説明

チタニアおよびケイ酸化合物を主成分とする金属表面処理剤の溶液組成物および表面処理方法

【課題】ジルコニウムに代表される希少性金属や高価な希土類元素、クロムなど有害な重金属、リン、ハロゲン類を含まず、防錆力、耐食性、塗装密着性に優れた、表面処理技術を提供する。
【解決手段】(A)チタン化合物がチタニア換算で10ppm〜10%溶解しているアルカリ性溶液、および/または、(B)前記の(A)溶液組成物にケイ素化合物が10ppm〜30%溶解している溶液組成物を使用し、当該組成物中での電解処理することにより、あるいは、当該組成物を塗布または浸漬することにより、皮膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面処理に代表される皮膜の厚さが1μm〜25μmのリン酸亜鉛化成皮膜と比べて10〜100nm程度の膜厚にもかかわらず金属表面に優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を持つ皮膜を作る技術である。溶液組成物は資源的に豊富でかつ害の少ないチタニアとケイ酸化合物からなり、ジルコニウムに代表される希少金属や高価な希土類元素、クロムなどの有害な金属、リンやハロゲン類を一切使用していない特徴を持っている。
【0002】
本発明の溶液組成物は、塗布型や浸漬型による皮膜の形成ができるだけでなく電解処理による表面処理剤として使用できる特徴も持つ。低公害な表面処理剤の溶液組成物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在、自動車やスチール家具などに用いられている鉄や亜鉛鋼板は下地防錆剤にリン酸亜鉛皮膜化成処理やリン酸鉄化成処理やクロメート化成処理が広く使用されている。リン酸亜鉛化成処理は金属表面にホパイト(Zn(PO4HO)やフォスフォフィライト(ZnFe(PO4HO)の複合リン酸亜鉛皮膜を析出させ防錆処理を行っている。これらの防錆処理は処理液と鋼材の接触により、鋼材の溶解反応と皮膜形成反応が同時に起こり、全ての面を防錆処理できる優れた方法である(非特許文献1)。すでに防錆処理の分野では幅広く使われており工業的にも完成された技術である。
【0004】
またアルミ、亜鉛鋼板に塗装下地処理として、クロム酸塩または重クロム酸を主成分とした水溶液中に浸漬して化学的に皮膜を生成する方法がある。この場合、CrO2−の中のCr6+が強い酸化剤として作用して金属表面に下地金属酸化物とCr3+の水酸化物や酸化物を含む緻密な不動態皮膜を作り腐食反応を抑制する。また表面が傷ついて下地金属が露出した時に、皮膜中に残ったCrO2−が傷の部分に移動して自動的に補修する優れた特徴を持っている(非特許文献2)。また、6価クロムと比べて毒性の低い3価のクロムを使用した防錆剤(非特許文献3)も存在している。
【0005】
これらの防錆技術は歴史的も長くこれまで改良、最適化が繰返されほぼ技術的に完了している。しかしながら、これらの技術は、金属元素の持つ毒性、資源的問題、スラッジ問題、排水問題などの本質的に不可避な問題を抱えている。
【0006】
また、リン酸亜鉛処理やクロメート処理以外にも、耐食性の高いジルコニウムやチタンなどを用いた防錆技術もある。例えば、クロム系化成処理層上にジルコニウム化合物、チタン化合物、タンニン(酸)などの化成処理層を形成した防錆処理したプレコート金属板の製造方法(特許文献1)もある。
【0007】
さらに、近年クロムなどの有害な金属やリンやハロゲン類を一切使用していないジルコニウムの炭酸錯体とシランカップリング剤に代表されるケイ素化合物をからなる塗布型の防錆処理剤(特許文献2)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−153168号公報
【特許文献2】特開2009−041077号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】金属表面技術便覧 P717−722
【非特許文献2】同上 P755−760
【非特許文献3】表面技術 VOL.51 No.8(2000)P104−108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のリン酸亜鉛皮膜化成処理の先行技術において、非特許文献1にある方法では、数十℃の液温度管理、撹拌技術、pH調整が必要なため専用の設備が必要となる。洗浄工程などにより持ち出された処理液はそのまま環境に排出されると、リン酸塩成分による富栄養化や、亜鉛やニッケルなどの添加剤からの重金属成分による環境汚染を引き起こすため排水設備が必要となる。特にニッケルは発ガン性が確認されているため、今後は使用に制限がかかるだけでなく排水時に外界に流出しないように回収する新たな排水設備が必要となる。また、装置は表面処理工程以外にもスラッジ処理、排水処理が必要となり設備が大きくなるといった欠点がある。またリンは資源的な問題もあり、将来的には枯渇する可能性があり原材料が不足する可能性が出てくる問題がある。
【0011】
非特許文献2のクロメート処理においては、6価クロムは高い毒性により作業者への健康問題だけでなく、流出時に環境汚染を引き起こす物質である。RoHS規格に代表されるように既に使用が制限されているため今後使用できなくなる技術である。この代替技術として非特許文献3の6価のクロムと比較して毒性の低い3価のクロムを用いた防錆処理液もある。しかしながら、6価と比較すると毒性が低いというだけで本質的に毒性を回避することはできない。また、3価のクロムは長期にわたり暴露されると6価に酸化が進む可能性もある。
【0012】
特許文献1の耐食性の高いプレコート金属板は、下地にクロム酸系下層化成処理層が必要なため前述のクロメート処理と同様の問題を持っている。優れた性能を持っているものの、環境低負荷、低い毒性の処理液が必要とされる近年の環境対策の流れからすると、本質的な解決はできない。
【0013】
特許文献2のジルコニア系の防錆処理剤は、簡便な処理で優れた防錆性能を持たせることができるが、主成分であるジルコニウムは希少性金属であるため亜鉛などの金属と比べて高価である。また、国内では90%が原子炉の材料に使用されるため化学用途には僅かしか流通しない。さらに、産出国がロシア、中国、などに偏在しているため、政治的な変動や天災などにより価格が容易に変動するため、原料価格が変動し易い問題を持っている。これらの理由から、ジルコニア系の防錆処理剤は優れた性能を持ちながらも、原料が高価であることと、原料価格が変動しやすいため、コスト面で解決し難い問題を持っている。
【0014】
本発明は、従来からの重金属であるクロムはもとより、希少性金属、リン、ハロゲン類は一切含まず前記課題を一挙に解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明者らは、優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮する皮膜を形成する方法について鋭意検討した結果、(A)過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩の溶液組成物、過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩をアニオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムから選ばれる1つ以上のカチオンが錯塩または複塩を構成して安定に溶解している溶液、および/または、(B)前記の(A)溶液組成物中にケイ素のアルコキシドまたはその加水分解縮合物、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物から選ばれる1つ以上の化合物が含まれる溶液組成物を用いて、塗布処理、浸漬処理、電解処理により目的を達成できる皮膜を形成できることを見いだした。
【0016】
また、チタニア皮膜およびチタニアとケイ酸化合物皮膜にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物などのケイ素を含有する溶液を作成した皮膜上に塗布・乾燥させてケイ酸化合物層を積層コートすることにより前記の溶液組成物単独の使用よりさらに性能を向上できることも見いだした。
【0017】
本発明のチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜を形成できる溶液組成物は、塗布処理や浸漬処理の場合は、従来の塗布方法がそのまま適用でき、ディップ法、フローコート法、スプレーコート法、流し塗り、カーテンコート法、スピンコート法、エアレススプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、刷毛塗りなどのいずれの方法でも塗布が可能である。また、電解処理の場合、被コート材を陰極としての電解処理にて皮膜を形成できる。
【0018】
本発明は、前述の溶液組成物を洗浄した金属板表面をいずれかの方法で10℃〜70℃の溶液組成物を塗布または浸漬した後に10℃〜1000℃の温度の温度で1秒から5時間乾燥する工程、または10℃〜1000℃の温度の金属板上に該溶液組成物をいずれかの方法で塗布する工程。または、陰極として0.01A/dm〜100A/dmの電流密度で0.1秒〜1200秒の電解処理することにより0.1nm〜10μmの優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を持つチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜を形成できる。また、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物などを含有する溶液を前述の皮膜の上に塗布して乾燥させてケイ酸化合物層を積層コートすることによりさらに性能を向上できる。
【0019】
本発明では、溶液組成物を塗布または浸漬する簡便な方法、溶液組成物中で被コート材を陰極として電解処理によりでリン酸亜鉛化成皮膜より薄く、同等以上の性能を持つ皮膜を作成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の溶液組成物は製造工程において以下に記した優れた特徴を持っている。
・塗布処理、浸漬処理、電解処理が可能なため被コート材の種類によって処理方法を使い分けられる。
・室温で塗布が可能な塗布型(液状の溶液組成物を基材表面に塗布により皮膜を形成する型)の表面処理剤のため、化成皮膜処理のような溶液の加温装置が不要なうえ、処理速度を向上することが可能である。
・亜鉛鋼板などの表面が両性金属の場合、化成皮膜と似た防錆処理ができるため、従来の設備から移行できる。
【0021】
これらの特徴により、本発明はリン酸亜鉛化成処理やクロメート処理に代表される防錆処理技術に代わる新しい低公害な防錆処理技術として適応できる。本技術は、自動車のフレームや外装部品、家電製品、スチール家具、スチール製品全般、鋳物、建材などの各種金属製品の塗装下地剤としての防錆処理剤として適用できる。適用例としていくつか金属製品の例を挙げたがこれらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、従来のリン酸亜鉛化成処理やクロメート処理に代表される防錆処理に代わる低公害な防錆処理剤の開発について研究を進めてきたところ、(A)過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩の溶液組成物、過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩がアニオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムから選ばれる1つ以上のカチオンが錯塩または複塩を構成して安定に溶解している溶液組成物、および/または、(B)前記の(A)溶液組成物中にケイ素のアルコキシドまたはその加水分解縮合物、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物から選ばれる1つ以上の化合物が含まれる溶液組成物を用いて、塗布処理、浸漬処理、電解処理することにより優れた性能を持つ皮膜を形成できることを発見した。
【0023】
本発明では、(A)過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩の溶液、過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩がアニオンとして、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムから選ばれる1つ以上のカチオンが錯塩または複塩を構成して安定に溶解している溶液、および/または、(B)前記の(A)溶液組成物中にケイ素のアルコキシドまたはその加水分解縮合物、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物から選ばれる1つ以上の化合物が含まれる溶液組成物から優れた耐食性、防錆力、塗装密着性を持つチタニアまたはチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜を形成できる溶液組成物が作成できる。
【0024】
この溶液組成物が皮膜を形成するメカニズムは、塗布型では金属表面に塗布された後の乾燥過程で溶媒の蒸発に伴い、分解して炭酸、過酸化物イオン、アンモニアなどが脱離して、フリーになったチタンが金属表面と反応して結合することにより緻密な皮膜が形成される。ケイ素のアルコキシドまたはシランカップリング剤が存在する時、これと同時に縮合重合しながらチタンと一緒に皮膜を形成していき、乾燥後は優れた耐食性と防錆力と塗装密着性を持つ皮膜が形成される。浸漬型は、亜鉛鋼板の表面が溶解するときに交換反応によって耐食性と防錆力と塗装密着性を持つ皮膜が形成される。電解処理については皮膜形成のメカニズムの詳細はまだ分かっていないが、溶液組成物中で電気を流すことにより、非コート材の陰極付近はpHの増大と還元雰囲気により何らかの化学反応によってチタニアまたはチタニアとケイ酸化合物が電析して皮膜を形成する。
【0025】
本発明における皮膜を形成する部材は、鉄系、亜鉛系、アルミ系などの金属材料が挙げられるが、これらに限定されない。また、形状については板状でも線状でも塊状でもよく、どのような形状に加工されていてもよい。
【0026】
本発明の溶液組成物を作成するために用いられる、耐錆性に寄与するチタン源は、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラ−n−プロポキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、チタニウムテトラ−n−ブトキシド、水酸化チタン、炭酸チタンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
【0027】
また、チタンの炭酸錯体または炭酸塩の合成に用いられる配位子(炭酸源およびカチオン源)として、二酸化炭素の他に炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられるが、炭酸基を含有して、かつ、アンモニウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンから選ばれる1つ以上のカチオン種を含有するものであればよく、特に限定されるものではない。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
【0028】
チタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩の溶解度の向上と溶液中における前記化合物の安定性を向上させるために用いる過酸化物イオンは、過酸化水素水、過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが挙げられるが、溶液中で過酸化物イオンが発生するものであればよく特に限定されるものではない。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記溶液組成物中の過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体または過酸化物イオンが配位したチタン炭酸塩の保存性能を著しく向上させる働きと、塗装密着性に寄与するケイ素のアルコキシドまたはその加水分解縮合物、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物は、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランのアミノ系シラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのエポキシ系シラン、他にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ビニル系シラン、スチリル系シラン、メタクリロキシ系シラン、アクリロキシ系シラン、ウレイド系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シラン等などがあげられるがこれらに限定されるものではない。これらは、そのまま使用しても良いし、加水分解した縮合重合物の状態でも使用しても良い。また、単独で使用してもよいし、又は2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明の溶液に用いられる溶媒としては、水、アンモニア水、炭酸水等の水溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等の低級アルコール溶媒など挙げられるが、合成したチタン化合物を安定に溶解できる溶媒であればよく特に限定されない。またこれらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせても良い。
【0031】
本発明における溶液組成物は金属板一般に優れた防錆力と防食性と塗装密着性を示す。この溶液組成物の調整方法は、アルコール溶液系では、二酸化炭素バブリングしている中にチタンのアルコシキドを加えて撹拌して反応させた後、過酸化水素水を加えることにより調製できる。水溶液系では、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩と過酸化水素水が溶解している水溶液中にチタンのアルコシキドを加えて撹拌して溶解することにより過酸化物イオンがチタンに配位した水溶液を調製できる。必要に応じてこれらの溶液にケイ素のアルコキシドやシランカップリング剤を添加して溶液組成物を調製する。
【0032】
添加するチタンの量は、チタニア換算で10ppm〜10%が適当である。より好適には、100ppm〜5%が適当である。これを超える濃度の場合、溶液の安定性が著しく低下するだけでなく、コート面に白い粉末が発生して、防錆力、防食性、塗装密着性とも劣化する。また、これより少ない場合は1回の工程では性能を発揮するのに十分な膜厚を作成することができないため、期待する効果を得ることが難しい。このため、長時間の浸漬処理や電解処理、または重ね塗りが必要となるため工程が多くなり不経済である。
【0033】
チタンと反応させる炭酸、炭酸アンモニウムや炭酸カリウムなどの炭酸塩の添加量は、溶液組成物の1%〜50%が適当である。より好適には、10%から30%が好適である。pHではpH8〜13の範囲が適当である。これを超える量を添加した場合、不経済ばかりか、溶け残りが発生して不均一溶液となりコート時の妨げになる。また、これより少ない場合はチタン化合物との反応が未完結となり、チタニアが沈殿するだけなく液の安定性が著しく低下する。
【0034】
過酸化物イオンの添加量は、チタン含有量の0.1倍モル〜50倍モルが適当である。より好適には、1倍モル〜10倍モルが好適である。これを超える量を添加した場合、反応に関与しない過酸化物イオンの量が増大して不経済である。また、これより少ない場合はチタンに配位する過酸化物イオンが不足して、十分な反応が行われず著しく溶解度が下がるだけでなく、液の安定性も著しく低下する。
【0035】
ケイ素のアルコキシドまたはその加水分解縮合物、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物の添加量は10ppm〜30%が適当である。より好ましくは、0.01%〜10%が適当である。これを超える濃度では、コート面にガラス状の粉末や白い粉末が発生する場合があり、外観不良および塗装時に不具合になる。もちろん経済的にも効率がよくない。また、これより少ない場合は得られる効果が小さく、塗装密着性が低下する場合もある。好ましくは得られる溶液組成物は均一である。
【0036】
前記の溶液組成物より作成したチタニアおよびチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜の上にケイ酸化合物層を積層コートすることが効果的である。この層を形成するには、例えばシランカップリング剤またはその加水分解縮合物などを含有する溶液を用いていずれかの方法で塗布、乾燥して積層化する方法が好適であるが、形成する製法には特に制限はない。
【0037】
ここで、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物の種類は、前述のアルコキシシラン、アミノ系シラン、ビニル系シラン、エポキシ系シラン、スチリル系シラン、メタクリロキシ系シラン、アクリロキシ系シラン、ウレイド系シラン、メルカプト系シラン、スルフィド系シラン、イソシアネート系シラン等が挙げられるがこれらに限定されない。これらのシランカップリング剤を、酸またはアルカリで各々のカップリング剤の加水分解時に生じるシラノール基が安定に存在するのに最適なpHに調整した水または水−アルコール溶媒で希釈した加水分解縮合物を含有する溶液または原液を、チタニアまたはチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜の上に適当な方法で塗布した後、乾燥して積層コートするのが適当である。濃度は10ppm以上、原液の100%以下であるが、より好適には0.01%〜10%の濃度が適当である。これを超える濃度で使用した場合、経済的に不効率である。これより少ない場合は、十分な膜厚のケイ酸化合物層を形成できないため、期待する性能が得られない。なお、使用する溶液組成物は均一が望ましい。
【0038】
コートする金属材料は、当業者が溶液組成物を塗布または浸漬ができ、乾燥工程温度以上の融点を持っている基材、溶液組成物中で電解処理ができる基材を任意に選択できる。より具体的には、鉄板、黒皮鋼板、酸洗鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、ガルバニウム鋼板、ブリキ、アルミ、アルミ合金など例を挙げたが、一般に公知の金属材やメッキ板なら特に限定されない。基材の形状、形態、表面状態は問わず、表面が平滑でも粗でも良い。
【0039】
金属表面上に優れた耐食性、防錆力、塗装密着性を持つチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜を形成させるには、大別して3つの方法がある。
【0040】
1つ目は塗布法である。過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩を含有する溶液組成物液にケイ酸化合物を添加した溶液組成物を、ディップ法、フローコート法、スプレーコート法、流し塗り、カーテンコート法、スピンコート法、エアレススプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、刷毛塗りなどのいずれかの方法によって表面に塗布し、10℃〜1000℃の温度で乾燥を行う。より好ましくは30℃〜300℃の温度で乾燥を行う。乾燥工程は空気雰囲気中で行ってもよく、コート後自然乾燥も可能である。乾燥手段は乾燥器、エアドライヤー、赤外線加熱、IH加熱、減圧乾燥、自然乾燥などが挙げられるが特に限定されない。
【0041】
2つ目は浸漬法である。過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体またはチタン炭酸塩を含有する溶液組成物液にケイ酸化合物を添加した10℃〜70℃の溶液組成物の中に、基材表面が両性金属である亜鉛鋼板などの基材を、0.1秒から1200秒浸漬して皮膜を形成する。
【0042】
3つは電解処理法である。過酸化物イオンが配位したチタン炭酸錯体または過酸化物イオンが配位したチタン炭酸塩を含有する溶液組成物中で、被コート材を陰極として0.01A/dm〜100A/dmの電流密度で0.1秒〜1200秒電解処理する。次にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物を含有する溶液にていずれかの方法でリンスした後、いずれかの方法で乾燥して皮膜を形成する方法がある。他にも前記の溶液組成物にケイ酸化合物を添加した溶液組成物中で、被コート材を陰極として0.01A/dm〜100A/dmの電流密度で0.1秒〜1200秒電解処理して皮膜を形成する方法もある。この方法でも必要に応じて、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物を含有する溶液にてリンスしても良い。なお、使用する電気の種類は直流電流、パルス波電流などが挙げられるが、極性が変わらない直流であればよくこれらに限定されない。
【0043】
乾燥時間は当業者が被コート材の種類やコート方法により適宜選択して設定することができる。例えば、1秒から5時間、好ましくは5秒から1時間で行うことができる。
【0044】
塗布法では、加熱した状態の基材に溶液組成物を塗布する場合、基材が前記の温度範囲を保ったまま溶液組成物を塗布できる場合は塗布工程と乾燥工程を同時に行うことができる。なお、前記乾燥時間は例示であり、これらに限定されない。
【0045】
必要に応じて、3種類の方法で作成したこれらの皮膜上にシランカップリング剤またはその加水分解縮合物を同様の塗布方法で皮膜の上に塗布した後、同様の乾燥方法でケイ酸化合物層を積層コーティングすることもできる。
【0046】
これらの操作により優れた耐食性、防錆力、塗装密着性を持つ約0.1nm〜10μmのチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜、および、前記皮膜の上にケイ酸化合物層を作成することができる。当業者が溶液組成物の濃度、塗布方法、塗布条件を選択することにより、優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を持つ皮膜および該膜を有する部材が得られる。前記の電解処理または塗布、乾燥工程は例示であり、これらに限定されない。
【0047】
本発明により得たチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜および該膜を有する部材と前記皮膜の上にケイ酸化合物層を積層した皮膜および該膜を有する部材は、この場合の皮膜の種類、工法は問わない。また、前記使用方法については例示でありこれらに限定されない。
【0048】
本発明の優れた防錆力、耐食性、塗装密着性を発揮するチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜および該膜を有する部材と前記皮膜の上にケイ酸化合物層を積層した皮膜および該膜を有する部材の製造方法を次の実施例でより具体的に明らかにする。本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【実施例】
【0049】
以下に実施例を上げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。実施例1から実施例7は溶液組成物の合成に関するものである。
【0050】
[実施例1]
塗布型のアルコール溶媒の溶液組成物は以下の方法で調整した。
【0051】
300mLビーカーに、プロパノール192gと97%チタンテトライソプロポキシドを8.8g加え、マグネチックスターラー上で室温にて撹拌して透明溶液を得た。この溶液の中に、二酸化炭素を200mL/minの流量で30分間バブリングした後、30%過酸化水素水3.4gを加えて赤黄色の透明溶液を得た。その後、さらに70分間バブリングしながら撹拌した。チタンイオン濃度が0.15mmol/gの黄色の透明溶液を得た。
【0052】
この溶液をチタンイオン濃度が0.10mmol/gになるようにプロパノールで希釈した後、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−573)を0.5%濃度になるように添加して黄色の溶液組成物を調製した。
【0053】
[実施例2]
塗布型の水溶媒の溶液組成物は以下の方法で調整した。
【0054】
2000mLビーカーに30%過酸化水素水104gを量り取り、1042gまでイオン交換水で希釈した溶液に重炭酸アンモニウム200gを加えてマグネチックスターラー上で室温にて撹拌して透明溶液を調製した。この透明溶液に97%チタンテトライソプロポキシド57.2gを数回に分けて滴下し、30分間強めの撹拌により溶解して、チタンイオン濃度が0.15mmol/g(チタニア換算濃度1.2%)の黄色の透明溶液を得た。
【0055】
[実施例3]
ケイ酸化合物の積層コートには、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−903)を1%になるように精製水を加えて撹拌して加水分解させた無色透明溶液を調製して使用した。
【0056】
[実施例4]
塗布型の水溶媒の溶液組成物は以下の方法で調整した。
【0057】
実施例2の溶液にN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−603)を0.4%濃度になるように添加して黄色の溶液組成物を調製した。
【0058】
[実施例5]
浸漬型の水溶媒の溶液組成物は、実施例2の溶液組成物をイオン交換水で10倍に希釈して、チタンイオン濃度が0.015mmol/g(チタニア換算濃度0.12%)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−603)が0.04%の濃度の淡黄色の透明溶液を調整した。
【0059】
[実施例6]
1000mLビーカーに30%過酸化水素水76.0gを量り取り、756gまでイオン交換水で希釈した溶液に炭酸カリウム200gを加えてマグネチックスターラー上で室温にて撹拌して透明溶液を調製した。この透明溶液に97%チタンテトライソプロポキシドを44.0g数回に分けて滴下し、30分間強めに撹拌して、チタンイオン濃度が0.15mmol/g(チタニア換算濃度1.2%)の黄色の透明な溶液組成物を得た。
【0060】
この溶液をチタンイオン濃度が0.005mmol/gになるようにイオン交換水で30倍希釈して淡黄色の透明な溶液組成物を調製した。
【0061】
[実施例7]
実施例6と同じ方法で調製したチタンイオン濃度が0.005mmol/gの透明な溶液組成物に、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBE−903)を1.0%濃度になるように添加して淡黄色の透明な溶液組成物を調製した。
【0062】
以下の項目に従って試験板の作成に関する実施例を行った。
【0063】
1.試験板
鉄板:日本テストパネル株式会社製 標準試験板 自動車用鋼板
亜鉛鋼板:日本テストパネル株式会社製 標準試験板 シルバーアロイ
試験板の寸法:0.8mm×70mm×150mm
【0064】
2.前処理
試験板をアルカリ性脱脂剤No.104S((株)ケミコート社製)の5%水溶液を用いて50〜55℃の液温で、5分間浸漬した後、水洗して脱脂処理を行った。表面に水ハジキが見られない事を確認してからコート処理した。
【0065】
3.コート処理
液温は、塗布型および浸漬型は18〜20℃、電解処理型は22〜28℃、いずれも室温環境にてコート処理を行った。
【0066】
[実施例8、9]
実施例1の溶液組成物に前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板をどちらも2分間浸漬した後、水洗せずに100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して皮膜を作成した。コート後は鉄板、亜鉛鋼板ともチタニア特有の干渉色を帯びていた。
【0067】
[実施例10、11]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を実施例2の溶液組成物にそれぞれ2分間、10秒間浸漬した後、水洗せずに100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して皮膜を作成した。この後、実施例3の水溶液に10秒間浸漬して、再度100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して積層化した皮膜を作成した。コート後の鉄板は透明の皮膜でコートされて極僅かに青灰色を帯びていた。また、亜鉛鋼板はコート面が白化していた。
【0068】
[実施例12、13]
実施例4の溶液組成物に前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板をそれぞれ2分間、10秒間浸漬した後、水洗せずに100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。コート後の鉄板は透明の皮膜でコートされて僅かに青灰色を帯びていた。また、亜鉛鋼板はコート面が白化していた。
【0069】
[実施例14]
前処理で洗浄した亜鉛鋼板を実施例5の溶液組成物に2分間浸漬した後、水洗せずに100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して皮膜を作成した。コート後の亜鉛鋼板は極僅かに薄青色を帯びていた。
【0070】
[実施例15]
前処理で洗浄した鉄板を陰極、同サイズのステンレス板を陽極にして実施例6の溶液組成物の中に浸漬した後、直流電源装置にて電圧18V、電流2Aを2分間流して電解処理した。水洗後、実施例3のシランカップリング剤水溶液の中に濡れたまま入れて10秒間浸漬した後に、100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して皮膜を作成した。鉄板はチタニア特有の濃い青銀色の干渉色を帯びていた。
【0071】
[実施例16、17]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を陰極、同サイズのステンレス板を陽極にして実施例7の溶液組成物の中に浸漬した後、直流電源装置にて電圧18V、電流2Aを2分間流して電解処理した。水洗後、100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して皮膜を作成した。鉄板は実施例15より色が薄いチタニア特有の銀褐色と青銀色の干渉色を帯びていた。亜鉛鋼板は僅かに青灰色を帯びていた。
【0072】
[比較例1、2]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を表面調整剤No.ケミクロンS−2((株)ケミコート製)で処理したのち、リン酸亜鉛皮膜化成処理液No.5700M((株)ケミコート社製)を用いて50℃、2分間の条件で浸漬処理した後、120℃の乾燥機の中で10分間乾燥した。
【0073】
[比較例3、4]
前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板をリン酸鉄化成処理液FF−7((株)ケミコート社製)を用いて、50℃の液温中に2分間スプレー処理後、水洗して120℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
【0074】
[比較例5、6]
シランカップリング剤は使用せず、実施例2の溶液組成物に前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
【0075】
[比較例7]
前処理で洗浄した鉄板を陰極、同サイズのステンレス板を陽極にして実施例2の溶液組成物の中に浸漬した後、直流電源装置にて電圧14V、電流1.5Aを15分間流して電解処理した。水洗後、70℃の乾燥機の中で10分間乾燥して皮膜を作成した。鉄板はチタニア特有の濃い緑銀色の干渉色を帯びていた。
【0076】
[比較例8、9]
実施例3で使用した、3−アミノプロピルトリエトキシシランの1wt%水溶液に、前処理で洗浄した鉄板および亜鉛鋼板を2分間浸漬した後100℃の乾燥機の中で10分間乾燥して作成した。
【0077】
表1に溶液組成物の種類と実施例と比較例をまとめたものを示す。
【0078】
【表1】

【0079】
4.上塗り塗装
下記の条件で実施例および比較例で作成した試験板に塗装を行った。
【0080】
塗料:デリコン#300(大日本塗料(株)製)
塗装方法:溶剤スプレー塗装
焼き付け条件:120℃ 20分
【0081】
5.評価方法
塗装した試験板は、塗装面にカッターナイフでXにカットを入れてJIS−Z2371に規定された塩水噴霧試験を240時間実施した。その後、テープ剥離試験を行い、剥離幅を測定した。テープ剥離の方法についてはJIS−K−5400の塗料一般試験方法に規定された方法に準じて実施した。
【0082】
評価基準は、剥離した部分の最大幅の広さで行った。
【0083】
◎:〜2mm未満、○:2〜5mm未満、△:5〜10mm未満、×:10〜18mm、××:テープ幅または全面剥離
【0084】
上記の結果を表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
実施例8、9の結果は、比較例1、2の一般的なリン酸亜鉛化成皮膜に比べて同等以上の性能を示した。特に亜鉛鋼板では優れた結果を示した。実施例8、10、12、15、16の鉄板より実施例9、11、13、14、17の亜鉛鋼板の方が高い性能を示したのは溶液組成物中のチタン成分とケイ酸化合物が亜鉛と交換反応や吸着などの化学反応が起きて耐食性の高い皮膜を形成したためと考えられる。
【0087】
実施例14では、塗布型の溶液組成物の1/10の濃度にもかかわらず、実施例13に匹敵する性能がでたのは、単に塗布されただけでなく、化成処理に近い反応が起きて、基材表面に堅牢な皮膜が形成できたためと考えられる。
【0088】
亜鉛鋼板と比較して若干性能が低かった鉄板でも、実施例10のケイ酸化合物を積層コートすることにより、または、実施例16のような電解処理法により、亜鉛鋼板の結果と同じ程度まで性能を向上できた。
【0089】
これらの実施例より、溶媒がアルコールでも、水でも優れた性能を持つ皮膜を形成できることが証明でき、さらに、塗布法、浸漬法、電解処理法のいずれの方法でも性能を持つ皮膜を形成できることが証明できた。
【0090】
以上の結果より、本発明における溶液組成物を用いて作成したチタニアとケイ酸化合物を主成分とする皮膜は、従来技術のリン酸亜鉛化成皮膜の1〜10μmの膜厚と比較して、干渉光が出る程度のおよそ20〜50nmの膜厚でも同等以上の性能が発揮でき、さらにケイ酸化合物をジルコニウム皮膜の上に積層コートすることにより、更に良好な耐食性、防錆製、塗装密着性を発揮する皮膜を作成できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)チタン化合物がチタニア換算で10ppm〜10%溶解しているアルカリ性溶液、および/または、(B)前記の(A)溶液組成物にケイ素化合物が10ppm〜30%溶解している溶液組成物。
【請求項2】
請求項1のチタン化合物がチタンの炭酸塩である場合には、さらに過酸化イオン源を含有する溶液組成物。
【請求項3】
請求項1のケイ素化合物は、ケイ素のアルコキシドまたはその加水分解縮合物、シランカップリング剤またはその加水分解縮合物を含有する溶液である溶液組成物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つの10℃〜70℃の溶液組成物の中で、被コート材を陰極として0.01A/dm〜100A/dmの電流密度で0.1秒〜1200秒の電解処理にて皮膜を形成させる工程を含む表面処理方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一つの10℃〜70℃の溶液組成物を金属表面上にディップ法、フローコート法、スプレーコート法、ロールコート法、刷毛塗りなどのいずれの方法で塗布または浸漬後、10℃〜1000℃の温度の温度で1秒から5時間乾燥することにより皮膜を形成させる工程を含む表面処理方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5記載の方法で形成した皮膜の上に更にケイ酸化合物層を積層コートする工程を含む表面処理方法。

【公開番号】特開2011−208202(P2011−208202A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75912(P2010−75912)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(591069891)株式会社ケミコート (11)
【出願人】(505231752)株式会社TFTECH (10)
【Fターム(参考)】