チップ抵抗器およびチップ抵抗器の製造方法
【課題】側面電極同士の導通を防止することができるチップ抵抗器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】チップ抵抗器は、上面の一方向と交差する他方向の両縁に一方向に延びる凹部1aを有する絶縁基板2と、絶縁基板2の上面上に形成された抵抗体3と、抵抗体3と電気的に接続され、かつ絶縁基板1の上面上に形成された上面電極2と、上面電極2と電気的に接続されており、かつ絶縁基板1の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成された側面電極4と、凹部1a上に形成された隆起部5とを備えている。
【解決手段】チップ抵抗器は、上面の一方向と交差する他方向の両縁に一方向に延びる凹部1aを有する絶縁基板2と、絶縁基板2の上面上に形成された抵抗体3と、抵抗体3と電気的に接続され、かつ絶縁基板1の上面上に形成された上面電極2と、上面電極2と電気的に接続されており、かつ絶縁基板1の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成された側面電極4と、凹部1a上に形成された隆起部5とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ抵抗器およびチップ抵抗器の製造方法に関し、特に、側面電極を備えたチップ抵抗器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ抵抗器およびその製造方法は、たとえば特開2003−282304号公報(特許文献1)に開示されている。この公報に記載されたチップ抵抗器では、絶縁基板の上面に上面電極と抵抗体層とが形成されている。そして抵抗体の表面に第1保護層と第2保護層とが形成されている。また、絶縁基板の端面に外部電極層が形成されている。
【0003】
このチップ抵抗器の製造方法では、多数個取りの絶縁基板が分割されて個別のチップ抵抗器が形成される。多数個取りの絶縁基板は分割用の1次分割用溝および2次分割用溝によって個別の抵抗器領域に区画される。絶縁基板の上面に厚膜グレーズペーストが焼成されることによって上面電極が形成される。その後、抵抗ペーストが焼成されることによって抵抗体が形成される。続いて、抵抗体の上面にガラスペーストが焼成されることによって第1保護層が形成される。ここで抵抗値を調整するためにレーザ光を用いたトリミングが行われる。続いて、第1保護層を覆うように合成樹脂が固化されることによって第2保護層が形成される。
【0004】
1次分割用溝に沿って短冊状に分割された絶縁基板の端面が外部電極層の材料に浸漬されることによって外部電極層が形成される。続いて、2次分割用溝に沿って絶縁基板が個別に分割される。その後、外部電極層の表面に電解メッキによりニッケルメッキ層が形成され、ニッケルメッキ層上に電解メッキによりハンダメッキ層が形成される。このようにして、チップ抵抗器が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−282304号公報(特許文献1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報に記載されたチップ抵抗器の製造方法では、短冊状に分割された絶縁基板の端面が外部電極層の材料に浸漬された際、2次分割用溝に外部電極層の材料が入り込む。このとき、絶縁基板の両端面が外部電極層の材料に浸漬されるので、該両端面から2次分割用溝に外部電極層の材料が入り込むこととなり、2次分割用溝を介して外部電極層同士が繋がることがある。つまり、絶縁基板の側面に形成された側面電極同士が電気的に接続されることがある。この場合、電流が流れた際に側面電極同士が導通してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、側面電極同士の導通を防止することができるチップ抵抗器およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチップ抵抗器は、上面の一方向と交差する他方向の両縁に一方向に延びる凹部を有する絶縁基板と、絶縁基板の上面上に形成された抵抗体と、抵抗体と電気的に接続され、かつ絶縁基板の上面上に形成された上面電極と、上面電極と電気的に接続されており、かつ絶縁基板の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成された側面電極と、凹部上に形成された隆起部とを備えている。
【0009】
本発明のチップ抵抗器では、絶縁基板の上面の凹部上に隆起部が形成されているため、側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることを抑制することができる。これにより、凹部を介して側面電極の電極材料が繋がることによって側面電極同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極同士の導通を防止することができる。
【0010】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は上面より高い位置に達するように形成されている。このため、側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることをさらに抑制することができる。
【0011】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は上面の一方向の両端部に形成されている。このため、絶縁基板の上面の両端部で、側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることを抑制することができる。これにより、凹部での側面電極の電極材料同士の間隔を十分に保持することができる。
【0012】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は側面電極と接触するように形成されている。このため、隆起部が側面電極と接触することによって側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることを抑制することができる。
【0013】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部の材料は絶縁体からなる。このため、隆起部で側面電極を絶縁することができる。
【0014】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含む。このため、隆起部を容易に製造することができる。
【0015】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は可視光に対して透明な材料で形成されている。このため、意匠性を確保しながら隆起部が凹部上に形成されていることも視認できる。これにより信頼性を向上することができる。
【0016】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、抵抗体を覆うカバーコートをさらに備え、カバーコートと隆起部とは同じ材料で形成されている。このため、カバーコートによって抵抗体を保護することができる。また、カバーコートと隆起部とを一括して形成することができるので生産性を向上することができる。
【0017】
本発明のチップ抵抗器の製造方法は、以下の工程を備えている。上面の一方向に延びる溝を有する帯状絶縁基板が準備される。帯状絶縁基板の一方向の両端部の上面上に上面電極が複数形成される。帯状絶縁基板の上面上に上面電極と接するように一方向に延びる抵抗体が複数形成される。溝上に隆起部が複数形成される。帯状絶縁基板の一方向の両側面を電極材料上に接触させることによって側面電極がそれぞれ形成される。各々が上面電極と抵抗体と隆起部と側面電極を有するように帯状絶縁基板が溝に沿って分割される。
【0018】
本発明のチップ装置の製造方法では、帯状絶縁基板の上面の溝上に隆起部が複数形成されているため、帯状絶縁基板の両側面を電極材料上に接触させた際に、電極材料が隆起部を超えて溝を流れることを抑制することができる。これにより、溝を介して電極材料が繋がることによって側面電極同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極同士の導通を防止することができる。
【0019】
上記のチップ抵抗器の製造方法において好ましくは、抵抗体を覆うようにカバーコートが形成される。カバーコートと隆起部とは同時に形成される。このため、カバーコートによって抵抗体を保護することができる。また、カバーコートと隆起部とを同時に形成することができるので生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、側面電極同士の導通を防止することができるチップ抵抗器およびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の概略上面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う概略断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例1の概略断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例2の概略断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例3の概略上面図である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例4の概略断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、絶縁基板が準備される工程を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、上面電極が形成される工程を示す概略斜視図である。
【図11】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、抵抗体が形成される工程を示す概略斜視図である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、カバーコートが形成される工程を示す概略斜視図である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、側面電極が形成される工程を示す概略側面図である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、側面電極が形成された状態を示す概略側面図である。
【図15】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、上面電極が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図16】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、抵抗体が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図17】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、アンダーコートが形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図18】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、トップコートが形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図19】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、側面電極が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図20】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、めっき層が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図21】比較例の側面電極が形成される工程を示す概略側面図である。
【図22】比較例の側面電極が形成された状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の構成について説明する。
【0023】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器は、絶縁基板1と、上面電極2と、抵抗体3と、側面電極4と、隆起部5と、カバーコート6と、めっき層7とを主に有している。絶縁基板1は、凹部1aを有している。凹部1aは絶縁基板1の上面の一方向と交差する他方向の両縁に一方向に延びるように形成されている。絶縁基板1の材料はたとえばセラミックである。
【0024】
上面電極2は、絶縁基板1の上面上に形成されている。一対の上面電極2は、絶縁基板1の一方向の両端部に形成されている。上面電極2は、たとえば銀を主成分とする導電性ペーストを焼成することで形成されている。抵抗体3は、絶縁基板1の上面上に形成されている。抵抗体3は一対の上面電極2の互いをつなぐように形成されている。抵抗体3は一方向に延びるように形成されている。抵抗体3は、両端の一部が一対の上面電極2のそれぞれの一部に重なるように形成されている。抵抗体3は、たとえばその材料ペーストを焼成することで形成されている。上面電極2と抵抗体3とは電気的に接続されている。
【0025】
側面電極4は、上面電極2と電気的に接続されている。側面電極4は絶縁基板1の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成されている。側面電極4は上面電極2の一部と重なるように形成されている。側面電極4は、絶縁基板1の上面および下面のそれぞれの一部を覆うように形成されている。側面電極4は、その材料となる導電性ペーストを焼成することで形成されている。
【0026】
隆起部5は凹部1a上に形成されている。隆起部5は絶縁基板1の上面より高い位置に達するように形成されている。隆起部5は絶縁基板1の上面の一方向の両端部に形成されている。隆起部5は側面電極4と接触するように形成されている。隆起部5の材料は、導電体であっても絶縁体であってもよいが、絶縁体からなることが好ましい。隆起部5の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含んでいることがさらに好ましい。また隆起部5は可視光に対して透明な材料で形成されていることが好ましい。ここで可視光とは短波長側で360nm〜400nm、長波長側で760nm〜830nmの波長を有する光である。可視光に対して透明な材料とは、上記の波長の光を透過する材料である。
【0027】
図1に示すように隆起部5は1つの凹部1aに二箇所形成されている。二箇所の隆起部5は凹部1aにおいてそれぞれ側面電極4側の端部近傍に設けられており、隆起部5同士の間は離間している。さらに具体的には、凹部1aにおいて隆起部5の内側の端部5aの位置は上面電極2の内側の端部2aよりも外側に設けられている。すなわち、隆起部5同士の間隔は、上面電極2同士の間隔よりも大きい。さらに隆起部5の外側の端部5bは絶縁基板1の端面1bから内側に位置している。このように、隆起部5は、上面電極2よりも幅が小さくなるように形成されている。これにより、凹部1aに過剰な量の隆起部5が形成されてしまうことに起因して、凹部1aに沿って絶縁基板1をブレイクする際にブレイクしにくくなることを抑制できる。また、隆起部5の一部を覆うように側面電極4が形成されている。すなわち、図3に示すように隆起部5の内側部分は側面電極4に覆われておらず、図4に示すように隆起部5の外側部分は側面電極4に覆われている。
【0028】
カバーコート6は抵抗体3を覆うように形成されている。カバーコート6は、アンダーコート6aとトップコート6bとを主に有している。アンダーコート6aは抵抗体3を覆うように形成されている。アンダーコート6aを覆うようにトップコート6bは形成されている。カバーコート6と隆起部5とは同じ材料で形成されていてもよい。少なくとも、アンダーコート6aと隆起部5とが同じ材料で形成されていることが好ましい。アンダーコート6aには抵抗値を調整するためにレーザ光の照射などによってトリミング溝が形成されている。アンダーコート6aおよびトップコート6bはたとえばガラスペーストを焼成することで形成されている。なお、トップコート6bは樹脂を硬化することで形成されていてもよい。めっき層7は側面電極4を覆うように形成されている。めっき層7はたとえばニッケルめっき層に半田めっき層または錫めっき層を重ねて形成されてされている。
【0029】
なお、上記ではカバーコート6は2層で形成されている場合について説明したがこれに限定されない。カバーコート6は1層で形成されていてもよい。つまりカバーコート6はアンダーコート6aを有さずトップコート6bのみを有していてもよい。
【0030】
また、図5を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例1のようにカバーコート6は3層で形成されていてもよい。変形例1では、カバーコート6は、アンダーコート6aとトップコート6bとによって挟まれたミドルコート6cを有している。ミドルコート6cはアンダーコート6aを覆うように形成されている。ミドルコート6cはトップコート6bによって覆われている。ミドルコート6cはアンダーコート6aのトリミング溝を埋めるように形成されている。この場合、アンダーコート6a、トップコート6bおよびミドルコート6cはガラスからなる構成であってもよい。
【0031】
また、図6を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例2のようにチップ抵抗器は下面電極8を有していてもよい。変形例2では、下面電極8は、絶縁基板1の下面上に形成されている。一対の下面電極8は、絶縁基板1の一方向の両端部に形成されている。下面電極8は、たとえば銀を主成分とする導電性ペーストを焼成することで形成されている。
【0032】
また、図7を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例3のように隆起部5が側面電極4で覆われていなくてもよい。変形例3では、側面電極4は隆起部5の側面電極4側の端面まで形成され得る。
【0033】
また、図8を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例4のように一つの凹部1aに対して隆起部5が一つ設けられていてもよい。この場合でも両側の側面電極4の短絡を防止できる。この場合、隆起部5は絶縁体で形成されている。
【0034】
基本的に凹部1aに隆起部5が形成されていれば側面電極4の短絡は防止することができるが、図1、図7および図8に示すように絶縁基板1のブレイクを阻害しないようにするために、必要最小限の領域に隆起部5を形成することが好ましい。
【0035】
次に、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の製造方法について説明する。
図9を参照して、まず、たとえばセラミックからなる素材基板100が準備される。素材基板100の上面には第1溝(縦溝)11と第2溝(横溝)12が形成されている。第1溝11は一方向(縦方向)に延びるように形成されており、第2溝12は一方向に交差する他方向(横方向)に延びるように形成されている。第1溝11および第2溝12は、素材基板100を形成する際に金型に設けられた凸部によって成形された後に焼成されて形成される。なお、第1溝11および第2溝12は、焼成後の素材基板100の上面にレーザー光を照射することによって形成されてもよい。
【0036】
第1溝11および第2溝12によって区画された個々の領域が1つのチップ抵抗器の絶縁基板1(図1)となる。つまり、素材基板100は、第1溝11および第2溝12によって区画される1つのチップ抵抗器の絶縁基板1が縦方向および横方向に並べられて一体化されて構成されている。なお、素材基板100の最外周にはチップ抵抗器が形成されない余白部が一体的に形成されている。
【0037】
また、後述するように、第2溝12に沿ってダイシング加工させることによって1つのチップ抵抗器が他方向に並べられて一体化された帯状絶縁基板10(図13)が形成される。本実施の一形態のチップ抵抗器の製造方法では素材基板100が準備された状態から製造が開始されているが、帯状絶縁基板10が準備された状態から製造が開始されてもよい。つまり、短冊状の帯状絶縁基板10が準備され、以下の工程が進められてもよい。
【0038】
図10を参照して、素材基板100の第2溝12を一方向に跨ぐように銀を主成分とする導電性ペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、この導電性ペーストが焼成されて上面電極2が形成される。このようにして、素材基板100の上面において、1つのチップ抵抗器の両端部となる位置に上面電極2が形成される。これにより、帯状絶縁基板10の一方向の両端部の上面上に上面電極2が複数形成される。
【0039】
図11を参照して、第1溝11と第2溝12に囲まれた領域内で一方向に向かい合う上面電極2の一部に重なるように上面電極2の材料ペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、この材料ペーストが焼成されて抵抗体3が形成される。このようにして、素材基板100の上面において、1つのチップ抵抗器の中央部に上面電極2をつなぐように抵抗体3が形成される。これにより、帯状絶縁基板10の上面上に上面電極2と接するように一方向に延びる抵抗体3が複数形成される。
【0040】
なお、上記では上面電極2が形成された後に抵抗体3が形成される場合について説明したが、上面電極2および抵抗体3の形成される順番はこれに限定されない。つまり、抵抗体3が先に形成され、次いで上面電極2が形成されてもよい。
【0041】
また、下面電極8(図6)が形成される場合には、上面電極2が形成された後、または上面電極2が形成される前に上面電極2と同様に下面電極8が形成される。
【0042】
図12を参照して、抵抗体3を覆うようにアンダーコート6a(図2)の材料となるガラスペーストがスクリーン印刷によって塗布される。これと同時に、1つのチップ抵抗器の両端部の位置において、第1溝11上に隆起部5の材料となるガラスペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、これらのガラスペーストが焼成されてアンダーコート6aと隆起部5とが同時に形成される。これにより、第1溝11上に隆起部5が複数形成される。
【0043】
また、これらのガラスコートは同じ材料であってもよい。これにより、アンダーコート6aと隆起部5とが一括して形成される。その後、アンダーコート6aに抵抗値を調整するためにレーザ光の照射などによってトリミング溝が形成される。これにより抵抗値が所定値になるようにトリミング調整が行われる。
【0044】
アンダーコート6aを覆うようにトップコート6b(図2)の材料となるガラスペーストまたは樹脂ペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、ガラスペーストの場合にはこのガラスペーストが焼成されてトップコート6bが形成される。また樹脂ペーストの場合にはこの樹脂ペーストが固化されてトップコート6bが形成される。このようにして、抵抗体3を覆うようにカバーコート6が形成される。1つのチップ抵抗器を構成する領域内にカバーコート6がそれぞれ形成されるため、カバーコート6が第1溝11および第2溝12上に形成されない。このため、カバーコート6によってチップ抵抗器の分割が妨げれらない。
【0045】
なお、ミドルコート6c(図5)が形成される場合には、アンダーコート6aを覆うようにミドルコート6cの材料となるガラスペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、このガラスペーストが焼成されてミドルコート6cが形成される。この後、ミドルコート6cを覆うようにトップコート6bが形成される。
【0046】
続いて、第2溝12に沿ってダイシング加工されることによって、図12中P1部で示される帯状絶縁基板10が分割される。またダイシング加工に替えて、第2溝12に沿ってブレイクされることによって帯状絶縁体基板10が分割されてもよい。
【0047】
図13および図14を参照して、帯状絶縁基板10の一方向の端面が一方ずつ側面電極4の電極材料4aである導電性ペースト上に接触するように、帯状絶縁基板10は図中矢印方向に移動する。そして、テーブル20上に載置された電極材料4aに帯状絶縁基板10の端面を一方ずつ浸漬(ディップ)させることによって、帯状絶縁基板10の両端面に電極材料4aが塗布される。帯状絶縁基板1の端面を電極材料4aに浸漬させると第1溝11を電極材料4aが這い上がるが、隆起部5によって第1溝11が塞がれているため、電極材料4aは隆起部5より上方へ這い上がることができない。このため、隆起部5によって第1溝11で電極材料4aが繋がることが防がれる。なお、電極材料4aは隆起部5の絶縁基板1の一方向の端面側の一部を覆うように塗布されていてもよい。なお、ディップに替えてローラで端面に導電性ペーストが塗布されてもよい。この場合でも電極材料4aの這い上がりの可能性があるので隆起部5を設ける必要がある。
【0048】
この導電性ペーストが焼成されて帯状絶縁基板10の一方向の両端面に側面電極4がそれぞれ形成される。側面電極4は、帯状絶縁基板10の上面および下面の一部を覆うように形成される。なお、側面電極4は隆起部5の絶縁基板1の一方向の端面側の一部を覆うように形成されてもよい。
【0049】
続いて、第1溝11に沿ってダイシング加工またはブレイクされて帯状絶縁基板10が図14中P2で示される個々のチップ抵抗器に分割される。これにより、チップ抵抗器の各々が上面電極2と抵抗体3と側面電極4と隆起部5とを有するように帯状絶縁基板10が第1溝11に沿って分割される。側面電極4の表面に、ニッケルめっき層に半田めっき層または錫めっき層を重ねるようにめっき層7が形成される。これにより、図1に示すチップ抵抗器が形成される。
【0050】
なお、第1溝11および第2溝12は、素材基板100の下面に形成されていてもよい。下面から見て上面と重なる位置に第1溝11および第2溝12は形成されている。これにより、上面および下面の両方で第1溝および第2溝12の位置で素材基板100の厚みが薄くなるためチップ抵抗器の分割が容易になる。この場合、下面における側面電極4同士の導通を防止するために下面の第1溝11にも隆起部5が形成されていることが好ましい。
【0051】
さらに、図15〜図20を参照して、1つのチップ抵抗器が形成される様子について説明する。図15〜図20では、各図(A)は図2に対応する断面図であり、各図(B)は図3に対応する断面図である。
【0052】
図15(A)および(B)に示すように、絶縁基板1の上面上の両端部に上面電極2が形成される。その後、図16(A)および(B)に示すように、絶縁基板1の上面上に一対の上面電極2間にわたって抵抗体3が形成される。次いで、図17(A)および(B)に示すように、抵抗体3を覆うようにアンダーコート6aが形成される。また、絶縁基板1の凹部1a上に隆起部5が形成される。隆起部5は絶縁基板1の上面より高い位置まで形成される。隆起部5は凹部1aを埋めるように形成される。その後、図18(A)および(B)に示すように、アンダーコート6a上にトップコート6bが形成される。次いで、図19(A)および(B)に示すように、絶縁基板1の両側面を覆うようにそれぞれ側面電極4が形成される。その後、図20(A)および(B)に示すように、側面電極4を覆うようにめっき層7が形成される。
【0053】
なお、隆起部5となるペーストが印刷される際のペーストの粘度によっては、隆起部5が第1溝11に完全に埋め込まれず、第1溝11内面と隆起部5との間に隙間が生じる場合も発生し得る。しかし、この場合でも、隆起部5によって側面電極4の電極材料が第1溝11を流れることを抑制することができるため側面電極4の短絡を抑制する効果は十分にある。
【0054】
また、樹脂、ガラスに限らず、トップコート6bは通常黒色などに着色されている。そのためトップコート6bと同時に隆起部5を形成するよりもアンダーコート6aと同時に隆起部5を形成することが好ましい。
【0055】
次に、本発明の作用効果について比較例と対比して説明する。
図21および図22を参照して、比較例では隆起部5が形成されていない。そのため、側面電極4が形成される際に、帯状絶縁基板10の一方向の端面が電極材料4aに浸漬されると、第1溝11を電極材料4aが這い上がる。これにより、第1溝11に電極材料4aが流れ込み、第1溝11で電極材料4aがつながる。この状態で電極材料4aが焼成されることによって側面電極4同士が繋がった状態で形成される。このため、側面電極4同士が導通する。なお、第1溝11で側面電極4が完全に繋がらない場合でも側面電極4上に形成されるめっき層8を介して側面電極4同士が導通することがある。
【0056】
それに対して、本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、絶縁基板1の上面の凹部1a上に隆起部5が形成されているため、側面電極4の電極材料が隆起部5を超えて凹部1aを流れることを抑制することができる。これにより、凹部1aを介して側面電極4の電極材料4aが繋がることによって側面電極4同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極4同士の導通を防止することができる。
【0057】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は絶縁基板1の上面より高い位置に達するように形成されているため、側面電極4の電極材料4aが隆起部5を超えて凹部1aを流れることをさらに抑制することができる。
【0058】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は絶縁基板1の上面の一方向の両端部に形成されているため、絶縁基板1の上面の両端部で、側面電極4の電極材料4aが隆起部5を超えて凹部1aを流れることを抑制することができる。これにより、凹部1aでの側面電極4の電極材料4a同士の間隔を十分に保持することができる。
【0059】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は側面電極4と接触するように形成されているため、隆起部5が側面電極4と接触することによって側面電極4の電極材料4aが隆起部5を超えて凹部に流れることを抑制することができる。
【0060】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5の材料は絶縁体からなるため、隆起部5で側面電極4を絶縁することができる。
【0061】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含むため、隆起部5を容易に製造することができる。
【0062】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は可視光に対して透明な材料で形成されているため、意匠性を確保しながら隆起部5が凹部1a上に形成されていることも視認できる。これにより信頼性を向上することができる。
【0063】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、抵抗体3を覆うカバーコート6をさらに備え、カバーコート6と隆起部5とは同じ材料で形成されているため、カバーコート6によって抵抗体3を保護することができる。また、カバーコート6と隆起部5とを一括して形成することができるので生産性を向上することができる。
【0064】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器の製造方法では、帯状絶縁基板10の上面の第1溝11上に隆起部5が複数形成されているため、帯状絶縁基板10の両側面を電極材料4a上に接触させた際に、電極材料4aが隆起部5を超えて第1溝11を流れることを抑制することができる。これにより、第1溝11を介して電極材料4aが繋がることによって側面電極4同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極4同士の導通を防止することができる。
【0065】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器の製造方法では、抵抗体3を覆うようにカバーコート6が形成され、カバーコート6と隆起部5とは同時に形成される。このため、カバーコート6によって抵抗体3を保護することができる。また、カバーコート6と隆起部5とを同時に形成することができるので生産性を向上することができる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、側面電極を備えたチップ抵抗器およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0068】
1 絶縁基板、1a 凹部、2 上面電極、3 抵抗体、4 側面電極、4a 電極材料、5 隆起部、6 カバーコート、6a アンダーコート、6b トップコート、6c ミドルコート、7 めっき層、8 下面電極、10 帯状絶縁基板、11 第1溝(溝)、12 第2溝、20 テーブル、100 素材基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ抵抗器およびチップ抵抗器の製造方法に関し、特に、側面電極を備えたチップ抵抗器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ抵抗器およびその製造方法は、たとえば特開2003−282304号公報(特許文献1)に開示されている。この公報に記載されたチップ抵抗器では、絶縁基板の上面に上面電極と抵抗体層とが形成されている。そして抵抗体の表面に第1保護層と第2保護層とが形成されている。また、絶縁基板の端面に外部電極層が形成されている。
【0003】
このチップ抵抗器の製造方法では、多数個取りの絶縁基板が分割されて個別のチップ抵抗器が形成される。多数個取りの絶縁基板は分割用の1次分割用溝および2次分割用溝によって個別の抵抗器領域に区画される。絶縁基板の上面に厚膜グレーズペーストが焼成されることによって上面電極が形成される。その後、抵抗ペーストが焼成されることによって抵抗体が形成される。続いて、抵抗体の上面にガラスペーストが焼成されることによって第1保護層が形成される。ここで抵抗値を調整するためにレーザ光を用いたトリミングが行われる。続いて、第1保護層を覆うように合成樹脂が固化されることによって第2保護層が形成される。
【0004】
1次分割用溝に沿って短冊状に分割された絶縁基板の端面が外部電極層の材料に浸漬されることによって外部電極層が形成される。続いて、2次分割用溝に沿って絶縁基板が個別に分割される。その後、外部電極層の表面に電解メッキによりニッケルメッキ層が形成され、ニッケルメッキ層上に電解メッキによりハンダメッキ層が形成される。このようにして、チップ抵抗器が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−282304号公報(特許文献1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報に記載されたチップ抵抗器の製造方法では、短冊状に分割された絶縁基板の端面が外部電極層の材料に浸漬された際、2次分割用溝に外部電極層の材料が入り込む。このとき、絶縁基板の両端面が外部電極層の材料に浸漬されるので、該両端面から2次分割用溝に外部電極層の材料が入り込むこととなり、2次分割用溝を介して外部電極層同士が繋がることがある。つまり、絶縁基板の側面に形成された側面電極同士が電気的に接続されることがある。この場合、電流が流れた際に側面電極同士が導通してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、側面電極同士の導通を防止することができるチップ抵抗器およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のチップ抵抗器は、上面の一方向と交差する他方向の両縁に一方向に延びる凹部を有する絶縁基板と、絶縁基板の上面上に形成された抵抗体と、抵抗体と電気的に接続され、かつ絶縁基板の上面上に形成された上面電極と、上面電極と電気的に接続されており、かつ絶縁基板の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成された側面電極と、凹部上に形成された隆起部とを備えている。
【0009】
本発明のチップ抵抗器では、絶縁基板の上面の凹部上に隆起部が形成されているため、側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることを抑制することができる。これにより、凹部を介して側面電極の電極材料が繋がることによって側面電極同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極同士の導通を防止することができる。
【0010】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は上面より高い位置に達するように形成されている。このため、側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることをさらに抑制することができる。
【0011】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は上面の一方向の両端部に形成されている。このため、絶縁基板の上面の両端部で、側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることを抑制することができる。これにより、凹部での側面電極の電極材料同士の間隔を十分に保持することができる。
【0012】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は側面電極と接触するように形成されている。このため、隆起部が側面電極と接触することによって側面電極の電極材料が隆起部を超えて凹部を流れることを抑制することができる。
【0013】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部の材料は絶縁体からなる。このため、隆起部で側面電極を絶縁することができる。
【0014】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含む。このため、隆起部を容易に製造することができる。
【0015】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、隆起部は可視光に対して透明な材料で形成されている。このため、意匠性を確保しながら隆起部が凹部上に形成されていることも視認できる。これにより信頼性を向上することができる。
【0016】
上記のチップ抵抗器において好ましくは、抵抗体を覆うカバーコートをさらに備え、カバーコートと隆起部とは同じ材料で形成されている。このため、カバーコートによって抵抗体を保護することができる。また、カバーコートと隆起部とを一括して形成することができるので生産性を向上することができる。
【0017】
本発明のチップ抵抗器の製造方法は、以下の工程を備えている。上面の一方向に延びる溝を有する帯状絶縁基板が準備される。帯状絶縁基板の一方向の両端部の上面上に上面電極が複数形成される。帯状絶縁基板の上面上に上面電極と接するように一方向に延びる抵抗体が複数形成される。溝上に隆起部が複数形成される。帯状絶縁基板の一方向の両側面を電極材料上に接触させることによって側面電極がそれぞれ形成される。各々が上面電極と抵抗体と隆起部と側面電極を有するように帯状絶縁基板が溝に沿って分割される。
【0018】
本発明のチップ装置の製造方法では、帯状絶縁基板の上面の溝上に隆起部が複数形成されているため、帯状絶縁基板の両側面を電極材料上に接触させた際に、電極材料が隆起部を超えて溝を流れることを抑制することができる。これにより、溝を介して電極材料が繋がることによって側面電極同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極同士の導通を防止することができる。
【0019】
上記のチップ抵抗器の製造方法において好ましくは、抵抗体を覆うようにカバーコートが形成される。カバーコートと隆起部とは同時に形成される。このため、カバーコートによって抵抗体を保護することができる。また、カバーコートと隆起部とを同時に形成することができるので生産性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、側面電極同士の導通を防止することができるチップ抵抗器およびその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の概略上面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う概略断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例1の概略断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例2の概略断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例3の概略上面図である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の変形例4の概略断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、絶縁基板が準備される工程を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、上面電極が形成される工程を示す概略斜視図である。
【図11】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、抵抗体が形成される工程を示す概略斜視図である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、カバーコートが形成される工程を示す概略斜視図である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、側面電極が形成される工程を示す概略側面図である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、側面電極が形成された状態を示す概略側面図である。
【図15】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、上面電極が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図16】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、抵抗体が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図17】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、アンダーコートが形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図18】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、トップコートが形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図19】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、側面電極が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図20】本発明の一実施の形態におけるチップ抵抗器の製造方法において、めっき層が形成された状態を示す概略断面図であって、図1のII−II線に沿う図(A)とIII−III線に沿う図(B)である。
【図21】比較例の側面電極が形成される工程を示す概略側面図である。
【図22】比較例の側面電極が形成された状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の構成について説明する。
【0023】
図1〜図4を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器は、絶縁基板1と、上面電極2と、抵抗体3と、側面電極4と、隆起部5と、カバーコート6と、めっき層7とを主に有している。絶縁基板1は、凹部1aを有している。凹部1aは絶縁基板1の上面の一方向と交差する他方向の両縁に一方向に延びるように形成されている。絶縁基板1の材料はたとえばセラミックである。
【0024】
上面電極2は、絶縁基板1の上面上に形成されている。一対の上面電極2は、絶縁基板1の一方向の両端部に形成されている。上面電極2は、たとえば銀を主成分とする導電性ペーストを焼成することで形成されている。抵抗体3は、絶縁基板1の上面上に形成されている。抵抗体3は一対の上面電極2の互いをつなぐように形成されている。抵抗体3は一方向に延びるように形成されている。抵抗体3は、両端の一部が一対の上面電極2のそれぞれの一部に重なるように形成されている。抵抗体3は、たとえばその材料ペーストを焼成することで形成されている。上面電極2と抵抗体3とは電気的に接続されている。
【0025】
側面電極4は、上面電極2と電気的に接続されている。側面電極4は絶縁基板1の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成されている。側面電極4は上面電極2の一部と重なるように形成されている。側面電極4は、絶縁基板1の上面および下面のそれぞれの一部を覆うように形成されている。側面電極4は、その材料となる導電性ペーストを焼成することで形成されている。
【0026】
隆起部5は凹部1a上に形成されている。隆起部5は絶縁基板1の上面より高い位置に達するように形成されている。隆起部5は絶縁基板1の上面の一方向の両端部に形成されている。隆起部5は側面電極4と接触するように形成されている。隆起部5の材料は、導電体であっても絶縁体であってもよいが、絶縁体からなることが好ましい。隆起部5の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含んでいることがさらに好ましい。また隆起部5は可視光に対して透明な材料で形成されていることが好ましい。ここで可視光とは短波長側で360nm〜400nm、長波長側で760nm〜830nmの波長を有する光である。可視光に対して透明な材料とは、上記の波長の光を透過する材料である。
【0027】
図1に示すように隆起部5は1つの凹部1aに二箇所形成されている。二箇所の隆起部5は凹部1aにおいてそれぞれ側面電極4側の端部近傍に設けられており、隆起部5同士の間は離間している。さらに具体的には、凹部1aにおいて隆起部5の内側の端部5aの位置は上面電極2の内側の端部2aよりも外側に設けられている。すなわち、隆起部5同士の間隔は、上面電極2同士の間隔よりも大きい。さらに隆起部5の外側の端部5bは絶縁基板1の端面1bから内側に位置している。このように、隆起部5は、上面電極2よりも幅が小さくなるように形成されている。これにより、凹部1aに過剰な量の隆起部5が形成されてしまうことに起因して、凹部1aに沿って絶縁基板1をブレイクする際にブレイクしにくくなることを抑制できる。また、隆起部5の一部を覆うように側面電極4が形成されている。すなわち、図3に示すように隆起部5の内側部分は側面電極4に覆われておらず、図4に示すように隆起部5の外側部分は側面電極4に覆われている。
【0028】
カバーコート6は抵抗体3を覆うように形成されている。カバーコート6は、アンダーコート6aとトップコート6bとを主に有している。アンダーコート6aは抵抗体3を覆うように形成されている。アンダーコート6aを覆うようにトップコート6bは形成されている。カバーコート6と隆起部5とは同じ材料で形成されていてもよい。少なくとも、アンダーコート6aと隆起部5とが同じ材料で形成されていることが好ましい。アンダーコート6aには抵抗値を調整するためにレーザ光の照射などによってトリミング溝が形成されている。アンダーコート6aおよびトップコート6bはたとえばガラスペーストを焼成することで形成されている。なお、トップコート6bは樹脂を硬化することで形成されていてもよい。めっき層7は側面電極4を覆うように形成されている。めっき層7はたとえばニッケルめっき層に半田めっき層または錫めっき層を重ねて形成されてされている。
【0029】
なお、上記ではカバーコート6は2層で形成されている場合について説明したがこれに限定されない。カバーコート6は1層で形成されていてもよい。つまりカバーコート6はアンダーコート6aを有さずトップコート6bのみを有していてもよい。
【0030】
また、図5を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例1のようにカバーコート6は3層で形成されていてもよい。変形例1では、カバーコート6は、アンダーコート6aとトップコート6bとによって挟まれたミドルコート6cを有している。ミドルコート6cはアンダーコート6aを覆うように形成されている。ミドルコート6cはトップコート6bによって覆われている。ミドルコート6cはアンダーコート6aのトリミング溝を埋めるように形成されている。この場合、アンダーコート6a、トップコート6bおよびミドルコート6cはガラスからなる構成であってもよい。
【0031】
また、図6を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例2のようにチップ抵抗器は下面電極8を有していてもよい。変形例2では、下面電極8は、絶縁基板1の下面上に形成されている。一対の下面電極8は、絶縁基板1の一方向の両端部に形成されている。下面電極8は、たとえば銀を主成分とする導電性ペーストを焼成することで形成されている。
【0032】
また、図7を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例3のように隆起部5が側面電極4で覆われていなくてもよい。変形例3では、側面電極4は隆起部5の側面電極4側の端面まで形成され得る。
【0033】
また、図8を参照して、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の変形例4のように一つの凹部1aに対して隆起部5が一つ設けられていてもよい。この場合でも両側の側面電極4の短絡を防止できる。この場合、隆起部5は絶縁体で形成されている。
【0034】
基本的に凹部1aに隆起部5が形成されていれば側面電極4の短絡は防止することができるが、図1、図7および図8に示すように絶縁基板1のブレイクを阻害しないようにするために、必要最小限の領域に隆起部5を形成することが好ましい。
【0035】
次に、本発明の一実施の形態のチップ抵抗器の製造方法について説明する。
図9を参照して、まず、たとえばセラミックからなる素材基板100が準備される。素材基板100の上面には第1溝(縦溝)11と第2溝(横溝)12が形成されている。第1溝11は一方向(縦方向)に延びるように形成されており、第2溝12は一方向に交差する他方向(横方向)に延びるように形成されている。第1溝11および第2溝12は、素材基板100を形成する際に金型に設けられた凸部によって成形された後に焼成されて形成される。なお、第1溝11および第2溝12は、焼成後の素材基板100の上面にレーザー光を照射することによって形成されてもよい。
【0036】
第1溝11および第2溝12によって区画された個々の領域が1つのチップ抵抗器の絶縁基板1(図1)となる。つまり、素材基板100は、第1溝11および第2溝12によって区画される1つのチップ抵抗器の絶縁基板1が縦方向および横方向に並べられて一体化されて構成されている。なお、素材基板100の最外周にはチップ抵抗器が形成されない余白部が一体的に形成されている。
【0037】
また、後述するように、第2溝12に沿ってダイシング加工させることによって1つのチップ抵抗器が他方向に並べられて一体化された帯状絶縁基板10(図13)が形成される。本実施の一形態のチップ抵抗器の製造方法では素材基板100が準備された状態から製造が開始されているが、帯状絶縁基板10が準備された状態から製造が開始されてもよい。つまり、短冊状の帯状絶縁基板10が準備され、以下の工程が進められてもよい。
【0038】
図10を参照して、素材基板100の第2溝12を一方向に跨ぐように銀を主成分とする導電性ペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、この導電性ペーストが焼成されて上面電極2が形成される。このようにして、素材基板100の上面において、1つのチップ抵抗器の両端部となる位置に上面電極2が形成される。これにより、帯状絶縁基板10の一方向の両端部の上面上に上面電極2が複数形成される。
【0039】
図11を参照して、第1溝11と第2溝12に囲まれた領域内で一方向に向かい合う上面電極2の一部に重なるように上面電極2の材料ペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、この材料ペーストが焼成されて抵抗体3が形成される。このようにして、素材基板100の上面において、1つのチップ抵抗器の中央部に上面電極2をつなぐように抵抗体3が形成される。これにより、帯状絶縁基板10の上面上に上面電極2と接するように一方向に延びる抵抗体3が複数形成される。
【0040】
なお、上記では上面電極2が形成された後に抵抗体3が形成される場合について説明したが、上面電極2および抵抗体3の形成される順番はこれに限定されない。つまり、抵抗体3が先に形成され、次いで上面電極2が形成されてもよい。
【0041】
また、下面電極8(図6)が形成される場合には、上面電極2が形成された後、または上面電極2が形成される前に上面電極2と同様に下面電極8が形成される。
【0042】
図12を参照して、抵抗体3を覆うようにアンダーコート6a(図2)の材料となるガラスペーストがスクリーン印刷によって塗布される。これと同時に、1つのチップ抵抗器の両端部の位置において、第1溝11上に隆起部5の材料となるガラスペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、これらのガラスペーストが焼成されてアンダーコート6aと隆起部5とが同時に形成される。これにより、第1溝11上に隆起部5が複数形成される。
【0043】
また、これらのガラスコートは同じ材料であってもよい。これにより、アンダーコート6aと隆起部5とが一括して形成される。その後、アンダーコート6aに抵抗値を調整するためにレーザ光の照射などによってトリミング溝が形成される。これにより抵抗値が所定値になるようにトリミング調整が行われる。
【0044】
アンダーコート6aを覆うようにトップコート6b(図2)の材料となるガラスペーストまたは樹脂ペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、ガラスペーストの場合にはこのガラスペーストが焼成されてトップコート6bが形成される。また樹脂ペーストの場合にはこの樹脂ペーストが固化されてトップコート6bが形成される。このようにして、抵抗体3を覆うようにカバーコート6が形成される。1つのチップ抵抗器を構成する領域内にカバーコート6がそれぞれ形成されるため、カバーコート6が第1溝11および第2溝12上に形成されない。このため、カバーコート6によってチップ抵抗器の分割が妨げれらない。
【0045】
なお、ミドルコート6c(図5)が形成される場合には、アンダーコート6aを覆うようにミドルコート6cの材料となるガラスペーストがスクリーン印刷によって塗布される。その後、このガラスペーストが焼成されてミドルコート6cが形成される。この後、ミドルコート6cを覆うようにトップコート6bが形成される。
【0046】
続いて、第2溝12に沿ってダイシング加工されることによって、図12中P1部で示される帯状絶縁基板10が分割される。またダイシング加工に替えて、第2溝12に沿ってブレイクされることによって帯状絶縁体基板10が分割されてもよい。
【0047】
図13および図14を参照して、帯状絶縁基板10の一方向の端面が一方ずつ側面電極4の電極材料4aである導電性ペースト上に接触するように、帯状絶縁基板10は図中矢印方向に移動する。そして、テーブル20上に載置された電極材料4aに帯状絶縁基板10の端面を一方ずつ浸漬(ディップ)させることによって、帯状絶縁基板10の両端面に電極材料4aが塗布される。帯状絶縁基板1の端面を電極材料4aに浸漬させると第1溝11を電極材料4aが這い上がるが、隆起部5によって第1溝11が塞がれているため、電極材料4aは隆起部5より上方へ這い上がることができない。このため、隆起部5によって第1溝11で電極材料4aが繋がることが防がれる。なお、電極材料4aは隆起部5の絶縁基板1の一方向の端面側の一部を覆うように塗布されていてもよい。なお、ディップに替えてローラで端面に導電性ペーストが塗布されてもよい。この場合でも電極材料4aの這い上がりの可能性があるので隆起部5を設ける必要がある。
【0048】
この導電性ペーストが焼成されて帯状絶縁基板10の一方向の両端面に側面電極4がそれぞれ形成される。側面電極4は、帯状絶縁基板10の上面および下面の一部を覆うように形成される。なお、側面電極4は隆起部5の絶縁基板1の一方向の端面側の一部を覆うように形成されてもよい。
【0049】
続いて、第1溝11に沿ってダイシング加工またはブレイクされて帯状絶縁基板10が図14中P2で示される個々のチップ抵抗器に分割される。これにより、チップ抵抗器の各々が上面電極2と抵抗体3と側面電極4と隆起部5とを有するように帯状絶縁基板10が第1溝11に沿って分割される。側面電極4の表面に、ニッケルめっき層に半田めっき層または錫めっき層を重ねるようにめっき層7が形成される。これにより、図1に示すチップ抵抗器が形成される。
【0050】
なお、第1溝11および第2溝12は、素材基板100の下面に形成されていてもよい。下面から見て上面と重なる位置に第1溝11および第2溝12は形成されている。これにより、上面および下面の両方で第1溝および第2溝12の位置で素材基板100の厚みが薄くなるためチップ抵抗器の分割が容易になる。この場合、下面における側面電極4同士の導通を防止するために下面の第1溝11にも隆起部5が形成されていることが好ましい。
【0051】
さらに、図15〜図20を参照して、1つのチップ抵抗器が形成される様子について説明する。図15〜図20では、各図(A)は図2に対応する断面図であり、各図(B)は図3に対応する断面図である。
【0052】
図15(A)および(B)に示すように、絶縁基板1の上面上の両端部に上面電極2が形成される。その後、図16(A)および(B)に示すように、絶縁基板1の上面上に一対の上面電極2間にわたって抵抗体3が形成される。次いで、図17(A)および(B)に示すように、抵抗体3を覆うようにアンダーコート6aが形成される。また、絶縁基板1の凹部1a上に隆起部5が形成される。隆起部5は絶縁基板1の上面より高い位置まで形成される。隆起部5は凹部1aを埋めるように形成される。その後、図18(A)および(B)に示すように、アンダーコート6a上にトップコート6bが形成される。次いで、図19(A)および(B)に示すように、絶縁基板1の両側面を覆うようにそれぞれ側面電極4が形成される。その後、図20(A)および(B)に示すように、側面電極4を覆うようにめっき層7が形成される。
【0053】
なお、隆起部5となるペーストが印刷される際のペーストの粘度によっては、隆起部5が第1溝11に完全に埋め込まれず、第1溝11内面と隆起部5との間に隙間が生じる場合も発生し得る。しかし、この場合でも、隆起部5によって側面電極4の電極材料が第1溝11を流れることを抑制することができるため側面電極4の短絡を抑制する効果は十分にある。
【0054】
また、樹脂、ガラスに限らず、トップコート6bは通常黒色などに着色されている。そのためトップコート6bと同時に隆起部5を形成するよりもアンダーコート6aと同時に隆起部5を形成することが好ましい。
【0055】
次に、本発明の作用効果について比較例と対比して説明する。
図21および図22を参照して、比較例では隆起部5が形成されていない。そのため、側面電極4が形成される際に、帯状絶縁基板10の一方向の端面が電極材料4aに浸漬されると、第1溝11を電極材料4aが這い上がる。これにより、第1溝11に電極材料4aが流れ込み、第1溝11で電極材料4aがつながる。この状態で電極材料4aが焼成されることによって側面電極4同士が繋がった状態で形成される。このため、側面電極4同士が導通する。なお、第1溝11で側面電極4が完全に繋がらない場合でも側面電極4上に形成されるめっき層8を介して側面電極4同士が導通することがある。
【0056】
それに対して、本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、絶縁基板1の上面の凹部1a上に隆起部5が形成されているため、側面電極4の電極材料が隆起部5を超えて凹部1aを流れることを抑制することができる。これにより、凹部1aを介して側面電極4の電極材料4aが繋がることによって側面電極4同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極4同士の導通を防止することができる。
【0057】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は絶縁基板1の上面より高い位置に達するように形成されているため、側面電極4の電極材料4aが隆起部5を超えて凹部1aを流れることをさらに抑制することができる。
【0058】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は絶縁基板1の上面の一方向の両端部に形成されているため、絶縁基板1の上面の両端部で、側面電極4の電極材料4aが隆起部5を超えて凹部1aを流れることを抑制することができる。これにより、凹部1aでの側面電極4の電極材料4a同士の間隔を十分に保持することができる。
【0059】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は側面電極4と接触するように形成されているため、隆起部5が側面電極4と接触することによって側面電極4の電極材料4aが隆起部5を超えて凹部に流れることを抑制することができる。
【0060】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5の材料は絶縁体からなるため、隆起部5で側面電極4を絶縁することができる。
【0061】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含むため、隆起部5を容易に製造することができる。
【0062】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、隆起部5は可視光に対して透明な材料で形成されているため、意匠性を確保しながら隆起部5が凹部1a上に形成されていることも視認できる。これにより信頼性を向上することができる。
【0063】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器では、抵抗体3を覆うカバーコート6をさらに備え、カバーコート6と隆起部5とは同じ材料で形成されているため、カバーコート6によって抵抗体3を保護することができる。また、カバーコート6と隆起部5とを一括して形成することができるので生産性を向上することができる。
【0064】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器の製造方法では、帯状絶縁基板10の上面の第1溝11上に隆起部5が複数形成されているため、帯状絶縁基板10の両側面を電極材料4a上に接触させた際に、電極材料4aが隆起部5を超えて第1溝11を流れることを抑制することができる。これにより、第1溝11を介して電極材料4aが繋がることによって側面電極4同士が電気的に接続されることを防ぐことができる。このため、側面電極4同士の導通を防止することができる。
【0065】
本発明の一実施の形態チップ抵抗器の製造方法では、抵抗体3を覆うようにカバーコート6が形成され、カバーコート6と隆起部5とは同時に形成される。このため、カバーコート6によって抵抗体3を保護することができる。また、カバーコート6と隆起部5とを同時に形成することができるので生産性を向上することができる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、側面電極を備えたチップ抵抗器およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0068】
1 絶縁基板、1a 凹部、2 上面電極、3 抵抗体、4 側面電極、4a 電極材料、5 隆起部、6 カバーコート、6a アンダーコート、6b トップコート、6c ミドルコート、7 めっき層、8 下面電極、10 帯状絶縁基板、11 第1溝(溝)、12 第2溝、20 テーブル、100 素材基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の一方向と交差する他方向の両縁に前記一方向に延びる凹部を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板の前記上面上に形成された抵抗体と、
前記抵抗体と電気的に接続され、かつ前記絶縁基板の前記上面上に形成された上面電極と、
前記上面電極と電気的に接続されており、かつ前記絶縁基板の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成された側面電極と、
前記凹部上に形成された隆起部とを備えた、チップ抵抗器。
【請求項2】
前記隆起部は前記上面より高い位置に達するように形成されている、請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項3】
前記隆起部は前記上面の前記一方向の両端部に形成されている、請求項1または2に記載のチップ抵抗器。
【請求項4】
前記隆起部は前記側面電極と接触するように形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項5】
前記隆起部の材料は絶縁体からなる、請求項1〜4のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項6】
前記隆起部の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含む、請求項5に記載のチップ抵抗器。
【請求項7】
前記隆起部は可視光に対して透明な材料で形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項8】
前記抵抗体を覆うカバーコートをさらに備え、
前記カバーコートと前記隆起部とは同じ材料で形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項9】
上面の一方向に延びる溝を有する帯状絶縁基板を準備する工程と、
前記帯状絶縁基板の前記一方向の両端部の前記上面上に上面電極を複数形成する工程と、
前記帯状絶縁基板の前記上面上に前記上面電極と接するように前記一方向に延びる抵抗体を複数形成する工程と、
前記溝上に隆起部を複数形成する工程と、
前記帯状絶縁基板の前記一方向の両側面を電極材料上に接触させることによって側面電極をそれぞれ形成する工程と、
各々が前記上面電極と前記抵抗体と前記隆起部と前記側面電極を有するように前記帯状絶縁基板を前記溝に沿って分割する工程とを備えた、チップ抵抗器の製造方法。
【請求項10】
前記抵抗体を覆うようにカバーコートを形成する工程をさらに備え、
前記カバーコートと前記隆起部とは同時に形成される、請求項9に記載のチップ抵抗器の製造方法。
【請求項1】
上面の一方向と交差する他方向の両縁に前記一方向に延びる凹部を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板の前記上面上に形成された抵抗体と、
前記抵抗体と電気的に接続され、かつ前記絶縁基板の前記上面上に形成された上面電極と、
前記上面電極と電気的に接続されており、かつ前記絶縁基板の一方向の両側面をそれぞれ覆うように形成された側面電極と、
前記凹部上に形成された隆起部とを備えた、チップ抵抗器。
【請求項2】
前記隆起部は前記上面より高い位置に達するように形成されている、請求項1に記載のチップ抵抗器。
【請求項3】
前記隆起部は前記上面の前記一方向の両端部に形成されている、請求項1または2に記載のチップ抵抗器。
【請求項4】
前記隆起部は前記側面電極と接触するように形成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項5】
前記隆起部の材料は絶縁体からなる、請求項1〜4のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項6】
前記隆起部の材料はガラスおよび樹脂の少なくともいずれかを含む、請求項5に記載のチップ抵抗器。
【請求項7】
前記隆起部は可視光に対して透明な材料で形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項8】
前記抵抗体を覆うカバーコートをさらに備え、
前記カバーコートと前記隆起部とは同じ材料で形成されている、請求項1〜7のいずれかに記載のチップ抵抗器。
【請求項9】
上面の一方向に延びる溝を有する帯状絶縁基板を準備する工程と、
前記帯状絶縁基板の前記一方向の両端部の前記上面上に上面電極を複数形成する工程と、
前記帯状絶縁基板の前記上面上に前記上面電極と接するように前記一方向に延びる抵抗体を複数形成する工程と、
前記溝上に隆起部を複数形成する工程と、
前記帯状絶縁基板の前記一方向の両側面を電極材料上に接触させることによって側面電極をそれぞれ形成する工程と、
各々が前記上面電極と前記抵抗体と前記隆起部と前記側面電極を有するように前記帯状絶縁基板を前記溝に沿って分割する工程とを備えた、チップ抵抗器の製造方法。
【請求項10】
前記抵抗体を覆うようにカバーコートを形成する工程をさらに備え、
前記カバーコートと前記隆起部とは同時に形成される、請求項9に記載のチップ抵抗器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−110304(P2013−110304A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255080(P2011−255080)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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