説明

チャックテープ付き包装袋

【課題】支持強度が良好で、外層の溶融劣化もなく外観にも優れ、製造安定性の良いチャックテープ付き包装袋を提供する。
【解決手段】チャックテープ付き包装袋1は、開口部2Bを有し、2層以上の基材フィルム21からなる袋本体2と、開口部2B近傍の内層23に取り付けられ、雄部422を有する雄部材4と、雌部522を有する雌部材5からなり、雄部422および雌部522が互いに咬合するチャックテープ3とを備える。雄部材4および雌部材5は、内層23に取り付けられる第1層41,51と、雄部422または雌部522が形成された第2層42,52と、第2層42,52の一部を覆う第3層43,53とを含む。第1層41,51は、内層23と熱融着可能であり、第3層43,53を形成する樹脂以下のヒートシール可能温度を有する樹脂で形成され、雄部422および雌部522は、外層22よりヒートシール可能温度が低い樹脂で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋本体の開口部に配設され、開封及び再封が可能なチャックテープを備えたチャックテープ付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品や医療品等の各種物品を包装するための包装材として、取り扱いが容易な袋状の包装袋が用いられている。このような包装袋は、当該包装袋内部に包装した物品の品質劣化が発生しないように確実に閉塞できることが求められるが、物品の種類によっては、一度に当該物品がすべて使い切られない場合があり、当該物品を再び包装して再封できる包装袋が求められている。このため、一般に、包装袋の開口部に対して雄部材及び雌部材より形成されて雌雄咬合する一対の帯状のチャックテープ(咬合具)を配設して、かかる咬合状態を開閉自在としたチャックテープ付き包装袋が適用されている。
【0003】
このようなチャックテープ付き包装袋では、開口部の開封および再封が繰り返され、咬合する雄部材および雌部材が局所的に裂ける場合があるので、これら雄部材および雌部材の支持強度を向上した包装袋が要望されていた。このような課題を解決する包装袋として、例えば、あらかじめチャックテープを製造した後、当該チャックテープを袋本体の構成材である基材フィルムに対して熱融着(ヒートシール)して製造したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のチャックテープ付き包装袋では、ポリプロピレンで製造したチャックテープの雄部材および雌部材(インターロック・クロージャ部材)を、ポリエチレンで製造した袋本体(パッケージフィルム)に熱融着して製造されている。また。このような包装袋は、雄部材および雌部材の根元部分がアンカー形状となっており、このアンカーが、袋本体に雄部材および雌部材を貼り付けるシール部と袋本体との間に入り込む構成となっている。これにより、包装袋の雄部材および雌部材の支持強度を向上した再シール可能な包装袋を構成することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−153560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のチャックテープ付き包装袋では、チャックテープがヒートシールされる袋本体における、チャックテープに交差する方向の側部を熱融着してサイドシール部を形成して包装袋とする場合にあっては、フラットシールバー等により袋本体の外側から側部を加熱して熱融着させてサイドシール部を形成するようにしていたため、熱融着時にサイドシール部におけるチャックテープが溶融扁平化せず、その結果、包装袋に内外を連通する孔が生じてしまうという問題が生じていた。
一方、サイドシール部におけるチャックテープを溶融扁平化させるために高温で包装袋を加熱すると、包装袋を形成する袋本体の基材フィルムの最外層が融解してしまい、サイドシール部の外観が悪くなり、包装袋が形成できないという問題が生じていた。
【0007】
加えて、従来の構成によるチャックテープを用いて包装袋を得るにあっては、包装袋を製造する製袋機での繰り出し安定性が低いという問題があった。具体的には、チャックテープの雄部材および雌部材を袋本体にフラットシールバーの熱により熱融着する際に、雄部材および雌部材の間に介装される受け台に、雄部材および雌部材が融着したり、雄部材および雌部材が変形するなどにより、製袋機が包装袋をまっすぐ繰り出せなくなるという問題が生じており、改善が望まれていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、包装袋の雄部材および雌部材の支持強度が良好であるとともに、外層の溶融劣化もなく製品外観にも優れ、かつ、製造安定性も良好なチャックテープ付き包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した目的を達するために、本発明の第1発明のチャックテープ付き包装袋は、開口部を有し、少なくとも2層の基材フィルムから構成された袋本体と、この袋本体の開口部近傍の内側の層に取り付けられ、雄部を有する帯状の雄部材と、雌部を有する帯状の雌部材からなり、この雄部および雌部が互いに咬合するチャックテープとを備えたチャックテープ付き包装袋であって、前記雄部材および雌部材は、前記基材フィルムの内側の層に取り付けられる第1層と、この第1層に積層され、前記雄部または雌部が形成された第2層と、この第2層の当該雄部または雌部が形成された面の少なくとも一部を覆う第3層とを含み、前記第1層は、前記基材フィルムの内側の層と熱融着可能な樹脂で形成され、前記第3層は、前記第1層を形成する樹脂と同じまたは高いヒートシール可能温度を有する樹脂で形成され、前記雄部および雌部は、前記基材フィルムの外側の層を形成する樹脂より、ヒートシール可能温度が低い樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、ヒートシール可能温度とは、加熱対象がヒートシール可能となる最低温度を意味する。すなわち、ヒートシール可能温度は、加熱対象が結晶性ポリマーで形成されている場合は、当該結晶性ポリマーの融点を指し、好ましくは(融点+10)℃とされる。一方、加熱対象が非晶性ポリマーで形成されている場合は、ヒートシール可能温度は、当該非晶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)を指し、好ましくは(Tg+10)℃とされる。また、チャックテープに形成されている層の材料が、結晶性ポリマーを主成分とする組成物である場合は、ヒートシール可能温度は、当該結晶性ポリマーの融点を指し、好ましくは(融点+10)℃とされ、非晶性ポリマーを主成分とする組成物である場合は、当該非晶性ポリマーのガラス転移温度(Tg)を指し、好ましくは(Tg+10)℃とされる。
また、組成物全体のヒートシール適性に対する副成分の寄与が大きい場合では、組成物全体のヒートシール可能温度は、当該副成分の融点、好ましくは(当該副成分の融点+10)℃か、ガラス転移温度(Tg)、好ましくは(Tg+10)℃となる場合もある。
このような組成物のヒートシール可能温度は、例えば、当該組成物のフィルム2枚一組の試験片を多数作成し、当該試験片がヒートシール可能であるか否かを、所定の温度間隔で試験することで決定できる。このような試験は、例えば、5℃ごとに行ってもよく、ヒートシール可能温度をより正確に求める場合には、シール温度の振り幅を小さくすればよい。
【0011】
かかる本発明の第1発明のチャックテープ付き包装袋によれば、当該チャックテープ付き包装袋は、雄部材および雌部材を構成する第3層が、同じく雄部材および雌部材を構成し、基材フィルムに取り付けられる第1層を形成する樹脂より、高いヒートシール可能温度を有する樹脂から形成される。これによれば、チャックテープ付き包装袋をサイドシールする際に、チャックテープの雄部材および雌部材が咬合する部位を容易に潰して平滑化することができる。
ここで、雄部材、雌部材が、基材フィルムより柔軟な樹脂から形成されている場合には、チャックテープを基材フィルムに熱融着させる際に、第3層により、シール受け台にチャックテープが付着することを防ぐことができ、これにより、チャックテープの繰り出し安定性を良好にすることができる。また、このような構成を具備するチャックテープは、共押出により形成することができるため、生産性を良好にすることが可能となる。
なお、第3層のヒートシール可能温度を、第1層のヒートシール可能温度より10℃以上高く設定することにより、前述の効果を一層確実に奏することができる。
【0012】
また、本発明の第2発明のチャックテープ付き包装袋は、開口部を有し、少なくとも2層の基材フィルムから構成された袋本体と、この袋本体の開口部近傍の内側の層に取り付けられ、雄部を有する帯状の雄部材と、雌部を有する帯状の雌部材からなり、この雄部および雌部が互いに咬合するチャックテープとを備えたチャックテープ付き包装袋であって、前記雄部材および雌部材は、前記基材フィルムの内側の層に取り付けられる第1層と、この第1層に積層され、前記雄部または雌部が取り付けられる第2層とを含み、前記第1層は、前記基材フィルムの内側の層と熱融着可能で、かつ、前記第2層を形成する樹脂と同じまたは低いヒートシール可能温度を有する樹脂で形成され、前記雄部および雌部と前記第2層との間には、接着層が介在され、前記雄部および雌部は、前記基材フィルムの外側の層を形成する樹脂よりヒートシール可能温度が低い樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0013】
かかる本発明の第2発明のチャックテープ付き包装袋によれば、前述の第1発明のチャックテープ付き包装袋と略同じ効果を奏することができる。
すなわち、第2発明のチャックテープ付き包装袋では、雄部材および雌部材に接着層を介して接着された雄部および雌部は、基材フィルムの外側の層より融点が低い樹脂により形成されているので、フラットシールバー等により、外側の層に当該外側の層が融解する温度の熱を加えなくても、雄部および雌部を溶融扁平化することができる。従って、孔のないチャックテープ付き包装袋を安定して形成することができる。
【0014】
また、雄部材および雌部材を構成する第1層および第2層のうち、第1層は、第2層より低い融点を有する樹脂によって形成されているので、雄部または雌部が接着される第2層を融解させずに、第1層を基材フィルムの内側の層に熱融着させることができる。従って、チャックテープを基材フィルムに熱融着させる際に、雄部が接着される雄部材の第2層と、雌部が接着される雌部材の第2層との間に介装される受け台に、当該第2層が融着することを防ぐことができ、製袋時の繰り出し安定性を向上することができる。
【0015】
さらに、雄部材および雌部材のそれぞれの第2層への雄部および雌部の取り付けは、当該第2層と雌部および雌部とを接着する接着層が介在し、この接着層が第2層と雄部または雌部を互いに接着することによって行われるので、雄部および雌部の取り付け工程を簡略化することができる。
【0016】
本発明では、前記第3層を形成する樹脂のヒートシール可能温度は、前記第1層を形成する樹脂のヒートシール可能温度より10℃以上高いことが好ましい。
本発明によれば、第1層のヒートシール可能温度と、第3層のヒートシール可能温度とが10℃以上離れていることにより、基材フィルムに雄部材および雌部材の第1層を熱融着する際に、第3層の融解を確実に防ぐことができる。例えば、第1層の融点に略一致する温度にフラットシールバーの温度を設定し、袋本体の外側の層を該フラットシールバーにより加熱した場合に、第3層の熱融解が生じることなく、雄部材および雌部材の第1層を、袋本体を構成する基材フィルムの内側の層に熱融着させることができる。
【0017】
以上のようなチャックテープ付き包装袋では、前記基材フィルムの外側の層を構成する樹脂は、二軸延伸ポリプロピレンであり、前記基材フィルムの内側の層を構成する樹脂は、未延伸ポリプロピレンであり、前記雄部および/または雌部を構成する樹脂は、低密度ポリエチレンおよび/またはエチレン成分を主成分とする共重合体であることが好ましい。すなわち、雄部および/または雌部を構成する樹脂は、基材フィルムの外側の層を構成する樹脂より30℃以上低いヒートシール可能温度を有することが好ましい。
より具体的には、前記基材フィルムの外側の層を形成する樹脂は、二軸延伸ポリプロピレンとし、前記基材フィルムの内側の層を構成する樹脂は、未延伸ポリプロピレンとした場合、前記雄部および/または雌部を構成する樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒で重合されたエチレン・αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、および、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン成分を主成分とする共重合体を挙げることができる。
【0018】
本発明によれば、雄部および/または雌部を形成する低密度ポリエチレン等のエチレン骨格を主成分とする共重合体は、二軸延伸ポリプロピレンに比べ、柔軟で、かつ、融点が低いので、前述の第1および第2発明のチャックテープ付き包装袋の効果を、より一層好適に奏することができる。また、低密度ポリエチレン、および、エチレン骨格を主成分とする共重合体は、低温で、かつ、高速な溶融扁平化が可能であるので、チャックテープ付き包装袋の形成を高速に行うことができる。また、長鎖分岐を有する低密度ポリエチレンは、高速押出特性に優れているので、チャックテープの押出成形を高速に行って、該チャックテープを短時間で、かつ、安定して形成することができる。
【0019】
また、本発明では、前記第1層を形成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、および、エチレン、ブテン、プロピレンの少なくともいずれかを含む共重合体からなる群より選ばれた1種または2種以上であることが好ましい。
例えば、第1層を形成する樹脂として、エチレン、エチレンとブテン−1等を共重合したランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒で重合されたエチレン・αオレフィン共重合体、プロピレンとブテン−1との共重合体、および、これらのうち少なくとも1つを含む組成物を挙げることができる。要は、第1層を形成する樹脂は、前記基材フィルムと同じ樹脂を用いてもよく、基材フィルムのシール層とヒートシール可能であり、前記第3層を形成する樹脂よりヒートシール可能温度が低い組み合わせとなることを前提として、異なる樹脂を用いることができる。
【0020】
本発明によれば、エチレン、ブテン、プロピレン、または、これらのうち少なくとも1つを含む共重合体は、汎用的なシーラント材である未延伸ポリプロピレンに対して、熱融着可能であるので、基材フィルムの内側の層が未延伸ポリプロピレンで構成されている場合には、チャックテープ付き包装袋を容易に形成することができる。
【0021】
なお、前述の第1発明のチャックテープ付き包装袋においては、第1層を形成する樹脂が、第2層を形成する樹脂より高いヒートシール可能温度を持つ場合がある。このような場合には、第1層を融解させて基材フィルムとヒートシールする際に、第2層も確実に融解するため、サイドシール部の雄部および雌部を平滑に潰すことが容易となる。
また、前述の第2発明のチャックテープ付き包装袋においては、雄部、雌部の爪部のみを、ヒートシール可能温度が低い材料で形成することができるため、第2層のヒートシール可能温度を第1層より高くして、ヒートシール適性を向上することができる。
さらに、チャックテープを構成する雄部材および雌部材の第1層および第2層の樹脂に、熱可塑性のランダムポリプロピレンを用いた場合では、ヒートシール強度を高めることができ、チャックテープを袋本体に熱融着する際に、該チャックテープの熱収縮により、袋本体にシワが発生することを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
〔1.第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るチャックテープ付き包装袋(以下、包装袋と略す場合がある)を示す正面図である。また、図2は、図1のII−II断面図であって、チャックテープを袋本体に融着した状態を示す図である。
包装袋1は、図1および図2に示すように、袋本体2と、この袋本体2の互いに対向する内面に熱融着されたチャックテープ3から構成されている。
【0023】
袋本体2は、2層の合成樹脂製の基材フィルム21を二枚重ねて、三方をシールして袋としたものである。この袋本体2のシールしていない一方(一辺)は、袋本体2内部に被包装体を入れる開口部2Bが形成され、この開口部2Bの内側にチャックテープ3が熱融着されている。
【0024】
ここで、本実施形態の袋本体2を構成する基材フィルム21は、袋本体2の外側に位置する外層22と、袋本体2の内側に位置し、チャックテープ3が取り付けられるシーラント層23とから構成されている。このうち、外層22は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)で形成されており、シーラント層23は、未延伸ポリプロピレン(CPP)で形成されている。なお、基材フィルム21としては、これらの他に、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等からなるシーラントと、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ナイロン(ポリアミド)、金属または無機蒸着PET等の基材とを、ドライラミネート法や押出ラミネート法で貼り合わされたラミネートフィルムを用いることができる。
【0025】
チャックテープ3は、図2にその断面構成を示すように、断面が略鏃状に形成された雄部材4と、この雄部材4と咬合する雌部材5とから構成されている。これら雄部材4と雌部材5とが、離隔または咬合することにより、袋本体2の開口部2Bの開封または再封が行われることとなる。
【0026】
雄部材4は、3層の合成樹脂層から構成され、帯状に形成されている。具体的には、基材フィルム21のシーラント層23に近接する側から順に、シーラント層23に熱融着される第1層としてのシール層41と、断面略鏃状の雄部42Aが一体的に形成された第2層としての基体層42と、ヒートシール時に、チャックテープ3の最内面(雄部42Aが形成された面)が受け台12(図3参照)に付着することを防ぐ第3層としての非シール層43とから構成されている。このような雄部材4は、2台または3台の押出成形機による共押出成形により形成することができる。
【0027】
シール層41は、シーラント層23に熱融着可能な樹脂により形成されている。また、このシール層41を形成する樹脂は、外層22を形成する二軸延伸ポリプロピレン(OPP)よりも低いヒートシール可能温度を有する樹脂とすることができる。例えば、このような樹脂は、ニ軸延伸ポリプロピレンより低融点のエチレン、ブテン、プロピレン、またはこれらの少なくともいずれかを含む共重合体で構成することができ、特に、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。
【0028】
基体層42は、シール層41の略全面に亘って積層された基部421と、この基部421のシール層41とは反対側に断面視略鏃状に突出した雄部422とを備え、これら基部421および雄部422が一体的に形成されて構成されている。
この基体層42を形成する樹脂は、サイドシール時に、雄部422と雌部522が容易に潰れるように、外層22より低いヒートシール可能温度であることが必要である。
このため、基体層42を形成する樹脂は、基材フィルム21にヒートシール可能であれば、シール層41と同じ、または、シール層41より低いヒートシール可能温度を有する樹脂であってもよい。この場合、チャックテープ3および基材フィルム21のヒートシール条件の設定が難しくなる恐れはあるが、袋のサイドシール時に、雄部422と雌部522とを容易に潰すことができ、平滑で孔のないサイドシール部を形成することができる。
このような樹脂として、例えば、低密度ポリエチレン、または、エチレン骨格を主成分とする共重合体を挙げることができ、特に、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒で重合して得られるエチレン・αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、および、エチレン−メタクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0029】
非シール層43は、基体層42の基部421を覆うように形成されている。
この非シール層43は、チャックテープ3の最内面(雄部42Aが形成された面)が受け台12(図3)に付着することを防ぐ層である。なお、図5に示すように、非シール層43およびシール層41が、基体層42から剥離するのを防ぐために、チャックテープ3の両端で、非シール層43とシール層41とが接合する構造とすることが望ましい。
このような非シール層43を形成する樹脂としては、基体層42より融点の高い公知の熱可塑性樹脂を挙げることできるが、基材フィルム21のシーラント層23がエチレン系重合体であるので、ポリプロピレン系樹脂、特に、融点が150℃以上のホモポリプロピレン、融点が120℃以上のランダムポリプロピレン等を形成樹脂として挙げることができる。
【0030】
雌部材5は、雄部材4と同様に、3層からなる合成樹脂により帯状に形成され、基材フィルム21のシーラント層23に熱融着されるシール層51と、雄部422と咬合する雌部522を有する基体層52と、非シール層53とを備えている。
なお、シール層51および非シール層53の構成および樹脂は、雄部材4のシール層41および非シール層43と同じであるので、これらに準拠すればよい。このような雌部材5は、雄部材4と同様に、共押出成形により形成することができる。
【0031】
基体層52は、雄部材4の基体層42と同様に、シーラント層23に熱融着するシール層51に積層されて形成されている。この基体層52は、シール層51に融着する基部521と、この基部512に一体的に形成され、雄部422に応じて断面視略U字状に突出する雌部522とを備えている。このうち、雌部522は、雄部422を覆うように咬合する。このように、チャックテープ3を構成する雄部材4および雌部材5が互いに咬合することにより、これら雄部材4および雌部材5のそれぞれが熱融着された袋本体2の開口2Bを開閉自在に構成することができる。
なお、この基体層52は、基体層42と同じ樹脂で形成されている。
【0032】
以下に、包装袋1の形成について説明する。
図3は、チャックテープ3を基材フィルム21に熱融着させる際の両者の位置関係を示す断面図である。
チャックテープ3は、当該チャックテープ3を構成する雄部材4および雌部材5のそれぞれのシール層41,51がシーラント層23に対向し、非シール層43,53が互いに対向するように当接配置する。
この後、図3に示すように、基材フィルム21の外層22にフラットシールバー11を圧着し、雄部材4および雌部材5のそれぞれの非シール層43,53との間に受け台12を配置して、フラットシールバー11により外層22を加熱する。この受け台12は、雄部材4および雌部材5をシーラント層23にむら無く熱融着させるためのものである。
【0033】
フラットシールバー11によって外層22に加えられた熱は、シーラント層23を介して、雄部材4および雌部材5のシール層41,51に伝導される。ここで、シール層41,51は、外層22よりヒートシール可能温度が低い樹脂によって形成されている。このため、外層22が溶融する温度より低い温度の熱を当該外層22に加えて、シール層41,51を溶融させることができ、外層22を融解させずに、当該シール層41,51を有する雄部材4および雌部材5を、シーラント層23に熱融着させることができる。
【0034】
次に、基材フィルム21の側部2A(図1参照)を熱融着する場合(サイドシールする場合)を説明する。
フラットシールバー11、チャックテープ3、基材フィルム21の位置関係は、図3と同じである。このうち、チャックテープ3の雄部422および雌部522は、潰して平滑化する必要があるため、図3において示したフラットシールバー11の窪み、および、受け台12は不要である。
まず、フラットシールバー11を基材フィルム21の外層22に圧着させて加熱する。ここで、雄部材4および雌部材5の基体層42,52は、外層22に比べ柔軟で、かつ、当該外層22よりヒートシール可能温度が低い樹脂で形成されているので、フラットシールバー11からの熱により、基体層42,52に形成された雄部422および雌部522を溶融扁平化しやすくすることができる。さらに、基体層42,52を、雄部材4および雌部材5のシール層41,51と同じ、または、低いヒートシール可能温度を有する樹脂で形成した場合には、基材フィルム21の側部2Aをより確実に熱融着させ、平滑化することができ、孔の無い包装袋1を安定して形成することができる。
【0035】
また、基体層42の基部421は、シール層41と非シール層43との間に介装される。これによれば、シール層41からの基体層42の剥離が防止され、雄部422の引っ張りに対する基体層42とシール層41との接合強度を向上することができる。従って、包装袋1の形態安定性を向上することができる。また、基体層52の基部522は、基体層41と同様に、シール層51と非シール層53との間に介装されているので、基体層52の接合強度を向上することができ、包装袋1の形態安定性を一層向上することができる。
【0036】
すなわち、前述のようにして得られる本実施形態のチャックテープ付き包装袋1によれば、包装袋1は、開口部2Bを有し、外層22およびシーラント層23からなる基材フィルム21から構成された袋本体2と、開口部2B近傍のシーラント層23に取り付けられるチャックテープ3とを備えている。このチャックテープ3は、互いに咬合可能に構成された雄部材4および雌部材5から構成され、それぞれの雄部材4および雌部材5は、シーラント層23に熱融着可能なシール層41,51と、雄部422または雌部522を有する基体層42,52と、基体層42,52の基部421,521を覆う非シール層43,53から構成されている。このうち、シール層41,51は、基体層42,52と同じまたは基体層42,52より融点の低い樹脂で形成され、基体層42,52は、基材フィルム21の外層22より融点の低い樹脂で形成されている。
【0037】
これによれば、包装袋1の製袋時に、基体層42,52の融解および変形をさせることなく、シール層41,51を融解させてシーラント層23に熱融着させることができる。また、側部2Aを熱融着(サイドシール)する際に、外層22を溶融させずに雄部422および雌部522の溶融扁平化することができる。また、非シール層43,53が、基体層42,52の気部421,521を覆うように形成されていることにより、基体層42,52とシール層41,51との接合強度を向上して、剥離を防止することができ、これにより、雄部材4および雌部材5の支持強度を向上することができる。
【0038】
〔2.第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係るチャックテープ付き包装袋について説明する。第2実施形態のチャックテープ付き包装袋は、前述の第1実施形態のチャックテープ付き包装袋と比べて、袋本体およびチャックテープから構成される点については共通しているが、雄部および雌部が、接着層を介してチャックテープの基体層に接着されている点について相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
図4は、第2実施形態に係る包装袋1に設けられたチャックテープ3Aの断面図である。
本実施形態のチャックテープ3Aは、図4に示すように、断面視略鏃状に形成された雄部63を有する雄部材6と、この雄部63と咬合する断面視略U字状の雌部73を有する雌部材7とから構成されている。これら雄部材6と雌部材7とが、離隔または咬合することにより、袋本体2の開口部2Bの開封または再封が行われる。
【0040】
雄部材6は、合成樹脂製の2層からなる帯状の基部61と、接着層62と、雄部63とから構成されている。
このうち、基部61は、袋本体2を構成する基材フィルム21のシーラント層23に熱融着する第1層としてのシール層611と、接着層62を介して雄部63が接着される第2層としての基体層612とから構成されている。
なお、シール層611および基体層612を形成する樹脂としては、前述のシール層41,51および基体層42,52を形成する樹脂と同じ樹脂を挙げることができる。ただし、基体層612を形成する樹脂が、シール層611を形成する樹脂より、ヒートシール可能温度が高くなる組み合わせとする必要がある。このような組み合わせとすることにより、チャックテープ3と基材フィルム21とのヒートシール適性が向上するほか、これらのシートシール時に、受け台12にチャックテープ3Aの最内面(雄部63が形成された面)が付着することを防ぐことができる。
【0041】
接着層62は、雄部63を基体層612に接着するための接着剤の層である。この接着層62は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等の接着剤や、常温で接着可能なポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂等のドライラミ接着剤等から形成することができる。
【0042】
雄部63は、後述する雌部73と咬合して、袋本体2の開口部2Bを再封したり、当該雌部73から離間して、開口部2Bを開封する部分である。この雄部63は、接着層62を介して基体部612に接着される接着部631と、雌部73と咬合する断面視略鏃状の頭部632とが一体的に形成されて構成されている。
このような雄部63を形成する樹脂としては、基体層612と同様に、前述の基体層42,52を形成する樹脂と同じ樹脂を挙げることができる。また、雄部63が、接着層62により基体層61と接合しているため、サイドシール時に、雄部63が平滑に潰れる限り、基体層612の材料に拘束されずに、雄部63を形成する樹脂を選択することができる。
【0043】
雌部材7は、雄部材6と同様に、シール層711および基体層712から構成される帯状の基部71、接着層72および雌部73から構成されている。このうち、基部71および接着層72は、前述の基部61および接着層62と略同じ構成であり、また、同じ樹脂により形成されているので、説明を省略する。
【0044】
雌部73は、接着層72を介して基体層712に接着される接着部731と、雄部63の頭部632に応じて断面視略U字状に形成され、当該頭部632と咬合するフック部732とが一体的に形成されて構成されている。なお、このような雌部73は、前述の基体層712と同じ樹脂により形成されている。
【0045】
このようなチャックテープ3Aは、前述のチャックテープ3と同様に、2枚の基材フィルム21から構成される袋本体2の開口部2Bの内側に熱融着(ヒートシール)される。以下、チャックテープ3Aの基材フィルム21への熱融着の工程について説明する。
まず、基材フィルム21、チャックテープ3A、フラットシールバー11(図4では図示省略)、受け台12(図4では図示省略)の位置関係は、図3で示した場合と同様である。すなわち、チャックテープ3Aを構成する雄部材6および雌部材7のそれぞれのシール層611,711が、基材フィルム21のシーラント層23に対向し、かつ、それぞれの基体層612,712が互いに対向するように配置する。
【0046】
この後、基材フィルム21の外層22にフラットシールバー11を圧着し、チャックテープ3Aの雄部材6の基体層612と、雌部材7の基体層712との間に受け台12を配置する。そして、フラットシールバー11により外層22を加熱する。これにより、外層22に加えられた熱が、シーラント層23を介して、雄部材6のシール層611および雌部材7のシール層711に伝導し、当該シール層611,711が融解してシーラント層23に熱融着する。
【0047】
次に、基材フィルム21の側部2A(図1参照)を熱融着する場合(サイドシールする場合)を説明する。フラットシールバー11、チャックテープ3A、基材フィルム21の位置関係は、図3で示した場合と同様である。
ここで、雄部63および雌部73は潰して平滑化する必要があるので、前述の場合と同様に、図3において示したフラットシールバー11の窪み、および、受け台12は不要である。そして、フラットシールバー11を外層22に圧着させて加熱する。この際、雄部63および雌部73は、外層22に比べ柔軟で、かつ、当該外層22よりヒートシール可能温度が低い樹脂で形成されているので、フラットシールバー11からの熱により、当該雄部63および雌部73を溶融扁平化しやすくすることができる。
【0048】
また、基体層612は、シール層611よりも10℃以上高い融点を有する樹脂により形成されているので、外層22にシール層611を熱融着させる際に、シール層611に伝導された熱により、基体層612が融解することを防ぐことができる。また、これにより、基体層612が、受け台12に融着することを防ぐことができる。従って、製袋時にチャックテープ3Aが変形することを防ぐことができるとともに、製袋機による繰り出し安定性を向上することができ、包装袋1を安定して形成することができる。
なお、雌部材7においても同様の効果を奏することができる。
【0049】
〔3.第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係るチャックテープ付き包装袋について説明する。第3実施形態のチャックテープ付き包装袋は、前述の第1実施形態のチャックテープ付き包装袋と比べて、袋本体およびチャックテープから構成される点については共通しているが、非シール層が、基体層だけでなくシール層にも接している点において相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一または略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
図5は、本発明の第3実施形態のチャックテープ3Bの断面図である。
本実施形態のチャックテープ3Bは、図5に示すように、互いに咬合する雄部822および雌部922を有する雄部材8および雌部材9により構成されている。チャックテープ3Bは、袋本体2の開口部2Bに熱融着されており、雄部材8と雌部材9とが、離隔または咬合することにより、袋本体2の開口部2Bを開封または再封するように構成している。
【0051】
雄部材8は、前述の雄部材4と同様に、合成樹脂製の3層からなる帯状に形成されている。この雄部材8は、基材フィルム21のシーラント層23に近接する側から順に、当該シーラント層23に熱融着するシール層81と、雄部822を有する基体層82と、この基体層82の剥離を防止する非シール層83とから構成されている。
なお、雄部材8のシール層81、基体層82および非シール層83を形成する樹脂は、雄部材4のシール層41、基体層42および非シール層43を形成する樹脂に、それぞれ準拠することができる。
【0052】
シール層81のシーラント層23に対向する面は、当該シーラント層23に熱融着される。これに対し、シール層81のシーラント層23に対向する側とは反対側の面には、基体層82が積層される。このうち、シール層81の基体層82が積層される領域は、断面視略凹状に形成されている。
【0053】
基体層82は、シール層81に接する基部821と、この基部821のシール層81に接する側の反対側に断面視略鏃状に突出する雄部822とを備え、これらが一体的に形成されて構成されている。このうち、基部821は、シール層81の略中央を中心に、当該シール層81の略半分の幅方向(図5中左右方向)の寸法で形成され、当該基部821の厚さ方向(図5中上下方向)の略半分が、シール層81に埋没している。
【0054】
非シール層83は、基体層82の基部821と、シール層81とを覆い、ヒートシール時に、チャックテープ3Bの最内面(雄部82が形成された面)が受け台12(図3参照)に付着することを防ぎ、かつ、当該基体層82のシール層81からの剥離を防止する層である。このように非シール層83が基体層82の基部821を覆い、かつ、非シール層83がシール層81と接することにより、基体層82とシール層81との接合強度が一層向上し、シール層81からの基体層82の剥離を防止することができる。
【0055】
雌部材9は、雄部材8と同様に、合成樹脂製の3層からなる帯状に形成され、シール層91、基体層92および非シール層93から構成されている。なお、シール層91および非シール層93は、シール層81および非シール層83と同じ構成および同じ樹脂であるので、説明を省略する。
【0056】
基体層92は、基体層82と同様に、シール層91と非シール層92との間に埋没する基部921と、この基部921に一体的に形成され、雄部822の形状に応じて断面視略U字状に突出して形成された雌部922とを備えて構成されている。このうち、雌部922は、雄部822と隔離および咬合が可能に形成されている。
なお、基体層92は、基体層82と同じ樹脂により形成することができる。
【0057】
このようなチャックテープ3Bは、前述のチャックテープ3と同様の工程により、基材フィルムに熱融着させることができる。また、このチャックテープ3Bを熱融着させた後の基材フィルムの側部2Aの熱融着も、チャックテープ3と同様の工程で行うことができる。このようなチャックテープ3B付きの包装袋1によれば、前述のチャックテープ3付きの包装袋1と略同じ効果を奏することができる。
【0058】
〔4.実施形態の変形〕
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
【0059】
前記各実施形態では、袋本体2を構成する基材フィルム21は、外層22およびシーラント層23から構成される2層のフィルムとしたが、本発明はこれに限らず、3層以上の構成を有するフィルムとしてもよい。この場合、袋形状を形成した際の最外層を外層22と同じ樹脂により形成し、最内層をシーラント層と同じ樹脂により形成すればよい。
【0060】
前記各実施形態では、雄部422,63,822は断面視略鏃状に形成し、雌部522,73,922は断面視略U字状に形成したが、本発明はこれに限らず、他の形状としてもよい。すなわち、開封及び再封の機能を有していれば、雄部および雌部は任意の形状としてよい。
【0061】
前記各実施形態では、包装袋1は、側部2Aを熱融着した三方シール袋として形成したが、本発明はこれに限らず、他の形状の包装袋としてもよい。例えば、平袋、合掌袋、ガゼット袋として形成してもよい。
【実施例】
【0062】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例等の内容に何ら限定されるものではない。
【0063】
〔実施例1〕
チャックテープは、前述した第1実施形態のチャックテープ(図2参照)にて示した構成を採用した。また、下記に示す樹脂を用い、3台の押出成形機を用いて、共押出成形することによりチャックテープを得た。
(チャックテープのシール層の樹脂:第1層)
エチレンとポリブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレンを80重量%とし、プロピレンとブテン−1との共重合体を20重量%とした混合物を使用した。
なお、融点は、ランダムポリプロピレンが133℃、プロピレンとブテン−1との共重合体が110℃であり、厚さは20μmである。
(チャックテープの基体層の樹脂:第2層)
直鎖状低密度ポリエチレンを使用した。
なお、融点は120℃であり、厚さは100μmである。
(チャックテープの非シール層の樹脂:第3層)
エチレンとブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレンを使用した。
なお、融点は133℃であり、厚さは30μmである。
得られたチャックテープと、下記の基材フィルムとを用いて、図1において示した包装袋(三方シール袋)を製造した。ヒートシールに際しては、図3において示したフラットシールバーおよび受け台を用いた。三方シール袋のサイドシール部は、受け台は用いず、窪みのないフラットシールバーを用いて形成した。
【0064】
(使用した樹脂:基材フィルムの外層)
二軸延伸ポリプロピレンを使用した。
なお、融点は165℃であり、厚さは20μmである。
(使用した樹脂:基材フィルムのシーラント層)
未延伸ポリプロピレンを使用した。
なお、融点は134℃であり、厚さは30μmである。
【0065】
〔実施例2〕
チャックテープのシール層を以下の樹脂により形成したこと以外は、実施例1と同様の方法および樹脂を用いて、図1に示す本発明の包装袋を得た。
(チャックテープのシール層の樹脂:第1層)
エチレンとブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレンを使用した。
なお、融点は133℃であり、厚さは20μmである。
【0066】
〔実施例3〕
チャックテープのシール層を以下の樹脂により形成したこと以外は、実施例1と同様の方法および樹脂を用いて、図1に示す本発明の包装袋を得た。
(チャックテープのシール層の樹脂:第1層)
プロピレンとブテン−1との共重合体を使用した。
なお、融点は110℃であり、厚さは20μmである。
【0067】
〔実施例4〕
前述した第3実施形態のチャックテープ(図5参照)にて示した構成とした以外は、実施例1と同様としてチャックテープを製造し、製袋した。
【0068】
〔実施例5〕
前述した第2実施形態のチャックテープ(図4参照)に示した構成を採用し、下記の樹脂を用いて、4台の押出成形機を用いて共押出成形することにより、チャックテープを得た。このチャックテープを、実施例1と同様に、基材フィルムにヒートシールし、製袋した。
【0069】
(チャックテープの接着層の樹脂)
低密度ポリエチレン(LDPE)を50重量%とし、エチレンとブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレン(RPP)を50重量%とした混合物を使用した。
なお、融点は、低密度ポリエチレンが110℃、ランダムポリプロピレンが133℃であり、厚さは10μmである。
(チャックテープの雄部および雌部の樹脂)
直鎖状低密度ポリエチレンを使用した。
なお、融点は120℃である。
(チャックテープのシール層の樹脂:第1層)
エチレンとポリブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレン(RPP)を80重量%とし、プロピレンとブテン−1との共重合体を20重量%とした混合物を使用した。
なお、融点は、ランダムポリプロピレンが133℃、プロピレンとブテン−1との共重合体が110℃であり、厚さは、20μmである。
(チャックテープの基体層の樹脂:第2層)
エチレンとブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレン(RPP)を使用した。
なお、融点は133℃であり、厚さは130μmである。
【0070】
〔比較例1〕
接着層を形成しなかった以外は、前述の実施例5と同様の方法および樹脂を用いて包装袋を得た。
【0071】
〔比較例2〕
シール層および非シール層を以下の樹脂により形成したこと以外は、実施例1と同様の方法および樹脂を用いて包装袋を得た。
(チャックテープのシール層の樹脂:第1層)
エチレンとブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレンを使用した。
融点は133℃であり、厚さは20μmである。
(チャックテープの非シール層の樹脂:第3層)
エチレンとブテン−1とを共重合したランダムポリプロピレン(RPP)を80重量%とし、プロピレンとブテン−1との共重合体を20重量%とした混合物を使用した。
融点は、ランダムポリプロピレンが133℃、プロピレンとブテン−1との共重合体が110℃であり、厚さは30μmである。
【0072】
〔比較例3〕
雄部を有する一層の雄部材および雌部を有する一層の雌部材を、下記の樹脂を基に、1台の押出成形機を用いて押出成形することにより、チャックテープを得た。このチャックテープを前述の工程により基材フィルムに熱融着し、製袋して、包装袋を得た。
【0073】
(チャックテープの雄部材および雌部材の樹脂)
エチレンとブテン−1を共重合したランダムポリプロピレン(RPP)を使用した。
融点は133℃である。
【0074】
前述の実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例3により得られた包装袋について、(1)製袋機での繰り出し安定性、(2)外層の熱劣化、および(3)シール層と基体層との接合強度の各評価項目を、下記の条件により比較・評価した。これらの結果を表1に示す。
【0075】
(1)製袋機での繰り出し安定性
製袋機による包装袋の製袋時に、包装袋の直進性を以下の判定基準により比較・評価した。
【0076】
(判定基準)
判 定 内 容
◎ :包装袋の直進性あり。
○ :製袋機を調整して製袋できる程度の直進性あり。
× :製袋できないほど直進性なし。
【0077】
(2)外層の熱劣化
製袋時での包装袋の外層の熱劣化の有無を確認し、下記の判定基準により比較・評価した。
【0078】
(判定基準)
判 定 内 容
◎ :外層の融解なし。
× :外層の融解あり。
【0079】
(3)シール層と基体層との接合強度
包装袋に融着させたチャックテープのシール層と基体層とを、手によって剥離するようにして、剥離の可否を確認し、下記の判定基準により接合強度を比較・評価した。
【0080】
(判定基準)
判 定 内 容
◎ :手で剥離することはできない(剥離不可)。
○ :手で強く引っ張れば剥離できるが、包装袋の再開閉では剥離しない(剥離
困難)
× :包装袋の再開閉で剥離する(剥離容易)。
【0081】
以上の結果を表1に総合結果とともに示す。なお、総合結果は、評価項目(1)〜(3)のうち、1つでも×があるものを不可(×)とし、そうでないものを合格(○)とした。
【0082】
(結果)
【表1】

【0083】
表1に示すように、実施例1および実施例3〜実施例5により得られた本発明の包装袋は、製袋機による製袋時に、包装袋の直進性が認められ、連続した包装袋の製袋における実用レベルの繰り出し安定性を備えた包装袋を形成することができた。また、実施例2により得られた本発明の包装袋は、実施例1および実施例3〜実施例5により得られた包装袋に比べると、直進性が若干劣るものの、製袋機の調整により、実用上支障のない程度の直進性を認めることができ、実用レベルの繰り出し安定性を備えた包装袋を形成することができた。
【0084】
また、実施例1〜実施例5により得られた本発明の包装袋は、製袋時における包装袋の外層の熱劣化、すなわち、外層の融解が認められず、実用レベルの形態安定性を具備した包装袋を形成することができた。
【0085】
さらに、実施例1〜実施例4により得られた本発明の包装袋は、包装袋の開口部を再開閉しても、あるいは、手で強く引っ張っても、チャックテープのシール層から基体層が剥離することがなく、実用レベルの接合強度を備えた包装袋を形成することができた。また、実施例5により得られた本発明の包装袋は、手で強く引っ張った場合に、基体層の若干の剥離が見られたが、実用上支障の無い程度の接合強度を備えた包装袋を形成することができた。
【0086】
一方、比較例1〜比較例3により得られた包装袋は、(1)製袋機での繰り出し安定性、(2)外層の熱劣化、および(3)シール層と基体層との接合強度についての評価項目を基とした総合評価で、合格を与えられるものはなかった。
このように、本発明の要件を具備しない比較例1〜比較例3の包装袋は、本発明の要件を具備する実施例1〜実施例5の包装袋と比べて、大きく劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、例えば、食品および医療品等の各種物品を包装するために用いられるチャックテープ付き包装袋として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施形態に係るチャックテープ付き包装袋を示す正面図。
【図2】図1のII−II断面図であって、前記実施形態における袋本体およびチャックテープを示す断面図。
【図3】前記実施形態における基材フィルムへのチャックテープの融着工程を説明する概略図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るチャックテープを示す断面図。
【図5】本発明の第3実施形態に係るチャックテープを示す断面図。
【符号の説明】
【0089】
1…チャックテープ付き包装袋
2…袋本体
3,3A,3B…チャックテープ
4,6,8…雄部材
5,7,9…雌部材
2B…開口部(開口)
21…基材フィルム
22…外層(外側の層)
23…シーラント層(内側の層)
41,51,611,711,81,91…シール層(第1層)
42,52,612,712,82,92…基体層(第2層)
43,53,83,93…非シール層(第3層)
62,72…接着層
422,63,822…雄部
522,73,922…雌部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、少なくとも2層の基材フィルムから構成された袋本体と、
この袋本体の開口部近傍の内側の層に取り付けられ、雄部を有する帯状の雄部材と、雌部を有する帯状の雌部材からなり、この雄部および雌部が互いに咬合するチャックテープとを備えたチャックテープ付き包装袋であって、
前記雄部材および雌部材は、前記基材フィルムの内側の層に取り付けられる第1層と、この第1層に積層され、前記雄部または雌部が形成された第2層と、この第2層の当該雄部または雌部が形成された面の少なくとも一部を覆う第3層とを含み、
前記第1層は、前記基材フィルムの内側の層と熱融着可能な樹脂で形成され、
前記第3層は、前記第1層を形成する樹脂と同じまたは高いヒートシール可能温度を有する樹脂で形成され、
前記雄部および雌部は、前記基材フィルムの外側の層を形成する樹脂より、ヒートシール可能温度が低い樹脂で形成されていることを特徴とするチャックテープ付き包装袋。
【請求項2】
開口部を有し、少なくとも2層の基材フィルムから構成された袋本体と、
この袋本体の開口部近傍の内側の層に取り付けられ、雄部を有する帯状の雄部材と、雌部を有する帯状の雌部材からなり、この雄部および雌部が互いに咬合するチャックテープとを備えたチャックテープ付き包装袋であって、
前記雄部材および雌部材は、前記基材フィルムの内側の層に取り付けられる第1層と、この第1層に積層され、前記雄部または雌部が取り付けられる第2層とを含み、
前記第1層は、前記基材フィルムの内側の層と熱融着可能で、かつ、前記第2層を形成する樹脂と同じまたは低いヒートシール可能温度を有する樹脂で形成され、
前記雄部および雌部と前記第2層との間には、接着層が介在され、
前記雄部および雌部は、前記基材フィルムの外側の層を形成する樹脂よりヒートシール可能温度が低い樹脂で形成されていることを特徴とするチャックテープ付き包装袋。
【請求項3】
請求項1に記載のチャックテープ付き包装袋において、
前記第3層を形成する樹脂のヒートシール可能温度は、前記第1層を形成する樹脂のヒートシール可能温度より10℃以上高いことを特徴とするチャックテープ付き包装袋。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のチャックテープ付き包装袋において、
前記基材フィルムの外側の層を構成する樹脂は、二軸延伸ポリプロピレンであり、
前記基材フィルムの内側の層を構成する樹脂は、未延伸ポリプロピレンであり、
前記雄部および/または雌部を構成する樹脂は、低密度ポリエチレンおよび/またはエチレン成分を主成分とする共重合体であることを特徴とするチャックテープ付き包装袋。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のチャックテープ付き包装袋において、
前記第1層を形成する樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、および、エチレン、ブテン、プロピレンの少なくともいずれかを含む共重合体からなる群より選ばれた1種または2種以上であることを特徴とするチャックテープ付き包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−176196(P2006−176196A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374059(P2004−374059)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】