説明

チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、チャネル活性化プロテアーゼの調節に有用な化合物および医薬組成物、および、プロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼを含むが、これに限定されないチャネル活性化プロテアーゼと関連する状態の処置、軽減または予防におけるそのような化合物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年2月23日出願の米国仮出願番号60/891,474、および2007年1月10日出願の米国仮出願番号60/884,334に関連し、その各々は、その全体を引用により本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、一般にチャネル活性化プロテアーゼ(CAP)阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
プロスタチンは、種々の哺乳動物組織に存在するトリプシン様セリンプロテアーゼである。それは、細胞の細胞外膜上に発現されるが、また、精液、尿および気道表面液体のような体液中にも分泌され得る膜アンカー型プロテアーゼである。プロスタチン(PRSS8)は、マトリプターゼ、CAP2、CAP3、トリプシン、PRSS22、TMPRSS11、カテプシンA、および好中球エラスターゼのようなプロテアーゼ類と共に、アミロライド感受性上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)の活性を刺激し得る。これらの酵素の阻害は、上皮イオン輸送、それ故、上皮膜を通過する液性ホメオスタシスの変化を誘導し得る。例えば、腎臓におけるCAP阻害は利尿を促進すると考えられ、一方気道におけるCAP阻害は、肺における粘液および痰の排出を促進する。腎臓におけるCAP阻害は、それ故高血圧の処置に治療的に使用し得る。気道におけるCAP阻害は、呼吸器分泌の停留を阻止し、これは、そうしなければ罹患者が二次的細菌感染を起こしやすくなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の開示
本発明は、化合物、医薬組成物およびそのような化合物のチャネル活性化プロテアーゼ類(CAP)調節における使用方法を提供する。例えば、本発明の化合物および組成物は、プロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、および好中球エラスターゼの調節に使用し得る。
【0005】
一つの局面において、本発明は、式(1):
【化1】

〔式中、
O−(CR)−Rは環A上の任意の位置の置換基であり;
Jは5−12員単環式または縮合炭素環式環、N、Oおよび/またはS含有ヘテロ環式環;アリールまたはヘテロアリール環である。ただし、Jはトリアゾリルではなく;
Bは
【化2】

または(CR)−Rであり;
Yは結合、−SO−、−NHCO−または−O−(CO)−であり;
はハロ、−(CR)−NR、−(CR)−NRC(=NR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NR、−C(O)−(CR)−NR、−(CR)−NR−SO、−(CR)−NR−C(O)−R、−(CR)−SONR、または−(CR)−OR、または所望により置換されていてよいC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;または所望により置換されていてよい炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであり;
あるいは、NH−Y−Rは一体となってNHを形成し;
、RおよびRは、独立して所望により置換されていてよい5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRはH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、または
【化3】

であり、ここで、PはCまたはNであり、そして環Eは、Pと一体となって所望により置換されていてよい5−12員単環式または縮合環を形成し;
およびRは、独立してH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであり;
各RはH、またはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;
k、m、nおよびpは、独立して1−6であり;
xは0−4である;
ただし、NH−Y−Rが一体となってNHを形成するときRはピペリジニルであり;そして
さらに、Bが(CR)−Rであるとき、Rはピペリジニルである。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
上記式(1)において、Jはチオフェニル、チアゾリル、フェニル、ピリジル、インダゾリル、ピペリジニルまたはピロリジニルであり得る。他の例において、Rはフェニルまたはシクロヘキシルであってよく、その各々は所望によりハロ、SO(C1−6アルキル)、または所望により置換されていてよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシ、例えば所望によりハロゲン化されていてよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシで置換されていてよい。
【0007】
一つの態様において、本発明は、式(2):
【化4】

〔式中、
およびJは、独立して所望により置換されていてよい6員アリールであり;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであるか;またはNH−Y−Rは一体となってNHを形成し;
(CR)の各RはHまたはC1−6アルキルであり;そして
m、nおよびpは、独立して1−2である。〕
の化合物を提供する。
【0008】
上記式(1)および(2)において、Yは結合、SOまたは−O−(CO)−であり得る。他の例において、Rはハロ、C1−6アルキル、CF、OCF、フェニル、−(CR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NR、−C(O)−(CR)−NR、−(CR)−NR−SO、−(CR)−NR−C(O)−R、−(CR)−SONR、または−(CR)−ORであり、ここで、各lは0−1であり;そしてR、RおよびRは、独立してHまたはC1−6アルキルである。
【0009】
上記式(1)および(2)において、Rは所望により置換されていてよい5−6員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリール、ヘテロアリール、または
【化5】

であり、ここで、PはCまたはNであり、そして環Eは、Pと一体となって、所望により置換されていてよい5−6員単環式を形成する。例えば、Rは所望により置換されていてよいピペリジニル、シクロヘキシル、フェニル、
【化6】

であり得る。
【0010】
特定の例において、式(2)のRはC1−6アルキルまたは所望により置換されていてよいベンジルである。いくつかの例において、YはSOである。他の例において、Rは所望により置換されていてよいピペリジニルである。さらに他の例において、JおよびRは、独立して所望により置換されていてよいフェニルである。例えば、Jは1−3個のR(すなわち、xが1−3である)で置換されていてよく、そしてRは、所望によりハロで置換されていてよい。
【0011】
他の局面において、本発明は、式(1)または(2)の化合物、および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、チャネル活性化プロテアーゼを調節する方法であって、システムまたは哺乳動物に、治療的有効量の式(1)または(2)を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を投与することを含み、これによりチャネル活性化プロテアーゼを調節する、方法を提供する。
【0013】
一つの態様において、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼを阻害する方法であって、細胞または組織系または哺乳動物に、治療的有効量の式(1)または(2)を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を投与することを含み;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼであり、当該投与により該チャネル活性化プロテアーゼを阻害する、方法を提供する。特定の例において、本発明はプロスタチンを阻害する方法を提供する。
【0014】
他の局面において、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼが仲介する状態を軽減または処置する方法であって、細胞または組織系または哺乳動物に、有効量の式(1)または(2)を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を、所望により第二の治療剤と組み合わせて投与することを含み;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼであり、当該投与により、該状態を処置する、方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、チャネル活性化プロテアーゼが仲介する状態の処置に使用するための、式(1)または(2)の化合物を提供する。本発明はまた、チャネル活性化プロテアーゼが仲介する状態の処置用医薬の製造における、式(1)または(2)の化合物の、所望により第二の治療剤と組み合わせた使用を提供する。
【0016】
特定の例において、本発明の化合物は、プロスタチン仲介状態の処置に使用し得る。一つの態様において、第二の治療剤は、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseであり、式(1)または(2)の化合物の前に、同時に、またはその後に投与する。いくつかの例において、本発明の化合物は、気管支上皮細胞、特にヒト気管支上皮細胞に投与する。
【0017】
本発明の化合物を使用して軽減または処置し得る状態の例は、イオン輸送上皮を通過する体液の移動または呼吸器組織における粘液および痰の蓄積、またはそれらの組み合わせと関連する状態を含み、これに限定されない。いくつかの例において、本発明の化合物を使用して関与し得る状態は、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、肺癌腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器感染である。
【0018】
定義
“アルキル”は、部分および他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構成要素を意味し、直鎖でも分枝鎖でもよい。ここで使用する所望により置換されていてよいアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、所望によりハロゲン化されていてよく(例えば、CF)、またはNR、OまたはSのようなヘテロ原子で置換された1個以上の炭素を有してよい(例えば、−OCHCHO−、アルキルチオール類、チオアルコキシ、アルキルアミン類など)。
【0019】
“アリール”は、炭素原子含有単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチルであってよい。“アリーレン”はアリール基由来の二価ラジカルを意味する。
【0020】
ここで使用する“ヘテロアリール”は、上記アリールで定義の通りであり、ここで、1個以上の環員がヘテロ原子である。ヘテロアリールの例は、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含み、これに限定されない。
【0021】
ここで使用する“炭素環式環”は、所望により、例えば、=Oで置換されていてよい、炭素原子を含む飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環である。炭素環式環の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピレン、シクロヘキサノンなどを含み、これに限定されない。
【0022】
ここで使用する“ヘテロ環式環”は、上記炭素環式環で定義の通りであり、ここで、1個以上の環炭素がヘテロ原子である。例えば、ヘテロ環式環はN、O、S、−N=、−S−、−S(O)、−S(O)−、または−NR−(ここで、Rは水素、C1−4アルキルまたは保護基であり得る)を含み得る。ヘテロ環式環の例は、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルなどを含み、これに限定されない。
【0023】
特記しない限り、置換基が“所望により置換されていてよい”と考えられるとき、該置換基が、例えば、所望によりハロゲン化されていてよいアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミノ(モノおよびジ置換アミノ基を含む)、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環式、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環式、ヒドロキシ、イソシアナト、イソチオシアナト、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアナト、トリハロメタンスルホニル、およびその保護された化合物から個々におよび独立して選択される1個以上の基で置換されていてよい基であることを意味する。上記置換基の保護された形を形成し得る保護基は当業者に既知であり、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994(これらは、その全体を引用により本明細書に包含させる)のような参考書に見ることができる。
【0024】
ここで使用される用語“共投与”または“組み合わせ投与”は、選択した複数治療剤の単独患者への投与を包含することを意味し、複数治療剤を必ずしも同じ投与経路でまたは同時に投与しない処置レジメンを含むことを意図する。
【0025】
ここで使用する用語“医薬組み合わせ物”は、複数活性成分の混合または組み合わせから得られる製品を意味し、複数活性成分の固定されたおよび固定されていない組み合わせ両方を含む。用語“固定された組み合わせ”は、複数活性成分、例えば式(1)の化合物および併用剤が、一つの物または投与量として患者に同時に投与されることを意味する。用語“固定されていない組み合わせ”は、複数活性成分、例えば式(1)の化合物および併用剤を、患者に別々の物として、同時に、一度にまたは具体的時間制限なく連続的に投与することを意味し、ここで、このような投与は患者体内で複数活性成分の治療的有効レベルを提供する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の活性成分の投与にも適用される。
【0026】
用語“治療的有効量”は、研究者、獣医師、医師または他の臨床医が求める、生物学的または医学的応答を、細胞、組織、臓器、系、動物またはヒトで誘発する対象化合物の量を意味する。
【0027】
対象化合物の“投与”および/または“投与する”なる用語は、処置を必要とする個体への、本発明の化合物のプロドラッグを含む本発明の化合物の提供を意味すると理解すべきである。
【0028】
ここで使用する用語“処置する”、“処置し”および“処置する”は、疾患および/またはその随伴症状を緩和または軽減する方法を意味する。
【0029】
用語“プロスタチン”はまた:ヒトチャネル活性化プロテアーゼ(hCAP);チャネル活性化プロテアーゼ−1;およびPRSS8、MERPOPS ID S01.159も意味し得る。
【0030】
本発明の実施方法
本発明は、化合物、医薬組成物およびチャネル活性化プロテアーゼ類(CAP)の調節のための当該化合物の使用方法を提供する。
【0031】
一つの局面において、本発明は、式(1):
【化7】

〔式中、
O−(CR)−Rは環A上の任意の位置の置換基であり;
Jは5−12員単環式または縮合炭素環式環、N、Oおよび/またはS含有ヘテロ環式環;アリールまたはヘテロアリール環である。ただし、Jはトリアゾリルではなく;
Bは
【化8】

または(CR)−Rであり;
Yは結合、−SO−、−NHCO−または−O−(CO)−であり;
はハロ、−(CR)−NR、−(CR)−NRC(=NR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NR、−C(O)−(CR)−NR、−(CR)−NR−SO、−(CR)−NR−C(O)−R、−(CR)−SONR、または−(CR)−OR、または所望により置換されていてよいC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;または所望により置換されていてよい炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであり;
あるいは、NH−Y−Rは一体となってNHを形成し;
、RおよびRは、独立して所望により置換されていてよい5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRはH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、または
【化9】

であり、ここで、PはCまたはNであり、そして環Eは、Pと一体となって所望により置換されていてよい5−12員単環式または縮合環を形成し;
およびRは、独立してH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであり;
各RはH、またはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;
k、m、nおよびpは、独立して1−6であり;
xは0−4である;
ただし、NH−Y−Rが一体となってNHを形成するときRはピペリジニルであり;そして
さらに、Bが(CR)−Rであるとき、Rはピペリジニルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0032】
他の態様において、本発明は、式(2):
【化10】

〔式中、
およびJは、独立して所望により置換されていてよい6員アリールであり;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであるか;またはNH−Y−Rは一体となってNHを形成し;
(CR)の各RはHまたはC1−6アルキルであり;そして
m、nおよびpは、独立して1−2である。〕
の化合物を提供する。
【0033】
あるいは、上記式(1)および(2)におけるk、m、nおよびpは、独立して0−6でよい。特定の例において、式(1)のkは2−3であり、そしてJはヘテロアリール、例えばチオフェニルである。他の別の態様において、式(1)および(2)のYは−CO−であってよい。
【0034】
上記式の各々において、Jはまた
【化11】

から成る群からも選択してよく、ここで、1個以上のZ、Z、Z、Z、Z、ZおよびZは、N、NR、OまたはS(ここで、RはHまたはC1−6アルキルである)から選択されるヘテロ原子であり、残りのZ−Z原子はCHである。
【0035】
いくつかの例において、Z、Z、Z、Z、Z、ZおよびZの少なくとも2個がN、NR、OまたはS(ここで、RはHまたはC1−6アルキルである)から選択されるヘテロ原子であり、Z−Z原子の残りがCHである。
【0036】
各所望により置換されていてよい部分がハロ、=O、アミノ、グアニジニル、アミジノ、所望により置換されていてよいC1−6アルコキシ;C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルで置換されていてよい上記式(1)および(2)において、その各々は所望によりハロゲン化されていてよく、または所望によりN、OまたはS;CO、−O−(CR)−C(O)−R;−(CR)−R、−(CR)−C(O)−R、または−(CR)−SO−R;またはそれらの組み合わせで置き換えられまたは置換されていてよく、ここで、各RはH、C1−6アルキル、または所望により置換されていてよい炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールである。
【0037】
本発明はまた、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩の全ての適切な同位体化合物(isotopic variations)も含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は、少なくとも1個の原子が、同じ原子番号を有するが、通常天然で見られる原子質量と異なる原子質量を有する原子で置き換えられているものと定義する。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に包含し得る同位元素の例は、水素、炭素、窒素および酸素の同位元素、例えばH、H、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、および36Clを含み、これに限定されない。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩のある種の同位体化合物、例えば、Hまたは14Cのような放射性同位元素が取り込まれているものは、薬剤および/または基質組織分布試験に有用である。特定の例において、Hおよび14C同位元素を、その製造の容易さおよび検出能のために使用し得る。他の例において、Hのような同位元素での置換が、インビボ半減期延長または必要量減少のような大きな代謝安定性に由来する治療的利点を提供し得る。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は、一般に、適切な同位体反応材を使用して通常の方法で製造され得る。
【0038】
本発明の化合物および組成物は、チャネル活性化プロテアーゼの調節に有用であり得る。本発明の化合物および組成物を使用して調節し得るチャネル活性化プロテアーゼ類の例は、プロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼを含み、これに限定されない。本発明の化合物はまた、上皮性ナトリウムチャネルのようなイオンチャネルの活性を刺激するプロテアーゼ類の活性も阻害し得て、CAP関連疾患の処置に有用であり得る。
【0039】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、チャネル活性化プロテアーゼ、特にプロスタチンのようなトリプシン様セリンプロテアーゼ類の活性を調節し、そしてそれ自体、プロスタチンが、例えば、疾患の病状および/または症状に関与する疾患または障害の処置に有用である。
【0040】
チャネル活性化プロテアーゼ、特にプロスタチンのようなトリプシン様セリンプロテアーゼが仲介する疾患は、上皮膜を通過する体液の制御と関連する疾患を含む。例えば、気道表面液体の体積は、粘液線毛クリアランスおよび肺の健康維持の重要なレギュレーターである。チャネル活性化プロテアーゼの阻害は、気道上皮の粘膜側への体液蓄積を促進し、それにより粘液クリアランスを促進し、呼吸組織(肺気道を含む)における粘液および痰の蓄積を防止する。このような疾患は、嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、呼吸器感染(急性および慢性;ウイルスおよび細菌)および肺癌腫のような呼吸器疾患を含む。チャネル活性化プロテアーゼ類が仲介する疾患はまた、上皮通過に係る異常体液制御と関係し、恐らくその表面を保護する表面液体の生理学的異常が関与する呼吸器疾患以外の疾患、例えば口内乾燥(口渇)または乾性角結膜炎(keratoconjunctivitis sire)(ドライ・アイ)も含む。さらに、腎臓におけるENaCのCAP制御は利尿の促進に使用でき、それにより、血圧低下作用を誘発する。
【0041】
慢性閉塞性肺疾患は、慢性気管支炎またはそれに伴う呼吸困難、気腫、ならびに他の薬物治療、特に他の吸入薬治療後の気道過敏性の増悪を含む。本発明はまた、例えば、急性、アラキジン性(arachidic)、カタル性、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含めて、タイプまたは起源に関わりなく、気管支炎の治療に適用可能である。
【0042】
喘息は、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息、軽度喘息、中程度喘息、重度喘息、気管支喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染後誘発される喘息を含む。喘息はまた、主要な医学的関心を伴う確立された患者群であり、現在しばしば発端または初期喘息患者として特定され、“喘鳴幼児(wheezy infants)”と診断されたまたは診断可能な、4歳または5歳未満の対象の“喘鳴幼児症候群”と呼ばれる状態を含む。
【0043】
チャネル活性化プロテアーゼが仲介する疾患の処置のための、プロスタチン阻害剤のようなチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の適性は、下記のおよび当分野で既知の方法に従うアッセイに従いチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の阻害効果を決定することにより試験し得る。
【0044】
上述したところに従い、本発明は、さらに、処置を必要とする対象における上記疾患または障害の何れかを予防もしくは処置する方法を提供するものであって、当該方法は該対象に治療的有効量の式(1)もしくはは(2)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。上記の如何なる使用においても、必要な投与量は、投与方法、処置すべき特定の状態および所望の効果により変化する。(下記“投与および医薬組成物”の項参照)。
【0045】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、当分野で既知の通常かつ許容される何れかの方法で、その治療的有効量を、単独または1種以上の治療剤と組み合わせて投与する。
【0046】
本発明のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤はまた、他の治療剤と組み合わせて使用するための共治療剤としても有用である。例えば、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNase治療剤と組み合わせて使用し得る。チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤および他の治療剤は、同一または異なる医薬組成物として製剤し得る。チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、他の治療剤と固定された薬物組成で混合してよく、またはそれを、他の治療剤と個別に、前に、同時にまたは後で投与してよい。本組み合わせ物は、特に前記のような嚢胞性線維症または閉塞性または炎症性気道疾患の処置に、例えばこのような医薬の治療活性の増強剤として、または、このような医薬の必要投与量または可能性のある副作用を低下させる手段として有用であり得る。
【0047】
適当な抗炎症性治療剤は、ステロイド、特にグルココルチコステロイド、例えばブデソニド、ベクロメタゾン(beclamethasone)ジプロピオネート、フルチカゾンプロピオネート、シクレソニドまたはモメタゾンフロエート、または国際特許出願WO02/88167、WO02/12266、WO02/100879、WO02/00679(例えば、実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101)、WO03/35668、WO03/48181、WO03/62259、WO03/64445、WO03/72592、WO04/39827およびWO04/66920に記載されたステロイド;非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えばDE10261874、WO00/00531、WO02/10143、WO03/82280、WO03/82787、WO03/86294、WO03/104195、WO03/101932、WO04/05229、WO04/18429、WO04/19935およびWO04/26248に記載のもの;LTD4アンタゴニスト、例えばモンテルカストおよびザフィルカスト;PDE4阻害剤、例えばシロミラスト(ARIFLO(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(登録商標)(Byk Gulden)、V-11294A(Napp)、BAY19-8004(Bayer)、SCH-351591(Schering-Plough)、アロフィリン(登録商標)(Almirall Prodesfarma)、PD189659/PD168787(Parke-Davis)、AWD-12-281(Asta Medica)、CDC-801(Celgene)、SelCID(TM)CC-10004(Celgene)、VM554/UM565(Vernalis)、T-440(Tanabe)、KW-4490(Kyowa Hakko Kogyo)、およびWO92/19594、WO93/19749、WO93/19750、WO93/19751、WO98/18796、WO99/16766、WO01/13953、WO03/104204、WO03/104205、WO03/39544、WO04/000814、WO04/000839、WO04/005258、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/018431、WO04/018449、WO04/018450、WO04/018451、WO04/018457、WO04/018465、WO04/019944、WO04/019945、WO04/045607およびWO04/037805に記載のもの;およびアデノシンA2B受容体アンタゴニスト、例えば、WO02/42298(その各々はその全体を引用により本明細書に包含させる)に記載のものを含む。
【0048】
適当な気管支拡張性治療剤は、ベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト、例えばアルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロールフェノテロール、プロカテロール、フォルモテロール、カルモテロール、またはその薬学的に許容される塩;およびWO00/75114に記載の式(1)の化合物(遊離または塩または溶媒和物形態)、式:
【化12】

の化合物、WO04/16601の式(1)の化合物(遊離または塩または溶媒和物形態)、およびEP1440966、JP05025045、WO93/18007、WO99/64035、US2002/0055651、WO01/42193、WO01/83462、WO02/66422、WO02/70490、WO02/76933、WO03/24439、WO03/42160、WO03/42164、WO03/72539、WO03/91204、WO03/99764、WO04/16578、WO04/22547、WO04/32921、WO04/33412、WO04/37768、WO04/37773、WO04/37807、WO04/39762、WO04/39766、WO04/45618、WO04/46083およびWO04/80964(その各々はその全体を引用により本明細書に包含させる)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0049】
適当な気管支拡張性治療剤はまた、抗コリンまたは抗ムスカリン剤、特に臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、チオトロピウム塩およびCHF 4226(Chiesi)、およびグリコピロレート、さらにEP424021、US3714357、US5171744、WO01/04118、WO02/00652、WO02/51841、WO02/53564、WO03/00840、WO03/33495、WO03/53966、WO03/87094、WO04/018422およびWO04/05285(その各々はその全体を引用により本明細書に包含させる)も含む。
【0050】
適当な双機能性抗炎症性および気管支拡張性治療剤は、デュアルベータ−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニスト、例えばUS2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に記載のものを含む。
【0051】
適当な抗ヒスタミン治療剤は、セチリジンヒドロクロライド、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン(loratidine)、デスロラタジン(loratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジンヒドロクロライド、アクティバスチン(activastine)、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテルフェナジン(tefenadine)ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841(その各々はその全体を引用により本明細書に包含させる)に記載のものを含む。
【0052】
適当な抗生物質は、マクロライド系抗生物質、例えばトブラマイシン(TOBITM)を含む。
【0053】
適当なDNase治療剤は、選択的にDNAを開裂する組み換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の高純度溶液であるドルナーゼアルファ(PULMOZYMETM)を含む。ドルナーゼアルファは嚢胞性線維症の治療に使用される。
【0054】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤と抗炎症性治療剤の他の有用な組み合わせは、ケモカイン受容体、例えばCCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5のアンタゴニスト、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering-PloughアンタゴニストSC-351125、SCH-55700およびSCH-D、Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミニウムクロライド(TAK-770)、およびUS6166037、WO00/66558、WO00/66559、WO04/018425およびWO04/026873(その各々はその全体を引用により本明細書に包含させる)に記載のCCR−5アンタゴニストとの組み合わせである。
【0055】
本発明に従うプロスタチンにより仲介される疾患の処置において、本発明の遊離形または薬学的に許容される塩形のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を、任意の適当な経路で、例えば経口的に、例えば錠剤、カプセル剤または液体形態で、非経腸的に、例えば注射用溶液または懸濁液で、または鼻腔内に、例えばエアロゾルまたは他の噴霧可能製剤の形で、適当な鼻腔内送達デバイス、例えば当分野で既知の鼻スプレーのようなものを使用して、または、特にネブライザーと共に使用する、吸入により、投与し得る。
【0056】
チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤は、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に医薬組成物で投与し得る。このような組成物は乾燥粉末、錠剤、カプセル剤および液剤だけでなく、注射剤、輸液または吸入懸濁剤であってよく、それは他の製剤成分および当分野で既知の技術を使用して製造し得る。
【0057】
遊離形または薬学的に許容される塩形態のチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の投与量は、活性成分の活性および作用時間、処置すべき状態の重症度、投与形態、対象の種、性別、民族的起源、年齢および体重および/またその個々の条件のような種々の因子に依存し得る。約75kgの体重の温血動物、特にヒトに、投与、例えば経口投与するための典型的1日投与量は、約0.7mg〜約1400mg、より具体的には約5mg〜約200mgと概算される。この投与量は、例えば、1回量でまたは、例えば、5〜200mgの数分割投与量で投与してよい。
【0058】
本組成物がエアロゾル製剤を構成するとき、それは、例えば、ヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤、例えばHFA134aまたはHFA227またはそれらの混合物を含んでよく、そして、1種以上の当分野で既知の共溶媒、例えばエタノール(20重量%まで)、および/または1種以上の界面活性剤、例えばオレイン酸またはソルビタントリオレエート、および/または1個以上の増量剤、例えばラクトースを含んでよい。本組成物が乾燥粉末製剤を構成するとき、それは、例えば、10ミクロンまでの粒径を有するチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を、所望により、所望の粒子サイズ分布の希釈剤または担体、例えばラクトースおよび湿気による製品効果の劣化からの保護を助ける化合物、例えばステアリン酸マグネシウムと共に含み得る。本組成物が噴霧製剤を構成するとき、それは、例えば、水、共溶媒、例えばエタノールまたはプロピレングリコールおよび界面活性剤であり得る安定化剤を含む媒体に溶解または懸濁されたチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤を含み得る。
【0059】
本発明は、吸入可能な形態の、例えばエアロゾルまたは他の噴霧可能組成物または吸入可能粒子、例えば微粉化形態の式(1)または(2)の化合物を提供する。本発明はまた吸入可能形態の本発明の化合物を含む吸入薬;吸入可能形態の本発明の化合物を吸入デバイスと共に含む医薬品;および吸入可能形態の本発明の化合物を含む吸入デバイスも提供する。
【0060】
本発明の化合物の製造方法
本発明の化合物は、実施例に例示する方法に従い、製造し得る。
【0061】
ここに記載する反応において、反応性官能基は、それが最終産物に存在すべきときは(例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)、それらが反応へ望まれない関与をしないように、当分野で既知の保護基を使用して保護し得る。慣用の保護基を標準的な技法に従い使用してよく、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0062】
本発明の化合物は、遊離塩基形態の化合物を薬学的に許容される無機または有機酸と反応させることにより、薬学的に許容される酸付加塩としてまた製造できる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩を、遊離酸形態の化合物と薬学的に許容される無機または有機塩基を反応させることにより製造できる。あるいは、本発明の化合物の塩形態を、出発物質または中間体の塩形態を使用して製造し得る。
【0063】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態は、各々対応する塩基付加塩または酸付加塩形態から製造し得る。例えば、酸付加塩形態の本発明の化合物を、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより、対応する遊離塩基に変換し得る。塩基付加塩形態の本発明の化合物を、適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより、対応する遊離酸に変換し得る。
【0064】
酸化されていない形の本発明の化合物は、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、リチウムボロハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、リントリクロライド、トリブロマイドなど)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0〜80℃で処理することにより製造し得る。
【0065】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細についてはSaulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。例えば、誘導体化されている本発明の化合物と適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)と反応させることにより適当なプロドラッグを製造し得る。
【0066】
本発明の化合物の保護された誘導体は、当業者に既知の手段により製造できる。保護基の形成およびその除去に適用可能な技術の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John WileyおよびSons, Inc., 1999に見ることができる。
【0067】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)に好都合に変換でき、または、溶媒和物は本発明の方法実施中に形成される。本発明の化合物の水和物は、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を使用した、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により好都合に製造できる。
【0068】
本発明の化合物は、本化合物のラセミ混合物を光学活性分割剤と反応させ、ジアステレオ異性化合物のペアを形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、その個々の異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の共有結合性ジアステレオマー誘導体を使用して行ってもよいが、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる特性(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分割し得る。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、または溶解度の差異に基づく分離/分割技術により分離し得る。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで、ラセミ化をもたらさないであろう任意の実際的手段により、分割剤と共に回収する。化合物の立体異性体のそのラセミ混合物からの分割に適用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0069】
要約すると、本発明の化合物は、実施例に例示の通りに製造でき、式(1)および(2)は、次のものを含む方法により製造できる:
(a)所望により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(b)所望により本発明の化合物の塩形態の非塩形態への変換;
(c)所望により本発明の化合物の酸化されていない形の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(d)所望により本発明の化合物のN−オキシド形態のその酸化されていない形への変換;
(e)所望により本発明の化合物の個々の異性体の異性体混合物からの分離;
(f)所望により誘導体化されていない本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(g)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体の非誘導体化形態への変換。
【0070】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるか、または、当分野で既知の方法に準じて、または以下の実施例に開示のとおり、製造し得る。当業者は、上記の変換は本発明の化合物の製造の単なる代表例であって、他の既知の方法を同様に使用してよいことを認識しよう。本発明を、次の中間体(参考化合物)および本発明の化合物の製造を説明する実施例によってさらに例示するが、限定するものではない。
【0071】
参考化合物1
【化13】

【0072】
1−B:4−ピペリジンエタノール(1−A)(5g、39.7mmol)をTHF(120mL)に溶解する。トリエチルアミン(5.6mL、40mmol)を添加し、溶液を0℃に冷却する。BocO(9.59g、44mmol)を添加し、反応物を一夜、室温で撹拌する。溶媒を真空で除去し、粗残渣を酢酸エチル(120mL)に溶解する。溶液を0.1N HCl(3x100mL)および塩水(1x100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で蒸発させて、1−Bを透明油状物として得る。
【0073】
1−C:トリクロロイソシアヌル酸(2.66g、11.46mmol)を、アルコール1−B(2.39g、10.42mmol)のDCMに添加し、溶液を撹拌し、0℃に維持し、続いて触媒量のTEMPOを添加する。添加後、混合物を室温に温め、1時間撹拌し、次いでCelite(登録商標)で濾過する。有機相を飽和水性NaCO、続いて1N HClおよび塩水で洗浄する。有機層を乾燥させ(MgSO)、溶媒を蒸発させて、1−Cを得る。1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 9.72(1H, s), 4.07-4.01(2H, m), 2.70-2.57(2H, m), 2.35-2.31(2H, m), 2.05-1.94(1H, m), 1.64-1.46(2H, m), 1.39(9H, s), 1.30-1.02(2H, m)。
【0074】
1−D:Cbz−α−ホスホノグリシントリメチルエステル(2.8g、8.45mmol)のTHF溶液に、−78℃で、1,1,3,3−テトラメチル−グアニジン(1.022ml、8.14mmol)を添加する。10分後、アルデヒド1−C(1.76g、7.76mmol)を添加する。溶液を次いで0℃で1時間氷浴に入れ、次いで室温に温め、さらに1時間撹拌する。溶液をEtOAcで希釈し、1M NaHSOで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で濃縮する。残渣を酢酸エチル/ヘキサン0〜100%を用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、1−Dを白色固体として得る。MS m/z 333.2(M + 1), 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 7.35-7.33(5H, m), 6.63(1H, t, J = 8 Hz), 6.30(1H, bs), 5.12(2H, s), 4.10-4.04(2H, m), 3.73(3H, s), 2.67-2.62(2H, m), 2.14(2H, t, J = 6.8 Hz), 1.63-1.46(3H, m), 1.43(9H, s), 1.14-1.06(2H, m)。
【0075】
1−E:Parr容器に1−D(1g、2.31mmol)およびMeOH(100mL)を窒素下に入れる。溶液を、3サイクルの真空および窒素バブリングに付し、触媒(R,R)−エチル−DuPHOS−Rh(COD)トリフラートを添加する(30mg、0.04mmol)。混合物を、60psiの水素ガス下に、室温で24時間置く。1−Eへの変換は、24時間後>99%e.e.で起こり、溶媒を真空で除去し、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)で精製する。
【0076】
1−F:中間体1−EをMeOHに溶解する。溶液を窒素でフラッシュし、Pd/炭素(5%wt、Degussa)を添加する。混合物を50psiの水素ガス下に、室温で置き、24時間振盪する。混合物を窒素でフラッシュし、Celite(登録商標)で濾過する。ケーキをMeOHで洗浄し、合わせた有機溶液を真空で濃縮する。ヘキサンを添加し、次いで残ったメタノールを共沸蒸留するために蒸発させて、1−Fを油状物として得て、それを次いでさらに精製せずに次工程に使用した。MS m/z 201.4(M + 1 - Boc), 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 4.06-3.97(2H, m), 3.63(3H, s), 3.36-3.31(1H, m), 2.63-2.50(2H, m), 1.70-1.61(1H, m), 1.61-1.43(3H, m), 1.36(3H, s), 1.55(6H, s), 1.34-1.15(3H, m), 1.02-1.97(2H, m)。
【0077】
1−G:粗1−F(0.6g、1.99mmol)をTHF(10mL)に溶解し、2,4,6−コリジン(315mg、2.38mmol)およびメタンスルホニルクロライド(0.170ml、2.19mmol)を溶液に添加し、2時間撹拌する。反応物をEtOAc(50mL)で希釈し、溶液を1M NaHSO(2×25mL)、塩水(25mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。溶媒を真空で除去し、粗残渣を、ヘキサンおよびEtOAcの勾配を使用したフラッシュクロマトグラフィーで精製して、1−Gを得る。MS m/z 279.4(M + 1 - Boc), 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 5.60-5.42(1H, m), 3.99-3.96(3H, m), 3.68(3H, s), 2.86(3H, m), 2.60-2.54(2H, m), 1.79-1.77(1H, m), 1.60-1.45(2H, m), 1.35(9H, s), 1.35-1.26(3H, m), 1.16-0.95(2H, m)。
【0078】
1−H:化合物1−G(0.70g、1.84mmol)をジオキサン(7mL)に溶解し、水(4mL)に溶解したLiOH・HO(232mg、5.55mmol)を添加する。反応混合物を1時間撹拌する。溶媒を蒸発させる;残渣をEtOAc(25mL)で希釈し、1N NaHSO(25mL)および塩水(25mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。溶媒を真空で除去し、粗残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc勾配)で精製して、参考化合物1を白色固体として得る。MS m/z 265.4(M + 1 - Boc), 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 8.97(1H, broad s), 5.44(1H, d, J = 8.8 Hz), 4.15-3.90(3H, m), 2.94(3H, s), 2.77-2.55(2H, m), 1.88-1.87(1H, m), 1.78-1.58(3H), 1.42-1.37(12H, m), 1.16-0.94(2H, m)。
【0079】
参考化合物2
【化14】

中間体1−Eを、化合物1−Hを得るのに使用したのと同じ方法に従い、LiOH・HOで鹸化する。MS m/z 421.5(M + 1), 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 9.75(1H, broad s), 7.26-7.41(5H, m), 5.39(1H, s), 5.10(2H, s), 4.41-4.34(1H, m), 4.46-4.03(2H, m), 2.68-2.61(2H, m), 1.94 -1.82(1H, m), 1.78-1.53(3H, m), 1.44(9H, s), 1.44-1.19(3H, m), 1.09-1.03(2H, m)。
【0080】
参考化合物3
【化15】

【0081】
3−B:化合物3−A(2g、9.28mmol)をCBr(4.46g、13.47mmol)およびトリフェニルホスフィン(3.28g、12.54mmol)とTHF(0.2M)中で合わせ、溶液を一夜撹拌する。反応混合物を次いで濾過し、溶媒を蒸発させる。トリフェニルホスフィンオキシドの大部分が、この粗混合物の大量のエーテルへの添加により沈殿する。濾過および濃縮後、残渣をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して、化合物3−Bを得る。1H-NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 4.05-3.99(1H, m), 3.83-3.78(1H, m), 3.27-3.24(2H, m), 2.84-2.77(1H, m), 2.66-2.59(1H, m), 1.91-1.74(2H, m), 1.67-1.56(1H, m), 1.42(9H, s), 1.32-1.20(2H, m)。
【0082】
3−C:3−B(1g、3.6mmol)およびKCN(281mg、4.3mmol)の無水DMF(20mL)中の混合物を、一夜、還流下撹拌する。残渣をEtOAc(50ml)に溶解し、連続的に1N NaHSO(2×50mL)および塩水(2×50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、粗物質をクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して、化合物3−Cを油状物として得る。1H-NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 3.83-3.78(1H, m), 3.78-3.69(1H, m), 2.87-2.73(2H, m), 2.28-2.15(2H, m), 1.84-1.72(2H, m), 1.61-1.52(1H, m), 1.42-1.15(11H, m)。
【0083】
3−D:3−C(750mg、3.34mmol)のTHF(20mL)溶液に、DIBAL(THF中1M溶液、5ml)を−78℃で添加する。この混合物を室温に到達させ、室温で1時間撹拌する。混合物を0℃に冷却し、水(0.2mL)、15%NaOH水性(0.2mL)および水(0.5mL)を連続的に添加する。MgSO添加後、混合物を徹底的に撹拌し、濾過する。溶媒の蒸発により、化合物3−Dを無色油状物として得る。この化合物をさらに精製せずに次工程に使用する。1H-NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 3.78-3.67(1H, m), 3.67-3.64(1H, m), 2.81-2.71(1H, m), 2.71-2.50(1H, m), 2.24-2.09(2H, m), 1.79-1.66(2H, m), 1.56-1.48(1H, m), 1.39-1.13(11H, m)。
【0084】
3−E:この化合物を、3−Dから、参考化合物1−Dの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0085】
3−F:この化合物を、3−Eから、参考化合物1−Fの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0086】
3−G:この化合物を、3−Fから、参考化合物1−Gの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0087】
3−H:この化合物を、3−Gから、参考化合物1−Hの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0088】
参考化合物4
【化16】

【0089】
4−B:D−ホモフェニルアラニンエチルエステルヒドロクロライド(5.00g、20.5mmol)およびDIEA(8.7mL、51.25mmol)をTHF(100mL)に溶解し、室温で撹拌する。メシルクロライド(1.67mL、21.52mmol)を滴下し、反応物を6時間、室温で撹拌する。THFを蒸発させる;粗残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1N HCl(2×100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。溶媒を真空で除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、エチルエステルを得る。
【0090】
4−C:エチルエステル4−Bをジオキサン(50mL)に溶解し、室温で撹拌する。水(20mL)に溶解したLiOH・HO(1.00mg、24mmol)を添加し、反応物をエチルエステルが消失するまで(TLCおよびLCMSで)撹拌する。溶媒を真空で除去し、粗物質をEtOAc(50mL)および1N HCl(50mL)に分配する。水性層をEtOAc(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相を1M NaHSO(2×50mL)および塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させる。溶媒を蒸発させ、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc:ヘキサン勾配)で精製して、参考化合物4を白色粉末として得る。
【0091】
参考化合物5
【化17】

Boc−D−ホモフェニルアラニン(1.0g、3.58mmol)をTHF(10mL)に溶解し、水(18μL、0.72mmol)を、NaH(鉱油中60%分散;10.0mmol)のテトラヒドロフラン(12mL)懸濁液に、内部温度を20℃に維持しながら、20分にわたり滴下する。混合物を同じ温度で10分間撹拌し、ジメチルスルフェート(1.05mL、6.44mmol)を温度を20℃に維持しながら、20分にわたり添加する。反応物を2時間撹拌し、その後、内部温度を20℃に維持しながら、30%水酸化アンモニウム(6mL)で10分間クエンチする。撹拌をさらに1時間続ける(ジメチルスルフェートの完全な溶解を確実にするため)。混合物をEtOAc(20mL)および水(20mL)で希釈する。有機層を分離し、水(10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空で蒸発させて、参考化合物5を白色固体として得る。
【0092】
参考化合物6
【化18】

【0093】
6−B:D−ホモフェニルアラニンエチルエステルヒドロクロライド(6−A)(25.0g、102.5mmol)を10%水性EtOH(500mL)に溶解する。触媒量の5%Rh/Cを添加し、反応物をH雰囲気(1000psi)下に置き、撹拌し、50℃に加熱する。18時間後、反応物を室温に冷却し、Hガス供給を外し、容器を大気圧にする。触媒をCelite(登録商標)で濾過し、溶媒を真空で除去して、D−ホモシクロヘキシルアラニンエチルエステルヒドロクロライドを白色粉末として得る。
【0094】
6−C:この化合物を、6−Bから、参考化合物4−Bの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0095】
6−D:この化合物を、6−Cから、参考化合物4−Cの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0096】
参考化合物7
【化19】

【0097】
7−A:D−ホモシクロヘキシルアラニンエチルエステルヒドロクロライド(3.83g、18.0mmol)およびN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(Cbz−OSu)(4.49g、18.0mmol)を、THF(60mL)および水(20mL)含有丸底フラスコに添加する。混合物を室温で撹拌し、EtN(10.1mL、72.0mmol)を添加し、反応物を一夜、室温で撹拌する。透明溶液をEtOAc(200mL)で希釈し、1N HCl(3×100mL)および塩水(1×100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させる。溶媒を真空で蒸発させて、所望の生成物を白色固体として得て、それをさらに精製せずに使用する。
【0098】
7−B:この化合物を、7−Aから、参考化合物4−Cの製造について記載した方法に準じて製造する。
【0099】
参考化合物8
【化20】

【0100】
8−B:微粉化KOH(19.4g、0.346mol)をDMSOに溶解し、室温で20分間撹拌し、次いで0℃に冷却する。N−Boc−trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(Boc−Hyp−OH、8−A)(10g、43.3mmol)をDMSO(10mL)に溶解し、添加し、反応混合物を、さらに10分間、0℃で撹拌する。次に、4−クロロベンジルクロライド(33g、0.204mol)を添加し、反応混合物を0℃でさらに15分間撹拌する。その後、氷浴を外し、反応混合物を室温に温め、4時間撹拌する。反応混合物を水(300mL)に注ぎ、反応容器をさらなる量の水(300mL)で濯ぐ。合わせた水性層をエーテル(2×300mL)で抽出し、廃棄する。水性層を87%HPOでpH2.3に酸性化し、次いでエーテル(3×300mL)で抽出する。合わせたエーテル抽出物を水(2×400mL)および塩水(2×400mL)で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。残渣をEtOAc/ヘキサン(勾配0〜100%)を用いるシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化合物8−Bを透明油状物として得る。MS m/z 256.1(M + 1 - Boc);1H NMR(DMSO-D6, 400 MHz) δ 7.39-7.31(4H, m), 4.52-4.40(2H, m), 4.16-4.10(2H, m), 3.48-3.41(2H, m), 2.40-2.30(1H, m), 2.03-1.94(1H, m), 1.39-1.34(9H, m)。
【0101】
8−C:TFAのジクロロメタン(50/50)溶液を8−Bに添加し、混合物をBocが完全に無くなるまで撹拌する。反応混合物を次いで真空で濃縮し、粗残渣をさらに精製せずに次工程に使用した。MS m/z 256.1(M + 1);1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 8.32(1H, broad s), 7.16-6.93(4H, m), 4.41-4.12(4H, m), 4.10-3.75(2H, m), 3.70-3.53(1H, m), 3.51-3.30(1H, m), 2.38-2.24(1H, m), 2.06-1.88(1H, m)。
8−D:中間体8−C を200mlの1,4−ジオキサン/HO(1:1)溶液に添加する。NaHCO3(17.9g、0.213mol)、続いてFmoc−Cl(12g、46.3mmol)を添加する。混合物を一夜撹拌する。溶液を次いで1N HClで酸性化し、沈殿を濾過し、乾燥させ(MgSO)、8−Dを白色固体として得る。1H-NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 8.11(1H, broad s), 7.77-7.66(2H, m), 7.58-7.52(2H, m), 7.42-7.21(8H, m), 4.54-4.26(4H, m), 4.24(1H, t, J = 7.2 Hz), 4.23-4.10(1H, m), 3.69-3.61(2H, m), 2.50-2.38(1H, m), 2.24-2.12(1H, m)。
【0102】
参考化合物9
【化21】

上記反応スキームの反応剤および条件は:(a)SOCl(3.0当量)、MeOH、0℃、100%;(b)メシルクロライド(1.2当量)、EtN(3.0当量)、cat。DMAP、THF、23℃、79%;(c)Hoveyda-Grubbs複分解触媒(8mol%)、N−Boc−4−メチレンピペリジン(3.0当量)、DCM、40℃、51%;(d)LiOH、ジオキサン類、HO、23℃、100%。
【0103】
9−A:D−アリルグリシン(5.03g、43.73mmol、1.0当量)を、メタノール(70mL)の懸濁液中、氷水浴中でスラリー化する。塩化チオニル(9.6mL、131.19mmol、3.0当量)を10分間にわたり滴下する。反応物を室温に温め、LC/MSで完了を判断する。溶媒を蒸発させ、得られた9−Aの白色固体を直接次工程に使用する。
【0104】
9−B:D−アリルグリシンメチルエステルヒドロクロライド(9−A、7.20g、43.73mmol)、EtN(18mL、131.19mmol、3.0当量)およびDMAP(10mg、触媒)をTHF(110mL)に溶解し、室温で撹拌する。メシルクロライド(4.0mL、52.48mmol、1.2当量)を滴下し、反応物を6時間、室温で撹拌する。THFを蒸発させる;粗残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、水(100mL)、1N HCl(2×100mL)および塩水(100mL)で洗浄し、乾燥させる(MgSO)。溶媒を真空で除去し、粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製して、9−Bを黄色油状物として得る。
【0105】
9−C:無水ジクロロメタン(10mL、0.1M)を、シリンジを介して9−B(2.15g、10.37mmol、1.0当量)およびHoveyda-Grubbs第二世代複分解触媒[(1,3−Bis−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムIIジクロライド)(510mg、0.815mmol、8mol%)]に窒素雰囲気下添加する。N−Boc−4−メチレンピペリジン(6mL、31.11mmol、3.0当量)をシリンジを介して添加し、反応物を還流コンデンサーに付け、40℃で12時間撹拌する。反応がLC/MSで完了後、反応混合物を自動化シリカゲル精製(0−100%酢酸エチルのヘキサン溶液)により直接精製して、9−Cを暗緑色油状物として得る。MS m/z 277.2(M-Boc + 1)。
【0106】
参考化合物9:9−Cの鹸化を、参考化合物4について記載した先の方法に準じて行う。
【0107】
参考化合物10
【化22】

参考化合物10を、参考化合物8の製造について記載した方法に準じて製造する。
【実施例】
【0108】
実施例1
【化23】

【0109】
1−A:PAL樹脂の充填:5−シアノ−2−メチルアミノ−チオフェン(3当量)を、樹脂(1meq/g)のDMF溶液に、AcOH(8当量)存在下添加する。混合物を1時間振盪し、その後NaH(AcO)(3当量)を添加し、混合物を一夜反応させる。樹脂を次いでDMF(×2)、DCM(×2)、MeOH(×2)およびDCM(×2)で洗浄する。
【0110】
1−B:Fmoc保護アミノ酸8−D(3当量)を、200mgの樹脂1−AのDMF溶液に、HOBt(3.5当量)およびDIC(3.5当量)存在下添加する。混合物を3時間振盪する。樹脂をDMF(×2)、DCM(×2)、MeOH(×2)およびDCM(×2)で洗浄する。
【0111】
1−C:樹脂を、20%ピペリジンのDMF溶液中、30分間浸透し、DMF(×2)およびDCM(×2)で洗浄する。
【0112】
1−D:アミノ酸を、樹脂1−Cに1−Bと同じ方法を使用してカップリングさせる。
1−E:ヒドロキシルアミンヒドロクロライド(40当量)およびDIEA(40当量)のDMF溶液を、樹脂1−Dに添加し、混合物を一夜振盪する。樹脂をDMF(×2)、DCM(×2)、MeOH(×2)およびDCM(×2)で洗浄する。
【0113】
1−F:樹脂1−EのDCM溶液に、酢酸無水物(10当量)を添加する。混合物を2時間振盪し、次いでDCM(×2)、DMF(×2)およびDCM(×2)で洗浄する。
【0114】
1−G:樹脂1−Fを無水THF(×2)で洗浄し、その後SmI(THF中0.1M)を窒素下添加する。混合物を2時間振盪し、樹脂をDMF(×2)、MeOH(×2)DMF(×2)およびDCM(×2)で洗浄する。
1−H:最終化合物1−Hを、TFA/DCM/HO(45:45:10)の溶液の存在下での樹脂からの開裂により得る。濾液を真空で濃縮し、アセトニトリルに溶解し、逆相HPLC(HO−ACN勾配)で精製する。凍結乾燥後、1−HのTFA塩を白色粉末として得る。MS m/z 639.5(M + 1);1H-NMR(CD3CN, 400 MHz) δ 9.30(1H, s), 7.89(1H, s), 7.72(1H, d, J = 4 Hz), 7.36-7.26(4H, m), 7.09(1H, d, J = 4 Hz), 6.06(1H, d, J = 8 Hz), 4.60-4.41(5H, m), 4.33-4.21(1H, m), 4.11-4.05(1H, m), 3.82-3.65(2H, m), 3.29-3.27(2H, m), 2.86(3H, s), 2.86-2.76(2H, m), 2.46-2.36(1H, m), 2.15-2.07(1H, m), 1.75-1.68(2H, m), 1.63-1.46(2H, m), 1.46-1.31(2H, m), 1.31-1.27(3H, m)。
【0115】
実施例2−31
実施例2−31を、実施例1について記載した方法に準じて合成する。
【0116】
実施例32
【化24】

反応物32−Aを、ベンジルアミンおよびPal−樹脂から、実施例1−Aの製造について記載した方法に準じて製造する。中間体32−Bを、固定化32−Aから、実施例1−Bの製造について記載した方法に準じて製造する。中間体32−Cおよび32−Dを、各々支持体結合32−Bおよび32−Cから、各々実施例1−Cおよび1−Dの製造について記載した方法に準じて製造する。最終化合物32−Eを、実施例1−Hの製造について記載した方法に準じて、32−Dの樹脂からの開裂により製造する。
【0117】
実施例33−54
実施例33−54を、実施例32について記載した方法に準じて合成する。
【0118】
実施例55
【化25】

55−A:化合物1−H(1.9g、5.2mmol)を、メチルエステル8−CのHCl塩(1.6g、5.2mmol)、PyBOP(3.79g、7.28mmol)およびDIEA(2.7mL、15.6mmol)のDCM(50mL)溶液に添加する。混合物を一夜撹拌し、次いで1M NaHSO溶液(2×50mL)、NaHCO飽和(2×50mL)および塩水(1×50mL)で洗浄する。有機相をMgSOで乾燥させ、真空で濃縮する。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc)で精製し、化合物55−Aを白色固体として得る。MS m/z 616.2(M + 1)。
【0119】
55−B:メチルエステル55−A(2.2g、3.72mmol)をジオキサン(20mL)に溶解し、室温で撹拌する。水(50mL)に溶解したLiOH・HO(467mg、11.12mmol)を添加し、反応物をメチルエステルが消失するまで撹拌する(TLCおよびLCMSで)。溶液を1M NaHSOの添加により酸性化し、EtOAc(2×50mL)で抽出する。合わせた有機相を塩水(50mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させる。溶媒を蒸発させて、化合物55−Bを白色粉末として得る。MS m/z 602.2(M + 1);1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 7.33(2H, d, J = 8.4 Hz), 7.22(2H, d, J = 8.4 Hz), 5.87(1H, d, J = 9.6 Hz), 4.43-4.57(4H, m), 4.29-4.32(1H, m), 3.95-4.17(4H, m), 3.87-3.93(1H, m), 3.60-3.64(1H, m), 2.89(3H, s), 2.58-2.64(2H, m), 2.45-2.51(1H, m), 2.15-2.51(1H, m), 1.48-1.70(3H, m), 1.44(9H, s), 1.22-1.35(2H, m), 0.95-1.10(2H, m)。
【0120】
55−C:化合物55−B(60mg、0.1mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、HATU(55mg、0.14mmol)、DIEA(0.035ml、0.2mmol)、および2,5−ジクロロベンジルアミン(23mg、0.13mmol)を添加する。混合物を一夜、室温で撹拌し、次いで連続的に1M NaHSO(10ml)、NaHCO飽和(10ml)および塩水(10ml)で洗浄する。溶液をMgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、次工程に直接使用する。MS m/z 659.2(M + 1 - Boc)。
【0121】
55−D:55−CのDCM溶液に、50%TFAのDCM溶液を添加する。混合物を30分間撹拌し、次いで溶媒を蒸発させ、残渣をアセトニトリルに溶解し、逆相HPLCで精製する。溶媒の凍結乾燥後、化合物55−DのTFA塩を白色粉末として得る。MS m/z 659.2(M + 1);1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 9.30(1H, bs), 8.56(1H, bs), 7.31(1H, d, J = 2 Hz), 7.07-7.27(6H, m), 5.88(1H, d, J = 8.4 Hz), 4.26-4.57(6H, m), 3.93-4.02(1H, m), 3.77-3.86(1H, m), 3.47-3.86(1H, m), 3.21-3.34(5H, m), 2.74(3H, s), 2.49-2.88(4H, m), 2.17-2.36(2H, m), 1.18-1.73(9H, m)。
【0122】
実施例55−70
実施例56−70を、実施例55について記載した方法に準じて合成する。
【0123】
表1は、実施例1−70に記載の式(1)の化合物を示す。
【表1】

【表2】

【0124】
【表3】

【表4】

【0125】
【表5】

【表6】

【0126】
【表7】

【表8】

【0127】
【表9】

【表10】

【0128】
【表11】

【表12】

【0129】
【表13】

【表14】

【0130】
【表15】

【表16】

【0131】
【表17】

【0132】
アッセイ
チャネル活性化プロテアーゼの阻害が仲介する疾患の処置のためのプロスタチン阻害剤のようなチャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の適性は、チャネル活性化プロテアーゼ阻害剤の:(1)Shipway et al.; Biochemical and Biophysical Research Communications 2004; 324(2):953-63に記載の方法を使用した、適当な生化学アッセイ形式を使用した、天然の、単離された、精製または組み換えチャネル活性化プロテアーゼにおける;および/または(2)Bridges et al.; American Journal of Physiology Lung Cell Molecular Physiology 2001; 281(1):L16-23;およびDonaldson et al.; Journal of Biological Chemistry 2002; 277(10):8338-45に記載された方法を使用した、適当な単離細胞またはコンフルエント上皮における、イオンチャネル/イオン輸送機能に対する阻害効果を測定することにより試験し得る。
【0133】
生化学アッセイ
組み換えヒトプロスタチンおよびマトリプターゼおよびモルモットプロスタチンを、Shipway et al., Biochem. and Biophys. Res. Commun. 2004; 324(2):953-63に開示された方法に従い作製する。組み換え酵素を、試験化合物または媒体を含む電解質緩衝液中、96または384ウェルプレートのような適当な多ウェルアッセイプレートでインキュベートする。酵素と化合物または媒体混合一定時間後、適当な蛍光ペプチド基質をアッセイ混合物に添加する。基質が活性酵素により開裂されるため、蛍光(適当な蛍光リーダーを使用して測定)が上昇し、基質のターンオーバー率(すなわち酵素活性)を、故に、任意の化合物の阻害効果を定量し得る。試験化合物の効果を、酵素活性の50%減弱をもたらす濃度として表す(K)。
【0134】
一般に、本発明の化合物は、0.1nM〜5μMのK値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物は、0.1nM〜500nM;0.1nM〜50nM;0.1nM〜5nM;または0.1nM〜0.5nMのK値を有し得る。特定の例において、本発明の化合物は、0.1nM〜0.5nM;0.5nM〜5nM;5nM〜50nM;50nM〜500nM;または500nM〜5μMのK値を有し得る。さらに他の例において、化合物は、0.1nM未満または5μMを超えるK値を有し得る。
【0135】
上皮性イオン輸送
ヒト気管支上皮細胞を、Danahay et al., Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 2002; 282(2):L226-36に記載の方法に従い培養する。適切に分化したら(尖端−空気界面確立後14−21日目)、上皮細胞を、媒体、アプロチニン(200μg/ml)または試験化合物で90分間処理する。次いで上皮を、上皮の尖端側の媒体、アプロチニンまたは試験化合物の濃度を維持しながら、Danahay et al., supraに記載のようなチャンバーに入れる。次いで短絡回路電流(ISC)を、上皮を0ミリボルトに電圧制限することにより測定する。次いでアミロライド感受性ISCを、上皮の尖端表面へのアミロライド(10μM)の添加により測定する。試験化合物の効果を、アミロライド感受性ISCのアプロチニン感受性成分の50%阻害を誘発する濃度として表す。
【0136】
一般に、本発明の化合物は、1nM〜10μMのIC50値を有し得る。いくつかの例において、本発明の化合物は、1nM〜1μM;またはより具体的に1nM〜100nMのIC50値を有し得る。さらに他の例において、本発明の化合物は、100nM〜1μM、または1μM〜10μMのIC50値を有し得る。さらに他の例において、化合物は、1nM未満または10μMを超えるIC50値を有し得る。
【0137】
気管電位差(インビボ)
モルモットを、ハロタンおよびNOのような短時間作用型吸入麻酔を使用して麻酔する。短時間作用型麻酔下、経口胃ゾンデを口腔咽頭(oropharangeal)経路を介して気管に挿入する。気管に入ったら、適当な水性ベースの希釈剤中の小容量(50−200μl)の媒体または試験化合物を気道内に滴らす。次いで動物を十分に歩行するまで回復させる。あるいは、試験化合物を、エアロゾルまたは乾燥粉末投与を介して動物に投与してよい。投与一定時間後、動物を、ケタミンおよびキシラジンのような適当な麻酔を使用して外科的に麻酔させる。気管を次いで暴露し、プラスチック寒天架橋電極を気管内腔に挿入する。参照電極も、動物の首の筋肉の層に挿入する。次いで気管電位差を、Takahashi et al., Toxicol Appl Pharmacol. 1995; 131(1):31-6に記載のような適当な高インピーダンス電圧計を使用して測定する。試験化合物の効果を、気管電位差の感受性要素の50%減少を誘発する用量として表す。
【0138】
ここに記載の実施例および態様は説明の目的のためのみであり、それに照らした種々の修飾または変化が当業者には示唆され、本出願の精神および権限の範囲内および添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることは理解すべきである。ここに引用した全ての刊行物、特許および特許出願は、全ての目的で引用により本明細書に包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

〔式中、
O−(CR)−Rは、環A上の任意の位置の置換基であり;
Jは5−12員単環式または縮合炭素環式環、N、Oおよび/またはS含有ヘテロ環式環;アリールまたはヘテロアリール環である。ただし、Jはトリアゾリルではなく;
Bは
【化2】

または(CR)−Rであり;
Yは結合、−SO−、−NHCO−または−O−(CO)−であり;
はハロ、−(CR)−NR、−(CR)−NRC(=NR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NR、−C(O)−(CR)−NR、−(CR)−NR−SO、−(CR)−NR−C(O)−R、−(CR)−SONR、または−(CR)−OR、または所望により置換されていてよいC1−6アルコキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル;または所望により置換されていてよい炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであり;
あるいは、NH−Y−Rは一体となってNHを形成し;
、RおよびRは、独立して所望により置換されていてよい5−12員炭素環式環、ヘテロ環式環、アリールまたはヘテロアリールであるか;またはRはH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、または
【化3】

であり、ここで、PはCまたはNであり、そして環Eは、Pと一体となって所望により置換されていてよい5−12員単環式または縮合環を形成し;
およびRは、独立してH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであり;
各RはH、またはC1−6アルキル、C2−6アルケニル、またはC2−6アルキニルであり;
lは0−6であり;
k、m、nおよびpは、独立して1−6であり;
xは0−4である;
ただし、NH−Y−Rが一体となってNHを形成するときRはピペリジニルであり;そして
さらに、Bが(CR)−Rであるとき、Rはピペリジニルである。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Jがチオフェニル、チアゾリル、フェニル、ピリジル、インダゾリル、ピペリジニルまたはピロリジニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がハロ、C1−6アルキル、CF、OCF、フェニル、−(CR)−NR、−(CR)−C(=NR)−NR、−C(O)−(CR)−NR、−(CR)−NR−SO、−(CR)−NR−C(O)−R、−(CR)−SONR、または−(CR)−ORであり;ここで、lの各々が0−1であり;そしてR、RおよびRが、独立してHまたはC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がフェニルまたはシクロヘキシルであり、その各々は所望によりハロ、SO(C1−6アルキル)、または所望によりハロゲン化されていてよいC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシで置換されていてよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が所望により置換されていてよいピペリジニル、シクロヘキシル、フェニル、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yが結合、SOまたは−O−(CO)−ある、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
該化合物が式(2):
【化5】

〔式中、
およびJは、独立して所望により置換されていてよい6員アリールであり;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−(CR)−Rであるか;またはNH−Y−Rは一体となってNHを形成し;
(CR)の各RはHまたはC1−6アルキルであり;そして
m、nおよびpは、独立して1−2。〕
の化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
およびJが、独立して所望により置換されていてよいフェニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
xが1−3である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
YがSOである、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
がC1−6アルキルまたは所望により置換されていてよいベンジルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
が所望により置換されていてよいピペリジニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
該化合物が次のものから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【請求項14】
治療的有効量の請求項1〜13のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項15】
細胞または組織系または哺乳動物におけるチャネル活性化プロテアーゼを阻害するための請求項1〜13のいずれかに記載の化合物の使用であって、ここで、チャネル活性化プロテアーゼがプロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼである、使用。
【請求項16】
細胞または組織系または哺乳動物におけるチャネル活性化プロテアーゼが仲介する状態を処置するための請求項1〜13のいずれかに記載の化合物の使用であって、所望により当該化合物は第二の治療剤と組み合わせられており;ここで、該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタチン、PRSS22、TMPRSS11(例えば、TMPRSS11B、TMPRSS11E)、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4(MTSP−2)、マトリプターゼ(MTSP−1)、CAP2、CAP3、トリプシン、カテプシンA、または好中球エラスターゼである、使用。
【請求項17】
該状態がイオン輸送上皮を通過するる体液の移動または呼吸器組織における粘液および痰の蓄積と関連する状態である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
該状態が嚢胞性線維症、原発性線毛機能不全、肺癌腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息または呼吸器感染である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
該第二治療剤が抗炎症剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質またはDNaseであり、請求項1〜13のいずれかに記載の化合物の前に、同時にまたは後に投与する、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
該チャネル活性化プロテアーゼがプロスタチンである、請求項15または16に記載の使用。
【請求項21】
該細胞または組織系が気管支上皮細胞を含む、請求項15または16に記載の使用。

【公表番号】特表2010−515729(P2010−515729A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545545(P2009−545545)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/085366
【国際公開番号】WO2008/085608
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】