チタンホワイト粉の連続無機被覆方法
【課題】本発明はチタンホワイト粉の連続無機被覆方法を提供する。
【解決手段】本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆方法は、第1混合装置で、チタンホワイト粉スラリーを、第1被覆物質及び第1中和物質と混合した後、第1超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第1熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第1被覆処理段階と、第2混合装置で、第1被覆処理が行われたチタンホワイト粉スラリーを、第2被覆物質及び第2中和物質と混合させ、第2超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第2熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第2被覆処理段階と、を含む。本発明によって製造したチタンホワイト粉は被覆が均一で、製品耐候性がよく、分散性が優れる。
【解決手段】本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆方法は、第1混合装置で、チタンホワイト粉スラリーを、第1被覆物質及び第1中和物質と混合した後、第1超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第1熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第1被覆処理段階と、第2混合装置で、第1被覆処理が行われたチタンホワイト粉スラリーを、第2被覆物質及び第2中和物質と混合させ、第2超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第2熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第2被覆処理段階と、を含む。本発明によって製造したチタンホワイト粉は被覆が均一で、製品耐候性がよく、分散性が優れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチタンホワイト粉の被覆方法に関し、より詳しくはチタンホワイト粉の連続無機被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタンホワイト粉は白色顔料として、塗料、プラスチック、インク等分野に広く応用されている。チタンホワイト粉生産工程は主に硫酸法と塩化法を含み、この二つの方法により生産されたルチル型チタンホワイト製品は全部無機表面処理を経ってから、応用するべきである。表面処理なしのチタンホワイト粉表面には多くのヒドロキシル基があり、極性が大きく、有機媒質中で凝集容易で、沈殿が発生し、その分散性及び分散安定性が非常に弱い。そして、表面処理なしのチタンホワイト粉は自身の結晶格子欠陥により、その耐候性と化学安定性が悪い。無機表面処理の核心は被覆物質を二酸化チタンの表面に均一に被覆して、チタンホワイト粉の耐候性及びその他の応用性能を高めることであり、チタンホワイト粉表面の無機被覆の効果は製品の最終応用性能に直接影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、中国国内のあらゆるチタンホワイト業界の無機被覆は全部間欠式被覆方式を採用しているが、現在工程は幾つかの難点があり、有効的に解決できない。まず、被覆物質と被覆スラリーの均一な混合が保障できず、次に、無機被覆膜の均一性を保障できず、また、従来工程の周期が長く、一般的な被覆膜形成周期は10〜12時間で、設備の生産能力に影響する。
【0004】
したがって、チタンホワイト粉の連続無機被覆工程を開発し、被覆物質を二酸化チタン表面に均一に被覆させて、チタンホワイト製品の応用性能を高め、被覆膜形成周期を短縮する目的に達することは、チタンホワイト業界の発展に重要な意味がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術に存在する上記問題に鑑み、本発明はチタンホワイト粉の連続無機被覆方法を提供し、該方法は、第1混合装置でチタンホワイト粉スラリーを、第1被覆物質及び第1中和物質と混合した後、第1超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第1熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第1被覆処理段階と、第2混合装置で、第1被覆処理が行われたチタンホワイト粉スラリーを、第2被覆物質及び第2中和物質と混合させ、第2超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第2熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第2被覆処理段階と、を含む。
【0006】
前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は200g/L〜400g/Lであることが望ましい。前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は260g/L〜350g/Lであることが更に望ましい。
【0007】
第1被覆処理と第2被覆処理において、チタンホワイト粉スラリーのpH値は4.0〜10.0で、チタンホワイト粉スラリーの温度は50℃〜90℃であることが望ましい。
【0008】
チタンホワイト粉スラリーは、第1熟成装置で40〜240分停留し、第2熟成装置で40〜240分停留することが望ましい。
【0009】
本発明によると、第1被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることができる。第1被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第1中和物質は水酸化ナトリウムであってもよい。又は、第1被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第1中和物質は硫酸である。
【0010】
本発明によると、第2被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることができる。第2被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第2中和物質は水酸化ナトリウムであってもよい。又は、第2被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第2中和物質は硫酸である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法によって製造したチタンホワイト粉は被覆が均一で、製品耐候性がよく、分散性が優れる。
【0012】
図面を参照しながら、本発明の代表的な実施例を詳細に説明することで、当業者が本発明の上記及び他の特徴及び利点をより明確に了解するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置のブロック図である。
【図2】本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置を示す図である。
【図3】本発明の実施例1により製造されたチタンホワイト製品の粒度分布図である。
【図4】本発明の実施例1により製造されたチタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図である。
【図5】本発明の実施例2により製造されたチタンホワイト製品の粒度分布図である。
【図6】本発明の実施例2により製造されたチタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図である。
【図7】本発明の実施例3により製造されたチタンホワイト製品の粒度分布図である。
【図8】本発明の実施例3により製造されたチタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、まず図面を参照しながら、本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置を詳細に説明する。
【0015】
図1を参照すると、本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置は混合装置、pH検出器、超音波装置、熟成装置及び熟成貯蔵タンクを含む。
【0016】
本発明によると、まず処理対象のチタンホワイト粉を混合装置に引入し、その時被覆物質A及び対応する中和物質も混合装置に入れる。
【0017】
本発明によると、被覆物質Aが硫酸ジルコニウムである場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウムであることができ、被覆物質Aがけい酸ナトリウムである場合、対応する中和物質は硫酸であることができる。本発明によると、被覆物質Aとその対応する中和物質は相互交換できる。被覆物質Aがリン酸二水素アムモニウムである場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウム溶液で、被覆物質Aが塩化亜鉛である場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウム溶液である。
【0018】
当該混合装置で被覆物質Aを採用して処理対象のチタンホワイト粉に対して被覆膜を形成する。その後、pH検出器を採用してスラリーのpH値を検出し、且つ検出されたpH値に基づいて導入する中和物質の量を調整する。ここで、スラリーのpH値は4.0〜10.0であることが望ましい。
【0019】
その後、超音波装置を利用してチタンホワイト粉に対して超音波分散を行い、連続的に原料を導入した後のスラリーの均一な分散及び被覆物質Aの均一な被覆を実現する。それから、スラリーは熟成(slake)装置に進入し、熟成装置の温度を50℃〜90℃に維持するように、加熱装置を採用して熟成装置を加熱することが望ましい。スラリーが熟成装置で40分〜240分停留することが望ましい。
【0020】
続いて、第1回被覆処理が行われたスラリーを次の混合装置中に入れ、且つ被覆物質B及び対応する中和物質を当該混合装置中に入れる。本発明によると、被覆物質Bが二酸化ナトリウムアルミニウムである場合、対応する中和物質は硫酸であることができ、被覆物質Bが硫酸アルミニウムである場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウムであることができる。本発明によれば、被覆物質Bとその対応する中和物質は相互交換できる。
【0021】
本発明において、当業者は必要によって各種の被覆物質Aと被覆物質Bを採用することができ、上記被覆物質に限定されるものではない。一方、本発明において、多種被覆物質を被覆する必要がある場合、必要によって被覆物質の被覆順番を調整することができ、即ち、被覆物質Aと被覆物質Bの被覆順番を調整することができる。アルミニウムを含む被覆物質を被覆する必要がある場合、アルミニウムを含む被覆物質をチタンホワイト粉の最外層に被覆することが望ましい。
【0022】
本発明において、被覆物質Aと被覆物質Bの両方とも硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウムと塩化亜鉛中の少なくとも一つである。
【0023】
第1回被覆処理の過程と類似に、当該混合装置中で、被覆物質Bを採用して処理対象のチタンホワイト粉に対して被覆膜を形成する。その後、pH検出器を採用してスラリーのpH値を検出し、且つ検出されたpH値によって導入する中和物質の量を調整する。この時、スラリーのpH値は4.0〜10.0であることが望ましい。
【0024】
その後、超音波装置を利用してチタンホワイト粉に対して超音波分散を行い、連続的に原料を導入した後のスラリーの均一な分散及び被覆物質Bの均一な被覆を実現する。それから、スラリーを熟成装置に入れ、熟成装置の温度を50℃〜90℃に維持するように、加熱装置を採用して熟成装置を加熱することが望ましい。スラリーが熟成装置で40分〜240分停留することが望ましい。
【0025】
第1回被覆処理と第2回被覆処理が行なわれたスラリーは最後に熟成貯蔵タンクに入れられ、チタンホワイト粉の被覆過程が終了する。
【0026】
上記被覆処理過程中で、被覆過程でチタンホワイトスラリーの温度を一定にするように、加熱装置を採用して処理前のチタンホワイトスラリーを予め加熱することが望ましい。
【0027】
図2を参照すると、本発明によれば、処理対象の被覆スラリーが定流ポンプ1を経った後、被覆物質A及び対応する中和物質を処理対象の被覆スラリーに入れる。処理対象の被覆スラリーはpH検出器2と超音波装置3を順次に経ち、その後熟成パイプ4に入り、且つ熟成パイプ4で熟成される。
【0028】
その後、第1回被覆処理を行ったスラリーに被覆物質B及びその対応する中和物質を入れ、pH検出器2と超音波装置3を順次に経ち、その後熟成パイプ4に入って熟成される。2回の被覆処理が行われたスラリーは熟成貯蔵タンク5に入る。
【0029】
本発明によれば、超音波装置は全部パイプの形式でもよく、且つ超音波装置はパイプ外部に超音波設備が設置されたパイプでもよい。
【0030】
一方、本発明によると、スラリーの必要とする停留時間を満足するように、熟成装置は螺旋式パイプでもよい。その他、熟成装置の外部に加熱装置を設置して熟成過程で原料が必要とする温度に達することができる。なお、加熱装置は蒸気又はお湯等方式を採用して熟成装置と熱交換する熱交換装置であることができる。
【0031】
以下の記載で、具体的な実施例を参照して、本発明のチタンホワイト粉の連続無機被覆装置を採用して被覆膜を形成する方法を説明する。チタンホワイト被覆スラリーの濃度は200g/L〜400g/Lであることが望ましく、260g/L〜350g/Lであることが更に望ましい。
【実施例】
【0032】
実施例1
チタンホワイト被覆スラリーを300g/Lまで希釈させ、加熱装置によってチタンホワイト被覆スラリーを80℃まで予熱する。定量ポンプ(metering pump)を通じて、被覆スラリー、けい酸ナトリウム、20質量%濃度の硫酸を混合装置に入れ、被覆スラリーの流速を50mL/minにし、ケイ酸ナトリウムの流速を0.2mL/minにする。
【0033】
その後、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質の流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入る。熟成装置で60min停留し、温度は80℃に維持する。
【0034】
その後、定量ポンプを通じて、二酸化ナトリウムアルミニウムと中和物質を混合装置に入れて、上記原料と混合され、二酸化ナトリウムアルミニウムの流速を4.3mL/minにする。それから、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が8.5になるように、中和物質(10質量%〜30質量%濃度の硫酸)の流量を制御する。続いて、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行われた後に熟成装置に入る。熟成装置で停留時間は60minで、温度は60℃に維持する。膜の被覆が終了すると、得られたものを被覆膜熟成貯蔵タンクに入れて、洗浄、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト製品を得る。
【0035】
製品粒度分布図は図3を参照する。図3によると、得られたチタンホワイト製品の平均粒径は307nmで、半値幅は69.3nmで、ピーク1のピーク値粒径は275nmで、多分散性指数は0.274であることが分かり、これは得られたチタンホワイト製品の粒度分布が均一で、製品分散性が優れることを示している。
【0036】
チタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図は図4を参照する。図4によると、エネルギースペクトル走査の各点に全部被覆物質ケイ素と被覆物質アルミニウムが存在し、且つ各点で被覆物質の量はおおよそ似ていることが分かり、製品の被覆膜が均一で、耐候性が優れることを示している。
【0037】
実施例2
チタンホワイト被覆スラリーを250g/Lまで希釈させ、加熱装置によってチタンホワイト被覆スラリーを60℃まで予熱する。定量ポンプ(metering pump)を通じて、被覆スラリー、硫酸ジルコニウム、NaOH溶液を混合装置に入れ、被覆スラリーの流速を80mL/minにし、被覆物質である硫酸ジルコニウムの流速を1.2mL/minにする。
【0038】
その後、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質である水酸化ナトリウムの流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入る。熟成装置で40min停留し、温度は60℃に維持する。
【0039】
その後、定量ポンプを通じて、二酸化ナトリウムアルミニウムと中和物質を混合装置に入れて、上記原料と混合され、二酸化ナトリウムアルミニウムの流速を7.5mL/minにする。それから、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質(20質量%濃度の硫酸溶液)の流速を制御する。続いて、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行われた後に熟成装置に入る。熟成装置で停留時間は60minで、温度は60℃に維持する。膜の被覆が終了すると、得られたものを被覆膜熟成貯蔵タンクに入れて、洗浄、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト製品を得る。
【0040】
製品粒度分布図は図5を参照する。図5によると、得られたチタンホワイト製品の平均粒径は288nmで、半値幅は66.5nmで、ピーク1のピーク値粒径は273nmで、多分散性指数は0.217であることが分かり、これは得られたチタンホワイト製品の粒度分布が均一で、製品分散性が優れることを示している。
【0041】
チタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図は図6を参照する。図6によると、エネルギースペクトル走査の各点に全部被覆物質アルミニウムが存在するが、被覆物質ジルコニウムは被覆量が少ないので、エネルギースペクトルが検出できないことが分かり、各点で被覆物質アルミニウムの量がおおよそ似ていることから、製品の被覆膜が均一で、耐候性が優れることを分かることができる。
【0042】
実施例3
チタンホワイト被覆スラリーを280g/Lまで希釈させ、加熱装置によってチタンホワイト被覆スラリーを60℃まで予熱する。定量ポンプを通じて、被覆スラリー、硫酸ジルコニウム、NaOH溶液を混合装置に入れ、被覆スラリーの流速を100mL/minにし、被覆物質である硫酸ジルコニウムの流速を0.8mL/minにする。
【0043】
その後、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質である水酸化ナトリウムの流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入れる。熟成装置で60min停留し、温度は60℃に維持する。
【0044】
その後、定量ポンプを通じて、硫酸アルミニウムと中和物質を第2混合装置に入れて、上記原料と混合され、二酸化ナトリウムアルミニウムの流速を8.5mL/minにする。それから、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質(10質量%濃度のNaOH溶液)の流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入る。熟成装置で停留する時間は90minで、温度は60℃に維持する。膜の被覆が終了すると、得られたものを被覆膜熟成貯蔵タンクに入れて、洗浄、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト製品を得る。
【0045】
製品粒度分布図は図7を参照する。図7によると、得られたチタンホワイト製品の平均粒径は290nmで、半値幅は59.7nmで、ピーク1のピーク値粒径は256nmで、多分散性指数は0.310であることが分かり、これは得られたチタンホワイト製品の粒度分布が均一で、製品分散性が優れることを示している。
【0046】
チタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図は図8を参照する。図8によると、エネルギースペクトル走査の各点に全部被覆物質アルミニウムが存在するが、被覆物質ジルコニウムは被覆量が少ないので、エネルギースペクトルが検出できないことが分かり、各点で被覆物質アルミニウムの量がおおよそ似ていることから、製品の被覆膜が均一で、耐候性が優れることを分かることができる。
【0047】
したがって、チタンホワイト生産で連続無機被覆装置を採用することで、被覆膜を二酸化チタン表面に均一に被覆することから、チタンホワイト製品の応用性能を高めることができる。
【0048】
本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆方法で製造されたチタンホワイト粉は均一に被覆され、製品の耐候性が優れ、分散性がよい。具体的に、本発明で、超音波分散によってチタンホワイトスラリーの均一な分散を実現し、パイプ方式で原料を混合することで、チタンホワイト被覆スラリーと被覆物質の均一な混合を実現し、被覆温度、pH値及び停留時間を制御することで、被覆膜の均一性を実現し、最終的に膜の被覆が終了した後に、被覆膜熟成貯蔵タンクに入れ、後続の濾過、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト完成品を得る。
【技術分野】
【0001】
本発明はチタンホワイト粉の被覆方法に関し、より詳しくはチタンホワイト粉の連続無機被覆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チタンホワイト粉は白色顔料として、塗料、プラスチック、インク等分野に広く応用されている。チタンホワイト粉生産工程は主に硫酸法と塩化法を含み、この二つの方法により生産されたルチル型チタンホワイト製品は全部無機表面処理を経ってから、応用するべきである。表面処理なしのチタンホワイト粉表面には多くのヒドロキシル基があり、極性が大きく、有機媒質中で凝集容易で、沈殿が発生し、その分散性及び分散安定性が非常に弱い。そして、表面処理なしのチタンホワイト粉は自身の結晶格子欠陥により、その耐候性と化学安定性が悪い。無機表面処理の核心は被覆物質を二酸化チタンの表面に均一に被覆して、チタンホワイト粉の耐候性及びその他の応用性能を高めることであり、チタンホワイト粉表面の無機被覆の効果は製品の最終応用性能に直接影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、中国国内のあらゆるチタンホワイト業界の無機被覆は全部間欠式被覆方式を採用しているが、現在工程は幾つかの難点があり、有効的に解決できない。まず、被覆物質と被覆スラリーの均一な混合が保障できず、次に、無機被覆膜の均一性を保障できず、また、従来工程の周期が長く、一般的な被覆膜形成周期は10〜12時間で、設備の生産能力に影響する。
【0004】
したがって、チタンホワイト粉の連続無機被覆工程を開発し、被覆物質を二酸化チタン表面に均一に被覆させて、チタンホワイト製品の応用性能を高め、被覆膜形成周期を短縮する目的に達することは、チタンホワイト業界の発展に重要な意味がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術に存在する上記問題に鑑み、本発明はチタンホワイト粉の連続無機被覆方法を提供し、該方法は、第1混合装置でチタンホワイト粉スラリーを、第1被覆物質及び第1中和物質と混合した後、第1超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第1熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第1被覆処理段階と、第2混合装置で、第1被覆処理が行われたチタンホワイト粉スラリーを、第2被覆物質及び第2中和物質と混合させ、第2超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第2熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第2被覆処理段階と、を含む。
【0006】
前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は200g/L〜400g/Lであることが望ましい。前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は260g/L〜350g/Lであることが更に望ましい。
【0007】
第1被覆処理と第2被覆処理において、チタンホワイト粉スラリーのpH値は4.0〜10.0で、チタンホワイト粉スラリーの温度は50℃〜90℃であることが望ましい。
【0008】
チタンホワイト粉スラリーは、第1熟成装置で40〜240分停留し、第2熟成装置で40〜240分停留することが望ましい。
【0009】
本発明によると、第1被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることができる。第1被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第1中和物質は水酸化ナトリウムであってもよい。又は、第1被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第1中和物質は硫酸である。
【0010】
本発明によると、第2被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることができる。第2被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第2中和物質は水酸化ナトリウムであってもよい。又は、第2被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第2中和物質は硫酸である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法によって製造したチタンホワイト粉は被覆が均一で、製品耐候性がよく、分散性が優れる。
【0012】
図面を参照しながら、本発明の代表的な実施例を詳細に説明することで、当業者が本発明の上記及び他の特徴及び利点をより明確に了解するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置のブロック図である。
【図2】本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置を示す図である。
【図3】本発明の実施例1により製造されたチタンホワイト製品の粒度分布図である。
【図4】本発明の実施例1により製造されたチタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図である。
【図5】本発明の実施例2により製造されたチタンホワイト製品の粒度分布図である。
【図6】本発明の実施例2により製造されたチタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図である。
【図7】本発明の実施例3により製造されたチタンホワイト製品の粒度分布図である。
【図8】本発明の実施例3により製造されたチタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、まず図面を参照しながら、本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置を詳細に説明する。
【0015】
図1を参照すると、本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆装置は混合装置、pH検出器、超音波装置、熟成装置及び熟成貯蔵タンクを含む。
【0016】
本発明によると、まず処理対象のチタンホワイト粉を混合装置に引入し、その時被覆物質A及び対応する中和物質も混合装置に入れる。
【0017】
本発明によると、被覆物質Aが硫酸ジルコニウムである場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウムであることができ、被覆物質Aがけい酸ナトリウムである場合、対応する中和物質は硫酸であることができる。本発明によると、被覆物質Aとその対応する中和物質は相互交換できる。被覆物質Aがリン酸二水素アムモニウムである場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウム溶液で、被覆物質Aが塩化亜鉛である場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウム溶液である。
【0018】
当該混合装置で被覆物質Aを採用して処理対象のチタンホワイト粉に対して被覆膜を形成する。その後、pH検出器を採用してスラリーのpH値を検出し、且つ検出されたpH値に基づいて導入する中和物質の量を調整する。ここで、スラリーのpH値は4.0〜10.0であることが望ましい。
【0019】
その後、超音波装置を利用してチタンホワイト粉に対して超音波分散を行い、連続的に原料を導入した後のスラリーの均一な分散及び被覆物質Aの均一な被覆を実現する。それから、スラリーは熟成(slake)装置に進入し、熟成装置の温度を50℃〜90℃に維持するように、加熱装置を採用して熟成装置を加熱することが望ましい。スラリーが熟成装置で40分〜240分停留することが望ましい。
【0020】
続いて、第1回被覆処理が行われたスラリーを次の混合装置中に入れ、且つ被覆物質B及び対応する中和物質を当該混合装置中に入れる。本発明によると、被覆物質Bが二酸化ナトリウムアルミニウムである場合、対応する中和物質は硫酸であることができ、被覆物質Bが硫酸アルミニウムである場合、対応する中和物質は水酸化ナトリウムであることができる。本発明によれば、被覆物質Bとその対応する中和物質は相互交換できる。
【0021】
本発明において、当業者は必要によって各種の被覆物質Aと被覆物質Bを採用することができ、上記被覆物質に限定されるものではない。一方、本発明において、多種被覆物質を被覆する必要がある場合、必要によって被覆物質の被覆順番を調整することができ、即ち、被覆物質Aと被覆物質Bの被覆順番を調整することができる。アルミニウムを含む被覆物質を被覆する必要がある場合、アルミニウムを含む被覆物質をチタンホワイト粉の最外層に被覆することが望ましい。
【0022】
本発明において、被覆物質Aと被覆物質Bの両方とも硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウムと塩化亜鉛中の少なくとも一つである。
【0023】
第1回被覆処理の過程と類似に、当該混合装置中で、被覆物質Bを採用して処理対象のチタンホワイト粉に対して被覆膜を形成する。その後、pH検出器を採用してスラリーのpH値を検出し、且つ検出されたpH値によって導入する中和物質の量を調整する。この時、スラリーのpH値は4.0〜10.0であることが望ましい。
【0024】
その後、超音波装置を利用してチタンホワイト粉に対して超音波分散を行い、連続的に原料を導入した後のスラリーの均一な分散及び被覆物質Bの均一な被覆を実現する。それから、スラリーを熟成装置に入れ、熟成装置の温度を50℃〜90℃に維持するように、加熱装置を採用して熟成装置を加熱することが望ましい。スラリーが熟成装置で40分〜240分停留することが望ましい。
【0025】
第1回被覆処理と第2回被覆処理が行なわれたスラリーは最後に熟成貯蔵タンクに入れられ、チタンホワイト粉の被覆過程が終了する。
【0026】
上記被覆処理過程中で、被覆過程でチタンホワイトスラリーの温度を一定にするように、加熱装置を採用して処理前のチタンホワイトスラリーを予め加熱することが望ましい。
【0027】
図2を参照すると、本発明によれば、処理対象の被覆スラリーが定流ポンプ1を経った後、被覆物質A及び対応する中和物質を処理対象の被覆スラリーに入れる。処理対象の被覆スラリーはpH検出器2と超音波装置3を順次に経ち、その後熟成パイプ4に入り、且つ熟成パイプ4で熟成される。
【0028】
その後、第1回被覆処理を行ったスラリーに被覆物質B及びその対応する中和物質を入れ、pH検出器2と超音波装置3を順次に経ち、その後熟成パイプ4に入って熟成される。2回の被覆処理が行われたスラリーは熟成貯蔵タンク5に入る。
【0029】
本発明によれば、超音波装置は全部パイプの形式でもよく、且つ超音波装置はパイプ外部に超音波設備が設置されたパイプでもよい。
【0030】
一方、本発明によると、スラリーの必要とする停留時間を満足するように、熟成装置は螺旋式パイプでもよい。その他、熟成装置の外部に加熱装置を設置して熟成過程で原料が必要とする温度に達することができる。なお、加熱装置は蒸気又はお湯等方式を採用して熟成装置と熱交換する熱交換装置であることができる。
【0031】
以下の記載で、具体的な実施例を参照して、本発明のチタンホワイト粉の連続無機被覆装置を採用して被覆膜を形成する方法を説明する。チタンホワイト被覆スラリーの濃度は200g/L〜400g/Lであることが望ましく、260g/L〜350g/Lであることが更に望ましい。
【実施例】
【0032】
実施例1
チタンホワイト被覆スラリーを300g/Lまで希釈させ、加熱装置によってチタンホワイト被覆スラリーを80℃まで予熱する。定量ポンプ(metering pump)を通じて、被覆スラリー、けい酸ナトリウム、20質量%濃度の硫酸を混合装置に入れ、被覆スラリーの流速を50mL/minにし、ケイ酸ナトリウムの流速を0.2mL/minにする。
【0033】
その後、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質の流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入る。熟成装置で60min停留し、温度は80℃に維持する。
【0034】
その後、定量ポンプを通じて、二酸化ナトリウムアルミニウムと中和物質を混合装置に入れて、上記原料と混合され、二酸化ナトリウムアルミニウムの流速を4.3mL/minにする。それから、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が8.5になるように、中和物質(10質量%〜30質量%濃度の硫酸)の流量を制御する。続いて、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行われた後に熟成装置に入る。熟成装置で停留時間は60minで、温度は60℃に維持する。膜の被覆が終了すると、得られたものを被覆膜熟成貯蔵タンクに入れて、洗浄、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト製品を得る。
【0035】
製品粒度分布図は図3を参照する。図3によると、得られたチタンホワイト製品の平均粒径は307nmで、半値幅は69.3nmで、ピーク1のピーク値粒径は275nmで、多分散性指数は0.274であることが分かり、これは得られたチタンホワイト製品の粒度分布が均一で、製品分散性が優れることを示している。
【0036】
チタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図は図4を参照する。図4によると、エネルギースペクトル走査の各点に全部被覆物質ケイ素と被覆物質アルミニウムが存在し、且つ各点で被覆物質の量はおおよそ似ていることが分かり、製品の被覆膜が均一で、耐候性が優れることを示している。
【0037】
実施例2
チタンホワイト被覆スラリーを250g/Lまで希釈させ、加熱装置によってチタンホワイト被覆スラリーを60℃まで予熱する。定量ポンプ(metering pump)を通じて、被覆スラリー、硫酸ジルコニウム、NaOH溶液を混合装置に入れ、被覆スラリーの流速を80mL/minにし、被覆物質である硫酸ジルコニウムの流速を1.2mL/minにする。
【0038】
その後、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質である水酸化ナトリウムの流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入る。熟成装置で40min停留し、温度は60℃に維持する。
【0039】
その後、定量ポンプを通じて、二酸化ナトリウムアルミニウムと中和物質を混合装置に入れて、上記原料と混合され、二酸化ナトリウムアルミニウムの流速を7.5mL/minにする。それから、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質(20質量%濃度の硫酸溶液)の流速を制御する。続いて、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行われた後に熟成装置に入る。熟成装置で停留時間は60minで、温度は60℃に維持する。膜の被覆が終了すると、得られたものを被覆膜熟成貯蔵タンクに入れて、洗浄、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト製品を得る。
【0040】
製品粒度分布図は図5を参照する。図5によると、得られたチタンホワイト製品の平均粒径は288nmで、半値幅は66.5nmで、ピーク1のピーク値粒径は273nmで、多分散性指数は0.217であることが分かり、これは得られたチタンホワイト製品の粒度分布が均一で、製品分散性が優れることを示している。
【0041】
チタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図は図6を参照する。図6によると、エネルギースペクトル走査の各点に全部被覆物質アルミニウムが存在するが、被覆物質ジルコニウムは被覆量が少ないので、エネルギースペクトルが検出できないことが分かり、各点で被覆物質アルミニウムの量がおおよそ似ていることから、製品の被覆膜が均一で、耐候性が優れることを分かることができる。
【0042】
実施例3
チタンホワイト被覆スラリーを280g/Lまで希釈させ、加熱装置によってチタンホワイト被覆スラリーを60℃まで予熱する。定量ポンプを通じて、被覆スラリー、硫酸ジルコニウム、NaOH溶液を混合装置に入れ、被覆スラリーの流速を100mL/minにし、被覆物質である硫酸ジルコニウムの流速を0.8mL/minにする。
【0043】
その後、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質である水酸化ナトリウムの流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入れる。熟成装置で60min停留し、温度は60℃に維持する。
【0044】
その後、定量ポンプを通じて、硫酸アルミニウムと中和物質を第2混合装置に入れて、上記原料と混合され、二酸化ナトリウムアルミニウムの流速を8.5mL/minにする。それから、原料はpH検出体系に入り、被覆体系のpH値が9.0になるように、中和物質(10質量%濃度のNaOH溶液)の流速を制御する。それから、原料は超音波装置に入り、超音波分散が行なわれた後に熟成装置に入る。熟成装置で停留する時間は90minで、温度は60℃に維持する。膜の被覆が終了すると、得られたものを被覆膜熟成貯蔵タンクに入れて、洗浄、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト製品を得る。
【0045】
製品粒度分布図は図7を参照する。図7によると、得られたチタンホワイト製品の平均粒径は290nmで、半値幅は59.7nmで、ピーク1のピーク値粒径は256nmで、多分散性指数は0.310であることが分かり、これは得られたチタンホワイト製品の粒度分布が均一で、製品分散性が優れることを示している。
【0046】
チタンホワイト製品のエネルギースペクトル走査図は図8を参照する。図8によると、エネルギースペクトル走査の各点に全部被覆物質アルミニウムが存在するが、被覆物質ジルコニウムは被覆量が少ないので、エネルギースペクトルが検出できないことが分かり、各点で被覆物質アルミニウムの量がおおよそ似ていることから、製品の被覆膜が均一で、耐候性が優れることを分かることができる。
【0047】
したがって、チタンホワイト生産で連続無機被覆装置を採用することで、被覆膜を二酸化チタン表面に均一に被覆することから、チタンホワイト製品の応用性能を高めることができる。
【0048】
本発明によるチタンホワイト粉の連続無機被覆方法で製造されたチタンホワイト粉は均一に被覆され、製品の耐候性が優れ、分散性がよい。具体的に、本発明で、超音波分散によってチタンホワイトスラリーの均一な分散を実現し、パイプ方式で原料を混合することで、チタンホワイト被覆スラリーと被覆物質の均一な混合を実現し、被覆温度、pH値及び停留時間を制御することで、被覆膜の均一性を実現し、最終的に膜の被覆が終了した後に、被覆膜熟成貯蔵タンクに入れ、後続の濾過、乾燥、ジェットミルを行ってからチタンホワイト完成品を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1混合装置で、チタンホワイト粉スラリーを、第1被覆物質及び第1中和物質と混合した後、第1超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第1熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第1被覆処理段階と、
第2混合装置で、第1被覆処理が行われたチタンホワイト粉スラリーを、第2被覆物質及び第2中和物質と混合させ、第2超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第2熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第2被覆処理段階と、
を含むことを特徴とするチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項2】
前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は200g/L〜400g/Lであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項3】
前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は260g/L〜350g/Lであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項4】
第1被覆処理と第2被覆処理において、チタンホワイト粉スラリーのpH値は4.0〜10.0であることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項5】
第1被覆処理と第2被覆処理において、チタンホワイト粉スラリーの温度は50℃〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項6】
チタンホワイト粉スラリーは、第1熟成装置で40〜240分停留し、第2熟成装置で40〜240分停留することを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項7】
第1被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項8】
第1被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第1中和物質は水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項7に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項9】
第1被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第1中和物質は硫酸であることを特徴とする請求項7に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項10】
第2被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項11】
第2被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第2中和物質は水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項10に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項12】
第2被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第2中和物質は硫酸であることを特徴とする請求項10に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項1】
第1混合装置で、チタンホワイト粉スラリーを、第1被覆物質及び第1中和物質と混合した後、第1超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第1熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第1被覆処理段階と、
第2混合装置で、第1被覆処理が行われたチタンホワイト粉スラリーを、第2被覆物質及び第2中和物質と混合させ、第2超音波装置で、混合した後のチタンホワイト粉スラリーを超音波分散させ、及び第2熟成装置でチタンホワイト粉スラリーに対して熟成を行う第2被覆処理段階と、
を含むことを特徴とするチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項2】
前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は200g/L〜400g/Lであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項3】
前記チタンホワイト粉スラリーの濃度は260g/L〜350g/Lであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項4】
第1被覆処理と第2被覆処理において、チタンホワイト粉スラリーのpH値は4.0〜10.0であることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項5】
第1被覆処理と第2被覆処理において、チタンホワイト粉スラリーの温度は50℃〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項6】
チタンホワイト粉スラリーは、第1熟成装置で40〜240分停留し、第2熟成装置で40〜240分停留することを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項7】
第1被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項8】
第1被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第1中和物質は水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項7に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項9】
第1被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第1中和物質は硫酸であることを特徴とする請求項7に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項10】
第2被覆物質は、硫酸ジルコニウム、けい酸ナトリウム、二酸化ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム及び塩化亜鉛中の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項11】
第2被覆物質は硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム、リン酸二水素アムモニウム又は塩化亜鉛で、第2中和物質は水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項10に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【請求項12】
第2被覆物質はけい酸ナトリウム又は二酸化ナトリウムアルミニウムで、第2中和物質は硫酸であることを特徴とする請求項10に記載のチタンホワイト粉の連続無機被覆方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−107817(P2013−107817A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250808(P2012−250808)
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【出願人】(512276739)パンガーン・グループ・リサーチ・インスティテュート カンパニー・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PANGANG GROUP RESEARCH INSTITUTE CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Tannoy Road On The 1st, High−Tech District(Western), Chengdu, Sichuan Province 611731, P.R.China
【出願人】(510310358)パンガーン・グループ・カンパニー・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PANGANG GROUP COMPANY LTD.
【住所又は居所原語表記】Xiangyang Village, East District, Panzhihua, Sichuan Province 617067, P.R.China
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【出願人】(512276739)パンガーン・グループ・リサーチ・インスティテュート カンパニー・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PANGANG GROUP RESEARCH INSTITUTE CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Tannoy Road On The 1st, High−Tech District(Western), Chengdu, Sichuan Province 611731, P.R.China
【出願人】(510310358)パンガーン・グループ・カンパニー・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PANGANG GROUP COMPANY LTD.
【住所又は居所原語表記】Xiangyang Village, East District, Panzhihua, Sichuan Province 617067, P.R.China
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]