説明

チャネル品質表示の検出

【課題】無線通信ネットワークでのチャネル品質表示(CQI)のメッセージの信頼性を改善する。
【解決手段】無線通信ネットワークでのチャネル品質表示(CQI)(図3の102、106)のメッセージの信頼性を改善する方法は、CQIのメッセージの受信から開始する。次いでCQIメッセージをデコードし、およびCQIメッセージ中の各シンボルについての決定メトリック値を計算する。CQIメッセージについての最大の決定メトリック値および2番目に大きい決定メトリック値を求める。最大の2つの決定メトリック値を比較することによってCQIのメッセージの信頼性を決定することができる。この方法は、時分割複信、周波数分割複信、または他の伝送のモードでの高速なダウンリンクのパケットアクセスに適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、無線通信のチャネル品質の測定に関し、より詳細には、チャネル品質の確実な検出およびアウターループ送信電力制御への応用を行う方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第3世代(3G)移動通信システムは、効率的および高スループットのダウンリンク(DL)パケットのデータ転送機構を実装するために標準化が進んでいる。UMTS(universal mobile telecommunications system)の広帯域符号分割多重アクセス(W−CDMA)ベースの3Gシステムという状況では、こうしたパケット転送技術は、一般に高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)と呼ばれる。HSPDAは、周波数分割複信(FDD)と時分割複信(TDD)との両方のモードに対して可能であり、ならびに1.28Mcpsおよび3.84Mcpsのチップレートについて実装される。
【0003】
以下の特有の特徴は、HSDPAの認識された効率および達成可能なデータスループットの源である。すなわち、AMC(Adaptive Modulation and Coding)の技術、高速のハイブリッドARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)、即時的なDLのチャネル品質のアップリンク(UL)での報告に関する高速なフィードバック機構、ならびに無線資源の効率の良いパケットスケジューリング機構および高速で短期間なDLのチャネル割当てである。
【0004】
HSDPAのさらに別の目印となる特徴は、HSDPAの基地局によって無線送受信装置(WTRU)に割り当てられるデータレートおよびDLの送信(Tx)電力の総電力量が、WTRUの即時的なチャネル状態の関数であることである。例えば、基地局に近いユーザは、低送信電力で確実にHSDPAの高速データレートを受信することができる。基地局から離れたユーザ、または好ましくないチャネル状態に直面するユーザは、割り当てられたDLの送信電力と同一またはより大きい電力量に対して、低減したデータレートしかサポートしないことになる。
【0005】
特定のユーザが確実にサポートすることのできる即時的なHSDPAのデータレートは、一般に、1)サービスを提供する基地局までの距離に基づく経路損失、2)シャドーイング、3)即時的な高速フェージングの条件、4)システム内に存在する他のユーザによって引き起こされるユーザの受信機での干渉、および5)速度や伝播環境などのユーザのチャネル状態に依存する。言い換えれば、HSDPAのデータレートは、こうした因子のすべてに基づき、およびユーザがサポートすることのできるDLのデータレートを表す、ユーザが受けるDLの信号対干渉比(SIR)の関数である。ユーザのDLのSIRは、一般に、こうした因子に応じて時間変化する。
【0006】
ユーザの受けるDLのSIR、またはこの機能に伴う何らかの類似した典型的な測定、例えばBLER、BERもしくは受信されるDLの干渉波と組み合わされた受信信号出力の知識は、HSDPAの基地局が高効率のHSDPAの動作を保証するのに不可欠である。したがって、HSDPAを使用するCDMAシステムは、高速なULのチャネル品質表示(CQI)を使用して、WTRUが基地局にDLのSIRを周期的に報告することを可能にする高速なULのレイヤ1(L1)のシグナリング機構を採用している。現在のFDDの仕様は、ULでの周期的なCQIのフィードバックの構成を0(CQIの報告がオフの場合)、2、4、8、10、20、40、80、または160msごとに送信することを可能にする。しかし、TDDでは、周期的なCQIのフィードバックがなく、したがって代わりにCQIが、HS−DSCH(HSDPA Data Channel)上のDLのデータブロックがWTRUによって受信されるときにはいつでも、ACK/NACKと共にHS−SICH(High−Speed Shared Control Channel)上で送信される。W−CDMAのFDDおよびTDDモードでは、この機構は一般にCQIの報告と呼ばれる。
【0007】
特定のWTRU実装でCQIを測定する方法は標準化されておらず、ベンダの実装方法に開放されている。しかし、報告されるCQI値を導出する方法は標準化されている。FDDの標準では、次第に高くなるデータレートにほぼ対応し、したがって高くなるDLのSIRに比例する30個ほどのCQI値を列挙する表(例えば、非特許文献1参照。)が存在する。FDDで報告されるCQIは、以下のように導出される(例えば、非特許文献2参照。)。すなわち、「UEは、作成した表のうち最高のCQI値を報告し、そのCQI値に関して、転送ブロックのサイズ、HS−PDSCHコードの個数、および報告されるCQI値またはそれより小さいCQI値に対応する変調でフォーマットされた単一のHS−DSCHサブフレームを、報告されるCQI値が送信される第1スロットの開始より1スロット前に終了する3スロットの参照の周期で受信することができ、転送のブロックエラーの確率が0.1を超えない」。TDDでは、報告は異なる。すなわち、転送ブロックのサイズが最後に受信した送信間隔(最後のHS−DSCHが受信されたタイムスロット数)中に送信され、かつその送信よってブロック誤り率が0.1をもたらすはずである場合、転送ブロックのサイズが報告される。
【0008】
一例を挙げると、新しいW−CDMAのFDDのリリース5では、CQIは、(20,5)リード・ミュラー符号(Reed−Muller code)によってエンコードされる5ビット長の情報ビットのシーケンスである。得られる20ビット長の符号化シーケンスが、ULにおけるHS−DPCCH(High−Speed Dedicated Physical Control Channel)上で送信される。すべてのユーザは調節可能なCQIの報告の周期(フィードバックレート)を有する別個のHS−DPCCHを有する。ユーザは、HS−DSCH上でデータを受信しない場合であってもHS−DPCCH上でCQIを報告することができる。
【0009】
別の例を挙げると、新しいW−CDMAのTDDのリリース(3.84McpsまたはHCR(high chip rate)のTDD)では、CQIは、(32,10)リード・ミュラー符号によってエンコードされる10ビット長の情報ビットのシーケンスである。得られる32ビット長の符号化シーケンスが、HS−SICHの一部としてULで送信される。新しいTDDでは、CQIの送信だけを、ユーザがフレームでHS−DSCH上で以前にデータを受信した場合に行うことができる。
【0010】
WTRUのCQIの報告の信頼性がHSDPAの動作に影響を及ぼすので、CQIを誤って受信したかどうかを決定する手段をHSDPAの基地局が有することは重要である。誤って受信したどんなCQIでも廃棄することにより、HSDPAの基地局は、ユーザの受けるDLのチャネル状態に適合しない、ユーザに関するDLのデータレートおよび対応する送信電力を選んでしまう状況を回避することができる。誤りのあるCQIは、ユーザに対するHSDPAのデータスループットを低下させ、およびシステム中のその他のユーザに対する高いレベルの干渉を生み出し、結果として、W−CDMAシステム中のHSDPAのサービスの効率が低下する。
【0011】
さらに、特定のユーザからの誤って受信される過剰なCQIは、ユーザのULの送信電力の設定が正確ではなく、および基地局または無線ネットワークコントローラ(RNC)などの別のアクセスネットワークノードが適切な措置を取ることになることを示す。一例を挙げると、RNCは、ユーザのULの送信電力を増大させ、および(FDDでの)HS−DPCCHまたは(TDDでの)HS−SICH上の誤り率を低下させるために、より高い目標のULのSIRをユーザに信号で伝えることができる。この種類のRNC機能は、一般に、アウターループ送信電力制御と呼ばれる。
【0012】
W−CDMAのFDDおよびTDDモードでの受信したULの伝送の誤り検出は、通常、周期的冗長検査(CRC)、すなわち、基地局で誤ってデコードされた場合に、信頼できるデコードの誤りの表示であるデータから計算されおよびそのデータに付随するビットシーケンスを使用することによって実施される。誤り検出でCRCが効果的であるためには、CRCの長さが十分長くなければならない。しかし、非効率な処理を有することを回避するために、実際のデータ長に対するCRC長の比を小さくしなければならない。典型的な応用例では、データは数百ビット程度とすることができ、一方CRCフィールドは8〜24ビット程度とすることができる。
【0013】
遺憾ながら、HS−DPCCH(FDD)およびHS−SICH(TDD)は、ULのデータも、CRCを効率的に使用するのに十分な数のL1シグナリングビットも含まない高速なL1のULのシグナリングチャネルである。十分な誤り検出の機能を提供するために、CRCは名目上、検証中のデータフィールドと少なくとも同一のサイズでなければならない。こうした点を考慮して、現在のHSDPAの標準は、HS−DPCCH(FDD)およびHS−SICH(TDD)上でCRCを使用しない。
【0014】
したがって、既存の技術に基づくネットワーク(基地局またはRNC)は、CQIが誤って受信されたか否かを確実に決定する手段を持たない。ネットワークは、誤りの可能性が十分低く、HSPDAシステムの動作にとって有害とならないように、ULの目標のSIRを用いておよびシミュレーションからの「経験」によって十分高いULの送信電力を使用するようにWTRUを構成することができるだけである。したがって、受信したCQI値の正確さを確実に検出および報告する方法を提供することが有利である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】3GPP TS 25.321、MAC(Medium Access Control)Protocol Specification、5.4.0(2003−03)
【非特許文献2】3GPP TS 25.214、Physical layer procedures(FDD)、v5.4.0(2003−03)、section 6A.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の方法は、基地局がCQIの信頼度を決定することを可能にする。本発明は、WTRUからHSDPAの基地局によって受信されたCQIの報告に関する有用な信頼性検出機構を提供し、WTRUのULの送信出力の設定を追跡および調整するために、HSDPAの基地局からRNCへの、受信したCQIの品質の報告機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
無線通信ネットワークでのチャネル品質表示(CQI)のメッセージの信頼性を改善する方法は、CQIのメッセージを受信およびデコードすることから始まる。CQIのメッセージ中の各シンボルについての決定メトリック値(decision metric value)が計算される。最大の決定メトリック値および2番目に大きい決定メトリック値が決定される。最大の決定メトリック値と2番目に大きい決定メトリック値とを比較することにより、CQIメッセージの信頼性が決定される。
【0018】
無線通信システムでの伝送チャネルの品質を表す受信メッセージの信頼性を改善する方法は、無線送受信装置からチャネル品質表示(CQI)のメッセージを受信することによって開始する。次いでCQIのメッセージがデコードされ、およびデコードされたCQIのメッセージを表す少なくとも2つの異なる値が得られる。少なくとも2つの値を比較することにより、CQIのメッセージの信頼性が決定される。
【0019】
無線通信システムでの伝送チャネルの品質を決定するシステムは、少なくとも1つの無線送受信装置(WTRU)および基地局を含む。WTRUは、チャネル品質表示(CQI)を生成する生成手段を含む。基地局は、CQIを受信する受信手段、CQIをデコードするデコード手段、デコードしたCQIの第1の決定メトリック(decision metric)および第2の決定メトリックを計算する計算手段、第1の決定メトリックと第2の決定メトリックとを比較してCQIが誤りを含むかどうかを決定する比較手段を含む。
【0020】
本発明に従って構築される集積回路は、チャネル品質表示(CQI)のメッセージを受信するように構成された入力と、CQIのメッセージをデコードするデコード手段と、デコードしたCQIメッセージの第1の決定メトリックおよび第2の決定メトリックを計算する計算手段と、第1の決定メトリックと第2の決定メトリックとを比較してCQIメッセージが誤りを含むかどうかを決定する比較手段とを含む。
【0021】
例示によって与えられ、および添付の図面を参照しながら理解すべきである、以下の好ましい実施形態の説明から本発明のより詳細な理解を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】FDDとTDDとの両方に適用可能な、本発明による方法のフローチャートである。
【図2】FDDとTDDとの両方に適用可能な、本発明による方法の代替の実施形態のフローチャートである。
【図3】FDDとTDDとの両方に適用可能な、CQIの信頼性検出の例を示す図である。
【図4】TDDのシミュレーションによる、加法的白色ガウス雑音(AWGN)のあるチャネルのHS−SICHの性能のグラフである。
【図5】TDDのシミュレーションによる、WG4のテストケース2の場合のチャネルのHS−SICHの性能のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本明細書で使用しおよび説明する、WTRUは、限定はしないが、ユーザ装置、移動局、固定または移動加入者装置、ページャ、または無線環境で動作することのできるあらゆる他の種類の装置を含む。以下に本明細書で引用する場合には、基地局は、限定はしないが、Node B、サイトコントローラ、アクセスポイント、または無線環境内の他の種類のインターフェース装置を含む。
【0024】
図1に、本発明によるCQIの信頼性を決定する方法100、およびアウターループ送信電力制御への応用を例示する。方法100は、時間間隔クロックならびに、受信した全HS−SICH、受信したHS−SICHの誤り数および欠落したHS−SICHの数などのいくつかのカウンタを初期化することによって開始する(ステップ102)。CQIを受信し(ステップ104)、およびデコードする(ステップ106)。CQI中の各シンボルについて、決定メトリック値を計算する(ステップ108)。最大の2つの(two largest)決定メトリック値を選択し(ステップ110)、および最大の2つの値の差を決定する(ステップ112)。最大の2つの決定メトリックの間の差を評価して、それがしきい値未満かどうかを決定する(ステップ114)。差がしきい値未満である場合、CQIは誤りである可能性が高く、したがってCQIを廃棄する(ステップ116)。
【0025】
差がしきい値以上である場合、CQIは有効とみなされる(ステップ118)。次に、カウンタをインクリメントし(ステップ120)、および時間間隔の終わりに達したかどうかを決定する(ステップ122)。さらに、フローはステップ104に戻り、カウンタの値または時間間隔が満了したかどうかにかかわらず、ステップ104〜120のループを連続して繰り返す。
【0026】
時間間隔が満了した場合(ステップ122)、カウンタがしきい値以上であるかどうか決定する(ステップ124)。カウンタがしきい値以上である場合、RNCに信号で知らせ(ステップ126)、次いでRNCは、ULの送信電力を調整するようにWTRUに信号で知らせ(ステップ128)、および方法は終了する(ステップ130)。時間間隔の終わりに達していない場合(ステップ122)、またはカウンタがしきい値未満である場合(ステップ124)、方法は終了する(ステップ130)。
【0027】
ステップ112で決定した差は、メトリックが対数関数である場合に、すなわちdB単位である場合に適用可能であることに留意されたい。メトリックが純粋な数である場合、ステップ112および114を以下のように修正することができる。最大の決定メトリックと2番目に大きい決定メトリックとの比率を計算し(ステップ112)、および比率をしきい値と比較する(ステップ114)。
【0028】
追加のIubシグナリングを含む類似の代替方法は、受信したHS−SICHの合計数、受信したHS−SICHの誤り数、および固定の時間周期に欠落したHS−SICHの数を単純に周期的に報告すること、ならびにこうした数を誤りのしきい値に関わらず報告することを伴う。この種類の周期的な報告は、より多くのIubシグナリングを追加することになるが、Node Bでの実装がより単純になる。
【0029】
図2に、本発明によるCQIの信頼性を決定する代替方法200、およびアウターループ送信電力制御への応用を例示する。方法200は、受信した全HS−SICH、受信したHS−SICHの誤り数、欠落したHS−SICHの数などのいくつかのカウンタを初期化することによって開始する(ステップ202)。CQIを受信し(ステップ204)、およびデコードする(ステップ206)。CQI中の各シンボルについて、決定メトリック値を計算する(ステップ208)。最大の2つの決定メトリック値を選択し(ステップ210)、および最大の2つの値の間の差を決定する(ステップ212)。最大の2つの決定メトリックの間の差を評価して、それがしきい値未満かどうかを決定する(ステップ214)。差がしきい値未満である場合、CQIは誤りである可能性が高く、したがってCQIを廃棄する(ステップ216)。
【0030】
差がしきい値以上である場合、CQIは有効とみなされる(ステップ218)。次に、カウンタをインクリメントし(ステップ220)、およびカウンタがしきい値以上であるかどうかを決定する(ステップ222)。さらに、フローはステップ204に戻り、カウンタの値に関わらず、ステップ204〜220のループを連続して繰り返す。
【0031】
カウンタがしきい値以上である場合、RNCに信号で知らせ(ステップ224)、次いでRNCは、ULの送信電力を調整するようにWTRUに信号で知らせ(ステップ226)、および方法は終了する(ステップ228)。カウンタがしきい値未満である場合(ステップ222)、方法は終了する(ステップ228)。
【0032】
基地局が、受信した32ビット符号のワードをデコードした場合(ステップ106、206)、デコード処理の出力をN個の別個の仮説の1つと見ることができる。ただし、情報ビット数nはM=2nによってMと関係付けられる(TDDでは、n=10)。言い換えれば、M個のシンボルの中から1つがWTRUから基地局に送信される。基地局での仮説検定により、M個のシンボルアルファベットのうち最も可能性の高いメンバが選択され、およびそれが変換されて、シンボルすなわちエンコードされた符号のワードが表すn個の情報ビットに戻される。
【0033】
何が最も可能性の高い受信したシンボルを表すかを決定するのに異なる決定アルゴリズムが存在し、多くの場合、シンボルについて何が既知であるかに応じて変化する。例えば、特定のシンボルが送信された可能性がより高い場合、この知識を決定アルゴリズムに組み込むことにより、すべてのシンボルが等しく頻繁に送信されることを仮定するアルゴリズムより有利である。さらに例示すると、FDDの状況では、デコーダが、各シンボルに対して1つのフィルタを有し、各シンボルが特定の波形(チップ/ビットシーケンス)を有する、32個の整合フィルタのように動作することができる。各整合フィルタは、受信した波形を、特定のシンボルに対応する波形と相互に関係付ける。32個の整合フィルタの各々からの相関出力は、基本的には、エネルギーに対応するピークである。大きいピークは、「これが送られたシンボルであった可能性が非常に高い」(符号のワードはチップシーケンスと同等である)ことを意味し、および相関の小さいピークは、「これが正しいシンボルであった可能性が低い」ことを意味する。次いで、32個の得られたピークの中から最大のピークを選択し、および送信されたシンボルであることを決定する。これは統計的な仮説検定であるので、平均すると、決定したシンボルは、行うことのできる最良の決定である。この処理の一例を図3に示す。基地局でのデコード処理は、受信したチャネルビットの続発を、M個のCQIのシンボルの中からすべての可能なものごとにソフトな決定メトリックに変換する。CQIの品質の検出器を、単一の集積回路でまたは離散的な構成要素として実装することができる。
【0034】
一般には、情報ビットのシーケンス(CQIのワード)はnビット長である。CQIのワードは、M(=2^n)個のNビット長のエンコードされたビットシーケンスからなる(N,n)リード・ミュラー符号にエンコードされる。例えば、TDDでは、n=10の情報ビットが存在し、結果として、1024(M=2^10)個の各々の長さがN=32ビットの可能なエンコードされたワードを得る。CQIをHS−SICH上でエンコードする処理は、いくつかの反復を与え、結果として、N個の符号化されたビットの各々がN*4=L個のチャネルビットにマッピングされる。すべてのチャネルビットは、拡散率が16(すなわち、16チップ長の拡散するシーケンス)で拡散され、結果として、L*16=C個のチップが得られる。TDDでは、一般に、CQIのワードは、(32,10)リード・ミュラー符号、およびn=10、N=32、L=128、C=2048を使用してエンコードされる。一般性を失うことなく、方法の同一の原理は、(16,5)符号を使用するFDDに対しても有効である。
【0035】
当事業者は理解するであろうが、他のあらゆる種類のエンコードの構成を使用することができ、および本発明は、本明細書で説明する構成に限定されない。チャネル符号化の理論によって知られ、およびパラメータnとNとの選択について存在し、情報ビットと符号化されたチャネルビットとの比率を決定する、任意の(N,n)符号の構成が本発明と共に動作するであろう。例えば、リード・ミュラーの1次もしくは2次符号またはリード・ソロモン符号を使用することができる。チャネルで送信することのできる各シンボルおよびすべてのシンボルについて離散的な決定メトリックをデコーダが計算することができる限り、(N,n)ビットの特定の符号化の構成は重要ではない。
【0036】
図1のステップ110および112、ならびに図2のステップ210および212は、CQIの信頼性を決定する1つの可能な方法を表す。CQIの信頼性を決定する他の多数の方法も可能である。例えば、最大の決定メトリックと2番目に大きいものとの比率、またはdB単位(10log(比))のこれらの2つのメトリックの間の差を使用することができる。少しの単純な式によって例示するために、Pmaxが観測した最大のピーク値を表し、Psecondが観測した2番目に大きいピーク値を表す場合、比率(R)は、R=Pmax/Psecondもしくはlog(Pmax)/log(Psecond)またはより一般的にはf(Pmax/Psecond)と表すことができる。CQIの信頼性を決定するために提案される別の方法は、最大の決定メトリックのエネルギーと、M−1個の他の決定メトリックの集合のエネルギーの和または重み付けられた和との比率である。例えば、Pi(i=1...32)は、リード・ミュラーのデコーダの出力で観測されたピーク値である。Pmaxは最大のPiの値である。尺度Rは、R=Pmax/(ΣPi−Pmax)と表される。
【0037】
デコードされたCQIのシンボルのソフトな決定メトリックを比較することにより、基地局は、受信したCQIのシンボルが誤りである可能性が高いか否かを決定するために(ステップ114、214)、しきい値に基づく単純な決定機構を使用することができる。一例を挙げると、最大のメトリックと2番目に大きいメトリックとの差が1dB未満である場合、CQIが誤りであり、およびCQIを廃棄すべきである確率が非常に高い(通常、95%超)。CQIが誤りである対応する確率が小さい、他の差の値も使用することができる。CQIが誤りである確率が十分高くするために、差の範囲は0〜2dBの間であることが好ましい。
【0038】
TDDの場合にCQIの誤りを検出する能力に関するCQIの信頼性検出方法の性能についての一例を図4および図5に示す。図4および図5は、MUD後のBER、ACK−>NACKのBER、NACK−>ACKのBER、拒絶されたCQI、拒絶された、良好であったCQI、および拒絶されなかった、誤りであったCQIについてのグラフを含む。グラフは、10ビット長のCQIのワードの第1ビットであり、および推奨された変調フォーマット(QPSKかQAMかのどちらか)を示すRMF BERも含む。グラフは、この単一ビットについてのBERを示す。RTBSは、CQIのワード中の他の9情報ビットを含み、およびWTRUの推奨を送信すべきHS−DSCHの伝送ブロック中の情報ビット数である推奨された伝送のブロック集合を表す。グラフは、これらの9ビットのワード誤り率(WER)を示し、9RTBSビットのうち少なくとも1つが誤りである確率を示す。
【0039】
図4および図5から以下の観察を行うことができる。1)ACK/NACKのソフトな決定のしきい値が0.1*信号振幅である。2)CQIを拒絶する基準が、振幅中の間隔が1dB未満である、最高の/2番目に最も高い相関ピークを含む。3)誤りのあるCQIを容易に検出することができる。4)「誤って拒絶された正しいCQI」と「拒絶されなかった誤りのCQI」との比率を、目標の誤りに適合するように容易にスケーリングすることができる。
【0040】
したがって、本発明を使用することによって改良されたCQIのフィールド符号化が可能となる。以前の方法の下では、ACK/NACKおよびCQIを搬送するHS−SICHが受信された場合、CRCが存在しなかったため、受信されたHS−SICHのフィールド(ACK/NACKかCQIかのどちらか)が誤って受信されたかどうかを知る手段が存在しなかった。ACK/NACKが誤って受信され、およびNode Bがこれを認識しない場合、例えば、Node Bは、WTRUで既に首尾よく受信されたパケットを再送信する可能性があり、または再送信すべきであったパケットを廃棄して(再送信せず)、およびWTRUが、決して到着することのないパケットのために長期間待機し、結果としてメモリがストールする可能性がある。本発明によるCQIの信頼性検出により、Node Bが、受信したHS−SICHのどれが信頼できるかを示すことが可能となり、および再送信など適切な措置を取ることができる。さらに、HS−SICHが信頼できることを合理的な頻度で(受信した場合の<1%)保証するために、HS−SICHを高SNRで受信する必要がある。これは、WTRUがより高い出力で送信しなければならないことを意味する。WTRUは高い出力を持たないため、およびカバレッジを最大にすることができるようにするため、WTRUの送信電力をHS−SICHの平均BERが0.1に十分適合するようにしなければならない。提案するCQIの信頼性検出方法は、CQIを報告することにより、WTRUでの現在の送信電力の設定を追跡する手段および電力設定を調整する手段をNode Bに提供する。
【0041】
さらに、信頼性の検出方法を使用して、HS−SICH/HS−DPCCHの実行およびCQIの報告の際にHSDPAの基地局およびRNCに表示を提供し、CQIの値に誤りがある可能性があることをHSDPAの基地局に警告することもできる。Iub/Iurのネットワークインターフェースを介して、HSDPAの基地局からRNCへのメッセージを通じて、伝送されるSIRは不十分である可能性があることを警告することも可能である。特定のWTRUから受信されたいくつのHS−SICHがCQIメトリックに基づいて誤りと宣言されたか、同一の時間周期に合計でいくつのHS−SICHが受信されたか、いくつのHS−SICHが全く送信されたかったと宣言されたかなどの単純な統計が提供される。これらは、CRCによって通常は提供される機能であり、およびソフトな決定メトリックに基づくCQIの信頼性の検査によって今や可能である。
【0042】
本発明の特定の態様によれば、新しいメッセージがIub/Iurのネットワークインターフェースに追加され、伝送の失敗回数の発生および拒絶されなかった誤りの受信の回数または発生が定義され、すなわち、所与のWTRUが、失敗が報告されることなく、ULの連続するX個のHS−SICHのメッセージを送信したことが報告される。
【0043】
特定のWTRUまたはHS−SICHのチャネルに関係付けられたCQIの失敗表示の予め定められた回数受信すると、HSDPAの基地局かRNCかのいずれかは、WTRUまたはHS−SICHのチャネルに関する電力制御のパラメータを変更し、またはCQIを廃棄してDLのHSDPAの伝送のために以前のCQIの報告を使用するなどの適切な措置を取ることができる。(図1に示す)本発明の一実施形態では、200msの時間間隔にわたってカウントを数える。各フレーム(長さが10ms)では、WTRUから受信されるHS−SICHは最大で1つであり、したがって、200msでは最大で20個のHS−SICHが存在する。すべてのカウンタが0から20までで定義される(受信した全HS−SICH、誤ったHS−SICH、および欠落したHS−SICH)。
【0044】
上記で与えた例はHSDPAのTDDを対象とするものであるが、本発明は、CQIの信頼性検出の改善およびアウターループ送信電力制御の改善を得るために、HSDPAのFDDまたは他の伝送のモードにも等しく適用可能である。本発明の特定の実施形態を示しおよび説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、多数の修正形態および変形形態を当事業者は作成することができるであろう。上記の説明は特定の発明を例示するためのものであり、けっして限定するものではない。
【符号の説明】
【0045】
104、204 受信したCQIのチャネルビット
106、206 Reed−Mullerデコーダ
108、208 N個のシンボルについて決定メトリックを計算する
110、210 N個のシンボルについて決定メトリックを比較する
112〜118、212〜218 10*log(a/b)がしきい値より小さい場合、廃棄する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークでチャネル品質を決定する方法であって、
チャネル品質表示(CQI)のメッセージを基地局にて高速共有チャネルにより受信すること、
受信されたCQIのメッセージ総数と、受信されたCQIの誤りメッセージ数と、欠落したCQIのメッセージ数とを固定の時間周期に前記基地局により計数すること、および、
前記受信されたCQIのメッセージ総数と、前記受信されたCQIの誤りメッセージ数と、前記欠落したCQIのメッセージ数とを前記基地局により、該基地局と通信する無線ネットワークコントローラに周期的に報告すること
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
チャネル品質を決定するよう構成された基地局であって、
チャネル品質表示(CQI)のメッセージを高速共有チャネルにより受信するよう構成された受信機と、
受信されたCQIのメッセージ総数と、受信されたCQIの誤りメッセージ数と、欠落したCQIのメッセージ数とを計数するよう構成されたカウンタと、
前記受信されたCQIのメッセージ総数と、前記受信されたCQIの誤りメッセージ数と、前記欠落したCQIのメッセージ数とを固定の時間周期により、該基地局と通信する無線ネットワークコントローラに周期的に報告するよう構成された報告装置と
を備えたことを特徴とする基地局。
【請求項3】
チャネル品質を決定するよう構成された基地局であって、
チャネル品質表示(CQI)のメッセージを高速共有チャネルにより受信するよう構成された受信機と、
受信されたCQIのメッセージ総数を計数するよう構成された第1のカウンタと、
受信されたCQIの誤りメッセージ数を計数するよう構成された第2のカウンタと、
欠落したCQIのメッセージ数を計数するよう構成された第3のカウンタと、
前記第1のカウンタの値と、前記第2のカウンタの値と、前記第3のカウンタの値とを固定の時間周期により、該基地局と通信する無線ネットワークコントローラに周期的に報告するよう構成された報告装置と
を備えたことを特徴とする基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−102499(P2013−102499A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2017(P2013−2017)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2011−133723(P2011−133723)の分割
【原出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】