説明

チャネル形状の接続部材と構造サンドイッチ板部材を溶接によって接続する方法

二枚の構造サンドイッチ板部材(10、20)を接続するために、それぞれに間に嵌合され外板(11、12、21、22)から突出する、チャネル形状の接続部材(14、24)が設けられる。二枚の板部材(10、20)は衝合され、溶接部(31、32)が外板(11、12、21、22)間で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二枚の外板、および、部材の構造強度に実質的に寄与するに十分な強度で外板に結合される、プラスチックあるいはポリマー材料のコア部を備える、構造サンドイッチ板部材を接続する方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
構造サンドイッチ板部材は、米国特許第5,778,813号明細書および米国特許第6,050,208号明細書に開示され、同文書は参照してここに組み込まれ、構造サンドイッチ板部材は、例えば、未発泡ポリウレタンの中間エラストマーコアで一緒に結合される外金属、例えば、鋼板を備える。これらサンドイッチ板システムは、堅くなった鋼板を置き換え、結果として得られる構造を大きく簡略化するために多数の形態の構造で用いられ、重量を節約しながら強度および構造性能(剛性、減衰特徴)を改善する。これら構造サンドイッチ板部材の更なる発展は、参照してここに組み込まれる国際公開第01/32414号パンフレットに開示される。開示されるように、重量を減少させるために発泡体がコア層に組み込まれ、横断方向金属薄板が剛性を向上させるために追加されてもよい。
【0003】
国際公開第01/32414号パンフレットの教示によると、発泡体は、中空または中実でもよい。中空の形態は、より大きい重量減少を可能にするため有利である。同文書に開示される形態は、軽量の発泡材料よりなることに制限されず、木材または鋼箱のような他の材料より形成されてもよい。
【0004】
国際公開第02/078948号パンフレットは、中空の形態を含む概念の更なる発展であり、製造および組立が容易な形態、特に、スナップ部分よりなる中空の細長い形態を開示する。
【0005】
二枚(またはそれ以上)の構造サンドイッチ板部材を一緒に接続するために、国際出願第PCT/GB02/00157号明細書のような、圧延されたまたは押し出された部材が使用される。これらの部材は、幅広い種類の接合の形態に対応するが、板部材の各異なる配置で異なる接合部材が必要となる。英国特許出願公開第2380970号明細書は、八角形の断面の中実棒の形態にある万能コネクタを開示し、このコネクタは、構造サンドイッチ板部材の面板間から棒の一部が突出して構造サンドイッチ板部材の周囲に溶接される。このようなコネクタを有する二枚(またはそれ以上)の板は、様々な異なる方法で一緒に溶接される。このコネクタは、多数の異なる配置で板部材を接合するために、多数の異なる部材を必要とする問題を解決するが、比較的重い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、板部材を一緒に接続するために、単一の軽量なコネクタを用いて構造サンドイッチ板部材を接続する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、二枚のサンドイッチ板部材のそれぞれが、二枚の外板、および、それらの間にせん断力を伝達するのに十分な強度で外板に結合される、プラスチックまたはポリマー材料のコア部を備える、二枚の構造サンドイッチ板部材を接続する方法であって、
接合されるべき構造サンドイッチ板部材の縁に、チャネル形状の接続部材を設ける工程であって、接続部材が間に嵌合され、それぞれの構造サンドイッチ板部材の外板の端部を越えて突出する、接着部材を設ける工程と、
接合されるべき縁が衝合、または、略衝合されるように構造サンドイッチ板部材を配置する工程と、
二枚の構造サンドイッチ板部材の外板間に溶接部を形成する工程と、を備える方法が提供される。
【0008】
接続部材は好ましくはチャネル形状である。接続部材の凸側は二枚の外板間から突出する。板部材が衝合すると、接続部材が二枚の板部材の外板を離間して完全な厚さの溶接部の形成を可能にし、溶接部に対する支持棒として作用する。
【0009】
本発明は、構造サンドイッチ板部材であって、
二枚の外板と、
部材の構造強度に実質的に寄与するよう十分な強度で外板に結合されるプラスチックまたはポリマー材料のコア部と、
間に嵌合され、外板の端部を越えて突出する少なくとも一つの接続部材とを備える、構造サンドイッチ板部材を提供する。
【0010】
本発明の構造サンドイッチ板部材の外板の材料、寸法、および、一般的特性は、構造サンドイッチ板部材が適用される特定の使用に望ましくなるよう選択され、一般的に米国特許第5,778,813号明細書および米国特許第6,050,208号明細書に開示される。鋼またはステンレス鋼は、0.5mmから20mmの厚さで一般的に使用され、アルミニウムは軽量が望まれる場合に使用される。同様にして、プラスチックまたはポリマーコアは、米国特許第5,778,813号明細書および米国特許第6,050,208号明細書に開示されるように、全ての好適な材料、例えば、ポリウレタンのようなエラストマーでもよい。
【0011】
軽量な形態は、国際公開第01/32414号パンフレットおよび国際公開第02/078948号パンフレットに開示されるように、コア部に含まれる。軽量な形態が、構造サンドイッチ板部材の質量を減少させるように機能し、その構造強度に著しく寄与する必要がないことに留意されたい。軽量な形態に対する主な要件は、コア部を形成するプラスチックまたはポリマー材料よりも低い密度であり、プラスチックまたはポリマーコアの注入および硬化中に所望の形状を維持するために、十分な熱および機械的特性を有することである。コア部内の形態のレイアウトは、2002年5月29日に出願された英国特許出願公開第2389072号明細書に開示される通りである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、例示的な実施形態および添付の概略図を参照して以下に説明される。
【0013】
様々な図面において、同様の構成要素は同様の参照番号で示される。
【0014】
図1に示す構造サンドイッチ板部材10、20それぞれは、鋼からなり、例えば0.5mmから20mmの範囲の厚さを有する、上および下外板(面板)11、12、21、22を備える。縁板は、面板11、12、21、22間でそれぞれの外周に溶接され、閉空洞を形成する。面板11、12、21、22間の空洞には、コンパクト(即ち、未発泡)プラスチックまたはポリマー材料、好ましくはポリウレタンエラストマーの、コア部13、23がある。このコア部は、15mmから200mmの範囲の厚さを有する。コア部13、23は、十分な強度で面板11、12、21、22に結合され、二枚の面板間で使用中に予想されるせん断力を伝達するに十分な機械的特性を有する。コア部13、23と面板11、12、21、22との間の結合強度は、3MPa、好ましくは、6MPaより大きく、コア材料の弾性係数は250MPaより大きくなくてはならない。典型的な使用および占有荷重が1.4kPaから7.2kPaのオーダである、床パネルのような低荷重適用に関して、結合強度はより低く、例えば、約1MPaでもよい。コア層により、構造サンドイッチ板部材は、実質的により大きい板厚さおよび顕著な追加硬化剤を有する、堅くされた鋼板の強度および荷重分担能力を有する。
【0015】
構造サンドイッチ板部材10の重さを減少させるためには、軽量の形態のアレイが設けられ、板部材の内部体積の実質的な部分を占有する。軽量の形態は、板の構造の強度に著しく寄与する必要がなく、コア部13を形成するための材料の注入の圧力、および、硬化中のコア部の発熱反応からの熱に耐えるに十分な、熱および機械的特性を有することだけが要求される。
【0016】
構造サンドイッチ板部材の一つが同様のタイプの別の板部材に接合されるべき縁沿いでは、縁部材は凹部側を内側にして面板11、12、21、22間に嵌合されるチャネル部分14、24の形態をとる。基部分14a、24aおよびコーナー部分14b、14c、24b、24cは、二枚の板部材が互いに対して衝合されるとき、板部材11a、21aおよび12a、22aの端部間で空間が形成され、コーナー部分14b、24bおよび14c、24cによって境界がつけられるように、二枚の構造サンドイッチ板部材の面板の端部11a、12a、21a、22aの外側に突出する。二枚の構造サンドイッチ板部材10、20を接合させるために、溶接部31、32が各空間に形成される。面板間の直接的な接続がそれによって迅速且つ簡単に実現される。コーナー部分14b、cおよび24b、cは、この溶接部に対する溶接準備部として作用する。
【0017】
図2は、構造サンドイッチ板部材10における接続部材14の位置をより詳細に示す。図示するように、接続部材14は、コーナー14b、14cに対する接線A−A、B−Bが、面板11、12の端部11a、12aを通るように突出する。これにより、面板を溶接部が接合するためにコーナー部分14b、14cが溶接準備部を形成する一方で、十分な溶接部を形成するように、隣接する板部材の面板間で十分な空間が残ることが確実にされる。コーナー部分14b、14cの曲率半径rは、接続部材14が圧延される金属板の厚さtの二倍に等しいことが好ましい。厚さtは、板が用いられる適用法に依存するが、一般的に、造船適用法に対する例えば、5mmまたは6mmといった面板11、12の厚さに匹敵する。
【0018】
接続部材は、十分な強度で面板に接続される場合、接合の領域における板部材の強度に著しく寄与する。これは、面板間の溶接部からの熱がエラストマーコア部に損傷を与える場合でも、板部材が十分な強度を有することを確実にする。この場合、接続部材はワンパスシール溶接部33を用いて面板に溶接され得る。
【0019】
接続部分14、24は、最終的な構造において、構造サンドイッチ板部材間の荷重を負う必要がない場合、コア部13、23によってそれぞれの板部材に結合され得る。従って、板部材が形成されると、コネクタ14、24は、パネルの構成方法に適切な任意の簡単且つ便利な方法によって定位置で保持され得る。例えば、板部材が鋳型で形成される場合、面板により支えられる鋳型の締め付け力が、接続部材を定位置で保持するに十分である。あるいは、軽量な接着剤、または、数個のスポット溶接で十分である。板部材が、コア部の注入のための空洞を画定するように、鋳型を用いることなく面板を用いて形成される場合、接続部材は、造船用接着剤または軽量溶接を用いて定位置で保持される。
【0020】
板部材の製造は、その場所で、あるいは、工場状態によって離れた場所で実施され、設置場所に完成したパネルが運搬される。
【0021】
上述の説明が制限的でなく、添付の特許請求の範囲で定められる本発明の範囲内にある他の変更態様および変形例も可能であることが、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の方法による、接合された二枚の構造サンドイッチ板部材の部分の断面図である。
【図2】本発明による構造サンドイッチ板部材の拡大された部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の構造サンドイッチ板部材のそれぞれが、二枚の外板、および、それらの間にせん断力を伝達するのに十分な強度で外板に結合されるプラスチックまたはポリマー材料のコア部を備える、二枚の構造サンドイッチ板部材を接続する方法であって、
接合されるべき構造サンドイッチ板部材の縁に、チャネル形状の接続部材を設ける工程であって、接続部材が間に嵌合され、それぞれの構造サンドイッチ板部材の外板の端部を越えて突出する、接着部材を設ける工程と、
接合されるべき縁が衝合、または、略衝合されるように構造サンドイッチ板部材を配置する工程と、
二枚の構造サンドイッチ板部材の外板間に溶接部を形成する工程と、
を備える、方法。
【請求項2】
前記接続部材がチャネル形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設ける工程において、前記接続部材がコーナーに対する接線が前記外板の端部を通過するよう位置決めされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記設ける工程において、前記接続部材がワンパスシール溶接部によって前記外板に溶接される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項5】
接続部材を設ける工程は、構造サンドイッチ板部材を配置する工程、および、溶接部を形成する工程とは異なる場所で実施される、請求項1、2、3、または4に記載の方法。
【請求項6】
構造サンドイッチ板部材であって、
二枚の外板と、
部材の構造強度に実質的に寄与するよう十分な強度で外板に結合される小型のプラスチックまたはポリマー材料のコア部と、
間に嵌合され、前記外板の端部を越えて突出する少なくとも一つの接続部材であって、同様の構造サンドイッチ板部材における同様の接続部材に溶接されるよう適合される表面を有する接続部材と、
を備える、構造サンドイッチ板部材。
【請求項7】
前記接続部材がチャネル形状である、請求項6に記載の構造サンドイッチ板部材。
【請求項8】
前記接続部材のコーナーに対する接線が、前記外板の端部を通過する、請求項7に記載の構造サンドイッチ板部材。
【請求項9】
前記接続部材のコーナーの曲率半径が、前記接続部材の厚さの少なくとも二倍である、請求項6、7、または8に記載の構造サンドイッチ板部材。
【請求項10】
前記接続部材が、ワンパスシール溶接部によって前記外板に固定される、請求項6、7、8、または9に記載の構造サンドイッチ板部材。
【請求項11】
前記接続部材が圧延金属から形成される、請求項6、7、8、9、または10に記載の構造サンドイッチ板部材。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−521210(P2006−521210A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505891(P2006−505891)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000704
【国際公開番号】WO2004/082886
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(500513712)インテリジエント・エンジニアリング(バハマズ)リミテツド (3)
【Fターム(参考)】