説明

チケット発行装置およびチケット発行使用管理システム

【課題】利用予定者の変更を許容しながら、転売目的などチケットの不正な購入を抑制することができるチケット発行装置を提供すること。
【解決手段】チケット発行装置5は、チケット3の発行要求の発行要求送信元情報を取得する発行要求送信元情報取得部14と、変更要求の変更要求送信元情報を取得する変更要求送信元情報取得部15を有する。チケット3の顔写真3aを新たな使用予定者の顔写真3aに変更するチケット3の再発行は、新たな利用予定者の顔写真3aを印刷するための変更顔写真データを取得し(ステップST11)、チケット3の発行要求送信元情報と変更要求送信元情報の一致を確認した場合に行われる(ステップST13〜ST15)。チケット3の発行要求を行ったチケット購入者が変更要求を行わなければ、チケット3が再発行されないので、見ず知らずの人間との間の転売を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用予定者の顔写真が印刷されたチケットを発行するチケット発行装置、および、このようなチケット発行装置によって発行されたチケットの不正使用を抑制するチケット発行使用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートなどのイベントのチケットとしてチケットの使用予定者の顔写真が印刷されたチケットを発行し、イベント会場の改札で係員がチケットの顔写真と入場者の顔を目視で見比べる本人確認を行い、本人確認された場合に入場を許可することが行なわれている。このような本人確認は必ずしも正確かつ厳格に行われるものではないが、チケットの購入時にチケットの使用予定者を明らかにする必要があるので、チケットの転売目的の購入を抑制する効果がある。特許文献1には、顔写真が印刷されたチケットを発行することが可能なチケット発行装置が記載されている。同文献では、チケット購入者は、チケット発行装置に対して、顔写真データを添えたチケットの発行要求を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−201997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、チケットの利用予定者が都合によってイベントに出席できなくなった場合には、利用予定者からイベントに出席できる知人にチケットが譲渡されることがある。このような知人に対する譲渡は、転売目的でチケットを購入して購入価格よりも高値でチケットを販売する行為とは異なり、チケットの有効な利用を促進する。従って、新たな使用予定者となった知人の顔写真が印刷されたチケットを再発行して、このような譲渡を有効なものとすることが好ましい。しかし、利用予定者の変更を無制限に許可すると、転売目的でチケットを購入して購入価格よりも高値でチケットを販売する行為を蔓延させてしまうことになる。
【0005】
本発明の課題は、この点に鑑みて、利用予定者の変更を許容しながら、転売目的などチケットの不正な購入を抑制することができるチケット発行装置、および、このようなチケット発行装置によって発行されたチケットの不正利用を抑制するチケット発行使用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のチケット発行装置は、
チケット購入者から当該チケット購入者を特定するための購入者情報および当該チケットの使用予定者の顔写真データを含むチケットの発行要求を受信すると、当該発行要求を送信した発行要求送信元を特定する発行要求送信元情報を取得する発行要求送信元情報取得部と、
前記発行要求を受信すると、前記顔写真データに基づく顔写真が印刷されたチケットを発行するチケット発行部と、
前記チケットが発行されると、前記チケットを特定するためのチケット特定情報と前記発行要求送信元情報とを対応付けた形態でチケット情報データベースに記憶保持するチケット情報記憶保持部と、
前記顔写真を変更するための変更顔写真データおよび前記チケット特定情報を含む変更要求を受信すると、前記変更要求を送信した変更要求送信元を特定する変更要求送信元情報を取得する変更要求送信元情報取得部と、
前記変更要求を受信すると、前記変更要求に含まれている前記チケット特定情報に基づいて前記チケット情報データベースを参照して、前記チケット特定情報に対応付けられている前記発行要求送信元情報を取得する第2発行要求送信元情報取得部と、
前記変更要求送信元情報と、前記第2発行要求送信元情報取得部が取得した前記発行要求送信元情報とを比較して、一致している場合には、前記変更顔写真データに基づく顔写真が印刷されたチケットを再発行するチケット再発行管理部を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明のチケット発行装置によれば、チケットに印刷されている顔写真を新たな使用予定者の顔写真に変更するためのチケットの再発行は、当該チケットの発行要求が行われたときの発行要求送信元情報と、当該チケットの顔写真を変更するための変更要求が行われたときの変更要求送信元情報が一致する場合に行なわれる。従って、チケットの発行要求を行ったチケット購入者が変更要求を行わなければ、チケットを再発行することが困難である。また、チケットの再発行には、チケットを譲り受けた新たな使用予定者の顔写真データである変更顔写真データが必要となっている。よって、チケットを譲り受けた新たな使用予定者は、自己の顔写真データをチケット購入者に預けるとともに、チケット購入者に変更要求の手続きを行なってもらわなければ、自分の顔写真が印刷されたチケットを入手することができない。ここで、自分の顔写真データを見ず知らずの他人に預けることには心理的な抵抗があるので、知人間におけるチケットの譲渡は円滑に行なわれるが、見ず知らずの他人との間におけるチケットの譲渡は困難になる。よって、利用予定者の変更を許容しながら、転売目的などチケットの不正な購入を抑制することができる。
【0008】
本発明において、前記チケット再発行管理部は、前記変更要求送信元情報と、前記第2発行要求送信元情報取得部が取得した前記発行要求送信元情報とを比較して、相違している場合には、前記チケットの再発行を行わないものとすることができる。このようにすれば、転売目的などチケットの不正な購入を抑制する効果が高い。
【0009】
本発明において、前記発行要求送信元情報および前記変更要求送信元情報は、メールアドレス、IPアドレス、或いは、情報機器の個体を特定する個体特定情報であることが望ましい。これらを用いれば、発行要求送信元情報および変更要求送信元情報の取得や、比較が容易である。ここで、情報機器の個体を特定する個体特定情報とは、MACアドレスや携帯電話の個体識別番号などである。
【0010】
本発明において、利用予定者が頻繁に変更される場合には、転売が行われている蓋然性が高いので、このような場合にチケットの再発行を制限するためには、前記チケットが再発行された再発行回数を計数する再発行回数計数部を備えており、前記チケット再発行管理部は、前記再発行回数が予め定めた所定回数を超えた場合には、前記チケットの再発行を行わないことが望ましい。
【0011】
本発明において、前記チケット発行部および前記チケット再発行管理部は、前記チケットを特定するチケット特定情報が担持されたチケットを発行することが望ましい。このようにすれば、チケットに担持されたチケット特定情報から、当該チケットの発行要求送信元情報などを特定できる。ここで、チケットを特定する特定情報とは、チケットに付されたシリアルナンバーや、イベント会場における座席の指定番号などである。
【0012】
本発明において、前記チケット情報記憶保持部は、前記発行要求に基づいて前記チケットが発行されると、前記チケット特定情報、前記発行要求送信元情報、および、前記顔写真データを対応付けた形態で前記チケット情報データベースに記憶保持し、前記変更要求に基づいて前記チケットが再発行されると、前記チケット情報データベースにおいて、前記変更顔写真データを、前記チケット特定情報および前記発行要求送信元情報に対応付けられている前記顔写真データとする更新を行うことが望ましい。このようにすれば、チケット特定情報に基づいて、最新の利用予定者の顔写真データを特定することができる。
【0013】
次に、本発明のチケット発行使用管理システムは、
上記のチケット発行装置と、
前記チケット情報データベースに接続可能なチケット使用管理装置とを有し、
前記チケット使用管理装置は、
前記チケットが使用される際に当該チケットから前記チケット特定情報を取得するチケット特定情報取得部と、
前記チケットを使用しているチケット使用者の顔を撮影して撮影データを取得する撮影部と、
前記チケット特定情報に基づいて前記チケット情報データベースを参照して、前記チケット特定情報に対応付けられている前記顔写真データを取得する顔写真データ取得部と、
前記撮影データと前記顔写真データとを用いた顔認識を行ない、当該顔認識の結果に基づいて、前記顔写真データの人物と前記チケット使用者が同一人物か否かを判定する不正使用判定部と、
同一人物ではないと判定された場合に、警告を発生させる警告発生部とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、チケットが使用される際に、チケット使用者の顔の撮影データとチケットの利用予定者の顔写真データの顔認識を行うので、イベント会場の改札に配置した作業員の目視によらずに本人確認を行うことができる。また、チケットは折り畳まれたり、皺が付いたりしている場合があるので、チケットに印刷されている顔写真とチケット使用者の顔を見比べて本人確認をすることは容易ではないが、撮影データと顔写真データの顔認識を行うので、本人確認を正確に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のチケット発行装置によれば、チケットの発行要求を行ったチケット購入者が変更要求を行わなければ、チケットを再発行することが困難である。また、チケットの再発行には、チケットを譲り受けた新たな使用予定者の顔写真データである変更顔写真データが必要である。従って、チケットを譲り受けた新たな使用予定者は、自己の顔写真データをチケット購入者に預けるとともに、チケット購入者に変更要求の手続きを行なってもらわなければ、自分の顔写真が印刷されたチケットを入手することができない。ここで、自分の顔写真データを見ず知らずの他人に預けることには心理的な抵抗があるので、知人間におけるチケットの譲渡は円滑に行なわれるが、見ず知らずの他人との間におけるチケットの譲渡は困難になる。よって、利用予定者の変更を許容しながら、転売目的などチケットの不正な購入を抑制することができる。
【0016】
本発明のチケット発行使用管理システムによれば、チケットが使用される際に、チケット使用者の顔の撮影データとチケットの利用予定者の顔写真データの顔認識を行うので、イベント会場の改札に配置した作業員の目視によらずに本人確認を行うことができる。また、撮影データと顔写真データの顔認識を行うので、目視による場合と比較して、本人確認を正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用したチケット発行使用管理システムの概略システム構成図である。
【図2】チケットの発行処理動作のフローチャートである。
【図3】チケットの再発行処理動作のフローチャートである。
【図4】チケットの使用管理動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したチケット発行使用管理システムの実施の形態を説明する。
【0019】
(全体構成)
図1は本発明を適用したチケット発行使用管理システムの概略システム構成図である。本例のチケット発行使用管理システム1は、顧客の情報端末2からのチケット3の発行要求をインターネット4経由で受け付けて、チケット3の使用予定者の顔写真3aが印刷されたチケット3を発行するチケット発行装置5と、チケット3を使用するコンサートなどのイベント会場の改札に設置され、チケット3の不正な使用を検出するチケット使用管理装置6を備えている。
【0020】
(チケット発行装置)
チケット発行装置5は、WEBサーバー10、データベースサーバー11、これらWEBサーバー10およびデータベースサーバー11と通信可能に接続されたチケット発行制御装置12を備えている。チケット発行制御装置12にはチケット3を発行するためのプリンター13が接続されている。
【0021】
WEBサーバー10は、インターネット4を介してWEBサーバー10に接続した顧客の情報端末2に、イベントの内容を掲載したホームページを提示するとともに、ホームページを介して顧客の情報端末2からのチケット3の発行要求を受け付ける。顧客の情報端末2は、携帯電話、PC、或いは、コンビニエンスストアなどに設置されているキオスク端末である。チケット3の発行要求には、チケット購入者の名前、住所などの購入者情報と、チケット3の使用予定者の顔写真データが含まれている。WEBサーバー10がチケット3の発行要求を受け付けると、発行要求はチケット発行制御装置12に送信される。
【0022】
また、WEBサーバー10は、既に発行されたチケット3について、チケット3に印刷されている顔写真3aを変更したチケット3を再発行するための変更要求を、ホームページを介して、受け付ける。変更要求には、既に発行されているチケット3を特定するためのチケット特定情報と、新しい利用予定者の顔写真3aを印刷するための変更顔写真データが含まれている。チケット特定情報は、チケット3のシリアルナンバーや、イベント会場における座席番号などチケット3を特定するための情報である。WEBサーバー10が変更要求を受け付けると、変更要求はチケット発行制御装置12に送信される。
【0023】
さらに、WEBサーバー10は、チケット3の発行要求を受信すると、この発行要求を送信した発行要求送信元を特定する発行要求送信元情報を取得する発行要求送信元情報取得部14と、変更要求を受信すると、この変更要求を送信した変更要求送信元を特定する変更要求送信元情報を取得する変更要求送信元情報取得部15を備えている。ここで、発行要求送信元情報および変更要求送信元情報は、本例では、情報端末2のIPアドレス、或いは、携帯電話の個体識別番号であり、これらは、WEBサーバー10によって容易に取得することが可能な情報である。発行要求送信元情報取得部14および変更要求送信元情報取得部15は、発行要求送信元情報および変更要求送信元情報を取得すると、これらをチケット発行制御装置12に送信する。
【0024】
データベースサーバー11は、発行されたチケット3に関する購入者情報、顔写真データ、チケット特定情報、および、発行要求情報送信元情報を対応付けた形態で記憶保持するチケット情報データベース16を備えている。
【0025】
チケット発行制御装置12はコンピューターであり、WEBサーバー10およびデータベースサーバー11との間で通信を行うための通信インターフェース17と、CPU、RAM、ROMを有する制御部18を備えている。WEBサーバー10からの発行要求、変更要求、発行要求情報送信元情報、および、変更要求情報送信元情報は、通信インターフェース17を介して制御部18に入力される。制御部18の出力側にはドライバー19を介してプリンター13が接続されている。制御部18は、チケット発行部20、チケット情報記憶保持部21、第2発行要求送信元情報取得部22、および、チケット再発行管理部23を備えている。
【0026】
チケット発行部20は、WEBサーバー10からの発行要求を受信すると、プリンター13を駆動制御して、チケット3を発行する。発行されたチケット3には、チケット特定情報と、顔写真データに基づく顔写真3aが印刷されている。発行されたチケット3は、発行要求に含まれている氏名、住所に郵送などの手段により届けられる。
【0027】
チケット情報記憶保持部21は、発行要求に基づいてチケット3が発行されると、発行されたチケット3に関するチケット特定情報、購入者情報、顔写真データ、および、発行要求送信元情報を対応付けた形態でチケット情報データベース16に記憶保持する。また、チケット情報記憶保持部21は、変更要求に基づいてチケット3が再発行されると、チケット情報データベース16において、変更要求に含まれている変更顔写真データを、チケット特定情報および発行要求送信元情報に対応付けられている顔写真データとする更新を行う。
【0028】
第2発行要求送信元情報取得部22は、WEBサーバー10からの変更要求を受信すると、変更要求に含まれているチケット特定情報に基づいてデータベースサーバー11のチケット情報データベース16を参照して、チケット特定情報に対応付けられている発行要求送信元情報を取得する。
【0029】
チケット再発行管理部23は、第2発行要求送信元情報取得部22が発行要求送信元情報を取得すると、この発行要求送信元情報と、WEBサーバー10からの変更要求送信元情報を比較し、一致している場合に、チケット特定情報と、変更顔写真データに基づく顔写真3aが印刷されているチケット3を発行する。
【0030】
また、チケット再発行管理部23は、第2発行要求送信元情報取得部22が取得した発行要求送信元情報とWEBサーバー10からの変更要求送信元情報とが相違している場合には、チケット3の再発行を行なわない。ここで、チケット3の再発行を行わなかった場合には、チケット再発行管理部23は、チケット3を発行できない旨のメッセージをWEBサーバー10に送信して、インターネット4を介してWEBサーバー10に接続している顧客の情報端末2に提示する。
【0031】
(チケット使用管理装置)
次に、イベント会場の改札に設置されているチケット使用管理装置6は、チケットリーダー(チケット特定情報取得部)30と、カメラ(撮影部)31と、チケットリーダー30およびカメラ31と通信可能に接続されているチケット使用管理制御装置32を備えている。チケット使用管理制御装置32には、ランプ33およびブザー34が接続されている。
【0032】
チケットリーダー30は、チケット使用者がイベント会場の改札を通過する際に、チケット使用者の所持するチケット3から、このチケット3が担持しているチケット特定情報を読み取る。本例では、チケットリーダー30は、チケット3の表面に印刷されているチケット特定情報を読み取るイメージスキャナーである。カメラ31は、チケット使用者の顔を撮影して撮影データを取得する。
【0033】
チケット使用管理制御装置32はコンピューターであり、データベースサーバー11との間で通信を行うための通信インターフェース35と、CPU、RAM、ROMを有する制御部36を備えている。制御部36の入力側には、チケットリーダー30およびカメラ31がドライバー37、38を介して接続されており、チケットリーダー30が取得したチケット3特徴情報およびカメラ31が撮影した撮影データは制御部36に入力される。制御部36の出力側には、ランプ33およびブザー34がドライバー39、40を介して接続されている。制御部36は、顔写真データ取得部41、不正使用判定部42、警告発生部43を備えている。
【0034】
顔写真データ取得部41は、チケットリーダー30が取得したチケット特定情報に基づいてデータベースサーバー11にアクセスしてチケット情報データベース16を参照し、チケット特定情報に対応付けられている顔写真データを取得する。
【0035】
不正使用判定部42は、顔写真データ取得部41が顔写真データを取得すると、撮影データと顔写真データとを用いた顔認識を行ない、当該顔認識の結果に基づいて、顔写真データの人物とチケット使用者が同一人物か否かを判定する。
【0036】
警告発生部43は、顔写真データの人物とチケット使用者が同一人物ではないと判定された場合に警告を発生させる。すなわち、ランプ33を点灯させるとともに、ブザー34を鳴動させる。
【0037】
(チケットの発行処理動作)
図2は、チケット3の発行要求からチケット3の発行までの処理動作を示すフローチャートである。チケット購入者が情報端末2を利用してインターネット4を介してWEBサーバー10にアクセスし、WEBサーバー10にチケット3の発行要求を入力すると、WEBサーバー10は入力された発行要求を取得して、チケット発行制御装置12に送信する(ステップST1)。また、WEBサーバー10の発行要求送信元情報取得部14は、発行要求を送信した情報端末2のIPアドレス、或いは、個体識別情報などの発行要求送信元情報を取得して、チケット発行制御装置12に送信する(ステップST2)。
【0038】
チケット発行制御装置12がWEBサーバー10からの発行要求を受信すると、チケット発行部20は、チケット特定情報と、発行要求に含まれている顔写真データに基づく顔写真3aが印刷されたチケット3を発行する(ステップST3)。
【0039】
チケット3が発行されると、チケット情報記憶保持部21は、チケット特定情報、購入者情報、顔写真データ、および、発行要求送信元情報を対応付けた形態でチケット情報データベース16に記憶保持する(ステップST4)。発行されたチケット3は、発行要求の購入者情報に含まれている氏名、住所に郵送などの手段により届けられる。
【0040】
(チケットの再発行処理動作)
次に、図3は、変更要求からチケット3の再発行までの処理動作を示すフローチャートである。既に発行されているチケット3について、チケット3に印刷されている顔写真3aを変更する変更要求がインターネット4を介してWEBサーバー10に入力されると、WEBサーバー10は入力された変更要求を取得して、チケット発行制御装置12に送信する(ステップST11)。また、WEBサーバー10の変更要求送信元情報取得部15は、変更要求を送信した情報端末2のIPアドレス、或いは、個体識別情報などの変更要求送信元情報を取得して、チケット発行制御装置12に送信する(ステップST12)。
【0041】
チケット発行制御装置12がWEBサーバー10からの変更要求を受信すると、第2発行要求送信元情報取得部22は、変更要求に含まれているチケット特定情報に基づいてチケット情報データベース16を参照して、チケット特定情報に対応付けられている発行要求送信元情報を取得する(ステップST13)。
【0042】
第2発行要求送信元情報取得部22が発行要求送信元情報を取得すると、チケット再発行管理部23は、この発行要求送信元情報と、WEBサーバー10からの変更要求送信元情報を比較する(ステップST14)。
【0043】
ステップST14において、発行要求送信元情報と変更要求送信元情報が一致している場合には、チケット再発行管理部23はチケット3を再発行する(ステップST15)。すなわち、チケット特定情報と、変更顔写真データに基づく顔写真3aが印刷されているチケット3を発行する。発行されたチケット3は、チケット情報データベース16において、チケット特定情報に対応付けられている購入者情報に含まれている氏名、住所に郵送などの手段により届けられる。ここで、チケット3が再発行されると、チケット情報記憶保持部21は、データベースサーバー11のチケット情報データベース16にアクセスして、変更顔写真データを、チケット特定情報および発行要求送信元情報に対応付けられている顔写真データとする更新を行う(ステップST16)。
【0044】
ステップST14において、発行要求送信元情報と変更要求送信元情報が一致していない場合には、チケット再発行管理部23は、チケット3の発行を中止する。また、チケット再発行管理部23は、チケット3を発行しない場合には、チケット3を発行できない旨のメッセージをWEBサーバー10に送信して、インターネット4を介してWEBサーバー10に接続している顧客の情報端末2に提示する(ステップST17)。
【0045】
(チケットの不正使用監視動作)
図4は、イベント会場の改札におけるチケット3の不正使用の監視動作のフローチャートである。イベント会場への入場を試みるチケット使用者は、改札において、チケットリーダー30にチケット3に印刷されているチケット特定情報を読み取らせる。チケットリーダー30がチケット特定情報を取得すると、チケット使用管理制御装置32に入力される(ステップST21)。
【0046】
また、チケット使用者がチケットリーダー30にチケット3を読み取らせている間に、チケット使用管理装置6は、チケット使用者の顔をカメラ31によって撮影する。撮影により得られたチケット使用者の顔の撮影データは、チケット使用管理制御装置32に入力される(ステップST22)。
【0047】
チケット特定情報がチケット使用管理制御装置32に入力されると、顔写真データ取得部41は、チケット特定情報に基づいてデータベースサーバー11にアクセスしてチケット情報データベース16を参照し、チケット特定情報に対応付けられている顔写真データを取得する(ステップST23)
【0048】
チケット情報データベース16から顔写真データが取得されると、不正使用判定部42は、撮影データと顔写真データとを用いた顔認識を行ない、チケット使用者と顔写真データの人物が同一人物か否かを判定する(ステップST24)。
【0049】
ステップST24において、顔写真データの人物とチケット使用者が同一人物であると判定された場合、すなわち、本人確認された場合には、警告発生部43は警告を発生させることなく、チケット使用者のイベント会場への入場を許可する(ステップST25)。ステップST24において、顔写真データの人物とチケット使用者が同一人物ではないと判定された場合には、警告発生部43は警告を発生する。すなわち、ランプ33を点灯させるとともに、ブザー34を鳴動させる(ステップST26)。
【0050】
(作用効果)
本発明のチケット発行装置5によれば、チケット3に印刷されている顔写真3aを新たな使用予定者の顔写真3aに変更するためのチケット3の再発行は、当該チケット3の発行要求が行われたときの発行要求送信元情報と、当該チケット3の顔写真3aを変更するための変更要求が行われたときの変更要求送信元情報が一致する場合に行なわれる。従って、チケット3の発行要求を行ったチケット購入者が変更要求を行わなければ、チケット3を再発行することが困難である。また、チケット3の再発行には、チケット3を譲り受けた新たな使用予定者の顔写真データである変更顔写真データが必要となっている。よって、チケット3を譲り受けた新たな使用予定者は、自己の顔写真データをチケット購入者に預けるとともに、チケット購入者に変更要求の手続きを行なってもらわなければ、自分の顔写真3aが印刷されたチケット3を入手することができない。ここで、自分の顔写真データを見ず知らずの他人に預けることには心理的な抵抗があるので、知人間におけるチケット3の譲渡は円滑に行なわれるが、見ず知らずの他人との間におけるチケット3の譲渡は困難になる。よって、利用予定者の変更を許容しながら、転売目的などチケット3の不正な購入を抑制することができる。
【0051】
また、本例によれば、チケット3が使用される際に、チケット使用者の顔の撮影データとチケット3の使用予定者の顔写真データの顔認識を行うので、イベント会場の改札に配置した係員の目視によらずに本人確認を行うことができる。さらに、チケット3は折り畳まれたり、皺が付いたりしている場合があるので、チケット3に印刷されている顔写真3aとチケット使用者の顔を目視によって見比べて本人確認をすることは容易ではないが、チケット使用者の顔の撮影データとチケット3の使用予定者の顔写真データを用いて顔認識を行うので、本人確認を正確に行うことが可能となる。
【0052】
(その他の実施の形態)
ここで、利用予定者を変更する変更要求が頻繁に繰り返される場合には、チケット3の不正な転売が行われている蓋然性が高い。このような転売を抑制するために、チケット発行制御装置12に、チケット3が再発行される毎に再発行回数を計数して、チケット特定情報と対応付けてチケット情報データベース16に記憶保持するチケット再発行管理部23を備えるとともに、チケット再発行管理部23がチケット3を再発行する際には、チケット特定情報に基づいてチケット情報データベース16を参照して再発行回数を取得し、再発行回数が予め定めた所定回数を超えている場合にチケット3の再発行を中止するようにしてもよい。
【0053】
また、上記の例では、チケット特定情報はチケット3に印刷されているが、チケット3に埋め込まれたICメモリーにチケット特定情報を記憶保持してもよい。この場合には、チケットリーダーとして、非接触の状態でICメモリーに記憶保持されている内容を取得することが可能なチケットリーダーを用いることができる。
【0054】
さらに、上記の例では、発行要求送信元情報および変更要求送信元情報は、IPアドレスや携帯電話の個体識別番号となっているが、発行要求および変更要求をメールで受け付ける場合には、発行要求送信元情報および変更要求送信元情報をメールアドレスとしてもよい。また、情報機器に搭載されているネットワーク装置のMACアドレスを発行要求送信元情報および変更要求送信元情報として取得してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1・・チケット発行使用管理システム、2・・情報端末、3・・チケット、3a・・顔写真、4・・インターネット、5・・チケット発行装置、6・・チケット使用管理装置、10・・WEBサーバー、11・・データベースサーバー、12・・チケット発行制御装置、13・・プリンター、14・・発行要求送信元情報取得部、15・・変更要求送信元情報取得部、16・・チケット情報データベース、17・・通信インターフェース、18・・制御部、19・・ドライバー、20・・チケット発行部、21・・チケット情報記憶保持部、22・・第2発行要求送信元情報取得部、23・・チケット再発行管理部、30・・チケットリーダー(チケット特定情報取得部)、31・・カメラ(撮影部)、32・・チケット使用管理制御装置、33・・ランプ、34・・ブザー、35・・通信インターフェース、36・・制御部、37〜40・・ドライバー、41・・顔写真データ取得部、42・・不正使用判定部、43・・警告発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チケット購入者から当該チケット購入者を特定するための購入者情報および当該チケットの使用予定者の顔写真データを含むチケットの発行要求を受信すると、当該発行要求を送信した発行要求送信元を特定する発行要求送信元情報を取得する発行要求送信元情報取得部と、
前記発行要求を受信すると、前記顔写真データに基づく顔写真が印刷されたチケットを発行するチケット発行部と、
前記チケットが発行されると、前記チケットを特定するためのチケット特定情報と前記発行要求送信元情報とを対応付けた形態でチケット情報データベースに記憶保持するチケット情報記憶保持部と、
前記顔写真を変更するための変更顔写真データおよび前記チケット特定情報を含む変更要求を受信すると、前記変更要求を送信した変更要求送信元を特定する変更要求送信元情報を取得する変更要求送信元情報取得部と、
前記変更要求を受信すると、前記変更要求に含まれている前記チケット特定情報に基づいて前記チケット情報データベースを参照して、前記チケット特定情報に対応付けられている前記発行要求送信元情報を取得する第2発行要求送信元情報取得部と、
前記変更要求送信元情報と、前記第2発行要求送信元情報取得部が取得した前記発行要求送信元情報とを比較して、一致している場合には、前記変更顔写真データに基づく顔写真が印刷されたチケットを再発行するチケット再発行管理部を備えていることを特徴とするチケット発行装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記チケット再発行管理部は、前記変更要求送信元情報と、前記第2発行要求送信元情報取得部が取得した前記発行要求送信元情報とを比較して、相違している場合には、前記チケットの再発行を行わないことを特徴とするチケット発行装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記発行要求送信元情報および前記変更要求送信元情報は、メールアドレス、IPアドレス、或いは、情報機器の個体を特定する個体特定情報であることを特徴とするチケット発行装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記チケットが再発行された再発行回数を計数する再発行回数計数部を備えており、
前記チケット再発行管理部は、前記再発行回数が予め定めた所定回数を超えた場合には、前記チケットの再発行を行わないことを特徴とするチケット発行装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記チケット発行部および前記チケット再発行管理部は、前記チケットを特定するためのチケット特定情報が担持されたチケットを発行することを特徴とするチケット発行装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記チケット情報記憶保持部は、前記発行要求に基づいて前記チケットが発行されると、前記チケット特定情報、前記発行要求送信元情報、および、前記顔写真データを対応付けた形態で前記チケット情報データベースに記憶保持し、前記変更要求に基づいて前記チケットが再発行されると、前記チケット情報データベースにおいて、前記変更顔写真データを、前記チケット特定情報および前記発行要求送信元情報に対応付けられている前記顔写真データとする更新を行うことを特徴とするチケット発行装置。
【請求項7】
請求項6に記載のチケット発行装置と、
前記チケット情報データベースに接続可能なチケット使用管理装置とを有し、
前記チケット使用管理装置は、
前記チケットが使用される際に当該チケットから前記チケット特定情報を取得するチケット特定情報取得部と、
前記チケットを使用しているチケット使用者の顔を撮影して撮影データを取得する撮影部と、
前記チケット特定情報に基づいて前記チケット情報データベースを参照して、前記チケット特定情報に対応付けられている前記顔写真データを取得する顔写真データ取得部と、
前記撮影データと前記顔写真データとを用いた顔認識を行ない、当該顔認識の結果に基づいて、前記顔写真データの人物と前記チケット使用者が同一人物か否かを判定する不正使用判定部と、
同一人物ではないと判定された場合に、警告を発生させる警告発生部とを備えていることを特徴とするチケット発行使用管理システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−220973(P2012−220973A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82510(P2011−82510)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】