説明

チップ供給アタッチメント

【課題】従来のチップ収納ケース方式のチップ供給装置は、チップ供給の高速化、高能率化が困難な課題があり、特に、チップ型式の異なる型式へ「切替・変更」する場合、熟練作業者による多大の手数を要しコスト負担が大きい課題が有った。
【解決手段】多数のチップtをバラの状態で収納したチップ収納ケース1と、該チップ収納ケース1から供給するチップtを振動で1列整列搬送するチップ整列搬送フィーダ2を、両者一体に組合せ構成して1個の独立したチップ供給アタッチメントAとしたこと、及び、該チップ供給アタッチメントAに振動を付与する振動機構3をチップマウンター装置等に別設して、該振動機構3に対してチップ供給アタッチメントAを着脱交換自在に備えた、チップ供給アタッチメントAによって課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ(各種チップ型電子部品、例・チップコンデンサー、レジスター等、例・0402C/0603C/1005C等の各型式チップ、以下、単にチップと記す。)を供給する工程、例えば、チップマウンター装置等によりプリント基板等にチップを1個毎に分離してマウント(実装)する工程、チップ分離搬送ローターやチップテープへチップを1列整列搬送供給する工程、等において、 チップ収納ケース(数千個から数万個のチップをバラの状態で収納)のチップを、高速かつ効率的に1列整列して、若しくは、1個宛分離して供給するための有効な手段を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のチップ供給装置(チップ収納ケース方式)によってチップを高速かつ効率的に整列してマウンター(実装)等の工程で1列整列して供給し、若しくは、1個宛分離して供給する工程や、チップ分離搬送ローターやチップテープへチップを1列整列搬送供給する工程等は、例えば、エアー搬送方式(例、特開平5−193725号)やベルト搬送方式(例、特開平10−294598号)を用いていたため、チップの1個宛分離供給の高速化、高能率化、低コスト化が困難な課題があった。
【0003】
特に、従来は、チップ整列搬送フィーダ機構(チップ整列搬送フィーダに振動機構の振動を付与してチップを整列搬送する。通常、チップ収納ケースはチップ整列搬送フィーダに着脱交換自在に設けられている。)が各種装置の一部材として組み込まれた複雑かつ極めて精密性を要する機構であったため、該チップ整列搬送フィーダ機構を、例えば、使用中の型式(例・0402C)と異なる型式(例・1005C)のチップの分離供給用に「切替・変更」するためには、各機構部材の取外し交換と精密調整等に熟練作業者による多大の時間・手数を要し極めて非効率なためコスト負担が大きく、よって、チップ型式(種類、形状、寸法等)の切替・変更に容易に対応し難い大きな課題が有った。
【特許文献1】特開平5−193725号
【特許文献2】特開平10−175724号
【特許文献3】特開平10−294598号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、チップ収納ケース(数千個から数万個のチップをバラの状態で収納)のチップを、高速かつ効率的に、1列整列供給し、若しくは、1個宛分離供給するための有効な手段を提供し、
【0005】
特に、チップ収納ケース、チップ整列搬送フィーダの2者、若しくは、チップ1個分離シュートを加えた3者を、1個の独立したチップ供給アタッチメントとして備え、
また、チップ供給アタッチメントのチップ整列搬送フィーダと、それに振動を付与してチップを搬送する振動機構とを別設構成にすると共に、該チップ供給アタッチメントを該振動機構に対し着脱交換自在に備え、
【0006】
一方、予め、型式(種類、形状、寸法等)の異なるチップ分離供給用の複数種のチップ供給アタッチメントを用意して、チップマウンター装置等における各型式(種類、形状、寸法等)のチップ分離供給用への「切替・変更」を、極めて簡単かつ迅速に行えるようにして、
チップの1列整列供給、若しくは、1個宛分離供給等の高速化、高能率化、低コスト化を実現することによって、従来の課題を解決せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、多数のチップをバラの状態で収納するように備えたチップ収納ケースと、該チップ収納ケースから供給されるチップを振動で1列整列搬送するように備えたチップ整列搬送フィーダを、両者一体に組合せ構成して、1個の独立したチップ供給アタッチメントとして備えたものであり、
【0008】
該チップ供給アタッチメントのチップ整列搬送フィーダに振動を付与する振動機構をチップマウンター装置等に別設して、
【0009】
該振動機構に対してチップ供給アタッチメントを着脱交換自在に備えたものである、チップ供給アタッチメントによって、課題を解決したものである。
【0010】
また、本発明は、多数のチップをバラの状態で収納するように備えたチップ収納ケースと、該チップ収納ケースから供給されるチップを振動で1列整列搬送するように備えたチップ整列搬送フィーダと、チップ整列搬送フィーダで1列整列搬送されて来たチップを、先端部で行止り停止すると共に1個露出し、該露出したチップを吸着ノズルの吸着等の分離手段で、1個宛分離するように備えたチップ1個分離シュートを、3者一体に組合せ構成して、1個の独立したチップ供給アタッチメントとして備えたものであり、
【0011】
該チップ供給アタッチメントのチップ整列搬送フィーダに振動を付与する振動機構をチップマウンター装置等に別設して、
【0012】
該振動機構に対してチップ供給アタッチメントを着脱交換自在に備えたものである、チップ供給アタッチメントによって、課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
チップ収納ケース、チップ整列搬送フィーダ、若しくは、チップ1個分離シュートの2者若しくは3者を1個の独立したチップ供給アタッチメントとして備え、該チップ供給アタッチメントをチップマウンター装置等側に別設した振動機構(即ち、チップ整列搬送フィーダに振動を付与する機構)に対し着脱交換自在に備える一方、
予め、型式(種類、形状、寸法等)の異なるチップ分離供給用の複数種のチップ供給アタッチメントを予め製造・用意・供給等するようにしたので、
【0014】
チップマウンター装置等における各目的型式(種類、形状、寸法等)のチップの分離供給用への「切替・変更」を、極めて簡単かつ迅速に行うことが可能となり、
よって、既存の方式に代わる全く新規なワーク供給方式形態を提供して、チップの1列整列供給、若しくは、1個宛分離供給の高速化、高能率化、低コスト化を実現することできる画期的な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
チップ収納ケース1、チップ整列搬送フィーダを両者一体に組合せ構成して1個の独立したアタッチメントとしてチップ供給アタッチメントを設け、該チップ供給アタッチメントのチップ整列搬送フィーダに振動を付与する振動機構をチップマウンター装置等に別設して、該振動機構に対してチップ供給アタッチメントを着脱交換自在に備えたものである、チップ供給アタッチメント。
【実施例1】
【0016】
次に、本発明の実施例を説明すると(図1、図2参照)、
【0017】
多数のチップtをバラの状態で収納するように備えたチップ収納ケース1と、該チップ収納ケース1から供給されるチップtを振動で1列整列搬送するように備えたチップ整列搬送フィーダ2を、両者一体に組合せ構成して、1個の独立したチップ供給アタッチメントAとして備えたものであり、
【0018】
該チップ供給アタッチメントAのチップ整列搬送フィーダ2に振動を付与する振動機構3をチップマウンター装置6等に別設して、
【0019】
該振動機構3に対してチップ供給アタッチメントA(チップ整列搬送フィーダ2)を着脱交換自在に備えたものである、
チップ供給アタッチメントAである。
【0020】
即ち、本発明においては、通常はチップ整列搬送フィーダと振動機構が不可分一体に構成されているチップ整列搬送フィーダにおいて、そのチップ整列搬送フィーダと振動機構を分離構成して、振動機構をチップマウンター装置等に別設し、該振動機構に対しチップ供給アタッチメント(チップ整列搬送フィーダ)を着脱交換自在に構成したものである。
【0021】
チップ収納ケース1は、チップ整列搬送フィーダ2に対し、直接に、若しくは、ホッパー9を介して、着脱交換自在に備えたものであり、チップ整列搬送フィーダ2の一定方向振動搬送部の一部に複数個のチップtをバラの状態で供給するように備えたものである。
【0022】
チップ整列搬送フィーダ2は、チップ収納ケース1から直接に、若しくは、ホッパ9ーを介して、バラの状態で供給されるチップtを、チップマウンター装置6等に別設した振動機構3による振動で一定方向に搬送し、その搬送の過程でチップを1列搬送路10に導入して、1列整列搬送するように備えたものである。(図2を参照)
【0023】
また、チップ供給アタッチメントAを、チップマウンター装置6等側に備えた振動機構3に対し、ねじ8等により着脱交換自在に備えたものである。
【0024】
而して、チップtの型式(例・0402C/0603C/1005C等)の異なる毎に、各型式(例・0402C/0603C/1005C等)用のチップ供給アタッチメントAを備えておき、例えば、チップマウンター装置6等における使用中の型式(例・0402C)から目的型式(例・1005C)への切替・変更を、各チップ供給アタッチメントAの振動機構3に対する着脱交換によって行うように備えたものである。
【実施例2】
【0025】
また、本発明の実施例2を説明すると (図3〜図5参照)、
【0026】
多数のチップtをバラの状態で収納するように備えたチップ収納ケース1と、該チップ収納ケース1から供給されるチップtを振動で1列整列搬送するように備えたチップ整列搬送フィーダ2と、チップ整列搬送フィーダ2で1列整列搬送されて来たチップtを、先端部で行止り停止すると共に1個露出し、該露出したチップtを吸着ノズル4の吸着等の分離手段で、1個宛分離するように備えたチップ1個分離シュート5を、3者一体に組合せ構成して、1個の独立したチップ供給アタッチメントAとして備えたものであり、
【0027】
該チップ供給アタッチメントAのチップ整列搬送フィーダ2に振動を付与する振動機構3をチップマウンター装置6等に別設して、
【0028】
該振動機構3に対してチップ供給アタッチメントA(チップ整列搬送フィーダ2)を着脱交換自在に備えたものである、チップ供給アタッチメントAである。
【0029】
チップ1個分離シュート5は、チップ整列搬送フィーダ2のチップ1列整列搬送路10の先端に連続して1列整列搬送路11を備え、その先端に停止部12を備えると共に、該部12にチップt1個を露出する露出窓7を備えて、
【0030】
チップ整列搬送フィーダ2のチップ1列整列搬送路10から1列整列搬送路11へ、押せ押せの状態で、搬送されてきたチップtの停止部12(露出窓7の位置)に行止まり停止した先頭のチップt1個を、露出窓7から、チップマウンター装置6等の吸着ノズル4の吸着等の分離手段で、1個宛分離するように備えたものである。
【0031】
よって、先頭のチップtを吸着ノズル4等で分離すると、直ちに、次位のチップtが停止部12(露出窓7の位置)に行止まり停止する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、上記例のチップマウンター装置用のチップ供給アタッチメントに限定されることなく、ローター等のチップ分離搬送供給用装置、チップテーピング用のチップ分離搬送供給装置、その他のチップ関係装置における各種型式(種類、形状、寸法等)のチップの1列整列供給、1個分離供給用のチップ供給アタッチメントとして汎用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1の斜視図で、チップマウンター装置側に別設した振動機構に着脱交換自在に取付ける説明図。
【図2】チップ整列搬送フィーダのチップ1列整列搬送供給の作用説明図。
【図3】実施例2の斜視図で、チップマウンター装置側に別設した振動機構に着脱交換自在に取付ける説明図。
【図4】図3のチップ1個分離シュート部分の拡大斜視図で、吸着ノズルでチップ1個を分離する説明図。
【図5】チップマウンター装置に、複数の実施例2を列置した状態の斜視図。
【符号の説明】
【0034】
A 本発明の実施例チップ供給アタッチメント
t チップ
1 チップ収納ケース
2 チップ整列搬送フィーダ
3 振動機構
4 吸着ノズル
5 チップ1個分離シュート
6 チップマウンター装置
7 露出窓
8 ねじ
9 ホッパー
10 1列搬送路(チップ整列搬送フィーダ)
11 1列搬送路(チップ1個分離シュート)
12 停止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のチップをバラの状態で収納するように備えたチップ収納ケースと、該チップ収納ケースから供給されるチップを振動で1列整列搬送するように備えたチップ整列搬送フィーダを、両者一体に組合せ構成して、1個の独立したチップ供給アタッチメントとして備えたものであり、
該チップ供給アタッチメントのチップ整列搬送フィーダに振動を付与する振動機構をチップマウンター装置等に別設して、
該振動機構に対してチップ供給アタッチメントを着脱交換自在に備えたものである、
チップ供給アタッチメント。
【請求項2】
多数のチップをバラの状態で収納するように備えたチップ収納ケースと、該チップ収納ケースから供給されるチップを振動で1列整列搬送するように備えたチップ整列搬送フィーダと、チップ整列搬送フィーダで1列整列搬送されて来たチップを、先端部で行止り停止すると共に1個露出し、該露出したチップを吸着ノズルの吸着等の分離手段で、1個宛分離するように備えたチップ1個分離シュートを、3者一体に組合せ構成して、1個の独立したチップ供給アタッチメントとして備えたものであり、
該チップ供給アタッチメントのチップ整列搬送フィーダに振動を付与する振動機構をチップマウンター装置等に別設して、
該振動機構に対してチップ供給アタッチメントを着脱交換自在に備えたものである、
チップ供給アタッチメント。
【請求項3】
チップ収納ケース、チップ整列搬送フィーダ、若しくは、チップ1個分離シュートを、一体に組合せ構成したチップ供給アタッチメントであり、該チップ供給アタッチメントをチップマウンター装置等に別設した振動機構に対し、ねじ等により着脱交換自在に備えたものである、
請求項1又は2のチップ供給アタッチメント。
【請求項4】
チップ供給アタッチメントにおけるチップ収納ケースは、チップ整列搬送フィーダに対し直接に、若しくは、ホッパーを介して、着脱交換自在に備えたものである、
請求項1又は2のチップ供給アタッチメント。
【請求項5】
チップ供給アタッチメントにおけるチップ整列搬送フィーダは、チップ収納ケースから直接に、若しくは、ホッパーを介して、バラの状態で供給されるチップを、別設の振動機構による振動で一定方向に搬送し、その搬送の過程でチップを1列搬送路に導入し1列整列搬送して、チップを次工程へ供給するように備えたものである、
請求項1又は2のチップ供給アタッチメント。
【請求項6】
チップ供給アタッチメントにおけるチップ1個分離シュートは、チップ整列搬送フィーダのチップ1列整列搬送路の先端に連続して1列整列搬送路を備え、その先端に停止部を備えると共に、該部にチップ1個を露出する露出窓を備えて、該露出窓からチップを、吸着ノズルの吸着等の分離手段で、1個宛分離するように備えたものである、
請求項2のチップ供給アタッチメント。
【請求項7】
チップの型式(種類、形状、寸法等)の異なる毎に、各型式(種類、形状、寸法等)用のチップ供給アタッチメントを備えておき、チップマウンター装置等における目的型式(種類、形状、寸法等)のチップ分離供給用への切替えを、目的型式(種類、形状、寸法等)用のチップ供給アタッチメントの振動機構に対する着脱交換によって行うように備えたものである、
請求項1又は2のチップ供給アタッチメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−60190(P2008−60190A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233066(P2006−233066)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000227397)日東工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】