説明

チオール基の保護基

【課題】
本発明は、公知のチオール基の保護基では、保護基としての機能を果たし得なかった反応条件、例えば、スズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応の条件いった反応条件にも保護基としての機能を発揮できる保護基を提供することにある。
【解決手段】
式(I):


で表される2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基からなるチオール基の保護基。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医薬品、電子材料、接着剤又は塗料等のチオール化合物の製造に有用な、新規なチオール基の保護基に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学的に性質の異なる、複数の官能基を有する化合物を製造する場合に、特定の官能基を保護基で保護し、次いで、他の官能基を製造するということが、頻繁に行なわれ、保護基についても非常に多く開発されている。(非特許文献1)本発明のチオール基の保護基を利用し、スズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応のようなクロスカップリング反応を利用して製造されうる、医薬品として有用な化合物は、例えば、マトリックス メタロプロテアーゼ阻害作用を有し、変形性関節症、腫瘍の転移又は浸潤、うっ血性心不全又は腎炎の治療剤として有用な化合物(特許文献1、2及び3、並びに非特許文献3)、蛋白チロシンホスファターゼPTP−1Bの阻害作用を有し、2型糖尿病の治療剤に有用な化合物(特許文献4)又はPPAR−γ受容体のモジュレーターとして作用し、肥満症又は糖尿病の治療剤としての有用な化合物(特許文献5)が挙げられ、電子材料として有用な化合物としては、有機エレクトロルミネッセンス素子の薄膜(特許文献6及び7)が挙げられる。
【0003】
非特許文献3では、以下の反応式で示されるスズキ(Suzuki)反応において、R(チオール基の保護基)として、アセチル基、ピバロイル基、トリクロロアセチル基、ベンゾイル基、フェロセノイル基、2,4,6−トリイソプロピル基、ジメチルフェニルアセチル基、2−メトキシイソブチリル基又はtert−ブトキシカルボニル基である化合物を用いて、以下の反応式で示されるスズキ(Suzuki)反応を実施し、当該チオール基の保護基を脱離した場合、Rとして2−メトキシイソブチリル基である化合物を用いた場合、当該チオール化合物が55%の収率で得られる以外、いずれの当該チオール基の保護基を使用した化合物の収率は非常に低い。したがって、この非特許文献3に開示された、2−メトキシイソブチリル基を含むチオール基の保護基を、スズキ(Suzuki)反応に使用することは、収率の面から工業的に好ましくない。
【0004】
【化1】

【0005】
【非特許文献1】セオドラ ダブリュー. グリーン(Theodora W. Greene)及びピーター ジー. エム.ウッツ(Peter G. M. Wuts)著、プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(Protective Groups Organic Synthesis)第3版480ページ(ジョン ワイリー & サンズ,インク.(John Wiley & Sons Inc.)刊、1999年)
【非特許文献2】シェリー レ ディグァーハーら(Thierry Le Diguarher et al.)ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)第46巻(第18号)3840ページ(2003)
【非特許文献3】ベジョーン ツェイジングら(Bjorn Zeysing et al.)オーガニック レターズ(Organic Letters)第2巻(第13号)1843ページ(2004)
【特許文献1】PCT国際公開特許公報 WO 03/101944号公報
【特許文献2】日本公開特許公報 特開平11−246527号公報
【特許文献3】PCT国際公開特許公報 WO 97/27174号公報
【特許文献4】PCT国際公開特許公報 WO 01/70753号公報
【特許文献5】PCT国際公開特許公報 WO 2004/52840号公報
【特許文献6】日本公開特許公報 特開平11−102783号公報
【特許文献7】PCT国際公開特許公報 WO 02/085846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、例えば、医薬品、電子材料、接着剤又は塗料等に使用されるチオール化合物の製造に有用な、新規なチオール基の保護基に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、チオール化合物の効率的な製造法について、鋭意研究した結果、2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基が、酸性条件下に加え、例えばスズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応の条件のような弱い塩基性条件下においてもチオール基の保護基として機能し、しかも、温和な条件下で強塩基による処理で容易に除去できることから、チオール基の保護基として有用であること見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の(i)〜(vi)に記載された発明に関する。
【0008】
(i)式(I):
【0009】
【化2】

で表される2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基からなるチオール基の保護基。
(ii)2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、スズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応であることを特徴とする、(i)記載のチオール基の保護基。
(iii)2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、スズキ(Suzuki)反応であることを特徴とする、(i)のチオール基の保護基。
(iv)2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、ヘック(Heck)反応であることを特徴とする、(i)のチオール基の保護基。
(v)2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、ソノガシラ(Sonogashira)反応であることを特徴とする、(i)のチオール基の保護基。
(vi)2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応であることを特徴とする、(i)記載のチオール基の保護基。
(vii)前記式(I)で表される2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基によるチオール基の保護方法。
【0010】
言い換えれば、本発明の保護基を使用したチオール化合物の製造法の一例を示すと、以下の製法(vii)〜製法(x)で表されるチオール化合物の製造法が挙げられる。
【0011】
製法(vii):
一般式(I):
【0012】
【化3】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はトリフルオロメチルスルフォニルオキシを、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−a、リガンド−a及び塩基−aの存在下で、
一般式(II):
【0013】
【化4】

(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリル基又はアルキル基を示す。)で表されるボロン化合物と反応させて、一般式(III):
【0014】
【化5】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を得、次いで得られた一般式(III)を塩基で処理することを特徴とする、一般式(IV):
【0015】
【化6】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物の製造法。
なお、パラジウム触媒−a、リガンド−a及び塩基−aは、後記の意味を有する。
【0016】
製法(viii):
一般式(V):
【0017】
【化7】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はトリフルオロメチルスルフォニルオキシを、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−b、リガンド−b及び塩基−bの存在下で、
一般式(VI):
【0018】
【化8】

(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリル基又はアルキル基を示す。)で表される化合物と反応させて、一般式(VII):
【0019】
【化9】

(式中、R、R、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を得、次いで得られた一般式(VII)を塩基で処理することを特徴とする、一般式(VIII):
【0020】
【化10】

(式中、R、R、R及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物の製造法。
なお、パラジウム触媒−b、リガンド−b及び塩基−bは、前記の意味を有する。
【0021】
製法(ix):
一般式(IX):
【0022】
【化11】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子を、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−c、塩基−c及び添加物の存在下で、
一般式(X):
【0023】
【化12】

(式中、Rは、Yは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はヒドロキシアルキル基を示す。)で表される化合物と反応させて、一般式(XI):
【0024】
【化13】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を得、次いで得られた一般式(XI)を塩基で処理することを特徴とする、
一般式(XII):
【0025】
【化14】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物の製造法。
なお、パラジウム触媒−c、塩基−c及び添加物は、後記の意味を有する。
【0026】
製法(x):
一般式(XIII):
【0027】
【化15】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子を、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−d、リガンド−d及び塩基−eの存在下で、
一般式(X):
【0028】
【化16】

(式中、Rは、アリール基又はヘテロアリール基を示す)で表される化合物又は、一般式(XV):
【0029】
【化17】

(式中、R又はR10は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示すが、同時に水素原子に示すことはない。また、R又はR10は、お互いに結合して、炭素鎖中に酸素原子又は一般式:
【0030】
【化18】

(式中、R11は、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される基が介在していてもよいアルキレン基を形成してもよい。)で表される化合物と反応させて、一般式(XVI):
【0031】
【化19】

(式中、Aは、前記の意味を有し、R12は、式:
【0032】
【化20】

(式中、Rは、前記の意味を有する。)で表される基又は
【0033】
【化21】

(式中、R及びR10は、前記の意味を有する。)で表される基を示す。)で表される化合物を得、次いで得られた一般式(XVI)を塩基で処理することを特徴とする、
一般式(XVII):
【0034】
【化22】

(式中、R12及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物の製造法。
なお、パラジウム触媒−d、リガンド−d及び塩基−eは、後記の意味を有する。
【発明の効果】
【0035】
本発明の、新規なチオール基の保護基の場合、公知のチオール基の保護基では、保護基としての機能を果たし得なかった反応条件、例えば、スズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応といった反応条件にも保護基としての機能を発揮できるので、例えば、当該反応により製造される、医薬品、電子材料、接着剤又は塗料等の製造中間体として有用なチオール化合物を効率よく製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に本明細書中において用いられる用語の意味を説明する。
【0037】
「スズキ(Suzuki)反応」とは、例えば、ノリオ ミヤウラ(Norio Miyaura)、アキラ スズキ(Akira Suzuki)ケミカル レビュー(Chemical Review)第95巻(第7号)2457ページ(1995)に開示されている、有機ハライド化合物又はパーフロロスルホン酸化合物が、有機ボロン化合物と、パラジム触媒の存在下でカップリングする、立体選択的又は位置選択的な反応である。すなわち、スズキ(Suzuki)反応は、反応式で示すことができる。
【0038】
【化23】

(式中、Y及びYは、同一又は異なっていてもよく、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を、Y及びYは、同一又は異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリル基又はアルキル基を、Lは、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はトリフルオロメチルスルフォニルオキシ基を示す。
パラジウム触媒−aは、スズキ(Suzuki)反応に使用されている公知のパラジウム触媒を意味し、例えば、酢酸パラジウム、PdCl(PPh、Pd(DIPHOS)、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(PPh
【0039】
【化24】

【0040】
【化25】

で表される化合物、又はPd(dppf)Clが挙げられる。
リガンド−aは、スズキ(Suzuki)反応に使用されている公知のリガンドを意味し、例えば、
式:
【0041】
【化26】

で表される化合物、
式:
【0042】
【化27】

で表される化合物、
式:
【0043】
【化28】

で表される化合物、
式:
【0044】
【化29】

で表される化合物、
式:
【0045】
【化30】

で表される化合物、
式:
【0046】
【化31】

で表される化合物、
式:
【0047】
【化32】

で表される化合物、
式:
【0048】
【化33】

で表される化合物、
式:
【0049】
【化34】

で表される化合物、
式:
【0050】
【化35】

で表される化合物、
式:
【0051】
【化36】

で表される化合物、
式:
【0052】
【化37】

で表される化合物、
式:
【0053】
【化38】

で表される化合物、
式:
【0054】
【化39】

で表される化合物、
式:
【0055】
【化40】

で表される化合物、
式:
【0056】
【化41】

で表される化合物、
式:
【0057】
【化42】

で表される化合物、
式:
【0058】
【化43】

で表される化合物、
式:
【0059】
【化44】

で表される化合物(ザントホス)、
式:
【0060】
【化45】

で表される化合物、
式:
【0061】
【化46】

で表される化合物及び
式:
【0062】
【化47】

で表される化合物、
トリ(tert−ブチル)ホスフィン、ジ(tert−ブチル)(メチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ−(2−メチルフェニル)ホスフィン、又は[P(t−Bu)H]BFが挙げられる。
塩基−aは、スズキ(Suzuki)反応に使用されている公知の塩基を意味し、例えば、フッ化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、ナトリウム フェノレート、水酸化セシウム、水酸化ナトリウム、ナトリウム エトキサイド、酢酸カリウム、水酸化チタニウム、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、テトラブチルアンモニウム ブロミド又はリン酸三カリウムが挙げられる。)
【0063】
「ヘック(Heck)反応」とは、例えば、ウオルター キャブリら(Walter Cabri et al.)アカウンツ オブ ケミカル リサーチ(Accounts of Chemical Research)第28巻2ページ(1995)及びクリスチャン アマトーレら(Christian Amatore et al.)アカウンツ オブ ケミカル リサーチ(Accounts of Chemical Research)第33巻314ページ(2000)に開示されている、有機ハライド化合物又はパーフロロスルホン酸化合物が、アルケン化合物と、パラジム触媒の存在下でカップリングする、立体選択的な反応である。
【0064】
すなわち、ヘック反応は、以下の反応式で示すことができる。
【0065】
【化48】

(式中、Yは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を、Y、Y及びYは、同一又は異なっていてもよい、水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリル基又はアルキル基を、Lは、ヨウ素原子、臭素原子又はトリフロロメタンスルフォニルオキシ基を、パラジウム触媒−bは、ヘック(Heck)反応に使用されている公知のパラジウム触媒を意味し、例えば、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、Pd(dba)又はPd(PPhを、リガンド−bは、ヘック(Heck)反応に使用されている公知のリガンドを意味し、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、BINAP、(S)−BINAP、(R)−BINAP又はdpppを、塩基−bは、ヘック(Heck)反応に使用されている公知のリガンドを意味し、例えば、炭酸カリウム、炭酸銀、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピル(エチル)アミン又は酢酸ナトリウムを示す。)
「ソノガシラ(Sonogashira)反応」とは、例えば、
モーアッド アラミら(Mouad Alami et al.)ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(Journal of Organometallic Chemistry)第624巻114ページ(2001)、
ケンキチ ソノガシラら(Kenkichi Sonogashira et al.)テトラヘドロン レターズ(テトラヘドロン レターズ)4467ページ(1975)、
アナ エス. アベルーら(Ana S. Aberu et al.)ヨーロピアン ジャーナル オブ オルガニック ケミストリー)3985ページ(2004)、
チャン シク チョ(Chan Sik Cho)ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(Journal of Organometallic Chemistry)第690巻4094ページ(2005)、
ボ リアング(Bo Liang)ジャーナル オブ オルガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)第70巻391ページ(2005)及び
ジンヘング リーら(Jin−Heng Li et al.)シンセシス (Synthesis)804ページ(2005)に開示されている、有機ハライド化合物が、アルキン化合物と、パラジム触媒、リガンド及び塩基の存在下でカップリングする反応である。
【0066】
すなわち、ソノガシラ(Sonogashira)反応は、以下の反応式で示すことができる。
【0067】
【化49】

(式中、Yは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はヒドロキシアルキル基を、Y10は、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基、Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を、
パラジウム触媒−cは、ソノガシラ(Sonogashira)反応に使用されている公知のパラジウム触媒を意味し、例えば、Pd(CN)、Pd(PPh、PdCl、PdCl(PPh2、PdCl(PhCN)2、Pd(OAc)又はNaPdClを、
塩基−cは、ソノガシラ(Sonogashira)反応に使用されている公知の塩基を意味し、例えばピペリジン、ピロリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ジエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム又はDabcoが挙げられる。
添加物としては、ソノガシラ(Sonogashira)反応に使用されている公知の塩基を意味し、例えば、P(t−Bu)、Dabco又はヨウ化銅(I)(CuI)が挙げられるが、場合によっては、添加物は、非存在でもよい。)
【0068】
「ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応」とは、例えば、ハートウィックら(Hartwig,J.F. et al.)ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)第116巻5969ページ(1994)、
ブライヤント エイチ. ヤングら(Bryant H. Yang et al.)ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(Journal of Organometallic Chemistry)第576巻125ページ(1999)及びブックバルト エス. エル.ら(Buchwald,S.L. et al.)ジャーナル オブ ザ アメリカン ケミカル ソサエティ(J.Am.Chem.Soc.)第116巻7901ページ(1994)に開示されている、有機ハライド化合物が、1級又は2級アミン化合物と、パラジウム触媒、リガンド及び塩基の存在下でカップリングする反応である。
【0069】
すなわち、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応は、以下の反応式で示すことが出来る。
【0070】
【化50】

(式中、Y11又はY12は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、炭素鎖中に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が介在していてもよい、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリル基、アリール基、ベンジル基又はヘテロアリール基を示し、さらに、Y11とY12とが結合して、炭素鎖中に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が介在していてもよい、炭素数4〜6個のアルキレン基を形成してもよい。ただし、Y11及びY12が共に水素原子であることはない。Y13は、アリール基を、Xは、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子又はトリフルオロメチルスルフォニルオキシ基を、
パラジウム触媒−dは、スズキ(Suzuki)反応に使用されている公知のパラジウム触媒を意味し、例えば酢酸パラジウム、塩化パラジウム、(DPPF)PdCl、Pd(dba)、Pd(dba)又はPd(PPh
リガンド−dは、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)に使用されている公知のリガンドを意味し、例えば、トリフェニルホスフィン、P(t−Bu)、BINAP、DPPF、dppp、
式:
【0071】
【化51】

で表される化合物(PPF−OMe)、式:
【0072】
【化52】

で表される化合物(式中、Cyはシクロヘキシル基を示す。)、式:
【0073】
【化53】

で表される化合物(PPFA)、式:
【0074】
【化54】

で表される化合物、式:
【0075】
【化55】

で表される化合物(Cyは、前記の意味を有する。)、式:
【0076】
【化56】

で表される化合物(Cyは、前記の意味を有する。)又は式:
【0077】
【化57】

塩基−dは、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)に使用されている公知の塩基を意味し、例えば、ナトリウム tert−ブトキサイド、カリウム tert−ブトキサイド、KPO、炭酸セシウム又は炭酸カリウムを示す。)
【0078】
「dppf」とは、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン](dichoro[1,1’−bis(diphenylphosphino)ferrocene]を意味する。
【0079】
「dba」とは、ジベンジリデンアセトン(dibenzylideneacetone)を意味する。
【0080】
「BINAP」とは、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(2,2’−bis(diphenylphosphino)−1,1’−binaphthyl)を意味する。
【0081】
「dppp」とは、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(1,3−bis(diphenylphosphino)propane)を意味する。
【0082】
「DIPHOS」とは、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(1,2−bis(diphenylphosphino)ethane)を意味する。
【0083】
「Dabco」とは、1,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,5−diazabicyclo[2.2.2]octane)を意味する。
【0084】
「アルキル基」とは、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルプロピル基又は1−エチル−2−メチルプロピル基等の炭素数1〜6個のアルキル基を意味する。
【0085】
「炭素鎖中に窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が介在していてもよい、シクロアルキル基」とは、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼピニル基、モルホリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基又はピペラジニル基等が挙げられる。
【0086】
「ヘテロアリール基」とは、例えばチアゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリジル基、イミダゾリル基、イソキサゾリル基、4−メトキシメチル−イソキサゾリル基、ピラゾリル基、ピリドチアゾ−ル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、1,8−ナフチジニル基又はキノキサリニル基等の置換基が挙げられる。
【0087】
「アリール基」としては、例えばフェニル基又はナフチル基が挙げられる。
【0088】
「アルケニル基」としては、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基又はイソプロペニル基が挙げられる。
【0089】
「アルキニル基」としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、又は2−ブチニル基が挙げられる。
【0090】
「ヒドロキシアルキル基」としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、又は4ヒドロキシブチル基が挙げられる。
【0091】
次に、本発明の保護基を使用したチオール化合物の製造法の一例として挙げられる製法(vii)〜製法(x)で表されるチオール化合物の製造法について具体的に説明する。
【0092】
製法(vii):
一般式(I):
【0093】
【化58】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はトリフルオロメチルスルフォニルオキシを、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−a、リガンド−a及び塩基−aの存在下で、
一般式(II):
【0094】
【化59】

(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリル基又はアルキル基を示す。)で表されるボロン化合物と反応させて、一般式(III):
【0095】
【化60】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を製造する工程は、スズキ(Suzuki)反応としての公知の反応条件で実施することができるが、その一例を挙げるとすれば、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、化合物(I)1モルに対して、0.01〜1モル%のパラジウム触媒−a、0.01〜2モル%のリガンド−a及び1.1〜2モルの塩基−aの存在下で、1.5〜3モルの一般式(II)で表されるボロン酸と、3時間〜20時間、室温〜100℃で反応させることにより、実施することができる。
ここで、「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」とは、スズキ反応に使用される公知の溶媒を意味し、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルエチルエーテル又はジメチルホルムアミド等が挙げられる。
なお、パラジウム触媒−a、リガンド−a及び塩基−aは、前記の意味を有する。
【0096】
前工程で得られた一般式(III):
【0097】
【化61】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物から、本発明の保護基を塩基と反応させて、一般式(IV):
【0098】
【化62】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物の製造する、本発明の保護基を除去する工程は、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、化合物(III)1モルに対して、1.1〜2.0モルの強塩基を3時間〜20時間、室温〜50℃で反応させることにより、実施することができる。
ここで、「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」とは、例えばエタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
「この工程で使用される強塩基」としては、例えばナトリウム メトキシド、カリウム エトキシド、ナトリウム エトキシド、カリウム エトキシド、カリウム n−プロポキシド、ナトリウム n−プロポキシド、カリウム n−ブトキシド、ナトリウム n−ブトキシド、カリウム t−ブトキシド又はナトリウム t−ブトキシド等の強塩基が挙げられる。
【0099】
製法(viii):
一般式(V):
【0100】
【化63】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子又はトリフルオロメチルスルフォニルオキシを、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−b、リガンド−b及び塩基−bの存在下で、
一般式(VI):
【0101】
【化64】

(式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ベンジル基、アリル基又はアルキル基を示す。)で表される化合物と反応させて、一般式(VII):
【0102】
【化65】

(式中、R、R、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を製造する工程は、ヘック(Heck)反応としての公知の反応条件で実施することができるが、その一例を挙げるとすれば、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、化合物(V)1モルに対して、0.01〜0.1モルのパラジウム触媒−b、0.01〜0.2モルのリガンド−b及び1.1〜2.0モルの塩基−bの存在下で、1.1〜2.0モルの一般式(VI)で表されるアルケンと、3時間〜20時間、50℃〜100℃で反応させることにより、実施することができる。
ここで、「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」とは、ヘック(Heck)反応に使用される公知の溶媒を意味し、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
なお、パラジウム触媒−b、リガンド−b及び塩基−bは、前記の意味を有する。
【0103】
前工程で得られた一般式(VII):
【0104】
【化66】

で表される化合物を塩基で処理することにより、一般式(VIII):
【0105】
【化67】

(式中、R、R、R及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物を製造する、本発明の保護基を除去する工程は、前記の一般式(III)で表される化合物から一般式(IV)で表される化合物を製造する工程の反応条件と同様に実施することができる。
【0106】
製法(ix):
一般式(IX):
【0107】
【化68】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子を、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−c、塩基−c及び添加物の存在下で、
一般式(X):
【0108】
【化69】

(式中、Rは、Yは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はヒドロキシアルキル基を示す。)で表される化合物と反応させて、一般式(XI):
【0109】
【化70】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を製造する工程は、ソノガシラ(Sonogashira)反応としての公知の反応条件で実施することができるが、その一例を挙げるとすれば、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、化合物(I)1モルに対して、0.01〜0.1モルのパラジウム触媒−c、0.01〜0.2モルの塩基−a及び1.1〜2.0モルの添加物の存在下又は非存在下で、1.1〜2.0モルの一般式(X)で表されるアルキンと、3時間〜20時間、50℃〜100℃で反応させることにより、実施することができる。
ここで、「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」とは、ソノガシラ(Sonogashira)反応に使用される公知の溶媒を意味し、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリジノンが挙げられる。
なお、パラジウム触媒−c、塩基−c及び添加物は、前記の意味を有する。
【0110】
製法(x):
次いで得られた一般式(XI):
【0111】
【化71】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表される化合物を塩基で処理する、
一般式(XII):
【0112】
【化72】

(式中、R及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物を製造する工程は、本発明の保護基を除去する工程は、前記の一般式(III)で表される化合物から一般式(IV)で表される化合物を製造する工程の反応条件と同様に実施することができる。
【0113】
一般式(XIII):
【0114】
【化73】

(式中、Xは、塩素原子、ヨウ素原子又は臭素原子を、Aは、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される化合物に、パラジウム触媒−d、リガンド−d及び塩基−eの存在下で、
一般式(X):
【0115】
【化74】

(式中、Rは、アリール基又はヘテロアリール基を示す)で表される化合物又は、一般式(XV):
【0116】
【化75】

(式中、R又はR10は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を示すが、同時に水素原子に示すことはない。また、R又はR10は、お互いに結合して、炭素鎖中に酸素原子又は一般式:
【0117】
【化76】

(式中、R11は、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。)で表される基が介在していてもよいアルキレン基を形成してもよい。)で表される化合物と反応させて、一般式(XVI):
【0118】
【化77】

(式中、Aは、前記の意味を有し、R12は、式:
【0119】
【化78】

(式中、R8は、前記の意味を有する。)で表される基又は
【0120】
【化79】

(式中、R及びR10は、前記の意味を有する。)で表される基を示す。)で表される化合物を製造する工程は、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応としての公知の反応条件で実施することができるが、その一例を挙げるとすれば、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、化合物(I)1モルに対して、0.01〜0.1モルのパラジウム触媒−d、0.01〜0.2モルのリガンド−d及び1.1〜2.0モルの塩基−dの存在下で、1.1〜2.0モルの一般式(XV)で表されるアミンと、3時間〜20時間、50℃〜100℃で反応させることにより、実施することができる。
ここで、「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」とは、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応に使用される公知の溶媒を意味し、例えばトルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド又はジメトキシエタンなどが挙げられる。
塩基−eは、例えば、KPO、炭酸セシウム又は炭酸カリウムを意味する。
なお、パラジウム触媒−d及びリガンド−dは、前記の意味を有する。
【0121】
前工程で得られた一般式(XVI):
【0122】
【化80】

(式中、Aは、前記の意味を有し、R12は、式:
【0123】
【化81】

(式中、Rは、前記の意味を有する。)で表される基又は
【0124】
【化82】

(式中、R及びR10は、前記の意味を有する。)で表される基を示す。)で表される化合物を塩基で処理して
【0125】
【化83】

(式中、R12及びAは、前記の意味を有する。)で表されるチオール化合物を製造する、本発明の保護基を除去する工程は、前記の一般式(III)で表される化合物から一般式(IV)で表される化合物を製造する工程の反応条件と同様に実施することができる。
【0126】
以上の各工程で製造られる生成物は、それ自体既知の方法、例えばシリカゲル又は吸着樹脂等を用いるカラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、溶媒抽出又は再結晶・再沈殿等の常用の分離精製造方法を必要に応じて単独又は適宜組み合わせて用いることにより精製・単離することができる。
【0127】
本発明の製造法に使用する、一般式(I)、一般式(V)、一般式(IX)及び一般式(XIII)で表される化合物は、タカヒロ イトウら(Takahiro Itoh et al.)オーガニック レターズ(Organic Letters)第6巻(第24号)4587ページ(2004)又はそれに準ずる製法で製造できる。
【0128】
試験例:
式(a):
【0129】
【化84】

で表される化合物のスズキ(Suzuki)反応条件における安定性
式(a)で表される化合物を、無水のトルエン又はトルエン−水(1:1)中で表−1に示した塩基の何れか一種の存在下で、2時間還流させた。
いずれの塩基の場合にも、高速液体クロマトグラフィーによる分析では、式(a)で表される化合物が、95%以上分解されずに存在することが確認した。
この実験結果から、本発明の保護基である2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基でチオール基を保護した場合、通常のスズキ(Suzuki)反応の条件(トルエンの沸点は110.6℃)では分解を受けないことが明らかである。
表−1


DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
【実施例】
【0130】
以下に実施例・参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0131】
Pd(OAc), Pd(dba), Pd(PPh 及び D−t−BPFは、ジョンソン アンド マッセイ(Johnson & Matthey)より購入した。その他のリンリガンドはアルドリッチ(Aldrich)より購入した。
NaCO, i−PrNH 及び NaOt−Buは、和光純薬工業より購入した。その他の試薬は、和光純薬工業又は東京化成より購入した。
有機溶媒は、和光純薬工業より購入し、4Aモレキュラーシーブで乾燥後使用した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、以下のようにして測定した。
測定装置: Hitachi D−7000 instrument
カラム: YMC basic reverse−phase column
薄層クロマトグラフィー:
プレートとしてSilicagel(シリカジェル) 60F245(Merck)を、検出法としてUV検出器、モリブデン酸試薬 / ニンヒドリン溶液による発色法を用いた。
カラム用シリカゲル:
EM silica gel 60 (0.04〜0.63μm particle size)を使用した。
NMR:
Bruker AV−500により測定した。
マススペクトル(HRMS)
JEOL model JMS−700Vにより測定した。
以下の分子式で示される化合物の名称は以下のとおりである。
CDCl:重クロロホルム
DMSO−d:重ジメチルスルホキシド
下記に核磁気共鳴スペクトルにおける略号の意味を示す。
s :シングレット
d :ダブレット
dd:ダブルダブレット
t :トリプレット
m :マルチプレット
br:ブロード
q :カルテット
J :カップリング定数
Hz:ヘルツ
以下の実施例の反応は、すべて乾燥した窒素ガス雰囲気下で実施した。
【0132】
実施例1
3−(4−ブロモ−フェニルチオ)プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステルの製造
【0133】
【化85】

方法A:丸底フラスコにパラ−ブロモ−ヨードベンゼン(850mg、3mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.04mL、6mmol)と無水トルエン(17mL)を加えた。混合液を窒素で3回脱気した。トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(69mg、0.075mmol)、ザントフォス(87mg、0.15mmol)とイソオクチル 3−メルカプトプロピオネート(0.69mL、3mmol)を加え、混合液を窒素で2回脱気した。混合液を4時間還流し、高速液体クロマトグラフィーを用いて反応の完結を確認した。反応液を放置し室温にまで冷却した。反応液を濾過し、濃縮した。
粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(4−ブロモフェニルチオ)プロピオン酸2−エチルヘキシルエステル(813mg、90%収率)を淡黄色のオイルとして得た。
方法B:丸底フラスコにp−ブロモベンゼンチオール(5.7g、30mmol)、イソオクチルアクリレート(5.5g、30mmol)、テトラヒドロフラン(57mL)とテトラブチルアンモニウムフルオライド(30mL,30mmol、1規定テトラヒドロフラン溶液)を加え、室温で15時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(50mL)と水(30mL)に注いだ。分液した後に水層を酢酸エチル(50mL)で抽出し、有機層を合わせ濃縮乾固した。粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(4−ブロモフェニルチオ)プロピオン酸2−エチルヘキシルエステル(10.5g、93%収率)を淡黄色のオイルとして得た。
カラム展開溶媒(ヘキサン/酢酸エチル=100:1)R = 0.33(ヘキサン/酢酸エチル=100:1).
H NMR (DMSO−d, 500 MHz) δ:
7.29 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.29 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 3.94 (d, 2H, J = 5.7 Hz), 3.18 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 2.62 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 1.50−1.51 (m, 1H), 1.24−1.31 (m, 8H), 0.82−0.87 (m, 6H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz) δ:
171.04, 135.09, 131.85, 130.35, 118.90, 66.18, 38.09, 33.56, 29.75, 28.29, 27.75, 23.18, 22.38, 13.85, 10.77.
IR (neat, cm−1):
2958, 2929, 2859, 1735, 1473, 1387, 1349, 1243, 1175, 1092, 1069, 1008, 810, 480.
HRMS m/z:
calcd for C1725BrOS 372.0759; Found, 372.0712.
【0134】
実施例2
パラジウム触媒を用いたスズキ(Suzuki)反応と脱保護の一般的手法
【0135】
【化86】

丸底フラスコに3−(4−ブロモフェニルチオ)−プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステル(373mg、1mmol)、アリールボロン酸(2mmol)、炭酸ナトリウム(212mg、2mmol)、トルエン(7.5mL)と水(2.1mL)を加えた。混合液を窒素で3回脱気した。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(58mg、5mol%)を加え、2回窒素で脱気した。混合溶液を12〜15時間還流し、高速液体クロマトグラフィーを用いて反応の完結を確認した。反応液を放置し室温にまで冷却し、水層を破棄した。有機層にエタノール(5mL)、ナトリウム エトキシド(21wt%エタノール溶液、0.75mL、2mmol)を加え、混合液を室温で5時間攪拌した。高速液体クロマトグラフィーを用いて反応の完結を確認した後に、反応液を酢酸エチルと水に注いだ。有機層を分離、濃縮乾固した後にカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0136】
実施例4
ビフェニル 4−チオールの製造
【0137】
【化87】

実施例3の一般的手法に従い、アリールボロン酸としてフェニルボロン酸を使用して、15時間還流させることにより、ビフェニル−4−チオールを淡黄色の固体として85%の収率で得た。
= 0.78(ヘキサン/酢酸エチル=1:1).
融点; 106−109 °C.
H NMR (DMSO−d, 500 MHz) δ:
7.63 (dt, 2H, J = 7.3, 0.9 Hz), 7.56 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.45 (dt, 2H, J = 7.9, 7.5 Hz), 7.33−7.39 (m, 3H), 5.51 (s, 1H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz) δ 139.45, 136.72, 131.68, 128.90, 128.82, 127.27, 127.25, 126.27.
IR (KBr, cm−1):
3054, 2558, 1955, 1904, 1656, 1595, 1556, 1479, 1403, 1260, 1158, 1127, 1104, 1003, 915, 827, 692, 546, 473.
HRMS m/z:
calcd for C1210S 186.0503; Found, 186.0498.
【0138】
実施例3
4‘−フルオロビフェニル−4−チオールの製造
【0139】
【化88】

実施例3の一般的手法に従い、アリールボロン酸として4−フルオロフェニルボロン酸を使用して、13時間還流させることにより、4‘−フルオロビフェニル−4−チオールを淡黄色の固体として82%の収率で得た。R = 0.70(ヘキサン/酢酸エチル=1:1).
融点; 72−75 °C.
H NMR (DMSO−d, 500 MHz) δ:
7.62−7.71 (m, 4H), 7.54 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 7.38 (d, 1H, J = 8.3 Hz), 7.25−7.30 (m, 2H), 5.51 (s, 1H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz) δ:
128.81, 128.63, 128.57, 128.26, 128.20, 127.83, 127.64, 127.20, 115.85, 115.75, 115.68, 115.58.
IR (KBr, cm−1):
1897, 1659, 1600, 1481, 1393, 1243, 1161, 1107, 1003, 811, 739, 605.
HRMS m/z:
calcd for C12FS 204.0409; Found, 204.0427.
【0140】
実施例4
4‘−メトキシビフェニル−4−チオールの製造
【0141】
【化89】

実施例3の一般的手法に従い、アリールボロン酸として4−メトキシフェニルボロン酸を使用して、12時間還流させることにより、4‘−メトキシ−ビフェニル−4−チオールを淡黄色の固体として81%の収率で得た。
= 0.66(ヘキサン/酢酸エチル=1:1).
融点; 132−134 °C.
H NMR (DMSO−d, 500 MHz) δ:
7.57 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.50 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.34 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.00 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 5.44 (s, 1H), 3.79 (s, 3H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz) δ:
158.78, 136.49, 131.81, 130.52, 128.87, 127.36, 126.74, 114.34, 55.14.
IR (KBr, cm−1):
2958, 2839, 1605, 1523, 1485, 1398, 1287, 1252, 1204, 1182, 1107, 1038, 1012, 811, 497.
HRMS m/z:
calcd for C1312OS 216.0609; Found, 216.0588.
実施例1〜実施例4から、スズキ(Suzuki)反応の反応条件で、本発明に係わるチオール基の保護基が、保護基としての機能を有することが判明した。
【0142】
実施例5
3−(4−フェニルエチニル−フェニルチオ)−プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステルの製造
【0143】
【化90】

丸底フラスコに3−(4−ブロモフェニルチオ)プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステル(747mg、2mmol)、アルキン(0.373mL、3.4mmol)、ジイソプロピルアミン(4mL)とジメチルホルムアミド(11mL)を加えた。混合液を窒素で3回脱気した。ヨウ化銅(57mg、0.3mmol)、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(92mg、0.1mmol)とトリフェニルホスフィン(262mg、1mmol)を加え、窒素で2回脱気した。混合溶液を80℃で8時間攪拌し、高速液体クロマトグラフィーを用いて反応の完結を確認した。反応液を室温にまで自然放冷し、酢酸エチルと水に注いだ。分液した後に有機層を濃縮乾固、粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(4−フェニルエチニルフェニルチオ)−プロピオン酸 2−エチル−ヘキシルエステル(718mg、91%収率)をオイル状物質として得た。
= 0.65 (ヘキサン/酢酸エチル=5:1)
H NMR (DMSO−d, 500 MHz) δ:
7.54−7.7.56 (m, 2H), 7.49 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.40−7.45 (m, 3H), 7.36 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 3.95 (d, 2H, J = 5.7 Hz), 3.24 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 2.66 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 1.51−1.53 (m, 1H), 1.24−1.32 (m, 8H), 0.83−0.87 (m, 6H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz) δ:
171.06, 137.02, 131.87, 131.29, 128.95, 128.72, 127.70, 122.26, 119.29, 89.62, 88.99, 66.20, 38.10, 33.52, 29.76, 28.30, 27.12, 23.19, 22.38, 13.86, 10.78.
IR (neat, cm−1):
2958, 2859, 1734, 1590, 1496, 1463, 1382, 1349, 1243, 1176, 1090, 822, 756, 690, 541, 514.
HRMS m/z:
calcd for C2530S 394.1966; Found, 394.1917.
実施例5から、ソノガシラ(Sonogashira)反応の反応条件において、本発明に係わるチオール基の保護基は、保護基としての機能を有することが判明した。
【0144】
実施例6
3−(4−スチリルフェニルチオ)プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステルの製造
【0145】
【化91】

丸底フラスコに3−(4−ブロモフェニルチオ)プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステル(1.12g、3mmol)、スチレン(0.378mL、3.3mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.627mL、3.6mmol)とN−メチルピロリジノン(17mL)を加えた。混合液を窒素で3回脱気した。テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(347mg、0.3mmol)を加え、2回窒素で脱気した。混合溶液を130℃で10時間攪拌し、高速液体クロマトグラフィーを用いて反応の完結を確認した。反応液を室温にまで自然放冷し、酢酸エチルと水に注いだ。分液した後に有機層を濃縮乾固、粗化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(4−スチリル−フェニルチオ)プロピオン酸 2−エチル−ヘキシルエステル(1.1g、92%収率)をオイル状物質として得た。
= 0.74(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)
H NMR (DMSO−d, 500 MHz) δ:
7.56−7.62 (m, 2H), 7.21−7.40 (m, 8H), 3.94 (dt, 2H, J=5.4, 5.0 Hz), 3.33 (s, 1H), 3.15−3.21 (m, 2H), 2.60−2.65 (m, 2H), 1.51−1.53 (m, 1H), 1.24−1.33 (m, 8H), 0.83−0.88 (m, 6H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz) δ:
171.11, 136.99, 135.29, 129.53, 129.08, 128.73, 128.66, 128.62, 128.38, 127.65, 127.60, 127.09, 126.44, 126.42, 126.04, 66.16, 66.13, 38.10, 33.69, 29.77, 28.30, 27.87, 23.19, 22.38, 13.85, 10.78.
IR (neat, cm−1):
2958, 2860, 1735, 1584, 1464, 1388, 1348, 1243, 1174, 963, 812, 741, 692, 541.
HRMS m/z:
calcd for C2532S 396.2123; Found, 396.2096.
実施例6から、ヘック(Heck)反応の反応条件において、本発明に係わるチオール基の保護基は、保護基としての機能を有することが判明した。
【0146】
実施例7
3−(4−ホルミルフェニルチオ)プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステルの製造
【0147】
【化92】

丸底フラスコに3−(4−ブロモフェニルチオ)−プロピオン酸 2−エチルヘキシルエステル(747mg、2mmol)と無水テトラヒドロフラン(7.5mL)を加えた。混合液を窒素で3回脱気した後に−78℃に冷却した。溶液にn−ブチルリチウム(1.5mL、2.25mmol、1.5規定ヘキサン溶液)を−70℃以下に保ちながら加えた。−70℃以下で1時間攪拌した後に、反応液にジメチルホルムアミド(0.194mL,2.5mmol)を−70℃以下で加えた。反応液を−78℃で1時間攪拌し、室温にまで昇温させ1時間攪拌した。溶液を濃縮乾固後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、3−(4−ホルミルフェニルチオ)−プロピオン酸2−エチル−ヘキシルエステル(464mg、72%収率)をオイル状物質で得た。
= 0.63(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)
H NMR (DMSO−d, 500 MHz)δ:
9.93 (s, 1H), 7.83 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 7.49 (d, 2H, J = 8.3 Hz), 3.96 (d, 2H, J = 5.7 Hz), 3.31 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 2.71 (t, 2H, J = 6.8 Hz), 1.52 (t, 1H, J = 5.9 Hz), 1.23−1.31 (m, 8H), 0.82−0.85 (m, 6H).
13C NMR (DMSO−d, 125 MHz)δ:
191.98, 171.00, 144.96, 133.17, 129.96, 126.41, 66.25, 38.09, 33.27, 29.75, 28.29, 26.23, 23.17, 22.36, 13.85, 10.78.
HRMS m/z:
calcd for C1826S 322.1603; Found, 322.1587.
実施例7から、n−ブチルリチウムのような強塩基の場合には、−78℃というような低温条件では、本発明に係わるチオール基の保護基は、保護基としての機能を有することが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明の、新規なチオール基の保護基の場合、公知のチオール基の保護基では、保護基としての機能を果たし得なかった反応条件、例えば、スズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応の反応条件にも保護基としての機能を発揮できるので、例えば、当該反応により製造される、医薬品、電子材料、接着剤又は塗料等の製造中間体として有用なチオール化合物が効率よく製造できる。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で表される2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基からなるチオール基の保護基。
【請求項2】
2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、スズキ(Suzuki)反応、ヘック(Heck)反応、ソノガシラ(Sonogashira)反応又はブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応であることを特徴とする、請求項1記載のチオール基の保護基。
【請求項3】
2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、スズキ(Suzuki)反応であることを特徴とする、請求項1記載のチオール基の保護基。
【請求項4】
2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、ヘック(Heck)反応であることを特徴とする、請求項1記載のチオール基の保護基。
【請求項5】
2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、ソノガシラ(Sonogashira)反応であることを特徴とする、請求項1記載のチオール基の保護基。
【請求項6】
2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基をチオール基の保護基として使用することができる反応が、ブックバルト(Buchwald)−ハートウィック(Hartwig)反応であることを特徴とする、請求項1記載のチオール基の保護基。
【請求項7】
式(I):
【化2】

で表される2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル基によるチオール基の保護方法。




【公開番号】特開2007−176846(P2007−176846A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375843(P2005−375843)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000005072)萬有製薬株式会社 (51)
【Fターム(参考)】