説明

チップレット及びハイブリッドドライブを備えるディスプレイデバイス

基板を含むハイブリッドドライブを有するディスプレイデバイスであって、2次元ピクセルアレイが基板上に形成され、ピクセルは複数のピクセルグループに関連付けられる。別々の1組のグループ行電極及びグループ列電極がピクセルグループ内のピクセルに接続され、それにより、単一のグループ行電極が、単一のグループ列電極と共に、単一のピクセルを駆動する。基板上の各ピクセルアレイ内に2つ以上のチップレットが配置され、各チップレットは1つのピクセルグループに関連付けられ、関連するグループ行電極及び関連するグループ列電極それぞれへの接続を有し、かつ記憶素子を有し、記憶素子はピクセルのための所望の輝度を表す値を格納し、チップレットはそのような値を用いて、その関連するピクセルグループ内の各ピクセルの所望のルミナンスを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の連続基板を有するディスプレイデバイスであって、該基板上に形成されたディスプレイピクセルグループのアレイにハイブリッドドライブ機構を提供する分散配置された独立制御素子を有するディスプレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイデバイスは、コンピューティングデバイスと共に、そしてポータブルデバイスにおいて、さらにはテレビのような娯楽デバイス用に広く用いられている。そのようなディスプレイは通常、基板上に分散配置される複数のピクセルを用いて画像を表示する。各ピクセルは、各画素を表すために、通常赤色光、緑色光、及び青色光を放射する、一般的にサブピクセルと呼ばれるいくつかの異なる色の発光素子を組み込んでいる。ピクセルは、本明細書で用いられるとき、単一の発光素子又はさまざまな色の発光素子のグループを指す。種々のフラットパネルディスプレイ技術、たとえば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、及び発光ダイオードディスプレイが知られている。
【0003】
発光素子を形成する発光材料の薄膜を組み込んだ発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイデバイスにおいて数多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。Tang他に対して2002年5月7日に発行された特許文献1は、有機LED(OLED)発光素子のアレイを含む有機LEDカラーディスプレイを示している。代替的には、無機材料を用いることができ、無機材料は多結晶半導体マトリックス内に燐光性結晶又は量子ドットを含むことができる。有機材料又は無機材料の他の薄膜を用いて、発光薄膜材料への電荷の注入、輸送、又は遮断を制御することもでき、そのような薄膜が当該技術分野において知られている。それらの材料は基板上において電極間に配置され、封入カバー層又はプレートを備える。発光材料に電流が通電するときに、ピクセルから光が放射される。放射される光の周波数は、用いられる材料の特性に依存する。そのようなディスプレイでは、基板を通じて(ボトムエミッター)、又は封入カバーを通じて(トップエミッター)、又はその両方を通じて光を放射することができる。
【0004】
LEDデバイスは、パターニングされた発光層を備えることができ、材料に電流が通電するときに異なる色の光を放射させるために、そのパターンにおいて異なる材料が用いられる。代替的には、「Stacked OLED Display Having Improved Efficiency」と題するCokによる特許文献2において教示されるように、フルカラーディスプレイを形成するために、カラーフィルターと共に単一の発光層、たとえば、白色エミッターを用いることができる。たとえば、「Color OLED Display With Improved Power Efficiency」と題するCok他による特許文献3において教示されるように、カラーフィルターを含まない白色サブピクセルを用いることも知られている。デバイスの効率を改善するために、赤色、緑色、及び青色のカラーフィルター及びサブピクセルと、フィルターを備えない白色サブピクセルとを含む4色ピクセルと共に、パターニングされない白色エミッターを用いる設計が提案されているMiller他に対して2007年6月12日に発行された特許文献4を参照されたい)。
【0005】
フラットパネルディスプレイデバイス内のピクセルを制御するための2つの異なる方法、すなわち、アクティブマトリックス制御及びパッシブマトリックス制御が一般的に知られている。パッシブマトリックスデバイスでは、基板は能動電子素子(たとえば、トランジスタ)を含まない。行電極アレイ及び別の層内にある直交する列電極アレイが基板上に形成される。行電極と列電極との間の交差部は発光ダイオードの電極を形成する。その際、外部ドライバチップが、各行(又は列)に電流を順次に供給し、その間、直交する列(又は行)が、その行(又は列)内の各発光ダイオードを点灯させるのに適した電圧を供給する。それゆえ、パッシブマトリックス設計は、2n個の接続を用いて、n2個の別々に制御可能な発光素子を作製する。しかしながら、パッシブマトリックス駆動デバイスでは、行(又は列)を順次に駆動する性質によってフリッカが生じるので、デバイス内に含めることができる行(又は列)の数に制限がある。含める行の数が多すぎる場合には、フリッカは知覚できるほどになる可能性がある。さらに、所望のフレーム速度においてディスプレイ内の行(又は列)全体を駆動するために必要とされる電流が問題となる可能性があり、パッシブマトリックスディスプレイの物理的なサイズを制限する。
【0006】
アクティブマトリックスデバイスでは、半導体材料、たとえば、アモルファス又は多結晶シリコンの薄膜から能動制御素子が形成され、フラットパネル基板上に分散配置される。通常、各サブピクセルは1つの制御素子によって制御され、各制御素子は少なくとも1つのトランジスタを含む。たとえば、当該技術分野で知られている簡単なアクティブマトリックス有機発光(OLED)ディスプレイでは、各制御素子は2つのトランジスタ(選択トランジスタ及びパワートランジスタ)と、サブピクセルのルミナンスを指定する電荷を蓄えるための1つのキャパシタとを含む。各発光素子は通常、独立した制御電極及び共通電極を用いる。発光素子の制御は通常、データ信号線、選択信号線、共通電源接続、及び共通グランド接続を通して行なわれる。アクティブマトリックス素子は、必ずしもディスプレイには限定されず、空間的な分散制御を必要とする他の用途において、基板上に分散配置し、用いることができる。アクティブマトリックスデバイスでは、パッシブマトリックスデバイスと同じ数の外部制御線(電源及びグランドを除く)を用いることができる。しかしながら、アクティブマトリックスデバイスでは、各発光素子は、制御回路とは別の駆動接続を有し、データ設定のために選択されないときでも、フリッカが除去されるようにアクティブのままである。
【0007】
アクティブマトリックス制御素子を形成する1つの一般的な従来技術の方法は、通常、シリコン等の半導体材料の薄膜をガラス基板上に堆積させ、次いでフォトリソグラフィ工程を通じて半導体材料をトランジスタ及びキャパシタに形成する。薄膜シリコンは、アモルファス又は多結晶のいずれかとすることができる。アモルファスシリコン又は多結晶シリコンから作製される薄膜トランジスタ(TFT)は、結晶シリコンウェハーにおいて作製される従来のトランジスタと比較して相対的に大きく、かつ性能が低い。さらに、そのような薄膜デバイスは、通常、ガラス基板全体にわたって局所的な又は広域の不均一性を示し、結果として、そのような材料を用いるディスプレイの電気性能及び外観に不均一性が生じる。製造工程及び材料処理において改善は成されるが、製造工程には費用がかかり、薄膜デバイス性能は依然として結晶シリコンデバイスの性能よりも低い。
【0008】
代替的な制御技法を用いるものとして、Matsumura他は、特許文献5において、LCDディスプレイの駆動に用いられる結晶シリコン基板を記述している。その出願は、第1の半導体基板から作製されるピクセル制御デバイスを第2の平坦なディスプレイ基板上に選択的に移送し、固定するための方法を記述している。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続、並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスへの接続が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,384,529号
【特許文献2】米国特許第6,987,355号
【特許文献3】米国特許第6,919,681号
【特許文献4】米国特許第7,230,594号
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0055864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アクティブマトリックス制御、パッシブマトリックス制御のいずれが用いられるにしても、大型ディスプレイを形成するのは難しい。アクティブマトリックス設計が用いられる場合には、半導体材料の均一な膜を大きな基板上に形成することは難しく、コストがかかる。パッシブマトリックス設計が用いられる場合には、大きな面積にわたるインピーダンスに起因して信号線サイズに制限があると共にフリッカに起因して行又は列の数に制限がある。大型のディスプレイを設計する1つの手法は、それぞれが大型ディスプレイよりもはるかに小さなタイルを使用することである。各タイルは、パッシブ又はアクティブいずれかの個別の制御素子を有することができる。たとえば、国際公開第99/41732号は、パッシブ制御されるタイルのアレイを記述している。しかしながら、タイル間のエッジが、画像品質を低下させる目に見える継ぎ目を形成すると共に、観察者に満足のゆくものではない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この必要性は、本発明の一実施の形態において、ハイブリッドドライブを有する画像デバイスであって、
a)基板と、
b)前記基板上に形成される2次元ピクセルアレイであって、該ピクセルは複数のピクセルグループに関連付けられ、該ピクセルグループはそれぞれ少なくとも4つのピクセルを含むと共に別々の1組のグループ行電極及びグループ列電極を含み、該グループ行電極及び該グループ列電極はその対応するピクセルグループ内の前記ピクセルにのみ接続されると共に該ピクセルのみを駆動し、該グループ行電極はそれぞれ2つ以上のピクセルに接続され、該グループ列電極はそれぞれ2つ以上のピクセルに接続され、それにより、単一のグループ行電極は、単一のグループ列電極と共に、単一のピクセルを駆動する、2次元ピクセルアレイと、
c)前記基板上において前記ピクセルアレイ内に配置される2つ以上のチップレットであって、該チップレットはそれぞれ1つのピクセルグループに関連付けられ、関連する前記グループ行電極及び関連する前記グループ列電極のそれぞれへの接続を有すると共に前記ピクセルグループのいずれかの寸法内にあるのと少なくとも同じ数の記憶素子を有し、該記憶素子はピクセルの所望の輝度を表す値を格納し、該チップレットは該値を用いて、その関連するピクセルグループ内の各ピクセルの前記所望のルミナンスを制御する、チップレットと、
を備える、画像デバイスによって満たされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、別々のグループに関連付けられたピクセルを駆動するための行電極及び列電極の接続を有するチップレットドライバを備えるディスプレイデバイスを提供することによって、接続パッドの数、チップレットの数及びサイズ、並びにチップレットのコストがいずれも削減されるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による、複数のチップレット及び関連するピクセルグループを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるチップレット回路部の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による、行電極及び列電極を有するピクセルグループの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態による、行電極及び列電極を有するピクセルグループ内の発光素子の1つの行の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面内の種々の層及び素子は種々の実施形態において非常に異なるサイズを有するので、図面は一定の縮尺で描かれていない。
【0015】
一実施形態では、本発明は、ハイブリッドドライブを有する画像デバイスを含む。画像デバイスは、たとえば、画像表示デバイス(たとえば、放射デバイス)、又は画像取込デバイス(たとえば、感光デバイス)とすることができる。本明細書において開示されるハイブリッドドライブは、パッシブマトリックス制御及びアクティブマトリックス制御の両方の属性を併せ持つ、発光素子のアレイの輝度を制御するための手段である。図1を参照すると、画像デバイス5は、単一の連続基板10を備える。基板10上に2次元ピクセルアレイが形成され、ピクセル30は複数のピクセルグループ32に関連付けられ、各ピクセルグループ32は少なくとも4つのピクセル30を含み、かつ別々の1組のグループ行電極40及びグループ列電極42を含み、それらの電極は対応するピクセルグループ32内のピクセル30にのみ接続され、それらのピクセルを駆動し、グループ行電極40はそれぞれ2つ以上のピクセル30に接続され、グループ列電極42はそれぞれ2つ以上のピクセル30に接続され、単一のグループ行電極40が、単一のグループ列電極42と共に、単一のピクセル30を駆動する。そのピクセルアレイ内には基板10にわたって2つ以上のチップレット20が配置され、各チップレット20は1つのピクセルグループ32に関連付けられる。チップレット20は通常、ベア半導体ダイ、たとえば、結晶シリコンであり、ピン接続を有する付加的なパッケージング、たとえば、プラスチック又はセラミックを有しない。
【0016】
図1に示されるように、そのピクセルアレイ内には、基板10にわたって、3×3のアレイ内に9個のチップレット20が示される。しかしながら、チップレット20は、1次元アレイで配置することもでき、同様に、ピクセルグループ32も1次元アレイで配置することができる。本明細書において、「ピクセルアレイ32内」というフレーズは、チップレット20がピクセルアレイ32の周辺に配置されるのではなく、ピクセルアレイの基板エリア内に存在することを意味するように定義される。チップレット20は、ピクセルアレイ内のピクセル30と共通の層内に存在することができるか、又は基板10とピクセル層との間の異なる層内に存在することができるか、又はピクセル層が基板10とチップレット20との間に存在することができる。画像デバイスは、単一の連続基板10上に形成され、独立して構成される別々のタイルを備えない。
【0017】
ピクセル30の2次元アレイは画像デバイス5内の全てのピクセル30を含むことができるか、又はデバイス内にピクセルのサブセット、たとえば、ピクセル30のx×yアレイを含むことができる。その際、ピクセルアレイ内の各ピクセルグループ32は、m×n個のピクセル30を有することができる。ただし、m<x及びn<yである。通常、m=x/a及びn=y/bである。ただし、a×bはチップレット20の数である。a又はbは1とすることができるが、両方を1とすることはできない。各チップレットが同じ数のm×n個のピクセルを有するように、xがaで割り切れ、かつyがbで割り切れる場合が役立つ。また、各チップレットが、各行及び列内に、他の全てのチップレットと同じ数のピクセルを有する(すなわち、m及びnが各チップレットについて同じ値を有する)場合が役立つ。ピクセルグループの寸法が、ピクセルアレイの対応する寸法よりも小さい(好ましくは均等に割り切れる)限り、ピクセルグループは2の倍数、たとえば、64、128、256、512又は1024の寸法を有することができる。1つの例示的な設計では、1つのチップレットコントローラと共に16行×16列のアレイを用いるのが有用であることがわかっている。
【0018】
図2を参照すると、各チップレット20は、関連するグループ行電極40及び関連するグループ列電極42のそれぞれへの接続を有し、ピクセルグループ32のいずれかの寸法内にあるのと少なくとも同じ数のピクセルに対する記憶素子70を有し、記憶素子70は、ピクセルの所望のルミナンスを表す値を格納し、チップレット20は、そのような値を用いて、関連するグループ32内の各ピクセル30の所望のルミナンスを制御する。接続パッド80を用いて、チップレット20の回路部を、グループ行電極40及びグループ列電極42に接続することができる。チップレット相互接続バス52を用いて、チップレット20に信号を伝達することができ、チップレットコントローラ72が、グループ行電極40及びグループ列電極42を通して、相互接続バス52、記憶素子70及び対応する発光素子を制御することができる。相互接続バス52は、シリアル通信又はパラレル通信することができ、接続パッド80を通してチップレット20に接続される。相互接続バス52は、或るチップレット20から別のチップレット20にデイジーチェーンによって接続することができるか、又は全てのチップレット20に対して同じように別々に接続することができる。
【0019】
図2に示されるように、チップレット20は、ピクセルグループ32内のピクセル30毎に1つの記憶素子70を有する。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、ピクセルグループ32は2つの寸法を有し、記憶素子70の数は、ピクセルグループ32の2つの寸法のうちの小さい方と少なくとも同じ大きさにしなければならない。図1の実施形態では、ピクセルグループ32は2行及び2列を有するので、少なくとも2つの記憶素子70を持たなければならない。情報、たとえば、画像情報が、起動されることになる行(又は列)のピクセル30に対応する記憶素子70内に設定される。1回の通信ステップにおいて、少なくとも1行(又は1列)の情報を設定し、表示することができる。代替的には、ピクセルグループ32全体の情報を設定することができる。本発明の例示的な実施形態では、チップレット20は、1回の通信ステップにおいて表示されることになるピクセル30毎に少なくとも2つの記憶素子70を有し、それにより、2つの記憶素子70のうちの一方に情報を設定できると同時に2つの記憶素子70のうちの第2の記憶素子内に格納された情報が、ピクセルグループ32の行又は列上に表示される。
【0020】
図3を参照すると、ピクセルグループ32が、発光素子すなわちピクセル30のアレイ、たとえば、長方形のアレイを形成することができる。各ピクセル30は、グループ行電極40及びグループ列電極42の重なり合う交差部によって形成される。図4を参照すると、ピクセルグループ32の1つの行の部分断面図において、グループ列電極42が基板10上に形成される。グループ列電極42は1つ又は複数の材料層で被覆され、そのうちの少なくとも1つ層が発光し、有機材料、無機材料、又は有機材料及び無機材料の組み合わせを含むことができる。材料層90がグループ行電極40でさらに被覆され、破線によって輪郭を描かれる発光ピクセル素子30の行が形成される。
【0021】
図1に示されるように、各チップレット20は、そのチップレット20に関連付けられたピクセル30に制御信号を与えるために、1つ若しくは複数のシリアルバス若しくは1つ若しくは複数のパラレルバス52、又はその両方によって接続されることができる。バス52は、ポイントツーポイント、並列接続、又はデイジーチェーンとすることができる。チップレットアレイ22の1つの列内の全てのチップレット20に少なくとも1つのバス52を接続することができるか、又はチップレットアレイ22の1つの行内の全てのチップレット20に少なくとも1つのバス52を接続することができる。
【0022】
バス52は、タイミング(たとえば、クロック)信号、データ信号、選択信号、電源接続、又はグランド接続を含む、種々の信号を供給することができる。それらの信号は、アナログとすることができるか、又はデジタル、たとえば、デジタルアドレス又はデータ値とすることができる。アナログデータ値は電荷として供給することができる。記憶素子70はデジタル(たとえば、フリップフロップを含む)、又はアナログ(たとえば、電荷を蓄積するためのキャパシタを含む)とすることができる。バス52は、種々の方法、たとえば、フォトリソグラフィ、レーザマスクレス技術、又はインクジェットのようなアディティブ技術によって形成することができる。
【0023】
本発明の種々の実施形態において、基板10上に分散配置されるチップレット20は同一とすることができる。しかしながら、各チップレット20に一意の識別値、すなわちIDを関連付けることができる。IDは、チップレット20が基板10上に配置される前に、又は好ましくは後に割り当てることができ、IDは、基板10上のチップレット20の相対的な位置を反映することができ、すなわち、IDはアドレスとすることができる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、1つ又は複数の付加的な制御チップレット50(図1)を用いて、画像デバイス5を制御することができる。これらの付加的な制御チップレット50は、ピクセル30及びチップレット20と同じ基板10上に、たとえば、基板10の周辺に配置することができるか、又は基板10の外部に配置することができる。付加的な制御チップレット50は、画像デバイス5に付加的な制御を与えることができ、付加的な制御バス62を用いて、チップレット20及びピクセル30と通信し、これらを制御することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、各チップレット20のサイズは、チップレットへ20への接続の数によって決定され、特に、各チップレット20上の接続パッド80の数によって決定される。たとえば、先に引用された出願(米国特許出願第12/191,462号)において開示されるように、個々の制御電極を通して各ピクセル30を直接制御するチップレット20は、ピクセル30毎に別々の電極(及び接続パッド)を必要とする。それゆえ、それぞれが赤色、緑色、青色、及び白色の構成の4つの発光ピクセル素子30を有する、4つの多素子ピクセルを制御するチップレット20は、16個の接続パッドを用いて、発光ピクセル素子30を制御する。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、代わりに、チップレット20は、8個のみの接続パッド、4つのグレープ列電極42及び4つのグループ行電極40を利用することができ、8個の接続パッド80が節減されるので、チップレット20のサイズを及びコストを削減することができる。本発明の一実施形態による第2の例では、ピクセル30の8×8アレイを有する64個のピクセル30を備えたピクセルグループ32が、そのピクセルグループ32内のピクセル30を制御するために、全部で16個の接続パッド80に対して8つのグレープ列電極42及び8つのグループ行電極40のみを用いることができる。それに対して、先に引用された特許出願(米国特許出願第12/191,462号)は、64個の接続パッド80を必要とするであろう。本発明の一実施形態による第3の例では、ピクセル30の16×16アレイを有する256個のピクセル30を備えたピクセルグループ32が、ピクセルグループ32内のピクセル30を制御するために、全部で32個の接続パッド80に対して16個のグレープ列電極42及び16個のグループ行電極40のみを用いることができる。それに対して、先に引用された開示は、256個の接続パッド80を必要とするであろう。一般的に、本発明は、n2個のピクセル30のピクセルグループ32毎に、n2個の接続パッド80ではなく、2n個の接続パッド80しか必要としない。
【0026】
本発明は以下のように動作することができる。コントローラが映像信号を受信する。コントローラは、画像デバイスの要求に従ってその信号を処理し、1つ又は複数の制御バス又はバスを通して、処理された信号をチップレットアレイ内の各チップレットに送信する。処理された信号は、そのチップレットに対応するピクセルグループ内の各発光ピクセル素子のルミナンス情報を含む。チップレットコントローラは、各発光ピクセル素子に対応する記憶素子内にルミナンス情報を格納する。その後、コントローラは、ルミナンス情報を、行内のピクセルに対応する各記憶素子から、接続パッド及びグループ列電極を通して、その行内の発光ピクセル素子に送る。同時に、グループ行電極に電力が与えられ、その行内の各発光ピクセル素子が、対応する記憶素子内に格納されたルミナンス情報に従って、同時に光を放射する。全てのチップレットがその対応するピクセルグループの1つの行を同時に駆動することができる。その後、ピクセルグループ内の第2の行を駆動することができ、その後、そのピクセルグループ内の発光ピクセル素子の他の残りの行を順次に駆動することができる。本応用例において、「行」及び「列」の指定は任意であり、入れ替えることができることに留意されたい。
【0027】
ピクセルグループ内の別々の行を順次に起動すると、フリッカを引き起こす可能性があるが、ピクセルグループは画像デバイス全体のピクセルの数に比べて相対的に少なく(チップレットアレイ内のチップレットの数及び各ピクセルグループ内のピクセルの数による)、ピクセルグループは同時に起動されるので、フリッカを大幅に低減することができる。さらに、グループ行電極及びグループ列電極は1つのピクセルグループ内でのみ接続されるので、グループ行電極及びグループ列電極は短く、電極のキャパシタンス及び抵抗は小さく、チップレット内の高電力駆動回路部の必要性も小さい。それゆえ、各ピクセル行が光を放射する時間部分が増加し、フリッカが減少し、所望のルミナンスにおける電流密度が減少する。
【0028】
本発明の種々の実施形態によれば、チップレットは種々の方法で構成することができ、たとえば、チップレットの長い寸法に沿って1行又は2行の接続パッドを用いて構成することができる。相互接続バスは、種々の材料から形成することができ、デバイス基板上での種々の堆積方法を用いることができる。たとえば、相互接続バスは、蒸着、又はスパッタリングされる金属、たとえば、アルミニウム、銀、又はマグネシウム銀のような種々の合金とすることができる。代替的には、相互接続バスは、硬化した導電性インク又は金属酸化物から作製することができる。コストに関して有利な1つの実施形態では、相互接続バスは単層内に形成される。
【0029】
本発明は、硬質又は柔軟のいずれかの大きなデバイス基板、たとえば、ガラス、プラスチック又はフォイルを利用し、デバイス基板上に複数のチップレットが規則的に配置されるマルチピクセルデバイスの実施形態に特に有用である。各チップレットは、チップレット内の回路部に従って、かつ制御信号に応答して、デバイス基板上に形成された複数のピクセルを制御することができる。
【0030】
本発明によれば、チップレットは、基板上に分散配置されるピクセル制御素子を提供する。チップレットは、デバイス基板に比べて相対的に小さな集積回路であり、独立した基板上に形成される、ワイヤ、接続パッド、抵抗器若しくはキャパシタのような受動構成要素、又はトランジスタ若しくはダイオードのような能動構成要素を含む回路を備える。チップレットは、ディスプレイ基板とは別に製造され、その後、ディスプレイ基板に取り付けられる。チップレットは、半導体デバイスを製造するための既知の工程を用いて、シリコン又はシリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェーハを用いて製造されることが好ましい。各チップレットは、その後、デバイス基板に取り付けられる前に分離される。それゆえ、各チップレットの結晶性支持体は、チップレットの回路部がその上に配置されるデバイス基板とは別の基板と見なすことができる。それゆえ、複数のチップレットは、デバイス基板とは別であり、かつ互いに別である対応する複数の基板を有する。詳細には、独立した基板は、その上にピクセルが形成される基板とは別であり、独立したチップレット基板の面積は、合わせても、デバイス基板より小さい。チップレットは、たとえば、薄膜アモルファス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られる能動構成要素よりも、高い性能の能動構成要素を提供する結晶基板を有することができる。チップレットは100μm以下の厚みを有することができることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。これは、チップレット上に接着剤及び平坦化材料を形成するのを容易にし、その際、それらの材料は、従来のスピンコーティング技法を用いて塗布することができる。本発明の一実施形態によれば、結晶シリコン基板上に形成されるチップレットは、幾何学的なアレイに配列され、接着剤又は平坦化材料を用いてデバイス基板に接着される。チップレットの表面上の接続パッドを用いて、各チップレットを信号ワイヤ、電力バス及び行電極又は列電極に接続し、ピクセルを駆動する。チップレットは1つ若しくはいくつか、又は数多くのピクセルを制御することができる。しかしながら、各チップレットは少なくとも4つのピクセルを制御することが好ましい。
【0031】
チップレットは半導体基板内に形成されるので、チップレットの回路部は、最新のリソグラフィツールを用いて形成することができる。そのようなツールによれば、0.5ミクロン以下の機構サイズを容易に手に入れることができる。たとえば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレットを作製する際に用いることができる。しかしながら、チップレットは、ディスプレイ基板上に組み付けられると、チップレット上に設けられる配線層への電気的接続を作製するための接続パッドも必要とする。接続パッドのサイズは、ディスプレイ基板上で用いられるリソグラフィツールの機構サイズ(たとえば、5μm)、及び配線層に対するチップレットの位置合わせ(たとえば、±5μm)に基づかなければならない。それゆえ、接続パッドは、たとえば、15μm幅にすることができ、パッド間に5μmの間隔をあけることができる。これは、パッドが一般的には、チップレット内に形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きいことを意味する。
【0032】
パッドは一般的に、トランジスタを覆う、チップレット上のメタライゼーション層内に形成することができる。製造コストを下げることができるように、できる限り小さな表面積を有するチップレットを作製することが望ましい。それゆえ、一般的には、トランジスタではなく、接続パッドのサイズ及び数が、チップレットのサイズを制限することになる。
【0033】
基板(たとえば、アモルファス又は多結晶シリコン)上に直接形成される回路よりも高い性能の回路部を有する独立した基板(たとえば、結晶シリコンを含む)を備えるチップレットを利用することによって、より高い性能を有するデバイスが提供される。結晶シリコンは、より高い性能を有するだけでなく、はるかに小さな能動素子(たとえば、トランジスタ)を有するので、回路部サイズは非常に小さくなり、チップレットサイズは、デバイスを制御するために、かつデバイスに電力を供給するために必要とされる接続パッドの数及び間隔によって決定されるようになる。たとえば、Yoon、Lee、Yang及びJang著「A novel use of MEMs switch in driving AMOLED」(Digest of Technical Papers of the Society for Information Display, 2008, 3.4, p.13)において記述されるように、微小電気機械(MEMS)構造を用いて有用なチップレットを形成することもできる。
【0034】
デバイス基板はガラスを含むことができ、蒸着又はスパッタリングされる金属、たとえば、アルミニウム又は銀から作製される配線層が、当該技術分野において知られているフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングされる平坦化層(たとえば、樹脂)上に形成される。チップレットは、集積回路業界において十分に確立されている従来の技法を用いて形成することができる。
【0035】
本発明はマルチピクセルインフラストラクチャを有するデバイスにおいて利用することができる。詳細には、本発明は、有機又は無機いずれかのLEDデバイスで実施することができ、情報表示デバイスにおいて特に有用である。好ましい実施形態では、本発明は、限定はしないが、Tang他に対して1988年9月6日に発行された米国特許第4,769,292号及びVan Slyke他に対して1991年10月29日に発行された米国特許第5,061,569号において開示されるような小分子又はポリマーOLEDから構成されるフラットパネルOLEDデバイスにおいて利用される。たとえば、多結晶半導体マトリックス内に形成される量子ドットを利用する無機デバイス(たとえば、Kahenによる米国特許出願公開第2007/0057263号において教示される)、有機若しくは無機電荷制御層を利用するデバイス、又はハイブリッド有機/無機デバイスを利用することができる。有機又は無機発光ディスプレイの数多くの組み合わせ及び変形を用いて、トップエミッター又はボトムエミッターいずれかのアーキテクチャを有するアクティブマトリックスディスプレイを含む、そのようなデバイスを製造することができる。本発明は、放射ディスプレイデバイスだけでなく、他のディスプレイデバイス、たとえば、LCDにも用いることができる。また、本発明は、光応答デバイス、たとえば、大きな基板の画像デバイス、たとえば、透過線を利用する画像デバイスにも役に立つことがある。
【0036】
本発明は、特定の好ましい実施形態を特に参照しながら詳細に説明されてきたが、本発明の精神及び範囲内で変形及び変更を実施できることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
5 画像デバイス
10 デバイス基板
20 チップレット
22 チップレットアレイ
30 ピクセル
32 ピクセルグループ
40 行電極
42 列電極
50 制御チップレット
52 バス
60 コントローラ
62 制御バス
70 電極部
72 チップレットコントローラ
80 接続パッド
90 材料層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドドライブを有する画像デバイスであって、
a)単一の連続基板と、
b)前記基板上に形成される2次元ピクセルアレイであって、該ピクセルは複数のピクセルグループに関連付けられ、該ピクセルグループはそれぞれ少なくとも4つのピクセルを含むと共に別々の1組のグループ行電極及びグループ列電極を含み、該グループ行電極及び該グループ列電極はその対応するピクセルグループ内の前記ピクセルにのみ接続されると共に該ピクセルのみを駆動し、該グループ行電極はそれぞれ2つ以上のピクセルに接続され、該グループ列電極はそれぞれ2つ以上のピクセルに接続され、それにより、単一のグループ行電極は、単一のグループ列電極と共に、単一のピクセルを駆動する、2次元ピクセルアレイと、
c)前記基板上において前記ピクセルアレイ内に配置される2つ以上のチップレットであって、該チップレットはそれぞれ1つのピクセルグループに関連付けられ、関連する前記グループ行電極及び関連する前記グループ列電極のそれぞれへの接続を有すると共に前記ピクセルグループのいずれかの寸法内にあるのと少なくとも同じ数の記憶素子を有し、該記憶素子はピクセルの所望の輝度を表す値を格納し、該チップレットは該値を用いて、その関連するピクセルグループ内の各ピクセルの前記所望のルミナンスを制御する、チップレットと、
を備える、画像デバイス。
【請求項2】
各前記チップレットに電気的に接続される1つ又は複数のバスを備える、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項3】
前記1つ又は複数のバスのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つ以上の前記チップレットを通ってシリアルに接続されるシリアルバスである、請求項2に記載の画像デバイス。
【請求項4】
前記1つ又は複数のバスのうちの少なくとも1つは、前記チップレットに共通に接続されるパラレルバスである、請求項2に記載の画像デバイス。
【請求項5】
前記パラレルバスは電源又はグランド電気的接続を提供する、請求項4に記載の画像デバイス。
【請求項6】
バスがデータ信号を送信する、請求項2に記載の画像デバイス。
【請求項7】
前記1つ又は複数のバス接続のうちの少なくとも1つはパラレルバスであり、前記1つ又は複数のバス接続のうちの少なくとも1つはシリアルバスである、請求項2に記載の画像デバイス。
【請求項8】
前記1つ又は複数のバスのうちの少なくとも1つは、前記チップレットアレイの1つの列内の全ての前記チップレットに接続されるか、又は少なくとも1つのバスは、前記2つ以上のチップレットの1つの行内の全ての前記チップレットに接続される、請求項2に記載の画像デバイス。
【請求項9】
前記ピクセルグループはそれぞれピクセルの長方形アレイを形成する、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項10】
前記記憶素子はアナログ記憶素子、電荷を蓄えるキャパシタ、又はデジタル記憶素子である、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項11】
前記デバイスは非放射ディスプレイデバイスである、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項12】
前記デバイスは画像取込デバイスである、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項13】
前記チップレットは同一である、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項14】
前記チップレットはそれぞれ一意の識別子を有する、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項15】
各前記チップレットの前記一意の識別子は、前記チップレットが前記基板上に配置された後に設定され、各前記チップレットの前記一意の識別子は、前記2次元チップレットアレイ内の各前記チップレットの相対的な位置に対応する、請求項14に記載の画像デバイス。
【請求項16】
前記チップレットを駆動するための、前記2つ以上のチップレットの周辺に配置される制御チップレットをさらに備える、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項17】
各前記チップレットのサイズは、前記チップレットへの接続の数によって決定される、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項18】
前記デバイスはディスプレイデバイスである、請求項1に記載の画像デバイス。
【請求項19】
前記デバイスは有機LEDディスプレイデバイス、又は無機LEDディスプレイデバイスである、請求項18に記載の画像デバイス。
【請求項20】
各前記チップレットは、少なくとも2つのグループ行電極及び2つのグループ列電極に接続される、請求項1に記載の画像デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−508900(P2012−508900A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536309(P2011−536309)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/005950
【国際公開番号】WO2010/056289
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】