説明

チタノシリケートの製造方法、及び、オレフィンオキサイドの製造方法

【課題】チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性を、さらに向上させことが可能なオレフィンオキサイドの製造方法、及び、当該製造方法に用い得るチタノシリケートの製造方法が求められている。
【解決手段】環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、13族元素を含有する化合物、ケイ素含有化合物、チタン含有化合物、フッ素含有化合物並びに水を混合して懸濁液を得、該懸濁液から固体成分を分離する第1工程と、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合して固液混合物を得、得られた固液混合物から固形物を分離する第2工程と、を含むことを特徴とするチタノシリケートの製造方法、並びに、前記製造方法で得られたチタノシリケートの存在下、オレフィン及び酸化剤を反応させる工程を含むオレフィンオキサイドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタノシリケートの製造方法、及び、当該製造方法により製造されたチタノシリケートを用いるオレフィンオキサイドの製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンオキサイド等のオレフィンオキサイドの製造方法としては、チタノシリケートの存在下、プロピレン等のオレフィンと過酸化水素等の酸化剤とを反応させる製造方法が知られている。
上記のオレフィンオキサイドの製造方法に用いられるチタノシリケートの製造方法としては、例えば、ピペリジン、ホウ酸、ヒュームドシリカ、テトラ−n−ブチルオルソチタネート及び水を混合して懸濁液を得、当該懸濁液から固体成分を分離した後、当該固体成分を水洗し、得られた水洗物と硝酸とを混合した後、得られた固形分を水洗、乾燥及び加熱した後、再び、ピペリジンと混合して水洗する製造方法が特許文献1の「触媒Aの調製」として記載されている。
特許文献1の実施例1には、チタノシリケートである触媒A(0.01g)、過酸化水素(0.12g)及びプロピレン(1.2g)を反応容器に仕込み、1時間、反応させることにより、プロピレンオキサイドが3.86mmol生成することが記載されている。即ち、前記チタノシリケート、過酸化水素及びプロピレンを反応容器にて反応させる場合、チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性は、0.386mol(生成プロピレンオキサイド)・h-1・g-1(チタノシリケート)であることが記載されていることになる。
また、特許文献1の実施例19には、パラジウム触媒及び前記触媒A(0.266g)の存在下、プロピレン/酸素/水素及/窒素(4/4/10/82、体積比)の混合気体を16L・h-1の割合で反応容器に連続的に供給し、当該反応容器内で過酸化水素を発生させながら、滞留時間90分でプロピレンオキサイドを連続的に取り出したところ、反応開始から5時間後、プロピレンオキサイドの生成量は6.60mmol・h-1であることが記載されている。即ち、パラジウム触媒によって酸素及び水素から過酸化水素を発生させながら、前記チタノシリケートの存在下、プロピレンを反応させる場合、チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性は、0.025mol(生成プロピレンオキサイド)・h-1・g-1(チタノシリケート)であることが記載されていることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−159245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下、チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性を更に向上させることが可能なオレフィンオキサイドの製造方法、及び、当該製造方法に用い得るチタノシリケートの製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。即ち、本発明は、
1.環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、13族元素を含有する化合物、ケイ素含有化合物、チタン含有化合物、フッ素含有化合物並びに水を混合して懸濁液を得、該懸濁液から固体成分を分離する第1工程と、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合して固液混合物を得、得られた固液混合物から固形物を分離する第2工程と、を含むことを特徴とするチタノシリケートの製造方法;
2.第1工程における、環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、13族元素を含有する化合物、ケイ素含有化合物、チタン含有化合物、フッ素含有化合物並びに水を混合する際の温度が、110〜200℃の範囲内であることを特徴とする前項1記載の製造方法;
3.第2工程における、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合する際の温度が、20〜150℃の範囲内であることを特徴とする前項1又は2記載の製造方法;
4.更に追加的に、第2工程で得られた生成物を加熱する第2’工程を含むことを特徴とする前項1〜3のいずれか記載の製造方法;
5.第2工程で得られた生成物を加熱する際の温度が、250〜1000℃の範囲内であることを特徴とする前項4記載の製造方法;
6.更に追加的に、第2工程で得られた生成物又は第2’工程で得られた生成物と、環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、水とを混合して混合液を得、該混合液から生成物を分離する第3工程を含むことを特徴とする前項1〜5のいずれか記載の製造方法;
7.更に追加的に、第2工程で得られた生成物、第2’工程で得られた生成物及び第3工程で得られた生成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の生成物に、過酸化水素を接触させる第4工程を含むことを特徴とする前項1〜6のいずれか記載の製造方法;
8.環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、アダマンチルトリメチルアンモニウム塩及びオクチルトリメチルアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前項1〜7のいずれか記載の製造方法;
9.13族元素を含有する化合物が、ホウ素含有化合物であることを特徴とする前項1〜8のいずれか記載の製造方法;
10.ケイ素含有化合物が、ヒュームドシリカであることを特徴とする前項1〜9のいずれか記載の製造方法;
11.チタン含有化合物が、チタンアルコキシドであることを特徴とする前項1〜10のいずれか記載の製造方法;
12.フッ素含有化合物が、フッ化アンモニウムであることを特徴とする前項1〜11のいずれか記載の製造方法;
13.酸水溶液に含まれる酸が、無機酸であることを特徴とする前項1〜12のいずれか記載の製造方法;
14.第一工程におけるフッ素含有化合物の使用量が、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して2モル以上5モル以下であることを特徴とする前項1〜11のいずれか記載の製造方法;
15.[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積が、0.0030(mL/g)以上の値となるTi−MWW前駆体またはTi−MWW;
16.前項1〜13のいずれか記載の製造方法で得られたチタノシリケートの存在下、オレフィン及び酸化剤を反応させる工程を含むことを特徴とするオレフィンオキサイドの製造方法;
17.酸化剤が過酸化水素であることを特徴とする前項16記載のオレフィンオキサイドの製造方法;
18.過酸化水素が、オレフィン及び過酸化水素を反応させる工程において、貴金属触媒の存在下、酸素及び水素を反応させて得られる過酸化水素であることを特徴とする前項17記載のオレフィンオキサイドの製造方法;
19.オレフィンがプロピレンであることを特徴とする前項16〜18のいずれか記載のオレフィンオキサイドの製造方法;
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、オレフィンオキサイドの製造方法において、チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性を、より向上させたチタノシリケートの製造方法等が提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
まず、チタノシリケートの製造方法について説明する。
本発明のチタノシリケートの製造方法は、環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、本化合物と記すことがある)、13族元素を含有する化合物(以下、13族元素含有化合物と記すことがある。)、ケイ素含有化合物、チタン含有化合物、フッ素含有化合物並びに水を混合して懸濁液を得、当該懸濁液から固体成分を分離する第1工程と、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合して固液混合物を得、得られた固液混合物から固形物を分離する第2工程と、を含む。
【0008】
本化合物の環式アミンとしては、例えば、炭素数5〜12のアルキレン基と=NH基とからなるものを挙げることができる。具体的には、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン等を挙げることができる。
本化合物の4級アンモニウム塩としては、例えば、窒素原子に3つのメチル基と炭素数6〜12のアルキル基又は環式アルキル基とが結合したカチオンの塩を挙げることができる。具体的には、例えば、アダマンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アダマンチルトリメチルアンモニウムクロライド、アダマンチルトリメチルアンモニウムブロライド、アダマンチルトリメチルアンモニウムイオダイド等のアダマンチルトリメチルアンモニウムアンモニウム塩、例えば、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロライド、オクチルトリメチルアンモニウムイオダイド等のオクチルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
本化合物は、異なる複数種の本化合物を混合して用いてもよい。
本化合物としては、例えば、環式アミンおよびそれらの混合物等を挙げることができる。好ましくは、例えば、ピペリジンが挙げられる。
第1工程における本化合物の使用量としては、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、0.1〜5モルを挙げることができる。好ましくは、例えば、0.5〜3モルが挙げられる。
【0009】
本化合物を用いることにより、Ti−MWW構造又はTi−MWW前駆体構造を有するチタノシリケートが得られる。
Ti−MWW構造又はTi−MWW前駆体構造を有するチタノシリケートのX線回折パターンとしては、例えば、下記に示す格子面間隔(d/Å)の範囲内に、それぞれピークを有するパターンを挙げることができる。
(格子面間隔d/Å)
12.4±0.8
10.8±0.5
9.0±0.3
6.0±0.3
3.9±0.1
3.4±0.1
尚、前記X線回折パターンは、銅K−アルファ放射線を使用したX線回折装置を用いて測定することができる。詳細な分析条件は後述の「実施例」の項で説明する。
【0010】
13族元素含有化合物としては、例えば、ホウ素含有化合物、アルミニウム含有化合物、ガリウム含有化合物を挙げることができる。
ホウ素含有化合物としては、例えば、ホウ酸;ホウ酸塩;酸化ホウ素;ハロゲン化ホウ素;炭素数1〜4のアルキル基を有するトリアルキルホウ素化合物等が挙げられる。アルミニウム含有化合物としては、例えば、アルミン酸ナトリウム等が挙げられ、ガリウム含有化合物としては、例えば、酸化ガリウムが挙げられる。
13族元素含有化合物としては、例えば、ホウ素含有化合物等を挙げることができる。より好ましくは、ホウ酸が挙げられる。
第1工程における13族元素含有化合物の使用量としては、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、0.01〜10モルを挙げることができる。好ましくは、例えば、0.1〜5モルが挙げられる。
【0011】
チタン含有化合物としては、例えば、チタンアルコキシド、チタンの有機酸塩、チタンの無機酸塩、ハロゲン化チタン、酸化チタン等を挙げることができる。
チタンアルコキシドとは、炭素数1〜4のアルコキシル基を有する化合物であり、例えば、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトライソプロピルオルソチタネート、及びテトラ−n−ブチルオルソチタネート等が挙げられる。
チタンの有機酸塩としては、例えば、酢酸チタン等が挙げられる。チタンの無機酸塩としては、例えば、硝酸チタン、硫酸チタン、リン酸チタン、過塩素酸チタン等が挙げられる。ハロゲン化チタンとしては、例えば、四塩化チタン等が挙げられる。酸化チタンとしては、例えば、二酸化チタン等が挙げられる。
チタン含有化合物としては、チタンアルコキシドを好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、テトラ−n−ブチルオルソチタネートが挙げられる。
第1工程におけるチタン含有化合物の使用量としては、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、0.005〜0.1モルを挙げることができる。好ましくは、例えば、0.01〜0.05モルが挙げられる。
【0012】
フッ素含有化合物とは、フッ素イオンを分子内に有する化合物であり、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸等のフッ素イオンを分子内に有する無機化合物を挙げることができる。
フッ素含有化合物としては、フッ化アンモニウムを好ましく挙げることができる。
第1工程におけるフッ素含有化合物の使用量としては、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、0.5〜5モルを挙げることができる。好ましくは、例えば、1〜4モルが挙げられる。より好ましくは、例えば、2〜4モルを挙げることができる。
フッ素含有化合物の使用量が0.5モル以上であると、得られるチタノシリケートの1次粒径が増大する傾向があることから好ましく、2モル以上であるとエポキシ化活性が向上するためより好ましい。5モル以下であると、第1工程における反応溶液の粘度が低下する傾向があり、結果として攪拌等の操作が容易となる傾向があることから好ましい。
【0013】
第1工程としては、例えば、耐圧容器に、本化合物と13族元素含有化合物とケイ素含有化合物とチタン含有化合物とフッ素含有化合物と水とを混合した後、当該耐圧容器を密閉し、容器内の混合物の温度を110〜200℃の範囲内に調整しながら2〜720時間攪拌し、続いて、0〜100℃の範囲程度に冷却し、得られた懸濁液を、ろ過、遠心分離等によって固液分離する。
上記温度が110℃以上であると、得られるチタノシリケートのオレフィンオキサイド生成活性が向上する傾向や、反応時間が短縮される傾向があることから好ましい。加熱温度は200℃以下であると、得られるチタノシリケートのオレフィンオキサイド生成活性が向上する傾向があることから好ましい。
上記時間が上記範囲内であると、得られるチタノシリケートのオレフィンオキサイド生成活性が向上する傾向があることから好ましい。より好ましくは、耐圧容器から取り出した前記固体成分が、前記X線回折パターンを有していることが確認されるまで加熱する。
ここで、水の使用量としては、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、5〜200モルを挙げることができる。好ましくは、例えば、10〜50モルが挙げられる。
【0014】
第1工程で得られた固体成分は、そのまま第2工程に供してもよいが、更に、水洗及び乾燥を施して第2工程に供してもよい。
前記水洗は、固体成分を洗浄した液が、pH11未満、好ましくは、pH10となるまで水洗すればよい。
前記乾燥方法としては、例えば、通風乾燥、真空(減圧)加熱乾燥、真空凍結乾燥等の方法を挙げることができる。
【0015】
第2工程は、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合して固液混合物を得、得られた固液混合物から固形物を分離する工程である。
具体的には、まず、第1工程で得られた固体成分と酸水溶液とチタン含有化合物と、必要に応じて溶媒とを、例えば、20〜150℃の温度範囲、好ましくは、50〜104℃の温度範囲で、例えば、1〜100時間、混合し、固液混合物を得、得られた固液混合物を濾過、遠心分離等により分離する工程等を挙げることができる。
【0016】
固形物の混合温度が上記範囲内であると、得られるチタノシリケートのオレフィンオキサイド生成活性が向上する傾向があることから好ましい。混合時間が1時間以上であると、本化合物が除去される傾向があることから好ましく、100時間以下であると、得られるチタノシケート中のチタン含有量の低減が抑制される傾向があることから好ましい。
【0017】
第2工程で用いられる酸水溶液に含まれる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、過塩素酸、フルオロスルホン酸およびこれらの混合物等の無機酸を挙げることができる。好ましくは、例えば、硝酸、過塩素酸、フルオロスルホン酸またはこれらの混合物等が挙げられる。
酸水溶液における酸の濃度としては、例えば、0.01M〜20M(M:酸のモル数/酸水溶液の容量(L))の範囲等を挙げることができる。好ましくは、例えば、1M〜5Mの範囲等が挙げられる。
【0018】
第2工程で用いられるチタン含有化合物としては、第1工程で挙げられたチタン含有化合物と同様のものを挙げることができる。好ましくは、第1工程で用いられたものと同じ種類のチタン含有化合物が挙げられる。より好ましくは、チタンアルコキシドを挙げることができる。
第2工程におけるチタン含有化合物の使用量としては、第1工程で用いられたケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、0.001〜10モルを挙げることができる。好ましくは、例えば、0.01〜2モルが挙げられる。
【0019】
第2工程に必要に応じて用いられる溶媒としては、例えば、水、アルコール溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0020】
第2工程で分離して得られる固形物は、そのまま、チタノシリケートとして後述するオレフィンオキサイドの製造方法において触媒として用いてもよい。また、前記固形物を水洗してもよく、必要に応じて、得られた水洗物を乾燥してもよく、更に、粉砕してもよい。当該水洗は、前記固形物を洗浄した液が中性付近に達するまで行うことが好ましい。
【0021】
更に追加的に、第2工程で得られた分離して得られる固形物(当該水洗物又は当該水洗物を乾燥したものを含む)を加熱する第2’工程を行うことが好ましい。具体的には、第2工程で得られた生成物を電気炉等の加熱炉内に置き、1〜24時間かけて、250〜1000℃の温度範囲内、好ましくは300〜600℃の温度範囲内まで昇温し、その温度で更に1〜24時間保温した後、炉内で自然放冷する方法等を挙げることができる。
当該加熱炉内は、例えば、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の不活性ガス;空気、酸素、二酸化炭素等の酸化性ガス;水素、一酸化炭素、プロピレン等の還元性ガスの雰囲気下にすることが好ましい。
【0022】
本発明のチタノシリケートの製造方法における第2工程で得られた生成物及び第2’工程で得られた生成物について、それらの紫外可視吸収スペクトルを測定すると、200nm〜400nmの波長領域において210nm〜230nmの波長領域で最大の吸収ピークを有することから、これら生成物がチタノシリケートであることがわかる。後述する第3工程及び第4工程で得られた生成物についても上記吸収ピークを有することから、いずれもチタノシリケートであることがわかる。
【0023】
本発明のオレフィンオキサイドの製造方法に供し得るチタノシリケートとしては、前記した第2工程で得られた生成物又は第2’工程で得られた生成物でもよいが、更に追加的に第3工程を行ったチタノシリケートが好ましい。第3工程とは、第2工程で得られた生成物又は第2’工程で得られた生成物と、環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、水とを混合して混合液を得、当該混合液から生成物を分離する工程である。
第3工程に用いられる環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(本化合物)は、前記第1工程に本化合物として例示されたものと同様のものを挙げることができる。好ましくは、前記第1工程で用いられた本化合物が挙げれらる。
第3工程における本化合物の使用量としては、第2工程で得られた生成物に含まれるケイ素原子1モルに対して、例えば、0.01〜10モルを挙げることができる。好ましくは0.1〜5モルが挙げられる。
【0024】
第3工程を具体的に説明すると、例えば、耐圧容器に、第2工程で得られた生成物又は第2’工程で得られた生成物(以下、前工程で得られた生成物と記すこともある。)と本化合物と水とを供給し、当該耐圧容器を密閉して、静置又は攪拌混合して混合液を得、当該混合液から固形の生成物をろ過や遠心分離等で分離する工程等を挙げることができる。
第3工程における、前工程で得られた生成物と本化合物と水とを混合する際の温度としては、その下限は、例えば、0℃を挙げることができる。好ましくは20℃、より好ましくは50℃、とりわけより好ましくは100℃を挙げることができる。前工程で得られた生成物と本化合物と水とを混合する際の温度の上限としては、例えば、250℃を挙げることができる。好ましくは200℃、より好ましくは180℃を挙げることができる。
第3工程における、前工程で得られた生成物と本化合物と水とを混合する際の時間としては、混合する際の温度にもよるが、その下限は、例えば、1時間を挙げることができる。好ましくは、例えば、2時間が挙げられる。より好ましくは、例えば、4時間を挙げることができる。特に好ましくは、例えば、8時間が挙げられる。前工程で得られた生成物と本化合物と水とを混合する際の時間の上限としては、特に制限はないが、例えば、720時間を挙げることができる。
第3工程における混合する際の圧力としては、常圧下、減圧下、加圧下を挙げることができる。好ましくは、ゲージ圧力で0〜10MPaの常圧下から加圧下が挙げられる。
第3工程で得られた生成物は、前述したように、本発明のオレフィンオキサイドの製造方法に供し得るチタノシリケートである。
【0025】
第2工程で得られた生成物、第2’工程で得られた生成物及び第3工程で得られたチタノシリケートは、例えば、下記の物性を有するTi−MWW前駆体またはTi−MWWを挙げることができる。
<物性>
[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積が、0.0030(mL/g)以上の値となる。
【0026】
更に追加的に、第2工程で得られた生成物、第2’工程で得られた生成物及び第3工程で得られた生成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の生成物に、過酸化水素を接触させる第4工程を行うことが好ましい。
第4工程に用いられる過酸化水素は、水、メタノール等のアルコール溶媒、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒及びこれらの混合溶媒等で希釈された溶液であることが好ましい。当該溶液における過酸化水素の濃度としては、例えば、0.0001重量%〜50重量%の範囲等を挙げることができる。
第4工程における接触温度としては、例えば、0℃〜100℃の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0℃〜60℃の範囲が挙げられる。また、接触時間としては、例えば、1分〜300分の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、10分〜60分の範囲が挙げられる。第4工程で得られた生成物は、そのまま、チタノシリケートとして後述するオレフィンオキサイドの製造方法において触媒として用いてもよい。また、第4工程で得られた生成物は、更に、乾燥等の処理を行ってもよい。
【0027】
本発明のオレフィンオキサイドの製造方法は、前記製造方法で得られたチタノシリケート(以下、総称して本チタノシリケートと記すことがある)の存在下、オレフィン及び酸化剤を反応させる工程(以下、酸化反応工程と記すことがある)を含む。
【0028】
ここで、オレフィンとしては、例えば、アルケン又はシクロアルケンに含まれる水素原子が置換基で置換されていてもよい化合物を挙げることができる。
置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
オレフィンの具体例としては、例えば、炭素数2〜10のアルケン、炭素数4〜10のシクロアルケン等を挙げることができる。
炭素数2〜10のアルケンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、2−ブテン、イソブテン、2−ペンテン、3−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、2−ノネン、3−ノネン、2−デセン及び3−デセン等を挙げることができる。
炭素数4〜10のシクロアルケンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン等を挙げることができる。
より好ましいオレフィンとしては、プロピレンが挙げられる。
【0029】
プロピレンとしては、例えば、熱分解、重質油接触分解又はメタノール接触改質により製造されるもの等を挙げることができる。当該プロピレンとしては、例えば、精製プロピレン、精製工程を経ない粗プロピレン等を挙げることができる。
好ましいプロピレンの純度としては、例えば、90体積%以上を挙げることができる。好ましくは、例えば、95体積%以上の範囲が挙げられる。プロピレンに含まれる不純物としては、例えば、プロパン、シクロプロパン、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタジエン、ブタン、ブテン、エチレン、エタン、メタン、水素等を挙げることができる。
【0030】
酸化反応工程に用いられるオレフィンの量としては、その種類や反応条件等によって異なるが、酸化反応工程に用いられる溶媒の合計量100重量部に対して、例えば、少なくとも0.01重量部を挙げることができる。より好ましくは、例えば、少なくとも0.1重量部が挙げられる。
【0031】
酸化反応工程に用いられるオレフィンの形状としては、例えば、ガス状、液状等を挙げることができる。ここで、液状としては、例えば、オレフィン単独で液状であるもの、例えば、有機溶媒もしくは有機溶媒と水との混合溶媒に、オレフィンが溶解された混合液等を挙げることができる。また、ガス状としては、例えば、ガス状のオレフィン、例えば、窒素ガス、水素ガス等の他のガス成分とガス状のオレフィンとの混合ガス等を挙げることができる。
【0032】
酸化剤とは、オレフィンに含まれる炭素・炭素二重結合に酸素原子を与え得る化合物を意味する。酸化剤としては、例えば、酸素および過酸化物等を挙げることができる。当該過酸化物としては、例えば、過酸化水素、有機過酸化物が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メチルシクロヘキシルヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、イソブチルベンゼンヒドロペルオキシド、エチルナフタレンヒドロペルオキシド、過酢酸等を挙げることができる。酸化剤として、これら過酸化物を2種以上混合して使用することもできる。
過酸化水素は、市販されたものでよいし、酸化反応工程と同一反応系内で貴金属の存在下に酸素と水素とから製造されたものでもよい。
好ましい過酸化物としては、過酸化水素を挙げることができる。過酸化水素水溶液の濃度としては、例えば、0.0001重量%〜100重量%未満の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.001重量%〜50重量%の範囲が挙げられる。
【0033】
酸化剤の使用量としては、オレフィン100重量部に対して、例えば、0.01重量部以上を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.1重量部以上が挙げられる。酸化剤の上限の使用量としては、オレフィン100重量部に対して、例えば、1000重量部を挙げることができる。好ましい上限として、例えば、100重量部が挙げられる。
【0034】
酸化反応工程は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、水、有機溶媒あるいはその両者の混合物等を挙げることができる。
有機溶媒としては、例えば、アルコール溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、エステル溶媒およびそれらの混合物を挙げることができる。
脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数5〜10の脂肪族炭化水素を挙げることができる。芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭素数6〜15の芳香族炭化水素溶媒を挙げることができる。
アルコール溶媒としては、例えば、炭素数1〜6の1価アルコール、炭素数2〜8のグリコール等を挙げることができる。アルコール溶媒としては、例えば、炭素数1〜8の脂肪族アルコール等を挙げることができる。好ましくは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびt−ブタノール等の炭素数1〜4の1価アルコールが挙げられる。より好ましくは、例えば、t−ブタノールを挙げることができる。
ニトリル溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、ブチロニトリル等の炭素数2〜4のアルキルニトリルおよびベンゾニトリル等を挙げることができる。好ましくは、例えば、アセトニトリルが挙げられる。
酸化反応工程に用いる溶媒としては、触媒活性、選択性の観点から、水、アルコール溶媒、ニトリル溶媒およびこれらの混合溶媒を好ましく挙げることができる。
水とアルコール溶媒またはニトリル溶媒とを混合する場合、通常、水と水以外の溶媒との比率としては、例えば、重量比で90:10〜0.01:99.99を挙げることができる。好ましくは、例えば、重量比で50:50〜0.1:99.9が挙げられる。上記比率における水の重量割合が90以下であると、オレフィンオキサイドの開環劣化を抑制したり、オレフィンオキサイドの生成活性が向上する傾向があることから好ましい。また、上記比率における水の重量割合が0.01以上であると、水以外の溶媒の使用量が低減される傾向があることから好ましい。
【0035】
酸化反応工程において、本チタノシリケートの使用量としては、溶媒の合計量100重量部に対して、例えば、下限の場合には、0.01重量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.1重量部が挙げられる。より好ましくは、例えば、0.5重量部を挙げることができる。上限の場合には、例えば、20重量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、10重量部が挙げられる。より好ましくは、例えば、8重量部を挙げることができる。
【0036】
酸化反応工程における反応温度の下限としては、例えば、0℃を挙げることができる。好ましくは、40℃が挙げられる。上限としては、例えば、200℃を挙げることができる。好ましくは、例えば、150℃が挙げられる。
酸化反応工程の反応圧力の下限としては、例えば、0.1MPaを挙げることができる。好ましくは、例えば、1MPaを挙げることができる。上限としては、例えば、20MPaを挙げることができる。好ましくは、例えば、10MPaが挙げられる。
【0037】
酸化反応工程において、酸化剤が過酸化水素である場合、当該過酸化水素は、酸化反応工程における反応と同一反応系内で製造することにより供給してもよい。本発明のチタノシリケートの製造方法で得られたチタノシリケートを用いると、酸化反応工程における反応と同一反応系内で製造された過酸化水素を用いるオレフィンオキシドの製造方法においても、チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性が優れる。
当該過酸化水素は、例えば、貴金属触媒の存在下で酸素と水素とから製造することができる。当該貴金属触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、金等の貴金属単体またはそれらの合金もしくは混合物を挙げることができる。好ましい貴金属としては、例えば、パラジウム、白金、金が挙げられる。より好ましい貴金属としては、例えば、パラジウムを挙げることができる。上記貴金属触媒として、酸化反応工程における反応と反応系内で還元することにより貴金属に変換される貴金属化合物を用いてよい。
【0038】
当該貴金属触媒として、パラジウムを用いる場合、更に白金、金、ロジウム、イリジウム、オスミウム等のパラジウム以外の金属をパラジウムに混合して用いることができる。好ましいパラジウム以外の金属としては、例えば、金、白金を挙げることができる。
当該パラジウム化合物として、例えば、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等の4価のパラジウム化合物類;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセトナート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロ(ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジブロモテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウムトリフルオロアセテート(II)等の2価パラジウム化合物類を挙げることができる。
【0039】
貴金属は、通常、担体に担持して使用される。貴金属は、本チタノシリケートに担持して使用することもできるし、また、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ニオビア等の酸化物、ニオブ酸、ジルコニウム酸、タングステン酸、チタン酸等の水化物、炭素およびそれらの混合物に担持して使用することもできる。本チタノシリケート以外に貴金属を担持させた場合、貴金属を担持した担体を本チタノシリケートと混合し、当該混合物を触媒として使用することができる。
本チタノシリケート以外を担体として用いる場合、炭素を好ましい担体として挙げることができる。炭素担体としては、例えば、活性炭、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
【0040】
貴金属触媒の調製方法としては、例えば、貴金属化合物を担体上に担持した後、還元する方法を挙げることができる。貴金属化合物の担持方法としては、含浸法等の従来公知の方法を挙げることができる。
還元方法としては、水素等の還元剤を用いる還元方法でもよいし、不活性ガス雰囲気下、熱分解時に発生するアンモニアガスを用いる還元方法でもよい。還元温度としては、貴金属化合物の種類等によって異なるが、例えば、100〜500℃の範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、200〜350℃の範囲が挙げられる。
貴金属触媒は、貴金属を、例えば、0.01〜20重量%の範囲で含んでもよい。好ましくは、例えば、0.1〜5重量%の範囲で含むことがよい。
本触媒に対する貴金属の重量比(貴金属の重量/本触媒の重量)としては、例えば、0.01〜100重量%を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.1〜20重量%が挙げられる。
【0041】
酸化反応工程においては、緩衝剤を酸化反応工程に用いられる反応溶液に存在させた場合、反応収率の減少を抑制したり、反応収率を増大させたり、酸化剤の転化率を向上させる傾向があることから好ましい。
緩衝剤は、反応溶液に溶解させることが一般的であるが、同一反応用液内で製造した過酸化水素を酸化剤として用いる場合、予め貴金属触媒に緩衝剤を含有させておいてよい。例えば、Pdテトラアンミンクロリド等のアンミン錯体等を担体上に含浸法等によって担持した後、還元し、アンモニウムイオンを残存させ、本発明のオレフィンの製造方法の反応中に緩衝剤を発生させる方法等を挙げることができる。
緩衝剤の添加量は、溶媒1kgあたり、例えば、0.001mmol/kg〜100mmol/kgの範囲等を挙げることができる。
【0042】
緩衝剤としては、例えば、1)硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸2水素イオン、ピロリン酸水素イオン、ピロリン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、水酸化物イオンおよび炭素数1〜10のカルボン酸イオンからなる群より選ばれるアニオンと、2)アンモニウム、炭素数1〜20のアルキルアンモニウム、炭素数7〜20のアルキルアリールアンモニウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群より選ばれるカチオンとからなる緩衝剤を挙げることができる。
炭素数1〜10のカルボン酸イオンとしては、例えば、酢酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオン、カプリル酸イオン、カプリン酸イオン、安息香酸イオンを挙げることができる。
アルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムが挙げられ、アルカリ金属およびアルカリ土類金属カチオンの例は、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、セシウムカチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオン等を挙げることができる。
緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、ピロリン酸水素アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩および酢酸アンモニウム等の炭素数1〜10のカルボン酸のアンモニウム塩を挙げることができる。好ましいアンモニウム塩としては、例えば、リン酸2水素アンモニウムが挙げられる。
【0043】
酸化反応工程が、反応溶液内で酸素と水素とから過酸化水素を合成した酸化剤を使用する場合には、キノイド化合物を反応溶液に存在させることにより、得られるオレフィンオキサイドの選択性を増大させる傾向があることから好ましい。
キノイド化合物としては、下記式(1)

(式中、R、R、RおよびRは、水素原子を表すかあるいは、RとR、あるいはRとRは、それぞれ独立に、その末端で結合し、それぞれが結合している炭素原子とともに、置換されていてもよいナフタレン環を表し、XおよびYは同一または互いに相異なり、酸素原子もしくはNH基を表す。)
のρ−キノイド化合物およびο−キノイド化合物を挙げることができる。
【0044】
式(1)の化合物としては、例えば、
1)式(1)において、R、R、RおよびRが、水素原子であり、XおよびYが共に酸素原子であるキノン化合物(1A)、
2)式(1)において、R、R、RおよびRが、水素原子であり、Xが酸素原子であり、YがNH基であるキノンイミン化合物(1B)、
3)式(1)において、R、R、RおよびRが、水素原子であり、XおよびYがNH基であるキノンジイミン化合物(1C)を挙げることができる。
【0045】
式(1)のキノイド化合物には、下記のアントラキノン化合物(2)が含まれる。

(式中、XおよびYは、式(1)において定義されたとおりであり、R、R、RおよびRは、同一または互いに相異なり、水素原子、ヒドロキシル基もしくはアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数1〜5のアルキル基)を表す。)
【0046】
式(1)および式(2)において、好ましいXおよびYとしては、酸素原子を挙げることができる。
キノイド化合物としては、例えば、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アルキルアントラキノン化合物、ポリヒドロキシアントラキノン、9,10−フェナントラキノン等を挙げることができる。
アルキルアントラキノン化合物としては、例えば2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−ブチルアントラキノン、2−t−アミルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−s−ブチルアントラキノンまたは2−s−アミルアントラキノン等の2−アルキルアントラキノン化合物;1,3−ジエチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,7−ジメチルアントラキノン等のポリアルキルアントラキノン化合物を挙げることができる。
ポリヒドロキシアントラキノンとしては、2,6−ジヒドロキシアントラキノン等が挙げられる。
【0047】
好ましいキノイド化合物としては、例えば、アントラキノンや、2−アルキルアントラキノン化合物(式(2)において、XおよびYが酸素原子であり、Rが2位に置換したアルキル基であり、Rが水素を表し、RおよびRが水素原子を表す。)を挙げることができる。
上記キノイド化合物の使用量としては、例えば、溶媒1kgあたり、0.001mmol/kg〜500mmol/kgの範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.01mmol/kg〜50mmol/kgが挙げられる。
酸化反応工程においては、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたはアルキルアリールアンモニウムからなる塩を同時に反応溶液中に加えることも可能である。
【0048】
キノイド化合物は、そのジヒドロ体を反応溶液内で酸素等を用いて酸化させることにより調製することもできる。例えば、ヒドロキノンや、9,10−アントラセンジオール等のキノイド化合物が水素化された化合物を液相中に添加し、反応器内で酸素により酸化してキノイド化合物を発生させて使用してもよい。
キノイド化合物のジヒドロ体としては、前記式(1)および(2)の化合物のジヒドロ体である下記の式(3)および(4)の化合物を挙げることができる。

(式中、R、R、R、R、XおよびYは、前記式(1)に関して定義されたとおり。)

(式中、X、Y、R、R、RおよびRは前記式(2)に関して定義されたとおり。)
式(3)および式(4)において、XおよびYは、好ましくは酸素原子を表す。
好ましいキノイド化合物のジヒドロ体としては、上述の好ましいキノイド化合物に対応するジヒドロ体を挙げることができる。
【0049】
酸化反応工程は、連続式、回分式、半回分式のいずれの化学反応プロセスに適用可能であり、好ましくは、連続式で行われる。
【0050】
酸化反応工程での過酸化水素が同一反応溶液中で酸素と水素とから製造される場合、当該反応溶液に供給される酸素と水素との分圧比は、例えば、酸素:水素=1:50〜50:1の範囲、好ましくは、1:2〜10:1の範囲を挙げることができる。酸素と水素との分圧比(酸素/水素)が50/1以下であると、オレフィンオキサイドの生成速度が向上する傾向があることから好ましい。また、酸素と水素との分圧比(酸素/水素)が1/50以上であると、オレフィンが還元されたパラフィンの副生が減少し、オレフィンオキサイドの選択率が向上する傾向があることから好ましい。
【0051】
ここで、酸素および水素ガスは希釈されていてもよい。希釈に用いるガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素、メタン,エタン,プロパンを挙げることができる。希釈用ガスの濃度に制限は無いが、必要により、酸素又は水素を希釈して反応は行われる。
酸素原料としては、酸素ガス又は空気等を挙げることができる。酸素ガスは安価な圧力スウィング法で製造した酸素ガスも使用できるし、必要に応じて深冷分離等で製造した高純度酸素ガスを用いることもできる。
【0052】
酸化反応工程が終了した後、オレフィンオキサイドは、例えば、酸化反応工程での反応生成物を蒸留等によって取り出すことができる。
ここで、得られるオレフィンオキサイドとしては、前記オレフィンの炭素・炭素二重結合が酸化されたものである。具体的には、例えば、エチレンからはエチレンオキサイド(オキシラン)、プロピレンからはプロピレンオキサイド(1−メチルオキシラン)、1−ブテンからは1−エチルオキシラン、1−ペンテンからは1−プロピルオキシラン、1−ヘキセンからは1−ブチルオキシラン、1−ヘプテンからは1−ペンチルオキシラン、1−オクテンからは1−ヘキシルオキシラン、1−ノネンからは1−ヘプチルオキシラン、1−デセンからは1−オクチルオキシラン、2−ペンテンからは1−メチル−2−エチルオキシラン、2−ブテンからは1−メチル−2−メチルオキシラン等の炭素数2〜10のオキシラン化合物等を得ることができる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
<分析>
(元素分析方法)
本チタノシリケートに含まれるTi(チタン原子)の定量(以下、「チタン含量」と記すことがある)は、ICP発光分析法により求めた。即ち、白金坩堝にて、約20mgのチタノシリケートと炭酸ナトリウムとを、ガスバーナーを用いて完全に融解させた。その後、当該融解物に純水を加え正確に200mLとした後、この溶液中に含まれるTi含量をICP発光分析装置(ICPS−8000 島津製作所製)にて測定した。
【0054】
(粉末X線回折法(XRD))
本チタノシリケートを以下の装置、条件で粉末X線回折パターンを測定した。
装置:理学電機社製RINT2500V
線源:Cu Kα線
出力 40kV−300mA
走査範囲:2θ=0.75〜30°
走査速度: 1°/分
【0055】
(紫外可視吸収スペクトル(UV−Vis))
本チタノシリケートをメノウ乳鉢でよく粉砕し、更にペレット化(7mmφ)することにより測定用サンプルを調製し、調製された測定用サンプルについて以下の装置、条件で紫外可視吸収スペクトルを測定した。
装置:拡散反射装置(HARRICK製 Praying Mantis)
付属品:紫外可視分光光度計(日本分光製 V−7100)
圧力:大気圧
測定値:反射率
データ取込時間:0.1秒
バンド幅:2nm
測定波長:200〜900nm
スリット高さ:半開
データ取込間隔:1nm
ベースライン補正(リファレンス):BaSOペレット(7mmφ)
【0056】
(Ti表面濃度(atom%)/Si表面濃度(atom%)測定法((X線光電子分光法))
・装置名:JPS−9010MC(日本電子製)
・X線源:Mg−Kα線(1253.6eV) 10kV×25mA
・前処理方法:試料を深さ2mmの試料台(10mm×10mm)に充填した。
・測定方法:上記の条件でTi2pとSi2pとのXPSスペクトルを測定し、測定されたスペクトルのピーク面積に基づいて求めたTi原子濃度をSi2pのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたSi原子濃度で割ることにより算出した。
【0057】
(ミクロ細孔容積測定法)
・測定装置名:BELSORP−mini(日本BEL製)
・前処理装置名:BELSORP−vacII(日本BEL製)
・吸着質:窒素
・吸着温度:77K
・飽和蒸気圧:実測
・吸着質断面積:0.162nm2
・平衡待ち時間:500sec
・前処理方法:270℃で8時間、真空排気を実施した。
・測定方法:定容法を用いて、窒素による吸着脱離等温線を測定した。MP法により、細孔直径0.42nm以上、2nm以下のミクロ細孔容積を算出した。
尚、上記ミクロ細孔容積の測定については、株式会社住化分析センターに依頼し実施した。
【0058】
(実施例1)
チタノシリケートA’、B’、C’の調製法
<第1工程>
ピペリジン(和光純薬株式会社製)265.2g、イオン交換水666.9g、TBOT(テトラ−n−ブチルオルソチタネート、和光純薬株式会社製)13.3g、ホウ酸(和光純薬株式会社製)156.6g、フッ化アンモニウム(和光純薬株式会社製)146.2gおよびヒュームドシリカ(cab−o−sil M7D、キャボット社製)117.0gをオートクレーブ中で、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。得られたゲルを更に1.5時間攪拌させた後、オートクレーブを密閉した。続いて、当該ゲルを撹拌しながら8時間かけて当該ゲルの温度を165℃になるまで昇温させた後、同温度で168時間保持することにより懸濁液を得た。得られた懸濁液をろ過した後、ろ液のpHが8.3になるまでイオン交換水を用いて分離された固体成分を水洗した。得られた固体成分を重量減少が見られなくなるまで50℃で乾燥することにより、135.3gの固体成分a1を得た。
【0059】
<第2工程:チタノシリケートA’の調製>
上記固体成分a1 15gに2M硝酸750mLおよびTBOT 1.9gを加えた後、加熱して、8時間還流させた。次いで、得られた固体生成物をろ過し、ろ液のpHが5以上になるまで分離された固形物を水洗し、続いて、水洗された固形物の重量減少が見られなくなるまで当該固形物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、11.5gの白色粉末を得た。上記固体成分a1から同様の操作を行い、合計23.0gの白色粉末を得た(チタノシリケートA’)。
チタノシリケートA’の紫外可視吸収スペクトルは、223nmに200nm〜400nmの波長領域における最大の吸収ピークを有していた。また、元素分析により、チタノシリケートA’におけるチタン含量は2.00重量%であった。尚、チタノシリケートA’のX線回折パターンは、格子間隔が12.3d/Å、11.1d/Å、8.9d/Å、6.1d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークを有するX線回折パターンであった。更に、チタノシリケートA’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0036(mL/g)であった。
次に、当該チタノシリケートA’8.8gを530℃で6時間加熱することにより、8.0gの粉末状の固体a2を得た。
【0060】
(実施例2)
<第3工程:チタノシリケートB’の調製>
ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)22.5g、イオン交換水45.0g、およびチタノシリケートA’ 7.5gをオートクレーブ中、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、上記オートクレーブを密閉した。続いて、当該ゲルを撹拌しながら4時間かけて当該ゲルの温度を160℃になるまで昇温させた後、当該温度で16時間保持することにより、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが8.8になるまで分離された固体生成物を水洗し、続いて、水洗された固体生成物の重量減少が見られなくなるまで当該固体生成物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、6.1gの白色粉末を得た(チタノシリケートB’)。
チタノシリケートB’の紫外可視吸収スペクトルは、217nmに200nm〜400nmの波長領域における最大の吸収ピークを有していた。元素分析により、チタノシリケートB’におけるチタン含量は2.17重量%であった。また、チタノシリケートB’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0047(mL/g)であった。
尚、チタノシリケートB’のX線回折パターンは、格子間隔が12.3d/Å、11.1d/Å、8.9d/Å、6.1d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークを有するX線回折パターンであった。
【0061】
(実施例3)
<第3工程:チタノシリケートC’の調製>
ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)22.5g、イオン交換水45.0g、および上記固体a2 7.5gをオートクレーブ中、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、上記オートクレーブを密閉した。続いて、当該ゲルを撹拌しながら4時間かけて当該ゲルの温度を160℃になるまで昇温させた後、当該温度で16時間保持することにより、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが9.2になるまで分離された固体生成物を水洗し、続いて、水洗された固体生成物の重量減少が見られなくなるまで当該固体生成物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、7.1gの白色粉末を得た(チタノシリケートC’)。
チタノシリケートC’の紫外可視吸収スペクトルは、217nmに200nm〜400nmの波長領域における最大の吸収ピークを有しており、チタノシリケートであると認められた。元素分析により、チタノシリケートC’におけるチタン含量は2.17重量%であった。また、チタノシリケートC’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0046(mL/g)であった。尚、チタノシリケートC’のX線回折パターンは、格子間隔が12.4d/Å、11.2d/Å、8.9d/Å、6.2d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークを有するX線回折パターンであった。
【0062】
(実施例4)
チタノシリケートD’の調製法
<第1工程>
ピペリジン 898.8g、イオン交換水 2402.4g、TBOT 46.4g、ホウ酸 565.3g、フッ化アンモニウム 504.0gおよびヒュームドシリカ 409.5gをオートクレーブ中で、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、オートクレーブを密閉した。続いて、ゲルを撹拌しながら8時間かけて当該ゲルの温度を165℃になるまで昇温させた後、同温度で288時間保持することにより懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが約8になるまでイオン交換水を用い水洗した。得られた固形分を重量減少が見られなくなるまで50℃で乾燥し、492.0gの固体b1を得た。
【0063】
<第2工程>
上記固体b1 15gに2M硝酸750mLおよびTBOT 1.9gを加えた後、加熱して、8時間還流させた。次いで、得られた固体生成物をろ過し、ろ液のpHが5以上になるまで水洗し、続いて、水洗した固体生成物の重量減少が見られなくなるまで当該固体生成物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、11.3gの白色粉末を得た(固体b2)。次に、上記固体b2 9.0gを530℃で6時間加熱することにより、7.9gの粉末状の固体b3を得た。
【0064】
<第3工程>
ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)22.5g、イオン交換水45.0g、および上記固体b3 7.5gをオートクレーブ中、25℃にて撹拌することによりゲルを得た。当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、上記オートクレーブを密閉した。続いて、当該ゲルを撹拌しながら4時間かけて当該ゲルの温度を160℃になるまで昇温させた後、当該温度で16時間保持することにより、懸濁液を得た。得られた懸濁液をろ過した後、ろ液のpHが9.1になるまで水洗し、続いて、水洗した固体成分の重量減少が見られなくなるまで150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、6.0gの白色粉末を得た(チタノシリケートD’)。チタノシリケートD’の紫外可視吸収スペクトルから、チタノシリケートであると認められた。元素分析により、チタノシリケートD’におけるチタン含量は1.80重量%であった。また、チタノシリケートD’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0030(mL/g)であった。尚、チタノシリケートD’のX線回折パターンは、格子間隔が12.3d/Å、11.1d/Å、8.9d/Å、6.1d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークを有するX線回折パターンであった。
【0065】
(実施例5)
チタノシリケートE’の調製法
<第1工程>
ピペリジン 265.2g、イオン交換水 666.9g、TBOT 13.3g、ホウ酸 156.6g、フッ化アンモニウム 73.1gおよびヒュームドシリカ 117.0gをオートクレーブ中で、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。
当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、オートクレーブを密閉した。続いて、ゲルを撹拌しながら8時間かけて当該ゲルの温度を165℃になるまで昇温させた後、同温度で168時間保持することにより懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが9.7になるまでイオン交換水を用いて分離された固体成分を水洗した。得られた固形成分を重量減少が見られなくなるまで50℃で乾燥することにより、121.0gの固体成分c1を得た。
【0066】
<第2工程>
上記固体成分c1 15gに2M硝酸750mLおよびTBOT 1.9gを加えた後、加熱して、8時間還流させた。次いで、得られた固液混合物をろ過し、ろ液のpHが5以上になるまでイオン交換水を用いて分離された固形物を水洗し、続いて、水洗された固形物の重量減少が見られなくなるまで当該固形物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、11.3gの白色粉末を得た(固体c2)。次に、上記固形物c2 9.0gを530℃で6時間加熱することにより、7.9gの粉末状の固体c3を得た。
【0067】
<第3工程>
ピペリジン 22.5g、イオン交換水 45.0g、および上記固体c3 7.5gをオートクレーブ中、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、上記オートクレーブを密閉した。続いて、当該ゲルを撹拌しながら4時間かけて当該ゲルの温度を160℃になるまで昇温させた後、当該温度で16時間保持することにより、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが9.4になるまでイオン交換水を用いて分離された固体生成物を水洗し、続いて、水洗した固体生成物の重量減少が見られなくなるまで当該固体生成物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、7.8gの白色粉末を得た(チタノシリケートE’)。
チタノシリケートE’の紫外可視吸収スペクトルから、チタノシリケートであると認められた。元素分析により、チタノシリケートE’におけるチタン含量は2.05重量%であった。また、チタノシリケートE’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0036(mL/g)であった。尚、チタノシリケートE’のX線回折パターンは、格子間隔が12.2d/Å、11.0d/Å、8.9d/Å、6.1d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークにピークを有するX線回折パターンであった。
【0068】
(対照参考例1)
<チタノシリケートF’、G’の調製法>
ピペリジン(和光純薬株式会社製)899g、イオン交換水2402g、TBOT(和光純薬株式会社製)46.4g、ホウ酸(和光純薬株式会社製)565g及びヒュームドシリカ(cab−o−sil M7D、キャボット社製)410gをオートクレーブ中で、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。得られたゲルを更に1.5時間攪拌させた後、上記オートクレーブを密閉した。次いで、ゲルを撹拌しながら8時間かけて当該ゲルの温度を150℃になるまで昇温させた後、同温度で120時間保持することにより懸濁液を得た。得られた懸濁液をろ過した後、ろ液のpHが10.6になるまでイオン交換水を用いて分離された固体成分を水洗した。水洗された固体成分を重量減少が見られなくなるまで50℃で乾燥することにより、464gの固体d1を得た。
<第2工程>
上記固体d1 15gに2M硝酸750mL及びTBOT(和光純薬株式会社製)9.5gを加えた後、これを加熱しながら8時間還流させた。次いで、得られた固液混合物をろ過し、ろ液のpHが5以上になるまでイオン交換水を用いて分離された固形物を水洗し、続いて、水洗された固形物の重量減少が見られなくなるまで当該固形物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、10.9gの白色粉末(チタノシリケートF’)を得た。
チタノシリケートF’の紫外可視吸収スペクトルは、221nmに200nm〜400nmの波長領域における最大の吸収ピークを有していた。また、元素分析により、チタノシリケートF’におけるチタン含量は1.86重量%であった。尚、チタノシリケートF’のX線回折パターンは、格子間隔が12.3d/Å、11.0d/Å、9.0d/Å、6.1d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークを有するX線回折パターンであった。更に、チタノシリケートF’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0018(mL/g)であった。
次に、当該チタノシリケートF’8.8gを530℃で6時間加熱し、8.0gの粉末状の固体d2を得た。
【0069】
(対照参考例2)
<第3工程:チタノシリケートG’の調製>
ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)22.5g、イオン交換水45.0g、および上記固体d2 7.5gをオートクレーブ中、25℃にて撹拌しながら溶解することによりゲルを得た。当該ゲルを更に1.5時間攪拌させた後、上記オートクレーブを密閉した。続いて、当該ゲルを撹拌しながら4時間かけて当該ゲルの温度を160℃になるまで昇温させた後、当該温度で16時間保持することにより、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが9.4になるまでイオン交換水を用いて分離された固体生生物を水洗し、続いて、水洗された固体生成物の重量減少が見られなくなるまで当該固体生成物を150℃で加熱しながら真空乾燥することにより、7.4gの白色粉末を得た(チタノシリケートG’)。
チタノシリケートG’の紫外可視吸収スペクトルは、212nmに200nm〜400nmの波長領域における最大の吸収ピークを有しており、チタノシリケートであると認められた。元素分析により、チタノシリケートG’におけるチタン含量は1.92重量%であった。また、チタノシリケートG’の[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積は、0.0046(mL/g)であった。尚、チタノシリケートC’のX線回折パターンは、格子間隔が12.3d/Å、11.0d/Å、9.0d/Å、6.1d/Å、3.9d/Å及び3.4d/Åにピークを有するX線回折パターンであった。
【0070】
(実施例6)
<第4工程>
上記実施例で得られたチタノシリケートA’〜G’のそれぞれ0.1g〜2.28gと、水/アセトニトリル=1/4(重量比)の混合溶媒に0.1重量%の過酸化水素を含む溶液100gの混合物とを、約20℃で、1時間攪拌した後、ろ過し、更に得られたケークを500mLの水で洗浄することにより、それぞれ、チタノシリケートA〜Gを得た。
【0071】
(実施例7:プロピレンオキサイドの製造例1)
過酸化水素30重量%を含有する水溶液(和光純薬株式会社製)、アセトニトリル(ナカライテスク社製)及びイオン交換水を混合して、1重量%の過酸化水素を含むアセトニトリル/水混合溶媒(アセトニトル/水=4/1(重量比))溶液を調製した。調製した溶液60gと、チタノシリケートA 0.010gとを100mLステンレスオートクレーブに充填した。次にオートクレーブを氷浴上に移し、プロピレン1.2gを充填した。更にアルゴンで2MPa(ゲージ圧)までオートクレーブ内を昇圧した。オートクレーブ内の混合液を攪拌しながら、15分間かけて60℃まで昇温し、同温度にて1時間攪拌した。次に、攪拌を止めオートクレーブを氷冷した。
氷冷後、得られた混合液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、1.823mol・h−1・g−1であった。
【0072】
(実施例8:プロピレンオキサイドの製造例2)
チタノシリケートAの代わりに実施例6で得られたチタノシリケートBを用いた以外は、実施例7と同様の操作を行った。その結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、1.529mol・h−1・g−1であった。
【0073】
(実施例9:プロピレンオキサイドの製造例3)
チタノシリケートAの代わりに実施例6で得られたチタノシリケートCを用いた以外は、実施例7と同様の操作を行った。その結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、1.818mol・h−1・g−1であった。
【0074】
(実施例10:プロピレンオキサイドの製造例4)
チタノシリケートAの代わりに実施例6で得られるチタノシリケートDを用いる以外は、実施例7と同様の操作を行った。その結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、1.201mol・h−1・g−1であった。
【0075】
(実施例11:プロピレンオキサイドの製造例5)
チタノシリケートAの代わりに実施例6で得られるチタノシリケートEを用いる以外は、実施例7と同様の操作を行った。その結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、0.919mol・h−1・g−1であった。
【0076】
(対照参考例3:プロピレンオキサイドの製造例6)
チタノシリケートAの代わりに実施例6で得られるチタノシリケートFを用いる以外は、実施例7と同様の操作を行った。その結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、0.463mol・h−1・g−1であった。
【0077】
(対照参考例4:プロピレンオキサイドの製造例7)
チタノシリケートAの代わりに実施例6で得られるチタノシリケートGを用いる以外は、実施例7と同様の操作を行った。その結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、0.691mol・h−1・g−1であった。
【0078】
(参考例5:パラジウム(Pd)触媒の調製例)
Pd触媒は、以下の方法により調製した。即ち、細孔容積が1.58ml/gの活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社製、商品名:特製白鷺)20gを100℃の熱水10Lを用い洗浄し、窒素気流下、150℃にて6時間乾燥させることにより、洗浄された活性炭(以下、洗浄ACと記すことがある)を調製した。ここで、活性炭の細孔容積は、カンタクローム(QUANTA CHROME)社製オートソーブ6を用いて、予め真空中で150℃で4時間乾燥させた試料に液体窒素温度で窒素ガスを吸着させて得られた吸着等温線の相対圧力0.99付近の窒素ガス吸着量から算出した。
洗浄AC 6gと水300mLとを 1Lナスフラスコ中に加え、空気下、20℃にて撹拌した。この懸濁液に、Pdコロイド(日揮触媒化成製) 0.57 mmolを含む水溶液100 mLを空気下、室温にてゆっくり滴下した。滴下終了後、更に懸濁液を空気下、室温にて8時間撹拌した。攪拌終了後、ロータリーエバポレータを用いて水分を除去し、80℃にて6時間真空乾燥することにより、活性炭にパラジウムが担持されたPd触媒を得た。ICP発光分析から求められたパラジウムの含有量は、1.05質量%であった。
【0079】
(実施例12:プロピレンオキサイドの製造例8)
容量0.3Lのオートクレーブを反応器として用いて、当該反応器に、実施例6で得られたチタノシリケートC 2.28g及び参考例5で得られたPd触媒 1.05gを仕込んだ後、密閉した。反応器中に、酸素/水素/窒素の体積比が3.3/3.6/93.1であるガスを281L/時間の供給速度で、0.7mmol/kgのアントラキノン、3.0mmol/kgのリン酸水素2アンモニウム塩を含む水/アセトニトリル=30/70(重量比)の溶液を90g/時間の供給速度で、プロピレンを36g/時間の供給速度で、それぞれ供給した。反応器からフィルターを介して反応生成物を含む溶液(液相)及び生成ガス(気相)を反応混合物から抜き出すという連続式反応(滞留時間:60分間)を行った。この間、反応器中の内容物の温度を50℃、反応器中圧力を4.0MPa(ゲージ圧)とした。反応開始から6時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーで分析した結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、0.062mol・h−1・g−1であった。
【0080】
(実施例13:プロピレンオキサイドの製造例9)
チタノシリケートCの代わりに、実施例6で得られたチタノシリケートEを用いる以外は、実施例12と同様の操作を行った。反応開始から6時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーで分析した結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、0.055mol・h−1・g−1であった。
【0081】
(対照参考例6:プロピレンオキサイドの製造例10)
チタノシリケートCの代わりに、実施例6で得られたチタノシリケートGを用いる以外は、実施例12と同様の操作を行った。反応開始から6時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラィーで分析した結果、単位チタノシリケート重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は、0.043mol・h−1・g−1であった。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、オレフィンオキサイドの製造方法において、チタノシリケート重量あたりのオレフィンオキサイドの生成活性をより向上させたチタノシリケートの製造方法等が提供可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、13族元素を含有する化合物、ケイ素含有化合物、チタン含有化合物、フッ素含有化合物並びに水を混合して懸濁液を得、該懸濁液から固体成分を分離する第1工程と、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合して固液混合物を得、得られた固液混合物から固形物を分離する第2工程と、を含むことを特徴とするチタノシリケートの製造方法。
【請求項2】
第1工程における、環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、13族元素を含有する化合物、ケイ素含有化合物、チタン含有化合物、フッ素含有化合物並びに水を混合する際の温度が、110〜200℃の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
第2工程における、第1工程で得られた固体成分、酸水溶液及びチタン含有化合物を混合する際の温度が、20〜150℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
更に追加的に、第2工程で得られた生成物を加熱する第2’工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
第2工程で得られた生成物を加熱する際の温度が、250〜1000℃の範囲内であることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
更に追加的に、第2工程で得られた生成物又は第2’工程で得られた生成物と、環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、水とを混合して混合液を得、該混合液から生成物を分離する第3工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
【請求項7】
更に追加的に、第2工程で得られた生成物、第2’工程で得られた生成物及び第3工程で得られた生成物からなる群から選ばれる少なくとも1種の生成物に、過酸化水素を接触させる第4工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の製造方法。
【請求項8】
環式アミン及び4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、アダマンチルトリメチルアンモニウム塩及びオクチルトリメチルアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の製造方法。
【請求項9】
13族元素を含有する化合物が、ホウ素含有化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の製造方法。
【請求項10】
ケイ素含有化合物が、ヒュームドシリカであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の製造方法。
【請求項11】
チタン含有化合物が、チタンアルコキシドであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか記載の製造方法。
【請求項12】
フッ素含有化合物が、フッ化アンモニウムであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の製造方法。
【請求項13】
酸水溶液に含まれる酸が、無機酸であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか記載の製造方法。
【請求項14】
第一工程におけるフッ素含有化合物の使用量が、ケイ素含有化合物に含まれるケイ素原子1モルに対して2モル以上5モル以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の製造方法。
【請求項15】
[XPS(X線光電子分光法)分析より求めたTi(チタン)の表面濃度(atom%)]/[XPS分析より求めたSi(ケイ素)の表面濃度(atom%)]という値と、窒素の吸着等温線からMP法を用いて求めたミクロ細孔容積(mL/g)という値との積が、0.0030(mL/g)以上の値となるTi−MWW前駆体またはTi−MWW。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか記載の製造方法で得られたチタノシリケートの存在下、オレフィン及び酸化剤を反応させる工程を含むことを特徴とするオレフィンオキサイドの製造方法。
【請求項17】
酸化剤が過酸化水素であることを特徴とする請求項16記載のオレフィンオキサイドの製造方法。
【請求項18】
過酸化水素が、オレフィン及び過酸化水素を反応させる工程において、貴金属触媒の存在下、酸素及び水素を反応させて得られる過酸化水素であることを特徴とする請求項17記載のオレフィンオキサイドの製造方法。
【請求項19】
オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項16〜18のいずれか記載のオレフィンオキサイドの製造方法。

【公開番号】特開2012−158511(P2012−158511A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266525(P2011−266525)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】