説明

チップカード

【課題】チップカードを容易かつ確実につまみ上げる。
【解決手段】UIMカード10において、互いに平行な二辺の側面が傾斜面20A、20Bとされることで、UIMカード10が床やデスク等の表面100上にあるときに、いずれか一方の鋭角部30A、30Bを表面100から上方に離間して位置させる。これにより、指F1、F2でUIMカード10を容易に引き起こしてつまみ上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の通信端末に使用されているUIMカード(User Identity Module Card)等のチップカードに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の通信端末においては、電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたUIMカードまたはUSIMカード(Universal Subscriber Identity Module Card)が用いられている(このカードはSIMカードと呼ばれることもあるが、これらのカードを、以後「UIMカード」に統一して記載する。)。
このUIMカードはICカードである。UIMカードを携帯電話機等の通信端末にセットすることで、UIMカードに記録された固有のID番号が、その通信端末に関連づけられ、通信を行うことが可能となる。
【0003】
また、特許文献1には、札入れサイズカード基板に設けられた開口部に、ミニサイズUIMカードがはめ込み可能な構成が開示されている。
【0004】
このようなUIMカードは、通常時においては、通信端末や札入れサイズカード基板等にセットされたままであるが、例えば通信端末の場合、通信端末を買い替えるに際して使用中の通信端末からUIMカードを取り外し、取り外したUIMカードを新たに使用する通信端末等にセットする。これにより、UIMカードに記録された情報を、新たな通信端末でも継続して用いることができる。
このようなUIMカードの使用形態は、札入れサイズカード基板においても同様とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−267314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信端末の小型化に伴い、用いられるUIMカードは、例えば、幅15mm×奥行き12mm×厚み0.76mmと非常に小型・薄型なものとなっている。このため、UIMカードをデスク等の上に置くと、これを指先でつまみ上げるのが困難となっている。
このため、UIMカードの装着作業に手間がかかるとともに、UIMカードをつまみ上げるのに失敗した結果、UIMカードを落としてしまい、UIMカードを容易に拾い上げることができないといった不便も生じることがある。
このような問題はUIMカードに限らず、カード状の小型記録媒体等、各種のチップカードにも共通する。
そこでなされた本発明の目的は、容易かつ確実につまみ上げることのできるチップカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明のチップカードは、矩形状をなしたカード本体と、カード本体において互いに対向する二辺に沿って形成された突条と、を備え、突条は、カード本体を平面上に置いたときに、少なくとも一方の辺に形成された突条が平面から上方に離間して位置するよう形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、平面上に置かれたカード本体をユーザが指でつまみ上げるときに、平面から上方に離間して位置する突条が指に引っ掛かることで、突条が形成された側からカード本体を引き上げることができる。したがって、カード本体が小型・薄型な場合であっても、これを容易かつ確実につまみ上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本実施形態にかかるUIMカードを表面側から見た斜視図、(b)はUIMカードを裏面側から見た斜視図である。
【図2】(a)はUIMカードの裏面側を下にして置いたときの断面図、(b)はUIMカードの表面側を下にして置いたときの断面図である。
【図3】UIMカードを指でつまみ上げるときの動作の流れを示す断面図である。
【図4】UIMカードの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明によるチップカードを実施するための最良の形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0011】
図1に示すように、UIMカード(チップカード、カード本体)10は、携帯電話機に用いられるもので、全体として長方形をなし、均一な厚さを有したICカードである。
UIMカード10の一方の表面10aには、携帯電話機側のコネクタ端子に電気的に接続されるカード端子部12が形成されている。
UIMカード10の長辺10cと短辺10dとが隣接する4つの角部のうち、一つの角部には、長辺10cと短辺10dのそれぞれに対して斜めに傾斜した切り欠き部13が形成されている。
【0012】
このようなUIMカード10において、互いに対向する長辺10c、10cに沿った側面が、UIMカード10の表面10aに直交する面に対して、予め定められた角度に傾斜した傾斜面20A、20Bとされている。
ここで、一方の傾斜面20Aと他方の傾斜面20Bは、互いに平行となるよう形成されている。これにより、UIMカード10の表面10aと一方の傾斜面20Aとの交差部が、角度θ1の鋭角部(突条)30Aとされ、UIMカード10の裏面10bと他方の傾斜面20Bとの交差部が角度θ2の鋭角部(突条)30Bとされ、θ1=θ2とされる。このようなUIMカード10の断面形状は、平行四辺形状となる。
【0013】
図2に示すように、UIMカード10は、床やデスク等の表面100上に置いた場合、表面10aまたは裏面10bが表面100に対向する。
例えば図2(a)の例では、裏面10bが表面100に対向し、表面10aが上方を向いた状態となる。この状態で、UIMカード10の一方の鋭角部30Aが表面100から上方に離間して位置し、他方の鋭角部30Bが表面100に接して位置する。
また、反対に、図2(b)に示すように、UIMカード10の表面10aが床やデスク等の表面100に対向し、裏面10bが上方を向いた状態では、鋭角部30Bが表面100から上方に離間して位置し、鋭角部30Aが表面100に近接して位置する。
【0014】
図3(a)に示すように、ユーザが二本の指F1、F2でUIMカード10を床やデスク等の表面100上からつまみ上げようとした場合、例えば図3(a)の例では、一方の指F1は、表面100から上方に離間した鋭角部30Aに当たり、他方の指F2は、傾斜面20Bに当たる。指F1、F2でUIMカード10を挟み込むようにすると、指F1によって鋭角部30Aがひっかけられ、図3(b)に示すように、UIMカード10の傾斜面20A側を引き上げることができる。このとき、指F2が傾斜面20Bに当たったままの状態とされることで、UIMカード10が傾斜面20B側にスライドしてズレるのを防ぐことができる。
傾斜面20A側が引き上げられることで、ユーザは、指F1、F2でUIMカード10を引き起こし、これをつまみ上げることができる。
【0015】
UIMカード10が反対向きに、表面10aを床やデスク等の表面100に対向させた状態となっているときにも、上記と同様にして指F1で鋭角部30Bを引っかけてUIMカード10をつまみ上げることができる。
【0016】
上述したようにして、UIMカード10においては、互いに平行な二辺の側面が傾斜面20A、20Bとされることで、UIMカード10が床やデスク等の表面100上にあるときに、いずれか一方の鋭角部30A、30Bが表面100から上方に離間して位置することになる。これにより、指F1、F2でUIMカード10を引き起こしてつまみ上げることができる。したがって、UIMカード10が小型・薄型である場合にも、UIMカード10を容易につまみ上げることが可能となり、UIMカード10の取り扱い性が向上する。
【0017】
また、傾斜面20A、20Bを互いに平行にすることで、UIMカード10が、表面10a、裏面10bのいずれを上に下状態であっても、鋭角部30A、30Bのいずれか一方が、必ず表面100から上方に離間して位置することになる。これにより、いかなるときにも、UIMカード10を確実につまみ上げることができる。また、傾斜面20A、20Bのいずれか一方の鋭角部30A、30Bに指F1が引っ掛かったときには、他方の傾斜面20B、20Aに指F2を押し当て、UIMカード10が横にずれるのを防止でき、これによって、UIMカード10の取り扱いをより確実に行うことができる。
【0018】
(その他の実施形態)
なお、本発明のチップカードは、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態において、長辺10c、10cに傾斜面20A、20Bを形成したが、短辺10d、10dにこれを形成しても良い。
【0019】
また、傾斜面20A、20Bに代えて、図4に示すように、UIMカード10の互いに平行な二辺に沿って、側面50A、50Bから側方に突出する突条40A、40Bを形成しても良い。この場合、UIMカード10において、突条40A、40Bが形成された側面50A、50Bは、表面10a、裏面10bに直交するよう形成しても良い。
この場合も、UIMカード10を床やデスク等の表面100上に置いたときに、突条40A、40Bの少なくとも一方が、表面100から上方に離間するよう形成する。したがって、突条40A、40Bは、UIMカード10の側面50A、50Bにおいて、表面10a、裏面10bから、幅方向(UIMカード10の厚さ方向)の中央寄りに形成する。さらに言えば、突条40A、40Bは、側面50A、50Bの幅方向中央に形成しても良いし、幅方向の一方の側にオフセットさせても良い。
このような突条40A、40Bを形成した場合にも、上記実施形態と同様、UIMカードカード10を容易につまみ上げることができる。
なおここで、突条40A、40Bの断面形状は、矩形状とすることもできるし、半円状、三角形状等、いかなる形状としても良い。
【0020】
加えて、本発明は、UIMカード10のように携帯電話機に装着されるICカードに限らず、他のICカードでもよいし、さらにはICカード以外のmicroSDカード等の小型の記録メディア等であっても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0021】
10 UIMカード(チップカード、カード本体)
10a 表面
10b 裏面
10c 長辺
10d 短辺
12 カード端子部
13 切り欠き部
20A、20B 傾斜面
30A、30B 鋭角部(突条)
40A、40B 突条
50A、50B 側面
100 表面
F1、F2 指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状をなしたカード本体と、
前記カード本体において互いに対向する二辺に沿って形成された突条と、を備え、
前記突条は、前記カード本体を平面上に置いたときに、少なくとも一方の辺に形成された前記突条が前記平面から上方に離間して位置するよう形成されていることを特徴とするチップカード。
【請求項2】
前記平面上に置かれた前記カード本体をユーザが指でつまみ上げるときに、前記平面から上方に離間して位置する前記突条が前記指に引っ掛かることで、前記カード本体が、前記突条が形成された側から引き上げられることを特徴とする請求項1に記載のチップカード。
【請求項3】
前記カード本体において互いに対向する前記二辺に沿った側面が、前記カード本体の表面に対して定められた角度で交差する傾斜面とされ、
前記カード本体の表面と前記傾斜面との交差部に形成された鋭角部が前記突条とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のチップカード。
【請求項4】
前記カード本体において互いに対向する前記二辺に沿って形成された二つの前記傾斜面が、互いに平行に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のチップカード。
【請求項5】
前記カード本体において互いに対向する前記二辺に沿った側面に、当該側面から側方に突出する前記突条が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のチップカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−146232(P2012−146232A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5591(P2011−5591)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】