説明

チップ状電子部品のめっき方法

【課題】 チップ状電子部品の外部電極上に任意で均一な厚みのめっき膜を形成することが可能なめっき方法を提供する。
【解決手段】 めっき液吹き付けノズル25内に陽極29を配置し、チップ状電子部品11の表面の少なくとも一つの外部電極14にノズルが対向するようにかつ電子部品の表面の下側半分をめっき液23からマスキングした状態に保持手段20で保持し、電子部品の前記外部電極の表面の一部に陰極プローブ26を接触させ、陽極とプローブとの間に電圧を印加しながらノズルから外部電極にめっき液を吹き付けてめっきし、その後、外部電極の表面の前記と異なる位置に陰極プローブを接触させて再びめっきする。このため、チップ状電子部品の外部電極の表面のうち先の陰極プローブの接触位置の近傍にめっき膜の未着部分が生じるのを防止でき、任意で均一な厚みのめっき膜を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に用いられるチップ状電子部品の外部電極にめっき膜を形成するチップ状電子部品のめっき方法に関し、さらに詳細には、外部電極に任意で均一な厚みのめっき膜を形成するめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ状電子部品の外部電極にめっき膜を形成する方法として、バレルめっきが一般的に用いられている。上記バレルめっき法は、めっきバレル内に大量のチップ状電子部品を導電性ダミー粒子とともに挿入して、めっき槽のめっき液中に浸漬させた状態でめっきバレルを回転させてめっきバレル内を撹拌しつつ、前記めっき槽内に配置された陽極と、前記めっきバレル内に配置された陰極との間に所定の電圧を印加して、前記導電性ダミー粒子を介して前記陰極に接続されたチップ状電子部品の外部電極の表面にめっき膜を形成するものである。
【0003】
一方、金属基体の表面の任意の箇所に任意の厚みでめっき膜を形成する技術として、例えば特許文献1に示されるように金属基体にノズルからめっき液を吹付噴流するめっき方法が提案されている。具体的には、図4に示されるように、めっき液吹き付けノズル125内に陽極129を配置するととものに、被めっき面111を陰極128Bに接続し、陽極129と陰極111との間に電圧を印加した状態でめっき液123を連続して吹き付けるものである。
【0004】
【特許文献1】特開平09−263989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、各種電子機器の小型化、薄型化の傾向が強まっており、これらの電子機器に用いる微小サイズのチップ状電子部品、具体的には長さ0.4mm×幅0.2mm(×高さ0.2mm以下)の0402サイズの等のチップ状電子部品や、複数の素子を一体化したアレイタイプのチップ状電子部品が提案されるようになっている。
しかしながら、上記背景技術に示されるバレルめっき法では、例えばアレイタイプのチップ状電子部品のように電子部品の表面上の異なる位置に複数の外部電極が設けられている場合、外部電極の位置や大きさ、電子部品素子の内部電極と外部電極との間の接続抵抗等によってめっき膜の厚みの差が生じやすいという課題があった。
また、例えば特許文献1に記載されているようにめっき液吹付噴流するめっき方法においては、被めっき面のめっき液吹き付けノズルの正面と同心的にめっき膜の厚みの差が生じやすいという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決して、微小なチップ状電子部品や電子部品の表面上の異なる位置に複数の外部電極を備えたチップ状電子部品であっても、前記外部電極上に任意で均一な厚みのめっき膜を形成することが可能なチップ状電子部品のめっき方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明のチップ状電子部品のめっき方法は、
(1)めっき液吹き付けノズル内に陽極を配置し、チップ状電子部品の表面の少なくとも一つの外部電極に前記吹き付けノズルが対向するように前記チップ状電子部品の表面の任意の位置を保持手段で保持し、前記チップ状電子部品の前記外部電極の表面の任意の位置に陰極プローブを接触させ、前記吹き付けノズルの陽極と前記陰極プローブとの間に電圧を印加しながら前記吹き付けノズルとチップ状電子部品の外部電極との間にめっき液が連続するように前記外部電極にめっき液を吹き付けてめっきし、さらに前記チップ状電子部品の前記外部電極の表面の前記と異なる位置に陰極プローブを接触させて再びめっきするものである。(・・・以下、本発明の第1の課題解決手段と称する。)
【0008】
また、上記めっき方法の主要な形態の一つは、
(2)前記チップ状電子部品の表面の前記と異なる位置を保持して再びめっきするものである。(・・・以下、本発明の第2の課題解決手段と称する。)
【0009】
また、上記めっき方法の他の主要な形態の一つは、
(3)前記陰極プローブの接触位置を囲むようにマスキングした状態でめっきするものである。(・・・以下、本発明の第3の課題解決手段と称する。)
【0010】
また、上記めっき方法の他の形態の一つは、
(4)前記保持手段で前記陰極プローブの接触位置の周囲をマスキングした状態でめっきするものである。(・・・以下、本発明の第4の課題解決手段と称する。)
【0011】
また、上記めっき方法の他の形態の一つは、
(5)前記チップ状電子部品の一つの外部電極の露出面積よりも大きな開口面積のノズルでめっき液を吹き付けるものである。(・・・以下、本発明の第5の課題解決手段と称する。)
【0012】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、めっき液吹き付けノズル内に陽極を配置し、チップ状電子部品の表面の少なくとも一つの外部電極に前記吹き付けノズルが対向するように前記チップ状電子部品の表面の任意の位置を保持手段で保持し、前記チップ状電子部品の前記外部電極の表面の任意の位置に陰極プローブを接触させ、前記吹き付けノズルの陽極と前記陰極プローブとの間に電圧を印加しながら前記吹き付けノズルとチップ状電子部品の外部電極との間にめっき液が連続するように前記外部電極にめっき液を吹き付けてめっきし、さらに前記チップ状電子部品の前記外部電極の表面の前記と異なる位置に陰極プローブを接触させて再びめっきするので、チップ状電子部品の外部電極の表面のうち先の陰極プローブの接触位置の近傍にめっき膜の未着部分が生じるのを防止できる。
【0013】
また、上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記チップ状電子部品の表面の前記と異なる位置を保持して再びめっきするので、チップ状電子部品の外部電極の表面のうち先の保持位置の近傍にめっき膜の未着部分が生じるのを防止できる。
【0014】
また、上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記陰極プローブの接触位置を囲むようにマスキングした状態でめっきするので、陰極プローブ上に直接めっき膜が形成されてめっき効率が低下するのを防止できる。
【0015】
また、上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記保持手段で陰極プローブの接触位置の周囲をマスキングした状態でめっきするので、マスキング手段のほかに別途保持手段を設けなくともチップ状電子部品を保持することができる。チップ状電子部品の外部電極の表面のうち任意の領域がマスキング手段で覆われるので、比較的開口面積が小さなめっき液吹き付けノズルを用いても均一な厚みのめっき膜を形成することができる。
【0016】
また、上記第5の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記チップ状電子部品の一つの外部電極の面積よりも大きな開口面積のノズルでめっき液を吹き付けるので、外部電極上で局部的にめっき膜の厚みが厚くなるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のチップ状電子部品のめっき方法によれば、チップ状電子部品の外部電極の表面のうち先の陰極プローブの接触位置の近傍にめっき膜の未着部分が生じるのを防止でき、任意で均一な厚みのめっき膜を形成することができる。
本発明の前記目的とそれ以外の目的、構成特徴、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明のチップ状電子部品のめっき方法の第1の実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は第1の実施形態のめっき方法に用いるめっき装置10の全体構造を示す概念図である。図2は上記めっき装置10を用いて第1の実施形態のめっき方法を説明するための前記図1における一点鎖線で囲まれたAの領域を示す要部拡大断面図であり、図2(A)はまずチップ状電子部品の表面のうち下側半分を保持して上側半分に露出する外部電極の表面にめっき膜を形成する様子を示し、図2(B)はその後にチップ状電子部品11の表面のうち上側半分を保持して下側半分に露出する外部電極14の表面にめっき膜15を形成する様子を示すものである。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のチップ状電子部品のめっき方法に用いる一例のめっき装置10は、箱状のめっき室21と、めっき液23を貯えるタンク22と、めっき室21内の陰極と陽極との間に電圧を印加するための電源28とを備えている。より詳細には、前記めっき室21の内部には、チップ状電子部品11を保持するための保持手段20とチップ状電子部品11にめっき液23を吹き付けるための一対のめっき液吹き付けノズル25とが配置されている。前記めっき室21のめっき液排出口の下方にはタンク22が配置されている。前記タンク22内のめっき液23は必要により撹拌手段22Aで撹拌されるとともに、該めっき液23は配管24Aおよびポンプ24Bを備えためっき液供給手段24を介して前記めっき室21内のめっき液吹き付けノズル25からチップ状電子部品に向けて噴射される。次に図2に示すように、前記チップ状電子部品11の表面の任意の位置を保持するための保持手段20は、チップ状電子部品11の長さ方向の両端面および両側面の外部電極の一部を含む任意の領域を被覆する保持部20Aと、前記チップ状電子部品11の下面を支持する支持部20Bと、を有するとともに、前記下面と対向する位置には端部を除いて外周が保護手段20Cで被覆された陰極プローブ26が配置されている。前記陰極プローブ26の一方の端部は前記保持手段20で保持されたチップ状電子部品11の外部電極14の表面に接するとともに、前記陰極プローブ26の他方の端部は印加電圧を調整可能な電源28の陰極側出力端子に接続されている。また、前記めっき液吹き付けノズル25の内部にはめっき液23の流路に露出するように陽極29が配置されるとともに、該陽極29は前記電源28の陽極側出力端子に接続されている。
【0020】
上記のようなメッキ装置10を用いて、チップ状電子部品11の外部電極14にめっき膜15を形成する第1の実施形態のめっき方法は、図2(A)に示すように、めっき液吹き付けノズル25内に陽極29を配置し、チップ状電子部品11の表面の少なくとも一つの外部電極14に前記吹き付けノズル25が対向するように、かつ前記チップ状電子部品11の表面の下側半分を前記めっき液23からマスキングした状態に保持手段20で保持し、前記チップ状電子部品11の前記外部電極14の表面の前記めっき液23からマスキングされた領域の一部に陰極プローブ26を接触させ、前記吹き付けノズル25の陽極29と前記陰極プローブ26との間に電圧を印加しながら前記吹き付けノズル25とチップ状電子部品11の外部電極14の上側半分の露出された表面との間にめっき液23が連続するように前記外部電極14にめっき液23を吹き付けてめっきする。
次に、図2(B)に示すように、前記チップ状電子部品11の表面の前記と異なる上側半分をマスキングした状態に保持し、前記チップ状電子部品11の前記外部電極14の表面の前記と異なる位置であって前記マスキングされた領域の一部に陰極プローブ26を接触させ、前記吹き付けノズル25の陽極29と前記陰極プローブ26との間に電圧を印加しながら前記吹き付けノズル25とチップ状電子部品11の外部電極14の下側半分の露出された表面との間にめっき液23が連続するように前記外部電極14にめっき液23を吹き付けて再びめっきする。
【0021】
また、本実施形態においては、上述したように前記チップ状電子部品11の表面の前記と異なる位置を保持して再びめっきするものである。
【0022】
また、本実施形態においては、上述したように前記陰極プローブ26の接触位置を囲むようにめっき液23からマスキングした状態でめっきするものである。
【0023】
また、本実施形態においては、上述したように保持手段20で前記陰極プローブ26の接触位置の周囲をマスキングした状態でめっきするものである。
【0024】
また、本実施形態においては、チップ状電子部品11の一つの外部電極14の露出面積よりも大きな開口面積のノズル25でめっき液23を吹き付けるものである。本実施形態においては、チップ状電子部品11の外部電極14の表面のうち保持手段20で被覆されていない上側半分もしくは下側半分が露出する。このため、本実施形態のめっき方法では、ノズル25の開口面積は、チップ状電子部品11の外部電極の面積の1/2を超えるものを用いることが好ましい。
【0025】
また、本実施形態においては、チップ状電子部品11の外部電極14の露出する表面にめっき液23の流速が60m/min.以上になるようにめっき液23を吹き付けることが好ましく、これにより電極界面への金属イオン供給を十分に行い、めっき液の濃度分極を抑制することができる。
【0026】
上記チップ状電子部品としては、誘電体材料、磁性体材料、その他の絶縁体等のセラミックからなる素体12の内部に内部電極13が配置され焼成により積層一体化されるとともに、前記素体12の表面には前記内部電極と接続された外部電極14が設けられているものが一般的であるが、これに限定するものではなく、内部電極を有さず素体の表面のみに電極を有するものや、セラミック素体の変わりにセラミック粉含有樹脂複合材を用いたものであってもよい。
【0027】
上記チップ状電子部品11の外部電極14は、前記素体12を形成する際に一体に設けられるものや、前記素体12の形成後に前記内部電極に接続するように焼付形成されるものが一般的であるが、これに限定するものではなく、その他の方法で設けられるものであってもよい。
【0028】
また、上記チップ状電子部品11の外部電極14は、素体12の軸方向の両端面及びそれと接する上面、下面、両側面のそれぞれ前記端面の近傍に設けられるものが一般的であるが、これに限定するものではなく、チップ状電子部品11の表面の任意の位置に設けられたものであってもよい。
【0029】
また、上記チップ状電子部品11の外部電極14は、前記実施形態では1対設けられたものであるが、これに限定するものではなく、アレイタイプのチップ状電子部品のように、チップ状電子部品の表面に3つ以上設けられたものであってもよい。
【0030】
上記チップ状電子部品11の外部電極14の表面上に形成されるめっき膜としては、Ag,Cu,Ni,Sn等の金属もしくは合金からなるめっき膜が一般的であるが、これに限定するものではなく、その他種々の金属もしくは合金であってもよい。
【0031】
また、上記チップ状電子部品11の外部電極14の表面上に形成されるめっき膜15としては、上記の金属もしくは合金のうちいずれか1種のめっき膜を単層もしくは複数種のめっき膜を順次重ねて形成してもよい。
【0032】
前記めっき液吹き付けノズル25は、内部に陽極29が配置されており、該ノズルの開口面積は、該ノズル25と対向するチップ状電子部品の少なくとも一つの外部電極の露出面積より大きいことが好ましい。これにより、チップ状電子部品11の外部電極14の表面の露出面積のうち一部の表面のみにめっき膜が厚く形成されるのを防止することができる。
【0033】
前記陽極29は、その表面が前記ノズル25内でめっき液23の流路に露出しているものが好ましい。
【0034】
前記チップ状電子部品の保持は、前記実施形態では保持手段20でチップ状電子部品11の周側面の外部電極を含むそれぞれの一部を保持するとともに下面を支持するものであったが、これに限定するものではなく、チップ状電子部品を対向する2面で挟持するものであってもよい。
【0035】
前記チップ状電子部品11を保持する位置は、前記チップ状電子部品の表面のいずれの位置であってもよい。尚、前記保持する位置が前記チップ状電子部品の表面のうち前記外部電極14の表面の一部を覆うものである場合には、前記保持位置を異ならせて再びめっきすることが好ましい。
【0036】
前記チップ状電子部品11の外部電極14の表面に前記陰極プローブ26が接する位置は、前記外部電極14の表面上の何れの位置であってもよく、前記陰極プローブ26の接触位置を異ならせて再びめっきすることが好ましい。
【0037】
前記外部電極14の表面上には前記陰極プローブ26の接触位置を囲むように、前記めっき液23が直接接触しないようにマスキングが施されることが好ましい。
【0038】
また、前記陰極プローブの接触位置の周囲のマスキングする手段としては、前記保持手段を併用することがこのましい。
【実施例】
【0039】
次に、上記めっき装置10を用いて本発明のチップ状電子部品のめっき方法の第1の実施形態に基づく実施例について説明する。本実施例においては、チップ状電子部品11として長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmの所謂1005サイズのチップ状積層セラミックコンデンサを用いた。該チップ状積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウム系高誘電率セラミック材料からなる素体12の内部にNiからなる内部電極13の端部が前記素体12の両端面に交互に露出するように対向して配置されているとともに、前記素体12の一方及び他方の端面に露出した複数の内部電極13の端部をそれぞれ接続するように前記両端面および該端面と接する上面、下面、及び両側面のそれぞれ前記端面の近傍にNiからなる一対の外部電極14が設けられている。前記素体12の上面、下面、及び両側面に形成された外部電極14の回り込み寸法はそれぞれ前記端面から0.25mmの幅であり、それぞれの外部電極14の面積は約0.75mmとなっている。陽極29としてNiを、まためっき液としてNiめっき用のめっき液を用い、めっき液吹き付けノズル25は、直径0.7mmの円形の開口を有するものを用いた。前記陰極プローブ26と前記陽極との間に連続するめっき液23の電流密度が100A/dmをとなるように前記電源の電圧を調整した。途中で前記保持位置及び前記陰極プローブの接触位置を異ならせたのち再びめっきし、合計7秒の通電を行って厚み1μmのNiめっき膜15を形成した。
次に、前記チップ状電子部品11の表面を純水で1分間洗浄した後、陽極29としてAgを、まためっき液としてAgめっき用のめっき液を用い、前記と同様のめっき液吹き付けノズル25を用い、前記陰極プローブ26と前記陽極との間に連続するめっき液23の電流密度が100A/dmをとなるように前記電源の電圧を調整した。途中で前記保持位置及び前記陰極プローブの接触位置を異ならせたのち再びめっきし、合計4秒の通電を行って前記Niめっき膜上に厚み2μmのAgめっき膜を形成した。
上記で得られたNi/Agめっき膜は耐はんだクワレ性、耐はんだ濡れ性を得るためのめっき膜を形成させることができた。
【0040】
次に、本発明のチップ状電子部品のめっき方法の第2の実施形態について、図3を参照して説明する。図3は本発明の第2の実施形態のめっき方法を説明するための要部拡大断面図であり、図3(A)はまずチップ状電子部品31を上面および下面で保持手段40で挟持することにより保持し、最初にチップ状電子部品31の外部電極34の表面のうち下面に陰極プローブ46を接触させ、該陰極プローブ46の接触位置の近傍を除いて露出する外部電極34の表面にめっき膜35を形成する様子を示し、図3(B)はその後にチップ状電子部品31の外部電極34の表面のうち上面に陰極プローブ46を接触させ、該陰極プローブ46の接触位置の近傍を除いて露出する外部電極34の表面にめっき膜35を形成する様子を示すものである。
【0041】
本実施形態に用いられるメッキ装置30と前記第1の実施形態で用いられるメッキ装置10とで異なる点は、チップ状電子部品31を保持する保持手段40と、前記チップ状電子部品31の表面の外部電極に接触する陰極プローブ46の配置および構造である。
本実施形態に用いられるめっき装置30は、全体構造は図示省略するが、チップ状電子部品31を該チップ状電子部品31の表面のうち外部電極34が形成されていない部分を上面及び下面で保持手段40で挟持することにより保持するものである。
また、本実施形態に用いられるめっき装置30は、陰極プローブ46およびそのマスキング手段47が前記保持手段40と独立して設けられているものである。
また、本実施形態に用いられるめっき装置30のめっき液吹き付けノズルは、先の第1の実施形態の実施例で用いたノズルより開口が大きく、直径1.0mmの円形である。
その他の構成及び作用効果は前記第1の実施形態で用いたメッキ装置10と同様であるため説明を省略する。
【0042】
尚、本発明は前記第1、第2の実施形態に限定するものではなく、前記各実施形態の一部もしくは全部の手段を併用することもできる。
また、上記実施例ではチップ状積層セラミックコンデンサを1個ずつめっき処理を行っているが、これに限定するものではなく多数個のチップ状電子部品を同時に処理することもできる。
【0043】
尚、上記実施形態ではチップ状電子部品としてチップ状積層セラミックコンデンサを示したが、本発明はこれに限定するものではなく、チップ状サーミスタ、チップ状インダクタその他の各種チップ状電子部品に適用することができる。
また、上記実施形態ではチップ状電子部品として一対の外部電極を備えた単一素子のチップ状電子部品を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、複数の電子部品素子を備えたアレイ型のチップ状電子部品や複数種の電子部品素子を備えた複合型のチップ状電子部品等の多端子型のチップ状電子部品にも適用することができる。
また、上記実施形態ではチップ状電子部品として角型のチップ状電子部品を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、鼓形のコアを用いた巻線インダクタ、その他種々の形状のチップ状電子部品に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、小型・薄型の各種電子機器に用いられるチップ状電子部品の外部電極へのめっき膜の形成に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のチップ状電子部品のめっき方法の第1の実施形態に用いられるめっき装置の全体構造を説明するための概念図である。
【図2】前記第1の実施形態のめっき方法を説明するための図1における一点鎖線で囲まれたAの領域を示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態のめっき方法を説明するための要部拡大断面図である。
【図4】背景技術の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10:めっき装置
11:チップ状電子部品
12:素体
13:内部電極
14:外部電極
15:めっき膜
20:保持手段
21:めっき室
22:タンク
23:めっき液
24:めっき液供給手段
25:ノズル
26:陰極プローブ
28:電源
29:陽極
30:めっき装置
31:チップ状電子部品
32:素体
33:内部電極
34:外部電極
35:めっき膜
40:保持手段
43:めっき液
45:ノズル
46:陰極プローブ
47:マスキング手段
49:陽極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液吹き付けノズル内に陽極を配置し、チップ状電子部品の表面の少なくとも一つの外部電極に前記吹き付けノズルが対向するように前記チップ状電子部品の表面の任意の位置を保持手段で保持し、前記チップ状電子部品の前記外部電極の表面の任意の位置に陰極プローブを接触させ、前記吹き付けノズルの陽極と前記陰極プローブとの間に電圧を印加しながら前記吹き付けノズルとチップ状電子部品の外部電極との間にめっき液が連続するように前記外部電極にめっき液を吹き付けてめっきし、さらに前記チップ状電子部品の前記外部電極の表面の前記と異なる位置に陰極プローブを接触させて再びめっきすることを特徴とするチップ状電子部品のめっき方法。
【請求項2】
前記チップ状電子部品の表面の前記と異なる位置を保持して再びめっきすることを特徴とする請求項1に記載のチップ状電子部品のめっき方法。
【請求項3】
前記陰極プローブの接触位置を囲むようにマスキングした状態でめっきすることを特徴とする請求項1に記載のチップ状電子部品のめっき方法。
【請求項4】
前記保持手段で前記陰極プローブの接触位置の周囲をマスキングした状態でめっきすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のチップ状電子部品のめっき方法。
【請求項5】
前記チップ状電子部品の一つの外部電極の露出面積よりも大きな開口面積のノズルでめっき液を吹き付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のチップ状電子部品のめっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−38240(P2008−38240A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238243(P2006−238243)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】