説明

チゲサイクリン組成物および調製方法

本発明は、固体および溶液状態の両方で改良された安定性を有する新規チゲサイクリン組成物、およびこれらの組成物の製造方法に関する。これらの組成物は、チゲサイクリン、適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出典明示によりその全内容を本明細書の一部とする、2005年3月14日付出願の同時継続の仮出願番号60/661,030より優先権を主張する。
【0002】
本発明は、改良されたチゲサイクリン(tigecycline)組成物およびこのような組成物の製造方法に関する。本発明の組成物は、固体および溶液状態の両方で改良された安定性を有する。本発明の組成物は、チゲサイクリン、適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む。適当な炭水化物および酸または緩衝剤を組み合わせると、後で説明するようにチゲサイクリンの分解が低減する。本発明は、安定なチゲサイクリン組成物、ならびに酸化分解およびエピマー化の両方に対する安定性をもたらすような組成物の製造方法を準備することによって従来技術に優る利点を提供する。それゆえ、これらの組成物は、溶解、凍結乾燥、復元、および/または希釈された場合、本発明に従って製造されていないチゲサイクリン組成物よりも安定である。
【背景技術】
【0003】
チゲサイクリンは、テトラサイクリンファミリーに属する周知の抗生物質であり、ミノサイクリンの化学類似体である。それは、薬剤耐性細菌に対する治療薬として使用することができ、他の抗生物質が作用しない場合に作用することが知られている。例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)バンコマイシン耐性腸球菌に対して[D.J.Beidenbachら、Diagnostic Microbiology and Infectious Disease、40巻、173〜177頁(2001年);H.W.Boucherら、Antimicrobial Agents & Chemotherapy、44巻、2225〜2229頁(2000年);P.A.Bradford Clin.Microbiol.Newslett.、26巻、163〜168頁(2004年);D.Milatovicら、Antimicrob.Agents Chemother.、47巻、400〜404頁(2003年);R.Patelら、Diagnostic Microbiology and Infectious Disease、38巻、177〜179頁(2000年);P.J.Petersenら、Antimicrob.Agents Chemother、46巻、2595〜2601頁(2002年);P.J.Petersenら、Antimicrob.Agents Chemother,43巻、738〜744頁(1999年)]、ならびにテトラサイクリン耐性の2つの主要形態、すなわち排出およびリボソーム保護のいずれかを所持する微生物に対して[C.Betriuら、Antimicrob.Agents Chemother.、48巻、323〜325頁(2004年);T.Hirataら、Antimicrob.Agents Chemother.、48巻、2179〜2184頁(2004年);およびP.J.Petersenら、Antimicrob.Agents Chemother.、43巻、738〜744頁(1999年)]活性がある。
【0004】
チゲサイクリンは、経口投与した場合、一般に、生物学的利用能に乏しいため、歴史的には静脈内投与されてきた。静脈内用溶液は、チゲサイクリンが溶液中で主として酸化により分解するので、たいていは、使用、例えば患者に対する投与の直前に凍結乾燥粉末から調製してきた。即時使用を必要とせず、溶液中で最大24時間安定なままである、チゲサイクリンの静脈内処方を有することが好ましくかつ望ましい。
【0005】
チゲサイクリンは、現在、凍結乾燥粉末として製造される。チゲサイクリンは分解する傾向があるので、これらの粉末は、分解を最小にするために低酸素および低温度条件で調製される。このような処理は、特別な装置および取り扱いを必要とするので、費用がかさむ。
【0006】
これらの粉末組成物の典型的な調製方法には、チゲサイクリンを水に溶解すること(調合)、および該溶液を乾燥状態まで凍結乾燥して非晶質チゲサイクリンの固体ケーキを形成すること(凍結乾燥)が含まれる。次いで、これらのケーキを窒素下で栓の付いたガラスバイアル瓶に充填し、病院調剤部などの最終ユーザーに出荷する。患者に投与するのに先立って、該ケーキを、多くは0.9%生理食塩水中で、例えば約10mg/mLの濃度に復元する。この濃度で、チゲサイクリンは、溶液中で急速に分解し、それゆえ、遅滞なく使用しなければならない。従って、これらの復元された溶液は、患者にデリバリーするための静脈内点滴バック中で、生理食塩水またはその他の医薬上許容される希釈剤で約1mg/mLに直ちに希釈される。
【0007】
この希釈状態で、チゲサイクリンは、患者に対する静脈内デリバリーの準備が整う。しかし、1mg/mLの濃度で、チゲサイクリンは、希釈から6時間以内に使用されるべきである。静脈内点滴は、数時間を要する場合があるので、病院の係員は、混和が始まる時刻からチゲサイクリンの投与量を患者に投与してしまう時刻までに6時間を超えないように、迅速に行動しなければならない。例えば、患者に投与することが必要とされる日の前に病院薬剤師が溶液を調製できるように、より長い混和および復元の時間に対応する融通性および利点を病院スタッフに提供することがより好ましい。
【0008】
溶液中でチゲサイクリンの酸化は比較的急速なので、チゲサイクリンは、本質的に零であるような短い混和時間および復元時間を有する。現行の製造、貯蔵、および投与条件の下で、最も優勢な分解形態は、酸化によるものである。先行製剤で酸化が最も優勢な分解形態である理由は、チゲサイクリンの化学構造に関連している。それは、フェノール部分を所持し、フェノール類が特に酸化を受けやすいことは有機化学の技術分野で周知である。凍結乾燥に先立ってチゲサイクリンを水に溶解する場合、そのpHはわずかに塩基性(約7.8)である。これは、チゲサイクリン上のフェノール基のpKaよりも大きい。従って、水溶液および生理食塩水溶液の両方中で、フェノール基は、脱プロトン化され、酸素との反応により敏感になり、このことが、チゲサイクリンの調合および凍結乾燥が窒素雰囲気下で行われる理由である。従って、病院スタッフは、復元および希釈中の、酸素への不必要な暴露を避けるように注意すべきである。
【0009】
チゲサイクリン溶液のpHが、チゲサイクリン上のフェノール基のpKaよりも小さかったなら、酸化は起こるが程度が少ない。実際、チゲサイクリンの酸化分解は、pHを下げた場合に減少することが観察されている。しかし、低いpHでは、別の分解過程、すなわちエピマー化が起こる。より低いpHでは、最も優勢な分解経路としてエピマー化が出現する。
【0010】
チゲサイクリンは、たった1箇所でそのエピマーと構造的に相違する。
【0011】
【化1】

【化2】

【0012】
チゲサイクリン中では、4位炭素のN−ジメチル基が、上で式Iに示したように、隣接水素に対してシスであるのに対して、エピマー、式II中では、それらが、指摘した方式で互いにトランスである。チゲサイクリンのエピマーは、非毒性であると思われるが、チゲサイクリンの抗細菌効果を欠き、従って、望ましくない分解生成物である。
【0013】
凍結乾燥状態で、チゲサイクリンは、溶液中と同様の分解経路に従うが、分解速度はより遅い。従って、チゲサイクリンをpHが約7.8であるような水中で凍結乾燥する場合、得られる凍結乾燥ケーキは、たとえ溶液中よりも遅い速度であっても、酸化分解を示す。同様に、チゲサイクリンを酸性溶液中で凍結乾燥する場合、主な分解経路はエピマー化であり、それも、溶液中よりも遅い速度で起こる。
【0014】
エピマー化は、テトラサイクリン類一般で周知の分解経路であるが、分解速度は、テトラサイクリンに応じて異なる可能性がある。比較上、チゲサイクリンのエピマー化速度は特に速い。テトラサイクリンの論文は、科学者が、テトラサイクリン類におけるエピマーの形成を試みるのに、および最小化するのに使用してきたいくつかの方法を報告している。若干の方法で、テトラサイクリン類とのカルシウム、マグネシウム、亜鉛またはアルミニウム金属塩の形成は、非水溶液中、塩基性pHでなされた場合にエピマー形成を制限する(Gordon,P.N.、Stephens Jr,C.R.、Noseworthy,M.M.、Teare,F.W.、英国特許第901,107号)。他の方法(Tobkes、米国特許第4,038,315号)では、金属錯体の形成を酸性pHで実施し、続いて、薬剤の安定な固体形態を調製する。
【0015】
エピマー形成を低減するその他の方法には、処理中に約6.0を超えるpHに維持すること、ギ酸、酢酸、リン酸、またはホウ酸などの弱酸のコンジュゲートとの接触を避けること、および水をベースにした溶液を含む水分との接触を避けることが含まれる。水分からの保護に関して、NoseworthyおよびSpiegel(米国特許第3,026,248号)ならびにNashおよびHaeger(米国特許第3,219,529号)は、テトラサイクリン類似体を非水性ビヒクル中で処方して薬剤安定性を改良することを提案している。しかし、これらの発明に含まれるビヒクルの大部分は、非経口使用よりも局所使用により適している。テトラサイクリンのエピマー化は、温度依存性であることも周知であり、それゆえ、低温でテトラサイクリンを製造および貯蔵すると、エピマー形成の速度も低下する(Yuen,P.H.、Sokoloski,T.D.、J.Pharm.Sci.、66巻、1648〜1650頁、1977年;Pawelczyk,E.、Matlak,B.、Pol.J.Pharmacol.Pharm.、34巻、409〜421頁、1982年)。これらの方法のいくつかを、チゲサイクリンに対して試みたが、付加的な分解生成物を生成することはないが、いずれも、エピマー形成および酸化分解の両方を低減するのに成功しなかった。例えば、金属錯体形成は、塩基性pHでエピマー形成または分解のいずれに対しても、一般にほとんど影響を与えないことが見出された。
【0016】
リン酸塩、酢酸塩、およびクエン酸塩緩衝剤を使用すると溶液状態での安定性が改良されるが、それらは、凍結乾燥状態でのチゲサイクリンの分解を加速するように思われる。しかし、緩衝剤なしでさえ、エピマー化は、ミノサイクリンなどのその他のテトラサイクリン類よりもチゲサイクリンでより重大な問題である。
【0017】
これらの方法の中の別な方法も、エピマー化および酸化分解の両方を低減するのに同様に失敗した。約6.0を超えるpHを維持すると、上記のようにエピマーの形成を低減するのに役立つが、このような条件はより大きな酸素感受性につながることが見出された。水は、チゲサイクリンの分解を加速することが知られているとはいえ、非水性ビヒクルに関していえば、このようなビヒクルを使用して静脈内薬剤を調製することは非現実的である。
【0018】
室温より低い約10℃未満などの温度で処理するとチゲサイクリンの分解速度が低下することが確定されたが、このような処理は費用がかさみ、処理中に費用のかかる冷凍を必要としない組成物を使用するのが有利である。
【0019】
中国特許出願第1390550A号は、酸化分解に対する安定性を増すために、ミノサイクリンを酸と合わせることを開示している。それは、さらに、マンニトールなどのケーキング剤の使用を開示している。この参考文献は、チゲサイクリンについて何も言及していないし、低下したpH環境でのミノサイクリンに対する酸化またはエピマー化を低減するために炭水化物を使用できる可能性を示唆していない。実際、ミノサイクリンは、静脈用製品中でそれほどのエピマー化なしに塩酸塩として処方できる。しかし、チゲサイクリン塩酸塩では、かなりのエピマー化が起こる。従って、ミノサイクリンおよびチゲサイクリンは、異なるエピマー化特性を所持する。
【0020】
別の実験で、ミノサイクリンを約5.0のpHで凍結乾燥し、凍結乾燥ケーキを40℃および相対湿度75%で20日間貯蔵した。20日間の最後に、ケーキをHPLCで分析した。ミノサイクリンのエピマーは、質量で2.65%の濃度で存在することが測定された。比較として、チゲサイクリンを約5.0のpHで凍結乾燥し、試料を同一条件下で、但し4日間だけ貯蔵し、続いてHPLCで分析した場合、チゲサイクリンのエピマーは、たとえミノサイクリンと同じ長さの5分の1のストレスを加えただけでも、2倍程度を超える5.40%の濃度で存在することが測定された。従って、チゲサイクリンは、ミノサイクリンよりもはるかに容易にエピマー化し、エピマー化は、ミノサイクリンに関してよりもチゲサイクリンではるかに重大な問題である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、固体および溶液形態で安定なチゲサイクリン組成物を提供することによって、従来技術の種々の問題および欠点に取り組む。チゲサイクリンおよび適当な炭水化物を含む酸性pHの水溶液を凍結乾燥することによって、本発明者らは、現行組成物よりも酸化分解およびエピマー化の両方に対してより安定であるチゲサイクリン組成物を調製した。pHが酸性なので、酸化分解は最小になった。さらに、適当な炭水化物は、酸性pHでエピマー形成に対してチゲサイクリンを安定化するように作用すると判定された。
【0022】
本発明の組成物は、凍結乾燥状態で現行組成物よりも安定であり、低温または低酸素の処理条件を必要としない。このような組成物は、また、現行組成物のそれを超える復元および混和の安定時間を有すると予想される。例えば、本発明の一実施形態では、復元後に6時間安定であり、混和後にさらに18時間安定である。これらの延長された安定時間は、患者を治療する場合に病院のスタッフに対して必要な融通性を提供することによって、病院環境でチゲサイクリンを使用することをより容易にする。
【0023】
固体状態の本発明組成物は、チゲサイクリン、適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
適当な炭水化物は、同一のpH環境で適当な炭水化物を欠いて調製された少なくとも1種のチゲサイクリンの固体形態に比較した場合に、少なくとも1つのpH環境で調製された少なくとも1種の固体形態におけるエピマー形成を低減する能力を有するそれら炭水化物である。一実施形態において、pH環境は、約4.0〜約5.0、または約4.2〜約4.8の範囲のpHなど、約3.0〜約7.0の範囲のpH環境である。一実施形態において、少なくとも1種の固体形態は、チゲサイクリンの粉末および凍結乾燥ケーキから選択される。適当な炭水化物の例には、ラクトース、マンノース、シュークロース、およびグルコースなどの化合物の無水、水和、および溶媒和形態が含まれる。適当な炭水化物には、単糖および二糖類、例えば、アルドースである単糖または二糖、好ましくはラクトースおよびシュークロースなどの二糖が含まれる。ラクトースが最も好ましい。従って、適当な炭水化物は、異なる固体形態を含んでいてもよい。例えば、ラクトースに関していえば、本発明者らは、無水ラクトース、ラクトース一水和物、またはラクトースの任意のその他水和もしくは溶媒和形態などの、ラクトースの種々の固体形態を含める。ラクトースおよびシュークロースは二糖類である。それゆえ、部類としての二糖類は、本発明に従って作用することが予想される。
【0025】
本発明組成物には、チゲサイクリン、適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む、凍結乾燥に先立って調製される溶液などの溶液が包含される。本発明の若干の実施形態において、該溶液は、より大きな製造上の融通性を提供するため、凍結乾燥に先立って数時間貯蔵できる。本発明組成物には、さらに、チゲサイクリン、適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む凍結乾燥された粉末またはケーキが包含される。
【0026】
本発明の若干の実施形態において、使用される適当な炭水化物はラクトース一水和物であり、凍結乾燥された粉末またはケーキにおけるチゲサイクリンとラクトース一水和物とのモル比は、約1:0.2〜約1:5である。若干の実施形態は、約1:1.6〜約1:3.3のチゲサイクリンとラクトース一水和物とのモル比を有する。
【0027】
本発明組成物には、例えば、生理食塩水またはその他の医薬上許容される希釈剤を用いる復元によって、凍結乾燥された粉末またはケーキから調製される溶液も包含される。本発明組成物には、さらに、それらの復元された溶液を医薬上許容される希釈剤で希釈することによって得られる、静脈内バッグで使用するための溶液が包含される。
【0028】
本発明でエピマー形成を低減する能力のある任意の炭水化物が、適当な炭水化物であり、本発明は、具体的に明らかにしたそれらの炭水化物を採用している組成物に限定されるものではない。
【0029】
例えば、糖類の誘導体は、本発明によりエピマー形成を低減するように作用する可能性のあることが予想される。かくして、糖アルコール、グルコースアミン、およびアルキルエステルなどの糖誘導体が、単独または組合せで、本発明によりエピマー形成を低減する範囲まで、それらは適当な炭水化物である。同様に、その他の適当な炭水化物には、多糖類などの高級糖類;ヘタスターチ(hetastarch)、デキストランなどの複合炭水化物類;ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類を含めることができる。さらに、単糖類および三糖類を含む炭水化物の組合せが、適当な炭水化物であり、本発明によりエピマー形成を低減するように作用することが予想される。
【0030】
本発明の酸および緩衝剤には、チゲサイクリン/適当な炭水化物溶液のpHを約3.0〜約7.0、約4.0〜約5.0、または約4.2〜約4.8に調整する能力のある任意の医薬上許容される酸または緩衝剤が含まれる。このような酸の例には、それに限定はされないが、1.0N HClを含む塩酸、ゲンチジン酸、乳酸、クエン酸、酢酸、およびリン酸が含まれる。適当な緩衝剤の例にはコハク酸塩が含まれる。
【0031】
本発明の化合物は、いくつかの許容される方法により調製できる。下記の方法は、例示的なものであり、本発明を制限することを意味しない。
【0032】
本発明の1つの方法では、チゲサイクリンを水に溶解して溶液を形成する。続いて、酸または緩衝剤を添加して該溶液のpHを低下させる。次いで、溶液中に適当な炭水化物を溶解し、溶液を乾燥状態まで凍結乾燥して凍結乾燥された粉末またはケーキを形成する。
【0033】
チゲサイクリンは、適当な炭水化物とブレンドし、水に溶解することができる。溶液のpHを酸性であるように調整した後、溶液を乾燥状態まで凍結乾燥して凍結乾燥された粉末またはケーキを形成する。
【0034】
本発明の溶液の凍結乾燥は、任意の医薬上許容される手段によって完遂できる。凍結乾燥したら、本発明組成物を、窒素などの不活性気体の下で貯蔵し、分解過程をさらに遅延させることができるが、現行のチゲサイクリン組成物と異なり、本発明の場合、このような低酸素環境は必須ではない。
【0035】
チゲサイクリンを適当な炭水化物と組み合わせる場合には、水に十分溶解する任意の固体状態形態のチゲサイクリンを使用することができる。このような固体状態の形態には、結晶性チゲサイクリン多形体、非晶質形態、および塩が含まれる。
【0036】
さらに、凍結乾燥のために本発明のチゲサイクリン溶液を調製する場合には、チゲサイクリンを含む水溶液に十分な酸または緩衝剤を添加して約4.0〜約5.0、および約4.2〜約4.8を含む約3.0〜約7.0のpHを得る。
【0037】
本発明組成物は、単一投与での使用に向けて調製できる。この実施形態では、本発明の溶液を、20mLバイアル瓶などの個々のバイアル瓶中で凍結乾燥する。凍結乾燥したら、バイアル瓶を任意の医薬上許容される栓で栓をする。次いで、栓をしたバイアル瓶を使用に向けて出荷する。
【0038】
必要な場合には、十分な希釈剤を添加することによってバイアル瓶を復元し、チゲサイクリンの所望濃度を達成できる。復元された溶液の濃度は、当業者が容易に測定できる。任意の医薬上許容される希釈剤を使用できる。このような希釈剤の例には、水、0.9%生理食塩水などの生理食塩水、乳酸加リンガー注射溶液、および5%デキストロース(D5W)を含むデキストロース溶液が含まれる。
【0039】
現行組成物と異なり、本発明の復元溶液を、次いで、混和に先立って復元された状態で貯蔵できる。混和は、例えば静脈内点滴バック中で行うことができる。混和物を調製するには、生理食塩水溶液、またはD5Wのようなデキストロース溶液などの医薬上許容される希釈剤を含む静脈内点滴バック中で十分な復元溶液を混合する。混和物の濃度は、当業者が容易に測定できる。本発明組成物のための混和時間は、現行組成物のそれより長くてもよい。混和したら、チゲサイクリン溶液は、患者に投与する準備が整っている。混和物は、単独で、または別の医薬または組成物と一緒に投与できる。
【0040】
次の6つの実施例は、本発明の各種実施形態を例示し、いかなる意味でも本発明を制約することを意図していない。各実施例は、チゲサイクリンを、炭水化物と共に酸性水溶液中に溶解し、凍結乾燥し、そしてHPLCで分解生成物について分析するいくつかの実験を詳述する。各実施例のためのHPLC条件は、本質的に同一とした。実施例に付随する表は、表中で相対保持時間(RRT)0.50/MW601、およびRRT0.55/MW583として確認された酸化生成物、エピマー(RRT0.74/MW585)、および各種条件下で存在するチゲサイクリンの総量(表では「チゲサイクリン」として確認される)を示すHPLCデータの結果を表す。多くの場合、溶液を凍結乾燥した後、それらを、40℃および相対湿度75%の加速安定性条件下においた。これらの条件は、通常の貯蔵条件の下での長期貯蔵の影響を模擬するのに使用される工業的標準である。
【0041】
実施例1では、チゲサイクリン、ラクトース、および1.0N HClからなる溶液を凍結乾燥し、得られたケーキを40℃および相対湿度75%の安定性チャンバー内に25日間置いた。25日間の最後に、HPLCでケーキを分析し、分解生成物を確認した。
【0042】
同様の実験を実施例2aで詳述する。そこでは、凍結乾燥ケーキを、40℃および相対湿度75%で39日間貯蔵した後に、HPLCで分析した。HPLC分析の直前に、2つの実験からの凍結乾燥ケーキをD5W(5%デキストロース)中で復元し、残余ケーキからの試料を生理食塩水中で復元した。
【0043】
実験2bでは、凍結乾燥ケーキに実施例2aの条件通りにストレスを加えた後に、いくつかのケーキを0.9%生理食塩水中で復元し6時間溶液中に保持した。他は、デキストロース中で復元した。6時間の最後に、これらの溶液試料の若干を、表2bで確認されるように、HPLCで試験した。
【0044】
実施例2cは、混和溶液の安定性試験を例示する。これらの溶液では、実施例2bの復元溶液を約10mg/mLで6時間保持し、次いで、チゲサイクリン用の典型的な静脈内濃度である1mg/mLまで希釈し、HPLCでの分析に先立って18時間保持した(表2c)。
【0045】
実施例3では、塩酸ではなくゲンチジン酸を使用して、チゲサイクリンの凍結乾燥前溶液のpHを低下させた。凍結乾燥したら、ケーキに45℃および相対湿度75%で48日間ストレスを加え、次いで、HPLCで分析した。
【0046】
実施例4の試料は、凍結乾燥前チゲサイクリン溶液を調製する場合に、ラクトースからその他の炭水化物に変更することがエピマー形成およびチゲサイクリン回収に与える影響を示す。実施例4a、4b、および4cのそれぞれでは、指示された溶液を、調製し、凍結乾燥した。実施例4a〜4cに示したパラメーターに従って各ケーキにストレスを加え、溶液にし、そしてHPLCで分析した。
【0047】
実施例5では、保持時間、調合から凍結乾燥までの時間、およびチゲサイクリンとラクトースの添加順序を、エピマー形成およびチゲサイクリン回収の要因として研究した。ケーキを凍結乾燥したら、HPLC分析に先立って、それらに40℃および相対湿度75%で48日間ストレスを加えた。HPLCデータの要約を表5に示す。
【0048】
実施例6の実験では、ラクトースとチゲサイクリンの比率を変更した。凍結乾燥を予定した溶液を調製する場合に、ラクトースとチゲサイクリンの変化する比率を採用した。質量比を、表6の最初の縦列に記入する。続いて、それぞれ約5.0のpHを有する溶液を乾燥状態まで凍結乾燥し、得られたケーキに40℃および相対湿度75%で20日間ストレスを加え、HPLCで分析した。
【実施例1】
【0049】
チゲサイクリン(1880mg)を75mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。この原液からのほぼ100mgのチゲサイクリンを含むアリコートを、200mgのラクトース一水和物を含む20mLバイアル瓶中で溶解した。原液からのほぼ100mgのチゲサイクリンを含む別のアリコートを、空の20mL試料バイアル瓶に入れた。これら2つの溶液のどちらにもpH調整を行わなかった。続いて、該溶液を乾燥状態まで凍結乾燥した。
【0050】
残存している原液のpHを、1.0N HClを添加して約6.0まで低下させた。約6.0のpHが得られたら、該原液からの約100mgのチゲサイクリンを含むアリコートを、約200mgのラクトース一水和物を含む20mL試料バイアル瓶中で溶解し、得られた溶液を乾燥状態まで凍結乾燥した。残存している原液を、約5.5のpHが得られるまで1.0N HClで処理し、この時点で、該原液から100mgのチゲサイクリンを、200mgのラクトース一水和物を含む20mLバイアル瓶中に移送した。溶解後、溶液を乾燥状態まで凍結乾燥した。同様に、約100mgのチゲサイクリンおよび約200mgのラクトースを含む20mLの試料バイアル瓶を、約5.0のおよび約4.5のpHで調製した。別の溶液試料を、少しのラクトースもなしにpH4.5で調製した。続いて、場合ごとに、溶液を乾燥状態まで凍結乾燥した。凍結乾燥は、すべて、アセトンの共存するドライアイスを用いて−70℃で凍結した溶液に対して実施した。
【0051】
凍結乾燥試料を、40℃/75%RTのチャンバー中に25日間置いた。その後、試料をHPLCで分析し、試験された各ケーキの主要分解生成物を表す表1に結果の要約を示す。表に挙げた6つの主要分解生成物の概略総計は、分解生成物のすべてを表に挙げている訳ではないので、100%に等しくない。実施例1で試験した7種のケーキの中で、5つは、本発明の組成物であり、最初の2つ(pH調整なしのチゲサイクリン単独、およびpH調整なしのチゲサイクリン+ラクトース)は、対照である。
【0052】
本発明組成物の利点は、この実施例から明らかである。例えば、ラクトースなしで約4.5のpHで調製された組成物では、エピマーが23.51%の量で存在するのに、検出されたチゲサイクリンは74.10%に留まった。比較として、ラクトースを含めたpH4.5の試料は、たった2.53%のエピマーを含み、チゲサイクリンの含有量は97.17%であった。
【0053】
【表1】

ND=検出されない;MWは分子量;RRTはチゲサイクリンのピークに対する相対保持時間を意味する。
【実施例2】
【0054】
2a.チゲサイクリン(1700mg)を85mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。実施例1でチゲサイクリン/ラクトース/HClを調製したのと同様の方式で、約100mgのチゲサイクリンおよび約200mgのラクトース一水和物を含むpHが約5.2、5.0、4.8、および3.0の溶液を調製した。pH3.0の原液に1.0N NaOHを添加し、続いて、約200mgのラクトース一水和物を含む20mLのバイアル瓶中で約100mgのチゲサイクリンを含む原液アリコートを溶解することによって、チゲサイクリンとラクトースとのpHが約4.5の溶液を調製した。すべての試料を乾燥状態まで凍結乾燥した(AdVantage/Virtis製凍結乾燥機を用いて−50℃で凍結)。凍結乾燥試料を40℃/75%RHのチャンバー中に39日間置き、副試料を採取し、HPLCで分析した。データを表2aに示す。
【0055】
2b.39日間の最後に、実施例2aの凍結乾燥ケーキを0.9%NaClで10mg/mLのチゲサイクリン濃度に復元し、室温で6時間保持した。pHが約5.0および約4.5である溶液の個々のアリコートを、生理食塩水に代わって5%デキストロースで約10mg/mLの濃度に復元し、室温で6時間保持した。次いで、溶液のそれぞれをHPLCで分析し、結果を表2bに示す。
【0056】
データは、本発明組成物が、復元溶液中でのエピマー形成を6時間防いでいることを示している。実際、これら実施例中のいずれか1つの最大エピマー含有量は、たった2.45%であるのに、チゲサイクリン含有量は最小でも97.1%であった。pHが約4.5で、かつ希釈剤が生理食塩水である一実施形態において、6時間の復元段階の終末に存在するエピマーは、たった1.60%であった。該実施形態で、チゲサイクリンの量は、測定の結果98.15%であり、それは、若干の応用において、病院で使用するのに十分な純度である可能性がある。
【0057】
2c.チゲサイクリンの混和溶液(1mg/mL)は、復元にどちらの希釈剤を使用したかに応じて、復元溶液(実施例2bからの)を0.9%NaClまたは5%デキストロースで希釈することによって調製した。次いで、該溶液を室温で18時間保持し、HPLCで分析した。結果を表2cに要約する。
【0058】
ラクトースを含むがデキストロースを含まないpHが約4.5の試料は、復元から混和までの進行に関して、そのエピマー濃度を1.60%からたった1.80%に増加させたのに対し、総チゲサイクリン含有量は、その試料の場合98.15%から97.97%にほんのわずか低下した。pHが約4.5の試料に関するこれらの結果は、その試料が、凍結乾燥ケーキを加速安定性条件下で39日間、続いて復元で6時間および混和で18時間貯蔵した後でも十分安定であることを例証している。
【0059】
【表2−1】

【0060】
【表2−2】

【0061】
【表2−3】

【実施例3】
【0062】
チゲサイクリン(700mg)を28mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。約100mgのチゲサイクリンを含む原液アリコートを対照試料として20mLのバイアル瓶に充填した。1.0N HClではなくゲンチジン酸を使用して原液のpHを低下させることを除けば実施例1の方法に従って、チゲサイクリン、ラクトース、および酸からなる溶液試料を、約5.8、5.1、および4.5のpHで調製した。ラクトースを含まないチゲサイクリン溶液のさらなる2つの試料を、1つは約5.1のpHで、もう1つは約4.5のpHで調製した。すべての溶液を−70℃で凍結(アセトンの共存するドライアイスを用いて)し、乾燥状態まで凍結乾燥した。凍結乾燥試料を40℃/75%RHのチャンバーに48日間置き、HPLCで分析した。表3にデータを要約するが、データは、この組成物が、本発明により分解を低減するように作用することを示している。
【0063】
【表3】

【実施例4】
【0064】
4a.チゲサイクリン(1600mg)を64mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成し、該原液からそれぞれ約100mgのチゲサイクリンを含む2つの試料を、それぞれ160mgのラクトース一水和物および160mgのマンニトールを含む2つの別個の20mL試料バイアル瓶に充填した。原液からの約100mgのチゲサイクリンを含む第3試料を空の20mLバイアル瓶に充填した。続いて、実施例1に概略を示した手順通りに、残留原液のpHを1.0N HClで約7.0、6.5、および6.0に調整した。それぞれ約100mgのチゲサイクリンを含む試料溶液を、各pH値で160mgのラクトース一水和物を含む、160mgのマンニトールを含む、またはどちらも含まない20mLバイアル瓶に充填した。得られた溶液を乾燥状態まで凍結乾燥した(アセトンの共存するドライアイスを用いて−70℃で凍結)。凍結乾燥試料を40℃のオーブン中に70時間置き、次いで、HPLCで分析した。データを表4aに要約する。
【0065】
4b.チゲサイクリン(1800mg)を72mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。原液からの約100mgのチゲサイクリンを含むアリコートを、それぞれ約200mgのラクトース一水和物、果糖、およびシュークロースを含む3つの別個の20mLバイアル瓶に充填した。続いて、実施例1に概略を示した手順に従って、原液のpHを1.0N HClで約6.0および5.4に調整した。各pH値で、約100mgのチゲサイクリンを含む溶液のアリコートを、200mgの次の炭水化物、すなわち、ラクトース一水和物、果糖、またはシュークロースの1つを含む20mLバイアル瓶に採取し、溶解した。炭水化物を含まない溶液も各pH値で調製した。溶液を乾燥状態まで凍結乾燥した(アセトンの共存するドライアイスを用いて−70℃で凍結)。凍結乾燥試料を40℃のオーブン中に89時間置き、HPLCで分析した。結果を表4bに要約する。
【0066】
4c.チゲサイクリン(1000mg)を50mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。原液のpHを1.0N HClで約5.0に調整した。それぞれ約100mgのチゲサイクリンを含む4つの原液アリコートを、それぞれ約200mgのグルコース、マンノース、リボース、およびキシロースを含む20mLバイアル瓶に充填し、溶解した。約100mgのチゲサイクリンを含む5番目の原液アリコートを、約125mgのトレオースを含む20mLのバイアル瓶に充填し、溶解した。5種の溶液のすべてを乾燥状態まで凍結乾燥した(AdVantage/Virtis製凍結乾燥機を用いて−50℃で凍結)。凍結乾燥試料を、25℃/60%RHのチャンバーに42日間置き、HPLCで分析した。結果を表4cに要約する。表4a〜4cのデータは、本発明に対するラクトースなどの適当な炭水化物の効果を例示することになる。
【0067】
【表4−1】

【0068】
【表4−2】

【0069】
【表4−3】

【実施例5】
【0070】
5a.チゲサイクリン(1000mg)を40mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。原液のpHを1.0N HClで約5.0に調整した。そのpHで、それぞれ約100mgのチゲサイクリンを含む2つの原液アリコートを、それぞれ約200mgのラクトース一水和物を含む2つの20mLバイアル瓶に別個に充填した。1つの試料を直ちに−70℃で凍結し(アセトンの共存するドライアイスを用いて)、残りの試料は、凍結する前に室温で5時間保持した。続いて、凍結試料を乾燥状態まで凍結乾燥した。凍結乾燥試料を、40℃/75%RHのチャンバーに48日間置き、HPLCで分析した。結果を表5に「A」試料として要約する。
【0071】
5b.ラクトース一水和物(750mg)を15mLのMilli−Q水に溶解した。この溶液にチゲサイクリン(375mg)を添加し、1.0N HClでpHを約5.0に調整した。このpHで、該溶液からのそれぞれ約100mgのチゲサイクリンおよび約200mgのラクトース一水和物を含む2つのアリコートを、20mLのバイアル瓶にそれぞれ充填した。一方の試料バイアル瓶中の溶液を−70℃で直ちに凍結した(アセトンの共存するドライアイスを用いて)。他方の試料の溶液は、凍結する前に室温で5時間保持した。凍結試料を乾燥状態まで凍結乾燥した。凍結乾燥試料を、40℃/75%RHのチャンバーに48日間置き、HPLCで分析した。結果を表5に「B」試料として要約する。「A」および「B」のデータは、本発明組成物が分解生成物を低減していることを例示している。
【0072】
【表5】

【実施例6】
【0073】
6a.チゲサイクリン(1700mg)を85mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。原液のpHを1.0N HClで約5.0に調整した。それぞれ約100mgのチゲサイクリンを含む4つの原液アリコートを、それぞれ約50、100、200、および300mgのラクトース一水和物を含む4つの20mLバイアル瓶に別個に充填した。ラクトースが完全に溶解したら、試料を乾燥状態まで凍結乾燥した(AdVantage/Virtis製凍結乾燥機を用いて−50℃で凍結)。凍結乾燥試料を40℃/75%RHのチャンバーに4日間置き、HPLCで分析した。結果は、表6aに要約され、本発明組成物の例を示す。
【0074】
6b.チゲサイクリン(400mg)を20mLのMilli−Q水に溶解して原液を形成した。原液のpHを1.0N HClで約5.0に調整した。それぞれ約100mgのチゲサイクリンを含む3つの原液アリコートを、それぞれ15、31、および62mgのラクトース一水和物を含む3つの20mLバイアル瓶に別個に充填した。溶解したら、試料を乾燥状態まで凍結乾燥した(AdVantage/Virtis製凍結乾燥機を用いて−50℃で凍結)。凍結乾燥試料を、40℃/75%RHのチャンバーに20日間置き、HPLCで分析した。結果は、表6bに要約され、本発明の組成物を示す。
【0075】
【表6−1】

【0076】
【表6−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
チゲサイクリン、少なくとも1種の適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む組成物。
【請求項2】
1種の適当な炭水化物が、ラクトース、マンノース、シュークロースまたはグルコースから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
適当な炭水化物がラクトースである、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
組成物が凍結乾燥される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
医薬上許容される希釈剤をさらに含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
医薬上許容される希釈剤が、生理食塩水、乳酸加リンガー注射溶液またはデキストロース溶液である、請求項5記載の組成物。
【請求項7】
pHが、約3.0から約7.0の間である、請求項5記載の組成物。
【請求項8】
pHが、約4.0から約5.0の間である、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
pHが、約4.2から約4.8の間である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
酸が1.0N HClである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
酸がゲンチジン酸である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
エピマー化を低減するのに適した少なくとも1種の炭水化物をチゲサイクリンおよび水と合わせて溶液を形成すること、酸または緩衝剤で該溶液のpHを低下させて酸化分解を低減すること、および該溶液を乾燥状態まで凍結乾燥することを含む、チゲサイクリン組成物の調製方法。
【請求項13】
エピマー化を低減するのに適した1種の炭水化物が、ラクトース、マンノース、シュークロースまたはグルコースから選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
エピマー化を低減するのに適した炭水化物がラクトースである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
溶液を乾燥状態まで凍結乾燥することによって得られる組成物を、生理食塩水、乳酸加リンガー注射溶液またはデキストロース溶液と合わせることをさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
酸または緩衝剤が、溶液のpHを約3.0から約7.0の間に低下させる、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
溶液のpHを約4.0から約5.0の間に低下させる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
溶液のpHを約4.2から約4.8の間に低下させる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
酸が1.0N HClである、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
酸がゲンチジン酸である、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
チゲサイクリン、適当な炭水化物、および酸または緩衝剤を含む医薬組成物。
【請求項22】
適当な炭水化物が、二糖またはアルドース単糖である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
適当な炭水化物をチゲサイクリンおよび水と合わせて溶液を形成すること、酸または緩衝剤で該溶液のpHを低下させること、該溶液を乾燥状態まで凍結乾燥することを含む、チゲサイクリン医薬組成物の調製方法。
【請求項24】
適当な炭水化物が、二糖またはアルドース単糖である、請求項23記載の方法。

【公表番号】特表2008−533146(P2008−533146A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501930(P2008−501930)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/008827
【国際公開番号】WO2006/099258
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】