理化学分析を行った。その結果を以下に示す。
H−NMR(270MHz、CDCl、TMS)δ:7.23(2H,s)、7.21(2H,J=5.7Hz,d)、6.95(2H,5.7Hz,d)、2.79(4H,J=7.7Hz,t)、1.62(4H,m)、1.50−1.20(36H,m)、0.87(6H,m)
これらの理化学的データは、それの化学構造を支持する。
【0070】
ITO膜付ガラス板(表面抵抗値:10Ω/□)を陽極、白金線を陰極、銀/過塩素酸銀(10mMアセトニトリル溶液)を参照極として配置した電解槽に、10mM過塩素酸テトラブチルアンモニウム/アセトニトリル溶液5mL,10mM過塩素酸テトラブチルアンモニウム/塩化メチレン溶液5mLを加え、前記化学式(8)で示される化合物641mg(1.00mmol)を溶解させて、窒素置換を行った。この電解槽の各電極に、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタットHAB−151を接続した。ポテンショスタットモードにて(0.7V)の定電位で電圧印加し、電解重合を行ったところ、陽極上に黒色重合体が生成した。生成した膜を脱水アセトニトリルで洗浄後、乾燥させて導電率を四端子法で測定したところ、12S/cmであった。大気中に24時間放置した後再測定したところ、7S/cmであった。温度計を備えた50mL三つ口フラスコに得られたポリマー、ヒドラジン一水和物5mL、蒸留水5mLを加え、反応容器を25℃で1時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、蒸留水10mL、エタノール10mLで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を蒸留水100mLで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエヴァポレーターで濃縮することで脱ドープポリマーを得た。得られた脱ドープポリマーの数平均分子量(Mn)は1,900であった。
【0071】
温度計を備えた200mL三つ口フラスコに、前記化学式(8)で示される化合物641mg、過塩素酸第二鉄2.13g、アセトニトリル50mL及びクロロホルム50mLを加えた。反応容器を25℃で24時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、ポリマーを得た。生成したポリマーを乾燥させて導電率を四探針法で測定したところ、6S/cmであった。大気中に24時間放置した後再測定したところ、0.7S/cmであった。温度計を備えた50mL三つ口フラスコに得られたポリマー、ヒドラジン一水和物5mL、蒸留水5mLを加え、反応容器を25℃で1時間撹拌した。反応終了後反応液をろ過し、蒸留水10mL、エタノール10mLで洗浄した後、クロロホルムで抽出した。得られた溶液を蒸留水100mLで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ロータリーエヴァポレーターで濃縮することで脱ドープポリマーを得た。得られた脱ドープポリマーの数平均分子量(Mn)は2,000であった。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のチエノチオフェン共重合体の製造方法は、アニオンでドープされた状態において高い導電性を示すことができるチエノチオフェン共重合体を製造することができる。このチエノチオフェン共重合体は、半導体及び導電体となる有機材料として有用であり、有機薄膜太陽電池、有機電解トランジスタ、薄膜トランジスタ、OLED、RFID、各種電極、エレクトロクロミック材料、アクチュエーター、各種センサー、圧電素子、熱電素子、一次電池、二次電池、固体電解コンデンサー、帯電防止剤等として用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)
【化1】

(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各−O−Rはそれぞれ同一又は異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基である)
で示されることを特徴とするチエノチオフェン化合物。
【請求項2】
前記化学式(1)中、Rが下記化学式(2)
−〔(CHa−W〕−R ・・・(2)
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキルであり、Wは酸素原子又は硫黄原子であり、aは1〜5の正数であり、bは1〜30の正数である)
で示されることを特徴とする請求項1に記載のチエノチオフェン化合物。
【請求項3】
下記化学式(3)
【化2】

又は、下記化学式(4)
【化3】

で示されることを特徴とする請求項1に記載のチエノチオフェン化合物。
【請求項4】
溶媒中、下記化学式(5)
【化4】

(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各Yはそれぞれ同一又は異なり、−Sn(R、−MgCl、−MgBr、−MgI、−ZnCl、−ZnBr、−ZnI、−B(OH)、−B(OR、及び−B(−OCH(CH)CH(CH)O−)から選ばれる置換基である(Rはアルキル基である))で示される化合物と、下記化学式(6)
【化5】

(式中、−O−Rは置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基であり、Xはハロゲン原子である)で示される少なくとも1種類の化合物とを反応させ、下記化学式(1)
【化6】

(式中、各R及び−O−Rは前記と同じである)
で示されるチエノチオフェン化合物を製造する方法。
【請求項5】
下記化学式(1)
【化7】

(式中、各Rはそれぞれ同一又は異なり、水素原子、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、及び置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基から選ばれる何れかであり、各−O−Rはそれぞれ同一又は異なり、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルを含有する側鎖基である)
で示されるチエノチオフェン化合物を重合させて、下記化学式(7)
【化8】

(式中、各R及び−O−Rは前記と同じであり、nは最小でも2の正数である)
で示される構成単位を有するチエノチオフェン共重合体を製造する方法。
【請求項6】
溶媒中、前記チエノチオフェン化合物を、酸化剤の存在下で化学酸化重合させることにより、前記重合させることを特徴とする請求項5に記載のチエノチオフェン共重合体の製造方法。
【請求項7】
溶媒中、前記チエノチオフェン化合物と電解質とを含有する混合物に、印加して電解重合させることにより、前記重合させることを特徴とする請求項5に記載のチエノチオフェン共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2012−246272(P2012−246272A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121312(P2011−121312)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】