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チタン体を製造する方法および装置
説明

チタン体を製造する方法および装置

本発明は、固体自由形状製造によって物体、特にチタンまたはチタン合金からなる物体を製造する方法および反応器に関する。固体自由形状製造による溶接可能材料の物体の製造の反応器は、周囲雰囲気に対して閉鎖されている反応器チャンバを備え、反応器には、反応器チャンバを形成する隣接するすべての壁要素が鈍角(90°を上回る)で接合されるように構成され、反応器チャンバの下方に位置するアクチュエータには、アクチュエータが、反応器チャンバ内部に支持基材を保持して、反応器チャンバの底部の開口部を通して反応器チャンバ内に突出するように構成され、開口部が、開口部において反応器壁に、かつアクチュエータに気密取付けされる少なくとも1つの弾性ガス不透過性膜によって封止され、反応器チャンバの外部に位置するアクチュエータには、アクチュエータが、反応器チャンバの内部に溶接可能材料のワイヤ供給器を備えた高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチを保持して、反応器チャンバの側面の開口部を通して反応器チャンバ内に突出するように構成され、開口部は、開口部において反応器壁に、かつアクチュエータに気密取付けされる少なくとも1つの弾性ガス不透過性膜によって封止され、反応器には、反応器チャンバの最低位に位置する少なくとも1つの閉鎖可能ガス入口と反応器チャンバの最高位に位置する少なくとも1つの閉鎖可能ガス出口とが備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体自由形状製造法(solid freeform fabrication)により物体、特にチタン体およびチタン合金体を製造する方法および反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
チタンまたはチタン合金からなる構造化金属部品は、従来ビレットから鋳造、鍛造または機械加工することによって作製される。これらの技法には、高価なチタン金属の材料の使用頻度が高く製造においてリードタイムが長いという不都合がある。
【0003】
完全稠密な物理的物体は、ラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(rapid manufacturing)、積層造形法(layered manufacturing)または付加造形(additive fabrication)として知られる製造技術によって作製され得る。この技法は、コンピュータ支援設計ソフトウェア(CAD)を使用して、まず作製される物体の仮想モデルを構築し、その後、その仮想モデルを、通常水平方向に向けられている薄い平行なスライスまたは層に変換する。そして、物理的物体を、仮想層の形状に類似する液体ペースト、粉末またはシート材の形態で連続した原料の層を、物体全体が形成されるまで布設することによって作製することができる。それらの層を合わせて溶融させ、固体稠密物体を形成する。一緒に溶融するかまたは溶接される固体材料を堆積させる場合、この技法は、固体自由形状製造とも呼ばれる。
【0004】
固体自由形状製造は、比較的高速な生産速度でほとんど形状の物体の作成を、通常各物体に対して数時間から数日の範囲で可能にする柔軟な技法である。したがって、試作品および少量連続生産品の形成には適しているが、大量生産にはそれほど適していない。
【0005】
先行技術
積層造形法を、複数片の構造材料の堆積を含むように拡張することができ、すなわち、物体の仮想モデルの各構造層が、並んで置かれるとその層を形成する一組の部片に分割される。これにより、ワイヤを、物体の仮想積層モデルに従って各層を形成する連続したストライプで基材の上に溶接し、物理的物体全体が形成されるまで各層に対してプロセスを繰り返すことにより、金属物体を形成することができる。溶接技法の精度は、通常、許容可能な寸法で物体を直接形成することができないほど粗く、したがって、形成される物体は、通常、許容可能な寸法精度まで機械加工する必要がある未加工物体または予備成形品とみなされる。
【0006】
TamingerおよびHafleyの文献[1]は、電子ビーム自由形状製造(electron beam freeform fabrication)(EBF)と組み合わせてコンピュータ支援設計データから直接構造金属部品を製造する方法および装置を開示している。構造部品は、電子ビームによって提供される熱エネルギーによって溶接される金属溶接ワイヤの連続した層の上に溶接することによって構築される。[1]の図1の複写である図1に、プロセスを概略的に示す。EBFプロセスは、高真空環境において集束電子ビームによって生成され維持される溶融池内に金属ワイヤを供給することを含む。電子ビームおよび溶接ワイヤの位置決めは、電子ビーム銃および位置決めシステム(支持基材)が1つまたは複数の軸(X、Y、Zおよび回転)に沿って移動可能に蝶番式に取り付けられるようにし、4軸運動制御システムによって電子ビーム銃および支持基材の位置を調整することによって得られる。このプロセスは、材料の使用が略100%効率的であり電力消費が95%効果的であると主張されている。この方法を、バルク金属堆積及びより精巧な緻密な堆積の両方に採用することができ、この方法は、金属部品を機械加工する従来の手法に比較して、リードタイムの低減ならびに材料コストおよび機械加工コストの低減について著しい効果を得ると主張されている。
【0007】
電子ビーム技術には、堆積チャンバにおいて10-1Pa以下の高真空に依存するという不都合がある。これを、集束電子ビームによるスポット加熱をプラズマトランスファーアーク(plasma transferred arc)に置き換えることによって回避することができる。この場合、局所溶融池の形成が、2つの不活性電極の間にアーク放電によって生成される熱によって得られ、その熱は、集束した不活性プラズマ形成ガス流によって溶融スポット上に向けられる。このプロセスを、大気圧で容易に適用することができ、したがって、このプロセスにより、より単純かつコストのかからないプロセス機器が可能になる。この技術の例は、米国特許第7327377号明細書および米国特許出願公開第2006/185473号明細書に開示されている。この技術は、プラズマ粉体肉盛固体自由形状製造(PTA−SFFF)と表記される場合もある。
【0008】
米国特許出願公開第2006/185473号明細書は、固体自由形状製造(SFFF)プロセスで従来使用されている非常に高価なレーザの代りに、溶接トーチ等の高エネルギープラズマビームを、チタン供給原料と合金化成分とを原料のコストを大幅に低減する方法で混合することによる比較的低コストのチタン供給材料と共に、用いる方法を開示している。より詳細には、一態様では、この発明は、合金ワイヤよりコストが低い純チタンワイヤ(CP Ti)を採用し、溶接トーチまたは他の高出力エネルギービームの溶融においてCP Tiワイヤと粉末合金化成分とを結合することにより、SFFFプロセスにおいてインサイチュ(in-situ)でCP Tiワイヤを粉末合金化成分と結合する。別の実施形態では、この発明は、合金化元素と混合されワイヤに形成されるチタンスポンジ材料を採用し、そこでは、ワイヤを、SFFFプロセスにおいてプラズマ溶接トーチまたは他の高出力エネルギービームと組み合わせて使用して、ニアネットシェイプのチタン部品を生成することができる。米国特許出願公開第2006/185473号明細書によるプロセスを、図2に概略的に示す。この図2は、米国特許出願公開第2006/185473号明細書の図1の複写である。
【0009】
400℃を超えるように加熱されるチタン金属またはチタン合金は、酸素と接触すると酸化しやすい可能性がある。したがって、積層造形によって形成されている溶接されかつ加熱された物体を、周囲雰囲気中の酸素から保護する必要がある。国際公開第2009/068843号パンフレットは、保護する不活性ガスの均一な流出物を生成する、溶接のための不活性ガスシールドを開示している。保護される必要のある物体の上方にシールドを配置することにより、不活性ガスの均一な流れが、周囲の酸素含有ガスを混入させる可能性がある渦流を生成することなく、周囲雰囲気を置き換える。シールドは中空ボックスとして形成され、不活性ガスはその内部に入り、ボックスの1つの壁に形成された一組の狭い開口部を通ってボックスの内部から脱出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、チタンまたはチタン合金での物体の迅速な積層造形方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、本発明による方法の実行を可能にする堆積チャンバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、堆積チャンバから十分に酸素をなくすことにより、新たに溶接された領域を周囲雰囲気の酸素によって酸化させることを回避ために、保護手段を採用する必要がなく、それにより、溶接プロセスがより高速に進行することができるという認識に基づく。たとえば、チタンまたはチタン合金の物体の生産時、酸化を回避するために溶接ゾーンを400℃未満まで冷却する必要はない。
【0013】
したがって、第1態様では、本発明は、固体自由形状製造による溶接可能材料での物体の製造方法であって、
− 形成されるべき物体の仮想3次元モデルを作成するステップと、
− 仮想3次元モデルを一組の仮想平行層に分割し、その後、各層を一組の仮想準1次元部片に分割し、物体の仮想ベクトル化積層モデルを形成するステップと、
− 物体のベクトル化積層モデルを、支持基材、高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ、および閉鎖反応器容器内に配置されたワイヤ供給システムの位置および起動を調節することができる溶接制御システムにロードするステップと、
− 閉鎖反応器容器内部の雰囲気を、約105Paの圧力でありかつ最大50ppmの酸素を含む不活性雰囲気で置き換えるステップと、
− 制御システムに対し、溶接可能材料の一連の準1次元部片を、物体の仮想ベクトル化積層モデルの第1層に従うパターンで、支持基材上に溶接させるステップと、
− 溶接可能材料の一連の準1次元部片を、物体の仮想ベクトル化積層モデルの第2層に従うパターンで先の堆積した層の上に溶接することにより、物体の第2層を形成するステップと、
− 物体全体が形成されるまで、物体の仮想ベクトル化積層モデルの連続した各層に対して層毎に溶接プロセスを繰り返すステップと、
を含む方法に関する。
【0014】
本明細書で使用する用語「物体の仮想ベクトル化積層モデル」は、形成されるべき物体の3次元コンピュータ化表現であって、物体が一組の平行な層に分割され、各層が一組の準1次元部片に分割される、表現を意味する。本明細書で使用する用語「準1次元部片」は、ベクトル化モデルによって特定のパターンに並べて置かれた場合に、形成されるべき物体を形成する、溶接材料の縦棒に類似する部片を意味する。棒に類似する部片は、屈曲(湾曲)していてもよくまたは直線状であってもよい。仮想ベクトル化積層モデルを、仮想ベクトル化積層モデルの各仮想準1次元部片に対応する溶接ワイヤの部片を合わせて溶接することにより、物理的物体に変換し得る。
【0015】
仮想モデルは寸法の情報を含み、仮想モデルには、製造されるべき物理的物体の3次元設計に対応する3次元設計が与えられる。そして、仮想ベクトル化積層モデルを、物体の物理的構築のためのテンプレートとして適用してもよい。すなわち、仮想モデルは、固体自由形状製造機器の制御システムによって実行される構築命令に変換され、それにより、物理的物体が、連続したストライプで基材上にワイヤを溶接することにより断片的に製造されていき、各溶接ストライプは仮想ベクトル化積層モデルの部片に対応する。図1に製造プロセスの原理を示し、それは、電子ビーム自由形状製造(EBF)によって第1層の上に部片を溶接することによる金属物体の構築を示す。本発明は、仮想ベクトル化積層モデルを構築するためにコンピュータ支援設計に対してあらゆる既知のまたは考え得るソフトウェアを適用し得る。
【0016】
本発明の第1態様による方法を、固体自由形状製造に適した任意の材料を用いて採用することができる。これには、あらゆる溶接可能な金属または合金金属およびポリマー材料が含まれる。本方法は、チタンまたはチタン合金で物体を製造することに特に適している。
【0017】
不活性ガスは、材料の軟化温度を下回る温度で使用される、溶接可能な材料に対して化学的に不活性な任意のガスであり得る。不活性ガスは、有利には、反応器チャンバ内部の空気が不活性ガスと置き換わるのを容易にするために、空気より濃度が高いガスであり得る。アルゴンが適した不活性ガスの一例であるが、ヘリウム、Ar−Heの混合ガスまたは他の不活性ガスであってもよい。酸化問題すなわちチタンおよびチタン合金の酸化問題は、不活性ガスが50ppmを超える酸素を含む場合に問題となる。しかしながら、酸素レベルを、有利にはより低く、約20ppm酸素等にしてもよい。
【0018】
チタン体またはチタン合金体の従来技術によるプラズマ粉体肉盛固体自由形状製造の1つの未解決の問題は、金属が、約400℃を超える温度では周囲雰囲気中の酸素から保護される必要があるということである。これにより、溶接プロセスにおいて、形成された物体の部品の過熱を回避するために定期的な中断がもたらされることになる。溶接ゾーンにおいて50ppm未満の酸素を含む雰囲気を採用することにより、物体が約400℃を超える温度まで加熱されることが許容され得るため、このような過熱を回避するための定期的な間隔の必要が実質的に低減される。酸素が欠乏した雰囲気を採用する場合のプロセスの温度制約は、堆積した金属相の温度が金属の軟化点を下回らなければならないということのみである。本明細書で使用する用語「軟化点(softening point)」は、材料(すなわちチタンまたはチタン合金)が指定された試験条件下で軟化の程度に達する特定の温度を意味する。軟化点は、いずれの合金が採用されているかによって決まるが、通常、チタンまたはチタン合金を採用している場合、約800℃以上である。
【0019】
第2態様では、本発明は、固体自由形状製造による溶接可能材料の物体の製造のための反応器であって、
− 周囲雰囲気に対して閉鎖されている反応器チャンバ(1)と、
− 反応器チャンバの内部に配置された支持基材(3)の位置および移動を制御するアクチュエータ(2)と、
− ワイヤ供給器を備える高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ(5)の位置および移動を制御するアクチュエータ(4)と、
− 形成されるべき物体の仮想3次元ベクトル化積層モデルを読み出し、仮想モデルを使用して、アクチュエータ(2、4)の位置および移動、溶接トーチ(5)およびワイヤ供給部の動作を制御し、それにより、物理的物体が、溶接可能材料の準1次元部片の積層構造体を、形成されるべき物体の仮想3次元ベクトル化積層モデルに従って支持基材上に溶接することにより構築されるようにすることができる制御システムと、
を備え、
− 反応器チャンバの壁の隣接するすべての壁要素(6)が鈍角(90°を上回る)で接合され、
− アクチュエータ(2)が、反応器チャンバの下方から延在し、反応器チャンバ壁の開口部(7)を通って反応器チャンバ内に突出し、反応器チャンバの内部で支持基材(3)を保持し、
− 開口部(7)が、開口部(7)において反応器壁に、かつアクチュエータ(2)に気密取付けされる少なくとも1つの弾性のあるガス不透過性の膜(8)によって封止され、
− アクチュエータ(4)が、反応器チャンバの外部から延在し、反応器チャンバの壁の開口部(9)を通して反応器チャンバ内に突出し、反応器チャンバ内部で、溶接可能材料のワイヤ供給器を備えた高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ(5)を保持し、
− 開口部(9)が、開口部(9)において反応器壁に、かつアクチュエータ(4)に気密取付けされる少なくとも1つの弾性のあるガス不透過性の膜(10)によって封止され、
− 反応器に、反応器チャンバの下方部分に位置する少なくとも1つの閉鎖可能ガス入口(11)と、反応器チャンバの上方部分に位置する少なくとも1つの閉鎖可能ガス出口(12)とが備えられることを特徴とする反応器に関する。
【0020】
本明細書で使用する用語「反応器チャンバの壁」には、特に指定がない限り床および天井を含む、反応器チャンバを構成する囲まれた区画のすべての面が含まれる。本明細書で使用する用語「反応器チャンバの下方部分」は、反応器チャンバの下位(床に近い)におけるいずれかの位置を意味し、本明細書で使用する用語「反応器チャンバの上方部分」は、反応器チャンバの上位(天井に近い)いずれかの位置を意味する。
【0021】
反応器チャンバに鈍角で隣接し壁を構成する壁要素という特徴は、チャンバの下方部分にある少なくとも1つの閉鎖可能ガス入口および反応器チャンバの上方部分にある少なくとも1つの閉鎖可能ガス出口と組み合わせられ、チャンバ内部の雰囲気を不活性純アルゴンガス、ヘリウムまたはAr−Heの混合ガスに置き換え、置き換えられるべき酸素含有ガスの残りを混入させるような渦流ゾーンおよび逆流ゾーンを事実上なくす、単純かつ有効な方法をもたらす。したがって、この特徴を、反応器チャンバの不活性ガスによる有効な充填手段とみなすことができる。したがって、本明細書で使用する用語「最高位」は、重力場に対する反応器チャンバの最も高い部分を意味し、用語「最低位」は、重力場に対する反応器チャンバの最も低い部分である。
【0022】
隣接する壁要素間の鈍角の効果は、採用される角度が大きいほど増大する。しかしながら、反応器区画のサイズは、角度の増大によって増大する。したがって、実際には、チャンバの内部の鋭角を回避する必要とチャンバのサイズとの間の妥協点を見つける必要がある。したがって、鈍角は、実際には、95°と130°との間、より適切には100°と120°との間であるべきである。
【0023】
支持基材および溶接トーチ(ワイヤ供給器を含む)の位置および移動を制御するアクチュエータの主な部分を、反応器チャンバの外部に配置するという特徴は、反応器チャンバの内部の生産機器の周囲に逆流ゾーンまたは渦流形成ゾーンを形成する可能性を可能な限り低いレベルまで低減し、物体の固体自由形状製造を開始する前に反応器チャンバ内の酸素をフラッシングするプロセスを促進するためである。チャンバのフラッシングは、互いに少なくとも5mmの距離で反応器壁を通り抜ける電気ケーブル、管等を配置することによって容易になる。
【0024】
反応器チャンバにおける開口部の弾性気密封止を、弾性がありかつガス不透過性のゴムの1つまたは複数の層を採用することによって得てもよい。1つまたは複数のゴムシートを、反応器壁に取り付けられる締付枠と、開口部を通って反応器チャンバに突出するアクチュエータアームに取り付けられる締付リングとを使用することによって、取り付けてもよい。このようにして、アクチュエータアームに、反応器壁に対して比較的自由に移動する可能性が与えられるが、依然として弾性ガス不透過性ゴムによって反応器壁の開口部の気密閉鎖が得られる。
【0025】
周囲雰囲気に比較して、たとえば周囲雰囲気を約100Pa上回る等、反応器チャンバ内部でわずかに上昇した圧力を得るのに十分なアルゴンを挿入することによって、反応器チャンバの酸素に対する保護を高めてもよい。反応器チャンバに測定機器を備え、チャンバ内部の不活性雰囲気における酸素含有量、窒素含有量および他のガスの含有量のうちの1つまたは複数を監視してもよく、それにより、反応器チャンバ内の許容できない酸素、窒素等のレベルの偶発的な発生を、製造中の金属物体に対して有害なレベルに達する前にフラッシングすることができる。
【0026】
本発明の第2態様による反応器チャンバには、酸素濃度が50ppm以下のチャンバ内部の雰囲気を得るように、アルゴンまたは他の不活性雰囲気を容易に充填し得る。こうした低酸素レベルでは、形成されている物体の許容できない酸化の危険はそれほどなく、それにより、従来技術による固体自由形状製造方法に比較して、さらに高められた温度で溶接プロセスを実行し得る。物体の温度を、軟化点まで上昇させてもよい。チタンまたはチタン合金を採用する場合、金属の温度は、物体の積層造形中、800℃以上になる場合がある。このため、この特徴により、400℃未満の温度を必要とする従来技術に比較して、溶接プロセスに進む前に新たに形成されたウェブを冷却するために必要な時間が大幅に低減する。
【0027】
本発明の第2態様による反応器チャンバを使用することにより、チャンバの底部のガス入口を通して層流を与える流れ状態でアルゴンガスを安定した容易な方法で挿入することにより、チャンバの容積と同じ量の不活性ガスのみを挿入することによって、チャンバの内部の空気が完全にフラッシングされ得、かつ、依然として、不活性アルゴン雰囲気において約20ppm酸素の酸素含有量を得る可能性があることが観察される。したがって、アルゴンを充填する間に溢流を形成する必要はなく、空気を緩やかに押し出し、すべての空気が押し出されるとすぐに不活性ガスの充填を停止しチャンバの最上部の不活性ガス出口を閉鎖するだけで十分である。これにより、コストのかかる不活性ガスの使用が非常にわずかであるという利点が得られる。
【0028】
反応器チャンバはまた、閉冷却回路を有することができ、その場合、不活性ガスは、チャンバから取り出され、その温度を低下させる熱交換器を通過し、その後、閉リサイクルループにおいて反応器チャンバ内に挿入される。この特徴は、溶接トーチが高出力で作動する場合に反応器チャンバを過熱するのを回避するために有利である。溶接トーチを、5kW〜6kW以上の効力で作動させてもよく、こうした場合、1m3〜2m3の封止された反応器空間が、チャンバ内部のガス相を強制的に冷却することなく迅速に高温まで加熱される。
【0029】
本発明は、アクチュエータ、溶接トーチおよびワイヤ供給器を作動させるあらゆる既知のまたは考えられる制御システムを採用し得る。アクチュエータに、有利には、4軸運動制御系(X、Y、Xおよび回転)を備えてもよい。本発明は、プラズマ粉体肉盛固体自由形状製造(PTA−SFFF)として知られる技法によって金属物体の積層造形を行うことができる、あらゆる既知のまたは考えられる溶接トーチおよびワイヤ供給器システムを採用し得る。こうした機器の一例を図2に示し、それは、米国特許出願公開第2006/0185473号明細書の図1の複写である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】固体自由形状製造の原理の概略的な図を示す[1]の図1の複写である。
【図2】プラズマ粉体肉盛固体自由形状製造の原理の概略図を示す米国特許出願公開第2006/01854673号明細書の図1の複写である。
【図3】本発明による反応器の一実施形態の略側面図である。
【図4】本発明による反応器の底部における開口部を閉鎖する2層の可撓性気密膜を保持する締付枠の実施形態の拡大図である。
【図5a】本発明による反応器の実施形態の側面図である。
【図5b】本発明による反応器の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第2態様による本発明の進歩性のある特徴を、図3に概略的に提示する。
【0032】
この図は、一組の壁要素6によって構成された内部閉鎖区画を備えた反応器1を示す。壁要素6は、鋭角、すなわち壁が90°以下の角度で傾斜している縁がないように配置されている。反応器チャンバのすべての内壁の角度αは鈍角である(90°を上回る)。支持基材3の位置および移動を制御するアクチュエータ2は、反応器チャンバの外部に位置し、支持基材3を反応器チャンバの内部に位置させるように、開口部7を通して突出している。開口部7は、弾性気密膜8によって閉鎖されている。溶接可能材料のワイヤを供給するワイヤ供給器を備えた高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ5の位置および移動を制御するアクチュエータ4が、反応チャンバの外部に位置し、ワイヤ供給器を備えた高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ5を反応器チャンバの内部に位置させるように、開口部9を通して突出している。開口部9は、弾性気密膜10によって閉鎖されている。反応器チャンバには、反応器チャンバ内の酸素含有ガスを流し出しこのガスを不活性ガスと置き換えるために、少なくとも1つの閉鎖可能ガス入口11および少なくとも1つの閉鎖可能ガス出口12が備えられている。
【0033】
図4は、2層の弾性気密膜を保持するために採用し得る締付枠7の拡大図を示す。2枚の膜を、縁が2つの締付枠の間の空間に入るような寸法で形成することにより、反応器の壁が互いに押圧されるように締付具を反応器壁に締結することにより、膜を、反応器壁6に堅固に、かつ気密に取り付けることができる。チャンバ内に突出しているアクチュエータアーム2は、締付リング13の穴から突き出ている。リング13の寸法は、アクチュエータアームの周囲に気密グリップを形成するように調整されている。気密膜は、締付枠7と同様に締付リング13に取り付けられている。図はまた、閉鎖可能ガス入口11の配置の一例も示す。
【0034】
図5aおよび図5bは、反応器100の実施形態例の2つの異なる側面図を示す。反応器100は、閉鎖キャビネットを形成するように複数の壁要素106から構成されている。壁要素には、プロセスの視覚的観察を可能にする気密ガラス窓116か、または物体の形成前および後にチャンバ内に入るのを可能にする気密ドアを設けることができる。本実施形態には、ガス出口102、ガス入口103および熱交換器101を含む冷却ループが備えられている。図5aから、1つのアクチュエータ用の側壁開口部が配置され、弾性ゴム膜110を保持する締付枠109を使用して閉鎖されている(明確にするために膜を通って入るアクチュエータは図示していない)ことが分かる。図5bから、弾性ゴム膜108を保持する締付枠107を使用することにより、底部開口部が閉鎖されている(明確にするために、膜を通って入るアクチュエータは図示していない)ことが分かる。
【0035】
参考文献
1. Taminger, K. M. and Hafley, R. A., ’’Electron Beam Freeform Fabrication for Cost Effective Near−Net Shape Manufacturing‘‘, NATO/RTOAVT−139
Specialists’ Meeting on Cost Effective Manufacture via Net Shape Processing (Amsterdam, the Netherlands, 2006) (NATO), pp 9−25,
http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20080013538_2008013396.pdf.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体自由形状製造による溶接可能材料での物体の製造方法であって、
− 形成されるべき前記物体の仮想3次元モデルを作成するステップと、
− 前記仮想3次元モデルを一組の仮想平行層に分割し、各層を一組の仮想準1次元部片に分割し、前記物体の仮想ベクトル化積層モデルを形成するステップと、
− 前記物体の前記ベクトル化積層モデルを、支持基材、高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ、および閉鎖反応器容器内に配置されたワイヤ供給システムの位置および起動を調節することができる溶接制御システムにロードするステップと、
− 前記閉鎖反応器容器内部の雰囲気を、約105Paの圧力でありかつ最大50ppmの酸素を含む不活性雰囲気で置き換えるステップと、
− 前記制御システムに対し、前記溶接可能材料の一連の準1次元部片を、前記物体の前記仮想ベクトル化積層モデルの第1層に従うパターンで、前記支持基材上に溶接させるステップと、
− 前記溶接可能材料の一連の準1次元部片を、前記物体の前記仮想ベクトル化積層モデルの第2層に従うパターンで前記先の堆積した層の上に溶接することにより、前記物体の第2層を形成するステップと、
− 前記物体全体が形成されるまで、前記物体の前記仮想ベクトル化積層モデルの連続した各層に対して層毎に前記溶接プロセスを繰り返すステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記溶接可能材料が、溶接可能金属、溶接可能合金金属またはポリマー材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶接可能材料がチタンまたはチタン合金である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
不活性ガスが、アルゴン、ヘリウムまたはこれらの混合物のうちの1つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応器チャンバ内部の前記不活性ガスがアルゴンであり、前記アルゴンの圧力が、周囲雰囲気の圧力を約100Pa上回る、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
固体自由形状製造による溶接可能材料の物体の製造のための反応器であって、
− 周囲雰囲気に対して閉鎖されている反応器チャンバ(1)と、
− 前記反応器チャンバの内部に配置された支持基材(3)の位置および移動を制御するアクチュエータ(2)と、
− ワイヤ供給器を備える高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ(5)の位置および移動を制御するアクチュエータ(4)と、
− 形成されるべき前記物体の仮想3次元ベクトル化積層モデルを読み出し、前記仮想モデルを使用して、前記アクチュエータ(2、4)の位置および移動、前記溶接トーチ(5)および前記ワイヤ供給部の動作を制御し、それにより、物理的物体が、前記溶接可能材料の準1次元部片の積層構造体を、形成されるべき前記物体の前記仮想3次元ベクトル化積層モデルに従って前記支持基材上に溶接することにより構築されるようにすることができる制御システムと、
を具備し、
− 前記反応器チャンバの壁の隣接するすべての壁要素(6)が鈍角(90°を上回る)で接合され、
− 前記アクチュエータ(2)が、前記反応器チャンバの下方から延在し、前記反応器チャンバ壁の開口部(7)を通って前記反応器チャンバ内に突出し、前記反応器チャンバの内部で前記支持基材(3)を保持し、− 前記開口部(7)が、前記開口部(7)において前記反応器壁に、かつ前記アクチュエータ(2)に気密取付けされる少なくとも1つの弾性のあるガス不透過性の膜(8)によって封止され、
− 前記アクチュエータ(4)が、前記反応器チャンバの外部から延在し、前記反応器チャンバの壁の開口部(9)を通して前記反応器チャンバ内に突出し、前記反応器チャンバ内部で、前記溶接可能材料のワイヤ供給器を備えた前記高エネルギープラズマトランスファーアーク溶接トーチ(5)を保持し、
− 前記開口部(9)が、前記開口部(9)において前記反応器壁に、かつ前記アクチュエータ(4)に気密取付けされる少なくとも1つの弾性のあるガス不透過性の膜(10)によって封止され、
− 前記反応器に、前記反応器チャンバの下方部分に位置する少なくとも1つの閉鎖可能ガス入口(11)と、前記反応器チャンバの上方部分に位置する少なくとも1つの閉鎖可能ガス出口(12)とが備えられることを特徴とする反応器。
【請求項7】
前記開口部(7、9)が、前記反応器壁に取り付けられている締付枠(109)と、前記反応器チャンバにおける前記開口部を通って突出している前記アクチュエータアーム(2、4)に取り付けられた締付リングとを用いることによって取り付けられる、2層の気密弾性ゴム(8、10)を使用することによって閉鎖される、請求項6に記載の反応器。
【請求項8】
不活性ガスとしてアルゴンが充填され、前記ガス入口(11)に、前記アルゴンの圧力を前記周囲雰囲気の圧力を100Pa上回るように調節する手段が備えられる、請求項6または7に記載の反応器。
【請求項9】
前記反応器チャンバ内部の前記不活性雰囲気の酸素含有量を測定する手段と、
前記酸素濃度が事前設定される最大値を超えて上昇した場合に、新鮮な不活性ガスによる前記チャンバのフラッシングに関与する手段と
を備える、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
前記酸素濃度の前記事前設定される最大値が、20ppmに設定される、請求項9に記載の反応器。
【請求項11】
前記反応器チャンバ内の前記不活性ガスを冷却するために、不活性ガス出口(102)、熱交換器(101)および不活性ガス入口(103)を含む閉冷却回路を備える、請求項6〜10のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項12】
前記反応器チャンバの内壁を構成する任意の隣接する壁要素(6)間の前記鈍角が、95°と130°との間、より好ましくは100°と120°との間である、請求項6〜11のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項13】
前記溶接可能材料が、溶接可能金属、溶接可能合金金属またはポリマー材料である、請求項6〜12のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項14】
前記溶接可能材料がチタンまたはチタン合金である、請求項6〜12のいずれか一項に記載の反応器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2013−501627(P2013−501627A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524671(P2012−524671)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【国際出願番号】PCT/NO2010/000303
【国際公開番号】WO2011/019287
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512037473)
【氏名又は名称原語表記】NORSK TITANIUM COMPONENTS AS
【住所又は居所原語表記】Sommerrogaten 13−15, N−0255 Oslo, Norway
【Fターム(参考)】