説明

チップ間通信システム及び半導体装置

【課題】装置を大型化することなく、電波の伝送効率を向上することができるチップ間通信システム等を提供する。
【解決手段】半導体チップ1Aは、多層配線構造を有する。本体半導体基板層2Aには、本体半導体基板が形成されている。ダイポールアンテナ7Aは、本体半導体基板から出力された電気信号に対応する電波を多層配線構造の積層方向に発信するとともに、積層方向に伝播する電波を受信して本体半導体基板2Aに出力する。メタマテリアル5Aは、ダイポールアンテナ7Aに対して絶縁層6Aを介して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置間で無線通信を行うチップ間通信システム及び多層配線構造を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ間の通信方式を無線通信とすることで、実装形態の簡略化や付加価値の向上を目指した技術開発が活発化している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
無線通信を行うため、各半導体チップはそれぞれ例えばダイポールアンテナと接続されている。一の半導体チップのダイポールアンテナから伝送路に向けて発せられた電波は、伝送路を通って、他の半導体チップのダイポールアンテナで受信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−183055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電波はダイポールアンテナのアンテナパターンを中心として線対称に放射されるため、伝送路の反対側に発信される電波は、通信に寄与せず、無駄になっていた。
【0006】
ダイポールアンテナに対して伝送路の反対側に反射板を設ければ、電波を反射させ、ダイポールアンテナから直接発せられる電波と重ね合わせることにより、伝送される電波の強度を高めることができる。
【0007】
しかしながら、反射板では、電波は位相が反転した状態で反射するため、電波の強度を高めるには、ダイポールアンテナと反射板との間を少なくとも1/4波長(例えば電波の周波数が15GHzであれば、1.6mm)離間させる必要がある。これは、装置の小型化にとって非常に大きな障害となる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、装置を大型化することなく、電波の伝送効率を向上することができるチップ間通信システム及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るチップ間通信システムは、多層配線構造を有する複数の半導体装置と、
一の前記半導体装置から出力された電波を、他の前記半導体装置に伝送する導波路と、
を備えるチップ間通信システムであって、
前記各半導体装置では、
本体半導体基板が形成された本体層と、
前記本体半導体基板から出力された電気信号に対応する電波を、前記多層配線構造の積層方向に発信するとともに、伝播してきた電波を受信して前記本体半導体基板に出力するアンテナと、
が前記多層配線構造内に設けられ、
前記導波路は、
高誘電率材料で形成されており、
前記本体層から見て、前記アンテナ側に設けられている。
【0010】
前記導波路は、
その比誘電率が前記半導体基板より高い比誘電率を有し、
セラミックス焼結体、又は強誘電体の粉末を混入させた有機体又は有機強誘電体等で形成されている、
こととしてもよい。
【0011】
前記導波路は、
その厚さが、電波の波長又は平均波長より小さく、
電波の波長に対する厚みの比率が、1/20から1/500の範囲にある、
こととしてもよい。
【0012】
本発明の第2の観点に係る半導体装置は、
多層配線構造を有する半導体装置であって、
本体半導体基板が形成された本体層と、
前記本体半導体基板から出力された電気信号に対応する電波を前記多層配線構造の積層方向に発信するとともに、前記積層方向に伝播する電波を受信して前記本体半導体基板に出力するダイポールアンテナと、
前記ダイポールアンテナに対して絶縁層を介して配置されたメタマテリアルと、
を備える。
【0013】
前記ダイポールアンテナに対して前記メタマテリアルの反対側に配置された遮蔽板をさらに備える、
こととしてもよい。
【0014】
前記ダイポールアンテナは、
折り曲げられたアンテナパターンを有し、前記アンテナパターンによって形成される複数の直線部の長さが異なる、
こととしてもよい。
【0015】
前記ダイポールアンテナには、
直線部の長さが異なる複数の分岐を有するアンテナパターンが設けられている、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体装置間で通信を行うためのアンテナが、多層構造配線内に形成されており、高誘電率材料で形成された導波路を用いて電波を伝送するため、装置を大型化することなく、電波の伝送効率を向上することができる。
【0017】
また、本発明によれば、ダイポールアンテナから発せられた電波がメタマテリアルにより反射され、ダイポールアンテナから直接発せられた電波と重なり合って、電波の強度を強めることができる。メタマテリアルは、高インピーダンスであるため、ダイポールアンテナから発せられた電波は、同位相で反転する。これにより、ダイポールアンテナと反射板との距離を1/4波長よりも短くすることができる。この結果、装置を大型化することなく、電波の伝送効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るチップ間通信システムの構造を示す断面図である。
【図2】図2(A)乃至図2(C)は、図1の半導体チップの横断面図である。
【図3】メタマテリアルの等価回路である。
【図4】メタマテリアル付近での電波の伝播の様子を示す図である。
【図5】半導体チップ間で電波が送受信される様子を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係るダイポールアンテナの構造を示す断面図である。
【図7】図6のダイポールアンテナのSパラメータを示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態3に係るダイポールアンテナの構造を示す断面図である。
【図9】図8のダイポールアンテナのSパラメータを示すグラフである。
【図10】図10(A)は、ダイポールアンテナから送信される信号の一例を示す図である。図10(B)は、ダイポールアンテナで受信される信号の一例を示す図である。
【図11】複数の半導体装置で、無線通信が行われる様子を示す図である。
【図12】電波の波長に対するHigh−kの厚みの比率と伝送係数S21との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1について説明する。
【0021】
図1には、本実施形態に係るチップ間通信システム100の構造が示されている。図1に示すように、チップ間通信システム100は、複数の半導体チップ1A、1Bを備える。チップ間通信システム100では、複数の半導体チップ1A、1B間において、波長がミリ単位又はセンチメートル単位の電波(ミリ波又はマイクロ波)が送受信される。
【0022】
半導体チップ1Aは、多層配線構造を有する半導体装置である。後述するように、アンテナ(ダイポールアンテナ7A)はこの多層配線構造内に形成される。半導体チップ1Aは、本体半導体基板層2Aと、絶縁層21Aと、遮蔽板3Aと、絶縁層4Aと、メタマテリアル5Aと、絶縁層6Aと、ダイポールアンテナ7Aと、絶縁層8Aと、を備える。これらは、例えば、1枚のシリコン基板上に通常の半導体製造工程で形成され積層されたものである。
【0023】
本体半導体基板層2Aには、演算機能や記憶機能などの種々の機能を実現するためのトランジスタ等の集積回路が形成されている。本体半導体基板層2A、2Bは、例えばシリコン酸化膜(SiO2)から成る絶縁層21A、21B上に実装されている。半導体チップ1A、1Bは、表面が下向きに実装されている。
【0024】
遮蔽板3Aは、後述するダイポールアンテナ7Aから発せられる電波を遮断するために設けられている。図2(A)には、図1の面aで半導体チップ1Aを切断したときの断面図が示されている。図2(A)に示すように、遮蔽板3Aは、中央の開口部を除いて、本体半導体基板層2A全体をカバーしている。中央の開口部には、本体半導体基板に接続されるダイポールアンテナ7Aが通っている。なお、遮蔽板3Aは、必ずしも必須ではない。
【0025】
絶縁層4A、6Aは、例えばシリコン酸化膜(SiO2)で形成されている。絶縁層4A、6Aの間に、メタマテリアル5Aが形成されている。言い換えると、メタマテリアル5Aは、ダイポールアンテナ7Aに対して絶縁層6Aを介して配置されている。
【0026】
図2(B)には、図1の面bで半導体チップ1Aを切断したときの断面図が示されている。図2(B)に示すように、メタマテリアル5Aは、導体、例えば銅やアルミニウム等の金属製の矩形平板が、マトリクス状に配置されたものである。メタマテリアル5Aは、ハイ・インピーダンス・サーフェス(HIS)とも呼ばれる。
【0027】
絶縁層8Aは、例えばシリコン酸化膜(SiO2)で形成されている。絶縁層7A、8Aの間に、ダイポールアンテナ7Aが形成されている。
【0028】
図2(C)には、図1の面cで半導体チップ1Aを切断したときの断面図が示されている。図2(C)に示すように、ダイポールアンテナ7Aのアンテナパターンは、三角形状となっている。
【0029】
ダイポールアンテナ7Aは、本体半導体基板層2Aと接続されている。ダイポールアンテナ7Aは、本体半導体基板層2Aから出力された電気信号に対応する電波を、半導体チップ1Aの積層方向に発信する。また、ダイポールアンテナ7Aは、半導体チップ1Aの積層方向に伝播する電波を受信し、その電波に対応する電気信号を本体半導体基板層2Aに出力する。
【0030】
半導体チップ1Bは、本体半導体基板層2Bと、絶縁層21Bと、遮蔽板3Bと、絶縁層4Bと、メタマテリアル5Bと、絶縁層6Bと、ダイポールアンテナ7Bと、絶縁層8Bと、を備える。半導体チップ1Bの構造は、半導体チップ1Aと同じである。
【0031】
図3には、メタマテリアル5Aの等価回路が示されている。図3に示すように、メタマテリアル5Aでは、各矩形平板の間や各矩形平板と遮蔽板3Aとの間がキャパシタ成分Cに対応している。また、遮蔽板3Aがインダクタンス成分に対応している。
【0032】
図4に示すように、ダイポールアンテナ7Aから発せられ、メタマテリアル5Aの方向に伝播された電波は、メタマテリアル5Aで反射する。メタマテリアル5Aは、高インピーダンスとなっているため、反射した電波は、同位相のままで反射する。これにより、ダイポールアンテナ7Aとメタマテリアル5Aとの間を、電波の波長の1/4離間させる必要がなくなり、それよりも短くすることができる。例えば、ダイポールアンテナ7Aとメタマテリアル5Aとの間の間隔を、数百ミクロン、例えば254μm程度とすることができる。
【0033】
メタマテリアル5Aで反射した電波は、ダイポールアンテナ7Aから直接発信された電波と同位相で重なり合って強め合いながら、インターポーザ10に到達する。
【0034】
導波路としてのインターポーザ10は、本体半導体基板層2Aから見て、ダイポールアンテナ7A側に設けられている。より具体的には、インターポーザ10は、半導体チップ1A、1Bのダイポールアンテナ7A、7Bを基準としてメタマテリアル5A、5Bの反対側に接続されている。
【0035】
インターポーザ10は、誘電率の高い物質(高誘電率材料)で形成されている。より具体的には、インターポーザ10は、その比誘電率が半導体チップ1Aより高い比誘電率を有している。このような物質には、例えば、酸化チタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、ジルコン酸ストロンチウム等のセラミックスの焼結体がある。
【0036】
また、インターポーザ10として、強誘電体の粉末を混入させた有機体(例えばプラスチック)を採用するようにしてもよい。例えば、酸化チタンと炭酸ストロンチウム等の所定の粒径の強磁性セラミックス粉末と、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などのプラスチックとを所定の比率で混練し、押出し、圧延、射出成形、圧縮成形等により成形したものを用いることができる。
【0037】
さらに、インターポーザ10として、誘電率が極めて高い有機強誘電体(例えばセラミックス等を同等の誘電率を有する有機強誘電体)などを採用するようにしてもよい。有機物で強誘電性を示す物質としては、例えばポリフッ化ビニリデンといったポリマー材料が知られている。
【0038】
インターポーザ10は、周辺よりも著しく誘電率が高い物質で構成されているので、インターポーザ10に到達した電波は、図5に示すように、インターポーザ10内に引き込まれる。引き込まれた電波は、インターポーザ10内を伝播し、最終的に半導体チップ1Bへ進入し、半導体チップ1Bの積層方向に進む。
【0039】
この電波の一部は、アンテナ7Bにより受信されるが、残りは、アンテナ7Bをそのまま通過し、メタマテリアル5Bで反射して、アンテナ7Bで再び受信される。上述のように、メタマテリアル5Bで反射した電波とアンテナ7Bで直接受信される電波は、同位相であるため、アンテナ7Bでは、強い受信強度で電波を受信することができる。
【0040】
インターポーザ10は、その厚みを、電波の波長又は平均波長より小さくしている。より具体的には、インターポーザ10は、電波の波長に対する厚みの比率が、1/20から1/500までの範囲とすることができる(例えば、後述する図12参照)。本発明者の鋭意研究により、電波の波長がミリオーダであっても、インターポーザ10の厚みは、約数百ミクロンで十分であることが明らかとなった。
【0041】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、半導体チップ1A、1B間で通信を行うためのダイポールアンテナ7A、7Bが、多層構造配線内に形成されており、高誘電率材料で形成されたインターポーザ10を用いて電波を伝送するため、装置を大型化することなく、電波の伝送効率を向上することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、メタマテリアル5Aによりダイポールアンテナ7Aから発せられた電波が反射され、ダイポールアンテナ7Aから直接発せられた電波と重なり合って、電波の強度を強めることができる。メタマテリアル5Aは、高インピーダンスであるため、ダイポールアンテナ7Aから発せられた電波は、同位相で反転する。これにより、ダイポールアンテナ7Aとメタマテリアル5Aとの距離を1/4波長よりも短くすることができる。この結果、装置を大型化させることなく、電波の伝送効率を向上させることができる。
【0043】
また、インターポーザ10を電波の波長よりも、薄くすることができるので、装置を大型化させることなく、電波の伝送効率を向上させることができる。
【0044】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。
【0045】
本実施形態に係るチップ間通信システムは、ダイポールアンテナ7Aの構造が、上記実施形態1と異なる。
【0046】
図6には、本実施形態に係るダイポールアンテナ7Aの構造が示されている。図6では、ダイポールアンテナ7Aを半導体チップ1Aの積層方向から見ている。図6に示すように、ダイポールアンテナ7Aは、折り曲げられたアンテナパターンを有し、アンテナパターンによって形成される複数の直線部の長さが異なる。
【0047】
より具体的には、ダイポールアンテナ7Aでは、折り曲げられたアンテナパターンを有している。このアンテナパターンには、長さが異なる3つの直線部を有している。
【0048】
図7には、ダイポールアンテナ7Aの反射係数(S係数、Sパラメータ)S11のグラフが示されている。図7に示すように、ダイポールアンテナ7Aは、複数の異なる直線部を有するため、S係数S11が−10以下となる帯域を7.47GHzから12.95GHzまでの帯域、すなわち5.48GHzに広げることが可能となる。これにより、安定した電波の受信が可能となる。
【0049】
また、このダイポールアンテナ7Aを用いれば、上記実施形態1に係る三角形状のダイポールアンテナ7Aよりもアンテナパターンの占有面積を小さくすることができる。
【0050】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。
【0051】
本実施形態に係るチップ間通信システムは、ダイポールアンテナ7Aの構造が、上記実施形態2と異なる。
【0052】
図8には、本実施形態に係るダイポールアンテナ7Aの構造が示されている。図8では、ダイポールアンテナ7Aを半導体チップ1Aの積層方向から見ている。図8に示すように、ダイポールアンテナ7Aでは、直線部の長さが異なる複数の分岐を有するアンテナパターンが設けられている。
【0053】
より具体的には、ダイポールアンテナ7Aでは、折り曲げられたアンテナパターンを有している。このアンテナパターンには、2つの分岐が設けられており、本線の直線部と、各分岐の直線部の長さは互いに異なっている。すなわち、本実施形態に係るダイポールアンテナ7Aは、互いに長さが異なる直線部の数が、上記実施形態2に係るダイポールアンテナ7Aよりも多くなっている。
【0054】
図9には、ダイポールアンテナ7Aの反射係数(Sパラメータ)S11のグラフが示されている。図9では、上側の曲線が、上記実施形態2に係るダイポールアンテナ7AのS係数S11を示しており、下側の曲線が、本実施形態に係るダイポールアンテナ7AのS係数S11を示している。
【0055】
図9に示すように、ダイポールアンテナ7Aは、複数の異なる直線部をさらに多数有するため、グラフ上に3つの共振点1乃至3が現れている。これにより、S係数S11が−10以下となる帯域を4.36GHz以上の帯域(幅は25.64GHz以上)に広げることが可能となる。この結果、より安定した電波の受信が可能となる。
【0056】
また、このダイポールアンテナ7Aを用いれば、上記実施形態1に係る三角形状のダイポールアンテナ7Aよりもアンテナパターンの占有面積を小さくすることができる。
【0057】
本実施形態に係るチップ間通信システム100を用いて、半導体チップ1Aのダイポールアンテナ7Aから、図10(A)に示すような10GHzのBPSK(Binary phase-shift keying)信号を送信すると、図10(B)に示すような信号が半導体チップ1Bのダイポールアンテナ7Bで受信された。これにより、本実施形態に係るチップ間通信システム100で、デジタル信号の送受信が可能であることが確認された。
【0058】
なお、上記各実施形態では、一対の半導体チップ1A、1Bのデータ通信について説明したが、本発明はこれには限られず、3台以上の半導体チップ間のデータ通信も可能である。例えば、図11に示すような4つの半導体チップ1A乃至1Dの間のデータの送受信にも適用可能である。この場合には、送信するデータに、相手の識別情報を含めるようにすれば、受信側では、自身に送信されたデータであるのか否かを判定することができるので、一対一の通信が可能となる。
【0059】
図12には、インターポーザ10としてのHigh−k(高誘電率ゲート絶縁膜)を用いた場合における、電波の波長に対するHigh−kの厚みの比率(h/λres)と伝送係数(Sパラメータ)S21との関係が示されている。図12に示すように、電波の波長dが3mm、5mm、10mmのすべての場合において、電波の波長に対するHigh−kの厚みの比率が、0.002(すなわち1/500)以上0.05(すなわち1/20)以下の場合に、伝送係数S21が高くなっている。
【0060】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲、実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、複数の半導体装置を備える装置に用いることができる。特に、携帯端末など、薄型、小型化が要求される装置には好適である。
【符号の説明】
【0062】
1A、1B、1C、1D 半導体チップ
2A、2B 本体半導体基板層
3A、3B 遮蔽板
4A、4B 絶縁層
5A、5B メタマテリアル
6A、6B 絶縁層
7A、7B ダイポールアンテナ
8A、8B 絶縁層
10 インターポーザ
21A、21B 絶縁層
100 チップ間通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層配線構造を有する複数の半導体装置と、
一の前記半導体装置から出力された電波を、他の前記半導体装置に伝送する導波路と、
を備えるチップ間通信システムであって、
前記各半導体装置では、
本体半導体基板が形成された本体層と、
前記本体半導体基板から出力された電気信号に対応する電波を、前記多層配線構造の積層方向に発信するとともに、伝播してきた電波を受信して前記本体半導体基板に出力するアンテナと、
が前記多層配線構造内に設けられ、
前記導波路は、
高誘電率材料で形成されており、
前記本体層から見て、前記アンテナ側に設けられているチップ間通信システム。
【請求項2】
前記導波路は、
その比誘電率が前記半導体基板より高い比誘電率を有し、
セラミックス焼結体、又は強誘電体の粉末を混入させた有機体又は有機強誘電体等で形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のチップ間通信システム。
【請求項3】
前記導波路は、
その厚さが、電波の波長又は平均波長より小さく、
電波の波長に対する厚みの比率が、1/20から1/500の範囲にある、
ことを特徴とする請求項1に記載のチップ間通信システム。
【請求項4】
多層配線構造を有する半導体装置であって、
本体半導体基板が形成された本体層と、
前記本体半導体基板から出力された電気信号に対応する電波を前記多層配線構造の積層方向に発信するとともに、前記積層方向に伝播する電波を受信して前記本体半導体基板に出力するダイポールアンテナと、
前記ダイポールアンテナに対して絶縁層を介して配置されたメタマテリアルと、
を備える半導体装置。
【請求項5】
前記ダイポールアンテナに対して前記メタマテリアルの反対側に配置された遮蔽板をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダイポールアンテナは、
折り曲げられたアンテナパターンを有し、前記アンテナパターンによって形成される複数の直線部の長さが異なる、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ダイポールアンテナには、
直線部の長さが異なる複数の分岐を有するアンテナパターンが設けられている、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図7】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−195886(P2012−195886A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59883(P2011−59883)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】