説明

チオフェン誘導体

【課題】SARMである新規のチオフェン誘導体及びその医薬上許容される塩、さらにこれらを有効成分とする選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療及び予防に有用な医薬組成物を提供する。
【解決手段】式(I):


[式中の各記号は明細書に記載のとおりである。]
の化合物又はその塩、溶媒和物、若しくは生理的に機能的な誘導体及びそれを含有する選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療及び予防の有用な医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェン誘導体、さらに詳しくは、アンドロゲン受容体活性発現調節能力を有する新規のチオフェン誘導体及びその医薬上許容される塩、並びにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)活性発現調節機能を有する物質(ARモジュレーター)が、ネプリライシン(NEP)活性発現制御に対し顕著に影響を与えること、そして物質が有するAR活性発現調節能力がNEP活性発現制御能力と密接に関係していること、具体的には、ARモジュレーターが、神経細胞においてNEP遺伝子発現およびNEP酵素活性を制御し、さらに神経細胞におけるアミロイドβタンパク質(Aβ)の細胞外分泌量を制御することが明らかとなった(特許文献1:WO 2005/073395)。
【0003】
従来のARモジュレーターは、ARアゴニスト、AR部分アゴニスト、ARアンタゴニスト、またはAR部分アンタゴニストとして機能する。例えば、シプロテロン、フルタミド、カソデックス等のARアンタゴニストは、前立腺肥大症及び前立腺癌の治療薬として使用されている。一方、ARアゴニストは、男子性腺機能低下、消耗性疾患、骨粗鬆症及びADAM等の治療薬として使用されている。具体的には、テストステロンプロピオン酸エステル及びメチルテストステロンがアンドロゲン置換療法(ART)として使用されており、これらの疾患及び症状の改善に有効性が認められている。しかしながら、上記ステロイド製剤は、肝機能障害、胃腸障害などの副作用の他に、男性患者(特に、高齢者)へ投与する場合に前立腺に対して過剰に作用するため、アンドロゲン依存性腫瘍、前立腺肥大の発症および症状悪化を促すおそれがある。すなわち、既存の薬剤は、生理的テストステロンレベルを正確に模擬するものではなく、送達メカニズムに関する根本的問題を有する。
【0004】
したがって、アンドロゲン受容体(AR)を介する疾患の治療及び予防において、従来の治療薬(アンドロゲンステロイド製剤)に見られる潜在的副作用がない、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(以下、SARMという)である非ステロイド化合物の治療薬が望まれている。理想的には、SARMは、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害に対する治療又は予防において、より小さな副作用で、特に前立腺を損なうことなく、内因性アンドロゲンの有益な効果を全て有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第05/073395号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アンドロゲン受容体活性発現調節能力を有する化合物及びその医薬上許容される塩、当該化合物を用いたアミロイドβタンパク質関連疾患を含む選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防に有用な医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のチオフェン誘導体が、アンドロゲン受容体活性発現能力を有し、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防に有用であること、また、SARMのうち神経細胞においてARアゴニスト活性を有する物質がAβの細胞外分泌量を抑制することに基づき、アンドロゲン受容体活性発現調節能力を有する該チオフェン誘導体がアミロイドβタンパク質関連疾患のための医薬組成物になりうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]
式(I) :
【化1】

[式中:
は、式(II):
【化2】

{式中:
は−(Q)x−Rであり;
はアルキレンであり;
xは0又は1であり;
は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、又はアルコキシであり;
は−(Q)y−(Q)y−Rであり;
はアルキレンであり;
は−C(O)−、又は−C(S)−であり;
は0又は1であり;
は0又は1であり;
は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、−N(R)(R)、又は−CH(R10)(R11)であり;
及びRはそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
10及びR11はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノであるか、又はR10とR11が一緒となってアルキレンジオキシを形成する(ただし、R10又はR11の一方がヒドロキシである場合に、他方がヒドロキシ及びアルコキシであることを除く)}
で示される基、又は式(III):
【化3】

{式中:
は置換されていてもよいメチレンであり;
nは1〜5であり;
12及びR13はそれぞれ独立して−(Q)z−R16であるか、或いはそれらが結合する炭素原子と一緒になって=O、又は=Sを形成し;
はアルキレンであり;
zは0又は1であり;
16は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ホルミル、−CH=N−R17、−N(R18)(R19)、又は−CH(R20)(R21)であり;
17は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はヒドロキシであり;
18及びR19はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
20及びR21はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、又はシアノであり(ただし、R20又はR21の一方がヒドロキシの場合に、他方がヒドロキシ及びアルコキシを除く);
14及びR15はそれぞれ独立して−(Q)w−R22であり;
はアルキレンであり;
wは0又は1であり;
22は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ホルミル、−CH=N−R23、−N(R24)(R25)、又は−CH(R26)(R27)であり;
23は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はヒドロキシであり;
24及びR25はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
26及びR27はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、又はシアノである(ただし、R26又はR27の一方がヒドロキシである場合に、他方がヒドロキシ及びアルコキシであることを除く)}
で示される基であり;
は、シアノ、ホルミル、ニトロ、ハロゲン、又はハロアルキルであり;
は、シアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシである]
の化合物又はその塩、溶媒和物、若しくは生理的に機能的な誘導体、
ただし、以下の化合物:
3−メチル−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン;
3−エチル−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン;
2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(n−プロピル)チオフェン;
2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(i−プロピル)チオフェン;
3−(t−ブチル)−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン;
3−(n−ヘキシル)−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェンを除くものとする;
【0009】
[2]
アルキルがC1−C6アルキルであり、アルケニルがC2−C6アルケニルであり、アルキニルがC2−C6アルキニルであり、ハロアルキルがC1−C6ハロアルキルであり、シクロアルキルがC3−C6シクロアルキルであり、アルキレンがC1−C6アルキレンであり、アルコキシがC1−C6アルコキシである、上記[1]記載の化合物;
【0010】
[3]
アルキレンがC1−C2アルキレンであり、ハロアルキルがトリフルオロメチルであり、シクロアルキルがシクロプロピルである、上記[2]記載の化合物;
【0011】
[4]
がシアノ、ホルミル、ハロゲン、又はハロアルキルである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物;
【0012】
[5]
がシアノである、上記[4]記載の化合物;
【0013】
[6]
がシアノ、ハロゲン、又はハロアルキルである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物;
【0014】
[7]
がハロゲン、又はハロアルキルである、上記[6]記載の化合物;
【0015】
[8]
がブロモ、又はトリフルオロメチルである、上記[7]記載の化合物;
【0016】
[9]
がメチレン、又はエチレンである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物;
【0017】
[10]
が水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ハロアルキル、又はアルコキシである、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の化合物;
【0018】
[11]
がシクロプロピル、ビニル、トリフルオロメチル、又はメトキシである、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物;
【0019】
[12]
がメチレン、又はエチレンである、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の化合物;
【0020】
[13]
が−C(O)−、又は−C(S)−である、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の化合物;
【0021】
[14]
が水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、−N(R)(R)、又は−CH(R10)(R11)であり、ここでR及びRはそれぞれ独立して水素、又はアルキルであり、R10及びR11はそれぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、又はヒドロキシであるか、又はR10とR11が一緒となってアルキレンジオキシである、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の化合物;
【0022】
[15]
がハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ハロアルキル、C3−C6シクロアルキル、及びC1−C6アルコキシからなる群より選択される置換基で置換されていてもよいメチレンである、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の化合物;
【0023】
[16]
がメチレンである、上記[1]〜[15]のいずれかに記載の化合物;
【0024】
[17]
16が水素、シクロアルキル、アルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、ホルミル、−CH=N−R17、又は−CH(R20)(R21)であり、ここでR17はヒドロキシであり、R20及びR21はそれぞれ独立してアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ(ただし、R20及びR21が同時にヒドロキシの場合を除く)である、上記[1]〜[16]のいずれかに記載の化合物;
【0025】
[18]
20及びR21の一方がハロアルキルであり、他方がヒドロキシである、上記[17]記載の化合物;
【0026】
[19]
20又はR21がトリフルオロメチルである、上記[18]記載の化合物;
【0027】
[20]
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド;
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−クロロ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルバルデヒド;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル;
2−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−3−カルボニトリル;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ピロリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(3,5−ジメチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(4−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(メチル)(2−メチルプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ジプロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ジアリルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]−3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−プロピルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルアセタミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパナミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルブタナミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−2−メチル−N−プロピルプロパナミド;
3−ブロモ−5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシンエチルエステル;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−メチル−N2−プロピルグリシンアミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシン;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N2−プロピルグリシンアミド;
3−ブロモ−5−[(シアノメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N,N−ジメチル−N2−プロピルグリシンアミド;
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[プロピル(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(2−ヒドロキシプロピル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチル−6−オキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチル−5−チオオキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパンチオアミド;
3−ブロモ−5−[2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[2−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−{[2−(ヒドロキシイミノ)エチル](プロピル)アミノ}チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−トリフルオロメチルチオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−メチルチオフェン−2−カルボニトリル;又は
5−(2−シアノピペリジン−1−イル)−3−ブロモ−チオフェン−2−カルボニトリルから選択される化合物或いはその塩、溶媒和物、又は生理的に機能的な誘導体;
【0028】
[21]
活性な治療用物質として使用するための、上記[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物;
【0029】
[22]
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防において使用するための、上記[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物;
【0030】
[23]
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害が、男性ホルモン依存性疾患、増殖性疾患又はアミロイドーシスである、上記[22]記載の化合物;
【0031】
[24]
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害が、前立腺肥大、ADAM、多毛症、アクネ、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、リビドー低下、性機能不全、筋肉衰弱、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸及び前立腺を含むアンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍、大動脈平滑筋細胞増殖、アルツハイマー病、狂牛病、新型クロイツフェルト・ヤコブ病、家族性アミロイドポリニューロパチー、骨粗鬆症、脂質異常症、肥満、糖尿病、鬱病、尿失禁、動脈硬化、子宮フィブロイド疾患又は子宮内膜症である、上記[22]記載の化合物;
【0032】
[25]
上記[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物;
【0033】
[26]
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防において使用するための医薬の製造における、上記[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物の使用;及び
【0034】
[27]
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害が、男性ホルモン依存性疾患、増殖性疾患又はアミロイドーシスである、上記[26]記載の使用;
を提供するものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、SARMである新規のチオフェン誘導体及びその医薬上許容される塩、さらにこれらを有効成分とする選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療及び予防に有用な医薬組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
用語は、当該分野にて一般的に理解される意味として用いる。以下の定義は、用語を説明するためのものであり、それらを限定するものではない。
【0037】
本明細書中の全体において用いる好ましい原子(例えば、炭素)数は、例えば、「Cx−Cy」により表され、これは、特定数(xないしy個)の炭素原子を含有することを意味する。他の好ましい用語及び範囲にも、同様の用法が適用される。例えば、「C1−C6アルキル」は、1ないし6個の炭素原子を含有するアルキル基、「C2−C6アルケニル」は、2ないし6個の炭素原子を含有するアルケニル基、「C2−6アルキニル」は、2ないし6個の炭素原子を含有するアルケニル基、「C1−C6アルキレン」は、1ないし6個の炭素原子を含有するアルキレン基、及び「C3−C6シクロアルキル」は、3ないし6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を表す。
【0038】
本明細書に用いられる「アルキル」なる語は、特定数の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素を意味し、これらは、場合により、本発明に含まれる複数の置換基で置換されていてもよい。かかる「アルキル」の例として、C1−C6アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、n−ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0039】
本明細書に用いられる「アルケニル」なる語は、2以上の炭素原子を有し、1以上の炭素−炭素二重結合を含有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素を意味し、これらは、場合により、本発明に含まれる複数の置換基で置換されていてもよい。かかる「アルケニル」の例として、C2−C6アルケニル、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
【0040】
本明細書に用いられる「アルキニル」なる語は、2以上の炭素原子を有し、1以上の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素を意味し、これらは、場合により、本発明に含まれる複数の置換基で置換されていてもよい。かかる「アルキニル」の例として、C2−6アルキニル、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。
【0041】
本明細書に用いられる「アルキレン」なる語は、直鎖状又は分枝鎖状の二価炭化水素基を意味し、これらは、場合により、本発明に含まれる複数の置換基で置換されていてもよい。かかる「アルキレン」の例として、C1−C6アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどが挙げられる。
【0042】
本明細書に用いられる「シクロアルキル」なる語は、特定数の炭素原子を有する非芳香族環状炭化水素環を意味し、これらは、場合により、本発明に含まれる複数の置換基で置換されていてもよく、場合により、アルキレンリンカーを含み、この場合、それを介して、該シクロアルキルが結合しうる。「シクロアルキル」の例として、C3−C6シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。好ましくは、シクロプロピルである。
【0043】
本明細書に用いられる「ハロ」又は「ハロゲン」なる語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0044】
本明細書に用いられる「ハロアルキル」なる語は、少なくとも1つのハロゲンで置換された、上記のアルキル基を意味する。「ハロアルキル」の例として、フルオロメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチルなどが挙げられる。好ましくは、トリフルオロメチルである。
【0045】
本明細書に用いられる「ヒドロキシ」なる語は基−OHを意味する。
【0046】
本明細書に用いられる「ホルミル」なる語は基−C(O)Hを意味する。
【0047】
本明細書に用いられる「アルコキシ」なる語は基−ORaを意味し、ここで、Raは、上記のアルキルを表す。かかる「アルコキシ」の例として、C1−C6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキトキシなどが挙げられる。
【0048】
本明細書に用いられる「ニトロ」なる語は基−NOを意味する。
【0049】
本明細書に用いられる「シアノ」なる語は基−CNを意味する。
【0050】
本明細書に用いられる「置換されていてもよい」なる語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、ハロアルキル、又はアルコキシなどの基が、本明細書に記載の1以上の置換基で置換されていなくても又は置換されていてもよいことを意味する。かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ホルミル、シアノなどが挙げられる。
【0051】
式(I)の化合物は、多形として公知の特徴である2以上の形態として結晶化することが可能であり、そのような多形形態(多形体)は式(I)の範囲内である。多形は、一般には、温度、圧力又はそれらの両方の変化に対する反応として生じうる。多形は結晶化過程における変動からも生じうる。多形は、X線回折パターン、溶解度及び融点のような当該技術分野で公知の種々の物理的特徴により識別されうる。
【0052】
本明細書に記載の特定の化合物は、1以上のキラル中心を含有し、複数の立体異性体として存在しうる。立体異性体の混合物及び精製されたエナンチオマー又はエナンチオ的/ジアステレオ的に富化された混合物も本発明に包含される。また、式(I)の化合物の個々の異性体及びそれらの任意の完全に又は部分的に平衡化した混合物も本発明に包含される。さらに、1以上のキラル中心が反転した対応異性体との混合物としての、式(I)の化合物の個々の異性体を含む。特定の光学異性体は、キラル固定相でのクロマトグラフィー又はキラル塩形成及びその後の選択的結晶化による分離のような当該分野にて公知の技術により分離及び回収が可能である。或いは、出発物質として特定の光学異性体を使用することにより、最終生成物として対応する異性体の取得を可能とする。
さらに、式(I)の化合物は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても式(I)の化合物に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することにより製造することができる。同位元素(例えば、H、14C、18F、35S、125Iなど)などで標識された化合物も、式(I)の化合物に包含される。
【0053】
本明細書に用いられる「塩」なる語は、無機酸又は有機酸から調製される本発明の化合物の無毒性塩を意味する。好ましくは、本発明の塩は医薬上許容されるものである。「医薬上許容される」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、適当な利益/危険率に比例する、過度の毒性、刺激、又は他の問題又は合併症がなく、ヒト及び動物の組織と接触させて用いるのに適することを意味する。医薬上許容される塩には、酸付加塩が含まれうる。代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシナートヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、リンゴ酸一カリウム、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸(エンボナート)塩、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラート、トシル酸塩、トリエチオジド、トリメチルアンモニウム及び吉草酸塩が含まれる。医薬上許容されない他の塩も本発明の化合物の製造において有用であることがあり、これらは本発明のもう1つの態様を構成する。
【0054】
本明細書に用いられる「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明の場合には、式(I)の化合物又はその塩若しくは生理的に機能的な誘導体)と溶媒との種々の化学量論の複合体を意味する。そのような溶媒は、本発明の目的においては、溶質の生物活性を妨げるものであるべきではない。適当な溶媒の非限定的な具体例には、水、メタノール、エタノール及び酢酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、使用する溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の非限定的な具体例には、水、エタノール及び酢酸が含まれる。最も好ましくは、使用する溶媒は水である。
【0055】
本明細書に用いられる「生理的に機能的な誘導体」なる語は、哺乳動物に投与されると、直接的又は間接的に本発明の化合物或いはその活性代謝産物を与えうる、本発明の化合物の任意の医薬上許容される誘導体を意味する。例えば、血液中の加水分解により、本発明の化合物に変換されうる、各種エステル誘導体等が挙げられる。該方法に関する報文として、T. Higuchi及びV. Stella,「Prodrugs as Novel Delivery Systems」Vol.14 of the A.C.S. Symposium Series、並びにBioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987に開示され、該開示を出典明示により本明細書の一部とする。
【0056】
本明細書に用いられる「有効量」なる語は、例えば研究者又は臨床医により求められている、組織系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を惹起する薬物又は薬剤の量を意味する。生物学的又は医学的応答は予防応答又は治療応答であるとみなされうる。「治療的有効量」なる語は、そのような量の投与を受けていない対象と比べて、疾患、障害又は副作用の改善した治療、治癒、予防又は軽減、或いは疾患又は障害の進行速度の遅延をもたらす任意の量を意味する。この用語は、その範囲内に、正常な生理的機能を促進するのに有効な量も含む。療法における使用では、式(I)の化合物並びにその塩、溶媒和物及び生理的に機能的な誘導体の治療的有効量を、化合物原体として投与することが可能である。特に限定するものではないが、通常、式(I)の化合物として、1日当たり0.1〜100mg/kg体重の範囲が有効量である。
また、式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物若しくは生理的に機能的な誘導体は、医薬組成物として提供されうる。
【0057】
本発明は、1の態様において、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物若しくは生理的に機能的な誘導体の有効量と1以上の医薬上許容される担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。担体、希釈剤又は賦形剤は、製剤中のその他の成分に適合可能であり該医薬組成物の対象に有害でないという意味において許容しうるものでなければならない。
【0058】
本発明は、別の態様において、男性ホルモン依存性疾患(例えば、前立腺肥大、ADAM、多毛症、アクネ、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、リビドー低下、性機能不全、筋肉衰弱等)、増殖性疾患(例えば、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸及び前立腺を含むアンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍、大動脈平滑筋細胞増殖等)、アミロイドーシス(例えば、アルツハイマー病、狂牛病、新型クロイツフェルト・ヤコブ病、家族性アミロイドポリニューロパチー等)、その他のアンドロゲン受容体(AR)関連疾患(例えば、骨粗鬆症、脂質異常症、肥満、糖尿病、鬱病、尿失禁、動脈硬化、子宮フィブロイド疾患、子宮内膜症等)の治療又は予防において使用するための医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0059】
本発明の化合物は、核内ホルモン受容体であるアンドロゲン受容体(AR)の機能をモジュレーションする、ARモジュレーターである。本発明の化合物は、ARの機能又は活性のモジュレーションにより、予防、軽減又は治癒される疾患又は状態のようなAR関連疾患又は状態の治療に有用である。そのようなモジュレーションはある組織内に限定されることが可能であり、或いは治療を受けている対象の全身に広がりうる。
【0060】
本発明は、さらなる態様において、限定されるものではないが、骨関節症、骨軟骨形成異常の治療又は予防、パジェット病、加齢関連機能低下(ARFD)、ドライアイ、サルコペニア(sarcopenia)、カヘキシー(cachexia)、慢性疲労症候群、急性疲労症候群、慢性筋肉痛の治療又は予防、エイズ、熱傷及び外傷の回復、血小板減少症、貧血、過敏性腸管症候群、心血管疾患、心機能不全、うっ血性心不全、高血圧の治療又は予防、高インスリン血症、インスリン抵抗性、動脈硬化の治療又は予防、神経質、過敏性の治療又は予防、認知機能の改善、多嚢胞卵巣症候群の治療又は予防、避妊の治療又は予防、結核、ハンセン病、家族性地中海熱、気管支拡張症、Muckle−Wells症候群、反応性AAアミロイドーシス、免疫細胞性アミロイドーシス、骨髄炎の治療又は予防、ダウン症、脳血管アミロイドーシス、遺伝型アミロイド性脳出血、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、伝幡性海綿状脳症、スクレイピー、成人期発症糖尿病、皮膚アミロイドーシス、限局性結節性アミロイドーシスの治療又は予防、老人性アミロイドーシス、透析アミロイドーシスの治療又は予防を含む、種々の障害の治療又は予防のための本発明化合物の使用を提供する。
【0061】
本発明は、さらに別の態様において、式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物若しくは生理学的に機能的な誘導体を1以上の医薬上許容される担体、希釈剤又は賦形剤と混合することを含む、医薬組成物の製造方法を提供する。
【0062】
本発明の化合物は、既知の標準的な合成方法を含む種々の方法により製造されうる。以下のスキームにおける、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、特に明記しない限り、本明細書に定義されるとおりである。例示的な一般的合成方法を以下に示す。
【0063】
以下のスキームにおいて、合成化学の一般的原理に従い、必要に応じて、感受性又は反応性基の保護基を用いる。保護基は、有機合成の標準的な方法(T. W. Green 及び P.G.M.Wuts (1991) ,Protecting Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons)により用いられる。これらの基は、当該分野に既知の方法を用いて、容易に化合物合成段階で除去される。方法の選択並びにそれらの実施の反応条件及び順序は、式(I)の化合物の製造に合致する。
【0064】
式(I)の化合物の合成に必要な中間体であるアミノチオフェン誘導体は、以下の方法により製造されうる(スキーム1)。電子欠乏性の2−ホルミルチオフェンを、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンなどの第二級アミンと水などの溶媒中で反応させることにより、対応するアミノチオフェン誘導体が製造されうる。また、電子欠乏性の2−シアノチオフェンを、プロピルアミンなどの第一級アミンと炭酸水素ナトリウムなどの塩基の存在下、又は、無溶媒での加熱条件下により、対応するアミノチオフェン誘導体が製造されうる。さらに、ヨウ化銅(I)などの触媒の存在下で直接的なアミド化により、対応するアミノチオフェン誘導体が製造されうる。
【化4】

【0065】
目的化合物である第三級アミノチオフェン誘導体は、第二級アミノチオフェンを水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で、ヨウ化プロピルなどのアルキルハライドR−Xと反応させることにより製造されうる(スキーム2)。同様に、ブロモ酢酸エチルなどのα−ハロエステルを用いて第二級アミノチオフェンをアルキル化することにより製造されうる。また、第二級アミノチオフェンを塩化アセチルなどの酸塩化物で処理することにより、対応するアミド誘導体が製造されうる。
【化5】

【0066】
酢酸エステル誘導体から鹸化により対応するカルボン酸を得、次いでこれを酸塩化物へと変換した後に、各種アミンとカップリングさせることにより、対応するアミド誘導体が製造されうる(スキーム3,方法A)。また、アセトアルデヒド誘導体を、臭化メチルマグネシウムなどのアルキル化剤と反応させることにより、対応する第三級アルコール体が製造されうる(スキーム3,方法B)。
【化6】

【0067】
本発明の代表的なアンドロゲン受容体モジュレーター化合物、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト及び部分アンタゴニストには以下のものが含まれる:
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド;
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−クロロ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルバルデヒド;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル;
2−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−3−カルボニトリル;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ピロリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(3,5−ジメチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(4−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(メチル)(2−メチルプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ジプロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ジアリルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]−3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−プロピルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルアセタミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパナミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルブタナミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−2−メチル−N−プロピルプロパナミド;
3−ブロモ−5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシンエチルエステル;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−メチル−N2−プロピルグリシンアミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシン;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N2−プロピルグリシンアミド;
3−ブロモ−5−[(シアノメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N,N−ジメチル−N2−プロピルグリシンアミド;
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[プロピル(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(2−ヒドロキシプロピル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチル−6−オキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチル−5−チオオキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパンチオアミド;
3−ブロモ−5−[2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[2−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−{[2−(ヒドロキシイミノ)エチル](プロピル)アミノ}チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−トリフルオロメチルチオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−メチルチオフェン−2−カルボニトリル;
5−(2−シアノピペリジン−1−イル)−3−ブロモ−チオフェン−2−カルボニトリル。
【0068】
本発明の化合物の治療的有効量は多数の要因に左右される。例えば、対象の性別、年齢及び体重、治療を要する厳密な状態及びその重症度、製剤の性質並びに投与経路の全てが、考慮すべき要因である。治療的有効量は、最終的には、担当医師又は獣医師の判断に委ねられるべきである。それとは無関係に、衰弱しているヒトの治療のための式(I)の化合物の有効量は、一般には、1日当たり、対象(哺乳動物)の体重1kg当たり0.1〜 100 mgの範囲であるべきである。より一般的には、有効量は、1日当たり1〜10 mg/kg体重の範囲であるべきである。したがって、70kgの成体哺乳動物の場合には、1日当たりの実際の量は、通常、70〜700mgとなるであろう。この量は、1日当たりに1回量として、又は合計1日量が同じになるように1日当たりに数回分(例えば、2〜5回分又はそれ以上)の分割量として投与されうる。その塩、溶媒和物又は生理的に機能的な誘導体の有効量は、式(I)の化合物自体の有効量に基づいて比例的に決定されうる。本明細書中に言及されているその他の状態の治療又は予防においても、同様の投与量が適当であると考えられる。
【0069】
医薬製剤は、単位投与当たり所定量の有効成分を含有する単位剤形として提供されうる。そのような単位は、非限定的な例としては、治療される状態、投与経路並びに患者の年齢、体重及び状態に応じて0.5mg〜1gの式(I)の化合物を含有しうる。好ましい単位投与製剤は、有効成分の前記1日量若しくは分割量又はそれらの適当な割合を含有するものである。そのような医薬製剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
【0070】
医薬製剤は、任意の適当な経路、例えば経口(頬側又は舌下を含む)、直腸、鼻腔内、局所(頬側、舌下又は経皮を含む)、膣又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内又は皮内を含む)経路による投与に適している。
【0071】
経口投与に適している医薬製剤としては、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、液剤又は懸濁剤(各々、水性又は非水性液体を含む)、可食性泡沫又はホイップ、 或いは水中油型液体乳剤又は油中水型液体乳剤などが挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤又は徐放性製剤等の放出制御製剤(例えば、徐放性マイクロカプセル)であってもよい。
【0072】
錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与の場合には、活性薬物成分を、医薬上許容される経口無毒性不活性担体(例えば、エタノール、グリセロール、水など)と一緒にすることが可能である。
【0073】
散剤は、一般には、該化合物を適当な微小サイズに粉末化し、適当な医薬担体、例えば可食性炭水化物(例えば、デンプン又はマンニトール)と混合することにより製造されうる。香味剤、保存剤、分散剤及び着色剤を含んでいてもよい。
【0074】
カプセル剤は、粉末、液体又は懸濁液混合物を調製し、ゼラチン又は何らかの他の適当な殻物質でカプセル化することにより製造されうる。カプセル化の前に、滑剤(glidant)及び滑沢剤(例えば、コロイドシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は固体ポリエチレングリコール)を該混合物に加えることが可能である。カプセルが摂取された際の医薬のバイオアベイラビリティを改善するために、崩壊剤又は可溶化剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム又は炭酸ナトリウム)を加えることも可能である。さらに、場合により又は必要に応じて、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を該混合物中に加えてもよい。
【0075】
結合剤の例として、デンプン、ゼラチン、天然糖(例えば、グルコース又はβ−ラクトース)、トウモロコシ甘味剤、天然及び合成ガム(例えば、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが挙げられる。滑沢剤の例として、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤の例として、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0076】
錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化又は乾式顆粒圧縮し、滑沢剤及び崩壊剤を加え、錠剤に圧縮することにより製剤化される。粉末混合物は、該化合物(適切には粉末化されたもの)を希釈剤又は塩基と混合することにより製造されうる。場合によって使用しうる成分には、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン又はポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(例えば、パラフィン)、再吸収促進剤(例えば、第四級塩)、及び/又は吸収剤(例えば、ベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウム)が含まれる。該粉末混合物は、結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アカジア(acadia)粘質物又はセルロース性若しくは重合性物質の溶液で湿式造粒し、篩いにかけることが可能である。顆粒化の代替手段として、粉末混合物を錠剤機にかけることが可能であり、生じるものは、顆粒に分解する不完全に形成したスラッグである。錠剤形成鋳型への付着を妨げるために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク又は鉱油の添加により該顆粒を滑化することが可能である。次いで、滑化混合物を錠剤に圧縮する。また、本発明の化合物を自由流動性不活性担体と一緒にし、顆粒化又は乾式顆粒圧縮工程を経ることなく直接的に錠剤に圧縮することも可能である。セラックのシーリングコート、糖又は高分子物質のコーティング及びろうの光沢コーティングよりなる透明又は不透明な保護コーティングを付与することが可能である。異なる単位剤形を区別するために、これらのコーティングに染料を加えることが可能である。
【0077】
経口液状製剤、例えば液剤、シロップ剤及びエリキシル剤は、ある与えられた量が所定量の該化合物を含有するよう単位剤形として製造されうる。シロップ剤は、例えば、該化合物を、適当に香味づけされた水性溶液に溶解することにより製造されうる。一方、エリキシル剤は、無毒性アルコール性ビヒクルを使用して製造されうる。懸濁剤は、一般には、該化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより製剤化されうる。安定剤及び乳化剤(例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル)、保存剤;香味添加剤(例えば、ハッカ油)又は天然甘味剤、サッカリン又は他の人工甘味剤などを加えてもよい。
【0078】
式(I)の化合物並びにその塩、溶媒和物及び生理的に機能的な誘導体は、リポソーム送達系の形態(例えば、小単層小胞、大単層小胞及び多重層小胞)として投与することが可能である。リポソームは、種々のリン脂質(例えば、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン)から形成されうる。
【0079】
式(I)の化合物並びにその塩、溶媒和物及び生理的に機能的な誘導体は、該化合物分子が結合した個々の担体としてのモノクローナル抗体の使用によっても送達することが可能である。
【0080】
また、該化合物は、標的化可能な薬物担体としての適当な高分子に結合させることが可能である。そのような高分子には、ポリビニルピロリドン(PVP) 、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルトアミドフェノール又はポリエチレンオキシドポリリシン(パルミトイル残基で置換されているもの)が含まれうる。さらに、該化合物は、薬物の制御放出の達成に有用な生分解性高分子のクラス、例えばポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーに結合させることが可能である。
【0081】
経皮投与に適している医薬製剤は、長期にわたって対象の表皮との密接な接触を保つように意図された分離したパッチとして提供されうる。例えば、有効成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318(1986) に一般的に記載されているとおり、イオントホレシスにより該パッチから送達されうる。
【0082】
局所投与に適している医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、パスタ剤、ゲル剤、噴霧剤、エアゾール剤又は油として製剤化されうる。
【0083】
眼又は他の外部組織、例えば口及び皮膚の治療には、該製剤は局所用軟膏剤又はクリーム剤として適用されうる。軟膏剤として製剤化する場合には、有効成分をパラフィン性又は水混和性軟膏基剤と共に使用することが可能である。或いは、有効成分を水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤でクリーム剤中に製剤化することが可能である。
【0084】
眼への局所投与に適している医薬製剤には、適当な担体、特に水性溶媒に有効成分が溶解又は懸濁されている点眼剤が含まれる。
【0085】
口腔への局所投与に適している医薬製剤には、ロゼンジ、トローチ及び口洗剤が含まれる。
【0086】
担体が固体である場合の鼻腔内投与に適している医薬製剤には、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末が含まれる。該粉末は、吹入剤を使用することにより、即ち、鼻に密着保持された粉末容器からの鼻腔内通過による迅速な吸入により投与される。鼻噴霧剤又は点鼻剤としての投与のための、担体が液体である場合の適当な製剤には、有効成分の水性又は油性溶液が含まれる。
【0087】
吸入による投与に適している医薬製剤には、微粒子粉剤又はミストが含まれ、これらは、種々のタイプの加圧式定量エアゾール、ネブライザー又はインサフレーターにより生成されうる。
【0088】
直腸投与に適している医薬製剤は、坐剤又は浣腸として提供されうる。
【0089】
膣投与に適している医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、パスタ剤、泡沫又は噴霧剤として提供されうる。
【0090】
非経口投与に適している医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び意図される対象の血液に対して製剤を等張にする溶質を含有しうる水性及び非水性無菌注射溶液;並びに懸濁化剤及び濃稠化剤を含みうる水性及び非水性無菌懸濁液が含まれる。該製剤は、単回投与用又は複数回投与用の容器、例えば密封アンプル及びバイアルとして提供されることが可能であり、使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを要する凍結乾燥状態で保存されうる。必要に応じて調合される注射溶液及び懸濁液は、無菌散剤、顆粒剤及び錠剤から調製されうる。
【0091】
前記で特に挙げた成分に加えて、該製剤は、問題の製剤のタイプに関して当技術分野において通常である他の物質を含みうる。例えば、経口投与に適した製剤は香味剤又は着色剤を含みうる。
【0092】
本発明の化合物並びにその塩、溶媒和物及び生理的に機能的な誘導体は、単独で、又は前記状態の治療のための他の治療剤と組合せて使用することが可能である。一例として、本発明の骨粗鬆症の組合せ療法は、式(I)の少なくとも1つの化合物又はその塩、溶媒和物若しくは生理的に機能的な誘導体の投与と、少なくとも1つの他の骨粗鬆症療法の使用とを含むうる。もう1つの例として、本発明の組合せ療法は、式(I)の少なくとも1つの化合物又はその塩、溶媒和物若しくは生理的に機能的な誘導体と、少なくとも1つの他の骨粗鬆症治療剤、例えば抗骨吸収剤との投与を含む。式(I)の化合物及びその他の医薬上活性な物質を一緒に又は別々に投与することが可能であり、別々に投与する場合には、投与は同時に又は任意の順序で連続的に行うことが可能である。式(I)の化合物及びその他の医薬上活性な物質の量並びに投与の相対時期は、所望の組合せ療法効果が達成されるように選ばれる。式(I)の化合物又はその塩、溶媒和物若しくは生理的に機能的な誘導体と他の治療剤との組合せ投与は、(1)両方の化合物を含む単一の医薬組成物、又は(2)それぞれがそれらの化合物の一方を含む分離した医薬組成物における、付随的な投与による組合せでありうる。或いは、該組合せは、連続的に別々に投与することが可能であり、この場合、一方の治療剤を最初に投与し、ついでもう一方を投与する(その逆も可能である)。そのような連続的投与は時間的に近づいていても、或いは時間的に離れていてもよい。
【0093】
もう1つの潜在的な骨粗鬆症治療剤は骨形成(同化)剤である。骨形成剤は、抗吸収剤で達成されうるものより大きな骨無機質密度のようなパラメーターの増加を招きうる。幾つかの場合には、そのような同化剤は柱結合性を増加させ、骨の構造的完全性の上昇を招きうる。
【0094】
他の潜在的な治療的組合せには、本発明の化合物と、本発明の他の化合物、成長促進剤、成長ホルモン分泌促進剤、成長ホルモン放出因子及びその類似体、成長ホルモン及びその類似体、ソマトメジン、αアドレナリン作動性アゴニスト、セロトニン5−HTアゴニスト、ソマトスタチン又はその放出を抑制する物質、5α−レダクターゼインヒビター、アロマターゼインヒビター、GnRHアゴニスト又はアンタゴニスト、副甲状腺ホルモン、ビスホスホナート、エストロゲン、テストステロン、SERM、プロゲステロン受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、及び/又は核内ホルモン受容体の他のモジュレーターとの組合せが含まれる。
【0095】
本発明に含まれる化合物は選択的アゴニスト、部分アゴニスト及びアンタゴニストとして使用されるが、混合ステロイド活性を有する化合物も使用されうる。
【0096】
本発明の化合物は種々の障害及び状態の治療において使用することが可能であり、そのようなものとして、本発明の化合物は、それらの障害又は状態の治療又は予防に有用である種々の他の適当な治療剤と組み合わせて使用することが可能である。非限定的な具体例には、抗糖尿病剤、抗骨粗鬆症剤、抗肥満剤、抗炎症剤、抗不安剤、抗うつ剤、抗高血圧剤、抗血小板剤、抗血栓及び血栓溶解剤、強心配糖体、コレステロール又は脂質低下剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼインヒビター、キナーゼインヒビター、甲状腺模擬体、同化剤、ウイルス療法、認知障害療法、睡眠障害療法、性機能不全療法、避妊剤、細胞毒性剤、放射線療法、抗増殖剤及び抗腫瘍剤との本発明の組合せが含まれる。また、本発明の化合物は、栄養補助剤、例えばアミノ酸、トリグリセリド、ビタミン、ミネラル、クレアチン、ピロ酸(piloicacid)、カルニチン又は補酵素Q10と組合せることが可能である。
【0097】
本発明のもう1つの態様は、限定されるものではないが、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防、好ましくは、男性ホルモン依存性疾患、増殖性疾患又はアミロイドーシスの治療又は予防、より好ましくは、前立腺肥大、ADAM、多毛症、アクネ、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、リビドー低下、性機能不全、筋肉衰弱、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸及び前立腺を含むアンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍、大動脈平滑筋細胞増殖、アルツハイマー病、狂牛病、新型クロイツフェルト・ヤコブ病、家族性アミロイドポリニューロパチー、骨粗鬆症、脂質異常症、肥満、糖尿病、鬱病、尿失禁、動脈硬化、子宮フィブロイド疾患又は子宮内膜症の治療又は予防を含む種々の障害の治療又は予防のための、本発明の化合物の使用である。
【0098】
特に、本発明の化合物は、単独で又は他の物質との組合せとして、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防において有用である。好ましくは、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害は、男性ホルモン依存性疾患、増殖性疾患、又はアミロイドーシスである。より好ましくは、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害は、前立腺肥大、ADAM、多毛症、アクネ、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、リビドー低下、性機能不全、筋肉衰弱、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸及び前立腺を含むアンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍、大動脈平滑筋細胞増殖、アルツハイマー病、狂牛病、新型クロイツフェルト・ヤコブ病、家族性アミロイドポリニューロパチー、骨粗鬆症、脂質異常症、肥満、糖尿病、鬱病、尿失禁、動脈硬化、子宮フィブロイド疾患又は子宮内膜症である。
【0099】
本明細書において、使用されている記号及び慣例は、現代の科学文献、例えばJournal of the American Chemical Society又はJournal of Biological Chemistryにおいて用いられているものと合致する。特に、実施例においては以下の略語が用いられうる:
【0100】
g(グラム);mg(ミリグラム);L(リットル);mL(ミリリットル);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);mol(モル);mmol(ミリモル);N(規定濃度);min(分);h(時間);Hz(ヘルツ);mp(融点);eq(モル当量);PTLC(分取用薄層クロマトグラフィー);t(保持時間);THF(テトラヒドロフラン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);NMP(1−メチル−2−ピロリジノン);CDCl(重水素化クロロホルム);LDA(リチウムジイソブチルアミド);MeMgBr(臭化メチルマグネシウム);TFA(トリフルオロ酢酸);NaHCO(炭酸水素ナトリウム);NaCO(炭酸ナトリウム);NaSO(硫酸ナトリウム);MaSO(硫酸マグネシウム);HCl(塩酸);NaOH(水酸化ナトリウム)。
【0101】
以下の分析機器を使用して、各種データを計測した。
H−NMR:AV300M(BRUKER)
GC−MS:QP−5000(島津製作所)
LC−MS:LCQ(サーモエレクトロン)
【0102】
1H-NMRスペクトルについては、化学シフトをピーピーエム(ppm,δ値)で、結合定数はヘルツ(Hz, J値)単位で示した。分離パラメーターは見掛け多重度を示し、s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、q(四重項)、m(多重項)又はbr(ブロード)として表記した。
【実施例】
【0103】
以下に実施例、参考例、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
実施例1
【化7】

(1)3,5−ジブロモチオフェン−2−カルバルデヒド
2M LDA溶液(24mL,48mmol)とTHF(20mL)を加え、窒素雰囲気下、2−ブロモチオフェン(7.8g,48mmol)のTHF溶液(20mL)を室温で滴下し約30分間攪拌した。ドライアイス/アセトンで冷却後、DMF(1.8g,0.5eq)のTHF溶液(5mL)を加えた。暫く攪拌した後、1N HCl(250mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=20/1)により精製し、表題化合物(4.16g,85%)を淡黄色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ7.15(s, 1H), 9.83(s, 1H)
【0105】
(2)3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド
3,5−ジブロモチオフェン−2−カルバルデヒド(4.15g,15.3mmol)、N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミン(2.26g、1.3eq)、トリエチルアミン(3.10g、2.0eq)及び水(40mL)を加え、窒素雰囲気下、18時間還流加熱した。冷却後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=6/1)により精製し、表題化合物(2.15g,46%)を赤橙色油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.26-0.31(m, 2H), 0.59-0.66(m, 2H), 0.95(t, J=7.5Hz, 3H), 1.01-1.09(m, 1H), 1.65-1.75(m, 2H), 3.22(d, J=6.9Hz, 2H), 3.37(t, J=7.8Hz, 2H), 5.94(s, 1H), 9.57(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 301(M), 303(M+2)
【0106】
実施例2
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化8】

3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド(0.73g,2.42mmol)と硫酸ヒドロキシルアンモニウム(0.24g,1.2eq)及びNMP(5mL)を加え、120℃で2.5時間加熱した。冷却後、1N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性(pH=約9)に調整し、酢酸エチルで抽出し、水洗し、NaSOで乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)により精製し、表題化合物(0.26g,36%)を淡褐色油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.24-0.29(m, 2H), 0.59-0.65(m, 2H), 0.94(t, J=7.5Hz, 3H), 1.04-1.14(m, 1H), 1.61-1.74(m, 2H), 3.15(d, J=6.6Hz, 2H), 3.28(t, J=7.8Hz, 2H), 5.77(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 298(M), 300(M+2)
【0107】
実施例3
3−クロロ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化9】

3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド(0.56g,1.85mmol)と塩酸ヒドロキシルアンモニウム(0.15g,1.2eq)及びNMP(3mL)を加え、110℃で12時間加熱した。冷却後、1N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性(pH=約9)に調整し、酢酸エチルで抽出し、水洗し、NaSOで乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)により精製し、表題化合物(58mg,11%)を淡黄色油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.26-0.30(m, 2H), 0.59-0.65(m, 2H), 0.94(t, J=7.5Hz, 3H), 1.03-1.12(m, 1H), 1.64-1.72(m, 2H), 3.15(d, J=6.6Hz, 2H), 3.30(t, J=7.8Hz, 2H), 5.73(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 254(M), 256(M+2)
【0108】
実施例4
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルバルデヒド
【化10】

3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド(0.70g,2.34mmol)、フルオロスルホニル(ジフルオロ)酢酸メチル(0.90g,2.0eq)、ヨウ化銅(I)(47mg,10mol%)及びDMF(4mL)を加え、120℃で6時間加熱した。冷却した反応混合物に酢酸エチルと水を加え、有機層を分液後、水洗し、NaSOで乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、表題化合物(0.13g,19%)を暗橙色油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.28-0.33(m, 2H), 0.61-0.67(m, 2H), 0.97(t, J=7.4Hz, 3H), 1.09-1.14(m, 1H), 1.67-1.77(m, 2H), 2.27(d, J=6.6Hz, 2H), 3.41(t, J=7.8Hz, 2H), 6.13(s, 1H), 9.74(d, J=0.9Hz, 1H)
GC-MS(EI):m/z 291(M)
【0109】
実施例5
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化11】

3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒドの代わりに5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルバルデヒドを用い、実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.26-0.31(m, 2H), 0.60-0.67(m, 2H), 0.96(t, J=7.5Hz, 3H), 1.03-1.10(m, 1H), 1.66-1.74(m, 2H), 3.19(d, J=6.6Hz, 2H), 3.35(t, J=7.6Hz, 2H), 5.95(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 288(M)
【0110】
実施例6
【化12】

(1)2,5−ジブロモチオフェン−3−カルバルデヒド
3−チオフェンカルボキシアルデヒド(5.20g,46.4mmol)と酢酸(40mL)を加え、臭素(5.3mL,2.2eq)を滴下後、室温で2時間攪拌した。さらに、65℃で2時間反応した後、室温まで冷却し、得られた反応混合物を水に注いで、t−ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄して、MgSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)により精製し、表題化合物(7.33g,59%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):7.32(s, 1H), 9.77(s, 1H)
【0111】
(2)2,5−ジブロモチオフェン−3−カルボニトリル
2,5−ジブロモチオフェン−3−カルバルデヒド(1.03g,3.82mmol)をNMP(6mL)に溶解し、硫酸ヒドロキシルアンモニウム(0.627g,1eq)を添加して、100℃で2時間加熱した。冷却後、NaHCO水溶液を注入して、t−ブチルメチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。次いで、溶媒を減圧濃縮して得られた残渣(1.09g,3.82mmol)をトルエン(30mL)に溶解し、塩化チオニル(0.552mL,2eq)を滴下後、100℃で20分間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水を注入して暫く攪拌した後、NaHCOを添加して中和した。分液後、有機層を飽和食塩水で洗浄して、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して得られた溶媒を減圧留去することにより、粗製の表題化合物(0.991g,97%)を結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):7.11(s, 1H)
GC/MS:m/z 265(M), 267(M+2), 269(M+4)
【0112】
(3)2−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−3−カルボニトリル
2,5−ジブロモチオフェン−3−カルボニトリル()(0.991g,3.71mmol)、N−シクロプロピルメチル−N−プロピルアミン(0.840g,2eq)、トリエチルアミン(3.12mL,3eq)及び水(12mL)を加え、100℃で3時間攪拌した。さらに、N−シクロプロピルメチル−N−プロピルアミン(1.19g,2.8eq)を追加して、125℃で30.5時間加熱した。冷却後、反応混合物を水に注いで、t−ブチルメチルエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧留去して得た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)により精製し、表題化合物(0.39g,35%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.28-0.31(m, 2H), 0.59-0.65(m, 2H), 0.95(t, J= 7.5 Hz, 3H), 1.09-1.14(m, 1H), 1.69-1.76(m, 2H), 3.32(d, J= 6.6Hz, 2H), 3.46-3.51(m, 2H), 6.73(s,1H)
MS(ESI):m/z 299(MH), 301(MH+2)
【0113】
実施例7
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルボニトリル
【化13】

2−ブロモ−5−[(2−シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−3−カルボニトリル(0.366g,1.22mmol)、フルオロスルホニル(ジフルオロ)酢酸メチル(0.703g,3.0eq)、ヨウ化銅(I)(50mg,20mol%)及びDMF(5.0mL)を加え、120℃で3.5時間加熱した。冷却後、反応混合物を水に注いで、t−ブチルメチルエーテルで分液した、有機層を水洗し、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=95/5)により精製し、表題化合物(0.196g,55.7%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.32-0.35(m, 2H), 0.63-0.69(m, 2H), 0.98(t, J=7.4Hz, 3H), 1.11-1.18(m, 1H) 1.71-1.83(m, 2H), 3.39-3.42(m, 2H), 3.55-3.61(m, 2H), 7.16(s, 1H)
MS(ESI):m/z 289(MH)
【0114】
実施例8
3−ブロモ−5−(ピロリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化14】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりにピロリジンを用い、実施例1及び実施例2の方法にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ2.09-2.11(m, 4H), 3.27-3.32(m, 4H), 5.67(s, 1H)
MS(ESI):m/z 257(MH), 259(MH+2)
【0115】
実施例9
3−ブロモ−5−(2−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化15】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりに2−メチルピペリジンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.20(d, J=6.9Hz, 3H), 1.58-1.82(m, 6H), 3.03-3.12(m, 1H), 3.27-3.33(m, 1H), 3.84-3.88(m, 1H), 5.86(s, 1H)
MS(ESI):m/z 285(MH), 287(MH+2)
【0116】
実施例10
3−ブロモ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化16】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりにピペリジンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.58-1.74(m, 6H), 3.20-3.24(m, 4H), 5.91(s, 1H)
MS(ESI):m/z 271(MH), 273(MH+2)
【0117】
実施例11
3−ブロモ−5−(3,5−ジメチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化17】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりに3,5−ジメチルピペリジンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.70-0.85(m, 1H), 0.94(s, 3H), 0.96(s, 3H), 1.76-1.86(m, 3H), 2.46(t, J=12.3Hz, 2H), 3.41-3.46(m, 2H), 5.92(s, 1H)
MS(ESI):m/z 299(MH), 301(MH+2)
【0118】
実施例12
3−ブロモ−5−(4−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化18】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりに4−メチルピペリジンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.95(d, J=7.0Hz, 3H), 1.30-1.77(m, 5H), 2.90-2.99(m, 2H), 3.48-3.54(m, 2H), 5.91(d, J=4.8Hz, 1H)
MS(ESI):m/z 285(MH), 287(MH+2)
【0119】
実施例13
3−ブロモ−5−[(メチル)(2−メチルプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化19】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりにN−メチル−N−イソブチルアミンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.93(s, 3H), 0.95( s, 3H), 2.03-2.13(m, 1H), 3.00(s, 3H), 3.08(d, J=7.5 Hz, 2H), 5.73(s, 1H)
MS(ESI):m/z 273(MH), 275(MH+2)
【0120】
実施例14
3−ブロモ−5−(ジプロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル
【化20】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりにN,N−ジプロピルアミンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.94(t, J=7.5Hz, 6H), 1.56-1.72(m, 4H), 3.21(t, J=7.5Hz, 4H), 5.71(s, 1H)
MS(ESI):m/z 287(MH), 289(MH+2)
【0121】
実施例15
3−ブロモ−5−(ジアリルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル
【化21】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりにN,N−ジアリルアミンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ3.88-3.91(m, 4H), 5.20-5.31(m, 4H), 5.71-5.84(m, 3H)
MS(ESI):m/z 283(MH), 285(MH+2)
【0122】
実施例16
5−[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]−3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル
【化22】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりにビス(2−メトキシエチル)アミンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ3.35(s, 6H), 3.35-3.60(m, 8H), 5.82(s, 1H)
MS(ESI):m/z 319(MH), 321(MH+2)
【0123】
実施例17
3−ブロモ−5−(2−エチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化23】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりに2−エチルピペリジンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.95(t, J=7.5Hz, 3H), 1.56-1.78(m, 8H), 3.07-3.15(m, 1H), 3.31-3.37(m, 1H), 3.49-3.53(m, 1H), 5.82(s, 1H)
MS(ESI):m/z 299(MH), 301(MH+2)
【0124】
実施例18
3−ブロモ−5−(2−プロピルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化24】

N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアミンの代わりに2−プロピルピペリジンを用い、実施例1及び実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.92-0.99(m, 3H), 1.24-1.73(m, 10H), 3.07-3.17(m, 1H), 3.32-3.35(m, 1H), 3.56-3.62(m, 1H), 5.82(s, 1H)
MS(ESI):m/z 313(MH), 315(MH+2)
【0125】
実施例19
【化25】

(1)3−ブロモ−5−(プロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル
3,5−ジブロモチオフェン−2−カルボニトリル(4.93g,18.3mmoL)、n−プロピルアミン(12mL)をステンレス製オートクレーブに加え、85〜95℃で6時間加熱した。室温まで冷却後、水を注入して、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。次いで、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=85/15)により精製後、得られた結晶をヘキサン−t−ブチルメチルエーテル混合溶液(5/2,v/v)で洗浄することにより、表題化合物(1.78g,30%)を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):0.98-1.02(m, 3H), 1.62-1.74(m, 2H), 3.08-3.15(m, 2H), 4.69(brs, 1H), 5.89(s, 1H)
MS(ESI): 245(MH), 247(MH+2)
【0126】
(2)N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルアセタミド
3−ブロモ−5−(プロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル(0.173g,0.706mmoL)、トリエチルアミン(0.329g,4.6eq)及び無水THF(3mL)を加え、氷冷下でアセチルクロリド(0.417g,7.5eq)を滴下した。室温で18時間攪拌後、飽和NaHCO水溶液、酢酸エチルを加えて、さらに30分間攪拌した。次いで、有機層を分液し、5%塩酸、飽和食塩水で順次洗浄後、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた結晶性残渣を、t−ブチルメチルエーテルで洗浄することにより、表題化合物(0.134g,66%)を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.00-1.07(m, 3H), 1.77-1.84(m, 2H), 2.41(s, 3H), 3.81(t, J=7.8Hz,2H), 6.50(s, 1H)
MS(ESI):m/z 287(MH), 289(MH+2)
【0127】
実施例20
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパナミド
【化26】

アセチルクロリドの代わりにプロパノイルクロリドを用い、実施例19にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.04(t, J=7.5Hz, 3H), 1.26(t, J=7.2Hz, 3H), 1.75-1.82(m, 2H), 2.62(m, 2H), 3.80(t, J=8.1Hz,2H), 6.50(s,1H)
MS(ESI):m/z 301(MH), 303(MH+2)
【0128】
実施例21
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルブタナミド
【化27】

アセチルクロリドの代わりにブタノイルクロリドを用い、実施例19にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.100-1.07(m, 6H), 1.72-1.84(m, 4H), 2.62(m, 2H), 3.80(t, J=8.1 Hz, 2H), 6.50(s, 1H)
MS(ESI):m/z 315(MH), 317(MH+2)
【0129】
実施例22
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−2−メチル−N−プロピルプロパナミド
【化28】

アセチルクロリドの代わりに2−メチルプロパノイルクロリドを用い、実施例19にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.04(t, J=7.5Hz, 3H), 1.24(s, 3H), 1.26(s, 3H), 1.76-1.84(m, 2H), 2.59-3.10(m, 1H), 3.84(t, J=7.8Hz, 2H), 6.53(s, 1H)
MS(ESI):m/z 315(MH), 317(MH+2)
【0130】
実施例23
3−ブロモ−5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化29】

3−ブロモ−5−(プロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル(150mg,0.65mmol)とTFA(5.0mL)を加え、氷冷下で水素化ホウ素ナトリウム(490mg,20eq)を添加した。室温で3時間攪拌後、反応混合物を減圧濃縮し、飽和NaHCO水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機層を飽和食塩水で洗浄後、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、表題化合物(115mg,58%)を無色油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.72-1.00(m, 5H), 1.65-1.79(m, 2H), 3.36(t, J=8.4Hz, 2H), 4.12(q, J=7.3Hz,2H), 5.95(s, 1H)
MS(ESI):m/z 327(MH), 329(MH+2)
【0131】
実施例24
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシンエチルエステル
【化30】

3−ブロモ−5−(プロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル(1.43g,5.83mmol)を無水THF(56mL)に溶解し、氷冷下で60%NaH(0.280g,1.2eq)を添加して30分間攪拌した。次いで、ブロモ酢酸エチル(0.774mL,1.2eq)を加えて、室温まで自然昇温しながら2時間攪拌した。反応混合物を水に注いで、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧濃縮することにより、粗製の表題化合物(2.02g,100%)を結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.97(t, J=7.7Hz, 3H), 1.23(t, J=3.7Hz, 3H), 1.62-1.73(m, 2H), 3.31(t, J=7.6Hz, 2H), 3.99(s, 2H), 4.23(q, J=7.3Hz, 2H), 5.77(s, 1H)
MS(ESI):m/z 331(MH), 333(MH+2)
【0132】
実施例25
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−メチル−N2−プロピルグリシンアミド
【化31】

N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシンエチルエステル(100mg,0.30mmol)をエタノール(5.0mL)に溶解した。次いで、40%メチルアミン水溶液(1mL)を加えて、室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、表題化合物(70mg,74%)を白色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.97(t, J=7.3Hz, 3H), 1.64-1.77(m, 2H), 2.85(d, J=4.6Hz, 3H), 3.31(t, J=7.8Hz, 2H), 3.90(s, 2H), 5.83(s, 1H), 6.13(br.s, 1H)
MS(ESI):m/z 316(MH), 318(MH+2)
【0133】
実施例26
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシン
【化32】

N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシンエチルエステル(2.02g,6.10mmol)とメタノール(6.5mL)を加え、1N NaOH(6.5mL,1.1eq)を滴下して室温で1時間攪拌した。反応混合物を水に注いで、水層をt−ブチルメチルエーテルで洗浄し、次いで、水層を塩酸で酸性(pH=約1)に調整し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧濃縮することにより、粗製の表題化合物(1.34g,72%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.97(t, J=7.4Hz, 3H), 1.63-1.77(m, 2H), 3.31(t, J=7.6Hz, 2H), 4.1(s, 2H), 5.79(s, 1H)
MS(ESI):m/z 303(MH), 305(MH+2)
【0134】
実施例27
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N2−プロピルグリシンアミド
【化33】

N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシン(0.716g,2.36mmol)をトルエン(14mL)に懸濁し、塩化チオニル(1.4mL,8.2eq)を添加して、80〜85℃で30分間加熱した。冷却後、反応混合物を減圧濃縮して得られた残渣をトルエン(4mL)に溶解し、氷冷下で激しく攪拌しながら、25%アンモニア水(14mL)を滴下した。室温で20分間攪拌した後、反応混合物を水に注入して、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をt−ブチルメチルエーテルから再結晶することにより、表題化合物(0.570g,80%)を淡黄色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.98(t, J=7.5Hz, 3H), 1.66-1.78(m, 2H), 3.31-3.36(m, 2H), 3.92(s, 2H), 5.60(br.s, 1H), 5.86(s, 1H), 5.93(br.s, 1H)
MS(ESI):m/z 302(MH), 304(MH+2)
【0135】
実施例28
3−ブロモ−5−[(シアノメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化34】

N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N2−プロピルグリシンアミド(0.270g,0.893mmol)を無水酢酸(25mL)に溶解し、135〜140℃で4時間加熱した。冷却後、反応混合物を水に注いで、NaCOで中和した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=65/35)により精製し、表題化合物(0.128g,50%)を淡黄色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.00(t, J=7.5Hz, 3H), 1.70-1.82(m, 2H), 3.34(t, J=7.5Hz, 2H), 4.16(s, 2H), 6.02(s, 1H)
MS(ESI):m/z 284(MH), 286(MH+2)
【0136】
実施例29
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N,N−ジメチル−N2−プロピルグリシンアミド
【化35】

N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシン(0.300g,0.990mmol)をトルエン(6mL)に懸濁し、塩化チオニル(0.6mL,8.4eq)を添加して、80〜85℃で30分間加熱した。冷却後、反応混合物を減圧濃縮して得られた残渣をトルエン(1mL)に溶解し、氷冷下で激しく攪拌しながら、40%ジメチルアミン水溶液(4mL)を添加した。室温で30分間攪拌した後、反応混合物を水に注入して酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をt−ブチルメチルエーテルから再結晶することにより、表題化合物(0.279g,85%)を淡黄色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.95(t, J=7.5Hz, 3H), 1.62-1.72(m, 2H), 2.99(s, 3H), 3.04(s, 3H), 3.31(t, J=7.5Hz, 2H), 4.06(s, 2H), 5.74(s, 1H)
MS(ESI):m/z 330(MH), 332(MH+2)
【0137】
実施例30
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化36】

3,5−ジブロモチオフェン−2−カルボニトリル(3.22g,11.9mmol)、2−(アミノメチル)−1,3−ジオキソラン(1.86g,1.5eq)、NaHCO(2.95g,2.9eq)及びNMP(3.5mL)を加え、120℃で4.5時間加熱した。冷却後、反応混合物を水に注ぎ、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製し、表題化合物(0.626g,19%)を橙色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ3.36(q, J=3.3Hz, 2H), 3.91-4.07(m, 4H), 4.86(br.s,1H), 5.08(t, J=3.3Hz, 1H), 5.97(s, 1H)
MS(ESI):m/z 289(MH), 291(MH+2)
【0138】
実施例31
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化37】

3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル(0.517g,1.79mmoL)をDMF(10mL)に溶解して、氷冷下で60%NaH(0.108g,1.5eq)を添加して、室温で1時間攪拌した。次いで、ヨウ化プロピル(1.75g,5.8eq)を滴下し、室温で1時間攪拌後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製し、表題化合物(0.515g,87%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.94(t, J=7.5Hz, 3H), 1.59-1.74(m, 2H), 3.29-3.34(m, 2H), 3.45(d, J=3.6Hz, 2H), 3.86-4.03(m, 4H), 5.04(t, J=3.6Hz, 1H), 5.86(s, 1H)
MS(ESI):m/z 331(MH), 333(MH+2)
【0139】
実施例32
3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化38】

3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル(0.443g,1.34mmol)及びメタノール(20mL)を加え、5N HCl(10mL)を添加して、50〜55℃で1.5時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却後、10%NaCO水溶液で中和して、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製し、表題化合物(0.220g,57%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.97(t, J=7.5Hz, 3H), 1.62-1.75(m, 2H), 3.33(t, J=7.5Hz, 2H), 4.07(s, 2H), 5.73(s, 1H), 9.67(s, 1H)
MS(ESI):m/z 287(MH), 289(MH+2)
【0140】
実施例33
3−ブロモ−5−[プロピル(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化39】

3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル(0.0946g,0.329mmol)を無水THF(10mL)に溶解し、フッ化セシウム(0.269g,5.4eq)を添加して、ドライアイス/アセトンで−78℃まで冷却した。次いで、TMSCF(80uL,1.6eq)を加え、反応温度を室温まで自然昇温しながら3時間攪拌した。反応混合物にエタノール(2mL)を加えて、室温で30分間攪拌し、水を注入して、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/2)により精製し、表題化合物(0.0869g,74%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.93-1.06(m, 3H), 1.62-1.77(m, 2.6H), 3.09-3.65(m, 4.4H), 4.36&4.73(2brs, 1H), 5.80&5.89(2s, 1H)
MS(ESI):m/z 357(MH), 359(MH+2)
【0141】
実施例34
3−ブロモ−5−[(2−ヒドロキシプロピル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル
【化40】

3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル(0.0925g,0.322mmol)を無水THF(4mL)に溶解し、氷冷下で3M MeMgBr(0.661mL,6.1eq)を滴下した後、室温で2時間攪拌した。次いで、反応混合物に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、表題化合物(0.0232g,24%)を油状物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.94(t, J=7.5Hz, 3H), 1.24(d, J=6.3Hz, 3H), 1.60-1.75(m, 2H), 1.87(d, J=3.9Hz, 1H), 3.19-3.32(m, 4H), 4.13-4.18(m, 1H), 5.79(s, 1H)
MS(ESI):m/z 303(MH), 305(MH+2)
【0142】
実施例35
【化41】

(1)(±)−6−エチル−2−ピペリジノン
反応器に3.0M臭化エチルマグネシウム/ジエチルエーテル溶液(50mL,150mmol)を加え、ドライアイス/アセトンで−78℃に冷却し、グルタルイミド(5.0g,44mmol)のジクロロメタン溶液(200mL)を滴下した。反応温度を室温まで徐々に上げた後、室温でさらに一夜攪拌した。反応混合物にシアノ水素化ホウ素ナトリウム(3.32g,1.2eq)を加えた後、pH3〜4を保つように6N塩酸をゆっくりと添加した。5時間攪拌した後、10%水酸化ナトリウム溶液で中和して分液し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/メタノール=9/1)により精製し、表題化合物(3.63g,65%)を無色結晶として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.94(t, J=7.5Hz, 3H), 1.27-1.40(m, 1H), 1.49-1.57(m, 2H), 1.62-1.71(m, 1H), 1.86-1.95(m, 2H), 2.28-2.38(m, 2H), 3.28-3.31(m, 1H), 6.26(brs, 1H)
【0143】
(2)2−(3−ブロモ−5−ヨードチオフェン−2−イル)−1,3−ジオキソラン
3,5−ジブロモチオフェン−2−カルバルデヒド(10.5g,38.9mmol)、エチレングリコール(22mL,10eq)、p−トルエンスルホン酸一水和物(74mg、触媒量)及びトルエン(150mL)を加え、1時間還流加熱した。冷却後、飽和NaHCO水溶液、水で順次洗浄し、NaSOで乾燥後、濃縮して、粗製2−(3,5−ジブロモチオフェン−2−イル)−1,3−ジオキソラン(12.6g)を橙色液体として得た。
粗製2−(3,5−ジブロモチオフェン−2−イル)−1,3−ジオキソラン(4.71g,15mmol)とTHF(150mL)を加え、ドライアイス/アセトンで−78℃に冷却し、1.6M n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(9.6mL,1.0eq)を滴下した。約30分後、ヨウ素(4.2g,1.1eq)のTHF溶液(40mL)を滴下し、反応温度を室温まで徐々に上げた後、室温でさらに一夜攪拌した。反応混合物に5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=15/1)により精製し、表題化合物(3.68g,68%)を黄色液体として得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ4.02-4.15(m, 4H), 6.08(s, 1H),7.10(s, 1H)
【0144】
(3)3−ブロモ−5−(2−エチル−6−オキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
6−エチル−2−ピペリジノン(0.38g,2.99mmol)、ヨウ化銅(22mg,5mol%)、リン酸カリウム(1.05g,2.0eq)を加え、系内を窒素置換した。窒素気流下に2−(3−ブロモ−5−ヨードチオフェン−2−イル)−1,3−ジオキソラン(0.90g,2.49mmol)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(28μL、10mol%)とジオキサン(3mL)を加えて、80℃で28時間攪拌した。放冷後、反応混合物をクロロホルムで希釈し、セライトろ過後、減圧濃縮して橙色液体(1.30g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、アミド誘導体(0.33g)を位置異性体との混合物として得た。
【0145】
この粗製アミド体(0.33g)を80%酢酸(12mL)に加え、室温で1時間攪拌後、反応液を飽和NaHCO水溶液(150mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、濃縮して橙色粘性物(0.30g)を得た。これを硫酸ヒドロキシルアミン(93mg,1.2eq)と共に、NMP(4mL)中、110℃で1時間攪拌した。冷却後、1N水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ性(pH=約9)に調整し、酢酸エチルで抽出し、水洗し、乾燥した。次いで、減圧濃縮して得られた残留物と無水酢酸(3mL)を3時間還流加熱した。反応混合物を氷水に注ぎ、暫く攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、表題化合物(0.23g,29%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ1.03(t, J=7.5Hz, 3H), 1.66-1.75(m, 1H), 1.85-2.14(m, 5H), 2.64-2.73(m, 2H), 4.03-4.08(m, 1H), 6.48(s,1H)
GC-MS(EI):m/z 312(M), 314(M+2)
【0146】
実施例36
3−ブロモ−5−(2−エチル−6−チオオキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化42】

3−ブロモ−5−(2−エチル−6−オキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル(0.29g,0.93mmol)とローソン試薬(0.19g,0.5eq)及びジオキサン(7mL)を1.5時間還流加熱した。放冷後、濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製し、表題化合物(0.22g,71%)を黄色粉末として得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ0.97-1.03(m,3H), 1.72-2.12(m, 6H), 3.16-3.31(m, 2H), 4.14-4.20(m, 1H), 6.88(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 328(M), 330(M+2)
【0147】
実施例37
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパンチオアミド
【化43】

3−ブロモ−5−(2−エチル−6−オキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリルの代わりにN−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパナミドを用い、実施例36にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ0.97(t, J=7.2Hz, 3H), 1.30(t, J=6.9Hz, 3H), 1.74-1.81(m, 2H), 2.67(brs, 2H), 4.15(t, J=8.1Hz, 2H), 6.87(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 316(M), 318(M+2)
【0148】
実施例38
【化44】

(1)2−(t−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−ピペリジン
2−ピペリジンメタノール(4.6g,40mmol)とDMF(40mL)を加え、イミダゾール(6.0g,2.2eq)を添加した。次いで、t−ブチルジメチルシリルクロリド(6.6g,1.1eq)を加え、室温で一夜攪拌した。反応混合物にクロロホルム(100mL)を加え、飽和NaHCO水溶液、水で順次洗浄した。NaSOで乾燥後、減圧濃縮することにより、粗製の表題化合物(8.48g,92%)を黄色液体として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.05(s, 6H), 0.89(s, 9H), 1.02-1.14(m, 1H), 1.26-1.62(m, 4H), 1.76-1.81(m, 1H), 2.56-2.67(m, 2H), 3.06-3.11(m, 1H), 3.38-3.43(m, 1H),3.51-3.56(m, 1H)
【0149】
(2)3−ブロモ−5−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−ピペリジン−1−イル]−チオフェン−2−カルバルデヒド
3,5−ジブロモチオフェン−2−カルバルデヒド(11.5g,42.7mmol)、2−(t−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−ピペリジン(14.70g,1.5eq)、トリエチルアミン(18mL,3.0eq)及びDMF(90mL)を加え、110℃で50時間攪拌した。冷却後、反応混合物に酢酸エチル(400mL)と水(250mL)を加え、分液し、有機層を水洗し、NaSOで乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)により精製し、表題化合物(7.27g)を位置異性体混合物として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ0.01(s, 6H), 0.82(s, 9H), 1.61-1.91(m, 6H), 3.10-3.19(m, 1H), 3.46-3.50(m, 1H), 3.72-3.75(m, 2H), 3.81-3.87(m, 1H), 6.02(s,1H), 9.56(s, 1H)
【0150】
(3)3−ブロモ−5−[2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル
3−ブロモ−5−[(シクロプロピル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒドの代わりに3−ブロモ−5−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)−ピペリジン−1−イル]−チオフェン−2−カルバルデヒドを用い、実施例2にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, DMSO-d6):δ1.44-1.85(m, 6H), 3.09-3.18(m, 1H), 3.42-3.69(m, 4H), 4.85(t, J=5.4Hz, 1H), 6.28(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 300(M), 301(M+2)
【0151】
実施例39
3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル
【化45】

3−ブロモ−5−[2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル(0.39g,1.30mmol)、酸化亜鉛(0.53g,5.0eq)及びジクロロメタン(80mL)を氷水で冷却し、N−t−ブチルベンゼンスルフィンイミドクロリド(0.42g,1.5eq)のジクロロメタン溶液(8mL)を滴下し、2時間攪拌した。水(10mL)を加えた後、セライトろ過し、水とクロロホルムでセライト層を洗浄した。ろ液を分液し、有機層を水洗し、NaSOで乾燥し、濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、表題化合物(0.19g,50%)をクリーム色粉末として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.26-1.31(m, 1H), 1.62-1.95(m, 4H), 2.32-2.37(m, 1H), 3.26(dt, J=3.3Hz, 12.3Hz, 1H), 3.47-3.53(m, 1H), 4.23(d, J=5.1Hz, 1H), 5.91(s, 1H), 9.66(s, 1H)
MS(ESI):m/z 299(MH), 301(MH+2)
【0152】
実施例40
3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル
【化46】

3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリルの代わりに3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリルを用い、実施例33にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.60-2.20(m, 6H), 3.27-3.52(m, 2H), 3.87-3.92(m, 1H), 4.33-4.43(m, 1H), 5.88&6.00(2s, 1H)
MS(ESI):m/z 369(MH), 371(MH+2)
【0153】
実施例41
3−ブロモ−5−[2−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル
【化47】

3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリルの代わりに3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリルを用い、実施例34にしたがって表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.23&1.28(2d, J=6.3Hz, 3H), 1.64-2.14(m, 7H), 3.17-3.49(m, 3H), 4.21-4.27(m, 1H), 5.86&5.98(2s, 1H)
MS(ESI):m/z 315(MH), 317(MH+2)
【0154】
実施例42
3−ブロモ−5−{[2−(ヒドロキシイミノ)エチル](プロピル)アミノ}チオフェン−2−カルボニトリル
【化48】

3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル(30mg,1.0mmol)のエタノール溶液(2mL)に硫酸ヒドロキシルアミン(8mg,1.0eq)と酢酸ナトリウム三水和物(23mg,1.7eq)の水溶液(1mL)を加え、2時間還流加熱した。冷却後、反応液を濃縮し、残留物に酢酸エチルを加えて抽出し、水洗し、乾燥し、濃縮して、表題化合物(25mg,80%)を黄褐色固体として得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.59-2.11(m, 6H), 3.22-3.27(m, 1H), 3.38-3.49(m, 1H), 4.35-4.39(m, 0.65H), 4.90-4.94(m, 0.35H), 5.95(s, 1H), 6.80(d, J=6.3Hz, 0.35H), 7.43(d, J=4.8Hz, 0.65H)
MS(ESI):m/z 314(MH), 316(MH+2)
【0155】
実施例43
【化49】

(1)5−[2−(アセトキシメチル)ピペリジン−1−イル]−3−ブロモチオフェン−2−カルバルデヒド
3−ブロモ−5−[2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシメチル)ピペリジン−1−イル]−チオフェン−2−カルバルデヒド(3.02g,7.22mmol)とジオキサン(18mL)を加え、氷水で冷却後、4M塩化水素/1,4−ジオキサン溶液(14mL)を加え、1時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液で中和後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗し、NaSOで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により精製し、3−ブロモ−5−[2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]−チオフェン−2−カルバルデヒド(1.93g,6.34mmol)を得た。
【0156】
得られた化合物の全量と無水酢酸(10mL)を反応器に加え、ピリジン(0.54mL)を加えた後、室温で一夜攪拌した。反応混合物を氷水(100mL)に注ぎ、暫く攪拌後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液、水で順次洗浄し、NaSOで乾燥した。減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、表題化合物(1.53g, 73%)を橙色粘性物として得た。
1H-NMR(300MHz,CDCl3):δ1.59-1.82(m, 6H), 1.97(s, 3H), 3.19-3.29(m, 1H), 3.50-3.54(m, 1H), 4.08-4.19(m, 2H), 4.43-4.49(m, 1H),6.08(s, 1H), 9.61(s, 1H)
【0157】
(2)5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]−3−トリフルオロメチル−チオフェン−2−カルボニトリル
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒドの代わりに5−[2−(アセトキシメチル)ピペリジン−1−イル]−3−ブロモチオフェン−2−カルバルデヒドを用い、実施例4にしたがって5−[2−(アセトキシメチル)ピペリジン−1−イル]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルバルデヒドを得た。次いで、実施例2、実施例39及び実施例33にしたがって反応を行い、表題化合物を得た。
1H-NMR(300MHz, CDCl3):δ1.64-1.90(m, 6H), 2.85(brs, 1H), 3.26-3.53(m, 2H), 3.92-3.98(m, 1H), 4.35-4.44(m,1H), 6.06&6.16(2s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 358(M)
【0158】
実施例44
3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリルの光学分割
実施例40にしたがって得た、ラセミ化合物である3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリルについて、ジアステレオマー分離をODSカラムで行った。次いで、それぞれのエナンチオマーをキラルカラムで分取することにより、4種類の光学異性体を得た。
【0159】
3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル(77.1mg,0.209mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解してHPLC分取(カラム:YMC ODS−AM 2cmx25cm,溶出溶媒:水/アセトニトリル=1/1 v/v,流速:15mL/min,注入量:500〜800uL)に付し、ジアステレオマー異性体[A成分(t=25.7min):44.6mg,57.8%,B成分(t=26.9min):24.1mg,31.3%)]を得た。
次いで、A,B成分のそれぞれの光学異性体についてキラルカラムを用いて、HPLC分取(カラム:CHIRALPAK IA 2cmx25cm,溶出溶媒:ヘキサン/IPA=95/5 v/v,流速:15mL/min)に付し、成分Aから成分A−1(t=13.5min)と成分A−2(t=14.9min)、並びに成分Bから成分B−1(t=15.2min)と成分B−2(t=22.5min)の4種の光学異性体を得た。
【0160】
成分A−1:結晶(20.5mg,26.6%,m.p.122−123℃)
成分A−2:結晶(20.7mg,26.8%,m.p.104−106℃)
成分B−1:アモルファス(9.60mg,12.5%)
成分B−2:アモルファス(9.20mg,11.9%)
【0161】
ジアステレオマー(成分A)
1H-NMR(300MHz, CD3OD):δ1.45-1.78(m, 5H), 2.06(d, 1H, J=13.2Hz), 3.20-3.45(m, 3H), 3.75-3.78(m, 1H), 4.31-4.41(m, 1H), 5.99(s, 1H)
MS(ESI):m/z 369(MH), 371(MH+2)
ジアステレオマー(成分B)
1H-NMR(300MHz, CD3OD):δ1.52-1.76(m, 6H), 3.20-3.29(m, 2H), 3.41-3.47(m, 1H), 3.82-3.86(m, 1H), 4.31-4.41(m, 1H), 5.99(s, 1H)
MS(ESI):m/z 369(MH), 371(MH+2)
【0162】
実施例45
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−トリフルオロメチルチオフェン−2−カルボニトリル
【化50】

実施例23にしたがって得た、3−ブロモ−5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル(50mg,0.15mmol)とDMF(2mL)を反応器に仕込み、フルオロスルホニルジフルオロ酢酸メチル(147mg,5.0eq)、ヨウ化銅(29mg,1.0eq)を加え、110〜120℃で5時間加熱した。冷却後、反応混合物に水を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、NaSOで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=94/6)により精製し、表題化合物(28mg,58%)を淡黄色油状物として得た。
1H-NMR(270MHz, CDCl3):δ0.98(t, J=8.1Hz, 3H), 1.67-1.81(m, 2H), 3.38(t, J=8.1Hz, 2H), 3.82-3.92(m, 2H), 6.11(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 302(M)
【0163】
実施例46
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−メチルチオフェン−2−カルボニトリル
【化51】

実施例23にしたがって得た、3−ブロモ−5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル(82mg,0.25mmol)とDMA(1.5mL)を反応器に仕込み、窒素雰囲気下でMeSn(90mg,2.0eq)とPdCl(PPh(9mg,5mol%)を加えて、75〜80℃で7時間攪拌した。冷却後、反応混合物に飽和NHCl水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、表題化合物(30mg,46%)を無色油状物として得た。
1H-NMR(270MHz, CDCl3):δ0.95(t, J=7.4Hz, 3H), 1.61-1.80(m, 2H), 2.30(s, 3H), 3.32(t, J=7.8Hz, 2H), 3.82(q, J=8.6Hz, 2H), 5.80(s, 1H)
GC-MS(EI):m/z 263(M)
【0164】
実施例47
5−(2−シアノピペリジン−1−イル)−3−ブロモ−チオフェン−2−カルボニトリル
【化52】

実施例39にしたがって得た、3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル(90mg,0.30mmol)とNMP(5mL)を反応器に仕込み、硫酸ヒドロキシルアンモニウム(60mg,1.2eq)を加えて、室温で1時間攪拌し、次いで、無水酢酸(0.1mL, 3.6mmol)を加えて100℃で1時間攪拌した。冷却後、反応混合物に飽和NaHCO水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、MgSOで乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)により精製し、表題化合物(64mg,72%)を白色粉末として得た。
1H-NMR(270MHz, CDCl3):δ1.26-2.36(m, 6H), 3.09-3.15(m, 1H), 3.41-3.47(m, 1H), 4.53(br.s, 1H), 6.16(s, 1H)
MS(ESI):m/z 296(MH), 298(MH+2)
【0165】
本発明の化合物は、アンドロゲン受容体のモジュレーターであるか又はそうであると考えられる。これら化合物のアンドロゲン受容体を介する活性については、以下のin vitroアッセイを用いて測定した。
【0166】
参考例1
応答性レポーター遺伝子と選抜マーカー遺伝子とを含むプラスミドの作製
ラットプロバシン遺伝子プロモーターのARE配列にSac Iのリンカー配列を連結した配列番号6で示される配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号7で示されるその相補配列を有するオリゴヌクレオチド
(5’-CTAGTAAAGTACTCCAAGAACCTATTTGAGCT-3’および
5’-CAAATAGGTTCTTGGAGTACTTTACTAGAGCT-3’)をそれぞれ合成し、それぞれのオリゴヌクレオチドの末端をT4ポリヌクレオチドカイネースでリン酸化した。リン酸化したオリゴヌクレオチドを混和し80℃、10分保温したのち、除冷して2本鎖DNAを作製した。得られたDNAをフェノール・クロロホルム・イソアミルアルコール(PCI)で精製した後、一部をライゲーションキット(宝酒造社製)で反応し、3% Nusive GTGアガロースを用いた電気泳動に供した。分子量マーカーとの比較で、上記オリゴヌクレオチドの配列を2〜4回繰り返した配列を持つ反応産物のバンド部分のDNAをゲルから回収した。得られたDNAを(2-4)×ARE DNAと呼ぶ。
【0167】
マウスメタロチオネインI遺伝子のTATA box近傍の塩基配列とリーダー配列(Genbank Accession No.J00605)に由来する塩基配列からなる配列番号8及び9で示される2本のオリゴヌクレオチド
(5’-GATCTCGACTATAAAGAGGGCAGGCTGTCCTCTAAGCGTCACCACGACTTCA-3’および
5’-AGCTTGAAGTCGTGGTGACGCTTAGAGGACAGCCTGCCCTCTTTATAGTCGA-3’)をアニーリングさせて2本鎖DNAとし、これにT4ポリヌクレオチドカイネースを作用させてその両末端をリン酸化した(以下、該DNAをTATA DNAと記す。)。一方、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を含むプラスミドpGL3(プロメガ社製)を制限酵素Bgl IIおよびHind IIIで消化した後、これにBacterial alkaline phosphatase(BAP)を加えて65℃で1時間保温した。次いで、該保温液を低融点アガロース(AgaroseL;ニッポンジーン社製)を用いた電気泳動に供し、pGL3由来のルシフェラーゼ遺伝子を含むBgl II-Hind III断片のDNAを回収した。該DNA約100ngと、前記のTATA DNA 1μgとを混合し、T4リガーゼで結合させることによりプラスミドpGL3−TATAを作製した。
【0168】
次に、pGL3-TATAを制限酵素Sac Iで消化した後、BAPを加えて65℃で1時間保温した。該保温液を低融点アガロースゲル電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。該DNA約100ngと、上記(2-4)×ARE DNA約1μgとを混合してT4リガーゼを反応させた後、該反応液中のDNAをDH5αコンピテントセル(TOYOBO社製)へ導入した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれの保有するプラスミドのDNAを調製し、これらを制限酵素Kpn IおよびBgl IIで消化して該消化液をアガロースゲル電気泳動で分析した。pGL3-TATAのSac I部位にARE DNAが3コピー導入された構造を有するプラスミドをpGL3-TATA-3×AREと名付けた。
【0169】
参考例2
アンドロゲン受容体発現プラスミドの作製
ヒト由来の標準型アンドロゲン受容体のアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するcDNAを取得するために、配列番号1で示される塩基配列からなるフォワードプライマー及び配列番号2で示される塩基配列からなるリバースプライマーをDNA合成機(アプライドバイオシステムズ社製モデル394)を用いて合成した。
【0170】
ヒトProstate cDNA 10ng(クロンテック社製クイッククローンcDNA no.7123-1)を鋳型にし、上記プライマーをそれぞれ10pmol、LA-Taqポリメラーゼ(宝酒造社製)及び該酵素に添付されたバッファーを用いて、反応液量を50ulとした後PCRを行った。該PCRは、PCRsystem9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを35サイクルという条件で行った。
【0171】
PCR後、反応液全量を低融点アガロース(アガロースL:ニッポンジーン)を用いたアガロースゲル電気泳動に供した。エチジウムブロマイド染色により、既知の塩基配列から予想される大きさのDNAが増幅されていることを確認した後、該DNAを回収した。回収されたDNAの一部とダイターミネーターシークエンスキットFS(アプライドバイオシステムズ社製)とを用いてダイレクトシークエンス用のサンプルを調製し、これを、オートシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製、モデル3700)を用いた塩基配列解析に供した。その結果、回収されたDNAは、配列番号3で示されるアミノ酸配列をコードする塩基配列を有することが確認された。
【0172】
上記のようにして回収されたDNA約100 ngを鋳型にして、配列番号4で示される塩基配列を有するフォワードプライマー及び配列番号5で示される塩基配列を有するリバースプライマーを用いてPCRを行うことにより、コザックのコンセンサス配列の直後にヒト標準型アンドロゲンレセプターのアミノ酸配列をコードする塩基配列が連結されてなる構造を有するDNAをPCRにより増幅した。即ち、鋳型とするDNA 0.1ugを鋳型とし、上記プライマー各10 pmol 、LA-Taq ポリメラーゼ(宝酒造社製)及び該酵素に添付された反応バッファーを用いて、反応液量を50ulとした後にPCRを行った。該PCRは、PCRsystem9700(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、95℃1分間次いで68℃3分間の保温を1サイクルとしてこれを20サイクルという条件で行われた。PCR後、反応液全量を低融点アガロースゲルによる電気泳動法に供することにより分離回収した。回収されたDNAの約1 ugを、DNA bluntingキット(宝酒造社製)で処理してその末端を平滑化した後、これに次いでT4ポリヌクレオチドカイネースを反応させることにより、その末端をリン酸化した。得られたDNAをフェノール処理した後、さらにエタノール沈殿により精製した。精製されたDNAの全量を以下の発現プラスミド作製用のインサートDNAとして用いた。
【0173】
プラスミドpRc/RSV(Invitrogen社製)を制限酵素Hind IIIで消化した後、当該消化物にBAPを加えて65℃で1時間保温した。保温後の混合物をフェノール処理した後、さらにエタノール沈殿により精製した。精製されたDNAをBluntingキット(宝酒造社製)で処理してその末端を平滑化した後、これを低融点アガロース(ニッポンジーン社製;アガロースL)を用いた電気泳動に供し、バンド部分のゲルからDNAを回収した。回収されたDNA約100 ngと、上記インサートDNA全量とを混合し、これにT4リガーゼを添加して反応させた。得られた反応液を用いて大腸菌DH5αコンピテントセルを形質転換した。アンピシリン耐性を示した大腸菌のコロニー数個からそれぞれが保有するプラスミドのDNAを調製し、調製されたDNAの塩基配列をABIモデル3700型オートシークエンサーを用いてダイターミネーター法で決定した。決定された塩基配列と、前述のダイレクトシークエンスで得られた塩基配列とを比較して、翻訳領域の塩基配列が完全に一致していることが確認されたプラスミドを選択し、これをpRc/RSV-hARコザックと名づけた。
【0174】
試験例1
レポータージーンアッセイ法による被験物質のアンドロゲン受容体アゴニスト活性の測定
アンドロゲンアゴニスト活性を有する化合物を、アンドロゲン受容体活性発現調節能力の測定用細胞を用いてレポータージーンアッセイ法により同定した。
【0175】
ヒト由来のCHP212細胞に、ラットのプロバシン遺伝子プロモーターのARE配列を3回繰り返した3×ARE配列の下流にホタルルシフェラーゼ遺伝子が接続され、上流にTATA box配列を含む塩基配列を有するプラスミドpGL3-TATA-3×AREのDNA(参考例1参照)及びプラスミドpRC/RSV-hARコザックのDNA(参考例2参照)を導入して作製された安定形質転換細胞を、DMEM培地(ナカライテスク社製又は和光純薬製)にチャコールデキストラン処理済みFBSが終濃度10%となるよう加えられた培地を用いて、ルシフェラーゼ発光測定用兼培養用96穴プレート(コーニングコースター社製#3917)に約1×105細胞/穴ずつ播種した後、該細胞へDMSOに溶解させたDHT(即ち、アンドロゲンレセプターアゴニスト)を添加した。尚、DHTの終濃度が試験区毎に10倍ずつ高くなるように、また、全試験区の培養液中の最終DMSO量が0.1%に揃うように溶解液を調製し添加した。DHTが添加されていない系として、溶媒(DMSO)のみを加えた対照区を設けた。
これらの細胞を培養し、DHT添加から24時間後に培地を除き、ルシフェラーゼ発光試薬Steady-Gloを50uL添加した。10分間振とうした後、EnVision 2103 Multilabel Reader(パーキンエルマー社)にてルシフェラーゼ活性を測定した。アンドロゲン受容体活性調節能力の測定用細胞において、細胞に添加されたDHT濃度の増加に伴うルシフェラーゼ活性の上昇が認められた。
【0176】
上記方法と同様にして、DHTに代えて被験物質を各試験区に添加して試験することにより、アンドロゲン受容体に対する被験物質のアゴニスト活性の測定を実施した。結果を以下の表1に記載する。
【0177】
【表1】

【0178】
表1より、本発明の化合物は、アンドロゲン受容体に対し優れたアゴニスト活性を示すことがわかる。
【0179】
試験例2
本発明の化合物についてのS9代謝安定性試験(ヒト、ラット、マウス)
本発明の化合物について、S9代謝安定性試験(ヒト、ラット、マウス)を実施した。
【0180】
検量線試料及び内部標準(I.S.;レセルピン)添加ブランク試料の調製
MINISORP(75x12) NUNC-IMMUNO tubeを使用して、0.5uM I.S.添加反応停止液(500uL)と10mmo/L NADPH溶液(50uL)を混合した。次いで、S9混合液(445uL)と純水(5uL)を加えて、I.S.添加ブランク試料を調製した。同様にして、S9混合液(445uL)と100uM被験物質溶液(5uL)を加えて、検量線試料を調製した。
【0181】
代謝安定性測定試料の調製
MINISORP(75x12) NUNC-IMMUNO tubeにS9混合液を1068uL分注した。氷水中、100uM被験物質溶液(12uL)を加えて、プレインキュベーションを37℃で5分間行った。これを450uL分取して、0.5M I.S.添加反応停止液(500uL)と10mmol/L NADPH溶液(50uL)を加えて、未反応試料(反応時間;0min)とした。分取後の残量に、10mmol/L NADPH溶液(70uL)を加えて、インキュベーションを37℃で30分間行い、500uLを分取した後、0.5uM I.S.添加反応停止液(500uL)を加えて、反応試料(反応時間;30min)を調製した。
【0182】
前処理
各試料を遠心分離(2700rpm, 10min, r.t.)した後、予め、水/メタノール=1/1(v/v) 150uLを分注しておいた96穴ディープウェルプレート(1.1mL容)で、上清(150uL)を希釈した。次いで、マルチスクリーンソルビナート96穴プレート(親水性)の下に96穴ヌンクプレート(0.5mL容)を取り付けて、試料の上清(150uL)を添加した。遠心(1900rpm, 2min, r.t.)後、下記のHPLC運転条件にてLC/MS/MS分析を実施した。

HPLC運転条件
・高速液体クロマトグラフシステム: Ultra Performance LC システム(Waters Corp.)
・分析カラム : ACQUITY UPLC BEH C18 50mm L. x 2.1 mm I.D., 1.7um(Waters Corp.)
・カラム温度 : 40℃
・移動相 : A; H2O/MeCN/AcOH = 90/10/1(v/v/v)
B; H2O/MeCN/AcOH = 20/80/1(v/v/v)
・グラジエント


・流量 : 0.30mL/min
・Run Time : 3min
・オートサンプラー温度 : 設定温度4℃
【0183】
S9代謝安定性試験(ヒト、ラット、マウス)の測定結果を残存率(%)として、以下の表2に記載する。
【0184】
【表2】

【0185】
表2より、本発明の化合物は、優れた代謝安定性を示すことがわかる。特に、ヒトにおいて代謝安定性が優れている。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明の化合物(I)は、選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防に有用であり、さらに、代謝安定性に優れていることから、有用なアンドロゲン受容体アゴニスト及びそれらを有効成分とする医薬組成物として提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
は、式(II):
【化2】

{式中:
は−(Q)x−Rであり;
はアルキレンであり;
xは0又は1であり;
は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、又はアルコキシであり;
は−(Q)y−(Q)y−Rであり;
はアルキレンであり;
は−C(O)−、又はC(S)−であり;
は0又は1であり;
は0又は1であり;
は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、−N(R)(R)、又は−CH(R10)(R11)であり;
及びRはそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
10及びR11はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノであるか、又はR10とR11が一緒となってアルキレンジオキシを形成する(ただし、R10又はR11の一方がヒドロキシである場合に、他方がヒドロキシ及びアルコキシであることを除く)}
で示される基、又は式(III):
【化3】

{式中:
は置換されていてもよいメチレンであり;
nは1〜5であり;
12及びR13はそれぞれ独立して−(Q)z−R16であるか、或いはそれらが結合する炭素原子と一緒になって=O、又は=Sを形成し;
はアルキレンであり;
zは0又は1であり;
16は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ホルミル、−CH=N−R17、−N(R18)(R19)、又は−CH(R20)(R21)であり;
17は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はヒドロキシであり;
18及びR19はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
20及びR21はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、又はシアノであり(ただし、R20又はR21の一方がヒドロキシである場合に、他方がヒドロキシ及びアルコキシであることを除く);
14及びR15はそれぞれ独立して−(Q)w−R22であり;
はアルキレンであり;
wは0又は1であり;
22は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ホルミル、−CH=N−R23、−N(R24)(R25)、又は−CH(R26)(R27)であり;
23は水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、又はヒドロキシであり;
24及びR25はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
26及びR27はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、又はシアノである(ただし、R26又はR27の一方がヒドロキシである場合に、他方がヒドロキシ及びアルコキシであることを除く)}
で示される基であり;
は、シアノ、ホルミル、ニトロ、ハロゲン、又はハロアルキルであり;
は、シアノ、ニトロ、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシである]
の化合物又はその塩、溶媒和物、若しくは生理的に機能的な誘導体、
ただし、以下の化合物:
3−メチル−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン;
3−エチル−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン;
2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(n−プロピル)チオフェン;
2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)−3−(i−プロピル)チオフェン;
3−(t−ブチル)−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン;
3−(n−ヘキシル)−2−ニトロ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェンを除くものとする。
【請求項2】
アルキルがC1−C6アルキルであり、アルケニルがC2−C6アルケニルであり、アルキニルがC2−C6アルキニルであり、ハロアルキルがC1−C6ハロアルキルであり、シクロアルキルがC3−C6シクロアルキルであり、アルキレンがC1−C6アルキレンであり、アルコキシがC1−C6アルコキシである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
アルキレンがC1−C2アルキレンであり、ハロアルキルがトリフルオロメチルであり、シクロアルキルがシクロプロピルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
がシアノ、ホルミル、ハロゲン、又はハロアルキルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がシアノである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
がシアノ、ハロゲン、又はハロアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がハロゲン、又はハロアルキルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
がブロモ、又はトリフルオロメチルである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
がメチレン、又はエチレンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、ハロアルキル、又はアルコキシである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
がシクロプロピル、ビニル、トリフルオロメチル、又はメトキシである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
がメチレン、又はエチレンである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が−C(O)−、又は−C(S)−である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
が水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、−N(R)(R)、又は−CH(R10)(R11)であり、ここでR及びRはそれぞれ独立して水素、又はアルキルであり、R10及びR11はそれぞれ独立して、アルキル、ハロアルキル、又はヒドロキシであるか、又はR10とR11が一緒となってアルキレンジオキシである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
がハロゲン、ヒドロキシ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ハロアルキル、C3−C6シクロアルキル、及びC1−C6アルコキシからなる群より選択される置換基で置換されていてもよいメチレンである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
がメチレンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
16が水素、シクロアルキル、アルケニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、ホルミル、−CH=N−R17、又は−CH(R20)(R21)であり、ここでR17はヒドロキシであり、R20及びR21はそれぞれ独立してアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ(ただし、R20及びR21が同時にヒドロキシの場合を除く)である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
20及びR21の一方がハロアルキルであり、他方がヒドロキシである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
20又はR21がトリフルオロメチルである、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルバルデヒド;
3−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−クロロ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルバルデヒド;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル;
2−ブロモ−5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−3−カルボニトリル;
5−[(シクロプロピルメチル)(プロピル)アミノ]−2−(トリフルオロメチル)チオフェン−3−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ピロリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(3,5−ジメチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(4−メチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(メチル)(2−メチルプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ジプロピルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(ジアリルアミノ)チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]−3−ブロモチオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−プロピルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルアセタミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパナミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルブタナミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−2−メチル−N−プロピルプロパナミド;
3−ブロモ−5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシンエチルエステル;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−メチル−N2−プロピルグリシンアミド;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルグリシン;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N2−プロピルグリシンアミド;
3−ブロモ−5−[(シアノメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
N2−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N,N−ジメチル−N2−プロピルグリシンアミド;
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(1,3−ジオキソラン−2−イルメチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(2−オキソエチル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[プロピル(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[(2−ヒドロキシプロピル)(プロピル)アミノ]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチル−6−オキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−エチル−5−チオオキソピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
N−(4−ブロモ−5−シアノチオフェン−2−イル)−N−プロピルプロパンチオアミド;
3−ブロモ−5−[2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−(2−ホルミルピペリジン−1−イル)チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−[2−(1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボニトリル;
3−ブロモ−5−{[2−(ヒドロキシイミノ)エチル](プロピル)アミノ}チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[2−(2,2,2−トリフルオロ−1−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−イル]−3−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−トリフルオロメチルチオフェン−2−カルボニトリル;
5−[(プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]−3−メチルチオフェン−2−カルボニトリル;又は
5−(2−シアノピペリジン−1−イル)−3−ブロモ−チオフェン−2−カルボニトリルから選択される化合物或いはその塩、溶媒和物、又は生理的に機能的な誘導体。
【請求項21】
活性な治療用物質として使用するための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防に使用するための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害が、男性ホルモン依存性疾患、増殖性疾患又はアミロイドーシスである請求項22記載の化合物。
【請求項24】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害が、前立腺肥大、ADAM、多毛症、アクネ、脂漏症、アンドロゲン性脱毛症、過剰発毛、リビドー低下、性機能不全、筋肉衰弱、乳房、脳、皮膚、卵巣、膀胱、リンパ、肝臓、腎臓、子宮、膵臓、子宮内膜、肺、結腸及び前立腺を含むアンドロゲン受容体を含有する悪性腫瘍、大動脈平滑筋細胞増殖、アルツハイマー病、狂牛病、新型クロイツフェルト・ヤコブ病、家族性アミロイドポリニューロパチー、骨粗鬆症、脂質異常症、肥満、糖尿病、鬱病、尿失禁、動脈硬化、子宮フィブロイド疾患又は子宮内膜症である請求項22記載の化合物。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項26】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害の治療又は予防において使用するための医薬の製造における、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項27】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーションに感受性のある状態又は障害が、男性ホルモン依存性疾患、増殖性疾患又はアミロイドーシスである請求項26記載の使用。

【公開番号】特開2010−275304(P2010−275304A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103130(P2010−103130)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】