説明

チゲサイクリンのための製造プロセス

【課題】バルク製造において、チゲサイクリンのエピマー化および酸化を制御する製造プロセスを提供する。
【解決手段】本明細書において、静脈内注入に適合するチゲサイクリンの調製物のための製造プロセスが開示される。具体的には、本発明の重要な特徴は、上記プロセスの段階の間、温度および酸素レベルを制御することである。チゲサイクリンは、非反応性ガス(例えば、窒素)を含む不活性ガス媒体を注入すること、および温度の制御により、プロセスの間保護される。本発明の実施形態は、バルク水溶液の温度制御と共に、溶存酸素のレベルを制御することにより、0.9%未満の総分解物量でのチゲサイクリンの製造を提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、チゲサイクリンの調製物のための製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
チゲサイクリンは、広範な抗菌活性のスペクトルを有する抗生物質である。重要なことに、チゲサイクリンは、いくつかのバクテリア耐性株に対して効果的である。粉末状態でのチゲサイクリンは、静脈内注入前に、適合する再構成希釈剤の添加により再構成される。抗生物質チゲサイクリンは、t−ブチルグリシル置換ナフタセンカルボキサミド遊離塩基である。
【0003】
しかし、チゲサイクリンは、大気中の酸素による酸化的分解を含む分解、およびエピマー形成に対して脆弱なため、製造が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、バルク製造において、チゲサイクリンのエピマー化および酸化を制御する製造プロセスに対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、凍結乾燥された粉末状態のバルク製造の間エピマー形成および酸化分解を制御することによる、チゲサイクリンのための製造プロセスに関する。具体的には、本発明の重要な特徴は、上記プロセスの段階の間、温度および酸素レベルを制御することである。チゲサイクリンは、非反応性ガス(例えば、窒素)を含む不活性ガス媒体を注入すること、および温度の制御により、プロセスの間保護される。
【0006】
本発明の実施形態は、バルク水溶液の温度制御と共に、溶存酸素のレベルを制御することにより、0.9%未満の総分解物量でのチゲサイクリンの製造を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる実施形態は、0.9%未満の総分解産物を有する再構成可能な粉末としてのチゲサイクリンのための製造プロセスを提供することであり、そして少なくとも80Lスケールにおける、注射用水(WFI)とチゲサイクリンとの溶液からチゲサイクリンの再構成可能な粉末をさらに提供することである。
【0008】
本発明の実施形態は、約10mg/mL〜50mg/mL、好ましくは20mg/mLの濃度でのWFI水におけるチゲサイクリンの製造プロセスを提供することである。ここで、上記水中の酸素レベルは、該水に窒素ガスを注入することにより0.5ppm未満であり、そして該溶液が、バイアルに添加され得、該バイアル中のその溶液が、再構成可能な粉末に凍結乾燥され得る。
【0009】
本発明のさらなる実施形態は、チゲサイクリン粉末の上記製造の間、バルク溶液のための約13時間〜約24時間の総製造保持時間を有する製造プロセスを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる実施形態は、静脈内投与前の再構成が利用可能な、そして少なくとも
18ヶ月の貯蔵寿命を有するチゲサイクリン粉末を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる実施形態は、上記WFI水が、約2℃〜約8℃の温度である製造プロセスを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、最初のバイアルの充填から凍結乾燥サイクルの開始までの6時間の最大滅菌保持時間を提供することである。
【0013】
本発明の実施形態は、以下の段階を含む0.9%未満の総分解産物を有する再構成可能な粉末としてのチゲサイクリンの生成のための製造プロセスを提供することである:
a.約2℃〜約8℃の温度を維持しながら、WFI水中の酸素レベルを0.5ppm以下に低下させ、そして維持する段階;
b.上記温度および酸素レベルを維持しながら、約10mg/mL〜50mg/mLの濃度にて、段階aの上記水おいてチゲサイクリンの溶液を形成する段階;
c.段階bの上記溶液を、バイアルに充填する段階;
d.段階cの上記溶液を凍結乾燥し、バイアル中に25mg〜150mgの再構成可能な粉末を形成する段階;および
e.窒素下で、上記バイアルをシールする段階。
【0014】
好ましくは、上述のプロセスの段階bにおけるチゲサイクリンの溶液は、約20mg/mlの濃度である。
【0015】
好ましくは、50mg〜150mg、さらに好ましくは50mgの再構成可能な粉末が、上述のプロセスの段階dのバイアル中に存在する。
【0016】
凍結乾燥され、そして再構成されたチゲサイクリンの粉末は、実質的に図1で示されるような逆相HPLC溶出プロフィールを有することが分析された。
【0017】
本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
0.9%未満の総分解産物を有する再構成可能な粉末としてのチゲサイクリンの生成のための製造プロセスであって:
a.約2℃〜約8℃の温度を維持しながら、WFI水中の酸素レベルを0.5ppm以下に低下させ、そして維持する段階;
b.該温度および酸素レベルを維持しながら、約10mg/mL〜50mg/mLの濃度にて、段階aの該水においてチゲサイクリンの溶液を形成する段階;
c.段階bの該溶液を、バイアルに充填する段階;
d.段階cの該溶液を凍結乾燥し、バイアル中に25mg〜150mgの再構成可能な粉末を形成する段階;
e.窒素下で、該バイアルをシールする段階、
を包含する、製造プロセス。
(項目2)
項目1に記載の製造プロセスであって、前記プロセスの段階bにおけるチゲサイクリンの前記溶液が、約20mg/mLの濃度である、製造プロセス。
(項目3)
項目1または項目2に記載の製造プロセスであって、前記プロセスの段階dにおける50mg〜150mgの再構成可能な粉末が、前記バイアル中に存在する、製造プロセス。
(項目4)
項目1〜項目3のいずれか1項に記載のプロセスであって、段階bにおいて、チゲサイクリンの前記水溶液が、80Lに等しいか、または80Lよりも多い、プロセス。
(項目5)
項目1〜項目4のいずれか1項に記載のプロセスであって、段階aにおける水中の前記酸素レベルが、窒素を注入することにより、0.5ppmであるか、または0.5ppm未満である、プロセス。
(項目6)
項目1〜項目4のいずれか1項に記載のプロセスであって、段階aにおける水中の前記酸素レベルが、窒素を注入することにより、約0.4ppmであるか、または0.4ppm未満である、プロセス。
(項目7)
項目1〜項目4のいずれか1項に記載のプロセスであって、段階aにおける水中の前記酸素レベルが、窒素を注入することにより、約0.1ppmであるか、または0.1ppm未満である、プロセス。
(項目8)
項目1〜項目7のいずれか1項に記載のプロセスであって、静脈内投与の前の、再構成が利用可能なチゲサイクリンの粉末が、少なくとも18ヶ月の貯蔵寿命を有する、プロセス。
(項目9)
項目1の上記プロセスに記載の製造された凍結乾燥チゲサイクリン粉末であって、該チゲサイクリンの粉末が、実質的に図1で示されるような逆相HPLC溶出プロフィールを有する、凍結乾燥チゲサイクリン粉末。
(項目10)
項目1〜項目8のいずれか1項に記載のプロセスにより製造された、生成物。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、製造プロセスからのチゲサイクリンの逆相HPLC溶出プロファイルの代表的なクロマトグラムを示す。
【図2】図2は、チゲサイクリン製造プロセスの段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、0.9%未満の総分解物を有する再構成可能な粉末としてのチゲサイクリンのための製造プロセスを提供する。上記チゲサイクリンの再構成可能な粉末を調製するためのプロセスは、80Lの、または80Lよりも大きなスケールにおける、注射用水(WFI)とチゲサイクリンとの溶液から提供され得る。
【0020】
総分解産物により、本発明者らは、チゲサイクリンの分解の結果である化合物または生成物を意味する。これら化合物または生成物としては、チゲサイクリンの酸化によって形成されるもの(例えば、C−11位でヒドロキシル基を形成するか、または次いでC−6位で脱水して6−エン産物を形成する)、あるいは副反応(例えば、脱カルボキシル化、加水分解、光化学反応、または閉環)(C−4位での光誘導反応によって、加水分解および脱アミノを通して形成される生成物)によって形成される化合物または生成物が挙げられる。エピマーは、上記定義に含まれる。ミノサイクリン、および9−アミノ ミノサイクリンは、上記定義から除外される。
【0021】
「0.9%未満の総分解産物」により、本発明者らは、チゲサイクリンの溶液形成後であるが凍結乾燥前である24時間における、チゲサイクリンに対する総分解産物量の割合が0.9%未満であることを意味する。
【0022】
一般的に、上記プロセスは、約10mg/ml〜50mg/ml、好ましくは20mg/mLの濃度でのWFI水におけるチゲサイクリンの溶液を提供する。ここで、上記水中
の酸素レベルは、該水に窒素ガスを注入することにより0.5ppm未満であり、そして該溶液が、バイアルに添加され得、該バイアル中のその溶液が、再構成可能な粉末に凍結乾燥され得る。
【0023】
本発明は、再構成に利用でき、そしてさらに少なくとも18ヶ月の貯蔵寿命を有するチゲサイクリン粉末の生成のための、約13時間〜約24時間のバルク溶液に対する総製造保持時間を有する製造プロセスを提供する。
【0024】
本発明は、製造プロセスを提供する。ここで、WFI水は、約2℃〜約8℃の温度で保持され、そして上記水は、酸素レベルが5ppm未満となるように、さらに窒素を注入される。
【0025】
最初のバイアルのバルク溶液の充填から凍結乾燥サイクルの開始までの6時間の最大滅菌保持時間は、分解の制御を確実にするために開発された。
【0026】
本発明は、チゲサイクリンを添加する前に、約2℃〜約8℃の温度を維持しながら、0.5ppm未満にWFI水中の酸素レベルを先ず低下させ、そして維持し、そして上記温度および酸素レベルをなお維持しながら、約10mg/mL〜50mg/mLの溶液を形成することにより、0.9%未満の総分解産物を有する再構成可能な粉末としてのチゲサイクリンの生成のための製造プロセスを提供する。チゲサイクリンの水溶液は、バイアルに添加され得、さらに再構成可能な粉末に凍結乾燥され得、そしてこのバイアルはさらに、窒素下でシールされ得る。
【0027】
好ましくは、チゲサイクリンの溶液が、20mg/mlであり、そして上記バイアルが、凍結乾燥後約50mgの再構成可能な粉末を有する。
【実施例】
【0028】
以下の実施例は、本発明のプロセスを記述し、例示だけの目的のために示される。本発明は、詳細に、そして具体的な実施形態を参照して記載されているが、種々の変更および改良が、本発明の主旨および意図から逸脱することなく、このような実施形態に対して行われ得ることは、当業者にとって明らかである。
【0029】
以下は、代表的なバッチサイズである80Lでの、注射用チゲサイクリン(Tigecycline)のための代表的な製造プロセスを記載する。
【0030】
非滅菌バルク配合段階
1.バルク配合段階を開始する前に、配合ライン、充填ライン、配合物輸送ラインならびに配合タンク、中間タンク、および貯蔵タンクを、濾過された窒素で、パージする。
【0031】
2.注射用水の要求量の約95%(76L)を配合タンクに添加し、溶存酸素量が0.5mg/L(ppm)以下となるまで、濾過された窒素を注入しながら2℃〜8℃に水を冷却する。
【0032】
3.上記水の溶存酸素量を測定する。上記溶存酸素量が、0.5mg/Lより高い場合には、溶存酸素量が0.5mg/L(ppm)以下となり、そして温度が2℃〜8℃となるまで、上記水に、濾過された窒素を注入し続ける。
【0033】
4.注入を続け、濾過された窒素で貯蔵タンクを加圧する。薬物物質を添加する前に、配合タンク中の上記水の窒素ガス注入を中止し、濾過された窒素で一面を覆い続ける。
【0034】
5.全体のプロセスの間中、濾過された窒素のフローを維持することにより、薬物物質が空気に曝されないことを確実にしながら、1600gの薬物物質を上記タンクに添加する。
【0035】
6.上記バルク溶液を撹拌する。上記溶液の温度は2℃〜8℃でなければならない。
【0036】
7.最終的な体積/重量(80L)に達するまで、注射用水を配合タンクに添加し、溶液を撹拌する。
【0037】
8.配合タンクにおいて、濾過された窒素で覆うことを維持する。溶存酸素量を測定する。
【0038】
9.上記溶液の溶存酸素量が0.5mg/Lより高い場合には、安定な溶存酸素量測定値が得られるまで、濾過された窒素を注入し続ける。
【0039】
無菌濾過および無菌充填
1.滅菌したガラスバイアル中に充填し、定期的に充填重量を検査する。バイアルを部分的に閉める。このプロセスは、6時間(最大許容可能な滅菌溶液の保持時間)で完了すべきである。
【0040】
2.部分的に閉められたバイアルを、充填機器からトレイに載せる。密閉された輸送カートに、満載されたトレイを置く。
【0041】
3.この段階までの製造プロセスは、13時間〜24時間(最大許容可能なバルク溶液の保持時間)で完了すべきである。
【0042】
凍結乾燥
1.棚の入口の温度を2℃(±5℃)に設定する。
【0043】
2.上記バイアルを載せる。
【0044】
3.上記凍結乾燥器のドアを閉め、サイクルを開始する。
【0045】
4.棚の入口の温度を−45℃に下げる。棚の入口での、−45℃(±5℃)の温度を、4時間保持するか、または−17℃以下の生成物温度に達するまで、保持する。
【0046】
5.最初の乾燥段階を開始する前に、チャンバー圧力を150mトール(mT)±150mTに下げる。
【0047】
6.上記生成物の崩壊温度(−6.5℃)/共融温度(−0.74℃)未満の生成物温度に制限するために、棚温度を上げることによって最初の乾燥を開始し、最大20時間(棚温度:−10℃〜+25℃)続けるか、または生成物温度が0℃より高くなるまで続ける。
【0048】
7.上記棚の入口の温度を40℃(±5℃)まで上げることによる最後の乾燥を行い、9時間保持するか、または生成物温度が、少なくとも3時間、30℃より高く維持されるまで、保持する。
【0049】
8.濾過された窒素で、12.5psi(±0.5psi)の部分真空に弱め、上記バイアルを完全に閉める。
【0050】
9.部分真空を大気圧に弱める。
【0051】
10.上記乾燥器からバイアルを取り出し、クリンプでシールする(crimp−seal)。
【0052】
HPLC試験
サンプルバイアルの内容物を、希釈剤に溶解する。必要であれば、サンプル溶液を希釈し、そしてグラジエント溶出を使用して、逆相カラムによりクロマトグラフィを行う。不純物を、付随して得られる、サンプル調製物クロマトグラムにおける不純物ピークの面積と、標準調製物クロマトグラムにおけるチゲサイクリンピークの平均面積との比較により決定する。
【0053】
クロマトグラフィのカラム(長さ約15cm、内径約4.6mm)を、Inertsil ODS2(粒径5μm)または等価物によりパックする。
【0054】
検出器―248nmで、フルスケール当たり約0.5吸光度単位の感度で操作できる、紫外線分光光度検出器。
【0055】
試薬および材料
アセトニトリル―HPLCグレード。
水―HPLC適合。
リン酸―試薬グレード、約87%HPO
水酸化カリウム溶液(1N)―試薬グレード。
トリフルオロ酢酸―試薬グレート。
二塩基性リン酸カリウム―KHPO、HPLCグレード。
ナトリウムEDTA―(エチレンジニトリロ)−4酢酸2ナトリウム塩−HPLCグレード。
ナトリウム亜硫酸水素塩―NaHSO、試薬グレード。
移動相A―950mLの水に、二塩基性リン酸カリウムの4.35gおよびナトリウムEDTAの0.93gを溶解する。リン酸により、pHを6.4に調整する。50mLのアセトニトリルを添加し、よく混合する。必要な場合は、孔径0.45μmの膜フィルターで濾過する。必要な場合は、脱気する。
移動相B―500mLの水に二塩基性リン酸カリウムの4.35gおよびナトリウムEDTAの0.93gを溶解する。リン酸により、pHを6.4に調整する。500mLのアセトニトリルを添加し、よく混合する。必要な場合は、孔径0.45μmの膜フィルターで濾過する。必要な場合は、脱気する。
【0056】
希釈剤―1リッター容量フラスコに、二塩基性リン酸カリウムの4.35gおよびナトリウム亜硫酸水素塩の0.50gを秤量する。水で溶解し、水で容量まで希釈する。1N水酸化カリウムにより、この溶液のpHを8.0に調整する。
【0057】
EDTA溶液―1リッター容量フラスコに、ナトリウムEDTAの3.7gを秤量する。950mLの水で溶解する。50mLアセトニトリルを添加し、よく混合する。
【0058】
チゲサイクリン参考標準―既知の濃度。
【0059】
以下の材料、方法、および手順を使用して、チゲサイクリン溶液の純度プロフィールにおける処理パラメータ(例えば、温度、時間、および溶存酸素量)の効果を調査するための、さらなる研究の結果を、表A〜Oにおいて示す。
【0060】
(材料および方法)
チゲサイクリン薬物物質 ロット番号 871858C
0.1N NaOH ロット番号 9712031
0.1N HCl ロット番号 2853
滅菌注射用水 ロット番号 J3N472(B.Braun)
(手順)
実験を、標準的な実験室の明るさの条件下で、プラスチックのグローブバック中で実施した。プラスチックのグローブボックスを、ビーカーのヘッドスペースを制御するために使用する。バッチサイズを、200mLとした。
【0061】
1.意図どおりに溶液中の酸素レベルを達成するために、窒素と空気の混合物を含む上記グローブバッグを準備する。
【0062】
2.マグネットスターラー上に、被覆されたビーカーを置く。ビーカーとクーラーを接続する。上記クーラーを所望される設定値に設定する。
【0063】
3.200mLの滅菌注射用水(SWFI)を上記ビーカーに添加する。平衡化させる。温度および酸素量を測定する。所望した条件に達するときに、正確に秤量されたAPIを添加し、溶解するまで混合する。必要であれば、溶解を助けるためにスパチュラーを使用する。pHを調整するために、製造用の、0.1N NaOHと0.1N HClのいずれかの4mL、および196mLの注射用水(WFI)を使用する。
【0064】
4.完全な溶解後、約5.5mLの溶液をバイアルに移し、それらを閉める。これらバイアルを、適切なヘッドスペース条件で閉める。適切な温度条件中にこのバイアルを置く。
【0065】
5.1時間、4時間、8時間、10時間、12時間、および24時間で、上記バイアルをサンプリングする。上記サンプルを分析のために送る。翌日の分析のために、−20℃で、上記10時間、12時間、および24時間のサンプルを冷凍する。
【0066】
6.pHを測定し、各時点での溶液の色を記録する。
【0067】
(結果)
(実験条件)
上記1時間のサンプルを、直接ビーカーから取る。ヘッドスペース条件の模擬実験をするために、より遅い時点でのサンプルを、上記バッグのガス体で処理された、閉じたバイアルにおいて収集し、それから個々の温度条件を維持するために、水浴または冷蔵庫に配置した。これは、実験室における安全性を維持するために行った。使い捨てプラスチックグローブバッグは、サンプル中の所望される溶存酸素(DO)量をもたらすヘッドスペース酸素レベルを維持するために、窒素および空気の混合物の一定のフローを要求する。サンプルのpHを、各サンプリング時点で、測定した。
【0068】
(濃度および分解のプロファイル)
濃度および分解のプロファイルを、上記記載したように、HPLCにより分析した。結果は、上記プロセスから酸素を除去し、温度を制御する場合、ほとんど分解が見られないことを、示している。分解は、より高温条件下で、わずかにより高かった。
【0069】
上記さらなる研究の結果は、上記プロセスから酸素を除去する場合、ほとんど分解が見られないことを、示している(試行H、I、及びK〜Oを参照のこと)。分解は、より高
温条件下で、わずかにより高かった。研究されたpHの範囲(7.7〜8.2)は、チゲサイクリンのバルク溶液の分解において、重要な効果を有さなかった。しかし、わずかにより高い分解が、pH8.2、温度8℃、かつ溶存酸素2ppmでのサンプルで見られた(pH7.7、同じ温度、かつ同じ溶存酸素量での溶液と比較した場合)。24時間後の総分解量は、温度と溶液中の溶存酸素レベルとの間の相互作用を示している。バルク溶液を調整する温度、または保持する温度に関係なく、上記酸素レベルが、0ppmと約0.4ppmとの間である場合には、見出される分解要素の総量は最小となる。0.4ppmの酸素レベル〜1.2ppmの酸素レベル―上記酸素レベルが増加する場合に、バルク溶液が生成される温度、および保持される温度を、4℃から2℃に低くする限り、分解生成物の総量は、なお最小であり得る。比較の試行A〜GおよびJで示されるように、受け入れることができない分解産物レベルが見出される。
【0070】
【化1】

【0071】
【化2】

【0072】
【化3】

【0073】
【化4】

【0074】
【化5】

【0075】
【化6】

【0076】
【化7】

【0077】
【化8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−24252(P2010−24252A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254475(P2009−254475)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【分割の表示】特願2008−517178(P2008−517178)の分割
【原出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】