説明

チオタングステン酸(塩)アナログ及びその使用

本発明は、新規テトラチオタングステン酸誘導体、新規テトラチオタングステン酸誘導体の製造方法、新規テトラタングステン酸誘導体の医薬組成物、異常な血管形成と関連する病気、銅代謝障害、神経変性障害及び肥満の治療のための新規テトラチオタングステン酸誘導体の使用方法、異常な血管形成、銅代謝障害、神経変性障害、肥満又はNF-κBの調節不全と関連する病気の治療又は予防のための新規テトラチオタングステン酸誘導体の医薬組成物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本発明は、一般に、テトラチオタングステン酸誘導体、新規テトラチオタングステン酸誘導体の製造方法、新規テトラチオタングステン酸誘導体の使用方法、並びに異常な血管新生、銅代謝異常、神経変性障害及び肥満に関連する病気の治療又は予防のためのテトラチオタングステン酸の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
ほとんどの形態の癌は、固形癌に由来し、モノクローナル抗体及び免疫毒の使用などの治療に対して臨床で耐性であることが証明された(Shockley et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 1991, 617:367-382)。癌の治療のための抗血管新生治療は、持続的な増殖のために固形癌が血管新生(すなわち、新たな血管の形成)を必要とするという認識から開発された(Folkman, Ann. Surg. 1972, 175: 409-416; Folkman, Mol. Med. 1995, 1(2): 120-122; Folkman, Breast Cancer Res. Treat. 1995, 36(2): 109-118; Hanahan et al., Cell 1996, 89(3):353-364)。抗血管新生治療の動物モデルにおける有効性が実証された(Millauer et al., Cancer Res.1996, 56: 1615-1620; Borgstrom et al., Prostrate 1998, 35:1-10; Benjamin et al., J. Clin. Invest. 1999, 103:159-165; Merajver et al., Proceedings of Special AACR Conference on Angiogenesis and Cancer 1998, Abstract#B-11, January 22-24)。血管新生がないと、固形腫瘍の内部細胞層は適切に栄養補給されない。さらに、血管新生(すなわち、異常な血管新生)は、多くの他の病気(例えば、眼内の血管新生疾患、黄斑変性症、リューマチ関節炎など)に関与することが示唆された。より最近には、血管新生の阻害が直接的に動物モデルにおける脂肪組織の損失及び体重損失と相関し、これが肥満の予防に抗血管新生治療が有用であるかもしれないことを示唆する(Rupnick et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 2002, 99,:10730-10735)。
【0003】
対照的に、正常組織は特別な環境下(例えば、傷の修復、月経サイクルの間の子宮内膜の増殖など)以外では血管新生を必要としない。したがって、血管新生に対する要求は、主要細胞と正常組織との顕著な相違である。重要なことには、正常細胞と比較した場合の腫瘍組織の血管新生への依存は、癌治療においてしばしば利用される正常組織と腫瘍組織との間の細胞の複製及び細胞死における違いよりも量的に大きい。
【0004】
多くの研究によって明らかにされたように、血管新生は銅を必要とする(Parke et al., Am. J. Pathol. 1988, 137: 173-178; Raju et al., Natl. Cancer Inst. 1982, 69:1183-1188; Zinche et al., Natl. Cancer Inst. 1982, 69:475-482; Gullino, Anticaner Res. 1986, 6(2): 153-158)。インビボでの銅の量を減少させることによる動物モデルにおける血管新生の予防及びしたがって腫瘍成長の予防の試みは、本分野において報告されている(Brem et al., Neurosurgery 1990, 26:391-396; J. Pathol. 1990, 137(5): 1121-1142; Yoshida et al., Neurosurgery 1995 37(2): 287-295)。これらのアプローチは銅のキレート剤及び銅含量の低い食餌の両方を取り入れていた。より最近には、BrewerらのPCT国際特許出願第PCT/US99/20374号は、銅キレート剤(例えば、テトラチオモリブデン酸)が血管新生を要求する病気(例えば、固形腫瘍の成長)の治療に有効であることができることを示した。
【0005】
血管新生の誘導に加えて、銅は腫瘍細胞の増殖及び生存に直接的な役割も有することができる。多くの異なる固形癌を有する患者からの血漿及び腫瘍組織に高レベルの銅が存在する(Chakravarty et al., J Cancer Res. Clin. Oncol. 1984, 108: 312-315)。近年、テトラチオモリブデン酸がNF-κBの発現をダウンレギュレートし、並びに炎症性の乳がん細胞株SUM149の細胞核へのその転座を阻害することが示された(Pan et al., Cancer Res. 2002, 62: 4854-4859)。NF-κB系は、腫瘍細胞の生存を仲介することに関与することができ、したがって腫瘍細胞中でのテトラチオモリブデン酸によるそのダウンレギュレーションは、腫瘍の生存に対する銅キレート化の直接的な効果を示唆する。
【0006】
したがって、銅キレート剤であるテトラチオタングステン酸化合物などの新規化合物は、血管新生を治療し及び/又は予防すること並びに腫瘍細胞の生存能力における銅キレート剤の能力を完全に解明するのに必要とされる。そのような新規テトラチオタングステン酸化合物は、癌及び銅代謝障害、神経変性障害を伴う肥満などの血管新生と関連する多様な病気の治療並びに炎症性の障害などのNF−κB経路の調節が失われた病気の治療において有効であるかもしれない。
【発明の開示】
【0007】
3.要約
本発明は、新規テトラチオタングステン酸誘導体、新規テトラチオタングステン酸誘導体の製造方法、新規テトラタングステン酸誘導体の医薬組成物、異常な血管形成と関連する病気、銅代謝障害、神経変性障害及び肥満の治療のための新規テトラチオタングステン酸誘導体の使用方法、異常な血管形成、銅代謝障害、神経変性障害、肥満又はNF-κBの調節不全と関連する病気の治療又は予防のための新規テトラチオタングステン酸誘導体の医薬組成物の使用方法を提供することによってこれらの必要性を満たす。
【0008】
第1の側面においては、本発明は以下の構造式(I):
【化1】

{式中、
R1、R2、R3、R5、R6及びR7は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキル又は置換へテロアルキルであり;
R4及びR8は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキル又は置換ヘテロアルキルであるか、或いはNが芳香環の一部である場合には存在せず;
場合により、R1及びR2は、一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R5及びR6は、一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R1及びR2は、一緒になって、R2及びR3は一緒になって、並びにR2及びR4は一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R5及びR6は一緒になって、R6及びR7は一緒になって、並びにR6及びR8は一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R3及びR7は一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;そして、
Y-2は、(WS4)-2、(W2S12)-2、(W2S9)-2、(W2S7)-2、(W2S8)-2、(W2S11)-2、(W2S6)-2、又は(W2S13)-2である。}
により表される化合物、或いはその溶媒和物、水和物、又はN-オキシドを提供する。
【0009】
第2の側面において、本発明は本発明の化合物の医薬組成物を提供する。医薬組成物は一般に、1つ以上の本発明の組成物、その水和物又は溶媒和物、及び薬剤として許容可能な希釈剤、担体、賦形剤、及びアジュバントを含む。他の因子のなかでも、希釈剤、担体、賦形剤及びアジュバントの選択は、所望の投与様式に依存するであろう。
【0010】
第3の側面においては、本発明は 異常な血管形成を特徴とする病気又は障害、銅代謝障害、神経変性障害、肥満或いはNF-κB調節不全の治療又は予防方法を提供する。該方法は、一般に、そのような治療又は予防を必要とする患者に治療的有効量の本発明の化合物及び/又は医薬組成物を投与することを含む。
【0011】
第4の側面においては、本発明は、異常な血管形成を特徴とする病気又は障害、銅代謝障害、神経変性障害、肥満或いはNF−κB調節不全の治療又は予防を必要とする患者におけるそのような病気又は障害の治療のための医薬組成物を提供する。
【0012】
5.発明の詳細な説明
5.1 定義
「化合物」は、本明細書中に開示された構造式(I)によって包含される化合物を指し、そしてその構造が本明細書に開示されたその一般式に含まれるいかなる特別な化合物も含む。化合物は、化学構造及び/又は化学名のいずれかによって同定されてもよい。化学構造及び化学名が矛盾する場合、化学構造が化合物の同一性の決定要因である。化合物は1つ以上のキラル中心及び/又は二重結合を含んでよく、そしてしたがって、二重結合異性体(即ち、位置異性体)、エナンチオマー又はジアステレオマーのような立体異性体として存在してよい。したがって、本明細書中に示される化学構造は、(例えば、位置的に純粋、エナンチオマーとして純粋又はジアステレオマーとして純粋な)立体異性体として純粋な形態を含む、例解された化合物のすべての可能なエナンチオマー及び立体異性体並びにエナンチオマー混合物及び立体異性体混合物を包含する。エナンチオマー混合物及び立体異性体混合物は、当業者に周知の分離技術又はキラル合成技術を用いて、それらの構成エナンチオマー又は立体異性体に分離されることができる。化合物はまた、エノール形態、ケト形態及びそれらの混合物を含むいくつかの互変異性体として存在してもよい。したがって、本明細書中に示された化学構造は、例解された化合物のすべての可能な互変異性体を包含する。化合物はまた、1つ以上の原子が天然に普通に見出される原子量とは異なる原子量を有する放射性同位体標識された化合物も含む。本発明の化合物に取り込まれることのできる放射性同位体の例は、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O及び35Sを含むがこれらに限定されない。化合物は、水和された形態を含む溶媒和形態並びに溶媒和されない形態及びN-オキシドとして存在してもよい。一般に、水和形態、溶媒和形態及びN-オキシドは、本発明の範囲内にある。ある化合物は、複数の結晶形態又は非結晶形態で存在することができる。一般に、全ての物理的形態は、本明細書中で考慮される使用のために等価である。さらに、化合物の部分構造が図示される場合、ブラケットが分子の残りの部分への該部分構造の結合点を示す。
【0013】
それ自体又は他の置換基の部分としての「アルキル」は、親アルカン、アルケン、又はアルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって生じた、飽和又は不飽和の、分岐した、直鎖の、又は環状の、一価の炭化水素ラジカルを指す。典型的なアルキル基は、メチル;エタニル、エテニル、エチニルなどのエチル;プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロプ−1−エン−1−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、シクロプロプ−1−エン−1−イル;シクロプロプ−2−エン−1−イル、プロプ−1−イン−1−イル、プロプ−2−イン−1−イルなどのプロピル;;ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−1−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イル、などのブチル;などを含むが、これらに限定されない。
【0014】
「アルキル」という用語は、いかなる程度又はレベルの飽和度を有する基、即ち、炭素−炭素一重結合だけを有する基、炭素−炭素二重結合を1つ以上含む基、炭素−炭素三重結合を1つ以上含む基並びに一重、二重、及び三重炭素−炭素結合を混合して含む基、をも含むことを特別に意図される。特別な飽和レベルが意図される場合、「アルカニル」、「アルケニル」及び「アルキニル」という表現が使用される。好ましくは、アルキル基は、1〜20の炭素原子、より好ましくは1〜10の炭素原子、最も好ましくは1〜6の炭素原子を含む。
【0015】
それ自体又は他の置換基の部分としての「アルカニル」は、親アルカンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって生じた、飽和の、分岐した、直鎖の、又は環状のアルキルラジカルを指す。典型的なアルカニル基は、メタニル;エタニル;プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イルなどのプロパニル;ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(sec−ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イルなどのブタニル;などを含むがこれらに限定されない。
【0016】
それ自体又は他の置換機の部分としての「アルケニル」は、親アルケンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって生じた、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の、分岐した、直鎖の、又は環状の、アルキルラジカルを指す。該基は、二重結合に関してcisまたはtrans構成のいずれでもよい。典型的なアルケニル基は、エテニル;プロプ−1−エン−イル、プロプ−1−エン−2−イル、プロプ−2−エン−1−イル(アリル)、プロプ−2−エン−2−イル、シクロプロプ−1−エン−1−イル、シクロプロプ−2−エン−1−イル、などのプロペニル;ブト−1−エン−1−イル、ブト−1−エン−2−イル、2−メチル−プロプ−1−エン−1−イル、ブト−2−エン−1−イル、ブト−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブト−1−エン−イル、シクロブト−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イルなどのブテニル;などを含むがこれらに限定されない。
【0017】
それ自体又は他の置換基の部分としての「アルキニル」は、親アルキンの単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって生じた、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、不飽和の、分岐した、直鎖の、又は環状の、アルキルラジカルを指す。典型的なアルキニル基は、エチニル;プロプ−1−イル−1−イル、プロプ−2−イン−1−イル、などのプロピニル;ブト−1−イン−1−イル、ブト−1−イン−3−イル、ブト−3−イン−1−イルなどのブチニル;などを含むがこれらに限定されない。
【0018】
それ自体又は他の置換基の部分としての「アルキルジイル」は、親アルカン、アルケン、又はアルキンの二つの異なる炭素原子のそれぞれから1つの水素原子を除去することによって生じた、或いは親アルカン、アルケン又はアルキンの単一の炭素原子から2つの水素原子を除去することによって生じた、飽和又は不飽和の、分岐した、直鎖の、又は環状の、二価の炭化水素基を指す。2つの一価ラジカル中心又は二価ラジカル中心の各結合価は、同じ又は異なる原子との結合を形成することができる。典型的なアルキルジイル基は、メタンジイル;エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイルなどのエチルジイル;プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロプ−2−エン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロプ−2−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−イン−1,3−ジイルなどのプロピルジイル;ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイルなどのブチルジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,1−ジイル、ブト−1−エン−1,2−ジイル、ブト−1−エン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブト−1−エン−1,2−ジイル、シクロブト−1−エン−1,3−ジイル、シクロブト−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,3−ジイル、ブト−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1,4−ジイル、などを含むがこれらに限定されない。飽和の特別なレベルが意図される場合、命名法によるアルカニルジイル、アルケニルジイル及び/又はアルキニルジイルが使用される。好ましくは、アルキルジイル基は、(C1-C20)アルキルジイル、より好ましくは(C1-C10)アルキルジイル、最も好ましくは(C1-C6)アルキルジイルである。好ましいのは、ラジカル中心が末端の炭素にある、飽和非環式アルカニルジイル基であり、たとえば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1,4−ジイル(ブタノ);(以下において定義されるアルキレノとも呼ばれるもの)などを含むが、これらに限定されない。
【0019】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アルキレノ」は、直鎖親アルカン、アルケン又はアルキンの2つの末端炭素原子のそれぞれから1つの水素原子を除去することによって生じた、2つの末端の一価のラジカル中心を有する直鎖アルキルジイル基を指す。典型的なアルキレノ基は、メタノ;エタノ、エテノ、エチノなどのエチレノ;プロパノ、プロプ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロプ[1]イノ、などのプロピレノ;ブタノ、ブト[1]エノ、ブト[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブト[1]イノ、ブト[2]イノ、ブト[1,3]ジイノ、などのブチレノを含むがこれらに限定されない。特別なレベルの飽和度が意図される場合、命名法によるアルカノ、アルケノ及び/又はアルキノが使用される。好ましくは、アルキレノ基は、(C1-C20)アルキレノ、より好ましくは(C1-C10)アルキレノ、最も好ましくは(C1-C6)アルキレノである。好ましいのは、メタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなどの直鎖の飽和アルカノ基である。
【0020】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アシル」は、ラジカル-C(O)R30を指し、ここで、R30は、水素、本明細書中で定義されるアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである。代表的な例は、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0021】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アシルアミノ」は、ラジカル-NR31C(O)R32を指し、ここで、R31及びR32は、それぞれ独立して水素、本明細書中で定義されるアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、である。代表的な例は、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチル−カルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなどを含むがこれらに限定されない。
【0022】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アルコキシ」は、ラジカル-OR33をさし、ここで、R33は、本明細書中で定義されるアルキル又はシクロアルキルを表す。代表的な例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロヘキシロキシなどを含むが、これらに限定されない。
【0023】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アルコキシカルボニル」は、ラジカル-C(O)OR33をさし、ここで、R33は上記の定義のとおりである。
【0024】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アリール」は、親芳香環系の単一の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって生じる一価の芳香族炭化水素ラジカルを指す。典型的なアリール基は、アセアンスリレン、アセナフチレン、アセフェナンスリレン、アンスラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランセン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナンスレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピランスレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基を含むがこれらに限定されない。好ましくは、アリール基は、6〜20の炭素原子、より好ましくは6〜12の炭素原子から成る。
【0025】
それ自体又は他の置換基の一部としての「アリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端の又はsp3炭素原子、に結合した水素原子の一つがアリール基で置換された非環式アルキルラジカルである。典型的なアリールアルキル基は、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエタン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエタン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどを含むがこれらに限定されない。特別なアルキル部分が意図される場合、命名法によるアリールアルカニル、アリールアルケニル及び/又はアリールアルキニルが使用される。好ましくは、アリールアルキル基は、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分が(C1-C10)であり、アリール部分が(C6-C20)などである(C6-C30)アリールアルキル、より好ましくは、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分が(C1-C8)であり、アリール部分が(C6-C12)などである(C6-C20)アリールアルキルである。
【0026】
それ自体又は他の置換基の一部としての「シクロアルキル」は、飽和または不飽和環状アルキルラジカルである。特別なレベルの飽和度が意図される場合、命名法による「シクロアルカニル」又は「シクロアルケニル」が使用される。典型的なシクロアルキル基は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどに由来する基を含むが、これらに限定されない。好ましくは、シクロアルキル基は、(C3-C10)シクロアルキルであり、より好ましくは(C3-C7)シクロアルキルである。
【0027】
それ自体又は他の置換基の一部としての「シクロヘテロアルキル」は、その中の1つ以上の炭素原子(及びいずれかの結合した水素原子)が独立して同じ又は異なるヘテロ原子で置換されている、飽和又は不飽和環状アルキルラジカルを指す。炭素原子を置換する典型的なヘテロ原子は、N、P、O、S、Si、などを含むが、これらに限定されない。特別なレベルの飽和度が意図される場合、命名法による「シクロヘテロアルカニル」又は「シクロヘテロアルケニル」が使用される。典型的なシクロヘテロアルキル基は、エポキシド、アジリン、チイラン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジンなどに由来する基を含むが、これらに限定されない。
【0028】
それら自体又は他の置換基の一部としての「ヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルカニル、ヘテルアルキリジイル及びヘテロアルキレノ」は、その中の1つ以上の炭素原子(及びいずれかの結合した水素原子)が独立して同じ又は異なるヘテロ原子基で置換されている、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アルキルジイル及びアルキレノ基をそれぞれ指す。これらの基に含まれることのできる典型的なヘテロ原子基は、-O-、-S-、-O-O-、-S-S-、-O-S-、-NR35R36-、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR37R38、PR39-、-P(O)2-、-POR39-、-P(O)2-、-SO-、-SO2-、-SnR41R42-などを含むが、これらに限定されない。ここで、R35、R36,R37、R38、R39、R40、R41及びR42は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル又は置換ヘテロアリールアルキルである。
【0029】
それ自体又は他の置換基の一部としての「ヘテロアリール」は、親ヘテロ芳香環系の単一の原子から1つの水素原子を除去することによって生じる一価のヘテロ芳香族ラジカルを指す。典型的なヘテロアリール基は、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナンスリジン、フェナンスロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどに由来する基を含むがこれらに限定されない。好ましくは、ヘテロアリール基は、5〜20員環のヘテロアリール、より好ましくは5〜10員環のヘテロアリールである。好ましいヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、及びピラジンに由来するものである。
【0030】
それ自体又は他の置換基の一部としての「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子、典型的には末端の又はsp3炭素原子、に結合した水素原子の一つがヘテロアリール基で置換された非環式アルキルラジカルを指す。特別なアルキル部分が意図される場合、命名法によるヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル及び/又はヘテロリルアルキニルが使用される。好ましい実施態様において、ヘテロアリールアルキル基は、6〜30員環のヘテロアリールアルキル、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分は、1〜10員環であり、ヘテロアリール部分は5〜20員環ヘテロアリール、より好ましくは、6〜20員環ヘテロアリールアルキル、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニル又はアルキニル部分は、1〜8員環であり、ヘテロアリール部分は5〜12員環ヘテロアリールである。
【0031】
それ自体又は他の置換基の一部としての「親芳香環系」は、結合したπ電子系を有する不飽和環状又は多環系をさす。「親芳香環系」の定義に特別に含まれるのは、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどの、その中で1つ以上の環が芳香族であり、1つ以上の環が飽和又は不飽和である融合した環系である。典型的な親芳香環系は、アセアンスリレン、アセナフチレン、アセフェナンスリレン、アンスラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランセン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナンスレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピランスレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどを含むが、これらに限定されない。
【0032】
それ自体又は他の置換基の一部としての「親へテロ芳香環系」は、その中の1つ以上の炭素原子(及びいずれかの結合した水素原子)が独立して同じ又は異なるヘテロ原子基で置換されている、親芳香環系を指す。炭素原子を置換する典型的なヘテロ原子は、N、P、O、S、Si、などを含むが、これらに限定されない。特別に「親へテロ芳香環系」の定義に含まれるのは、その中の1つ以上の環が芳香環であり、1つ以上の環が飽和又は不飽和である縮合環系、例えば、アルシンドール、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどである。典型的な親ヘテロ芳香環系は、アルシンドール、カルバゾール、β−カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナンスリジン、フェナンスロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、などを含むが、これらに限定されない。
【0033】
「医薬組成物」は、少なくとも1つの本発明の化合物及び薬剤として許容可能なビヒクルであり、それにより該化合物が患者に投与されるものを指す。
【0034】
「薬剤として許容可能な塩」は、本発明の化合物の塩であって、親化合物の所望の薬理活性を有するものを指す。そのような塩は、以下の:(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、などの無機酸から形成される、酸付加塩;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボキシル酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸から形成される酸付加塩;或いは(2)例えば、アルカリ金属イン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオンなどの親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオンで置換されて形成される塩;又はエタノラミン、ジエタノラミン、トリエタノラミン、N-メチルグルカミンなどのような有機塩基との配位化合物、を含む。
【0035】
「薬剤として許容可能なビヒクル」は、本発明の化合物がともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又は担体を指す。
【0036】
「患者」は、ヒトを含む。「ヒト」及び「患者」という用語は交換可能に使用される。
【0037】
「予防すること」又は「予防」は、病気又は障害を獲得するリスクの減少を指す(すなわち、病気に露出されるか又は先に露出されるかも知れないが、未だ病気の症状を経験又は提示していない患者において、病気の臨床的症状の少なくとも1つを発生させないようにすること)。
【0038】
「プロドラッグ」は、活性薬物を放出するために、体内で変換されることの必要な薬物分子の誘導体を指す。プロドラッグは必然的にではないが、しばしば親薬物に変換されるまでは薬理学的に不活性である。例えば、ヒドロキシル含有薬物は、インビボで加水分解されてヒドロキシル化合物を提供することのできる、スルホン酸塩、エステル又は炭酸塩プロドラッグに変換されることができる。例えば、アミノ含有薬物は、インビボで加水分解されてアミノ化合物を提供することのできる、カーバメート、アミド、エナミン、イミン、N-ホスホニル、N-ホスホリル又はN-スルフェニルプロドラッグに変換されることができる。カルボン酸薬物は、インビボで加水分解されてカルボン酸化合物を提供することのできる、(シリルエステル及びチオステルを含む)エステル、アミド又はヒドラジドプロドラッグに変換されることができる。上で列挙したものとは官能基が異なる薬物のプロドラッグは、当業者に周知である。
【0039】
「プロ部分(Promoiety)」は、薬物分子内の官能基をマスクするために使用される場合、薬物をプロドラッグに変換させる保護基の形態を指す。典型的には、プロ部分は、酵素的又は非酵素的手段によってインビボで切断される結合を介して薬物に結合されるであろう。
【0040】
「保護基」は、分子中の反応性の官能基に結合した場合に、該官能基の反応性をマスクし、減少させ、又は阻止する、原子団を指す。保護基の例は、Green et al., "Protective Groups in Organic Chemistry", (Wiley, 2nd ed. 1991)及びHarrison et al., "Compendium of Synthetic Organic Methods", Vols. 1-8 (John Wiley and Sons, 1971-1996)中に見出されることができる。代表的なアミノ保護基は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジロキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(「SES」)、トリチル及び置換トリチル基、アリロキシカルボニル、9−フルオレニルメチロキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ−ベラチロキシカルボニル(「NVOC」)などを含むが、これらに限定されない。代表的なヒドロキシ保護基は、ヒドロキシ基がアシル化されているか又はアルキル化されている、ベンジル、及びトリチルエステル並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル及びアリルエーテルを含むが、これらに限定されない。
【0041】
「置換された」とは、その中の1つ以上の水素原子が独立して同じ又は異なる置換基で置換されている基をさす。典型的な置換基は、−M、−R60、−O-、=O、−OR60、−SR60、−S-、=S、−NR60R61、=NR60、−CF3,−CN,−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)2O-、−S(O)2OH、−S(O)2R60、−OS(O2)O-、−OS(O)2R60,−P(O)(O-)2、−P(O)(OR60)(O-)、OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、−C(S)R60、−C(O)OR60、−C(O)NR60R61、−C(O)O-、−C(S)OR60、−NR62C(O)NR60R61、−NR62C(S)NR60R61、−NR62C(NR63)NR60R61及び−C(NR62)NR60R61を含むが、これに限定されない。ここで、Mは独立してハロゲンであり;R60、R61、R62及びR63は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロへテロアルキル、置換シクロへテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、或いは、場合により、R60及びR61は窒素原子に結合しこれと一緒になって、シクロヘテロアルキル又は置換シクロヘテロアルキル環を形成し;そしてR64及びR65は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、或いは、場合により、R64及びR65は窒素原子と結合しこれと一緒になって、シクロヘテロアルキル、又は置換シクロヘテロアルキル環を形成する。好ましくは、置換基は、−M、−R60、=O、−OR60、−SR60、−S-、=S、−NR60R61、=NR60、−CF3、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(O)2R60、S(O2)O-、−S(O)2R60、−P(O)(O-)2、−P(O)(OR60)(O-)、−OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、C(S)R60、−C(O)OR60、−C(O)NR60R61、−C(O)O-、−NR62C(O)NR60R61、より好ましくは、−M、−R60、=O、−OR60、SR60、−NR60R61、−C(O)-であり、最も好ましくは、−M、−R60、=O、−OR60、−SR60、−NR60R61、−CF3、−CN、−NO2、−S(O)2R60、−OP(O)(OR60)(OR61)、−C(O)R60、−C(O)OR60、−C(O)O-であり、ここで、R60、R61、及びR62は、上記の定義のとおりである。
【0042】
一つの実施態様において、いかなる病気又は障害を「治療すること」又は「治療」も、病気又は障害を回復させることを指す(すなわち、病気又はその臨床的症状の少なくとも1つの発生を抑止又は低下させること)を指す。さらに、他の実施態様においては、「治療」又は「治療すること」は、患者によって認識可能でないかもしれない少なくとも1つの物理的パラメーターを回復させることを指す。他の実施態様において、「治療すること」又は「治療」は、(物理的パラメーターの鎮静化などの)物理的に、(識別可能な症状の鎮静化などの)生理学的に、のいずれかにより、又はその両方によって病気又は障害を阻害することを指す。さらに他の実施態様においては、「治療すること」又は「治療」は、病気又は障害の発生を遅らせることを指す。
【0043】
「治療的有効量」は、病気の治療のために患者に投与された場合、そのような病気の治療を行うのに十分な量の化合物を意味する。「治療的有効量」は、化合物、病気及びその重篤度、並びに治療される患者の年齢、体重などに依存して変化するであろう。
【0044】
本発明の好ましい実施態様の詳細を参照されたい。本発明が好ましい実施態様に関して記載される一方、本発明をそれらの好ましい実施態様に限定することを意図するものでないことは理解されるであろう。反対に、添付された請求項によって定義された発明の精神及び範囲内に含まれることのできる代替物、変更及び等価物にわたるものであることが意図される。
【0045】
5.2 構造式(I)の化合物
第一の実施態様において、本発明の化合物は、以下の構造式(I):
【化2】

{式中、
R1、R2、R3、R5、R6及びR7は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキル又は置換へテロアルキルであり;
R4及びR8は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキル又は置換ヘテロアルキル、あるいは、Nが芳香環の一部である場合には存在しない。
場合により、R1及びR2は一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R5及びR6は一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R1及びR2が一緒になって、R2及びR3が一緒になって、そしてR2及びR4が一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R5及びR6が一緒になって、R6及びR7が一緒になって、そしてR6及びR8が一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R3及びR7が一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル又は置換ヘテロアルキルジイルであり;そして、
Y-2は(WS4)-2、(W2S12)-2、(W2S9)-2、(W2S7)-2、(W2S8)-2、(W2S11)-2、(W2S6)-2又は(W2S13)-2である。}
により表される化合物、あるいはその溶媒和物または水和物またはN-オキシドを含む。
【0046】
ある実施態様においては、Yは(WS4)-2であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8のすべてが水素ではない。他の実施態様においては、Yは(WS4)-2であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8のすべてがアルキルではない。
【0047】
さらに他の実施態様においては、
【化3】

{式中、
Yは(WS4)-2であることが好ましい。}
である。
【0048】
いくつかの実施態様においては、R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つはアルキルでない。他の実施態様においては、R1、R2及びR4は水素、アルカニル、又は置換アルカニルである。好ましくは、R1、R2及びR4は水素、メチル又はエチルである。
【0049】
さらに他の実施態様においては、R1及びR2はアルカニルである。好ましくは、R1及びR2はメチル又はエチルである。
【0050】
他の実施態様においては、R1はアルカニル、置換アルカニル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル又は置換シクロアルキルである。好ましくは、R1及びR2は一緒になって、アルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ又は置換へテロアルキレノである。好ましくは、R1及びR2は一緒になって、R2及びR3は一緒になって、そしてR2及びR4は一緒になってアルキレノである。好ましくは、R1(R2)(R3)(R4)Nは以下の構造:
【化4】

を有する。
【0051】
さらに他の実施態様においては、R3及びR7は一緒になってアルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレノ、又は置換ヘテロアルキレノである。好ましくは、R3及びR7は一緒になって、アルキレノ又はヘテロアルキレノである。
【0052】
さらに他の実施態様においては、R1、R2及びR4は、水素、アルカニル又は置換アルカニルであり、R3はアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルであるか、R3及びR7は一緒になって、アルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ、又は置換ヘテロアルキレノである。好ましくは、R1、R2及びR4は、メチル又はエチルであり、そしてR3はアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルであるか、又はR3とR7は一緒になってアルキレノ又はヘテロアルキレノである。好ましくは、R1、R2及びR4は、メチル又はエチルであり、そしてR3は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、又はシクロアルキルである。
【0053】
さらに他の実施態様においては、R1(R2)(R3)(R4)Nは、以下の:
【化5】

である。
【0054】
さらに他の実施態様においては、R1(R2)(R3)(R4)Nは、
【化6】

である。
【0055】
さらに他の実施態様においては、R1(R2)(R3)(R4)Nは、
【化7】

である。
【0056】
さらに他の実施態様においては、R1、R2及びR4は、メチル又はエチルであり、そしてR3及びR7は一緒になってアルキレノ又はヘテロアルキレノである。好ましくは、R1(R2)(R3)(R4)Nは、以下の構造:
【化8】

を有する。
【0057】
さらに他の実施態様においては、R1、R2及びR4は水素であり、そしてR3は置換アルキル、シクロアルキル又は置換ヘテロアリールであるか、あるいはR3及びR7は一緒にしてアルキレノである。さらに他の実施態様においては、R1及びR2はアルカニルであり、そしてR3及びR4はアルキル、置換アルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキレノである。好ましくは、R1及びR2はメチル又はエチルであり、そしてR3及びR4はアルキル、置換アルキル、アリール、アリールアルキル又はアルキレノである。
【0058】
さらに他の実施態様においては、R1(R2)(R3)(R4)Nは、以下の:
【化9】

{式中、
R9は、少なくとも8個で18個以下の炭素原子を有する直鎖アルカニル基である。}
である。
【0059】
さらに他の実施態様においては、R1、R2及びR4は水素であり、そしてR3は置換アルキル、置換ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキレノである。好ましくは、R1(R2)(R3)(R4)Nは、以下の構造:
【化10】

を有する。
【0060】
さらに他の実施態様においては、R1及びR2は一緒になって、アルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ又は置換ヘテロアルキレノであり、R3はアルキル又は置換アルキルであり、そしてR4は水素であるか又は存在しない。好ましくは、R1(R2)(R3)N又はR1(R2)(R3)(R4)Nは以下の構造:
【化11】

を有する。
【0061】
5.3 化合物の合成
本明細書に記載の化合物は、スキーム1及び2に図示された慣用の合成方法を介して得られることができる。本明細書に記載の化合物を製造するのに有用な出発物質及びその中間体は、商業的に入手可能であるか又は周知の合成方法によって製造可能である。置換アンモニウム塩(例えば、水酸化アンモニウム及びアンモニウムハライド)は、商業的な供給源から購入するか又は周知の合成方法(Harrison et al., "Compendium of Synthetic Organic Methods", Vols. 1-8(John Wiley and Sons, 1971-1996); "Beilstein Handbook of Organic Chemistry," Beilsten Institute of Organic Chemistry, Frankfurt, Germany; Feiser et al., "Reagents for Organic Synthesis," Volumes 1-17, Wiley Interscience; Trost et al., "Comprehensive Organic Synthesis," Pergamon Press, 1991; "Theilheimer's Synthetic Methods of Organic Chemistry, "Volumes 1-45, Karger, 1991; March, "Advanced Organic Chemistry," Wiley Interscience, 1991; Larock "Comprehensive Organic Transformations, "VCH Publishers, 1989; Paquette, "Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis" John Wiley & Sons, 1995)を用いて容易に構成されることができる。本明細書中に記載される化合物の他の合成方法及び/又は出発物質は、本分野において記載されているか又は当業者に容易に明らかとなるであろう。したがって、本明細書のスキーム1及び2に表される方法は理解のためというよりもむしろ例示的なものである。
【化12】

【0062】
上記のスキーム1に示すように、水の存在下での4級水酸化アンモニウムのチオタングステン酸への付加は、カチオン交換(生成物との平衡は、揮発性のアンモニアを除去することによって推進される)へ導き、所望のチオタングステン酸誘導体を提供する。
【化13】

【0063】
上記のスキーム2に示すように、アセトニトリルの存在下での4級アンモニウムハライドのチオタングステン酸への付加は、カチオン交換(生成物との平衡は、アンモニウムハライドの形成によって推進される)へ導き、所望のチオタングステン酸誘導体を提供する。
【0064】
アンモニウム対イオンが異なる場合、チオタングステン酸誘導体は1当量の異なるアンモニウム対イオンで処理することによって化合物3から製造されることができることは注意すべきである。そのような反応は、生成物の統計学的混合物を製造することが期待されるであろう。
【0065】
さらに、当業者は、アンモニウム塩及び水素スルフィドでタングステン酸を処理することを含む慣用方法が、本明細書に記載の多くの化合物を合成するのに使用されることができることを理解するであろう。
【0066】
5.4 アッセイ
当業者は、本明細書に記載の化合物の活性を測定するのに有用なインビトロ及びインビボのアッセイが理解のためのというよりもむしろ例示的なものであることを理解するであろう。
【0067】
5.4.1. 内皮細胞遊走のアッセイ
内皮細胞の遊走のために、1トランスウエルあたり、200μLのコラーゲン溶液を加え、そして一夜37℃でインキュベートすることによって、トランスウエルをI型コラーゲン(50μg/ml)で被覆する。トランスウエルは、24ウエルプレートに構築され、化学誘引物質(例えば、FGF-2)が下部チャンバーに総体積0.8mLの培地中で加えられる。トリプシンを用いて単層培養からはがされたヒト臍帯静脈内皮細胞(「HUVEC」)などの内皮細胞が無血清培地で約106細胞/mLの最終濃度に希釈され、そして0.2mLのこの細胞懸濁液が各トランスウエルの上部チャンバーに加えられる。阻害剤が上部及び下部チャンバーの両方に加えられ、そして、加湿雰囲気中、37℃で5時間、遊走が可能となる。トランスウエルはプレートから取り外され、DiffQuik(登録商標)を用いて染色される。遊走しなかった細胞は上部チャンバーから綿棒で擦り取ることによって除去され、そして膜がはがされ、スライドガラス上に載せられ、強拡大視野(400倍)で計数して遊走した細胞数を測定した。
【0068】
5.4.2. 抗侵襲活性の生物学的アッセイ
化合物及び/又は組成物が、それらの抗侵襲能について試験された。Matrigel(登録商標)侵襲アッセイ(Kleinman et al., Biochemistry 1986, 25: 312-318; Parish et al., Int. J. Cancer 1992, 52: 378-383)として知られるアッセイにおける、内皮細胞又は腫瘍(例えば、PC-3ヒト前立腺癌)細胞などの細胞の再構築された基底膜(Matrigel(登録商標))を通って侵襲する能力。Matrigel(登録商標)は、タイプIVコラーゲン、ラミニン、bFGFに結合し、これを局在化するパールカンのようなヘパラン硫酸プロテオグリカン、ビトロネクチン並びにトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)、ウロキナーゼタイププラスミノーゲンアクチベーター(uPA)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、及びタイプIプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI-1)として知られるセルピンを含む再構成基底膜である(Chambers et al., Canc. Res. 1995, 55:1578-1585)。細胞外受容体又は酵素を標的とする化合物のこのアッセイにおいて得られた結果は、これらの化合物のインビボにおける有効性を典型的に予想するものであった(Rabbani et al., 1995, Int. J. Cancer 63:840-845)。
【0069】
そのようなアッセイは、トランスウエル組織培養インサートを使用する。侵襲性の細胞はMatrigel(登録商標)及びポリカーボネート膜の上面を横切り、そして膜の底部に付着する。ポリカーボネート膜(8.0μmの孔サイズ)を含むトランスウエル(Costar)は、最終濃度75μg/mL(インサートあたり60μLの希釈Matrigel)に滅菌PBSで希釈されたMatrigel(登録商標)(Collaborative Research)で被覆され、そして24ウエルプレートのウエル中に置かれる。膜は生物学的安全キャビネット中で一夜乾燥され、そして抗生物質を含む100μLのDMEMを添加して1時間、シェーカーテーブル上で再水和される。DMEMを各インサートから吸引によって除去し、トランスウエルの外側を取り囲むように、0.8mLのDMEM/10%FBS/抗生物質を24ウエルプレートの各ウエルに加える(「下部チャンバー」)。新たなDMEM/抗生物質(100μL)、ヒトGlu-プラスミノーゲン(5μg/mL)、及びいずれかの被験化合物をトランスウエルの上部の内部に加える(上部チャンバー」)。試験される細胞は、トリプシン処理され、DMEM/抗生物質中に再懸濁され、そして最終濃度8,00,000細胞/mLでトランスウエルの上部チャンバーに添加される。上部チャンバーの最終体積は、200μLに調節される。組み立てたプレートを加湿した5%CO2雰囲気中、72時間インキュベートする。インキュベーション後、細胞を固定し、そしてDiffQuik(登録商標)(ギムザ染色)を用いて染色し、そして上部チャンバーを綿棒を用いて掻爬して、Matrigel(登録商標)及び膜を通して侵入しなかったいかなる細胞も除去する。膜は、X-acto(登録商標)ブレードを用いてトランスウエルからはがし、Permount(登録商標)とカバーガラスを用いてスライドガラス上に載せ、そして強拡大視野(400倍)下で計数する。侵襲した細胞の平均を計数した5〜10個の視野から決定し、阻害剤濃度の関数としてプロットする。
【0070】
5.4.3. 抗血管新生活性についての管腔形成アッセイ
化合物は、インビトロにおける2つの異なるアッセイ系のうちの一つにおいて試験されることができる。
【0071】
内皮細胞、例えば調製可能又は商業的に入手可能なヒト臍帯静脈内皮細胞(「HUVEC」)又はヒト微小血管内皮細胞(「HMVEC」)、が2×105細胞/mLの濃度で、フィブリノーゲン(リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)中5mg/mL)と1:1(v/v)の比率で混合される。トロンビン(最終濃度5単位/mL)及び上記混合物をただちに24ウエルプレートに移す(ウエルあたり0.5mL)。フィブリンゲルを形成させ、そしてVEGFとbFGF(それぞれ最終濃度5ng/mL)を試験化合物とともにウエルに加える。細胞を5%CO2中、37℃で4日間インキュベートし、その間、各ウエル中の細胞を計数し、丸、伸びた形で枝分かれなし、伸びた形で枝分かれ一つ、又は伸びた形で枝分かれが2つ以上、に分類する。結果は、各化合物濃度について5つの異なるウエルの平均として表す。典型的には、血管新生阻害剤の存在下では、細胞は丸又は非分化の管(例えば、枝が0又は1)のいずれかである。このアッセイは、本分野において、インビボでの血管新生(又は抗血管新生)効果を予測するものであると認識されている(Min et al., Cancer Res.1996 56:2428-2433)。
【0072】
他のアッセイにおいては、内皮細胞がMatrigel(登録商標)(Schnaper et al., J.Cell. Physiol. 1995,165:107-118)上で培養された場合の内皮細胞管腔形成が観察される。内皮細胞(1×104細胞/ウエル)がMatrigel(登録商標)で被覆された24ウエルプレート上に移され、そして管腔形成が48時間後に定量される。阻害剤が、内皮細胞と同時又はその後のいろいろな時点において添加することによって試験される。管腔形成は、bFGF又はVEGFのような血管新生成長因子、分化刺激因子(例えば、PMA)又はそれらの組み合わせを添加することによって刺激されることもできる。
【0073】
このアッセイは、特定のタイプの基底膜を内皮細胞、すなわち遊走しそして分化する内皮細胞が最初に遭遇すると考えられるマトリックスの層、に提示することによって血管新生をモデル化する。さらに、Matrigel(登録商標)(及びin situでの基底膜)中に見出されるマトリックス成分又はそのタンパク分解産物も内皮細胞管腔形成を刺激することができ、このモデルを先に記載されたフィブリンゲル血管新生モデル(Blood et al., Biochem. Biophys. Acta 1990, 1032:89-118; Odedra et al., Pharmac. Ther. 1991, 49:111-124)を補完するものとする。
【0074】
5.4.4. 増殖阻害についてのアッセイ
内皮細胞の増殖を阻害する化合物の能力は、96ウエル様式で決定されることができる。I型コラーゲン(ゼラチン)がプレートのウエルを被覆するために使用される(PBS中、0.1〜1mg/mL、ウエルあたり0.1mL、室温で30分)。プレートを洗浄後(w/PBS中で3回)、ウエルあたり3〜6,000細胞が播かれ、Endotherial Growth Medium(EGM;Clonetics)又は0.1〜2%FBSを含むM199培地中で4時間付着させられる。4時間の最後に、培地及び付着しなかったいかなる細胞も除去され、そしてbFGF(1〜10ng/mL)又はVEGF(1〜10ng/mL)を含む新鮮な培地が各ウエルに添加される。被験化合物が最後に添加され、そして24〜48時間プレートがインキュベートされる(37℃/5%CO2)。MTS(Promega)が各ウエルに添加され、そして1〜4時間インキュベートされる。細胞数に比例する490nmの吸収を測定して、対照ウエルと試験化合物を含むウエルとの間の増殖の相違を決定する。培養付着腫瘍細胞を用いて同様のアッセイ系が構築可能である。しかしながら、コラーゲンはこの様式においては省くことができる。腫瘍細胞(例えば、3,000〜10,000個/ウエル)が播かれ、そして一夜付着させられる。そして無血清培地がウエルに添加され、24時間細胞が同調培養される。増殖を刺激するために、10%FBSを含む培地が各ウエルに添加される。被験化合物はウエルのうちのいくつかに含まれる。24時間後、MTSがプレートに添加され、そしてアッセイが行われて、上記のように読み取られる。VEGF及びbFGFが細胞の増殖を刺激するために使用されないこと以外は同様の方法もまた、本発明の化合物の腫瘍細胞を含む他の細胞タイプの増殖に対する効果を評価するために使用されることができる。抗増殖活性の証拠がある場合、Tumor TACS(Genzyme)を用いてアポトーシスの誘導が測定される。
【0075】
5.4.5. 細胞毒性のアッセイ
本明細書に記載の化合物の細胞毒性効果は、腫瘍細胞、内皮細胞、繊維芽細胞及びマクロファージを含む多様な細胞タイプについて測定されることができる。
【0076】
典型的なアッセイは、ウエルあたり5〜10,000細胞の密度で96ウエルプレートに細胞を播くことを含む。そして、化合物が様々な濃度で添加され、そして細胞とともに24時間インキュベートされる。細胞は培地で3回洗浄される。(細胞溶解を測定する)細胞毒性アッセイのためには、Promega96ウエル細胞毒性キットが使用される。
【0077】
5.4.6. 角膜血管新生モデル
使用するプロトコールは、Volpert et al., J. Clin. Invest. 1996, 98:671-679に記載のものと本質的に同一である。すなわち、雌性Fischerラット(120〜140グラム)が麻酔され、そしてHydron(登録商標)、bFGF(150nM)及び被験化合物を含むペレット(5μl)が、角膜中に作った1.0〜1.5mmの小さな切開中へ角膜縁から移植される。移植の5日及び7日後に血管新生が評価される。第7日に、動物が麻酔され、血管を着色するためにコロイド状カーボンのような色素が輸注される。そして、動物が安楽死させられ、角膜がホルマリン固定され、そして角膜が平板化され、血管新生の程度を評価するために写真撮影される。新生血管は、血管全体の面積又は長さを画像処理することにより、或いは単純に血管数を計数することにより定量される。
【0078】
5.4.7 Matrigel(登録商標)プラグアッセイ(Matrigel Plug Assay)
このアッセイは、本質的にPassaniti et al., Lab Invest. 1992, 67:519-528の記載のとおりに実施する。氷温Matrigel(登録商標)(例えば、500μL)(Collaborative Biochemical Products, Inc., Bedford, MA)が、ヘパリン(例えば、50μg/ml)、FGF-2(例えば、400ng/ml)及び被験化合物と混合される。いくつかのアッセイにおいて、bFGFは血管新生の刺激物質としての腫瘍細胞に置換されることができる。Matrigel(登録商標)混合物は、4〜8週齢の胸腺欠損ヌードマウスの腹部正中線近くの部位に、好ましくはマウスあたり3回皮下注射される。注射されたMatrigel(登録商標)は、触診できる固体ゲルを形成する。各動物が(FGF-2+ヘパリンなどの)陽性対照プラグ、(緩衝液+ヘパリンなどの)陰性対照プラグ及び(FGF-2+ヘパリン+化合物などの)血管新生に対するその効果が試験される化合物を含むプラグを受容するように注射部位が選択される。すべての処置は3連で行うことが好ましい。動物は、注射の7日後又は血管新生を観察するために最適であることのできる別の時に断頭によって屠殺する。腹部正中線に沿ってマウスの皮膚がはがされ、Matigel(登録商標)プラグが回収され、そして高分解能で即座にスキャンされる。その後、プラグは水に分散され、37℃で一夜インキュベートされる。ヘモグロビン(Hb)レベルは、(例えば、Sigmaから入手した)Drabkin溶液を用いて製造者の指示に従って測定される。プラグ中のHb量は、それがサンプル中の血液量を反映するため、血管新生の間接的な尺度である。さらに、又はあるいは、動物は屠殺の前に蛍光物質が結合した高分子量デキストランを含む0.1mlの緩衝液(好ましくはPBS)を注射されることができる。蛍光測定によって決定した分散したプラグ中の蛍光量は、プラグ中の血管新生の尺度として役立つ。抗CD31mAb(CD31は、血小板−内皮細胞接着分子又は「PECAM」である)による染色も新生血管の形成及びプラグ中の微小血管密度を確認するために使用されることができる。
【0079】
5.4.8 ヒヨコ絨毛尿膜(CAM)血管新生アッセイ
このアッセイは、本質的にNguyen et al., Microvascular Res. 1994, 47:31-40に記載のとおりに実施される。血管新生因子(bFGF)又は腫瘍細胞+阻害剤のいずれかを含むメッシュが8日齢のニワトリ胚のCAM上に置かれ、そしてサンプルの移植後3〜9日間CAMが観察される。血管新生は、血管を含むメッシュの目のパーセンテージを測定することによって定量される。
【0080】
5.4.9 腫瘍細胞とMatrigel(登録商標)プラグアッセイを使用する、血管新生阻害と抗腫瘍効果のインビボ評価
このアッセイにおいては、腫瘍細胞、例えば、1〜5×106個の3LL Lewis肺癌細胞又はラット前立腺細胞系MatLyLu、がMatrigel(登録商標)と混合され、そして上記のセクション4.4.7に記載のプロトコールにしたがってマウスの側腹部に注射される。約5〜7日後に腫瘍細胞重量及び強力な血管新生応答がプラグ中で観察される。実際の腫瘍環境においては、それをプラグ中に含ませることによって化合物の抗腫瘍及び抗血管新生作用が評価されることができる。そして、腫瘍重量、Hbレベル又は(屠殺の前に注射されたデキストラン−蛍光物質結合体の)蛍光レベルが測定される。Hb又は蛍光を測定するためには、先ずプラグを組織ホモジナイザーでホモジナイズする。
【0081】
5.4.10 皮下腫瘍の成長の異種移植片モデル
MDA-MB-231細胞(ヒト乳癌)及びMatrigel(登録商標)(0.2mL中に1×106細胞)が、ヌードマウスの右側腹部に皮下接種される。腫瘍は200mm3の段階とされ、試験化合物による治療が開始される。1日おきに腫瘍体積を測り、そして治療の2週間後に動物を屠殺する。腫瘍が切徐され、重量測定され、そしてパラフィン包埋される。腫瘍の組織学的切片が、H及びE、抗CD31、Ki-67、TUNEL、及びCD68染色によって分析される。
【0082】
5.4.11 転移の異種移植片モデル
化合物は、実験的転移モデルを用いる後期転移の阻害についても試験されることができる(Crowley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA1993, 90 5021-5025)。後期転移は、腫瘍細胞の付着及び血管外遊走、局所的侵襲、シーディング、増殖及び血管新生のステップを含む。レポーター遺伝子、好ましくは緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子であるが、代わりとして酵素クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ又はLacZをコードする遺伝子によってトランスフェクトされたヒト前立腺癌細胞(PC-3)がヌードマウスに接種される。このアプローチはこれらの細胞の運命を追跡するために、これらのマーカー(GFPの蛍光検出又は酵素活性の組織化学的比色検出)のいずれを利用することも可能とする。好ましくはi.v.で細胞が注射され、そして約14日後に、特に肺、しかし局所リンパ節、大腿骨、及び脳においても転移が同定される。これは、ヒト前立腺癌における自然発生的な転移の器官向性を擬態する。例えば、GFPを発現するPC-3細胞(マウスあたり1×106細胞)がヌード(nu/nu)マウスの尾静脈中にi.v.注射される。動物は、100μg/動物/日で毎日腹腔内投与される試験組成物により治療される。単一の転移細胞及び病巣が可視化され、そして蛍光顕微鏡又は光学顕微鏡組織化学により、あるいは組織をすりつぶし検出可能な標識の定量的比色アッセイによって定量化される。
【0083】
5.4.12 HPRG及び機能性誘導体によるインビボにおける自然発生的転移の阻害
ラット同系乳癌系(Xing et al., Int. J. Cancer 1996, 67:423-429)は、Mat BIIIラット乳癌細胞を利用する。腫瘍細胞、例えば、0.1mLPBS中に懸濁された約106個の細胞が、雌性Fisherラットの乳腺脂肪体中へ接種される。接種時に、14日用のAlza浸透圧ミニポンプを腹腔内に移植して試験化合物を放出させる。化合物は(例えば、200mMの原液の)PBS中に溶解され、滅菌濾過され、そしてミニポンプ中に入れられて、約4mg/kg/日の放出速度を達成する。対照動物はビヒクル(PBS)のみ又はミニポンプ中のビヒクル対照ペプチドを受容する。動物は、およそ第14日に屠殺される。
【0084】
実験的転移の他のモデルも、本明細書に記載の化合物を評価するために使用されることができる。これらのモデルは、ヌードマウスの尾静脈を介して注射される上記のヒト腫瘍細胞系を利用するであろう。典型的には、これらのマウスは腫瘍細胞接種の28日後に屠殺され、そしてそれらの肺が転移の存在について評価される。
【0085】
5.4.13 3LL Lewis肺癌:原発腫瘍の成長
この腫瘍系は、C57BL/6マウスの肺の癌として、1951年に自然発生的に生じた(Cancer Res. 1955, 15:39。Malave et al., J. Nat'l. Canc. Inst. 1979, 62:83-88も参照のこと)。皮下接種によってC57BL/6マウスにおいて継代によって伝播され、半同種異系のC57BL/6×DBA/2F1マウスにおいて、又は同種異系のC3Hマウスにおいて試験される。典型的には、1群あたり6匹の動物が皮下移植のために、又は10匹が筋肉内移植のために使用される。腫瘍は、2〜4mmの断片として皮下接種により移植されるか、又は約0.5〜2×106細胞の懸濁細胞の接種材料として筋肉内に又は皮下に移植されることができる。治療は移植の24時間後に開始するか、又は特定のサイズ(通常は約400mg)の腫瘍が触診可能となるまで遅らされる。試験化合物は、11日間、毎日腹腔内投与される。
【0086】
動物は、体重測定、触診、及び腫瘍サイズの測定によって追跡される。筋肉内接種後の第12日における未処置対照受容者における典型的な腫瘍重量は、500〜2500mgであった。典型的な生存期間中央値は、18〜28日であった。陽性対照化合物、例えば、第1〜11日における1日あたり20mg/kg/注射のシクロホスファミド、が使用される。計算機処理した結果は、平均動物体重、腫瘍サイズ、腫瘍重量及び生存期間を含む。治療活性を確認するために、試験組成物は2の複数用量アッセイにおいて試験されなければならない。
【0087】
5.4.14 3LL Lewis肺癌:原発性の成長及び自然発生的な転移モデル
このモデルは、多くの研究者により利用されてきた(例えば、Gorelik et al., 1980, J. Nat'l. Canc. Inst. 65:1257-1264; Gorelik et al., Rec. Results Canc. Res. 1980, 75:20-28; Isakov et al., Invasion Metas. 1982, 2:12-32; Talmadge et al., J. Nat'l. Canc. Inst. 1982, 69:975-980; Hilgard et al., Br. J. Cancer 1977, 35:78-86)。被験マウスは、2〜3月齢の雄性C57BL/6マウスである。皮下、筋肉内、又は肉球内の移植後に、この腫瘍は転移を好ましくは肺内に生じる。いくつかの腫瘍系列では、原発腫瘍が抗転移作用を表し、転移相の研究の前に先ず切除されなければならない(O'reilly et al., 米国特許第5,639,725号も参照のこと)。
【0088】
単一細胞懸濁液が刻まれた腫瘍組織を0.3%のトリプシン溶液で処理することによって調製される。細胞はPBS(pH7.4)で3回洗浄され、PBS中に懸濁される。こうして調製された3LL細胞のバイアビリティーは、(トリパンブルー色素排除によって)一般に約95〜99%である。0.05mlのPBS中に懸濁された生きた腫瘍細胞(3×104〜5×106)が、C57BL/6マウスの背側領域又は後肢肉球内のいずれかに皮下に注射される。可視的な腫瘍は、106細胞の背側皮下注射の3〜4日後に現れる。腫瘍出現の日及び確立した腫瘍の直径は、毎日ノギスで測定される。
【0089】
治療は、一週間あたり1又は2の用量の化合物として与えられる。他の実施態様においては、化合物は浸透圧ミニポンプによって送達される。
【0090】
背側の腫瘍の腫瘍切除を含む実験においては、腫瘍が約1500mm3のサイズに達したとき、マウスは以下の2つの群に無作為化される:(1)原発腫瘍が完全に切除される;又は(2)シャム手術が実施され、そして腫瘍はそのまま残される。500〜3000mm3の腫瘍が転移の成長を阻害するにもかかわらず、1500mm3が、高い生存率を伴い、そして局所的な再増殖を伴わずに安全に切除されることができる原発腫瘍の最大サイズである。21日後、すべてのマウスが屠殺され、そして解剖される。
【0091】
肺は除去され、そして重量測定される。肺は、Bouin溶液中で固定され、目に見える転移の数が記録される。転移の直径は、マイクロメーターを含む8倍拡大レンズを取り付けた両眼立体鏡を用いても測定される。記録された直径に基づいて、各転移の体積を計算することができる。肺あたりの転移の総体積を決定するために、眼に見える転移の平均数に転移の平均体積をかける。さらに、転移の成長を測定するために、125IdUrdの肺細胞への取り込みを測定することが可能である(Thakur et al., J. Lab. Clin. Med. 1977, 89: 217-228)。腫瘍切断術の10日後に、25μgのフルオロデオキシウリジンが腫瘍保有者(そして、使用される場合には、腫瘍切除マウス)の腹膜中へ接種される。30分後、マウスは1μCiの125IdUrd(ヨードデオキシウリジン)を与えられる。1日後、肺及び脾臓が除去され、そして重量測定され、そして125IdUrdの取り込みがガンマカウンターを使用して測定される。
【0092】
肉球の腫瘍を有するマウスにおいては、腫瘍が直径約8〜10mmに達したとき、マウスが以下の2つの群に無作為化される:(1)腫瘍を有する脚が漆関節の上で結札された後、腫瘍は切断される;又は(2)マウスは切断されない腫瘍保有対照としてそのまま置かれる。(腫瘍を有するマウスにおける腫瘍を有さない脚の切断は、その後の転移には既知の効果を及ぼさず、麻酔薬、ストレス又は手術の影響の可能性を排除する)。マウスは切断の10〜14日後に殺される。転移は上記のように評価される。
【0093】
5.5. 治療剤の使用
構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物が異常な血管形成を特徴とする病気に罹患した患者、好ましくはヒトに投与される。異常な血管形成は、新たな血管、より大きな血管、より分岐した血管および罹患組織又は部位へ血液を運ぶ能力の増加に導くすべての他のメカニズムの形成のような異常な血管新生を含む。化合物及びその医薬組成物は、異常な血管形成を治療及び/または予防するために使用されることができる。
【0094】
好ましくは、異常な血管形成を特徴とする病気は、癌(例えば、すべての血管化された腫瘍、好ましくは肺癌、乳癌、卵巣癌、胃癌、膵臓癌、喉頭癌、食道癌、精巣癌、肝臓癌、耳下腺癌、胆管癌、結腸癌、直腸癌、頚部癌、子宮癌、子宮内膜癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、甲状腺癌、扁平細胞癌、腺癌、小細胞癌、メラノーマ、グリオーマ、神経芽細胞腫、(血管肉腫、軟骨肉腫などの)肉腫を含むがこれらに限定されない固形腫瘍)、関節炎、糖尿病、動脈硬化、動静脈奇形、角膜移植片血管新生、遅れた傷の治癒、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性症、肉芽形成、火傷、血友病性関節炎、リューマチ関節炎、肥厚性瘢痕、血管新生緑内障、骨溶解性骨折、オシアーウエーバー症候群(Osier Weber Syndrome)、乾癬、肉芽腫、水晶体後線維増殖症、翼状片、強皮症、トラコーマ、血管癒着、眼の血管新生、寄生生物による病気、手術後の肥大、毛髪の成長の阻害、(浸出型及び萎縮型の両方を含む)黄斑変性症、リューマチ関節炎、及び骨関節炎を含むが、これらに限定されない。構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物の投与によって治療又は予防されることが好ましい、異常な血管新生を特徴とする病気は、癌、黄斑変性症及びリューマチ関節炎を含む。
【0095】
さらに、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、(ウィルソン病などの)銅代謝異常に関連する病気を治療及び又は予防するためにそのような病気に罹患した患者、好ましくはヒトに投与されることができる。
【0096】
さらに、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、肥満を治療及び/または予防するために、患者、好ましくはヒトに投与されることができる。構造式(I)により表される化合物は、血管新生及び肥満に関連することのできる(TNF-α、TNF-β、IL-8などの)炎症性サイトカイン及びプラスミノーゲンアクチベーターインヒビターのレベルを低下させるためにも使用されることができる(Loskutoff et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 2000, 902:272-281; Pan et al., Cancer Res., 2002, 62:4854-4859; Hanada et al., Cytokine Growth Factor Rev. 2002, 13:413-421; Chen et al., Science 2002, 296:1634-5; Miyake et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol. 59:18-28; Koch et al., Science, 1992, 258:1798-801; Osawa et al., Infect. Immun. 2002, 70:6294-6301; Bjou et al.,Nat. Med. 1998, 4:923-8)。
【0097】
さらに、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、神経変性疾患を治療及び/または予防するために、神経変性疾患に罹患した患者、好ましくはヒトに投与されることができる。銅レベルの上昇は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びプリオン病を含む多様な神経変性疾患の病理生物学を仲介することが、本分野において報告されている(Llanos et al., DNA Cell Biol. 2002, 21:259-270; Carri et al., Funct. Neurol 2001, 16:181-188; Perry et al, CNS Drugs 2002, 16:339-352; Kowalik-Jankowska et al., Environ Health Perspect, 2002, 5:860-870; Maynard et al., J. Biol. Chem. 2002, 277, 44670-44676; Gnjec et al., Front Biosci. 2002, 16-23; Strausak et al., Brain Res. Bull. 2001, 55: 175-185; Brown, Brain Res. Bull. 2001, 55:165-173; Brown, Biochem. Soc. Trans 2002, 30:742-745)。
【0098】
さらに、本発明によれば、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、は、NF−κBの調節されない活性又は調節されない炎症性応答の炎症を特徴とする病気を治療するために、患者、好ましくはヒトに投与されることができる。
【0099】
さらに、一定の実施態様においては、化合物及び/またはその組成物は、異常な血管新生、銅代謝障害、神経変性障害、肥満又はNF-κB調節不全を特徴とする多様な病気又は障害に対する予防的手段として患者、好ましくはヒトに投与される。したがって、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、1つの病気又は障害の予防のためにそして他を治療することを兼ねて使用されることができる(例えば、癌を治療する一方、ウィルソン病又はアルツハイマー病を予防するなど)。
【0100】
5.6.治療的/予防的投与
構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、ヒトの医薬において有利に使用されることができる。先に上記のセクション4.5.において記載したとおり、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、異常な血管新生、銅代謝障害、神経変性障害、肥満又はNF-κB調節不全を特徴とする多様な病気又は障害の治療及び/または予防のために有用である。
【0101】
上記の病気又は障害を治療及び/又は予防するために使用される場合、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、単独で、構造式(I)により表される他の化合物及び/またはその医薬組成物を含む他の薬剤としての活性物質(例えば、他の抗癌剤、他の抗血管形成剤、亜鉛、ペニシラミンなどの他のキレート剤、及び他の抗肥満薬)と併用して投与又は適用されることもできる。
【0102】
構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物の治療的有効量を患者に投与することによる治療及び予防方法が本明細書中で提供される。患者は動物、より好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトであることができる。
【0103】
本発明の構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、経口投与されることが好ましい。構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、輸注又はボーラス注射、(口の粘膜、直腸及び小腸粘膜などの)上皮または粘膜皮膚の内張りを介する吸収などのいかなる他の便利な経路で投与されることもできる。投与は全身性又は局所性であることができる。(リポソーム中の内包、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどの)構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物を投与するのに使用されることのできる多様な送達系が知られている。投与方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸内に、吸入により、又は特に耳、鼻、眼又は皮膚への局所的なものを含むが、これらに限定されない。好ましい投与様式は実施者の意のままであり、治療状態にある部位に部分的に依存する。ほとんどの場合、投与は構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物の血流中への放出を引き起こす。
【0104】
特別な実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物の1つ以上を治療を必要とする領域へ局所投与することが望ましいかもしれない。これは、例えば、手術中の局所的輸注、手術後に創傷被覆剤とともに、又はインプラントの手段で、などのように局所適用されることによって達成されることができるが、これらに限定されない。上記インプラントは、多孔質、非多孔質、又はシアラスティック(sialastic)な膜のような膜を含むゼラチン状物質、あるいは線維である。1つの実施態様において、投与は異常な血管形成の部位(又は以前の部位)(例えば、癌又は関節炎)への直接的な注射によることもできる。
【0105】
一定の実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物の1つ以上を心室内、くも膜下、及び硬膜外を含むいかなる好適な経路によっても中枢神経系内に導入することが望ましいかもしれない。心室内注射は、例えば、Ommayaリザーバーなどの貯留槽に接続した心室内カテーテルによって容易化されることができる。
【0106】
構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、吸入によって直接投与されることもできる。吸入による投与のためには、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、多くの異なる装置によって便利に肺へ送達されることができる。例えば、(ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適な気体などの)好適な低沸点の噴霧剤を含むキャニスターを利用するMetered Dose Inhaler(「MDI」)が、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物を肺に送達するために使用されることができる。
【0107】
あるいは、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物を肺に投与するために、Dry Powder Inhaler(「DPI」)装置が使用されることができる。DPI装置は、典型的には、容器内に乾燥粉末の雲を生成するためにガスの爆発のようなメカニズムを使用し、乾燥粉末の雲はその後患者によって吸入されることができる。DPI装置も本分野で周知である。人気のある改変は、反復投与DPI(「MDDPI」)系であり、これは1以上の治療的用量の送達を可能とする。例えば、吸入器又はインサフレーター(insufflator)中で使用されるためのゼラチンカプセル及びカートリッジは、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物及びラクトース又はスターチなどのこれらの系のための好適な粉末基剤の混合粉末を含むように製剤されることができる。
【0108】
構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物を肺に送達するために使用されることのできる他のタイプの装置は、例えば、Aradigm Corporation, Hayward, CAにより供給される液体スプレー装置である。液体スプレー系は、非常に小さなノズル穴を使用して液体薬物製剤をエアロゾル化し、そしてこれは直接的に肺に吸入される。
【0109】
1つの実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物を肺に送達するためにネブライザーが使用される。ネブライザーは、超音波エネルギーなどを使用して液体薬物製剤からエアロゾルを生成して、容易に吸入可能な細かい粒子を形成する(例えば、Verschoyle et al., British J. Cancer, 1999, 80, Suppl. 2, 96を参照のこと)。ネブライザーの例は、Sheffield Pharmaceuticals, Inc(Armerらの米国特許第5,954,047号;Van der Lindenらの米国特許第5,950,619号;van der Lindenらの米国特許第5,970,974号を参照のこと)及びBatelle Pulmonary Therapeutics, Columbus, OHにより供給される装置を含む。
【0110】
他の実施態様においては、電気流体力学(「EHD」)エアロゾル装置が、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物を肺に送達するのに使用される。EHDエアロゾル装置は、液体薬物の溶液または懸濁液をエアロゾル化するために電気エネルギーを使用する(例えば、Noakesらの米国特許第4,765,539号を参照のこと)。製剤の電気化学的特性は、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物をEHDエアロゾル装置によって肺に送達する場合に最適化する重要なパラメーターであることができ、そしてそのような最適化は当業者によって日常的に行われる。EHDエアロゾル装置は、他の肺への送達技術よりも効率よく化合物を肺に送達することができる。
【0111】
いくつかの実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、小胞、特別にはリポソーム中で送達されることができ(Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Treat et al, in "Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer", Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss New York, pp. 353-365 (1989);一般的には"Liposomes in the Therapy of Infectious Diseases and Cancer" Lopez-Berestein and Fidler (eds.) Liss, New York, pp. 353-365を参照のこと)。
【0112】
他の実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/またはその医薬組成物は、徐放性系、好ましくは経口徐放性系を介して送達されることができる。1つの実施態様においては、ポンプが使用されることができる(例えば、Langer, 上掲、Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed Eng. 14:201; Saudek et al., 1989, N. Engl. J Med. 321:574を参照のこと)。
【0113】
さらに他の実施態様においては、ポリマー材料が使用されることができる("Medical Applications of Controlled Release," Langer and Wise (eds.), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); "Cotrolled Drug Bioavailability", Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Langer et al., 1983, J Macromol, Sci. Rev. Macromol Chem. 23:61を参照のこと;Levy et al., 1985, Science 228: 190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照のこと)。さらに他の実施態様においては、ポリマー材料が経口徐放性送達のために使用される。好ましいポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース(最も好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含む。他の好ましいセルロースエーテルは記載された(Alderman, Int. J. Pharm. Tech. & Prod. Mfr., 1984, 5(3) 1-9)。薬物の放出に影響する因子は当業者に周知であり、従来記載されてきた(Bamba et al., Int. J. Pharm., 1979, 2, 307)。
【0114】
さらに他の実施態様においては、腸溶性製剤が経口徐放性投与のために使用されることができる。好ましい被覆材料は、pH依存性の溶解度を有するポリマー(すなわち、pH−制御放出)、遅い又はpH依存性の膨潤、溶解又は侵食速度を有するポリマー(すなわち、時間−制御放出)、酵素によって分解されるポリマー(すなわち、酵素−制御放出)、及び圧力の増加によって破壊される堅い層を形成するポリマー(すなわち、圧力−制御放出)を含む。
【0115】
さらに他の実施態様においては、経口徐放性投与のために浸透圧送達系が使用される(Verma et al., Drug Dev. Ind. Pharm., 2000, 26:695-708)。さらに他の実施態様においては、OROS(商標)浸透圧装置が経口徐放性送達装置のために使用される(Theeuwes らの米国特許第3,845,770号;Theeuwesらの米国特許第3,916,889号)。
【0116】
さらに他の実施態様においては、徐放性系は、本発明の化合物及び/又は医薬組成物の標的の近傍に置かれることができ、したがって、全身的な用量の一部分しか必要としない(例えば、Goodson, in "Medical Applications of Controlled Release," supra, vol.2, pp.115-138(1984))。Langer, 1990, Science 249:1527-1533において検討された他の徐放性系も使用可能である。
【0117】
5.7 医薬組成物
患者に適切な投与のための形態を提供するように、本医薬組成物は、治療的有効量の1つ以上の構造式(I)により表される化合物、好ましくは精製された形態及び好適量の薬剤として許容可能なビヒクルを含有する。患者に投与される場合、構造式(I)により表される化合物及び薬剤として許容可能なビヒクルは好ましくは滅菌状態である。構造式(I)により表される化合物が静脈内投与される場合、水が好ましいビヒクルである。食塩水及び水性デキストロース及びグリコール溶液も液体ビヒクル、特に注射用溶液として使用可能である。好適な医薬ビヒクルは、スターチ、グルコース、ラクトース、シュークロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール一リン酸、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含む。本医薬組成物は所望により、少量の湿潤剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含むこともできる。さらに、補助剤、安定化剤、シックナー剤、潤滑剤及び着色剤も使用されることができる。
【0118】
構造式(I)により表される化合物を含む医薬組成物は慣用の混合、溶解、造粒、ドラジェ製造、浮遊、乳化、カプセル化、捕捉又凍結乾燥方法の手段によって製造される。医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容可能な担体、希釈剤、賦形剤又は補助剤、であって構造式(I)の化合物を薬剤として使用可能な製剤に加工することを容易にするものを用いて製剤されることができる。適切な製剤は、選ばれた投与経路に依存する。
【0119】
本医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体を含有するカプセル、散剤、徐放性製剤、坐剤、エマルジョン、エアロゾル、スプレー、懸濁液、又はいかなる他の使用に好適な形態をとることもできる。1つの実施態様においては、薬剤として許容可能なビヒクルは、カプセルである(例えば、Grosswaldらの米国特許第5,698,155号を参照のこと)。好適な医薬ビヒクルの例は従来技術に記載されている(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Philadelphia College of Pharmacy and Science, 20th Edition, 2000を参照のこと)。
【0120】
局所投与のためには、本分野で周知のとおり、構造式(I)により表される化合物は、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液などとして製剤されることができる。
【0121】
全身性の製剤は、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下、又は腹腔内注射などの注射による投与のために設計されたもの、並びに経皮、経粘膜、経口又は肺の投与のために設計されたものを含む。全身性の製剤は、気道粘液の粘膜毛様体によるクリアランスを促進するか又は粘液の粘性を減少させるさらなる活性物質と組み合わせて作られることができる。これらの活性物質は、ナトリウムチャンネルブロッカー、抗生物質、N-アセチルシステイン、ホモシステイン及びリン脂質を含むがこれらに限定されない。
【0122】
いくつかの実施態様においては、構造式(I)により表される化合物は、ヒトへの静脈内投与のために適合された医薬組成物として、日常的な手順によって製剤される。典型的には、静脈内投与のための構造式(I)により表される化合物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。注射のためには、構造式(I)により表される化合物は、水溶液、好ましくはHank's溶液、リンゲル液、又は生理学的食塩水などの生理学的適合性の緩衝液中で製剤されることができる。溶液は懸濁、安定化及び/又は分散剤などの製剤用の剤を含むことができる。必要な場合には、医薬組成物は溶解剤を含むこともできる。静脈内投与のための医薬組成物は、場合により注射部位における痛みを和らげるために、リグノカインのような局所麻酔剤を含むことができる。一般に、成分は別々に又は混合されて、例えば、活性物質の量を示すアンプル又はサシェなどの完全密封型容器中の凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として単位剤形中で供給される。構造式(I)により表される化合物が輸注により投与される場合、それは、滅菌医薬グレードの水又は食塩水を含む輸注ボトルによって分配されることができる。構造式(I)によりあらわされる化合物が注射により投与される場合、成分が投与前に混合されることができるように、滅菌注射用水又は食塩水のアンプルが供給されることができる。
【0123】
経口送達のための医薬組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、顆粒、散剤、エマルジョン、カプセル、シロップ、あるいはエリキシルの形態であることができる。経口投与される医薬組成物は、医薬としておいしい製剤を提供するために、1つ以上の任意の剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム又はサッカリンなどの甘味料;ペパーミント、ウインターグリーンのオイルなどのフレーバー剤、又はチェリー着色剤及び保存剤を含むことができる。さらに、錠剤又はピル形態である場合、医薬組成物は崩壊及び胃腸管での吸収を遅らせ、それによって長期に徐放性を提供するために被覆されることができる。浸透圧活性を有する推進的な化合物を取り巻く選択的に透過性の膜も、経口投与される構造式(I)により表される化合物に適している。これらの遅いプラットフォームにおいては、カプセルの周囲の環境からの液体は推進的な化合物によって吸収され、これは膨潤し、開口部を通って剤又は剤組成物を置換する。これらの送達プラットフォームは、即時放出性製剤のスパイク状のプロフィールとは反対に基本的にゼロ次の送達プロフィールを提供することができる。グリセロール一ステアリン酸塩又はグリセロールステアリン酸塩などの時間遅延物質も使用されることができる。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、などの標準的なビヒクルを含むことができる。そのようなビヒクルは、医薬グレードであることが好ましい。
【0124】
懸濁液、エリキシル及び溶液などの経口液体製剤のためには、好適な担体、賦形剤又は希釈剤は、例えば、水、食塩水、(プロピレングリコールなどの)アルキレングリコール、(ポリエチレングリコールなどの)ポリアルキレングリコール、オイル、アルコール、(約5.0mM〜約50.0mMの間の酢酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩などの)pH4とpH6の間のわずかに酸性の緩衝液などを含む。さらに、フレーバー剤、保存剤、着色剤、胆汁酸塩、アシルカルニチンなどが添加されることができる。
【0125】
頬側投与のためには、医薬組成物は、慣用のやり方で製剤される錠剤、ロゼンジなどの形態をとることができる。
【0126】
ネブライザー及び液体スプレー装置及びEHDエアロゾル装置とともに使用されるのに好適な液体薬物製剤は、典型的には、構造式(I)により表される化合物と薬剤として許容可能なビヒクルを含む。好ましくは、薬剤として許容可能なビヒクルはアルコール、水、ポリエチレングリコール又はパーフルオロカーボンなどの液体である。場合により、本発明の化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル特性を変更するために、他の物質が添加されることができる。好ましくは、この物質はアルコール、グリコール、ポリグリコール又は脂肪酸などの液体である。エアロゾル装置中での使用に好適な液体薬物の溶液または懸濁液を製剤する他の方法は、当業者に知られている(例えば、Biesalskeの米国特許出願第5,112,598号;Biesalskiの米国特許出願第5,556,611号を参照のこと)。
【0127】
構造式(I)により表される化合物は、例えば、ココアバター又は他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤を含む坐剤又は停留浣腸などの直腸又は膣用医薬組成物に製剤されることもできる。
【0128】
先に記載の製剤に加えて、構造式(I)により表される化合物はデポー製剤として製剤されることもできる。そのような長期に作用する製剤は(例えば、皮下又は筋肉内への)移植により、又は筋肉内注射によって投与されることができる。したがって、例えば、構造式(I)により表される化合物は、(例えば、許容可能なオイル中でエマルジョンとして)好適なポリマー又は疎水性物質、あるいはイオン交換樹脂とともに製剤されることができ、あるいは例えば、溶解性の低い塩などの溶解性の低い誘導体として製剤されることができる。
【0129】
構造式(I)の化合物が酸性である場合、それは上記のいかなる製剤にも遊離の酸、薬剤として許容可能な塩、溶媒和物、又は水和物として含まれることができる。薬剤として許容可能な塩は、実質的に遊離酸の活性を保持し、塩基との反応により製造可能であり、対応する遊離酸形態よりも水中で溶解性であり、かつ他の極性溶媒中でより溶解性である。
【0130】
5.8 薬用量
構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物は一般に、意図された目的を達成するための有効量で使用される。異常な血管新生に特徴を有する病気又は障害、銅代謝障害、神経変性障害及び肥満を治療又は予防するための使用のために、構造式(I)の化合物及び/又はその医薬組成物は、治療的有効量で投与又は適用される。
【0131】
本明細書において開示された特別な障害又は状態の治療において有効な構造式(I)の化合物の量は、上記障害又は状態の性質に依存し、そして、本明細書において先に開示したとおり、本分野において知られた標準的な臨床技術によって決定されることができる。さらに、場合によりインビトロ又はインビボのアッセイが最適な用量範囲を同定することを助けるために採用されてもよい。投与される構造式(I)の化合物の量は、もちろん、なかでも治療される対象、該対象の体重、苦痛の重篤度、投与方法及び処方医の判断に依存する。
【0132】
例えば、用量は医薬組成物中で単一の投与により、複数の適用又は徐放によって送達されることができる。1つの実施態様において、構造式(I)により表される化合物は、経口徐放性投与によって送達される。好ましくは、この実施態様においては、構造式(I)により表される化合物は一日に2回(より好ましくは一日1回)投与される。投与は、断続的に繰り返されることができ、単独で又は他の薬物と併用して提供されることができ、そして病気又は障害の状態の有効な治療に必要とされる限り持続してよい。
【0133】
経口投与のための好適な用量範囲は、力価に依存するが、一般に、体重1kgあたり約0.001mg〜200mgの構造式(I)により表される化合物である。用量範囲は、当業者に知られた方法によって容易に決定されることができる。
【0134】
静脈内(i.v.)投与のための好適な用量範囲は、体重1kgあたり約0.01mg〜約100mgである。鼻腔内投与のための好適な用量範囲は、一般に体重1kgあたり約0.01mg〜約1mgである。坐剤は、一般に約0.01ミリグラム〜約50ミリグラムの構造式(I)により表される化合物を含み、そして約0.5重量%〜約10重量%の活性成分を含む。皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、硬膜外、舌下又は脳内投与のために推奨される用量は、体重1kgあたり約0.001mg〜約200mgである。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から得られる用量応答曲線から推定されることができる。そのような動物モデル及び系は本分野において周知である。
【0135】
構造式(I)により表される化合物は、ヒトにおける使用の前に所望の治療又は予防活性についてインビトロ及びインビボにおいてアッセイされることが好ましい。例えば、インビトロアッセイは、構造式(I)により表される化合物又は構造式(I)により表される化合物の組み合わせが異常な血管新生に特徴を有する病気又は障害、銅代謝障害、神経変性障害及び肥満の治療又は予防に好ましいか否かを決定するために使用されることができる。構造式(I)により表される化合物は動物モデル系を用いて有効かつ安全であることが実証されることができる。
【0136】
好ましくは、本明細書に記載の構造式(I)により表される化合物の治療的有効用量は、実質的な毒性を引き起こすことなく治療的利益を提供するであろう。構造式(I)により表される化合物の毒性は標準的な薬学手段を用いて決定されることができ、そして当業者によって容易に確認されることができる。毒性効果及び治療効果の間の用量比は、治療の指数である。構造式(I)により表される化合物は、好ましくは、病気及び障害治療において特に高い治療的指数を示す。本明細書に記載の構造式(I)により表される化合物の用量は、わずかの毒性又は毒性を有さない有効用量を含む循環中の濃度の範囲内にあることが好ましい。
【0137】
5.9 併用療法
本発明のある実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物は少なくとも1つの他の治療剤とともに又は放射線療法ともに併用されることができる。構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物並びに他の治療剤は相加的に又は好ましくは相乗的に作用することができる。いくつかの実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物は、構造式(I)により表される化合物と同じ医薬組成物の一部分として若しくは異なる医薬組成物としての他の治療剤の投与と同時に投与される。他の実施態様においては、構造式(I)により表される化合物の医薬組成物は他の治療剤の投与の前または後で投与される。
【0138】
いくつかの実施態様においては、構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物は、(例えば、アルキル化剤(例えば、(シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、クロランブチル、ヘキサメチルメラミン、チオテーパなどの)ナイトロジェンマスタード、(ブスルファンなどの)アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、トリアジンなど)、(葉酸アナログ、(フルオロウラシル、フロクスウリジン、シトシンアラビノシド、などの)ピリミジンアナログなどの)代謝拮抗剤、(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンなどの)プリンアナログ、(ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、ターティポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ミスルマイシン、マイトマイシンC、L−アルパラギナーゼ、インターフェロンアルファなどの)天然物、(シスプラチン、カルボプラチンなどの)プラチナ配位化合物、ミトキサントロン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ホルモン及び(プレドニソン、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、テストステロンプロピオネート、フルオキシメステロン、フルタミド、ロイプロリドなどの)アンタゴニスト、(アンギオスタチン、レチノイン酸及びパクリタキセル、エストラジオール誘導体、チアゾロピリミジン誘導体などの)抗血管新生物質又は阻害剤、(アポトーシスを阻害する癌遺伝子を遮断するアンチセンスヌクレオチド、腫瘍抑制剤、TRAIL、TRAILポリペプチド、Fas-結合因子1、インターロイキン-1β-変換酵素、ホスホチロシン阻害剤、RXRレチノイド受容体アゴニスト、カルボスチリル誘導体、などの)アポトーシス誘導物質、(ペニシラミン、亜鉛、トリエンチンなどの)キレート剤などの)他の化学療法剤並びに他の抗肥満薬との併用療法において使用されることができる。
【0139】
5.10 治療キット
構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物を含む治療キットが、本明細書において提供される。治療キットは、(化学療法剤、天然物、ホルモン又はアンタゴニスト、抗血管新生剤又は阻害剤、アポトーシス誘導剤又はキレート剤などの)他の化合物及び/又はその医薬組成物も含むことができる。
【0140】
治療キットは、他の構成要素(例えば、他の化合物及び/又はその医薬組成物)を伴うか又は伴わない構造式(I)により表される化合物及び/その又はその医薬組成物を含む単一の容器或いは各構成要素のための別の容器を有することができる。好ましくは、治療キットは、(好ましくは、化学療法剤、天然物、ホルモン又はアンタゴニスト、抗血管新生物質又は阻害剤、アポトーシス誘導剤或いはキレート剤である)第二の化合物又は医薬組成物の同時投与とともに使用されるためにパッケージされた構造式(I)により表される化合物及び/又はその医薬組成物を含む。キットの構成要素は、予め複合化されているか又は各構成要素は患者への投与の前には別の異なる容器中にあることができる。
【0141】
キットの構成要素は、1つ以上の液体溶液、好ましくは水溶液、より好ましくは滅菌水溶液中で提供されることができる。キットの構成要素は、好ましくは他の異なる容器中で提供される好適な溶媒を添加することによって液体に変換される固体として提供されることもできる。
【0142】
治療キットの容器は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または固体若しくは液体を封入する他のいかなる手段でもよい。通常、1つ以上の構成要素がある場合、キットは別々の投薬を可能とする第2のバイアル又は他の容器を含むであろう。キットは、薬剤として許容可能な液体のための他の容器も含むことができる。
【0143】
好ましくは、治療キットは、(1つ以上の針、シリンジ、点眼器、ピペットなどの)キットの構成要素の投与を可能とする装置を含むであろう。
【実施例】
【0144】
6.実施例
本発明は、本発明の化合物の製造及び生理活性のアッセイ方法を詳述する以下の実施例を参照することによってさらに定義される。材料及び方法の両方に対する多くの改変が本発明の範囲を離れることなく実施されることができることは、当業者に明らかとなるであろう。
【0145】
6.1 実施例1:テトラチオンタングステン酸誘導体合成の一般的手順
商業的に入手可能な水溶液としての4級水酸化アンモニウム(2当量)をチオタングステン酸アンモニウム(1当量)に加え、すべての固体物質が溶解するまで脱イオン水を加えた。溶液を真空下(約5〜10トル)、20℃の浴温度で1時間、ロータリーエバポレーター中に置き、一定の体積を維持するために必要に応じて水を交換する。反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、そして得られた黄色の固体を脱イオン水及びイソプロパノールから再結晶させた。固体をろ過によって集め、イソプロパノールとジエチルエーテルで洗浄し、そしてP2O5の存在下、真空デシケーター中、高度の真空下で24時間乾燥させた。
【0146】
6.2 実施例2:テトラチオタングステン酸誘導体合成の一般的手順
固体の4級アンモニウムハライド(2当量)をチオタングステン酸アンモニウムのドライアセトニトリル(テトラチオタングステン酸1ミリモルあたり5mL)中懸濁液(1当量)に加え、得られた混合物を、窒素下、室温で18時間攪拌した。この手順が沈殿を生じた場合、固体をろ過によって集め、イソプロパノールとジエチルエーテルで洗浄し、脱イオン水とイソプロパノールから再結晶させた。黄色の結晶をろ過によって集め、イソプロパノールとジエチルエーテルで洗浄し、そしてP2O5の存在下、真空デシケーター中、高度の真空下で24時間乾燥させた。溶液が澄んだままである場合、溶媒を真空中で除去し、残渣をジクロロメタンに入れ、水で3回洗浄し、鹹水、無水硫酸ナトリウムで1回洗浄し、溶液を濃縮した。得られたオイル又は固体をP2O5の存在下、真空デシケーター中、高度の真空下で24時間乾燥させた。
【0147】
6.3 実施例3:テトラチオタングステン酸誘導体合成の一般的手順
脱イオン水(テトラチオタングステン酸1ミリモルあたり10mL)中の4級アンモニウムハライド(2当量)溶液を、ドライアセトニトリル(テトラチオタングステン酸1ミリモルあたり20mL)中、チオタングステン酸アンモニウム(1当量)に加え、得られた混合物を室温で18時間攪拌した。この手順により沈殿が生じた場合、固体をろ過により集め、水、イソプロパノール及びジエチルエーテルで洗浄し、そしてP2O5の存在下、真空デシケーター中、高度の真空下で24時間乾燥させた。この溶液が澄んだままである場合、反応混合物を先ずろ過し、ろ液を真空下で濃縮した。得られた固体を脱イオン水及びイソプロパノールから再結晶化させ、黄色の結晶をろ過によって集め、イソプロパノールとジエチルエーテルで洗浄し、そしてP2O5の存在下、真空デシケーター中、高度の真空下で24時間乾燥させた。
【0148】
6.4 実施例4:テトラチオタングステン酸、ビス(コリン)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(158mg、0.454ミリモル)及び50重量%の水酸化コリン(222mg、0.916ミリモル)溶液から実施例1の手順により調製して、151mg(64%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化14】

【0149】
6.5 実施例5:テトラチオタングステン酸、ビス(トリエチルメチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(164mg、0.471ミリモル)及び20重量%の水酸化トリエチルメチルアンモニウム水溶液(627mg、0.941ミリモル)から実施例1の手順により調製して、147mg(61%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化15】

【0150】
6.6 実施例6:テトラチオタングステン酸、ビス(トリエチルフェニルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(155mg、0.444ミリモル)及び10重量%の水酸化トリエチルフェニルアンモニウム(1.74g、0.889ミリモル)水溶液から実施例1の手順により調製して、198mg(69%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化16】

【0151】
6.7 実施例7:テトラチオタングステン酸、ビス(1,4−ジメチルピリジニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(163mg、0.467ミリモル)及びヨウ化1,4−ジメチルピリジニウム(221mg、0.940ミリモル)から実施例2の手順により調製して、143mg(58%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化17】

【0152】
6.8 実施例8:テトラチオタングステン酸、ビス(1,1−ジメチルピロリジニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(300mg、0.861ミリモル)及びヨウ化1,1−ジメチルピリジニウム(400mg、1.76ミリモル)から実施例3の手順により調製して、223mg(51%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化18】

【0153】
6.9 実施例9:テトラチオタングステン酸、ビス(トリメチルフェニルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(167mg、0.479ミリモル)及び塩化フェニルトリメチルアンモニウム(166mg、0.968ミリモル)から実施例2の手順により調製して、139mg(50%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化19】

【0154】
6.10 実施例10:テトラチオタングステン酸、ビス(アセチルコリン)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(171mg、0.491ミリモル)及び塩化アセチルコリン(179mg、0.987ミリモル)から実施例2の手順により調製して、163mg(55%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化20】

【0155】
6.11 実施例11:テトラチオタングステン酸、ビス[アルキルジメチル(フェニルメチル)アンモニウム]
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(320mg、0.920ミリモル)及び塩化ベンザルコニウム(664mg、1.84ミリモル)から実施例2の手順により調製し、651mg(74%)の標題化合物を濃い赤のオイルとして得た:
【化21】

【0156】
6.12 実施例12:テトラチオタングステン酸、スベリルジコリン
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(299mg、0.860ミリモル)及び2ヨウ化スベリルジコリン(516mg、0.860ミリモル)から実施例2の手順により調製し、115mg(20%)の標題化合物を明るい黄色の結晶として得た:
【化22】

【0157】
6.13 実施例13:テトラチオタングステン酸、ペンタン−1,5−ビス(トリメチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(140mg、0.402ミリモル)及びN,N-ペンタメチレンビス(トリメチルアンモニウムヨーダイド)(195mg、0.442ミリモル)から実施例3の手順により調製し、109mg(54%)の標題化合物を明るい黄色の粉末として得た:
【化23】

【0158】
6.14 実施例14:テトラチオタングステン酸、ブタン−1,4−ビス(トリメチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(200mg、0.574ミリモル)及びN,N-テトラメチレンビス(トリメチルアンモニウムヨーダイド)(271mg、0.632ミリモル)から実施例3の手順により調製し、185mg(66%)の標題化合物を明るい黄色の粉末として得た:
【化24】

【0159】
6.15 実施例15:テトラチオタングステン酸、プロパン−1,3−ビス(トリメチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(201mg、0.578ミリモル)及びN,N−トリメチレンビス(トリメチルアンモニウムヨーダイド)(263mg、0.635ミリモル)から実施例3の手順により調製し、192mg(70%)の標題化合物を明るい黄色の粉末として得た:
【化25】

【0160】
6.16 実施例16:テトラチオタングステン酸、エチレンビス(トリメチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(200mg、0.573ミリモル)及びエチレンビス(トリメチルアンモニウムヨーダイド)(249mg、0.623ミリモル)から実施例3の手順により調製し、171mg(65%)の標題化合物を明るい黄色の粉末として得た:
【化26】

【0161】
6.17 実施例17:テトラチオタングステン酸、ビス(N−ベンジル−2−フェニルエチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸アンモニウム(295mg、0.848ミリモル)及びN−ベンジル−2−フェニルエチルアンモニウムクロライド(422mg、1.70ミリモル)から6mLの脱イオン水を加えた以外は実施例3の手順により調製し、317mg(51%)の標題化合物をオレンジ色の固体として得た:
【化27】

【0162】
6.18 実施例18:テトラチオタングステン酸、ビス(1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸、ビス(アンモニウム)(0.400g、1.15ミリモル)及び1−エチル−3−メチル−1H−イミダゾリウムクロライド(0.354g、2.41ミリモル)から実施例3の手順により調製し、標題化合物(0.217g、35%)を明るい黄色の固体として得た:
【化28】

【0163】
6.19 実施例19:テトラチオタングステン酸、ビス(ベンジルトリメチルアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸、ビス(アンモニウム)(0.200g、0.574ミリモル)及びベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド(0.48gの40%水溶液、1.15ミリモル)から実施例1の手順により調製し、標題化合物(0.246g、70%)を明るい黄色の固体として得た:
【化29】

【0164】
6.20 実施例20:テトラチオタングステン酸、ビス(2−ヒドロキシイミノメチル−1−メチル−ピリジニウム
この化合物をテトラチオタングステン酸、ビス(アンモニウム)(0.200g、0.574ミリモル)及び2−ピリジンアルドキシムメトクロライド(0.198g、1.15ミリモル)から実施例3の手順により調製し、標題化合物(0.198g、59%)を明るい黄色の固体として得た:
【化30】

【0165】
6.21 実施例21:テトラチオタングステン酸、ビス(アセチル−β−メチルコリン)
この化合物をテトラチオタングステン酸、ビス(アンモニウム)(0.200g、0.574ミリモル)及びアセチル−β−メチルコリンクロライド(0.235g、1.20ミリモル)から実施例3の手順により調製し、標題化合物(0.115g、32%)を明るい黄色の固体として得た:
【化31】

【0166】
6.22 実施例22:テトラチオタングステン酸、(サクシニルコリン)
この化合物をテトラチオタングステン酸、ビス(アンモニウム)(0.400g、1.15ミリモル)及びサクシニルコリンクロライドジハイドレート(0.456g、1.15ミリモル)から実施例3の手順により調製し、標題化合物(0.414g、60%)を明るい黄色の固体として得た:
【化32】

【0167】
6.23 実施例23:テトラチオタングステン酸、(エチレン−1,2−ビスアンモニウム)
この化合物をテトラチオタングステン酸、ビス(アンモニウム)(0.300g、0.862ミリモル)、塩化アンモニウム(0.092g、1.72ミリモル)及びエチレンジアミン(57.6μl、0.862ミリモル)から実施例3の手順により調製し、標題化合物(0.257g、80%)を明るい黄色の固体として得た:
【化33】

【0168】
6.24 実施例24:テトラチオタングステン酸塩の湿度安定性
テトラチオタングステン酸の塩を室温、95%相対湿度のアクリルチャンバー中に2週間置いた。サンプルを、493nmの吸収をモニターし、モル吸光係数が15710M-1cm-1であった以外は先に記載の方法によって純度を分析した(McDonald et al, Inorg. Chim. Acta 1983, 72, 205-210)。結果を以下の表1において報告する。
【0169】
【表1】

【0170】
6.25 実施例25:テトラチオタングステン酸塩の銅結合能
以下の表2に報告するように、テトラチオタングステン酸塩の銅結合能をテトラチオタングステン酸塩のシステイン自動酸化を阻害する能力により決定した。
【0171】
【表2】

【表3】

【表4】

【0172】
6.25 実施例25:テトラチオタングステン酸アンモニウムによる、Matrigel(登録商標)プラグアッセイにおける血管新生の阻害
テトラチオタングステン酸アンモニウムをマトリゲル(登録商標)プラグアッセイにおいて、上記のセクション5.4.7において記載したとおりにアッセイした。陽性対照1は処置を開始した移植5日後に測定し、陽性対照2は処置を終了した移植5日後に測定して、2つの陽性対照を使用した。陰性対照1は処置を開始したとき、移植の5日後に測定し、陰性対照2は処置を終了したとき移植の5日後に測定して、2つの陰性対照を使用した。図1に示すように、テトラチオタングステン酸アンモニウムによる処置は、このアッセイを用いて、約34%阻害を生じた。
【0173】
最後に、本発明を実施する他の方法があることを注意すべきである。したがって、本実施態様は、例示としてであり制限的でなく、本発明は本明細書中に与えられた詳細に限定されるものではなく、添付の請求項の範囲内そして等価な改変をされることができると考えられるべきである。本明細書中に引用されたすべての文献及び特許はそっくりそのまま参考文献として本明細書中に援用されている。
【図面の簡単な説明】
【0174】
4.図面の簡単な説明
【図1】図1は、Matrigel(登録商標)プラグアッセイにおけるアンモニウムテトラチオタングステン酸による血管新生の阻害を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式(I):
【化1】

{式中、
R1、R2、R3、R5、R6及びR7は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキル又は置換へテロアルキルであり;
R4及びR8は、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアルキル又は置換ヘテロアルキルであるか、又はNが芳香環の一部である場合には存在せず;
場合により、R1及びR2は、一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R5及びR6は、一緒になってアルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R1及びR2は、一緒になって、R2及びR3は一緒になって、そしてR2及びR4は一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R5及びR6は一緒になって、R6及びR7は一緒になって、そしてR6及びR8は一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;
場合により、R3及びR7は一緒になって、アルキルジイル、置換アルキルジイル、ヘテロアルキルジイル、又は置換ヘテロアルキルジイルであり;そして、
Y-2は、(WS4)-2、(W2S12)-2、(W2S9)-2、(W2S7)-2、(W2S8)-2、(W2S11)-2、(W2S6)-2、又は(W2S13)-2である。}
により表される化合物、或いはその溶媒和物、又は水和物、又はN-オキシド。
【請求項2】
Yが(WS4)-2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式:
【化2】

により表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが(WS4)-2である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R1、R2、R3及びR4のうちの少なくとも1つがアルキルでない、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8のうちの少なくとも1つはアルキルでない、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R1、R2、及びR4が水素、アルカニル又は置換アルカニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R1、R2及びR4が水素、メチル又はエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R1及びR2がアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R1及びR2がメチル又はエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R1がアルカニル、置換アルカニル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル又は置換シクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R1及びR2が一緒になってアルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ、又は置換ヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R1及びR2が一緒になってアルキレノ又はへテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
R1及びR2が一緒になって、R2及びR3が一緒になって、並びにR2及びR4が一緒になって、アルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ、又は置換ヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
R1及びR2が一緒になって、R2及びR3が一緒になって、並びにR2及びR4が一緒になって、アルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
R3及びR7が一緒になってアルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ又は置換ヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
R3及びR7が一緒になってアルキレノ又はヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
R1、R2及びR4が水素、アルカニル又は置換アルカニルであり、並びにR3がアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、であるか、R3及びR7が一緒になって、アルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ、置換ヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
R1、R2及びR4がメチル又はエチルであり、並びにR3がアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルであるか、又はR3が及びR7が一緒になってアルキレノ又はヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
R1、R2及びR4がメチル又はエチルであり、並びにR3がアルキル、置換アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル又はシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化4】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化5】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化6】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化7】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
R1、R2及びR4がメチル又はエチルであり、並びにR3及びR7が一緒になってアルキレノ又はヘテロアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化8】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
R1、R2及びR4が水素であり、並びにR3が置換アルキル、シクロアルキル、又は置換ヘテロアリールであるか、又はR3及びR7が一緒になってアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
R1及びR2がアルカニルであり、R3及びR4が水素、アルキル、置換アルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
R1及びR2がメチル又はエチルであり、並びにR3及びR4が水素、アルキル、置換アルキル、アリール、アリールアルキル又はアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化9】

を有し、ここで、R9が少なくとも8個で18個以下の炭素原子を有する直鎖アルカニル基の混合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
R1、R2及びR4が水素であり、並びにR3が置換アルキル、置換へテロアリール、シクロアルキル又はアルキレノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
R1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化10】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項34】
R1及びR2が一緒になってアルキレノ、置換アルキレノ、ヘテロアルキレノ又は置換ヘテロアルキレノであり、R3がアルキル又は置換アルキルであり、並びにR4が水素又は存在しない、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
R1(R2)(R3)N又はR1(R2)(R3)(R4)Nが以下の構造:
【化11】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項36】
請求項1に記載の化合物及び薬剤として許容可能な希釈剤、賦型剤又はアジュバントを含む、医薬組成物。
【請求項37】
患者において癌を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
患者において癌を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項39】
そのような治療を必要とする上記患者に、治療的有効量の他の抗癌剤或いは該他の抗癌剤及び薬剤として許容可能な希釈剤、賦型剤、又はアジュバントを含む医薬組成物をさらに投与することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
そのような治療を必要とする上記患者に、治療的有効量の他の抗癌剤或いは該他の抗癌剤剤及び許容可能な希釈剤、賦型剤、又はアジュバントを含む医薬組成物をさらに投与することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
そのような治療を必要とする上記患者に、治療的有効量の亜鉛又は亜鉛の医薬組成物をさらに投与することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
そのような治療を必要とする上記患者に、治療的有効量の亜鉛或いは亜鉛及び薬剤として許容可能な希釈剤、賦型剤またはアジュバントを含む医薬組成物をさらに投与することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
上記癌が、乳癌、腎臓癌、脳腫瘍、結腸癌、前立腺癌、軟骨肉腫、又は血管肉腫である、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
患者における浸出型の黄斑変性症又はリューマチ関節炎を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
患者における浸出型の黄斑変性症又はリューマチ関節炎を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項46】
患者における異常な血管新生を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項47】
患者における異常な血管新生を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項48】
患者における過剰な銅レベルを治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項49】
患者における過剰な銅レベルを治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項50】
患者における肥満を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項51】
患者における肥満を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項52】
そのような治療を必要とする上記患者に、治療的有効量の他の抗肥満薬或いは該他の抗肥満薬及び薬剤として許容可能な希釈剤、賦型剤、又はアジュバントを含む医薬組成物をさらに投与することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
そのような治療を必要とする上記患者に、治療的有効量の他の抗肥満薬或いは該他の抗肥満薬及び薬剤として許容可能な希釈剤、賦型剤、又はアジュバントを含む医薬組成物をさらに投与することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
患者において神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項55】
患者において神経変性疾患を治療又は予防するための方法であって、そのような治療を必要とする上記患者に治療的有効量の請求項36に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項56】
上記神経変性疾患がアルツハイマー病、筋萎縮性側策硬化症、又はプリオン病である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
上記神経変性疾患がアルツハイマー病、筋萎縮性側策硬化症、又はプリオン病である、請求項55に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−516234(P2007−516234A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533497(P2006−533497)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016948
【国際公開番号】WO2004/110364
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505191087)アテニュオン,リミティド ライアビリティー カンパニー (3)
【Fターム(参考)】