チゲサイクリンの結晶性固体形態およびその調製方法
【課題】チゲサイクリンの結晶性固体、フォームI、フォームII、フォームIII、フォームIV、およびフォームV、これらの結晶性固体を含む組成物、ならびにこれらの結晶性固体を提供すること。
【解決手段】チゲサイクリンの結晶性固体、フォームI、フォームII、フォームIII、フォームIV、およびフォームV、これらの結晶性固体を含む組成物、ならびにこれらの結晶性固体を調製する方法が本明細書に記載される。
【解決手段】チゲサイクリンの結晶性固体、フォームI、フォームII、フォームIII、フォームIV、およびフォームV、これらの結晶性固体を含む組成物、ならびにこれらの結晶性固体を調製する方法が本明細書に記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月27日付出願の米国仮出願番号第60/684,955号の優先権を主張し、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、チゲサイクリンの結晶性固体形態、その組成物、およびそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
チゲサイクリンは、テトラサイクリン系抗生物質およびミノサイクリンの化学類似体である。薬物耐性大腸菌に対する治療として用いられており、他の抗生物質が作用しない場合に作用することが示されている。例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、バンコマイシン耐性腸球菌(D.J.Beidenbachら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 40:173−177(2001);H.W.Boucherら,Antimicrobial Agents & Chemotherapy 44:2225−2229(2000);P.A.Bradford Clin.Microbiol.Newslett.26:163−168(2004);D.Milatovicら,Antimicrob.Agents Chemother.47:400−404(2003);R.Patelら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 38:177−179(2000);P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.46:2595−2601(2002);およびP.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999))、およびテトラサイクリン耐性の2つの主要形態:汲み出しおよびリボソームの保護のいずれかで輸送する生物(C.Betriuら,Antimicrob.Agents Chemother.48:323−325(2004);T.Hirataら.Antimicrob.Agents Chemother.48:2179−2184(2004);およびP.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999))に対して活性である。
【0004】
チゲサイクリンは、経口投与されると、一般に低いバイオアベイラビリティを示すため、歴史的に静脈内投与されている。静脈内液剤は、滅菌水、0.9%塩化ナトリウム注射(米国薬局方(USP))、または5%ブドウ糖注射(米国薬局方)を用いて非晶質粉末を復元することにより調製されてもよい。チゲサイクリンは、典型的には、滅菌用賦形剤なしに凍結乾燥を介して非晶質粉末の状態にされる。しかしながら、チゲサイクリンは分解する傾向にあるため、該粉末を低酸素および低温の条件下で調製かつ処理する。特殊な装置および操作を必要とするのでかかる処理は費用がかかる。加えて、非晶質は一般に、同一化合物の結晶形より安定性が低い。(Polymorphism in Pharmaceutical Solids,H.G.Brittain(ed.),1999,p.208)。したがって、特殊な操作システムを必要とせずに結晶性固体形態のチゲサイクリンを使用および製造することができるなら好都合であろう。
【0005】
結晶化合物は、分子の規則配列を有する固体であるのに対し、非晶質化合物は不規則な分子からなる。かかる配列はまた結晶格子と称され、単位格子と呼ばれる繰り返し構造部分からなる。有機分子などの同一分子が、一つ以上の方法にて固体中でそれ自体を順序づけうる場合、該分子は、いわゆる多形を示す。例えば、元素炭素は、(同素体と称される元素における)多形を示す。固体炭素は、3種の既知の結晶性固体形態:グラファイト、ダイヤモンド、およびフラーレンで存在する。各結晶性固体形態は炭素であるが、各形態の固体構造は異なっているので、各々異なる性質を有する。例えば、ダイヤモンドは既知の最も硬い物質の一つであるのに対し、グラファイトは非常に柔らかいものである。多数の有機化合物もまた、該化合物がどのように詰まって結晶性固体を形成するのかでその構造が異なる点で多形であることが知られている(例えば、Stephenson,G.A;Stowell,J.G;Toma,P.H;Dorman,D.E.;Greene,J.R.;Byrne,S.R.;「Solid state analysis of polymorphic,isomorphic and solvated forms of Dirithromycin」,J.Am.Chem.Soc.,1994,116,5766を参照)。
【0006】
原子が化学結合して分子を形成する化学構造に基づいて、一の化合物が結晶を形成するか、どのような条件下でもそれが晶出するか、どのくらい多くの固体化合物が存在しうるか、またはこれらのいずれかが固体構造を形成するか、どうかについて、人々はある程度の確信を持って予測することはできない。本明細書に用いられる「固体構造」なる語は、固体を形成するために分子が詰まっている場合に得られる構造を意味する。
【0007】
時々、溶媒または水分子は、結晶性固体の結晶格子の一部となっている。かかる結晶性固体は各々、溶媒和物または水和物として称される。溶媒和物、水和物、および多形体は、結晶性固体形態と呼ばれることが多い。ここで、ほとんどの固体化学分野において、弱い結合の溶媒和物および水和物はまた、溶媒または水分子がチャネル中に存在する結晶性固体形態として含まれるかあるいは結晶格子の一部とはならない。非晶形は、固体形態として称されることが多いが、結晶性固体形態ではない。
【0008】
同一化合物の異なる結晶性固体形態は、融点、溶解度、操作および安定度などの異なる固体特性を有することが多い。したがって、同一化合物の異なる結晶性固体形態を同定するとすぐに、与えられた一連の処理および製造条件下の最適な結晶性固体形態ならびに各結晶性固体形態の異なる固体特性を測定してもよい。
【0009】
固体化学における当業者が固体を分析するために用いうる分析手法は多数存在する。本明細書に用いられる「分析する」なる語は、固体形態の固体構造についての情報を得ることを意味する。例えば、X線粉末回折は、非晶質固体形態を結晶性固体形態と識別する適当な手法ならびに化合物の結晶性固体形態を特徴付けおよび同定する適当な手法である。X線粉末回折はまた、混合物中の結晶性固体形態(複数でも可)の量を定量化するのに適当である。X線粉末回折において、X線は結晶上に向けられ、回折X線の強度は、X線源と試料に回折されたビーム間の2倍角の関数として測定される。かかる回折X線の強度は、X線源と回折X線間の2倍角(これは「2θ」角として知られている)であるx軸および回折X線のピーク強度であるy軸とのピークとしてグラフ上にプロットされうる。かかるグラフは、X線粉末回折パターンまたは粉末パターンと呼ばれる。x軸上のピークの位置は結晶の固体構造の特性であるので、異なる結晶性固体形態は異なる粉末パターンを示す。
【0010】
かかる粉末パターン、またはその位置は、結晶性固体形態についての同定フィンガープリントとして用いられうる。したがって、未知の試料の粉末パターンを得ることができ、かかる粉末パターンと基準粉末パターンを比較することができる。正の適合は、未知の試料が参照試料と同一の結晶性固体形態であることを意味するであろう。既知の化合物の粉末パターンを加減することにより固体形態の混合物を含有する未知の試料を分析することもできる。
【0011】
結晶性固体形態を特徴付けるために粉末パターンにおけるピークを選定する場合または形態を同定するために基準粉末パターンを用いる場合、他の固体形態に含まれない一形態におけるピークまたは一群のピークを同定する。
【0012】
本明細書に用いられる「特徴付ける」なる語は、一の固体形態と別のものを識別することができる適当な一連のデータを選定することを意味する。X線粉末回折におけるかかる一連のデータは、1つまたは複数のピークの位置である。チゲサイクリンX線粉末回折ピークが特定の形態を定義する選定は、その形態を特徴付けるといわれている。
【0013】
本明細書に用いられる「同定する」なる語は、固体形態の特性データを選定し、その形態が試料中に含まれるかどうかを決定するためにかかるデータを用いることを意味する。X線粉末回折において、かかるデータは、上記のように問題となっている形態を特徴付けている1つまたは複数のピークのx軸の位置である。例えば、選択された多数のX線回折ピークが、チゲサイクリンの特定の固体形態を特徴付けることを決定するとすぐに、かかる形態がチゲサイクリンを含有する試料中に含まれるかどうかを決定するためにそれらのピークを用いうる。
【0014】
同一化学物質の結晶性固体形態をX線粉末回折で特徴付けおよび/または同定する場合、全粉末パターンを用いる必要のない場合が多い。全粉末パターンのより小さな部分を用いて特徴付けおよび/または同定を行いうることが多い。化合物の結晶性固体形態を他の結晶性固体形態と区別する一群のピークを選択することにより、人々はこれらのピークを信頼して、例えば、未知の混合物にてその形態を特徴付けること、およびその形態を同定することができる。その形態を特徴付けおよび/または同定する、もう一つ別の分析手法からなどの付加的なデータ、あるいは粉末パターンからの付加的なピークを加えることで、例えば、後になって、付加的な多形が同定されるであろう。
【0015】
機器、試料、および試料調製間の差異により、ピーク値は、ピーク値の前の「約」なる修飾語句で記録される。ピーク値の固有変化のため、これは固体化学分野においてありふれたものである。粉末パターンにおけるピークのx軸値2θの典型的精密度は、約±0.2°(2θ)である。したがって、「約9.2°(2θ)」に出現する粉末回折ピークは、ほとんどの条件下にてほとんどのX線回折計で測定するとピークが9.0°(2θ)と9.4°(2θ)の間にありうることを意味する。ピーク強度における変動は、個々の結晶が(「好ましい配向」として知られる)外部X線源に関する試料容器でどの程度配向であるかという結果である。かかる配向効果は、結晶に対する構造情報を提供しない。
【0016】
X線粉末回折は、複数の分析手法のまさに一つであり、結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するために用いてもよい。ラマン(Raman)(顕微ラマンを含む)、赤外線、および固体NMR分光法などの分光法は、結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するために用いられてもよい。該手法をまた、混合物中の1種または複数の結晶性固体形態の量を定量化するために用いてもよい。
【0017】
同一化合物の異なる結晶性固体形態は、識別できない融点を有する可能性があるため、融点などの熱的手法は、それ自体が化合物の異なる結晶性固体形態を特徴付けおよび/または同定する必要はない。しかしながら、かかる状況において、融点は、結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するためにX線粉末回折などの別の分析手法と共に用いられうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】D.J.Beidenbachら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 40:173−177(2001)
【非特許文献2】H.W.Boucherら,Antimicrobial Agents & Chemotherapy 44:2225−2229(2000)
【非特許文献3】P.A.Bradford Clin.Microbiol.Newslett.26:163−168(2004)
【非特許文献4】D.Milatovicら,Antimicrob.Agents Chemother.47:400−404(2003)
【非特許文献5】R.Patelら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 38:177−179(2000)
【非特許文献6】P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.46:2595−2601(2002)
【非特許文献7】P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999))
【非特許文献8】C.Betriuら,Antimicrob.Agents Chemother.48:323−325(2004)
【非特許文献9】T.Hirataら.Antimicrob.Agents Chemother.48:2179−2184(2004)
【非特許文献10】P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999)
【非特許文献11】Polymorphism in Pharmaceutical Solids,H.G.Brittain(ed.),1999,p.208
【非特許文献12】Stephenson,G.A;Stowell,J.G;Toma,P.H;Dorman,D.E.;Greene,J.R.;Byrne,S.R.;「Solid state analysis of polymorphic,isomorphic and solvated forms of Dirithromycin」,J.Am.Chem.Soc.,1994,116,5766
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、フォームI、フォームII、フォームIII、フォームIV、およびフォームVとして同定されるチゲサイクリンの結晶性固体形態に関する。本発明はまた、チゲサイクリンの1種または複数の結晶性固体形態を含有する、医薬組成物を含む、組成物に関する。さらに、本発明は、チゲサイクリンの結晶性固体形態を調製する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】フォームIチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図2】フォームIIチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図3】フォームIIIチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図4】フォームIVチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図5】フォームVチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図6】チゲサイクリンのフォームI−VのX線粉末回折オーバーレイである。
【図7】チゲサイクリンのフォームI−VのX線粉末回折オーバーレイの拡大版である。
【図8】フォームIIのチゲサイクリンの熱重量分析(「TGA」)である。
【図9】フォームIIのチゲサイクリンのTGA加熱−冷却サイクルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
2種のX線回折計は、本発明に通じる研究に用いられた。図1および図2のデータは、リガク製ミニフレックス回折システム(Rigaku Miniflex Diffraction System)(Rigaku MSC Inc.,東京、日本)を用いて収集された。粉末試料は、ゼロバックグラウンド(zero−background)研磨シリコン試料保持器で貯蔵された。標準フォーカス銅X線管は、30kVおよび15mAで操作され、機器はNi Kフィルターを備えている。試料スキャニングは、3.00〜40.00°(2θ)にて0.02°/段階である。Jade6.0ソフトウェア(Molecular Data Systems Inc.,Livermore、CA)を用いてデータ処理を行う。図3および図4および図5のデータは、石英試料保持器と共にScintag新型回折システムモデルX2(Advanced Diffraction System Model X2)(Scintag,Inc.Cupertino、CA)を用いて収集された。銅X線発生装置は、45kVおよび40mAで操作され、スキャニングは、0.02°/段階で3〜40°(2θ)にて行われる。Jade6.0ソフトウェア(Molecular Data Systems)を用いてデータ処理を行う。図1−5各々、2つの部分:ピーク選定X線粉末回折図およびピーク一覧を含む。ピーク一覧を、標準パラメータおよび商用ソフトウェアを用いて作成する。
【0022】
固体化学分野における当業者が、一見異なるパターンが、実際に異なる結晶性固体を表すかどうか識別するために粉末パターンを分析する場合、例えば、ライトボックス上またはコンピュータ画面上に粉末パターンを載せることが多い。まさにそのオーバーレイの例は、特徴付けおよび同定されたチゲサイクリンの5種の結晶性固体を表しているオーバーレイである図6で見出されうる。オーバーレイの拡大版は図7である。
【0023】
全体的X線粉末回折を、チゲサイクリンの各結晶性固体形態を特徴付けるために用いてもよいが、人々はチゲサイクリンの各結晶性固体形態を特徴付けるために各パターンにおけるピークのより小さな部分を選択してもよい。次いで、かかる選択されたピークは、未知の試料におけるチゲサイクリンのまたはチゲサイクリンを含有する特定の結晶性固体形態の存在を同定するために用いられてもよい。
【0024】
例えば、表1は、フォームIおよびフォームIIの回折図における最初の6つのピークを記載する。
【表1】
【0025】
これらのデータの比較に基づき、かつ、チゲサイクリンのかかる2種の形態のみを考慮すれば、一群6つのピークがフォームIIの+0.2°(2θ)に存在しないのでフォームIを特徴付ける6つの記載されたフォームIピークを信頼できることが分かる。しかしながら、フォームIがフォームIIと異なると結論づけるために6つ全てのピークを信頼する必要はない。実際には、約5.2°(2θ)に最も近いフォームIIピークは、4°(2θ)離れた、約9.2°(2θ)で見出されるので、フォームIの約5.2°(2θ)の単一ピークは、独自にフォームIを特徴付ける。該4°(2θ)の差異は、任意の2つのピークの変動(0.2°(2θ))を合わせることにより得られる0.4°(2θ)より著しく大きい。他の用語では、1種の試料におけるピークが、別の試料の任意のピークから0.4°(2θ)以上離れている限り、これらは異なる結晶を表す。結晶性固体形態の任意に与えられたピークが試料間および/または機器間で0.4°(2θ)以上異なる可能性は非常に小さい。そのため、フォームIおよびフォームIIのみを含むシステムにおいて、約5.2°(2θ)のピークを含有するチゲサイクリン粉末パターンは、フォームIチゲサイクリンを特徴付け、そのピークの存在がフォームIを同定するために用いられうる。同様に、フォームIIを特徴付ける場合、そのピークの0.4°(2θ)間にフォームIのピークが存在しないため、約9.2°(2θ)のピークをまさに用いうる。
【0026】
表1における全てのピークがフォームIを特徴付けるために用いられうるとは限らない。例えば、フォームIIは0.1°(2θ)だけ離れる約13.3°(2θ)のピークを有するので、フォームIにおける約13.2°(2θ)のピークは、それ自体はフォームIを特徴付けるために用いることはできない。
【0027】
本発明によれば、X線粉末回折データは、5種の結晶性チゲサイクリン型、フォームI、II、III、IV、およびVで収集され、約26°(2θ)以下のピークは表2に現れる。より高い強度のピークは、好ましい配向効果の影響をより受けやすいと決定される。さらに、表2に記載のピークは、図1−5のピークの一覧を考慮して選択された。したがって、表2のデータは、本発明の対象であるチゲサイクリンの結晶性固体形態を特徴付けおよび/または同定するピークの一部を見出すために用いられうる。
【表2】
【0028】
本発明によれば、フォームIに記載のピークは、1ピークおきの各フォームII、III、IV、およびVから0.4°(2θ)より大きくなることはないので、単一ピークは、各フォームII、III、IV、およびVからフォークIを特徴付けない。例えば、フォームIの約5.2°(2θ)のピークを、フォームIとフォームIIの間を識別するために用いることができる一方、フォームIIIも5.2°(2θ)のピークを有するので、それを単独でフォームIとフォームIIIの間を識別するために用いることはできない。しかしながら、約11.1°(2θ)のピークは、フォームIIIの任意のピークから0.4°(2θ)以上であるので、5.2°(2θ)および11.1°(2θ)のフォームIピークの一部は、フォームIとフォームIIおよびフォームIII両方を識別するために用いられうる。同様の理由により、5.2°(2θ)のピークはまた、フォームIをフォームIVおよびフォームVと識別するために用いられうる。したがって、約5.2°(2θ)および約11.1°(2θ)のX線回折ピークは、フォームIの特性を示しており、試料のフォームIを同定するために用いられてもよい。フォームIの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図1のフォームI粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0029】
同様の分析は、本発明のチゲサイクリンの異なる結晶性固体形態を特徴付けおよび同定するために用いられうる一組の特性X線粉末回折ピークを構成するためにフォームII、III、IV、およびVについて実施される。
【0030】
本発明によれば、フォームIIに関して、約9.2°(2θ)のピークは、フォームIIとフォームIおよびフォームVを識別する。しかしながら、それ自体はフォームIIとフォームIIIまたはフォームIVを識別しない。約9.7°(2θ)のピークは、フォームIVより識別しやすいが、フォームIIIにおけるピークから0.4°(2θ)である。フォームIIにおける約20.4°(2θ)のピークは、フォームIIとフォームIIIを識別する。そのため、約9.2°(2θ)、約9.7°(2θ)、および約20.4°(2θ)のフォームIIのピークは、フォームI、III、IV、およびVよりフォームIIを識別するので、試料中のフォームIIを特徴付ける。さらに、該ピークを、フォームIIを同定するために用いてもよい。フォームIIの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図2のフォームII粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0031】
本発明によれば、フォームIIIにおいて、約6.0°(2θ)のピークは、フォームI、II、IV、およびVよりフォームIIIを識別し、さらにフォームIIIを特徴付ける。さらに、該ピークを、試料のフォームIIIを同定するために用いてもよい。フォームIIIの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図3のフォームIII粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0032】
本発明によれば、フォームIVにおいて、約4.6°(2θ)のピークは、フォームI、II、およびIIIよりフォームIVを識別し、約9.2°(2θ)のピークは、フォームVにおけるピークから0.4°(2θ)以上である。したがって、約4.6°(2θ)および約9.2°(2θ)のピークは、フォームIVとフォームI、II、III、およびVを識別するため、フォームIVを特徴付ける。さらに、該ピークを、試料のフォームIVを同定するために用いてもよい。フォームIVの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図4のフォームIV粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0033】
本発明によれば、フォームVについて、約4.3°(2θ)のピークは、フォームVとフォームI、II、およびIIIを識別する。11.4°(2θ)のフォームVのピークは、フォームVとフォームIVをさらに識別する。したがって、約4.3°(2θ)および約11.4°(2θ)のピークは、フォームI、II、III、およびIVよりフォームVを識別するため、フォームVを特徴付ける。さらに、該ピークを、試料のフォームVを同定するために用いてもよい。フォームVの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図5のフォームV粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0034】
他の分析手法はまた、チゲサイクリンの結晶性固体形態を分析するのに有用であってもよい。(顕微ラマンを含む)ラマン、赤外線、および固体NMR分光法などの分光技術は、結晶性固体形態を特徴付けおよび/または同定するために用いられてもよい。該手法はまた、混合物中の1種または複数の結晶性固体形態の量を定量化するために用いられてもよい。
【0035】
表3は、本発明のフォームI、II、III、IVおよびVの数種の試料の高温顕微鏡法による融点開始を示すデータを説明する。高温顕微鏡法による融点開始などの熱的手法は、それ自体が表3に示されるデータに基づきチゲサイクリンの異なる結晶性固体形態を特徴付けるかまたは同定する必要はない。例えば、フォームIおよびフォームIVには、各々、約170℃の高温顕微鏡法により測定された融点開始が含まれるため、かかる手法により相互に識別することができない。対照的に、フォームVは約174℃の高温により融点開始を有し、フォームIIIは約167℃であるため、フォームIIIは、該手法を用いてフォームVと識別される。高温顕微鏡法による融点開始は、チゲサイクリンの結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するためにX線粉末回折などの別の分析手法と共に用いてもよい。
【表3】
【0036】
高温顕微鏡測定において、高温顕微鏡のステージ温度は、Creative Devices,Inc社製(Neshanic Station,NJ)Model 50−600 Controllerにより制御される。試料の加熱速度は、10℃/分である。使用される顕微鏡は、Nikon社製(Tokyo,Japan)DIAPHOT 300 systemである。画像をImage−Pro Plus softwareで加工した。融点開始値は、固体化学分野における標準用語であり、水、溶媒、または化学不純物の存在による融点変化、ならびに用いられる分析機器および手法により融点測定にもたらされる変動を説明すると意図している「約」なる修飾語句で報告される。
【0037】
TA Instruments社製(New Castle、DE)熱重量分析装置(「TGA」)による熱測定は、フォームIIが水和物であることを示す。図7において、フォームII試料を約25℃〜約100℃の間から開始して10℃/分で加熱すると、フォームIIは、約5.3%の重量減少を示した。図8における加熱−冷却サイクルTGA実験により水さらに示されることによって、その大部分の重量減少が起こりうる。かかるサイクルでは、試料を最初に約55℃に加熱し、次いで、約37℃に冷却し、再度加熱し、冷却し、再度加熱する。約4.4%の重量減少が最初の加熱−冷却サイクルで観察され、後のサイクルでは重量減少はほとんど観察されない。実質上最初のサイクル後にこれ以上重量減少が観察されない、加熱−冷却サイクルにおける該重量減少反応は、水和物である試料と一致している。したがって、フォームIIは、約4.4%の水和レベルを有する水和物であると考えられる。
【0038】
チゲサイクリンが5種の異なる結晶性固体形態に晶出させることは、チゲサイクリン化学式から予測することはできなかった。結晶性固体形態のいずれかの構造または特性を予測することも不可能であろう。本発明のチゲサイクリンの5種の結晶性固体形態を、かかる形態が結晶化できるようにする適当な一連の条件を決定することにより調製した。
【0039】
本発明はまた、チゲサイクリンの結晶性固体形態を生産する方法を提供する。変動条件下にて有機溶媒でフォームIをスラリー化することにより、フォームII−Vを調製しうる。スラリーにおいて、フォームIを、固体フォームIが完全に溶解しないかかる量の1種または複数の有機溶媒で処理し、スラリーとして一定期間溶媒または溶媒の混合物に合する。時として、スラリーを加熱し、またある時は、スラリーを別の溶媒で処理した。分析前にスラリーを、固体を単離するために濾過し、次いで、真空下で乾燥した。次いで、得られた固体を、多数の分析手法により分析しうる。
【0040】
溶媒が、出発形態を別の形態に変換するのを補助しうると分かっている場合、かかる溶媒は、本明細書にてかかる変換に対する「適当な溶媒」といわれる。例えば、ジクロロメタンでフォームIをスラリー化することにより、フォームIはフォームIIIに変換されることが分かる。したがって、ジクロロメタンは、かかる変換に適当な溶媒である。また、フォームIは、テトラヒドロフラン(THF)から晶出され、ジクロロメタンでスラリー化することによりフォームIIIに変換されうる。フォームIIは、メタノール中でフォームIをスラリー化することにより生じうる。したがって、メタノールは、かかる変換に適当な溶媒である。所望により、フォームIIは、メタノール/ジクロロメタン中でスラリーにすることにより生じうる、ここで、メタノール含有量は10%以上である。同様に、アセトニトリル中でフォームIをスラリー化することによりフォームIは、フォームIVに変換される。したがって、アセトニトリルは、その変換について適当な溶媒である。さらに、アセトニトリル/n−ヘプタン中でフォームIをスラリー化することは、フォームIVを生じさせる。さらに、テトラヒドロフラン中でフォームIをスラリー化することは、フォームIのフォームVへの変換をもたらす。結果として、テトラヒドロフランは、その変換について適当な溶媒である。アセトン/メタノール(1.1v/v)におけるフォームIのスラリー化は、アセトン/メタノールから晶出させるようにフォームIをもたらす。
【0041】
スラリー化することに加えて、適当な溶媒との他の処理は、一形態から別の形態への変換をもたらしうる。例えば、チゲサイクリンのフォームIIは、メタノールからチゲサイクリンを晶出させることにより調製されうる。さらに、チゲサイクリンのフォームIIは、チゲサイクリンの水中溶液へのメタノールの低速添加により調製され得、フォームII粒子>20μmを得る。さらに、メタノールへのチゲサイクリンの水中溶液の添加により<20μmであるフォームII粒子を得る。したがって、メタノール、メタノール/水または水/メタノールは、チゲサイクリンを晶出させることによりフォームIIの形成に適当である。
【0042】
粒子長データをチゲサイクリン粒子の光学像から収集する。光学顕微鏡分析は、デジタルカメラ(Nikon DXM 1200)および修正画像収集システム(Nikon ACT−1 v2.12)内蔵の5倍〜100倍拡大能のNikon製Eclipse E600顕微鏡を用いて実施される。画像は、ImagePro plus画像処理ソフトウェア(Media Cybernetics、Silver Spring、MD)を用いて処理される。ソフトウェアは、均一なバックグラウンドからチゲサイクリン粒子を単離するために対比微分アルゴリズムを用いた。データ分析の結果を、以下の表4に示す。
【表4】
【0043】
フォームIIIは、ジクロロメタンからチゲサイクリンを晶出させることにより得られうる。フォームIVは、アセトニトリルからチゲサイクリンを晶出させることにより得られ、フォームVは、テトラヒドロフランからチゲサイクリンを晶出させることにより得られうる。
【0044】
本発明によれば、動物またはヒトに用いるためのチゲサイクリンの製剤は、本発明のフォームI−Vから生産されうる。チゲサイクリンの5種の結晶性固体の溶解度は、全て水中25mg/mlより大きいため、それらが全て相互に生物学的に同等であると期待されている。
【0045】
非経口用医薬組成物はまた、凍結乾燥工程の有無に関わらずフォームI−Vのいずれかで調製されうる。1種または複数のフォームI−Vを用いる結晶性チゲサイクリンの医薬組成物はまた、本発明にしたがって調製されうる。かかる組成物は、チゲサイクリンの1種または複数のフォームI−Vの医薬上有効な量を送達するために用いられうる。組成物は、医薬上適当な担体と組み合わせてまたは付随してチゲサイクリンの結晶形を含んでいてもよい。
【0046】
以下に限定されないが、実施例は、チゲサイクリンのフォームI−Vを生産する複数の方法を説明する。
【実施例】
【0047】
実施例1−フォームIの調製
スターラーおよび温度計内蔵の5リットルの三首丸底フラスコ中で2000mLのt−ブチルアミンを効率的に攪拌しながら、300gの粗9−クロロアセトアミドミノサイクリンを室温(25−28℃)でゆっくりと添加する。48gのヨウ化ナトリウムを添加し、反応混合物を35−40℃で6時間攪拌する。反応物をHPLCで測定し、出発物質が<2%残存する場合、500mLのメタノールで処理し、溶媒を40℃で回転式蒸発装置上にて除去する。残渣に、1100mLのメタノールおよび1700mLの水を添加する。溶液を0−2℃に冷却し、濃HCl(約250mL)でpH7.2に調整する。この段階での反応混合物の総量は3500mLである。それを水で8.5リットルに希釈し、pHを濃HCl(12mL)で4.0−4.2に調整する。1.6kgの洗浄アンバークロム(Amberchrom)(登録商標)(CG−161 cd)(NVM 27%)樹脂を溶液に添加し、pHを4.0−4.2に調整しながら30分間攪拌する。樹脂を濾去し、使用済み水性溶液について生成物の測定を行い、4−8℃に保存する。樹脂を2.0リットルの水中20%メタノール(容量/容量)でスラリー化する。懸濁液を、pHを4.0−4.2に調整しながら15分間攪拌する。樹脂を再度濾去し、濾液について生成物の測定を行う。樹脂の抽出を2.0リットルの水中20%メタノールで2回以上繰り返す。全ての樹脂抽出物および上記からの使用済み水性溶液を保存し、pHを30%水酸化アンモニウムで7−7.2に調整した。抽出物間でpHを7.0−7.2に調整しながら、水性溶液を6x3.0リットルの塩化メチレンで抽出する。保存された塩化メチレン抽出物を、250gの無水硫酸ナトリウムに通して濾過し、500mLに濃縮し、0−3℃に冷却する。生成物は晶出した。スラリーを0−3℃で1時間攪拌し、固体を濾過し、2x50mLの冷却塩化メチレンで洗浄し、真空中にて40℃で乾燥した(29インチのHg)。得られた固体の重量は、110gである。得られた固体は、フォームIのチゲサイクリンとしてX線粉末回折により同定されうる(HPLC面積97.9%、エピマー0.3%)。
【0048】
実施例1A−実施例1から樹脂の調製
1kgのアンバークロム(登録商標)(トーソー・ハース(Toso Haas)からCG−161 CD)を取得し、6−7リットルの水中12%2−プロパノール(容量/容量)中でスラリー化し、12−16時間攪拌することにより、使用前に実施例1の樹脂を洗浄する。それを濾過し、6−7リットルの50%アセトニトリル−水(容量/容量)中で30分間攪拌する。スラリーを濾過し、次いで、7リットルのアセトニトリル中で再度スラリー化し、30分間攪拌し、濾過する。アセトニトリルのスラリー化を2回繰り返し、濾過する。次いで、樹脂を6リットルのメタノール中でスラリー化し、1時間攪拌し、濾過する。次いで、樹脂を7リットルの脱イオン水中でスラリー化し、16時間攪拌し、濾過する。次いで、樹脂を、7リットルの水中で再度スラリー化し、1時間攪拌し、濾過する。水のスラリー化を3回以上繰り返す。樹脂を濾過し、できるだけ多量の水を10−12時間濾過漏斗上で除去する。瓶に入れ、冷却(5−8℃)保存する。
【0049】
実施例2−フォームIの調製
10.00gの9−アミノミノサイクリンを、60mlの水に0−5℃で滴下する。10.98gのt−ブチルグリシン酸塩化物塩酸塩を、0−5℃の温度を保ちながら滴下する。40−60分間攪拌した後、30%水酸化アンモニウムを、0−5℃の温度を保ちながら反応混合物に滴下し、pHを7.2に調整する。溶液に83mlのメタノールを、次いで、60mlの塩化メチレンを添加する。15分間攪拌した後、相を分離した。各々抽出する前に、水相を、pHを7.2に調整しながら4x40mlの塩化メチレンで抽出する。合した有機物に10mlのメタノールを添加し、溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで、濾過する。溶液を濃縮する。得られた懸濁液を、5−10℃で1時間攪拌し、次いで、濾過する。固体を、2x10mLの冷却塩化メチレンで洗浄し、次いで、乾燥し、8.80gの生成物を得る(収率76.8%);HPLC面積による純度98.4%およびC−4エピマー0.1%;MS(FAB):m/z 586 (M+H);585(M+)。
【0050】
実施例3−フォームIIの調製
0.5gのフォームIを、22℃にて8mLのメタノール中でスラリー化する。スラリーを約35℃に加温し、透明溶液を得、22℃に冷却し、30分間保持し、濃赤色スラリーを得る。スラリーを濾過し、25℃で真空下にて一晩乾燥する。得られた固体を熱重量分析(「TGA」)および粉末X線回折によって分析する。TGAプロット(図8)は、87℃で5.3%の重量減少を示し、10℃/分の標準ランプ速度を実験で用いる。
【0051】
TGA加熱炉内部の窒素雰囲気中の新たな試料で加熱−冷却サイクルを継続する(図9)。最初の加熱サイクルでは、4.4%重量減少が観察され、二番目および三番目のサイクルでは観察されず、重量減少は適当な水であることを示す。三番目のサイクル後、得られた粉末は外観が赤色である。
【0052】
実施例4−フォームIIの調製
30mgの粗チゲサイクリンを、40℃にて500μLの脱イオン水で溶解し、溶液を23℃で攪拌する。該溶液に、500μLのメタノールを100μLずつ15分かけて添加する。完全に添加した後、濁った溶液を約10分間攪拌し、次いで、赤色結晶性沈渣を得る。物質を空中で濾過により単離し、次いで、40℃で8時間真空下にて乾燥し、X線粉末回折によって測定される21.4gのフォームIIを得る。
【0053】
実施例5−フォームIIの調製
30mgの粗チゲサイクリンを、40℃にて500μLの脱イオン水で溶解し、溶液を23℃で攪拌する。該溶液を、800μLメタノールに添加し、約15分間10℃で攪拌する。添加中に、結晶性沈渣を得る。物質を空中で濾過により単離し、次いで、40℃で8時間真空下にて乾燥し、X線粉末回折によって測定される20.2mgのフォームIIを得る。
【0054】
実施例6−フォームIIIの調製
0.25gのフォームIを2mLのジクロロメタン中でスラリー化し、懸濁液を形成する。0.01gのフォームVを種として添加する。懸濁液を22℃で96時間攪拌する。次いで、スラリーを濾過し、22℃で真空下にて乾燥する。得られた固体フォームIIIを、高温顕微鏡法、X線粉末回折、HPLC(純度99.98%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【0055】
実施例7−フォームIVの調製
0.15gのフォームIを、22℃で2mLのアセトニトリルに添加する。透明溶液を得、30分間攪拌し、懸濁液を得る。スラリーを濾過し、22℃で真空下にて乾燥する。得られた灰白色固体フォームIVを、高温顕微鏡法、X線粉末回折、HPLC(純度93.39%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【0056】
実施例8−フォームIVの調製
0.167gのフォームIを、22℃でアセトニトリル中にてスラリー化する。スラリーを30℃に加温し、透明溶液を得る。2mLのn−ヘプタンを5分経過後、溶液に添加する。懸濁液を形成し、22℃に冷却し、30分間その温度に保持する。スラリーを濾過し、得られた固体を5mLのn−ヘプタンで洗浄し、真空下にて22℃で乾燥する。得られた固体フォームIVをX線粉末回折、HPLC(純度96.39%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【0057】
実施例9−フォームVの調製
0.22gのフォームIを、22℃で2mLのテトラヒドロフランに添加し、5分間攪拌した。2mLのn−ヘプタンを添加し、透明溶液を得る。得られたスラリーを22℃で30分間攪拌する。スラリーを濾過し、22℃で真空下にて乾燥する。得られた固体フォームVを、高温顕微鏡法、X線粉末回折、HPLC(純度93.57%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年5月27日付出願の米国仮出願番号第60/684,955号の優先権を主張し、その内容を出典明示により本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、チゲサイクリンの結晶性固体形態、その組成物、およびそれらの調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
チゲサイクリンは、テトラサイクリン系抗生物質およびミノサイクリンの化学類似体である。薬物耐性大腸菌に対する治療として用いられており、他の抗生物質が作用しない場合に作用することが示されている。例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、バンコマイシン耐性腸球菌(D.J.Beidenbachら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 40:173−177(2001);H.W.Boucherら,Antimicrobial Agents & Chemotherapy 44:2225−2229(2000);P.A.Bradford Clin.Microbiol.Newslett.26:163−168(2004);D.Milatovicら,Antimicrob.Agents Chemother.47:400−404(2003);R.Patelら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 38:177−179(2000);P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.46:2595−2601(2002);およびP.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999))、およびテトラサイクリン耐性の2つの主要形態:汲み出しおよびリボソームの保護のいずれかで輸送する生物(C.Betriuら,Antimicrob.Agents Chemother.48:323−325(2004);T.Hirataら.Antimicrob.Agents Chemother.48:2179−2184(2004);およびP.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999))に対して活性である。
【0004】
チゲサイクリンは、経口投与されると、一般に低いバイオアベイラビリティを示すため、歴史的に静脈内投与されている。静脈内液剤は、滅菌水、0.9%塩化ナトリウム注射(米国薬局方(USP))、または5%ブドウ糖注射(米国薬局方)を用いて非晶質粉末を復元することにより調製されてもよい。チゲサイクリンは、典型的には、滅菌用賦形剤なしに凍結乾燥を介して非晶質粉末の状態にされる。しかしながら、チゲサイクリンは分解する傾向にあるため、該粉末を低酸素および低温の条件下で調製かつ処理する。特殊な装置および操作を必要とするのでかかる処理は費用がかかる。加えて、非晶質は一般に、同一化合物の結晶形より安定性が低い。(Polymorphism in Pharmaceutical Solids,H.G.Brittain(ed.),1999,p.208)。したがって、特殊な操作システムを必要とせずに結晶性固体形態のチゲサイクリンを使用および製造することができるなら好都合であろう。
【0005】
結晶化合物は、分子の規則配列を有する固体であるのに対し、非晶質化合物は不規則な分子からなる。かかる配列はまた結晶格子と称され、単位格子と呼ばれる繰り返し構造部分からなる。有機分子などの同一分子が、一つ以上の方法にて固体中でそれ自体を順序づけうる場合、該分子は、いわゆる多形を示す。例えば、元素炭素は、(同素体と称される元素における)多形を示す。固体炭素は、3種の既知の結晶性固体形態:グラファイト、ダイヤモンド、およびフラーレンで存在する。各結晶性固体形態は炭素であるが、各形態の固体構造は異なっているので、各々異なる性質を有する。例えば、ダイヤモンドは既知の最も硬い物質の一つであるのに対し、グラファイトは非常に柔らかいものである。多数の有機化合物もまた、該化合物がどのように詰まって結晶性固体を形成するのかでその構造が異なる点で多形であることが知られている(例えば、Stephenson,G.A;Stowell,J.G;Toma,P.H;Dorman,D.E.;Greene,J.R.;Byrne,S.R.;「Solid state analysis of polymorphic,isomorphic and solvated forms of Dirithromycin」,J.Am.Chem.Soc.,1994,116,5766を参照)。
【0006】
原子が化学結合して分子を形成する化学構造に基づいて、一の化合物が結晶を形成するか、どのような条件下でもそれが晶出するか、どのくらい多くの固体化合物が存在しうるか、またはこれらのいずれかが固体構造を形成するか、どうかについて、人々はある程度の確信を持って予測することはできない。本明細書に用いられる「固体構造」なる語は、固体を形成するために分子が詰まっている場合に得られる構造を意味する。
【0007】
時々、溶媒または水分子は、結晶性固体の結晶格子の一部となっている。かかる結晶性固体は各々、溶媒和物または水和物として称される。溶媒和物、水和物、および多形体は、結晶性固体形態と呼ばれることが多い。ここで、ほとんどの固体化学分野において、弱い結合の溶媒和物および水和物はまた、溶媒または水分子がチャネル中に存在する結晶性固体形態として含まれるかあるいは結晶格子の一部とはならない。非晶形は、固体形態として称されることが多いが、結晶性固体形態ではない。
【0008】
同一化合物の異なる結晶性固体形態は、融点、溶解度、操作および安定度などの異なる固体特性を有することが多い。したがって、同一化合物の異なる結晶性固体形態を同定するとすぐに、与えられた一連の処理および製造条件下の最適な結晶性固体形態ならびに各結晶性固体形態の異なる固体特性を測定してもよい。
【0009】
固体化学における当業者が固体を分析するために用いうる分析手法は多数存在する。本明細書に用いられる「分析する」なる語は、固体形態の固体構造についての情報を得ることを意味する。例えば、X線粉末回折は、非晶質固体形態を結晶性固体形態と識別する適当な手法ならびに化合物の結晶性固体形態を特徴付けおよび同定する適当な手法である。X線粉末回折はまた、混合物中の結晶性固体形態(複数でも可)の量を定量化するのに適当である。X線粉末回折において、X線は結晶上に向けられ、回折X線の強度は、X線源と試料に回折されたビーム間の2倍角の関数として測定される。かかる回折X線の強度は、X線源と回折X線間の2倍角(これは「2θ」角として知られている)であるx軸および回折X線のピーク強度であるy軸とのピークとしてグラフ上にプロットされうる。かかるグラフは、X線粉末回折パターンまたは粉末パターンと呼ばれる。x軸上のピークの位置は結晶の固体構造の特性であるので、異なる結晶性固体形態は異なる粉末パターンを示す。
【0010】
かかる粉末パターン、またはその位置は、結晶性固体形態についての同定フィンガープリントとして用いられうる。したがって、未知の試料の粉末パターンを得ることができ、かかる粉末パターンと基準粉末パターンを比較することができる。正の適合は、未知の試料が参照試料と同一の結晶性固体形態であることを意味するであろう。既知の化合物の粉末パターンを加減することにより固体形態の混合物を含有する未知の試料を分析することもできる。
【0011】
結晶性固体形態を特徴付けるために粉末パターンにおけるピークを選定する場合または形態を同定するために基準粉末パターンを用いる場合、他の固体形態に含まれない一形態におけるピークまたは一群のピークを同定する。
【0012】
本明細書に用いられる「特徴付ける」なる語は、一の固体形態と別のものを識別することができる適当な一連のデータを選定することを意味する。X線粉末回折におけるかかる一連のデータは、1つまたは複数のピークの位置である。チゲサイクリンX線粉末回折ピークが特定の形態を定義する選定は、その形態を特徴付けるといわれている。
【0013】
本明細書に用いられる「同定する」なる語は、固体形態の特性データを選定し、その形態が試料中に含まれるかどうかを決定するためにかかるデータを用いることを意味する。X線粉末回折において、かかるデータは、上記のように問題となっている形態を特徴付けている1つまたは複数のピークのx軸の位置である。例えば、選択された多数のX線回折ピークが、チゲサイクリンの特定の固体形態を特徴付けることを決定するとすぐに、かかる形態がチゲサイクリンを含有する試料中に含まれるかどうかを決定するためにそれらのピークを用いうる。
【0014】
同一化学物質の結晶性固体形態をX線粉末回折で特徴付けおよび/または同定する場合、全粉末パターンを用いる必要のない場合が多い。全粉末パターンのより小さな部分を用いて特徴付けおよび/または同定を行いうることが多い。化合物の結晶性固体形態を他の結晶性固体形態と区別する一群のピークを選択することにより、人々はこれらのピークを信頼して、例えば、未知の混合物にてその形態を特徴付けること、およびその形態を同定することができる。その形態を特徴付けおよび/または同定する、もう一つ別の分析手法からなどの付加的なデータ、あるいは粉末パターンからの付加的なピークを加えることで、例えば、後になって、付加的な多形が同定されるであろう。
【0015】
機器、試料、および試料調製間の差異により、ピーク値は、ピーク値の前の「約」なる修飾語句で記録される。ピーク値の固有変化のため、これは固体化学分野においてありふれたものである。粉末パターンにおけるピークのx軸値2θの典型的精密度は、約±0.2°(2θ)である。したがって、「約9.2°(2θ)」に出現する粉末回折ピークは、ほとんどの条件下にてほとんどのX線回折計で測定するとピークが9.0°(2θ)と9.4°(2θ)の間にありうることを意味する。ピーク強度における変動は、個々の結晶が(「好ましい配向」として知られる)外部X線源に関する試料容器でどの程度配向であるかという結果である。かかる配向効果は、結晶に対する構造情報を提供しない。
【0016】
X線粉末回折は、複数の分析手法のまさに一つであり、結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するために用いてもよい。ラマン(Raman)(顕微ラマンを含む)、赤外線、および固体NMR分光法などの分光法は、結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するために用いられてもよい。該手法をまた、混合物中の1種または複数の結晶性固体形態の量を定量化するために用いてもよい。
【0017】
同一化合物の異なる結晶性固体形態は、識別できない融点を有する可能性があるため、融点などの熱的手法は、それ自体が化合物の異なる結晶性固体形態を特徴付けおよび/または同定する必要はない。しかしながら、かかる状況において、融点は、結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するためにX線粉末回折などの別の分析手法と共に用いられうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】D.J.Beidenbachら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 40:173−177(2001)
【非特許文献2】H.W.Boucherら,Antimicrobial Agents & Chemotherapy 44:2225−2229(2000)
【非特許文献3】P.A.Bradford Clin.Microbiol.Newslett.26:163−168(2004)
【非特許文献4】D.Milatovicら,Antimicrob.Agents Chemother.47:400−404(2003)
【非特許文献5】R.Patelら,Diagnostic Microbiology and Infectious Disease 38:177−179(2000)
【非特許文献6】P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.46:2595−2601(2002)
【非特許文献7】P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999))
【非特許文献8】C.Betriuら,Antimicrob.Agents Chemother.48:323−325(2004)
【非特許文献9】T.Hirataら.Antimicrob.Agents Chemother.48:2179−2184(2004)
【非特許文献10】P.J.Petersenら,Antimicrob.Agents Chemother.43:738−744(1999)
【非特許文献11】Polymorphism in Pharmaceutical Solids,H.G.Brittain(ed.),1999,p.208
【非特許文献12】Stephenson,G.A;Stowell,J.G;Toma,P.H;Dorman,D.E.;Greene,J.R.;Byrne,S.R.;「Solid state analysis of polymorphic,isomorphic and solvated forms of Dirithromycin」,J.Am.Chem.Soc.,1994,116,5766
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、フォームI、フォームII、フォームIII、フォームIV、およびフォームVとして同定されるチゲサイクリンの結晶性固体形態に関する。本発明はまた、チゲサイクリンの1種または複数の結晶性固体形態を含有する、医薬組成物を含む、組成物に関する。さらに、本発明は、チゲサイクリンの結晶性固体形態を調製する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】フォームIチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図2】フォームIIチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図3】フォームIIIチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図4】フォームIVチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図5】フォームVチゲサイクリンのX線粉末回折パターンおよびピーク一覧である。
【図6】チゲサイクリンのフォームI−VのX線粉末回折オーバーレイである。
【図7】チゲサイクリンのフォームI−VのX線粉末回折オーバーレイの拡大版である。
【図8】フォームIIのチゲサイクリンの熱重量分析(「TGA」)である。
【図9】フォームIIのチゲサイクリンのTGA加熱−冷却サイクルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
2種のX線回折計は、本発明に通じる研究に用いられた。図1および図2のデータは、リガク製ミニフレックス回折システム(Rigaku Miniflex Diffraction System)(Rigaku MSC Inc.,東京、日本)を用いて収集された。粉末試料は、ゼロバックグラウンド(zero−background)研磨シリコン試料保持器で貯蔵された。標準フォーカス銅X線管は、30kVおよび15mAで操作され、機器はNi Kフィルターを備えている。試料スキャニングは、3.00〜40.00°(2θ)にて0.02°/段階である。Jade6.0ソフトウェア(Molecular Data Systems Inc.,Livermore、CA)を用いてデータ処理を行う。図3および図4および図5のデータは、石英試料保持器と共にScintag新型回折システムモデルX2(Advanced Diffraction System Model X2)(Scintag,Inc.Cupertino、CA)を用いて収集された。銅X線発生装置は、45kVおよび40mAで操作され、スキャニングは、0.02°/段階で3〜40°(2θ)にて行われる。Jade6.0ソフトウェア(Molecular Data Systems)を用いてデータ処理を行う。図1−5各々、2つの部分:ピーク選定X線粉末回折図およびピーク一覧を含む。ピーク一覧を、標準パラメータおよび商用ソフトウェアを用いて作成する。
【0022】
固体化学分野における当業者が、一見異なるパターンが、実際に異なる結晶性固体を表すかどうか識別するために粉末パターンを分析する場合、例えば、ライトボックス上またはコンピュータ画面上に粉末パターンを載せることが多い。まさにそのオーバーレイの例は、特徴付けおよび同定されたチゲサイクリンの5種の結晶性固体を表しているオーバーレイである図6で見出されうる。オーバーレイの拡大版は図7である。
【0023】
全体的X線粉末回折を、チゲサイクリンの各結晶性固体形態を特徴付けるために用いてもよいが、人々はチゲサイクリンの各結晶性固体形態を特徴付けるために各パターンにおけるピークのより小さな部分を選択してもよい。次いで、かかる選択されたピークは、未知の試料におけるチゲサイクリンのまたはチゲサイクリンを含有する特定の結晶性固体形態の存在を同定するために用いられてもよい。
【0024】
例えば、表1は、フォームIおよびフォームIIの回折図における最初の6つのピークを記載する。
【表1】
【0025】
これらのデータの比較に基づき、かつ、チゲサイクリンのかかる2種の形態のみを考慮すれば、一群6つのピークがフォームIIの+0.2°(2θ)に存在しないのでフォームIを特徴付ける6つの記載されたフォームIピークを信頼できることが分かる。しかしながら、フォームIがフォームIIと異なると結論づけるために6つ全てのピークを信頼する必要はない。実際には、約5.2°(2θ)に最も近いフォームIIピークは、4°(2θ)離れた、約9.2°(2θ)で見出されるので、フォームIの約5.2°(2θ)の単一ピークは、独自にフォームIを特徴付ける。該4°(2θ)の差異は、任意の2つのピークの変動(0.2°(2θ))を合わせることにより得られる0.4°(2θ)より著しく大きい。他の用語では、1種の試料におけるピークが、別の試料の任意のピークから0.4°(2θ)以上離れている限り、これらは異なる結晶を表す。結晶性固体形態の任意に与えられたピークが試料間および/または機器間で0.4°(2θ)以上異なる可能性は非常に小さい。そのため、フォームIおよびフォームIIのみを含むシステムにおいて、約5.2°(2θ)のピークを含有するチゲサイクリン粉末パターンは、フォームIチゲサイクリンを特徴付け、そのピークの存在がフォームIを同定するために用いられうる。同様に、フォームIIを特徴付ける場合、そのピークの0.4°(2θ)間にフォームIのピークが存在しないため、約9.2°(2θ)のピークをまさに用いうる。
【0026】
表1における全てのピークがフォームIを特徴付けるために用いられうるとは限らない。例えば、フォームIIは0.1°(2θ)だけ離れる約13.3°(2θ)のピークを有するので、フォームIにおける約13.2°(2θ)のピークは、それ自体はフォームIを特徴付けるために用いることはできない。
【0027】
本発明によれば、X線粉末回折データは、5種の結晶性チゲサイクリン型、フォームI、II、III、IV、およびVで収集され、約26°(2θ)以下のピークは表2に現れる。より高い強度のピークは、好ましい配向効果の影響をより受けやすいと決定される。さらに、表2に記載のピークは、図1−5のピークの一覧を考慮して選択された。したがって、表2のデータは、本発明の対象であるチゲサイクリンの結晶性固体形態を特徴付けおよび/または同定するピークの一部を見出すために用いられうる。
【表2】
【0028】
本発明によれば、フォームIに記載のピークは、1ピークおきの各フォームII、III、IV、およびVから0.4°(2θ)より大きくなることはないので、単一ピークは、各フォームII、III、IV、およびVからフォークIを特徴付けない。例えば、フォームIの約5.2°(2θ)のピークを、フォームIとフォームIIの間を識別するために用いることができる一方、フォームIIIも5.2°(2θ)のピークを有するので、それを単独でフォームIとフォームIIIの間を識別するために用いることはできない。しかしながら、約11.1°(2θ)のピークは、フォームIIIの任意のピークから0.4°(2θ)以上であるので、5.2°(2θ)および11.1°(2θ)のフォームIピークの一部は、フォームIとフォームIIおよびフォームIII両方を識別するために用いられうる。同様の理由により、5.2°(2θ)のピークはまた、フォームIをフォームIVおよびフォームVと識別するために用いられうる。したがって、約5.2°(2θ)および約11.1°(2θ)のX線回折ピークは、フォームIの特性を示しており、試料のフォームIを同定するために用いられてもよい。フォームIの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図1のフォームI粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0029】
同様の分析は、本発明のチゲサイクリンの異なる結晶性固体形態を特徴付けおよび同定するために用いられうる一組の特性X線粉末回折ピークを構成するためにフォームII、III、IV、およびVについて実施される。
【0030】
本発明によれば、フォームIIに関して、約9.2°(2θ)のピークは、フォームIIとフォームIおよびフォームVを識別する。しかしながら、それ自体はフォームIIとフォームIIIまたはフォームIVを識別しない。約9.7°(2θ)のピークは、フォームIVより識別しやすいが、フォームIIIにおけるピークから0.4°(2θ)である。フォームIIにおける約20.4°(2θ)のピークは、フォームIIとフォームIIIを識別する。そのため、約9.2°(2θ)、約9.7°(2θ)、および約20.4°(2θ)のフォームIIのピークは、フォームI、III、IV、およびVよりフォームIIを識別するので、試料中のフォームIIを特徴付ける。さらに、該ピークを、フォームIIを同定するために用いてもよい。フォームIIの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図2のフォームII粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0031】
本発明によれば、フォームIIIにおいて、約6.0°(2θ)のピークは、フォームI、II、IV、およびVよりフォームIIIを識別し、さらにフォームIIIを特徴付ける。さらに、該ピークを、試料のフォームIIIを同定するために用いてもよい。フォームIIIの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図3のフォームIII粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0032】
本発明によれば、フォームIVにおいて、約4.6°(2θ)のピークは、フォームI、II、およびIIIよりフォームIVを識別し、約9.2°(2θ)のピークは、フォームVにおけるピークから0.4°(2θ)以上である。したがって、約4.6°(2θ)および約9.2°(2θ)のピークは、フォームIVとフォームI、II、III、およびVを識別するため、フォームIVを特徴付ける。さらに、該ピークを、試料のフォームIVを同定するために用いてもよい。フォームIVの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図4のフォームIV粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0033】
本発明によれば、フォームVについて、約4.3°(2θ)のピークは、フォームVとフォームI、II、およびIIIを識別する。11.4°(2θ)のフォームVのピークは、フォームVとフォームIVをさらに識別する。したがって、約4.3°(2θ)および約11.4°(2θ)のピークは、フォームI、II、III、およびIVよりフォームVを識別するため、フォームVを特徴付ける。さらに、該ピークを、試料のフォームVを同定するために用いてもよい。フォームVの特徴付けおよび同定において、人々はまた、図5のフォームV粉末パターンピーク一覧からのいくつかまたは全ての他のピークも信頼してもよい。
【0034】
他の分析手法はまた、チゲサイクリンの結晶性固体形態を分析するのに有用であってもよい。(顕微ラマンを含む)ラマン、赤外線、および固体NMR分光法などの分光技術は、結晶性固体形態を特徴付けおよび/または同定するために用いられてもよい。該手法はまた、混合物中の1種または複数の結晶性固体形態の量を定量化するために用いられてもよい。
【0035】
表3は、本発明のフォームI、II、III、IVおよびVの数種の試料の高温顕微鏡法による融点開始を示すデータを説明する。高温顕微鏡法による融点開始などの熱的手法は、それ自体が表3に示されるデータに基づきチゲサイクリンの異なる結晶性固体形態を特徴付けるかまたは同定する必要はない。例えば、フォームIおよびフォームIVには、各々、約170℃の高温顕微鏡法により測定された融点開始が含まれるため、かかる手法により相互に識別することができない。対照的に、フォームVは約174℃の高温により融点開始を有し、フォームIIIは約167℃であるため、フォームIIIは、該手法を用いてフォームVと識別される。高温顕微鏡法による融点開始は、チゲサイクリンの結晶性固体を特徴付けおよび/または同定するためにX線粉末回折などの別の分析手法と共に用いてもよい。
【表3】
【0036】
高温顕微鏡測定において、高温顕微鏡のステージ温度は、Creative Devices,Inc社製(Neshanic Station,NJ)Model 50−600 Controllerにより制御される。試料の加熱速度は、10℃/分である。使用される顕微鏡は、Nikon社製(Tokyo,Japan)DIAPHOT 300 systemである。画像をImage−Pro Plus softwareで加工した。融点開始値は、固体化学分野における標準用語であり、水、溶媒、または化学不純物の存在による融点変化、ならびに用いられる分析機器および手法により融点測定にもたらされる変動を説明すると意図している「約」なる修飾語句で報告される。
【0037】
TA Instruments社製(New Castle、DE)熱重量分析装置(「TGA」)による熱測定は、フォームIIが水和物であることを示す。図7において、フォームII試料を約25℃〜約100℃の間から開始して10℃/分で加熱すると、フォームIIは、約5.3%の重量減少を示した。図8における加熱−冷却サイクルTGA実験により水さらに示されることによって、その大部分の重量減少が起こりうる。かかるサイクルでは、試料を最初に約55℃に加熱し、次いで、約37℃に冷却し、再度加熱し、冷却し、再度加熱する。約4.4%の重量減少が最初の加熱−冷却サイクルで観察され、後のサイクルでは重量減少はほとんど観察されない。実質上最初のサイクル後にこれ以上重量減少が観察されない、加熱−冷却サイクルにおける該重量減少反応は、水和物である試料と一致している。したがって、フォームIIは、約4.4%の水和レベルを有する水和物であると考えられる。
【0038】
チゲサイクリンが5種の異なる結晶性固体形態に晶出させることは、チゲサイクリン化学式から予測することはできなかった。結晶性固体形態のいずれかの構造または特性を予測することも不可能であろう。本発明のチゲサイクリンの5種の結晶性固体形態を、かかる形態が結晶化できるようにする適当な一連の条件を決定することにより調製した。
【0039】
本発明はまた、チゲサイクリンの結晶性固体形態を生産する方法を提供する。変動条件下にて有機溶媒でフォームIをスラリー化することにより、フォームII−Vを調製しうる。スラリーにおいて、フォームIを、固体フォームIが完全に溶解しないかかる量の1種または複数の有機溶媒で処理し、スラリーとして一定期間溶媒または溶媒の混合物に合する。時として、スラリーを加熱し、またある時は、スラリーを別の溶媒で処理した。分析前にスラリーを、固体を単離するために濾過し、次いで、真空下で乾燥した。次いで、得られた固体を、多数の分析手法により分析しうる。
【0040】
溶媒が、出発形態を別の形態に変換するのを補助しうると分かっている場合、かかる溶媒は、本明細書にてかかる変換に対する「適当な溶媒」といわれる。例えば、ジクロロメタンでフォームIをスラリー化することにより、フォームIはフォームIIIに変換されることが分かる。したがって、ジクロロメタンは、かかる変換に適当な溶媒である。また、フォームIは、テトラヒドロフラン(THF)から晶出され、ジクロロメタンでスラリー化することによりフォームIIIに変換されうる。フォームIIは、メタノール中でフォームIをスラリー化することにより生じうる。したがって、メタノールは、かかる変換に適当な溶媒である。所望により、フォームIIは、メタノール/ジクロロメタン中でスラリーにすることにより生じうる、ここで、メタノール含有量は10%以上である。同様に、アセトニトリル中でフォームIをスラリー化することによりフォームIは、フォームIVに変換される。したがって、アセトニトリルは、その変換について適当な溶媒である。さらに、アセトニトリル/n−ヘプタン中でフォームIをスラリー化することは、フォームIVを生じさせる。さらに、テトラヒドロフラン中でフォームIをスラリー化することは、フォームIのフォームVへの変換をもたらす。結果として、テトラヒドロフランは、その変換について適当な溶媒である。アセトン/メタノール(1.1v/v)におけるフォームIのスラリー化は、アセトン/メタノールから晶出させるようにフォームIをもたらす。
【0041】
スラリー化することに加えて、適当な溶媒との他の処理は、一形態から別の形態への変換をもたらしうる。例えば、チゲサイクリンのフォームIIは、メタノールからチゲサイクリンを晶出させることにより調製されうる。さらに、チゲサイクリンのフォームIIは、チゲサイクリンの水中溶液へのメタノールの低速添加により調製され得、フォームII粒子>20μmを得る。さらに、メタノールへのチゲサイクリンの水中溶液の添加により<20μmであるフォームII粒子を得る。したがって、メタノール、メタノール/水または水/メタノールは、チゲサイクリンを晶出させることによりフォームIIの形成に適当である。
【0042】
粒子長データをチゲサイクリン粒子の光学像から収集する。光学顕微鏡分析は、デジタルカメラ(Nikon DXM 1200)および修正画像収集システム(Nikon ACT−1 v2.12)内蔵の5倍〜100倍拡大能のNikon製Eclipse E600顕微鏡を用いて実施される。画像は、ImagePro plus画像処理ソフトウェア(Media Cybernetics、Silver Spring、MD)を用いて処理される。ソフトウェアは、均一なバックグラウンドからチゲサイクリン粒子を単離するために対比微分アルゴリズムを用いた。データ分析の結果を、以下の表4に示す。
【表4】
【0043】
フォームIIIは、ジクロロメタンからチゲサイクリンを晶出させることにより得られうる。フォームIVは、アセトニトリルからチゲサイクリンを晶出させることにより得られ、フォームVは、テトラヒドロフランからチゲサイクリンを晶出させることにより得られうる。
【0044】
本発明によれば、動物またはヒトに用いるためのチゲサイクリンの製剤は、本発明のフォームI−Vから生産されうる。チゲサイクリンの5種の結晶性固体の溶解度は、全て水中25mg/mlより大きいため、それらが全て相互に生物学的に同等であると期待されている。
【0045】
非経口用医薬組成物はまた、凍結乾燥工程の有無に関わらずフォームI−Vのいずれかで調製されうる。1種または複数のフォームI−Vを用いる結晶性チゲサイクリンの医薬組成物はまた、本発明にしたがって調製されうる。かかる組成物は、チゲサイクリンの1種または複数のフォームI−Vの医薬上有効な量を送達するために用いられうる。組成物は、医薬上適当な担体と組み合わせてまたは付随してチゲサイクリンの結晶形を含んでいてもよい。
【0046】
以下に限定されないが、実施例は、チゲサイクリンのフォームI−Vを生産する複数の方法を説明する。
【実施例】
【0047】
実施例1−フォームIの調製
スターラーおよび温度計内蔵の5リットルの三首丸底フラスコ中で2000mLのt−ブチルアミンを効率的に攪拌しながら、300gの粗9−クロロアセトアミドミノサイクリンを室温(25−28℃)でゆっくりと添加する。48gのヨウ化ナトリウムを添加し、反応混合物を35−40℃で6時間攪拌する。反応物をHPLCで測定し、出発物質が<2%残存する場合、500mLのメタノールで処理し、溶媒を40℃で回転式蒸発装置上にて除去する。残渣に、1100mLのメタノールおよび1700mLの水を添加する。溶液を0−2℃に冷却し、濃HCl(約250mL)でpH7.2に調整する。この段階での反応混合物の総量は3500mLである。それを水で8.5リットルに希釈し、pHを濃HCl(12mL)で4.0−4.2に調整する。1.6kgの洗浄アンバークロム(Amberchrom)(登録商標)(CG−161 cd)(NVM 27%)樹脂を溶液に添加し、pHを4.0−4.2に調整しながら30分間攪拌する。樹脂を濾去し、使用済み水性溶液について生成物の測定を行い、4−8℃に保存する。樹脂を2.0リットルの水中20%メタノール(容量/容量)でスラリー化する。懸濁液を、pHを4.0−4.2に調整しながら15分間攪拌する。樹脂を再度濾去し、濾液について生成物の測定を行う。樹脂の抽出を2.0リットルの水中20%メタノールで2回以上繰り返す。全ての樹脂抽出物および上記からの使用済み水性溶液を保存し、pHを30%水酸化アンモニウムで7−7.2に調整した。抽出物間でpHを7.0−7.2に調整しながら、水性溶液を6x3.0リットルの塩化メチレンで抽出する。保存された塩化メチレン抽出物を、250gの無水硫酸ナトリウムに通して濾過し、500mLに濃縮し、0−3℃に冷却する。生成物は晶出した。スラリーを0−3℃で1時間攪拌し、固体を濾過し、2x50mLの冷却塩化メチレンで洗浄し、真空中にて40℃で乾燥した(29インチのHg)。得られた固体の重量は、110gである。得られた固体は、フォームIのチゲサイクリンとしてX線粉末回折により同定されうる(HPLC面積97.9%、エピマー0.3%)。
【0048】
実施例1A−実施例1から樹脂の調製
1kgのアンバークロム(登録商標)(トーソー・ハース(Toso Haas)からCG−161 CD)を取得し、6−7リットルの水中12%2−プロパノール(容量/容量)中でスラリー化し、12−16時間攪拌することにより、使用前に実施例1の樹脂を洗浄する。それを濾過し、6−7リットルの50%アセトニトリル−水(容量/容量)中で30分間攪拌する。スラリーを濾過し、次いで、7リットルのアセトニトリル中で再度スラリー化し、30分間攪拌し、濾過する。アセトニトリルのスラリー化を2回繰り返し、濾過する。次いで、樹脂を6リットルのメタノール中でスラリー化し、1時間攪拌し、濾過する。次いで、樹脂を7リットルの脱イオン水中でスラリー化し、16時間攪拌し、濾過する。次いで、樹脂を、7リットルの水中で再度スラリー化し、1時間攪拌し、濾過する。水のスラリー化を3回以上繰り返す。樹脂を濾過し、できるだけ多量の水を10−12時間濾過漏斗上で除去する。瓶に入れ、冷却(5−8℃)保存する。
【0049】
実施例2−フォームIの調製
10.00gの9−アミノミノサイクリンを、60mlの水に0−5℃で滴下する。10.98gのt−ブチルグリシン酸塩化物塩酸塩を、0−5℃の温度を保ちながら滴下する。40−60分間攪拌した後、30%水酸化アンモニウムを、0−5℃の温度を保ちながら反応混合物に滴下し、pHを7.2に調整する。溶液に83mlのメタノールを、次いで、60mlの塩化メチレンを添加する。15分間攪拌した後、相を分離した。各々抽出する前に、水相を、pHを7.2に調整しながら4x40mlの塩化メチレンで抽出する。合した有機物に10mlのメタノールを添加し、溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで、濾過する。溶液を濃縮する。得られた懸濁液を、5−10℃で1時間攪拌し、次いで、濾過する。固体を、2x10mLの冷却塩化メチレンで洗浄し、次いで、乾燥し、8.80gの生成物を得る(収率76.8%);HPLC面積による純度98.4%およびC−4エピマー0.1%;MS(FAB):m/z 586 (M+H);585(M+)。
【0050】
実施例3−フォームIIの調製
0.5gのフォームIを、22℃にて8mLのメタノール中でスラリー化する。スラリーを約35℃に加温し、透明溶液を得、22℃に冷却し、30分間保持し、濃赤色スラリーを得る。スラリーを濾過し、25℃で真空下にて一晩乾燥する。得られた固体を熱重量分析(「TGA」)および粉末X線回折によって分析する。TGAプロット(図8)は、87℃で5.3%の重量減少を示し、10℃/分の標準ランプ速度を実験で用いる。
【0051】
TGA加熱炉内部の窒素雰囲気中の新たな試料で加熱−冷却サイクルを継続する(図9)。最初の加熱サイクルでは、4.4%重量減少が観察され、二番目および三番目のサイクルでは観察されず、重量減少は適当な水であることを示す。三番目のサイクル後、得られた粉末は外観が赤色である。
【0052】
実施例4−フォームIIの調製
30mgの粗チゲサイクリンを、40℃にて500μLの脱イオン水で溶解し、溶液を23℃で攪拌する。該溶液に、500μLのメタノールを100μLずつ15分かけて添加する。完全に添加した後、濁った溶液を約10分間攪拌し、次いで、赤色結晶性沈渣を得る。物質を空中で濾過により単離し、次いで、40℃で8時間真空下にて乾燥し、X線粉末回折によって測定される21.4gのフォームIIを得る。
【0053】
実施例5−フォームIIの調製
30mgの粗チゲサイクリンを、40℃にて500μLの脱イオン水で溶解し、溶液を23℃で攪拌する。該溶液を、800μLメタノールに添加し、約15分間10℃で攪拌する。添加中に、結晶性沈渣を得る。物質を空中で濾過により単離し、次いで、40℃で8時間真空下にて乾燥し、X線粉末回折によって測定される20.2mgのフォームIIを得る。
【0054】
実施例6−フォームIIIの調製
0.25gのフォームIを2mLのジクロロメタン中でスラリー化し、懸濁液を形成する。0.01gのフォームVを種として添加する。懸濁液を22℃で96時間攪拌する。次いで、スラリーを濾過し、22℃で真空下にて乾燥する。得られた固体フォームIIIを、高温顕微鏡法、X線粉末回折、HPLC(純度99.98%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【0055】
実施例7−フォームIVの調製
0.15gのフォームIを、22℃で2mLのアセトニトリルに添加する。透明溶液を得、30分間攪拌し、懸濁液を得る。スラリーを濾過し、22℃で真空下にて乾燥する。得られた灰白色固体フォームIVを、高温顕微鏡法、X線粉末回折、HPLC(純度93.39%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【0056】
実施例8−フォームIVの調製
0.167gのフォームIを、22℃でアセトニトリル中にてスラリー化する。スラリーを30℃に加温し、透明溶液を得る。2mLのn−ヘプタンを5分経過後、溶液に添加する。懸濁液を形成し、22℃に冷却し、30分間その温度に保持する。スラリーを濾過し、得られた固体を5mLのn−ヘプタンで洗浄し、真空下にて22℃で乾燥する。得られた固体フォームIVをX線粉末回折、HPLC(純度96.39%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【0057】
実施例9−フォームVの調製
0.22gのフォームIを、22℃で2mLのテトラヒドロフランに添加し、5分間攪拌した。2mLのn−ヘプタンを添加し、透明溶液を得る。得られたスラリーを22℃で30分間攪拌する。スラリーを濾過し、22℃で真空下にて乾燥する。得られた固体フォームVを、高温顕微鏡法、X線粉末回折、HPLC(純度93.57%)、および光学顕微鏡法によって分析する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約5.2°(2θ)および約11.1°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIチゲサイクリン。
【請求項2】
約8.3°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項1記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項3】
約24.8°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項1記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項4】
実質上図1のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIチゲサイクリン。
【請求項5】
約170℃〜約172℃の高温融点開始温度を有する請求項1記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項6】
約170℃〜約172℃の高温融点開始温度を有する請求項3記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項7】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームI。
【請求項8】
溶液が塩化メチレンを含む請求項7記載のフォームI。
【請求項9】
約9.2°(2θ)、約9.7°(2θ)、および約20.4°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIIチゲサイクリン。
【請求項10】
約18.4°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項9記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項11】
約17.7°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項9記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項12】
実質上図2のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIIチゲサイクリン。
【請求項13】
約169℃の高温融点開始温度を有する請求項9記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項14】
約169℃の高温融点開始温度を有する請求項12記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項15】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することにより調製されるフォームIIチゲサイクリン。
【請求項16】
1種の適当な溶媒がメタノールである請求項15記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項17】
スラリーが1種以上の適当な溶媒を含む請求項15記載のフォームII。
【請求項18】
適当な溶媒がメタノール/塩化メチレンである請求項15記載のフォームII。
【請求項19】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームII。
【請求項20】
溶液がメタノールを含む請求項19記載のフォームII。
【請求項21】
溶液がメタノール/塩化メチレンを含む請求項19記載のフォームII。
【請求項22】
約6.0°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項23】
約5.2°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項22記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項24】
約9.3°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項22記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項25】
実質上図3のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項26】
約167℃の高温融点開始温度を有するフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項27】
約167℃の高温融点開始温度を有する請求項25記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項28】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することにより調製されるフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項29】
1種の適当な溶媒がジクロロメタンである請求項25記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項30】
適当な溶媒が塩化メチレン/テトラヒドロフランである請求項28記載のフォームIII。
【請求項31】
約4.6°(2θ)および約9.2°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIVチゲサイクリン。
【請求項32】
約8.8°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項31記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項33】
約16.8°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項31記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項34】
約18.0°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項33記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項35】
実質上図4のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIVチゲサイクリン。
【請求項36】
約170℃の高温融点開始温度を有する請求項31記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項37】
約170℃の高温融点開始温度を有する請求項35記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項38】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することにより調製されるフォームIV。
【請求項39】
溶媒がアセトニトリルである請求項38記載のフォームIV。
【請求項40】
適当な溶媒がアセトニトリル/n−ヘプタンである請求項38記載のフォームIV。
【請求項41】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームIV。
【請求項42】
溶液がアセトニトリルを含む請求項36記載のフォームIV。
【請求項43】
約4.3°(2θ)および約11.4°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームVチゲサイクリン。
【請求項44】
約8.6°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項43記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項45】
約17.3°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項43記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項46】
約25.9°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項45記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項47】
実質上図5のようなX線粉末回折パターンを有するフォームVチゲサイクリン。
【請求項48】
約174℃の高温融点開始温度を有する請求項43記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項49】
約174℃の高温融点開始温度を有する請求項47記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項50】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することにより調製されるフォームVチゲサイクリン。
【請求項51】
適当な溶媒がテトラヒドロフランである請求項50記載のフォームV。
【請求項52】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームV。
【請求項53】
溶液がテトラヒドロフランを含む請求項52記載のフォームV。
【請求項54】
適当な溶媒がテトラヒドロフラン/n−ヘプタンである請求項50記載のフォームV。
【請求項55】
チゲサイクリンの少なくとも1種の結晶性固体形態を含む組成物。
【請求項56】
フォームIチゲサイクリンおよびフォームIIチゲサイクリンを含む請求項55記載の組成物。
【請求項57】
フォームIチゲサイクリンおよびフォームIIIチゲサイクリンを含む請求項55記載の組成物。
【請求項58】
フォームIチゲサイクリン、フォームIIチゲサイクリン、およびフォームIIIチゲサイクリンを含む請求項55記載の組成物。
【請求項59】
チゲサイクリンの少なくとも1種の結晶性固体形態を含む医薬組成物。
【請求項60】
少なくとも1種の固体形態がフォームIである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項61】
少なくとも1種の固体形態がフォームIIである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項62】
少なくとも1種の固体形態がフォームIIIである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項63】
少なくとも1種の固体形態がフォームIVである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項64】
少なくとも1種の固体形態がフォームVである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項65】
医薬上有効量のフォームIチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項66】
医薬上有効量のフォームIIチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項67】
医薬上有効量のフォームIIIチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項68】
医薬上有効量のフォームIVチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項69】
医薬上有効量のフォームVチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項70】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することを含むフォームIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項71】
1種の適当な溶媒がメタノールである請求項70記載の方法。
【請求項72】
適当な溶媒がメタノール/塩化メチレンである請求項70記載の方法。
【請求項73】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することを含むフォームIIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項74】
1種の適当な溶媒がジクロロメタンである請求項73記載の方法。
【請求項75】
適当な溶媒が塩化メチレン/テトラヒドロフランである請求項73記載の方法。
【請求項76】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することを含むフォームIVチゲサイクリンの調製方法。
【請求項77】
1種の適当な溶媒がアセトニトリルである請求項76記載の方法。
【請求項78】
適当な溶媒がアセトニトリル/n−ヘプタンである請求項76記載の方法。
【請求項79】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することを含むフォームVチゲサイクリンの調製方法。
【請求項80】
1種の適当な溶媒がテトラヒドロフランである請求項79記載の方法。
【請求項81】
フォームIIを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームIIの調製方法。
【請求項82】
溶液がメタノールを含む請求項81記載の方法。
【請求項83】
フォームIVを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームIVの調製方法。
【請求項84】
溶液がアセトニトリルを含む請求項83記載の方法。
【請求項85】
フォームVを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームVの調製方法。
【請求項86】
溶液がテトラヒドロフランを含む請求項85記載の方法。
【請求項87】
フォームIを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームIの調製方法。
【請求項88】
溶液が塩化メチレンを含む請求項87記載の方法。
【請求項89】
フォームIIを生産するために、チゲサイクリンの水中溶液にメタノールを添加することを含むフォームIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項90】
フォームIIチゲサイクリンが>20μmの平均粒径を有する請求項89記載の方法。
【請求項91】
フォームIIを生産するために、メタノールにチゲサイクリンの水中溶液を添加することを含むフォームIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項92】
フォームIIチゲサイクリンが<20μmの平均粒径を有する請求項91記載の方法。
【請求項93】
非経口用医薬組成物を調製するための請求項1〜54のいずれか一項に記載のチゲサイクリンの一形態の使用。
【請求項1】
約5.2°(2θ)および約11.1°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIチゲサイクリン。
【請求項2】
約8.3°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項1記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項3】
約24.8°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項1記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項4】
実質上図1のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIチゲサイクリン。
【請求項5】
約170℃〜約172℃の高温融点開始温度を有する請求項1記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項6】
約170℃〜約172℃の高温融点開始温度を有する請求項3記載のフォームIチゲサイクリン。
【請求項7】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームI。
【請求項8】
溶液が塩化メチレンを含む請求項7記載のフォームI。
【請求項9】
約9.2°(2θ)、約9.7°(2θ)、および約20.4°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIIチゲサイクリン。
【請求項10】
約18.4°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項9記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項11】
約17.7°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項9記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項12】
実質上図2のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIIチゲサイクリン。
【請求項13】
約169℃の高温融点開始温度を有する請求項9記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項14】
約169℃の高温融点開始温度を有する請求項12記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項15】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することにより調製されるフォームIIチゲサイクリン。
【請求項16】
1種の適当な溶媒がメタノールである請求項15記載のフォームIIチゲサイクリン。
【請求項17】
スラリーが1種以上の適当な溶媒を含む請求項15記載のフォームII。
【請求項18】
適当な溶媒がメタノール/塩化メチレンである請求項15記載のフォームII。
【請求項19】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームII。
【請求項20】
溶液がメタノールを含む請求項19記載のフォームII。
【請求項21】
溶液がメタノール/塩化メチレンを含む請求項19記載のフォームII。
【請求項22】
約6.0°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項23】
約5.2°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項22記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項24】
約9.3°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項22記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項25】
実質上図3のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項26】
約167℃の高温融点開始温度を有するフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項27】
約167℃の高温融点開始温度を有する請求項25記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項28】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することにより調製されるフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項29】
1種の適当な溶媒がジクロロメタンである請求項25記載のフォームIIIチゲサイクリン。
【請求項30】
適当な溶媒が塩化メチレン/テトラヒドロフランである請求項28記載のフォームIII。
【請求項31】
約4.6°(2θ)および約9.2°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームIVチゲサイクリン。
【請求項32】
約8.8°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項31記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項33】
約16.8°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項31記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項34】
約18.0°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項33記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項35】
実質上図4のようなX線粉末回折パターンを有するフォームIVチゲサイクリン。
【請求項36】
約170℃の高温融点開始温度を有する請求項31記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項37】
約170℃の高温融点開始温度を有する請求項35記載のフォームIVチゲサイクリン。
【請求項38】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することにより調製されるフォームIV。
【請求項39】
溶媒がアセトニトリルである請求項38記載のフォームIV。
【請求項40】
適当な溶媒がアセトニトリル/n−ヘプタンである請求項38記載のフォームIV。
【請求項41】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームIV。
【請求項42】
溶液がアセトニトリルを含む請求項36記載のフォームIV。
【請求項43】
約4.3°(2θ)および約11.4°(2θ)のX線粉末回折ピークを有するフォームVチゲサイクリン。
【請求項44】
約8.6°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項43記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項45】
約17.3°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項43記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項46】
約25.9°(2θ)のX線粉末回折ピークをさらに有する請求項45記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項47】
実質上図5のようなX線粉末回折パターンを有するフォームVチゲサイクリン。
【請求項48】
約174℃の高温融点開始温度を有する請求項43記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項49】
約174℃の高温融点開始温度を有する請求項47記載のフォームVチゲサイクリン。
【請求項50】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することにより調製されるフォームVチゲサイクリン。
【請求項51】
適当な溶媒がテトラヒドロフランである請求項50記載のフォームV。
【請求項52】
溶液からチゲサイクリンを晶出させることにより調製されるフォームV。
【請求項53】
溶液がテトラヒドロフランを含む請求項52記載のフォームV。
【請求項54】
適当な溶媒がテトラヒドロフラン/n−ヘプタンである請求項50記載のフォームV。
【請求項55】
チゲサイクリンの少なくとも1種の結晶性固体形態を含む組成物。
【請求項56】
フォームIチゲサイクリンおよびフォームIIチゲサイクリンを含む請求項55記載の組成物。
【請求項57】
フォームIチゲサイクリンおよびフォームIIIチゲサイクリンを含む請求項55記載の組成物。
【請求項58】
フォームIチゲサイクリン、フォームIIチゲサイクリン、およびフォームIIIチゲサイクリンを含む請求項55記載の組成物。
【請求項59】
チゲサイクリンの少なくとも1種の結晶性固体形態を含む医薬組成物。
【請求項60】
少なくとも1種の固体形態がフォームIである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項61】
少なくとも1種の固体形態がフォームIIである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項62】
少なくとも1種の固体形態がフォームIIIである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項63】
少なくとも1種の固体形態がフォームIVである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項64】
少なくとも1種の固体形態がフォームVである請求項59記載の医薬組成物。
【請求項65】
医薬上有効量のフォームIチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項66】
医薬上有効量のフォームIIチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項67】
医薬上有効量のフォームIIIチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項68】
医薬上有効量のフォームIVチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項69】
医薬上有効量のフォームVチゲサイクリンを含む組成物。
【請求項70】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することを含むフォームIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項71】
1種の適当な溶媒がメタノールである請求項70記載の方法。
【請求項72】
適当な溶媒がメタノール/塩化メチレンである請求項70記載の方法。
【請求項73】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIチゲサイクリンをスラリー化することを含むフォームIIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項74】
1種の適当な溶媒がジクロロメタンである請求項73記載の方法。
【請求項75】
適当な溶媒が塩化メチレン/テトラヒドロフランである請求項73記載の方法。
【請求項76】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することを含むフォームIVチゲサイクリンの調製方法。
【請求項77】
1種の適当な溶媒がアセトニトリルである請求項76記載の方法。
【請求項78】
適当な溶媒がアセトニトリル/n−ヘプタンである請求項76記載の方法。
【請求項79】
1種または複数の適当な溶媒中でフォームIをスラリー化することを含むフォームVチゲサイクリンの調製方法。
【請求項80】
1種の適当な溶媒がテトラヒドロフランである請求項79記載の方法。
【請求項81】
フォームIIを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームIIの調製方法。
【請求項82】
溶液がメタノールを含む請求項81記載の方法。
【請求項83】
フォームIVを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームIVの調製方法。
【請求項84】
溶液がアセトニトリルを含む請求項83記載の方法。
【請求項85】
フォームVを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームVの調製方法。
【請求項86】
溶液がテトラヒドロフランを含む請求項85記載の方法。
【請求項87】
フォームIを生産するために、溶液からチゲサイクリンを晶出させることを含むフォームIの調製方法。
【請求項88】
溶液が塩化メチレンを含む請求項87記載の方法。
【請求項89】
フォームIIを生産するために、チゲサイクリンの水中溶液にメタノールを添加することを含むフォームIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項90】
フォームIIチゲサイクリンが>20μmの平均粒径を有する請求項89記載の方法。
【請求項91】
フォームIIを生産するために、メタノールにチゲサイクリンの水中溶液を添加することを含むフォームIIチゲサイクリンの調製方法。
【請求項92】
フォームIIチゲサイクリンが<20μmの平均粒径を有する請求項91記載の方法。
【請求項93】
非経口用医薬組成物を調製するための請求項1〜54のいずれか一項に記載のチゲサイクリンの一形態の使用。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−100354(P2013−100354A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−28239(P2013−28239)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2008−513821(P2008−513821)の分割
【原出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【出願人】(507390804)
【氏名又は名称原語表記】Lalitha KRISHNAN
【出願人】(507390789)
【氏名又は名称原語表記】Subodh S. DESHMUKH
【出願人】(507390848)
【氏名又は名称原語表記】Anthony HADFIELD
【出願人】(507390745)
【氏名又は名称原語表記】James W. HUANG
【出願人】(507390826)
【氏名又は名称原語表記】Mannching Sherry KU
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−28239(P2013−28239)
【出願日】平成25年2月15日(2013.2.15)
【分割の表示】特願2008−513821(P2008−513821)の分割
【原出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【出願人】(507390804)
【氏名又は名称原語表記】Lalitha KRISHNAN
【出願人】(507390789)
【氏名又は名称原語表記】Subodh S. DESHMUKH
【出願人】(507390848)
【氏名又は名称原語表記】Anthony HADFIELD
【出願人】(507390745)
【氏名又は名称原語表記】James W. HUANG
【出願人】(507390826)
【氏名又は名称原語表記】Mannching Sherry KU
【Fターム(参考)】
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