説明

チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤である化合物および組成物

本発明は、チャネル活性化プロテアーゼを調節するために有用な式(I)で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物、立体異性体および医薬組成物および、これに限定するものではないが、プロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼを含むチャネル活性化プロテアーゼに関連する病状を処置、改善または予防するためにこの化合物を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2006年5月23日出願の米国仮出願第60/802983号および2006年11月22日出願の米国仮出願第60/860604号の利益を享受するものである。両出願はいずれもその全体を引用して本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は一般的にはチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
技術的背景
プロスタシンは多種の哺乳類組織に存在するトリプシン様セリンプロテアーゼの一つである。これは細胞の細胞外膜上に発現される膜結合プロテアーゼの一つであるが、例えば精液、尿および気管表面液のような体液中に分泌されることもある。プロスタシン(PRSS8)は、例えばマトリプターゼ、CAP2、CAP3、トリプシン、PRSS22、TMPRSS11、カテプシンA、および好中球エラスターゼのようなプロテアーゼと共に、アミロリド感受性上皮のナトリウムチャネル(ENaC)の活性を刺激できる。これらの酵素を阻害することは上皮のイオン輸送に変化を起し、それ故、上皮の膜を経由する体液の恒常性に変化を起しうる。例えば、腎臓におけるCAP阻害は利尿を促進すると考えられるが、一方では気管におけるCAP阻害は肺における粘液および痰のクリアランスを促進する。それ故、腎臓におけるCAPの阻害で、高血圧の処置に治療の目的で使用できよう。気管でのCAP阻害は呼吸分泌物の停滞を防止し、そうしないと二次的細菌感染症を起こすおそれがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の開示
本発明は、化合物、その医薬組成物およびチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)を調節するためにこの化合物を使用する方法を提供する。例えば、本発明の化合物および組成物は、プロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、および好中球エラスターゼを調節するために使用できる。
【0005】
一側面では、本発明は式(1):
【化1】

[式中、
Jは、5〜12員の単環または縮合炭素環、アリール、またはN、Oおよび/またはS含むヘテロアリールまたはヘテロ環であり;
は、−(CR)−NR、−(CR)−NRC(=NR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NRまたは、5〜7員窒素含有非芳香性ヘテロ環であり;
W−Rは、環A上の何れかの位置での置換基であり;
Wは、−O(CR)−、−S(CR)−、−S(O)(CR)−、−SO2(CR)−または−OC(O)(CR)−であり;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、R、−CR10=CR10−R、または
【化2】

であり、ここに環Eは所望により置換されていてもよい5〜7員の単環または縮合炭素環またはヘテロ環であるか;またはW−Rが一緒になってC1−6アルキル、5〜7員アリールまたは−OC(O)NRを形成し;
Yは、SO、−(CO)−NR−R、−(CO)−O−R、SO2NR67またはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−(CR2)−C3−7シクロアルキルまたは−(CR)−Rであり;
4は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR10=CR10−R、−CR[(CR)−R]、C2−6アルキニル、−O−(CR)−R、NR
【化3】

、または所望により置換されていてもよい5〜7員炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRはYと一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員非芳香性ヘテロ環を形成し;
は、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ORまたはRであり;
およびRは、独立にH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは、−(CR)−Rであるか;またはRおよびRはNと一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜7員の単環または縮合ヘテロ環を形成していてもよく;
X、RおよびRは、独立に所望により置換されていてもよい5〜7員炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRは、HまたはC1−6アルキルであってもよく;
10は、HまたはC1−6アルキルであり;
各Rは、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC2−6アルキニルであって、ここにその炭素は所望により置換されていてもよく、またはNR、OまたはSに交換されていてもよく;
iは、0〜1であり;
k、lおよびmは独立に0〜6であり;
nは、1〜6であり;そして
pは、0〜3である]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物および立体異性体を提供する。
【0006】
式(1)で示される化合物において、Rは、所望により置換されていてもよいフェニル、チエニル、C5−7シクロアルキル(例えば、シクロヘキシルまたはシクロペンチル)、フラニル、ピペリジニル、メチレンシクロヘキシル、
【化4】

である。例えば、R置換基は、所望によりハロ、CF、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、O−(CH)0−4−Rで置換されていてもよい。
【0007】
一つの態様では、本発明は、式(2A)または(2B):
【化5】

[式中、
Zは、OまたはSであり;
1は、NH、−NHC(=NH)−NHまたは−C(=NH)−NHであり;
Wは、−O(CH)−または−S(O)(CH)−であり;
は、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはW−Rは一緒になってC1−6アルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニルを形成し;
Yは、SOまたは−(CO)−O−Rであり;
は、C1−6アルキル、−(CH)−シクロプロピルまたは−(CH)−Rであり、ここにRは、所望により置換されていてもよいフェニルであり;
は、所望により置換されていてもよい、フェニル、ピペリジニル、C5−7シクロアルキル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、
【化6】

であり;
iおよびpは、0であり;
kは、1であり;
lは、0〜1であり;そして
mおよびnは、独立に1〜4である]
で示される化合物を提供する。
【0008】
ある例では、本化合物は式(2A)または(2B)で表され、Rは、ピペリジニルである。他の例では、ZはOである。
【0009】
式(2A)または(2B)で示される化合物で、Rがフェニルであるか、W−Rが一緒になってフェニルを形成するときには、各フェニルは、所望によりハロで置換されていてもよい。
【0010】
式(1)、(2A)および(2B)で示される化合物では、Wは、−O(CR)−、−S(CR)−、−S(O)(CR)−、−SO(CR)−または−OC(O)(CR)−であってもよく;およびkは1である。
【0011】
他の態様では、本発明は式(3A)または(3B):
【化7】

[式中、
およびRは、独立にH、C1−6アルキルまたは−(CR)−RであるかまたはRおよびRは、Nと一緒になって所望により置換されていてもよいピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニルまたはジアゼパニルを形成し;
は所望により置換されていてもよいフェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニルまたはチエニルであり;そして
iおよびpは0である]
で示される化合物を提供する。
【0012】
式(3A)または(3B)で示されるある化合物中で、置換されていてもよい置換基の各々は、NR、ハロ、C1−6アルキル、−(CR)−COR、−(CR)−R、−(CR)−SOまたは−NRSOで置換されていてもよく、ここに、Rは、H、C1−6アルキル、または所望により置換されていてもよい炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールである。例えば、Rは、フェニル、フラニル、テトラヒドロフラニルまたはチエニルであってもよく、その各々は前記置換基で置換されていてもよい。
【0013】
本発明の化合物では、Rは、−(CH)−NH、−(CH)−NHC(=NH)−NHまたは−(CH)−C(=NH)−NHNHであってもよく、ここに、各lは0〜1であり;またはRはピペリジニルである。ある例では(CR)の各R基はHである。
【0014】
本発明の化合物では、Yは、SO、−(CO)−NH−Rまたは−(CO)−O−Rであってもよく;RはC1−6アルキル、−(CR)−C3−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルおよび殊にシクロプロピルであって、何れも所望により置換されていてもよい)、または−(CR)−Rであり、ここにRは所望により置換されていてもよいフェニルである。RおよびRの所望の置換基は、これに限定するものではないが、ハロ、CF、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはO−(CH)0−4−Rを含む。
【0015】
本発明の化合物では、Rは、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−NH、または所望により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ピペリジニル、シクロヘキシル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、
【化8】

であってもよく;またはRは、Yと一緒になって、所望により置換されていてもよいピロリジニル、ピロリジノニル、テトラヒドロイソキノリニルまたはテトラヒドロナフタレニルを形成してもよい。各所望により置換されていてもよい置換基はハロ、CF、OCF、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、R、O−(CH)0−4−RまたはCOで置換されていてもよく、ここにR9はH、C1−6アルキルまたはフェニルであってもよい。
【0016】
本発明の化合物では、J−(R)は一緒になって、式:
【化9】

[式中、
Zは、OまたはSであり;
、Z、ZまたはZは、独立にN、CH、またはRに結合するときはCであり;
、ZまたはZは、独立にN、O、S、CH、またはRに結合するときはCであり;
pは、0〜1であり;そして
は、ハロまたはC1−6アルキルである]
で示される基であってもよい。
【0017】
本発明の化合物では、Jは、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリル、またはオキサジアゾリルであってもよい。具体例では、Jはベンゾチアゾリルまたはベンゾオキサゾリルである。
【0018】
が置換基である本発明の化合物では、Rは、所望により置換されていてもよいフェニル、C5−7シクロアルキル(例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシル)、ピペリジニル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、フラニル、
【化10】

であってもよい。
【0019】
本発明の化合物では、Xは、シクロヘキシル、フェニルまたはピペリジニルであってもよく、その何れもが、所望によりC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ、またはその組合せで置換されていてもよい。
【0020】
他の側面では、本発明は、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物および医薬的に許容される添加剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明はまた、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物またはその医薬的に許容される塩または医薬組成物の治療的有効量を、それを必要とするシステムまたは対象に投与し、それによってチャネル活性化プロテアーゼを調節することを含む、該チャネル活性化プロテアーゼを調節する方法を提供する。
【0022】
さらに別な側面では、本発明は、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、またはその医薬組成物の有効量を、所望により第二の治療剤と組み合わせて、そのような処置を必要とするシステムまたは対象に投与し、それによってこの病状を処置することを含む、チャネル活性化プロテアーゼが介在する病状を改善する方法を提供する。本発明の化合物と共に使用してもよい第二の治療剤の例には、これに限定するものではないが、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseを含む。
【0023】
本発明の化合物を用いて調節しうるチャネル活性化プロテアーゼの例は、これに限定するものではないがプロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP-2)、マトリプターゼ(MTSP-1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンAまたは好中球エラスターゼを含む。具体例では、本発明は、プロスタシンを調節する方法、またはプロスタシンが介在する病状を処置するための方法を提供する。
【0024】
本発明の化合物を使用する前記方法では、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物を細胞または組織を含むシステムに投与してもよい。例えば、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物を、ヒトの細胞であってもよい気管支上皮細胞と接触させてもよい。他の態様では、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物をヒトまたは動物対象に投与してもよい。
【0025】
一つの態様では、本発明はイオン輸送上皮を通過する体液の移動、または呼吸器官における粘液または喀痰の蓄積、またはその組み合わせに関する病状を改善する方法を提供する。例えば、この病状は、嚢胞性繊維症、原発性繊毛運動障害、肺癌、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器官感染症であってもよい。
【0026】
さらに、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼを調節するための(例えば、プロスタシンの阻害のための)、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物またはその医薬的に許容される塩または医薬的組成物、および所望により第二の治療剤との組み合わせでの使用を提供する。本発明はまた、チャネル活性化プロテアーゼが介在する病状(例えば、プロスタシンが介在する病状)を処置するための薬剤の製造における、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物またはその医薬的に許容される塩または医薬的組成物、および、所望により第二の治療剤との組み合わせでの使用を提供する。
【0027】
定義
「アルキル」は、基および、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシなど他の基の構造的要素としてのものを示し、直鎖状でも分枝状であってもよい。本明細書で使用する、所望により置換されていてもよいアルキル、アルケニルまたはアルケニルは、所望によりハロゲン化(例えば、CF)されていてもよく、またはヘテロ原子、例えばNR、OまたはS(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール、チオアルコキシ、アルキルアミン、など)で置換されていてもよい炭素1個またはそれ以上を有してもよい。
【0028】
「アリール」は、炭素原子を含む単環または縮合二環の芳香環を示す。例えば、アリールは、フェニルまたはナフチルであってもよい。「アリーレン」は、アリール基に由来する2価の残基を意味する。
【0029】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」は、アリールについて定義した通りであるが、その環原子の一つまたはそれ以上がヘテロ原子である。ヘテロアリールの例は、これに限定するものではないが、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1.3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニル、などを含む。
【0030】
本明細書で使用する「炭素環」は、炭素を含む飽和または部分不飽和の、単環、縮合二環または架橋多環を示し、これは所望により例えば=Oで置換されていてもよい。炭素環の例は、これに限定するものではないがシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノン、などを含む。
【0031】
本明細書で使用する「ヘテロ環」は、前記炭素環について定義した通りであるが、その環原子1個またはそれ以上がヘテロ原子である。例えば、ヘテロ環はN、O、S、−N=、−S−、−S(O)、−S(O)−、または−NR−を含んでいてもよいが、ここに、は水素、C1−4アルキルまたは保護基であってもよい。ヘテロ環の例は、これに限定するものではないがモルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニルオン、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]−8−デシル、などを含む。
【0032】
本明細書で使用する用語「同時投与」または「併用投与」などは、単一の患者に対して選択した複数の治療薬の投与を含むことを意味し、複数の薬剤が必ずしも同一の投与経路または同じ時間に投与するものではなくてもよい治療計画を含むことが意図されている。
【0033】
本明細書で使用する用語「組み合わせ剤(併用剤)」は、複数の活性成分を混合または結合して得られる製品を示し、活性成分の固定化された組み合わせおよび固定化されない組み合わせの双方を含む。用語「固定化された組み合わせ」は、複数の活性成分、例えば、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物と併用する薬剤との双方が単一の製品または調剤の形で同時に投与されることを意味する。用語「固定化されていない組み合わせ」は、活性成分、例えば、式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物と併用する薬剤との双方が、単独の患者に別々な薬剤として、同時に、一斉にまたは、特別な時間的制限なしに順次に投与され、そのような投与が各活性成分の治療的に有効な水準を患者体内にもたらすことを意味する。後者は、例えば3種またはそれ以上の活性成分を投与するカクテル療法にも適用される。
【0034】
用語「治療的有効量」は、研究者、動物医、医者その他の臨床医が求める細胞、組織、器官、システム、動物またはヒトにおける生物学的または医学的応答を示すであろう対象化合物の量を意味する。
【0035】
用語、「対象化合物の投与」および/または「対象化合物を投与すること」は、処置を必要とする個体に本発明の化合物およびそのプロドラッグを提供することを意味すると理解すべきである。
【0036】
本明細書で使用する用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、疾患および/またはその症候を改善または緩和する方法を示す。
【0037】
用語「プロスタシン」は、ヒトのチャネル活性化プロテアーゼ(hCAP);チャネル活性化プロテアーゼ−1;およびPRSS8、MERPOPS ID S01.159と呼ばれることもある。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施態様
本発明は化合物、医薬組成物およびチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)を調節する目的でこの化合物を使用する方法を提供する。
【0039】
一側面では、本発明は、式(1):
【化11】

[式中、
Jは、5〜12員の単環または縮合炭素環、アリール、N、Oおよび/またはSを含むヘテロアリールまたはヘテロ環であり;
は、−(CR)−NR、−(CR2)−NRC(=NR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NRまたは5〜7員環の窒素含有非芳香性ヘテロ環であり;
W−Rは、A環上のいずれかの位置における置換基であり、
Wは、−O(CR)−、−S(CR)−、−S(O)(CR)−、−SO(CR)−または−OC(O)(CR)−であり;
は、C1-6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、R、−CR10=CR10−R、または
【化12】

であり、ここに環Eは所望により置換されていてもよい5〜7員の単環または縮合炭素環またはヘテロ環であるか、またはW−Rが一緒になってC1−6アルキル、5〜7員環のアリールまたは−OC(O)NRを形成し;
Yは、SO、−(CO)−NR−R、−(CO)−O−R、SONRまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−(CR)−C3−7シクロアルキルまたは−(CR)−Rであり;
4は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR10=CR10−R、−CR[(CR)−R8]、C2−6アルキニル、−O−(CR)−R9、NR
【化13】

、または所望により置換されていてもよい5〜7員環の炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRとYとが一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜12員環の非芳香性ヘテロ環を形成し;
は、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ORまたはRであり;
およびRは、独立にH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであるか、またはRおよびRとNとが一緒になって、所望により置換されていてもよい5〜7員の単環または縮合ヘテロ環を形成してもよく;
X、RおよびRは、独立に所望により置換されていてもよい5〜7員環の炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールであるか、またはRは、HまたはC1−6アルキルであってもよく;
10は、HまたはC1−6アルキルであり;
各Rは、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC2−6アルキニルであるが、その炭素は個々に、所望によりNR、OまたはSに交換されていてもよく;
iは、0〜1であり;
k、lおよびmは、独立に0〜6であり;
nは、1〜6であり;そして
pは、0〜3である]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物および立体異性体を提供する。
【0040】
一態様では、本発明の化合物は式(2A)または(2B):
【化14】

[式中、
Zは、OまたはSであり;
1は、NH、−NHC(=NH)−NHまたは−C(=NH)−NHであり;
Wは、−O(CH)−または−S(O)(CH)−であり、
は、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、またはW−Rが一緒になってC1−6アルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニルを形成し;
Yは、SOまたは−(CO)−O−Rであり;
は、C1−6アルキル、−(CH)−シクロプロピルまたは−(CH2)−Rであり、ここにRは所望により置換されていてもよいフェニルであり;
は、所望により置換されていてもよい、フェニル、ピペリジニル、C5−7シクロアルキル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、
【化15】

であり;
iおよびpは、0であり;
kは、1であり;
lは、0〜1であり;そして
mおよびnは、独立に1〜4である]
で示される。
【0041】
別な態様では、本発明の化合物は式(3A)または(3B):
【化16】

[式中、
およびRは、独立にH、C1−6アルキルまたは−(CR2)−R8であるか;またはRおよびRはNと一緒になって、所望により置換されていてもよいピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニルまたはジアゼパニルを形成し;
は、所望により置換されていてもよいフェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニルまたはチエニルであり;そして
iおよびpは、0である]
で示される。
【0042】
ある態様では、X、RおよびRは、所望により置換されていてもよいC3−7シクロアルキルであってもよい。
【0043】
前記各式において、Rは、NR'R”、NH−C(NR'R”)=NH、NH−C(NHR')=NR”、NH−C(R')=NR”、S−C(NR'R”)−NH、S−C(NHR')−NR”、C(NR'R”)=NH、C(NHR')=NR”またはCR=NR”であってもよく;ここにR'R”は同一であるか、または相異なり、H、C1−6アルキル、C1−3アリールアルキル、アリールであるか、または、ここにR'R”が窒素含有非芳香性ヘテロ環を形成する。
【0044】
本発明の化合物および組成物は、チャネル活性化プロテアーゼを調節するために有用となろう。本発明の化合物および組成物を用いて調節できるであろうチャネル活性化プロテアーゼの例には、これに限定するものではないが、プロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP-2)、マトリプターゼ(MTSP-1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼを含む。この発明の新規化合物にはまた、例えば上皮ナトリウムチャネルなど、イオンチャネルの活性を刺激するプロテアーゼの活性を阻害するものがあり、従ってCAP関連疾患の処置に有用であろう。
【0045】
薬理学と有用性
本発明の化合物は、チャネル活性化プロテアーゼ、例えばトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えばプロスタシンの活性を調節し、それ自体としてプロスタシンがその病気の病理学および/または徴候学に寄与する疾患または障害の処置に有用である。
【0046】
チャネル活性化プロテアーゼ、例えばトリプシン様セリンプロテアーゼ、例えばプロスタシンの阻害が介在する疾患には、上皮の膜を通過する体液容量の制御に関連する疾患を含む。例えば、気管表面の体液容積は粘膜毛様体クリアランスおよび肺臓健康維持の制御に重要である。チャネル活性化プロテアーゼの阻害は気管上皮の粘膜側における液体の蓄積を促進し、それによって粘膜クリアランスを促進して呼吸器官(肺の気管を含む)の粘液および喀痰の蓄積を予防する。そのような疾患には呼吸器疾患、例えば嚢胞性繊維症、原発性繊毛体運動障害、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、呼吸器感染症(急性および慢性の;ウイルス性および細菌性)および肺癌を含む。チャネル活性化プロテアーゼの阻害が介在する疾患には、上皮を通過する液体の異常な制御に関連する呼吸器疾患以外の病気、おそらく表面上の保護性表面液の異常な生理学が関与する、例えば口腔乾燥症(口渇)または角結膜炎(ドライアイ)も含む。さらに腎臓におけるENaCのCAP制御を用いて利尿を促進して血圧降下を誘導できるであろう。
【0047】
慢性閉塞性肺疾患には、慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに他種薬剤療法、特に薬剤吸入療法に伴う気管過反応性の憎悪、を含む。本発明はまた、病気の型または病因に拘らず例えば、急性、アルキン酸由来性、カタル性、クループ性、慢性または腐敗性気管支炎を含む気管支炎の処置に適用できる。
【0048】
本発明の化合物は、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息、軽症喘息、中等度喘息、重症喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染症誘発性喘息を含み、これに限定されない喘息の処置に使用できる。喘息の処置はまた、例えば、ゼーゼー言う症状を示し、医学的に興味ある確立された患者のカテゴリーであり、今ではしばしば初期または早期の喘息と同定される「喘鳴小児」と診断されたか、診断できるか、または「喘鳴小児症候群」とされる年齢4〜5歳以下の対象の処置をも含むものと理解される。
【0049】
チャネル活性化プロテアーゼの阻害が介在する疾患の処置のための、例えばプロスタシン阻害剤などのチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の適合性は、以下に記載するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果を決定することによって当技術分野で知られている方法に従って試験してもよい。
【0050】
前記に従って、本発明は、さらに式(1)、(2A)、(2B)、(3A)または(3B)で示される化合物またはその医薬的に許容される塩の治療的有効量を対照に投与することを含む、この処置を必要とする対照における前記疾患または障害の何れかを予防または処置する方法を提供する。前記使用法の何れについても、必要な用量は投与方法、処置する対象の特定的な条件および所望の効果に依存して変化するであろう。
【0051】
投与法および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は治療的有効量を、当技術分野で知られている通常の許容される方法の何れかで、単剤としてまたは一種またはそれ以上の治療剤と組み合わせて投与されるであろう。
【0052】
本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、また他の薬剤物質例えば抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤または鎮咳剤などと組合わせて使用する補助薬剤として、例えばそのような薬剤の治療活性の強化剤として、またはそのような薬剤の用量または予想される副作用を低下する方法として、特に例えば前記したような嚢胞性繊維症または閉塞性または炎症性気管疾患の処置に有用である。
【0053】
本チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、固定化された医薬組成物中で他の薬剤物質と混合するか、または他の薬剤物質の前、同時または後に別々に投与してもよい。
【0054】
従って、本発明はチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNアーゼ薬剤物質との組み合わせも含み、本チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と前記の薬剤物質とは同一または相異なる医薬組成物中に存在する。
【0055】
適当な抗炎症剤は、ステロイド、特にグルココルチコイド、例えばブデソニド、ベクラメタゾンジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエート、または次の国際特許出願に記載のステロイド:WO 02/88167、WO 02/12266、WO 02/100879、WO 02/00679(例えば、実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99、101)、WO 03/35668、WO 03/48181、WO 03/62259、WO 03/64445、WO 03/72592、WO 04/39827およびWO 04/66920;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えば次に記載のもの:DE 10261874、WO 00/00531、WO 02/10143、WO 03/82280、WO 03/82787、WO 03/86294、WO 03/104195、WO 03/101932、WO 04/05229、WO 04/18429、WO 04/19935およびWO 04/26248;LTD4拮抗剤例えばモンテルカストおよびザフィルルカスト;PDE4阻害剤例えばシロミラスト(ARIFLO(登録商標) GlaxoSmithKline)、ROFLUMILAST(登録商標)(Byk Gulden)、V−11294A(Napp)、BAY19−8004(Bayer)、SCH−351591(Schering-Plough)、AROFYLLINE(登録商標)(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD−12−281(Asta Medica)、CDC−801(Celgene)、SelCID(TM)CC−10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T−440(田辺)、KW−4490(協和発酵工業)、および次の特許文献に記載のもの:WO 92/19594、WO 93/19749、WO 93/19750、WO 93/19751、WO 98/18796、WO 99/16766、WO 01/13953、WO 03/104204、WO 03/104205、WO 03/39544、WO 04/000814、WO 04/000839、WO 04/005258、WO 04/018450、WO 04/018451、WO 04/018457、WO 04/018465、WO 04/018431、WO 04/018449、WO 04/018450、WO 04/018451、WO 04/018457、WO 04/018465、WO 04/019944、WO 04/019945、WO 04/045607およびWO 04/037805;およびアデノシンA2B受容体拮抗剤、例えばWO 02/42298に記載のものを含み、これらの各文献は何れもその全体をここに引用する。
【0056】
適当な気管支拡張剤はβ2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブテロール(salbutamol)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、フェノテロール、プロカテロール、フォルモテロール、またはカルモテロールおよびその医薬的に許容される塩およびその全体をここに引用する文献WO 00/75114(遊離型または塩または溶媒和物型)に式(1)として記載の化合物を含み、例えば式:
【化17】

で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、WO 04/16601の式(1)で示される化合物;ならびにEP 1440966、JP 05025045、WO 93/18007、WO 99/64035、US 2002/0055651、WO 01/42193、WO 01/83462、WO 02/66422、WO 02/ 70490、WO 02/76933、WO 03/24439、WO 03/42160、WO 03/42164、WO 03/72539、WO 03/91204、WO 03/99764、WO 04/16578、WO 04/22547、WO 04/32921、WO 04/33412、WO 04/37768、WO 04/37773、WO 04/37807、WO 04/39762、WO 04/39766、WO 04/45618、WO 04/46083およびWO 04/80964の化合物の遊離型または塩または溶媒和物型を含む。各文献は何れもその全体を本明細書に引用する。
【0057】
適当な気管支拡張剤はまた抗コリン作用剤または抗ムスカリン様作用薬、特にイプラトロピウムブロミド、オキシトロピウムブロミド、チオトロピウム塩およびCHF4226(Chiesi)、グリコピロレート、およびEP 424021、US 3714357、US 5171744、WO 01/04118、WO 02/00652、WO 02/51841、WO 02/53564、WO 03/00840、WO 03/33495、WO 03/53966、WO 03/87094、WO 04/018422およびWO 04/05285に記載の化合物も含み、各特許文献は何れもその全体を本明細書に引用する。
【0058】
適当な抗炎症性および気管支拡張性の二重作用剤にはβ2アドレナリン受容体作用性/ムスカリン拮抗性二重作用剤例えばUS 2004/0167167、WO 04/74246およびWO 04/74812、に記載のものを含み、各文献は何れもその全体を本明細書に引用する。
【0059】
適当な抗ヒスタミン剤は、塩酸セチリジン、アセトアミノフェン、クレマスチンフマレート、プロメタジン、ロラチジン、デスロラチジン、ジフェンヒドラミンおよび塩酸フェキソフェナジン、アクチバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジンならびにJP 2004107299、WO 03/099807およびWO 04/026841、に記載のものを含み、各文献は何れもその全体を本明細書に引用する。
【0060】
適当な抗生物質はマクロライド抗生物質、例えばトブラマイシン(TOBITM)を含む。
【0061】
適当なDNアーゼ薬剤物質は、DNAを選択的に切断する組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の高度に精製した溶液、ドルナーゼアルファ(PULMOZYMETM)を含む。ドルナーゼアルファは嚢胞性繊維症の処置に使用される。
【0062】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と抗炎症剤との他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体、例えばCCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5の拮抗剤、例えばシェリングプラウの拮抗剤SC−351125、SCH−55700およびSCH−D、武田の拮抗剤、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチルフェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロリド(TAK−770)、およびUS 6166037、WO 00/66558、WO 00/66559、WO 04/018425およびWO 04/026873に記載のCCR−5拮抗剤との併用であって、各文献は何れもその全体を本明細書に引用する。
【0063】
本発明による、プロスタシンの阻害が介在する疾患の治療に当り、本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は遊離型または医薬的に許容される塩の型で、適当な経路によって、例えば経口で、例えば錠剤、カプセル剤または液剤の型で;非経口投与で、例えば注射用溶液または懸濁液の型で;鼻内投与で、例えばエアロゾルまたはその他の適当な鼻内投与装置、例えば当技術分野で知られている鼻スプレーなどを用いる噴霧用製剤の型で;または例えば噴霧器を用いる吸入によって;投与できる。
【0064】
本チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、医薬的に許容される希釈剤または担体とともに医薬組成物中で投与できる。この組成物は、例えば乾燥粉末、錠剤、カプセル剤および液剤の他に注射用液剤、点滴用液剤または吸入用懸濁剤であってもよく、当技術分野で知られている他の製剤用添加物および技術を用いて製造できる。
【0065】
遊離型または医薬的に許容される塩型における本チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の用量は様々な因子、例えば活性成分の活性および作用持続時間、処置する病状の重篤度、投与のモード、対象の種、性、民族起源、年齢および体重および/またはその個体の状況に依存することもある。通常の場合、例えば体重約75kgの温血動物、特にヒトへの経口投与の日用量は、約0.7mg〜約1400mg;またはある例では、約5mg〜約200mgであると推測される。この用量は単回にまたは例えば5〜200mgずつの数回に分けて投与してもよい。
【0066】
組成物がエアロゾル製剤を構成する時には、ハイドロフルオロアルカン(HFA)圧縮不活性ガス、例えばHFA134aまたはHFA227またはその混合物;例えばエタノールなど当技術分野で知られている共溶媒1種またはそれ以上(20重量%まで);例えばオレイン酸またはソルビタントリオレエートなどの界面活性剤1種またはそれ以上;および/または例えば乳糖などの増量剤1種またはそれ以上;を含んでいてもよい。組成物が乾燥粉末製剤を構成する時には、例えば10μまでの直径を持つ粒子であるチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤;所望により所望の粒径分布を持つ希釈剤または担体、例えば乳糖;および製品を湿気による性能劣化から保護するための化合物(例えば、ステアリン酸マグネシウム);を含んでいてもよい。組成物が噴霧製剤であるときには、例えば、水を含む賦形剤に溶解または懸濁させたチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤;例えばエタノールまたはプロピレングリコールなどの共溶媒;および界面活性剤であってもよい安定化剤;を含んでいてもよい。
【0067】
本発明は、(A)エアロゾルまたはその他の霧化可能な組成物、または吸入可能な微粒子、例えば、微粉末剤の中に入れた吸入可能な形の本発明の化合物;(B)吸入可能な形の本発明の化合物を含む吸入可能な薬剤;(C)吸入装置と組み合わせた、吸入可能な形の本発明の化合物を含む医薬製品;および(D)吸入可能な形の本発明の化合物を入れた吸入装置を含む。
【0068】
本発明化合物の製造法
本発明には本発明化合物の製造法も含む。記述する反応において、最終製品に必要な反応性官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)は、当技術分野で知られている保護基を用いて保護して、反応への望ましくない関与を回避できる。通常の保護基を標準的な仕様に従って使用できる。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照。
【0069】
一態様では、本発明の化合物は下記の反応スキームIに従って製造できる:
【化18】

[式中、
1’は、(CR)−X−Rであり;
2’は、(CR2)であり;
4’は、(CR2)−Rであり;
、R、R、X、Y、Z、i、k、mおよびnは、式(1)の項で定義した通りであり;
およびRはアルキル保護基(例えば、メチル、エチル、t−ブチルまたはベンジルなど)である。
【0070】
上記反応スキームIにおいて、中間体化合物IIは、中間体化合物Iaaと式R−X(ここにXは脱離基である)で示されるアルキル化剤とを、適当な塩基と適当な有機溶媒の存在下に反応させて合成できる。アルキル化剤(alkyl agent)R−Xにおける脱離基の例には、これに限定するものではないが、ハライド例えばクロリドおよびブロミドであるか、またはトジレート、メシレートまたはベシレート脱離基などを含む。中間体化合物IIIは、中間体化合物IIとジアゾメタンまたは(トリメチルシリル)ジアゾメタンとを適切な有機溶媒の存在下に反応させて製造できる。この反応は、約0℃〜約60℃の温度範囲で進行させてもよく、完了には約24時間までを要するであろう。
【0071】
あるいは、中間体化合物IIIは、中間体化合物IIと型R−X(ここに、Xは脱離基である)で示される前記アルキル化剤とを適当な塩基と適当な有機溶媒の存在下に反応させることによって合成できる。この反応は温度範囲約0℃〜約80℃で進行し、完了には約24時間までを要するであろう。
【0072】
あるいは、中間体化合物IIIは、中間体化合物IIを型R−OHで示されるアルコールと適当なペプチド結合試薬および適当な塩基とを適当な溶媒の存在下に反応させることによって合成できる。この反応のために適当な塩基はこれに限定するものではないが、当技術分野の技術者の知識の範囲内にあるトリエチルアミン、DIEA、ピリジン、2,4,6−コリジン、およびその他の適当な塩基を含む。この反応は温度範囲約0℃〜約40℃で進行し、完了には24時間までを要するであろう。
【0073】
前記反応スキームIでは、中間体化合物IVは、カルバメート保護基(例えば、ここにRはt-ブチルである)を中間体化合物IIIから適当な酸で、所望により適当な有機溶媒の存在下に除去することによって合成できる。適当な酸は、これに限定するものではないが、当技術分野の技術者の知識の範囲内にあるTFA、p−TsOH、TfOH、HCl、HBr、HF、HBFおよびその他の適当な酸を含む。この反応は、温度範囲約−20℃〜約40℃で進行でき、完了には約24時間までを要するであろう。
【0074】
あるいは、中間体IVは中間体化合物IIIからカルバメート保護基(例えばここにRはベンジルまたはベンジル性誘導体の何れかである)を適当な触媒および適当な溶媒または水の存在下に水素ガスで除去することによって合成できる。適当な触媒の例は、これに限定するものではないが、当技術分野の技術者の知識の範囲内にあるPd/C、Pt、PtO、Pt/C、Rh/C、およびその他の適当な触媒を含む。この反応は温度範囲約0℃〜約80℃、水素圧約15psi〜約80psiで進行でき、完了には約48時間までを要するであろう。
【0075】
中間体化合物VIは、中間体化合物IVとVとをペプチド結合剤および適当な塩基(EtN、DIEA、ピリジン、2,4,6−コリジン、など)の存在下に、適当な有機溶媒中で反応させることによって合成できる。この反応は温度範囲約0℃〜約40℃で進行でき、完了には約24時間までを要するであろう。中間体化合物VIIは、中間体化合物VIと適当な塩基(例えばLiOH、NaOH、KOH、KCO、NaCO、CsCOなど)を適当な有機溶媒または水の存在下に反応させることによって合成できる。この反応は温度範囲約0℃〜約40℃で進行でき、完了には約24時間までを要するであろう。中間体化合物IXは、中間体化合物VIIとVIIIとを適当なペプチド結合剤および適当な塩基(EtN、DIEA、ピリジン、2,4,6−コリジンなど)の存在下、適当な有機溶媒中で反応させることによって合成できる。この反応は温度範囲約0℃〜約40℃で進行でき、完了には約24時間までを要するであろう。
【0076】
最終化合物Xは、中間体化合物IXと適当な酸化剤とを適当な有機溶媒または水の存在下に反応させることによって合成できる。適当な酸化剤には、これに限定するものではないが、Dess−Martinペルヨーディナン、2−ヨード安息香酸とオキソン、TEMPOとトリクロロイソシアヌル酸、TEMPOとNaOCl、DMSOと塩化オキサリル、ピリジニウムクロロクロメート、MnO、CrO、およびその他の当業界の技術者に知られた適当な酸化剤を含む。この反応は温度範囲約0℃〜約40℃で進行でき、完了には約24時間までを要するであろう。
【0077】
他の態様では、本発明の化合物は、下記の反応スキームIIに従って、反応スキームIについて記載した反応条件に準じて製造できる:
【化19】

[式中、R1’、R2’、R4’、YおよびZは、反応スキームIについて記載した通りである]。
【0078】
上記反応スキームIIにおいて、中間体化合物IIは、中間体化合物Iaaと式R−X(ここに、Xは脱離基である)で示されるアルキル化剤とを、塩基と溶媒との存在下に反応させることによって合成できる。中間体化合物IVは、溶媒中で中間体化合物IIと中間体化合物IIIとをペプチド結合剤および塩基と反応させることによって合成できる。中間体化合物Vは、中間体化合物IVと酸とを、所望により溶媒中で反応させることによって、中間体化合物IV(ここにRは、例えばt−ブチルである)からカルバメート保護基を除去することによって合成できる。あるいは、中間体化合物Vは、中間体化合物IV(ここに、Rは、ベンジルまたはベンジル性誘導体の何れかである)を有機溶媒または水中で触媒の存在下に水素ガスと反応させてカルバメート保護基を除去することによって合成することができる。中間体化合物VIIは、溶媒中で中間体化合物Vと中間体化合物VIとをペプチド結合剤および塩基で反応させることによって合成できる。最終化合物VIIIは、有機溶媒または水中で中間体化合物VIIと酸化剤とを反応させることによって合成できる。
【0079】
さらに別な態様では、式(2)で示される化合物は、下記反応スキームIIIに従って、反応スキームIについて記載したものと同様な反応はその条件に準じて処理すれば製造できる:
【化20】

[式中、
1’、R4’、R、R、YおよびZは、式(1)について定義した通りであり;そして
Xは、活性化された脱離基、例えば−OPhNO、または−Clである]。
【0080】
上記反応スキームIIIにおいて、中間体化合物IIは、中間体化合物Iaaとtrans−4−ヒドロキシプロリンのメチルエステルとペプチド結合剤とを溶媒および塩基の存在下に反応させることによって合成できる。この反応は室温で進行でき、完了には約24時間までを要するであろう。
【0081】
中間体化合物IIIは中間体化合物IIと適当な化学中間体(例えば、フェニルクロロホーメート、4−ニトロフェニルクロロホーメート、ペンタフルオロフェニルクロロホーメート、など)とを適当な塩基と適当な溶媒中で反応させることによって合成できる。この反応は約0℃〜約60℃の温度範囲で進行し、完了には約24時間までを要するであろう。
【0082】
中間体化合物IVは、中間体化合物IIIと適当な1級または2級アミンとを適当な溶媒中で反応させることによって製造できる。この反応は約0℃〜約60℃の温度範囲で進行し、完了には約24時間までを要するであろう。中間体化合物Vは、中間体化合物IVと適当な塩基(例えばLiOH、NaOH、KOH、など)を水の存在または不在下に適当な有機溶媒中で反応させることによって合成できる。この反応は約0℃〜約40℃の温度範囲で進行し、完了には約24時間までを要するであろう。中間体化合物VIIは、中間体化合物Vと中間体アミンVIとを溶媒中、ペプチド結合剤および塩基の存在下に反応させることによって合成できる。最終化合物VIIIは、中間体化合物VIIと適当な酸化剤とを溶媒中で反応させることによって合成できる。
【0083】
反応スキームI、IIおよびIIIに記載の反応に使用する適当なペプチド結合剤は、これに限定するものではないが、DCC、DIC、HATU、BOP、PyBOP、EDC、および当技術分野の技術者の知識範囲内にある他の結合試薬を含む。
【0084】
反応スキームI、IIおよびIIIに記載する反応で使用する適当な塩基は、これに限定するものではないが、水酸化物例えばNaOH、KOH、またはLiOH;炭酸塩例えばKCOまたはCsCO;水素化物例えばNaHまたはKH、などを含む。他の適当な塩基はアミン、DIEA、ピリジン、2,4,6−コリジン、および当技術分野の技術者の知識範囲内の適当な塩基である。
【0085】
適当な反応スキームI、IIおよびIIIに記載する反応に使用する適当な有機溶媒は、これに限定するものではないが、DMSO、THF、DMF、DMAc、アセトニトリル、アセトン、2−プロパノン、ブタノン、HMPA、NMP、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール、プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、アセトニトリル、ジオキサン、MTBE、ベンゼン、トルエン、およびその混合物、および当技術分野の技術者の知識範囲内のその他の適当な溶媒を含む。
【0086】
本発明の化合物の追加的製造法
本発明の化合物は、本化合物の遊離塩基型と医薬的に許容される無機または有機酸とを反応させることによって医薬的に許容される酸付加塩として製造できる。あるいは、本発明化合物の医薬的に許容される塩基付加塩は、本化合物の遊離酸型と医薬的に許容される無機塩基または有機塩基とを反応させることによって製造できる。
【0087】
あるいは、本発明の化合物の塩型は、出発物質または中間体の塩を用いても製造できる。
【0088】
本発明化合物の遊離酸型または遊離塩基型は、各々対応する塩基付加塩または酸付加塩型からも製造できる。例えば、酸付加塩型の本発明の化合物は、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって対応する遊離塩基に変換できる。塩基付加塩型の本発明の化合物は、適当な酸(例えば塩酸など)で処理することによって対応する遊離酸に変換できる。
【0089】
非酸化型の本発明の化合物は、本発明の化合物のN−オキシドを還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化燐、三臭化燐など)で適当な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0℃〜80℃で処理することによって製造できる。
【0090】
本発明化合物のプロドラッグ誘導体は、当技術分野の通常の技術者に知られた方法(例えば、詳細はSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照)によって製造できる。例えば、適切なプロドラッグは、本発明の非誘導体化合物と適当なカルバモイル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、炭酸p−ニトロフェニルなど)とを反応させることによって製造できる。
【0091】
本発明の化合物の保護誘導体は、当技術分野の通常の技術者に知られている方法によって作られる。保護基の作成と除去に適用できる技術の詳細はT. W. Greene, “Protective groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見出されよう。
【0092】
本発明の化合物は便宜よく溶媒和物(例えば、水和物)として製造でき、または本発明の工程の間に溶媒和物として形成される。本発明化合物の水和物は、有機溶媒例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを用いて水性/有機溶媒混合物から再結晶することによって好都合に製造できる。
【0093】
本発明の化合物は、その化合物のラセミ混合物と光学活性分割剤とを反応させてジアステレオ異性体化合物のペアを形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の共有結合ジアステレオ異性体誘導体を使用することによって、または解離性複合体(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)を使用することによって実施できる。ジアステレオマーは、相異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性、など)を持ち、これらの非類似性を利用して容易に分離できる。これらジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、または溶解度の差に基づく分離/分割技術によって分離できる。次に光学純のエナンチオマーは、分割剤と共に、ラセミ化を起さない実際的方法のいずれかによって回収される。ラセミ混合物からの化合物の立体異性体の分割に適用できる技術のさらに詳細な記載はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley and Sons, Inc., 1981に見出されよう。
【0094】
要約すれば、式(1)で示される化合物はさらに次項の方法を含む製法で作成できる:
(a)反応スキームI、IIまたはIIIに記載の方法;
(b)所望により本発明化合物を医薬的に許容される塩に変換する方法;
(c)所望により塩型の本発明化合物を非塩型に変換する方法;
(d)所望により本発明化合物の非オキシド型を医薬的に許容されるN−オキシド型に変換する方法;
(e)所望により本発明化合物のN−オキシド型をその非オキシド型に変換する方法;
(f)所望により本発明化合物の個々の異性体を異性体混合物から分割する方法;
(g)所望により非誘導体化本発明化合物を医薬的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換する方法;および
(h)所望により本発明化合物のプロドラッグ誘導体をその非誘導体化型に変換する方法。
【0095】
出発物質の製造が特定的に記載していないものも、各化合物は既知であるか、または当技術分野で知られている方法に準じて、または下記の実施例の開示されている方法によって製造できる。当技術分野の技術者は、前記変換方法は、本発明化合物の製法の代表例であるに過ぎず、またその他のよく知られた方法も同様に使用できることを認識することとなろう。本発明はこれに限定するものではないが、下記の中間体(参照化合物)および本発明化合物の製造法を例示する実施例によってさらに例示する。
【0096】
以下の合成方法論では、当技術分野で知られている次の一般的略号を用いる:DCM(ジクロロメタン);THF(テトラヒドロフラン);およびDIEAジイソプロピルエチルアミン)。
【0097】
参照化合物1
【化21】

スキーム1
【0098】
上記スキーム1では、試薬および条件は次の通りである:(a)iso−BuOCOCl、EtN、THF、NaBH、HO;(b)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(c)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分、次に1−C、−20℃〜室温;(d)H(40psi)、EtOH、Pd/C10%、室温、18時間。
【0099】
1−B:粗製出発物質、Z−Lys(Boc)OH(320g、842ミリモル)をTHF(2500mL)に溶解し、溶液を−10℃に冷却し、続いてトリエチルアミン(115.2mL、1.0当量)を加え、イソブチルクロロホーメート(118.7mL、1.1当量)を滴下する。得られる懸濁液を2時間0℃で攪拌する。反応混合物を濾過し、−10℃に冷却する。NaBH(64.6g、2.1当量)を0℃で水(500mL)に溶解し、溶液を前記THF溶液に滴加する(多量のCO発生)。反応混合物を室温とし、1時間攪拌する。反応混合物を1N−HCl溶液で酸性とし、水層をEtOAcで数回抽出する。有機層を集め、水、飽和NaHCO水および食塩水で洗い;MgSOで乾燥し;溶媒を減圧留去する。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して所望の生成物を白色泡状物として得る。
【0100】
1−C:アルコール(200g、545.8ミリモル)をDCM(2000mL)に溶解し、0℃に冷却する。Dess−Martin試薬(231g、1.0当量)のDCM(2000mL)溶液を滴下する。懸濁液を室温とし、変換が完了するまで(1〜4時間)攪拌する。飽和NaHCO水溶液と1M−Na溶液の1:1混合物を加え、得られる2相系を20分間激しく攪拌する。有機層を分離し、水層はDCMで1回抽出する。有機層を集め、真空蒸留し、得られる油状物をEtOAcに取り、NaHCO3/Na混合物で6回、水および食塩水で洗浄し;MgSOで乾燥し、溶媒を減圧留去して粗製のアルデヒドを帯黄色油状物として得る。この物質は、これ以上精製することなしに次工程で直接使用する。
【0101】
1−D:塩化イソプロピルマグネシウム(アルデヒドに対して1.67当量、2M−THF溶液390mL、Sigma-Aldrich)のTHF(1500mL)溶液にベンズオキサゾール(92.8g、1.67当量)のTHF(1000mL)溶液を−20℃で加える。反応混合物を−20℃で30分間攪拌し(呈色は濃赤に変化する)、次にアルデヒド(170g、466ミリモル)のTHF(1500mL)溶液を、温度を−20℃〜−15℃に調節しつつ徐々に添加する。反応混合物を室温とし、反応完了まで攪拌する。反応混合物に飽和NHCl水溶液を加えて反応停止させ、溶媒を減圧留去する。水相をEtOAcで3回抽出し;有機層を集め、1N−HCl溶液、水、食塩水で激しく洗浄し、MgSOで乾燥し、溶媒を減圧留去して粗製のベンズオキサゾールを濃赤色油状物として得る。シリカ上でEtOAc/ヘキサン(1:5〜1:1)を用いて精製してベンズオキサゾールを黄色固体として得る。
【0102】
1−E:化合物5(25.0g、51.7ミリモル)の溶液をエタノール(150mL)に溶解する。Pd/C(10%、湿、Degussa type)を加え、フラスコをパール(Parr)振盪機上に設置し、40psiの水素ガスで一夜処理する。触媒をセライトで濾過し、溶媒を減圧留去する。粗製の物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、先ずヘキサン/EtOAcの勾配を用いて非極性および呈色不純物を除去し、次にDCM/MeOHの勾配で所望の化合物5を溶離する。溶媒を減圧留去し、化合物をエーテル中で数回粉砕して所望の参照化合物1を白色粉末として得る。1H-NMR(DMSO-d6, 400 MHz)δ: 7.73-7.70 (2H, m), 7.40-7.34 (2H, m), 6.78-6.73 (1H, m), 4.55-4.51 (1H, m), 3.05-3.01 (1H, m), 2.92-2.83 (2H, m), 1.48-1.18 (14H, m). LCMS: 350.5 (M+H)+
【0103】
参照化合物2
【化22】

スキーム2
【0104】
スキーム2において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)Cbz−OSu、EtN、THF、HO、室温、18時間;(b)(i)iso−BuOCOCl、EtN、THF、(ii)NaBH、HO;(c)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(d)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分、次に2−D、−20℃〜室温;(e)インジウム、NHCl、EtOH、還流、5時間;(f)N,N−ビス(tert-ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン、DIEA、MeOH;および(g)H、(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
【0105】
2−B:L−ニトロフェニルアラニン塩酸塩(4.45g、18.0ミリモル)とN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミド(Cbz−OSu)(4.49g、18.0ミリモル)とを、THF(60mL)と水(20mL)とを入れた丸底フラスコに加える。混合物を室温で攪拌し、EtN(10.1mL、72.0ミリモル)を加え、反応物を室温で一夜攪拌する。透明な溶液をEtOAc(200mL)で希釈し、1N−HCl(3×100mL)と食塩水(1×100mL)とで洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を減圧留去して中間体2−Bを白色固体として得る。
【0106】
2−C〜2−E:これらの中間体は、各々参照化合物1の中間体1−B〜1−Dの製造のために記載した方法と類似の方法に従って製造する。
【0107】
2−F:ニトロフェニル類似体5−E(1.85g、4.15ミリモル)をEtOH(50mL)に溶解し、加熱還流する。飽和の水性NHCl(5mL)を加え、続いて粉末インジウム(3.2g、27.9ミリモル)を加える。反応混合物を5時間還流したに攪拌し、室温に冷却し、溶媒を減圧留去する。粗製の物質をEtOAc(100mL)に懸濁し、飽和NaHCO(3×100)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、セライトで濾過する。溶媒を減圧留去してアニリン2−Fを灰白色の蝋状固体として得る。
【0108】
2−G:アニリン2−F(1.52g、3.67ミリモル)をMeOH(10mL)に溶解する。DIEA(0.7mL、4.4ミリモル)とN,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン(1.37g、4.4ミリモル)を追加し、反応混合物を室温で攪拌する。4時間後、別なN,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン0.5当量(0.685g、2.2ミリモル)を加え、反応物を室温で一夜攪拌する。EtOAc(100mL)を加え、有機層を水、食塩水で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を減圧留去し、粗製物質をEtOAc/ヘキサン(0〜100%勾配)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製して所望の生成物2−Gを油状物として得る。
【0109】
2−H:この化合物は、参照化合物1の中間体1−E製造のために記載した方法に準ずる方法に従って2−Gから製造する。
【0110】
参照化合物3
【化23】

スキーム3
【0111】
前記スキーム3において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)HN(OMe)Me・HCl、BOP、Et3N、DMF、0℃〜室温;(b)n−BuLi(ヘキサン中2.5M)、ベンゾチアゾール、THF、−78℃、次に3−B、THF、−70℃〜室温;(c)NaBH、MeOH;(d)p−TsOH、CHCl、6時間。
【0112】
3−B:3−A(49.92g、102.6ミリモル)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(30.4g、224ミリモル)およびトリエチルアミン(88mL、616ミリモル)の乾燥DMF(200mL)溶液をアルゴン下に0℃で攪拌しながら、これにBOP(50g、112ミリモル)を一度に加える。反応混合物を2時間かけて徐々に室温とし、珪藻土で濾過し、減圧濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し;HO、1M−KHSO水、飽和NaHCO水および食塩水で洗い;乾燥し、減圧濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物3−Bを得る。
【0113】
3−C:アルゴン雰囲気下にベンゾチアゾール(115.72g、850.7ミリモル)の乾燥THF(1660mL)溶液を−78℃で攪拌しつつ、これにn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、272.2mL、681.4ミリモル)を、反応温度を−64℃以下に維持する速度で加える。滴下完了後、反応混合物を−70℃で30分間攪拌し、化合物3−B(45g、85.7ミリモル)の乾燥THF(300mL)溶液を、反応温度を−70℃以下に維持する速度で滴下する。反応物を15分間攪拌し、飽和NHCl水で反応を停止し、室温で16時間攪拌する。得られる有機層を分離し;酢酸エチルで希釈し;水と食塩水で洗浄し;乾燥し、減圧濃縮し;シリカゲルクロマトグラフィーで精製して化合物3−Cを得る。
【0114】
3−D:3−C(33.7g、55.82ミリモル)のMeOH(407mL)溶液に0℃でNaBH(9.98g)を加える。反応混合物を1時間かけて徐々に室温とし、次に1時間45℃に加熱し、次に室温まで冷却する。反応をアセトン(60mL)で停止させ、減圧濃縮する。残渣を酢酸エチルに溶解し、食塩水で洗い、MgSOで乾燥する。粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して生成物3−Dを得る。
【0115】
3−E:化合物3−D(28.2g)のCHCl(300mL)溶液を室温攪拌しながら、これに飽和するまでp−TsOHを加える。反応物を室温で6時間攪拌する。水を加え、有機層をEtOAcで抽出し;食塩水と10%NaCO水との1:1(v/v)混合物で洗い;NaSOで乾燥し;シリカゲルクロマトグラフィーで精製して生成物3−Eを得る。
【0116】
参照化合物4
【化24】

スキーム4
【0117】
上記スキーム4における試薬および反応条件は次の通りである:(a)(i)NaN、TfO、HO、CHCl、0℃;(ii)Cbz−Orn−OH、KCO、HO、CuSO、次にTfN、MeOH;(b)(i)iso−BuOCOCl、EtN、THF;(ii)NaBH、HO;(c)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(d)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分、次に4−D、−20℃〜室温;(e)PMe、THF、HO;(f)N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン、MeOH;(g)H(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
【0118】
4−B:トリフル酸アジド(TfN)溶液の製造:ナトリウムアジド(61g、938.8ミリモル、10当量)を水(150mL)に溶解し、この溶液を0℃に冷却する。ジクロロメタン(250mL)を加え、2相システムを激しく攪拌しながら新たに蒸留したトリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)を30分間にわたって加える。反応混合物はさらに0℃で2時間激しく攪拌する。両層を分離し、水層をジクロロメタンで2回(各100mL)抽出する。有機層を集め、飽和NaHCO水溶液で2回(各100mL)洗う。この溶液を保存して、そのまま使用する。
Z−Orn−OH(25g、93.88ミリモル)を水(250mL)に溶解し、続いて炭酸カリウム(18.16g、131.4ミリモル、1.4当量)およびCuSO(1モル%、250mg)を加える。このTfN溶液を反応混合物に室温で一度に加える。添加完了後(双層混合物)、反応混合物が一層になるまでメタノールを加え(約850mL)、得られる反応溶液を24〜48時間攪拌する。溶媒を蒸発し、青色水相を1M−NaHSOで酸性とする(呈色消失)。水相を酢酸エチル(3×400mL)で抽出し、有機層を集め、水および食塩水で洗い;MgSOで乾燥し;溶媒を減圧留去して粗製アジドを得、これをシリカゲルクロマトグラフィーで溶離液としてEtOAc/ヘキサン(1:9〜1:1)を用いて精製してアジド4−Bを帯黄色油状物として得る。
【0119】
4−C〜4−E:中間体4−C〜中間体4−Eは、参照化合物1の中間体製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0120】
4−F:アジド4−E(6.275g、15.9ミリモル)をTHF/水(10:1、100mL)に溶解する。トリメチルホスフィン(2.0当量)をLCMSが変換の完了を示すまで、室温で徐々に加える。溶媒を除去し、残渣をEtOAcに取る。有機層を水、食塩水で洗い、MgSOで乾燥し、溶媒を減圧留去して、粗製のアミン4−Fを得、これをさらに精製することなしに次工程で使用する。
【0121】
4−G:アミン4−F(5.608g、15.2ミリモル)をMeOH(100mL)に溶解し、N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン(5.189g、1.1当量)を加え、反応混合物を室温で2時間攪拌する。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcに取る。有機層を水、食塩水で洗い;MgSOで乾燥し、溶媒を減圧留去して粗製ベンズオキサゾール誘導体を得る。EtOAc/ヘキサン(0〜100%EtOAc)を用いるシリカで精製して最終ベンズオキサゾール誘導体を油状物として得る。
【0122】
4−H:この化合物は、参照化合物1のための中間体1−Eの製造のために記載した方法に準じる方法に従って4−Gから製造する。
【0123】
参照化合物5
【化25】

【0124】
上記スキーム5において、試薬および反応条件は次の通りである:(a)Cbz−OSu、EtN、THF、HO、室温、18時間;(b)(i)iso−BuOCOCl、EtN、THF;(ii)NaBH、HO;(c)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(d)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分、次に5−D、−20℃〜室温;(e)NaBH、NiCl、BocO、MeOH、0℃;(f)H(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
【0125】
5−B〜5−E:この化合物は、L−4−シアノフェニルアラニン(5−A)から参照化合物2の中間体2−Bについて記載した方法に順ずる方法に従って製造する。中間体5−C〜中間体5−Eは、各々参照化合物1の中間体1−B〜中間体1−Dの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0126】
5−F:ニトリル5−E(3.68g、8.64ミリモル)をメタノール(60mL)に溶解し、0℃に冷却する。BocO(3.77g、2当量)、続いてNiCl(210mg、0.1当量)を加える。混合物を攪拌し、次にNaBH(2.29g、7.0当量)を少量ずつ徐々に加える。混合物を室温とし、1時間攪拌する。ジエチレントリアミン(0.94mL、1当量)を加える。混合物をさらに30分間攪拌し、溶媒を真空蒸発する。残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO(2×100mL)で2回洗い、MgSOで乾燥し、溶媒を減圧蒸発する。粗製物質をEtOAc/ヘキサンの0〜100%勾配を溶離液とするシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して標記化合物を油状物として得る。
【0127】
5−G:この化合物は、参照化合物1の中間体1−Eについて記載した方法に順ずる方法に従って5−Fから製造する。
【0128】
参照化合物6
【化26】

【0129】
上記スキーム6において、試薬および反応条件は次の通りである:(a)HONH50%水溶液、EtOH、40℃、16時間;(b)SmI、THF、室温;(c)(e)H、(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
6−A:参照化合物5からのニトリル中間体5−E(1.92g、4.50ミリモル)をエタノールに溶解し、水性HONH(50%水溶液、1.1mL、18.0ミリモル)を加える。反応混合物を40℃に加温し、16時間攪拌する。溶媒を蒸発し、残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、水洗する(2×50mL)。有機層を乾燥(MgSO)し、真空蒸発して、生成物を透明油状物として得て、これをさらに精製することなしに次工程で使用する。
【0130】
6−B:ヒドロキシアミジン6−A(2.05g、4.50ミリモル)を最少容のTHF(〜2mL)に溶解し、1M−SmIのTHF(100mL、10ミリモル)溶液を加え、この溶液を1時間攪拌する。溶液の青色が消失すれば、SmI(THF中1M溶液)を追加して、さらに1時間攪拌する。溶媒を蒸発し、残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、飽和水性NaHCO(2×50mL)と食塩水(50mL)とで洗う。有機層を乾燥(MgSO)し、真空蒸発して透明な油状物を得、これをさらに精製することなしに次工程で使用する。
【0131】
6−C:アミジン6−B(2.10g、4.50ミリモル)をTHF(50mL)に溶解し、BocO(1.96g、9.00ミリモル)とEtN(1.37mL、13.5ミリモル)とを加える。反応物を室温で18時間攪拌し、次に溶媒を減圧留去する。残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、飽和水性NaHCO(2×50mL)と食塩水(50mL)とで洗浄する。有機層を乾燥(MgSO)し、真空蒸発する。粗製残渣を0〜100%EtOAc/ヘキサン勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して白色泡状物を得る。
【0132】
6−D:この化合物は、スキーム1の参照化合物1の中間体1−Eの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って6−Cから製造する。
【0133】
参照化合物7
【化27】

スキーム7
【0134】
上記スキーム7において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)(i)iso−BuOCOCl、EtN、THF;(ii)NaBH、HO;(b)トリクロロイソシアヌル酸、TEMPO、0℃〜室温、CHCl;(c)Cbz−α−ホスホノグリシントリメチルエステル、DBU、DCM;(d)H(60psi)、(S,S)−Me−BPE−Rh(COD)OTf、MeOH、96時間;(e)LiOH、ジオキサン、水;(f)(i)iso−BuOCOCl、EtN、THF;(ii)NaBH、HO;(g)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(h)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分、次に7−G、−20℃〜室温;(i)H、(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
【0135】
7−A:この化合物は、スキーム1の参照化合物1の中間体1−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸(7−A)から製造される。
【0136】
7−B:アルコール7−A(4.14g、17.0ミリモル)をCH2Cl(35mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却する。トリクロロイソシアヌル酸(4.15g、17.8ミリモル)、続いてTEMPO(28mg、0.17モル)を加える。反応物を次に室温まで加温し、さらに15分間室温で攪拌する。沈殿が生成するので反応混合物をセライトで濾過し、CHClで洗う。CHCl溶液を集め(〜100mL)、飽和水性NaHCO(2×50mL)、1M−HCl(2×50mL)、および食塩水(50mL)で洗い;乾燥(MgSO)し、溶媒を蒸発してこの中間体を得、これをさらに精製することなしに使用する。
【0137】
7−C:N−ベンジルオキシカルボニル−α−ホスホノグリシントリメチルエステル(5.63g、17ミリモル)をCHCl(35mL)に溶解し、DBU(5.1mL、34ミリモル)を加え、溶液を20分間攪拌する。アルデヒド7−B(4.09g、17.0ミリモル)をCHCl(10mL)溶液として滴下する。反応物を一夜攪拌し、次に溶媒を蒸発し、残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、1M−NaHSO(2×50mL)と食塩水で洗い、次に乾燥(MgSO)し、真空蒸発する。粗製物質を0〜100%EtOAc/ヘキサン勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を白色固体として得る。
【0138】
7−D:オレフィン7−C(2.04g、4.56ミリモル)をMeOH(100mL)に溶解し、溶液を脱ガス後に触媒、(−)−1,2−ビス((2S,3S)−2,5−ジメチルホスホラノ)エタン(シクロオクタジエン)ロジウム(I)−トリフルオロメタンスルホネート(28mg、1モル%)を加える。反応混合物をパール振盪機に入れ、60psiのH雰囲気下に4日間振盪する。次に溶媒を真空蒸発し、粗製物質を0〜100%EtOAc/ヘキサン勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を白色固体として得る。
【0139】
7−E:メチルエステル7−D(1.81g、4.04ミリモル)をジオキサン(50mL)に溶解し、0℃で攪拌する。LiOH(203mg、4.84ミリモル)の水(10mL)溶液を滴下し、次に溶液を室温まで加温する。出発物質が消失(LCMSで)後、溶媒を蒸発し、粗製物質をEtOAc(100mL)に溶解し;1N−NaHSO(2×50mL)と食塩水(50mL)で洗い;乾燥(MgSO)する。溶媒を減圧留去し、得られる生成物をさらに精製せずに次工程で直接使用する。
【0140】
7−F〜7−H:中間体7−F〜7−Hは、参照化合物1の中間体製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0141】
7−I:この化合物は、参照化合物1の中間体1−E製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、7−Hから製造する。MS m/z 404.2 (M+1). 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 7.66-7.64 (1H, m), 7.49-7.47 (1H, m), 7.31-7.26 (2H, m), 4.85-4.64 (1H, m), 3.44-3.16 (1H, m), 2.96-2.88 (2H, m), 1.80-1.55 (4H, m), 1.39-1.14 (13H, m), 0.89-0.72 (4H, m)。
【0142】
参照化合物8
【化28】

参照化合物8は、参照化合物2の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、3−ニトロフェニルアラニンから出発して製造する。
【0143】
参照化合物9
【化29】

参照化合物9は、参照化合物5の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、3−シアノフェニルアラニンから出発して製造する。
【0144】
参照化合物10
【化30】

参照化合物10は、参照化合物6の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、3−シアノフェニルアラニンから出発して製造する。
【0145】
参照化合物11
【化31】

参照化合物11は、参照化合物7の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、trans−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸から出発して製造する。
【0146】
参照化合物12
【化32】

D−ホモフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(2.43g、10.0ミリモル)とEtN(1.4mL、20.0ミリモル)をDMF(20mL)に溶解し、室温で攪拌する。イソシアン酸フェニル(1.55g、13.0ミリモル)を滴下し、反応混合物を一夜攪拌する。反応物をEtOAc(200mL)で希釈し、水(100mL)、1N−HCl(2×100mL)、飽和水性NaHCO(2×100mL)、食塩水(100mL)で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発乾固し、残渣をジオキサン(20mL)に溶解する。LiOH・HO(630mg、15.0ミリモル)に溶解し、水(15mL)を加え、反応混合物をエチルエステルが消失(TLCおよびLCMSで)するまで室温で攪拌する。溶媒を減圧留去し、粗製物質をEtOAc(100mL)と1N−HCl(100mL)との間に分配する。水層をEtOAc(2×50mL)で抽出し、有機層を集めて1M−NaHSO(2×50mL)と食塩水(100mL)で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発し、粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して、参照化合物12を白色粉末として得る。
【0147】
参照化合物13
【化33】

N−BOC−cis−4−ヒドロキシ−D−プロリン(7.83g、34ミリモル)をDMF(100mL)に溶解し、0℃に冷却する。60%NaH(鉱油中、3.0g、74.8ミリモル)を少量ずつ加え、30分間攪拌する。臭化ベンジル(12.8g、74.8ミリモル)を加え、溶液を3時間攪拌する。反応混合物を0.1M−HCl/氷スラリーに注入し、EtOAc(3×150mL)で抽出する。有機層を集め、飽和水性NaHCO(3×100mL)と食塩水(200mL)で洗い、乾燥(MgSO)し、溶媒を真空蒸発する。粗製物質を精製してベンジルエステルを得、これを次にジオキサン(20mL)に溶解し、室温で攪拌する。LiOH・HO(1.60mg、38ミリモル)の水(10mL)溶液を加え、反応物をベンジルエステルが消失(TLCとLCMSで)するまで攪拌する。溶媒を減圧留去し、粗製物質をEtOAc(50mL)と1N−HCl(50mL)とに分配する。水層をEtOAc(2×50mL)で抽出し、有機層を集め、1M−NaHSO(2×50mL)と食塩水(50mL)で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発し、粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して参照化合物13を白色粉末として得る。
【0148】
参照化合物14
【化34】

D−ホモフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(5.00g、20.5ミリモル)とDIEA(8.7mL、51.25ミリモル)をTHF(100mL)に溶解し、室温で攪拌する。塩化メシル(1.67mL、21.52ミリモル)を滴下し、反応物を室温で6時間攪拌する。THFを蒸発し、粗製物をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1N−HCl(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗い、乾燥(MgSO)する。溶媒を減圧留去し、粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製してエチルエステルを得る。エチルエステルをジオキサン(50mL)に溶解し、室温で攪拌する。LiOH・HO(1.00mg、24ミリモル)を水(20mL)に溶解して加え、反応物をエチルエステルが消失(TLCとLCMSで)するまで攪拌する。溶媒を減圧留去し、粗製物質をEtOAc(50mL)と1N−HCl(50mL)の間に分配する。水層をEtOAc(2×50mL)で抽出し、有機層を集めて1M−NaHSO(2×50mL)と食塩水(50mL)で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発し、粗製物質をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して、参照化合物14を白色粉末として得る。
【0149】
参照化合物15
【化35】

Cbz−D−Cys(Bzl)−OHは、H−D−Cys(Bzl)−OHおよびCbz−OSuから中間体化合物1−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。次にCbz−D−Cys(Bzl)−OH(296mg、0.86ミリモル)をMeOH:HO(50:50)混合物5mLに溶解し、オキソン(792mg、1.29ミリモル)を加える。反応混合物を室温で一夜攪拌し;水(10mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×20mL)で抽出し、有機層を食塩水(30mL)で洗い、乾燥(MgSO)する。溶媒を減圧留去して参照化合物15を得、さらに精製することなく使用する。
【0150】
参照化合物16
【化36】

参照化合物16は、参照化合物14のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−フェニルグリシンエチルエステル塩酸塩から出発して製造する。
【0151】
参照化合物17
【化37】

参照化合物17を製造する上記スキームにおいて、試薬および反応条件は次の通りである:(a)(i)t−BuOH、ClSONCO、CHCl、0℃〜室温、(ii)17−A、CHCl;(b)1N−NaOH水溶液。
【0152】
17−B:丸底フラスコ内でN−クロロイソシアネート(2.5mL、28.7ミリモル)をジクロロメタン(150mL)に溶解し、0℃に冷却する。t−BuOH(2.7mL、28.7ミリモル)のジクロロメタン溶液を滴下する。アルコール添加完了から15分後、市販の17−Aをジクロロメタンに溶かして加える。次に反応物を常温まで加温し、3時間攪拌する。反応混合物を水で希釈し、水洗し;有機層を分離し、MgSOで乾燥して化合物17−Bを油状物として得、これをさらに精製することなしに次工程で使用する。
【0153】
17:エチルエステル17−B(1.46g、5ミリモル)を1N−NaOH(15mL、15ミリモル)に溶解する。出発物質が消失(LCMSで)後、反応物を1N−HClで酸性とする。生成物は白色固体として沈殿し、さらなる精製なしに次工程で使用する。
【0154】
参照化合物18
【化38】

参照化合物18は、Org. Lett. 5:125-128 (2003)に報告の方法に従って製造する。Boc−D−ホモフェニルアラニン(1.0g、3.58ミリモル)を、THFと触媒量の水中でMeSOおよびNaHを用いてメチル化して、白色粉末を得る。
【0155】
参照化合物19
【化39】

参照化合物19は、参照化合物14のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモシクロヘキシルアラニンエチルエステル塩酸塩から製造する。
【0156】
参照化合物20
【化40】

20−B:4−ピペリジンエタノール(20−A)(5.0g、39.7ミリモル)をTHF(120mL)に溶解する。トリエチルアミン(5.6mL、40ミリモル)を加え、溶液を0℃に冷却する。BocO(9.59g、44ミリモル)を加え、反応物を室温で一夜攪拌する。溶媒を減圧留去し;粗製残渣を酢酸エチル(120mL)に溶解して加える;溶液を0.1N−HCl(3×100mL)と食塩水(1×100mL)で洗い;MgSOで乾燥し;濾過し、溶媒を減圧留去し、化合物20−Bを透明油状物として得る。
【0157】
20−C:トリクロロイソシアヌル酸(2.66g、11.46ミリモル)をアルコール(2.39g、10.42ミリモル)のDCM溶液に加え、溶液を攪拌して0℃に維持し、続いて触媒量のTEMPOを加える。添加後、混合物を室温まで加温し、1時間攪拌し、次にセライトで濾過する。有機層を飽和水性NaCO、続いて1N−HClおよび食塩水で洗う。有機層を乾燥(MgSO)し、溶媒を蒸発して20−Cを得る。1H-NMR(CDCl3, 400 MHz)δ: 9.72 (1H, s), 4.07-4.01 (2H, m), 2.70- 2.57 (2H, m), 2.35-2.31 (2H, m), 2.05-1.94 (1H, m), 1.64-1.46 (2H, m), 1.39 (9H, s), 1.30-1.02 (2H, m)。
【0158】
20−D:Cbz−α−ホスホノグリシントリメチルエステル(2.8g、8.45ミリモル)のTHF溶液に−78℃で1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(1.022mL、8.14ミリモル)を加える。10分後、アルデヒド20−C(1.76g、7.76ミリモル)を加える。次に溶液を氷浴に0℃で1時間置き、次に室温まで加温し、さらに1時間攪拌する。溶液をEtOAcで希釈し、1M−NaHSOで洗い、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮する。残渣を酢酸エチル/ヘキサンの0〜100%勾配を用いるクロマトグラフィー(ISCO)で精製して、20−Dを黄色油状物として得る。MS m/z 333.2 (M+1). 1H-NMR (CDCl3, 400 MHz)δ: 7.35-7.33 (5H, m), 6.63 (1H, t, J = 8 Hz), 6.30 (1H, bs), 5.12 (2H, s), 4.10-4.04 (2H, m), 3.73 (3H, s), 2.67-2.62 (2H, m), 2.14 (2H, t, J = 6.8 Hz), 1.63-1.46 (3H, m), 1.43 (9H, s), 1.14-1.06 (2H, m)。
【0159】
20−E:パール反応容器に20−D(1.0g、2.31ミリモル)とMeOH(100mL)を窒素下に入れる。溶液に減圧と窒素導通とを3サイクル行い、触媒(R,R)−エチル−DuPHOS−Rh(COD)トリフレート(30mg、0.04ミリモル)を加える。混合物を室温で24時間60psiの水素ガスで処理する。20−Eへの変換は24時間後には>99%e.e.完了するので、溶媒を減圧留去し、粗製の生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製する。
【0160】
20−F:中間体20−EをMeOHに溶解し、溶液に窒素を導通し、Pd/炭(5重量%、Degussa)を加える。混合物を50psiの水素で処理し、24時間室温で振盪する。混合物に窒素を導通し、セライトで濾過する。ケーキをMeOHで洗い、有機溶液を集めて減圧濃縮する。ヘキサンを加え、次に蒸発して残留メタノールを共沸させて20−Fを油状物として得、これをさらに精製することなしに次工程で使用する。
【0161】
20−G:中間体20−F(0.6g、1.99ミリモル)をTHF(10mL)に溶解し、2,4,6−コリジン(315mg、2.38ミリモル)と塩化メタンスルホニル(0.170mL、2.19ミリモル)とを溶液に加えて2時間攪拌する。反応物をEtOAc(50mL)で希釈し;溶液を1M−NaHSO(2×25mL)と食塩水(25mL)で洗い;乾燥(MgSO)する。溶媒を減圧留去し、粗製残渣を、ヘキサンとEtOAcとの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーで精製して所望の生成物20−Gを得る。
【0162】
20−H:化合物20−G(0.70g、1.84ミリモル)をジオキサン(7mL)に溶解し、LiOH・HO(232mg、5.55ミリモル)の水溶液(4mL)を加える。反応混合物を1時間攪拌する。溶媒を蒸発し;残渣をEtOAc(25mL)で希釈し、1N−NaHSO(25mL)と食塩水(25mL)とで洗浄し;乾燥(MgSO)する。溶媒を減圧留去し、粗製物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)で精製して所望の生成物、参照化合物20を白色固体として得る。
【0163】
参照化合物21
【化41】

参照化合物21は、参照化合物14の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、3−シアノフェニルアラニンから出発して製造する。
【0164】
参照化合物22
【化42】

参照化合物22は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモフェニルアラニンから製造する。
【0165】
参照化合物23
【化43】

参照化合物23は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモフェニルアラニンとN−(シクロプロピルメチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから製造する。
【0166】
参照化合物24
【化44】

中間体24−Aは参照化合物5−AからCHCl中50%TFAによるBoc基の脱保護と、それに続く溶媒の減圧留去によって製造する。中間体24−B〜中間体24−Cは、参照化合物2のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0167】
参照化合物25
【化45】

参照化合物25は、参照化合物24の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0168】
参照化合物26
【化46】

参照化合物26は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモフェニルアラニンとN−(イソブチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドから製造する。
【0169】
参照化合物27
【化47】

参照化合物27は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモフェニルアラニンとN−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから製造する。
【0170】
参照化合物28
【化48】

参照化合物28は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモフェニルアラニンとN−(シクロペンチルメチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから製造する。
【0171】
参照化合物29
【化49】

参照化合物29は、D−ホモフェニルアラニンとN−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0172】
参照化合物30
【化50】

参照化合物30は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−3−クロロフェニルアラニンとN−(シクロペンチルメチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから製造する。
【0173】
参照化合物31
【化51】

参照化合物31は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−3−クロロフェニルアラニンとN−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから製造する。
【0174】
参照化合物32
【化52】

参照化合物32は、参照化合物14の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−ホモフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩とフェノキシ酢酸塩化物とから製造する。
【0175】
参照化合物33
【化53】

参照化合物33は、参照化合物24の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0176】
参照化合物34
【化54】

参照化合物34は、参照化合物2の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、3−ニトロフェニルグリシンから製造する。
【0177】
参照化合物35
【化55】

参照化合物35は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、グリシンとN−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドとから製造する。
【0178】
参照化合物36
【化56】

参照化合物36を製造する上記スキームにおいて、試薬と反応条件は次の通りである:(a)PPh、DIAD、PhOH、トルエン、室温;(b)(i)TFA、CH2Cl2、MeOH室温、1時間、(ii)シクロヘキシル−OCOCl、ピリジン、DMAP、室温、THF。
【0179】
36−B:丸底フラスコに市販の17−A(939mg、2.6ミリモル)、トリフェニルホスフィン(763mg、2.8ミリモル)、フェノール(346mg、3.8ミリモル)、トルエン(30mL)およびジイソプロピルジアゾジカルボキシレート(542μL、2.8ミリモル)を入れて、常温で攪拌する。反応混合物を蒸発乾固し、生成物を反応混合物からシリカゲルクロマトグラフィーで精製して白色泡状物を得、これを36−Cの製造に使用する。
【0180】
36−C:40mLバイアルに36−B(2.0ミリモル)、ジクロロメタン10mL、メタノール(1mL)およびTFA(10mL)を入れる。常温で1時間後、揮発性試薬を全て減圧留去してTFA塩を得、これを直接次の工程で使用する。TFA塩とN−(シクロヘキシルカルボニルオキシ)サクシンイミド(2.0ミリモル)とを、THF(20mL)、ピリジン(600μL)およびDMAP(〜10mg、触媒量)の入った丸底フラスコに入れる。混合物を室温で一夜攪拌する。透明な溶液をEtOAc(200mL)で希釈し;1N−HCl(3×100mL)と食塩水(1×100mL)で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を真空蒸発して所望の生成物を白色固体として得、これをさらに精製することなく使用する。
【0181】
36:エチルエステル36−C(2ミリモル)を1N−NaOH(6mL、6ミリモル)に溶解する。出発物質が消失(LCMSで)後、反応物を1N−HClで酸性とし、生成物を白色固体として沈殿させ、これをさらに精製することなく使用する。
【0182】
参照化合物37
【化57】

中間体37−Aは中間体20−B(参照化合物20)を製造する方法と類似の方法に従って、中間体2−F(参照化合物2)から製造する;これを参照化合物1に使用する方法と類似の方法に従って加水素分解して37−Bを得る。
【0183】
参照化合物38
【化58】

38−B:2−クロロ−4−ニトロトルエン(8.55g、50.0ミリモル)を1,2−ジクロロエタン(120mL)に溶解する。N−ブロモサクシンイミド(9.74g、55ミリモル)とベンゾイルペルオキシド(0.25g、1.03ミリモル)とを加え、反応混合物を16時間加熱還流する。反応物を室温に冷却し、約30mLのジクロロエタンを残して大部分の溶媒を真空蒸発する。ヘキサン(30mL)とジクロロメタン(30mL)とを加え、生成する沈殿を濾過し、濾液はヘキサンで洗う。有機性溶液を集め、真空蒸発してベンジルブロミド38−Bを得、これをさらに精製することなく次工程で使用する。
【0184】
38−C:ジエチルアセトアミドマロネート(7.16g、33.0ミリモル)をEtOH(50mL)に溶解し、NaOEt(2.25g、33.0ミリモル)を加える。溶液を80℃に加熱攪拌する。ブロミド38−B(9.2g、37.0ミリモル)をEtOH(50mL)に溶解し、攪拌下の反応混合物に滴下する。18時間後、溶液を室温に冷却し、生成する沈殿を濾過する。沈殿を水洗し、5%水性EtOHから再結晶し、濾過し、真空乾燥する。
【0185】
38−D:マロネート38−Cを12N−HClに加え、混合物を14時間加熱還流する。反応混合物を次に4℃に冷却すると沈殿が生ずる。沈殿を1N−HClで洗い、真空乾燥する。
【0186】
38−F:中間体38−D(4.59g、16.33ミリモル)とCbz−OSu(3.99g、16.0ミリモル)とをTHF(60mL)と水(20mL)の溶液に加える。EtN(9.1mL、65.32ミリモル)を加え、溶液を室温で18時間攪拌する。溶媒を真空蒸発し、残渣を取り、EtOAc(100mL)と1N−HCl(100mL)とに分配する。有機層を1N−HCl(2×100mL)および食塩水(100mL)で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を減圧留去し、粗製物質をエタノールと水から再結晶する。
【0187】
参照化合物39
【化59】

参照化合物39は、参照化合物38の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、5−メチル−2−ニトロアニソールから製造する。
【0188】
参照化合物40
【化60】

参照化合物40は、参照化合物38の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、3−メチル−4−ニトロベンジルブロミドから製造する。
【0189】
参照化合物41
【化61】

スキーム8
上記スキーム8において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)トリフルオロ酢酸エチル、KCO、ジオキサン、HO、0℃;(b)CHI、KCO、DMF、110℃;(c)LiOH、THF/HO、23℃;(d)BocO、EtN、THF、23℃;(e)(i)iso-BuOCOCl、EtN、THF;(ii)NaBH、HO;(f)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(g)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分間、次に−20℃〜室温;(h)H、(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
【0190】
41−A:Cbz−L−Lys−OH(5.6g、20.00ミリモル)を水(40mL)とジオキサン(5mL)とに懸濁し、氷浴で0℃に冷却する。反応物に炭酸カリウム(5.22g、40.0ミリモル、2当量)とトリフルオロ酢酸エチル(7.15mL、60.00ミリモル、3.0当量)とを加え、1時間0℃で攪拌する。LC/MSで反応完了を確認後、反応物をジエチルエーテル(3×100mL)で抽出する。水層を10%クエン酸100mLで酸性とし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出する。有機層を集め、飽和NaClで洗い、NaSOで乾燥し、蒸発乾固して41−Aを透明な油状物として得る;LC/MS[M+H]377.1、測定値:377.2。
【0191】
41−B:この化合物は、Xue et al. J. Med. Chem. 2001, 44 (16), 2636が記載の方法を用いて、41−Aから製造する。
41−C:この化合物は、スキーム1、工程eに準じて製造する。
【0192】
41−D:化合物41−C(3.44g、11.70ミリモル)をTHF(117mL、0.1M)に23℃で溶解する。Boc無水物(5.10g、23.40ミリモル、2.0当量)とトリエチルアミン(3.25mL、23.40ミリモル、2.0当量)とを反応物に加える。反応完了は、LC/MSで監視する。THFを減圧留去し、酢酸エチル(150mL)に溶解し、1M−HCl(2×75mL)と飽和NaClで抽出し;NaSOで乾燥し;濾過し、蒸発して41−Dを透明な油状物として得る。LC/MS [M+H] 395.2;測定値:395.2。
【0193】
41−E〜41:この各中間体は、参照化合物1について記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0194】
参照化合物42
【化62】

スキーム9
上記スキーム9において、試薬と反応条件とは次の通りである:(a)Cbz−OSu、EtN、THF、HO;(b)(i)iso-BuOCOCl、EtN、THF、(ii)NaBH、HO;(c)Dess−Martinペルヨーディナン、CHCl;(d)iso−PrMgCl、ベンズオキサゾール、THF、−20℃、30分間、次に−20℃〜室温;(e)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、4−メチレン−N−Boc−ピペリジン、DCM、40℃;(f)H(40psi)、10%Pd/C、EtOH。
【0195】
42−A:この化合物は、参照化合物38の工程dに準じて、L−アリルグリシンを反応のアミノ酸成分に用いて製造する。
42−B〜42−D:各化合物は、各々参照化合物1の工程a、bおよびcに準じて製造する。
【0196】
42−E:無水ジクロロメタン(4mL、0.2M)を注射器から42−D(270mg、0.766ミリモル、1.0当量)、Hoveyda−Grubbs第二世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロリド)(98mg、0.115ミリモル、15モル%)に窒素雰囲気下に加える。N−Boc−4−メチレンピペリジン(0.60mL、0.268ミリモル、4.0当量)を注射器で加え、反応器に還流冷却器を装着して40℃に12時間加熱する。LC/MSで反応完了を確認後、反応混合物を直接自動シリカゲル精製(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)に付して42−Eを暗緑色油状物として得る。MS m/z 422.3 (M-Boc+1)。
【0197】
42:この化合物は、参照化合物1の工程dに準じて製造する。
【0198】
参照化合物43
【化63】

スキーム10
スキーム10において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、N−Boc−4−アミノ−1−ブテン、DCM、40℃;(f)H(40psi)、10%Pd/C、EtOH。化合物43Aおよび43は、各々参照化合物42の工程eおよびfに準じて製造する。
【0199】
参照化合物44
【化64】

参照化合物44は、参照化合物1の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、5−メチルベンズオキサゾールから製造する。
【0200】
参照化合物45
【化65】

参照化合物45は、参照化合物1の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、5−クロロベンズオキサゾールから製造する。
【0201】
参照化合物46
【化66】

参照化合物46は、参照化合物1の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、5−フルオロベンズオキサゾールから製造する。
【0202】
参照化合物47
【化67】

参照化合物47は、参照化合物1の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、6−フルオロベンズオキサゾールから製造する。
【0203】
参照化合物48
【化68】

スキーム11
上記スキーム11において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)TFA/CHCl(75:25)、23℃;(b)N,N−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシアミジン、DIEA、MeOH;(c)H(40psi)、10%Pd/C、EtOH。中間体48−Aは、スキーム1の工程aに準じて化合物42−Aを用いて製造する。中間体48−Bは、参照化合物2の工程fに準じて製造する。中間体48は、参照化合物1の工程dに準じて製造する。
【0204】
参照化合物49
【化69】

参照化合物49は、参照化合物1の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、6−メチルベンズオキサゾールから製造する。
【0205】
参照化合物50
【化70】

参照化合物50は、参照化合物2−Bの製造のための方法に準ずる方法に従って、N−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドから製造する。
【0206】
参照化合物51
【化71】

試薬と反応条件は次の通りである:(a)Cbz−OSu、EtN、THF、水;(b)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、N−Boc−4−メチレンピペリジン、DCM、40℃。化合物51−Aは、参照化合物2製造のためのスキーム2の工程aに準ずる方法で製造する。化合物51は、参照化合物42製造のためのスキーム9の工程eに準じて製造する。
【0207】
参照化合物52
【化72】

参照化合物52製造のための上記スキームにおいて、試薬と反応条件は次の通りである:(a)Cbz−OSu、EtN、THF、水;(b)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、N−Boc−4−メチレンピペリジン、DCM、40℃。中間体52−Aは、参照化合物2の工程aのために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。参照化合物52は、参照化合物42の工程eのために記載した方法に準ずる方法で製造する。
【0208】
参照化合物53
【化73】

1−Boc−ホモピペラジン(1.00g、4.2ミリモル)とDIEA(8.7mL、51.25ミリモル)とをTHF(15mL)に溶解し、室温で攪拌する。塩化メシル(1.67mL、21.52ミリモル)を滴下し、反応物を室温で6時間攪拌する。反応物をEtOAc(100mL)で希釈し;1N−HCl(2×50mL)、飽和水性NaHCO(50mL)と食塩水(50mL)で洗い;MgSOで乾燥し;次に溶媒を真空蒸発乾固する。粗製残渣を50%TFA/DCMに取り、1時間攪拌し、次に真空蒸発乾固して参照化合物53を得、これをさらに精製することなく使用する。
【0209】
参照化合物54
【化74】

(2S,4R)−1−((ベンジルオキシ)カルボニル)−4−(ピペリジン−1−カルボキシロイルオキシ)ピロリジン−2−カルボン酸は、L−ヒドロキシプロリンメチルエステルから出発して、化合物1−Gの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0210】
参照化合物55
【化75】

参照化合物55は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D−アリルグリシンから製造する。
【0211】
参照化合物56
【化76】

参照化合物56は、参照化合物2−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、D
−アリルグリシンから製造する。
【0212】
参照化合物57
【化77】

57−B:L−4−ピリジルアラニン57−A(1.0g)、10%Pd/C(300mg)、EtOH(40mL)および1N−HCl水(20mL)の混合物をパール振盪器内で50psiの水素中で12時間振盪する。触媒を濾過し、濾液を濃縮してピペリジン57−Bを得る。
【0213】
57−C:ピペリジン57−B(1.0g)と硫酸銅五水和物(1.5g)をジオキサン(50mL)と水(30mL)に溶解する。溶液のpHを室温下に2N−水酸化ナトリウムでpH9に調整する。次にジ−t−ブチルジカルボネート(2.63g)を加える。スラリー状混合物を室温で一夜攪拌する。沈殿を集めて水洗し、次にジオキサンに溶解する。溶液のpHを4N−水酸化ナトリウムでpH12に調整し、Cbz−OSu(3.2g)を加える。混合物を一夜攪拌する。ジオキサンを減圧留去する。残渣を1N−塩酸でpH2〜3に酸性化し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を集め、食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固して油状物を得る。この粗製物質をDCM(50mL)とMeOH(10mL)に取り、2M−TMSCHNのエーテル溶液(3.5mL)を溶液が淡黄色になるまで加える。次に溶媒を減圧留去する。残渣を20%酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製してα−N−Cbz−ε−N−Bocメチルエステル57Cを得る。
【0214】
57−D:57−C(150mg)のジクロロメタン(20mL)溶液を−78℃に冷却し、次に1M−DiBAl−Hのヘキサン溶液(1.07mL)を10分間にわたって加える。混合物を−78℃で50分間攪拌し、5%クエン酸水溶液(10mL)を加えて反応を停止する。DCM層を分離し、水層はDCMで抽出する。DCM溶液を集めて水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過する。濾液を濃縮乾固してアルデヒドを得る。アルデヒドをTHF(8mL)に溶解し、次の工程で直接使用する。
【0215】
57−E:ベンズオキサゾール(128mg)のTHF溶液に2.5M−BuLiのヘキサン溶液を−30℃で加える。溶液を−20℃で40分間攪拌して暗赤色溶液を得る。アルデヒド57−EのTHF(8mL)溶液を前記暗赤色溶液に−30℃で5分間にわたって加える。混合物を−10℃で2時間攪拌する。飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を反応混合物に加えて反応を停止する。THFを減圧留去する。残渣を酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル溶液を集め、1N−HCl水溶液、水、飽和炭酸水素ナトリウム水と食塩水で順次洗い、次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過する。濾液を濃縮し、残渣を30%〜50%の酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製して所望の生成物を得る。
【0216】
57−F:中間体57−EをMeOHに溶解し、Pd/C(50mg)を加える。水素ガスをバルーンから混合物に30分間吹き込む。次に触媒を濾過し、濾液を濃縮してアミンを得る。
【実施例】
【0217】
実施例1
【化78】

1−B:粉砕したKOH(19.4g、0.346モル)をDMSOに溶解し、室温で20分間攪拌し、次に0℃に冷却する。N−Boc−trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(Boc−Hyp−OH、1−A)(10g、43.3ミリモル)をDMSO(10mL)に溶解して加え、反応混合物をさらに10分間0℃で攪拌する。次に4−クロロベンジルクロリド(33g、0.204モル)を加え、反応混合物をさらに0℃で15分間攪拌し、その時点で氷浴を去り、反応混合物を室温に加温し、4時間攪拌する。反応混合物を水(300mL)に注入し、反応容器を水(300mL)で洗う。水層を集め、エーテル(2×300mL)で抽出し、廃棄する。水層を87%HPOでpH2〜3に酸性化し、エーテル(3×300mL)で抽出する。エーテル抽出物を集め、水(2×400mL)と食塩水(2×400mL)で洗い;MgSOで乾燥し;濾過し、減圧濃縮する。残渣をシリカゲル上EtOAc/ヘキサン(0〜100%勾配)を用いるクロマトグラフィーで精製して化合物1−Bを透明な油状物として得る。MS m/z 256.1 (M+1-Boc). 1H-NMR (DMSO-D6, 400 MHz)δ: 7.39-7.31 (4H, m), 4.52-4.40 (2H, m), 4.16-4.10 (2H, m), 3.48-3.41 (2H, m), 2.40-2.30 (1H, m), 2.03-1.94 (1H, m), 1.39-1.34 (9H, m)。
【0218】
1−C:(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ジエチルエーテル中、2M)溶液(4.7mL、9.45ミリモル)をカルボン酸1−B(2.4g、8.6ミリモル)のDCM/MeOH(5:1、25mL)溶液に加える。LCMSで出発物質の消費を確認後、反応混合物を減圧濃縮し、粗製残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して、メチルエステルを透明な油状物として得る。
【0219】
1−D:丸底フラスコに攪拌棒と1−C(510mg、1.38ミリモル)を入れる。TFA(50%)のDCM(6mL)溶液を加え、この溶液を室温で1時間攪拌する。溶媒を減圧留去し、ヘキサンを加え、次に再び減圧下に蒸発乾固し、所望により残留するTFAを反復して共沸留去する。粗製物質をさらに精製せずに次工程で直接使用する。
【0220】
1−E:粗製物質をDCM(10mL)に溶解し、Cbz−D−ホモPhe−OH(参照化合物22)(432mg、1.38ミリモル)とHATU(577mg、1.52mg)とを加え、溶液を室温で10分間攪拌する。DIEA(0.72mL、4.14ミリモル)を溶液に加え、反応混合物を一夜室温で攪拌する。溶媒を減圧留去し、粗製物質を直接フラッシュクロマトグラフィー(シリカ40g、ヘキサン/EtOAc勾配)で精製する。溶媒を減圧留去して所望の化合物を油状の半固体として得る。
【0221】
1−F:メチルエステル1−E(756mg、1.34ミリモル)をジオキサン(10mL)に溶解する。水酸化リチウム一水和物(84mg、2.00ミリモル)を水(5mL)に溶解してメチルエステル1−Eの溶液に滴下し、一夜攪拌する。反応混合物を減圧濃縮してジオキサンを除き、1M−NaHSOで酸性化する。これをEtOAcで抽出し、有機層を集めて食塩水で洗い、MgSOで乾燥する。溶媒を減圧下に留去して、カルボン酸1−Fを蝋状固体として得る。
【0222】
1−G:カルボン酸1−F(534mg、0.9ミリモル)をDCM(18mL)に溶解する。参照化合物1(3.38mg、0.97ミリモル)とHATU(405mg、1.07ミリモル)とを加え、混合物を10分間室温で攪拌する。次に、DIEA(0.51mL、2.91ミリモル)を加え、反応混合物を一夜室温で攪拌する。溶媒を減圧留去し、粗製物をEtOAc(50mL)に再溶解し、1M−HCl(2×25mL)、続いて飽和NaHCO水(2×25mL)および食塩水(25mL)で洗い、無水NaSOで乾燥する。溶媒留去して1−Gを白色泡状物として得、これをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製して所望の生成物を得る。
【0223】
1−H:アルコール1−G(727mg、0.82ミリモル)をDCM(10mL)に溶解し、Dess−Martinペルヨーディナン(524mg、1.24ミリモル)を加える。反応混合物を一夜室温で攪拌する。溶媒を減圧留去し、粗製物をEtOAc:ヘキサン勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィー(40gシリカカラム)で精製して、ケトン1−Hを白色泡状物として得る。
【0224】
1−I:1−H(579mg、0.66ミリモル)をDCM(1mL)に溶解し、50%TFA/DCM溶液(5mL)を加える。反応物を室温で2時間攪拌し、溶媒を減圧留去する。粗製の物質を逆相HPLCで精製し、溶媒を凍結乾燥して生成物を白色粉末として得る。
【0225】
実施例2〜46
実施例2〜46は、当業者には自明な適当な参照化合物と試薬とを用いて、実施例1に記載の操作を反復することによって得られる、例えば:
実施例2、参照化合物3を使用;
実施例3、参照化合物14を使用;
実施例4、参照化合物3と参照化合物14を使用;
実施例5、参照化合物16を使用;
実施例6、参照化合物21を使用;
実施例7、N−p−トシルグリシンを使用;
実施例8、N−メシル−L−アラニンを使用;
実施例9、N−メシルグリシンを使用;
実施例10、参照化合物19を使用;
実施例11、D−ホモシクロヘキシルアラニン(D−ホモcha)を使用;
実施例12、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンを使用;
実施例13、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンと参照化合物4を使用;
実施例14、参照化合物4を使用;
実施例15、参照化合物4を使用;
実施例16、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンと参照化合物4を使用;
実施例17、参照化合物23を使用;
実施例18、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンと参照化合物23を使用;
実施例25、参照化合物14を使用;
実施例26、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンを使用;
実施例27、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンとCbz−D−シクロヘキシルアラニンを使用;
実施例28、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンとCbz−D−3−トリフルオロメチルフェニルアラニンを使用;
実施例30、trans−3−ヒドロキシ−L−プロリンと参照化合物14を使用;
実施例31、参照化合物14を使用;
実施例32、参照化合物12を使用;
実施例34、O−ベンジル−D−チロシンを使用;
実施例35、O−ベンジル−D−セリンを使用;
実施例36、D−ホモシクロヘキシルアラニン(D−ホモcha)を使用;
実施例38、D−フェニルグリシンを使用;
実施例39、参照化合物2を使用;
実施例40、参照化合物8を使用;
実施例41、参照化合物9を使用;
実施例42、参照化合物2を使用;
実施例43、参照化合物24を使用;
実施例44、参照化合物2を使用;
実施例45、参照化合物5を使用;および
実施例46、参照化合物25を使用。
【0226】
実施例47
【化79】

47−B:この化合物は、実施例1の中間体1−Bの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、Cbz−Hyp−OHとシクロヘキシルブロミドとから製造する。
【0227】
47−C:この化合物は、実施例1の中間体1−Gの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、47−Bと参照化合物1とから製造する。
【0228】
47−D:パール反応容器に47−C(2.5g、3.6ミリモル)、Pd/C(3.6g、0.36ミリモル、1当量)、t−BuOH(20mL)および水(5mL)を入れる。容器をパール装置に設置し、Hガス50psiの存在下に18時間振盪する。反応混合物をセライト床で濾過し、揮発性溶媒を減圧留去して化合物47−Dを得、これをさらに精製することなく次工程で直接使用する。
【0229】
47−E:40mLバイアルに47−D(75mg、0.13ミリモル)、N−メシル(D)−ホモフェニルアラニン(56mg、0.15ミリモル、1.1当量)、HATU(75mg、0.13ミリモル、1.1当量)、i-PrNEt(0.03mL、0.16ミリモル、1.2当量)およびCHCl(2mL)を入れる。反応物を室温で1時間攪拌する。揮発性試薬を減圧留去し、反応混合物をEtOAcに溶解する。有機層をNaHSO、飽和NaHCO水、および食塩水で洗う。有機層をMgSO4で乾燥し、反応混合物から生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(3%〜9%MeOH/CHCl勾配を使用)で精製して化合物47−Dを得る。
【0230】
47−F:この化合物は、実施例1の中間体1−Hの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、47−Eの酸化によって製造する。
【0231】
47−G:この化合物は、実施例1の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、47−Fの脱保護によって製造する。
【0232】
実施例48〜115
実施例48〜57、83〜84、および86〜87は、当業者に自明の適当な参照化合物および試薬を使用して、実施例47に記載の操作を反復すれば得られる、例えば:
実施例48、D−シクロヘキシルグリシンを使用;
実施例49、4−(トリフルオロメトキシ)−DL−フェニルアラニンを使用;
実施例50、参照化合物23を使用;
実施例51、参照化合物27を使用;
実施例52、参照化合物28を使用;
実施例53、D−3−クロロフェニルアラニンを使用;
実施例54、3−(トリフルオロメチル)−D−フェニルアラニンを使用;
実施例55、参照化合物29を使用;
実施例56、参照化合物30を使用;
実施例57、参照化合物31を使用;
実施例83、参照化合物36を使用;
実施例84、参照化合物17を使用;
実施例86、参照化合物26を使用;および
実施例87、参照化合物22を使用。
【0233】
実施例58〜82、85、および88〜115は、当業者に自明の適当な参照化合物および試薬を使用して実施例1に記載の操作を反復すれば得られる、例えば:
実施例58、参照化合物32を使用;
実施例59、参照化合物2と参照化合物28を使用;
実施例60、参照化合物11と参照化合物28を使用;
実施例61、参照化合物33と参照化合物28を使用;
実施例62、参照化合物29を使用;
実施例63、D−ピログルタミン酸を使用;
実施例64、参照化合物18を使用;
実施例65、参照化合物18と参照化合物2を使用;
実施例66、参照化合物18と参照化合物3を使用;
実施例67、参照化合物18と参照化合物5を使用;
実施例68、参照化合物18と参照化合物9を使用;
実施例69、参照化合物14と参照化合物2を使用;
実施例70、参照化合物18と参照化合物7を使用;
実施例71、参照化合物18と参照化合物4を使用;
実施例72、参照化合物14と参照化合物4を使用;
実施例73、参照化合物18と参照化合物11を使用;
実施例74、参照化合物14と参照化合物5を使用;
実施例75、参照化合物14と参照化合物9を使用;
実施例76、参照化合物18と参照化合物8を使用;
実施例77、参照化合物18と参照化合物34を使用;
実施例78、参照化合物18と参照化合物6を使用;
実施例79、参照化合物18と参照化合物10を使用;
実施例80、参照化合物27を使用;
実施例81、参照化合物23を使用;
実施例82、参照化合物35を使用;
実施例85、Boc−D−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Boc−D−Tic−OH)を使用;
実施例88、参照化合物20を使用;
実施例89、参照化合物20と参照化合物3を使用;
実施例90、参照化合物20と参照化合物2を使用;
実施例91、参照化合物20と参照化合物5を使用;
実施例92、参照化合物20と参照化合物9を使用;
実施例93、参照化合物20と参照化合物6を使用;
実施例94、参照化合物20と参照化合物10を使用;
実施例95、参照化合物20と参照化合物11を使用;
実施例96、参照化合物20と参照化合物7を使用;
実施例97、参照化合物2と参照化合物18を使用;
実施例98、参照化合物37を使用;
実施例99、参照化合物38を使用;
実施例100、参照化合物39と参照化合物14を使用;
実施例101、参照化合物40と参照化合物18を使用;
実施例102、参照化合物38と参照化合物18を使用;
実施例103、参照化合物34を使用;
実施例104、参照化合物40を使用;
実施例105、参照化合物38を使用;
実施例106、参照化合物41を使用;
実施例107、参照化合物42を使用;
実施例108、参照化合物43を使用;
実施例109、参照化合物44を使用;
実施例110、参照化合物45を使用;
実施例111、参照化合物46を使用;
実施例112、参照化合物47を使用;
実施例113、参照化合物48を使用;
実施例114、参照化合物48を使用、最終化合物はジアステレオマー混合物として分離;および
実施例115、参照化合物49と参照化合物18を使用。
【0234】
実施例116
【化80】

実施例116では、試薬と反応条件は次の通りである:(a)AgO、アリルブロミド、EtN、アセトン、23℃;(b)TFA、DCM、23℃;(c)HATU、DIEA、DCM、参照化合物50、23℃;(d)LiOH、ジオキサン、水、23℃;(e)HATU、DIEA、DCM、参照化合物1、23℃;(f)Dess−Martinペルヨーディナン、DCM;(g)TFA、DCM、23℃;(h)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、メチレンシクロペンタン、DCM、40℃。
【0235】
化合物116−Aは、Park, M.-S. J. Kor. Chem Soc. 45:549 (2001)に記載の操作に従って製造する。化合物116−Bは、実施例1の工程hに従って製造する。化合物116−Cは、参照化合物23を酸成分に用いて実施例1の工程dに従って製造する。化合物116−Dは、実施例1の工程3に従って製造する。化合物116−Eは、参照化合物1をアミン成分に用いて実施例1の工程fに従って製造する。化合物116−Fおよび116−Gは、各々実施例1の工程gおよび工程hに従って製造する。化合物116は、参照化合物42製造のためのスキーム9の工程eに従って製造する。
【0236】
実施例117
【化81】

実施例117では、試薬と反応条件は次の通りである:(a)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、メチレンシクロペンタン、DCM、40℃;(b)H(40psi)、MeOH、Pd/C(10重量%、湿);(c)Dess−Martinペルヨーディナン、DCM;(d)TFA、DCM、23℃。
【0237】
化合物117−Aは、実施例1の工程fに従って、参照化合物1をアミン成分に用いて製造する。化合物117−Bおよび117−Cは、各々実施例1の工程gおよび工程hに従って製造する。化合物117は、参照化合物42を製造するためのスキーム9の工程eに従って製造する。
【0238】
実施例118〜123
実施例118〜123は、当業者に明白な適当な参照化合物と試薬を使用して前記操作を反復することによって得られる、例えば:
実施例118、実施例117の工程aのスチレンを使用;
実施例119、実施例116の工程hの4−クロロスチレンを使用;
実施例120、実施例116の工程aのN−Boc−L−3−ヒドロキシプロリンおよび実施例116の工程hのメチレンシクロヘキサンを使用;
実施例121、実施例116の工程aのN−Boc−L−3−ヒドロキシプロリンおよび実施例117の工程aのメチレンシクロヘキサンを使用;
実施例122、実施例116の工程aのN−Boc−L−3−ヒドロキシプロリンおよび実施例117の工程aのN−Boc−4−メチレンピペリジンを使用;
実施例123、工程dに参照化合物50を用いて実施例1に記載の方法に準ずる方法を使用;および
実施例123、工程dに参照化合物50を用いて実施例1に記載の方法に準ずる方法を使用。
【0239】
実施例124
【化82】

実施例124において、試薬および反応条件は次の通りである:(a)HATU、DIEA、DCM、参照化合物21、23℃;(b)LiOH、ジオキサン、水、23℃;(c)HATU、DIEA、DCM、参照化合物1、23℃;(d)Dess−Martinペルヨーディナン、DCM;(e)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、メチレンシクロペンタン、DCM、40℃;(f)TFA、DCM、23℃。
【0240】
化合物124−Aは、酸成分として参照化合物21をおよびアミン成分として化合物1−Aを用いて、実施例1の工程dに従って製造する。化合物124−Bは、実施例1の工程eに従って製造する。化合物124−Cは、アミン成分として参照化合物1を使用して、実施例1の工程fに従って製造する。化合物124−Dは、実施例1の工程gに従って製造する。化合物124−Eは、参照化合物42を製造するためのスキーム9の工程eに従って製造する。化合物124は、実施例1の工程hに従って製造する。
【0241】
実施例125〜134
実施例125、127〜130および133〜134は、実施例124に記載の操作を、当業者には自明な適当な参照化合物と試薬を使用して反復することによって得られる、例えば:
実施例125、試薬としてメチレンシクロヘキサンを使用;
実施例127、試薬として4-カルボキシスチレンを使用;
実施例128、試薬として4-クロロスチレンを使用;
実施例129、試薬としてN−Boc−4−メチレンピペリジンを使用;
実施例130、試薬としてメチレンシクロペンタンを使用;および
実施例133、試薬としてメチレンシクロヘキサンを使用。
【0242】
実施例126および131〜132は、当業者には自明な適当な参照化合物および試薬を用いて、実施例1に記載の操作を反復して得られる、例えば:
実施例126、参照化合物51を使用;
実施例131、参照化合物52を使用;および
実施例132、参照化合物52を使用。
【0243】
実施例135
【化83】

135−A:この化合物は、47−DとCbz−D−ホモフェニルアラニンとから、47−Eの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って合成する。
【0244】
135−B:Cbz保護基を加水素分解によって、参照化合物1−Eの製造のために記載した条件に準ずる条件を用いて除去する。
【0245】
135−C:アミン135−B(79mg、0.11ミリモル)とピリジン(0.2mL)をCHCl(10mL)に溶解する。4−フルオロフェニル・クロロホーメート(21mg、0.12ミリモル)を加え、出発物質が消費されるまで(LCMSで)溶液を室温で数時間攪拌する。溶媒を蒸発し、残渣をEtOAc(30mL)に取る。有機層を1M−NaHSO4(2×25mL)と食塩水(25mL)で洗い、次にMgSOで乾燥する。溶媒を蒸発し、粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、0〜100%勾配)で精製する。
【0246】
135−D:この化合物は135−Cから、47−Fの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って製造する。
【0247】
135−E:この化合物は、47−Gの製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、135−Dから製造する。
【0248】
実施例136〜152および258
実施例136および137は各々、実施例135と実施例1に記載した方法に準ずる方法に従って製造する。前記実施例に記載した操作を適当な出発物質を使用して、反復することによって、実施例138〜152および258が得られる。
【0249】
表1は、実施例1〜152および258に記載する式(1)で示される化合物を示す。
【表1】

【表2】

【0250】
【表3】

【表4】

【0251】
【表5】

【表6】

【0252】
【表7】

【表8】

【0253】
【表9】

【表10】

【0254】
【表11】

【表12】

【0255】
【表13】

【表14】

【0256】
【表15】

【表16】

【0257】
【表17】

【表18】

【0258】
【表19】

【表20】

【0259】
【表21】

【表22】

【0260】
【表23】

【表24】

【0261】
【表25】

【表26】

【0262】
【表27】

【表28】

【0263】
【表29】

【表30】

【0264】
【表31】

【表32】

【0265】
【表33】

【表34】

【0266】
【表35】

【0267】
実施例153
【化84】

実施例153において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)Cbz−OSu、EtN、THF、水;(b)Cbz−D−ホモPhe−OH、HATU、DIEA、DCM;(c)p−ニトロフェニルクロロホーメート、ピリジン、DCM;(d)ピペリジン、DCM;(e)LiOH・HO、ジオキサン/水(50:50容);(f)参照化合物1−E、HATU、DIEA、DCM;(g)Dess−Martinペルヨーディナン、DCM;(h)TFA、DCM。
【0268】
153−B:D−ホモフェニルアラニン(3.22g、18.0ミリモル)およびN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミド(Cbz−OSu)(4.49g、18.0ミリモル)を、THF(60mL)と水(20mL)を入れた丸底フラスコに加える。混合物を室温で攪拌し、EtN(10.1mL、72.0ミリモル)を加え、反応物を一夜室温で攪拌する。透明な溶液をEtOAc(200mL)で希釈し;1N−HCl(3×100mL)と食塩水(1×100mL)で洗い;MgSOで乾燥する。溶媒を真空蒸発して所望の生成物を白色固体として得、これをさらに精製せずに使用する。
【0269】
153−D:H−Hyp−OMe・HCl(3.19g、17.55ミリモル)を、攪拌下のCbz−D−ホモフェニルアラニン(5g、15.95ミリモル)、HATU(7.28g、19.14ミリモル)、およびDIEA(6.112mL、35.1ミリモル)のDCM(100mL)溶液に加える。3時間攪拌後、混合物を1M−NaHSO水で3回、飽和NaHCO水および食塩水で洗浄する。有機層を乾燥(MgSO)し、減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(0〜100%勾配)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、1−Cを褐色固体として得る。MS m/z 441.2 (M+1). 1H-NMR (アセトン‐d6, 400 MHz)δ: 7.43-7.17 (10H, m), 6.75 (1H, d, J = 8.8 Hz), 5.24-5.11 (2H, m), 4.60-4.46 (1H, m), 3.81-3.55 (5H, m), 2.81-2.64 (2H, m), 2.32-2.25 (1H, m), 2.14-1.98 (3H, m)。
【0270】
153−E:4−ニトロフェニルクロロホーメート(1.514g、7.51ミリモル)を2−C(3g、6.83ミリモル)とピリジン(663μL、8.19ミリモル)のDCM(100mL)溶液に加える。反応混合物を一夜攪拌する。混合物を1M−NaHSO3部および食塩水2部で洗い、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮して化合物1−Dを黄色油状物として得る。MS m/z 606.2 (M+1). 1H-NMR (アセトン-d6, 400 MHz)δ: 8.34 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.55 (2H, d, J = 9.2 Hz), 7.45-7.16 (10H, m), 6.63 (1H, d, J = 9.2 Hz), 5.51-5.48 (1H, m), 5.27-5.05 (2H, m), 4.56-4.50 (2H, m), 4.15-3.84 (2H, m), 3.66 (3H, s), 2.80-2.55 (3H, m), 2.37-2.26 (1H, m), 2.07-1.91 (2H, m)。
【0271】
153−F:ピペリジン(320mg、3.76ミリモル)を1−D(1.9g、3.14ミリモル)のDCM(100mL)溶液に加え、混液を室温で3時間攪拌する。次に混合物を1M−NaHSO水3部、飽和NaHCO水3部および食塩水2部で洗う。有機層を乾燥(MgSO)し、減圧濃縮する。残渣をシリカゲル上クロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン、0〜100%)で精製して化合物1−Eを褐色固体として得る。MS m/z 552.3 (M+1). 1H-NMR (アセトン-d6, 400 MHz)δ: 7.42-7.17 (10H, m), 6.58 (1H, d, J = 8.8 Hz), 5.27-5.04 (3H, m), 4.57-4.45 (1H, m), 3.97-3.62 (5H, m), 3.35-3.34 (4H, m), 2.82-2.60 (2H, m), 2.49-2.36 (1H, m), 2.21-2.21 (1H, m), 2.03-1.88 (6H, m)。
【0272】
153−G:水酸化リチウム(水和物)(37mg、0.88ミリモル)を1−E(400mg、0.72ミリモル)のTHF:HO(50:50)溶液20mLに加え、一夜攪拌する。反応混合物を減圧濃縮する。残渣を酢酸エチルで希釈し;1M−NaHSO水3部と食塩水2部で洗い;乾燥(MgSO)し、減圧濃縮して1−Fを白色固体として得る。MS m/z 538.3 (M+1). 1H-NMR (アセトン-d6, 400 MHz)δ: 7.45-7.13 (10H, m), 6.82 (1H, d, J = 8.4 Hz), 5.31-5.07 (3H, m), 4.64-4.55 (1H, m), 4.45-3.96 (1H, m), 3.88-3.75 (1H, m), 3.36-3.30 (4H, m), 2.79-2.65 (2H, m), 2.65-2.16 (2H, m), 2.00-1.99 (2H, m), 1.60 (6H, m)。
【0273】
153−G:参照化合物1(スキーム1)(65mg、0.18ミリモル)、HATU(82mg、0.21ミリモル)およびDIEA(70μL、0.40ミリモル)のDCM(5mL)溶液を攪拌しつつ、これに化合物1−F(100mg、0.18ミリモル)を加える。攪拌3時間後、混合物を1M−NaHSO、飽和NaHCO水および食塩水で各3回洗う。有機層を乾燥(MgSO)し、減圧濃縮し、残渣をシリカゲル上、酢酸エチル/ヘキサン0〜100%勾配でのクロマトグラフィーにより精製して2−Gを黄色油状物として得る。MS m/z 869.4 (M+1). 1H-NMR (アセトン-d6, 400 MHz)δ: 7.71-7.62 (2H, m), 7.42-7.15 (12H, m), 5.22-5.00 (4H, m), 4.56-4.38 (2H, m), 3.86-3.60 (2H, m), 3.33-3.30 (4H, m), 3.06-3.00 (2H, m), 2.87-2.64 (2H, m), 2.39-2.10 (2H, m), 2.04-1.92 (2H, m), 1.79-1.50 (2H, m), 1.50-1.37 (19H, m)。
【0274】
153:1−H(120mg、0.14ミリモル)のDCM(5mL)溶液を攪拌しつつ、これにDess−Martinペルヨーディナン(70mg、0.16ミリモル)を加える。反応混合物を1時間攪拌し、反応停止溶液(Na25g/飽和NaHCO水100mL)20mLで処理する。得られる有機層を食塩水で2回洗い、乾燥(MgSO)し、TFA(10mL)のDCM(10mL)溶液20mLに加える。反応混合物をさらに1時間攪拌し、減圧濃縮し、残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/0.05%TFA水:10〜90%勾配)で精製する。凍結乾燥後、化合物153を白色固体として得る。MS m/z 767.7 (M+1). 1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz)δ: 8.98 (1H, d, J = 6 Hz), 8.54 (1H, d, J = 6 Hz),8.00 (1H, d, J = 8 Hz), 7.91 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.72-7.54 (2H, m), 7.41-7.11 (10H, m), 5.32-5.24 (1H, m), 5.13-4.98 (3H, m), 4.45 (1H, t, J = 8 Hz), 4.23 (1H, dd, J = 8 Hz, 14.4 Hz),3.99-3.47 (2H, m), 3.33-3.16 (4H, m), 2,87-2.67 (2H, m), 2.58-2.47(2H, m), 2.37-2.06 (2H, m), 2.01-1.90 (2H, m), 1.85-1.21 (12H, m). 分析値: (C43H47N5O7・1TFA・3H2O)。
【0275】
実施例154〜240
実施例154〜240は、実施例153に記載の操作を当業者には明白な参照化合物および試薬を使用して反復して得られる、例えば:
実施例154、参照化合物3を使用;
実施例155〜157、参照化合物4およびtrans−3−ヒドロキシ−L−プロリンを使用;
実施例158、参照化合物1およびtrans−3−ヒドロキシ−L−プロリンを使用;
実施例159、Cbz−OSuおよびD−4−メトキシフェニルグリシンを使用;
実施例160、Cbz−OSuおよびD−シクロヘキシルアラニンを使用;
実施例161、D−ピログルタミン酸を使用;
実施例162、Cbz−D−Ala−OHを使用;
実施例163、Cbz−L−Lys(Boc)−OHを使用;
実施例164、Cbz−L−His(Boc)−OHを使用;
実施例165、Cbz−OSuおよびD−4−ベンジルオキシフェニルグリシンを使用;
実施例166、Cbz−OSuおよびD−3−トリフルオロメチルフェニルアラニンを使用;
実施例167、Cbz−OSuおよびD−4−トリフルオロメチルフェニルアラニンを使用;
実施例168、N−(イソブチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−ホモフェニルアラニンを使用;
実施例169、N−(エチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−ホモフェニルアラニンを使用;
実施例170、参照化合物12を使用;
実施例171、参照化合物13を使用;
実施例172、参照化合物8を使用;
実施例173、N−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−3−クロロフェニルアラニンを使用;
実施例174、参照化合物5を使用;
実施例175、参照化合物5および参照化合物14を使用;
実施例176、N−p−トシルグリシンおよび参照化合物5を使用;
実施例177、N−Boc−4−ヒドロキシピペリジンを使用;
実施例178、N,N−ジエチルアミンを使用;
実施例179、(±)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピロリジンを使用;
実施例180、1−Boc−ピペラジンを使用;
実施例181、モルホリンを使用;
実施例182、ピロリジンを使用;
実施例183、N,N−メチルアミンを使用;
実施例184、1−アセチル−ピペラジンを使用;
実施例185、Cbz−D−Phe−OHを使用;
実施例186、N−ベンジルメチルアミンを使用;
実施例187、N−メチルフルフリルアミンを使用;
実施例188、4−フェニルピペリジンを使用;
実施例189、1−メタンスルホニルピペラジンを使用;
実施例190、1−(2−フロイル)ピペラジンを使用;
実施例191、1−(2−テトラヒドロフロイル)ピペラジンを使用;
実施例192は、1−(ベンゾイル)ピペラジンを使用して製造する;
実施例193、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピペリジンを使用;
実施例194、1−フェニルスルホニルピペラジンを使用;
実施例195、4−(アミノメチル)−1−N−Boc−ピペリジンを使用;
実施例196、4−N−Boc−4−N−メチルアミノピペリジンを使用;
実施例197、4−(2−アミノエチル)−1−Boc−ピペリジンを使用;
実施例198、参照化合物14を使用;
実施例199、4−メチルスルホニルベンジルアミン塩酸塩を使用;
実施例200、D−4−フェニルフェニルアラニンを使用;
実施例201、D−3−メチルフェニルアラニンを使用;
実施例202、D−3−クロロフェニルアラニンを使用;
実施例203、D−2−メチルフェニルアラニンを使用;
実施例204、D−2−クロロフェニルアラニンを使用;
実施例205、4−(トリフルオロメトキシ)−DL−フェニルグリシンを使用;
実施例206、4−フェニル−DL−フェニルグリシンを使用;
実施例207、参照化合物15を使用;
実施例208、4,4−ジフルオロピペリジンを使用;
実施例209、2-チオフェンメチルアミンを使用;
実施例210、1−(4−フルオロベンゼンスルホニル)ピペラジンを使用;
実施例211、D−2−チエニルアラニンを使用;
実施例212、N−(シクロプロピルメチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−ホモフェニルアラニンを使用;
実施例213、参照化合物53を使用;
実施例214、N−4−ピペリジニルベンゼンスルホンアミドを使用;
実施例215、D−2−フルオロフェニルアラニンを使用;
実施例216、D−3−フルオロフェニルアラニンを使用;
実施例217、D−4−フルオロフェニルアラニンを使用;
実施例218、D−2−トリフルオロメチルフェニルアラニンを使用;
実施例219、4−(トリフルオロメチル)−DL−フェニルグリシンを使用;
実施例220、N−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−ホモフェニルアラニンを使用;
実施例222、参照化合物2を使用;
実施例223、参照化合物18を使用;
実施例224、参照化合物3を使用;
実施例225、N−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−ホモフェニルアラニンを使用;
実施例226、N−p−トシルグリシンを使用;
実施例227、N−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−ホモフェニルアラニンを使用;
実施例228、参照化合物19を使用;
実施例229、Cbz−OSuおよびD−ホモシクロヘキシルアラニン(D−ホモcha−OH)を使用;
実施例230、参照化合物20を使用;
実施例231、参照化合物7を使用;
実施例232、参照化合物11を使用;
実施例233、参照化合物9を使用;
実施例234、参照化合物8を使用;
実施例235、参照化合物2を使用;
実施例236、参照化合物5を使用;
実施例237、参照化合物6を使用;
実施例238、参照化合物10を使用;
実施例239、N−(シクロへキシルオキシカルボニルオキシ)サクシンイミドおよびD−アリルグリシンを使用;および
実施例240、参照化合物21を使用。
【0276】
実施例241
【化85】

実施例241において、試薬および反応条件は次の通りである:(a)HATU、DIEA、DCM;(b)H(40psi)、i−PrOH:HO(3:1);(c)HATU、DIEA、DCM;(d)Dess−Martinペルヨーディナン、DCM;(e)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、4−メチレン−N−Boc−ピペリジン、DCM、40℃;(f)TFA、DCM。
【0277】
241−A:参照化合物54を参照化合物1と、実施例153の工程fで使用する方法に準ずる方法で反応させる。中間体241−Bは、参照化合物1合成の工程Dに準ずる加水素分解条件に従って得られる。ジクロロメタン(10mL、0.1M)を中間体241−B(600mg、1.049ミリモル、1.0当量)、参照化合物21(203mg、1.049ミリモル、1.0当量)およびHATU(478mg、1.258ミリモル、1.2当量)に加える。DIEA(550μL、3.147ミリモル、3.0当量)を注射筒から加え、LC/MSで追跡して反応が完了するまで室温で攪拌する。溶液を酢酸エチル(100mL)で希釈し、1M−HCl(3×30mL)、飽和NaHCO(1×30mL)および飽和NaCl(1×30mL)で抽出する。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固して中間体241−Cを無色油状物として得る。MS m/z 749.4 (M+1)。
【0278】
241−D:ジクロロメタン(5mL、0.07M)を窒素雰囲気中、室温で89−C(273mg、0.365ミリモル、1.0当量)およびDess−Martinペルヨーディナン(309mg、0.73ミリモル、2.0当量)に加える。LC/MSで反応を追跡して完了を確認後、酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム(3×20mL)、飽和NaHCO(1×30mL)および飽和NaCl(1×30mL)で抽出する。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固する。自動シリカゲル精製(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)して89−Dを無色油状物として得る。MS m/z 747.4 (M+1)。
【0279】
241−E:無水ジクロロメタン(2mL、0.03M)を窒素雰囲気下に注射筒から89−D(40mg、0.054ミリモル、1.0当量)、Hoveyda−Grubbs第二世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロリド)(10mg、0.016ミリモル、30モル%)で加える。N−Boc−4−メチレンピペリジン(53μL、0.268ミリモル、5.0当量)を注射筒から加え、反応器に還流冷却器を装着し、40℃に12時間加熱する。LC/MSで追跡して反応完了を確認後、反応混合物を直接自動シリカゲル精製(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)に付して241−Eを暗緑色油状物として得る。MS m/z 816.4 (M-Boc+1)。
【0280】
241:トリフルオロ酢酸とジクロロメタンとの25:75混合物3mLを241−E(18mg、0.02ミリモル)に加え、LC/MSで反応完了を確認するまで室温で攪拌する。反応混合物を減圧濃縮して、残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/0.05%TFA/水:10〜90%勾配)で精製する。凍結乾燥後、実施例89を白色固体として得る。MS m/z 716.3。
【0281】
実施例242〜243
実施例242と243とは、例えば241に記載する方法に準ずる方法に従って、各々参照化合物55および56を使用して製造する。
【0282】
実施例244は、実施例241に記載の方法に準ずる方法に従って、工程eではメチレンシクロペンタンを使用して製造する。
【0283】
実施例245
【化86】

実施例245において、試薬と反応条件は次の通りである:(a)Hoveyda−Grubbsメタセシス触媒、メチレンシクロペンタン、DCM、40℃;(b)H(40psi)、i−PrOH:HO(3:1);(c)Dess−Martinペルヨーディナン、DCM;(d)TFA、DCM。
【0284】
245−A:無水ジクロロメタン(2mL、0.03M)を窒素雰囲気下に注射筒から89−C(80mg、0.107ミリモル、1.0当量)、Hoveyda−Grubbs第二世代メタセシス触媒(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロリド)(14mg、0.021ミリモル、20モル%)に加える。メチレンシクロペンタン(57μL、0.543ミリモル、5.0当量)を注射器から加え、反応器に還流冷却器を装着して40℃に12時間加熱する。LC/MSで追跡して反応完了を確認後、反応混合物を直接自動シリカゲル精製(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)に付して245−Aを暗緑色油状物として得る。MS m/z 803.4 (M+1)。
【0285】
245−B:tert−ブタノール(30mL)と水(10mL)をパール振盪機中の93−A(69mg、0.086ミリモル、1.0当量)とPd/C(10mg)とに加える。パール振盪器を40psiに加圧し、12時間攪拌する。LC/MSで追跡して反応完了を確認後、反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を蒸発して245−Bを明緑色油状物として得、これをさらに精製することなく次の反応に使用する。MS m/z 805.4 (M+1)。
【0286】
245−C:ジクロロメタン(5mL、0.02M)を窒素雰囲気下に室温で93−B(69mg、0.086ミリモル、1.0当量)およびDess−Martinペルヨーディナン(70mg、0.17ミリモル、2.0当量)に加える。LC/MSで追跡して反応完了を確認後、酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム(3×20mL)、飽和NaHCO(1×30mL)および飽和NaCl(1×30mL)で抽出する。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固する。自動シリカゲル精製(0〜100%酢酸エチル/ヘキサン)に付して245−Cを無色油状物として得る。MS m/z 703.4 (M-Boc+1)。
【0287】
245:トリフルオロ酢酸とジクロロメタンとの25:75混合物3mLを93−C(15mg、0.019ミリモル)に加え、LC/MSで反応完了を判断するまで室温で攪拌する。
反応混合物を減圧濃縮し、残渣を逆相HPLC(アセトニトリル/0.05%TFA水:10〜90%勾配)で精製する。凍結乾燥後、実施例245を白色固体として得る。MS m/z703.3。
【0288】
実施例246
実施例246は、実施例153の製造のために記載した方法に準ずる方法に従って、実施例245−Aから製造する。
【0289】
表2は、実施例153〜246に記載の式(2)で示される化合物を示す。
【表36】

【表37】

【0290】
【表38】

【表39】

【0291】
【表40】

【表41】

【0292】
【表42】

【表43】

【0293】
【表44】

【表45】

【0294】
【表46】

【表47】

【0295】
【表48】

【表49】

【0296】
【表50】

【表51】

【0297】
【表52】

【表53】

【0298】
【表54】

【表55】

【0299】
【表56】

【表57】

【0300】
実施例247
実施例247−257は、式(1)で表される例示的な本発明の化合物であって、3−アルキルまたは3−アリール置換プロリンを持つが、これらは当技術分野の者には明白な適切な出発物質を用いて前記の実施例に記載の操作を反復することによって製造できる。
【表58】

【表59】

【0301】
アッセイ
チャネル活性化プロテアーゼの阻害が介在する疾患の処置に対するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤、例えばプロスタシン阻害剤の適性は、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果:すなわち、(1)Shipway et al.; Biochem. Biophys. Res. Commun. 2004; 324(2):953-63に記載の方法を用いる、適当な生化学的検定形式を用いる、野生型、分離、精製または組換えのチャネル活性化プロテアーゼに及ぼす阻害効果;および/または(2)Bridges et al.; Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2001; 281(1): L16-23およびDonaldson et al.; J. Biol. Chem. 2002; 277(10): 8338-45に記載の方法を用いる、適当な分離細胞または密集増殖上皮におけるイオンチャネル/イオン輸送機能に及ぼす阻害効果;を定量することによって試験できる。
【0302】
生化学的アッセイ
組換えヒトプロスタシンおよびマトリプターゼおよびモルモットのプロスタシンはShipway et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 2004; 324(2):953-63)に記載の方法に従って作製する。組換え酵素を被検化合物または賦形剤を含有する電解質緩衝液中、適当な多ウェル検定プレート、例えば96または384ウェルプレートで培養する。化合物または賦形剤と混合した後所定時点で、適当な蛍光ペプチド基質を検定混合物に加える。基質が活性酵素によって切断されるに従って、蛍光が強まり(適当な蛍光プレートリーダーを用いて測定)、基質のターンオーバー速度(すなわち、酵素活性)、従って被検化合物の阻害活性効果、を定量できるようになる。被検化合物の効力は、酵素活性(K)の50%減少を誘発する濃度で表す。
【0303】
一般的に、本発明の化合物はK値0.1nM〜5μMを示すであろう。ある例では、本発明の化合物はK値0.1nM〜500nM;0.1nM〜50nM;0.1nM〜5nM;または0.1nM〜0.5nMを示すであろう。特定の例では、本発明の化合物は、K値0.1nM〜0.5nM;0.5nM〜5nM;5nM〜50nM;50nM〜500nM;または500nM〜5μMを示すであろう。さらに別な例では、化合物はK値0.1nM以下または5μM以上を示す。
【0304】
上皮イオン輸送
ヒト気管支上皮細胞をDanahay et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002 282 (2):L226-36に記載の方法に従って培養する。適度に分化した時(頂部空気界面樹立後14〜21日)に、上皮細胞を賦形剤、アプロチニン(200μg/mL)または被検化合物のいずれかで90分間処理する。次に上皮をDanahay et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002 282(2):L226-36に記載の箱に入れて、上皮頂部側の賦形剤、アプロチニンまたは被検化合物の濃度を維持する。次に上皮を0ミリボルトに電圧固定することによって、短絡電流(ISC)を測定する。上皮の頂部表面へのアミロリド(10μM)の添加によってアミロリド感受性ISCを測定する。被検化合物の力価は、アミロリド感受性ISCの全アプロチニン感受性部分の50%阻害を誘発する濃度で表す。
【0305】
一般に、本発明化合物はIC50値1nM〜10μMを示すであろう。ある例では、本発明の化合物はIC50値1nM〜1μMを示すか;またはより特定的にはIC50値1nM〜100nMを示すであろう。他の例では、本発明化合物はIC50値100nM〜1μMを示し、または1μM〜10μMを示すであろう。なお別の例では、本化合物はIC50値1nM以下または10μM以上を示す。
【0306】
気管電位差(生体内)
モルモットを、短時間形吸入麻酔例えばハロタンおよびNOを用いて麻酔する。麻酔剤を短時間作用させている間に、口・食道経路から気管に栄養補給針を挿入する。気管内部に入ったら、少容(50〜200μL)の適当な水性希釈剤と賦形剤または被検化合物を気管内に注入する。次に動物を回復させて完全な歩行ができるようにする。あるいは、被検化合物をエアロゾルまたは乾燥粉末投与法を用いて動物に投与してもよい。投与から所定時間後に、動物に適当な麻酔剤、例えばケタミンおよびキシラジンを用いて外科用麻酔を行ない、気管を露出し、プラスチック製寒天ブリッジ電極を気管内腔に挿入する。対照電極を動物頚部の層に挿入する。Takahashi et al., Toxicol Appl Pharmacol. 1995; 131(1):31-6に記載のような適当な高インピーダンス電圧計を用いて気管の電位差を測定する。被検化合物の力価は気管電位差の感受性成分の50%低下を起す用量で表す。
【0307】
本明細書に記載する実施例および態様は、例示目的のみのためのものであり、また、それに基づいて様々な修正や変化が当技術分野の技術者に対して示唆されており、それがこの明細書および添付する特許請求の範囲の精神と範囲内に含まれるべきであることは理解される。本明細書に引用する刊行物、特許、および特許出願は全てあらゆる目的のために引用して包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

[式中、
Jは、5〜12員の単環または縮合炭素環、アリール、N、Oおよび/またはSを含むヘテロアリールまたはヘテロ環であり;
は、−(CR)−NR、−(CR)−NRC(=NR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NRまたは5〜7員窒素含有非芳香性ヘテロ環であり;
W−Rは、環A上の何れかの位置にある置換基であり;
Wは、−O(CR)−、−S(CR)−、−S(O)(CR)−、−SO(CR)−または−OC(O)(CR)−であり;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、R、−CR10=CR10−R、または
【化2】

であり、ここに、環Eは、所望により置換されていてもよい5〜7員の単環または縮合炭素環またはヘテロ環であるか;または
W−Rは一緒になってC1−6アルキル、5〜7員アリールまたは−OC(O)NRを形成し;
Yは、SO、−(CO)−NR−R、−(CO)−O−R、SONRまたはC1−6アルキルであり;
は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−(CR)−C3−7シクロアルキルまたは−(CR)−Rであり;
は、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−CR10=CR10−R、−CR[(CR)l−R]、C2−6アルキニル、−O−(CR)−R、NR
【化3】

、または所望により置換されていてもよい5〜7員環の炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRはYと共に、所望により置換されていてもよい5〜12員非芳香性ヘテロ環を形成し;
は、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ORまたはRであり;
およびRは、独立にH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであるか;またはRおよびRはNと共に、所望により置換されていてもよい5〜7員の単環または縮合ヘテロ環を形成してもよく;
X、RおよびRは独立に、所望により置換されていてもよい5〜7員炭素環、ヘテロ環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRは、HまたはC1−6アルキルであってもよく;
10はHまたはC1−6アルキルであり;
各Rは、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC2−6アルキニルであり、ここに、各炭素は、所望により置換されていてもよくまたはNR、OまたはSに交換されていてもよく;
iは、0〜1であり;
k、lおよびmは、独立に0〜6であり;
nは、1〜6であり;そして
pは、0〜3である]
で示される化合物およびその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物および立体異性体。
【請求項2】
が、−(CH)−NH、−(CH)−NHC(=NH)−NHまたは−(CH)−C(=NH)−NHNHであって、ここに各lが0〜1であるか;またはRがピペリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Wが−O(CR)−、−S(CR)−、−S(O)(CR)−、−SO(CR)−または−OC(O)(CR)−であり;そしてkが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、所望により置換されていてもよいフェニル、チエニル、C5−7シクロアルキル、フラニル、ピペリジニル、メチレンシクロヘキシル、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
YがSO、−(CO)−NH−Rまたは−(CO)−O−Rであり;このRがC1−6アルキル、−(CR)−シクロプロピルまたは−(CR)−Rであって、ここにRが所望により置換されていてもよいフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、−NH、または所望により置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、ピペリジニル、C5−7シクロアルキル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、
【化5】

であるか;またはRがYと共に所望により置換されていてもよいピロリジニル、ピロリジノニル、テトラヒドロイソキノリニルまたはテトラヒドロナフタレニルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
−J−(R)が一緒になって式:
【化6】

[式中、
Zは、OまたはSであり;
、Z、ZまたはZは、独立にN、CHであるか、またはRに結合している時にはCであり;
、ZまたはZは、独立にN、O、S、CHであるか、またはRに結合している時にはCであり;
pは、0〜1であり;そして
は、ハロまたはC1−6アルキルである]
で示される基を示す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が所望により置換されていてもよいフェニル、C5−7シクロアルキル、ピペリジニル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、フラニル、
【化7】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
iが1であり;Xが所望により置換されていてもよいシクロヘキシル、フェニルまたはピペリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Jがベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、チアゾリル、またはオキサジアゾリルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
化合物が式(2A)または(2B):
【化8】

[式中、
Zは、OまたはSであり;
1は、NH、−NHC(=NH)−NHまたは−C(=NH)−NHであり;
Wは、−O(CH)−または−S(O)(CH)−であり、
2は、所望により置換されていてもよいフェニルであるか、または
W−Rが一緒になってC1−6アルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニルを形成し;
Yは、SOまたは−(CO)−O−Rであり;
は、C1−6アルキル、−(CH)−シクロプロピルまたは−(CH)−Rであり、ここにRは、所望により置換されていてもよいフェニルであり;
は、所望により置換されていてもよい、フェニル、ピペリジニル、C5−7シクロアルキル、シクロヘキサノール、イミダゾリル、チエニル、
【化9】

であり;
iおよびpは、0であり;
kは、1であり;
lは、0〜1であり;そして
mおよびnは、独立に1〜4である]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がピペリジニルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
化合物が式(3A)または(3B):
【化10】

[式中、
およびRは、独立にH、C1−6アルキルまたは−(CR)−Rであるか、または
とRはNと一緒になって、所望により置換されていてもよいピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、ピペラジニルまたはジアゼパニルを形成し;
は、所望により置換されていてもよい、フェニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニルまたはチエニルであり;そして
iおよびpは0である]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1の化合物の治療的有効量と医薬的に許容される添加剤とを含有する、医薬組成物。
【請求項15】
治療的有効量の請求項1の化合物またはその医薬的に許容される塩または医薬組成物を必要とするシステムまたは対象に投与して、チャネル活性化プロテアーゼを調節することを含む、チャネル活性化プロテアーゼを調節する方法。
【請求項16】
チャネル活性化プロテアーゼが、プロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP-1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
チャネル活性化プロテアーゼが、プロスタシンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1の化合物またはその医薬的に許容される塩または医薬組成物を、細胞、または器官系、またはヒトまたは動物対象に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
細胞が気管支上皮細胞である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
この処置が必要なシステムまたは対象に有効量の請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩または医薬組成物、および、所望により第二の治療剤との組み合わせであってもよいものを投与して、その病状を処置することを含む、チャネル活性化プロテアーゼが介在する病状を改善する方法。
【請求項21】
チャネル活性化プロテアーゼが、プロスタシン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
チャネル活性化プロテアーゼが、プロスタシンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
病状が、イオン輸送上皮を通過する液体の移動または呼吸器官における粘液および喀痰の蓄積、またはその組み合わせに関連している、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
病状が、嚢胞性繊維症、原発性毛様体運動障害、肺癌、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器官感染症である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
第二の治療剤が、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseである、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩または医薬組成物、およびその所望により第二の治療剤との組合せであってもよいものの、チャネル活性化プロテアーゼを調節するための、使用。
【請求項27】
請求項1の化合物またはその医薬的に許容される塩または医薬組成物、およびその所望により第二の治療剤との組み合わせであってもよいものの、チャネル活性化プロテアーゼが介在する病状を処置するための薬剤の製造における、使用。

【公表番号】特表2009−538327(P2009−538327A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512222(P2009−512222)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/069059
【国際公開番号】WO2007/137080
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】