説明

チップ型電子部品包装用カバーテープ

【課題】カバーテープの摩擦や剥離時に生じる静電気を抑え、カバーテープの細幅化に伴うテープ強度の低下や高温下で保管されるカバーテープの透明性の低下を抑え、且つピールオフ強度を適正範囲内に保持することが可能なチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することを目的とする。
【解決手段】チップ型電子部品の収納ポケットを有するエンボスキャリアテープに熱シールされるチップ型電子部品包装用カバーテープであって、帯電防止剤を含む帯電防止層と、二軸延伸プラスチックフィルムの基材と、ポリエチレンからなる中間層と、基材と中間層を接着する接着剤層と、エンボスキャリアテープに熱シールされるシール層の多層構造を有し、シール層が熱可塑性エラストマー樹脂、粘着付与樹脂、アクリル樹脂の樹脂混合物に酸化金属の導電性微粉末が分散されていることを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ型電子部品等を保管、搬送する包装体に使用されるエンボスキャリアテープの電子部品を収納する収納部の開口面を、熱シールにて被覆するチップ型電子部品包装用カバーテープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップ型電子部品包装用カバーテープ(以下カバーテープと記す)による部品装着方式には、抵抗、コンデンサ、ダイオード、及びICチップ等の小型電子部品の形状に合わせて、個々に収納する収納部(以下、収納ポケットと記す)を形成するために打ち抜き加工が施された板紙打ち抜きキャリアテープに、その収納ポケットの開口面を覆うためのカバーテープを熱シールにより被覆する方式と、小型電子部品の形状に合わせて個々に収納する収納ポケットを形成するエンボス加工が施されたエンボスキャリアテープに、その収納ポケットの開口面を覆うためのカバーテープを熱シールにより被覆する方式の二種類が一般的に採用されている。小型電子部品を収納ポケットに収納してカバーテープで被覆した後、リール状に巻き取られた形状の包装体で保管、搬送、及び電子回路基板に電子部品を装着する自動組み込み装置に利用されている。
【0003】
このエンボスキャリアテープからカバーテープを剥離させる際、カバーテープを剥離させる強さを剥離強度(以下、ピールオフ強度と記す)と呼び、このピールオフ強度の強弱によって収納された電子部品の脱落、或いは収納ポケットから飛び出すジャンピングトラブルという現象が発生している。この問題を解決するため、従来のカバーテープでは、ピールオフ強度を適正範囲内に制御することが容易で、経時的にも安定したピールオフ強度が得られる凝集破壊タイプのカバーテープが主に使用されている。例えば、チップ型電子部品包装用カバーテープの接着層が静電処理され、電子部品とカバーテープとの接触、或いはカバーテープの剥離時に発生する静電気を抑え、且つその静電効果が使用環境や経時変化にも安定し、シール性能にも影響を及ぼさないチップ型電子部品包装用カバーテープが紹介されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−32288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のチップ型電子部品包装用カバーテープは、電子機器のより小型軽量で、更に薄い形状が求められる現状において、表面実装技術の向上とIC、抵抗、コンデンサ等の電子部品の軽薄短小化に伴いエンボスキャリアテープも細幅化され、対応するカバーテープも細幅化することでテープ切れを防止するためのテープ切れ強度を大きくする必要がある。
【0006】
また、リール状に巻かれたチップ型電子部品の包装体が、搬送される際に発生する振動により、カバーテープ内側と電子部品とが接触し摩擦することで発生する静電気、或いはカバーテープを剥離する際に発生する静電気により電子部品が帯電し、カバーテープに付着して飛び出してしまう問題がある。
【0007】
また、光学機器による部品識別を容易にするためカバーテープの透明性を高める必要があるが、高温下で保管された場合、凝集破壊タイプのカバーテープは巻き芯部とテープ基材とのブロッキングによりカバーテープの透明性が大幅に低下する問題がある。
【0008】
また、高温下で保管されたカバーテープは、経時変化により接着層の凝集力が低下してピールオフ強度を適正範囲内に保持することが困難となる問題がある。
【0009】
更に、現在製品化されているカバーテープ(シール剤SL1−1)のピールオフ強度は約0.40Nであったが、更にピールオフ強度を0.60Nまで高めたカバーテープの製品化が望まれている。
【0010】
本発明は以上の点に着目し成されたもので、凝集破壊タイプのカバーテープの構造が、帯電防止剤を含む帯電防止層、透明な二軸延伸プラスチックフィルムの基材層、基材層と中間層の積層強度を向上させるための層間接着層、熱及び圧力に対するクッション機能と耐引裂性を向上させた中間層、及び透明性を有する熱可塑性樹脂に導電性微粉末が均一に分散された導電性熱接着層のシール層からなる五層構造を備え、ピール速度が3000mm/分の高速剥離にも使用可能なチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することを目的とする。
【0011】
また、シール層の構成をアクリル変性ポリオレフィン樹脂と粘着付与樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂との混合樹脂とすることで、更にピールオフ強度を高めたチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上述の目的を達成するため、以下(1)〜(8)の構成を備えるものである。
【0013】
(1)チップ型電子部品を収納する収納ポケットが形成されたエンボスキャリアテープに熱シールされるチップ型電子部品包装用カバーテープであって、帯電防止剤を含む帯電防止層と、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン(登録商標)のいずれか一種からなる二軸延伸プラスチックフィルムの基材と、ポリエチレンからなる中間層と、前記基材と前記中間層を接着する接着剤層と、前記エンボスキャリアテープに熱シールされるシール層とで形成された多層構造を有し、前記シール層が、熱可塑性エラストマー樹脂と粘着付与樹脂とアクリル樹脂との樹脂混合物からなり、当該樹脂混合物に酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムのいずれか一種からなる酸化金属の導電性微粉末が分散されていることを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0014】
(2)前記シール層を構成する前記樹脂混合物が、前記熱可塑性エラストマー樹脂が14〜49重量%、前記粘着付与樹脂が1〜35重量%、前記アクリル樹脂が1〜35重量%であり、分散される前記酸化金属が30〜55重量%であることを特徴とする前記(1)記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0015】
(3)前記熱可塑性エラストマー樹脂が、スチレンブタジエン樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体樹脂、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体樹脂のいずれか一種またはそれらの混合物であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0016】
(4)前記中間層の密度が、0.8〜0.909g/cmの前記ポリエチレンであることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0017】
(5)チップ型電子部品を収納する収納ポケットが形成されたエンボスキャリアテープに熱シールされるチップ型電子部品包装用カバーテープであって、帯電防止剤を含む帯電防止層と、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン(登録商標)のいずれか一種からなる二軸延伸プラスチックフィルムの基材と、ポリエチレンからなる中間層と、前記基材と前記中間層を接着する接着剤層と、前記エンボスキャリアテープに熱シールされるシール層とで形成された多層構造を有し、前記シール層が、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、粘着付与樹脂及び熱可塑性エラストマー樹脂との樹脂混合物からなり、当該樹脂混合物に酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムのいずれか一種からなる酸化金属の導電性微粉末が分散されていることを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0018】
(6)前記シール層を構成する前記樹脂混合物が、前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂が40〜90重量%、前記粘着付与樹脂が1〜30重量%、前記熱可塑性エラストマー樹脂が1〜30重量%であることを特徴とする前記(5)記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0019】
(7)前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂は、アクリル樹脂成分が20〜80重量%、ポリオレフィン樹脂成分が20〜80重量%の範囲であることを特徴とする前記(5)または(6)記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【0020】
(8)前記熱可塑性エラストマー樹脂は、スチレン成分を30〜70重量%含むスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂からなることを特徴とする前記(5)乃至(7)のいずれか1項に記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電子部品とカバーテープの摩擦による静電気、或いはカバーテープの剥離時に発生する静電気を抑え、カバーテープの細幅化に伴うテープ強度の低下を防止し、高温下で保管された場合でもカバーテープの透明性の低下を抑え、且つピールオフ強度を適正範囲内に保持することが可能なチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することができる。
【0022】
また、カバーテープを剥離させるピール速度が、3000mm/分の高速剥離にも使用可能なチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することができる。
【0023】
また、シール層の構成をアクリル変性ポリオレフィン樹脂と粘着付与樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂との混合樹脂とすることで、更にピールオフ強度を高めたチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施例1に係るカバーテープを含むチップ型電子部品の包装体の構成図、(a)チップ型電子部品の包装体の外観図、(b)本実施例に係るカバーテープのA−A断面図
【図2】本実施例1に係るカバーテープの基本性能を示す図
【図3】本実施例1に係るカバーテープを構成するシール層の三成分系状態図
【図4】本実施例1に係るカバーテープのエンボスキャリアテープの種類に対するピールオフ強度の性能を示す図
【図5】本実施例1に係るカバーテープのエンボスキャリアテープの種類に対するピールオフ強度の性能を示す図、(a)熱シール温度変化に対するピールオフ強度のグラフ、(b)環境変化に対するピールオフ強度のグラフ
【図6】本実施例2に係るカバーテープのシール層が別の混合組成の比率からなる三成分系状態図
【図7】本実施例2に係るカバーテープの(a)シール層シール剤の組成別の基本性能表、(b)シール層シール剤の組成別の混合比率を示す図
【図8】本実施例2に係るカバーテープの(a)シール層シール剤の組成別の低速及び高速剥離のピールオフ強度を示すグラフ、(b)シール層シール剤の組成別の表面抵抗値を示すグラフ、(c)シール層シール剤の組成別のヘイズ値を示すグラフ
【図9】本実施例2に係るカバーテープのシール層のシール剤組成別の剥離強度の試験結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳しく説明する。
【実施例1】
【0026】
図1に示すチップ型電子部品の包装体と凝集破壊タイプのカバーテープの構造について、図1(a)は、チップ型電子部品の包装体の外観図、図1(b)は本実施例に係るカバーテープのA−A断面図である。図中において、1は帯電防止層、2は基材層、3は層間接着層、4は中間層、5は導電性熱接着層(以下、シール層と記す)、10または20はチップ型電子部品包装用カバーテープ(以下、カバーテープと記す)、11は収納ポケット11aを有するエンボスキャリアテープ、12はチップ型電子部品の包装体である。
【0027】
図1(a)に示すチップ型電子部品の包装体12は、エンボスキャリアテープ11の片方の面に電子部品を収納する収納ポケット11aがエンボス加工で形成され、その収納ポケット11aの開口部をカバーテープ10によって熱シールで被覆されている。エンボスキャリアテープ11は、電子部品の軽薄短小化に伴いエンボスキャリアテープ11も細幅化され、テープ切れを防止するためのテープ切れ強度を大きくする必要性から、その素材をポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、アモルファスポリエチレンテレフタレート(APET)のエンボスキャリアテープ11が用途に応じて選択され、コロナ処理が施された表面には静電対策として帯電防止剤が塗布されている。そのため、凝集破壊タイプのカバーテープ10も、これらのエンボスキャリアテープ11に対応したカバーテープ10の素材が求められている。
【0028】
図1(b)に示す本実施例に係るカバーテープ10のA−A断面図で、カバーテープ10の構造について説明する。
【0029】
外表面となる帯電防止層1は、帯電防止剤を含む帯電防止処理を施した導電層である。包装体12を保管、搬送する際に、包装体12のエンボスキャリアテープ11との摩擦により発生する静電気を抑える働きがある。
【0030】
基材層2は、透明(ISO14782/13468で規定)な二軸延伸プラスチックフィルムで、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)プラスチックフィルム、二軸延伸ポリプロピレン(PP)プラスチックフィルム、二軸延伸ナイロン(登録商標)プラスチックフィルムのいずれか一種を用途に応じて選択する。カバーテープ10の細幅化に伴い、テープ切れを防止するためのテープ切れ強度を大きくする必要性から基材層2の厚みは6〜100μmの範囲で形成され、層の厚みが6μm未満では剛性が不足し、100μmを超えると硬くなり過ぎて熱シールによる接着が不安定となる。好ましい基材層2の厚みは9〜25μmの範囲である。
【0031】
また、後述する層間接着層3と接する面には、コロナ処理、プラズマ処理、或いはサンドブラスト処理等の表面処理を施して密着力を向上させることができる。
【0032】
層間接着層3は、基材層2と中間層4の積層によりテープ切れ強度を向上させることを目的とし、イソシアネート化合物を材料とするポリウレタン系接着剤とイミン系の乾燥固化硬化剤によるラッカー型の層間接着層3を介して異なる材質の基材層2と中間層4を接着することでテープ切れ強度を高めている。層間接着層3の膜厚は0.5〜5μmの範囲で形成されるが、好ましくは1〜3μmの範囲の膜厚が良い。
【0033】
中間層4は、熱及び圧力に対するクッション機能と耐引裂性を向上させることを目的として、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、エチレンビニルアセテート(EVA)フィルム、エチレンメチルアクリレート(EMA)フィルム、及びアイオノマフィルム或いはポリオレフィンフィルムが用途に応じて選択される。
【0034】
特にシール層5に接する側には、密度が0.8〜0.909g/cmである単層、或いは多層の超低密度PEフィルムで形成することでクッション機能と耐引裂性の向上が図られている。
【0035】
シール層5は、上述したエンボスキャリアテープ11に直に熱シールで接着される層であり、帯電防止を目的として透明性を有する熱可塑性樹脂に導電性微粉末が均一に分散された熱接着ラッカー型の接着層からなるシール層である。エンボスキャリアテープ11の収納ポケット11aに収納された電子部品と接触し摩擦する面には、静電気により電子部品が付着、或いは電子部品が破壊されることを防止する帯電防止処理を施す必要がある。
【0036】
図2は、本実施例に係るカバーテープ10の基本性能を示す表である。性能表より、カバーテープ10の厚さはISO4591で規定された測定法により52μm、ISO527−3で規定された引張特性(引張破断強度、引張破断ひずみ、引張弾性率)を有し、JISK7128−3で規定される引裂き抵抗が180N/mmで、透明性を示すISO14782/13468に規定されたヘイズ値が18%で、全光線透過率も80%以上の87%で、カバーテープ10のJISK6911で規定された表面抵抗値は、開放面で2E12(2×1012)Ω/□、熱シール面が4E8(4×10)Ω/□である。シール層5の表面固有抵抗値は1E9(1×10)Ω/□以下であることが望ましい。
【0037】
図3はシール層樹脂成分の三成分系状態図で、本実施例に係るカバーテープ10で特に重要な熱接着層の混合組成を示す図である。シール層5の素材は、透明性を有する熱接着ラッカー型の単体またはその組み合わせにより、熱シールの相手材のエンボスキャリアテープ11の種類に左右されることなく剥離強度がほぼ同一の性能を有する素材が良い。好ましくは熱可塑性エラストマー樹脂、粘着付与樹脂、アクリル樹脂の組み合わせによる樹脂混合物で、三成分系状態図の中央に示された領域の混合組成が良い。
【0038】
三成分系状態図より夫々の樹脂の特に好ましい混合組成の比率は、熱可塑性エラストマー樹脂が14〜49重量%、粘着付与樹脂が1〜35重量%、アクリル樹脂が1〜35重量%の混合比率が好ましい範囲である。また帯電防止剤として加えられる導電性微粉末の酸化金属の混合比率は、30〜55重量%が好ましい範囲である。
【0039】
次に、シール層5を構成する各樹脂及び酸化金属について説明する。熱可塑性エラストマー樹脂は、スチレン系樹脂のスチレンブタジエン(SB)樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)樹脂、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)樹脂の中から一種或いはその混合物から選択でき、好ましくは水添SEBS樹脂が用いられる。水添SEBS樹脂のスチレン/エチレン・ブチレン比は、20/80〜40/60重量%が良く、押出される圧力が200℃5kgfの条件下で樹脂の流動性を示すMFRは、2〜7g/10分の範囲が良い。
【0040】
粘着付与樹脂は、クマロン樹脂、フェノールテルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン誘導体樹脂等が用いられるが、好ましくは数平均分子量400〜2000の石油系炭化水素樹脂が良い。
【0041】
アクリル樹脂は、エチルメタクリレート(EMA)樹脂、メチルメタクリレート(MMA)樹脂、ブチルメタクリレート(BMA)樹脂、イソブチルメタクリレート(IBMA)樹脂の混合物や共重合物が用いられるが、好ましくは分子量が5000〜20000であるアクリルポリマーが良い。
【0042】
シール層5の表面抵抗値は10E5〜10E14Ω/□の範囲で、好ましくは10E6〜10E13Ω/□の範囲が良い。帯電防止剤として混入される導電性微粉末の酸化金属には、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、カーボンブラック、有機導電性化合物の中から一種類が選択され均一に分散されている。シール層5の形成方法は、溶融製膜法及び溶液製膜法のいずれでも良いが、好ましくは酸化金属の分散性の点から溶液製膜法が望ましい。形成されるシール層5の膜厚は0.5〜5μmの範囲で、好ましくは1〜3μmの範囲が良く、3μmを超えると溶液製膜法での形成が難しくなる。
【0043】
図4は、本実施例のカバーテープ10が熱シールされるエンボスキャリアテープ11の種類(PSキャリアテープとPCキャリアテープ)に対するピールオフ強度の性能表である。図4に示す種類の異なるエンボスキャリアテープ11に熱シールする際、シール温度、剥離速度、保管温度の違いに対するカバーテープ10のピールオフ強度の性能表について説明する。
【0044】
尚、この性能表に示すピールオフ強度が0.4N未満の場合は、搬送時の振動等でカバーテープ10が剥離し電子部品が落下する危険があり、標準偏差値(SD)が平均値/10を超える場合は、剥離時の振動が大きくなり電子部品が収納ポケット11aより飛び出すジャンピングトラブルが発生する危険があることを示している。
【0045】
図4に示すピールオフ強度の性能表より、カバーテープ10が被着体のPSキャリアテープ及びPCキャリアテープに熱シールされる温度は160℃と180℃、剥離速度は3000mm/分と300mm/分、熱シールされてからの経過時間が、熱シール直後、常温24Hr保管後、55℃24Hr保管後の包装体12を、ピール装置を使用して夫々のピールオフ強度の平均値と標準偏差値を計測した値である。その結果から、夫々のエンボスキャリアテープ11に熱シールされたカバーテープ10は、搬送時の振動等で剥離してしまうピールオフ強度が0.4N未満となることはなく、且つジャンピングトラブル発生の基準となる標準偏差値が平均値/10を超えることはない。
【0046】
また、カバーテープ10を剥離させるピール速度が、3000mm/分の高速剥離においても、PSキャリアテープ及びPCキャリアテープに対するシール層5の特性は、適正な温度領域で熱シールされた場合のピールオフ強度と標準偏差値は、ほぼ同一で安定した性能であることを示し、その他のAPETキャリアテープに対しても同様の性能を有している。
【0047】
図5は、エンボスキャリアテープ11の種類(PSキャリアテープとPCキャリアテープ)に対する本実施例のカバーテープ10のピールオフ強度の性能表で、図5(a)は熱シール温度変化に対するピールオフ強度のグラフ、図5(b)は保存温度等の環境変化に対するピールオフ強度のグラフである。
【0048】
図5(a)に示す熱シール温度の変化に対するピールオフ強度は、熱シール温度が140℃以上の熱シール温度領域にあれば、エンボスキャリアテープ11からカバーテープ10が搬送時に剥離する危険性はない。また、シール層5が凝集破壊剥離するため、再熱シールが可能であり、通常の熱シールした場合と再熱シールとのピールオフ強度の差は、0〜10g/mm以内に抑えられているため、極めてリサイクル性の高い特徴を備えている。
【0049】
図5(b)に示す環境変化に対するピールオフ強度は、シール直後(R.A.)から保存時間が720Hr後まで、異なる保存環境条件下(23℃湿度50%RH、40℃湿度90%)でも安定したピールオフ強度を示している。従来のカバーテープが高温下で保管された場合、経時変化により接着層の凝集力が低下してピールオフ強度を適正範囲内に保持することが困難となる性質があったが、本実施例のカバーテープ10は、図に示すように熱シール直後のピールオフ強度から、保存環境条件下での経時変化に伴うピールオフ強度との差は0.1N以下に抑えられ優れた保存性能を備えている。
【0050】
以上、本実施例に係るチップ型電子部品包装用カバーテープの特性が、使用される被着体のPS、PC及びAPET等のエンボスキャリアテープの種類に対して、電子部品とカバーテープの摩擦による静電気、或いはカバーテープの剥離時に発生する静電気を抑え、カバーテープの細幅化に伴うテープ強度の低下を防止し、高温下で保管された場合でもカバーテープの透明性の低下を抑え、且つピールオフ強度を適正範囲内に保持することが可能なチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することができる。
【0051】
また、カバーテープを剥離させるピール速度が、3000mm/分の高速剥離にも使用可能なチップ型電子部品包装用カバーテープを提供することができる。
【実施例2】
【0052】
ピールオフ強度が、低速(300mm/分)及び高速(3000mm/分)剥離でのピールオフ強度を、0.6Nに高めたカバーテープ20の構成について説明する。
【0053】
図6に示すシール層樹脂成分の三成分系状態図は、ピールオフ強度を高めるために見直したシール層5の混合組成で、アクリル樹脂をアクリル変性ポリオレフィン樹脂に変更し、熱可塑性エラストマー樹脂にスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を選定し、粘着性付与樹脂は実施例1と同じ石油樹脂で構成された樹脂混合物の構成となっている。この三成分系状態図の中央に示された好ましい領域の混合組成とすることで、ピールオフ強度を0.6Nに高めた新たな構成のカバーテープ20を提供することができる。
【0054】
図6に示すシール層5の三成分系状態図より、夫々の樹脂の特に好ましい混合組成の比率は、アクリル変性ポリオレフィン樹脂が40〜90重量%、粘着付与樹脂が1〜30重量%、スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が1〜30重量%の混合比率が好ましい範囲である。また帯電防止剤として加えられる導電性微粉末の酸化金属の混合比率は、30〜55重量%が好ましい範囲である。
【0055】
次に、シール層5を構成する各樹脂について具体的に説明する。
【0056】
ピールオフ強度を高めるためにアクリル変性ポリオレフィン樹脂は、アクリル樹脂成分が20〜80重量%、ポリオレフィン樹脂成分が20〜80重量%の範囲にあるものが望ましい。例えば、アクリル変性ポリオレフィン樹脂A(アクリル樹脂成分が40重量%、ポリオレフィン樹脂成分が60重量%、アクリル部TGが40〜50℃)と、アクリル変性ポリオレフィン樹脂B(アクリル樹脂成分が70重量%、ポリオレフィン樹脂成分が30重量%、アクリル部TGが139℃)との混合物で、アクリル変性ポリオレフィン樹脂Aが60重量%、アクリル変性ポリオレフィン樹脂Bが40重量%の混合比のアクリル変性ポリオレフィン樹脂等を混合することでより高いピールオフ強度を有するシール層5を提供できる。
【0057】
粘着付与樹脂は、実施例1で示した数平均分子量400〜2000の石油系炭化水素樹脂が良く、例えば、軟化点が120℃のα−メチルスチレンとスチレンの共重合体でクリスタレックス(登録商標)1120等が用いられる。
【0058】
熱可塑性エラストマーには、耐熱老化や耐候性に優れ、更に柔軟性を持つ熱可塑性エラストマー樹脂として代表的なオレフィン系エラストマー(以下オレフィンと記す)を使用し、特にスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂のSEPS,SEEPS,SBS,SEBS,SBBS等のスチレン成分が30〜70重量%含まれる水添スチレン系熱可塑性エラストマー樹脂が望ましい。例えば、水添SEPS樹脂の中でも衝撃強度の物性改良が可能で、広い温度範囲で柔軟なゴムの性質の引張弾性に優れたセプトン(登録商標)2104等が用いられる。水添SEPS樹脂のスチレン/エチレン・プロピレン比は、30/70〜70/30重量%が良く、セプトン(登録商標)2104の場合、スチレンの含有量は65重量%で、流動性を示すMFRは200℃,10kgの条件下で22g/10分、ポリスチレンのハードブロックと柔軟なゴムの性質を示すポリオレフィン構造(水添ポリジエン)のソフトブロックからなるブロック共重合体である。
【0059】
図7は、カバーテープ20のシール層5の組成が、粘着付与樹脂である石油樹脂と、アクリル変性ポリオレフィン樹脂A(図中ではアクリルオレフィンAと記載)とアクリル変性ポリオレフィン樹脂B(図中ではアクリルオレフィンBと記載)との混合比率を変えることで高いピールオフ強度を実現するアクリル変性ポリオレフィン樹脂と、更にオレフィンに代表される熱可塑性エラストマー樹脂の混合の有無により作成された十種類のシール剤からなり、シール層5を構成するシール剤の組成別のピールオフ強度と基本性能を示す図である。オレフィンを含まないシール剤SL2−1〜SL2−5と、オレフィンを11.5重量%含むシール剤のSL2−6〜SL2−10に付いて、その特徴を示した図である。
【0060】
図7(a)は、シール層5のアクリル変性ポリオレフィン樹脂の混合比率等の組成を変えた十種類のシール剤SL2−1〜SL2−10について、そのピールオフ強度と基本性能を示す表である。夫々のシール剤からなるカバーテープ20を、160℃でPC及びPSのエンボスキャリアテープ11に熱シールした直後、ピール速度を低速(300mm/分)と高速(3000mm/分)でエンボスキャリアテープ11から剥離させた時のピールオフ強度と、夫々のシール剤からなるシール層5の表面抵抗値、透明性を示すヘイズ値、及び全光線透過率の基本性能を示す表である。
【0061】
図7(b)は十種類のシール剤SL2−1〜SL2−10の組成別の混合比率を示したグラフで、シール層樹脂成分の組成について、一定量付加された石油樹脂(粘着付与樹脂)とオレフィン(熱可塑性エラストマー樹脂)に対するアクリル変性ポリオレフィン樹脂の最適な混合比率を求めることができる。
【0062】
図8は、図7(a)に示した十種類のシール剤SL2−1〜SL2−10の基本性能を比較するためのグラフである。
【0063】
図8(a)は、シール剤の組成別のピールオフ強度を低速及び高速ピール速度で計測した結果を示し、グラフより20重量%の石油樹脂を混合したアクリル変性ポリオレフィン樹脂は、アクリル変性ポリオレフィン樹脂Aとアクリル変性ポリオレフィン樹脂Bとの混合比率を変えることにより、高いピールオフ強度を実現できることが分かる。
【0064】
しかし、熱可塑性エラストマー樹脂のオレフィンを混合していないシール剤SL2−1〜SL2−5の場合、高いピールオフ強度を持つ反面、エンボスキャリアテープ11の種類やピール速度によってピールオフ強度の変動幅が大きくなることが確認できる。該ピールオフ強度の変動幅を安定させるため、衝撃強度の物性改良機能と広い温度範囲で優れた引張弾性を持つオレフィンを混合したシール剤SL2−6〜SL2−10と比較することで、その性能の違いを確認することができる。
【0065】
その比較結果より、スチレン系エラストマー樹脂等のオレフィンを11.5重量%混合することで、高いピールオフ強度を示すアクリル変性ポリオレフィン樹脂の性能を安定させ、シール層5の低速及び高速剥離におけるピールオフ強度が、エンボスキャリアテープ11の種類に影響されず、安定してピールオフ強度0.6Nを備えたシール層5を持つカバーテープ20を提供することができる。特にシール剤SL2−6〜SL2−9(アクリル変性ポリオレフィン樹脂A:36.5〜43.5重量%、アクリル変性ポリオレフィン樹脂B:32.0〜25.0重量%、石油樹脂:20.0重量%、オレフィン:11.5重量%)は殆ど同じピールオフ強度で、低速で約0.6N、高速で約0.7Nの値を示して安定した性能となっている。
【0066】
図8(b)はシール層5の導電特性を表す表面抵抗値(Ω/□)で、特にオレフィンを11.5重量%混合したSL2−7〜SL2−9のシール剤が9.2E8(9.2×10Ω/□)の低い値を示し、シール層5の好ましい表面抵抗値の10E6〜10E13Ω/□の範囲を十分満足する値となっている。
【0067】
図8(c)のシール層5の透明性を示すヘイズ値は、オレフィンを混合したシール剤SL2−6〜SL2−9が12%前後で安定した値を示し、全光線透過率も80%以上の特性を示し要求性能を十分に満たしている。
【0068】
図9は、オレフィンを混合したシール剤SL2−6〜SL2−10の剥離強度試験の詳細な試験結果を示す性能表である。この性能表から、20重量%の石油樹脂と衝撃強度の物性改良が可能で広い温度範囲でゴム的性質を示すスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂等のオレフィンを11.5重量%混合した場合に、安定したピールオフ強度となるアクリル変性ポリオレフィン樹脂Aとアクリル変性ポリオレフィン樹脂Bの最適な混合比率を求めることができる。
【0069】
実施例1でも記述したように、この性能表からピールオフ強度が0.4N未満のカバーテープの場合は、搬送時の振動等で剥離し電子部品が落下する可能性があり、標準偏差値が平均値/10を超える場合は、剥離時の振動が大きくなり電子部品が収納ポケット11aより飛び出すジャンピングトラブルが発生する可能性がある。
【0070】
図9に示すカバーテープ20のシール剤組成別の剥離強度試験では、被着体のPSキャリアテープ及びPCキャリアテープに熱シールされる温度を160℃、外部環境を28℃、湿度41%の条件における熱シール直後の包装体12について、剥離速度が高速の3000mm/分と低速の300mm/分におけるピールオフ強度の平均値と標準偏差値を計測した値である。
【0071】
その試験結果から、夫々のエンボスキャリアテープ11に熱シールされるカバーテープ20について、衝撃強度の物性改良機能と広い温度範囲で優れた引張弾性を持つスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂を混合した場合の、アクリル変性ポリオレフィン樹脂Aとアクリル変性ポリオレフィン樹脂Bが最適な混合比率となるシール剤を選定し、要求される安定したピールオフ強度を持つカバーテープ20を提供できる。
【0072】
図9に示すシール層5の性能は、高速でのピールオフ強度の平均値が0.670〜1.147で、特にシール剤SL2−7〜SL2−9の値が0.691〜0.722と安定している。また、低速でのピールオフ強度の平均値は0.560〜0.955Nで、特にシール剤SL2−7〜SL2−9の値が、0.583〜0.593Nで安定した値を示している。
【0073】
従って、高いピールオフ強度を実現するアクリル変性ポリオレフィン樹脂Aとアクリル変性ポリオレフィン樹脂Bの最適な混合比率からなるアクリル変性ポリオレフィン樹脂と、衝撃強度の物性改良機能と広い温度範囲で優れた引張弾性を持つスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂とを混合したシール剤SL2−7〜SL2−9(アクリル変性ポリオレフィン樹脂A:39.0〜43.5重量%、アクリル変性ポリオレフィン樹脂B:29.5〜25.0重量%、石油樹脂:20.0重量%、オレフィン:11.5重量%)は、熱シールされるエンボスキャリアテープ11の種類に左右されることなく要求されているピールオフ強度0.6Nを十分満足する安定した性能を有し、またジャンピングトラブル発生の基準となる標準偏差値も、平均値/10の値を超えることのない性能を有したシール層5のカバーテープ20を提供することができる。
【0074】
その他のカバーテープ20を構成する帯電防止層1、基材層2、層間接着層3、中間層4に付いては、実施例1のカバーテープ10と同一のため説明は省略する。
【0075】
以上、図7、図8及び図9に示すカバーテープは、シール層が20重量%の粘着付与樹脂と、熱可塑性エラストマーとして11.5重量%のオレフィンに対し、アクリル樹脂成分とポリオレフィン樹脂成分の最適な混合比率からなるアクリル変性ポリオレフィン樹脂とを混合することで、要求されているピールオフ強度0.6Nを十分満足する安定した性能を持つカバーテープを提供することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 帯電防止層
2 基材層
3 層間接着層
4 中間層
5 導電性熱接着層(シール層に対応)
10 チップ型電子部品包装用カバーテープ
11 エンボスキャリアテープ
11a 収納ポケット
12 包装体
20 チップ型電子部品包装用カバーテープ
PC ポリカーボネート
PS ポリスチレン
PE ポリエチレン
PET ポリエチレンテレフタレート
PP ポリプロピレン
EVA エチレンビニルアセテート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ型電子部品を収納する収納ポケットが形成されたエンボスキャリアテープに熱シールされるチップ型電子部品包装用カバーテープであって、
帯電防止剤を含む帯電防止層と、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン(登録商標)のいずれか一種からなる二軸延伸プラスチックフィルムの基材と、ポリエチレンからなる中間層と、前記基材と前記中間層を接着する接着剤層と、前記エンボスキャリアテープに熱シールされるシール層とで形成された多層構造を有し、
前記シール層が、熱可塑性エラストマー樹脂と粘着付与樹脂とアクリル樹脂との樹脂混合物からなり、当該樹脂混合物に酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムのいずれか一種からなる酸化金属の導電性微粉末が分散されていることを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項2】
前記シール層を構成する前記樹脂混合物が、前記熱可塑性エラストマー樹脂が14〜49重量%、前記粘着付与樹脂が1〜35重量%、前記アクリル樹脂が1〜35重量%であり、分散される前記酸化金属が30〜55重量%であることを特徴とする請求項1記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマー樹脂が、スチレンブタジエン樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体樹脂、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体樹脂のいずれか一種またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項4】
前記中間層の密度が、0.8〜0.909g/cmの前記ポリエチレンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項5】
チップ型電子部品を収納する収納ポケットが形成されたエンボスキャリアテープに熱シールされるチップ型電子部品包装用カバーテープであって、
帯電防止剤を含む帯電防止層と、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロン(登録商標)のいずれか一種からなる二軸延伸プラスチックフィルムの基材と、ポリエチレンからなる中間層と、前記基材と前記中間層を接着する接着剤層と、前記エンボスキャリアテープに熱シールされるシール層とで形成された多層構造を有し、
前記シール層が、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、粘着付与樹脂及び熱可塑性エラストマー樹脂との樹脂混合物からなり、当該樹脂混合物に酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムのいずれか一種からなる酸化金属の導電性微粉末が分散されていることを特徴とするチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項6】
前記シール層を構成する前記樹脂混合物が、前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂が40〜90重量%、前記粘着付与樹脂が1〜30重量%、前記熱可塑性エラストマー樹脂が1〜30重量%であることを特徴とする請求項5記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項7】
前記アクリル変性ポリオレフィン樹脂は、アクリル樹脂成分が20〜80重量%、ポリオレフィン樹脂成分が20〜80重量%の範囲であることを特徴とする請求項5または請求項6記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。
【請求項8】
前記熱可塑性エラストマー樹脂は、スチレン成分を30〜70重量%含むスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂からなることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のチップ型電子部品包装用カバーテープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−6658(P2012−6658A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24129(P2011−24129)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(594146906)株式会社ラインプラスチック (6)
【出願人】(592215435)株式会社ティ−アンドケイ東華 (12)
【Fターム(参考)】