説明

チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、その製造方法及びチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を含有する樹脂組成物

【課題】摩擦調整剤として利用した場合、摩擦磨耗特性に優れ、誘電材として利用した場合、機械物性及び誘電性に優れたチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、その製造方法及びそれを含有する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるチタン酸塩の表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴とするチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。


(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。)


(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、その製造方法及びチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を含有する樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チタン酸金属塩は、粒子状、繊維状および板状のものが知られている。これらの中でも、繊維状チタン酸金属塩および板状チタン酸金属塩は、これを合成樹脂に配合することにより、該樹脂に機械的強度、誘電性あるいは摩擦特性等の機能を向上させ得るため、例えば、アンテナ材料、コンデンサー材料、積層回路基板材料、コネクタ材料等の、誘電性を必要とする種々の用途やブレーキ等の摩擦材への応用が図られつつある。
【0003】
例えば、MO・TiO(式中、Mは2価金属を示す。)で表わされる組成を有するチタン酸金属塩結晶の表面の一部又は全面が非結晶質および/又は結晶質TiOで被覆されてなる複合板状チタン酸金属塩が開示されている。該複合板状チタン酸金属塩は、それ自体の強度が高く、誘電特性に優れており、誘電材として利用されている(特許文献1)。
【0004】
一方、樹脂に基材を配合した混合物を結着成形してなる摩擦材において、基材として、RTiO〔式中、Rはアルカリ土類金属〕で表されるチタン酸アルカリ土類金属の結晶粒と、MTi2n+1〔式中、Mはアルカリ金属,nは2〜6〕で表されるチタン酸アルカリ金属の結晶粒からなる複合チタン化合物粉末が配合されている摩擦材が開示されている。該チタン酸アルカリ金属の結晶粒からなる複合チタン化合物粉末は、高摩擦係数を有し、広い温度域に亘つて高摩擦係数を安定に維持する摩擦材として利用されている(特許文献2)。
【0005】
特許文献3及び4には、チタン酸塩の製造方法が開示されている。特許文献5及び6には、チタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩が開示されている。また、特許文献7には、板状チタン酸塩を酸処理して板状チタン酸塩とした後、アルカリ処理して板状8チタン酸カリウムを製造する方法が開示されている。
【0006】
特許文献8には、複合板状チタン酸金属塩の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開2001−253770号公報
【特許文献2】特開平08−337660号公報
【特許文献3】国際公開第99/11574号公報
【特許文献4】特許第3062497号公報
【特許文献5】国際公開第02/010069号公報
【特許文献6】国際公開第03/037797号公報
【特許文献7】特許第3102789号公報
【特許文献8】特開2001−253770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、摩擦調整剤として利用した場合、摩擦摩耗特性に優れ、誘電材として利用した場合、機械物性および誘電性に優れたチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、その製造方法及びチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を含有する樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面に従うチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、式(1)で表されるチタン酸塩の表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴としている。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)
【0013】
式(1)で表わされるチタン酸塩は、例えば、エピドクロサイト型チタン酸塩であり、具体的にはチタン酸リチウムカリウム及びチタン酸マグネシウムカリウムが挙げられる。
【0014】
本発明の第2の局面に従うチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、式(1)で表されるチタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩(3)の表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴としている。
【0015】
【化3】

【0016】
(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)
【0019】
チタン酸塩(3)としては、例えば、K0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.95で表されるチタン酸リチウムカリウム、またはK0.2〜0.7Mg0.4Ti1.63.7〜4で表されるチタン酸マグネシウムカリウムが挙げられる。
【0020】
本発明の第3の局面に従うチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、板状8チタン酸カリウムの表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴としている。
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)
【0023】
以下、本発明の第1の局面、第2の局面及び第3の局面に共通する事項については、「本発明」として説明する。
【0024】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩において、式(2)で表わされるチタン酸アルカリ土類金属塩としては、チタン酸カルシウムが挙げられる。
【0025】
また、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、板状物であることが好ましい。
【0026】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩において、式(1)で表されるチタン酸塩、またはチタン酸塩(3)、または板状8チタン酸カリウムと、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩とのモル比率が、99〜30:1〜70であることが好ましい。(1)で表されるチタン酸塩、またはチタン酸塩(3)のモル比率が30未満、及びチタン酸アルカリ土類金属塩のモル比率が70を超えると、形状が不定形となり板状形状を保たなくなる場合がある。
【0027】
本発明の顆粒状チタン酸塩は、上記本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を、バインダーにより成形したことを特徴としている。
【0028】
本発明の顆粒状チタン酸塩は、(a)本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩と、(b)式(1)で表されるチタン酸塩、チタン酸塩(3)、板状8チタン酸カリウム、及び複合板状チタン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(c)バインダーとを含む混合物を成形したものであってもよい。
【0029】
本発明のチタン酸アルカリ塩固着チタン酸塩の製造方法は、A源(Aを含む原材料)、M源(Mを含む原材料)、B源(Bを含む原材料)およびTi源(Tiを含む原材料)を含有する混合物を600〜1300℃で焼成することを特徴としている。
【0030】
本発明の顆粒状チタン酸塩の製造方法は、上記本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を、バインダーにより成形することを特徴としている。
【0031】
本発明の顆粒状チタン酸塩の製造方法においては、(a)本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩と、(b)式(1)で表されるチタン酸塩、チタン酸塩(3)、板状8チタン酸カリウム、及び複合板状チタン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物と、(c)バインダーとを混合し、該混合物を成形する方法であってもよい。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、上記本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または上記本発明の顆粒状チタン酸塩を3〜50重量%含有することを特徴としている。
【0033】
本発明の摩擦調整剤は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または、上記本発明の顆粒状チタン酸塩からなることを特徴としている。
【0034】
本発明の摩擦材は、上記本発明の摩擦調整剤を含有することを特徴としている。摩擦材は、3〜50重量%含有されることが好ましい。摩擦材が3重量%未満であると、摩擦特性の発現が起こりにくくなる場合があり、摩擦材が50重量%を超えると、成形性が低下する場合がある。
【0035】
本発明の誘電材は、上記本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または上記本発明の顆粒状チタン酸塩からなることを特徴としている。
【0036】
本発明の誘電材組成物は、上記本発明の誘電材を含有すること特徴としている。誘電材は、3〜60重量%含有されることが好ましい。誘電材が3重量%未満であると、誘電特性の発現が起こりにくくなる場合があり、誘電材が60重量%を超えると、成形性が低下する場合がある。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、摩擦調整剤として利用した場合、摩擦摩耗特性に優れ、誘電材として利用した場合、機械物性および誘電性に優れたチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、その製造方法及びチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を含有する樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、上記式(1)で表されるチタン酸塩と上記式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩を含有する複合チタン酸塩である。
【0039】
上記式(1)におけるAは、価数1〜3価の金属であり、好ましくは、K、Rb、及びCsから選ばれる少なくとも一種である。Mは、金属Aとは異なる価数1〜3価の金属であり、好ましくは、Li、Mg、Zn、Cu、Fe、Al、Ga、Mn、及びNiから選ばれる少なくとも一種である。
【0040】
具体的な例としては、K0.80Li0.27Ti1.73、Rb0.75Ti1.75Li0.25、Cs0.70Li0.23Ti1.77、Ce0.700.18Ti1.83、Ce0.70Mg0.35Ti1.65、K0.8Mg0.4Ti1.6、K0.8Ni0.4Ti1.6、K0.8Zn0.4Ti1.6、K0.8Cu0.4Ti1.6、K0.8Fe0.8Ti1.2、K0.8Mn0.8Ti1.2、K0.76Li0.22Mg0.05Ti1.73、K0.67Li0.2Al0.07Ti1.73等を挙げることができる。
【0041】
特にチタン酸リチウムカリウムK0.80Li0.27Ti1.73、チタン酸マグネシウムカリウムK0.8Mg0.4Ti1.6が好ましい。
【0042】
上記式(2)におけるBは、アルカリ土類金属であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raから選ばれる少なくとも一種である。好ましいのはCaである。
【0043】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩の製造方法としては、例えば、式(1)のチタン酸塩の原料(A原、M原、Ti原)に、式(2)のアルカリ土類金属塩の原料(B原、Ti原)を同時に混合し、600〜1300℃で焼成することにより得られる。
【0044】
式(1)のチタン酸塩の製造方法としては、例えば、特許文献3に開示の方法に従い、炭酸カリウムと炭酸リチウムと二酸化チタンをK/Li/Ti=3/1/6.5(モル比)で混合して摩砕し、800℃で焼成することにより、チタン酸リチウムカリウムが得られることが記載されている。
【0045】
本発明において、例えばアルカリ土類金属塩をCaO・TiOとした場合のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を合成する場合、上記チタン酸塩の原料に、アルカリ土類金属塩の原料であるチタン酸水酸化カルシウムと二酸化チタンをCa/Ti=1/1(モル比)で同時に混合し、特許文献3に開示の方法と同様の焼成をすることにより、チタン酸カルシウム固着チタン酸リチウムカリウムを得ることができる。
【0046】
また、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩の製造方法として、例えば、チタン酸塩の製造方法を開示している特許文献4の方法に従い、アルカリ金属またはアルカリ金属のハロゲン化物もしくは硫酸塩をフラックスとし、フラックス/原料の重量比が0.1〜2.0となるように混合した混合物を700〜1200℃で焼成する方法も同様に利用することができる。
【0047】
また、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、チタン酸塩として、式(1)で表されるチタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩とすることができる。
【0048】
製造方法としては、例えば、前記製造方法に従い、チタン酸塩がK0.8Li0.27Ti1.73であるチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸リチウムカリウム、または、チタン酸塩がK0.8Mg0.4Ti1.6であるチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸マグネシウムカリウムを製造した後、特許文献5および6の方法に開示された方法に従い、該化合物の水性スラリーに酸を添加して該スラリーのpHを6〜8に、好ましくは6.5〜7.5に調整した後、該スラリーから固形分を分離し、400〜700℃程度で焼成することにより得られる。
【0049】
この場合、チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩としては、例えば、チタン酸塩がK0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.95であるチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸リチウムカリウム、またはチタン酸塩がK0.2〜0.7Mg0.4Ti1.63.7〜4であるチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸マグネシウムカリウムが得られる。
【0050】
また、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、チタン酸塩として、板状8チタン酸カリウムとすることができる。
【0051】
製造方法としては、例えば、前記製造方法に従い、チタン酸塩がK0.8Li0.27Ti1.73であるチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸リチウムカリウム、または、チタン酸塩がK0.8Mg0.4Ti1.6であるチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸マグネシウムカリウムを製造した後、特許文献7に開示の方法に従い、チタン酸リチウムカリウムまたはチタン酸マグネシウムカリウムを酸処理して板状チタン酸とし、水酸化カリウムにてアルカリ処理を施した後、400〜650℃で焼成することにより得られる。
【0052】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、チタン酸塩の表面上に、チタン酸アルカリ土類金属塩が粒子状物として固着していることを特徴とする。チタン酸塩とチタン酸アルカリ土類金属塩の原料を事前混合し焼成して製造するため、チタン酸アルカリ土類金属塩はチタン酸塩の表面に溶融固着していると考えられ、実際、分級操作を施してもチタン酸塩とチタン酸アルカリ土類金属塩が別々に分取されることは無い。
【0053】
一般に、チタン酸アルカリ土類金属塩はチタン酸塩より硬いとされ、例えば、チタン酸カルシウムのモース硬度は約5.5に対し、チタン酸カリウムのモース硬度は約4である。これは、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩が、比較的硬いチタン酸アルカリ土類金属塩を、比較的柔らかいチタン酸塩表面状に固着できることを意味し、また、チタン酸塩とチタン酸アルカリ土類金属塩のモル比を99〜30:1〜70の広い範囲で制御できる。よって、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を摩擦調整材として利用する場合、フィラーの硬さを適宜制御できることを意味すると考えられる。
【0054】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩は、バインダーにより成形した顆粒状チタン酸塩とすることができる。
【0055】
また、下記の組み合わせで顆粒状チタン酸塩とすることもできる。
【0056】
(a)チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩
(b)式(1)で表されるチタン酸塩、式(1)で表されるチタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩、板状8チタン酸カリウム、複合板状チタン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物
(c)バインダー
【0057】
本発明の顆粒状チタン酸塩として使用する上記(b)は、式(1)で表されるチタン酸塩としては、例えば、K0.80Li0.27Ti1.73、Rb0.75Ti1.75Li0.25、Cs0.70Li0.23Ti1.77、Ce0.700.18Ti1.83、Ce0.70Mg0.35Ti1.65、K0.8Mg0.4Ti1.6、K0.8Ni0.4Ti1.6、K0.8Zn0.4Ti1.6、K0.8Cu0.4Ti1.6、K0.8Fe0.8Ti1.2、K0.8Mn0.8Ti1.2、K0.76Li0.22Mg0.05Ti1.73、K0.67Li0.2Al0.07Ti1.73が挙げられる。特に、チタン酸リチウムカリウムK0.80Li0.27Ti1.73、チタン酸マグネシウムカリウムK0.8Mg0.4Ti1.6、が好ましい。
【0058】
また、式(1)で表されるチタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩としては、例えば、チタン酸リチウムカリウムK0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.95、またはチタン酸マグネシウムカリウムK0.2〜0.7Mg0.4Ti1.63.7〜4が挙げられる。
【0059】
また、板状8チタン酸カリウムも挙げることができる。
【0060】
また、複合板状チタン酸塩としては、例えば、MO・TiO(式中、Mは二価金属を示す)で表される組成を有するチタン酸金属結晶の表面の一部又は全面が非結晶質および/又は結晶質TiOで覆われてなる複合板状チタン酸金属塩を挙げることができる。
二価金属としては、アルカリ土類金属が好ましく、カルシウムが更に好ましい。
【0061】
複合板状チタン酸金属塩の製造方法としては、例えば、特許文献8に開示の方法に従い板状酸化チタン化合物と金属元素Mの酸化物、水酸化物、無機酸塩、有機酸塩の群から選ばれた1種または2種以上の金属化合物とをモル比でTi>Mとなる割合に混合し、500〜1400℃で焼成することにより得られる。
【0062】
本発明の顆粒状チタン酸塩として使用するバインダーとしては特に制限されず、公知の有機系バインダー及び無機系バインダーが使用できる。
【0063】
有機系バインダーの具体例としては例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニルなどを挙げることができる。更に有機系バインダーの化学構造及び/又は重合度を変化させたものでもよい。この様なバインダーとしては、ポリビニルアルコールや酢酸ビニルポリマーなどの重合度を低下させ、その鹸化度を90%以下にした部分鹸化型のもの、セルロース系バインダーのOH基やCHOH基にアルキルハライド、アルキレンオキサイドなどを反応させて、そのエーテル化度を1〜3程度の範囲に調整したものなどを例示できる。
【0064】
また無機系バインダーの具体例としては、例えば、水ガラス、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、シランカップリング剤などの無機系バインダーなどを挙げることができる。シランカップリング剤としては例えば、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイドなどを挙げることができる。
【0065】
バインダーとしては、無機系バインダーが好ましく、アミノプロピルトリエトキシシランが更に好ましい。
【0066】
バインダーは、1種を単独で用いてもよく或いは2種以上を併用してもよい。
【0067】
本発明の顆粒状チタン酸塩の製造方法としては、チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩とバインダー、または、
(a)チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩
(b)式(1)で表されるチタン酸塩、式(1)で表されるチタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩、板状8チタン酸カリウム、複合板状チタン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物
(c)バインダー
の所定量を、水又は適当な有機溶媒に溶解又は分散することにより得られたものとを混合し、これを常法に従って造粒し、乾燥することにより行われる。混合割合は特に制限されず、得ようとする顆粒の性質、用途などに応じて適宜選択すればよいが、通常チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩等のフィラー100重量部に対してバインダーを0.01〜50重量部程度、好ましくは0.1〜5重量部程度とすればよい。また顆粒化法としても特に制限はないが、例えば、攪拌造粒法、流動層造粒法、噴射造粒法、転動造粒法などを挙げることができ、攪拌造粒法が好ましい。得ようとする顆粒の形状、寸法は特に制限されず、任意の形状、寸法とすることができる。例えば、篩を通すことにより、任意の寸法を得ることができる。
【0068】
本発明の顆粒状チタン酸塩には、バインダー以外に、界面活性剤を用いても良い。界面活性剤としては、特に制限されず公知のものを使用でき、例えば、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性などの界面活性剤を挙げることができる。
【0069】
アニオン性界面活性剤としては特に制限されず、具体的には例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステル塩などを挙げることができる。
【0070】
非イオン性界面活性剤としても特に制限されず、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールモノステアレートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、グリコールモノステアレートなどのグリコール脂肪酸エステル類、脂肪酸モノグリセリド類などを挙げることができる。
【0071】
カチオン界面活性剤としても特に制限されず、具体的には例えば、高級アミンハロゲン酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、第4級アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0072】
両性界面活性剤としては特に制限されず、具体的には例えば、式RNHR′COOH〔式中R及びR′は、同一又は異なって、基C2n+1−(n=8〜16)を示す。〕で表されるアミノ酸類などを挙げることができる。
【0073】
これらの界面活性剤はアニオン性及びノニオン性界面活性剤を好ましく使用できる。
【0074】
かかる界面活性剤の中でもアニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性のものを単独で用いてもよく、或いは2種以上を混合して用いてもよい。更に単独種(例えばアニオン性のみ)の異なる化合物を2種以上混合して用いてもよい。
【0075】
界面活性剤の使用量は特に制限されず目的とする顆粒の物性(例えば、硬さ、粒度、嵩比重、使用時の分散性など)、顆粒の用途などに応じて適宜選択すればよいが、通常全組成物中0.01〜50重量%程度、好ましくは0.1〜5重量%程度とすればよい。
【0076】
得られる顆粒状チタン酸塩は用途に応じて各種の樹脂に添加され、射出成形、押出成形、カレンダー成形、コーティング成形、プレス成形などの通常の成形方法に従って成形物とすることができる。
【0077】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩を含有する樹脂組成物で使用できる樹脂としては、特に制限されず、公知のものをいずれも使用できる。例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアセタール、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0078】
本発明で使用するポリフェニレンサルファイドとしては、式(4)で示される構成単位を主鎖に持つ重合体である。
【0079】
【化6】

【0080】
(式中、Rは、炭素数6以下のアルキル基、アルコキシル基、フェニル基、カルボキシル基もしくはその金属塩、アミノ基、ニトロ基、およびフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子から選ばれる置換基であり、aは、0〜4の整数である。)
【0081】
また、単重合体のほかに共重合体も用いることができる。例えば、その共重合体の構成単位としては、m−フェニレンサルファイド単位、o−フェニレンサルファイド単位、p、p’−ジフェニレンケトンサルファイド単位、p、p’−ジフェニレンスルホンサルファイド単位、p、p’−ビフェニレンサルファイド単位、p、p’−ジフェニレンメチレンサルファイド単位、p、p’−ジフェニレンクメニルサルファイド単位、ナチルサルファイド単位等を上げることができる。
【0082】
また、その分子構造は、線状構造、分岐構造、あるいは架橋構造のいずれでも良いが、好ましくは、リニア型および/またはセミリニア型である。
【0083】
ポリアミドとしては、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン、11−ナイロン、6,10−ナイロン等の脂肪族ナイロンや、MXD6−ナイロン等の芳香族ナイロン等を挙げることができる。
【0084】
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチレンナフタレート等を挙げることができる。
【0085】
ポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノールAポリカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート類等が挙げられる。
【0086】
ポリフェニレンエーテルとしては、式(5)で示される構成単位を主鎖に持つ重合体を挙げることができる。
【0087】
【化7】

【0088】
(式中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基、R、Rは水素原子または炭素数1〜3の低級アルキル基である。)
【0089】
また、単重合体のほかに共重合体も挙げることができる。例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル等を挙げることができる。
【0090】
ポリスチレンとしては、スチレン重合体およびスチレンを主成分とする重合体が包含され、例えば、一般用ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等を挙げることができる。
【0091】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィン類またはオリゴマー類、あるいはマレイン酸等の極性が付与された変性ポリオレフィン等を挙げることができる。
【0092】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0093】
チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩の含有量としては、目的とする物性により、適宜選択すればよいが、例えば、樹脂組成物において、チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩の含有量が3〜50重量%とすればよい。
【0094】
溶融混練方法としては特に制限は無く、ポリマー溶融状態下で機械的せん断を行うことができれば良い。具体的な混練装置としては、押出機、特に二軸押出機が好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や低分子量揮発成分除去する目的で、ベント口を設けることが好ましい。
【0095】
二軸押出機を用い、2種以上の熱可塑性ポリマーを使用する場合、予めブレンダー等で混合しておき、それを押出機の上流側のフィード口から供給し、該顆粒状チタン酸塩を下流側のフィード口から投入する方法や、配合されるすべてのポリマーと該顆粒状チタン酸塩をあらかじめブレンダー等で混合しておき、フィード口から供給するなどの方法が考えられるが、特に制限は無い。押出機のスクリューアレンジにも特に制限は無いが、ポリマー同士が十分に分散し、相溶性を向上させやすくするために、ニーディングゾーンを設けることが好ましい。
【0096】
本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩は、摩擦調整剤として利用できる。
【0097】
また、本発明は、チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩を摩擦調整剤とする摩擦材も提供する。本発明の摩擦材は、結合材および摩擦調整剤を必須成分とする。
【0098】
結合材としては摩擦材分野において常用されるものをいずれも使用でき、例えば、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂、天然ゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、ハイスチレンゴム、スチレンプロピレンジエン共重合体等のエラストマー、ポリアミド樹脂、ポリフェニレルサルファイド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性液晶ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂等の有機質結合材、アルミナゾル、シリカゾル、シリコーン樹脂等の無機質結合材等を挙げることが出来る。結合材は、1種を単独で使用でき、場合によっては2種以上の相溶性のあるもの同士を併用してもよい。
【0099】
摩擦調整剤としては、上記本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩を使用する。
【0100】
本発明の摩擦材は、繊維状物を含んでいてもよい。繊維状物としては従来からこの分野で常用されているものをいずれも使用でき、例えば、アラミド繊維等の樹脂繊維、スチール繊維、黄銅繊維等の金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、木質パルプ等を挙げることができる。これらの繊維状物は1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。また、これらの繊維状物には、分散性、結合材との密着性向上等のために、アミノシラン系、エポキシシラン系、ビニルシラン系等のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、リン酸エステル等で表面処理を施してもよい。
【0101】
また、本発明の摩擦材は、その好ましい特性を損なわない範囲で、従来からこの分野で常用されている摩擦調整剤を含んでいてもよい。該摩擦調整剤としては、例えば、加硫または未加硫の天然または合成ゴム粉末、カシュー樹脂粉末、レジンダスト、ゴムダスト等の有機物粉末、カーボンブラック、黒鉛粉末、二硫化モリブデン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、タルク、ケイソウ土、アンチゴライト、セピオライト、モンモリロナイト、ゼオライト、三チタン酸ナトリウム、六チタン酸ナトリウム、六チタン酸カリウム、八チタン酸カリウム等の無機質粉末、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄等の金属粉末、アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化チタン、酸化鉄等の酸化物粉末等を挙げることができる。これら従来の摩擦調整剤は、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて2種以上を用いてもよい。
【0102】
さらに、本発明の摩擦材は、防錆剤、潤滑剤、研削剤等の1種または2種以上を含んでいてもよい。
【0103】
本発明の摩擦材における各成分の配合割合は、使用する結合材の種類、必要に応じて配合する繊維状物、従来の摩擦調整剤、その他の添加剤等の種類、得ようとする摩擦材に求める摺動特性や機械的特性、その用途等の種々の条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常、摩擦材全量に対し、結合材を5〜60重量%(好ましくは10〜40重量%)、摩擦調整剤(従来の摩擦調整剤も含む)を1〜80重量%(好ましくは3〜50重量%)、繊維状物を60重量%まで(好ましくは1〜40重量%)、その他の添加剤を60重量%まで(好ましくは5〜50重量%)とすればよい。
【0104】
本発明の摩擦材の中でも、結合材及び摩擦調整剤と共に、繊維状物を必須成分とするものが好ましい。
【0105】
本発明の摩擦材は、公知の摩擦材の製造方法に従って製造できる。例えば、必要に応じて結合材中に繊維状物を分散させた後、摩擦調整剤及び任意に配合されるその他の成分を混合してまたは別々に加えて混合し、得られる混合物を金型中に注入し、加圧加熱して結着成形すればよい。
【0106】
また、結合材を二軸押出機にて溶融混練し、サイドホッパーから摩擦調整剤、任意に配合される繊維状物、その他の成分を混合してまたは別々に加え、押出成形後、所望の形状に機械加工してもよい。
【0107】
さらには、必要に応じて結合材中に繊維状物を分散させ、引き続き摩擦調整剤及び任意に配合されるその他の成分を加えて得られる混合物を水等に分散させ、抄き網上に抄き上げ、脱水してシート状に抄造した後、プレス機にて加圧加熱して結着成形し、得られる成形体を適宜切削、研磨加工等を施して所望の形状にすることもできる。
【0108】
また、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩は、誘電材としても利用できる。本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩及び顆粒状チタン酸塩は、チタン酸アルカリ土類金属塩を含んでおり、このチタン酸アルカリ土類金属塩により誘電性を発現することができる。
【0109】
本発明の誘電材組成物は、上記本発明の誘電材、すなわち本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または顆粒状チタン酸塩を含有することを特徴としている。
【0110】
本発明の誘電材組成物は、本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または顆粒状チタン酸塩を樹脂に含有させた樹脂組成物として形成することができる。樹脂組成物としては、上述の本発明のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または顆粒状チタン酸塩を含有する樹脂組成物を挙げることができる。
【0111】
樹脂組成物に使用できる樹脂としては、特に制限されず、公知のものをいずれも使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブタジエン、塩素化ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン等)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアセタール、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルサルフォン、ポリサルフォン、液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルニトリル、熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0112】
チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩の含有量としては、目的とする物性により、適宜選択すればよいが、例えば、樹脂組成物において、チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、または顆粒状チタン酸塩の含有量が3〜60重量%とすればよい。
【0113】
溶融混練方法としては特に制限は無く、ポリマー溶融状態下で機械的せん断を行うことができれば良い。具体的な混練装置としては、押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、2本ロール等挙げられるが、特に二軸押出機が好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や低分子量揮発成分除去する目的で、ベント口を設けることが好ましい。
【0114】
二軸押出機を用い、2種以上の熱可塑性ポリマーを使用する場合、予めブレンダー等で混合しておき、それを押出機の上流側のフィード口から供給し、該顆粒状チタン酸塩を下流側のフィード口から投入する方法や、配合されるすべてのポリマーと該チタン酸塩をあらかじめブレンダー等で混合しておき、フィード口から供給するなどの方法が考えられるが、特に制限は無い。押出機のスクリューアレンジにも特に制限は無いが、ポリマー同士が十分に分散し、相溶性を向上させやすくするために、ニーディングゾーンを設けることが好ましい。
【0115】
以上により得られた樹脂組成物は射出成形、押出成形、カレンダー成形、コーティング成形、プレス成形などの通常の成形方法に従って成形物とすることができる。この様にして得られる成形物は 例えば、携帯電話、ITS、GPS、無線LAN等のアンテナ材料、積層回路基板、射出成形基板、高周波基板、各種コネクター、高速コネクタ等の用途に使用できる。
【実施例】
【0116】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0117】
(実施例1)
酸化チタン62.84g、炭酸カリウム27.93g、炭酸リチウム4.44g、水酸化カルシウム4.30gを混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて980℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0118】
得られた結晶はメジアン径14μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸リチウムカリウム(KLiTi2−0.5x:ICDDカード25−1353と一致)とチタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが10.9wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸リチウムカリウム0.494mol、チタン酸カルシウム0.080molで、mol比率としては0.494:0.080=86.1:13.9となった。
【0119】
(実施例2)
酸化チタン61.71g、炭酸カリウム25.11g、炭酸リチウム3.99g、水酸化カルシウム8.69gを混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて980℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0120】
得られた結晶はメジアン径11μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸リチウムカリウム(KLiTi2−0.5x:ICDDカード25−1353と一致)とチタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが22.2wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸リチウムカリウム0.432mol、チタン酸カルシウム0.163molで、mol比率としては0.432:0.163=72.2:27.8となった。またこの結晶の誘電物性を測定したところ、εr=5.70、tanδ=8.70×10−3であった(樹脂複合体(フィラー50重量%)での空洞共振器法(3GHz))。
【0121】
(実施例3)
実施例2で得られた化合物100gを400ccの水に溶かす。このスラリーに硫酸を添加してスラリーpHを6.8に調整する。2時間熟成後、濾過洗浄を行い、固形分を分離し、600℃程度で焼成することにより、組成が変化した(K0.80Li0.27Ti1.73 → K0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.95)チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸リチウムカリウムを得た。
【0122】
(実施例4)
酸化チタン60.55g、炭酸カリウム22.23g、炭酸リチウム3.53g、水酸化カルシウム13.19gを混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて980℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0123】
得られた結晶はメジアン径9μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸リチウムカリウム(KLiTi2−0.5x:ICDDカード25−1353と一致)とチタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが33.9wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸リチウムカリウム化合物0.367mol、チタン酸カルシウム0.249molで、mol比率としては0.367:0.249=60.0:40.0となった。
【0124】
(実施例5)
酸化チタン59.38g、炭酸カリウム19.27g、炭酸リチウム3.06g、水酸化カルシウム17.79gを混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて980℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0125】
得られた結晶はメジアン径12μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸リチウムカリウム(KLiTi2−0.5x:ICDDカード25−1353と一致)とチタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが40.8wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸リチウムカリウム化合物0.329mol、チタン酸カルシウム0.300molで、mol比率としては0.329:0.300=52.3:47.7となった。
【0126】
(実施例6)
酸化チタン58.16g、炭酸カリウム16.25g、炭酸リチウム2.58g、水酸化カルシウム22.50gを混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて980℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0127】
得られた結晶はメジアン径7μm(レーザー回折)で、淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸リチウムカリウム(KLiTi2−0.5x:ICDDカード25−1353と一致)とチタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが51.3wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸リチウムカリウム化合物0.271mol、チタン酸カルシウム0.377molで、mol比率としては0.271:0.377=41.1:58.8となった。
【0128】
(実施例7)
酸化チタン58.31g、炭酸カリウム26.83g、水酸化マグネシウム10.07g、水酸化カルシウム4.30gを混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて1080℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0129】
得られた結晶はメジアン径6μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸マグネシウムカリウム(K0.8Mg0.4Ti1.6)、チタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが11.9wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸マグネシウムカリウム化合物0.488mol、チタン酸カルシウム0.087molで、mol比率としては0.488:0.087=84.8:15.2となった。
【0130】
(実施例8)
酸化チタン57.64g、炭酸カリウム24.12g、水酸化マグネシウム9.06g、水酸化カルシウム8.69gを15分間混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて1080℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0131】
得られた結晶はメジアン径5μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸マグネシウムカリウム(K0.8Mg0.4Ti1.6)、チタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが22.8wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸マグネシウムカリウム化合物0.428mol、チタン酸カルシウム0.168molで、mol比率としては0.428:0.168=71.4:28.6となった。またこの結晶の誘電物性を測定したところ、εr=5.36、tanδ=3.58×10−3であった(樹脂複合体(フィラー50重量%)での空洞共振器法(3GHz))。
【0132】
(実施例9)
実施例8で得られた化合物100gを400ccの水に溶かす。このスラリーに硫酸を添加してスラリーpHを6.8に調整する。2時間熟成後、濾過洗浄を行い、固形分を分離し600℃程度で焼成することにより、組成が変化した(K0.8Mg0.4Ti1.6→ K0.5〜0.7Mg0.4Ti1.63.7〜4.0)チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸マグネシウムカリウムを得た。
【0133】
(実施例10)
酸化チタン56.95g、炭酸カリウム21.36g、水酸化マグネシウム8.01g、水酸化カルシウム13.18gを15分間混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて1080℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。
【0134】
得られた結晶はメジアン径4μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸マグネシウムカリウム(K0.8Mg0.4Ti1.6)、チタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが35.2wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸マグネシウムカリウム化合物0.361mol、チタン酸カルシウム0.254molで、mol比率としては0.361:0.254=58.3:41.7となった。
【0135】
(実施例11)
酸化チタン56.25g、炭酸カリウム18.52g、水酸化マグネシウム6.95g、水酸化カルシウム17.79gを15分間混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて1120℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。得られた結晶はメジアン径7μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸マグネシウムカリウム(K0.8Mg0.4Ti1.6)、チタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが46.1wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸カリウム化合物0.297mol、チタン酸カルシウム0.339molで、mol比率としては0.297:0.339=46.8:53.2となった。
【0136】
(実施例12)
酸化チタン55.53g、炭酸カリウム15.62g、水酸化マグネシウム5.86g、水酸化カルシウム22.50g、ステアリン酸0.50gを振動ミルで15分間混合する。得られた混合品をアルミナるつぼに入れて、電気炉中にて1120℃で4時間焼成した後、除冷し焼成物を得た。この焼成物を粗粉砕して水解洗を行った。水溶液はスラリー濃度5%に調整した。2時間解洗後、スラリーを150メッシュの篩を通し、通過したスラリーを濾別後、得られた結晶を110℃×2時間乾燥した。得られた結晶はメジアン径8μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートはチタン酸マグネシウムカリウム(K0.8Mg0.4Ti1.6)、チタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが55.0wt%含まれていた。Mol換算するとチタン酸カリウム化合物0.248mol、チタン酸カルシウム0.405molで、mol比率としては0.248:0.405=37.8:62.2となった。また、この結晶をポリエチレン樹脂に50重量%となるように含有させ、誘電材組成物を調製し、その誘電物性を測定したところ、εr=5.78、tanδ=3.28×10−3であった(空洞共振器法(3GHz))。
【0137】
(実施例13)
実施例2で得られた化合物100gを400ccの水に溶かす。このスラリーに硫酸を添加してスラリーpHを1.6に調整する。2時間熟成後、濾過洗浄を行い、得られたウェット結晶を再び、水溶液化する(スラリー濃度20%)。このスラリーに苛性カリ水溶液を添加して、pHを9.6に調整する。4時間熟成後、濾過、乾燥、焼成(600℃×1時間)を行い、得られた結晶はメジアン径7μm(レーザー回折)で、板状淡桃色粉末を有しており、X線回折チャートは八チタン酸カリウム(KTi17)とチタン酸カルシウム(Perovskite:CaTiO)との複合物であり、組成分析からはチタン酸カルシウムが21.1wt%含まれていた。Mol換算すると八チタン酸カリウム0.865mol、チタン酸カルシウム0.155molで、mol比率としては0.865:0.155=84.8:15.2となった。
【0138】
(実施例14)顆粒状チタン酸塩の合成
実施例8で得られた化合物300gをミキサーに投入して、1分攪拌(アジテーター200rpm、チョッパー400rpm)後、バインダー45g(アミノプロピルトリエトキシシラン9g、水36gの混合液)を2分かけて少しずつ添加した。添加終了後さらに5分攪拌して、排出後110℃で5h静置乾燥を行った。乾燥後850μmの篩を通過したものを製品とした。製品収率は77%、乾式法による篩分布状態(振動条件:振幅1mm 時間2min)は、850〜250μm 37.5%、250〜150μm 14.5%、150〜75μm 22%、75μm以下26%であった。
【0139】
〔気流式分級処理による評価〕
得られた結晶が複合物か混合物かを確かめるため、実施例2、実施例8、及び実施例13で得られた結晶をそれぞれ気流式分級処理を行ったところ、いずれの場合もチタン酸カリウム化合物とチタン酸カルシウムとに分離はされておらず、これらの結晶が複合物であることが確認された。
【0140】
比較として、チタン酸リチウムカリウムとチタン酸カルシウムを混合したものを、上記と同様にして気流式分級処理を行うと、チタン酸リチウムカリウムとチタン酸カルシウムがきれいに分離された。
【0141】
〔SEM観察及び元素マッピング〕
実施例2、実施例8、及び実施例12で得られた結晶について、走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行った。図1は、実施例2の結晶を示しており、(a)は2000倍の倍率、(b)は5000倍の倍率である。図2は、実施例8の結晶を示しており、(a)は2000倍の倍率であり、(b)は5000倍の倍率である。図3は、実施例12の結晶を示しており、(a)は2000倍の倍率であり、(b)は5000倍の倍率である。
【0142】
また、実施例2及び実施例8の結晶について、元素のマッピング分析を行った。図4は実施例2の結晶の元素マッピングを示しており、図5は実施例8の結晶の元素マッピングを示している。図4及び図5において、<SEM Image>は、SEM写真であり、<K>はカリウム、<Ti>はチタン、<O>は酸素、<Ca>はカルシウムのマッピングをそれぞれ示している。
【0143】
上記のSEM写真及び元素マッピング写真から明らかなように、チタン酸リチウムカリウム、またはチタン酸マグネシウムカリウムの上に、チタン酸カルシウムが付着している。
【0144】
〔摩擦材の作製〕
表1の組成となるように、フェノール樹脂、アラミドパルプ、硫酸バリウム、無機繊維、黒鉛、及び銅、並びに(1)〜(10)のフィラー(摩擦調整剤)を用いて、No.1〜10の摩擦材パッドを作製した。
【0145】
摩擦材パッドは、各種原料をレーディゲミキサーにて混合後、混合品を仮成型(25MPa)、熱成型(150℃、20MPa)を行い、さらに熱処理(160〜210℃)を行うことにより作製した。
【0146】
【表1】

【0147】
〔摩擦材パッドの評価〕
上記のようにして得られた摩擦材パッドNo.1〜10について、以下のようにして評価した。評価はJASO試験テストコードC−406の方法に基づいて行った。
【0148】
【表2】

【0149】
表2に示す結果から明らかなように、実施例であるNo.1〜No.6は、比較例のNo.7〜No.8に比べ、摩擦係数(μ)特性が向上している。No.1〜No.6は、パッド磨耗量で示す磨耗特性においては、No.7〜No.8より若干劣っているが、チタン酸塩とチタン酸アルカリ土類金属塩を単純にブレンドしたNo.10及びNo.11よりも向上している。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明に従う実施例2のSEM写真を示す図。
【図2】本発明に従う実施例7のSEM写真を示す図。
【図3】本発明に従う実施例11のSEM写真を示す図。
【図4】本発明に従う実施例2における元素マッピング写真を示す図。
【図5】本発明に従う実施例7における元素マッピング写真を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるチタン酸塩の表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴とするチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【化1】

(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。)
【化2】

(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)
【請求項2】
式(1)で表されるチタン酸塩が、レピドクロサイト型チタン酸塩である請求項1に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【請求項3】
式(1)で表されるチタン酸塩が、チタン酸リチウムカリウム、またはチタン酸マグネシウムカリウムである請求項2に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【請求項4】
式(1)で表されるチタン酸塩を酸処理後焼成して得られるチタン酸塩(3)の表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴とするチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【化3】

(式中A及びMは互いに異なる1〜3価の金属、□はTiの欠陥部位を示す。xは0<x<1.0を満たす正の実数であり、y及びzはそれぞれ0<y+z<1.0を満たす0または正の実数である。)
【化4】

(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)
【請求項5】
チタン酸塩(3)が、K0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.95で表されるチタン酸リチウムカリウム、またはK0.2〜0.7Mg0.4Ti1.63.7〜4で表されるチタン酸マグネシウムカリウムであることを特徴とする請求項4に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【請求項6】
板状8チタン酸カリウムの表面上に、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が固着していることを特徴とするチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【化5】

(式中、Bは1種あるいは2種類以上のアルカリ土類金属を示す。)
【請求項7】
式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩が、チタン酸カルシウムである請求項1〜6のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【請求項8】
チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩が、板状物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【請求項9】
式(1)で表されるチタン酸塩、またはチタン酸塩(3)、または板状8チタン酸カリウムと、式(2)で表されるチタン酸アルカリ土類金属塩とのモル比率が、99〜30:1〜70である請求項1〜8のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を、バインダーにより成形したことを特徴とする顆粒状チタン酸塩。
【請求項11】
(a)請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩と、
(b)式(1)で表されるチタン酸塩、チタン酸塩(3)、板状8チタン酸カリウム、及び複合板状チタン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
(c)バインダーとを含む混合物を成形したことを特徴とする顆粒状チタン酸塩。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を製造する方法であって、
A源、M源、B源およびTi源を含有する混合物を、600〜1300℃で焼成することを特徴とするチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を、バインダーにより成形することを特徴とする顆粒状チタン酸塩の製造方法。
【請求項14】
(a)請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩と、
(b)式(1)で表されるチタン酸塩、チタン酸塩(3)、板状8チタン酸カリウム、及び複合板状チタン酸金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
(c)バインダーとを混合し、
該混合物を成形することを特徴とする顆粒状チタン酸塩の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または請求項10もしくは11に記載の顆粒状チタン酸塩を3〜50重量%含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または請求項10もしくは11の顆粒状チタン酸塩からなる摩擦調整剤。
【請求項17】
請求項16に記載の摩擦調整剤を含有することを特徴とする摩擦材。
【請求項18】
摩擦調整剤が、3〜50重量%含有されている請求項16に記載の摩擦材。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩または請求項10もしくは11に記載の顆粒状チタン酸塩からなることを特徴とする誘電材。
【請求項20】
請求項19に記載の誘電材を含有することを特徴とする誘電材組成物。
【請求項21】
誘電材が、3〜50重量%含有されることを特徴とする請求項20に記載の誘電材組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−214124(P2008−214124A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53079(P2007−53079)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】